JP4150948B2 - 液化ガス供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化ガス供給装置に係り、特に、気相の液化ガスを供給する液化ガス供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液化ガス供給装置は、液化ガスを収容する容器とこの容器内の気相部に連通するガス管路とを備えている。屋外または屋内に設置された容器に収容された液相の液化ガスは、容器周囲の外気からの熱によって気化され、生じた気相の液化ガスは、容器内の気相部に連通するガス管路を介して気相の液化ガスを使用する機器や装置類へ供給される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の液化ガス供給装置では、容器周囲の外気からの熱によって液相の液化ガスを気化して気相の液化ガスを供給するため、所定の圧力以上の圧力、例えば液化ガスを利用する機器や装置類が要求する圧力を維持して気相の液化ガスを供給することは難しい。
【0004】
このような機器や装置類として、例えば、液化ガスの代表例であるプロパンガスを中心とする液化石油ガス(以下LPガスと称する)を燃料として使用するマイクロガスタービンが挙げられる。マイクロガスタービンは、近年業務用、工業用または集合住宅用など、様々な用途に対応して、個々の需要者においてその場で、しかも必要に応じて発電を行うことが可能なオンサイト発電システムとして注目を集めている。このようなマイクロガスタービンでは、燃焼用の燃料であるLPガスの圧力が圧縮空気の圧力と同程度以上である必要があるため、LPガスの入口圧力、つまりマイクロガスタービンの要求圧力は、例えば最大約1.0MPaといったような通常のLPガスを利用する機器や装置類よりも高圧である。このため、従来の液化ガス供給装置では、所定の圧力以上の圧力を維持して気相の液化ガスを供給することは難しいため、マイクロガスタービンを十分な効率で駆動できない場合がある。
【0005】
これに対し、容器内液相部の液体を外部に取り出して、気化器により減圧して一旦気化させ、さらに気化したガスを圧縮機により圧縮して、液化ガスを燃料とするマイクロガスタービンなどの要求する圧力にすることが考えられるが、このような液化ガス供給装置では、液化ガスの減圧プロセスや昇圧プロセスのための機器や装置類を有し、そのために無駄な設備を要すると共に、この減圧プロセスや昇圧プロセスが効率的でないので好ましくない。すなわち、液化ガスは、常温で加圧することにより容易に液化することを特徴とするため、容器に2相状態で貯蔵された液化ガスは、元々加圧されている。それにも係わらず、容器内の液相部を利用することから、容器から外部に取り出した液体をいったん減圧して気体とし、再度昇圧する無駄なプロセスと、そのために無駄な装置や機器、設備などを必要とする。また、このような構成のオンサイト発電システムを特に工業用に使用する場合には、それらの装置や機器、設備などの故障の可能性、それに伴うメインテナンスの必要性など煩雑さが問題となる。
【0006】
本発明の課題は、所定の圧力以上で気相の液化ガスを供給することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の液化ガス供給装置は、液化ガスを液相部及び気相部の2相状態で収容する容器と、この容器内の気相部に連通するガス管路と、容器内の液化ガスを加熱する加熱器と、この液化ガス加熱手段を経由して第1の熱媒を循環させる循環流路と、第1の熱媒を加熱する熱媒加熱手段と、容器内またはガス管路に流入した気相の液化ガスの圧力または温度を検知する検知手段と、この検知手段によって検出した圧力または温度に応じて前記熱媒加熱手段を制御して、加熱器による容器内の液化ガスの加熱を制御する液化ガス加熱制御手段とを有し、加熱器は、上面が開口された槽と、この槽に内包されて加熱された第1の熱媒が通流する循環流路の一部を形成する熱交換用管路と、開口の周囲に載置され、容器の外面に開口の周囲を密着させる弾性を有するシール部材とを有し、槽内には、加熱された第1の熱媒の熱によって加熱される第2の熱媒が満たされ、該槽に連通させて前記第2の熱媒が充填された膨張タンクを有し、該膨張タンク内の前記第2の熱媒は、液面が前記シール部材の密着部分よりも高い位置に、かつ気相部を残して充填されてなる構成とすることにより上記課題を解決する。特に、第2の熱媒の膨張タンクを設けたことから、第1の熱媒の熱によって槽内に充填された第2の熱媒が膨張しても、その圧力を膨張タンクに逃がすことができ、槽内の圧力変動による槽と圧力容器の底部との密着部分からの槽内に満たされた熱媒の漏洩を防ぎ、第2の熱媒の補給を減らすことができる。また、第2の熱媒の液面を加熱器のシール部材の密着部分よりも高い位置に充填することにより、槽内の第2の熱媒を容器の底面の広い範囲に接触させることができ、しかも接触面積を一定に保持できるから、液化ガスを効率よく気化させて、供給ガスの発生能力を安定に維持できる。
【0015】
また、液化ガスを液相部及び気相部の2相状態で収容する容器と、この容器内の気相部に連通するガス管路と、容器内の液化ガスを加熱する加熱器と、この加熱器を経由して加熱された第1の熱媒を循環させる循環流路と、容器内またはガス管路に流入した気相の液化ガスの圧力または温度を検知する検知手段と、この検知手段によって検出した圧力または温度に応じて加熱器による容器内の液化ガスの加熱を制御する液化ガス加熱制御手段とを有し、加熱器は、上面が開口された槽と、この槽に内包されて加熱された第1の熱媒が通流する循環流路の一部を形成する熱交換用管路と、開口の周囲に載置され、容器の外面に開口の周囲を密着させる弾性を有するシール部材とを有し、槽内には、加熱された第1の熱媒の熱によって加熱される第2の熱媒が満たされ、前記槽に連通させて前記第2の熱媒が充填された膨張タンクを有し、該膨張タンク内の前記第2の熱媒は、液面が前記シール部材の密着部分よりも高い位置に、かつ気相部を残して充填されてなる構成とすることにより上記課題を解決する。
【0023】
また、液化ガス加熱制御手段は、循環流路内を循環する第1の熱媒の流量を制御するための熱媒流量制御手段を有する構成とする。また、液化ガス加熱制御手段は、検知手段で検知した圧力または温度が設定値以下のときに熱媒加熱手段と加熱器との間で第1の熱媒が循環する循環流路に設けられたポンプを駆動する構成とする。
【0024】
このような構成とすれば、容器内の液化ガスの圧力または温度に応じて、熱媒加熱手段で加熱された第1の熱媒が加熱器の流路に流入し、この第1の熱媒の熱で液化ガスが加熱されるため、液化ガスの温度が上昇すると共に液相の液化ガスの気化量が増え、ガス管路を通流する気相の液化ガスの圧力を上昇させることができる。したがって、所定の圧力以上で気相の液化ガスを供給することができる。さらに、加熱器は、熱交換用管路内の第1の熱媒の熱が槽内に満たされた熱伝達可能な第2の熱媒を介して容器に伝熱し、容器や容器内の液化ガスを加熱する。このため、第2の熱媒の組成や、第1の熱媒が通流する熱交換用管路と第2の熱媒との接触面積、第1の熱媒の流量などで伝熱効率を容易に調整できる。
【0028】
さらに、熱媒加熱手段が、容器内の気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う構成とすれば、別の燃料源を用意する必要がないので好ましい。
【0029】
また、熱媒加熱手段は、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器または装置からの廃熱と熱媒との間で熱交換を行う熱交換手段を有する構成とすれば、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器または装置からの廃熱で熱媒を加熱できるため省エネルギー性を向上できるので好ましい。
【0030】
さらに、液化ガス加熱手段が容器の外側底部に設置され、容器と液化ガス加熱器の少なくとも側面とを覆うカバーを有し、このカバーと容器との間に隙間が形成される構成とする。このような構成とすれば、液化ガス加熱手段の熱が、カバーと容器との間の隙間を上昇し、容器全体を保温または加熱することができ、さらに、外気温度や風などでの放熱による容器内の温度の変動を抑えることができるため、液化ガスの加熱効率を向上できる。
【0031】
また、熱媒加熱手段が、容器内の気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う構成とした場合、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器または装置が停止し、熱媒加熱手段も停止しているときであっても、容器から熱媒加熱手段に気相の液化ガスを導くガス管路内に容器内の気相の液化ガスが流入してくると、外気温度によっては、ガス管路内の気相の液化ガスが再液化してしまう場合がある。そこで、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器または装置が停止しているときには、ガス管路内の液化ガスの通流を、ガス管路の容器との連結部側で遮断するガス遮断手段を設けた構成とすれば、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器や装置類が停止しているときに、ガス管路に気相の液化ガスが流入するのを遮断できる。したがって、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器や装置類が停止しているときのガス管路内での気相の液化ガスの再液化量を低減できるので好ましい。
【0032】
ここで、液化ガス供給装置が気相の液化ガスを供給する装置や機器類には、供給された気相の液化ガスを燃料として燃焼を行うものがある。このような燃焼を行う装置や機器類では、燃焼によって生じた廃熱を有効利用するために、この廃熱を利用して駆動される吸収式冷凍機が設置されている場合がある。このような吸収式冷凍機には、廃熱からの熱量では、十分な駆動ができない場合に不足した熱量を補うために補助ボイラが設けられているものがある。
【0033】
したがって、熱媒加熱手段が、ガス管路を介して供給される気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器または装置の廃熱により駆動する吸収式冷凍機に設けられた補助ボイラである構成とする。このような構成とすれば、液化ガス供給装置が気相の液化ガスを供給する装置や機器類からの廃熱を利用して吸収式冷凍機を駆動できるため、気相の液化ガスを供給する装置や機器類からの廃熱を有効利用できることに加え、この吸収式冷凍機の補助ボイラを熱媒加熱手段として用いれば、補助ボイラの廃熱で熱媒を加熱することができるため、省エネルギー性を向上することができる。
【0034】
ところで、液化ガスを収容する容器のような圧力容器を加熱または保温する必要がある場合、圧力容器や圧力容器の内容物を効率よく加熱するために、圧力容器の底部に加熱器を取り付ける。例えば、液化ガス供給装置では、所定の圧力以上の圧力で気相の液化ガスをこの気相の液化ガスを利用する設備や機器などに供給するため、液化ガスを収容した容器の底部に加熱器を取り付ける構成とする場合がある。このとき、液化ガスを収容する容器のように、圧力容器がガス蒸気危険場所に設置される場合、電気機器などを伴う加熱器を用いる場合には、防爆構造に対応した電気機器などを用いる必要がある。このため、加熱器の構造が複雑になる上、コストが増大してしまう。したがって、ガス蒸気危険場所に設置される場合であっても防爆構造に対応する必要のない加熱器を用いることが望まれている。さらに、圧力容器の底部に加熱器を取り付けるとき、その圧力容器の耐圧性能を損なわないように行う必要がある。このため、加熱器を取り付けるときに圧力容器側の加工を伴うと、その加工は複雑になり、また加熱器の取り付けコストが増大してしまう。このため、圧力容器の底部に加熱器を取り付けるとき、容器側の加工なしに加熱器を取り付けることができることが望まれている。
【0035】
