JPWO2011052523A1 - 抗原性glp−1アナログの糖鎖付加体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、抗原性が高いGLP−1アナログを改良し、その血糖値抑制活性を低下させることなく、抗原性を低下させたGLP−1アナログを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、抗原性GLP−1アナログの少なくとも1個のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換され、GLP−1活性を有する、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、GLP−1アナログにのうち抗原性の高いものに糖鎖を付加した抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体に関する。
GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1:glucagon−like peptide−1)は、糖のホメオスタシスの制御に深く関与する腸起源のペプチドである。GLP−1は、グルカゴン前駆体のプレプログルカゴンの組織特異的な翻訳後プロセシングにより腸のL細胞において合成され、食事に反応して循環中へ放出される。このペプチドは、腸島軸(enteroinsular axis)の主要メディエーターであり、特定の受容体に結合することによって作用する。
GLP−1は、主として膵臓に作用し、β細胞によるインスリン放出をグルコース濃度依存的に促進することが知られている。また、グルカゴンの分泌を抑制し、胃の空洞化を遅らせ、末梢のグルコース処理を高める可能性が示唆されている。
GLP−1の投与によりインスリン非依存型糖尿病患者において食後のグルコースレベルが正常化され得ることから、GLP−1の治療薬としての可能性が示唆されている。また、GLP−1はインスリン依存型糖尿病患者において血糖コントロールを改善する作用も有している。さらに、GLP−1のインスリン放出促進作用は血漿グルコース濃度に依存しているため、低い血漿グルコース濃度ではGLP−1介在性のインスリン放出が低く、重篤な低血糖症を招かないメリットがある。従って、必要に応じ、血中GLP−1量をコントロールすることによって、安全性の高い糖尿病治療が可能になると考えられる。しかしながら、GLP−1の血中の半減期は、2〜6分と極めて短く、その治療剤としての可能性が限定されるという問題がある。
このような問題を解決する手段として、GLP−1を改変する試みがなされている。例えば、特許文献1には、少なくとも1個のポリエチレングリコール(PEG)分子に共役的に結合したGLP−1化合物を含むペグ化GLP−1化合物が開示されている。当該ペグ化GLP−1化合物では、各PEGがGLP−1化合物に、Cys又はLysアミノ酸にて、もしくはカルボキシ末端アミノ酸にて結合している。当該ペグ化GLP−1化合物は、少なくとも1時間の排出半減期を有する。
特許文献1によれば、非ペグ化(unPEGylated)ペプチドと比べて、半減期が延長され、クリアランスが遅延化された生理活性ペプチドが得られる。また、これらのペグ化(PEGylated)GLP−1化合物及び組成物は、糖尿病、肥満、過敏性腸症候群、ならびに血糖を低下させること、胃及び/又は腸運動性を抑制すること、及び、胃及び/又は腸内容排出を抑制すること、又は食物摂取を抑制すること等、健康状態の治療に有用であることが開示されている(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、PEGは、生体内で代謝されない化合物であるため、ペグ化GLP−1化合物の投与を続けると、PEGが生体内に蓄積され、生体に薬害を与える危険性がある(非特許文献1)。
また、半減期を延長するために、GLP−1やその改変体に糖鎖を付加する方法も提案されている(例えば、特許文献2及び3)。一方、特許文献2には、分子量200KDa程度のヒアルロン酸修飾物をGLP−1アナログに結合させる方法が記載されている。しかしながら、このように巨大なヒアルロン酸分子を大量に製造する場合、長さや構造を均一にするのは困難であり、実際には各ヒアルロン酸の構造や長さにはかなりばらつきが生じているものと考えられる。医薬品として用いる場合には、長さや構造が均一な糖鎖付加ペプチドが必要とされる。一方、特許文献3には、GLP−1の26位、34位、及び/又は37位に糖鎖付加アミノ酸を導入する方法等が記載されているが、糖鎖の種類や糖鎖を付加する位置が、必ずしも最適化されているとはいえない。
また、本発明者らも糖鎖の種類や付加位置を変更し、血中半減期が長く、活性の高い糖鎖付加GLP−1を開発している(例えば、特許文献4)。
また、本発明者らも糖鎖の種類や付加位置を変更し、血中半減期が長く、活性の高い糖鎖付加GLP−1を開発している(例えば、特許文献4)。
ところで、GLP−1に類似した構造で、同様の活性を有し、かつ、血中安定性の高い化合物として、トカゲ(Heloderma)の唾液から発見されたエキセンディン−4(exendin−4)(非特許文献2)が米国で上市されている。しかしながら、エキセンディン−4は非ヒト型配列であるため、他のGLP−1アナログより抗原性が高く、長期投与による中和抗体の出現やそれに伴う薬効の減弱が懸念される(非特許文献3〜5)。
また、GLP−1に脂肪酸を結合させたリラグルチドもGLP−1アナログの一つとして開発されている(例えば非特許文献6乃至8を参照)。脂肪酸を結合させると、アルブミンとの親和性が高められる。アルブミンと結合したリラグルチドは、血中に徐々に放出されるので、半減期が約10時間となり長時間の作用が期待される。1日1回の皮下注射で足りるので利便性も高い。また、併用のみでなく単独療法も可能とされている。
しかしながら、天然型と異なる構造を有するので、エキセンディン−4と同様に抗原性が懸念されている。特に、リラグルチドは、投与された量の約99%がアルブミンと結合するために投与量が多くなるので、その点でも化合物の抗原性を極力低下させておく必要がある。
特表2006−520818号公報
再表2006−095775号公報
国際公開第2007/063907号パンフレット
国際公開第2008/155900号パンフレット
Bendele,A.et.al.:Toxicological Science,1998,42:152−157
Journal of Biological Chemistry,1992,267:7402−7405
Schnabel,C.A.et al.:Vascular Health and Risk Management,2006,2:69−77
Amori,R.E.et al.:The Journal of the American Medical Association,2007,298:194−206
Wajchenberg,B.L.:Endocrine Reviews,2007,28:187−218
Marre,M.et al.:Diabetic Medicine,2009,26(3):268−278
Deacon,C.F.:Vascular Health and Risk Management,2009,5:199−211
Larsen,P.J.et al.:Diabetes,2001,50:2530−2539
しかしながら、天然型と異なる構造を有するので、エキセンディン−4と同様に抗原性が懸念されている。特に、リラグルチドは、投与された量の約99%がアルブミンと結合するために投与量が多くなるので、その点でも化合物の抗原性を極力低下させておく必要がある。
本発明は、抗原性が高いGLP−1アナログを改良し、その血糖値抑制活性を低下させることなく、抗原性を低下させたGLP−1アナログを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、エキセンディン−4等の抗原性を有するGLP−1アナログに糖鎖を付加することによって、血糖値抑制活性を低下させることなく、抗原性を低下させることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕抗原性GLP−1アナログの少なくとも1個のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換され、GLP−1活性を有する、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔2〕上記〔1〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸が、糖鎖付加Asn又は糖鎖付加Cysである、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸において、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が4個以上の糖からなる糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が2本鎖複合型糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔6〕上記〔5〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が、ジシアロ糖鎖、モノシアロ糖鎖、アシアロ糖鎖、ジグルクナック糖鎖、及びジマンノース糖鎖からなる群から選択される糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔7〕上記〔5〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が、
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、
を示す。Acは、アセチル基を示す。]
で表される糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記抗原性GLP−1アナログがエキセンディン−4である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔9〕上記〔8〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖付加アミノ酸で置換された部位が、配列番号:2に記載のアミノ酸配列における、30位である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔10〕上記〔8〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、
配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、30位のGlyが糖鎖付加Cysに置換されており、
前記糖鎖が、下記式で示されるジシアロ糖鎖
であり、
前記糖鎖付加Cysにおいて、前記糖鎖と前記Cysとがリンカーを介して結合している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔11〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記抗原性GLP−1アナログがリラグルチドである、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔12〕上記〔11〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸で置換された部位が、配列番号:3に記載のアミノ酸配列における30位である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔13〕上記〔11〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、
配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、30位のArgが糖鎖付加Cysに置換されており、
前記糖鎖が、下記式で表わされるジシアロ糖鎖、又は、
下記式で表わされるアシアロ糖鎖
であり、
前記糖鎖付加Cysにおいて、前記糖鎖と前記Cysとがリンカーを介して結合している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔14〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が実質的に均一である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔15〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が99%以上均一である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔16〕上記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログに比較して抗原性が2分の1以下である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔17〕上記〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログより抗原性が低下し、天然型GLP−1よりGLP−1活性が上昇している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔18〕上記〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体を有効成分として含む医薬組成物;
