JP4149771B2 - 積層型有機薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有機薄膜の製造方法にかかり、特に、二種類の有機薄膜を積層させるのに適した積層型有機薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フルカラーフラットパネルディスプレイ用の素子として、有機LED素子が注目されている。有機LED素子は、蛍光性有機化合物を電気的に励起して発光させる自発光型素子であり、高輝度、高視野角、薄型、多色発光が可能であり、しかも数Vという低電圧の直流印加で駆動できることから表示素子の主流になり得る可能性が高いと言われている。
【0003】
図24の符号110は、カラー表示可能な有機LEDパネルを示している。
この有機LEDパネル110はカラス基板104を有している。ガラス基板104表面には、透明導電膜105と、ホール注入層106と、ホール輸送層107と、発光層111と、電子輸送層112と、カソード電極膜118とがこの順序で成膜されており、カソード電極膜118と透明導電膜105との間に直流電源130を接続し、カソード電極に負電圧を印加すると、発光層111内で可視光線が生成され、その可視光はガラス基板104を透過し、有機LEDパネル110の外部に放射されるようになっている。
【0004】
発光層111は、赤色を発光する赤色発光部111Rと、緑色を発光する緑色発光部111Gと、青色を発光する青発光部111Bとで構成されており、各発光部111R、111G、111Bの発光量を変えることで多色表示ができるようになっている。
【0005】
図23の符号100は、上記のような有機LEDパネル110を形成するための従来技術の有機蒸着装置の一例である。
【0006】
この有機蒸着装置100は、真空槽150を有しており、該真空槽150内部の底壁側には、2台の有機蒸発源1221、1222が配置されている。
真空槽150の天井側には基板ホルダ151が配置されている。
【0007】
符号155は、ガラス基板104の表面に透明導電膜105が形成された状態の成膜対象物を示している。この成膜対象物155のガラス基板104側を基板ホルダ151に密着させ、透明導電膜105側を有機蒸発源1221、1222に向ける。
【0008】
2台の有機蒸発源1221、1222のうち、一方の有機蒸発源1221にはホール注入層107を形成する有機材料が配置されており、他方の有機蒸発源1222内には、ホール輸送層107を形成する有機材料が配置されている。
【0009】
先ず、ホール注入層106の有機材料が配置された有機蒸発源1221から、その有機材料の蒸気を発生させ、基板ホルダ151側のシャッタ155と、有機蒸発源1221側のシャッタ1231を開けると、放出された有機材料の蒸気が透明導電膜105表面に付着し、ホール注入層106が形成される。
【0010】
ホール注入層106が所定膜厚に形成された後、シャッタ1231を閉じ、他方の有機蒸発源1222内でホール輸送層107の有機材料の蒸気を生成した状態で、この有機蒸発源1222上のシャッタ1232を開けると、形成されたホール注入層106の表面にホール輸送層107が形成される。
【0011】
ホール輸送層107が所定膜厚に形成された後、シャッタ121、1232を閉じ、ホール注入層106とホール輸送層107とが形成された成膜対象物155をこの有機蒸着装置100の外部に搬出し、他の有機蒸着装置によって、発光層111と電子輸送層112とを形成した後、金属の蒸着装置やスパッタリング装置によってカソード電極膜118を形成すると、有機LEDパネル110が得られる。
【0012】
上記のような有機蒸着装置110では、有機蒸発源1221、1222から有機材料の蒸気を放出させ、成膜対象物155の表面に有機薄膜を成長させる際に、基板ホルダ151を水平面内で回転させており、成膜対象物155が基板ホルダ151と一緒に回転することで、面内膜厚分布が均一な有機薄膜が形成されるようになっている。
【0013】
しかしながら、成膜対象物155の回転中心部分と外縁部分とで同じ膜厚にすることは困難である。
【0014】
また、上記のような有機蒸着装置110では、有機蒸発源1221、1222から放出された有機材料の蒸気のうち、成膜対象物155表面に斜め方向から入射する成分が多量に存在する。
【0015】
ホール輸送層107表面に、赤、緑、青の各発光部111R、111G、111Bを形成する際には、マスクを用いて発光部111R、111G、111Bを順番に形成するため、マスクを斜め方向に通過した有機材料の蒸気が、各発光部111R、111G、111Bの境界をぼやかしてしまい、綺麗な発色が得られないという問題がある。
【0016】
【特許文献1】
特開平11−140625
【特許文献2】
特開平11−222667
