JP4148994B2 - グルカゴン様ペプチド―2アナログ - Google Patents
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Description
本出願は、1996年4月12日出願の出願番号第08/631,273号の一部継続出願である。
発明の分野
本発明は、腸組織増殖促進特性をもつグルカゴン関連ペプチド、及びその組織の増殖損傷又は損失に起因する様々な病態を治療するための使用に関する。
発明の背景
グルカゴン遺伝子の発現により、160残基プログルカゴン産物からプロセシングされる組織決定ペプチド産物が生じる。プログルカゴン前駆体中のペプチドの組織化は、ラット、ハムスター及びウシの膵臓からのプレプログルカゴンcDNAの分子クローニングによって解明された。その分析から、プレプログルカゴンがグルカゴンとグリセンチンの配列だけでなく、更に2つのスペーサー又は介在ペプチド(IP-I及びIP-II)によってグルカゴンからと相互に分けられた2種のグルカゴン様ペプチド(GLP-1及びGLP-2)を含むことがわかった。それらのペプチドは、古典的プロホルモン切断部位に特有の塩基性アミノ酸が両側に隣接しており、プログルカゴンの翻訳後プロセシング後に遊離することが示されている(Drucker,Pancreas,V1990,5(4):484)。
例えば、膵臓のランゲルハンス島でプログルカゴンから遊離したペプチドの分析により、遊離した膵臓の主要なペプチドは29量体のグルカゴンであるのにグリセンチン、オキシントモジュリン、IP-II及びグルカゴン様ペプチドは小腸や大腸に優勢であることが示される。グルカゴン様ペプチドが腸に見られるというその証明は、新たに発見された腸ペプチドの正確な構造と推定機能への研究を促進させた。いくつかの証拠からGLP-1が新しい重要な調節ペプチドであることが示唆されたために、ほとんどの研究はGLP-1に集中した。実際に、GLP-1がインスリン放出の最も強力な既知のペプチド作動性刺激の1つでありかつアクチンが膵臓B細胞上の受容体との相互作用によってグルコース依存方式で仲介することが求められた。GLP-1とその誘導体は、糖尿病の治療で使用するために開発中である。
グリセンチン及びオキシントモジュリンのいわゆる“エンテログルカゴン”の生理的役割も特に酸分泌の調節及び腸細胞の増殖について研究中である。オキシントモジュリンは用量依存方式でペンタガストリン刺激胃酸分泌を阻害することができる。腸粘膜の腸適応と増殖の変化を仲介する点でのグリセンチンの役割が調べられ、グリセンチンの腸栄養作用とその治療的使用が最近Matsunoらの1994年8月31日公開の欧州特許第612,531号に報告された。
GLP-1と他のグルカゴン関連ペプチドと対照的に、グルカゴン様ペプチドGLP-2の生理的役割はヒト、ラット、ウシ、ブタ、モルモット及びハムスターを含む種々のGLP-2相同体が単離及び配列決定されているにもかかわらず依然として理解が不十分なままである。GLP-2の合成品に対して高められたGLP-2抗血清を用いて、GLP-2が主に膵臓抽出液より腸抽出液に存在することがいろいろなグループから求められた(Mojsovら,J.Biol.Chem.,1986,261(25):11880;Orskovら,Endocrinology,1986,119(4):1467,Diabetologia,1987,30:874,FEBS Letters,1989,247(2):193;Georgeら,FEBS Letters,1985,192(2):275参照)。生物学的役割については、GLP-2がラット肝組織と脳組織へ結合するためにグルカゴンと競合せず肝原形質膜でのアデニル酸シクラーゼ産生も刺激しないが、ラット視床下部組織と脳下垂体組織双方のアデニル酸シクラーゼを30〜50pM濃度で刺激しうることはなぞである。GLP-2の生理的役割の解明が望ましいことは明らかである。
発明の要約
そこで、小腸組織の増殖を促進するGLP-2アナログが発見された。従って、本発明の一般的な目的は、そのGLP-2アナログを提供し、その治療的使用及び関連した用途を提供することである。
本発明の態様においては、GLP-2アナログは腸栄養活性を示し、下記構造式1を有する。
R1-(Y1)m-X1-X2-X3-X4-Ser5-Phe6-Ser7-Asp8-(P1)-Leu14-Asp15-Asn16-
Leu17-Ala18-X19-X20-Asp21-Phe22-(P2)-Trp25-Leu26-Ile27-Gln28-Thr29-
Lys30-(P3)-(Y2)n-R2,
(式中、X1はHis又はTyrであり;
X2はAla又は前記アナログにDPP-IV酵素に対する耐性を与えるAla置換アミノ酸であり;
X3はPro、HPro、Asp又はGluであり;
X4はGly又はAlaであり;
P1はGlu-X10-Asn-Thr-Ile又はTyr-Ser-Lys-Tyrであり;
X10はMet又は酸化に安定なMet置換アミノ酸であり;
X19はAla又はThrであり;
X20はArg、Lys、His又はAlaであり;
P2はIle-Asn、Ile-Ala又はVal-Glnであり;
P3は共有結合、又はIle、Ile-Thr又はIle-Thr-Asnであり;
R1はH又はN末端保護基であり;
R2はOH又はC末端保護基であり;
Y1はArg、Lys及びHisより選ばれた1又は2個の塩基性アミノ酸であり;
Y2はArg、Lys及びHisより選ばれた1又は2個の塩基性アミノ酸であり;
m及びnは独立して0又は1であり;
X1、X2、X3、X4、P1、X10、X19、X20、P2及びP3の少なくとも1つは野生型哺乳動物GLP-2残基以外である。)
特に好ましい式1のアナログは、位置X2のAlaを代替的アミノ酸に置き換えることによりヒトDPP-IV酵素による切断に対して耐性にするものである。本発明の他のアナログは、位置X10の酸化に感受性のあるMetを酸化に安定なアミノ酸残基に置き換えるものである。この方法で、アナログペプチドはその位置に野生型Met残基を有するGLP-2ペプチドに比べて安定性を増大した。本発明の他の実施態様は、His又はLysより選ばれた塩基性アミノ酸が位置X20に組込まれている。その置換は、GLP-2アナログが化学的に合成される場合に有利である。その位置に通常存在するArg残基は、ペプチド合成法で用いた溶媒を強く結合する傾向がある。Argを置換すると、合成で生成したGLP-2アナログを薬学的に許容しうる組成物に処方されやすくすることができる。
更に詳しくは、本発明の態様によれば、腸栄養活性をもちかつ哺乳動物GLP-2内に保存される位置に少なくとも1種のアミノ酸置換が哺乳動物GLP-2ペプチドに相対して組込まれている、哺乳動物GLP-2化合物及びそのN末端及び/又はC末端修飾型より選ばれたGLP-2ペプチドアナログが提供される。好適態様においては、GLP-2アナログは下記より選ばれた置換が組込まれている。
1)ジペプチジルペプチダーゼ-IV(以後DPP-IVと呼ぶ)に対する耐性を前記アナログに与える置換アミノ酸が位置2又は位置3に組込まれている置換;
2)酸化に安定なMet置換アミノ酸が位置10に組込まれている置換;及び
3)Arg以外の置換アミノ酸がX20に組込まれている置換。
