JP4151444B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は操舵補助力の発生源として電動モータを用いてなる電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータ及び該電動モータの回転力を舵取手段に伝える減速歯車機構を備えており、操舵手段の回転に応じた舵取手段の動作を前記電動モータの回転により補助し、舵取りのための運転者の労力負担を軽減するように構成されている。
【0003】
減速歯車機構はその一端部が前記電動モータの出力軸に連動連結される駆動歯車としてのウォームと、該ウォームに噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車としてのウォームホイールと、ウォーム及びウォームホイールの回転中心間距離が長短となる方向への移動が可能であり、ウォームをウォームホイールに向けて押付ける押付体と、ウォームのウォームホイールとの噛合部に予圧を加えるべく前記押付体を付勢するばね体とを備え、前記噛合部に予圧を加えることによりバックラッシュ量を少なくするように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−21943号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、減速歯車機構のウォーム歯車等は回転中心線に対しその歯すじが回転方向へ捩じれており、ウォームからウォームホイールへ回転トルクが加わるとき、換言すれば電動モータの回転によって操舵補助する場合、ウォームがウォームホイールの歯すじに沿って径方向へ動くように分力(以下噛合反力と云う)が発生し、この噛合反力によりウォームが径方向へ押圧されることになるため、前記噛合部に予圧を加えるばね体の弾性復元力が小さい場合、噛合反力によってバックラッシュ量が多くなり、また、ばね体の弾性復元力が大きい場合、ウォームの押付体との接触抵抗が増加し、ウォームに加わる回転トルクが大きくなり、改善策が要望されていた。
【0006】
また、以上のように押付体及びばね体等の調整手段を用いてバックラッシュ量を調整するようにした電動パワーステアリング装置にあっては、バックラッシュ量を調整するための部品点数が増加するとともに、組込み作業性が悪化することになり改善が要望されていた。
【0007】
本発明は斯る事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は駆動歯車に加わる回転トルクを低減でき、しかも、噛合部のバックラッシュ量を少なくすることができる電動パワーステアリング装置を提供する点にある。また、他の目的はバックラッシュ量を調整するための部品点数を削減することができる電動パワーステアリング装置を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る電動パワーステアリング装置は、電動モータが取着されるハウジングと、その一端部が軸受を介して前記ハウジング内に回転自在に支持され、前記電動モータの出力軸に連動連結される駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し舵取手段に繋がる従動歯車と、前記駆動歯車を反電動モータ側へ付勢する付勢手段とを備え、前記電動モータの回転によって操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記電動モータは前記出力軸が前記軸受の中心軸線に対して傾斜するように前記ハウジングに取着してあり、前記付勢手段はコイルバネからなり、該コイルバネが前記出力軸の端面及び前記一端部間に前記駆動歯車を従動歯車に向けて押付けるように介在してあることを特徴とする。
【0009】
第1発明にあっては、電動モータをハウジングに取着することにより、コイルバネが駆動歯車を従動歯車に向けて押付けるため、前記噛合部に予圧を加えることができ、噛合部のバックラッシュ量を少なくすることができる。しかも、駆動歯車の反電動モータ側に調整手段を設けることなく噛合部に予圧を加えることができるため、駆動歯車の回転トルクを低減でき、さらに、前記調整手段が必要でないため、部品点数を削減することができ、電動パワーステアリング装置のコストを低減できる。また、出力軸の端面及び駆動歯車の一端部間にコイルバネを介在させた状態で電動モータをハウジングに取着することができるため、組立て作業性を向上できる。
【0012】
第2発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記電動モータは前記取着面と向き合う被取着面を有しており、該被取着面が前記出力軸の回転中心線に対して傾斜又は前記取着面が前記軸受の中心軸線に対して傾斜していることを特徴とする。
【0013】
第2発明にあっては、電動モータの被取着面をハウジングの取着面に対面させることにより、出力軸を軸受の中心軸線に対して傾斜させることができるため、電動モータのハウジングへの取着を簡易にでき組立て作業性をより一層向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の減速歯車機構部分の構成を示す拡大断面図、図2は電動パワーステアリング装置の全体の構成を示す断面図、図3は電動パワーステアリング装置のウォーム及び出力軸の部分を拡大した説明図である。
