JP4149423B2 - 二輪車の転倒検出装置 - Google Patents

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本発明は、二輪車の転倒検出装置に関し、特に自動二輪車に用いられる転倒検出装置に関するものである。
例えば、自動二輪車に用いられる転倒検出装置の中には、車体傾斜センサを用いて車体の転倒を検出するものがある。これは、車体にケースを取付け、左右端にマグネットを取付けたウエイトをケース内にスイング自在に吊下げ、ケース内の端部にリードスイッチを取付けた構成であって、このウエイトがスイングしてマグネットがリードスイッチに近接したときにオンになることで車体の転倒を検出している(特許文献1参照)。
しかしながら、このように車体の転倒を機械的に検出する車体傾斜センサにおいては、その転倒検出精度や信頼性において改良すべき点があり、その改良のために部品点数の増加およびサイズの大型化、ならびにコストの増加を伴うこととなっていた。
そこで、電子制御ユニット(ECU)に加速度センサを設け、この加速度センサを転倒センサとして用いたものが提案されている(特許文献2参照)。この技術は、車体の幅方向の重力加速度を検出し、この重力加速度から転倒しているか否かを判断するものである。この技術では、ECUと別体のセンサを別の場所に設置する必要がなくなるため、上記特許文献1の車体傾斜センサに比べ、検出精度の向上とともにスペースの縮小が図られ、構造が簡素化しコストが低減する。
また、このように加速度センサにより車体の幅方向の重力加速度を検出するように構成すると、車体が傾斜したときの傾斜角に対して重力加速度の正弦成分を検出するため、車体が真直ぐな状態(傾斜角0°)から転倒した状態(傾斜角90°)までの検出値が正弦波形で表される。その結果、転倒判断の閾値付近で変化量を大きく確保できない上下方向の重力加速度を検出する場合に比較して、傾斜角0°から転倒判断の閾値(通常は傾斜角70°〜90°の間の値)までの変化量が大きくなるため、転倒判断がしやすくなる。
特開2002−68062号公報 特開2002−71703号公報
ところが、前述したように加速度センサをECUに設けたとき、ECUを制御ブロックに収納してその制御ブロックをスロットルボディに一体化すると、通常シート下に配置しようとする場合、高さ方向の制約からスロットルボディの側部に制御ブロックが位置するようにして収納せざるを得ない。そのため、加速度センサは縦置き、すなわち二輪車の車体の高さ方向に沿うように配置され上下方向の加速度を検出することで転倒検出を行うこととなり、余弦波形しか得られず、その結果、前述したように転倒判断の閾値付近での変化量を大きく確保することができなくなる。
一方、これに対処するために制御ブロックをスロットルボディの上部に位置するようにすれば、上記の問題を解決できるが、シート下の上下方向のスペースが増加し、足付き性が悪化する。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、加速度センサを二輪車の車体の高さ方向に沿うように配置しても車体の転倒を容易に判断できる転倒検出装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち本発明は、スロットルボディ側面に制御ブロックが形成され、前記制御ブロックは、前記スロットルボディに関する各センサと制御基板から構成されており、前記制御ブロックの内部に設けられた二輪車の転倒検出装置であって、二輪車の車体の高さ方向に沿うように配置され、車体傾斜角の正弦成分の重力加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサの検出信号に基づいて前記傾斜角を算出する傾斜角算出手段と、前記車体が転倒したことを判断する転倒判断角度を予め設定する転倒角度設定手段と、前記加速度センサの誤差を考慮した誤差角度を予め設定する誤差角度設定手段と、前記転倒判断角度と前記誤差角度から、転倒判断閾値の範囲を設定する閾値範囲設定手段と、前記傾斜角が前記転倒判断閾値の範囲内にあったときに前記車両が転倒したと判断する転倒判断手段とを備えたことを特徴とする。