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、フルカラー表示に適した有機LEDパネルとその有機LEDパネルを製造する製造装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、真空槽内に、板状の成膜対象物と第1、第2の蒸着源とを配置し、マスクを前記成膜対象物の表面に位置させ、前記第1、第2の蒸着源からそれぞれ第1、第2の蒸気を放出させ、前記第1、第2の蒸着源を、それぞれ前記成膜対象物に対して往復移動させ、前記第1の蒸気によって前記成膜対象物表面に第1の有機薄膜を形成し、前記第2の蒸気によって前記第1の有機薄膜表面に第2の有機薄膜を形成する積層型有機薄膜の製造方法であって、前記第1、第2の蒸着源に、第1、第2のスリットそれぞれを有する第1、第2の筺体をそれぞれ設け、前記第1、第2のスリットが前記往復移動の方向に対して水平面内で垂直な方向に向くようにして、前記真空槽内の水平方向の一端部に前記第1の筺体を配置し、他端部に前記第2の筺体を配置しておき、前記第1、第2の筺体の内部で前記第1、第2の蒸気を生成して前記第1のスリットから前記第1の蒸気を放出させながら、前記成膜対象物の直下位置を通過させて前記第1の筺体を前記一端部から前記他端部に移動させる工程と、前記第1、第2のスリットから前記第1、第2の蒸気をそれぞれ放出させながら、前記成膜対象物の直下位置を通過させて前記第1、第2の筺体を前記他端部から前記一端部に一緒に移動させる工程と、前記第2のスリットから前記第2の蒸気を放出させながら、前記成膜対象物の直下位置を通過させて前記第2の筺体を前記一端部から前記他端部に移動させる工程と、を含み、前記第1、第2の蒸気を前記成膜対象物の表面に垂直に到達させる積層型有機薄膜の製造方法である。
請求項2記載の発明は、複数の貫通孔が所定パターンで配置されたマスクを前記成膜対象物の表面に位置させ、前記第1、第2の有機薄膜を、前記貫通孔と同じパターンに形成する請求項1記載の積層型有機薄膜の製造方法である。
請求項3記載の発明は、前記第1の有機薄膜は発光層であり、前記第2の有機薄膜は電荷輸送層である請求項2記載の積層型有機薄膜の製造方法である。
【0019】
本発明は上記のように構成されており、1台の真空槽内に少なくとも2台の蒸着源が配置された有機薄膜製造装置を用いている。2台の蒸着源は、それぞれ独立に移動可能に構成されており、成膜工程の開始前の状態では、一方の蒸着源が真空槽内の水平方向の一端部に配置され、他方の蒸着源が他端部に配置されている。
【0020】
成膜対象物は、各蒸着源よりも上方位置であって、両方の蒸着源の間の位置に配置されており、各蒸着源がそれぞれ往復移動し、成膜対象物表面に有機薄膜を形成する際に、一方の蒸着源が他方の蒸着源に近づく方向に移動し、成膜対象物の直下位置を通過する際に、成膜対象物表面に第1の有機薄膜を形成する。
【0021】
その蒸着源を第1の蒸着源とし、他方を第2の蒸着源とすると、次いで、第1、第2の蒸着源の両方が、第1の蒸着源の元の位置の方向に一緒に移動すると、先行する第1の蒸着源の通過により、第1の有機薄膜が二層積層され膜厚が厚くなる。そして、後続する第2の蒸着源の通過により、第1の有機薄膜の表面に第2の有機薄膜が形成される。
【0022】
第2の有機薄膜の形成後、第2の蒸着源を元の位置に戻すと、第2の有機薄膜が二層積層され、膜厚が厚くなる。
【0023】
このように、第1の蒸着源の復動と第2の蒸着源の往動が同時に行われるので、第1、第2の有機薄膜間の界面の状態がよく、成膜時間も短縮される。
【0024】
第1、第2の有機薄膜は、異なる有機化合物によって形成される薄膜であってもよいし、同じ有機化合物で形成される薄膜であってもよい。また、第1、第2の蒸着源から放出され、第1、第2の有機薄膜に含有される添加物も異なる場合と同じ場合の両方が含まれる。
また、本発明の電荷輸送層は、電子輸送層とホール輸送層の両方が含まれる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下で図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1の符号50は、本発明の一例の有機LEDパネル製造装置を示している。この有機LEDパネル製造装置50は、搬送室53を有しており、該搬送室53の周囲に、搬入室51と、搬出室52と、全面成膜室60と、第1〜第3の部分成膜室70、80、90と、カソード電極成膜室56とを有している。
【0026】
搬送室53内には、基板搬送ロボット59が配置されており、該基板搬送ロボット59により、搬入室51内に装着された成膜対象物を、全面成膜室60と、第1〜第3の部分成膜室70、80、90と、カソード電極成膜室56との間で移動させ、搬出室52に搬送した後、該搬出室52から有機LEDパネル製造装置50の外部に搬出するように構成されている。
【0027】
図2〜図5を参照し、全面成膜室60と第1〜第3の部分成膜室70、80、90は、それぞれ真空槽61、71、81、91を有している。
【0028】
各真空槽61、71、81、91内部の底壁上にはそれぞれ、2台の蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94が配置されている。
【0029】
成膜作業開始前の待機状態では、2台の蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94のうち、一方の蒸着源63、73、83、93は、真空槽61、71、81、91内部の水平方向の一端部に配置され、他方の蒸着源64、74、84、94は他端部に配置されている。ここでは、一方の蒸着源63、73、83、93が真空槽61、71、81、91の左端位置に配置され、他方の蒸着源64、74、84、94は右端位置に配置されている。
