[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。図2は本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図2は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図2において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。
図1および図2に示したように、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッド(以下、単に磁気ヘッドと記す。)は、アルミニウムオキサイド・チタニウムカーバイド(Al2O3・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に配置されたアルミナ(Al2O3)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シールド層3の上に配置された絶縁膜である下部シールドギャップ膜4と、この下部シールドギャップ膜4の上に配置された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に配置された絶縁膜である上部シールドギャップ膜6と、この上部シールドギャップ膜6の上に配置された磁性材料よりなる上部シールド層7とを備えている。下部シールド層3から上部シールド層7までの部分は、再生ヘッドを構成する。
MR素子5の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面30に配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。
磁気ヘッドは、更に、上部シールド層7の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層8と、この絶縁層8の上に配置されたコイル9と、コイル9の巻線間および周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層10と、絶縁層10の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層11とを備えている。コイル9は、平面渦巻き形状をなしている。コイル9および絶縁層10,11の上面は平坦化されている。絶縁層8,11は、例えばアルミナによって形成されている。絶縁層10は、例えばフォトレジストによって形成されている。コイル9は、銅等の導電材料によって形成されている。
磁気ヘッドは、更に、平坦化されたコイル9および絶縁層10,11の上面の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層51と、非磁性導電材料よりなり、絶縁層51の上に配置された下地層52と、非磁性材料よりなり、下地層52の上に配置された磁極層収容層53とを備えている。
絶縁層51の材料としては、例えば、アルミナ、シリコン酸化物(SiOX)、シリコン酸窒化物(SiON)のいずれかを用いることができる。
下地層52の材料としては、例えば、Ru、Ta、Mo、W、Ti、Au、Pt、NiCu、TiN、NiPdのいずれかを用いることができる。また、下地層52の材料としては、抵抗率が小さく、硬度がある程度大きいものが好ましい。下地層52の材料としては、適度の抵抗率と硬度とを有する点で、特にRuが好ましい。下地層52の厚みは、例えば0.1μmである。
磁極層収容層53は、上面で開口し、後述する磁極層を収容する溝部53aを有している。溝部53aは磁極層収容層53を貫通している。磁極層収容層53の材料としては、例えば、アルミナ、シリコン酸化物(SiOX)、シリコン酸窒化物(SiON)のいずれかを用いることができる。磁極層収容層53の厚みは、例えば0.20〜0.35μmの範囲内である。
下地層52は、磁極層収容層53の基板1に近い面(下面)に接すると共に、溝部53aよりも広い領域に配置されている。
磁気ヘッドは、更に、非磁性導電材料よりなり、磁極層収容層53の上面の上に配置された研磨停止層54を備えている。この研磨停止層54は、本発明における非磁性導電層に対応する。研磨停止層54は、貫通する開口部54aを有し、この開口部54aの縁は、磁極層収容層53の基板1から遠い面(上面)における溝部53aの縁の真上に配置されている。研磨停止層54の材料としては、例えば、Ta、Mo、W、Ti、Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Ir、TiN、TiW、NiCrのいずれかを用いることができる。
磁気ヘッドは、更に、溝部53a内に配置された磁極層16を備えている。磁極層16は、溝部53aの表面に近い位置に配置された第1層161と、溝部53aの表面から遠い位置に配置された第2層162とを有している。
第1層161と第2層162は、いずれも磁性材料によって形成されている。第1層161の材料としては、例えば、CoFeN、CoNiFe、NiFeのいずれかを用いることができる。第2層162の材料としては、例えば、NiFe、CoNiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
磁気ヘッドは、更に、下地層52、磁極層収容層53、研磨停止層54および磁極層16よりなる積層体の周囲において、絶縁層51の上に配置された被覆層32を備えている。被覆層32は、例えばアルミナによって形成されている。被覆層32、研磨停止層54および磁極層16の上面は平坦化されている。
磁気ヘッドは、更に、平坦化された被覆層32、研磨停止層54および磁極層16の上面の上に配置されたギャップ層18を備えている。ギャップ層18には、媒体対向面30から離れた位置において、開口部が形成されている。ギャップ層18の材料は、アルミナ等の絶縁材料でもよいし、Ru、NiCu、Ta、W、NiB等の非磁性金属材料でもよい。
磁気ヘッドは、更に、シールド層20を備えている。シールド層20は、ギャップ層18の上に配置された第1層20Aと、この第1層20Aの上に配置された第2層20Cと、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上に配置されたヨーク層20Bと、このヨーク層20Bの上に配置された連結層20Dと、第2層20Cと連結層20Dを連結するように配置された第3層20Eとを有している。第1層20A、ヨーク層20B、第2層20C、連結層20Dおよび第3層20Eは、いずれも磁性材料によって形成されている。これらの層20A〜20Eの材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFeのいずれかを用いることができる。
磁気ヘッドは、更に、非磁性材料よりなり、ヨーク層20Bの周囲に配置された非磁性層43を備えている。非磁性層43の一部は、第1層20Aの側方に配置されている。非磁性層43は、例えば、アルミナや塗布ガラス等の無機絶縁材料によって形成されている。あるいは、非磁性層43は、非磁性金属材料よりなる層とその上に配置された絶縁材料よりなる層とで構成されていてもよい。この場合、非磁性金属材料としては、例えば、Ta、Mo、Nb、W、Cr、Ru、Cu、Ni等の高融点金属が用いられる。
磁気ヘッドは、更に、ヨーク層20Bおよび非磁性層43の上面のうちの後述するコイルが配置される領域の上に配置された絶縁層44と、この絶縁層44の上に配置されたコイル22と、このコイル22の巻線間およびコイル22の周囲に配置された絶縁層23と、絶縁層23の周囲に配置された絶縁層24と、コイル22および絶縁層23,24の上に配置された絶縁層25を備えている。コイル22は、平面渦巻き形状をなしている。コイル22の一部は、第2層20Cと連結層20Dの間を通過している。コイル22は、銅等の導電材料によって形成されている。第2層20C、連結層20D、コイル22および絶縁層23,24の上面は平坦化されている。絶縁層23は、例えばフォトレジストによって形成されている。絶縁層44,24,25は、例えばアルミナによって形成されている。
コイル9からシールド層20の第3層20Eまでの部分は、記録ヘッドを構成する。図示しないが、磁気ヘッドは、更に、シールド層20を覆うように形成された保護層を備えている。
以上説明したように、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面30と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドと記録ヘッドは、基板1の上に積層されている。再生ヘッドは記録媒体の進行方向Tの後側(スライダにおける空気流入端側)に配置され、記録ヘッドは記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面30側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層7と、MR素子5と下部シールド層3との間に配置された下部シールドギャップ膜4と、MR素子5と上部シールド層7との間に配置された上部シールドギャップ膜6とを備えている。
記録ヘッドは、コイル9、絶縁層51、下地層52、磁極層収容層53、研磨停止層54、磁極層16、ギャップ層18、シールド層20およびコイル22を備えている。コイル9,22は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。なお、コイル9は、記録ヘッドにおける必須の構成要素ではなく、設けられていなくてもよい。
磁極層16は、媒体対向面30に配置された端面を有し、コイル22によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
シールド層20は、媒体対向面30に配置された端部を有し、媒体対向面30から離れた位置において磁極層16に連結されている。ギャップ層18は、非磁性材料よりなり、磁極層16とシールド層20との間に設けられている。
媒体対向面30において、シールド層20の端面は、磁極層16の端面に対して、ギャップ層18の厚みによる所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。コイル22の少なくとも一部は、磁極層16とシールド層20との間に、磁極層16およびシールド層20に対して絶縁された状態で配置されている。
シールド層20は、ギャップ層18に隣接するように配置された第1層20Aと、第1層20Aにおけるギャップ層18とは反対側に配置された第2層20Cと、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上に配置されたヨーク層20Bと、このヨーク層20Bの上に配置された連結層20Dと、第2層20Cと連結層20Dを連結するように配置された第3層20Eとを有している。第2層20Cは、媒体対向面30とコイル22の少なくとも一部との間に配置されている。