【0015】
電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータ1と、該電動モータ1の出力軸1aに軸継手2を介して継合される駆動歯車としてのウォーム3及び該ウォーム3に噛合する従動歯車としてのウォームホイール4を有する減速歯車機構Aと、該減速歯車機構Aに繋がる舵取手段5とを備えている。
【0016】
この舵取手段5は、一端部が舵取りのための操舵輪Bに繋がり、他端部に筒部51aを有する第1の操舵軸51と、筒部51a内に挿入されてその一端部が第1の操舵軸51の筒部51aに連結され、操舵輪Bに加わる操舵トルクの作用によって捩れるトーションバー52と、他端部がトーションバー52の他端部に連結され、減速歯車機構Aに繋がる第2の操舵軸53とを備え、該第2の操舵軸53がユニバーサルジョイントを介して例えばラックピニオン式の舵取機構(不図示)に繋がる。
【0017】
減速歯車機構Aのウォーム3は複数条の歯を有する歯部3aの両端に軸部3b,3cを有しており、一方の端部である軸部3bが転がり軸受6を介してハウジング7に回転自在に支持された状態で電動モータ1の出力軸1aに連動連結され、他方の端部である軸部3cが円柱形の軸受部材8を介してハウジング7に支持されている。軸部3bの途中には転がり軸受6の内輪6aの一端と向き合い、ウォーム3の内輪6aとの相対移動を規制するフェールセーフとしてのC形リング等の規制環9が着脱可能に取付けられている。ウォームホイール4は第2の操舵軸53の途中に嵌合固定されている。
【0018】
ハウジング7はウォーム3を収容し、該ウォーム3の軸部3b,3cを、転がり軸受6及び軸受部材8を介して回転自在に支持した第1収容部7aと、ウォームホイール4を収容し、該ウォームホイール4を第2の操舵軸53及び第2の操舵軸53に嵌合された2つの転がり軸受10,11を介して支持した第2収容部7bと、該第2収容部7bに連なる第3収容部7cとを有する。そして、トーションバー52の捩れに応じた第1の操舵軸51及び第2の操舵軸53の相対回転変位量によって操舵輪Bに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサ13が第3収容部7cに収容されており、該トルクセンサ13が検出したトルク等に基づいて電動モータ1が駆動制御されるように構成されている。
【0019】
この電動モータ1の出力軸1aとウォーム3の軸部3bとはセレーションを有する雄形軸継手部2a及び雌形軸継手部2bを介して連動連結されている。雄形軸継手部2aは軸部3bの周面にセレーションを設けることにより構成されており、また、雌形軸継手部2bは出力軸1aに外嵌固定された筒部材2cの内側にセレーションを設けることにより構成されており、雄形軸継手部2aと雌形軸継手部2bとの間に径方向の隙間ができるように雄形軸継手部2a及び雌形軸継手部2bがセレーション嵌合されている。
【0020】
ウォーム3の軸部3bと一体に形成された雄形軸継手部2aの電動モータ1側端面から軸長方向へ窪んだ断面円形の凹所3dが設けられており、この凹所3dに、出力軸1aの端面にその一端が当接してウォーム3を反電動モータ1側へ付勢する付勢手段としての円筒形のコイルバネ14が収容されている。
【0021】
このコイルバネ14は転がり軸受6のアキシアル内部隙間をなくするものであり、両端には中心軸線と直交的に切断された座14a,14aを有しており、この座14a,14aが凹所3dの底面及び出力軸1aの端面に当接し、付勢力を軸部3bから内輪6aに伝動し、該内輪6aを外輪6bに対して軸長方向へ移動させ、アキシアル内部隙間をなくするようにしてある。
【0022】
第1収容部7aはウォーム3の軸長方向に長くなっており、その長手方向一端が開放され、他端が閉鎖されている。第1収容部7aの一端部には転がり軸受6を嵌合支持する支持孔71及び該環状溝72と、支持孔71よりも大径であり、円筒形のモータ取着部73とが設けられている。そして、支持孔71に単列玉軸受からなる転がり軸受6の外輪6bが内嵌され、環状溝72に嵌め込まれる止め輪15によって転がり軸受6の軸長方向への移動を規制している。
【0023】
モータ取着部73は、電動モータ1におけるモータハウジング1bの一端に出力軸1aと同軸的に突設された嵌合環部1cが嵌合される嵌合孔73aと、該嵌合孔73aの孔縁に連なる取着面73bと、該取着面73bに穿設されたねじ孔(図示せず)とを有しており、取着面73bに、モータハウジング1bの一端に設けられた被取着面1dが取着面73bと向き合う状態で電動モータ1が取着される。
【0024】