【0030】
真空槽61、71、81、91内部の天井側には、基板ホルダ62、72、82、92が配置されている。成膜作業開始前の待機状態では、基板ホルダ62、72、82、92の鉛直下方位置には、蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94が位置しないようになっている。
【0031】
蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94の構造を説明すると、各蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94は、それぞれ筺体63a、64a、73a、74a、83a、84a、93a、94aを有している。
【0032】
各蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94の筺体63a、64a、73a、74a、83a、84a、93a、94a内には、下記のように、1乃至3台の材料容器が配置されている。
【0033】
全面成膜室60は、ホール注入層と、ホール輸送層とを成膜する装置であり、この全面成膜室60内の蒸着源63、64には材料容器63b、64bが1台ずつ配置されている。一方の材料容器63bには、ホール注入層の原料となる有機材料63eが納められ、他方の材料容器64bには、ホール輸送層の原料となる有機材料64eが納められている。
【0034】
第1〜第3の部分成膜室70、80、90は、それぞれ緑色、赤色、青色から成る三原色の各発光層と、電子輸送層とから成る発光領域を、各成膜室70、80、90内で形成するように構成されており、三原色で発光する結果、得られる有機LEDパネルはフルカラー表示が可能になっている。
【0035】
第1〜第3の部分成膜室70、80、90の蒸着源73、74、83、84、93、94は、一方の蒸着源73、83、93がそれぞれ異なる色の発光層の形成用であり、他方の蒸着源74、84、94が電子輸送層形成用になっている。
【0036】
電子輸送層形成用の蒸着源74、84、94内には、1台の材料容器74b、84b、94bが配置されており、各材料容器74b、84b、94b内には同種類の有機材料74e、84e、94eが配置されている。
【0037】
他方、発光層形成用の各蒸着源73、83、93内には、発光層の母材用の材料容器73b、83b、93bが1台ずつと、各発光層の色に応じた発色剤の材料容器73c、83c、83d、93cが配置されている。青及び緑では、それぞれ1台の材料容器73c、93cが各筺体73a、93a内に配置され、赤色では2台の材料容器83c、83dが1台の筺体83a内に配置されている。
【0038】
母材用の材料容器73b、83b、93bに配置された有機材料73e、83e、93eは、ここでは同種類の有機化合物(Alq3(8−hydroxyquinoline aluminium)が用いられている。
【0039】
他方、発色剤の材料容器73c、83c、83d、93c内には、色に応じた有機化合物が納められており、緑色の発色剤用の材料容器73c内の有機材料73fには、C545Tが用いられ、赤色の発色剤用の材料容器83c、83d内の有機材料83f、83gには、それぞれDCJTBとRubreneとが用いられている。
【0040】
また、青色の発色剤用の材料容器93c内の有機材料93fには、DPVBiが用いられている。
【0041】
次に、ホール注入層形成用の蒸着源63を代表させ、各蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94の構造を説明する。
【0042】
図13(a)はその蒸着源63の平面図である。該筺体63aは直方体形状であり、水平方向に延設されている。筺体63aの上部には、細長のスリット63hが、筺体63aの長辺方向に沿って形成されている。他の蒸着源64、73、74、83、84、93、94の筺体64a、73a、74a、83a、84a、93a、94aも同じ構造であり、各スリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hは真空槽61、71、81、91の天井側に向けられている。
【0043】
全面成膜室60と第1〜第3の部分成膜室70、80、90内では、各蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94は、それぞれスリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hを同じ方向に向けられており、従って、各真空槽61、71、81、91内の2台の蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94のスリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hは、それぞれ互いに平行になっている。