他の態様においては、本発明は、N末端及び/又はC末端が保護基か付加アミノ酸か修飾した又は代替的アミノ酸の置換で修飾されている腸栄養性哺乳動物GLP-2アナログ、好ましくはヒトGLP-2アナログを提供する。他の態様においては、位置X1、X5、X7、X16〜X18、X25、X30又はX33に天然に存在するGLP-2に見られるもの以外の置換アミノ酸が組込まれている腸栄養性哺乳動物GLP-2アナログ、好ましくはヒトGLP-2アナログが提供される。任意により他の態様においては、本発明は、3〜8残基がC末端から欠除している腸栄養性アナログを提供する。
他の態様においては、本発明は、本発明のGLP-2アナログの治療的に有効な量、好ましくは腸栄養量、及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物を提供する。
別の態様においては、本発明は、患者において小腸組織の増殖を促進させる方法であって、本発明のGLP-2アナログの腸栄養量を該患者に送達する段階を含む、前記方法を提供する。
他の態様においては、腸の増殖を促進させるほかに、本発明は、本発明のGLP-2アナログの治療的に有効な量を薬学的に許容しうる担体と共に胃腸病に罹っている患者に投与して、該胃腸病の病理作用又は症状を正常の状態に戻すことによる胃腸病の治療方法を提供する。
本発明の他の態様においては、下記の段階を含む腸栄養性GLP-2アナログを同定するのに有効な方法が提供される。
1)上記の式1を有するGLP-2アナログを得る段階;
2)ラットGLP-2を使用した場合に腸栄養効果を誘起することができる用法を用いて前記アナログで哺乳動物を処理する段階;及び
3)擬似処理対照哺乳動物に相対して小腸重量に対する前記アナログの影響を求め、よって前記腸栄養性GLP-2アナログが前記重量の増加を誘起するアナログとして同定される段階。
発明の詳細な説明
本発明は、特に小腸の組織増殖を促進させるためのGLP-2アナログの治療的使用及び関連した使用に関する。本GLP-2アナログによって誘起した増殖に対する効果は、モック処理対照に相対する小腸重量の増加として現れる。特に、GLP-2アナログは、本明細書に例示したマウスモデルにおいて評価した際に賦形剤のみを投与した対照動物に相対して少なくとも10%の小腸重量の増加を仲介する場合には“腸栄養”活性をもつとみなされる。特に、小腸重量の少なくとも20%の増加を仲介するアナログは治療的使用に適し、50%以上の小腸重量の増加を仲介するアナログは治療的使用に好ましい。腸栄養活性は空腸末端部及び特に空腸基部を含む空腸に関して最も顕著に認められ、回腸にも認められる。
上で定義した腸栄養活性を示すほかに、本発明のGLP-2アナログは、それ自体哺乳動物GLP-2化合物か又はC末端及び/又はN末端が1又は2個の塩基性残基を付加することにより修飾されているか又はペプチド化学の技術において慣用的に用いられる種類の保護基が組込まれて生体内で生化学の望ましくない攻撃や分解からペプチド末端を保護するために修飾された哺乳動物GLP-2化合物の変異体であるGLP-2ペプチド“バックグラウンド”中の1以上の部位にアミノ酸置換が組込まれる。従って、本ペプチドは、ヒトGLP-2、ウシGLP-2、ラットGLP-2、イヌGLP-2、牡ウシGLP-2、ブタGLP-2、モルモットGLP-2及びハムスターGLP-2を含むがこれらに限定されない哺乳動物GLP-2化合物の関係においてアミノ酸置換が組込まれている。かかるペプチドの配列は、Buhlら,J.Biol.Chem.,1988,263(18):8621を含む多くの著者によって報告されている。
本発明の態様においては、腸栄養性GLP-2アナログは下記の式1の配列を有する。
R1-(Y1)m-X1-X2-X3-X4-Ser5-Phe6-Ser7-Asp8-(P1)-Leu14-Asp15-Asn16-
Leu17-Ala18-X19-X20-Asp21-Phe22-(P2)-Trp25-Leu26-Ile27-Gln28-Thr29-
Lys30-(P3)-(Y2)n-R2,
(式中、X1はHis又はTyrであり;
X2はAla又はDPP-IV酵素に対する耐性を前記アナログに与えるAla置換アミノ酸であり;
X3はPro、HPro、Asp又はGluであり;
X4はGly又はAlaであり;
P1はGlu-X10-Asn-Thr-Ile又はTyr-Ser-Lys-Tyrであり;
X10はMet又は酸化に安定なMet置換アミノ酸であり;
X19はAla又はThrであり;
X20はArg、Lys、His又はAlaであり;
P2はIle-Asn、Ile-Ala又はVal-Glnであり;
P3は共有結合、又はIle、Ile-Thr又はIle-Thr-Asnであり;
R1はH又はN末端保護基であり;
R2はOH又はC末端保護基であり;
Y1はArg、Lys及びHisより選ばれた1又は2個の塩基性アミノ酸であり;
Y2はArg、Lys及びHisより選ばれた1又は2個の塩基性アミノ酸であり;
m及びnは独立して0又は1であり;
X1、X2、X3、X4、P1、X10、X19、X20、P2及びP3の少なくとも1つは野生型哺乳動物GLP-2残基以外である。)
個々の位置に存在する野生型哺乳動物GLP-2残基は、異なる哺乳動物化合物から単離したGLP-2の配列を並べ、便宜上下記に転載したヒト配列と比べることにより求められる。
本出願のために、野生型哺乳動物GLP-2の個々の位置に存在することが既知のアミノ酸残基は次のものである。位置X13がIle又はValであり;位置X16がAsn又はSerであり;位置X19がアラニン又はトレオニンであり;位置X20がArg又はLysであり;位置X27がIle又はLeuであり;位置X28がGln又はHisである。
本GLP-2アナログは、哺乳動物GLP-2ペプチドのN末端又はC末端修飾型である“バックグラウンド”に所望のアミノ酸置換が組込まれる。そのアナログは、R1がN末端保護基を構成する;及び/又はmが1である場合にはY1はArg又はLysのような1又は2個のアミノ酸である;及び/又はR2はC末端保護基である;及び/又はnは1である場合にはY2は独立してArg又はLysのような1又は2個の塩基性アミノ酸であるものとして式1で表される。
本発明の好適実施態様においては、GLP-2アナログは全長GLP-2、少なくともGLP-2(1-33)のアナログであり、従って、P3は配列Ile-Thr-Asnである。また、GLP-2アナログはC末端で端が切り取られ、P3がIle-ThrであるGLP-2(1-32)型、P3がIleであるGLP-2(1-31)型、又はP3が共有結合であるGLP-2(1-30)型を生じる。
R1及びR2で表される“保護基”は、生化学安定性及びエキソペプチダーゼによる消化に対する耐性を与えるためにペプチド化学の技術に通常用いられる化学基である。適切なN末端保護基としては、例えば、アセチルのようなC1-5アルカノイル基が含まれる。アミノ官能基を欠くアミノ酸類縁体、例えば、デスアミノ-Tyr1がN末端保護基として適切である。適切なC末端保護基としては、C末端カルボキシルの炭素原子でケトン又はアミドを形成する基、又はカルボキシルの酸素原子でエステルを形成する基が含まれる。ケトンとエステルを形成する基としてはアルキル基、特に分枝鎖又は非分枝鎖C1-5アルキル基、例えば、メチル基、エチル基及びプロピル基が含まれ、アミドを形成する基としては第一アミンのようなアミン官能基、又はアルキルアミノ官能基、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ等のモノC1-5アルキルアミノ基及びジC1-5アルキルアミノ基が含まれる。アミノ酸類縁体、例えば、アグマチンのような脱炭酸アミノ酸類縁体は、本化合物のC末端を保護するのに適切である。