そこで、加熱器は、槽を上方に押し上げるジャッキ機構を備えた構成とする。具体的には、液化ガスを収容する容器は複数の脚部によって台座に固定される構成とする。そして、各脚部を台座に固定するためのボルトによって複数の脚部間に固定される少なくとも2本の第1の梁状部材と、第1の梁状部材に交わる方向に該第1の梁状部材間に固定される少なくとも2本の第2の梁状部材を設け、ジャッキ機構は、複数のボルトとこのボルトに螺合されるナットとで構成し、複数のボルトの一端側は、第1の梁状部材及び第2の梁状部材のいずれかに固定され、複数のボルトの他端側は、加熱器の槽の開口の周囲に固定され、槽の開口の周囲を上方に押し上げることで槽を上方に押し上げ、槽の開口の周囲を、シール部材を介して容器の底部に均等に押し付ける構成とする。
【0036】
このような構成とすれば、加熱器の取り付けは、槽を容器の底部下方に配置し、ジャッキ機構で槽を上方に移動させることで、槽の開口周囲をシール部材によって容器の底部に密着させることでできる。つまり、ジャッキ機構で槽を上方に移動させ、容器の底部に槽を密着させることで加熱器の取り付けが行えるため、加熱器を容器側の加工なしに取り付けることができる。また、槽を容器の底部下方に配置するとき、槽を容器の底部側方から第1の梁状部材と第2の梁状部材で形成されたフレーム上を滑らせることで容易に槽の配置が行えるので好ましい。
【0037】
このとき、加熱器は、熱交換用管路内の第1の熱媒の熱が槽内に満たされた熱伝達可能な第2の熱媒を介して容器に伝熱し、容器や容器内の液化ガスを加熱する。したがって、第2の熱媒は第1の熱媒よりも温度が低くなり、第1の熱媒を直接槽内に通流させる場合よりも槽内の圧力を低くできる。したがって、第1の熱媒を直接槽内に通流させる場合よりも槽と圧力容器の底部との密着部分の耐圧能力を低くすることができ、加熱器の構成を簡素化できる。
【0040】
さらに、加熱器の温度を検出するための温度検出手段を有し、液化ガス加熱制御手段は、検知手段によって検出した圧力または温度に加え、温度検出手段によって検出した加熱器の温度に応じて容器内の液化ガスの加熱を制御してなる構成とする。これにより、加熱器が設定された上限温度以上の温度で容器を加熱するのを防ぐことができる。
【0041】
さらに、LPガスを燃料とするマイクロガスタービンと、LPガスを供給する上記のいずれかの液化ガス供給装置とを備えた発電装置とすれば、マイクロガスタービンに外気温度に関係なく所定の圧力以上で気相の液化ガスが供給されるため、発電の安定性を向上できる。
【0042】
また、液化ガス加熱手段は、液化ガスを容器の外部から加熱する構成とすれば、既に設置されている液化ガスが収容された容器などを用いて容易に発電装置を形成できるので好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる液化ガス供給装置の概略構成と動作を示すブロック図である。図2は、マイクロガスタービンの概略構成を示す図である。なお、本実施形態では、マイクロガスタービンのタービン駆動用燃料として気相の液化ガスを供給する場合の構成を一例として説明する。また、液化ガスは、液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)などを意味するが、本実施形態では、LPガスを供給する場合を一例として説明する。
【0044】
本実施形態の液化ガス供給装置1は、図1に示すように、LPガスを気相部3と液相部5の2相状態で貯蔵する容器7、容器7の気相部3に連通するガス管路8、容器7内のLPガスを加熱する液化ガス加熱手段である放熱部9、放熱部9に通流される熱媒、例えば水を加熱する熱媒加熱手段である熱源機11、放熱部9と熱源機11との間で熱媒を循環させる循環流路13、熱媒の温度を検出するための図示していない温度検出手段である温度センサ、そしてこの図示していない温度センサによって検出した熱媒の温度に応じて容器7内のLPガスの加熱を制御する加熱制御手段である循環流路13内を循環する熱媒の流量を制御するための図示していない熱媒流量制御弁などで構成される。
【0045】
放熱部9は、容器7の液相部5に浸るように配設されたコイル状または蛇腹状の管路からなり、循環流路13に連結されている。容器7の気相部3に連通するガス管路8は、途中でガス管路8aとガス管路8bに分岐している。ガス管路8aは、例えば給湯器などである熱源機11に連結されており、熱源機11は、ガス管路8aを介して供給されるLPガスを燃焼させることにより熱媒を加熱する。なお、ガス管路8aには、熱源機11が要求する圧力にLPガスの圧力を降圧して調整するための第1圧力調整器15が設けられている。また、熱源機11として給湯器を用いる場合、既設の給湯器を利用することもできる。
【0046】
ガス管路8bは、マイクロガスタービン17の図示していない燃焼部に連結されている。ガス管路8bには、ガス管路8aとの分岐部近傍に配設された調整弁19、そしてマイクロガスタービン17が要求する圧力にLPガスの圧力を降圧して調整するための第2圧力調整器21が設けられている。ガス管路8bに設けられた調整弁19は、マイクロガスタービン17が停止しているときには閉じるものであり、これにより、容器7とマイクロガスタービン17との間に生じる温度差に起因して、特に冬場、ガス管路8b内の残存LPガスが凝縮することを確実に防止しつつ、マイクロガスタービン17の運転開始時には、ガス管路8aによりLPガスを熱源機11に確実に送出することができるようにしている。このため、調整弁19は、マイクロガスタービン17のオンオフと同期するようにした電磁弁とするのが好ましい。
【0047】
このように、LPガスを供給する液化ガス供給装置1と、LPガスを燃料とするマイクロガスタービン17とは、発電装置であるオンサイト発電システムを構成している。
【0048】
ここでマイクロガスタービンについて説明する。マイクロガスタービンは、近年業務用、工業用または集合住宅用など、様々な用途に対応して、個々の需要者においてその場で、しかも必要に応じて発電を行うことが可能なオンサイト発電システムとして注目を集めている。なお、本明細書で用いる「マイクロガスタービン」の「マイクロ」は、一般プラント用ガスタービンと区別するためだけに用いているものであり、具体的には、発電能力300kW以下のもの、LPガス燃料の供給圧力に対する要求が最大圧力で約1.0MPaのもの、または発電機、圧縮機及びタービンが1軸上に配列され、圧縮機及びタービンが単段であるものを意味するものとする。
【0049】
本実施形態のマイクロガスタービン17は、図2に示すように、通常の大型のガスタービンと同様に、同じ軸23上に発電機25、圧縮機27、タービン29を備えている。圧縮機27により昇圧された空気と、燃料のLPガスとが燃焼室31で混合、燃焼されたうえで、タービン29に送られ、タービン29の羽根を回転させることにより軸23を回転させる。この軸23の回転により発電機25で発電が行われ、コンバータ33、インバータ35、及びトランス37などを介して電力を供給する。タービン29からの排出ガスは、再生器39において、圧縮空気と熱交換し、さらに、排ガスの廃熱は、排ガス熱交換器41を用いて給湯などに利用されるとともに排ガスは、排ガス管43を通って排出される。なお、このような構成のマイクロガスタービンでは、燃焼用の燃料であるLPガスの圧力が圧縮空気の圧力と同程度以上である必要があるため、LPガスの入口圧力、つまり要求圧力は、高圧、例えば最大約1.0MPaが要求される。
【0050】
また、容器7は、円筒状の容器を横向きに設置したバルク貯留容器であり、弁45を備えた充填用管路47を介してバルクローリなどからLPガスが適宜供給されるようにしてある。容器7の容量は、業務用、集合住宅用或いは一般住宅用等その用途に応じて異なり、例えば工業用の場合、通常1トン程度である。容器7は、通常安全性の観点から、図示していない基礎に脚などにより固定される点で、ガスボンベとは異なる。
【0051】
このような構成の液化ガス供給装置1の動作と本発明の特徴部について説明する。なお、図において、実線の矢印は液化ガスの流れを、破線の矢印は熱媒の流れを示している。
【0052】
容器7には、バルクローリーなどにより弁45を備えた充填用管路47を通じて所定量のLPガスが貯蔵されている。マイクロガスタービン17を運転する際、所定量のLPガスが気相部3及び液相部5の2相状態で貯蔵された容器7を熱源機11で加熱された熱媒を放熱部9に通流させることによって加熱する。すなわち、第1圧力調整器15によって圧力調整されたLPガスにより熱源機11で燃焼を行い、この燃焼によって熱媒を加熱し、この加熱された熱媒が循環流路13を通し、容器7を経由して通流することによって気相部3及び液相部5の2相状態で貯蔵されたLPガスを加熱する。
【0053】
このとき、図示していない温度センサなどの温度検出手段によって検出した熱媒の温度に応じて熱源機11によって加熱される熱媒の循環流量を制御することにより、容器7内に液相部5と気相部3の2相状態で貯蔵されたLPガスを40℃以下に加熱する。これにより、容器7内の液相部5から気相部3への気化に必要な熱が補われ、その結果、気相部3の蒸気圧、つまりガス管路8を通流する気相の液化ガスの圧力を所定圧力以上に保持できる。この所定圧力以上に保持された気相の液化ガスの圧力を、ガス管路8bの第2圧力調整器21でマイクロガスタービン17が要求する圧力に降圧して調整し、マイクロガスタービン17に供給する。所定圧力以上のLPガスが供給されたマイクロガスタービン17は、この供給されたLPガスを燃料として燃焼を行いタービンを駆動することで、電力と廃熱を発生する。
【0054】
このように、本実施形態の液化ガス供給装置1では、熱媒の温度に応じて循環流路13中に熱媒を循環させ、放熱部9を通流する熱源機11で加熱された熱媒の熱で容器7内の液相部5、つまり液相の液化ガスを加熱することにより、容器7内の温度を上昇させると共に、液相の液化ガスの気化量を増大させることができる。これにより、容器7内の気相部3、つまり気相の液化ガスの蒸気圧、つまりガス管路8を通流する気相の液化ガスの圧力を上昇できるため、所定の圧力以上で気相の液化ガスを供給することができる。
【0055】
ところで、容器内液相部の液体を外部に取り出して、気化器により減圧して一旦気化させ、さらに気化したガスを圧縮機により圧縮して、液化ガスを燃料とするマイクロガスタービンなどの要求する圧力にすることが考えられるが、このような液化ガス供給装置では、液化ガスの減圧プロセスや昇圧プロセスのための機器や装置類を有し、そのために無駄な設備を要すると共に、この減圧プロセスや昇圧プロセスが効率的でない。すなわち、液化ガスは、常温で加圧することにより容易に液化することを特徴とするため、容器に2相状態で貯蔵された液化ガスは、元々加圧されている。それにも係わらず、容器内の液相部を利用することから、容器から外部に取り出した液体をいったん減圧して気体とし、再度昇圧する無駄なプロセスと、そのために無駄な装置や機器、設備などを必要とする。また、このような構成のオンサイト発電システムを特に工業用に使用する場合には、それらの装置や機器、設備などの故障の可能性、それに伴うメインテナンスの必要性など煩雑さが問題となる。
【0056】
これに対して、本実施形態の液化ガス供給装置1では、容器7内の気相部3を直接昇圧することにより、一旦減圧した後昇圧するという無駄なプロセス、それに伴う機器や装置、そして設備などを排除することができ、その結果、効率的かつ安価に所定の圧力以上での液化ガスの供給が可能となる。
【0057】
また、LPガスの取り扱いについて、我が国では、法律の規制、例えば高圧ガス保安法や液化石油ガス保安規則などがあり、LPガスを貯蔵する容器が国による検査の対象とされ、容器を加熱するときは、熱湿布又は温度40℃以下の温湯を使用することが規定されている。
【0058】
これに対し、本実施形態の液化ガス供給装置1では、熱媒の温度に応じて容器7を40℃以下で加熱するように熱媒の循環流路13、つまり放熱部9での通流量を制御しているので、合法的に所定の圧力以上での液化ガスの供給が可能となる。
【0059】