【0044】
材料容器63b、64b、73b、74b、83b、84b、93b、94bはスリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hよりも長い直方体形状になっており、各スリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hの直下の位置に、スリット63hに対して平行に配置されている。
【0045】
蒸着源63の拡大図を図13(b)に示す。また、図14は、全面成膜室60の、図2とは直角方向の断面図である。この図14は、図2のA−A線切断面図に相当する。
【0046】
蒸着容器63の上部には、蓋部材63jが配置されている。この蓋部材63jには、スリット63hに対して同方向に伸びる細長の開口63kが形成されている。
【0047】
蓋部材63jには飛沫防止板63mが取り付けられている。この飛沫防止板63mは、開口63kの下方位置に配置されており、蓋部材63jとの間で隙間63pが形成されるようになっている。
【0048】
有機材料63eは、この材料容器63b内の飛沫防止板63mよりも下方位置に配置されている。蓋部材63jと飛沫防止板63mは、抵抗発熱体で構成されており、蓋部材63jと飛沫防止板63mに通電し、発熱させると有機材料63eが蒸発し、その蒸気63nが放出される。
【0049】
飛沫防止板63mの幅及び長さは開口63kの幅及び長さよりも大きくされており、有機材料63eから発生した蒸気63nは、飛沫防止板63mを迂回し、隙間63pを通って開口63kから放出されるようになっている。
【0050】
有機材料63eが突沸した場合、有機材料63eの飛沫は直線的に飛行するため隙間63pを通過できず、飛沫防止板63mか蓋部材63jに衝突し、衝突した位置に付着するようになっている。従って飛沫は開口63kから放出されない。飛沫防止板63mや蓋部材63jに付着した飛沫は飛沫防止板63m又は蓋部材63jで熱せられ、再度蒸発して開口63kから筺体63a内に放出される。
【0051】
いずれにしろ、各蒸着源蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94から筺体63a、64a、73a、74a、83a、84a、93a、94a内に放出された蒸気は、スリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hを通って、筺体63a、64a、73a、74a、83a、84a、93a、94aの外部に放出される。
【0052】
各蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94は、真空槽61、71、81、91内でそれぞれ個別に、又は一緒に往復移動できるように構成されている。
【0053】
この移動の方向は、スリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hの長辺方向に対して垂直な方向であり、且つ水平な方向である。
【0054】
図2〜図5の符号21〜24は、成膜対象物を示しており、各基板ホルダ62、72、82、92にそれぞれ保持されている。
【0055】
各蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94を往復移動させると、スリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hが成膜対象物21〜24の近傍を通過する。
【0056】
このとき、各蒸着源63、64、73、74、83、84、93、94内部で有機材料の蒸気が生成され、スリット63h、64h、73h、74h、83h、84h、93h、94hから放出されている場合には、その蒸気は成膜対象物21〜24表面に到達するようになっている。
【0057】
次に、上記の有機LEDパネル製造装置50を用い、有機LEDパネルを製造する工程を説明する。
【0058】
図15(a)の符号21は、成膜対象物であり、ガラス基板4の表面にITO(インジウム・錫酸化物)から成る透明導電膜5が形成されている。
【0059】
先ず、搬送室53と搬入室51の間のバルブを閉じ、搬送室53と各成膜室60、70、80、90、56を真空排気しておく。
【0060】
搬送室53と、各成膜室60、70、80、90、56の真空雰囲気を維持しながら搬入室51を大気に開放し、搬入室51内に成膜対象物21を所定枚数装着する。そして、大気との間の扉を閉じ、搬入室51内部を真空排気する。
【0061】
この状態では、成膜対象物21を真空雰囲気に置いたまま、成膜対象物21を搬入室51と搬出室52と各成膜室60、70、80、90、56の間で移動させられるようになっている。
【0062】
先ず、搬入室51と搬送室53の間のバルブを開け、基板搬送ロボット59によって成膜対象物21を1枚ずつ取り出し、全面成膜室60の真空槽61内に搬入し、透明導電膜5を真空槽61の底壁側に向け、基板ホルダ62に水平に保持させる。
【0063】
全面成膜室60内では、ホール注入層用の蒸着源63を真空槽61内の横方向の一端部に配置し、ホール輸送層用の蒸着源64を真空槽61内の横方向の他端部に配置しておく。
