JP4151170B2 - 無線通信システム及び指向性制御データ生成装置 - Google Patents

無線通信システム及び指向性制御データ生成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動局が指向性を制御可能なアンテナを用いて基地局との無線通信を行う無線通信システム、及びこの無線通信システムにおいて移動局のアンテナの指向性を制御する際に用いる指向性制御データを生成する指向性制御データ生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基地局と移動局との間で無線通信を行うシステムとして、サービスエリアを複数のゾーンに分割し、各ゾーン毎に基地局を配置するセルラーシステムが知られている。このセルラーシステムでは、通信すべき基地局の存在する方向が、移動局の移動に伴ってランダムに変化することになるため、電波の到来方向がどのように変化しても対応できるように、通常、無指向性のアンテナが用いられている。
【0003】
ところで、高層建造物の多い都市部では、これら建造物等による電波の反射や回折の影響により、基地局から送出された電波が異なった複数の経路を介して移動局に伝搬される、いわゆるマルチパスが生じる可能性が高い。そして、無指向性のアンテナを用いている場合、これら複数の電波をすべて受信してしまうことになるため、これら電波の受信信号が互いに干渉し合って受信強度が変動する、いわゆるフェージング現象が発生し、良好な通信品質を保つことが困難になることがある。
【0004】
これに対して、例えば、特開平8−139657号公報や特開平8−139661号公報には、移動局において、自動車用ナピゲーションシステムを用いて自局の位置を表す位置情報を取得すると共に、この取得した位置情報に基づいて電波の到来方向を特定し、この特定の方向から伝搬されてくる電波のみを受信するようにアンテナの指向性を制御して、他の伝搬経路を介して伝搬されてくる不要な電波を除去するものが開示されている。
【0005】
特に前者(特開平8−139657号公報)では、予め用意された建物のデータベースから自局及び基地局周辺の建物情報を取得し、この建物情報に基づいて基地局から自局に到る電波の伝搬経路を算出することにより電波の到来方向を推定し、この推定結果に基づいてアンテナの指向性を制御している。
【0006】
ところで、このようにアンテナの指向性を制御する場合、安定した通信を行うためには、移動局の移動に対するアンテナ指向性制御の追従性を確保する必要がある。
そして、特に、自動車に搭載された移動局を考えると、移動局は100km/hを超える速度で移動することも考えられ、このような高速移動時には、アンテナの指向性を頻繁に切り換える必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、3次元空間を伝搬する電波の伝搬経路を計算によって求めるには膨大な計算量を必要とするため、アンテナ指向性の切換間隔が短くなると、伝搬経路の計算が間に合わなくなり、アンテナ指向性制御の追従性が低下して通信品質が劣化してしまうという問題があった。
【0008】
なお、処理能力の高い演算器を用いて装置を構成すれば、制御の追従性を確保することが可能であるが、この場合、装置が極めて高価なものとなってしまうという問題があった。
これに対して、特開平7−87011号公報には、基地局の通信エリアの各地点毎に、そこに位置する移動局にとって最適なビーム方向・強度・ビーム幅等を予め実測により求めることにより作成したテーブルを用意し、ナビゲーション装置等を介して位置情報を取得すると、このテーブルを参照してアンテナの指向性等を制御するものが開示されている。
【0009】
この場合、伝搬経路の計算を行う必要がなく、テーブルを検索するという簡単な処理で電波の到来方向を推定できるため、優れた追従性を確保できるのである。
しかし、このようなテーブルを用いても、建物情報を用いて電波の伝搬経路を算出する場合と同様に、実際の建物の状況が変化すると、実際の電波の伝搬経路とテーブルに記憶されたビーム方向とが一致しなくなり、アンテナの指向性を正しく制御できなくなってしまうという問題があった。
【0010】
しかも、建物の状況は日々変化しているため、上述の従来装置では、これらの変化の全てをリアルタイムで建物情報やテーブルに反映させていくことが不可能であり、全ての位置にてアンテナの指向性を精度よく制御できるようにすることが極めて困難であるという問題もあった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するため、移動局の移動に対して追従性よく、しかも周囲の状況の変化に対して簡易かつ速やかに対応して、常に高精度に移動局のアンテナの指向性を制御可能な無線通信システム、及びこの無線通信システムにて移動局のアンテナ指向性の制御に用いる指向性制御データを、簡易かつ速やかに生成可能な指向性制御データ生成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
まず、上記目的を達成するためになされた第一発明の無線通信システムについて説明する。
即ち、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、指向性を制御可能なアンテナを用いて基地局との無線通信を行う移動局では、位置検出手段が自局の位置を検出すると、制御データ抽出手段が、制御データ記憶手段を検索することにより、位置検出手段での検出結果に対応する指向性制御データを抽出し、この抽出された指向性制御データに従って、指向性制御手段がアンテナの指向性を制御する。
【0013】
なお、基地局の共通データ記憶手段には、移動局との通信が可能な通信エリア内の位置を特定する位置情報毎に対応づけられた、移動局が基地局からの送信電波を受信する際にアンテナの指向性を向けるべき方向を制御するための指向性制御データが記憶されており、一方、移動局では、更新手段が、基地局との無線通信により、基地局の共通データ記憶手段に記憶された指向性制御データを獲得し、この獲得した指向性制御データにより、制御データ記憶手段の記憶内容を更新するようにされている。
また、移動局では、到来方向検出手段が、アンテナにて受信された電波の到来方向を検出し、部分更新手段が、この到来方向検出手段による検出と同時に得られた位置検出手段での検出結果に基づき、この検出結果に対応する指向性制御データについての制御データ記憶手段の記憶内容を、到来方向検出手段での検出結果に基づいて更新する。
【0014】
このように本発明において、移動局は、検出した自局の位置に従って、予め用意された指向性制御データを参照し、電波の伝搬経路の算出を行うことなく、アンテナの指向性を制御しているので、応答性よくアンテナの指向性を切り換えることができる。
【0015】
その結果、移動局の高速移動に対しても、アンテナ指向性制御を確実に追従させることができ、基地局,移動局間の無線通信において安定した通信品質を確保できると共に、移動局ではアンテナ指向性制御のために高速な演算器を必要としないため、装置を安価に構成できる。
【0016】
また、本発明の無線通信システムでは、基地局が保有する指向性制御データを獲得して、これにより制御データ記憶手段の記憶内容を更新するようにされているので、基地局の指向性制御データさえ適宜更新できれば、全ての移動局が、この最新の指向性制御データに基づいてアンテナの指向性を常に精度よく制御することができる。
【0017】
更に、本発明の無線通信システムにおいて、使用される指向性制御データは、位置と指向性を向けるべき方向とを記録した単純な構成であり、電波の伝搬経路を算出する際に必要な建物情報等を記憶する必要がないため、アンテナ指向性の制御のために必要なデータを記憶するための記憶容量(本発明では制御データ記憶手段や共通データ記憶手段)を小さくできる。また、制御データ記憶手段の内容を更新する際に、基地局から移動局へ伝送すべきデータも少なくなるため、データの更新を容易に行うことができる。
また、本発明の無線通信システムによれば、移動局の移動に従って、その移動した位置における電波の到来方向が実測され、その実測値に基づいて制御データ記憶手段の記憶内容が更新されるため、移動局が通過した地点についての指向性制御データの精度が向上し、特に、移動局の使用者が頻繁に利用する場所(施設や道路など)付近のデータが詳細かつ高精度なものとなる。従って、使用を重ねるほど、移動局の使用者にとっての使い勝手が向上することになる。
また、周囲の状況が変化した場合には、その変化による電波到来方向の変化を、指向性制御データにリアルタイムで反映させることができる。
【0018】
ところで、指向性制御データを、すべての地点にて均等に用意することは、装置の記憶容量の点からも現実的ではなく、周囲に電波を反射する障害物の多い領域では密に、そのような障害物の少ない領域では粗となるように用意することが実用的である。このため、位置検出手段にて検出された位置に対応する指向性制御データが制御データ記憶手段に存在しない場合が考えられる。このような場合、存在する直近の指向性制御データからアンテナの指向性を向けるべき方位を推定してもよいし、請求項2記載のように、指向性制御手段は、アンテナの指向性を無指向に切り換えてもよい。
【0019】
このように、アンテナの指向性を無指向に切り換えた場合、指向性を制御する場合と比較して通信品質は低下するものの、全く異なった方向に指向性が制御されて通信不能となってしまうことがなく、どのような状況にあっても最低限の通信を確保できる。
【0020】
次に、請求項3記載の無線通信システムでは、指向性制御データが、位置情報毎に方位情報が複数対応づけられ、且つ、方位情報のそれぞれに制御時の優先度を示す優先情報が付与されたものからなり、指向性制御手段は、基地局との無線通信の通信品質を測定する通信品質測定手段を備えている。そして、指向性制御手段は、制御データ抽出手段にて抽出された指向性制御データの方位情報のうち、通信品質測定手段にて測定される通信品質が、予め設定された基準レベル以上となるものの中で、優先情報が最も高い優先度を示す方位情報に従ってアンテナの指向性を設定する。
【0021】
つまり、同一の位置に対して複数の方向から電波が到来する場合、一つに絞って指向性を制御するのではなく、その時々で、最も優れた通信品質を実現できる方位情報に従ってアンテナの指向性を設定するのである。
