JP4151319B2 - 遠心型シールレスポンプ及びその軸受摩耗低減方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体から受ける軸推力と、駆動のための磁気力、羽根車等の重量との関係を調整することにより、通水運転中には動圧軸受で軸推力を受け、無通水運転中においては軸受板と軸受との間に間隙を形成して摩耗を低減する遠心型シールレスポンプと、このとき使用する遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ターボ型ポンプの範疇に属する遠心ポンプは、起動時に呼び水を行わないでも吸水可能に構成された自吸式ポンプと、使用者が呼び水を行って使用する非自吸式ポンプに分類される。なお、以下の説明において、取扱う流体を水と表現することもあるが、気体と流動性に乏しい粘性流体以外の流体であれば、油や化学薬品,懸濁液等どのような流体でも構わない。
【0003】
自吸式ポンプは、一般的に起動時には羽根車の撹拌作用により気液混合状態で吐出し、ポンプの内部または外部で重力を利用して気水分離し、水だけ吸込み側へ返流する構造を有している。すなわち、気水分離した水を全量吸い込み側へ戻して、吸い込み管内に存在する空気を気液分離により排出する。しかし、通水状態に移行すると、昇圧して吐出する水の一部が返流され循環されるようになる。従ってポンプの羽根車は、ポンプの吐出口から出力される流量に加えて内部で返流する循環流量を加算した流量を昇圧する必要がある。このため、循環流量は吐出する流量に結びつかず単純に循環されるだけとなり、ポンプの消費電力からみたときは、非自吸式ポンプの方が原理的に自吸式ポンプよりも消費電力が少ないことが分かる。すなわち消費電力で見たとき、自吸式ポンプの方がこの循環流量の分だけポンプ性能に遅れをとることが分かる。
【0004】
しかし、非自吸式ポンプは自吸式ポンプのような自吸性を有していない。従って、呼び水を行わない場合には落水しないように常時満水状態を維持して循環して使用されることが多く、例えば半年毎や1年毎の定期点検等で水を抜かない限りは無水状態になる機会は通常存在しない。しかしこのような使用方法では水がポンプから漏れると、大量な漏れの場合だと運転不能に陥ってしまうし、また漏れた流体によっては重大な事故につながることもある。そこで、近年では、羽根車が存在する通水部分とモーターが存在する駆動構造部分とを分離して液漏れの原因となる軸シール構造が設けられていないキャンドモータポンプが使用されることが多くなっている。このキャンドモータポンプは、隔壁内に羽根車と一体となったロータを収納し、これを軸シールせずに隔壁で密封し、外部に設けたステータで発生する回転磁力を隔壁を介してロータのマグネットに作用させて駆動する。
【0005】
このほかにも、モーターで円盤状や筒状のマグネットを回転させ、隔壁を介して内部のロータのマグネットと磁気結合させて回転駆動するマグネットカップリング式の電磁駆動ポンプが利用されている。これらキャンドモータポンプやマグネットカップリング式の電磁駆動ポンプは、ケーシング内の羽根車に対して電磁力で動力伝達して軸シール構造を有さないことから、以下シールレスポンプと総称し、遠心型のものを遠心型シールレスポンプという。
【0006】
このような遠心型シールレスポンプは、羽根車と一体化されたロータが水中で回転しまたスラストを受けるため、スラストを受ける部分での摩擦損失も大きい。このためこのロータを支持するための支持構造が重要となるが、例えば、ベアリング構造や注油軸受構造を採用するのは、水中で動作するものであり、また一旦汚染したときの処理の難しさ等もあって採用するのは難しい。従って多くの場合、ポンプの中を流れる水を潤滑に利用する水中滑り軸受が採用されている。
【0007】
そこで、特開平10−311293号公報で提案された従来の遠心型シールレスポンプとして、水中滑り軸受構造を備えたキャンドモータポンプを図3に基づいて説明する。図3は従来のポンプの構成図である。図3において、100は回転子室、101は回転子室100と連通するポンプ室、102は回転子室100と一体化されたインペラ、103は軸受、104は回転子、105は固定子、106は軸、107は隔壁ケース、108はマグネット、109はケーシング、110は推力受け部材である。
【0008】