このように電動モータ1が取着される取着面73bは、コイルバネ14がウォーム3をウォームホイール4に向けて押付けるように転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜、換言すれば転がり軸受6の中心軸線と直交する直交面に対して傾斜している。この取着面73bの傾斜により、取着面73bに取着されている電動モータ1の出力軸1aが転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜し、凹所3dの底面及び出力軸1aの端面に座14a,14aが当接しているコイルバネ14を不均等に撓ませ、換言すれば、座14a,14a間の長さが周方向位置で異なるように撓ませ、このコイルバネ14の付勢力(弾性復元力)を転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜する方向から軸部3bに加え、コイルバネ14の付勢力により転がり軸受6への支持部を中心として軸部3b(ウォーム3)を図1、図3の反時計回り方向へ揺動させ、ウォーム3をウォームホイール4に向けて押付けることができるようにしてある。取着面73bの前記中心軸線に対する傾斜角度は87〜89.9°、好ましくは87.5〜88.5°としてある。尚、取着面73bの傾斜角度が87°以下の場合は、ウォーム3のウォームホイール4への押付力が大きくなり過ぎる。また、取着面73bの傾斜角度が89.9°を超える場合は、ウォーム3のウォームホイール4への押付力が不足する。
また、電動モータ1は嵌合環部1cを有するため、ハウジング7の嵌合孔73aはその中心軸線が取着面73bと直交するように転がり軸受6の中心軸線に対して0.1〜3°傾斜している。
【0025】
第1収容部7aの他端部には、ウォーム3の他端の軸部3cが挿入される凹孔74及び該凹孔74の内面に臨み、ウォーム3及びウォームホイール4の回転中心間距離Hが長短となる方向に穿設された断面円形の収容孔75が設けられている。この収容孔75には軸部3cが回転自在に嵌合され、回転中心間距離Hが長短となる方向への移動を可能とした円柱形の軸受部材8と、該軸受部材8の移動量を制限する制限体16と、軸受部材8及び制限体16間に介在されたゴム板、合成樹脂板等の緩衝体17とが収容されている。尚、この制限体16は螺着されている。
【0026】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置において、電動モータ1及び減速歯車機構Aを組み立てる場合、ハウジング7の収容孔75に軸受部材8を挿入し、軸部3bに転がり軸受6が外嵌されたウォーム3をハウジング7の第1収容部7aに挿入し、該ウォーム3の軸部3cを凹孔74から軸受部材8の軸受孔に挿入支持する。
【0027】
このようにウォーム3及び軸受部材8を組込んだ後、緩衝体17、制限体16が収容孔75に挿入され、さらに、ウォーム3の軸部3bの凹所3dにコイルバネ14が挿入され、この状態で、雄形軸継手部2aが出力軸1aの雌形軸継手部2bにセレーション嵌合される。この場合、コイルバネ14の一方の座14aが凹所3dの底面に当接し、他方の座14aが出力軸1aの端面に当接している。そして、電動モータ1の被取着面1dを取着面73bに対接させた状態で小ねじ18をねじ孔に締め込むことにより、電動モータ1をハウジング7に取着する。
【0028】
この場合、電動モータ1が取着された取着面73b及び電動モータ1の出力軸1aは転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜しており、座14a,14a間の長さが周方向位置で異なるようにコイルバネ14が不均等に撓み、コイルバネ14の付勢力により転がり軸受6への支持部を中心としてウォーム3を揺動させ、該ウォーム3をウォームホイール4に向けて押しつけることができる。この結果、ウォーム3及びウォームホイール4の噛合部のバックラッシュ量を少なくすることができる。
【0029】
しかも、出力軸1aと軸部3bとの間に介在されてウォーム3を反電動モータ1側へ付勢し、転がり軸受6のアキシアル内部隙間をなくするためのコイルバネ14がウォーム3をウォームホイール4に向けて押しつけるため、ウォーム3に加わる回転トルクを低減でき、ウォーム3の回転性を高めることができる。
また、ウォーム3の反電動モータ1側の軸部3cは回転中心間距離Hが長短となる方向への移動が可能な軸受部材8により支持されているため、前記噛合反力によるウォーム3の揺動を抑制することができる。
【0030】
実施の形態2
この実施の形態2の電動パワーステアリング装置は、ハウジング7の取着面73bを転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜させる代わりに、コイルバネ14がウォーム3をウォームホイール4に向けて押付けるように被取着面73bを出力軸1aの回転中心線に対して傾斜、換言すれば出力軸1aの回転中心線と直交する直交面に対して傾斜させたものである。
【0031】
この実施の形態2にあっては、被取着面1dの傾斜により、出力軸1aが転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜し、凹所3dの底面及び出力軸1aの端面に座14a,14aが当接しているコイルバネ14を不均等に撓ませ、換言すれば、座14a,14a間の長さが周方向位置で異なるように撓ませ、このコイルバネ14の付勢力(弾性復元力)を転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜する方向から軸部3bに加え、コイルバネ14の付勢力により転がり軸受6への支持部を中心として軸部3b(ウォーム3)を図1、図3の反時計回り方向へ揺動させ、ウォーム3をウォームホイール4に向けて押付けることができる。取着面73bの前記回転中心線に対する傾斜角度は87〜89.9°、好ましくは87.5〜88.5°としてある。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0032】