具体的には、例えば、まず、最も高い優先度を示す優先情報が付与された方位情報に従って指向性を設定し、その時の通信品質が基準レベルに達しているか否かの判定を行う。その結果、基準レベルに達していなければ、次に高い優先度を示す優先情報が付与された方位情報に従って指向性を設定し、同様に通信品質の判定を行う。この処理を繰り返すことにより、通信品質が基準レベル以上となった最初の方位情報に指向性を固定すればよい。
【0022】
このように構成された本発明の無線通信システムによれば、電波の伝搬経路が複数存在し、しかもわずかな条件の違いによって相対的な伝搬強度が変動するような場合、このような伝搬状態の変化に柔軟に対応して、高品質で安定した通信を実現できる。
【0023】
但し、抽出された指向性制御データの全ての方位情報について通信品質を測定したが、通信品質が予め設定された基準レベル以上となるものが一つも存在しない場合には、請求項4記載のように、指向性制御手段は、この抽出された指向性制御データを制御データ記憶手段から削除すると共に、アンテナの指向性を無指向に切り換えることが望ましい。
【0024】
即ち、いずれの方位情報を用いても基準レベルの通信品質を確保できない場合には、その位置周辺の建物の状況が変化し、電波の伝搬経路が変化してしまったものと考えられるため、不要となった指向性制御データを削除すると共に、アンテナの指向性を無指向に切り換えることによって、上述の請求項2の場合と同様に、最低限の通信を確保しているのである。
【0027】
また、本発明の無線通信システムでは、請求項5記載のように、移動局に、部分更新手段が制御データ記憶手段の記憶内容の更新に用いた到来方向検出手段及び位置検出手段での両検出結果を電波伝搬特性データとし、この電波伝搬特性データを基地局との無線通信により基地局に伝送する特性データ伝送手段を設け、基地局に、移動局から無線通信により伝送されてきた電波伝搬特性データに従って、共通データ記憶手段の記憶内容を更新する共通データ更新手段を設けてもよい。
【0028】
この場合、不特定多数の移動局にて収集された全ての電波伝搬特性データが、基地局の保有する指向性制御データに反映されるため、基地局の共通データ記憶手段には、基地局の全通信エリアにわたって詳細かつ周囲状況の変化がリアルタイムで反映された指向性制御データが記憶されることになる。
【0029】
そして、各移動局は、このように随時更新される詳細な指向性制御データを、上述の更新手段を介して適宜獲得することができるため、どの移動局も、基地局との間の無線通信を、常に良好な通信品質にて行うことができる。
ここで、到来方向検出手段は、例えば、請求項6記載のように、基地局との無線通信にてユーザデータの伝送が行われていない待機時に、電波到来方向の検出を行うよう構成すれば、到来方向の検出に複雑な計算が必要な場合であっても、ユーザデータの通信に支障を生じさせることがない。
【0030】
なお、一般に、セルラシステムにおける移動局は、どの基地局と通信すべきかを認識するため、待機時であっても一定期間毎に基地局との通信を行っているため、この通信のやり取りで交わされる電波を用いて電波の到来方向を検出すればよい。
【0031】
また、到来方向検出手段は、例えば請求項7記載のように、位置検出手段での検出結果に対応する指向性制御データが制御データ記憶手段に存在しない場合に、電波到来方向の検出を行うようにしてもよい。
この場合、到来方向の検出には時間を要するため、直ちに通信を開始することができないが、その検出結果は、上述のように制御データ記憶手段の記憶内容に反映(追加)されることになるため、次回からは、その位置におけるアンテナの指向性の制御を速やかに行うことができる。
【0032】
また、アンテナの指向性を無指向とすることなく通信できるため、通信品質が高い状態で常に通信できるだけでなく、今までに記憶されていない位置についての指向性制御データを生成することになるため、指向性制御データの詳細化を図ることができる。
【0033】
次に第二発明の指向性制御データ生成装置について説明する。
即ち請求項8記載の指向性制御データ生成装置は、基地局に配置された送信部が、移動局と基地局との間で送受される周波数帯の電波を送信し、任意に移動可能に構成された受信部が、送信部から送信された電波を受信し、その電波の受信位置及び到来方向を検出して、該受信位置及び到来方向の検出結果である位置検出情報と方位検出情報とからなる電波伝搬特性データを収集する。
【0034】
そして、制御データ生成部が、受信部が収集した電波伝搬特性データに基づき、移動局との通信が可能な通信エリア内の位置を特定する位置情報と、この位置情報にて特定される位置にて、移動局が基地局からの送信電波を受信する際にアンテナの指向性を向けるべき方向を示す方位情報とを対応づけてなる指向性制御データを生成する。
【0035】
従って、本発明の指向性制御データ生成装置によれば、例えば、受信部を車両に取り付け、受信部により電波電波特性データを収集しながら、基地局の通信エリア内を任意に移動することにより、通信エリア内の各地点における電波伝搬特性データを簡単かつ大量に収集することができ、更に、この収集した電波伝搬特性データに基づいて、指向性制御データを作成することができる。
【0036】
なお、送信部は、基地局と別体に構成してもよいし、基地局の持つ送信器やアンテナをそのまま用いて構成してもよい。
また、制御データ生成部は、受信部或いは送信部と一体に形成してもよいし、いずれとも別体に形成してもよい。但し、任意に移動可能な受信部を小型に構成するため、請求項9記載のように、受信部と制御データ生成部とを別体に形成することが望ましく、この場合、受信部は、収集した電波伝搬特性データを、有線通信或いは無線通信を用いて制御データ生成部に伝送するように構成すればよい。
【0037】
そして、受信部が収集した電波伝搬特性データを、適宜、制御データ生成部に伝送すれば、収集した電波伝搬特性データを記憶しておくため受信部に設けるべき記憶装置の記憶容量を小さくでき、ひいては受信部を小型化できる。
ところで、受信部は、複数あってもよく、また単一の受信部が繰り返し電波伝搬特性データを収集してもよい。そして、同一地点について複数の電波伝搬特性データが収集されている場合には、制御データ生成部では、これらのデータを集計して指向性制御データを作成する必要がある。
【0038】
この場合、制御データ生成部は、例えば請求項10記載のように、受信部にて収集された電波伝搬特性データを、同一の位置情報に対応する位置検出情報毎に、同一の方位情報に対応する方位検出情報の値を各々積算し、該積算値が大きいほど高い優先度となる優先情報を方位情報に付与することにより、位置情報毎に優先情報付き方位情報を複数対応づけてなる指向性制御データを生成すればよい。これにより実用的な指向性制御データを簡単且つ速やかに生成できる。
【0039】
なお優先情報は、方位検出情報の値の積算値をそのまま用いてもよいし、積算結果に基づいて番号を付けなおしてもよい。但し、積算値をそのまま用いた場合、後から追加して検出された電波伝搬特性データを、対応する優先情報を加算するだけの極めて簡単な処理にて指向性制御データに反映させることができ、しかも、同一地点についてのデータ収集回数の増加に従って、優先情報の精度、即ちアンテナ指向性制御の信頼性をより向上させることができる。
【0040】
次に、受信部にて電波の到来方向を検出するための構成について説明する。
まず、例えば請求項11記載のように、送信部に、水平面における指向性が無指向となる送信アンテナを設けると共に、受信部に、水平面における指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の受信アンテナを設けた場合には、受信部は、送信アンテナから送信された電波を、複数の受信アンテナにより各々受信し、受信品質が最良となる受信アンテナの指向方向を、電波の到来方向として特定すればよい。
【0041】
また、請求項12記載のように、送信部に、水平面における指向性が無指向となる送信アンテナを設けると共に、受信部に、水平面における指向性が互いに重なり合うように配置された複数の受信アンテナを設けた場合には、受信部は、送信アンテナから送信された電波を、各受信アンテナにて同時受信し、各受信信号の強度及び位相の少なくともいずれか一方に基づき、電波の到来方向を算出すればよい。
【0042】
なお、各受信アンテナの受信信号の強度及び位相から到来方向を算出する方法としては、高速フーリエ変換法や、MUSIC法、ESPRIT法などの既知の計算手法があり、これらを利用することにより到来方向を高精度に求めることができる。
【0043】
更に、請求項13記載のように、送信部に、水平面における指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の送信アンテナを設けると共に、受信部に、水平面における指向性が無指向となる受信アンテナを設けた場合には、送信部は、複数の送信アンテナを予め決められたタイミングで順次切り換えながら電波を送信し、受信部は、受信アンテナでの受信品質が最良となるタイミングに基づき、電波の到来方向を特定すればよい。
【0044】
また更に、請求項14記載のように、送信部に、水平面における指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の送信アンテナを設けると共に、受信部に、水平面における指向性が無指向となる受信アンテナを設けた場合には、送信部は、複数の送信アンテナを順次切り換えながら、使用した送信アンテナを特定する識別情報が重畳された電波を送信し、受信部は、受信アンテナでの受信品質が最良の時に抽出された識別情報に基づいて電波の到来方向を特定すればよい。
【0045】
次に、請求項15記載の指向性制御データ生成装置では、任意に移動可能に構成された送信部が、移動局と基地局との間で送受される周波数帯の電波を、該電波の送信位置を示す位置検出情報を重畳して送信し、基地局に配置された受信部が、送信部から送信された電波を受信し、この電波に重畳された位置検出情報を抽出すると共に電波の到来方向を検出することにより、抽出された位置検出情報と到来方向の検出結果である方位検出情報とからなる電波伝搬特性データを収集する。
【0046】
そして、制御データ生成部が、受信部が収集した電波伝搬特性データに基づき、移動局との通信が可能な通信エリア内の位置を特定する位置情報と、この位置情報にて特定される位置にて、移動局が基地局からの送信電波を受信する際にアンテナの指向性を向けるべき方向を示す方位情報とを対応づけてなる指向性制御データを生成する。
【0047】
即ち、請求項8〜請求項14では、送信部を基地局に固定し、受信部を移動可能に構成しているが、ここでは逆に、受信部を基地局に固定し、送信部を移動可能に構成している。なお、受信部は、請求項8における送信部と同様に、基地局と別体に構成してもよいし、基地局の持つ送信器やアンテナをそのまま用いて構成してもよい。