本発明の実施態様は、詳しくはmが0であり、R1がアセチルのような保護基であるアナログ;及びmが0であり、R2がアミド又はアミン、例えば、-NH2のようなC末端保護基である。
本発明の好適態様においては、GLP-2アナログはヒトGLP-2か又はラットGLP-2のアナログである。ヒトGLP-2は、本明細書ではhGLP-2(1-33)と同じ意味に呼ばれる。ラットGLP-2は、ヒトGLP-2のアミノ酸配列をもつがAla残基の代わりにThr残基が位置19に組込まれている。従って、ラットGLP-2は本明細書ではrGLP-2(1-33)か又はヒトGLP-2のThr19アナログ、即ち[Thr19]hGLP-2(1-33)と呼ばれる。
本発明の特に好適な実施態様においては、式1アナログ及び個々のヒト又はラットGLP-2アナログ双方についてのGLP-2アナログは下記より選ばれたアミノ酸置換が組込まれている。
1)前記アナログをDPP-IV酵素による切断に対する耐性にする置換アミノ酸がX2及び/又はX3に組込まれている置換;
2)酸化に安定なMet置換アミノ酸がX10に組込まれている置換;及び
3)Arg以外の置換アミノ酸がX20に組込まれている置換。
他の態様においては、本発明は、N末端及び/又はC末端が保護基か又は付加アミノ酸か又は修飾した又は代替的アミノ酸の置換によって修飾されている腸栄養性哺乳動物GLP-2アナログ、好ましくはヒトGLP-2アナログを提供する。他の態様においては、位置X1、X5、X7、X16〜X18、X25、X30又はX33が天然に存在する哺乳動物GLP-2に見られる以外の置換アミノ酸が組込まれている腸栄養性哺乳動物GLP-2アナログ、好ましくはヒトGLP-2アナログが提供される。任意により他の態様においては、本発明は、3〜8残基がC末端から欠除している腸栄養性アナログを提供する。
DPP-IV耐性のGLP-2アナログは、特に有利な性質をもっている。本明細書に示される哺乳動物GLP-2化合物は、DPP-IV酵素による切断に感受性があることがわかった。また、そのDPP-IVに対する感受性は全ての哺乳動物型のGLP-2に見られる認識配列Ala2Asp3の結果である。従って、GLP-2消化産物の存在を検出することができる便利な試験管内又は生体内評価法によって求められるようにDPP-IV仲介切断に対する相対耐性をGLP-2アナログに与える置換アミノ酸がX2及び/又はX3組込まれているGLP-2アナログの種類が提供される。DPP-IV耐性GLP-2アナログは、GLP-2アナログがヒトGLP-2が同じ条件下で処理又は分解される速度より測定可能に緩慢である速度で処理又は分解されることがわかる。
DPP-IV感受性及び耐性を評価するのに適切な分析は、実際に得られた結果の関係において下記実施例3に記載される。
X2の種類のGLP-2アナログが本明細書では好ましい。そのAla2置換GLP-2アナログは、DPP-IV消化に対する相対耐性を得るために構造上種々のAla置換アミノ酸がX2に組込まれる。同様の種々のAla置換アミノ酸は、腸栄養活性のアナログによる保持が可能である。腸栄養活性を保持するDPP-IV耐性X2アナログを同定するために、DPP-IV耐性を示すX2アナログは下記実施例4に記載される腸栄養活性の分析でスクリーニングされる。
本発明の実施態様においては、Ala2置換としてはDPP-IVの基質であるアミノ酸の立体異性体、例えば、D-Ala、D-HPr、βAla、t-ブチル-Gly、L-ペニシラミン、α−アミノ酪酸、アミノイソ酪酸、ノルバリン、L-フェニル-Gly及びD-Pro、及び天然に存在するアミノ酸、例えば、Glu、Lys、Ile、Ser、Asp、Phe、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Thr、Tyr、Gly及びValが含まれる。本発明の個々の実施態様においては、次のAla2置換GLP-2アナログが提供される:[D-Ala2]rGLP-2(1-33),[Gly2]rGLP-2(1-33),[Val2]rGLP-2(1-33),[Gly2]hGLP-2(1-33),[tBuGly2]hGLP-2,[Asp2]hGLP-2(1-33),[Glu2]hGLP-2(1-33),[Phe2]hGLP-2(1-33),[His2]hGLP-2(1-33),[Ile2]hGLP-2(1-33),[Lys2]hGLP-2(1-33),[Met2]hGLP-2(1-33),[Asn2]hGLP-2(1-33),[Pro2]hGLP-2(1-33),[Gln2]hGLP-2(1-33),[Ser2]hGLP-2(1-33),[Thr2]hGLP-2(1-33),[Val2]hGLP-2(1-33),[Tyr2]hGLP-2(1-33),[D-Ala2]hGLP-2(1-33),[Pen2]hGLP-2(1-33),[bAla2]hGLP-2(1-33),[aAbu2]hGLP-2(1-33),[Nval2]hGLP-2(1-33),[PhGly2]hGLP-2(1-33),及び[Aib2]hGLP-2(1-33)。
X2 GLP-2アナログは、他の位置にアミノ酸置換が組込まれる。本発明の実施態様においては、そのアナログとしては、位置X1、X3、X4、X10、X19、X20及びX24の1以上にアミノ酸置換をもつものが含まれ、式1によれば次の置換基の少なくとも1種を含むものが含まれる。X1はTyrであり;X3はGluであり;X4はAlaであり;P1はGlu-X10-Asn-Thr-Ile(X10はMet以外である)又はP1はTyr-Ser-Lys-Tyrであり;X10は酸化に安定なMet置換アミノ酸であり;X19はThrであり;X20はLys又はAlaであり;P2はVal-Glnであり、P3は共有結合、Ile、又はIle-Thr又はIle-Thr-Asnである。
本発明の実施態様においては、GLP-2のX2アナログとしては、次の置換の1種が組込まれているものが含まれる。X1はAlaであり;X3はAlaであり;X4はAlaであり;X10は酸化に安定なMet置換アミノ酸、例えば、Val、Ile、Asn、Glx、Tyr、Phe、好ましくはLeu、Nle、Ala、Ser及びGlyであり;P2はIle-Alaである。本発明の個々の実施態様においては、次のGLP-2アナログが提供される:[D-Ala2Thr19]hGLP-2(1-33);[Gly2Thr19]hGLP-2(1-33);[Val2Thr19]hGLP-2(1-33);[Gly2Ala24]hGLP-2(1-33);[Gly2Ala10]hGLP-2(1-33);[Ala1Gly2]hGLP-2(1-33),[Gly2Ala3]hGLP-2(1-33)及び[Gly2Ala4]hGLP-2(1-33)。
関連した実施態様においては、X2アナログとしては、次の置換を含むものが含まれる:GLP-2[Gly2Ala8]hGLP-2;[Gly2Ala11]hGLP-2;[Gly2Ala21]hGLP-2;[Gly2Ala9]hGLP-2;[Gly2Ala16]hGLP-2;[Gly2Ala17]hGLP-2;[Gly2Ala28]hGLP-2;[Gly2Ala5]hGLP-2;[Gly2Ala31]hGLP-2;[Gly2Ala27]hGLP-2;[Gly2Ala12]hGLP-2;[Gly2Ala13hGLP-2;[Gly2Ala7]hGLP-2;[Gly2Ala6]hGLP-2;[Ser2,Gln3]hGLP-2(1-33);[Gly2,Ala25]hGLP-2(1-33);[Gly2,Ala26]hGLP-2(1-33);[Gly2,Ala14]hGLP-2(1-33);[Gly2,Ala23]hGLP-2(1-33);[Gly2,Ala30]hGLP-2(1-33);[Tyr1,Gly2]hGLP-2(1-33);[Gly2,Arg34]hGLP-2(1-34);及び[Gly2,Tyr34]hGLP-2(1-34)。