実施の形態3
この実施の形態3の電動パワーステアリング装置は、取着面73b及び被取着面1dを直接傾斜させる代わりに、その一面を他面に対して1〜3°の傾斜角度で傾斜させた環状の間座を設け、転がり軸受6の中心軸線と直交的に設けられた取着面73b及び出力軸1aの回転中心線と直交的に設けられた被取着面1d間に前記間座を介在させることにより、コイルバネ14がウォーム3をウォームホイール4に向けて押付けるように出力軸1aを転がり軸受6の中心軸線に対して傾斜させたものである。
【0033】
この実施の形態3にあっては、取着面73b及び被取着面1dを直接傾斜させる必要がないため、既存のハウジング7及び電動モータ1を用いることができ、しかも、取着面73b及び被取着面1dを傾斜させる場合に比べて間座を簡易に形成することができ、電動パワーステアリング装置のコストを低減できる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0034】
実施の形態4
この実施の形態4の電動パワーステアリング装置は、雄形軸継手部2a及び雌形軸継手部2bの何れか又は両方に、コーティングされた合成樹脂層(図示せず)を設け、該合成樹脂層を介して雄形軸継手部2a及び雌形軸継手部2bが嵌合された構成としたものである。
【0035】
この実施の形態4にあっては、ウォーム3に加わる噛合反力によって雄形軸継手部2a及び雌形軸継手部2bが径方向へ相対移動する場合における音鳴りを低減できるとともに、雄形軸継手部2a及び雌形軸継手部2bの間に音鳴り抑制用のグリース等の潤滑材が不必要である。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0036】
実施の形態5
図4は電動パワーステアリング装置の実施の形態5のウォームの構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。
この実施の形態5の電動パワーステアリング装置は、軟鋼製のウォーム3の回転中心部に、軸長方向へ貫通する貫通孔3eを設け、該貫通孔3e内に制振材19を配設したものである。
【0037】
実施の形態5において、制振材19は棒状とし、この制振材19を貫通孔3eに挿入固定するか、又は、射出成形により設ける。
実施の形態5にあっては、ウォーム3及びウォームホイール4の摩耗によるバックラッシュ、初期組付け時のバックラッシュによって前記噛合部に音鳴りが発生し、この音によりウォーム3が微振動して響く場合においても、響きによる音の伝播を制振材19により抑制することができ、前記噛合部の音が車両の室内に洩れることを少なくすることができる。なお、ウォーム3自体を制振材から形成することも可能である。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0038】
実施の形態6
図5は電動パワーステアリング装置の実施の形態6のウォームホイールの構成を示すもので、(a) は側面図、(b) は縦断面図である。
この実施の形態6の電動パワーステアリング装置は、その外周部に複数の歯を有する合成樹脂製の環状歯体41と、該環状歯体41の内側に嵌合固定された金属製の芯体42とを有するウォームホイール4の芯体42の一側面に環状溝42aを設け、該環状溝42aに制振材20を設けたものである。
【0039】
実施の形態6において、制振材20は環状とし、この制振材20を環状溝42aに挿入固定するか、又は、射出成形により設ける。
実施の形態6にあっては、前記噛合部に発生する音によりウォームホイール4が微振動して響く場合においても、響きによる音の伝播を制振材20により抑制することができ、前記噛合部の音が車両の室内に洩れることを少なくすることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1、5同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0040】
実施の形態7
図6は電動パワーステアリング装置の実施の形態7のウォームホイールの構成を示すもので、(a) は側面図、(b) は縦断面図である。
この実施の形態7の電動パワーステアリング装置は、環状歯体41及び芯体42を有するウォームホイール4の芯体42に、両側面にかけて貫通する貫通孔42bを周方向に離隔して複数設け、各貫通孔42bに制振材21を設けたものである。
【0041】
実施の形態7において、制振材21は円弧状とし、この制振材21を貫通孔に挿入固定するか、又は、射出成形により設ける。
実施の形態7にあっては、前記噛合部に発生する音によりウォームホイール4が微振動して響く場合においても、響きによる音の伝播を制振材21により抑制することができ、前記噛合部の音が車両の室内に洩れることを少なくすることができる。
なお、実施の形態6、7において、芯体42自体を制振材で形成することも可能である。
その他の構成及び作用は実施の形態1、5同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0042】