スロットルボディの幅方向の一端にはスロットルドラム等の構成要素が設けられるため、制御ブロックをスロットルボディと一体に取付ける際、スロットルボディの他端に設ける必要があり、制御ブロックの配置が制限される。そこで、制御ブロックの内部において二輪車の車体の高さ方向に沿うように加速度センサを配置すると、配置が制限された制御ブロック内で各センサとともに集約された設置が可能となる。
このように設置された加速度センサが、車体が傾斜したときに傾斜角の正弦成分の重力加速度を検出することで、傾斜角0°から転倒判断の閾値(通常は傾斜角70°〜90°の間の値)までの変化量が大きくなるため、車体の傾斜角を容易に検出でき、転倒判断手段によって車体の転倒を判断しやすくなる。
さらに、加速度センサの検出信号に基づいて算出された車体の傾斜角が転倒判断閾値の範囲内であるか否かによって車体の転倒を判断することで、二輪車が車体を傾斜させながら走行中であるか、あるいは車体が転倒した状態であるかを容易に識別することが可能となる。
また、本発明の転倒検出装置において、前記傾斜角に対する前記加速度センサの出力電圧を予めマップ化して記憶するメモリを備えたことを特徴とする。
傾斜角に対する加速度センサの出力電圧を予めマップ化して記憶しておくことで、傾斜角と転倒判断閾値の範囲とをマップを用いて出力電圧で比較するため、傾斜角と転倒判断閾値の範囲とを比較する時間を短縮することが可能となる。
また、本発明の転倒検出装置において、前記傾斜角が前記転倒判断閾値の範囲内にあったときに始動するタイマーを設け、前記タイマーにより、前記傾斜角が前記転倒判断閾値の範囲内にあり一定期間経過したときに、前記車体が転倒したと判断することを特徴とする。
例えば競技用バイクがレースで走行する場合、車体を大きく傾斜させて走行することがあるため、走行中に車体の傾斜角が転倒判断角度にほぼ一致した状態となることがある。しかし、一時的にこのような走行状態であった場合でも、一定期間を経過する前に車体の傾斜角が0°の方向に復帰して、車体の傾斜角が転倒判断角度から外れる。そこで、車体の傾斜角が転倒判断閾値の範囲内であったときにタイマーを始動させ、その一定期間が経過するまでの間、車体の傾斜角が転倒判断閾値の範囲内であったとき、車体が転倒したと判断する。これによって、車体を大きく傾斜させた状態で走行中であるか、あるいは車体が転倒した状態であるかを容易に識別することが可能となる。
また、競技用バイクがレース中に転倒した場合でも、一定期間が経過するまでの間、車体が転倒したと判断しないため、その間はエンジンを停止させる等の制御を行わない。したがって、このようにタイマーを設けたことで、競技用バイクが転倒してもその直後にエンジンを再始動するような手間を要することなくレースに復帰することが可能である。
本発明の転倒検出装置によれば、傾斜角の正弦成分の重力加速度を検出することにより、車体の傾斜角を容易に検出でき、転倒判断手段によって車体の転倒を判断しやすくなるので、加速度センサを二輪車の車体の高さ方向に沿うように配置しても車体の転倒を容易に判断することができる。
また、本発明の転倒検出装置によれば、加速度センサが二輪車の車体の幅方向に作用する加速度を検出するので、加速度センサを二輪車の車体の高さ方向に沿うように配置しても車体の傾斜角を容易に検出することができる。
また、本発明の転倒検出装置によれば、車体が転倒してもその衝撃が制御ブロックに直接伝達されにくくなり、加速度センサが転倒による衝撃を回避しやすくなるので、加速度センサの衝撃による不具合を回避することができる。
また、シート下のスペースを増加させる必要がないので、足付き性を確保することができる。
また、本発明の転倒検出装置によれば、二輪車が車体を傾斜させながら走行中であるか、あるいは車体が転倒した状態であるかを容易に識別することが可能となるので、車体が転倒したことを誤認することなく確実に判断することができる。
また、本発明の転倒検出装置によれば、車体の傾斜角と転倒判断閾値の範囲とを比較する時間を短縮することが可能となるので、車体の転倒を判断するまでの時間を短縮することができる。
また、本発明の転倒検出装置によれば、車体を大きく傾斜させた状態で走行中であるか、あるいは車体が転倒した状態であるかを容易に識別することが可能となるので、車体が転倒したことを誤認することなく確実に判断することができる。また、競技用バイクの場合、転倒しても手間を要することなくレースに復帰できるので、タイムロスを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、自動二輪車の転倒検出装置について説明するものであるが、本発明の転倒検出装置は、自動二輪車に限定するものではなく、自動で走行しない二輪車にも適用可能である。