図3は、磁極層16を示す平面図である。図3に示したように、磁極層16は、一端部が媒体対向面30に配置され、一定の幅を有するトラック幅規定部16Aと、このトラック幅規定部16Aの他端部に連結され、トラック幅規定部16Aよりも大きな幅を有する幅広部16Bとを有している。幅広部16Bの幅は、例えば、トラック幅規定部16Aとの境界位置ではトラック幅規定部16Aの幅と等しく、媒体対向面30から離れるに従って、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。ここで、媒体対向面30に垂直な方向についてのトラック幅規定部16Aの長さをネックハイトNHと呼ぶ。ネックハイトNHは、例えば0.1〜0.3μmの範囲内である。
また、図1に示したように、媒体対向面30に配置された磁極層16の端面は、基板1に近い第1の辺A1と、第1の辺A1とは反対側の第2の辺A2と、第1の辺A1の一端と第2の辺A2の一端とを結ぶ第3の辺A3と、第1の辺A1の他端と第2の辺A2の他端とを結ぶ第4の辺A4とを有している。第2の辺A2は、トラック幅を規定する。媒体対向面30に配置された磁極層16の端面の幅は、第1の辺A1に近づくに従って小さくなっている。
第2の辺A2の長さ、すなわちトラック幅は、例えば0.08〜0.12μmの範囲内である。磁極層16の厚みは、例えば0.20〜0.30μmの範囲内である。また、第3の辺A3と第4の辺A4がそれぞれ基板1の上面に垂直な方向となす角度は、例えば、5°〜12°の範囲内とする。ギャップ層18の厚みは、例えば、40〜80nmの範囲内である。
研磨停止層54は、磁極層収容層53の上面の上に配置されている。研磨停止層54は、貫通する開口部54aを有し、この開口部54aの縁は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの縁の真上に配置されている。研磨停止層54の厚みは、例えば20〜60nmの範囲内である。
磁極層16は、溝部53aの表面に近い位置に配置された第1層161と、溝部53aの表面から遠い位置に配置された第2層162とを有している。第1層161の厚みは、例えば40〜100nmの範囲内である。
シールド層20の第1層20Aは、媒体対向面30に配置された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有している。シールド層20の第2層20Cも、媒体対向面30に配置された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有している。第1層20Aの第2の端部は、スロートハイトTHを規定する。すなわち、図2に示したように、第1層20Aのうち、ギャップ層18を介して磁極層16と対向する部分における第1の端部と第2の端部との間の最短距離がスロートハイトTHとなる。また、スロートハイトTHは、例えば0.1〜0.3μmの範囲内である。また、第2層20Cのうち、ギャップ層18および第1層20Aを介して磁極層16と対向する部分における第1の端部と第2の端部との間の最短距離は、例えば0.5〜0.8μmの範囲内である。また、第1層20Aおよびヨーク層20Bの厚みは、例えば0.3〜0.8μmの範囲内である。第2層20Cおよび連結層20Dの厚みは、例えば2.0〜2.5μmの範囲内である。第3層20Eの厚みは、例えば、2.0〜3.0μmの範囲内である。
なお、図2等の本出願の図面では、磁極層16の周辺の構造を詳細に示すために、磁極層16をヨーク層20Bよりも厚く描いている。しかし、実際の磁極層16の厚みは、例えば、ヨーク層20Bの厚みと同程度かヨーク層20Bの厚みよりも小さい。
次に、図4ないし図10を参照して、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図4、図9および図10において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。図5ないし図8において、(a)は、積層体の上面を示し、(b)は、積層体の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(c)は、積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図4ないし図10では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、まず、図2に示したように、基板1の上に、絶縁層2、下部シールド層3、下部シールドギャップ膜4を順に形成する。次に、下部シールドギャップ膜4の上にMR素子5と、このMR素子5に接続される図示しないリードとを形成する。次に、MR素子5およびリードを、上部シールドギャップ膜6で覆う。次に、上部シールドギャップ膜6の上に、上部シールド層7および絶縁層8を順に形成する。次に、絶縁層8の上に、コイル9および絶縁層10,11を形成する。次に、コイル9および絶縁層10,11の上面を、例えばCMPによって平坦化する。
図4は、次の工程を示す。この工程では、まず、平坦化されたコイル9および絶縁層10,11の上面の上に、絶縁層51と下地層52を順に形成する。次に、下地層52の上に、後に溝部53aが形成されることにより磁極層収容層53となる非磁性層53Pを形成する。次に、例えばスパッタ法によって、非磁性層53Pの上に、研磨停止層54を形成する。
図5は、次の工程を示す。この工程では、まず、研磨停止層54の上に、例えば1.0μmの厚みのフォトレジスト層を形成する。次に、このフォトレジスト層をパターニングして、磁極層収容層53に溝部53aを形成するためのマスク55を形成する。このマスク55は、溝部53aに対応した形状の開口部を有している。
次に、マスク55を用いて、研磨停止層54を選択的にエッチングする。これにより、研磨停止層54に、貫通した開口部54aが形成される。この開口部54aは、後に形成される磁極層16の平面形状に対応した形状をなしている。更に、非磁性層53Pのうち研磨停止層54の開口部54aから露出する部分を選択的にエッチングすることによって、非磁性層53Pに溝部53aを形成する。次に、マスク55を除去する。溝部53aが形成されることにより、非磁性層53Pは磁極層収容層53となる。研磨停止層54は、後に行われる研磨の停止位置を示す。研磨停止層54の開口部54aの縁は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの縁の真上に配置されている。
研磨停止層54と非磁性層53Pのエッチングは、例えば、反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングを用いて行われる。非磁性層53Pに溝部53aを形成するためのエッチングの際には、磁極層16のトラック幅規定部16Aの両側部に対応する溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度が、例えば5°〜12°の範囲内になるようにする。反応性イオンエッチングを用いて非磁性層53Pをエッチングする場合のエッチングの条件については、後で詳しく説明する。
次に、電子顕微鏡を用いて、研磨停止層54の開口部54aの幅を測定する。電子顕微鏡としては、測長(critical dimension measurement)走査型電子顕微鏡を用いることが好ましい。研磨停止層54の開口部54aの縁は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの縁の真上に配置されているので、開口部54aの幅は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅と等しい。従って、開口部54aの幅を測定することにより、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定することができる。これにより、以下のようにして、トラック幅を求めることができる。図1から分かるように、トラック幅は、媒体対向面30に配置された磁極層16の端面における第2の辺A2の長さに等しい。このトラック幅は、媒体対向面30での磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅に等しい。従って、媒体対向面30での磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定することにより、トラック幅を求めることができる。
ところで、磁極層収容層53の上面の上に研磨停止層54が配置されず、磁極層収容層53がアルミナ等の絶縁材料によって構成されている場合には、電子顕微鏡によって磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定しようとすると、磁極層収容層53の上面に電荷がたまり、正常な画像が得られない。これに対し、本実施の形態では、磁極層収容層53の上面の上に、導電性の材料によって構成された研磨停止層54が配置されている。そして、この研磨停止層54の開口部54aの縁は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの縁の真上に配置されている。従って、本実施の形態では、電子顕微鏡によって研磨停止層54を観察したときに正常な画像が得られ、その結果、研磨停止層54の開口部54aの幅を正確に測定することができる。これにより、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を正確に測定することができる。
また、上述のように、電子顕微鏡によって磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定する際には、同時に、磁極層収容層53の溝部53aの底部の幅を測定してもよい。これにより、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求めることができる。これについては、後で詳しく説明する。
図6は、次の工程を示す。この工程では、まず、磁極層収容層53の溝部53a内および研磨停止層54の上に、磁極層16の第1層161となる第1の磁性層161Pを形成する。この第1の磁性層161Pは、例えば、スパッタ法またはイオンビームデポジション法(以下、IBDと記す。)によって形成される。スパッタ法によって第1の磁性層161Pを形成する場合には、コリメーションスパッタやロングスロースパッタを用いることが好ましい。次に、磁性層161Pの上に、磁極層16の第2層162となる第2の磁性層162Pを形成する。この第2の磁性層162Pは、例えばフレームめっき法によって形成される。その際、下地層52および第1の磁性層161Pが、めっき用の電極として用いられる。
図7は、次の工程を示す。この工程では、まず、第2の磁性層162Pをマスクとして、例えば反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによって、第1の磁性層161P、研磨停止層54、磁極層収容層53および下地層52のうち、第2の磁性層162Pの下に存在している部分以外の部分を選択的に除去する。次に、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる被覆層32を、例えば0.8〜1.5μmの厚みに形成する。
