JP4152818B2 - 共役脂肪酸を有効成分とする高血圧予防剤およびその用途 - Google Patents

共役脂肪酸を有効成分とする高血圧予防剤およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高血圧あるいは生活習慣病の予防もしくは改善、あるいはのための共役リノール酸(以下、CLAとも略称する)の用途に関し、より詳しくは、CLAからなる脂肪酸、その塩、エステルおよび脂肪酸誘導体から選択される少なくとも一つの成分を含む飼料、飲料、食品、健康補助食品、および医薬品に関する。
【0002】
【従来の技術】
血圧が正常域を超えて、高くなった状態を高血圧といい、収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上のいずれか(日本高血圧学会)の場合、高血圧と定義づけられる。高血圧には、原因の明らかな症候性高血圧と、遺伝的、環境的因子が働いて生じる本態性高血圧とに分類される。高血圧の90%は本態性高血圧といわれ、ストレス、食塩過剰摂取、過食、運動不足などの生活要因が強く関与する。
【0003】
現在世界には約6億人の高血圧患者が存在し、毎年約300万人は高血圧が直接の原因で死亡にいたる。日本では、約3,300万人の高血圧患者がいると推定され、成人の3人に1人に相当する。日本人の死因の第1位はガン・悪性腫瘍であり、第2位が脳卒中、第3位が心臓病であるが、この2位と3位の疾患の主原因となっているのが高血圧である。高血圧は、脳卒中の最大の危険因子であり、心疾患、腎疾患、閉塞性動脈硬化症など各種循環器疾患の原因となりうる。また、高齢者とボケの原因にも高血圧が深く関与していることが判明している。高齢社会を迎えた現在、QOL(Quality of Life)を保った健やかな老後を迎えるために、高血圧の予防はきわめて重要な課題である。
【0004】
現在では降圧薬の開発により、重症の高血圧も下げる事は可能である。なかでもCa拮抗薬は日本で最も使用されている薬剤であるが、頻脈、動悸、浮腫がみられる。また、血圧を上昇させるレニン‐アンジオテンシン系の作用を断ち切るACE阻害薬では、から咳などの副作用が出現する。
【0005】
高血圧の予防または改善においては、血圧抑制剤の長期にわたる摂取が必要となり、より安全性を重視した食品が望まれる。
【0006】
例えば食品素材であるγ‐アミノ酪酸は安全かつ少量で血圧低下効果があり、長期摂取が可能である(特開平10−215812号公報(特許文献1))。しかし降圧剤や、血圧低下作用を有する薬剤、健康補助食品、飲料および食品は、高血圧そのものを改善する効果はないため、服用を止めると元の高血圧状態に戻る。また、医師に処方された薬剤については、自己判断で服用を止めるとかえって脳卒中や心臓病のリスクを高めることにもなりかねない。そのため、運動療法、食事管理、禁煙、ストレスをためない環境作りが推奨されるが、その実行は容易でない。
【0007】
また、共役トリエン酸においては、高血圧症の予防・改善効果が演繹されているが(特開2002-265985号公報(特許文献2))、実際にそれらの効果は確認されておらず、共役ジエン酸であるCLAに関しては、本発明者らの知る限り血圧への影響について報告されていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−215812号公報(段落[0001]〜[0042])
【特許文献2】
特開2002−265985号公報(段落[0001]〜[0047])
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、高血圧を予防もしくは改善して体質の改善を図り、ひいては生活習慣病の予防もしくは改善につながり得る飼料、飲料、食品、健康補助食品および医薬品を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、CLAに、好ましくは10trans,12cis-CLAに血圧低下作用があることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、以下のような発明を要旨とするものである。
共役脂肪酸(遊離脂肪酸、その塩、エステル、脂肪酸誘導体、それらの混合物等の形態)を有効成分とする高血圧予防もしくは改善剤。
好ましい態様において、共役脂肪酸が共役リノール酸(好ましくは10trans,12cis異性体)である、上記高血圧予防もしくは改善剤。
上記の共役脂肪酸もしくは剤を有効成分とする、生活習慣病予防もしくは改善剤。