〔19〕上記〔18〕に記載の医薬組成物であって、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防のための医薬組成物;
〔20〕上記〔19〕に記載の医薬組成物であって、前記GLP−1に関連する疾患が糖尿病である医薬組成物;
〔21〕上記〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体の有効量を投与することを特徴とする、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防方法、に関する。
即ち、本発明は、
〔1〕抗原性GLP−1アナログの少なくとも1個のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換され、GLP−1活性を有する、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔2〕上記〔1〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸が、糖鎖付加Asn又は糖鎖付加Cysである、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸において、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が4個以上の糖からなる糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が2本鎖複合型糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔6〕上記〔5〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が、ジシアロ糖鎖、モノシアロ糖鎖、アシアロ糖鎖、ジグルクナック糖鎖、及びジマンノース糖鎖からなる群から選択される糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔7〕上記〔5〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が、
で表される糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記抗原性GLP−1アナログがエキセンディン−4である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔9〕上記〔8〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖付加アミノ酸で置換された部位が、配列番号:2に記載のアミノ酸配列における、30位である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔10〕上記〔8〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、
配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、30位のGlyが糖鎖付加Cysに置換されており、
前記糖鎖が、下記式で示されるジシアロ糖鎖
前記糖鎖付加Cysにおいて、前記糖鎖と前記Cysとがリンカーを介して結合している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔11〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記抗原性GLP−1アナログがリラグルチドである、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔12〕上記〔11〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸で置換された部位が、配列番号:3に記載のアミノ酸配列における30位である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔13〕上記〔11〕に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、
配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドにおいて、30位のArgが糖鎖付加Cysに置換されており、
前記糖鎖が、下記式で表わされるジシアロ糖鎖、又は、
前記糖鎖付加Cysにおいて、前記糖鎖と前記Cysとがリンカーを介して結合している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔14〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が実質的に均一である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔15〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が99%以上均一である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔16〕上記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログに比較して抗原性が2分の1以下である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔17〕上記〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログより抗原性が低下し、天然型GLP−1よりGLP−1活性が上昇している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体;
〔18〕上記〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体を有効成分として含む医薬組成物;
〔19〕上記〔18〕に記載の医薬組成物であって、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防のための医薬組成物;
〔20〕上記〔19〕に記載の医薬組成物であって、前記GLP−1に関連する疾患が糖尿病である医薬組成物;
〔21〕上記〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体の有効量を投与することを特徴とする、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防方法、に関する。
本発明の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体は、糖鎖を付加することにより、血糖値抑制活性を低下させることなく、抗原性を低下させることができる。従って、血中安定性が高く血糖値抑制活性も高いというエキセンディン−4の優位性や、徐放性により投与回数を少なくすることができるというリラグルチドの優位性が維持された、安全な医薬品を提供することができる。
付加される糖鎖も生体内で容易に分解されるので、その蓄積により生体に薬害を与えることはない。
また、本発明で用いられる糖鎖には、比較的短いものが多いので、複雑な製造工程を経ずに、均一な構造のものを得ることができる。従って、大規模かつ安定に医薬品レベルの高品質な抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体を得ることができる。
付加される糖鎖も生体内で容易に分解されるので、その蓄積により生体に薬害を与えることはない。
また、本発明で用いられる糖鎖には、比較的短いものが多いので、複雑な製造工程を経ずに、均一な構造のものを得ることができる。従って、大規模かつ安定に医薬品レベルの高品質な抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体を得ることができる。
本明細書において「GLP−1」とは、グルカゴン様ペプチド−1(glucagon−like peptide−1)を示し、GLP−1(7−37)を指す。
GLP−1(7−37)は、下記のアミノ酸配列を有する。
His−Ala−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala−Lys−Glu−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Lys−Gly−Arg−Gly(配列番号:1)
His−Ala−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala−Lys−Glu−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Lys−Gly−Arg−Gly(配列番号:1)
本明細書において、「GLP−1アナログ」とは、GLP−1と構造上類似したペプチド及び/又はGLP−1と重複した構造を有するペプチド、例えば:GLP−1において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたペプチド;GLP−1のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が保存的に置換されたペプチド;GLP−1改変体;GLP−1活性を有するGLP−1のフラグメント;GLP−1活性を有する伸長GLP−1等をいう。
本明細書において、「抗原性GLP−1アナログ」とは、GLP−1アナログのうち抗原性を有するものをいう。抗原性は、当該抗原性GLP−1アナログが投与される個体における抗原性を意味し、その程度は問わない。抗原性は、当業者が公知の方法又はそれに準ずる方法で評価することができ、かかる方法としては、例えば、マウスを抗原性GLP−1アナログで感作し、当該マウスの血中の抗GLP−1アナログ抗体価を測定する方法が挙げられる。
抗原性GLP−1アナログとしては、例えば、エキセンディン−4(以下、「Ex−4」と記載する場合もある。)、リラグルチド、タスポグルチド(別名BIM−51077、Giannoukakis,N.:Curr.Opin.Investig.Drugs,2007,8:842−848)、及びZP−10A(Thorkildsen,C.et al.:J.Pharmacol.Exp.Ther.,2003,307:490−496)等が挙げられるがこれらに限定されない。
抗原性GLP−1アナログとしては、例えば、エキセンディン−4(以下、「Ex−4」と記載する場合もある。)、リラグルチド、タスポグルチド(別名BIM−51077、Giannoukakis,N.:Curr.Opin.Investig.Drugs,2007,8:842−848)、及びZP−10A(Thorkildsen,C.et al.:J.Pharmacol.Exp.Ther.,2003,307:490−496)等が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において、「エキセンディン−4」とは、特に断りがない限り、配列番号:2に記載されたアミノ酸配列からなるペプチドに加え、当該ペプチドと構造上類似したペプチド及び/又は当該ペプチドと重複した構造を有するペプチド、例えば:当該ペプチドにおいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたペプチド;当該ペプチドのアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が保存的に置換されたペプチド;当該ペプチドの改変体;エキセンディン−4と同等の活性を有する当該ペプチドのフラグメント;エキセンディン−4と同等の活性を有する当該ペプチドを伸長したペプチド、等であって、上記GLP−1アナログに該当するものを含む。
また、本明細書において、「リラグルチド」とは、特に断りがない限り、配列番号:3に記載されたアミノ酸配列からなるペプチドに加え、当該ペプチドと構造上類似したペプチド及び/又は当該ペプチドと重複した構造を有するペプチド、例えば:当該ペプチドにおいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたペプチド;当該ペプチドのアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が保存的に置換されたペプチド;当該ペプチドの改変体;リラグルチドと同等の活性を有する当該ペプチドのフラグメント;リラグルチドと同等の活性を有する当該ペプチドを伸長したペプチド、等であって、上記GLP−1アナログに該当するものを含む。
