JP4152023B2 - 密封装置およびその製造方法並びにその中間成形体の成形型および曲げ成形装置 - Google Patents

密封装置およびその製造方法並びにその中間成形体の成形型および曲げ成形装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、各種装置の軸封部に用いられる密封装置に関し、特にゴム状弾性材製のシールリップと樹脂製のシールリップを備えた密封装置およびその製造方法並びにその中間成形体の成形型および曲げ成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の密封装置としては、図4(a)に示すように、円筒状部101とこの円筒状部101の大気側端部から半径方向内方に向かって折れ曲がる内向きフランジ部102とを有する金属環103と、金属環103と一体的に成形されたゴム状弾性材による第1のシール部材104と、金属環103の内向きフランジ部102と第1のシール部材104との間に挟持される樹脂材による第2のシール部材105と、を備えた構成なっている。第1のシール部材104は軸方向密封流体側Oに延びてリップ先端部106が回転部材107表面に摺動自在に密封接触する第1シールリップ108を備え、第2のシール部材105は第1シールリップ108の大気側側面と回転部材107間の隙間に位置して内周が回転部材107表面に摺動自在に密封接触する第2シールリップ109を備えている。
【0003】
この樹脂製の第2シールリップ109を介して第1シールリップ108を支え、密封流体が高圧となった場合の第1シールリップ108の過度の変形を規制すると共に、第2シールリップ109内周を回転部材107に密封接触させてシール性も発揮させ、第1シールリップ108と第2シールリップ108によって二重のシールを図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、回転部材107を装着する際に、回転部材107との接触摩擦によって第2シールリップ109を軸方向密封流体側Oに引き込む方向の力が作用する。この引き込み力によって第1のシール部材104と金属環103の内向きフランジ部102との間に挟持される被挟持部105Aが外径端部を支点にして内径端が軸方向密封流体側Oに突出するように変形し、第2シールリップ109のリップ先端部が第1シールリップ108のリップ先端部106と回転部材107の間に入り込み、第1シールリップ108のリップ先端部106が浮き上がり、回転部材107との間に隙間が生じて密封性が低下するおそれがある。
【0005】
また、従来は、図4(b)に示すように、金属環103と円錐台形状(図中2点鎖線)に成形した樹脂素材110全体を成形型111のキャビティ112内にインサートし、加硫成形圧によって第2シールリップ109を曲げ成形していた。そのため、樹脂素材110全体に加硫成形圧が加わり、第2シールリップ109の付け根に位置する屈曲部110Bが過度に折れ曲がる状態、もしくは図4(c)に示すように、樹脂材が金属環103の内向きフランジ部102と成形型111の隙間111aにはみ出し110cが生じるおそれがある。そうなると、加硫成形後の品物は第2シールリップ109の屈曲部の反力が低減し、第2シールリップ109の偏心追随性(偏心に対する密封性)が低下してしまう。
【0006】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、回転部材装着時の第2シールリップの引き込みを防止して、第2シールリップのリップ先端部を設定位置に設定し、かつ第1のシール部材のリップ先端部を確実に回転部材に接触させることができる密封装置およびその製造方法並びに中間成形体の成形型および曲げ成形装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、円筒状部と該円筒状部の大気側端部から半径方向内方に向かって折れ曲がる内向きフランジ部とを有する金属環と、該金属環と一体的に成形され、前記円筒状部に接合され内向きフランジ部と対向する径方向部と、該径方向部ら軸方向密封流体側に延びてリップ先端部が回転部材表面に摺動自在に密封接触する第1シールリップとを有し、前記金属環と一体的に形成されたゴム状弾性材による第1のシール部材と、前記金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部との間に挟持されるフランジ状の被挟持部と、該被挟持部の内径端部から屈曲部を介して軸方向密封流体側に延びて第1シールリップの大気側側面と回転部材間の隙間に位置し内周が回転部材表面に摺動自在に密封接触して第1シールリップの径方向の変形を規制する第2シールリップを備えた樹脂材による第2のシール部材と、を備えた密封装置であって、第2のシール部材の被挟持部は、第1のシール部材の径方向部に対しては接着固定され、かつ金属環の内向きフランジ部に対しては外径側を接着固定すると共に内径側の屈曲部を非接着で離間可能とした密封装置において、
第1のシール部材の径方向部内周面と大気側側面との角部には径方向部の内周面から部分的に窪ませた環状凹部が第2のシール部材の屈曲部に対向して設けられていることを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、回転部材を挿入した際に第2シールリップを挿入方向に引き込もうとする摩擦力が作用しても、被挟持部が金属環の内向きフランジ部に接着固定されているので被挟持部の変形が規制され、第2シールリップの回転部材挿入方向へのずれが防止される。したがって、第2シールリップを設定位置に接触させることができ、また、第1シールリップの浮き上がりも防止され、密封性能を向上させることができる。
【0009】
一方、第2のシール部材の被挟持部の内径側の屈曲部は非接着で金属環の内向きフランジ部に対して離間可能としているので、回転部材の軸偏心に対しては有る程度の変形自由度を有し、偏心追随性も確保することができる。
【0010】