【0048】
そして、2地点間の通信において送受信を入れ替えた場合に、アンテナの指向性が同一であれば、電波は同じ経路を逆向きに伝搬するだけであるため、受信部における電波の到来方向と、送信部の位置とに基づいて伝搬経路を推定することができれば、この伝搬経路を逆に辿ることにより、送信部にてアンテナの指向性を向けるべき方位を求めることができる。
【0049】
具体的には、請求項16記載のように、制御データ生成部は、基地局周辺に存在する建物の位置及び大きさを少なくとも含んだ建物情報に基づき、受信部にて収集された電波伝搬特性データから、送信部における電波の送信方向を表す第2方位情報を算出し、該第2方位情報と前記位置情報とに基づいて指向性制御データを生成すればよい。この第2方位情報と位置情報とが、送信部及び受信部を逆に配置した場合(請求項8〜14)における電波伝搬特性データと同等なデータとなる。
【0050】
つまり、本発明では、送信部及び受信部を逆に配置した場合と比較して、電波伝搬特性データから指向性制御データを生成するための演算量は、第2の方位情報を算出する分だけ増加するが、この演算は、基地局に設けられた受信部側で処理すればよいため、制御データ生成部の構成が大規模化したとしても対応可能であり、また、指向性制御データが、はじめから一括して基地局側に蓄積されることになるため、指向性制御データの管理を容易化できる。
【0051】
また、本発明では、従来装置と同様に建物情報を用いているが、この建物情報でけでなく、送信部から基地局に向けて送られてきた電波の到来方向も用いて電波の伝搬経路の推定を行っているため、建物情報だけを用いる従来装置と比較して、電波の伝搬経路、ひいては送信部における電波の到来方向の計算精度を格段に向上させることができる。
【0052】
なお、請求項15,16の構成において、受信部にて電波の到来方向を検出する際に、先に説明した請求項11〜14の記載された構成を、同様に適用できることは言うまでもない。
また、請求項8〜14の構成における受信部、及び請求項15,16の構成における送信部を、移動局と一体に構成してもよい。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の無線通信システムの全体構成を表すブロック図である。
【0054】
図1に示すように、本実施形態の無線通信システムは、任意に移動可能な移動局T(TC,TD)と、マイクロ波帯(数GHz以上)の電波を用いて自局の通信エリア内に存在する移動局Tとの無線通信を行う基地局Bと、各基地局Bと通信回線Lを介して接続され、移動局Tが基地局Bとの通信を行う際にアンテナの指向性を向けるべき方向を制御するために用いる指向性制御データを生成,管理するデータベース管理装置10とを備えている。
【0055】
なお、移動局Tは、一般の利用者がユーザデータの通信に用いる通信用移動局TCと、指向性制御データを生成するために必要な電波伝搬特性データの収集に用いるデータ収集用移動局TDとがあり、いずれも車両に搭載されている。
また、基地局Bは、通信用移動局TCとの無線通信を行う通信装置20と、データ収集用移動局TDによる電波伝搬特性データ収集のために、データ収集用移動局TD向けに電波Wdの送信を行うデータ収集用送信装置30とを備え、このうち通信装置20が通信回線Lを介したデータベース管理装置10との通信が可能なように構成されている。
【0056】
ここで、本実施形態の無線通信システムのうち、まず、電波伝搬特性データの収集機能、及び収集した電波電波特性データに基づく指向性制御データの作成機能(以下「データ収集作成機能」という)に関する構成について説明する。
図2は、このデータ収集作成機能を実現するために必要な構成、即ち、データ収集用移動局TD,基地局Bのデータ収集用送信装置30,及びデータベース管理装置10の構成を表すブロック図であり、これらが本発明の指向性制御データ生成装置における受信部,送信部,制御データ生成部にそれぞれ相当する。
【0057】
図2に示すように、基地局Bに設けられたデータ収集用送信装置30は、同じ基地局Bに設けられた通信装置20の通信エリアをすべて覆うように指向性が設定された送信アンテナ32と、通信装置20及び通信用移動局TCの間の無線通信にて使用されるものと同じ周波数帯の電波Wdを、送信アンテナ32を介して送信する送信器34とからなる。
【0058】
一方、データ収集用移動局TDは、同一方向を向き且つ一定間隔に配置され、いわゆるアレイアンテナを形成する複数のアンテナからなる受信アンテナ部41と、受信アンテナ部41を構成する各アンテナ(以下「受信アンテナ」という)毎に、受信信号を予め設定された周波数の中間周波信号に変換するダウンコンバータ及びダウンコンバータの出力をサンプリングするA/D変換器をそれぞれ備えた受信器42と、受信器42から供給される各受信アンテナ毎の中間周波信号のサンプリング値(以下、単に「受信サンプリング値」という)に基づき、電波の到来方向を求める到来方向測定器43と、GPS(Global Positioning System) 用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを用いて受信し、位置,方位,速度などを検出するGPS受信器を備えた位置検出器44と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、到来方向測定器43にて測定された電波の到来方向を表す方位検出情報、及びこれと同時に位置検出器44にて検出された位置を表す位置検出情報とを対応づけて電波伝搬特性データとして記憶装置45に記憶する処理や、記憶装置45に記憶された電波電波特性データを、インタフェース回路46を介して外部に出力する処理等を実行する制御回路47とを備えている。
【0059】
なお、当該データ収集用移動局TDを搭載する車両が、ナビゲーション装置を備えている場合は、これを位置検出器44として用いてもよい。
また、到来方向測定器43は、受信器42から供給される受信サンプリング値に基づき、各受信アンテナ毎に、IF信号(即ち受信信号)の振幅及び位相を求め、これら各受信信号の強度および位相から、FFT(高速フーリエ変換)法,MUSIC法,ESPRIT法等の高分解能な到来方向推定法を用い、これに位置検出器44にて検出される当該移動局TDの進行方向等を考慮して到来方向を求めるように構成されている。これらの到来方向推定方法は、公知技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0060】
次に、データベース管理装置10は、着脱自在なケーブルを介してデータ収集用移動局TDのインタフェース回路46に接続され、データ収集用移動局TDが収集した電波伝搬特性データを入力するための対移動局インタフェース回路12と、通信回線Lを介して各基地局Bとの通信を行うための対基地局インタフェース回路14と、指向性制御データを格納する記憶装置16と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、対移動局インタフェース回路12を介して獲得した電波伝搬特性データに基づいて指向性制御データを生成し、記憶装置16に格納する制御データ生成処理や、対基地局インタフェース回路14を介して各基地局に、記憶装置16に格納された指向性制御データを供給するデータ供給処理等を実行する制御回路18とを備えている。
【0061】
ここで、以上のように構成されたデータ収集用送信装置30,データ収集用移動局TD,データベース管理装置10の動作について説明する。
データ収集用移動局TDは、基地局Bの通信エリア内を移動しながら、該基地局Bのデータ収集用送信装置30からの送出電波Wdを受信アンテナ41を介して受信し、その受信時の位置を表す位置検出情報と、その位置での送信波Wdの到来方向を表す方位検出情報とからなる電波伝搬特性データを繰り返し求め、これら求めた全ての電波伝搬特性データを記憶装置45に記憶する。
【0062】
つまり、データ収集用移動局TDの記憶装置45には、当該移動局TDが通過した各地点の電波伝搬特性データが蓄積される。
このようにして、電波伝搬特性データを記憶装置45に蓄積したデータ収集用移動局TDは、データベース管理装置10の設置場所まで移動し、そのインタフェース回路46を、データベース管理装置10の対移動局インタフェース回路12にケーブルを介して接続して、このケーブルを介した有線通信を行うことにより、記憶装置45に蓄積された電波伝搬特性データを、データベース管理装置10に転送する。
【0063】
すると、データベース管理装置10では、この獲得した電波伝搬特性データを、同じ対移動局インタフェース回路12を介して他のデータ収集用移動局TDから獲得した電波伝搬特性データと共に集計して、各基地局Bの通信エリア内における位置を特定するための位置情報と、その位置にてアンテナの指向性を向けるべき方向を示す方位情報とからなる指向性制御データを生成し、これを記憶装置16に格納する。
【0064】
ここで、データ収集用移動局TDが収集する電波伝搬特性データ(位置検出情報,方位検出情報)、及びこの電波伝搬特性データに基づいてデータベース管理装置10にて生成される指向性制御データ(位置情報,方位情報)の内容について説明する。
【0065】
まず、電波伝搬特性データの位置検出情報、及び指向性制御データの位置情報は、各基地局Bの通信エリア毎に定義される相対的な座標インデックス値を用いて表される。
即ち、図3(a)に示すように、位置検出情報及び位置情報は、各基地局の通信エリアをX軸方向(例えば東西方向)にm等分してなる各領域に順番に番号i(i=1,2,…,m)を付与すると共に、Y軸方向(例えば南北方向)にn等分してなる各領域に順番に番号j(j=1,2,…,n)を付与する。このようにして設定されたm×n個の各領域に付与された番号(i,j)を、座標インデックス値としており、位置検出器44にて検出される絶対的な座標値をこの座標インデックス値に変換して用いる。
【0066】
但し、位置検出情報については、座標インデックス値の代わりに、位置検出器44での検出結果である絶対的な座標値を用い、データベース管理装置10にて指向性制御データを生成する際に、座標インデックス値に変換してもよい。
一方、電波伝搬特性データの方位検出情報,及び指向性制御データの方位情報は、いずれも絶対的な方位を表す到来方向インデックス値を用いて表される。
【0067】