ここで、液化ガス供給装置1とマイクロガスタービン17などで構成された本発明に係るオンサイト発電システムが、液相の液化ガスを気化器により減圧して気化させ、さらに気化したガスを圧縮機により圧縮する場合に対して熱効率の点及びコストの点で優れた効果を有することを説明する。
(1)熱効率について
ガスタービンに採用されるコンプレッサ及び気化器の動力損失はそれぞれ、ガスタービンの発電kWh当たりに必要とされる仕事量として算出すると、一般的に0.04乃至0.05kWh/kWh、0.03kWh/kWhである。したがって、コンプレッサ及び気化器の動力損失の合計は、約250ないし約290kJ/kWhとなる。一方、ガスタービンの燃料消費量は、発電kWh当たりに換算すると、一般的に約0.3kg/kWhである。プロパンの蒸発潜熱は、約370kJ/kgであるから、LPガスによる加熱に伴う熱損失は、約110kJ/kWhとなり、上述のコンプレッサ及び気化器の動力損失の半分以下であることがわかる。このような違いから、液化ガスを収容する容器の形状などによって定まる総括伝熱係数及び稼動率など放熱ロスを考慮したとしても、本願発明に係るオンサイト発電システムの熱効率は、液相の液化ガスを気化器により減圧して気化させ、さらに気化したガスを圧縮機により圧縮する場合に対して熱効率的に有利であることがわかる。
(2)コストについて
イニシャルコストとしては、コンプレッサ及び気化器の値段に比べ、LPガスを所定圧力以上の圧力で供給できるようにするための改造費用は低額となる。一方ランニングコストとしては、kWh当たりの電力料金とkg当たりのLPガス単価を考慮すれば、コンプレッサ及び気化器の稼動に伴う電力費用に比べ、LPガスの消費に伴う費用も低減できる。したがって、イニシャルコスト及びランニングコストを含めた総合コストとしては、本願発明に係るオンサイト発電システムは、従来型に比べて有利である。
【0060】
また、本実施形態では熱媒の温度に応じて熱媒の流量を制御しているが、熱媒の温度を検出せず、圧力センサなどの圧力検出手段を用いて容器7内のLPガスの圧力を検出し、その検出した圧力値に応じて熱媒の流量を調整する構成にすることもできる。さらに、熱媒の流量を調整する代わりに、熱源機11のオンオフを制御、または熱媒の流量と熱源機11のオンオフとの組み合わせにより、液化ガスの加熱を制御することもできる。
【0061】
また、本実施形態では、容器7内の液相部5に浸るように配設された放熱部9により液化ガスを加熱しているが、図3に示す液化ガス供給装置49のように、容器7の外周に巻き付けて設置され、内部に加熱された熱媒が通流する流路が形成されたジャケット型の加熱器51を用いる構成にすることもできる。放熱部9を容器7の内部に設けると、特に検査済みの既存の容器の場合、放熱部9を容器7の内部に取りつけるための容器7の加工により、再度検査が必要となることが予想される。これに対して、加熱器51を容器7の外周に設置すれば、容器自体を改造する必要がない。さらに、加熱器51自体を外部から目視検査できる状態で設置することが可能となる。また、コストの面でLPガスを所定圧力以上の圧力で供給できるようにするための改造費用はさらに低額となる。
【0062】
(第2の実施形態)
本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第2の実施形態について図4を参照して説明する。図4は、本発明を適用してなる液化ガス供給装置の概略構成と動作を示すブロック図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一のものには同じ符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と相違する構成及び特徴部などについて説明する。
【0063】
本実施形態が第1の実施形態と相違する点は、マイクロガスタービンの廃熱により熱媒を加熱し、熱源機は、マイクロガスタービンの廃熱で不足した熱量を補うための補助熱媒加熱手段としていることにある。すなわち、本実施形態の液化ガス供給装置53は、熱媒加熱手段である熱交換器55、熱交換器55とマイクロガスタービン17との間で第1の熱媒を循環させる排ガス第1循環流路57、容器7内に配設された放熱部9と熱交換器55との間で第2の熱媒を循環させる第2循環流路13、そして第2循環流路13から分岐して熱源機11に熱媒を通流させるための補助流路59などを有している。
【0064】
これにより、マイクロガスタービン17の廃熱で第1の熱媒、例えば水を加熱し、この加熱された第1の熱媒をマイクロガスタービン17と熱交換器55との間の第1循環流路57を介して熱交換器55に導き、熱交換器55で第1の熱媒と第2循環流路13を通流する第2の熱媒との間で熱交換を行い第2の熱媒を加熱するようにしている。なお、熱交換器55は、通常の熱交換器でよく、特に容器7の加熱温度が、40℃以下であることから、伝熱面積のあまり大きくないコンパクトなもので十分である。
【0065】
このように、マイクロガスタービン17の運転開始の際やマイクロガスタービン17の廃熱量が低下したときなどは、熱源機11での熱媒の加熱により容器7を加熱するか、または、マイクロガスタービン17の廃熱からの熱量では必要な熱量が得られない場合は、不足した熱量を補うように熱源機11で熱媒を加熱し、マイクロガスタービン17の運転開始後やマイクロガスタービン17の廃熱からの熱量が十分な量であるときには、熱源機11を停止する。
【0066】
このように、本実施形態の液化ガス供給装置53では、マイクロガスタービン17の廃熱で熱媒を加熱し、加熱された熱媒により容器7内の液化ガスを加熱するので、省エネルギー性を向上できる。
【0067】
また、本実施形態では、容器7内の液相部5に浸るように配設された放熱部9により液化ガスを加熱しているが、第1の実施形態と同様、図5に示す液化ガス供給装置61のように、容器7の外周に巻き付けて設置され、内部に加熱された熱媒が通流する流路が形成されたジャケット型の加熱器51を用いる構成にすることもできる。
【0068】
(第3の実施形態)
以下、本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第3の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。図6は、本発明を適用してなる液化ガス供給装置の概略構成と動作を示すブロック図である。図7は、図6のVII−VII線からの矢視図である。なお、本実施形態でも、マイクロガスタービンのタービン駆動用燃料として気相の液化ガスを供給する場合の構成を一例として説明する。また、液化ガスは、液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)などを意味するが、本実施形態では、LPガスを供給する場合を一例として説明する。
【0069】
本実施形態の液化ガス供給装置63は、図6及び図7に示すように、LPガスを収容して貯蔵するための容器7、容器7内の気相部3に連通するガス管路64、容器7の底部外表面を覆うように設置された液化ガス加熱手段となる加熱器65、加熱器65の温度を検知する温度センサ67、吸収式冷凍機69に設けられた熱媒加熱手段となる補助ボイラ71、加熱器65と補助ボイラ71との間で容器加熱用熱媒を循環させるための容器加熱用熱媒管路13a、13bと容器加熱用熱媒管路13aに設けられたポンプ73、そして容器加熱用熱媒管路13aを開閉する熱媒管路開閉弁75などで構成されている。容器7は、略円筒状の容器を横向きにして屋外に設置したものであり、容器7の内部に収容されて液相部5となる液相の液化ガスは、容器7が外気から受けた熱により気化する。このため、容器7の上部の気相部3には、気相の液化ガスが溜まった状態になっている。
【0070】
ガス管路64は、容器7からの出口部分に気相の液化ガスの通流及び遮断を制御する第1ガス弁77が設けられている。ガス管路64は、ガスの流れに対して第1ガス弁77よりも下流側で2分岐し、並列に配管されたガス管路64a、64bとなっている。ガス管路64aには、上流側から第2ガス弁79、第1圧力調整器81、そして第3ガス弁83が順次設けられている。ガス管路64bには、上流側から第4ガス弁85、第2圧力調整器87、そして第5ガス弁89が順次設けられている。ガス管路64aとガス管路64bは、ガス管路64aの第3ガス弁83とガス管路64bの第5ガス弁89との下流側で合流して再び1本のガス管路64となる。第1ガス弁77、第2ガス弁79、第1圧力調整器81、第3ガス弁83、第4ガス弁85、第2圧力調整器87、そして第5ガス弁89などはガス管路64、64a、64bなどと共に容器7上に設置されたケース91内に収容されている。但し、ケース91を設けていない構成にすることもできる。
【0071】
ガス管路64のガス管路64aとガス管路64bとの合流部分93よりも下流側でガス管路64は再び分岐し、ガス管路64の分岐部分95よりも下流側は、2本のガス管路64c、64dとなっている。ガス管路64cは、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行うマイクロガスタービン17内の図示していない燃焼器に連結されている。ガス管路64dは、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う吸収式冷凍機69の補助ボイラ71に連結されている。なお、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71に連結されているガス管路64dには、第3圧力調整器97が設けられている。また、第1圧力調整器81と第2圧力調整器87は、容器7内の気相の液化ガスの供給圧をマイクロガスタービン17が要求する圧力に減圧するものであり、第3圧力調整器97は、マイクロガスタービン17が要求する圧力に減圧された気相の液化ガスの圧力を吸収式冷凍機69の補助ボイラ71が要求する圧力にさらに減圧するものである。なお、マイクロガスタービン17は、第1の実施形態において説明したものと同様の構成及び動作のものである。
【0072】
加熱器65は、図7に示すように、金属製のケース99の中に蛇腹状に屈曲させた銅などの熱伝導性の高い材料で形成した管路101を配設し、管路101とケース99との間の空間に水やシリコンなどの熱伝達可能な充填部材103を充填したものである。このような加熱器65を容器7の底面に密着させて取り付けている。温度センサ67は、図6に示すように、加熱器65の管路101を通流する熱媒の温度、または管路101とケース99との間の空間に満たされた充填部材103の温度を検知するように設置されている。
【0073】
吸収式冷凍機69は、マイクロガスタービン17に連結された廃熱回収器105によってマイクロガスタービン17の廃熱を回収した例えば水などの熱媒の熱で吸収液を加熱する図示していない再生器と、廃熱からの熱量では吸収液を十分に加熱できず吸収式冷凍機69を駆動できない場合に不足した熱量を補うための補助ボイラ71とを有する熱媒駆動型の吸収式冷凍機である。廃熱回収器105と吸収式冷凍機69との間には、廃熱回収器105で廃熱を回収して加熱された廃熱回収用熱媒が通流する廃熱回収用熱媒管路107aと、吸収式冷凍機69の図示していない再生器で熱を放出した廃熱回収用熱媒が通流する廃熱回収用熱媒管路107bとが配管されている。廃熱回収用熱媒管路107aには、廃熱回収器105と吸収式冷凍機69との間で廃熱回収用熱媒を循環させるためのポンプ109が設けられている。本実施形態では、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71内に加熱器65に送液される容器加熱用熱媒を加熱するための加熱用流路を設けている。
【0074】