第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との接着部内径端位置は、第1のシール部材の径方向部と第2のシール部材の被挟持部との接着部の内径端位置とほぼ一致していることを特徴とする。
【0011】
第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との接着部の内径端位置を、第1のシール部材の径方向部と第2のシール部材の被挟持部との接着部の内径端位置より外径側に位置させると、回転部材の装着時に第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との間に隙間が開きやすくなる。
【0012】
一方、第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との接着部の内径端位置を、第1のシール部材の径方向部と第2のシール部材の被挟持部との接着部の内径端位置より内径側に位置させると、回転部材の装着時に第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との間に隙間が開き難くくなるが、回転部材の軸偏心に対する第2シールリップの偏心追随性が悪くなる。
【0013】
そこで、第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との接着部の内径端位置は、第1のシール部材の径方向部と第2のシール部材の被挟持部との接着部の内径端位置とほぼ一致していることが好ましい。また、このように被挟持部の第1のシール部材側と金属環の内向きフランジ部側の接着部の内径端位置を一致させておくと、型成形時にゴム状弾性材の成形材料の加硫成形圧が接着面全面に作用することになり、確実に接着することができる。
【0014】
また、第1シールリップと第2シールリップとの間に全周的に隙間が設けられていることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、第1シールリップが第2シールリップに干渉することなく、回転部材の微小な偏心に対する偏心追随性が維持される。
【0018】
また、本発明の密封装置の製造方法は、円筒状部と該円筒状部の大気側端部から半径方向内方に向かって折れ曲がる内向きフランジ部とを有する金属環と、該金属環と一体的に成形され、前記円筒状部に接合され内向きフランジ部と対向する径方向部と、該径方向部ら軸方向密封流体側に延びてリップ先端部が回転部材表面に摺動自在に密封接触する第1シールリップとを有し、前記金属環と一体的に形成されたゴム状弾性材による第1のシール部材と、前記金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部との間に挟持されるフランジ状の被挟持部と、該被挟持部の内径端部から屈曲部を介して軸方向密封流体側に延びて第1シールリップの大気側側面と回転部材間の隙間に位置し内周が回転部材表面に摺動自在に密封接触して第1シールリップの径方向の変形を規制する第2シールリップを備えた樹脂材による第2のシール部材と、を備えた密封装置の製造方法であって、
型開きした成形型内に、前記金属環をその内向きフランジ部を下にして入れると共に、該内向きフランジ部の上に接着剤を介して平ワッシャ状に成形された樹脂板を入れ、さらにゴム状弾性材の生地を入れて上記樹脂板の外径側半部と内径側半部との境界で湯切りする状態で型閉めし、前記生地を加圧加熱して金属環および樹脂板をゴム状弾性材による第1のシール部材と一体成形すると同時に樹脂板の外径側半部と金属環の内向きフランジ部とを接着固定して中間成形体を成形し、その後、離型した中間成形体の樹脂板の内径側半部を曲げ加工して第2シールリップを成形することを特徴とする。
【0019】
このように、樹脂板を平ワッシャ状のままで型成形し、その後樹脂板の内径側半部を曲げて第2シールリップを成形するので、成形型のキャビティ内に樹脂素材全体がインサートされている従来の成形方法のように、成形圧力によって屈曲部が過度に折れ曲がったり、樹脂材が金属環の内向きフランジ部と成形型の隙間にはみ出すようなおそれがなく、第2シールリップの屈曲部の反力を適正な範囲に成形でき、第2シールリップの良好な偏心追随性(偏心に対する密封性)を確保することができる。
【0020】
また、第2シールリップが第1シールリップに干渉して第1シールリップの動きを阻害したり、第2シールリップ偏心追随性が悪くなったりするおそれがなくなる。
【0021】
また、成形型内の樹脂板の径方向の位置決めを樹脂板の内径端部を基準にして行えば、金属環の位置決め精度をゆるくすることができる。
【0022】
本発明の中間成形体の成形型は、金属環と平ワッシャ状の樹脂板が挿入される円形状の凹部と、該凹部の底面中央に突出し樹脂板の内周を案内してその径方向の位置決めをする位置決め基準となる円筒状のガイド部と、前記凹部底面のガイド部周辺に凹部底面より一段高くなって金属環の内向きフランジ部内周が嵌合する環状段部と、を備えた第1型構成部と、
該第1型構成部の凹部内に挿入され、凹部底面に載置された金属環の内向きフランジ部上の樹脂板を押圧する環状の押圧面と、第1のシール部材の第1シールリップの大気側側面を成形するための第1シールリップ大気側側面形成部とを備えた第2型構成部と、
前記第1型構成部の凹部内に挿入され第1のシール部材の径方向部および第1シールリップの密封流体側の側面を成形するための環状凸部を備えた第3型構成部と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
このような成形型を使用すれば、第1型構成部に設けられたガイド部に樹脂板内周を嵌合することによって、成形型内の樹脂板の径方向の位置決めを簡単に行うことができる。樹脂板の外径は環状の凹部の内径よりも小径としておく。
【0024】
また、本発明の中間成形体の曲げ成形装置は、円筒状部と該円筒状部の大気側端部から半径方向内方に向かって折れ曲がる内向きフランジ部とを有する金属環と、