図3に示すように、回転子室100とポンプ室101の内部に設けられた回転子104と一体化されたインペラ102は、両端に設けられた軸受103で軸106により回転自在に軸支されている。インペラ102による揚水負荷により回転子104は吸い込み側へ推力を受けるため、ポンプ室101側の軸受103の端面と摺接するように推力受け部材110が設けられ、この推力受け部材110の摺動面が推力を支持する。インペラ102と一体となった回転子104にはマグネット108があって、そのマグネット108に隔壁ケース107を介して固定子105に発生する磁気力を作用させて回転子104が回転駆動される。軸受103は、回転によって自己加圧して潤滑膜の形成を図る動圧軸受、すなわち水中滑り軸受である。この動圧軸受、水中滑り軸受はよく知られたものであるから詳細な説明は省略する。
【0009】
このように、回転子104は吸い込み側へ推力を受けるので、軸受103の端面と推力受け部材110とは当接して摺動面でスラストを支持する。そして、この軸受103の端面と推力受け部材110はポンプ性能上常時当接して摺動することが望ましく、停止中も、無通水運転中、通水運転中でも摺動する構造となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近、小型のポンプの用途として、例えば電子機器の冷却ポンプ等のように携帯して使用する用途や、ポンプの内部の一部あるいは全部の水が頻繁になくなるような用途等に、新たな期待が集まっている。このような用途においては、自吸作用がないため非自吸式ポンプは起動が難しく、構造上水の落差でポンプ内が満水になるようにしたり別途呼び水注入機能を付加することが検討されている。しかし様々な姿勢で利用する可能性のあるこのようなポンプに対して、これでは到底十分な対策とはいえない。すなわち、非自吸式ポンプは運転初期に残留気泡(小型のポンプでとくに問題となる)がポンプ内に存在したり、あるいは呼び水注入が完了する前にポンプを起動したりすることがあって、摺動面が潤滑されることなく摺擦される可能性がある。とくに従来のポンプでは、軸受の端面と推力受け部材が停止中でも、運転中でも、あるいは無通水状態であっても、通水状態であっても摺接する構造となっており、ドライ状態で摺動することになり、水の潤滑がなされないために摩耗が加速され、大きな損傷を受けることがあった。
【0011】
軸受の端面と推力受け部材のスラスト方向の位置は、遠心型ポンプでは漏れと関係しポンプ性能を大きく左右することから、摩耗に大きな余裕を与えるとポンプ性能が低下してしまうのでその摩耗余裕は極力小さくすることが要求され、一般的な遠心型ポンプにおいては摩耗のすすむドライ状態での運転、いわゆる空運転は絶対的に禁止にされる。そしてとくにポンプ流量が小さく、漏れの割合が相対的に高くならざるを得ない小型のポンプでは、ポンプ性能の低下を抑えるためそうしても軸受の端面と推力受け部材のスラスト方向の位置は近くなり、これまでの一般的な遠心型ポンプ以上に摩耗の発生を抑制することが必要となる。
【0012】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するもので、無通水運転中における軸受の端面摩耗を低減できる小型の遠心型シールレスポンプを提供することを目的とする。
【0013】
また本発明は、無通水運転中における軸受の端面摩耗を低減できる遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の遠心型シールレスポンプは、羽根車とロータに対する流体からの軸推力が、ロータに加わる軸方向の電磁力と、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくなるように構成され、通水運転中には羽根車に対して軸推力と合力との差を作用させ、軸受板と軸受を当接させて動圧軸受を形成し、無通水運転中には軸受板と軸受との間に間隙を形成し、ロータに加わる軸方向の電磁力が、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きく設定され、無通水運転中に軸受板と軸受との間に間隙を形成するとともに、該軸受の他端と防水隔壁との間にも第2間隙を形成することを特徴とする。
【0015】
これにより、無通水運転中における軸受の端面摩耗を低減できる小型の遠心型シールレスポンプを提供することができる。
【0016】