本明細書において、「BIM−51077」とは、特に断りがない限り、配列番号:18に記載されたアミノ酸配列からなるペプチドに加え、当該ペプチドと構造上類似したペプチド及び/又は当該ペプチドと重複した構造を有するペプチド、例えば:当該ペプチドにおいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたペプチド;当該ペプチドのアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が保存的に置換されたペプチド;当該ペプチドの改変体;リラグルチドと同等の活性を有する当該ペプチドのフラグメント;リラグルチドと同等の活性を有する当該ペプチドを伸長したペプチド、等であって、上記GLP−1アナログに該当するものを含む。
本明細書において、「アミノ酸」とは、その最も広い意味で用いられ、天然のアミノ酸のみならずアミノ酸変異体及び誘導体といったような非天然アミノ酸を含む。当業者であれば、この広い定義を考慮して、本明細書におけるアミノ酸として、例えば、天然タンパク原性L−アミノ酸;D−アミノ酸;アミノ酸変異体及び誘導体などの化学修飾されたアミノ酸;ノルロイシン、β−アラニン、オルニチンなどの天然非タンパク原性アミノ酸;及びアミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられることを理解するであろう。非天然アミノ酸の例として、α−メチルアミノ酸(α−メチルアラニンなど)、D−アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン及びα−メチル−ヒスチジンなど)、側鎖に余分のメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)及び側鎖中のカルボン酸官能基アミノ酸がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸など)が挙げられる。抗原性GLP−1アナログのいくつかは、非天然アミノ酸を含むことが知られる。好ましい態様において、本発明の化合物に含まれるアミノ酸は、天然アミノ酸のみからなる。
本明細書において、「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された」という場合、置換等されるアミノ酸の個数は、本発明の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体がGLP−1活性を保持する限り特に限定されないが、1〜9個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個程度であるかあるいは全体の長さの20%以内、好ましくは10%以内である。置換又は付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸又はアミノ酸アナログであり得、好ましくは天然のアミノ酸である。
本明細書において、「アミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が保存的に置換された」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数及び/又は疎水性指数が類似している置換であって、そのような置換の前後で、GLP−1活性の明らかな低下又は消失を生じない置換をいう。
本明細書において、GLP−1、Ex−4及びリラグルチド(以下、まとめて「GLP−1等」という。)の「改変体」とは、GLP−1等を天然又は人工的に改変した化合物であり、そのような改変としては、例えば、GLP−1等の1又は複数のアミノ酸残基の、アルキル化、アシル化(例えばアセチル化)、アミド化、カルボキシル化、エステル形成、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、水酸化、標識成分の結合等が挙げられる。例えば、C末端がアミド化されたペプチドも含まれる。
本明細書において、「GLP−1活性を有するGLP−1等のフラグメント」とは、元のGLP−1等のN末端及び/又はC末端から1個又はそれ以上のアミノ酸が欠失し、かつGLP−1活性を維持したGLP−1等である。
本明細書において、「GLP−1活性を有する伸長したペプチド」とは、元のGLP−1等のN末端及び/又はC末端に1個又はそれ以上のアミノ酸が付加され、かつGLP−1活性を維持したペプチドである(例えば、Endocrinology,125,3109−14(1989)を参照)。
本明細書において、「抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体」は、抗原性GLP−1アナログにおいて、少なくとも1個のアミノ酸が、糖鎖付加アミノ酸で置換されたことを特徴とする。なお、以下において「抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体」を「糖鎖付加抗原性GLP−1」ということもある。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、その塩も含む。本明細書において、塩は、酸付加塩又は塩基付加塩のいずれであってもよい。酸付加塩を形成するために通常用いられる酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸及びp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、カルボン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等の有機酸である。塩基付加塩としては、水酸化アンモニウム又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等の無機塩基から誘導された塩が挙げられる。特に、薬学的に許容される塩が好ましい。
本明細書において、「糖鎖付加アミノ酸」とは、糖鎖が結合したアミノ酸であり、ここで糖鎖とアミノ酸とは、リンカーを介して結合していてもよい。糖鎖とアミノ酸との結合部位に特に制限はないが、糖鎖の還元末端にアミノ酸が結合していることが好ましい。
糖鎖が結合するアミノ酸の種類に特に限定はなく、天然アミノ酸、非天然アミノ酸のいずれを用いることもできる。糖鎖付加アミノ酸が生体内に糖ペプチド(糖たんぱく質)として存在するものと同一又は類似の構造を有するという観点からは、糖鎖付加アミノ酸は、N−結合型糖鎖のような糖鎖付加Asn、O−結合型糖鎖のような糖鎖付加Ser及び糖鎖付加Thrが好ましく、特に糖鎖付加Asnが好ましい。
糖鎖が結合するアミノ酸の種類に特に限定はなく、天然アミノ酸、非天然アミノ酸のいずれを用いることもできる。糖鎖付加アミノ酸が生体内に糖ペプチド(糖たんぱく質)として存在するものと同一又は類似の構造を有するという観点からは、糖鎖付加アミノ酸は、N−結合型糖鎖のような糖鎖付加Asn、O−結合型糖鎖のような糖鎖付加Ser及び糖鎖付加Thrが好ましく、特に糖鎖付加Asnが好ましい。
また、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している場合、リンカーとの結合容易性という観点からは、糖鎖付加アミノ酸のアミノ酸は、アスパラギン酸やグルタミン酸等の分子内に2つ以上のカルボキシル基を持つアミノ酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン等の分子内に2以上のアミノ基を持つアミノ酸、セリン、スレオニン、チロシン等の分子内に水酸基を持つアミノ酸、システイン等の分子内にチオール基を持つアミノ酸、アスパラギン、グルタミン等の分子内にアミド基を持つアミノ酸、が好ましい。特に、反応性の観点からは、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンが好ましく、特にシステイン及びリシンが好ましい。
なお、本発明の任意の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログについて、糖鎖構造、糖鎖以外の構造、糖鎖の付加部位及び糖鎖の付加数が同一である場合に、糖鎖付加アミノ酸が、糖鎖付加Asn(リンカーを介さない)の場合と糖鎖付加Cys(リンカーを介する)の場合で、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血糖値上昇抑制活性に大きな違いはみられない。
糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している場合、リンカーとしては、当該分野において用いられているものを広く使用することができるが、例えば、−NH−(CO)−(CH2)a−CH2−(式中、aは整数であり、目的とするリンカー機能を阻害しない限り限定されるものではないが、好ましくは0〜4の整数を示す。)、C1−10ポリメチレン、−CH2−R−(ここで、Rは、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、炭素環基、置換された炭素環基、複素環基及び置換された複素環基からなる群より選択される基から水素原子が1つ脱離して生ずる基である)、−(CO)−(CH2)a−(CO)−(式中、aは整数であり、目的とするリンカー機能を阻害しない限り限定されるものではないが、好ましくは0〜4の整数を示す。)等を挙げることができる。
糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加アミノ酸において、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介することなく結合している場合、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している場合と比較して、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの抗原性は低くなり得る。糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加アミノ酸において、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している場合、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介することなく結合している場合と比較して、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血中安定性が高くなり得る。
なお、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、その記載(例えば、「アミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ」という記載)によって何ら製造方法が限定されるものではなく、後述のA法〜C法のいずれの方法で製造した糖鎖付加抗原性GLP−1アナログであっても、「アミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ」に含まれる。また、例えば、アミノ酸の結合していない糖鎖を、ペプチド上のアミノ酸に直接又はリンカーを介して結合させた糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ;糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおいて、付加した糖鎖にさらに糖又は糖鎖を付加することですでに付加された糖鎖を伸長させた糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ;糖鎖付加アミノ酸のアミノ基及び/又はカルボキシル基に1又は数個のアミノ酸を結合させ、さらにこれを1又は複数のGLP−1アナログのフラグメントと連結させた糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ、なども最終的な構造が一致している限り、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログに含まれる。