また、X2がAla、hPr又はProである場合、Asp3をAsp置換アミノ酸、Pro又はhPrであるX3で置き換えることによりDPP-IV耐性が与えられる。
本発明は、他の種類のGLP-2アナログとしてX10が酸化に安定なMet置換アミノ酸を表すアナログを提供する。位置10のMetが酸化される場合に哺乳動物GLP-2の腸栄養活性が低下し、Met10置換を酸化に非感受性の置換アミノ酸に代える場合には腸栄養活性が保持されることがわかった。従って、そのMet10置換GLP-2アナログは、合成、処理及び貯蔵中安定である。本発明の実施態様においては、そのGLP-2のX10アナログは、ヒトGLP-2アナログである。本発明の個々の実施態様においては、そのアナログは次のものが含まれる:
[Ser10]hGLP-2(1-33);[Nle10]hGLP-2(1-33);[Ala10]hGLP-2(1-33);[Leu10]rGLP-2(1-33);[Met(O)10]ラットGLP-2(1-33);及び[Nle10]ラットGLP-2(1-33)。
X10アナログは、X10以外の1以上の位置にアミノ酸置換が組込まれる。上で述べたアナログとしては、例えば、X2に置換が組込まれているもの、P1がTyr-Ser-Lys-Tyrであるもの、及び式1に示されるX置換基又はP置換基のいずれか1つが野生型残基又は配列以外であるものが含まれる。個々の実施態様においては、GLP-2アナログとしては[Gly2Ala10]hGLP-2(1-33)及び
[Tyr9Ser10Lys11Tyr12desIle13]hGLP-2(1-33)が含まれる。
本発明の他の実施態様においては、GLP-2アナログは導入される哺乳動物GLP-2ペプチドバックグラウンドの関係において単一のアミノ酸置換が組込まれている。そのアナログとしては、例えば、X1がTyrであり;X3がGluであり;X4がAlaであり;P1がTyr-Ser-Lys-Tyr-(desIle)であり;P2はIle-Ala又はVal-Glnであり;P3が共有結合、又はIle又はIle-Thrである哺乳動物GLP-2アナログ、特にヒトGLP-2アナログが含まれる。
本発明の他のGLP-2アナログは、アミノ酸の付加、保護基、又は置換アミノ酸によってN末端又はC末端の修飾が組込まれる。位置X1、X5、X7、X16〜X18、X25、X30又はX33に天然に存在する哺乳動物GLP-2に見られる以外の置換アミノ酸が組込まれている腸栄養性哺乳動物GLP-2アナログ、好ましくはヒトGLP-2アナログが提供される。任意により、本発明は、3〜8残基がC末端から欠除している腸栄養性アナログを提供する。その腸栄養性アナログの個々の実施態様としては、次のものが含まれる:Ac-ラットGLP-2(1-33);ラットGLP-2(1-30);ラットGLP-2(1-25);ラットGLP-2(1-33)アミド;[Arg-2,Arg-1]ラットGLP-2(2-33);[Pro1]hGLP-2(1-33);[Gln20]hGLP-2(1-33);[Asp1]hGLP-2(1-33);[Tyr34]hGLP-2(1-34),[desNH2Tyr1]hGLP-2(1-33),[Thr5]hGLP-2(1-33);[Ser16,Arg17,Arg18]hGLP-2(1-33);[Agm34]hGLP-2(1-34);[Arg30]hGLP-2(1-33);[Ala5,Ala7]hGLP-2(1-33);[Glu33]hGLP-2(1-33);[Phe25]hGLP-2(1-33);及び[Tyr25]hGLP-2(1-33)。
本GLP-2アナログは、ペプチド化学の標準法を用いて合成され、腸栄養活性が全て本明細書に示される手引きに従って評価される。合成については、選ばれたGLP-2アナログがペプチド産物の生成に周知の様々な手法によって調製される。L-アミノ酸のみが組込まれるGLP-2アナログは、組換えDNA技術の適用により工業的に製造される。そのために、所望のGLP-2をコードするDNAが発現ベクターに組込まれ、微生物ホスト、例えば、酵母、又は他の細胞ホストに形質転換され、GLP-2発現に適切な条件下で培養される。そのために様々な遺伝子発現系が適応されており、典型的には、選ばれたホストによって天然に用いられる発現調節要素から所望の遺伝子を発現させる。GLP-2がその活性のために転写後グリコシル化を必要としないために、その生産はE.coliのような細菌ホストで最も便利に達成される。その生産については、選ばれたGLP-2ペプチドをコードするDNAがE.coliのlac、trp又はPLE.coliの発現制御下に置かれることが有効である。それ自体GLP-2をコードするDNAの別の発現として、ホストはGLP-2が発現産物の単離と安定性を促進するキャリヤタンパク質に遊離可能に結合する融合タンパク質としてGLP-2ペプチドを発現するように適応される。
選ばれたGLP-2アナログの生産に普遍的に適用できる方法、及び非遺伝的にコードされたアミノ酸とN末端及びC末端誘導型が組込まれるGLP-2アナログを生産するために必ず用いられる方法では、自動ペプチド合成の十分に確立した手法が用いられ、その一般的な説明は、例えば、J.M.Stewart & J.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd Edit.,1984,Pierce Chemical Co.ロックフォード,イリノイ州;M.Bodanszky & A.Bodanszky,The Practice of Peptide Synthesis,1984,Springer-Verlag,ニューヨーク;Applied Biosystems 430A Users Manual,1987,ABI Inc.,フォスターシティ,カリフォルニア州に出ている。その手法では、例えば、上記Orskovら,1989に記載されたようにFmocか又はtBocプロトコールを用いて適切に保護されたアミノ酸を順次付加することにより樹脂結合C末端残基からGLP-2が成長する。
N及び/又はC保護基を組込むために、固相ペプチド合成法に慣用のプロトコールが適用される。C末端保護基を組込むために、例えば、所望のペプチドの合成は、典型的には、樹脂から切断することにより所望のC末端保護基を有するGLP-2ペプチドが得られるように化学的に修飾した支持樹脂を固相として用いて行われる。C末端が第一アミノ保護基をもつペプチドを得るために、例えば、ペプチド合成が完了したときにフッ化水素酸で処理すると所望のC末端アミノ化ペプチドを遊離するようにp-メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂を用いて合成が行われる。同様に、C末端のNメチルアミン保護基の組込みは、Nメチルアミノエチル誘導化DVB樹脂を用いて達成され、HF処理の際にNメチルアミノ化C末端をもつペプチドを遊離する。エステル化によるC末端の保護は、慣用の方法を用いて達成される。これは、側鎖保護ペプチドの樹脂からの遊離を可能にする樹脂/保護基の組合わせの使用を必要とし、引き続いて所望のアルコールとの反応を可能にし、エステル官能基を形成する。メトキシアルコキシベンジルアルコール又は等価リンカーで誘導化したDVB樹脂と組合わせたFMOC保護基がそのために用いられ、支持体からの切断はジクロロメタン中TFAにより行われる。次に、適切に活性化したカルボキシル官能基、例えば、DCCによるエステル化は、所望のアルコールの付加に続いて脱保護及びエステル化GLP-2ペプチドの単離により進められる。