また本発明の遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法は、羽根車とロータに対する流体からの軸推力を、ロータに加わる軸方向の電磁力と、羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくなるように構成し、通水運転中には羽根車に対して軸推力と合力との差を作用させ、軸受板と軸受を当接させて動圧軸受とし、無通水運転中においては軸受板と軸受との間に間隙を形成し、ロータに加わる軸方向の電磁力を、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きく設定し、無通水運転中に軸受板と軸受との間に間隙を形成するとともに、該軸受の他端と防水隔壁との間にも第2間隙を形成することを特徴とする。
【0017】
これにより、無通水運転中における軸受の端面摩耗を低減することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、流体に運動エネルギーを与える羽根車と、羽根車とともに回転するロータと、ロータに電磁力によって回転力を発生させるステータと、ステータに電磁力を発生させる巻線と、巻線への通電制御を行う駆動制御部と、ロータの回転の中心に設けられた軸受と、軸受を支持するシャフトと、羽根車の吸込み側に設けられ軸受の軸推力を受ける軸受板とを備え、羽根車とロータに対する流体からの軸推力が、ロータに加わる軸方向の電磁力と、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくなるように構成され、通水運転中には羽根車に対して軸推力と合力との差を作用させ、軸受板と軸受を当接させて動圧軸受を形成し、無通水運転中には軸受板と軸受との間に間隙を形成する遠心型シールレスポンプであって、ロータに加わる軸方向の電磁力が、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きく設定され、無通水運転中に軸受板と軸受との間に間隙を形成するとともに、該軸受の他端と防水隔壁との間にも第2間隙を形成することを特徴とする遠心型シールレスポンプであり、簡単な構造でかつ確実に無通水運転中に軸受端面と軸受板とが当接しないで摩耗を防止し、通水運転中は軸受端面と軸受板とが当接するようにして流体軸受を構成し、ポンプ性能を確保することができ、軸受の他端と防水隔壁との間の軸受板を廃止することができる。
【0021】
本発明の請求項に記載の発明は、羽根車とロータに対する流体からの軸推力を、ロータに加わる軸方向の電磁力と、羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくなるように構成し、通水運転中には羽根車に対して軸推力と合力との差を作用させ、軸受板と軸受を当接させて動圧軸受とし、無通水運転中においては軸受板と軸受との間に間隙を形成する遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法であって、ロータに加わる軸方向の電磁力を、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きく設定し、無通水運転中に軸受板と軸受との間に間隙を形成するとともに、該軸受の他端と防水隔壁との間にも第2間隙を形成することを特徴とする遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法であり、簡単な構造でかつ確実に無通水運転中に軸受端面と軸受板とが当接しないで摩耗を防止し、通水運転中は軸受端面と軸受板とが当接するようにして流体軸受を構成し、ポンプ性能を確保することができ、軸受の他端と防水隔壁との間の軸受板を廃止することができる。
【0022】
本発明の請求項5に記載の発明は、ロータに加わる軸方向の電磁力を、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きく設定し、無通水運転中に軸受板と軸受との間に間隙を形成するとともに、該軸受の他端と防水隔壁との間にも第2間隙を形成することを特徴とする請求項4記載の遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法であって、簡単な構造でかつ確実に無通水運転中に軸受端面と軸受板とが当接しないで摩耗を防止し、通水運転中は軸受端面と軸受板とが当接するようにして流体軸受を構成し、ポンプ性能を確保することができ、軸受の他端と防水隔壁との間の軸受板を廃止することができる。
【0023】
基本の形態