抗原性GLP−1アナログのアミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する数は、血中安定性や血糖値抑制活性等の生理活性、最終的な糖鎖付加抗原性GLP−1アナログに存在するアミノ酸の個数や糖鎖付加前後の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの分子量、等により適宜調節すればよい。例えば、1〜5個置換することが好ましく、1〜3個置換することがより好ましい。簡便性の観点からは、1個の置換で所望の活性が得られるのであれば、1個の置換を選択することが好ましいであろう。一般に、抗原性GLP−1アナログの1個のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおいて、糖鎖付加アミノ酸以外のアミノ酸の1個以上をさらに糖鎖付加アミノ酸で置換した場合、血中安定性は増大し、血糖値抑制活性は減少する傾向がある(但し、血中安定性が増大することで、減少した血糖値抑制活性を補償することが可能である)。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおいて、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は特に限定されないが、当業者は、抗原性を低下させる活性を付与し、且つ、血中安定性や血糖値抑制活性がGLP−1より低下しない部位を適宜選択することができる。
本発明の一態様において、抗原性GLP−1アナログのアミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、所望の活性に応じて抗原性GLP−1アナログの任意の部位を選択することができる。例えば抗原性GLP−1アナログにおいて、配列番号:1に記載のGLP−1ペプチドのアミノ酸配列の12、14、16、20、24、28、30及び32位(=31位のアミノ酸に糖鎖付加アミノ酸を付加)から選択される1以上の部位に相当する部位であり、好ましくは、12、20、24、28及び30位から選択される1以上の部位に相当する部位であり、特に24及び30位から選択される1以上の部位に相当する部位である。
ここで、「抗原性GLP−1アナログにおいて、配列番号:1に記載のGLP−1ペプチドのアミノ酸配列のX位に相当する位置」とは、種々の抗原性GLP−1アナログのアミノ酸配列において、配列番号:1に記載のGLP−1ペプチドのアミノ酸配列のX位に対応する位置を意味し、かかる位置は、当業者がそれぞれの周辺のアミノ酸配列等に基づいて容易に決定することができる。
Ex−4やリラグルチドが、そのアミノ酸配列に付加、置換、欠失がないものであれば、上表で縦に並んだアミノ酸が「相当する位置」にあるアミノ酸である。付加、置換、欠失がある場合、当業者はそれぞれの周辺のアミノ酸配列に基づいて、「相当する位置」を決定することができる。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの抗原性を低下させるという観点からは、例えば、抗原性GLP−1アナログにおける抗原認識部位の周辺とすることが好ましい。また、例えば、配列番号:1に記載のGLP−1ペプチドの30位に相当する部位に糖鎖を付加することが有効である。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血中安定性という観点からは、例えば、配列番号:1に記載のGLP−1ペプチドの3、4、5、6、8、10、12、13、14、16、18、19、20、21、22、24、26、28、30及び32位(=31位のアミノ酸に糖鎖付加アミノ酸を付加)から選択される1以上の部位に相当する部位であり、好ましくは3、4、5、6、8及び22位から選択される1以上の部位であり、特に好ましくは3、4、5及び6から選択される1以上の部位に相当する部位である。特にGLP−1のN末端に近い部位のアミノ酸の置換も好ましい。特に、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位の例として、例えば12位と30位、20位と28位、16位と24位、16位と30位、24位と30位に、それぞれ相当する部位などを挙げることができる。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血糖値抑制作用という観点からは、例えば、配列番号:1に記載のGLP−1ペプチドの12、14、16、20、24、28、30及び32位(=31位のアミノ酸に糖鎖付加アミノ酸を付加)から選択される1以上の部位に相当する部位であり、好ましくは12、20、24、28及び30位から選択される1以上の部位に相当する部位であり、特に24及び30位から選択され1以上の部位に相当する部位である。2以上のアミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位の例として、例えば、12位と30位、20位と28位、16位と24位、16位と30位、24位と30位にそれぞれ相当する部位などを挙げることができる。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログのGLP−1活性のうち、cAMP合成能に関する観点からは、例えば、配列番号:1に記載のGLP−1ペプチドの16、20、21、24、28、30及び32位(=31位のアミノ酸に糖鎖付加アミノ酸を付加)から選択される1以上の部位に相当する部位であり、好ましくは16、20、24、28、30及び32位から選択される1以上の部位に相当する部位である。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるGLP−1の2、3及び6位以外の部位から選択される1以上の部位である。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、GLP−1の1、4、7、9、13、15及び23位以外の部位から選択される1以上の部位、特に、1、4及び9位以外の部位から選択される1以上の部位である。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、GLP−1の1、4、7、9、13、15及び23位以外の部位から選択される1以上の部位、特に、1、4及び9位以外の部位から選択される1以上の部位である。
本発明の一態様において、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、GLP−1のGLP−1受容体への結合部位からも、決定することができる。
本発明の一態様において、2以上のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されている場合に、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する部位は、上記のいずれの組み合わせも採用することができるがこれに限定されない。例えば、1の部位が上記の好ましい部位から選択され、他の部位が抗原性GLP−1アナログの任意の部位から選択される組み合わせ;1の部位が上記の好ましい部位から選択され、他の部位が抗原性GLP−1アナログのC末端にさらに付加された1若しくは数個のアミノ酸の任意の部位から選択される組み合わせ等もまた、本発明の好ましい一態様に含まれる。
本発明の一態様において、糖鎖付加アミノ酸以外のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加が生ずる部位は、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるGLP−1の1、4、7、9、13、15、22及び23位以外の部位から選択される1以上の部位、例えば、1、4、9及び22位以外の部位から選択される1以上の部位であることが好ましい(Structure−Activity Studies of Glucagon−like Peptide−l,THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol.269,No.9,Issue of March 4,pp. 6276−6278.1994)。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログとしては、例えば、以下のアミノ酸配列を有するエキセンディン−4に糖鎖を付加したものを挙げることができる。
H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2(配列番号:2)
糖鎖付加エキセンディン−4は、例えば、以下の一般式(1)で表わされる。
一般式(1)
H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Xaa12−Gln−Xaa14−Glu−Xaa16−Glu−Ala−Val−Xaa20−Leu−Phe−Ile−Xaa24−Trp−Leu−Lys−Xaa28−Gly−Xaa30−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2
[式中、Xaa12は、Lys、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa14は、Met、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa16は、Glu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa20は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa24は、Glu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa28は、Asn、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa30は、Gly、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa12、Xaa14、Xaa16、Xaa20、Xaa24、Xaa28及びXaa30の少なくとも1つは糖鎖付加Cysまたは糖鎖付加Asnである。](配列番号:4)
中でも、Xaa24が糖鎖付加Cysであることが好ましい。
H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2(配列番号:2)
糖鎖付加エキセンディン−4は、例えば、以下の一般式(1)で表わされる。
一般式(1)
H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Xaa12−Gln−Xaa14−Glu−Xaa16−Glu−Ala−Val−Xaa20−Leu−Phe−Ile−Xaa24−Trp−Leu−Lys−Xaa28−Gly−Xaa30−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2
[式中、Xaa12は、Lys、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa14は、Met、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa16は、Glu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa20は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa24は、Glu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa28は、Asn、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa30は、Gly、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa12、Xaa14、Xaa16、Xaa20、Xaa24、Xaa28及びXaa30の少なくとも1つは糖鎖付加Cysまたは糖鎖付加Asnである。](配列番号:4)
中でも、Xaa24が糖鎖付加Cysであることが好ましい。
なお、エキセンディン−4のように、本来C末端がアミド化されているペプチドについては、当該C末端のアミノ酸に糖鎖を付加した糖鎖付加アミノ酸を合成する場合、C末端をアミド化しない場合もある。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログとしては、例えば、以下のアミノ酸配列を有するリラグルチドに糖鎖を付加したものを挙げることができる。
His−Ala−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala−Lys20−Glu−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Arg−Gly−Arg−Gly(配列番号:3)
ここで、Lys20には、下記式で示されるように、グルタミン酸を介してパルミトイル基が結合している。
糖鎖付加リラグルチドは、例えば、以下の一般式(2)で表わされる。
一般式(2)
His−Ala−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Xaa12−Tyr−Xaa14−Glu−Xaa16−Gln−Ala−Ala−Lys20−Glu−Phe−Ile−Xaa24−Trp−Leu−Val−Xaa28−Gly−Xaa30−Gly