N末端保護基の組込みは、合成したGLP-2ペプチドが樹脂に結合されつつ、例えば、適切な無水物とニトリルで処理することにより達成される。アセチル保護基がN末端に組込まれるために、例えば、樹脂結合ペプチドはアセトニトリル中20%酢酸無水物で処理される。次に、樹脂からN保護GLP-2アナログが切断され、脱保護され、引き続き単離される。
所望のGLP-2アナログが合成され、樹脂から切断されかつ完全に脱保護されると、次にペプチドは選ばれたアミノ酸配列を有する単一のオリゴペプチドの回収を行わせるために精製される。精製は、アルキル化シリカカラム、例えば、C4、C8又はC18シリカによる逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を含む標準方法のいずれかを用いて達成される。そのカラム分画は、一般的には、TFA又はTEAのような対合剤の少量(例えば、0.1%)を通常含む水性緩衝液中増加%の有機溶媒、例えば、アセトニトリルの直線勾配、例えば、10〜90%を通ることにより達成される。また、イオン交換HPLCを用いて電荷特性に基づいてペプチド化合物が分離される。カラム画分を集め、所望/要求された純度のペプチド含有画分が任意によりプールされる。本発明の実施態様においては、次にGLP-2アナログは切断の酸(例えば、TFA)を酢酸、塩酸、リン酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸等の薬学的に許容しうる酸と交換するために確立された方法で処理されて、ペプチドの薬学的に許容しうる酸付加塩を生成する。
患者に投与するためにGLP-2アナログ又はその塩は、薬学的に許容しうる形、例えば、0.22μフィルターで滅菌ろ過され実質的に発熱物質を含まない製剤として得ることが望ましい。望ましくは、処方されるべきGLP-2はHPLCにより単一又は個々のピークとして移動し、分析の際に均一で基準のアミノ酸組成と配列を示し、医薬品の品質を調節する種々の国際基準で定められた基準を満たすものである。
治療的使用としては、選ばれたGLP-2アナログは薬学的に許容しうる担体やペプチドを選ばれた投与経路で送達するために適切な担体と処方される。適切な薬学的に許容しうる担体は、希釈剤、賦形剤等のペプチド系薬剤と慣用的に用いられるものである。一般の薬剤処方に関する手引きとして“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,17th Ed.,Mack Publishing Co.,イーストン,ペンシルバニア州,1985に言及されている。本発明の実施態様においては、本化合物は、例えば、完全非経口栄養療法による患者の液体栄養補充として用いられる場合の注入による投与、又は注射による、例えば、皮下、筋肉内又は静脈内投与に処方され、従って、滅菌した発熱物質を含まない形の、任意により生理的に許容しうるpH、例えば、微酸性又は生理的pHに緩衝化した水溶液として用いられる。従って、蒸留水のような賦形剤、更に望ましくは食塩水、リン酸塩緩衝食塩水又は5%デキストロース溶液中の本化合物が投与される。所望される場合には、酢酸のような溶解増強剤を混合することによりGLP-2アナログの水溶解性が高められる。
注射用剤として使用するための水性担体又は賦形剤は、所望の作用部位に徐々に放出するために注射部位に又はその近くにGLP-2アナログをデポーするように働くゼラチン量が補われる。デポー効果を得るのに有効なゼラチン濃度は、10〜20%の範囲にあることが予想される。ヒアルロン酸のような代替的ゲル化剤もデポー剤として有用である。
本発明のGLP-2アナログは、GLP-2アナログの伸長性及び持続性投与のための徐放性移植装置として処方される。その徐放性製剤の例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン等の生体適合性ポリマーの複合物が挙げられる。薬剤送達賦形剤中の分解性ポリマーの構造、選定及び使用は、A.Dombら,Polymers for Advanced Technologies 3:279-292(1992)を含む文献に総説されている。医薬製剤中の選定及び使用ポリマーの手引きは、更に、“Drugs and the Pharmaceutical Sciences”,M.Dekker,ニューヨーク,1990のM.Chasin & R.Langer(eds.),“Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems”,Vol.45による本文に見られる。GLP-2アナログの徐放性を与えるためにリポソームが用いられる。問題の薬剤のリポソーム製剤をどのように使用及び製造するかに関する詳細は、特に、米国特許第4,944,948号;同第5,008,050号;同第4,921,706号;同第4,927,637号;同第4,452,747号;同第4,016,100号;同第4,311,712号;同第4,370,349号;同第4,372,949号;同第4,529,561号;同第5,009,956号;同第4,725,442号;同第4,737,323号;同第4,920,016号に見られる。徐放性製剤は、局部的に高濃度のGLP-2アナログを与えることが望ましい場合に特に興味深い。
GLP-2アナログは、ペプチドの腸栄養量を単位投与量か又は多回投与量で含有する滅菌充填バイアル又はアンプルの形で用いられる。バイアル又はアンプルは、用時調製剤としてGLP-2アナログと所望の担体を含むことができる。また、バイアル又はアンプルは、リン酸塩緩衝食塩水のような適切な担体中で再構成するのに適した凍結乾燥形のような形でGLP-2ペプチドを含むことができる。
別の注射用製剤として、GLP-2アナログは他の経路による投与用に処方される。錠剤、カプセル剤等の経口剤形は、標準医薬実施に従って処方される。本発明によれば、GLP-2アナログは小腸組織の増殖から恩恵を受ける患者に投与される。本明細書に例示された結果によって明らかなようにその組織に対するGLP-2アナログの効果は劇的であり、潰瘍及び炎症疾患を含む小腸管粘膜の異常が特徴の疾患又は症状;吸収不良症候群を含む先天性又は後天性消化吸収疾患;及び特に伸長性非経口栄養法を行う患者又は手術の結果として小腸の切除を行った患者及びショートガット症候群やダグラス窩症候群に罹っている患者において小腸粘膜機能喪失に起因する疾患及び症状に罹っている患者に有益であることは明らかである。GLP-2アナログによる治療は、病態を正常の状態に戻し、消失するようにも及び/又は腸管粘膜機能低下を随伴した患者の栄養状態を改善するように投与される。例えば、GLP-2アナログは、炎症性腸症状をもつ患者にその症状に起因する腸不快感や下痢を軽減するのに十分な量で投与される。更に、GLP-2アナログは、吸収不良障害をもつ患者に栄養吸収を増進させてその患者の栄養状態を改善するために投与される。