【0064】
その状態で、先ず、ホール注入層用の蒸着源63から、ホール注入層用の有機材料63eの蒸気を発生させ、スリット63hの長手方向とは垂直の方向に水平移動させ、成膜対象物21の直下位置を移動させる。
【0065】
図6は、ホール注入層用の蒸着源63が成膜対象物21の直下の成膜対象物21の真ん中付近の位置にある状態を示しており、図7は、その状態から更に蒸着源63が移動し、成膜対象物21の直下位置を通過してホール輸送層用の蒸着源64の隣接位置まで到達したところを示している。
【0066】
図7に示した状態では、成膜対象物21はホール注入層用の有機材料63eの蒸気で1回走査されており、図15(b)に示すように、透明導電膜5の表面に、薄いホール注入層6aが形成されている。
【0067】
次に、ホール注入層用の蒸着源63と、ホール輸送層用の蒸着源64とから、有機材料63e、64eの蒸気を放出させ、ホール注入層用の蒸着源63を元の位置に戻す。
【0068】
このとき、ホール輸送層用の蒸着源64も、ホール注入層用の蒸着源63の移動に随伴させ、ホール注入層用の蒸着源63とホール輸送層用の蒸着源64とを隣接させた状態で同速度で一緒に移動させる 図8は、両方の蒸着源63、64が、成膜対象物21の直下位置を移動中の状態を示している。
【0069】
この場合、ホール注入層用の蒸着源63が先行して移動するため、成膜対象物21上の薄いホール注入層6aは、再度ホール注入層用の有機材料63eの蒸気に曝され、図15(c)に示すように、積層されたホール注入層6bが形成される。
【0070】
次に、後続するホール輸送層用の蒸着源64が通過し、ホール注入層6bの表面が有機材料64eの蒸気に曝されると、積層されたホール注入層6bの表面に薄いホール輸送層7aが形成される。
【0071】
ホール注入層用の蒸着源63とホール輸送層用の蒸着源64とが成膜対象物21の直下位置を移動中の場合は、成膜対象物21の表面には、ホール注入層用の蒸着源63が到達しておらず、薄いホール注入層6aが露出している部分と、ホール注入層用の蒸着源63が通過し、積層されたホール注入層6bが形成された部分と、更に、ホール輸送層用の蒸着源64が通過し、そのホール注入層6bの表面に、薄いホール輸送層7aが形成された部分とが混在している。
【0072】
そして、図9に示すように、ホール注入層63用の蒸着源63が元の位置に戻り、それに伴ってホール輸送層用の蒸着源64が成膜対象21の直下位置の通過を1回終了すると、図15(d)に示すように、導電性薄膜5の表面の積層されたホール注入層6bと、該ホール注入層6b表面に薄いホール輸送層7aが形成される。
【0073】
次いで、図10に示すように、ホール注入層用の蒸着源63を停止させ、ホール輸送層用の蒸着源64から有機材料64eの蒸気を放出させながら、図2に示したような元の位置まで移動させると、薄いホール輸送層7aの表面に更にホール輸送層が形成され、図16(e)に示すように、積層されたホール輸送層7bが得られる。
【0074】
蒸着源63、64からの蒸気放出量が一定であり、且つ、往復移動中の移動速度が一定である場合は、薄いホール注入層6aと薄いホール輸送層7aの膜厚は、それぞれ積層されたホール注入層6bと、積層されたホール輸送層7bの半分になある。
【0075】
次に、上記のように、積層されたホール注入層6bと、積層されたホール輸送層7bが、成膜対象物21の所定領域内に全面成膜された後、全面成膜室60内から搬出し、第1の部分成膜室70内に搬入する。
【0076】
図3、図16(f)の符号22は、第1の部分成膜室70内に搬入され、基板ホルダ72に水平に保持された成膜対象物を示している。この成膜対象物22表面のホール輸送層7bは、真空槽71の底壁側に向けられている。
【0077】
また、この成膜対象物22のホール輸送層7の近傍には、マスク31が配置されている。
このマスク31は、金属板から成るマスク本体33と、該マスク本体33に所定の規則で配置された多数の貫通孔32とで構成されている。
【0078】
第1の部分成膜室置70内では、発光層形成用の蒸着源73と、電子輸送層形成用の蒸着源74とが、真空槽71内の両端に配置されている。
【0079】
基板ホルダ72に成膜対象物22を保持させた後、先ず、発光層形成用の蒸着源73内で母材の有機材料73eと発色剤の有機材料73fの蒸気を発生させ、両方の蒸気をスリット73hから放出させながら、蒸着源73をスリット73hの長手方向とは垂直な方向に水平移動させる。
【0080】
蒸着源74が成膜対象物22の直下位置を移動する際に、スリット73hから放出された有機材料73e、73fの蒸気は、マスク31の貫通孔32を通過し、積層されたホール輸送層7bの表面に垂直に到達する。
【0081】
図11は、発光層形成用の蒸着源73が、電子輸送層形成用の蒸着源74の隣接位置まで移動した状態を示しており、その蒸気により、図16(g)に示すように、積層されたホール輸送層7bの表面に、貫通孔32が配置されたパターンと同じパターンで薄い発光層8aが形成される。この薄い発光層8aは三原色のうちの一色の色で発光する。
【0082】