[式中、Xaa12は、Ser、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa14は、Leu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa16は、Gly、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa24は、Ala、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa28は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa30は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa12、Xaa14、Xaa16、Xaa24、Xaa28及びXaa30の少なくとも1つは糖鎖付加Cysまたは糖鎖付加Asnである。](配列番号:5)
中でも、Xaa24及び/又はXaa30が糖鎖付加Cys又は糖鎖付加Asnであることが好ましく、特に、Xaa30が糖鎖付加Cysであることが好ましい。
His−Ala−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala−Lys20−Glu−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Arg−Gly−Arg−Gly(配列番号:3)
ここで、Lys20には、下記式で示されるように、グルタミン酸を介してパルミトイル基が結合している。
一般式(2)
His−Ala−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Xaa12−Tyr−Xaa14−Glu−Xaa16−Gln−Ala−Ala−Lys20−Glu−Phe−Ile−Xaa24−Trp−Leu−Val−Xaa28−Gly−Xaa30−Gly
[式中、Xaa12は、Ser、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa14は、Leu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa16は、Gly、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa24は、Ala、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa28は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa30は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa12、Xaa14、Xaa16、Xaa24、Xaa28及びXaa30の少なくとも1つは糖鎖付加Cysまたは糖鎖付加Asnである。](配列番号:5)
中でも、Xaa24及び/又はXaa30が糖鎖付加Cys又は糖鎖付加Asnであることが好ましく、特に、Xaa30が糖鎖付加Cysであることが好ましい。
また、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログとしては、例えば、以下のアミノ酸配列を有するBIM51077に糖鎖を付加したものを挙げることができる。
His−R2−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala−Lys−Glu−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Lys−R2−Arg−NH2
[式中、R2は、α−メチルアラニン(アミノイソブタン酸、Aibとも呼ぶ)を示す。](配列番号18)
糖鎖付加BIM51077は、例えば、以下の一般式(3)で表わされる。
一般式(3)
His−R2−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Xaa18−Tyr−Xaa20−Glu−Xaa22−Gln−Ala−Ala−Xaa26−Glu−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Val−Xaa34−R2−Xaa36−NH2
[式中、R2は、α−メチルアラニンを示し、
Xaa18は、Ser、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa20は、Leu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa22は、Gly、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa26は、Lys、糖鎖付加Cys、糖鎖付加Asn、又は糖鎖付加Lysを示す。
Xaa30は、Ala、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa34は、Lys、糖鎖付加Cys、糖鎖付加Asn、又は糖鎖付加Lysを示す。
Xaa36は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa18、Xaa20、Xaa22、Xaa26、Xaa30、Xaa34及びXaa36のすくなくとも1つは糖鎖付加Cysまたは糖鎖付化Asnである。](配列番号19)
His−R2−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala−Lys−Glu−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Lys−R2−Arg−NH2
[式中、R2は、α−メチルアラニン(アミノイソブタン酸、Aibとも呼ぶ)を示す。](配列番号18)
糖鎖付加BIM51077は、例えば、以下の一般式(3)で表わされる。
一般式(3)
His−R2−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Val−Ser−Xaa18−Tyr−Xaa20−Glu−Xaa22−Gln−Ala−Ala−Xaa26−Glu−Phe−Ile−Xaa30−Trp−Leu−Val−Xaa34−R2−Xaa36−NH2
[式中、R2は、α−メチルアラニンを示し、
Xaa18は、Ser、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa20は、Leu、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa22は、Gly、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa26は、Lys、糖鎖付加Cys、糖鎖付加Asn、又は糖鎖付加Lysを示す。
Xaa30は、Ala、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa34は、Lys、糖鎖付加Cys、糖鎖付加Asn、又は糖鎖付加Lysを示す。
Xaa36は、Arg、糖鎖付加Cys、又は糖鎖付加Asnを示す。
Xaa18、Xaa20、Xaa22、Xaa26、Xaa30、Xaa34及びXaa36のすくなくとも1つは糖鎖付加Cysまたは糖鎖付化Asnである。](配列番号19)
本明細書において、「糖鎖」とは、単位糖(単糖及び/又はその誘導体)が1つ以上連なってできた化合物をいう。単位糖が2つ以上連なる場合、各々の単位糖同士の間は、グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。このような糖鎖としては、例えば、生体中に含有される単糖類及び多糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸並びにそれらの複合体及び誘導体)の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体分子から分解又は誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。糖鎖は直鎖型であっても分岐鎖型であってもよい。
また、本明細書において、「糖鎖」には糖鎖の誘導体も含まれ、糖鎖の誘導体としては、例えば、糖鎖を構成する糖が、カルボキシル基を有する糖(例えば、C−1位が酸化されてカルボン酸となったアルドン酸(例えば、D−グルコースが酸化されたD−グルコン酸)、末端のC原子がカルボン酸となったウロン酸(D−グルコースが酸化されたD−グルクロン酸))、アミノ基又はアミノ基の誘導体(例えば、アセチル化されたアミノ基)を有する糖(例えば、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミンなど)、アミノ基及びカルボキシル基を両方とも有する糖(例えば、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)、N−アセチルムラミン酸など)、デオキシ化された糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース)、硫酸基を含む硫酸化糖、リン酸基を含むリン酸化糖などである糖鎖が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明において、好ましい糖鎖は、抗原性GLP−1アナログに付加された場合(糖鎖付加アミノ酸の形で抗原性GLP−1アナログのアミノ酸と置換された場合)に、抗原性GLP−1アナログの抗原性を低下させ、好ましくは血中安定性を増大させ、かつ、より好ましくは血糖値抑制活性を消失させない糖鎖である。但し、抗原性を低下させる限り、血中安定性及び/又は血糖値抑制活性は、抗原性GLP−1アナログと同等であればよい。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおける糖鎖は特に限定されず、生体内で複合糖質(糖ペプチド(又は糖タンパク質)、プロテオグリカン、糖脂質等)として存在する糖鎖であってもよいし、生体内では複合糖質として存在しない糖鎖であってもよい。
生体内で複合糖質として存在する糖鎖は、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログが生体に投与されるという観点から好ましい。かかる糖鎖としては、生体内で糖ペプチド(又は糖タンパク質)としてペプチド(又はタンパク質)に結合している糖鎖であるN−結合型糖鎖、O−結合型糖鎖等が挙げられる。好ましくは、N−結合型糖鎖が用いられる。N結合型糖鎖としては、例えば、高マンノース(ハイマンノース)型、複合(コンプレックス)型、混成(ハイブリッド)型を挙げることができ、特に好ましくは、複合型が良い。
尚、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおいては、糖鎖が生体内で複合糖質として存在する糖鎖であっても、O−結合型及びN−結合型以外の方法で抗原性GLP−1アナログに結合していてもよい。例えば、上述のとおり、糖鎖がリンカーを介してCys等に結合しているものも、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログに含まれる。
本発明の一態様において、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおける糖鎖は、4個以上、例えば5個以上、7個以上、特に9個以上、11個以上の糖からなる糖鎖であることが好ましい。
本発明の好ましい一態様において、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおける糖鎖は、5〜11個、9〜11個、9個、11個の糖からなる糖鎖である。
本発明の好ましい一態様において、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログにおける糖鎖は、2本鎖の複合型糖鎖である。複合型糖鎖とは、2種類以上の単糖を含み、以下に示す基本構造と、Galβ1−4GlcNAcで示されるラクトサミン構造を有することを特徴とする。
2本鎖複合型糖鎖とは、基本構造の末端の2つのマンノースに、それぞれ0〜3糖からなる1本鎖の糖鎖が結合しているものをいう。2本鎖複合型糖鎖としては、例えば、以下に示すジシアロ糖鎖、
モノシアロ糖鎖、
アシアロ糖鎖、
ジグルクナック糖鎖、
ジマンノース糖鎖、
等が好ましく、より好ましくはジシアロ糖鎖、モノシアロ糖鎖又はアシアロ糖鎖である。
また、本明細書において「ジシアロ糖鎖」、「モノシアロ糖鎖」、「アシアロ糖鎖」、「ジグルクナック糖鎖」、「ジマンノース糖鎖」には、上記化学式で示したもののほか、化学式で示した例と結合様式の異なるものも含まれ、かかる糖鎖も本発明の糖鎖として好ましく用いられる。かかる糖鎖としては、例えば、ジシアロ糖鎖又はアシアロ糖鎖においてシアル酸とガラクトースが(α2→3)結合で結合しているもの等が挙げられる。