即ち、図3(b)に示すように、360°をr(本実施形態ではr=24)等分し、例えば北向きを1として左周りに順番に各方向に2,3,4…rと番号を付与したものを到来方向インデックス値としている。
そして、図4(a)に示すように、各データ収集用移動局TD(TDa〜TDc)では、電波伝搬特性データとして、座標インデックス値(方位検出情報)にて特定される位置毎に、到来方向測定器43にて測定した電波の受信強度を数値化したものを、到来方向インデックス値で表される全ての到来方向(位置検出情報)について記憶する。
【0068】
一方、データベース管理装置10では、図4(b)に示すように、各データ収集用移動局TDa〜TDcから獲得した電波伝搬特性データに基づき、座標インデックス値が同じであるもの(図では座標(1,2)を参照)毎に、到来方向インデックス値で表される到来方向毎の受信強度をそれぞれ積算し(場合によっては更に平均化又は正規化し)たものを記憶し、これを指向性制御データとする。
【0069】
この指向性制御データを用いれば、座標インデックス値(位置情報ともいう)にて特定される位置毎に、受信強度を表す数値が最も大きくなる到来方向インデックス値(方位情報ともいう)を選択し、この到来方向インデックス値にて特定される方位にアンテナの指向性を向けることにより、基地局Bとの間の無線通信を良好な通信品質で行うことが期待できるのである。つまり、受信強度を表す数値が、そのまま方位情報の優先度を表す優先情報となっており、数値が大きいほど優先度が高いことを表している。
【0070】
なお、到来方向(rの数)は、到来方向測定器の方位分解能に余裕がある場合、できるだけ細かく分けておくことが望ましい。これは、将来的に、アンテナの性能が向上して詳細な指向性制御が可能となった場合に、新たにデータを取り直す必要がなく、過去に蓄積したデータを有効利用できるからである。
【0071】
次に、本実施形態の無線通信システムのうち、通信用移動局TC基地局Bとの間で行われるユーザデータの送受信機能に関する構成について説明する。
図5は、このユーザデータ送受信機能を実現するために必要な構成、即ち、通信用移動局TC,基地局Bの通信装置20,及びデータベース管理装置10の構成を表すブロック図である。
【0072】
図5に示すように、基地局Bに設けられた通信装置20は、無指向性のアンテナ21と、通信用移動局TCへの送信データにより搬送波を変調して送信信号を生成する送信器22と、受信信号を復調して通信用移動局TCからの受信データを生成する受信器23と、送信器22からの送信信号をアンテナ21に供給すると共に、アンテナ21からの受信信号を受信器23に供給する方向性結合器24と、指向性制御データを格納する共通データ記憶手段としての記憶装置25と、通信回線Lを介してデータベース管理装置10との通信を行うインタフェース回路26と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、通信用移動局TCとの間で送受されるユーザデータに基づく各種処理の他、記憶装置25の内容をデータベース管理装置10にて生成された最新の指向性制御データに更新する等の処理を実行する制御回路27とを備えている。
【0073】
なお、本実施形態では、通信装置20のアンテナ21として無指向性のものを用いることにより、この単一のアンテナ21にて全方位角(360°)をカバーするように構成されているが、例えば基地局BをN個の通信装置20により構成し、各通信装置のアンテナの指向性を、それぞれが所定方位角360°/Nずつカバーするように設定してもよい。
【0074】
一方、通信用移動局TCは、指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の指向性アンテナ及び一つの無指向性アンテナからなるアンテナ部51と、基地局Bの通信装置20への送信データにより搬送波を変調して送信信号を生成する送信器52と、アンテナ部51からの受信信号を復調して受信データを生成する受信器53と、送信器52からの送信信号をアンテナ部51に供給すると共に、アンテナ部51からの受信信号を受信器53に供給する方向性結合器54と、選択信号SELに従ってアンテナ部51を構成するいずれか一つのアンテナを使用可能とすることにより、アンテナ部51の指向性を制御する指向性制御回路55とを備えている。
【0075】
また、通信用移動局TCは、受信器53にて復調された受信データを監視して通信品質を測定する通信品質測定器56と、GPS受信器を備えた位置検出器57と、指向性制御データを格納するための記憶装置58と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、送信器52及び受信器53を用いて基地局Bの通信装置20との間でユーザデータの送受を行う通信制御処理の他、位置検出器57,通信品質測定器56,及び記憶装置58に記憶された指向性制御データ等に基づいて、選択信号SELの生成や電波伝搬特性データの収集等を行う指向性制御処理(後述する)を実行する制御回路59とを備えている。
【0076】
更に、通信用移動局TCは、図示しないが、各種指令を入力するための操作キー等を備えた入力装置や、当該通信用移動局TCの操作手順や基地局Bとの無線通信により獲得した各種データを表示するための表示装置等も備えている。
なお、データ収集用移動局TDの場合と同様に、当該通信用移動局TCを搭載する車両が、ナビゲーション装置を備えている場合は、これを位置検出器57として用いてもよい。
【0077】
また、通信品質測定器56は、受信データ中に含まれる既知のビットパタンからなるパイロット信号のビット誤り率を測定し、その測定結果から通信品質を推定するように構成されている。但し、通信品質測定器56は、これに限らず、受信信号のSN比やCN比を測定し、その測定結果から通信品質を推定するものを用いてもよい。
【0078】
ここで、通信用移動局TCの制御回路59が実行する指向性制御処理を、図6〜8に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本処理は、制御回路59への電源投入後、繰り返し起動されるものとする。
本処理が起動されると、図6に示すように、まずS110では、位置検出器57から自局の現在位置を表す位置検出情報を取得し、続くS120では、本処理とは別途実行される通信制御処理の実行状態から、現在通信中であるか否かを判断し、通信中でなければS130に移行する。
【0079】
S130では、図示しない入力装置を介して入力される指令により、又は後述するS240,S260等の処理により、基地局Bとの通信開始を要求する通信開始要求が設定されているか否かを判断し、設定されていなければS140に移行して、後述するデータベース更新処理を実行後、本処理を終了する。
【0080】
一方、通信開始要求が設定されている場合には、S150に移行して後述するアンテナ指向性設定処理を行い、続くS160にて、通信制御処理を起動して本処理を終了する。
先のS120にて、現在通信中であると判定された場合には、S170に移行して、S110にて取得した位置検出情報に基づき、当該通信用移動局TCが先にアンテナ指向性の設定或いは切換を行った後、単位距離以上移動したか否かを判断し、単位距離以上移動していなければそのまま本処理を終了する。一方、単位距離以上移動している場合には、S180に移行して後述するアンテナ指向性切換処理を行った後、本処理を終了する。
【0081】
つまり、ユーザデータの通信が行われていない時には、データベース更新処理を行い、通信開始の要求がある時には、アンテナ指向性設定処理を行った後、通信を開始し、以後、通信中である間、単位距離を移動する毎に、アンテナ指向性切換処理を行うようにされている。
【0082】
ここで先のS140にて実行されるデータベース更新処理について、図7に示すフローチャートに沿って詳細に説明する。
本処理が起動されると、図7に示すように、まずS210では、先のS110にて取得した位置検出情報に基づいて記憶装置58に記憶された指向性制御データのデータベース(以下、単に「データベース」とよぶ)を検索し、この位置検出情報に対応する位置情報を有した指向性制御データを取得する。
【0083】
続くS220では、検索の結果、目的の指向性制御データを取得できたか否かを判断し、目的の指向性制御データがデータベースに登録されておらず、これを取得できなかった場合には、S270に移行する。
S270では、指向性制御回路55にて選択されるアンテナ(但し指向性アンテナのみ)が順次切り換わるように選択信号SELを出力して、各アンテナ毎の通信品質を通信品質測定器56にて測定し、その測定結果に基づき、最も通信品質の優れた(即ち、ビット誤り率の低い)受信データが得られたアンテナの指向方向を電波到来方向として検出する。
【0084】
続くS280では、検出した電波到来方向を方位検出情報とし、先のS110にて取得した位置検出情報と関連づけて両情報を電波伝搬特性データとして記憶装置58の所定エリアに記憶すると共に、この電波伝搬特性データに基づく新たな指向性制御データをデータベースに登録した後、本処理を終了する。
【0085】
一方、先のS220にて、目的の指向性制御データがデータベースに登録されており、これを取得できた場合には、S230に移行する。
S230では、データベースの更新要求があるか否かを判断し、更新要求がなければそのままS250に移行し、一方、更新要求があれば、データベース更新情報受信要求を基地局Bに送信するために、通信開始要求の設定を行った後、S250に進む。
【0086】
なお、データベースの更新要求は、当該通信用移動局TCの使用者が、入力装置を介して、その旨を表す指令を入力することで設定される他、定期的又は決められたタイミング(例えば電源投入時)で設定されるように構成してもよい。
S250では、S280にて収集され未だ基地局Bに転送されていない電波伝搬特性データの有無を判断し、そのような電波伝搬特性データがない場合には、本処理を終了し、一方、そのような電波伝搬特性データがある場合には、S260に移行して、この収集された電波伝搬特性データの基地局Bに送信するために、通信開始要求の設定を行った後、本処理を終了する。
【0087】
つまり、データベース更新処理では、現在位置に対応する指向性制御データがデータベースに登録されていない場合、電波伝搬特性データの収集を行い、この収集した電波伝搬特性データを、自身の持つデータベースに反映するようにされている。また、電波伝搬特性データの収集を行う必要がない場合には、その空き時間を利用して、収集した電波伝搬特性データの基地局Bへの転送や、必要に応じて基地局Bからデータベース更新情報の獲得を行うようにされている。