次いで、発光層形成用の蒸着源73と電子輸送層用の蒸着源74とから、それらの内部に配置された有機材料73e、73f、74eの蒸気を放出させながら、2個の蒸着源73、74を互いに隣接させ、同速度で一緒に移動させる。移動方向は発光層形成用の蒸着源73が元の位置に戻る方向である。
【0083】
両方の蒸着源73、74が成膜対象物22の直下位置を移動する際には発光層形成用の蒸着源73が先行するため、図17(h)に示すように、先ず、発光層形成用の蒸着源73が通過した部分で、薄い発光層8a表面に更に発光層が形成され、積層された発光層8bが得られる。
【0084】
次に、後続する電子輸送層形成用の蒸着源74が通過するため、積層された発光層8bの表面には薄い電子輸送層9aが形成される。
【0085】
図12に示すように、発光層形成用の蒸着源73が元の位置に戻った状態では、電子輸送層形成用の蒸着源74は成膜対象物22の真下位置を1回通過しており、図17(i)に示すように、積層されたホール輸送層7bの表面には、マスク31の貫通孔32のパターンに応じた積層された発光層8bが形成されており、更に、該発光層8bの表面には薄い電子輸送層9aが形成されている。
【0086】
その状態から、電子輸送層形成用の蒸着源74から有機材料74eの蒸気を放出させながら元の位置に戻すと、蒸着源74の移動に伴って薄い電子輸送層9aの表面に更に電子輸送層が形成され、図17(j)に示すように、積層された発光層8bの表面に、発光層8bと同じパターンで積層された電子輸送層9bが得られる。
【0087】
第1の部分成膜室70内で、成膜対象物22に積層された電子輸送層9bが形成された後、その成膜対象物22を第1の部分成膜室70から第2の部分成膜室80内に移動させ、第2の部分成膜室80内の基板ホルダ82に水平に保持させる。
【0088】
図4、図18(k)の符号23は、その状態の成膜対象物を示している。基板ホルダ82に保持された成膜対象物23は、積層された電子輸送層9bが形成された表面が、真空槽81の底壁側に向けられている。この電子輸送層9bの近傍には、マスク35が配置されている。
【0089】
その状態で、発光層形成用の蒸着源83内部で母材の有機材料83eの蒸気と、2種類の発色剤の有機材料83f、83gの蒸気を発生させ、スリット83hから放出させながら、蒸着源83をスリット83hとは垂直な方向に移動させる。
【0090】
マスク35は、金属板から成るマスク本体37と、該マスク本体37に、所定の規則で配置された貫通孔36とで構成されており、蒸着源83から放出された蒸気は貫通孔36を通過し、成膜対象物23の表面に垂直に到達する。
【0091】
このマスク35を、第一色目の発光層8bを形成したときのマスク31と重ね合わせた場合、各マスク31、35の貫通孔32、36は重なり合わないようになっている。更に、この2枚のマスク31、35に、後述する3枚目のマスク41を加えた場合、どの2枚のマスクを重ね合わせても、貫通孔32、36、42は重なり合わないようになっている。
【0092】
即ち、各マスク31、35、41の貫通孔32、36、42は、それぞれ異なる位置に配置されており、従って、第一色目の積層された発光層8bの表面には、この蒸着源83から放出された蒸気は到達せず、蒸着源83が成膜対象物23の直下位置を通過することで、図18(l)に示すように、成膜対象物23の積層されたホール輸送層7bの表面に、第二色目の薄い発光層10aが形成される。
【0093】
発光層形成用の蒸着源83を元の位置に戻す際に、同じ真空槽81内の電子輸送層形成用の蒸着源84を隣接させ、同速度で一緒に移動させると、図18(m)に示すように、発光層形成用の蒸着源83が通過した部分では、薄い発光層10aの表面に更に発光層が形成され、積層された発光層10bが得られる。また、発光層形成用の蒸着源83が通過した後、電子輸送層用の蒸着源84が通過した部分では、積層された発光層10bの表面に薄い電子輸送層11aが形成される。
【0094】
発光層形成用の蒸着源83が元の位置に戻った状態では、電子輸送層用の蒸着源84は成膜対象物23の直下位置を通過しており、この状態では、図19(n)に示すように、積層されたホール輸送層7bの第一色目の積層された発光層8bに隣接する位置に、貫通孔36のパターンに従った第二色目の積層された発光層10bが形成されており、更に、その積層された発光層10bの表面には、同パターンで薄い電子輸送層11aが形成されている。
【0095】
次いで、発光層形成用の蒸着源83を静止させ、他方、電子輸送層形成用の蒸着源84は、その内部から有機材料84eの蒸気を放出させながら、図4に示すような元の位置に戻すと、薄い電子輸送層11aの表面に更に電子輸送層が形成され、図19(o)に示すように、第二色目の積層された発光層10bの表面に、積層された電子輸送層11bが形成される。
【0096】
その電子輸送層11bが形成された成膜対象物23を、第2の部分成膜室80から第3の部分成膜室90に移動させ、真空槽91内の基板ホルダ92に保持させる。
【0097】
図5、図19(p)の符号24は、その状態の成膜対象物を示している。この状態の成膜対象物は、積層された電子輸送層9b、11bが真空槽91の底壁側に向けられており、その表面近傍には、金属板から成るマスク本体43と、該マスク本体43に所定パターンで形成された貫通孔42とを有するマスク41が配置されている。