また、本明細書において「ジシアロ糖鎖」、「モノシアロ糖鎖」、「アシアロ糖鎖」、「ジグルクナック糖鎖」、「ジマンノース糖鎖」には、上記化学式で示したもののほか、化学式で示した例と結合様式の異なるものも含まれ、かかる糖鎖も本発明の糖鎖として好ましく用いられる。かかる糖鎖としては、例えば、ジシアロ糖鎖又はアシアロ糖鎖においてシアル酸とガラクトースが(α2→3)結合で結合しているもの等が挙げられる。
また、本発明で用いられる高マンノース型糖鎖は、上述した複合型糖鎖の基本構造に、さらにマンノースが2個以上結合している糖鎖である。高マンノース型糖鎖は嵩高いので、ペプチドに高マンノース型糖鎖を結合させることにより血中安定性がより高くなりうる。哺乳類の高マンノース型糖鎖のように、5〜9個のマンノースを含む糖鎖が好ましいが、酵母の高マンノース型糖鎖のように、より多くのマンノースを含む糖鎖であってもよい。本発明に好ましく用いられる高マンノース型糖鎖としては、例えば、
ハイマンノース−5(M−5)
ハイマンノース−9(M−9)
等を挙げることができる。
ハイマンノース−5(M−5)
本発明において、好ましい糖鎖としては、例えば、ヒト体内において、タンパク質と結合した糖タンパク質として存在する糖鎖(例えば、「FEBS LETTERS Vol.50,No.3,Feb.1975」に記載の糖鎖)と、同一の構造を有する糖鎖(構成糖の種類及びそれらの結合様式が同一の糖鎖)又はこれの非還元末端から1又は複数の糖を失った糖鎖である、下記表2〜5に記載の糖鎖を挙げることができる。
本発明の好ましい一態様において、本発明の糖ペプチドにおける糖鎖の構造は、均一である。本明細書において、糖ペプチドにおける糖鎖の構造が均一であるとは、糖ペプチド間で比較した場合に、ペプチド中の糖鎖付加部位、糖鎖を構成する各糖の種類、結合順序、及び糖間の結合様式が同一であることをいい、少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の糖鎖の構造が均一であることを言う。糖鎖が均一である糖ペプチドは、品質が一定であり、特に医薬品の製造や、アッセイなどの分野において好ましい。均一な糖鎖の割合は、例えば、HPLC、キャピラリー電気泳動、NMR、質量分析等を用いた方法によって測定することが可能である。
本発明において、好ましい糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、例えば、後述の実施例1〜4において製造した糖鎖付加抗原性GLP−1アナログである。
具体的には、
(a1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるエキセンディン−4において、30位のGlyがジシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例1)(配列番号:6);
(a2)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるエキセンディン−4において、30位のGlyがハイマンノース−5型糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例2)(配列番号:7);
(a3)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるリラグルチドにおいて、30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例3)(配列番号:8);
(a4)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるリラグルチドにおいて、30位のArgがジシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例4)(配列番号:9)
(a5)配列番号:18に記載のアミノ酸配列からなるBIM−50177において、20位のLysがジシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例5)(配列番号:21)
具体的には、
(a1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるエキセンディン−4において、30位のGlyがジシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例1)(配列番号:6);
(a2)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるエキセンディン−4において、30位のGlyがハイマンノース−5型糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例2)(配列番号:7);
(a3)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるリラグルチドにおいて、30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例3)(配列番号:8);
(a4)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるリラグルチドにおいて、30位のArgがジシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例4)(配列番号:9)
(a5)配列番号:18に記載のアミノ酸配列からなるBIM−50177において、20位のLysがジシアロ糖鎖付加Cysに置換された糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ(実施例5)(配列番号:21)
(製造方法)
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、当業者に公知のペプチド合成方法に、糖鎖付加工程を組み込むことで製造することができる。糖鎖付加に際しては、トランスグルタミナーゼに代表される、酵素の逆反応を利用する方法も用いることができるが、この場合、付加する糖鎖が大量に必要になる、最終工程後の精製が煩雑になる、糖鎖の付加位置及び付加可能な糖鎖が制限される、等の問題があるため、アッセイ用等の少量の合成には用いることが可能でも、医薬品製造等の大規模な製造には実用的な方法とは言えないことがある。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、当業者に公知のペプチド合成方法に、糖鎖付加工程を組み込むことで製造することができる。糖鎖付加に際しては、トランスグルタミナーゼに代表される、酵素の逆反応を利用する方法も用いることができるが、この場合、付加する糖鎖が大量に必要になる、最終工程後の精製が煩雑になる、糖鎖の付加位置及び付加可能な糖鎖が制限される、等の問題があるため、アッセイ用等の少量の合成には用いることが可能でも、医薬品製造等の大規模な製造には実用的な方法とは言えないことがある。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの簡便な製造方法であって、かつ、糖鎖の構造が均一である糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの安定した製造方法の具体例として、以下、糖鎖付加アミノ酸として糖鎖付加Asnを使用し、固相合成、液相合成等の公知のペプチド合成方法を適用することにより糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを製造する方法(A法)、抗原性GLP−1アナログの任意のアミノ酸をCysで置換したペプチドを公知のペプチド合成方法に従って製造し、その後、Cysに化学合成により糖鎖を付加し、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを製造する方法(B法)、を例示する。さらに、糖鎖付加Asnにリンカーの一端を結合した後、リンカーの他端にN−ヒドロキシコハク酸イミジル基を結合させ、N−ヒドロキシコハク酸イミジル基を抗原性GLP−1アナログのLys残基の側鎖アミノ基と反応させて、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを製造する方法(C法)を示す。これらの製造方法を参考に、当業者であれば様々な糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを製造することが可能であり、得られる糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ及びその製造方法は、特に医薬品製造の分野において、非常に有用である。
また、これらのA法〜C法は、2つを組み合わせて用いることも可能である。アッセイなどに用いる少量の合成であれば、さらに、上記の方法に、転移酵素による糖鎖伸長反応を組み合わせることも可能である。なお、A法は、国際公開第WO2004/005330号パンフレット(US2005222382(A1))に、B法は、国際公開第WO2005/010053号パンフレット(US2007060543(A1))に、それぞれ記載されており、その開示は全体として本明細書に参照により組み込まれる。また、A法〜C法において用いられる糖鎖構造が均一な糖鎖の製造に関しては、第WO03/008431号パンフレット(US2004181054(A1))、第WO2004/058984号パンフレット(US2006228784(A1))、第WO2004/058824号パンフレット(US2006009421(A1))、第WO2004/070046号パンフレット(US2006205039(A1))、第WO2007/011055号パンフレット等に記載されており、その開示は全体として本明細書に参照により組み込まれる。
糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを製造する方法(A法)
糖鎖付加抗原GLP−1アナログは、例えば、以下に概略を示す糖鎖付加アスパラギンを用いた固相合成によって製造することができる。
(1)水酸基を有する樹脂(レジン)の水酸基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸のカルボキシル基をエステル化反応させる。この場合アミノ酸のアミノ基窒素を脂溶性保護基で保護しているので、アミノ酸同士の自己縮合は防止され、レジンの水酸基とアミノ酸のカルボキシル基が反応してエステル化が起こる。
(2)得られたエステルの脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(3)この遊離アミノ基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸のカルボキシル基とアミド化反応させる。
(4)上記脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(5)上記(3)及び(4)の工程を1回以上繰り返すことにより、任意の数の任意のアミノ酸が連結した、末端にレジンを結合し、他端に遊離アミノ基を有するペプチドが得られる。
(6)最後に、酸でレジンを切断することにより、所望のアミノ酸配列を有するペプチドを得ることができる。
ここで、(1)において、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加アスパラギンを用い、当該アスパラギン部分のカルボキシル基とレジンの水酸基とを反応させれば、C末端に糖鎖付加アスパラギンを有するペプチドを得ることができる。
また、(2)の後、又は、(3)と(4)を1回以上の任意の回数繰り返した後、(3)において、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加アスパラギンを用いれば、任意の箇所に糖鎖を付加することができる。
また、(1)及び(3)のいずれかの工程で、2回以上、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加アスパラギンを用いれば、任意の2ヶ所以上に糖鎖が付加されたペプチドを得ることができる。
糖鎖付加アミノ酸を結合させた後、脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させ、その直後に工程(6)を行えば、N末端に糖鎖付加アスパラギンを有するペプチドを得ることができる。
糖鎖付加抗原GLP−1アナログは、例えば、以下に概略を示す糖鎖付加アスパラギンを用いた固相合成によって製造することができる。
(1)水酸基を有する樹脂(レジン)の水酸基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸のカルボキシル基をエステル化反応させる。この場合アミノ酸のアミノ基窒素を脂溶性保護基で保護しているので、アミノ酸同士の自己縮合は防止され、レジンの水酸基とアミノ酸のカルボキシル基が反応してエステル化が起こる。