【0088】
そして、データベース更新情報受信要求を受信した基地局Bの通信装置20は、その記憶装置25に記憶されている最新の指向性制御データを、通信用移動局TCに対して返送し、これを受信した通信用移動局TCは、その記憶装置58のデータベースの内容を、基地局Bから獲得した指向性制御データによって更新する。
【0089】
また、通信用移動局TCから電波伝搬特性データを受信した基地局Bの通信装置20では、この受信した電波伝搬特性データを、インタフェース回路26を介してデータベース管理装置10に転送する。
更に、各基地局Bから電波伝搬特性データの転送を受けるデータベース管理装置10では、これら新たに収集された電波伝搬特性データに基づいて、自身の持つ記憶装置16に記憶された指向性制御データのデータベースを更新する、共通データ更新手段としての処理を実行するように構成されている。
【0090】
次に、先のS150にて実行されるアンテナ指向性設定処理について、図8に示すフローチャートに沿って詳細に説明する。
本処理が起動されると、図8に示すように、まずS310では、先のS110にて取得した位置検出情報に基づいてデータベースを検索し、この位置検出情報に対応する位置情報を有した指向性制御データを取得する。
【0091】
続くS320では、検索の結果、目的の指向性制御データを取得できたか否かを判断し、これを取得できなかった場合にはS380に移行して、指向性制御回路55にて無指向性アンテナが選択され、アンテナ部51の指向性が無指向となるように選択信号SELを設定して本処理を終了する。
【0092】
一方、目的の指向性制御データを取得できた場合には、S330に移行し、取得した指向性制御データに基づき、最も重み付け値(受信強度)の大きい到来方向を第1候補とし、これに最も近い方向に指向性が向いている指向性アンテナが指向性制御回路55にて選択されるように選択信号SELを設定することにより、アンテナ部51の指向性を設定する。以下、重み付け値の大きい順に第2候補,第3候補,…とする。
【0093】
続くS340では、通信品質測定器56での測定結果に基づき、現在使用中のアンテナを用いた通信の通信品質が良好(ビット誤り率が所定値以下)であるか否かを判断し、良好であればそのまま、つまりアンテナの設定を現設定に保持したまま本処理を終了する。
【0094】
一方、通信品質が良好でない場合には、S350に移行し、先のS310にて取得した指向性制御データに基づき、次候補があるか否かを判断し、次候補があればS360に移行して、この候補に基づいて先のS330の場合と同様に、指向性アンテナを選択することにより、アンテナ部51の指向性を設定して、S340に戻る。
【0095】
また、S350にて次候補がなければ、S370に移行し、制御に用いた指向性制御データを削除した後、S390に移行して、アンテナ部51の指向性を無指向に設定後、本処理を終了する。
次に、先のS180にて実行されるアンテナ指向性切換処理は、上述のアンテナ指向性設定処理から、S340〜S370の処理を省略しただけで、それ以外は全く同様である。即ち、本処理は、通信中におけるアンテナ指向性の切換を行うものであり、切換によって通信が中断されることのないようにする必要があるため、指向性制御データを取得できた場合には、短時間で切換が終了するように、第2候補以下を用いることなく第1候補のみを用いてアンテナ部51の指向性を設定しているのである。
【0096】
なお、本実施形態において、記憶装置58が制御データ記憶手段、位置検出器57が位置検出手段、通信品質測定器56が通信品質測定手段、S210,S310が制御データ抽出手段、S150,S180が指向性制御手段、S230,S240が更新手段、S270が到来方向検出手段、S280が部分更新手段、S250,S260が特性データ伝送手段に相当する。
【0097】
以上説明したように本実施形態の無線通信システムにおいては、通信用移動局TCは、検出した自局の位置に基づいてデータベースを検索することにより、指向性制御データを抽出し、この指向性制御データの内容に従ってアンテナの指向性を向けるべき方向を制御するようにされている。
【0098】
従って、本実施形態の無線通信システムによれば、通信用移動局TCは、位置を検出する毎に、複雑な電波の伝搬経路の計算を行うことなく、簡単に電波の到来方向についての情報を得ることができるため、自身の移動に対して追従性よくアンテナの指向性を制御することができる。その結果、基地局Bとの間で安定した無線通信を行うことができる。
【0099】
しかも、本実施形態において、通信用移動局TCは、アンテナ部51の指向性を向けるべき方向の候補が複数ある場合には、その中から、所望の通信品質を確保できるものを実測により選択しているため、より高品質な通信を行うことができる。しかも、所望の通信品質を確保できない場合には、アンテナ部51の指向性を無指向として最低限の通信品質を確保するようにされているので、通信不能となる可能性が低く、信頼性の高い通信を実現できる。
【0100】
また、本実施形態の無線通信システムにおいて、通信用移動局TCは、基地局Bの通信装置20の記憶装置25に蓄積されている指向性制御データを、基地局Bとの無線通信によって任意に獲得できるようにされているので、自局TCの記憶装置58に記憶されたデータベースの内容を最新のものに簡単に更新することができる。
【0101】
更に、本実施形態の無線通信システムにおいて、通信用移動局TCは、電波伝搬特性データを収集し、これを自身の記憶装置58に記憶されたデータベースに反映させることができるようにされているので、当該通信用移動局TCの使用者がよく立ち寄る場所等では、詳細且つ現状を反映した正確な指向性制御データが得られることになり、使い込むほど使用者にとっての使い勝手を向上させることができる。
【0102】
また更に、本実施形態の無線通信システムでは、この通信用移動局TCが収集した電波伝搬特性データを、無線通信を介して基地局Bの通信装置20、ひいてはデータベース管理装置10に転送できるようにされているので、通信装置20やデータベース管理装置10では、この不特定多数の通信用移動局TCから供給される現在の建物等の状況を反映した電波伝搬特性データに基づいて、指向性制御データのデータベースを、正確で詳細なものに、速やか且つ簡単に更新することができる。
【0103】
また、本実施形態の無線通信システムでは、データ収集用移動局TDに基地局Bの通信エリア内を移動させることにより、通信エリア内における各地点の電波伝搬特性データを簡単且つ大量に収集することができるため、例えば、新たに高層建造物が建造された場合には、その周辺にてデータ収集用移動局TDに電波伝搬特性データを収集させることにより、この建造物による電波到来方向の変化を指向性制御データのデータベースに速やかに反映させることができる。また例えば、無線通信システムのサービスを新たに開始する場合には、サービス開始前にデータ収集用移動局TDを用いることで、サービス開始時に必要なデータベースを簡単に作成できる。
【0104】
なお、本実施形態において、データ収集用移動局TDは、通信装置20とは別途設けたデータ収集用送信装置30から送信された電波を用いて電波伝搬特性データを収集しているが、通信装置20がデータ収集用送信装置30を兼ねるように構成してもよい。この場合、基地局Bの構成を簡易化できる。
【0105】
また、本実施形態では、複数の基地局Bが同じデータベース管理装置10を共用するように構成されているが、基地局Bとデータベース管理装置10とを一体に設け、各基地局Bがそれぞれ個別のデータベース管理装置10を持つように構成してもよい。
【0106】
更に、本実施形態では、データ収集用移動局TDからデータベース管理装置10への電波伝搬特性データの転送を、ケーブルを介した有線通信によって行っているが、これに限らず、光通信や近接電磁界を用いた非接触の方法で行ってもよい。
【0107】
また、データ収集用移動局TDのインタフェース回路46及びデータベース管理装置10の対移動局インタフェース回路12を、基地局Bとの通信に用いる周波数帯とは異なる周波数帯を用いて無線通信を行う通信器にて構成し、データ収集用移動局TDがデータベース管理装置10の設置場所まで移動しなくても、収集したデータを適宜転送できるようにしてもよい。この場合、データ収集用移動局TDでは、収集データ記憶用の記憶容量を削減できる。
【0108】
また更に、本実施形態では、通信用移動局TCのアンテナ部51が、指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の指向性アンテナと一つの無指向性アンテナとにより構成されているが、複数の指向性アンテナの代わりに、データ収集用移動局TDの受信アンテナ部41と同様のアレイアンテナを用いて構成してもよい。
【0109】
逆に、データ収集用移動局TDの受信アンテナ部41を、指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の指向性アンテナにより構成してもよい。
このように複数の指向性アンテナを用いて電波の到来方向を測定する場合、各アンテナでの受信強度に基づいて、電波の到来方向をアンテナ数以上の方向に分解して求めることができる。即ち、例えば、図17(a)に示すように、隣接する二つのアンテナd,eの間から電波が到来する場合、予め求められた両アンテナd,eの指向特性(図17(b))を参照し、両アンテナd,eでの受信強度の関係と一致する部分を見つけることにより、電波の到来方向が細かく求められることになる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
【0110】
本実施形態では、通信用移動局TCにて行う指向性制御処理が一部異なるだけであるため、この処理についてのみ説明する。
但し、本実施形態において、基地局Bの通信装置20と通信用移動局TCとの間の無線通信にて送受されるデータは十分に短く、通信中にアンテナ部51の指向性を変更する必要がないものとする。
【0111】
図9は、本実施形態における指向性制御処理を表すフローチャートである。
図9に示すように、本実施形態の指向性制御処理は、第1実施形態における指向性制御処理(図6参照)から、S120,S170,S180が省略されている以外は、全く同様である。
【0112】
即ち、本処理が起動されると、まずS410にて、位置検出器57から位置検出情報を取得し、続くS420では、基地局Bとの通信開始を要求する通信開始要求が設定されているか否かを判断し、設定されていなければS430に移行して、データベース更新処理を実行後、本処理を終了する。
【0113】