該金属環と一体的に成形され、前記円筒状部に接合され内向きフランジ部と対向する径方向部と、該径方向部から軸方向密封流体側に延びる第1シールリップとを有し、前記金属環と一体的に形成されたゴム状弾性材による第1のシール部材と、
前記金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部との間に外径側半部が挟持接着固定される平ワッシャ形状の樹脂板と、を備えた中間成形体の樹脂板の曲げ成形装置であって、
互いに軸方向に圧着・離間可能で、前記中間成形体を第1シールリップおよび樹脂板の内径側半部を露出させた状態で固定する第1,第2固定リングを備えた固定治具と、
該固定治具に対して同軸的に軸方向に相対移動自在に組み付けられ、先端部に樹脂板の中央孔内に圧入されて樹脂板の内径側半部を徐々に拡径しながら軸方向に曲げるテーパ形状部を備えた成形治具と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
成形治具は回転部材とほぼ同一径の丸棒によって構成されるもので、樹脂板の曲げ成形は、成形治具のテーパ形状部を先にして樹脂板の中央孔に軸方向に圧入し、テーパ形状部の形状に沿って樹脂板の内径端部を徐々に拡径しながら軸方向に曲げて第2シールリップを成形する。
【0026】
このとき、金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部とによって挟持される樹脂板の外径半部(第2のシール部材の被挟持部に対応する)に対して成形治具の挿入方向に引き込む力が作用するが、中間成形体の第1のシール部材の径方向部と樹脂板の外径側半部とが挟み付けた状態で固定され、しかも樹脂板の外径側半部が内向きフランジ部に接着されているので、樹脂板の外径側半部の変形は防止される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0028】
図1には本発明の実施の形態に係る密封装置を示している。密封装置301は、回転部材としての軸370と、この軸370が挿入される円筒状の装着穴380aを備えた静止部材であるハウジング380との間の環状の隙間をシールし、密封流体側Oの油などの流体が大気側Aに漏れないようにしているものである。
【0029】
密封装置301は、概略、金属環320と、金属環320に一体的に成形される第1のシール部材330と、金属環320と第1のシール部材330に挟持される第2のシール部材340とから構成されている。
【0030】
ハウジング380の装着穴380aは、ハウジング380の小径の軸孔380bの密封流体側Oの開孔部を段付き形状に大径に切り欠いた構成で、装着穴380aの奥端には密封装置301が突き当たる端面380dが設けられている。
【0031】
金属環320は略断面L字形状の部材で、組み付けた時に回転軸370やハウジング380と同心的に配置される円筒状部321と、円筒状部321の一端部(組み付けた状態における大気側端部)から半径方向内方(軸370に向かう方向)に延びる内向きフランジ部322と、を有している。
【0032】
この円筒状部321は、大気側Aの大径部321aと、この大径部321aより小径の密封流体側Oの小径部321bとを有する段付き円筒形状となっている。大径部321aと小径部321bとは同心状に成形され、段部321cを介して連続している。
【0033】
第1のシール部材330は密封流体側Oに開く断面略U字形状に成形されたゴム状弾性材製の環状部材で、U字の底辺に対応する径方向部332と、径方向部332の外径端部から軸方向密封流体側Oに延びる外筒部331と、さらに径方向部332の内径端部から軸方向密封流体側Oに延びてリップ先端部333aが回転軸370表面に摺動自在に密封接触する第1シールリップ333と、を備えている。
【0034】
上記した金属環320の円筒状部321はゴム状弾性材製の外筒部331内部に埋設され、円筒状部321の外周および内周は、外筒部331の外周ゴム部331aおよび内周ゴム部331bによって被覆されている。外周ゴム部331aは円筒状部321の段部321cから小径部321bのみを被覆するもので、大気側端部に位置する大径部321aの外周は金属面が露出している。そして、外周ゴム部331aの外径は大径部321aの外径よりも大径となっており、ハウジング380の装着穴380a内周には外周ゴム部331aが密封接触し、金属面の大径部321a外周と装着穴380a内周との間には若干の隙間が形成されるようになっている。一方、径方向部332の径方向寸法は金属環320の内向きフランジ部322より短く、その内径端が内向きフランジ部322の内径端よりも所定寸法だけ径方向外側に位置している。
【0035】
第1シールリップ333の密封流体側側面は径方向部332の密封流体側側面との円弧状の隅角部を介して接続され、第1シールリップ333の大気側側面は径方向部332の内周面と連続面となっている。
【0036】
一方、径方向部332内周面と大気側側面との角部には径方向部332の内周面から部分的に段差をつけるように窪ませた環状の凹部310が設けられている。この凹部310底面と径方向部332内周面との角部は円弧形状に成形されている。
【0037】
リップ先端部333aの内周形状は、半径方向内方に向けて突出する断面三角山形状に成形されており、その頂部が回転軸370表面に全周的に接触してシールしている。この第1シールリップ333のリップ先端部333aの摺動面、上記頂部を隔てて大気側の傾斜面には、回転軸370との回転摺動によって流体を密封流体側Oへ輸送するねじポンプ機能を備えたねじ溝や突起等のねじポンプ作用部を設けてもよい。また、リップ先端部333a外周には、緊迫力を付与するためのばね環を取り付けてもよい。
【0038】