図1は、自動二輪車のシートの下部の部分断面図である。
自動二輪車の車体1には、シート2をリッドに兼用して上部に配置したラゲッジボックス3が、車体1の前後方向に長く設置されている。このラゲッジボックス3の下部には、ボディフレーム11,11が車体1の前後方向に長く左右一対に設置されており、ラゲッジボックス3を支持している。また、ラゲッジボックス3の底部には、ボディフレーム11,11にラゲッジボックス3を安定保持するための保持板12が取付けられている。
これらボディフレーム11,11の外側には上部ブラケット13,13がそれぞれ設けられており、クランク状のエンジンハンガ14がこれら上部ブラケット13,13に両端部を揺動可能に支承されている。また、このエンジンハンガ14の中間部において下部ブラケット15,15が揺動可能に支承されている。したがって、ラゲッジボックス3の下部には、ボディフレーム11,11、保持板12、上部ブラケット13,13、エンジンハンガ14および下部ブラケット15,15により包囲され、車体1の幅方向に延在した空間部16が形成されている。この空間部16内にはスロットルボディ17が収納されており、また、スロットルボディ17の内部には吸気通路17aが前後方向かつ水平に延びるように配置されている。また、空間部16内にスロットルボディ17が収納されると、スロットルボディ17の幅方向の外側には、スロットルボディ17と上部ブラケット13およびエンジンハンガ14とを離間させる空間部16a,16bが形成される。
図2は、一部に断面を含んだスロットルボディの平面図である。
スロットルボディ17の吸気通路17aには、これを開閉するバタフライ型のスロットルバルブ21が配設され、これを支持するバルブ軸22は、吸気通路17aを水平に横断して、スロットルボディ17の左右両側壁に回転可能に支承させている。このバルブ軸22の、スロットルボディ17の一側方に突出する一端にはスロットルドラム23が固着され、これに単一のスロットルケーブル24と、スロットルバルブ21を閉じ方向に付勢する戻しばね25とが接続され、スロットルケーブル24を図示しないスロットル操作部材により牽引することにより、スロットルバルブ21は開放される。
バルブ軸22の他端が突出するスロットルボディ17の外側壁には、吸気通路17aと平行でバルブ軸22と直交する連結フランジ26が一体に形成され、この連結フランジ26に、スロットルボディ17とは別個に成形された合成樹脂製の制御ブロック27が複数本のボルト28,28…をもって着脱可能に接合されている。
制御ブロック27には、スロットルボディ17に関する各センサ、すなわちスロットルバルブ21の開度を検知するスロットルセンサ31および吸気通路17aの上流の温度を検知する吸気温センサ41が取付けられている。また、スロットルボディ17には、連結フランジ26と直交しながら吸気通路17aの上流側に開口するセンサ装着孔42が設けられており、このセンサ装着孔42に吸気温センサ41が制御ブロック27側から装着されている。
また、この制御ブロック27は、連結フランジ26と反対側の外端面を開放したボックス型をなしており、その外端面には、電子制御ユニット(ECU)51の基板52(制御基板)が車体1の高さ方向に沿うように固定されている。この基板52には、アライメントプレート53が基板52と平面を合わせるように装着されている。また、基板52には、スロットルセンサ31の接続子31aおよび吸気温センサ41の接続子41aがそれぞれ接続されている。
また、ECU51は、図3,図4に示すように、加速度センサ54と、CPU55と、メモリ60とを備えている。加速度センサ54は、加速度センサ本体54aを有していて車体1の高さ方向に沿うように基板52に配置されている。この加速度センサ54には、車体1の高さ方向を基準として、車体1の幅方向の加速度を検出する静電容量型センサが用いられている。したがって、この加速度センサ54は、車体1が傾斜したときその傾斜角の正弦成分の重力加速度を検出する。なお、加速度センサ54は、車体1の高さ方向を基準として重力加速度を検出する静電容量型センサを用いることを限定するものではなく、車体1の傾斜角の正弦成分の重力加速度を検出できればどのようなセンサを用いてもよい。また、この加速度センサ54は、車体1の高さ方向に沿うように制御ブロック27内に配置されていれば、必ずしも基板52に配置されなくてもよい。