上記の共役脂肪酸もしくは剤を含んでなる、飼料、飲食品、健康補助食品および医薬品。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、共役脂肪酸の使用は、高血圧の予防もしくは改善のみならず、生活習慣病の予防もしくは改善をなし得るものである。
すなわち、本発明は共役脂肪酸を有効成分とする高血圧の予防もしくは改善剤であり、別の観点では生活習慣病の予防もしくは改善剤でもありうる。
【0013】
上記の生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣がその発症、進行に関与する疾患群をいうものと厚生労働省により定義され、食事に起因する成人肥満症、小児高度肥満、栄養失調症、拒食症、糖尿病、胃がん、大腸がん、痛風、高脂血症、高血圧、動脈硬化症、腎臓結石、心筋梗塞、胃潰瘍、腎臓病、骨粗しょう症、歯周囲炎、飲酒に起因するアルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変肝臓がん、喫煙に起因する肺がん、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病、脳卒中、心臓病、休養または睡眠に起因する過労死、不眠症などの病態がある。
【0014】
本発明における有効成分としての共役脂肪酸は、遊離脂肪酸、塩、エステル、脂肪酸誘導体またはそれらの2種以上の混合物等の形態で使用される。
【0015】
脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、炭酸ナトリウム塩、塩化マグネシウム塩、複塩、錯塩等が例示され、エステルとしては、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、モノ、ジ、多価アルコール脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が例示され、脂肪酸誘導体としては、アスコルビン酸誘導体、脂肪酸メチル、脂肪酸エチル、塩化アシル、ヨウ化アシル、臭化アシル、フッ化アシル、脂肪酸ダイマー、トリマー、ポリマー等が例示される。
【0016】
以下、本発明を好ましい態様に基づいて更に具体的に説明する。
本発明で使用される共役脂肪酸の代表例は共役リノール酸であるが、共役リノール酸としては特に10trans,12cis-異性体、9cis,11trans-異性体およびこれらの混合物があげられる。共役リノール酸異性体としては10trans,12cis異性体がより好ましいが、共役リノール酸のうちこの異性体を5重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは85%重量以上含むものが望ましい。
【0017】
共役リノール酸の具体例は、リノール酸を含む食用油(サフラワー油、ヒマワリ油等)あるいは高純度リノール酸(例えば東京化成工業(株)製)を原料とし、通常のアルカリ異性化反応によりリノール酸を共役リノール酸に転化するアルカリ共役化反応を用いた公知の方法により得られたものである。例えば水酸化カリウム、エチレングリコールを使用する方法(第34回油化学討論会講演要旨集、p171(1995)、基準油脂分析試験法2.4.16-17)、またより好ましい方法として、有機溶媒にプロピレングリコールを使用し共役化率を向上させた方法(特許第3017108号公報)等が知られている。実用的には、9cis,11trans-および10trans,12cis-共役リノール酸の混合物が市販されており(例えばCLA-80(リノール油脂(株)製):9cis,11trans-CLA含量33.1%, 10trans,12cis CLA含量33.9%,残りは他の脂肪酸)、これを使用することができる。また、微生物等(例えば乳酸菌)によって生産される共役リノール酸含有油脂から得られた脂肪酸の混合物であってもよい(例えば、乳酸菌を用いた米国特許第6,060,304号公報参照)。
【0018】
上記のような方法により得られる共役リノール酸含有脂肪酸中の共役リノール酸含量は、一般的に5〜95%、好ましくは50〜85%、例えば60〜80%であり、残りの成分は他の脂肪酸等である。また、上記のようにして得られる共役リノール酸中の9cis,11transおよび10trans,12cis両異性体の含量は、共役リノール酸の中のほとんどを占め(他の共役リノール酸異性体の含量は通常4〜5%程度)、両異性体の相互含量はほぼ等量である。
【0019】