以上説明した実施の形態5にあっては、ウォーム3に貫通孔3eを設けることによりウォーム3のイナーシャを低減し、また、実施の形態6、7にあっては、ウォームホイール4に環状溝42a又は貫通孔42bを設けることによりウォームホイール4のイナーシャを低減し、前記噛合部に発生する音によりウォーム3、ウォームホイール4が微振動して響くのを抑制するようにしてもよい。この場合においても前記噛合部の音が車両の室内に洩れることを少なくすることができる。また、ウォーム3、ウォームホイール4のイナーシャを低減する場合、前記貫通孔3e,42b、環状溝42aにウォーム3、心金42よりも比重が小さい例えばアルミニウムなどの軽量材を設けてもよい。
【0043】
尚、以上説明した実施の形態では、ウォーム3の反電動モータ側の軸部3cを支持する軸受部材8を設けたが、この軸受部材8は必ずしも必要でない。この場合、例えば回転中心間距離Hが長短となる方向と交差する方向へ軸部3cが移動するのを制限する制限部をハウジング7に設けてもよい。
【0044】
また、以上説明した実施の形態の減速歯車機構Aは、駆動歯車であるウォーム3及び従動歯車であるウォームホイール4を備えたウォーム歯車である他、駆動歯車であるハイポイドピニオン及び従動歯車であるハイポイドホイールを備えたハイポイド歯車であってもよい。さらに、駆動歯車、従動歯車としてベベルギヤ、はすば歯車であってもよく、はすば歯車の一部とウォーム歯車の一部とを合成した歯車であってもよい。
このようにベベルギヤ、はすば歯車を用いる場合においても、駆動側のベベルギヤ、はすば歯車は実施の形態5と同様に貫通孔を設け、該貫通孔に制振材を設けた構成とし、従動側のベベルギヤ、はすば歯車は実施の形態6、7と同様に環状溝又は貫通孔を設け、該環状溝又は貫通孔に制振材を設けた構成としてもよい。また、ウォームなどの回転中心部に制振材を設ける場合、前記した貫通孔に代えて、一端面より軸長方向へ窪む凹孔とし、該凹孔に制振材を挿入し、凹孔の開口縁部に抜止栓を設けた構成としてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明によれば、電動モータをハウジングに取着することにより、コイルバネが駆動歯車を従動歯車に向けて押付け、駆動歯車及び従動歯車の噛合部のバックラッシュ量を少なくすることができる。しかも、駆動歯車の回転トルクを低減でき、さらに、駆動歯車及び従動歯車の回転中心間距離を調整するための調整手段が必要でないため、部品点数を削減することができ、電動パワーステアリング装置のコストを低減できる。また、電動パワーステアリング装置の組立て作業性を向上できる。
【0047】
第2発明によれば、電動モータのハウジングへの取着を簡易にでき組立て作業性をより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の減速歯車機構部分の構成を示す拡大断面図である。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電動パワーステアリング装置のウォーム及び出力軸の部分を拡大した説明図である。
【図4】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態5のウォームの構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。
【図5】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態6のウォームホイールの構成を示すもので、(a) は側面図、(b) は縦断面図である。
【図6】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態7のウォームホイールの構成を示すもので、(a) は側面図、(b) は縦断面図である。
【符号の説明】
1 電動モータ
1a 出力軸
1d 被取着面
3 ウォーム(駆動歯車)
4 ウォームホイール(従動歯車)
6 転がり軸受(軸受)
7 ハウジング
73b 取着面
14 コイルバネ(付勢手段)
51 第1の操舵軸(舵取手段)
53 第2の操舵軸(舵取手段)
Claims (2)
- 電動モータが取着されるハウジングと、その一端部が軸受を介して前記ハウジング内に回転自在に支持され、前記電動モータの出力軸に連動連結される駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し舵取手段に繋がる従動歯車と、前記駆動歯車を反電動モータ側へ付勢する付勢手段とを備え、前記電動モータの回転によって操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記電動モータは前記出力軸が前記軸受の中心軸線に対して傾斜するように前記ハウジングに取着してあり、前記付勢手段はコイルバネからなり、該コイルバネが前記出力軸の端面及び前記一端部間に前記駆動歯車を従動歯車に向けて押付けるように介在してあることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 前記電動モータは前記取着面と向き合う被取着面を有しており、該被取着面が前記出力軸の回転中心線に対して傾斜又は前記取着面が前記軸受の中心軸線に対して傾斜している請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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