CPU55は、加速度センサ54から検出された信号に基づいて車体1の傾斜角γを算出する傾斜角算出手段56と、車体1が転倒したことを判断する転倒判断角度αを予め設定する転倒角度設定手段57と、転倒判断角度αの誤差を考慮して誤差角度Δαを予め設定する誤差角度設定手段57aと、転倒判断角度αと誤差角度Δαから転倒判断閾値α±Δαの範囲β(α−Δα<β<α+Δα)を設定する閾値範囲設定手段58と、車体1の転倒を判断する転倒判断手段59とを備えている。すなわち、ECU51は、加速度センサ54から検出された信号に基づいてCPU55によって車体1の傾斜角γを算出し、車体1の転倒を判断する転倒検出装置として機能するものである。なお、ECU51を用いて車体1の転倒を判断する手順については後述する。
メモリ60は、傾斜角γに対する加速度センサ54の出力電圧と、転倒判断閾値α±Δαの範囲βに対する出力電圧とを予めマップ化して記憶するものであり、電気的にデータの消去および書き込みが可能な不揮発性メモリ、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を用いる。
制御ブロック27の開放端面には、ECU51を収容するAl合金板製のカバー61が取付けられている。このカバー61は、Al合金板をプレス成形してなるものであり、良好な外観が得られる。したがって、カバー61は、制御ブロック27の外観を良好にするので、自動二輪車のように制御ブロック27を外部に露出させる場合に有効である。
また、制御ブロック27には、カバー61の開放端面に近接して、カバー61内に連通しカバー61と反対側に開口する図示しないポッティング口が設けられている。そして、カバー61を下方に向けて、このポッティング口からカバー61内に合成樹脂62がポッティングされ、それによりECU51が包まれるとともに、カバー61がシールされる。したがって、合成樹脂62は、ECU51を雨水や塵埃、振動から保護し、特にカバー61がシールされることによって防水、防塵を効果的に図ることができ、さらに合成樹脂62の接着力によりカバー61と制御ブロック27との結合力を強化することができる。
また、制御ブロック27の上部にはカプラ71が設けられている。このカプラ71は、制御ブロック27に一体に成形され、ECU51の基板52に接続される図示しない接続子を複数具備している。このカプラ71の先端には、電源等に連なるワイヤハーネス72を接続した外部カプラ73が結合されている。なお、ECU51は、加速度センサ54、CPU55のみならず、スロットルセンサ31、吸気温センサ41その他スロットルボディ17に設けられた装置の作動をも制御するものであるため、信号および電力の授受はカプラ71およびカプラ71に接続される外部カプラ73を介して行われる。
次に、上記スロットルボディ17の制御ブロック27に設けられた転倒検出装置の機能および作用について説明する。
自動二輪車の走行中にその車体1の傾斜角γを算出して、車体1を傾斜させながら走行中であるのか、あるいは車体1が転倒したのかを判断する。すなわち、転倒検出装置によって以下の手順で車体1の転倒を判断する。
図5は、車体1の傾斜角γ(車体1が実際に傾斜したときの傾斜角)と、その傾斜角γに対する加速度センサ54から検出された出力電圧V(γ)との関係を参照するためのグラフである。
まず、車体1が傾斜したときの傾斜角γの正弦成分の重力加速度を加速度センサ54で検出し、その検出信号を電圧に変換した値を図5のグラフで参照するために、車体1が右方向に傾斜したときに得られる最大電圧、および車体1が左方向に傾斜したときに得られる最小電圧を予め設定する。すなわち、車体1が右側に傾斜したときの角度を正として、車体1が右側に90°(+90°)傾斜したときの電圧を最大電圧V(+90)とする一方、車体1が左側に90°(−90°)傾斜したときの電圧を最小電圧V(−90)とする。そして、これら2つの電圧を基準として、車体1の傾斜角が0°となるときの電圧V(0)を算出する。ここで、V(0)は、
(0)={V(+90)+V(−90)}/2
となる。
ここで、車体1の傾斜角が0°から所定の傾斜角θまで変化したときの電圧の変化量、すなわち電圧比率Vは、
={V(+90)−V(−90)}/2×sinθ