一方、通信開始要求が設定されている場合には、S440に移行してアンテナ指向性設定処理を行い、続くS450にて、通信制御処理を起動して本処理を終了する。
ここで、S430にて実行されるデータベース更新処理は、第1実施形態のS140における処理(図7参照)と全く同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0114】
次に、S440にて実行されるアンテナ指向性設定処理を、図10に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本処理は、第1実施形態のS150における処理(図8参照)とは、処理の一部が異なっているだけであるため、この相違する部分を中心に説明する。
【0115】
図10に示すように、本処理において、S510〜S570は、それぞれS310〜S370に対応しており、S520(S320)にて否定判定された場合、及び、S570(S370)の後の処理のみが異なっている。
即ち、本処理では、S510でのデータベース検索の結果、目的の指向性制御データを取得できなかった場合(S520−NO)、又は、通信品質が良好となるアンテナ指向性の候補がなく(S570−NO)、制御に用いた指向性制御データを削除(S570)後に、S580に進む。
【0116】
そして、S580及び続くS590では、先のS270及びS280での処理と全く同様に、電波到来方向を検出(S580)し、その検出結果に基づいて電波伝搬特性データを生成すると共に、この電波電波特性データに基づいてデータベースに新たな指向性制御データを登録(S590)した後、S530に進む。
【0117】
以上説明したように、本実施形態の無線通信システムにおいて、通信用移動局TCは、位置検出情報に対応する指向性制御データがデータベースに登録されていない場合、まず電波の到来方向の測定(電波伝搬特性データの生成)を行って、その測定結果に基づいて、現在位置についての指向性制御データをデータベースに登録してから通信を開始するようにされている。従って、本実施形態によれば、通信用移動局TCは、指向性制御データを自律的に蓄積できるため、インテリジェントな通信システムを実現することができる。
【0118】
また、本実施形態の無線通信システムにおいては、アンテナ部51の指向性を無指向に制御する必要がないため、アンテナ部51から無指向性アンテナを省略することができ、装置構成の簡易化を図ることができると共に、基地局Bとの無線通信時には、アンテナ部51の指向性が必ず電波の到来方向に向いた状態となるため、常に優れた通信品質を実現できる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0119】
本実施形態の無線通信システムは、第1実施形態のものとは、通信用移動局TCの構成、及び制御回路59にて実行される指向性制御処理の内容が一部異なっているだけであるため、この相違する部分を中心に説明する。
図11は、本実施形態における通信用移動局TCxの全体構成を表すブロック図である。
【0120】
図11に示すように、本実施形態において、通信用移動局TCxは、第1実施形態のもの(図5参照)から通信品質測定器56を省略した以外は、全く同様に構成されている。
つまり、本実施形態では、通信用移動局TCxは、通信品質測定器56を備えていないため、電波の到来方向を検出することができず、従って、指向性制御処理では、この到来方向の検出に関する処理が省略されることになる。
【0121】
具体的には、S140のデータベース更新処理(図7参照)を、S210,S220,S250〜S280が削除された、S230,S240のみを行う処理となるように、即ち、更新要求があればその旨を表す送信開始要求の設定のみを行うように変更すればよい。
【0122】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信用移動局TCxは、電波伝搬特性データの収集を行うことができず、自身の持つデータベースを自律的に更新したり、収集した伝搬伝搬特性データを基地局Bに転送できない以外は、第1実施形態の場合と全く同様の作用効果を得ることができる。
【0123】
また、電波の到来方向を検出するための構成が不要なため、装置構成の簡易化を図ることができる。
なお、第1実施形態における通信用移動局TCと、本実施形態における通信用移動局TCxとを、同じ通信システム内に混在させてもよいことは言うまでもない。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
【0124】
本実施形態の無線通信システムでは、第1実施形態とはデータ収集作成機能に関する構成が異なっているだけであるため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
図12は、本実施形態の無線通信システムの全体構成を表すブロック図である。 図12に示すように、本実施形態の無線通信システムは、第1実施形態と同様に、任意に移動可能な移動局T(TC,TS)と、マイクロ波帯の電波を用いて自局の通信エリア内に存在する移動局Tとの無線通信を行う基地局Bと、各基地局Bと通信回線Lを介して接続され、移動局Tが基地局Bとの通信を行う際にアンテナの指向性を向けるべき方向を制御するために用いる指向性制御データを生成,管理するデータベース管理装置10aとを備えている。
【0125】
なお、移動局Tは、一般の利用者がユーザデータの通信に用いる通信用移動局TCの他に、電波伝搬特性データの収集のために、基地局B向けに電波Wsの送信を行うデータ収集用移動局TSがあり、いずれも車両に搭載されている。
そして、基地局Bは、通信用移動局TCとの無線通信を行う通信装置20と、データ収集用移動局TSからの送信電波Wsを受信することにより電波伝搬特性データを生成するデータ収集用受信装置60とを備え、通信装置20及びデータ収集用受信装置60のいずれもが、通信回線Lを介したデータベース管理装置10aとの通信が可能なように構成されている。
【0126】
以下、第1実施形態とは異なるデータ収集作成機能に関する構成について説明する。図13は、このデータ収集作成機能を実現するために必要な構成、即ち、データ収集用移動局TS,基地局Bのデータ収集用受信装置60,及びデータベース管理装置10aの構成を表すブロック図であり、これらが本発明の指向性制御データ生成装置における送信部,受信部,制御データ生成部にそれぞれ相当する。
【0127】
図13に示すように、データ収集用移動局TSは、無指向性の送信アンテナ71と、通信装置20及び通信用移動局TC間の無線通信にて使用されるものと同じ周波数帯の電波Wdを送信アンテナ71を介して送信する送信器72と、GPS受信器を備えた位置検出器73と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、位置検出器73から取得した位置検出情報を送信データとして、送信器72に供給する制御回路74とを備えている。なお、当該データ収集用移動局TSを搭載する車両が、ナビゲーション装置を備えている場合は、これを位置検出器73として用いてもよい。
【0128】
一方、基地局Bのデータ収集用受信装置60は、受信アンテナ部61,受信器62,到来方向測定器63,記憶装置64,制御回路66を備えており、これらは、第1実施形態のデータ収集用移動局TDを構成する受信アンテナ部41,受信器42,到来方向測定器43,記憶装置45,制御回路47と全く同様に構成されている。
【0129】
また、データ収集用受信装置60は、これらの構成に加えて、通信回線Lを介してデータベース管理装置10aとの通信を行うためのインタフェース回路65を備えている。
このように構成されたデータ収集用受信装置60では、基地局Bの通信エリア内を移動するデータ収集用移動局TSからの電波Wsを受信すると、制御回路66が、受信器62が受信信号を復調することで受信データ、即ちデータ収集用移動局TSの現在位置を表す位置検出情報を抽出し、この位置検出情報を、到来方向測定器63が検出した電波の到来方向を表す方位検出情報と共に電波伝搬特性データとして記憶装置64に格納する処理を実行する。
【0130】
また、制御回路66は、記憶装置64に格納された電波伝搬特性データを、適宜、インタフェース回路65を介してデータベース管理装置10aに転送する処理等も実行する。
次に、データベース管理装置10aは、第1実施形態のデータベース管理装置10とは、構成が一部異なっているだけであり、即ち、対移動局インタフェース回路12が削除され、代わりに基地局B周辺の建物の位置や大きさ等が記録された建物情報のデータベースを記憶する記憶装置17が設けられている。
【0131】
そして、制御回路18では、対基地局インタフェース回路14を介してデータ収集用受信装置60から電波伝搬特性データが転送されてくると、この電波伝搬特性データと記憶装置17に記憶された建物情報とに基づき、電波伝搬特性データの位置検出情報により特定される地点にて、基地局Bから送信された電波を受信した場合の電波の到来方向を推定し、更に、この推定された電波の到来方向と位置検出情報とに基づいて、指向性制御データを作成する処理を実行する。
【0132】
なお、この推定された電波の到来方向が、第1実施形態における方位検出情報と同等なものとなるため、この推定された電波の到来方向と位置検出情報とに基づいて、第1実施形態の場合と同様に指向性制御データを作成することが可能となるのである。
【0133】
ここで、電波Wsを送信した移動局TSの位置を表す位置検出情報と、電波Wsを受信した基地局Bでの電波Wsの到来方向を表す方位検出情報とからなる電波伝搬特性データを用いて、位置検出情報で特定される地点での電波到来方向を求める方法について説明する。
【0134】
図14は、この算出方法を説明するための模式図であり、基地局Bと移動局Tとの間の電波の伝搬経路を表している。本実施形態の無線通信システムにおいて、データベース管理装置10aの制御回路18は、移動局Tの位置検出情報Pと、移動局Tから送信された電波の到来方向を表す方位検出情報θとに加えて、建物Kの位置や大きさを表す建物情報を得ることができる。
【0135】
そして、制御回路18では、方位検出情報αに従って、基地局Bの位置から電波の到来方向に向かった経路R1上に移動局T(位置P)が存在するか否かを調べ、存在しなければ、建物情報のデータベースを検索することにより、経路R1上に位置する建物K1を抽出する。次に、この抽出された建物K1での電波の反射方向を求め、その反射方向に向かった経路R2に対して上述の処理を施す。これを繰り返すことにより、移動局Tの位置Pに至る経路を見い出すことができれば、位置Pにおける基地局Bが送信した電波の到来方向βを特定できるのである。