以下、本発明の実施の形態1の遠心型シールレスポンプについて説明する。図1は本発明の基本の形態における遠心型シールレスポンプの通水運転中の状態図である。図1において、1は基本の形態の遠心型シールレスポンプ本体、2は上側ケース、3は防水隔壁、4は流体を吸い込む吸水部、5は昇圧した流体を吐出する遠心型シールレスポンプ本体1の吐水部、6は上側ケース2と防水隔壁3の間にあって水漏れを防ぐシールリング、7は回転する磁界に従って回転するロータ、8はロータ7と一体化され流体を遠心力により昇圧する羽根車、9はロータ7と一体となった磁気を発生させるマグネットである。羽根車8は遠心型の羽根車であって、半径方向に立設された複数の羽根が設けられている。
【0024】
10はロータ7の中心部に設けられた軸受、11は軸受10が挿通されロータ7の回転の中心を支持するシャフト、12は軸受10の吸い込み側へのスラスト荷重を受けて当接摺動する軸受板Aである。シャフト11は固定軸であって、このシャフト11の周囲で軸受10がロータ7と羽根車8と一体となって回転する。
【0025】
13は軸受10の吸い込み側とは反対側(本発明の背面側)へのスラスト荷重を受けて当接摺動する軸受板B(本発明の第2軸受板)、14はロータ7と一体となっていて磁気を発生させるマグネット9の磁力に対して回転駆動するための電磁力を発生するステータ、15はステータ14に電磁力を生成するための巻線、16は巻線15に遠心型シールレスポンプを効率よく運転するように電流を供給制御する駆動基板(本発明の駆動制御部)、17は外部より駆動基盤16に電力を供給するための電源コード、21は通水運転中に発生する揚水負荷によりロータ7は吸い込み側へ推力を受けて吸い込み側へ近づき、その結果吸い込み側とは反対側に生じる隙間B(本発明の第2隙間)である。
【0026】
以下、スラスト方向における作用力を中心に、本発明の基本の形態の動作について説明する。図1に示すように、遠心型シールレスポンプの設置姿勢を駆動基板16が下側になるようにし、遠心型シールレスポンプを運転し通水状態にある。このとき、ロータ7と羽根車8とマグネット9と軸受10とは結合状態で一体となっており、その合計重量に相当する重力が羽根車8の背面側(吸い込み側の反対側)に向う下向きに加わる。
【0027】
一方、羽根車8の付近では吸水部4の近辺が遠心型シールレスポンプ内でもっとも圧力が低い状態になる。従って、羽根車8の背面からの押圧力と羽根車8前面の負圧との差圧が吸い込み側(上向き)に加わる。さらに、マグネット9とステータ14の間には、磁気抵抗が最も低下する位置に近づこうとする磁気力が作用する。例えば、図1に示すようにマグネット9の高さ方向の中央位置とステータ14の高さ方向の中央位置を比較したとき、マグネット9の中央位置よりもステータ14の中央位置の方が低い場合には、ロータ7には羽根車8背面(下向き)に向けての磁気力が加わる。
【0028】
本発明の基本の形態では、以上のような作用力において、
羽根車差圧>磁気力+重力(1)
の関係が成立するように、遠心型シールレスポンプの性能や構造、例えば羽根車の大きさ、羽根形状、重量、またロータの大きさ、形状、重量、磁力の大きさ等を決定する。すなわち、遠心型シールレスポンプの通水運転中は、(1)式が成立するので、羽根車8は吸い込み側である上方に押し上げられ、軸受10の端面は軸受板A12と水潤滑された状態で当接し摺動しながら回転することで、ポンプ性能が最も損失の少ない運転状態となる。
【0029】
次に、遠心型シールレスポンプの運転を停止させると、羽根車8は回転を停止するので昇圧作用は消滅し、従って上述したような羽根車8の前面と背面間の圧力差は作用しなくなる。この結果、図2に示すように、(1)式の右側の磁気力と重力に抗する作用力が発生しないので、羽根車8は背面側(下向き)に向けて下側に移動し、軸受10の端面は軸受板B13と当接状態となる。同様に無通水状態においても昇圧作用は発生しないから、これとまったく同じことになる。図2は本発明の基本の形態における遠心型シールレスポンプの停止中または無通水運転中の状態図である。図2において、22は停止中または無通水運転中にロータ7は羽根車8の背面側へ移動し、その結果吸い込み側に生じる隙間Aである。隙間A22は、無通水状態で遠心型シールレスポンプを運転したときに軸受10の上側端面と軸受板A12との間に当接摺動が発生しない程度確保すればよい。
【0030】
遠心型シールレスポンプを停止した場合には、遠心型シールレスポンプ内が満水通水状態であれば遠心型シールレスポンプの運転再開とともに、ロータ7は再び上昇して軸受10の端面は軸受板Aと水潤滑された状態に復帰し当接して摺動しながら回転状態に戻る。
【0031】