となる。したがって、所定の傾斜角θにおける電圧V(θ)は、
(θ)=V(0)+V
となる。この式を用いて、所定の傾斜角θを−90°〜+90°に変化させたときの所定の傾斜角θに対する電圧V(θ)を算出してマップ化し、メモリ60に記憶しておく。
次に、車体1が転倒したことを判断する転倒判断角度αを転倒角度設定手段57によって予め設定する。ここで、車体1の傾斜角が0°から転倒判断角度αまで変化したときの電圧の変化、すなわち電圧比率VH1は、
H1={V(+90)−V(−90)}/2×sinα
となる。したがって、転倒判断角度αにおける電圧V(α)は、
(α)=V(0)+VH1
となる。この転倒判断角度αにおける電圧V(α)をマップ化された電圧V(θ)とともにメモリ60に記憶しておく。
ここで、加速度センサ54には、温度ドリフト、温度経年変化、振動に対する経年変化、またはヒステリシス等の要因により、重力加速度の検出誤差が生じることがある。また、CPU55のA/D変換誤差(量子化誤差)または電源ICのVCC電圧温度ドリフト等を要因としたECU51または基板52による検出誤差が生じることがある。したがって、これらの要因を考慮して誤差角度設定手段57aによって誤差角度Δαを設定し、誤差角度Δαにおける電圧V(Δα)を設定する。そして、転倒判断角度αと誤差角度Δαから、閾値範囲設定手段58によって転倒判断閾値α±Δαの範囲β(α−Δα<β<α+Δα)を設定し、転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)を設定する。これら電圧V(Δα)およびV(β)をマップ化された電圧V(θ),V(α)とともにメモリ60に記憶しておく。
その後、加速度センサ54によって車体1の傾斜角γの正弦成分の重力加速度の信号を検出し、その信号に基づいて傾斜角算出手段56によって車体1の傾斜角γを算出する。このとき、その信号を電圧に変換して、傾斜角γにおける電圧V(γ)を出力する。
そして、メモリ60に記憶された所定の傾斜角θに対する電圧V(θ)を示すマップを参照して、傾斜角γにおける電圧V(γ)を転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)と比較する。このとき、傾斜角γにおける電圧V(γ)が転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)の範囲内、すなわち、
(α−Δα)<V(γ)<V(α+Δα)
であれば、車体1が転倒したと判断する。一方、傾斜角γにおける電圧V(γ)が転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)の範囲外である場合、車体1が傾斜しながら走行中であり車体1が転倒していないと判断する。なおこのとき、車体1が右側に傾斜したときの角度を正として判断するが、車体1が右側に傾斜して傾斜角γにおける電圧V(γ)が正であった場合のみならず、車体1が左側に傾斜して傾斜角γにおける電圧V(γ)が負であった場合でも上記の式を用いることができる。
このようにして、転倒検出装置として機能するECU51によって車体1が転倒したと判断した場合、車体1に搭載された図示しないエンジンを制御してエンジンの作動を停止させる。これによって、車体1が転倒してもエンジンが作動し続けることで起こり得る弊害を回避することができる。
このような転倒検出装置において、スロットルボディ17の幅方向の一端には、スロットルドラム23、スロットルケーブル24、および戻しばね25が設けられている。そのため、制御ブロック27をスロットルボディ17と一体に取付ける際、その取付位置が制限され、スロットルボディ17の他端、すなわちスロットルドラム23と反対側の端部に設けなければならない。そこで、制御ブロック27の内部において、自動二輪車の車体1の高さ方向に沿うように基板52が設置され、その基板52に沿うように加速度センサ54を配置すると、加速度センサ54を設置するための余分な空間を要することなく、制御ブロック27の内部の限られた空間内で加速度センサ54を設置することが可能となる。
また、車体1の高さ方向に沿うように設置された基板52に加速度センサ54を設置することにより、スロットルボディ17に関する各センサを基板52に集約することができる。その結果、これら各センサを設置するシート下の空間部16を小さくすることができる。