一方、第2のシール部材340はたとえばPTFEの樹脂材によって成形されるもので、金属環320の内向きフランジ部322と第1のシール部材330の径方向部332との間に挟持されるフランジ状の被挟持部341と、この被挟持部341の内径端部から屈曲部344を介して折れ曲がり軸方向密封流体側Oに延びて第1シールリップ333の大気側側面と回転軸370間の環状の隙間に位置して内周が回転軸370表面に摺動自在に密封接触する樹脂製の第2シールリップ342とを備えている。第2シールリップ342のリップ先端部343は第1シールリップ333のリップ先端部333aの顎部333c位置まで延びている。この第2シールリップ342は、自由状態では、図1(b)に示すように軸方向密封流体側に向かって徐々に小径となるように傾斜する円錐形状となっており、回転軸370を挿入すると回転軸370の外周よりも小径の円錐形状部分が回転軸370表面に沿って円筒形状に拡径され、その弾性復元力によって接触面圧を得ている。
【0039】
そして、回転軸370挿入状態では、第2シールリップ342の外周面に当たる密封流体側側面と第1シールリップ333の内周面に当たる大気側側面とが、環状の隙間360を介して離間しており、第1シールリップ333は第2シールリップ342と干渉しないようになっている。したがって、密封流体が通常の圧力では隙間分だけ第1シールリップ333は自由に変形し、回転軸370の偏心に対する優れた追随性を発揮する。
【0040】
もちろん、密封流体の圧力が高くなるにつれて第1シールリップ333の根元部333bが径方向内方に撓み、所定の圧力を超えると隙間360が無くなって第1シールリップ333の根元部333bの大気側側面が第2シールリップ342の密封流体側側面(外周面)に当接し、回転軸370に摺接する第2シールリップ342によって第1シールリップ333の根元部333bが支えられ、第1シールリップ333の過度の変形を規制して密封性を維持する。ここで、第1シールリップ333の根元部333bとは、リップ先端部333aと径方向部332との付け根位置との間の可撓性の筒状部のことである。
【0041】
第1シールリップ333の変形を規制する際には、第2シールリップ342は、被挟持部341との付け根に位置する屈曲部344から所定長さまでの範囲が第1のシール部材330の径方向部332内周面を支持し、さらに先端部が第1のシール部材330の第1シールリップ333の根元部333bを支える構成となっている。
【0042】
また、上記したように、第1のシール部材330の径方向部332の内周面大気側側面との角部に設けられる凹部310は、第2のシール部材340に被挟持部341から第2シールリップ342に曲がる屈曲部344に対向しているので、密封流体の圧力によって第1シールリップ333および径方向部332内周が変形して第2シールリップ342に接触しても、屈曲部344と径方向部332間に隙間360が形成される。この隙間360を利用して第2シールリップ342が屈曲部344の根元から大きく曲がり、回転軸370の偏心或いは軸方向変位に対して、もちろん、首振りに対しても追随性が高められている。
【0043】
また、第2のシール部材340のフランジ状の被挟持部341は、金属環320の円筒状部321の大気側に位置する大径部321a内周面と所定の環状隙間gを隔てて対向しており、この環状隙間gは第1のシール部材330のゴム状弾性材によって埋められている。金属環320の大径部321aの軸方向長さは、ほぼ第2のシール部材340の被挟持部341の厚さ寸法と等しく設定されている。
【0044】
ところで、第2のシール部40材の被挟持部341を、第1のシール部材330の径方向部332に対して接着固定し、かつ金属環320の内向きフランジ部322に対しては外径側が全面的に接着固定され内径側の屈曲部344と非接着で離間可能となっている。
【0045】
金属環320の内向きフランジ部322の密封流体側Oの側面と第2のシール部材340の被挟持部341の大気側Aの側面とが非接着状態の場合には、図2に示すように、回転軸370挿入時に回転軸370との接触摩擦によって第2シールリップ342が軸方向密封流体側Oに引き込まれ、被挟持部341が外径端部を支点にして内径端が軸方向密封流体側に突出するように変形する。
この被挟持部341の変形によって、ゴム状弾性材製の第1のシール部材330の径方向部332の内径端部が軸方向密封流体側Oに変形すると共に、第2シールリップ342のリップ先端部342aが第1シールリップ333のリップ先端部333aと回転軸370の間に入り込み、第1シールリップ333のリップ先端部333aが浮き上がり、回転軸370との間に隙間aが生じて密封性が低下するおそれがある。
【0046】
そこで、第2のシール部材340の被挟持部341を金属環320の内向きフランジ部322に対しても接着固定したものである。
【0047】
第2のシール部材340の金属環320の内向きフランジ部322に対する接着領域341Aと非接着領域341Bとの境界P1は、第1のシール部材330の径方向部332と被挟持部341との接着領域の内径端位置P2に一致させている。この接着領域は、後述するように、型成形時に金属環320の内向きフランジ部322に対して第2のシール部材340を構成する樹脂板340Aを介して第1のシール部材330の加硫成形圧が加わる領域に対応する。
【0048】
この第2のシール部材340の金属環320の内向きフランジ部322との接着領域の境界P1を、第1のシール部材330の径方向部332と第2のシール部材340の被挟持部341との接着部の内径端位置P2より外径側に位置させると、回転軸370の装着時に第2のシール部材340の被挟持部341と金属環320の内向きフランジ部322との間に隙間が開きやすくなる。
【0049】
一方、第2のシール部材340の被挟持部341と金属環320の内向きフランジ部322との接着領域の境界P1を、第1のシール部材330の径方向部332と第2のシール部材340の被挟持部341との接着部の内径端位置P2より内径側に位置させると、回転軸370の装着時に第2のシール部材340の被挟持部341と金属環320の内向きフランジ部322との間に隙間が開き難くくなるが、回転軸370の軸偏心に対する第2シールリップ342の偏心追随性が悪くなる。
【0050】