容器加熱用熱媒管路13aは、一端が補助ボイラ71内の加熱用流路に、他端が加熱器65の管路101に連結されており、容器加熱用熱媒管路13aには、補助ボイラ71で加熱された容器加熱用熱媒が通流する。容器加熱用熱媒管路13bは、一端が加熱器65の管路101に、他端が補助ボイラ71内の図示していない熱媒加熱用流路に連結されており、容器加熱用熱媒管路13bには、加熱器65で熱を放出した容器加熱用熱媒が通流する。容器加熱用熱媒管路13aの補助ボイラ71の熱媒の出口側部分には、補助ボイラ71の熱媒の出口側から、容器加熱用熱媒を加熱器65と補助ボイラ71との間で循環させるためのポンプ73と、容器加熱用熱媒の通流及び遮断を制御する熱媒管路開閉弁75とが順次設けられている。容器加熱用熱媒管路13aの加熱器65との連結側部分には、熱動弁111が設けられている。
【0075】
容器加熱用熱媒管路13aは、熱動弁111により、加熱器65の管路101に連通する容器加熱用熱媒管路13aと、加熱器65に連結されずに加熱器65をバイパスして容器加熱用熱媒管路13bの加熱器65と連結された側の部分に連通するバイパス管路113とに分岐される。熱動弁111は、容器加熱用熱媒管路13aを通流する容器加熱用熱媒の温度または充填部材103が設定された上限温度以上である場合、熱媒の通流方向を容器加熱用熱媒管路13aからバイパス管路113に切り換えるものである。これにより、容器7が必要以上の高温、例えば40℃を超える温度で加熱されるのを防いでいる。なお、温度センサ67とポンプ73は、配線115で電気的に接続されており、温度センサ67は、設定温度以下になると駆動信号を、設定温度よりも高くなると停止信号をポンプ73に発信する。また、容器加熱用熱媒管路13a、加熱器65の管路101、容器加熱用熱媒管路13b、補助ボイラ71の図示していない加熱用流路は、熱媒の循環流路を構成している。
【0076】
容器加熱用熱媒管路13aは、ガス管路64の第3ガス弁83と第5ガス弁89よりもガスの流れに対して下流側部分つまり合流部93から分岐部95にかけての部分と、分岐部95で分岐してマイクロガスタービン17に連結されるガス管路64cとなる部分とに沿うように近接させて配管されている。また、容器加熱用熱媒管路13bも、ガス管路64のガス管路64cとなる部分に沿うように近接させて配管されている。容器加熱用熱媒管路13aとガス管路64、64cとが互いに沿うように近接されて配管された部分、そして容器加熱用熱媒管路13a、13bとガス管路64cとが互いに沿うように近接されて配管された部分とは、容器加熱用熱媒管路13a、13bとガス管路64、64cとを抱き合わせるように保温材117で包まれている。
【0077】
このような構成の液化ガス供給装置63の動作と本発明の特徴部について説明する。なお、図において、実線の矢印は液化ガスの流れを、破線の矢印は熱媒の流れを示している。
【0078】
加熱器65内の管路101内に滞留している容器加熱用熱媒の温度、またはこの容器加熱用熱媒の熱で加熱された充填部材103の温度が、容器7内の気相の液化ガスが所定の圧力以上にならないような温度、すなわち温度センサ67に設定された温度以下になると、温度センサ67は、駆動信号を発信しポンプ73を駆動する。これにより、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71で加熱された容器加熱用熱媒が加熱器65に流入し、容器7及び容器7内の液化ガスが加熱されるため、容器7の温度の上昇によって液化ガスの飽和蒸気圧が上昇すると共に、液相の液化ガスの気化量が増加し、容器7内の気相の液化ガスが所定の圧力以上の圧力、つまり本実施形態の場合、マイクロガスタービン17が要求する圧力よりも高い圧力になる。そして、この所定の圧力以上の気相の液化ガスは、第1圧力調整器81と第2圧力調整器87とでマイクロガスタービン17が要求する圧力に減圧され、マイクロガスタービン17に供給される。
【0079】
マイクロガスタービン17は、供給された気相の液化ガスを燃料として燃焼を行いタービンを駆動して発電などを行う。このとき排気される排ガスの廃熱は、廃熱回収器105で廃熱回収用熱媒に回収され、廃熱の回収により加熱された廃熱回収用熱媒は、吸収式冷凍機69の図示していない再生器に流入して吸収式冷凍機69を駆動する。マイクロガスタービン17の廃熱を利用した吸収式冷凍機69により、空調、冷蔵や冷凍設備の運転などが行える。
【0080】
一方、加熱器65の管路101を通流する容器加熱用熱媒の温度、またはこの容器加熱用熱媒の熱で加熱された充填部材103の温度が設定された上限温度、例えば容器7及び容器7内の液化ガスの温度が高くなり過ぎないように、例えば40℃を超えないように設定された上限温度になると、熱動弁111が第2の熱媒の通流方向を切替、容器加熱用熱媒をバイパス管路113に流す。これにより、加熱器65内に容器加熱用熱媒が滞留するため、加熱器65の温度、つまり容器7及び容器7内の液化ガスの温度上昇が抑えられる。また、容器7からガス管路64、64cを介してマイクロガスタービン17に供給される気相の液化ガスは、ガス管路64、64cを通流する間、ガス管路64、64cと保温材117により抱き合わせて配管された容器加熱用熱媒管路13a、13b内を通流する容器加熱用熱媒の熱により保温されているため、外気温度が低い場合などでも再液化し難い。
【0081】
このように、本実施形態の液化ガス供給装置63では、外気温度が低く、温度センサ67で検知した加熱器65内の容器加熱用熱媒の温度または充填部材103の温度が、容器7内の気相の液化ガスを所定の圧力以上で供給できない温度である場合、容器加熱用熱媒管路13aに設けられたポンプ73が作動され、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71で加熱された熱媒を加熱器65へ流す。これにより、容器7及び容器7内の液化ガスが加熱されるため、容器7の温度の上昇によって液化ガスの飽和蒸気圧が上昇すると共に、液相の液化ガスの気化量が増加し、容器7内の気相の液化ガスの圧力が上昇する。したがって、ガス管路64を通流する気相の液化ガスの圧力が上昇し、所定の圧力以上で気相の液化ガスを供給することができる。
【0082】
さらに、加熱器65内の容器加熱用熱媒の温度または充填部材103の温度が設定された上限値よりも高い場合、熱動弁111が加熱器65への容器加熱用熱媒の通流を遮断し、バイパス管路113へ容器加熱用熱媒を流し、容器7及び容器7内の液化ガスの温度上昇を抑える。これにより、容器7及びガス管路64を通流する気相の液化ガスの圧力の上昇を抑え、所定の圧力範囲内の気相の液化ガスを供給することもできる。加えて、法規制などにより定められた温度、例えば40℃以下で容器7を加熱することができる。
【0083】
ところで、本実施形態のようなマイクロガスタービン17やレシプロエンジンなど気相の液化ガスを燃焼用の燃料として用いる機器や装置類に気相の液化ガスを供給する場合には、これらの機器や装置類からの廃熱により加熱した熱媒を加熱器65などのような液化ガス加熱手段に通流することが考えられている。ところが、液化ガス供給装置を設置する場所の外気温度などによっては、気相の液化ガスを燃焼する機器や装置類の起動時には、廃熱が無いか、または廃熱の熱量が少ないため、容器7及び容器7内の液化ガスを十分に加熱することができず、十分な圧力で気相の液化ガスを供給できない場合がある。また、十分な圧力で気相の液化ガスを供給できないため、起動時にはこれらの機器や装置類が本来の能力で駆動することができず、さらに、廃熱の熱量の増加も少なく、これらの機器や装置類が本来の能力で駆動できないか、本来の能力で駆動できるようになるまで、長い立ち上がり時間を必要とする場合がある。
【0084】
これに対して、本実施形態の液化ガス供給装置63では、気相の液化ガスを燃焼する機器や装置類とは独立した補助ボイラ71といった熱媒加熱手段で容器加熱用熱媒を加熱し、この加熱された容器加熱用熱媒により加熱器65で容器7及び容器7内の液化ガスを加熱するため、液化ガス供給装置が設置された場所の外気温度などの条件に関係なく、機器や装置類の起動時から、所定の圧力以上の気相の液化ガスをこれらの機器や装置類に供給できる。したがって、これらの機器や装置類は、起動時から本来の能力で駆動できる。
【0085】
このとき、気相の液化ガスを燃焼する機器や装置類からの排ガスの熱、つまり廃熱が無駄になるが、本実施形態のように、補助ボイラ71を備えた熱媒駆動型の吸収式冷凍機69を用いれば、気相の液化ガスを燃焼する機器や装置類からの廃熱は、吸収式冷凍機69で空調、冷蔵や冷凍設備などに用いられるため、省エネルギーになる。さらに、熱媒加熱手段として吸収式冷凍機69に備えられた補助ボイラ71を用いるため、別に熱媒加熱手段を設置する必要がない。
【0086】
また、マイクロガスタービン17のような気相の液化ガスを燃焼する機器や装置類からの廃熱を液化ガスが収容された容器の加熱に用いる場合には、廃熱の熱量は、容器の加熱と吸収式冷凍機の駆動とに分配されることになり、吸収式冷凍機の駆動に補助ボイラを利用する場合が比較的多くなるが、本実施形態では、これらの機器や装置類からの廃熱のほとんどを吸収式冷凍機69の駆動に用いることができるため、吸収式冷凍機69の駆動に補助ボイラ71を利用する場合が比較的少なくなる。また、補助ボイラ71の廃熱は、容器7を加熱するのに有効利用できる。なお、気相の液化ガスを供給する機器や装置類からの廃熱を利用する必要がない場合には、吸収式冷凍機69を用いず、熱媒加熱手段として単独のボイラやヒータなどを設置する構成にすることもできる。このとき、既に設置されている給湯器などの熱源機を熱媒加熱手段として液化ガス供給装置を構成することもできる。
【0087】
一方、気相の液化ガスを供給する機器や装置類からの廃熱が吸収式冷凍機69を駆動するために必要な熱量以上の熱量を供給できる場合には、廃熱回収用熱媒を容器加熱用熱媒管路13a、13bを介して吸収式冷凍機69と加熱器65との間で循環させる構成にすることもできる。これにより、省エネルギー性をより向上できる。このとき、吸収式冷凍機69からの加熱された熱媒と容器加熱用熱媒管路13bを通流している熱を放出した熱媒とを混合するための管路と弁などからなる混合手段を設け、吸収式冷凍機69からの加熱された熱媒と容器加熱用熱媒管路13bを通流している熱を放出した熱媒との混合量を調整して容器加熱用熱媒管路13aに通流させれば、加熱器65に送液される熱媒の温度を制御することができる。
【0088】
さらに、本実施形態の吸収式冷凍機69の補助ボイラ71は、容器7からガス管路64、64dを介して供給される気相の液化ガスを燃料とするため、別に燃料源を準備または設置する必要がない。ただし、容器7とは別の燃料源、例えば容器7とは別のバルク貯蔵容器や小型のシリンダ型容器などから補助ボイラ71に燃料、例えばLPガスなどを供給する構成にすることもできる。
【0089】
さらに、本実施形態の液化ガス供給装置63では、容器7からガス管路64、64cを介してマイクロガスタービン17に供給される気相の液化ガスは、ガス管路64、64cを通流する間、ガス管路64、64cと保温材117により抱き合わせて配管された容器加熱用熱媒管路13a、13b内を通流する熱媒の熱により保温されている。このため、ガス管路64、64cを通流するの気相の液化ガスの温度低下を防ぐことができ、再液化し難くできる。ただし、ガス管路64内を通流している間にの気相の液化ガスの温度が低下する可能性がない場合には、ガス管路64、64cと容器加熱用熱媒管路13a、13bとを保温材117で抱き合わせた配管にする必要はない。
【0090】
さらに、本実施形態は、従来の容器の外面に加熱器65を設置したものであり、専用の容器などを準備する必要がない。加えて、本実施形態の液化ガス供給装置63は、容器の外面に加熱器65を設置するため、既に設置されている容器を利用して構成することができる。また、本実施形態は、容器7のような、略円筒状の容器を横向きに設置したような大容量の容器に限らず、様々な容器、例えば設置面積などに対する制限が少ない小型のシリンダ型容器にも適用できる。
【0091】
また、本実施形態では、熱媒として水を例示したが、熱媒には、水に限らず様々な流体を用いることができる。また、本実施形態では、液化ガス加熱手段として容器7の底部に密着させた加熱器65を用いているが、液化ガス加熱手段として、第1及び第2の実施形態で示したような、容器7の外表面に取り付けることができる様々な構成の加熱器や、容器7内の液相部5中に配設された熱媒の管路からなる熱交換部などを用いることもできる。