【0098】
このマスク41の貫通孔底面には、積層された電子輸送層9b、11bは位置しておらず、ホール輸送層7bの表面が露出している。
【0099】
この状態で、第三色目の発光層形成用の蒸着源93内から発光層の母材の有機材料93と発色剤となる有機材料93fの蒸気を発生させ、スリット93hから放出させながら、成膜対象物24の下方位置を移動させると、図20(q)に示すように、ホール輸送層7bの表面に薄い発光層12aが形成される。
【0100】
発光層形成用の蒸着源93が成膜対象物24の直下位置を通過し、電子輸送層形成用の蒸着源94の隣接位置まで到達したら、第一色目、第二色目と同様に、2台の蒸着源93、94から有機材料93e、93f、94eを放出させながら、発光層形成用の蒸着源93と電子輸送層形成用の蒸着源94とを一緒に移動させる。移動方向は、発光層形成用の蒸着源93が元の位置に戻る方向である。
【0101】
2台の蒸着源93、94の移動により、図20(r)に示すように先行する発光層形成用の蒸着源93によって積層された発光層12bが形成され、後続する電子輸送層形成用の蒸着源94によって、該発光層12b上に薄い電子輸送層13aが形成される。
【0102】
2台の蒸着源93、94が成膜対象物24の直下位置を移動する際中には、成膜対象物24表面には、マスク41の貫通孔42の底面に露出する面は、薄い発光層12aと積層された発光層12bと薄い電子輸送層13aとが混在している。
【0103】
2台の蒸着源93、94が成膜対象物24の直下位置を通過すると、図20(s)に示すように、積層されたホール輸送層7bの表面には、第三色目の積層された発光層12bが形成され、その表面には、薄い電子輸送層13aが形成されている。
【0104】
次に、発光層形成用の蒸着源93が停止した状態で、電子輸送層形成用の蒸着源94が元の位置に戻ると、積層された発光層12bの表面に、図21(t)に示すように、積層された電子輸送層13bが形成される。
【0105】
第三色目の発光層12bと電子輸送層13bが形成された成膜対象物24は、第3の部分成膜室90からカソード電極成膜室56に移動させ、積層された電子輸送層13b表面に、図21(u)に示すように、金属膜から成るカソード電極膜18を形成すると、有機LEDパネル25が得られる。
【0106】
三原色の各発光層8b、10b、12bは、同じ膜厚に成膜すると発光量が異なってしまう。従って発光量を等しくするためには膜厚を異ならせる必要がある。
【0107】
他方、カソード電極膜18の下地部分に段差があると、有機LEDパネル25の表示品質が悪化してしまう。
【0108】
そこで、本発明方法で形成した電子輸送層9b、11b、13bは、発光層8b、10b、12bの膜厚に逆比例した膜厚に成膜されており、積層された発光層8b、10b、12bと、その表面の積層された電子輸送層9b、11b、13bとで三原色の各色の発光領域151、152、153を構成させた場合、各発光領域151、152、153は、略同じ厚みFになっている。
【0109】
即ち、積層された発光層8b、10b、12bの膜厚をそれぞれD1〜D3とし、また、各発光層8b、10b、12b上の積層された電子輸送層9b、11b、13bの膜厚それぞれをE1〜E3とすると、
D1+E1 = D2+E2 = D3+E3 =F(ここでは「=」は略等しいことを表す)。
にされている。
【0110】
このように、各発光領域151、152、153は略同じ厚みFになっているので、その表面に形成されるカソード電極膜18の表面は平坦になり、段差が生じない。
【0111】
上記のようにカソード電極膜18が形成された有機LEDパネル25は、カソード電極成膜室56から搬出室52に移動させる。
【0112】
全面成膜室60内には、搬入室51内から成膜対象物21が1枚ずつ搬入され、厚いホール注入層6bと厚いホール輸送層7bとが形成された後、後段の第1〜第3の部分成膜室70、80、90内で、多数の成膜対象物22の表面に、三原色の発光領域151〜153が連続して形成され、カソード電極成膜室56内に1枚ずつ搬入され、複数の有機LEDパネル25が連続して形成され、搬出室52に搬送される。
【0113】
搬出室52内に所定枚数の有機LEDパネル25がまとめられた後、搬出室52だけが大気に開放され、有機LEDパネル25は有機LEDパネル製造装置50から搬出される。
【0114】
上記は、三種類の厚い発光層8b、10b、12bの膜厚は互いに異なっており、また、その表面に形成された厚い電子輸送層9b、11b、13bの膜厚も互いに異なっていたが、本発明はそれに限定されるものではない。各厚い発光層8b、10b、12bを同じ膜厚に形成する場合や、厚い電子輸送層9b、11b、13bを同じ膜厚に形成する場合も含まれる。
【0115】
図22(a)の符号26はその一例の有機LEDパネルであり、この有機LEDパネル26は、積層された発光層8b'、10b'、12b'の膜厚が異なり、その表面の電子輸送層9b'、11b'、13b'の膜厚が等しい発光領域15'1、15'2、15'3を有している。このような発光領域15'1、15'2、15'3の表面に形成されたカソード電極膜18'には段差が生じている。
【0116】