次に、図8に示したように、例えばCMPによって、研磨停止層54が露出するまで被覆層32、第2の磁性層162Pおよび第1の磁性層161Pを研磨して、被覆層32、研磨停止層54、第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの上面を平坦化する。CMPによって被覆層32、第2の磁性層162Pおよび第1の磁性層161Pを研磨する場合には、研磨停止層54が露出した時点で研磨が停止するようなスラリー、例えばアルミナ系のスラリーを用いる。このようにして研磨停止層54が露出した時点で研磨を停止させることにより、第1層161および第2層162よりなる磁極層16の厚みを正確に制御することができる。
図9は、次の工程を示す。この工程では、まず、積層体の上面全体の上に、ギャップ層18を形成する。次に、媒体対向面30から離れた位置において、ギャップ層18を選択的にエッチングして、ギャップ層18に開口部を形成する。次に、ギャップ層18の上に第1層20Aを形成すると共に、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上にヨーク層20Bを形成する。第1層20Aおよびヨーク層20Bは、フレームめっき法によって形成してもよいし、スパッタ法によって磁性層を形成した後、この磁性層を選択的にエッチングすることによって形成してもよい。この時点における第1層20Aおよびヨーク層20Bの厚みは、例えば1.0μmである。
次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層43を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層20Aおよびヨーク層20Bが露出するまで非磁性層43を研磨して、第1層20A、ヨーク層20Bおよび非磁性層43の上面を平坦化する。また、この研磨によって、第1層20Aおよびヨーク層20Bの厚みが例えば0.8μmになるようにする。
図10は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばスパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる絶縁層44を、例えば0.2〜0.3μmの範囲内の厚みで形成する。次に、この絶縁層44のうち、後にコイル22および絶縁層23が配置される部分以外の部分を、エッチングによって除去する。
次に、例えばフレームめっき法によって、絶縁層44の上にコイル22を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第2層20Cおよび連結層20Dを形成する。なお、第2層20Cおよび連結層20Dを形成した後に、コイル22を形成してもよい。
次に、コイル22の巻線間およびコイル22の周囲に、例えばフォトレジストよりなる絶縁層23を選択的に形成する。次に、積層体の上面全体の上に、絶縁層24を例えば4〜4.5μmの厚みで形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20C、連結層20Dおよびコイル22が露出するまで絶縁層24を研磨して、第2層20C、連結層20D、コイル22および絶縁層23,24の上面を平坦化する。次に、コイル22および絶縁層23,24の上に絶縁層25を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第3層20Eを形成して、シールド層20を完成させる。
次に、図示しないが、積層体の上面全体を覆うように保護層を形成する。次に、保護層の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面30の研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
次に、本実施の形態に係る磁気ヘッドの作用および効果について説明する。この磁気ヘッドでは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。記録ヘッドにおいて、コイル22は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。磁極層16およびシールド層20は、コイル22が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。磁極層16は、コイル22によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。シールド層20は、磁気ヘッドの外部から磁気ヘッドに印加された外乱磁界を取り込む。これにより、外乱磁界が磁極層16に集中して取り込まれることによって記録媒体に対して誤った記録が行なわれることを防止することができる。
また、本実施の形態では、媒体対向面30において、シールド層20の端面は、磁極層16の端面に対して、ギャップ層18による所定の小さな間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。記録媒体に記録されるビットパターンの端部の位置は、媒体対向面30における磁極層16のギャップ層18側の端部の位置によって決まる。シールド層20は、磁極層16の媒体対向面30側の端面より発生されて記録媒体の面に垂直な方向以外の方向に広がる磁束を取り込むことにより、この磁束が記録媒体に達することを阻止する。これにより、記録媒体に既に記録されているビットパターンにおける磁化の方向が上記磁束の影響によって変化することを防止することができる。これにより、本実施の形態によれば、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、図1に示したように、媒体対向面30に配置された磁極層16の端面の幅は、第1の辺A1に近づくに従って小さくなっている。これにより、本実施の形態によれば、スキューに起因した問題の発生を防止することができる。
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法において、磁極層収容層53を形成する工程は、以下の第1ないし第3の工程を備えている。第1の工程は、後に溝部53aが形成されることにより磁極層収容層53となる非磁性層53Pを形成する工程である。第2の工程は、非磁性導電材料よりなり、磁極層16の平面形状に対応した形状の貫通する開口部54aを有し、後に行われる研磨の停止位置を示す研磨停止層54を、非磁性層53Pの上面の上に形成する工程である。第3の工程は、非磁性層53Pが磁極層収容層53になるように、非磁性層53Pのうち研磨停止層54の開口部54aから露出する部分を選択的にエッチングすることによって、非磁性層53Pに溝部53aを形成する工程である。
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法において、磁極層16を形成する工程は、以下の第4ないし第6の工程を備えている。第4の工程は、磁極層16となる磁性層161P、162Pを、溝部53aを埋め、且つその上面が研磨停止層54の上面よりも上側に配置されるように形成する工程である。第5の工程は、磁性層161P、162Pおよび研磨停止層54を覆うように、被覆層32を形成する工程である。第6の工程は、磁性層161P、162Pが、それぞれ磁極層16の第1層161、第2層162になるように、研磨停止層54が露出するまで、被覆層32および磁性層161P、162Pを研磨する工程である。
本実施の形態によれば、磁性層161P,162Pの研磨は、研磨停止層54が露出した時点で停止する。研磨停止層54の開口部54aの縁は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの縁の真上に配置されている。従って、磁性層161P,162Pの研磨が終了した時点で、研磨停止層54の上面と磁極層16の上面との間に、ほとんど段差は生じない。従って、本実施の形態によれば、磁極層16の厚みを正確に制御することができる。更に、このことから、本実施の形態によれば、磁極層16の上面における幅を正確に制御することが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、トラック幅を正確に制御することが可能になる。
また、本実施の形態によれば、研磨停止層54の開口部54aの幅を測定することにより、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定することができる。これにより、本実施の形態によれば、磁気ヘッドの製造工程の途中でトラック幅を測定することが可能になり、その結果、磁気ヘッドの製造効率を向上させることができる。
また、本実施の形態では、磁極層16の側部をエッチングしないので、ネックハイトNHが所望の値よりも大きくなったり、磁極層16の形状が所望の形状から崩れたりすることがない。従って、本実施の形態によれば、オーバーライト特性を向上させることができる。
以上のことから、本実施の形態によれば、スキューに起因した問題の発生を防止できる形状を有し且つ幅の小さな磁極層16を正確に形成することができる。
ここで、磁極層収容層に、貫通しない溝部を形成し、この溝部内に、めっき法によって磁極層を形成する場合について考える。この場合、特にトラック幅が小さくなって溝部の幅も小さくなったときには、溝部の底部にめっき用の電極膜を欠陥なく形成することが難しくなる。溝部の底部において、電極膜が十分に形成されていないと、めっき法によって磁極層を形成したときに、溝部の底部近傍において、めっき膜が十分に成長せずに、キーホール等の欠陥が生じる場合がある。
本実施の形態では、貫通する溝部53aを有する磁極層収容層53の下に、非磁性導電材料よりなり、めっき用の電極として用いられる下地層52が配置される。従って、本実施の形態では、溝部53aの底部に、めっき用の電極として用いられる下地層52が存在する。そのため、本実施の形態によれば、めっき法によって溝部53a内に第2の磁性層162Pを形成する際に、下地層52に電流を流すことにより、溝部53aの底部近傍においても、めっき膜を十分に成長させることができ、その結果、キーホール等の欠陥が生じることを防止することができる。従って、本実施の形態によれば、トラック幅が小さくなっても、所望の形状の磁極層16を正確に形成することができる。
次に、図11および図12を参照して、非磁性層53Pに溝部53aを形成するために、反応性イオンエッチングを用いて非磁性層53Pをエッチングする場合におけるエッチングの条件について詳しく説明する。以下、非磁性層53PがAl2O3によって構成されている場合を例に取って説明する。この場合、反応性イオンエッチングで使用されるエッチングガスとしては、塩素(Cl)または臭素(Br)を含む第1のガスと、フッ素(F)を含む第2のガスとを含むものが好ましい。第1のガスは、例えば、BCl3、Cl2、BBr3、HClのいずれかを含む。第2のガスは、例えば、CF4、C2F6、SF6、CHF3のいずれかを含む。