【0092】
また、本実施形態では、加熱器65内の熱媒の温度を検知する温度センサ67を設けているが、容器7やガス管路64の第1圧力調整器81と第2圧力調整器87よりも上流側に圧力検知手段または温度検知手段を設け、これらの圧力検知手段または温度検知手段で検知した圧力または温度が設定値以下のときにポンプ73を駆動して加熱器65と補助ボイラ71との間で第2の熱媒を循環させる構成にすることもできる。このとき、容器7の気相部3と液相部5の各々の圧力を検出する圧力検出手段を設け、各々の圧力検出手段で検知した圧力に応じてポンプ73の駆動を制御する構成にすることもできる。
【0093】
このとき、加熱器65にも温度センサ67などの温度検出手段を設けて加熱器65内の容器加熱用熱媒の温度または充填部材103の温度を検出し、加熱器65内の容器加熱用熱媒の温度または充填部材103の温度が設定された上限値よりも高い場合、熱動弁111が加熱器65への容器加熱用熱媒の通流を遮断し、バイパス管路113へ容器加熱用熱媒を流すようにしておけば、法規制などにより定められた上限温度、例えば40℃以下で容器7を加熱することができる。
【0094】
(第4の実施形態)
本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第4の実施形態について図8を参照して説明する。図8は、本発明を適用してなる液化ガス供給装置の概略構成と動作を示すブロック図である。なお、本実施形態では、第3の実施形態と同一のものには同じ符号を付して説明を省略し、第3の実施形態と相違する構成及び特徴部などについて説明する。
【0095】
本実施形態が第3の実施形態と主に相違する点は、第3の実施形態のガス管路の容器からの出口部分に設けられている第1ガス弁として、電磁弁を設け、この電磁弁とマイクロガスタービンの図示していない運転指令スイッチまたは制御部などとを電気的に接続したことにある。すなわち、本実施形態の液化ガス供給装置119は、図8に示すように、ガス管路64の容器7からの出口部分にガス遮断手段として電磁弁19を設けている。電磁弁19は、配線123を介してマイクロガスタービン17の図示していない運転指令スイッチまたは制御部などと電気的に接続されている。
【0096】
さらに、ガス管路64のガス管路64aとガス管路64bとの合流部分93よりも下流側の部分は、第3の実施形態のように分岐しておらず、ガス管路64c、として気相の液化ガスを燃料として燃焼を行うマイクロガスタービン17内の図示していない燃焼器に連結されている。一方、ガス管路64の電磁弁19よりも上流側の部分でガス管路64dが分岐しており、ガス管路64dは、気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う吸収式冷凍機69の補助ボイラ71に連結されている。なお、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71に連結されているガス管路64dには、ガス管路64dの分岐部近傍に第4圧力調整器124が、ガス管路64dの吸収式冷凍機69の補助ボイラ71に連結部分の近傍には、第3の圧力調整器97が設けられている。このように、容器7からガス管路64dに流入した気相の液化ガスは、第4圧力調整器124と第3の圧力調整器97とで順次降圧され、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71が要求する圧力に調整される。
【0097】
加えて、ガス管路64の合流部93よりも下流側の部分、つまり第1圧力調整器81と第2圧力調整器87よりも下流側の部分に圧力センサ125を設置し、圧力センサ125とポンプ73及び補助ボイラ71とを配線127を介して電気的に接続している。圧力センサ125は、ガス管路5の合流部38よりも下流側の部分の圧力が設定値以下になるとポンプ73と補助ボイラ71の停止信号を発信する。また、本実施形態では、第3の実施形態の加熱器65に設けられた温度センサ67に代えて、容器7内の温度を検知する温度センサ129を設置して容器7内の圧力を調整している。温度センサ129は、配線115によってポンプ73と電気的に接続されており、検知した温度が設定値以下で駆動信号を、設置値よりも高くなると停止信号をポンプ73に発信する。
【0098】
このような本実施形態の液化ガス供給装置119では、外気の温度が低下するなどにより、温度センサ129で検知した容器7内の温度が設定値以下になり、気相の液化ガスを所定の圧力以上で供給できなくなると、第3の実施形態と同様に、容器加熱用熱媒管路13aに設けられたポンプ73が作動され、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71で加熱された熱媒を加熱器65へ流す。これにより、容器7及び容器7内の液化ガスが加熱されるため、容器7の温度の上昇によって液化ガスの飽和蒸気圧が上昇すると共に、液相の液化ガスの気化量が増加し、容器7内の気相の液化ガスの圧力が上昇する。したがって、ガス管路64を通流する気相の液化ガスの圧力が上昇し、所定の圧力以上で気相の液化ガスを供給することができる。
【0099】
ところで、マイクロガスタービン17が停止しているときであっても、容器7が外気または加熱器65内に滞留している容器加熱用熱媒の熱を受けた場合、液相の液化ガスの気化が生じ、ガス管路64内の気相の液化ガスの圧力が増加する場合がある。このとき、圧力が高い状態で気相の液化ガスの温度が低下すると再液化し易い。さらに、容器加熱用熱媒管路13a、13bに熱媒が通流していない状態では、ガス管路64は保温されていない。したがって、マイクロガスタービン17が停止しているとき、ガス管路64内で気相の液化ガスの再液化が生じる場合がある。
【0100】
これに対し、本実施形態の液化ガス供給装置119では、電磁弁19は、マイクロガスタービン17の図示していない運転指令スイッチがオフされると、そのオフ信号を受けて閉し、容器7からの気相の液化ガスの出口で、気相の液化ガスのガス管路64への流入を遮断する。これにより、ガス管路64内は密閉状態となるため、ガス温度の低下による液化ガスの再液化量を低減できる。
【0101】
また、本実施形態では、ガス遮断手段として電磁弁19を用いているが、ガス管路64の容器7からの出口部分でガス管路64の下流側部分へのガスの通流を遮断できれば、電磁弁19に限らず様々なガス遮断手段を用いることができる。
【0102】
その一例を示すと、図9に示す液化ガス供給装置131のように、ガス管路64の第1圧力調整器81と第2圧力調整器87よりも下流側に手動でガスの通流を遮断するガス遮断スイッチ133を設置することもできる。なお、図9に示す液化ガス供給装置131では、本実施形態の温度センサ129に代えて、ガス管路64の第1圧力調整器81と第2圧力調整器87よりも上流側に圧力センサ137を設置している。圧力センサ137は、ポンプ73と配線115を介して電気的に接続されており、検知した圧力が設定値以下で駆動信号を、設定値よりも高くなると停止信号をポンプ73に発信する。なお、液化ガス供給装置131では、ガス管路64dは、ガス管路64の第3ガス弁83及び第5ガス弁89と圧力センサ125との間の部分で分岐し、吸収式冷凍機69の補助ボイラ71に連結されている。
【0103】
また、本実施形態の液化ガス供給装置119や図9に示した液化ガス供給装置131でも、第3の実施形態と同様に、加熱器65にも温度センサ67などの温度検出手段を設けて加熱器65内の容器加熱用熱媒の温度または充填部材103の温度を検出し、加熱器65内の容器加熱用熱媒の温度または充填部材103の温度が設定された上限値よりも高い場合、熱動弁111が加熱器65への容器加熱用熱媒の通流を遮断し、バイパス管路113へ容器加熱用熱媒を流すようにしておけば、法規制などにより定められた上限温度、例えば40℃以下で容器7を加熱することができる。
【0104】
また、第1、第2、及び第4の実施形態では、調整弁19または電磁弁19は、マイクロガスタービン17に連結されたガス管路8bまたはガス管路64cのガスの流れに対して上流部分に設けているが、調整弁19または電磁弁19は、ガス管路8のガス管路8aとガス管路8bへの分岐部分よりも上流側の部分、またはガス管路64のガス管路64dの分岐部分よりも上流側の部分に設けることもできる。ただし、マイクロガスタービン17が停止しているときでも、熱源機11や補助ボイラ71に気相の液化ガスを供給し続ける必要がある場合には、第1から第4の実施形態に示したように、調整弁19または電磁弁19は、マイクロガスタービン17に連結されたガス管路8bまたはガス管路64cのガスの流れに対して上流部分に設けておく。
【0105】
また、第3及び第4の実施形態では、温度センサ67、129や圧力センサ125などをポンプ73や補助ボイラ71に直接電気的に接続しているが、液化ガス供給装置の動作を制御する制御手段を設け、この制御手段に温度センサ67、129、圧力センサ125、ポンプ73、補助ボイラ71などを電気的に接続し、制御手段が、温度センサ67、129、圧力センサ125で検出した温度や圧力の情報に応じてポンプ73や補助ボイラ71の動作を制御する構成にすることもできる。
【0106】
(第5の実施形態)
以下、本発明を適用してなる加熱器及びその加熱器を備えた液化ガス供給装置の第5の実施形態について図10乃至図18を参照して説明する。図10は、本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第5の実施形態の概略構成を示す図である。図11は、本発明を適用してなる加熱器を構成する槽の概略構成を示す正面図である。図12は、加熱器を構成する槽の概略構成を示す側面図である。図13は、加熱器を構成する槽の概略構成を示す平面図である。図14は、加熱器を構成するフレームの概略構成を示す容器の底面図である。図15は、加熱器を容器に取り付けた状態を示す正面図である。図16は、加熱器を容器に取り付けた状態を示す側面図である。図17は、図16の破線で囲ったA部分の拡大図である。図18は、図17のXVIII−XVIII線からみた矢視図である。なお、図15及び図16では、加熱器の構成を分かり易くするため、容器の脚部を省略し、脚部の位置を破線で示した。
【0107】
なお、本実施形態でも、マイクロガスタービンのタービン駆動用燃料として気相の液化ガスを供給する場合の構成を一例として説明する。また、液化ガスは、液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)などを意味するが、本実施形態では、LPガスを供給する場合を一例として説明する。
【0108】
本実施形態の液化ガス供給装置139は、図10に示すように、LPガスを収容して貯蔵するための圧力容器である容器7、容器7内の気相部3に連通するガス管路8、ガス管路8内の圧力を検知する圧力スイッチ137、容器7の底部に設置された加熱器141、加熱器141の温度を検知する温度スイッチ67、熱媒加熱手段となる熱源機11、加熱器141と熱源機11との間で第1の熱媒、例えば水を循環させるための熱媒管路13a、13b、熱媒管路13aと熱媒管路13bとに連通して加熱器141をバイパスして熱媒を循環させるバイパス管路13c、バイパス管路13cに設けられてバイパス管路13cを開閉する電磁弁からなる熱媒量調整弁143、そして液化ガス供給装置139の動作を制御する制御部145などで構成されている。
【0109】
容器7は、略円筒状の容器を横向きにした状態で脚部147上に支持されている。このような容器7は、屋外に設置されており、容器7の内部に収容されて液相部5となる液相の液化ガスは、容器7が外気から受けた熱により気化する。このため、容器7の上部の気相部3には、気相の液化ガスが溜まった状態になっている。なお、図10において、容器7は断面で示している。ガス管路8は、容器7の気相部3に挿入された状態で設置されており、容器7からの出口部分で2本のガス管路8a、8bに分岐している。分岐したガス管路8a、8bのうち、ガス管路8aは、熱源機11の図示していないバーナーに連結され、ガス管路8bは、気相のLPガスを利用するマイクロガスタービン17の図示していない燃焼器に連結されている。