【0136】
なお、実線は一つの建物K1に反射する場合、点線は二つの建物K1’,K2’に反射する場合の電波の伝搬経路を示す。
以上、説明したように、本実施形態の無線通信システムにおいては、データ収集用移動局TS側から位置検出情報を重畳した電波Wsを送信し、基地局Bに設けたデータ収集用受信装置60にて、電波Wsに重畳された位置検出情報を抽出すると共に、その電波Wsの到来方向を表す方位検出情報を求めることにより、電波伝搬特性データを生成するようにされている。
【0137】
従って、本実施形態の無線通信システムによれば、データ収集用移動局TSに、電波伝搬特性データを記憶する記憶装置や、記憶した電波伝搬特性データをデータベース管理装置に転送するための構成を設ける必要がないため、データ収集用移動局TSの装置構成を簡略化できる。
【0138】
また、本実施形態において、データベース管理装置10aの制御回路18では、建物情報だけでなく、基地局Bにおける電波の到来方向αも用いて伝搬経路を求めているため、単に建物情報だけから伝搬経路を求める場合と比較して、予想され得る伝搬経路を大幅に絞り込むことができ、その結果、必要な計算量を大幅に減少させることができるため、短時間で伝搬経路を求めることができ、また、伝搬経路の計算を行うための演算装置も、比較的低速な用いることができるため、装置を安価に構成できる。
【0139】
なお、本実施形態では、複数の基地局Bにてデータベース管理装置10aを共用するように構成されているが、各基地局B毎にデータベース管理装置10aを設けてもよい。この場合、制御回路66,18や記憶装置64,16等を共通化してもよい。
【0140】
また、本実施形態では、基地局Bを構成する通信装置20とデータ収集用受信装置60とが、それぞれ独自に制御回路,記憶装置,インタフェース回路を備えているが、これらを共通化してもよい。
更に、本実施形態では、建物情報をデータベース管理装置10aに設けたが、各データ収集用受信装置60に設け、データ収集用受信装置60の制御回路にて、電波の伝搬経路の計算を行うようにしてもよい。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。
【0141】
本実施形態の通信システムは、第4実施形態と同様に、データ収集作成機能に関する構成のみが、第1実施形態とは異なっており、第4実施形態と同様に、データ収集用移動局が電波を送信し、基地局Bのデータ収集用受信装置が、この電波を受信して電波伝搬特性データを生成する構成となっている。
【0142】
なお、全体構成は図12に示されたものと同様であるので説明を省略する。
ここで、図15は、本実施形態に特徴的なデータ収集作成機能のための構成、即ち、データ収集用移動局TSa,基地局Bのデータ収集用受信装置80,及びデータベース管理装置10bの構成を表すブロック図である。
【0143】
図15に示すように、データ収集用移動局TSaは、第4実施形態のデータ収集用移動局TSと同様に構成された送信器72,位置検出器73,制御回路74に加えて、指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数のアンテナ(a〜e)からなるアンテナ部75と、アンテナ部75を構成するアンテナのいずれか一つを、選択信号SELに従って送信器72に接続する切換スイッチ76とを備えている。
【0144】
一方、基地局Bのデータ収集用受信装置80は、無指向性又は指向性の広いアンテナ81と、アンテナ81での受信信号を復調して受信データを生成する受信器82と、受信器82にて復調された受信データを監視して通信品質を測定する通信品質測定器83と、電波伝搬特性データを記憶するための記憶装置84と、通信回線Lを介してデータベース管理装置10bとの通信を行うためのインタフェース回路85と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、受信器82にて復調された受信データ、及び通信品質測定器83での測定結果に基づいて、電波伝搬特性データを生成する制御回路86とを備えている。
【0145】
また、データベース管理装置10bは、第1実施形態のデータベース管理装置10から、対移動局インタフェース回路12を削除した構成となっている。
そして、データ収集用移動局TSaの制御回路74では、電波を送信するアンテナが周期的且つ順番に切り替わるように、選択信号SELを生成すると共に、位置検出器73から取得した位置検出情報,進行方向を表す進行方向情報、及び現在使用中のアンテナを識別するためのアンテナ識別情報を送信データとして送信器72に供給する処理を実行する。
【0146】
これによりデータ収集用移動局TSaから送出された電波を受信したデータ収集用受信装置80では、制御回路86が、受信器82にて復調された受信データからデータ収集用移動局TSaによるアンテナの切換タイミングを検出し、切換タイミングにより区切られた期間毎に、通信品質測定器83にて測定された通信品質を比較する。そして、この通信品質が最良となる期間に復調された受信データから、位置検出情報,進行方向情報,アンテナ識別情報を抽出し、更に、抽出したアンテナ識別情報及び進行方向情報に基づき、データ収集用移動局TSaでの電波の送出方向を求めたものを方位検出情報とし、この方位検出情報と位置検出情報とを電波伝搬特性データとして記憶装置84に格納する処理を実行する。
【0147】
即ち、電波の伝搬経路は伝搬方向によって変化することがないため、移動局TSaから送出され基地局Bに到達した電波の送出方向を、基地局Bから送出された電波の到来方向とすることができるのである。
また、データ収集用受信装置80の制御回路86は、記憶装置84に格納された電波伝搬特性データを、適宜、インタフェース回路85を介してデータベース管理装置10bに転送する処理を実行する。
【0148】
これにより、対基地局インタフェース回路14を介してデータ収集用受信装置80から電波伝搬特性データの転送を受けたデータベース管理装置10bの制御回路18では、第1実施形態の場合と全く同様に、この電波伝搬特性データに基づいて指向性制御データを作成して記憶装置16に格納する処理を実行する。
【0149】
以上説明したように、本実施形態の無線通信システムにおいては、データ収集用移動局TSaから送出方向を変化させながら電波を送信し、基地局B(データ収集用受信装置80)側にて電波が良好に受信された時の送出方向を特定することにより、その地点にて、逆に基地局B側から電波が送出された時の電波の到来方向を特定するようにされている。
【0150】
従って、本実施形態によれば、建物情報に基づく電波の伝搬経路の算出を行うことなく、電波の到来方向を求めることができ、電波伝搬特性データを生成するデータ収集用移動局TSaの制御回路86が行う処理を簡素化することができる。
【0151】
ところで、本実施形態では、搬送波を変調する送信データにアンテナ識別情報を含めることにより、アンテナ識別情報を電波に重畳しているが、例えば、他の送信データによる変調信号を送出する前に、アンテナ識別情報に応じたパターンにて、電波を断続送信することで、アンテナ識別信号を電波に重畳してもよい。なお、図16には、アンテナa〜eに、それぞれ2進数の1〜5に相当するパターンを対応させた例を示す。
【0152】
以上本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、データ収集用移動局TDやデータ収集用受信装置60,80によって収集,作成される電波伝搬特性データにおいて、到来方向インデックス毎に受信強度(ビット誤り率)をそのまま記録するようにされているが、図18(a)に示す電波強度に対するスコアの対応表を用い、この対応表によって得られたスコアを、図18(b)に示すように、電波強度の代わりに記録するようにしてもよい。
【0153】
なお、ここでは、対応表として、電波強度が強い順に上位5番目までに対して、上位5番目までに対して、順に10,5,3,1のスコアを対応させ、それ以外は全て0を対応させたものを示している。
これは、電波伝搬特性データを生成する装置の方位解像度(近接した二つの異なる方向を見分ける能力)が低い場合、信号強度をそのまま記録すると、複数の到来方向について、同様な値が並んでしまい、どの方位情報を優先的に選択してよいか特定できない場合が考えられる。そのため、受信強度に大きな差がない場合では、スコアに差をつけることにより、優先順位を明確化しているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の無線通信システムの全体構成を表すブロック図である。
【図2】 データ収集作成機能に関する構成を表すブロック図である。
【図3】 電波伝搬特性データ及び指向性制御データに用いる座標インデックス及び方位インデックスについての説明図である。
【図4】 電波伝搬特性データ及び指向性制御データの内容を表す説明図である。
【図5】 通信機能に関する構成を表すブロック図である。
【図6】 指向性制御処理の内容を表すフローチャートである。
【図7】 データベース更新処理の内容を表すフローチャートである。
【図8】 アンテナ指向性設定処理の内容を表すフローチャートである。
【図9】 第2実施形態における指向性制御処理の内容を表すフローチャートである。
【図10】 第2実施形態におけるアンテナ指向性設定処理の内容を表すフローチャートである。
【図11】 第3実施形態における通信用移動局の構成を表すブロック図である。
【図12】 第4実施形態の無線通信システムの全体構成を表すブロック図である。
【図13】 第4実施形態におけるデータ収集作成機能に関する構成を表すブロック図である。
【図14】 第4実施形態における電波到来方向の算出方法を表す説明図である。
【図15】 第5実施形態におけるデータ収集作成機能に関する構成を表すブロック図である。
【図16】 電波にアンテナ識別情報を重畳する方法の一例を表す説明図である。
【図17】 複数の指向性アンテナを用いた電波到来方向の算出方法を表す説明図である。
【図18】 電波伝搬特性データの作成例を表す説明図である。
【符号の説明】
10,10a,10b…データベース管理装置
12…対移動局インタフェース回路 14…対基地局インタフェース回路
16,17,25,45,58,64,84…記憶装置
18,27,47,59,66,74,86…制御回路
20…通信装置 21,81…アンテナ 22,34,52,72…送信器