一般に、小腸質量の増加及びその結果の小腸粘膜機能亢進から恩恵を受ける患者は、GLP-2アナログによる治療の候補者である。GLP-2アナログで治療される具体的な症状としては、小麦からのαグリアジンに対する毒性反応から生じ、小腸の絨毛の大量の消失が特徴であるセリアックスプルー;感染症から生じ、絨毛の部分偏平化が特徴である熱帯性スプルー;コモンバリアブル免疫不全症又は低ガンマグロブリン血症をもつ患者に共通して見出され、絨毛の高さの著しい減少が特徴である低ガンマグロブリン血症性スプルーの様々な形が含まれる。GLP-2アナログ治療の治療的効能は、絨毛形態を調べる腸の生検、栄養吸収の生化学評価、患者の体重増加分、又はその症状に関連がある徴候の改善によってモニターされる。GLP-2アナログで治療される他の症状、又はGLP-2アナログが予防的に有効な他の症状としては、放射線腸炎、感染性腸炎又は感染後の腸炎、限局性腸炎(クローン病)、毒性物質又は他の化学療法剤による小腸損傷、及びショートバウエル症候群をもつ患者が含まれる。
患者の治療に最も適切な用量及び用法は、治療されるべき疾患又は病態、及び患者の体重及び他のパラメーターで異なることは当然のことである。下記に示される結果から、約100μg/kg(又はそれ以下)に等価なGLP-2ペプチドの用量が1日2回10日間投与されると小腸質量の極めて顕著な増加を生じることが証明される。非常に少量、例えば、μg/kgの用量、及び短い又は長い治療期間又は頻度が治療的に有効な結果、即ち、特に小腸質量の統計的に著しい増加を生じることが予想される。また、治療的用法は、初回の治療の停止後に生じる組織退行を逆転させるのに適した維持用量の投与が含まれることが予想される。ヒト使用に最も適した投薬サイズ及び用量用法は、本明細書に示される結果によって左右され、適切に設計された臨床試験で確認される。
有効な投薬及び治療プロトコールは、実験動物で少量から始め、次に効果をモニターしつつ投薬を増やし、投薬法も系統的に変えることにより求められる。ある被検者に最適な投薬を求める場合には多くの要因が医師によって考慮される。その中の主な要因は血漿中を通常循環しているGLP-2量であり、静止状態で151ピコモル/ml程度であり、健常な成人ヒトの栄養摂取後に225ピコモル/mlに上昇する。Orskow,C.& Helst,J.J.,1987,Scand.J.Clin.Lav.Invest.47:165。他の要因としては、更に、患者のサイズ、患者の年齢、患者の全身状態、患者の他の薬剤の存在、GLP-2アナログの生体内活性等が含まれる。試験的投薬は、動物実験の結果及び臨床文献を考慮した後に選定される。試験管内GLP-2結合競合分析から得られる結合定数やKiのような情報も用量、及び生体内のGLP-2アナログの計算半減期を算出するのに用いられることは当業者に理解される。
GLP-2ペプチドのヒト投与量は、典型的には約10μg/kg体重/日〜約10mg/kg/日、好ましくは約50μg/kg/日〜約5mg/kg/日、最も好ましくは約100μg/kg/日〜1mg/kg/日である。本発明のGLP-2アナログがGLP-2より10倍までから100倍までも効力があるので、そのGLP-2アナログの投与量は少量、例えば、典型的には約100ng/kg体重/日〜約1mg/kg/日、好ましくは約1〜約500μg/kg/日、更に好ましくは約1〜100μg/kg/日であってもよい。
同様に、本発明の腸栄養性GLP-2アナログは、リブストック及びペットにおける腸の増殖促進及び炎症疾患の治療の双方に有効である。
実施例1−GLP-2アナログの合成
300ミリリットル(ml)容器中で0.5ミリ当量(meq)/gを置換した6グラム(g)のクロロメチル(メリフィールド)樹脂(C末端遊離酸ペプチド用)を用いた3ミリモル(mmol)スケールによる固相ペプチド合成(SPPS)を手動で行う。アミノ酸をt-ブチルオキシカルボニル(tBoc)基を用いてアミノ末端で保護する。3官能性アミノ酸の側鎖をベンジル(Bz、セリンとトレオニン用)基、ベンジルオキシメチル(BOM、ヒスチジン用)基、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(2-BrZ、チロシン用)基、2-クロロベンジルオキシカルボニル(2-CIZ、リシン用)基、シクロヘキシル(cHex、アスパラギン酸とグルタミン酸用)基及びトシル(Tos、アルギニン用)基で保護する。最初のアミノ酸をフッ化カリウム(KF)の存在下に保護アミノ酸のエステル化によってクロロメチル樹脂にカップリンする。0.5meq/gを置換した6gの樹脂を用いた3mmolスケールによる4-メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂でC末端アミドペプチドを合成する。最初のアミノ酸をペプチド延長が記載された手順に従ってMBHA樹脂にカップリングする。
ジクロロメタン(CH2Cl2)中50%トリフルオロ酢酸(TFA)を用いてアミノ基の脱保護を行い、CH2Cl2中10%トリエチルアミン(Et3N)を用いて2回洗浄して中和する。CH2Cl2/ジメチルホルムアミド(DMF)中N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBt)活性化を用いてペプチド延長を行う。CH2Cl2中20%Ac2Oを用いた各延長工程後に成長しているペプチド鎖をキャッピングする。各延長、キャッピング及びイソプロパノール(iPrOH)とメタノール(MeOH)による脱保護工程後にペプチド−樹脂を洗浄する。洗浄を1回繰り返す。記載した脱保護及び中和後にCH2Cl2中20%Ac2Oを用いて末端アミノ基をアセチル化することによりN末端アセチルペプチドを調製する。捕捉剤としてジメチルスルフィド(DMS)とp-クレゾールを含むフッ化水素(HF)を用いた低−高法により樹脂結合産物を普通に切断する。
アセトニトリルで修飾した水中0.1%TFAによる勾配溶離を用いてバイダックC18,15-20μm広い孔,2インチ×12インチ,逆相シリカカラムを用いた分取用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により粗ペプチドを精製する。溶離を220ナノメートル(nm)でモニターする。集めた各画分について、アセトニトリルで修飾した水中0.1%TFAを用いた勾配溶離によりバイダックC18,5μm,4.6×254ミリメートル(mm),逆相シリカカラムを用いた分析用HPLCで純度を分析し、215nmでモニターする。純度95%より大きい画分を合わせ、凍結乾燥する。必要な場合には溶解を助けるアセトニトリルを添加した水中で凍結乾燥した粉末を溶解することによりペプチドの酢酸塩をTFA塩から調製する。その溶液をプロトン化Bio-Rex-70カチオン交換樹脂に通過させる。その樹脂を5床用量の水で洗浄し、樹脂結合ペプチドを水中50%酢酸で溶離する。溶離剤を水で希釈し、凍結乾燥する。
最終凍結乾燥末についてバイダックC18,5μm,4.6×254mm逆相シリカカラムを用いた2つの分析用逆相HPLC法で純度を分析する。用いた2つの溶媒系は、アセトニトリルで修飾したトリメチルリン酸塩でpH2.25に調整した水の勾配、及びアセトニトリルで修飾した水中0.1%TFAの勾配である。カラム溶離剤を215nmでモニターする。各産物の同一性をアミノ酸分析とエレクトロスコピー−質量分光法によって確認する。
次に、GLP-2アナログを下記に実施例2のように処方する。各GLP-2アナログは、特にことわらない限り室温で水に完全に可溶である。
実施例2−GLP-2アナログ処方