このように設置された加速度センサ54が、車体1が傾斜したときに傾斜角γの正弦成分の重力加速度を傾斜角γにおける電圧V(γ)で検出する際、傾斜角0°における電圧V(0)から転倒判断角度α(通常は傾斜角70°〜90°の間の値)における電圧V(α)までの変化量が大きくなるため、傾斜角γが転倒判断角度α付近となったとき、電圧V(0)からの変化量が大きい電圧V(γ)を容易に検出でき、転倒判断手段59によって車体1の転倒を判断しやすくなる。
したがって、加速度センサ54を車体1の高さ方向に沿うように配置しても、車体1の転倒を容易に判断することができる。
また、加速度センサ54に車体1の高さ方向を基準として、車体1の幅方向の加速度を検出する静電容量型センサを用いることで、車体1の高さ方向に沿うように加速度センサ54を配置すると、加速度センサ54が車体1の幅方向に作用する加速度を検出する。すなわち、車体1が傾斜したときに傾斜角γの正弦成分の重力加速度を検出することとなる。
したがって、加速度センサ54を車体1の高さ方向に沿うように配置しても車体1の傾斜角γを容易に検出することができる。
また、ラゲッジボックス3の下方に設けられた空間部16は、車体1の構成上、車体1の幅方向に延在している。そこで、スロットルボディ17を空間部16に設置することで、加速度センサ54が制御ブロック27内で車体1の高さ方向に沿うように配置されるため、加速度センサ54が設置される制御ブロック27の外側には空間部16aが形成される。このように、スロットルボディ17に取付けられた制御ブロック27と、空間部16を形成する車体1の上部ブラケット13およびエンジンハンガ14とが離間することで、車体1が転倒してもその衝撃が制御ブロック27に直接伝達されにくくなるため、加速度センサ54が転倒による衝撃を回避しやすくなる。したがって、車体1が転倒しても、加速度センサ54の衝撃による不具合を回避でき、加速度センサ54を正常に作動させることができる。また、この場合、制御ブロック27をスロットルボディ17の上部に配置する必要がないため、ラゲッジボックス3の下方の空間部16を上下方向に増加させる必要がない。したがって、自動二輪車に乗車したときの足付き性を確保することができる。
また、車体1の傾斜角γと転倒判断閾値の範囲βとを比較して車体1の転倒を判断するために、傾斜角γにおける電圧V(γ)と転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)とを比較し、傾斜角γにおける電圧V(γ)が転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)の範囲内であれば車体1が転倒したと判断する。これによって、車体1が転倒した状態であるか、あるいは二輪車が車体1を傾斜させながら走行中であるかを容易に識別することが可能となる。したがって、自動二輪車が車体1を傾斜させながら走行中であるにもかかわらず車体1が転倒したと誤認することなく、車体1の転倒を確実に判断することができる。
また、車体1の傾斜角θを−90°〜+90°に変化させたときの所定の傾斜角θに対する電圧V(θ)を予めマップ化してメモリ60に記憶しておくことで、傾斜角γにおける電圧V(γ)を転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)と比較する時間を短縮することが可能となる。したがって、傾斜角γにおける電圧V(γ)が転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)の範囲内であるか否かによって車体1の転倒を判断するまでの時間を短縮することができる。
なお、上記実施の形態において、転倒判断手段59によって加速度センサ54から検出された信号に基づいて車体1の転倒を判断できれば、傾斜角算出手段56、転倒角度設定手段57、誤差角度設定手段57a、閾値範囲設定手段58およびメモリ60を具備しなくてもよい。
また、上記実施の形態において、傾斜角γにおける電圧V(γ)と転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)とを比較し、傾斜角γにおける電圧V(γ)が転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)の範囲内であったときに始動するタイマーをECU51に設置してもよい。この場合、タイマーを始動させて、一定期間、例えば10秒間、傾斜角γにおける電圧V(γ)が転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)の範囲内であったときに、転倒判断手段59によって車体1が転倒したと判断することとなる。