(2)得られたエステルの脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(3)この遊離アミノ基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸のカルボキシル基とアミド化反応させる。
(4)上記脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(5)上記(3)及び(4)の工程を1回以上繰り返すことにより、任意の数の任意のアミノ酸が連結した、末端にレジンを結合し、他端に遊離アミノ基を有するペプチドが得られる。
(6)最後に、酸でレジンを切断することにより、所望のアミノ酸配列を有するペプチドを得ることができる。
ここで、(1)において、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加アスパラギンを用い、当該アスパラギン部分のカルボキシル基とレジンの水酸基とを反応させれば、C末端に糖鎖付加アスパラギンを有するペプチドを得ることができる。
また、(2)の後、又は、(3)と(4)を1回以上の任意の回数繰り返した後、(3)において、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加アスパラギンを用いれば、任意の箇所に糖鎖を付加することができる。
また、(1)及び(3)のいずれかの工程で、2回以上、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加アスパラギンを用いれば、任意の2ヶ所以上に糖鎖が付加されたペプチドを得ることができる。
糖鎖付加アミノ酸を結合させた後、脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させ、その直後に工程(6)を行えば、N末端に糖鎖付加アスパラギンを有するペプチドを得ることができる。
水酸基を有する樹脂(レジン)としては、通常、固相合成で使用する水酸基を有する樹脂(レジン)であればよく、例えば、Amino−PEGAレジン(メルク社製)、Wangレジン(メルク社製)、HMPA−PEGAレジン(メルク社製)等を用いることができる。
また、Ex−4のようにC末端をアミド化する場合には、Rink−Amido−PEGAレジン(メルク社製)を用いることが好ましい。このレジンとペプチドを酸で切断することにより、ペプチドのC末端アミノ酸をアミド化することができる。
また、Ex−4のようにC末端をアミド化する場合には、Rink−Amido−PEGAレジン(メルク社製)を用いることが好ましい。このレジンとペプチドを酸で切断することにより、ペプチドのC末端アミノ酸をアミド化することができる。
アミノ酸としては全てのアミノ酸を用いることができ、例えば、天然アミノ酸である、セリン(Ser)、アスパラギン(Asn)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、アラニン(Ala)、チロシン(Tyr)、グリシン(Gly)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、プロリン(Pro)を挙げることができる。
脂溶性保護基としては、例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、ベンジル基、アリル基、アリルオキシカルボニル基、アセチル基等の、カーボネート系又はアミド系の保護基等を挙げることができる。アミノ酸に脂溶性保護基を導入するには、例えばFmoc基を導入する場合には9−フルオレニルメチル−N−スクシニミジルカーボネートと炭酸水素ナトリウムを加えて反応を行うことにより導入できる。反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約1〜5時間程度行うのが良い。
脂溶性保護基で保護したアミノ酸としては、市販のものも使用することができる。例えば、Fmoc−Ser、Fmoc−Asn、Fmoc−Val、Fmoc−Leu、Fmoc−Ile、Fmoc−AIa、Fmoc−Tyr、Fmoc−Gly、Fmoc−Lys、Fmoc−Arg、Fmoc−His、Fmoc−Asp、Fmoc−Glu、Fmoc−Gln、Fmoc−Thr、Fmoc−Cys、Fmoc−Met、Fmoc−Phe、Fmoc−Trp、Fmoc−Proを挙げることができる。
エステル化触媒として、例えば1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)等の公知の脱水縮合剤を用いることができる。アミノ酸と脱水縮合剤との使用割合は、前者1重量部に対して、後者が、通常1〜10重量部、好ましくは2〜5重量部である。
エステル化反応は、例えば、固相カラムにレジンを入れ、このレジンを溶剤で洗浄し、その後アミノ酸の溶液を加えることにより行うのが好ましい。洗浄用溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、2−プロパノール、塩化メチレン等を挙げることができる。アミノ酸を溶解する溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、DMF、塩化メチレン等を挙げることができる。エステル化反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約10分〜30時間程度、好ましくは15分〜24時間程度行うのが良い。
この時固相上の未反応の水酸基を、無水酢酸等を用いてアセチル化してキャッピングすることも好ましい。
脂溶性保護基の脱離は、例えば塩基で処理することにより行うことができる。塩基としては、例えばピペリジン、モルホリン等を挙げることができる。その際、溶媒の存在下で行うのが好ましい。溶媒としては、例えばDMSO、DMF、メタノール等を挙げることができる。
遊離アミノ基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸のカルボキシル基とのアミド化反応は、活性化剤及び溶媒の存在下行うのが好ましい。
活性化剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSC/HCl)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルシアノホスホネート(DEPC)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウム(DIPCI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、ペンタフルオロフェノール(Pfp−OH)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスホネート(HATU)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロジ−4−オキサ−1,2,3−ベンゾトリアジン(Dhbt)等を挙げることができる。
活性化剤の使用量は、脂溶性の保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸に対して、1〜20当量、好ましくは1〜10当量、さらに好ましくは、1〜5当量とするのが好ましい。
溶媒としては、例えばDMSO、DMF、塩化メチレン等を挙げることができる。反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約10〜30時間程度、好ましくは15分〜24時間程度行うのが良い。脂溶性保護基の脱離は、上記と同様に行うことができる。
樹脂(レジン)からペプチド鎖を切断するには酸で処理するのが好ましい。酸としては、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)、弗化水素(HF)等を挙げることができる。
このようにして、所望の位置を糖鎖付加アスパラギンで置換した糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを得ることができる。
糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを製造する方法(B法)
糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、まずペプチド鎖を合成し、後で糖鎖を付加する方法によっても製造することができる。具体的には、糖鎖を付加したい位置にCysを含むペプチドを、固相合成法、液相合成法、細胞により合成する方法、天然に存在するものを分離抽出する方法等により製造する。
次に、ハロアセタミド化複合型糖鎖誘導体を上記で得たCysを含むペプチドと反応させることにより、糖鎖をペプチドに結合させる。上記反応は、通常0〜80℃、好ましくは、10〜60℃、更に好ましくは15〜35℃で行うのが良い。反応時間は、好ましくは、通常30分〜5時間程度である。反応終了後は、適宜、公知の方法(例えば、高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC))で精製するのが良い。
糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、まずペプチド鎖を合成し、後で糖鎖を付加する方法によっても製造することができる。具体的には、糖鎖を付加したい位置にCysを含むペプチドを、固相合成法、液相合成法、細胞により合成する方法、天然に存在するものを分離抽出する方法等により製造する。
次に、ハロアセタミド化複合型糖鎖誘導体を上記で得たCysを含むペプチドと反応させることにより、糖鎖をペプチドに結合させる。上記反応は、通常0〜80℃、好ましくは、10〜60℃、更に好ましくは15〜35℃で行うのが良い。反応時間は、好ましくは、通常30分〜5時間程度である。反応終了後は、適宜、公知の方法(例えば、高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC))で精製するのが良い。
ハロアセタミド化複合型糖鎖誘導体は、例えば、複合型アスパラギン結合型糖鎖の1位の炭素に結合している水酸基を、−NH−(CO)−(CH2)a−CH2X(Xはハロゲン原子、aは整数であり、目的とするリンカー機能を阻害しない限り限定されるものではないが、好ましくは0〜4の整数を示す。)で置換した化合物である。
具体的には、ハロアセタミド化複合型糖鎖誘導体とCys含有ペプチドとをリン酸緩衝液中、室温で反応させる。反応終了後、HPLCで精製することにより糖鎖付加Cysで置換した糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを得ることができる。
なお、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログとして、糖鎖付加リラグルチドを製造する場合、Lys残基に脂肪酸を付加する工程が行われる。当該工程は、例えばPal−Glu(OBu)−OSuを、Lysを含むペプチドと反応させることによって行うことができる。脂肪酸付加工程は、糖鎖付加工程の前に行っても後に行ってもよい。
糖鎖付加GLP−1ペプチドを製造する方法(C法)
本方法は、糖鎖を付加する抗原性GLP−1アナログにLys残基が含まれる場合に有用である。
先ず、Lysを含むペプチドを、固相合成法、液相合成法、細胞による合成、天然に存在するものを分離抽出する方法等により製造する。
次に、糖鎖付加アミノ酸に、グルタル酸を結合させる。例えば、糖鎖付加アミノ酸をDMSO溶液に溶解させ、この溶液に、グルタル酸−EDC混合のDMSO溶液を加え、室温で1日撹拌する。反応混合物を適宜希釈した後、分子量排除ゲルクロマトグラフィー等で分画することにより、α−アミノ基にグルタル酸を結合させた糖鎖付加アミノ酸を得ることができる。
次いで、グルタル酸結合糖鎖付加アミノ酸のDMSO溶液に、N−ヒドロキシコハク酸イミドのDMSO溶液およびEDCのDMSO溶液を加え、室温で6時間撹拌した後、EDCを不活化することにより、グルタル酸結合糖鎖付加アミノ酸のN−ヒドロキシコハク酸イミジルエステルを合成することができる。
続いて、抗原性GLP−1アナログのDMSO溶液に、DIPEA及びグルタル酸結合糖鎖付加アミノ酸のN−ヒドロキシコハク酸イミジルエステルを加え、室温で2時間撹拌した後、グリシン水溶液を加えて反応を停止し、適宜精製することにより、抗原性GLP−1アナログのLys残基にグルタル酸リンカーを介して糖鎖付加アミノ酸を結合させることができる。
抗原性GLP−1アナログの所望の部位のアミノ酸をLysに置換したり、抗原性GLP−1の野生型に含まれるLys残基を他のアミノ酸で置換したりすることにより、所望の部位に糖鎖付加アミノ酸を結合させた糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを得ることが可能である。また、C法によれば、野生型抗原性GLP−1アナログに含まれるLysに糖鎖付加する場合、ペプチド骨格が野生型と同一の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを得ることができる。