GLP-2アナログをリン酸塩緩衝食塩水中か又はゼラチン含有デポー剤として注射用に処方した。PBS処方GLP-2アナログ製剤については、まず80gNaCl(BDH ACS 783)、2gKCl(BDH ACS 645)、11.5gNa2HPO4(Anachemia AC-8460)及び2gKH2PO4(Malinckrodt AR7100)を用いて10×PBS保存溶液を調製し、滅菌蒸留水で全量1リットルにした。保存溶液を滅菌蒸留水で10:1に希釈することにより最終ワーキング溶液を得、必要な場合には10N NaOHの十分量を用いてpH7.3-7.4に調整した。次に、ワーキング溶液を30分間オートクレーブにかけた。PBS最終ワーキング溶液中の濃度は、137mM NaCl、2.7mM KCl,4.3mM Na2HPO4.7H2O及び1.4mM KH2PO4であった。
粉末ペプチドとしてのGLP-2アナログを、所望のペプチド濃度をもつ製剤をつくるために必要とされるPBSワーキング溶液に加える。例えば、130mg/lのGLP-2アナログPBS溶液をつくるために、2.5mgのGLP-2アナログを40mlのPBSに溶解して130μg/mlを得、0.5mlを1日2回注射する。
ゼラチン系GLP-2アナログ製剤をつくるために、まず12gのゼラチン(Sigma,G-8150 Lot#54HO7241 A型ブタ皮膚[9000-70-8]〜300ブルーム)を100mlの蒸留水に溶解することによりゼラチン溶液を調製した。次に、ゼラチン溶液をオートクレーブにかけ、37℃に加温し、上記のリン酸緩衝食塩水に予め溶解したGLP-2ペプチドを加えて所望の個々のペプチド濃度を得た。例えば、130mg/lの濃度のGLP-2のゼラチン系PBS溶液をつくるために、5.2mgのGLP-2で調製した10mlのPBS溶液を最初に記載した30mlの20%ゼラチンワーキング溶液で希釈した。その溶液をピペットで弱く混合して、PBS/15%ゼラチン中130mg/l最終GLP-2溶液を得た。
実施例3−ジペプチジルペプチダーゼIVに対する耐性の分析
次のペプチドについてジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)に対する耐性を試験した:対照ペプチド,rGLP-2;[D-Ala2]rGLP-2アナログ;及び[Gly2]rGLP-2アナログ。分析を行うために、50%グリセロール,10mMトリス,pH7.8,EDTA及び0.02%NaN3中0.125ミリ単位(mU)の酵素を含有する2.5マイクロリットル(μl)のヒト胎盤DPP-IV(Calbiochem,カリフォルニア州ラホーヤ,cat.# 317624)溶液をpH7.4のPBS中0.2mg/mlの濃度で調製した50μlの試験ペプチド溶液に加えた。混合液を循環水浴中37℃で24時間インキュベートした。PBS中4mg/mlの濃度で調製した50μlのジプロチンA溶液を加えることによりインキュベーション混合液を急冷した。各ペプチドを2回ずつ試験した。
各試料を次のように逆相(RP)HPLCで分析した。90μlの急冷インキュベーション混合液をライニンダイナマックス300Å,C18,5μ,4.6×250ミリメートルカラムに注入した。試料を直線勾配と流速1ml/分を用いて0.1%アセトニトリルで修飾した水中0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で溶離した。試料成分を214ナノメートル(nm)で検出した。切断の程度を、残存している非消化親ペプチドと比べて切断産物に対応するピークの相対積分により測定した。rGLP-2(3-33)である対照ペプチドrGLP-2(1-33)の切断産物は、合成ペプチド標準,rGLP-2(3-33)のその成分の保持時間の比較、及びHPLCと質量分光法による分析からの生成物の収集により残基Ala2とAsp3間の切断から生じたことが確認された。
24時間インキュベートした後、22%の対照ペプチド,rGLP-2がDPP-IVで切断された。24時間後の切断産物についてペプチド[Ala2]rGLP-2と[Gly2]rGLP-2は検出されなかった。
実施例4−GLP-2アナログ評価
受容個体は、チャールス・リバー・ラボラトリー(カナダ国オンタリオ州)から入手したCD1マウスとした。CD1マウスは、特にことわらない限り注入時に年齢を合わせた雌(n=3〜4/グループ),生後6週とした。各実験の開始前にマウスを最低24時間実験設備に慣らした。マウスは耳のパンチで確認した。マウスは、実験中食餌又は活動を制限しなかった。明/暗サイクルは6pm〜6amで12時間とした。対照は、年齢及び性別を合わせた(n=3〜4)マウスとした。マウスに全量0.5ccのPBS中2.5μgのペプチドを1日2回(b.i.d.)皮下注射し、実験設備内で毎日モニターした。マウスを注射10〜14日後に犠牲にし、犠牲にする前の少なくとも20時間断食した。
マウスをCO2で麻酔し、心臓穿刺で瀉血させた。血液を75μlのTED(トラシゾル;EDTA(5000KIU/ml:1.2mg/ml;ジプロチンA)中に集め、その血液を14k×gで5分間遠心し、血漿を分析前に−70℃で貯蔵した。小腸を幽門から盲腸まで腹腔から切除し、洗浄し、重量を計り、測定した。比較のために、各マウスからの切片を同じ解剖位置から得た。長さが各々1.5〜2.0cmの断片を空腸基部、空腸末端及び回腸末端を表す組織形態学の幽門の8±2cm、18±2cm、32±2cmから得た。各小腸断片を組織ブロックの腸間と反対の縁で縦に切開し、10%ホルマリン(vol/vol)に一晩置き、次に70%ETOHに移した。
賦形剤でのみ処理したマウスに相対するアナログ処理マウスの腸重量の平均変化を賦形剤のみで処理したマウスの平均重量で割り、この数字に100をかけることにより小腸重量の%変化を算出した。
腸栄養活性評価の結果を表1に示す。
上記の表から、哺乳動物GLP-2分子のアナログが腸栄養活性を増大したことが容易にわかる。更に、行われた置換によって種々のレベルの腸栄養活性が現れることが明らかである。例えば、[Gly2]rGLP-2は天然に存在する分子に比べて腸栄養活性が極めて増大し、[Gly2]hGLP-2はrGLP-2と比べて腸栄養活性がかなり増大し、[Leu10]rGLP-2は腸栄養活性の増大が50%未満である。
野生型GLP-2で処理した動物と比べてDPP-IV耐性GLP-2アナログで処理した実験動物に見られた腸重量の増加がDPP-IV耐性の分子に一部よるものであることを確認するために次の実験を行った。本実験は、DPP-IV欠乏ラット株,フィッシャー334 DPP-IV-ラットの有効性を利用した。フィッシャーDPP-IV欠乏ラットにおける小腸重量に対するrGLP-2注入の影響を正常なスプラグ−ダウレイラットと比べた。
次の実験においては、スプラグ−ダウレイラットにゼラチン製剤中のrGLP-2を1日2回皮下注射した。フィッシャーラットにPBS中GLP-2ペプチド(rGLP-2とrGLP-2アナログの双方)を1日2回皮下注射した。
rGLP-2,2.5μg b.i.d.又は25μg b.i.d.で処理した正常なスプラグ−ダウレイラットは、賦形剤のみを投与した対照ラットに比べて小腸重量の%変化を示さなかった。しかしながら、フィッシャー334 DPP-IV-ラット(DPP-IV欠乏ラット)は賦形剤のみで処理したラットに比べて20μg b.i.d.rGLP-2で処理した場合に小腸重量の%変化が約40〜50%の増加を示した。更に、20μg[Gly2]rGLP-2で処理したDPP-IV欠乏ラットは、ベクターのみ投与したラットと比べて小腸重量の%変化が50〜60%の増加を示した。更に、フィッシャー334野生型ラットは、20μg b.i.d.の[Gly2]rGLP-2で処理した場合に賦形剤のみを投与した対照ラットより小腸重量が75〜85%の増加を示した。