第1のガスは、非磁性層53Pのエッチングに寄与する主成分である。第2のガスは、エッチング中に溝部53aの側壁に側壁保護膜を形成するためのガスである。すなわち、反応性イオンエッチングを用いて、Al2O3によって構成された非磁性層53Pをエッチングする際に、エッチングガスに第2のガスを含めることにより、Al2O3のエッチング反応中に、AlFなる反応生成物が生成される。この反応生成物は、非常に気化しにくいため、溝部53aの側壁に付着して側壁保護膜を形成する。この側壁保護膜が形成されることにより、エッチングは異方性を示し、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度が0°よりも大きくなる。また、この角度は、エッチングガスの成分を制御することによって制御することが可能である。以下、好ましいエッチングの条件を求めるために行った第1および第2の実験の結果について説明する。
第1の実験では、第1のガスをBCl3ガスとCl2ガスの混合ガスとし、第2のガスをCF4ガスとしている。そして、第1のガスの流量を第2のガスの流量で除した値と、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度との関係を求めた。この第1の実験の結果を、図11に示す。図11において、横軸は、第1のガスの流量を第2のガスの流量で除した値(図11では、流量比と記す。)を示し、縦軸は、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度(図11では、角度と記す。単位はdegree)を示している。第1の実験によれば、第1のガスの流量を第2のガスの流量で除した値が4〜20の範囲内において大きくなるほど、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度は、4°〜15°の範囲内で小さくなっている。第1のガスの流量を第2のガスの流量で除した値が20を超えると、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度は、4°よりも小さくなり、溝部53aの壁面は基板1の上面に対してほぼ垂直となる。また、第1のガスの流量を第2のガスの流量で除した値が4よりも小さくなると、特に溝部53aの幅が小さいときに、非磁性層53Pのエッチングが止まり、反応生成物の堆積が始まる現象が発生することがあった。以上のことから、非磁性層53PがAl2O3によって構成され、第1のガスをBCl3ガスとCl2ガスの混合ガスとし、第2のガスをCF4ガスとした場合には、第1のガスの流量は第2のガスの流量の4倍から20倍の範囲内であることが好ましい。
第2の実験では、エッチングガスとして、BCl3ガスとCl2ガスの混合ガスを用い、BCl3ガスの流量をCl2ガスの流量で除した値と、非磁性層53Pのエッチング速度との関係を調べた。その結果を図12に示す。図12において、横軸は、BCl3ガスの流量をCl2ガスの流量で除した値(図12では、流量比と記す。)を示し、縦軸は、非磁性層53Pのエッチング速度(単位はnm/分)を示している。Al2O3のエッチングに対する寄与は、Cl2ガスよりもBCl3ガスの方が大きい。そのため、図12に示した実験結果からも分かるように、BCl3ガスの流量をCl2ガスの流量で除した値が大きくなるほど、エッチング速度は大きくなる。第2の実験から、BCl3ガスの流量をCl2ガスの流量で除した値が1よりも小さくなると、エッチング速度が急激に減少することが分かる。また、第2の実験から、BCl3ガスの流量をCl2ガスの流量で除した値が20を超えると、マスク55または研磨停止層54に、ホウ素(B)系の反応性生物が析出する場合があることが分かった。この反応性生物が析出すると、マスク55の除去が困難になったり、パーティクルが発生するといった問題が生じる。以上のことから、非磁性層53PがAl2O3によって構成され、第1のガスがBCl3ガスとCl2ガスの混合ガスである場合には、BCl3ガスの流量はCl2ガスの流量の1倍から20倍の範囲内であることが好ましい。
次に、図13を参照して、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅と溝部53aの底部の幅とを測定して、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求める方法について詳しく説明する。図13は、図5に示した積層体からマスク55を除去した後の積層体の上面を走査型電子顕微鏡によって観察したときに得られる画像を模式的に表している。なお、図13は、積層体のうち、磁極層16のトラック幅規定部16Aに対応する部分の近傍を表している。
前述のように、研磨停止層54の開口部54aの縁は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの縁の真上に配置されているので、開口部54aの幅W1は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅と等しい。従って、走査型電子顕微鏡の観察画像から、開口部54aの幅W1を測定することにより、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定することができる。研磨停止層54は導電性の材料によって構成されているので、走査型電子顕微鏡の観察画像において、研磨停止層54の開口部54aの縁の位置は鮮明に現れる。
磁極層収容層53は、例えばAl2O3によって構成されている。この場合、走査型電子顕微鏡による観察時に、磁極層収容層53の表面には電荷がたまる。しかし、溝部53aの壁面は、基板1の上面に対して大きな角度で傾いているため、電荷はたまりにくい。また、溝部53aは貫通しているため、溝部53aの底部には、導電性の材料によって構成された下地層52が現れている。そのため、走査型電子顕微鏡の観察画像において、溝部53aの壁面と底部との境界の位置は鮮明に現れる。従って、走査型電子顕微鏡の観察画像から、溝部53aの底部の幅W2を測定することができる。
上述のように測定される幅W1、W2の他に、溝部53aの深さが分かれば、計算により、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求めることができる。溝部53aの深さは、磁極層収容層53の厚みと等しい。磁極層収容層53の厚みは、非磁性層53Pの形成時の条件を制御することにより、ほぼ一定になるように制御することができる。従って、磁気ヘッドの製造工程の途中で溝部53aの深さを測定しなくても、溝部53aの深さは予め分かる。
以上のことから、磁気ヘッドの製造工程の途中で、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅と溝部53aの底部の幅とを測定すれば、これらの幅と既知の溝部53aの深さから、計算により、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求めることができる。これにより、磁気ヘッドの製造工程の途中で、所望の形状の溝部53aが形成されているか否かを確認することが可能となり、その結果、磁気ヘッドの製造効率を向上させることができる。
図14は、本実施の形態に係る磁気ヘッドの第1の変形例を示している。図14において、(a)は、磁気ヘッドの主要部の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、磁気ヘッドの主要部の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図14では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
第1の変形例では、研磨停止層54が除去され、磁極層収容層53、第1層161、第2層162および被覆層32の上面が平坦化され、これらの上面の上にギャップ層18が配置されている。この第1の変形例の磁気ヘッドにおけるその他の構成は、図1および図2に示した磁気ヘッドと同様である。
第1の変形例の磁気ヘッドの製造方法では、図8に示したように、研磨停止層54が露出するまで被覆層32、第2の磁性層162Pおよび第1の磁性層161Pを研磨した後、例えば反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによって、研磨停止層54を選択的に除去する。次に、例えばCMPによって、第1の磁性層161P、第2の磁性層162Pおよび被覆層32をわずかに研磨して、磁極層収容層53、第1の磁性層161P、第2の磁性層162Pおよび被覆層32の上面を平坦化する。
あるいは、研磨停止層54が露出するまで被覆層32、第2の磁性層162Pおよび第1の磁性層161Pを研磨した後、イオンビームエッチングによって、研磨停止層54を除去すると共に第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの各一部をエッチングして、磁極層収容層53、第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの上面を平坦化してもよい。このエッチングでは、イオンビームの進行方向が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度を40〜75°の範囲内とすることが好ましく、この角度を40〜55°の範囲内とすることがより好ましい。磁極層収容層53がアルミナによって形成されている場合、イオンビームエッチングにおいて、磁性層161P,162Pのエッチング速度E2は、磁極層収容層53のエッチング速度E1よりも大きく、研磨停止層54のエッチング速度E3は、磁性層161P,162Pのエッチング速度E2よりも大きい。ここで、イオンビームの進行方向が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度を上記の範囲内としてイオンビームエッチングを行うことにより、エッチング選択比E2/E1およびE3/E1を大きくすることができる。これにより、容易に、磁極層収容層53と磁性層161P,162Pの各上面をほぼ同じ高さにすることが可能になる。その結果、トラック幅の制御が容易になる。
このようにして、第1の磁性層161P、第2の磁性層162Pは、それぞれ第1層161、第2層162となり、磁極層収容層53、第1層161および第2層162の上面が平坦化された構造が得られる。次に、積層体の上面全体の上にギャップ層18を形成する。第1の変形例の磁気ヘッドの製造方法における、その後の工程は、図1および図2に示した磁気ヘッドの製造方法と同様である。
図15は、本実施の形態に係る磁気ヘッドの第2の変形例を示している。図15において、(a)は、磁気ヘッドの主要部の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、磁気ヘッドの主要部の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図15では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
第2の変形例では、図2に示した絶縁層23,25の代わりに、コイル22の少なくとも一部を覆う絶縁層26を備えている。また、第2の変形例において、シールド層20は、図2に示した第2層20C、連結層20Dおよび第3層20Eの代わりに、第2層20Fを有している。第2層20Fは、媒体対向面30に配置された端部を有し、第1層20Aとヨーク層20Bとを連結するように配置されている。第2層20Fは、絶縁層26によって覆われたコイル22の少なくとも一部における磁極層16とは反対側に配置された部分を含んでいる。第2層20Fのうち、媒体対向面30とコイル22との間に配置された部分における媒体対向面30側の端部とその反対側の端部との距離は、第1層20Aから離れるに従って大きくなっている。第2層20Fは、例えばCoNiFeまたはNiFeによって形成されている。