23,42,53,62,82…受信器 24,54…方向性結合器
26,46,65,85…インタフェース回路
30…データ収集用送信装置 32,71…送信アンテナ
41,61…受信アンテナ部 43,63…到来方向測定器
44,57,73…位置検出器 51,75…アンテナ部
55…指向性制御回路 56,83…通信品質測定器
60,80…データ収集用受信装置 76…切換スイッチ
B…基地局 L…通信回線 T…移動局
TC,TCx…通信用移動局 TD,TS,TSa…データ収集用移動局

Claims (16)

  1. 移動局が指向性を制御可能なアンテナを用いて基地局との無線通信を行う無線通信システムにおいて、
    前記基地局は、
    前記移動局との通信が可能な通信エリア内の位置を特定する位置情報と、該位置情報にて特定される位置にて、前記移動局が前記基地局からの送信電波を受信する際に前記アンテナの指向性を向けるべき方向を示す方位情報とを対応づけてなる指向性制御データを記憶する共通データ記憶手段を備え、
    前記移動局は、
    前記指向性制御データを記憶する制御データ記憶手段と、
    当該移動局の位置を検出する位置検出手段と、
    該位置検出手段の検出結果に基づき、該検出結果に対応する指向性制御データを前記制御データ記憶手段から抽出する制御データ抽出手段と、
    該制御データ抽出手段にて抽出された指向性制御データに従って、前記アンテナの指向性を制御する指向性制御手段と、
    前記基地局との無線通信により、該基地局の共通データ記憶手段に記憶された指向性制御データを獲得し、該獲得した指向性制御データにより、前記制御データ記憶手段の記憶内容を更新する更新手段と、
    前記アンテナが受信した電波の到来方向を検出する到来方向検出手段と、
    該到来方向検出手段による検出と同時に得られた前記位置検出手段での検出結果に基づき、該検出結果に対応する指向性制御データについての前記制御データ記憶手段の記憶内容を、前記到来方向検出手段での検出結果に基づいて更新する部分更新手段と、
    を備えることを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記指向性制御手段は、
    前記位置検出手段での検出結果に対応する指向性制御データが前記制御データ記憶手段に存在せず、前記制御データ抽出手段が指向性制御データを抽出できない場合、前記アンテナの指向性を無指向に切り換えることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  3. 前記指向性制御データは、前記位置情報毎に前記方位情報が複数対応づけられ、且つ、該方位情報のそれぞれに制御時の優先度を示す優先情報が付与されたものからなり、
    前記指向性制御手段は、
    前記基地局との無線通信の通信品質を測定する通信品質測定手段を備え、前記制御データ抽出手段にて抽出された指向性制御データの方位情報のうち、前記通信品質測定手段にて測定される通信品質が、予め設定された基準レベル以上となるものの中で、前記優先情報が最も高い優先度を示す方位情報に従って前記アンテナの指向性を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線通信システム。
  4. 請求項3記載の無線通信システムにおいて、
    前記指向性制御手段は、
    前記制御データ抽出手段にて抽出された指向性制御データの方位情報のうち、前記通信品質測定手段にて測定される通信品質が、予め設定された基準レベル以上となるものが一つも存在しない場合、該抽出された指向性制御データを前記制御データ記憶手段から削除すると共に、前記アンテナの指向性を無指向に切り換えることを特徴とする無線通信システム。
  5. 請求項1ないし請求項4いずれか記載の無線通信システムにおいて、
    前記移動局は、
    前記部分更新手段が前記制御データ記憶手段の記憶内容の更新に用いた前記到来方向検出手段及び前記位置検出手段での両検出結果を電波伝搬特性データとし、該電波伝搬特性データを前記基地局との無線通信により該基地局に伝送する特性データ伝送手段を備え、
    前記基地局は、
    前記移動局から無線通信により伝送されてきた前記電波伝搬特性データに従って、前記共通データ記憶手段の記憶内容を更新する共通データ更新手段を備えることを特徴とする無線通信システム。
  6. 請求項1ないし請求項5いずれか記載の無線通信システムにおいて、
    前記到来方向検出手段は、前記基地局との無線通信にてユーザデータの伝送が行われていない待機時に、電波到来方向の検出を行うことを特徴とする無線通信システム。
  7. 請求項1ないし請求項6いずれか記載の無線通信システムにおいて、
    前記到来方向検出手段は、前記位置検出手段での検出結果に対応する指向性制御データが前記制御データ記憶手段に存在しない場合に、電波到来方向の検出を行うことを特徴とする無線通信システム。
  8. 基地局からの電波を受信する際に、移動局がアンテナの指向性を向けるべき方向を制御するために用いられる指向性制御データを生成する指向性制御データ生成装置であって、
    前記基地局に配置され、前記移動局と基地局との間で送受される周波数帯の電波を送信する送信部と、
    任意に移動可能に構成され、前記送信部から送信された電波を受信し、該電波の受信位置及び到来方向を検出して、該受信位置及び到来方向の検出結果である位置検出情報と方位検出情報とからなる電波伝搬特性データを収集する受信部と、
    該受信部が収集した電波伝搬特性データに基づき、前記移動局との通信が可能な通信エリア内の位置を特定する位置情報と、該位置情報にて特定される位置にて、前記移動局が前記基地局からの送信電波を受信する際に前記アンテナの指向性を向けるべき方向を示す方位情報とを対応づけてなる指向性制御データを生成する制御データ生成部と、
    を備えることを特徴とする指向性制御データ生成装置。
  9. 前記受信部と前記制御データ生成部とは別体に形成され、
    前記受信部は、収集した前記電波伝搬特性データを、有線通信或いは無線通信を用いて前記制御データ生成部に伝送することを特徴とする請求項8記載の指向性制御データ生成装置。
  10. 前記制御データ生成部は、
    前記受信部にて収集された前記電波伝搬特性データを、同一の位置情報に対応する前記位置検出情報毎に、同一の方位情報に対応する前記方位検出情報の値を各々積算し、該積算値が大きいほど高い優先度となる優先情報を前記方位情報に付与することにより、前記位置情報毎に優先情報付き方位情報を複数対応づけてなる指向性制御データを生成することを特徴とする請求項8又は請求項9記載の指向性制御データ生成装置。
  11. 前記送信部に、水平面における指向性が無指向となる送信アンテナを設けると共に、前記受信部に、水平面における指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の受信アンテナを設け、前記受信部は、前記送信アンテナから送信された電波を、前記複数の受信アンテナにより各々受信し、受信品質が最良となる前記受信アンテナの指向方向を、電波の到来方向として特定することを特徴とする請求項8ないし請求項10いずれか記載の指向性制御データ生成装置。
  12. 前記送信部に、水平面における指向性が無指向となる送信アンテナを設けると共に、前記受信部に、水平面における指向性が互いに重なり合うように配置された複数の受信アンテナを設け、
    前記受信部は、前記送信アンテナから送信された電波を、各受信アンテナにて同時受信し、各受信信号の強度及び位相の少なくともいずれか一方に基づき、電波の到来方向を算出することを特徴とする請求項8ないし請求項10いずれか記載の指向性制御データ生成装置。
  13. 前記送信部に、水平面における指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の送信アンテナを設けると共に、前記受信部に、水平面における指向性が無指向となる受信アンテナを設け、
    前記送信部は、前記複数の送信アンテナを予め決められたタイミングで順次切り換えながら電波を送信し、前記受信部は、前記受信アンテナでの受信品質が最良となるタイミングに基づき、電波の到来方向を特定することを特徴とする請求項8ないし請求項10いずれか記載の指向性制御データ生成装置。
  14. 前記送信部に、水平面における指向性が互いに異なる方向を向くように配置された複数の送信アンテナを設けると共に、前記受信部に、水平面における指向性が無指向となる受信アンテナを設け、
    前記送信部は、前記複数の送信アンテナを順次切り換えながら、使用した送信アンテナを特定する識別情報が重畳された電波を送信し、前記受信部は、前記受信アンテナでの受信品質が最良の時に抽出される識別情報に基づいて、電波の到来方向を特定することを特徴とする請求項8ないし請求項10いずれか記載の指向性制御データ生成装置。
  15. 基地局からの電波を受信するため移動局がアンテナの指向性を向けるべき方向を示す指向性制御データを生成する指向性制御データ生成装置であって、
    任意に移動可能に構成され、前記移動局と基地局との間で送受される周波数帯の電波を、該電波の送信位置を示す位置検出情報を重畳して送信する送信部と、
    前記基地局に配置され、前記送信部から送信された電波を受信し、該電波に重畳された前記位置検出情報を抽出すると共に該電波の到来方向を検出し、抽出された前記位置検出情報と前記到来方向の検出結果である方位検出情報とからなる電波伝搬特性データを収集する受信部と、
    該受信部が収集した電波伝搬特性データに基づき、前記移動局との通信が可能な通信エリア内の位置を特定する位置情報と、該位置情報にて特定される位置にて、前記移動局が前記基地局からの送信電波を受信する際に前記アンテナの指向性を向けるべき方向を示す方位情報とを対応づけてなる指向性制御データを生成する制御データ生成部と、
    を備えることを特徴とする指向性制御データ生成装置。
  16. 前記制御データ生成部は、前記基地局周辺に存在する建物についての位置及び大きさを少なくとも含んだ建物情報に基づき、前記受信部にて収集された前記電波伝搬特性データから、前記送信部における電波の送信方向を表す第2方位検出情報を算出し、該第2方位検出情報と前記位置検出情報とに基づいて前記指向性制御データを生成することを特徴とする請求項15記載の指向性制御データ生成装置。
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