上記の結果から、GLP-2が正常ラットにおいてDPP-IV様酵素による2つのN末端残基の切断によって生体内で不活性化されることが強く示される。更に、これらの結果から、DPP-IVによる切断に対して抵抗するように修飾されたGLP-2アナログがおそらくGLP-2半減期の生体内増加の結果として正常ラットの腸重量のかなりの増加を生じたことが証明された。
DPP-IV切断部位が既知の全ての天然に存在するGLP-2に保存されるので、哺乳動物におけるDPP-IV切断は重要な、おそらく主要な機序であり、よってGLP-2が生体内で不活性化されると考えられる。重要なことに、DPP-IV切断に対して耐性のGLP-2アナログは、天然型に比べて腸栄養活性を増大した。
実施例5
種々のアナログの小腸誘導を評価する実験を、上記実施例4のように繰り返した。これらの実験においては、マウスにおける各アナログの小腸誘導活性を天然ラットGLP-2(1-33)(100%の活性として表される)と相対して算出した。DPP-IV切断に対するアナログの耐性を上記実施例3に記載されるように行った。結果を下記の表2に示す。
等価物
上記の説明が十分であるので当業者は本発明を実施することができる。実際に、分子生物学、タンパク質化学、医薬の分野又は関連した分野の当業者に明らかである本発明を実施するための上記手段の様々な変更は下記の請求の範囲に包含されるものである。
Claims (10)
- 下記式1を有する、腸栄養活性を示すことを特徴とするGLP-2アナログ。
R1-(Y1)m-X1-X2-X3-X4-Ser5-Phe6-Ser7-Asp8-(P1)-Leu14-Asp15-Asn16-
Leu17-Ala18-X19-X20-Asp21-Phe22-(P2)-Trp25-Leu26-Ile27-Gln28-
Thr29-Lys30-(P3)-(Y2)n-R2
(式中、X1はHis又はTyrであり;
X2はAla、D-Ala、βAla、t-ブチル-Gly、L-ペニシラミン、α−アミノ酪酸、アミノイソ酪酸、ノルバリン、L-フェニル-Gly、D-Pro、Glu、Lys、Ile、Ser、Asp、Phe、Met、Asn、Pro、Gln、Thr、Tyr、Gly又はValであり;
X3はPro、Asp又はGluであり;
X4はGly又はAlaであり;
P1はGlu-X10-Asn-Thr-Ile又はTyr-Ser-Lys-Tyrであり;
X10はMet、Val、Ile、Leu、Nle、Ala、Ser又はGlyであり、但しX10がAlaのとき該GLP-2アナログは[Gly 2 ,Ala 10 ]hGLP-2(1-33)であり;
X19はAla又はThrであり;
X20はArg、Lys又はAlaであり;
P2はIle-Asn、Ile-Ala又はVal-Glnであり;
P3は共有結合、又はIle、Ile-Thr、Ile-Thr-Asn又はIle-Thr-Aspであり;
R1はH又はN末端保護基であり;
R2はOH又はC末端保護基であり;
Y1はArg、Lys及びHisからなる群より選ばれた1又は2個の塩基性アミノ酸であり;
Y2はArg、Lys及びHisからなる群より選ばれた1又は2個の塩基性アミノ酸であり;
m及びnは独立して0又は1であり;
次の条件(a)〜(e)の少なくとも1つが満たされる:
(a)X2がD-Ala、βAla、t-ブチル-Gly、L-ペニシラミン、α−アミノ酪酸、アミノイソ酪酸、ノルバリン、L-フェニル-Gly、D-Pro、Glu、Lys、Ile、Ser、Asp、Phe、Met、Asn、Pro、Gln、Thr、Tyr、Gly又はValである;
(b)X3がPro又はGluである;
(c)P1がTyr-Ser-Lys-Tyrである;
(d)X10がVal、Ile、Leu、Nle、Ala、Ser又はGlyであり、但しX10がAlaのとき該GLP-2アナログは[Gly 2 ,Ala 10 ]hGLP-2(1-33)である;
(e)X20がLys又はAlaである。) - X2がPro、D-Ala、Gly、Val、Glu、Lys、Arg、Leu及びIleからなる群より選ばれる、請求項1記載のGLP-2アナログ。
- 次の位置:X1、X3、X4、X10、X19、X20及びP2の少なくとも1つにアミノ酸置換が組み込まれている、請求項2記載のGLP-2アナログ。
- 少なくとも条件(a)及び/又は(b)が満たされている、請求項1記載のGLP-2アナログ。
- ペプチド[Gly2]hGLP-2。
- 下記からなる群から選ばれる請求項1記載のGLP-2アナログ:
[D-Ala2Thr19]hGLP-2(1-33);
[Gly2Thr19]hGLP-2(1-33);
[Gly2Ala4]hGLP-2(1-33);
[Gly2Ala10]hGLP-2(1-33);
[Val2Thr19]hGLP-2(1-33);
[Gly2Ala20]hGLP-2(1-33);
[Gly2Ala24]hGLP-2(1-33);
[Ser10]hGLP-2(1-33);
[Nle10]hGLP-2(1-33);
[Leu10]rGLP-2(1-33);
[Nle10]rGLP-2(1-33);
[Tyr9Ser10Lys11Tyr12(desIle13)]hGLP-2(1-33);
[Pro3]hGLP-2(1-33);
[Thr19Lys20]hGLP-2(1-33);
[Tyr1Gly2]hGLP-2(1-33);
[Gly2Arg34]hGLP-2(1-34);
[tBuGly2]hGLP-2;
[Asp2]hGLP-2(1-33);
[Glu2]hGLP-2(1-33);
[Phe2]hGLP-2(1-33);
[lle2]hGLP-2(1-33);
[Lys2]hGLP-2(1-33);
[Met2]hGLP-2(1-33)
[Asn2]hGLP-2(1-33)
[Pro2]hGLP-2(1-33);
[Gln2]hGLP-2(1-33);
[Ser2]hGLP-2(1-33);
[Thr2]hGLP-2(1-33);
[Val2]hGLP-2(1-33);
[Tyr2]hGLP-2(1-33);
[D-Ala2]hGLP-2(1-33);
[Pen2]hGLP-2(1-33);
[bAla2]hGLP-2(1-33);
[aAbu2]hGLP-2(1-33);
[Nval2]hGLP-2(1-33);
[PhGly2]hGLP-2(1-33);
[Aib2]hGLP-2(1-33);
Ac-rGLP-2(1-33);
rGLP-2(1-33)アミド;及び
[Arg-2,Arg-1]rGLP-2(2-1-33)。 - 請求項1〜6のいずれか1項記載のGLP-2アナログの治療的に有効な量及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
- 患者又は動物において小腸組織の増殖を促進させる薬剤を製造するための請求項1〜6のいずれか1項記載のGLP-2アナログの使用。
- 患者又は動物において胃腸病を治療する薬剤を製造するための請求項1〜6のいずれか1項に記載のGLP-2アナログの使用。
- 下記の段階を含む、腸栄養性GLP-2アナログを同定する方法。
a)請求項1記載のGLP-2アナログを得る段階;
b)rGLP-2を使用した場合に腸栄養作用を誘起することができる用法を用いて前記アナログで哺乳動物(ヒトを除く)を処理する段階;及び
c)擬似処理対照哺乳動物(ヒトを除く)に相対する小腸重量に対する前記アナログの影響を求め、よって前記腸栄養性GLP-2アナログが前記重量の増加を誘起するアナログとして同定される段階。
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