したがって、第2のシール部材340の被挟持部341と金属環320の内向きフランジ部322との接着領域の内径端位置P1は、第1のシール部材330の径方向部332と第2のシール部材340の被挟持部341との接着部の内径端位置P2とほぼ一致していることが好ましい。また、このように一致させておくと、型成形時にゴム状弾性材の成形材料の加硫成形圧が接着面全面に作用することになり、確実に接着することができる。
【0051】
この第2シールリップ342の回転軸370との摺動面にも、回転軸370との回転摺動によって摺動面間の流体を密封流体側Oへ輸送するねじポンプ機能を備えた螺旋溝等の第2ねじポンプ作用部を設けてもよいし、環状溝を設けてシール性を高めるようにしてもよい。
【0052】
以上のように構成される密封装置301よって、密封流体側Oの密封流体は、ハウジング380側は金属環320の円筒状部321で補強された第1のシール部材330の外筒部331によってシールされ、回転軸370側は第1のシール部材330の第1シールリップ333によってシールされる。
【0053】
また、第2シールリップ342の先端部で第1のシール部材330の第1シールリップ333の根元部333bを支えているので第1シールリップ333がめくれてしまうことなどが防止され安定した密封性能を維持できる。
【0054】
また、第2のシール部材340の被挟持部341を金属環320の内向きフランジ部322に接着固定しているので、第2のシール部材340の回転防止が図られると共に、回転軸370挿入時の摩擦によって第2のシール部材の被挟持部341が金属環320の内向きフランジ部322の大気側側面が離れることがなく、第1シールリップ333bの浮き上がり等が生じない。
【0055】
しかも内向きフランジ部322に対して、被挟持部341の外径側のみを接着固定し内径側の屈曲部344を非接着としているので、回転軸370の偏心等において第2のシール部材340の第2シールリップ342のみならず被挟持部341の内径側も変形させることで第2のシール部材340の偏心追随性を高めることが可能となり、密封装置301の密封性能が向上する。
【0056】
次に、図3(a),(b)を参照して上記実施例の密封装置の製造方法について説明する。
【0057】
密封装置の製造は、予め第2のシール部材340となる平ワッシャ状の樹脂板340Aと金属環320を子部品レベルで加工しておき、図3(a)に示すように、この金属環320と樹脂板340Aとを成形型391内にインサートして第1のシール部材330と一体成形するいわゆるインサート成形を行って中間成形体301Aを成形し、その後、図3(b)に示すように、離型した中間成形体301Aの樹脂板340Aを曲げて第2シールリップ342を成形することによって行われる。ここで、中間成形体301Aとは、第2のシール部材340の第2シールリップを曲げ成形する前の状態で、第2のシール部材340を構成する平ワッシャ状の樹脂板340Aの内径側半部が半径方向内方に向かって延びている。
【0058】
本発明の中間成形体301Aの成形型391は、図3(a)に示すように、第1型構成部としての下型392と、第2型構成部としての第1上型393と、第3型構成部としての第2上型394と、を備えている。
【0059】
下型392は、金属環320と平ワッシャ状の樹脂板340Aが挿入される円形状の凹部392bと、この凹部392bの底面中央に突出し樹脂板340Aの内周を案内してその径方向の位置決めをする位置決め基準となる円筒状のガイド部392aを備えた中央突出部392cと、凹部底面のガイド部392a周辺に凹部底面より一段高くなって金属環320の内向きフランジ部322内周が嵌合する環状段部392dと、を備えている。ガイド部392aは中央突出部392c下端部外周に設けられるもので、中央突出部392cのガイド部392aから上の部分は上方に向かって徐々に小径となる円錐台形状となっており、樹脂板340Aが挿入しやすくなっている。
【0060】
環状段部392dの高さ寸法は内向きフランジ部322の厚さ寸法と合致しており、金属環320を嵌合した際には内向きフランジ部322と環状段部392dが同一平面を構成する。この金属環320の内向きフランジ部322と環状段部392dの連続平面上に樹脂板340Aが載置され、その内周を中央突出部392cのガイド部392a外周に嵌合することにより樹脂板340Aの径方向の位置決めを行っている。
【0061】
一方、下型392内に金属環320と樹脂板340Aを位置決めした状態で、樹脂板340Aの外径端部341cと金属環320の円筒状部321内周面との間に環状の隙間gが形成されるようになっており、ガイド部392aに対する樹脂板340Aの位置決めを阻害しないようにしている。
【0062】
樹脂板340Aを下型392内にセットする際に、樹脂板340Aの外径端部周面を金属環320の円筒状部321内周に嵌合して位置決めしてもよいが、樹脂板340Aの内径寸法と厚みに関しては第2シールリップ342が回転軸370と摺動する際の緊迫力や第1シールリップ333の変形を防止するためのサポート位置を定めるための重要な特性となっており、厳しい寸法公差で管理されている。
【0063】
この樹脂板340Aの内径端位置を、樹脂板340Aの外径端部によって位置決めするためには、樹脂板340Aの外径端面も厳しい寸法管理の下に加工する必要がある。また、樹脂板340Aの取付基準となる金属環320の下型392に対する位置決めも正確に行う必要があり、金属環320の内向きフランジ部322の内径端と下型の環状段部392dとの嵌め合いを高精度に行う必要がある。
【0064】
しかし、金属環320の内向きフランジ部322と環状段部392dとが金属同士の嵌合となるので、環状段部392dに摩耗が発生しやすく、適切な寸法管理を怠ると金属環320の偏心および付随する第2シールリップ342の偏心が発生し、シール性低下の要因となるおそれもある。
【0065】
これに対して、上記したように成形型392に対する位置決めを樹脂板340Aの内径端を基準にして位置決めすれば、樹脂板340Aの外径端部341cの高精度の加工が必要なく、特に重要な特性となる内径寸法と厚みに関して加工を行うだけでよく、工数を削減することができる。
【0066】