例えば競技用バイクがレースで走行する場合、車体1を大きく傾斜させて走行することがあるため、走行中に車体1の傾斜角γが転倒判断角度αにほぼ一致する状態となることがある。しかし、一時的にこのような走行状態であった場合でも、10秒を経過する前に車体1の傾斜角γが0°の方向に復帰して、車体1の傾斜角γが転倒判断角度αから外れる。そこで、傾斜角γにおける電圧V(γ)が転倒判断閾値の範囲βにおける電圧V(β)の範囲内、すなわち、
(α−Δα)<V(γ)<V(α+Δα)
であったときにタイマーを始動させて10秒間待機し、その時間が経過した後において電圧V(γ)が電圧V(β)の範囲内、すなわち、
(α−Δα)<V(γ)<V(α+Δα)
であったとき、車体1が転倒したと判断する。これによって、車体1を大きく傾斜させた状態で走行中であるか、あるいは車体1が転倒したかを識別することが可能となる。したがって、自動二輪車が車体1を傾斜させながら走行中であるにもかかわらず車体1が転倒したと誤認することなく、車体1の転倒を確実に判断することができる。
また、競技用バイクがレース中に転倒した場合でも、一定期間が経過するまでの間、車体が転倒したと判断しないため、その間はエンジンを停止させる等の制御を行わない。したがって、このようにタイマーを設けたことで、競技用バイクが転倒してもその直後にエンジンを再始動するような手間を要することなくレースに復帰することが可能である。したがって、競技用バイクのレース中におけるタイムロスを防止することができる。
本発明の実施の形態に係る転倒検出装置を設けた車体の部分断面図である。 本発明の実施の形態に係る転倒検出装置を設けたスロットルボディの部分断面を含む平面図である。 本発明の実施の形態に係る転倒検出装置に設けられた加速度センサの概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る転倒検出装置のブロック図である。 車体の傾斜角に対する出力電圧を示す図である。
符号の説明
1 車体
2 シート
16 空間部
17 スロットルボディ
17a 吸気通路
27 制御ブロック
51 電子制御ユニット(ECU、転倒検出装置)
52 基板(制御基板)
54 加速度センサ
55 CPU
56 傾斜角算出手段(CPU)
57 転倒角度設定手段(CPU)
57a 誤差角度設定手段(CPU)
58 閾値範囲設定手段(CPU)
59 転倒判断手段(CPU)
60 メモリ
61 カバー

Claims (3)

  1. スロットルボディ側面に制御ブロックが形成され、前記制御ブロックは、前記スロットルボディに関する各センサと制御基板から構成されており、前記制御ブロックの内部に設けられた二輪車の転倒検出装置であって、
    二輪車の車体の高さ方向に沿うように配置され、車体傾斜角の正弦成分の重力加速度を検出する加速度センサと、
    前記加速度センサの検出信号に基づいて前記傾斜角を算出する傾斜角算出手段と、
    前記車体が転倒したことを判断する転倒判断角度を予め設定する転倒角度設定手段と、前記加速度センサの誤差を考慮した誤差角度を予め設定する誤差角度設定手段と、
    前記転倒判断角度と前記誤差角度から、転倒判断閾値の範囲を設定する閾値範囲設定手
    段と、
    前記傾斜角が前記転倒判断閾値の範囲内にあったときに前記車両が転倒したと判断する転倒判断手段と
    を備えたことを特徴とする二輪車の転倒検出装置。
  2. 前記傾斜角に対する前記加速度センサの出力電圧を予めマップ化して記憶するメモリを備えたことを特徴とする請求項1記載の二輪車の転倒検出装置。
  3. 前記傾斜角が前記転倒判断閾値の範囲内にあったときに始動するタイマーを設け、前記タイマーにより、前記傾斜角が前記転倒判断閾値の範囲内にあり一定期間経過したときに、前記車体が転倒したと判断することを特徴とする請求項1または2記載の二輪車の転倒検出装置。
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