しかし、遠心型シールレスポンプの一部あるいは全部の水がない状態で遠心型シールレスポンプを起動した場合は、羽根車8の昇圧作用が発生しないかもしくは低下しているので、羽根車8が回転したとしても式(1)を満たさず、羽根車8の背面側の下方に留まって、軸受10の端面は軸受板B13と当接した摺動状態を続けることなる。
【0032】
従来の遠心型シールレスポンプの場合は、基本の形態の遠心型シールレスポンプとは異なり、無通水状態であっても常に軸受10の端面は軸受板A12と当接して摺動することになる。従って、潤滑する水が無い状態で摺動面を摩擦するため通常の通水状態とは比較にならないほど大きな摩耗が発生する。しかし、基本の形態の遠心型シールレスポンプでは、無通水状態でポンプ運転しても軸受10の上側端面は軸受板A12とは隙間A22を形成して当接せず、軸受10の上側端面と軸受板A12との間に摩耗は発生しない。しかもこれを運転と同期させて自動的に制御できる。なお、軸受10の下側端面と軸受板B13とは当接して摺動することになるが、本来、軸受10の下側端面側は遠心型シールレスポンプの性能に対する影響が小さいので摩耗量に余裕を持たせた設計が可能である。すなわち厚さを増しておけばよい。従って、結果として、無通水運転を含むような運転をするときに長寿命の遠心型シールレスポンプを提供することができる。
【0033】
ところで、隙間A22は無通水状態で遠心型シールレスポンプを運転したときに軸受10の上側端面と軸受板A12との間に摺動が発生しない程度に確保すればよいが、通水開始時にできるだけ羽根車8は吸い込み側に近い方がポンプ性能、及びポンプ性能の回復に有利になるため、軸受板B13を設けてロータ7が一定以上下方へ移動しないように制限するのがよい。この軸受板B13によってロータ7の移動量を制限する場合は、(1)式からも分かるように相対的に重力が大きな構造でもよく、より小型化薄型化を考慮した設計が容易になる利点もある。また、基本の形態においては駆動基板16を下側になるような設置姿勢で説明したが、ポンプの設置姿勢が異なり、駆動基板16を上側にする姿勢で設置した場合も同様である。これらの場合、(1)式の重力の大きさが小さくなったり、正負が逆になるが、基本的には上述の場合と同様であり上述のような機能を実現できる。
【0034】
(実施の形態
本発明の実施の形態の遠心型シールレスポンプについて説明する。実施の形態の遠心型シールレスポンプは基本の形態の遠心型シールレスポンプにおいての軸受板B13を廃止するものである。なお遠心型シールレスポンプの設置姿勢は基本の形態と同様に駆動制御基板16を下側に設定する。従って図1,2を参酌するものとし、以下、基本の形態で使用した符号と同一符号を使用する。
【0035】
この場合の作用力の満たす条件は、
羽根車差圧>磁気力+重力(1)
且つ、
磁気力>重力(2)
となる。この場合、(2)式の関係から軸受10の下側端面(本発明の軸受他端)が防水隔壁3との間に間隙を形成し、防水隔壁3に直接当接しないので軸受板B13が不要となる。
【0036】
実施の形態の場合、軸受10の下側端面を支える部位がないので、停止中及び無通水運転中は磁気力でロータ7と羽根車8とマグネット9と軸受10の合計重量に相当する力を作用させて配置することが必要となる。実施の形態においては駆動基板16を下側になるような設置姿勢で説明したが、ポンプの設置姿勢が異なり、駆動基板16を上側にする姿勢で設置した場合も同様である。これらの場合、(1)(2)式の重力の大きさが小さくなったり、重力の正負が逆になるが、併せて磁気力の正負を逆にすれば基本的には基本の形態と同様であり上述のような機能を実現できる。このように実施の形態の遠心型シールレスポンプは、軸受10の位置を運転と同期させて自動的に制御できる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明の遠心型シールレスポンプは、羽根車とロータに対する流体からの軸推力が、ロータに加わる軸方向の電磁力と、該羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくするように構成され、通水運転中には軸受板でこれらの軸方向の全合力を作用させて流体軸受にするとともに、無通水運転中においては軸受板と軸受との間に間隙を形成するため、簡単な構造でかつ確実に無通水運転中に軸受端面と軸受板とが当接しないで摩耗を防止し、通水運転中は軸受端面と軸受板とが当接するようにして流体軸受を構成し、ポンプ性能を確保することができる。
【0038】
通水開始時に羽根車が吸い込み側に近く、ポンプ性能とその回復が有利になる。また、小型ポンプの場合には相対的に重力の大きな構造にでき、より小型化薄型化にすることができる。