また、第2の変形例では、図2に示した絶縁層24の代わりに絶縁層27を備えている。絶縁層27は、第2層20Fの周囲に配置されている。絶縁層27は、例えばアルミナによって形成されている。第2の変形例の磁気ヘッドにおけるその他の構成は、第1の変形例と同様である。
第2の変形例の磁気ヘッドの製造方法では、コイル22を形成する工程までは、第1の変形例と同様である。第2の変形例では、コイル22を形成した後、絶縁層26、第2層20F、絶縁層27を順に形成する。第2の変形例の磁気ヘッドの製造方法における、その後の工程は、図1および図2に示した磁気ヘッドの製造方法と同様である。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。まず、図16ないし図25を参照して、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図16ないし図25において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図16ないし図25では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、非磁性層53Pを形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。図16は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばスパッタ法によって、非磁性層53Pの上に、非磁性材料よりなる下部研磨停止層61を形成する。下部研磨停止層61は、例えば非磁性導電材料によって形成される。下部研磨停止層61の材料としては、例えば、第1の実施の形態における研磨停止層54の材料と同じものを用いることができる。下部研磨停止層61の厚みは、例えば20〜60nmの範囲内である。
次に、下部研磨停止層61の上に、非磁性材料よりなる、所定の厚みのスペーサ層62を形成する。スペーサ層62の材料としては、例えば絶縁材料または半導体材料を用いることができる。スペーサ層62の材料としての絶縁材料としては、例えばアルミナ、シリコン酸化物(SiOX)、シリコン酸窒化物(SiON)のいずれかを用いることができる。スペーサ層62の材料としての半導体材料としては、例えば多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンを用いることができる。スペーサ層62の厚みは、例えば20〜50nmの範囲内である。スペーサ層62は、例えば、スパッタ法またはCVDによって形成される。
図17は、次の工程を示す。この工程では、まず、スペーサ層62の上に、例えば1.0μmの厚みのフォトレジスト層を形成する。次に、このフォトレジスト層をパターニングして、磁極層収容層53に溝部53aを形成するためのマスク63を形成する。このマスク63は、溝部53aに対応した形状の開口部を有している。
次に、マスク63を用いて、スペーサ層62および下部研磨停止層61を選択的にエッチングする。これにより、スペーサ層62と下部研磨停止層61に、それぞれ貫通した開口部62a,61aが形成される。開口部61aは、後に形成される磁極層16の平面形状に対応した形状をなしている。更に、非磁性層53Pのうち下部研磨停止層61の開口部61aから露出する部分を選択的にエッチングすることによって、非磁性層53Pに溝部53aを形成する。次に、マスク63を除去する。溝部53aが形成されることにより、非磁性層53Pは磁極層収容層53となる。下部研磨停止層61は、後に行われる第2の研磨工程における研磨の停止位置を示す。下部研磨停止層61の開口部61aの縁は、磁極層収容層53の上面における溝部53aの縁の真上に配置されている。スペーサ層62、下部研磨停止層61および非磁性層53Pのエッチングの条件は、第1の実施の形態における研磨停止層54と非磁性層53Pのエッチングの条件と同様である。
なお、スペーサ層62の上にマスク63となるフォトレジスト層を形成する前に、スペーサ層62の上に、下部研磨停止層61と同様の材料および厚みの非磁性層を形成し、その上にフォトレジスト層を形成してもよい。この場合には、開口部62a,61aの縁をより精密に形成することができる。
次に、第1の実施の形態と同様に、電子顕微鏡を用いて、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定する。このとき、同時に、磁極層収容層53の溝部53aの底部の幅を測定してもよい。これにより、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求めることができる。
次に、図18に示したように、磁極層収容層53の溝部53a内およびスペーサ層62の上に、非磁性導電材料よりなる上部研磨停止層64を形成する。上部研磨停止層64は、例えば、スパッタ法、CVDまたはIBDによって形成される。上部研磨停止層64の材料としては、例えば、第1の実施の形態における研磨停止層54の材料と同じものを用いることができる。上部研磨停止層64の厚みは、例えば20〜30nmの範囲内である。上部研磨停止層64は、溝部53aの底部において、下地層52に接し、下地層52に電気的に接続される。
次に、図19に示したように、上部研磨停止層64の上に、磁極層16となる磁性層16Pを形成する。磁性層16Pは、磁性材料によって形成される。具体的には、磁性層16Pの材料としては、例えば、NiFe、CoNiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。磁性層16Pは、溝部53aを埋め、且つその上面が上部研磨停止層64の上面よりも上側に配置されるように形成される。磁性層16Pは、例えばフレームめっき法によって形成される。その際、下地層52および上部研磨停止層64が、めっき用の電極として用いられる。図19(a),(b)において、符号163は、フレームの外側に形成された不要なめっき層を示している。
次に、図20に示したように、磁性層16Pおよびめっき層163をマスクとして、例えば反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによって、上部研磨停止層64、スペーサ層62、下部研磨停止層61のうち、磁性層16Pおよびめっき層163の下に存在している部分以外の部分を選択的に除去する。
図21は、次の工程を示す。この工程では、まず、次に、磁性層16Pおよびめっき層163をマスクとして、例えば反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによって、磁極層収容層53のうち、磁性層16Pおよびめっき層163の下に存在している部分以外の部分を選択的に除去する。次に、例えばイオンビームエッチングによって、下地層52のうち、磁極層収容層53の下に存在している部分以外の部分を選択的に除去する。次に、めっき層163を選択的に除去する。次に、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる被覆層32を、例えば0.8〜1.5μmの厚みに形成する。
次に、図22に示したように、例えばCMPによって、上部研磨停止層64が露出するまで被覆層32および磁性層16Pを研磨して、被覆層32、上部研磨停止層64および磁性層16Pの上面を平坦化する。この工程は、本発明における第1の研磨工程に対応する。CMPによって被覆層32および磁性層16Pを研磨する場合には、上部研磨停止層64が露出した時点で研磨が停止するようなスラリー、例えばアルミナ系のスラリーを用いる。
次に、図23に示したように、例えば、CF4ガスを含むエッチングガスを用いた反応性イオンエッチングによって、上部研磨停止層64のうち、積層体の上面に露出している部分を選択的に除去する。
図24は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばCMPによって、下部研磨停止層61が露出するまでスペーサ層62、上部研磨停止層64および磁性層16Pを研磨して、下部研磨停止層61、スペーサ層62、上部研磨停止層64および磁性層16Pの上面を平坦化する。これにより、残った磁性層16Pがそれぞれ磁極層16となる。この研磨工程は、本発明における第2の研磨工程に対応する。CMPによってスペーサ層62、上部研磨停止層64および磁性層16Pを研磨する場合には、下部研磨停止層61が露出した時点で研磨が停止するようなスラリー、例えばアルミナ系のスラリーを用いる。このようにして下部研磨停止層61が露出した時点で研磨を停止させることにより、磁極層16の厚みを正確に制御することができる。次に、積層体の上面全体の上に、ギャップ層18を形成する。
図25は、次の工程を示す。以下の工程は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、図25に示した工程では、まず、媒体対向面30から離れた位置において、ギャップ層18を選択的にエッチングして、ギャップ層18に開口部を形成する。次に、ギャップ層18の上に第1層20Aを形成すると共に、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上にヨーク層20Bを形成する。次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層43を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層20Aおよびヨーク層20Bが露出するまで非磁性層43を研磨して、第1層20A、ヨーク層20Bおよび非磁性層43の上面を平坦化する。次に、例えばスパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる絶縁層44を、例えば0.2〜0.3μmの範囲内の厚みで形成する。次に、この絶縁層44のうち、後にコイル22および絶縁層23が配置される部分以外の部分を、エッチングによって除去する。
次に、第1の実施の形態と同様にして、コイル22、第2層20Cおよび連結層20Dを形成する。連結層20Dは、媒体対向面30から離れた位置において、ヨーク層20Bの上に配置される。次に、絶縁層23,絶縁層24を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20C、連結層20Dおよびコイル22が露出するまで絶縁層24を研磨して、第2層20C、連結層20D、コイル22および絶縁層23,24の上面を平坦化する。次に、コイル22および絶縁層23,24の上に絶縁層25を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第3層20Eを形成して、シールド層20を完成させる。