また、金属環320については、樹脂板340Aの位置決め基準として使用しないので、金属環320自体の位置決め精度をゆるくすることが可能となる。そして、金属環320と下型392の環状段部392dとの間の金属同士の嵌合による摩耗をある程度の範囲で許容することもでき、成形型391のメンテナンスや品質管理工程の一部を省くことも可能となる場合がある。
【0067】
したがって、第2のシール部材340の加工の容易化を図り、成形工程において第2のシール部材340の構成度の組立、及び工程改善を行うことが可能となり、良好なシール性を発揮し獲る密封装置が得られる。
【0068】
第1上型393は、下型392の凹部392b内に挿入され、凹部392b底面に載置された金属環320の内向きフランジ部322上の樹脂板340Aを押圧する環状の押圧面393aと、第1のシール部材330の第1シールリップ333の大気側側面を成形するための第1シールリップ大気側側面形成部とを備えている。すなわち、第1上型393の下端面には上記下型の中央突出部392cの上端部が挿入される穴393bが設けられ、この穴393bを取り囲む環状突堤部393cの下端面の外径端部に前記押圧面が設けられている。
【0069】
第2上型394は、下型391の凹部392b内に挿入され第1のシール部材330の径方向部332および第1シールリップ333の密封流体側の側面を成形するための環状凸部394aを備えている。この第2上型394は中央に上記第1上型393が組み付けられるリング状部材で、環状凸部394aの半径方向外方の下端面394bが下型91の凹部392bを囲む平坦面392eに突き当たる分割面となっている。
【0070】
中間成形体301Aの成形は、型開きした下型392内に、金属環320をその内向きフランジ部322を下にして入れると共に、内向きフランジ部322の上に接着剤を介して平ワッシャ状に成形された樹脂板340Aを入れ、さらにゴム状弾性材の生地Rを入れる。
【0071】
その後、第1上型393を型閉めしてその押圧面で樹脂板340Aを押圧して、樹脂板340Aの外径側半部と内径側半部との境界で湯切りをする。この状態で、第2上型394を所定の速度で型閉めすると共に成形型391全体を加熱してゴム生地を流動化させ、型閉め圧力でゴム生地を加圧してキャビティ全体に充満させ、第1のシール部材330を成形すると同時に樹脂板340Aの外径側半部と金属環320の内向きフランジ部322とを接着固定して中間成形体を成形する。
【0072】
ゴム状弾性材製の第1のシール部材330の径方向部332と樹脂板340Aとは特に接着剤を塗布しなくても型成形の段階で接着されるが、樹脂板340Aの接着領域に接着剤を塗布しておいてもよい。
【0073】
金属環320の内向きフランジ部322と第2のシール部材340の被挟持部341との接触面については、ゴム生地Rの成形圧力が作用する領域、すなわち、第1上型393の押圧面393aよりも半径方向外方の樹脂板340Aを介して加硫成形圧が作用する領域についてのみ接着によって固定する。押圧面393aを含む領域よりも半径方向内方の加硫成形圧が作用しない領域については非接着状態とされる。
【0074】
インサート成形が終了したら成形型391を型開きして成形品を離型し、その後、第1のシール部材330の第1シールリップ333を加工(例えば、図におけるカット線の一面カットまたは二面カット)すると共に、樹脂板340Aの内径側半部を曲げ成形装置によって曲げ加工し、第2シールリップ342を成形する。
【0075】
この曲げ加工については、図3(b)に示すような曲げ成形装置を用いて行う。
【0076】
曲げ成形前の中間成形体301Aを第1シールリップ333および樹脂板420Aの内径側半部を内側に露出させた状態で環状の固定治具400によって固定し、この固定治具400にテーパ面410aを有する棒状の成形治具410を挿入することによって樹脂板340Aの内径側半部を拡径させながら円筒形状に曲げ加工する。
【0077】
固定治具400は互いに軸方向に圧着・離間可能で、前記第1シールリップ333および樹脂板340Aの内径側半部を露出させた状態で固定する第1,第2固定リング401,402を備えている。
【0078】
第1固定リング401の内径端部の上縁部には断面L字の環状段部401bが設けられ、この環状段部401bに中間成形体301Aの金属環320の内向きフランジ部322を載置すると共に、第1のシール部材330の外周ゴム31aを環状段部401bを取り囲む内周壁401aに嵌合される。一方、第2固定リング402には、第1のシール部材330の外筒部331の先端に当接して中間成形体301Aを第1固定リング401の環状段部401bとの間に挟持する押圧面402aと、内径端部から円筒状に突出して第1のシール部材330の外筒部331の内周に嵌合すると共に径方向部332を押さえる環状の押え突起402bとを備えている。中間成形体301Aを固定治具400で固定した状態では、第1シールリップ333は第2固定リング402の中央孔402c内に収納される。
【0079】
一方、成形治具410は回転軸370とほぼ同一径の丸棒によって構成されるもので、固定治具400に対して同軸的に軸方向に相対移動自在に組み付けられ、先端部に樹脂板340Aの中央孔内に圧入されて樹脂板340Aの内径側半部を徐々に拡径しながら軸方向に曲げる先細のテーパ形状部410aを備えている。
【0080】
樹脂板340Aの曲げ成形は、成形治具410のテーパ形状部410aを先にして樹脂板340Aの中央孔に軸方向に圧入し、テーパ形状部410aの形状に沿って樹脂板340Aの内径端部を徐々に拡径しながら軸方向に曲げて第2シールリップ342が成形される。このとき、金属環320の内向きフランジ部322と第1のシール部材330の径方向部332とによって挟持される樹脂板340Aの外径半部(第2のシール部材340の被挟持部341)に対して成形治具410の挿入方向に引き込む力が作用するが、樹脂板340Aの外径側は内向きフランジ部322に接着されており、さらに第2固定リング402の押え突起402bによって径方向部332を介して押さえられているので、樹脂板340Aの外径半部の変形は防止される。