【0110】
ガス管路8aの分岐部分近傍には、液化ガスの流れに対して上流側から、気相の液化ガスの熱源機11への供給圧力を2段階で調整する第1圧力調整器149と第2圧力調整器151が順に設けられている。一方、ガス管路8bの分岐部分近傍には、液化ガスの流れに対して上流側から、気相のLPガスのマイクロガスタービン17への供給圧力を調整する第3圧力調整器153、ガス管路8bを開閉する電磁弁からなる遮断弁19が順に設けられている。遮断弁19は、気相のLPガスを利用するマイクロガスタービン17の図示していない制御部と配線123を介して電気的に接続されている。そして、マイクロガスタービン17が作動しているときには遮断弁19が開、マイクロガスタービン17が停止しているときには遮断弁19が閉するように制御されている。これにより、マイクロガスタービン17が停止しているときに、ガス管路8b内は密閉状態となるため、ガス温度の低下による液化ガスの再液化量を低減できる。
【0111】
ガス管路8のガス管路8a、8bへの分岐部分には、圧力スイッチ137が設置されている。圧力スイッチ137は、予め設定された温度で信号を発信するものであり、制御部145と配線115を介して電気的に接続されている。なお、圧力スイッチ137、第1圧力調整器149、第2圧力調整器151などは、ガス管路8、8a、8bの一部分などと共に容器7上に設置されたケース91内に収容されている。ただし、ケース91を設けていない構成にすることもできる。
【0112】
加熱器141には、膨張タンク用管路155を介して加熱器141内に連通する膨張タンク157と、温度スイッチ67などが設置されている。温度スイッチ67は、予め設定された所定の温度で信号を発信するものであり、制御部145と配線115を介して電気的に接続されている。熱源機11は、図示していない第1の熱媒が通流する流路、この流路に設けられた熱媒タンク、ポンプ、流路内の第1の熱媒を加熱するバーナー、そしてポンプやバーナーの動作を制御する制御部などを一体的に筐体に納めたものである。熱源機11の図示していない制御部は、制御部145と連携して作動するものであり、制御部145と配線159を介して電気的に接続されている。
【0113】
熱媒管路13aは、一端が熱源機11の図示していない第1の熱媒が通流する流路に、他端が加熱器141に連結されており、熱媒管路13aには、熱源機11で加熱された第1の熱媒が通流する。熱媒管路13bは、一端が加熱器141に、他端が熱源機11の図示していない第1の熱媒が通流する流路に連結されており、熱媒管路13bには、加熱器141で熱を放出した第1の熱媒が通流する。熱媒管路13aの熱源機11からの第1の熱媒の出口側部分と、熱媒管路13bの熱源機11への第1の熱媒の入口側部分との間にバイパス管路13cが設けられている。バイパス管路13cには、バイパス管路13cへの第1の熱媒の通流及び遮断を行うことで加熱器141へ通流させる第1の熱媒の量を調整する熱媒量調整弁143が設けられている。熱媒量調整弁143は、制御部145と配線161を介して電気的に接続されている。なお、バイパス管路13cと熱媒量調整弁143は、配管抵抗が熱媒管路13aよりも少ないものを用いている。
【0114】
このように、本実施形態の液化ガス供給装置139では、制御部145が圧力スイッチ137や温度スイッチ67などで検知した容器7などの圧力及び温度の少なくとも一方に応じてバイパス管路13cに設けられた熱媒量調整弁143を開閉する。これにより、容器7の加熱が必要なときには、加熱器141に流れる第1の熱媒量を増加させ、容器7の加熱が必要ないときには、加熱器141に流れる第1の熱媒量を減少させることで、加熱器141から容器7に与えられる熱量を調整し、容器7内の圧力を所定の圧力以上に保持している。
【0115】
ここで、加熱器141の概略構成及び容器7への取り付けについて説明する。加熱器141は、図11乃至図13に示すように、腐食し難い金属、例えばステンレスなどからなる矩形の箱形の槽163を有している。槽163の上面は開口されており、この開口の周囲には、外側に向けて張り出したフランジ部165が形成されている。槽163の短辺側側壁の上縁は、フランジ部165を含め、図12に示すように、容器7の底部の曲面に合わせて弧状に形成されている。槽163内には、図13に示すように、腐食し難い金属、例えばステンレスなどからなる複数の梁状の支持プレート167が短辺方向に張り渡された状態で設置されている。支持プレート167上には、蛇腹状に屈曲させた銅などの熱伝導性が比較的高い材料で形成した熱交換用管路169が支持されている。このように、熱交換用管路169は、槽163内に収容されている。熱交換用管路169の両端部は、槽163の一方の短辺側側壁に水密に固定され、熱源機11で加熱した第1の熱媒が通流する熱媒管路13a、13bと連結するための連結部171となっている。
【0116】
連結部171が設けられている短辺側の側壁には、槽163内の長辺側の1/4程度の長さで、槽163内に配設された直線状の保護管173が水密に連結されている。槽163の短辺側及び長辺側側壁の外面には、膨張タンク用管路155などを連結するために、槽163内に連通する直線状の連結管175が各々2本づつ設けられている。連結管175は、フランジ部165の幅と同程度の長さとなっている。槽163の両方の短辺側側壁の外面中央部には、図11及び12に示すように、略U字形状またはみぞ形鋼形状に形成された受け金具177が設けられている。槽163の両方の長辺側側壁の両端部には、略U字形状またはみぞ形鋼形状に形成された受け金具179が、槽163の両方の長辺側側壁の両端部間には、等間隔で略U字形状またはみぞ形鋼形状に形成された複数の受け金具181が設けられている。
【0117】
受け金具177、179、181は、フランジ部165と槽163の側壁とに固定されており、上方の開口がフランジ部165で塞がれ、側方の開口の一方が槽163の側壁で塞がれた状態で設置されている。受け金具177、179、181の平板状の底部には、図13に示すように、各々、ボルトを挿通するための貫通孔183、185、187が形成されている。フランジ部165の受け金具179、181に対応する上面縁部の部分には、図11乃至図13に示すように、フランジ部165上に載置されるシール部材を位置決めするための横長の平板状に形成された突出部189が設けられている。突出部189の高さは、槽165と容器7とをシール部材を挟み込んで密着させたときの圧縮された状態のシール部材の厚みよりも低く形成されている。
【0118】
このような槽163を容器7に取り付けるときの槽163を容器7の底部に配置するためのガイドと、ジャッキ機構を介して槽163を支持するための支持部材として、図14乃至図16に示すように、容器7の底部にフレーム191を設置する。フレーム191は、第1梁状部材193、第2梁状部材195、第3梁状部材197で構成されている。第1梁状部材193は、略U字形状またはみぞ形鋼形状の棒体からなり、両端部にボルトを挿通するための貫通孔199が形成されている。第2梁状部材195は、略L字形状または山形鋼形状の棒体からなり、フレーム191上に槽163が位置決めされたときに、槽163の両方の長辺側側壁に設けられた受け金具179、181に形成された貫通孔185、187に対応する位置にボルトを挿通するための切り欠きまたは貫通孔201が形成されている。第3梁状部材197は、略U字形状またはみぞ形鋼形状に形成された棒体の両側面に、各々、略L字形状または山形鋼形状の棒体の一方の平板状部分を当接させて固定し、略U字形状またはみぞ形鋼形状に形成された棒体の平板状の底部と略L字形状または山形鋼形状の棒体の他方の平板状部分とが1つの平面を形成した状態にしている。第3梁状部材197を構成する略L字形状または山形鋼形状の棒体部分の底部の両端部にはボルトを挿通するための切り欠きまたは貫通孔203が形成されている。
【0119】
このような加熱器141を容器7へ取り付ける場合、第1梁状部材193を、図14に示すように、容器7の軸方向に垂直に延在させて脚部147間に梁状に固定する。このとき、図15に示すように、第1梁状部材179となる略U字形状またはみぞ形鋼形状に形成された棒体の平板状の底部が上に来るようにし、第1梁状部材179の貫通孔201と、容器7の脚部147を台座205に固定するためのボルト207を挿通するために脚部147の底面に形成された貫通孔209とを位置合わせする。そして、容器7の脚部147を台座205に固定するためのボルト207を第1梁状部材193の貫通孔199から容器7の脚部147の貫通孔209に挿通して台座205に螺合または打ち込むことで容器7の固定と共に容器7の隣り合う2組の脚部147間に各々第1梁状部材193を固定する。
【0120】
固定された第1梁状部材193に、第1梁状部材193の延在方向に垂直に延在させて2本の第2梁状部材195と第3梁状部材197とを固定する。第3梁状部材197は、略U字形状またはみぞ形鋼形状に形成された棒体部分の平板状の底部が上に来るようにして、2本の第1梁状部材193の中央部間に延在させて図示していないボルトなどの固定手段を用いて第1梁状部材193に固定する。略L字形状または山形鋼形状の棒体である第2梁状部材195は、一方の平板状部分が上方に、他方の平板状部分が側方になるようにし、上方にある平板状部分が側方にある平板状部分から槽163に対して外側に張り出した状態にして、容器7の脚部147の内側で2本の第1梁状部材193の両端部間に延在させて図示していないボルトなどの固定手段を用いて第1梁状部材193に固定する。なお、第1梁状部材193の第2梁状部材195と第3梁状部材197に交わる部分には、各々、第2梁状部材195と第3梁状部材197の第1梁状部材193と嵌合する部分の幅に対応した切り込みを形成してあり、第1梁状部材193の切り欠きに第2梁状部材195と第3梁状部材197を嵌合させることで、第1梁状部材193に対して第2梁状部材195と第3梁状部材197を欠き打ち様に組み付けることができる。
【0121】
このように容器7の底部下方に取り付けられたフレーム191に槽163を短辺側から、第2梁状部材195と第3梁状部材197の延在方向に、第2梁状部材195と第3梁状部材197に摺接させて容器7の底部下方に挿入する。このとき、槽163の上面の開口周囲に形成されたフランジ165上に、所定の温度耐性を有する弾性材、例えばシリコンゴムなどで形成されたシール部材211を載置しておく。槽163が、容器7の底部の槽163を取り付ける位置に対応する位置に配置されたら、受け金具177、179、181の平板状の底部に形成された貫通孔183、185、187とこれらの貫通孔183、185、187に対応する位置にある第3梁状部材197に形成された貫通孔203、第2梁状部材195に形成された貫通孔201間にボルトを挿通する。
【0122】
槽163の短辺側側壁に設けられた受け金具177では、図17に示すように、第3梁状部材197に形成された貫通孔203側から受け金具177の貫通孔183に向けてボルト213を挿通している。このとき、第3梁状部材197の貫通孔203の周囲部分を挟み込むナット215、217、そしてボルト213の軸の端部に螺合させるナット219と共に受け金具177の貫通孔183の周囲部分を挟み込む2つのナット221、223をボルト213に螺合させておく。
【0123】
第3梁状部材197の貫通孔203の周囲部分を挟み込むナット215、217を締め付けてボルト213を第3梁状部材197に固定する。槽163の長辺側側壁に設けられた受け金具181では、図18に示すように、第2梁状部材195に形成された貫通孔201側から受け金具181の貫通孔187に向けてボルト225を挿通している。このとき、第2梁状部材195の貫通孔201の周囲部分をボルト225の頭部と共に挟み込むナット227、そしてボルト225の軸の端部に螺合させるナット229と共に受け金具181の貫通孔187の周囲部分を挟み込む2つのナット231、233をボルト225に螺合させておく。第2梁状部材195の貫通孔201の周囲部分を挟み込むボルト225の頭部とナット227とを締め付け、第2梁状部材195にボルト225を固定する。なお、受け金具179と第2梁状部材195との結合は、受け金具181と第2梁状部材195との結合の構成と同じである。