次に、図示しないが、積層体の上面全体を覆うように保護層を形成する。次に、保護層の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面30の研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法において、磁極層収容層53を形成する工程は、以下の第1ないし第6の工程を備えている。第1の工程は、下地層52の上に、後に溝部53aが形成されることにより磁極層収容層53となる非磁性層53Pを形成する工程である。第2の工程は、非磁性導電材料よりなり、後に行われる第2の研磨工程における研磨の停止位置を示す下部研磨停止層61を、非磁性層53Pの上面の上に形成する工程である。第3の工程は、下部研磨停止層61の上に、所定の厚みのスペーサ層62を形成する工程である。第4の工程は、スペーサ層62および下部研磨停止層61に、それぞれ磁極層16の平面形状に対応した形状の貫通する開口部62a,61aを形成する工程である。第5の工程は、非磁性層53Pが磁極層収容層53になるように、非磁性層53Pのうちスペーサ層62および下部研磨停止層61の開口部62a,61aから露出する部分を選択的にエッチングすることによって、非磁性層53Pに溝部53aを形成する工程である。第6の工程は、スペーサ層62の上に、後に行われる第1の研磨工程における研磨の停止位置を示す上部研磨停止層64を形成する工程である。
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法において、磁極層16を形成する工程は、以下の第7ないし第11の工程を備えている。第7の工程は、磁極層16となる磁性層16Pを、溝部53aを埋め、且つその上面が上部研磨停止層64の上面よりも上側に配置されるように形成する工程である。第8の工程は、磁性層16Pおよび上部研磨停止層64を覆うように、被覆層32を形成する工程である。第9の工程は、上部研磨停止層64が露出するまで、被覆層32および磁性層16Pを研磨する第1の研磨工程である。第10の工程は、第1の研磨工程の後で、上部研磨停止層64を除去する工程である。第11の工程は、磁性層16Pが磁極層16になるように、下部研磨停止層61が露出するまで、スペーサ層62および磁性層16Pを研磨する第2の研磨工程である。
本実施の形態に係る磁気ヘッドでは、磁極層収容層53の溝部53a内において、磁極層収容層53と磁極層16との間に、非磁性導電材料よりなる上部研磨停止層64が配置されている。そのため、本実施の形態によれば、トラック幅を規定するトラック幅規定部16Aの上面の幅を、より小さくすることが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、小さなトラック幅を容易に実現でき、且つ上部研磨停止層64の厚みによってトラック幅を正確に制御することができる。
また、本実施の形態では、磁性層16Pの厚みに大きなばらつきがあっても、第1の研磨工程により、磁性層16Pの上面のレベルを、上部研磨停止層64の上面のレベルに、おおよそ一致させることができる。ただし、第1の研磨工程における研磨量は多いため、第1の研磨工程の終了時点で、磁性層16Pの上面と上部研磨停止層64の上面との間にわずかに段差が生じる場合がある。しかし、本実施の形態では、上部研磨停止層64を除去した後、研磨量の少ない第2の研磨工程を行うことにより、磁性層16Pの上面と下部研磨停止層61の上面との間にほとんど段差が生じないように、下部研磨停止層61と磁性層16Pの各上面を平坦化することができる。従って、本実施の形態によれば、磁極層16の厚みを、極めて正確に制御することができる。その結果、本実施の形態によれば、トラック幅を極めて正確に制御することが可能になる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
図26は、本実施の形態に係る磁気ヘッドの変形例を示している。図26において、(a)は、磁気ヘッドの主要部の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、磁気ヘッドの主要部の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図26では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
この変形例では、下部研磨停止層61が除去され、磁極層収容層53、上部研磨停止層64および磁極層16の上面が平坦化され、これらの上面の上にギャップ層18が配置されている。この変形例の磁気ヘッドにおけるその他の構成は、図25に示した磁気ヘッドと同様である。
変形例の磁気ヘッドの製造方法では、下部研磨停止層61が露出するまでスペーサ層62、上部研磨停止層64および磁性層16Pを研磨した後、例えば反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによって、下部研磨停止層61を選択的に除去する。次に、例えばCMPによって、上部研磨停止層64および磁性層16Pをわずかに研磨して、磁極層収容層53、上部研磨停止層64および磁性層16Pの上面を平坦化する。
あるいは、下部研磨停止層61が露出するまでスペーサ層62、上部研磨停止層64および磁性層16Pを研磨した後、イオンビームエッチングによって、下部研磨停止層61を除去すると共に上部研磨停止層64および磁性層16Pの各一部をエッチングして、磁極層収容層53、上部研磨停止層64および磁性層16Pの上面を平坦化してもよい。このエッチングでは、イオンビームの進行方向が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度を40〜75°の範囲内とすることが好ましく、この角度を40〜55°の範囲内とすることがより好ましい。これにより、第1の実施の形態の第1の変形例において説明したように、容易に、磁極層収容層53と磁性層16Pの各上面をほぼ同じ高さにすることが可能になる。その結果、トラック幅の制御が容易になる。
このようにして、磁性層16Pは磁極層16となり、磁極層収容層53、上部研磨停止層64および磁極層16の上面が平坦化された構造が得られる。次に、積層体の上面全体の上にギャップ層18を形成する。変形例の磁気ヘッドの製造方法における、その後の工程は、図25に示した磁気ヘッドの製造方法と同様である。
なお、本実施の形態において、シールド層20の構造を、第1の実施の形態における第2の変形例と同様の構造にしてもよい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。まず、図27ないし図33を参照して、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図27ないし図33において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図27ないし図33では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、非磁性層53Pに溝部53aを形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。溝部53aが形成されることにより、非磁性層53Pは磁極層収容層53となる。
次に、第1の実施の形態と同様に、マスク55を除去した後、電子顕微鏡を用いて、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定する。このとき、同時に、磁極層収容層53の溝部53aの底部の幅を測定してもよい。これにより、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求めることができる。
図27は、次の工程を示す。この工程では、まず、磁極層収容層53の溝部53a内および研磨停止層54の上に、非磁性導電材料よりなる非磁性導電膜56を形成する。非磁性導電膜56は、例えば、スパッタ法、CVDまたはIBDによって形成される。非磁性導電膜56の材料としては、例えば、Ta、Mo、W、Ti、Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Ir、TiN、TiW、NiCrのいずれかを用いることができる。非磁性導電膜56の厚みは、例えば20〜50nmの範囲内である。非磁性導電膜56は、溝部53aの底部において、下地層52に接し、下地層52に電気的に接続される。次に、非磁性導電膜56の上に、磁極層16の第1層161となる第1の磁性層161Pを形成する。第1の磁性層161Pの形成方法は、第1の実施の形態と同様である。
次に、図28に示したように、磁性層161Pの上に、磁極層16の第2層162となる第2の磁性層162Pを形成する。この第2の磁性層162Pは、例えばフレームめっき法によって形成される。その際、下地層52、非磁性導電膜56および第1の磁性層161Pが、めっき用の電極として用いられる。図28(a),(b)において、符号163は、フレームの外側に形成された不要なめっき層を示している。
次に、図29に示したように、第2の磁性層162Pおよびめっき層163をマスクとして、例えば反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによって、第1の磁性層161P、非磁性導電膜56、研磨停止層54および磁極層収容層53のうち、磁性層162Pおよびめっき層163の下に存在している部分以外の部分を選択的に除去する。
次に、図30に示したように、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる被覆層32を、例えば1.0〜1.5μmの厚みに形成する。
次に、図31に示したように、例えばCMPによって、被覆層32、第2の磁性層162Pおよび第1の磁性層161Pを研磨する。ここで、非磁性導電膜56を構成する材料が、CMPによる被覆層32、第2の磁性層162Pおよび第1の磁性層161Pの研磨の際に同時に研磨される材料か否かによって、研磨の停止位置が異なる。まず、非磁性導電膜56を構成する材料が研磨される材料である場合には、研磨停止層54が露出した時点で研磨が停止する。これにより、研磨停止層54、第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの上面が平坦化される。一方、非磁性導電膜56を構成する材料が研磨されない材料である場合には、図31に示したように、非磁性導電膜56が露出した時点で研磨が停止する。この場合には、例えばイオンビームエッチングによって、非磁性導電膜56のうち、積層体の上面に露出している部分を選択的に除去すると共に第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの各一部をエッチングして、研磨停止層54、第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの上面を平坦化する。
図32は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばイオンビームエッチングによって、研磨停止層54を除去すると共に第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの各一部をエッチングして、磁極層収容層53、第1の磁性層161Pおよび第2の磁性層162Pの上面を平坦化する。これにより、磁性層161P、162Pは、それぞれ磁極層16の第1層161、第2層162になる。次に、積層体の上面全体の上に、ギャップ層18を形成する。なお、研磨停止層54を除去せずに、積層体の上面全体の上に、ギャップ層18を形成してもよい。