【0081】
このようにして第2シールリップ342を曲げ成形した後、成形治具410を軸方向逆向きに抜き取り、第1,第2固定リング401,402を離間させて密封装置の完成品を取り出す。
【0082】
ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第2のシール部材の被挟持部が、第1のシール部材の径方向部に対しては接着固定され、かつ金属環のフランジ部に対しては外径側が接着固定されると共に内径側の屈曲部が非接着で離間可能となっているので、回転部材を挿入した際に第2シールリップを挿入方向に引き込もうとする摩擦力が作用しても、被挟持部が金属環の内向きフランジ部に接着固定されているので被挟持部の変形が規制され、第2シールリップの回転部材挿入方向へのずれが防止される。したがって、第2シールリップを設定位置に接触させることができ、また、第1シールリップの浮き上がりも防止され、密封性能を向上させることができる。
【0084】
一方、第2のシール部材の被挟持部の内径側の屈曲部は非接着で金属環の内向きフランジ部に対して離間可能としているので、回転部材の軸偏心に対しては有る程度の変形自由度を有し、偏心追随性も確保することができる。
また、第1のシール部材の径方向における第2のシール部材の屈曲部に対向する部分に環状凹部が設ければ、屈曲部と第1のシール部材の径方向部の内径端部の間に凹部に対応して大きな隙間ができるので、屈曲部の自由度が増大し、偏心追随性がより高まる。
【0085】
第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との接着部内径端位置が、第1のシール部材の径方向部と第2のシール部材の被挟持部との接着部の内径端位置とほぼ一致する構成とすれば、回転部材の装着時に第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との間に隙間が開くことがなく、しかも回転部材の軸偏心に対する第2シールリップの偏心追随性も維持できる。
【0086】
また、このように被挟持部の第1のシール部材側と金属環の内向きフランジ部側の接着部の内径端位置を一致させておくと、型成形時にゴム状弾性材の成形材料の加硫成形圧が接着面全面に作用することになり、確実に接着することができる。
【0087】
また、第1シールリップと第2シールリップとの間に全周的に隙間を設ければ、第1シールリップが第2シールリップに干渉することなく、回転部材の微小な偏心に対する偏心追随性が維持される。
【0089】
さらに、本発明の密封装置の製造方法によれば、樹脂板を平ワッシャ状のままで型成形し、その後樹脂板の内径側半部を曲げて第2シールリップを成形するので、成形型のキャビティ内に樹脂板全体がインサートされている従来の成形方法のように、成形圧力によって屈曲部が過度に折れ曲がったり、もしくは樹脂が金属環の内向きフランジ部と成形型の隙間にはみ出すようなおそれがなく、第2シールリップの屈曲部の反力を適正な範囲に成形でき、第2シールリップの良好な偏心追随性(偏心に対する密封性)を確保することができる。
【0090】
また、第2シールリップが第1シールリップに干渉して第1シールリップの動きを阻害したり、第2シールリップ偏心追随性が悪くなったりするおそれがなくなる。
【0091】
また、成形型内の樹脂板の径方向の位置決めを樹脂板の内径端部を基準にして行えば、金属環の位置決め精度をゆるくすることができる。
【0092】
本発明の中間成形体の成形型によれば、第1型構成部に設けられたガイド部に樹脂板内周を嵌合することによって、成形型内の樹脂板の径方向の位置決めを簡単に行うことができる。
【0093】
また、本発明の中間成形体の樹脂板の曲げ成形装置によれば、成形治具のテーパ形状部を先にして樹脂板の中央孔に軸方向に圧入するだけで、第2シールリップを成形することができる。
【0094】
このとき、金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部とによって挟持される樹脂板の外径半部(第2のシール部材の被挟持部に対応する)に対して成形治具の挿入方向に引き込む力が作用するが、中間成形体の第1のシール部材の径方向部と樹脂板の外径側半部とが挟み付けた状態で固定され、しかも樹脂板の外径側半部が内向きフランジ部に接着されているので、樹脂板の外径側半部の変形は防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は本発明の実施の形態に係る密封装置の軸装着状態の要部縦断面図、図1(b)は同図(a)の装置の自由状態の要部縦断面図である。
【図2】 図2は図1の装置の第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部が非接着の場合の軸装着不良発生状態を誇張して示す要部断面図である。
【図3】 図3(a)は図1の装置の中間成形体の成形状態を示す要部縦断面図、同図(b)は同図(a)で成形された中間成形体の樹脂板の曲げ成形工程を示す要部縦断面図である。
【図4】 図4(a)は従来の密封装置の要部縦断面図、同図(b)は同図(a)の型成形状態の要部縦断面図、同図(c)は同図(b)の型成形時の樹脂材はみ出し不良を誇張して示す部分断面図である。
【符号の説明】
301 密封装置、310 凹部、320 金属環、321 円筒状部、
321a 大径部、321b 小径部、321c 段部、
322 内向きフランジ部、330 第1のシール部材、331 外筒部、
331a 外周ゴム部、331b 内周ゴム部、332 径方向部、
333 第1シールリップ、333a リップ先端部、333b 根元部、
333c 顎部、340 第2のシール部材、341 被挟持部、
342 第2シールリップ、343 リップ先端部、344 屈曲部、
340A 樹脂板、360 隙間、370 回転軸、380 ハウジング、
380a 装着穴、380b 軸孔、380d 端面、O 密封流体側、
A大気側、
301A 中間成形体、