【0039】
簡単な構造でかつ確実に停止中あるいは無通水運転中に軸受端面と軸受板とが当接しないで摩耗を防止し、通水運転中は軸受端面と軸受板とが当接するようにして流体軸受を構成し、ポンプ性能を確保することができ、軸受の他端と防水隔壁との間の軸受板を廃止することができる。
【0040】
本発明の遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法によれば、羽根車とロータに対する流体からの軸推力を、ロータに加わる軸方向の電磁力と、羽根車とロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくなるようにするから、簡単な構造でかつ確実に無通水運転中に軸受端面と軸受板とが当接しないで摩耗を防止し、通水運転中は軸受端面と軸受板とが当接するようにして流体軸受を構成し、ポンプ性能を確保することができる。
【0041】
また、簡単な構造でかつ確実に無通水運転中に軸受端面と軸受板とが当接しないで摩耗を防止し、通水運転中は軸受端面と軸受板とが当接するようにして流体軸受を構成し、ポンプ性能を確保することができ、軸受の他端と防水隔壁との間の軸受板を廃止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本の形態における遠心型シールレスポンプの通水運転中の状態図
【図2】本発明の基本の形態における遠心型シールレスポンプの停止中または無通水運転中の状態図
【図3】従来のポンプの構成図
【符号の説明】
1 遠心型シールレスポンプ本体
2 上側ケース
3 防水隔壁
4 吸水部
5 吐水部
6 シールリング
7 ロータ
8 羽根車
9 マグネット
10 軸受
11 シャフト
12 軸受板A
13 軸受板B
14 ステータ
15 巻線
16 駆動基板
17 電源コード
21 隙間B
22 隙間A
100 回転子室
101 ポンプ室
102 インペラ
103 軸受
104 回転子
105 固定子
106 軸
107 隔壁ケース
108 マグネット
109 ケーシング
110 推力受け部材

Claims (2)

  1. 流体に運動エネルギーを与える羽根車と、前記羽根車とともに回転するロータと、前記ロータに電磁力によって回転力を発生させるステータと、前記ステータに電磁力を発生させる巻線と、前記巻線への通電制御を行う駆動制御部と、前記ロータの回転の中心に設けられた軸受と、前記軸受を支持するシャフトと、前記羽根車の吸込み側に設けられ前記軸受の軸推力を受ける軸受板とを備え、前記羽根車と前記ロータに対する流体からの軸推力が、前記ロータに加わる軸方向の電磁力と、該羽根車と前記ロータと前記軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくなるように構成され、通水運転中には前記羽根車に対して前記軸推力と前記合力との差を作用させ、前記軸受板と前記軸受を当接させて動圧軸受を形成し、無通水運転中には前記軸受板と前記軸受との間に間隙を形成する遠心型シールレスポンプであって、
    前記ロータに加わる軸方向の電磁力が、該羽根車と前記ロータと前記軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きく設定され、無通水運転中に前記軸受板と前記軸受との間に間隙を形成するとともに、該軸受の他端と防水隔壁との間にも第2間隙を形成することを特徴とする遠心型シールレスポンプ。
  2. 羽根車とロータに対する流体からの軸推力を、前記ロータに加わる軸方向の電磁力と、前記羽根車と前記ロータと軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きくなるように構成し、通水運転中には前記羽根車に対して前記軸推力と前記合力との差を作用させ、前記軸受板と前記軸受を当接させて動圧軸受とし、無通水運転中においては前記軸受板と前記軸受との間に間隙を形成する遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法であって、
    前記ロータに加わる軸方向の電磁力を、該羽根車と前記ロータと前記軸受に加わる軸方向の重力との合力より大きく設定し、無通水運転中に前記軸受板と前記軸受との間に間隙を形成するとともに、該軸受の他端と防水隔壁との間にも第2間隙を形成することを特徴とする遠心型シールレスポンプの軸受摩耗低減方法。
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