図33は、次の工程を示す。以下の工程は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、図33に示した工程では、まず、媒体対向面30から離れた位置において、ギャップ層18を選択的にエッチングして、ギャップ層18に開口部を形成する。次に、ギャップ層18の上に第1層20Aを形成すると共に、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上にヨーク層20Bを形成する。次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層43を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層20Aおよびヨーク層20Bが露出するまで非磁性層43を研磨して、第1層20A、ヨーク層20Bおよび非磁性層43の上面を平坦化する。次に、例えばスパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる絶縁層44を、例えば0.2〜0.3μmの範囲内の厚みで形成する。次に、この絶縁層44のうち、後にコイル22および絶縁層23が配置される部分以外の部分を、エッチングによって除去する。
次に、第1の実施の形態と同様にして、コイル22、第2層20Cおよび連結層20Dを形成する。連結層20Dは、媒体対向面30から離れた位置において、ヨーク層20Bの上に配置される。次に、絶縁層23,絶縁層24を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20C、連結層20Dおよびコイル22が露出するまで絶縁層24を研磨して、第2層20C、連結層20D、コイル22および絶縁層23,24の上面を平坦化する。次に、コイル22および絶縁層23,24の上に絶縁層25を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第3層20Eを形成して、シールド層20を完成させる。
次に、図示しないが、積層体の上面全体を覆うように保護層を形成する。次に、保護層の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面30の研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
本実施の形態に係る磁気ヘッドでは、磁極層収容層53の溝部53a内において、磁極層収容層53と磁極層16との間に、非磁性導電材料よりなる非磁性導電膜56が配置されている。そのため、本実施の形態によれば、トラック幅を規定するトラック幅規定部16Aの上面の幅を、より小さくすることが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、小さなトラック幅を容易に実現でき、且つ非磁性導電膜56の厚みによってトラック幅を正確に制御することができる。
なお、本実施の形態では、磁極層16の第1層161を省略してもよい。第1層161を省略する場合には、非磁性導電膜56の上に、めっき法によって、磁極層16となる磁性層を形成する。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本実施の形態において、シールド層20の構造を、第1の実施の形態における第2の変形例と同様の構造にしてもよい。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。まず、図34ないし図44を参照して、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図34ないし図44において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図34ないし図44では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、絶縁層51を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。図34は、次の工程を示す。この工程では、まず、絶縁層51の上面のうち、後に磁極層16が配置される領域を含む領域の上に、例えばフォトレジスト層よりなるマスク71を形成する。次に、例えばスパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる絶縁層72を形成する。次に、マスク71をリフトオフする。このとき、絶縁層72のうち、マスク71の上に形成されていた部分が除去される。これにより、絶縁層51の上面のうち、マスク71が配置されていた領域の外側の領域に絶縁層72が配置された構造が得られる。以下、絶縁層51および絶縁層72からなる積層体を絶縁層80と呼ぶ。この絶縁層80は、本発明における、下地層の下に配置される絶縁層に対応する。
絶縁層80の上面には、後に磁極層16が配置される領域を含む第1の領域(絶縁層72が配置されていない領域)81と、この第1の領域81の外側に配置された第2の領域(絶縁層72の上面)82とが存在する。そして、第1の領域81と第2の領域82との間で、第2の領域82の方が第1の領域81よりも基板1から離れるように段差が形成されている。
なお、絶縁層の一部をエッチングして凹部を形成することによって、絶縁層80と同様の形状の絶縁層を形成してもよい。
次に、図35に示したように、絶縁層80の上に、下地層52、非磁性層53Pおよび研磨停止層54を順に形成する。なお、絶縁層72の厚み、すなわち第1の領域81と第2の領域82との間の段差の大きさは、非磁性層53Pと研磨停止層54の合計の厚みとほぼ等しくなるようにしておく。
次に、図36に示したように、研磨停止層54の上に、磁極層収容層53に溝部53aを形成するためのマスク55を形成する。このマスク55は、溝部53aに対応した形状の開口部を有している。また、マスク55の外周部は、第1の領域81の若干外側に配置されている。
図37は、次の工程を示す。この工程では、マスク55を用いて、研磨停止層54を選択的にエッチングする。これにより、研磨停止層54に、貫通した開口部54aが形成される。更に、非磁性層53Pのうち研磨停止層54の開口部54aから露出する部分を選択的にエッチングすることによって、非磁性層53Pに溝部53aを形成する。また、これらのエッチングにより、研磨停止層54および非磁性層53Pのうち、マスク55の外周部よりも外側に配置された部分が除去される。これにより、下地層52のうち、第2の領域82の上に配置された部分が露出する。溝部53aが形成されることにより、非磁性層53Pは磁極層収容層53となる。次に、マスク55を除去する。
次に、第1の実施の形態と同様に、電子顕微鏡を用いて、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定する。このとき、同時に、磁極層収容層53の溝部53aの底部の幅を測定してもよい。これにより、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求めることができる。
図38は、次の工程を示す。この工程では、まず、磁極層収容層53の溝部53a内および研磨停止層54の上に、磁極層16となる磁性層16Pを形成する。磁性層16Pは、例えばフレームめっき法によって形成される。その際、下地層52および研磨停止層54が、めっき用の電極として用いられる。図38(b)において、符号163は、フレームの外側に形成された不要なめっき層を示している。
次に、図39に示したように、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる被覆層32を、例えば0.8〜1.5μmの厚みに形成する。
次に、図40に示したように、例えばCMPによって、研磨停止層54のうちの第1の領域81の上方に配置された部分と、下地層52のうちの第2の領域82の上に配置された部分とが露出するまで、被覆層32および磁性層16Pを研磨する。この工程では、図40に示したように、下地層52のうちの第2の領域82の上に配置された部分が露出した時点で、研磨停止層54の上に磁性層16Pがわずかに残る場合がある。この場合には、図41に示したように、研磨停止層54の上に磁性層16Pが残らないように、下地層52のうちの第2の領域82の上に配置された部分が露出した後、更に研磨(オーバーポリッシュ)を行う。これにより、研磨停止層54および磁性層16Pの上面が平坦化され、磁性層16Pは磁極層16になる。
図42は、次の工程を示す。この工程では、まず、研磨停止層54および磁極層16を覆うように、例えばフォトレジスト層よりなるマスク73を形成する。次に、このマスク73を用いて、例えば反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによって、下地層52のうちの第2の領域82の上に配置された部分を選択的に除去する。次に、マスク73を除去する。
図43は、次の工程を示す。以下の工程は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、図43に示した工程では、まず、積層体の上面全体の上にギャップ層18を形成する。なお、例えばイオンビームエッチングによって研磨停止層54を除去した後に、ギャップ層18を形成してもよい。
次に、媒体対向面30から離れた位置において、ギャップ層18を選択的にエッチングして、ギャップ層18に開口部を形成する。次に、ギャップ層18の上に第1層20Aを形成すると共に、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上にヨーク層20Bを形成する。次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層43を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層20Aおよびヨーク層20Bが露出するまで非磁性層43を研磨して、第1層20A、ヨーク層20Bおよび非磁性層43の上面を平坦化する。
図44は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばスパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる絶縁層44を、例えば0.2〜0.3μmの範囲内の厚みで形成する。次に、この絶縁層44のうち、後にコイル22および絶縁層23が配置される部分以外の部分を、エッチングによって除去する。
次に、第1の実施の形態と同様にして、コイル22、第2層20Cおよび連結層20Dを形成する。連結層20Dは、媒体対向面30から離れた位置において、ヨーク層20Bの上に配置される。次に、絶縁層23,絶縁層24を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20C、連結層20Dおよびコイル22が露出するまで絶縁層24を研磨して、第2層20C、連結層20D、コイル22および絶縁層23,24の上面を平坦化する。次に、コイル22および絶縁層23,24の上に絶縁層25を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第3層20Eを形成して、シールド層20を完成させる。