なお、本明細書において、%表示は特に断りのない限り、あるいは%表示のみで明確な場合を除き重量%を意味する。
【0020】
上記のようにして得られる共役リノール酸含有脂肪酸は、共役リノール酸のうち10trans,12cis異性体の含量がほぼ50%のものであるが、本発明においては、このような含量を含めて10trans,12cis異性体の含量が上記に規定したような範囲の種々の含量のものを使用できる。具体的には例えば、上述のような通常のアルカリ共役化反応により得られた共役リノール酸を、リパーゼにより9cis,11trans異性体選択的エステル化法を行い、それに次ぐ分子蒸留、酵素反応、尿素付加(永尾等,J.Am.Oil.Chem.Soc.,79,303-308,2002参照)など、既知の方法を組み合わせることにより、50%以上の10trans,12cisCLA含有脂肪酸を得ることができる。
【0021】
異性体選択的エステル化法を含む上記のような方法としては、例えば実施例に示すように、上記のようなアルカリ共役化反応によって得られた共役リノール酸異性体混合物とアルコール(ラウリルアルコールなど)の混合物にリパーゼ(Ca ndida rugosa由来リパーゼ等)を作用させて9cis,11trans異性体選択的エステル交換を行い(必要に応じてこの操作を繰返す)、次いで常法に従って分子蒸留を行なって得られた遊離脂肪酸画分についてエタノール溶液中で尿素付加(例えば永尾等,J.Am.Oil.Chem.Soc.,79,303-308,2002参照)を行い、冷却ろ過する方法を用いることができる。さらに、公知の島田等,Ibid.,75,1539-1543,1998の方法を用いることもできる。上記のような方法により、50%以上(通常50〜90%程度)の10trans,12cisCLA含有脂肪酸を得ることができる。この10trans,12cisCLA含有脂肪酸中には、通常9cis,11trans異性体が5〜10%程度含まれ、残りの成分は他の脂肪酸等である。上記の方法において、酵素濃度、反応温度、反応時間等の条件を適宜調節することにより、10trans,12cis異性体の含量を所望に変化させた脂肪酸を得ることができる。
【0022】
他方、上記のような選択的エステル交換において、10trans,12cis異性体に特異的なリパーゼ(例えばPseudomonas等由来のリパーゼ)を使用することによって10trans,12cis選択的エステル交換反応を行い、50%以下(通常50未満〜10%程度)の10trans,12cisCLA含有脂肪酸を得ることができる。(特開2001−169794号公報)この10trans,12cisCLA含有脂肪酸中には、通常9cis,11trans異性体が50〜90%程度含まれ、残りの成分は他の脂肪酸等である。上記の方法において、酵素濃度、反応時間、反応温度等の条件を適宜調節することにより、10trans,12cis異性体の含量を所望に変化させた脂肪酸を得ることができる。
実用的には、高純度の10trans,12cisCLA含有脂肪酸が市販されており(マトレヤ社製:10trans,12cisCLA含量(98%)、9cis,11transCLA(1.1%)残りは他の脂肪酸)、これを使用することもできる。
【0023】
上記のようにして、前記で規定されたようなCLA異性体含量の脂肪酸、すなわち共役リノール酸のうち10trans,12cis異性体を5重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは85%重量以上(例えば90%程度まで)含む脂肪酸を得ることができる。
【0024】
本発明において、上述のような共役脂肪酸(好ましい態様において共役リノール酸)を高血圧予防剤もしくは改善剤の有効成分として用いることができる。
【0025】
本発明は上述したような共役脂肪酸を含んでなる飼料、飲料、食品、健康補助食品に関する。これらの用途には、有効成分としての共役脂肪酸以外に、例えば、グルタミン酸ソーダ、イノシン酸等の嗜好性を向上させるための調味料や、トコフェロール類、フラボン誘導体、コーヒー酸誘導体、ゴシポール、セザモール、リン脂質、アミノ酸およびその誘導体、糖類、糖アルコール等、酸化安定性を向上させる各種添加物を含有させることができる。
【0026】
さらに、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル等の各種乳化剤を、パン、麺類、水産練り製品、乳飲料、清涼飲料水、ガム、キャンディー等の食品に、親和性を問わず使用することができる。また、上記食品等は、液状での使用に限定されず、定法に従い噴霧乾燥することによる粉末化、あるいはゼラチンによる抱合、もしくは錠剤等、任意の形態で使用することができる。