【0124】
この状態で、受け金具177の貫通孔183の下側に位置するナット221と、受け金具179、181の貫通孔185、187の下側に位置するナット231を各々回転させることで、槽163を容器7方向にジャッキアップし、シール部材211を介して槽163を容器7に押しつける。これにより、槽163が水密状態で容器7に取り付けられる。槽163のフランジ部165が均等に容器7の底部に押しつけられるように、ナット221とナット231を回転させたところで、ナット221とナット231の各々の下側にあるナット223とナット233を締め付け、ナット221とナット231の緩み止めとする。さらに、受け金具177の貫通孔183の上側に位置するナット219と、受け金具179、181の貫通孔185、187の上側に位置するナット229とを締め付け、槽163を固定する。このように、ボルト213、225、ナット215、217、219、221、223、227、229、231、233などはジャッキ機構を構成している。
【0125】
このようにして槽163を容器7の底部に取り付けた後、図10に示すように、槽163内の熱交換用管路169の連結部171に熱媒管路13a、13bを連結し、さらに、図15及び図16に示すように、膨張タンク157を設置した位置に最寄りの連結管175に膨張タンク用管路155を介して接続する。膨張タンク用管路155には、ステンレス製のフレキシブル管などを適宜用いている。膨張タンク157には、透明な窓235が設けられているものを用いれば、槽163内に満たす第2の熱媒の容量を確認でき、第2の熱媒の補充時期などを知ることができる。なお、使用しない連結管路175は、水密に閉塞しておく。膨張タンク157を介して、槽163内に第2の熱媒、例えば水とプロピレングリコールやエチレングリコールなどの不凍液との混合物に防錆剤を加えたもの、不凍液、シリコンオイルなどを適宜満たす。このとき、第2の熱媒が容器7の底面にできるだけ広い面積で接触するように第2の熱媒を充填し、第2の熱媒と容器7との間に空気の層が形成されないようにする。なお、膨張タンク157内には、槽163内の圧力変動を吸収するために気相部分を残しておく。また、第2の熱媒は、槽163を形成した材料の特性に応じて、防錆の必要の有無などを考慮して選択する。
【0126】
容器7や容器7内の液化ガスを加熱する必要がある場合には、熱源機11で加熱された第1の熱媒を加熱器141の槽163内の熱交換用管路169内を通流させる。このとき、熱源機11で加熱された第1の熱媒の熱が槽163内に満たされた第2の熱媒を介して容器7に伝わることにより、容器7内の液化ガスが加熱される。
【0127】
このように本実施形態の加熱器141では、加熱器141の槽163内の熱交換用管路169内を通流する加熱された第1の熱媒の熱が、槽163内に満たされた第2の熱媒を介して容器7に伝熱され、容器7や容器7内の液化ガスを加熱する。したがって、電気機器などを必要とする加熱器を用いずに容器7を加熱できるので、液化ガスを収容する容器7に設置される場合、つまりガス蒸気危険場所に設置される場合であっても防爆構造に対応する必要がない。さらに、加熱器141の取り付けは、加熱器141の槽163を容器3の底部下方に配置し、ジャッキ機構で槽163を上方に移動させることで、圧力容器である容器7の底部に槽163の開口周囲をシール部材211により密着させることで行える。つまり、ジャッキ機構であるボルト213、225、ナット215、217、219、221、223、227、229、231、233などで槽163を上方に移動させ、容器7の底部に槽163を密着させることで加熱器141の取付が行える。このため、圧力容器である容器7の加工なしに加熱器141を容器7に取り付けることができる。すなわち、ガス蒸気危険場所に設置される場合であっても防爆構造に対応する必要がなく、かつ圧力容器側の加工なしに取り付けることができる。
【0128】
さらに、加熱器141は、容器7の加工なしに取り付けることができるので、新たに設置する液化ガス供給装置に限らず、既に設置されている液化ガスを収容する容器に設置することもできる。また、槽163に連通する膨張タンク157を有しているため、槽163内の熱交換用管路169を通流する第1の熱媒の熱により、槽163内に充填された第2の熱媒が膨張しても、その圧力を槽163に連通する膨張タンク157に逃がすことができる。つまり、槽163内の圧力変動を膨張タンク157で吸収することができるので、槽163と容器7の底部との密着部分からの槽163内に満たされた第2の熱媒の漏洩を防ぐことができる。
【0129】
加えて、本実施形態の加熱器141は、槽163が取り付けられる容器7を支持する複数の脚部147を台座205に固定するためのボルト207によって脚部147と共に固定される第1梁状部材193、第1梁状部材193の中央部間に固定された第3梁状部材197、そして第1梁状部材193の両端部間に固定された第2梁状部材195からなるフレーム191を備えている。したがって、槽163を容器7の底部下方に配置するとき、槽163を容器7の底部側方からフレーム191の第2梁状部材195と第3梁状部材197上を滑らせることで容易に槽の配置が行える。さらに、フレーム191がジャッキ機構となるボルト213、225の固定のための台を兼ねるため、加熱器の構成を簡素化できる。また、フレーム191は、容器7を支持する複数の脚部147を台座205に固定するためのボルト207によって、脚部147と共に固定されているため、地震などによって、加熱器141が容器7から外れるのを防ぐことができる。
【0130】
さらに、本実施形態の液化ガス供給装置139では、容器7を加工することなしに、容器7に電気機器などを使用しない加熱器141を取り付けることができる。したがって、容器7の耐圧性能や防爆対策などに影響を与えることなく加熱器141を取り付けることができるため、安全性を向上できる。
【0131】
加えて、本実施形態の加熱器141では、加熱器141の槽163内の熱交換用管路169内を通流する加熱された第1の熱媒の熱が、槽163内に満たされた第2の熱媒を介して容器7に伝熱され、容器7や容器7内の液化ガスを加熱する。したがって、第1の熱媒と第2の熱媒に異なる熱媒を用いることができ、例えば、上記のように第2の熱媒にプロピレングリコールを含む熱媒や、防錆剤を含む溶液を用いることによって、容器7の底面の腐蝕を防止することができる。
【0132】
また、第1の熱媒の熱を第2の熱媒を介して容器7に伝えることにより、第1の熱媒の温度で直接容器7を加熱する場合よりも加熱温度の制御が容易になる。例えば法規制などにより定められた上限温度40℃以下で容器7を加熱しなければならない場合、市販の給湯器を熱源機11として使用し、第1の熱媒の温度で直接容器7を加熱すると、この給湯器で加熱した第1の熱媒となる水の温度が約60℃となるため、法規制に適合しない。このため、本実施形態の加熱器141を使用しないと、第1の熱媒よりも低温の熱媒を第1の熱媒に混入させると言ったような第1の熱媒の温度を40℃以下に低下させるための温度制御機構が必要になる。しかし、本実施形態では、第2の熱媒を介して容器7を加熱しているため、第1の熱媒が約60℃であっても、第1の熱媒から第2の熱媒への伝熱効率を調整することによって、容器7を加熱する第2の熱媒の温度を40℃以下にすることができる。伝熱効率は、第2の熱媒の組成や、第1の熱媒が通流する熱交換用管路169と第2の熱媒との接触面積、第1の熱媒の流量などで容易に調整できる。
【0133】
さらに、第1の熱媒を直接槽163内に通流させた場合、熱源機11の取りつけられた高さや、熱媒管路13aの配管の高さなどによって、槽163に加わる圧力、つまり槽163と容器7との密着部分にかかる圧力が決まる。これに対して、本実施形態では、槽163の側方に設置された膨張タンク157内の液面の高さによって槽163に加わる圧力、つまり槽163と容器7との密着部分にかかる圧力が決まる。したがって、本実施形態では、第1の熱媒を直接槽163内に通流させた場合に比べ、槽163に満たされる熱媒の液面位置を低くすることができるため、槽163と容器7との密着部分にかかる圧力を低減できる。加えて、第2の熱媒は第1の熱媒よりも温度が低くなることによっても、第1の熱媒を直接槽163内に通流させた場合に比べて槽163と容器7との密着部分にかかる圧力を低減できる。これにより、槽163と容器7との密着部分からの熱媒の漏洩を防ぐことができ、また、槽と容器7との密着部分の耐圧能力を低くすることができ、加熱器の構成を簡素化できる。
【0134】
また、本実施形態では、第1の梁状部材である第1梁状部材193と、第2の梁状部材である第2梁状部材195及び第3梁状部材197とでフレーム191を構成しているが、第2の梁状部材は、槽163をガイドできればよいので、少なくとも2本、つまり第2梁状部材195だけにすることもできる。
【0135】
また、本実施形態では、ジャッキ機構としてボルト213、225、ナット215、217、219、221、223、227、229、231、233などからなるジャッキ機構を用いているが、油圧ジャッキや空気圧ジャッキなどを用いることもできる。ただし、ボルト213、225、ナット215、217、219、221、223、227、229、231、233などからなるジャッキ機構を用いれば、安価にでき、また、ジャッキ機構の構造を簡素化できる。
【0136】
また、本実施形態では、槽141内に第2の熱媒を充填したが、伝熱性を有する固体状またはゲル状の部材などを充填することもできる。また、本実施形態では、加熱器141の熱交換用管路169に通流される第1の熱媒は、熱源機11で加熱されたものであるが、マイクロガスタービン17の廃熱で加熱した熱媒など様々な方法で加熱した熱媒を通流させることができる。
【0137】
また、本実施形態では、容器7は、外気に曝された状態で設置されているが、容器7の底部に取りつけた加熱器141で容器7内の液化ガスを加熱する場合、容器7が外気に曝された状態にあると、外気温度の変化や風の影響により放熱し、容器7内の温度が変動して十分な効率で液化ガスを加熱できない場合がある。このような問題が生じる場合には、以下に説明するようなカバーを容器7に取りつけることで、液化ガスの加熱効率を向上することができる。
【0138】
すなわち、カバー237は、図19及び図20に示すように、容器7、容器7の脚部147、そして容器7の底部に取り付けられた加熱器141を覆うように取りつけられている。カバー237と容器7との間には、隙間239が形成されている。カバー237は、ケース91部分を除いて容器7の略円筒状の中央部、脚部147、そして加熱器141の長辺側側壁を覆う中央部カバー部241、容器7の略半球状の両端部と加熱器141の短辺側側壁を覆う2つの端部カバー部243で構成されている。中央部カバー部241は、容器7の中央部の形状に対応する略円筒形状に形成されており、上部にケース91の外形と同じ開口244が形成されており、カバー237を容器7に取り付けたとき、開口244にケース91が挿通される。中央部カバー部241の下部には、容器7の脚部147と加熱器141の長辺側側壁を覆うため、脚部147と加熱器141の長辺側側壁の形状に合わせた形状に成形された裾部分245が形成されている。また、中央部カバー部241の内面には、図21に示すように、開口244と裾部分245との間に上下方向に延在させて帯状部材247が等間隔で3本取りつけられている。帯状部材247は、断熱材で形成されており、帯状部材247が容器7に当接することで、カバー237と容器7との間の隙間239を形成している。なお、図21は、中央部カバー部241の片側半分のみを図示している。
【0139】