次に、図示しないが、積層体の上面全体を覆うように保護層を形成する。次に、保護層の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面30の研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、下地層52を形成する工程の前に、下地層52の下に配置される絶縁層80を形成する工程を備えている。この絶縁層80の上面には、後に磁極層16が配置される領域を含む第1の領域81と、この第1の領域81の外側に配置された第2の領域82との間で、第2の領域82の方が第1の領域81よりも基板1から離れるように段差が形成されている。そして、下地層52は、この絶縁層80の上面の上に形成される。
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法において、磁極層収容層53を形成する工程は、以下の第1ないし第3の工程を備えている。第1の工程は、下地層52の上に、後に溝部53aが形成されることにより磁極層収容層53となる非磁性層53Pを形成する工程である。第2の工程は、非磁性導電材料よりなり、磁極層16の平面形状に対応した形状の貫通する開口部54aを有し、後に行われる研磨の停止位置を示す研磨停止層54を、非磁性層53Pの上面の上に形成する工程である。第3の工程は、非磁性層53Pが磁極層収容層53になるように、非磁性層53Pのうち研磨停止層54の開口部54aから露出する部分を選択的にエッチングすることによって、非磁性層53Pに溝部53aを形成する工程である。
また、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法において、磁極層16を形成する工程は、以下の第4ないし第6の工程を備えている。第4の工程は、磁極層16となる磁性層16Pを、溝部53aを埋め、且つその上面が研磨停止層54の上面よりも上側に配置されるように形成する工程である。第5の工程は、磁性層53Pおよび研磨停止層54を覆うように、被覆層32を形成する工程である。第6の工程は、磁性層16Pが磁極層16になるように、研磨停止層54のうちの絶縁層80の上面の第1の領域81の上方に配置された部分と下地層52のうちの絶縁層80の上面の第2の領域82の上に配置された部分とが露出するまで、被覆層32および磁性層16Pを研磨する工程である。
本実施の形態では、下地層52のうちの絶縁層80の上面の第2の領域82の上に配置された部分は、研磨停止層54と同様に、研磨の停止位置を示す機能を有する。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本実施の形態において、シールド層20の構造を、第1の実施の形態における第2の変形例と同様の構造にしてもよい。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態に係る磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。まず、図45ないし図49を参照して、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図45ないし図49において、(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の、媒体対向面および基板に垂直な断面を示し、(b)は、積層体の、媒体対向面の近傍における媒体対向面に平行な断面を示している。なお、図45ないし図49では、絶縁層51よりも基板1側の部分を省略している。
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、図45に示したように、非磁性層53Pに溝部53aを形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。溝部53aが形成されることにより、非磁性層53Pは磁極層収容層53となる。
次に、第1の実施の形態と同様に、マスク55を除去した後、電子顕微鏡を用いて、磁極層収容層53の上面における溝部53aの幅を測定する。このとき、同時に、磁極層収容層53の溝部53aの底部の幅を測定してもよい。これにより、溝部53aの壁面と基板1の上面に垂直な方向とのなす角度を求めることができる。
本実施の形態では、次に、図46に示したように、下地層52に電流を流してめっきを行って、磁極層16となる磁性層16Pを形成する。この磁性層16Pは、溝部53aを埋め、且つその上面が研磨停止層54の上面よりも上側に配置されるように形成される。本実施の形態では、磁性層16Pとなるめっき膜は、溝部53aの底部から上方に成長し、やがて、その上面は研磨停止層54の上面よりも上側に達する。本実施の形態では、めっき膜のうち、研磨停止層54の上面よりも上側に形成された部分が、研磨停止層54の開口部54aよりも若干大きい領域に形成された時点で、めっきを終了させる。
次に、図47に示したように、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる被覆層32を、例えば0.5〜1.0μmの厚みに形成する。
次に、図48に示したように、例えばCMPによって、研磨停止層54が露出するまで被覆層32および磁性層16Pを研磨して、研磨停止層54および磁性層16Pの上面を平坦化する。CMPによって被覆層32および磁性層16Pを研磨する場合には、研磨停止層54が露出した時点で研磨が停止するようなスラリー、例えばアルミナ系のスラリーを用いる。このようにして研磨停止層54が露出した時点で研磨を停止させることにより、磁極層16の厚みを正確に制御することができる。
図49は、次の工程を示す。以下の工程は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、図49に示した工程では、まず、積層体の上面全体の上にギャップ層18を形成する。次に、媒体対向面30から離れた位置において、ギャップ層18を選択的にエッチングして、ギャップ層18に開口部を形成する。次に、ギャップ層18の上に第1層20Aを形成すると共に、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上にヨーク層20Bを形成する。次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層43を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層20Aおよびヨーク層20Bが露出するまで非磁性層43を研磨して、第1層20A、ヨーク層20Bおよび非磁性層43の上面を平坦化する。次に、例えばスパッタ法を用いて、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる絶縁層44を、例えば0.2〜0.3μmの範囲内の厚みで形成する。次に、この絶縁層44のうち、後にコイル22および絶縁層23が配置される部分以外の部分を、エッチングによって除去する。
次に、第1の実施の形態と同様にして、コイル22、第2層20Cおよび連結層20Dを形成する。連結層20Dは、媒体対向面30から離れた位置において、ヨーク層20Bの上に配置される。次に、絶縁層23,絶縁層24を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20C、連結層20Dおよびコイル22が露出するまで絶縁層24を研磨して、第2層20C、連結層20D、コイル22および絶縁層23,24の上面を平坦化する。次に、コイル22および絶縁層23,24の上に絶縁層25を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第3層20Eを形成して、シールド層20を完成させる。
次に、図示しないが、積層体の上面全体を覆うように保護層を形成する。次に、保護層の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面30の研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
本実施の形態では、磁性層16Pのうち、研磨停止層54の上面よりも上側に配置される部分を、研磨停止層54の開口部54aよりも若干大きい領域にのみ形成することができる。これにより、本実施の形態によれば、磁性層16Pの研磨量を少なくすることができ、磁気ヘッドの製造効率を向上させることができる。
ところで、磁気ヘッドの製造過程では、1枚のウェハに対して、それぞれ磁気ヘッドとなる多数の磁気ヘッド素子が形成される。そのため、上述の磁性層16Pを研磨する工程は、1枚のウェハにおける多数の磁気ヘッド素子について同時に行われる。このとき、ウェハにおける磁気ヘッド素子の位置によって、磁極層16Pの研磨量に違いが生じる場合がある。そのため、全て磁気ヘッド素子について、磁性層16Pのうち、研磨停止層54の上面よりも上側に配置される部分が残らないようにするためには、オーバーポリッシュすることが必要になる場合がある。オーバーポリッシュした場合、少なくとも一部の磁気ヘッド素子において、研磨停止層54がある程度研磨される。本実施の形態では、このような場合であっても、トラック幅の変動を防止することができる。このことを、図50を参照して説明する。
図50は、磁極層16およびその周辺の断面を示している。トラック幅は、媒体対向面30における磁極層16の上面の幅によって決まる。また、このトラック幅は、媒体対向面30における研磨停止層54の開口部54aの幅に等しい。図50に示したように、開口部54aの幅は、研磨停止層54の厚みによらずにほぼ一定である。そのため、図50に示したように、研磨停止層54がある程度研磨されても、研磨停止位置が磁極層収容層53の上面に達するまでは、トラック幅はほぼ一定である。従って、本実施の形態によれば、ウェハにおける磁気ヘッド素子の位置によって磁極層16Pおよび研磨停止層54の研磨量に違いが生じても、1枚のウェハにおける多数の磁気ヘッド素子について、トラック幅の変動を防止することができる。なお、このようにしてトラック幅の変動を防止するためには、研磨停止層54の当初の厚みは50〜100nm程度であることが好ましい。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本実施の形態において、第1の実施の形態における第1の変形例と同様に、研磨停止層54を除去した後に、ギャップ層18を形成してもよい。また、本実施の形態において、シールド層20の構造を、第1の実施の形態における第2の変形例と同様の構造にしてもよい。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、各実施の形態において、平面渦巻き形状のコイル9,22の代わりに、磁極層16を中心にして螺旋状に配置されたコイルを設けてもよい。
また、実施の形態では、基体側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。