【0027】
本発明品を含む食品は、特に限定されるものではないが、例えばスプレッド、マーガリン、クリーム、ドレッシング、マヨネーズ、チーズ、アイスクリーム、ベイカリー食品、乳幼児食、スープ、惣菜等に配合することができる。
本発明による高血圧予防剤もしくは改善剤を食品(飲料および飼料等を包含する)用途に使用する場合、食品等中の共役脂肪酸含有量は一般に0.5〜20.0重量%程度であり、1日当たり1mg〜10g、好ましくは0.1g〜10g程度を摂取することにより、高血圧予防もしくは改善が期待される。
【0028】
また、本発明による高血圧予防剤もしくは改善剤を医薬として使用する場合は、有効成分としての共役脂肪酸の他に、ブドウ糖、乳糖等の賦形剤や、重曹等のpH調節剤等を用いることができる。本発明による医薬品は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口投与剤として使用できるほか、注射注射剤、座薬等非経口薬としても使用可能である。このようにして得られた医薬品は、高血圧予防剤もしくは改善剤として使用することが可能であり、肥満防止もしくは改善、生活習慣病予防もしくは改善の用途に使用することもできる。医薬品の場合の投与量は、一般に1日当たり1mg〜10g、好ましくは10mg〜10g程度であるが、食前、食間、食後等の摂取時間、および生活習慣等により効果が左右されるものではない。また、1日における摂取回数に限定されるものでもなく、必要量を数回あるいは単回で摂取しても効果に大差はない。
【0029】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0030】
[実施例1]CLA異性体の分離
試薬グレードの98重量%リノール酸(東京化成工業(株)製)を原料とし、プロピレングリコールを使用し、常法に従いアルカリ共役化反応を行った(特許第3017108号公報参照)。得られたCLAは9cis,11trans-CLAを45.1重量%、10trans,12cis-CLAを46.8重量%包含するCLA異性体混合物である。まず第1段階の精製として、9cis,11trans-CLAと10trans,12cis-CLAの分離を行った。2Lの反応容器に、9cis,11trans-CLAを45.1重量%、10trans,12cis-CLAを46.8重量%包含するCLA異性体混合物1,000gと、ラウリルアルコール664gとの混合物(1:1mol/mol)にCandida rugosa由来のリパーゼを20U/g混合液の濃度で加え、30℃、16時間の条件で選択的エステル交換を行った。この混合物を、常法に従い分子蒸留を行うことで、516gの遊離脂肪酸画分(10trans,12cis-CLAを78.1重量%包含する)と、751gのラウリルエステル画分(9cis,11trans-CLAを85.1重量%包含する)を得た。
【0031】
[実施例2]10trans,12cis-CLA の精製
実施例1で得た遊離脂肪酸画分510gと、ラウリルアルコールとの混合物235g(1:1mol/mol)にCandida rugosa由来のリパーゼを30U/g混合液の濃度で加え、30℃、16時間の条件で選択的エステル交換を行い、常法に従い、分子蒸留を行うことで、遊離脂肪酸とラウリルエステル画分を得た(留出分の脂肪酸組成に10trans,12cis-CLAを86.3重量%包含する)。得られた分子蒸留留出画分を常法に従い、エタノール溶液中で尿素付加を行い、徐冷ろ過を行うことで、95.7重量%の10trans,12cis-CLAを得た。
【0032】
[実施例3]9cis,11trans-CLA の精製
実施例1で得たラウリルエステル画分を、常法に従いNaOHのアルカリ存在下で加水分解を行った。得られた遊離脂肪酸画分とラウリルアルコールとの混合物(1:1mol/mol)760gに、Candida rugosa由来のリパーゼを10U/g混合液の濃度で加え、30℃、16時間の条件で選択的エステル交換を行い、717gの油層を得た。反応物は常法に従い分子蒸留を行うことで、ラウリルエステル画分を回収し、常法に従いアルカリ存在下で加水分解を行い、9cis,11trans-CLA92.2重量%を159g得た。
【0033】
[実施例4]