端部カバー部243は、図20に示すように、容器7の端部の形状に対応する半球状の部分とこの半球状の部分に連なる円筒状の部分とで形成されており、半球状の部分には、左右対称に2つずつ、計4つの貫通孔249が形成されている。端部カバー部243の下部には、加熱器141の短辺側側壁を覆うための裾部分251が形成されている。端部カバー部243の裾部分251には、加熱器141の短辺側側壁に設けられている連結管175と干渉しないように切り欠き253が形成されている。また、端部カバー部243の円筒状の部分の内面には、図19に示すように、リング状部材255が取りつけられている。リング状部材255は、断熱材で形成されており、リング状部材255が容器7に当接することで、カバー237と容器7との間の隙間239を形成している。
【0140】
このようなカバー237を設ければ、カバー237により外気温度や風が直接容器7に影響して容器7が放熱するのを防ぐことができ、さらに、加熱器141からの熱で暖められた空気がカバー237と容器7との隙間239内を上昇し容器7を保温することができる。したがって、容器7内の液化ガスの加熱器141による加熱効率を向上することができる。さらに、カバー237を設けると、容器7の外側表面から熱が放出される場所は、カバー237によって保温されていない容器7のケース91内の表面部分となる。このため、容器7からの熱により、ケース91内に配設されたガス管路8、8a、8b、第1圧力調整器149、第2圧力調整器151などが保温されることになる。したがって、ケース91内に配設されたガス管路8、8a、8b、第1圧力調整器149、第2圧力調整器151などで気相の液化ガスの再液化をし難くできる。
【0141】
なお、帯状部材247やリング状部材255の数、貫通孔249の数などは適宜増減することができる。また、帯状部材247やリング状部材255などを取りつけるのに代えて、中央部カバー部241や端部カバー部243自体を凹凸形状に成形して容器7側に突出したリブ状の部分を形成し、このリブ状の部分が容器7に当接させた構成にすることもできる。
【0142】
また、本発明に係る加熱器は、本実施形態の構成の液化ガス供給装置139に限らず、様々な構成の液化ガス供給装置に取り付ける加熱器に適用できる。さらに、液化ガス供給装置で用いる加熱器に限らず、ガス蒸気危険場所に設置される様々な圧力容器に取り付ける加熱器に適用することができる。
【0143】
また、第1乃至第5の実施形態では、熱源機11または補助ボイラ71に容器7内の気相の液化ガスを供給する構成を示したが、熱源機11または補助ボイラ71には、容器7以外の燃料供給源から液化ガスなどの燃料を供給する構成にすることもできる。さらに、容器7から供給される気相の液化ガスは、マイクロガスタービン17や熱源機11などに限らず、例えば厨房などに設置されたガスレンジやガスオーブンなどの液化ガスを利用する様々な機器や装置類に供給することができる。
【0144】
また、第1乃至第5の実施形態では大容量のバルク貯留容器である容器7を例として説明したが、それに限定されることなく、本発明は、より小容量のシリンダー型のガスボンベ、またはより大容量のバルク貯留リザーバーなどにも適用可能である。さらに、第1乃至第5の実施形態では、略円筒状の容器を横向きに設置した容器7を一例として説明したが、本発明は、略円筒状の容器を縦向きに設置した場合、例えば、図22に示すような容器257などにも適用できる。なお、図22では、容器257の底部に第5の実施形態で示した加熱器141を設けた例を示している。
【0145】
また、本発明では、液化ガス加熱手段として容器の外部に取り付ける加熱器を用いる場合は、液化ガスを収容する容器を新たに設置せず、既に設置されている容器を利用することもできる。さらに、熱媒加熱手段として給湯器などを用いる場合は、新たに給湯器などを設置せず、既に設置されている給湯器を利用することもできる。
【0146】
また、本発明は、第1乃至第5の実施形態の液化ガス供給装置の構成に限らず、様々な構成、例えば第1乃至第5の実施形態の各構成要素を適宜組み合わせた構成の液化ガス供給装置などに適用することができる。さらに、マイクロガスタービンに限らず、所定の圧以上の気相の液化ガスを利用する機器や装置類、例えばレシプロエンジン型の発電機や燃料電池などに気相の液化ガスを供給する様々な構成の液化ガス供給装置に適用することができる。
【0147】
例えば燃料電池は、原理的には水の電気分解と逆プロセスにより、酸素及び水素を用いて電気を発生する。構造的には、電解質を介した2種の電極を用い、正極に酸素、負極に水素を外部から供給するとともに、生成物である水を逐次外部に除去するようにしている。水素の供給方法としては、LPガスに水蒸気を混合して加熱することによって、LPガスを改質することが提案されており、そのために反応に必要な所定圧力を確保する観点及び改質プロセスに伴う圧力損失の観点から、所定圧力以上の圧力のLPガスが必要となる。このとき、マイクロガスタービンの場合と同様に、本発明の高圧LPガス供給システムによれば、効率的かつ安価に所定圧力以上の圧力でLPガスを供給することが可能となる。
【0148】
【発明の効果】
本発明によれば、所定の圧力以上で気相の液化ガスを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第1の実施形態の概略構成と動作を示すブロック図である。
【図2】マイクロガスタービンの概略構成を示す図である。
【図3】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第1の実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第2の実施形態の概略構成と動作を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第2の実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図6】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第3の実施形態の概略構成と動作を示すブロック図である。
【図7】図6のVII−VII線からの矢視図である。
【図8】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第4の実施形態の概略構成と動作を示すブロック図である。
【図9】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第3及び第4の実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用してなる液化ガス供給装置の第5の実施形態の概略構成と動作を示すブロック図である。
【図11】本発明を適用してなる加熱器の一実施形態の槽の概略構成を示す正面図である。
【図12】本発明を適用してなる加熱器の一実施形態の槽の概略構成を示す側面図である。
【図13】本発明を適用してなる加熱器の一実施形態の槽の概略構成を示す平面図である。
【図14】本発明を適用してなる加熱器の一実施形態のフレームの概略構成を示す容器の底面図である。
【図15】本発明を適用してなる加熱器を容器に取り付けた状態を示す正面図である。
【図16】本発明を適用してなる加熱器を容器に取り付けた状態を示す側面図である。
【図17】図16の破線で囲ったA部分の拡大図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線からみた矢視図である。
【図19】容器に容器を覆うカバーを取りつけた状態を示す正面図である。
【図20】容器に容器を覆うカバーを取りつけた状態を示す側面図である。
【図21】図20のXXI−XXI線からの矢視図である。
【図22】容器の一変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
7 容器
13a、13b 容器加熱用熱媒管路
17 マイクロガスタービン
19 遮断弁
63 液化ガス供給装置
64、64a、64b、64c、64d ガス管路
65 加熱器
67 温度センサ
69 吸収式冷凍機
71 補助ボイラ
73 ポンプ
Claims (5)
- 液化ガスを液相部及び気相部の2相状態で収容する容器と、該容器内の気相部に連通するガス管路と、前記容器内の液化ガスを加熱する加熱器と、該加熱器を経由して第1の熱媒を循環させる循環流路と、前記第1の熱媒を加熱する熱媒加熱手段と、前記容器内又は前記ガス管路に流入した前記気相の液化ガスの圧力又は温度を検知する検知手段と、該検知手段によって検出した圧力又は温度に応じて前記熱媒加熱手段を制御して、前記加熱器による前記容器内の液化ガスの加熱を制御する液化ガス加熱制御手段とを有し、前記加熱器は、上面が開口された槽と、該槽に内包されて加熱された第1の熱媒が通流する前記循環流路の一部を形成する熱交換用管路と、前記開口の周囲に載置され、前記容器の外面に前記開口の周囲を密着させる弾性を有するシール部材とを有し、前記槽内には、前記加熱された第1の熱媒の熱によって加熱される第2の熱媒が満たされ、該槽に連通させて前記第2の熱媒が充填された膨張タンクを有し、該膨張タンク内の前記第2の熱媒は、液面が前記シール部材の密着部分よりも高い位置に、かつ気相部を残して充填されてなる液化ガス供給装置。
- 液化ガスを液相部及び気相部の2相状態で収容する容器と、該容器内の気相部に連通するガス管路と、前記容器内の液化ガスを加熱する加熱器と、該加熱器を経由して加熱された第1の熱媒を循環させる循環流路と、前記容器内又は前記ガス管路に流入した前記気相の液化ガスの圧力又は温度を検知する検知手段と、該検知手段によって検出した圧力又は温度に応じて前記加熱器による前記容器内の液化ガスの加熱を制御する液化ガス加熱制御手段とを有し、前記加熱器は、上面が開口された槽と、該槽に内包されて加熱された第1の熱媒が通流する前記循環流路の一部を形成する熱交換用管路と、前記開口の周囲に載置され、前記容器の外面に前記開口の周囲を密着させる弾性を有するシール部材とを有し、前記槽内には、前記加熱された第1の熱媒の熱によって加熱される第2の熱媒が満たされ、前記槽に連通させて前記第2の熱媒が充填された膨張タンクを有し、該膨張タンク内の前記第2の熱媒は、液面が前記シール部材の密着部分よりも高い位置に、かつ気相部を残して充填されてなる液化ガス供給装置。
- 前記容器は複数の脚部によって台座に固定され、前記各脚部を台座に固定するためのボルトによって前記複数の脚部間に固定される少なくとも2本の第1の梁状部材と、該第1の梁状部材に交わる方向に該第1の梁状部材間に固定される少なくとも2本の第2の梁状部材を有し、前記加熱器は、前記槽を上方に押し上げるジャッキ機構を備え、該ジャッキ機構は、複数のボルトと該ボルトに螺合されるナットとで構成され、前記複数のボルトの一端側は、前記第1の梁状部材及び前記第2の梁状部材のいずれかに固定され、前記複数のボルトの他端側は、前記加熱器の槽の開口の周囲に固定され、前記槽の開口の周囲を上方に押し上げることで該槽を上方に押し上げ、該槽の開口の周囲を、前記シール部材を介して前記容器の底部に均等に押し付けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液化ガス供給装置。
- 前記気相の液化ガスを燃料として燃焼を行う機器又は装置が停止しているときには、前記ガス管路内の液化ガスの通流を、前記ガス管路の前記容器との連通部側で遮断するガス遮断手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液化ガス供給装置。
- 前記加熱器の温度を検出するための温度検出手段を有し、前記液化ガス加熱制御手段は、前記検知手段によって検出した圧力又は温度に加え、前記温度検出手段によって検出した前記加熱器の温度に応じて前記容器内の液化ガスの加熱を制御してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液化ガス供給装置。
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