391 成形型、392 下型、392a ガイド部、392b 凹部、
392c 中央突出部、392d 環状段部、392e 型割面、
393 第1上型、393a 押圧面、393b 穴、392c 環状突堤部
394 第2上型、394a 環状凸部、394b 型割面、
400 固定治具、410 成形治具、410a テーパ形状部、
401 第1固定リング、401a 内周壁、401b 環状段部、
402 第2固定リング、402a 押圧面、402b 押え突起、
402c 中央孔

Claims (7)

  1. 円筒状部と該円筒状部の大気側端部から半径方向内方に向かって折れ曲がる内向きフランジ部とを有する金属環と、
    該金属環と一体的に成形され、前記円筒状部に接合され内向きフランジ部と対向する径方向部と、該径方向部ら軸方向密封流体側に延びてリップ先端部が回転部材表面に摺動自在に密封接触する第1シールリップとを有し、前記金属環と一体的に形成されたゴム状弾性材による第1のシール部材と、
    前記金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部との間に挟持されるフランジ状の被挟持部と、該被挟持部の内径端部から屈曲部を介して軸方向密封流体側に延びて第1シールリップの大気側側面と回転部材間の隙間に位置し内周が回転部材表面に摺動自在に密封接触して第1シールリップの径方向の変形を規制する第2シールリップを備えた樹脂材による第2のシール部材と、を備えた密封装置であって、
    第2のシール部材の被挟持部は、第1のシール部材の径方向部に対しては接着固定され、かつ金属環の内向きフランジ部に対しては外径側を接着固定すると共に内径側の屈曲部を非接着で離間可能とした密封装置において、
    第1のシール部材の径方向部内周面と大気側側面との角部には径方向部の内周面から部分的に窪ませた環状凹部が第2のシール部材の屈曲部に対向して設けられていることを特徴とする密封装置。
  2. 第2のシール部材の被挟持部と金属環の内向きフランジ部との接着部内径端位置は、第1のシール部材の径方向部と第2のシール部材の被挟持部との接着部の内径端位置とほぼ一致している請求項1に記載の密封装置。
  3. 第1シールリップと第2シールリップとの間に全周的に隙間が設けられている請求項1または2に記載の密封装置。
  4. 円筒状部と該円筒状部の大気側端部から半径方向内方に向かって折れ曲がる内向きフランジ部とを有する金属環と、
    該金属環と一体的に成形され、前記円筒状部に接合され内向きフランジ部と対向する径方向部と、該径方向部ら軸方向密封流体側に延びてリップ先端部が回転部材表面に摺動自在に密封接触する第1シールリップとを有し、前記金属環と一体的に形成されたゴム状弾性材による第1のシール部材と、
    前記金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部との間に挟持されるフランジ状の被挟持部と、該被挟持部の内径端部から屈曲部を介して軸方向密封流体側に延びて第1シールリップの大気側側面と回転部材間の隙間に位置し内周が回転部材表面に摺動自在に密封接触して第1シールリップの径方向の変形を規制する第2シールリップを備えた樹脂材による第2のシール部材と、を備えた密封装置の製造方法であって、
    型開きした成形型内に、前記金属環をその内向きフランジ部を下にして入れると共に、該内向きフランジ部の上に接着剤を介して平ワッシャ状に成形された樹脂板を入れ、さらにゴム状弾性材の生地を入れて上記樹脂板の外径側半部と内径側半部との境界で湯切りする状態で型閉めし、
    前記生地を加圧加熱して金属環および樹脂板をゴム状弾性材による第1のシール部材と一体成形すると同時に樹脂板の外径側半部と金属環の内向きフランジ部とを接着固定して中間成形体を成形し、
    その後、離型した中間成形体の樹脂板の内径側半部を曲げ加工して第2シールリップを成形することを特徴とする密封装置の製造方法。
  5. 成形型内の樹脂板の径方向の位置決めを樹脂板の内径端部を基準にして行う請求項に記載の密封装置の製造方法。
  6. 金属環と平ワッシャ状の樹脂板が挿入される円形状の凹部と、該凹部の底面中央に突出し樹脂板の内周を案内してその径方向の位置決めをする位置決め基準となる円筒状のガイド部と、前記凹部底面のガイド部周辺に凹部底面より一段高くなって金属環の内向きフランジ部内周が嵌合する環状段部と、を備えた第1型構成部と、該第1型構成部の凹部内に挿入され、凹部底面に載置された金属環の内向きフランジ部上の樹脂板を押圧する環状の押圧面と、第1のシール部材の第1シールリップの大気側側面を成形するための第1シールリップ大気側側面形成部とを備えた第2型構成部と、前記第1型構成部の凹部内に挿入され第1のシール部材の径方向部および第1シールリップの密封流体側の側面を成形するための環状凸部を備えた第3型構成部と、を備えた中間成形体の成形型。
  7. 円筒状部と該円筒状部の大気側端部から半径方向内方に向かって折れ曲がる内向きフランジ部とを有する金属環と、該金属環と一体的に成形され、前記円筒状部に接合され内向きフランジ部と対向する径方向部と、該径方向部から軸方向密封流体側に延びる第1シールリップとを有し、前記金属環と一体的に形成されたゴム状弾性材による第1のシール部材と、前記金属環の内向きフランジ部と第1のシール部材の径方向部との間に外径側半部が挟持接着固定される平ワッシャ形状の樹脂板と、を備えた中間成形体の樹脂板の曲げ成形装置であって、互いに軸方向に圧着・離間可能で、前記中間成形体を第1シールリップおよび樹脂板の内径側半部を露出させた状態で固定する第1,第2固定リングを備えた固定治具と、該固定治具に対して同軸的に軸方向に相対移動自在に組み付けられ、先端部に樹脂板の中央孔内に圧入されて樹脂板の内径側半部を徐々に拡径しながら軸方向に曲げるテーパ形状部を備えた成形治具と、を備えたことを特徴とする中間成形体の曲げ成形装置。
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