7週齢のOLETF雄ラット(糖尿病発症モデル)を、0.5%ハイリノールサフラワー油(リノール油脂(株)製)(対照群)、0.5%9cis,11trans-CLA群、0.5%10trans,12cis-CLA群に分け、AIN76組成に基づいた純化食(表-1)で3週間飼育した。1週おきにTail cuff methodにより、ラットの収縮期血圧を測定した。
対照群は、体重の増加に伴い(肥満の発症)、収縮期血圧の上昇が見られたが、3週間摂食後の、0.5%10trans,12cis-CLA群(10t,12c-CLA群)において、有意に収縮期血圧の上昇が抑制された(表-2)。CLA給餌による血圧と摂食期間との相関を図1に示す。使用した組成物の脂肪酸組成を示す(表-3)。
摂食期間は、当該実験例では、摂食1週間目より対照群と比較して低下傾向を示していることから、摂食1週間以上において効果が発揮され、長期における摂食でより効果が増長される。
以上の結果から、ラットに10trans,12cis-CLAを給餌させると、ラットの収縮期血圧が減少することが判明した。これらの結果は、CLAが比較的少量で、収縮期血圧の低下効果を発揮することを示している。
【0034】
[実施例5]
5週齢のSHR/ism雄ラットを、1.0%ハイリノールサフラワー油(リノール油脂(株)製)(対照群)、1.0%CLA混合物群に分け、AIN76組成に基づいた準化食(表-4)で4週間飼育した。収縮期血圧をMK-2000BPモニター(室町機械、東京)を用い、Tail cuff methodにより毎週測定した。使用したCLA混合物は、実施例1に基づき調製した(表-5)。
CLA摂食により、血圧の増加抑制傾向(表-6)がみられた。
【0035】
[実施例6]
7週齢のZucker雄ラットを1.0%ハイリノールサフラワー油(リノール油脂(株)製)(対照群)、1.0%CLA混合物群に分け、AIN76組成に基づいた準化食(表-4)で8週間飼育した。収縮期血圧をMK-2000BPモニター、(室町機械、東京)を用い、Tail cuff methodにより毎週測定した。飼育開始6週目からCLA混合物添加群で、血圧上昇抑制効果がみられた(図-2)。
両実施例の結果から、CLA混合物による血圧上昇抑制効果が確認された。
【0036】
Figure 0004152818
【0037】
Figure 0004152818
【0038】
Figure 0004152818
【0039】
Figure 0004152818
【0040】
Figure 0004152818
【0041】
Figure 0004152818
【0042】
Figure 0004152818
【0043】
[医薬の配合例]
CLAを粉末化し調製したCLA粉末を用い、以下の配合により常法に従って、錠剤を製造した。
Figure 0004152818
【0044】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明によれば、共役脂肪酸を用いることにより、高血圧を予防もしくは改善して体質の改善を図り、ひいては生活習慣病の予防もしくは改善につながり得る飼料、飲料、食品、健康補助食品および医薬品を提供することができる。
共役脂肪酸(特に共役リノール酸)が上記のような作用を示すことは思いがけなかったことと解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 OLETFラットのCLA給餌による血圧と摂食期間との相関を示すグラフ。
はp<0.05での群間における有意差を示す。
【図2】 ZuckerラットのCLA給餌による血圧と摂食期間との関係を示すグラフ。
はp<0.05での群間における有意差を示す。

Claims (6)

  1. 共役リノール酸を有効成分とする高血圧予防もしくは改善剤。
  2. 共役リノール酸が遊離脂肪酸、その塩、エステルまたはそれらの2種以上の混合物から選択される形態である、請求項1に記載の高血圧予防もしくは改善剤。
  3. 共役リノール酸のうち、10trans,12cis異性体を5重量%以上含む、請求項1または2に記載の高血圧予防もしくは改善剤。
  4. 共役リノール酸のうち、10trans,12cis異性体を40重量%以上含む、請求項1または2に記載の高血圧予防もしくは改善剤。
  5. 共役リノール酸のうち、10trans,12cis異性体を85重量%以上含む、請求項1または2に記載の高血圧予防もしくは改善剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高血圧予防もしくは改善剤を含んでなる、高血圧予防もしくは改善用医薬品。
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