また、図22(b)の有機LEDパネル27は、積層された発光層8b"、10b"、12b"の膜厚が互いに等しく、且つ、その表面の電子輸送層9b"、11b"、13b"の膜厚が互いに等しい発光領域15"1、15"2、15"3を有している。この発光領域15"1、15"2、15"3の表面に形成されたカソード電極膜18"には段差は生じない。
【0117】
以上説明したように、本発明は、異なる真空槽内で赤色、緑色、青色の発光層を形成しており、且つ、各発光層を形成した真空槽内で各発光層上に配置する電子輸送層をそれぞれ別個に形成している。
【0118】
従って、発光層とその表面の電荷輸送層(ここでは電子輸送層)とで構成される発光領域の膜厚や、発光層と電荷輸送層の膜厚の比率を、発色する色毎に変えることができる。
【0119】
【発明の効果】
先行する蒸着源の復動と後続する蒸着源の往動が同時に行われるので、両方の蒸着源によって形成される有機薄膜間の界面の状態がよく、成膜時間も短縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた有機LEDパネル製造装置を説明するための図
【図2】その全面成膜室を説明するための図
【図3】第1の部分成膜室を説明するための図
【図4】第2の部分成膜室を説明するための図
【図5】第3の部分成膜室を説明するための図
【図6】本発明による薄膜形成工程を説明するための図(1)
【図7】本発明による薄膜形成工程を説明するための図(2)
【図8】本発明による薄膜形成工程を説明するための図(3)
【図9】本発明による薄膜形成工程を説明するための図(4)
【図10】本発明による薄膜形成工程を説明するための図(5)
【図11】本発明による薄膜形成工程を説明するための図(6)
【図12】本発明による薄膜形成工程を説明するための図(7)
【図13】(a):蒸着源の平面図 (b):その断面図
【図14】図2のA−A線切断面図
【図15】(a)〜(d):有機薄膜の形成状態を説明するための図(1)
【図16】(e)〜(g):有機薄膜の形成状態を説明するための図(2)
【図17】(h)〜(j):有機薄膜の形成状態を説明するための図(3)
【図18】(k)〜(m):有機薄膜の形成状態を説明するための図(4)
【図19】(n)〜(p):有機薄膜の形成状態を説明するための図(5)
【図20】(q)〜(s):有機薄膜の形成状態を説明するための図(6)
【図21】(t)、(u):有機薄膜の形成状態を説明するための図(7)
【図22】(a)、(b):本発明の有機LEDパネルの他の構造の例を説明するための図
【図23】従来技術の有機LEDパネル製造装置の例
【図24】従来技術の有機LEDパネルを説明するための図
【符号の説明】
8a、8b、10a、10b、12a、12b……第1の有機薄膜(発光層)
9a、9b、11a、11b、13a、13b……第2の有機薄膜(電荷輸送層)
18……カソード電極膜
21〜24……成膜対象物
25〜27……有機LEDパネル
31、35、41……マスク
32、36、42……貫通孔
50……有機LEDパネル製造装置
61、71、81、91……真空槽
63、73、83、93……第1の蒸着源
64、74、84、94……第2の蒸着源
70、80、90……部分成膜室
Claims (3)
- 真空槽内に、板状の成膜対象物と第1、第2の蒸着源とを配置し、
マスクを前記成膜対象物の表面に位置させ、
前記第1、第2の蒸着源からそれぞれ第1、第2の蒸気を放出させ、前記第1、第2の蒸着源を、それぞれ前記成膜対象物に対して往復移動させ、前記第1の蒸気によって前記成膜対象物表面に第1の有機薄膜を形成し、前記第2の蒸気によって前記第1の有機薄膜表面に第2の有機薄膜を形成する積層型有機薄膜の製造方法であって、
前記第1、第2の蒸着源に、第1、第2のスリットそれぞれを有する第1、第2の筺体をそれぞれ設け、
前記第1、第2のスリットが前記往復移動の方向に対して水平面内で垂直な方向に向くようにして、前記真空槽内の水平方向の一端部に前記第1の筺体を配置し、他端部に前記第2の筺体を配置しておき、
前記第1、第2の筺体の内部で前記第1、第2の蒸気を生成して前記第1のスリットから前記第1の蒸気を放出させながら、前記成膜対象物の直下位置を通過させて前記第1の筺体を前記一端部から前記他端部に移動させる工程と、
前記第1、第2のスリットから前記第1、第2の蒸気をそれぞれ放出させながら、前記成膜対象物の直下位置を通過させて前記第1、第2の筺体を前記他端部から前記一端部に一緒に移動させる工程と、
前記第2のスリットから前記第2の蒸気を放出させながら、前記成膜対象物の直下位置を通過させて前記第2の筺体を前記一端部から前記他端部に移動させる工程と、
を含み、前記第1、第2の蒸気を前記成膜対象物の表面に垂直に到達させる積層型有機薄膜の製造方法。 - 複数の貫通孔が所定パターンで配置されたマスクを前記成膜対象物の表面に位置させ、
前記第1、第2の有機薄膜を、前記貫通孔と同じパターンに形成する請求項1記載の積層型有機薄膜の製造方法。 - 前記第1の有機薄膜は発光層であり、前記第2の有機薄膜は電荷輸送層である請求項2記載の積層型有機薄膜の製造方法。
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