本方法は、糖鎖を付加する抗原性GLP−1アナログにLys残基が含まれる場合に有用である。
先ず、Lysを含むペプチドを、固相合成法、液相合成法、細胞による合成、天然に存在するものを分離抽出する方法等により製造する。
次に、糖鎖付加アミノ酸に、グルタル酸を結合させる。例えば、糖鎖付加アミノ酸をDMSO溶液に溶解させ、この溶液に、グルタル酸−EDC混合のDMSO溶液を加え、室温で1日撹拌する。反応混合物を適宜希釈した後、分子量排除ゲルクロマトグラフィー等で分画することにより、α−アミノ基にグルタル酸を結合させた糖鎖付加アミノ酸を得ることができる。
次いで、グルタル酸結合糖鎖付加アミノ酸のDMSO溶液に、N−ヒドロキシコハク酸イミドのDMSO溶液およびEDCのDMSO溶液を加え、室温で6時間撹拌した後、EDCを不活化することにより、グルタル酸結合糖鎖付加アミノ酸のN−ヒドロキシコハク酸イミジルエステルを合成することができる。
続いて、抗原性GLP−1アナログのDMSO溶液に、DIPEA及びグルタル酸結合糖鎖付加アミノ酸のN−ヒドロキシコハク酸イミジルエステルを加え、室温で2時間撹拌した後、グリシン水溶液を加えて反応を停止し、適宜精製することにより、抗原性GLP−1アナログのLys残基にグルタル酸リンカーを介して糖鎖付加アミノ酸を結合させることができる。
抗原性GLP−1アナログの所望の部位のアミノ酸をLysに置換したり、抗原性GLP−1の野生型に含まれるLys残基を他のアミノ酸で置換したりすることにより、所望の部位に糖鎖付加アミノ酸を結合させた糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを得ることが可能である。また、C法によれば、野生型抗原性GLP−1アナログに含まれるLysに糖鎖付加する場合、ペプチド骨格が野生型と同一の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを得ることができる。
(活性)
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、GLP−1活性を有する。本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、好ましくは天然型GLP−1と同等又はそれ以上のGLP−1活性を有し、さらに好ましくは、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログ(以下、「非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ」という場合もある。)と比較して同等又はそれ以上のGLP−1活性を有する。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、GLP−1活性を有する。本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、好ましくは天然型GLP−1と同等又はそれ以上のGLP−1活性を有し、さらに好ましくは、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログ(以下、「非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ」という場合もある。)と比較して同等又はそれ以上のGLP−1活性を有する。
本明細書において、「GLP−1活性」とは、GLP−1について公知の生理活性の一部又は全部をいう。GLP−1は、血糖値抑制作用のほか、例えば、膵島作用として、cAMP合成誘導に伴うインスリン分泌、膵島保護(アポトーシス抑制)、膵島増殖、膵外作用として、食欲抑制、消化管運動抑制、カルシトニン分泌促進、虚血時の心保護作用等を有することが知られる。従って、GLP−1活性とは、これらの作用に関連する生理活性の全部又は一部を指し、それぞれ、当業者に公知の手法を用いて測定することができる。
例えば、GLP−1活性のうち、血糖値抑制活性は、糖尿病マウス(db/dbマウス)における血糖値低下作用の測定や、経口耐糖能試験(OGTT:Oral Glucose Tolerance Test)における血糖値上昇抑制作用の測定などを用いて測定することができる。なお、本明細書において、「血糖値抑制」とは、血糖値の上昇を抑制すること及び血糖値を低下させることのいずれの概念も含む。特に、本明細書において、db/dbマウスにおける血糖値抑制作用を「血糖値低下作用」、OGTTにおける血糖値抑制作用を「血糖値上昇抑制作用」ということがある。
OGTTによる血糖値抑制活性は、マウスに強制的に糖を飲ませた際の血糖値上昇の抑制の測定によって判断することができる。例えば、まず、被験化合物を一晩絶食させたマウスに投与し、その30分後にグルコース溶液を経口投与する。グルコース投与によりマウス血糖値は上昇し、投与後約30分後に最大となり徐々に減少する。グルコース投与後30分の血糖値を測定し、非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ投与の場合の血糖値と比較することで、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血糖値抑制作用を評価することができる。
一方、OGTTにおいて同程度の血糖値上昇抑制作用が確認されるときの投与量を比較することで、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血糖値抑制活性の強さを評価することができる。例えば、非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを10投与した場合と、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを1投与した場合で同じ血糖値抑制作用が得られる場合、該糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血糖値抑制活性は、非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの10倍である。
db/dbマウスを用いた血糖値抑制活性は、糖尿病マウスに被験化合物を投与後の血糖値の測定によって判断することができる。被験化合物投与後の血糖値を経時的に測定し、例えば投与後120分の血糖値が投与時より低下していれば、血糖値低下作用を確認することができる。また、例えば投与後300分の血糖値を測定することで、血糖値低下作用の持続性も判断することができる。
なお、血糖値抑制活性が非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと比較して低い場合あっても、血中安定性が増大することで、この活性の低さを補償することができる。
例えば、GLP−1活性のうち、インスリン分泌活性は、in vitroでのcAMP合成能試験などを用いて測定することができる。GLP−1はGLP−1受容体と結合することにより細胞内cAMP濃度を上昇させ、インシュリン分泌を促進させる。従って、例えば、マウスGLP−1受容体発現CHO−K1細胞を糖鎖付加抗原性GLP−1アナログで刺激し、細胞内で合成されるcAMP量を測定し、EC50値を非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと比較することで、糖鎖付加抗原性GLP−1アナログのインスリン分泌活性を評価することができる。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血中安定性は、好ましくは天然型のGLP−1と同等又はそれ以上であり、さらに好ましくは非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと同等又はそれ以上である。血中安定性は当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、血漿中における安定性や、DPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼIV)に対する耐性を測定し、半減期、AUC(薬物血中濃度−時間曲線下面積)等を指標に判断することができる。また、腎クリアランスの増大も血中安定性の増大に寄与する。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの血漿中における安定性は、好ましくは天然型GLP−1と同等又はそれ以上であり、さらに好ましくは非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと同等又はそれ以上である。
DPP−IVに対する耐性は、例えば、DPP−IV溶液中における半減期の測定により判断することができる。本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと比較して、DPP−IVに対する耐性は同等又はそれ以上である。
また、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも3、5、7、10、15、20時間及びさらに好ましくは少なくとも24時間の血中半減期を有する。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは、非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと比較して、その抗原性が低下している。抗原性の低下は、例えば、マウスを糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ又は非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログで感作し、それぞれのマウスの血中の抗GLP−1アナログ抗体価を測定して比較することにより、評価することができる。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの抗原性は、非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと比較して、好ましくは約2分の1以下、より好ましくは約3分の1以下、さらに好ましくは約4分の1程度に低下している。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの抗原性は、非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログと比較して、好ましくは約2分の1以下、より好ましくは約3分の1以下、さらに好ましくは約4分の1程度に低下している。
(医薬組成物)
次に、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物について説明する。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物は、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防に有効である。上述の通り、GLP−1には種々の作用が知られており、これらの作用に関連する疾患も様々である。例えば、GLP−1が、インスリン放出を刺激することにより、細胞によるグルコース取り込み及び血糖値の低下を引き起こすことが見出されている。また、胃及び/又は腸運動性を抑制すること、胃及び/又は腸内容排出を抑制すること並びに食物摂取を抑制することも見出されている。従って、GLP−1に関連する疾患には、例えば、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、インスリン依存性糖尿病、脳卒中(Efendicによる国際公開公報第WO00/16797号パンフレットを参照)、心筋梗塞(Efendicによる国際公開公報第WO98/08531号パンフレットを参照)、肥満(Efendicによる国際公開公報第WO98/19698号パンフレットを参照)、機能性消化不良、過敏性腸症候群(Efendicによる国際公開公報第WO99/64060号パンフレットを参照)、膵島移植が含まれる。本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物は、特に糖尿病の治療又は予防に有効であり、より特定すれば、1型糖尿病の予防、2型糖尿病の治療に有効である。
次に、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物について説明する。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物は、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防に有効である。上述の通り、GLP−1には種々の作用が知られており、これらの作用に関連する疾患も様々である。例えば、GLP−1が、インスリン放出を刺激することにより、細胞によるグルコース取り込み及び血糖値の低下を引き起こすことが見出されている。また、胃及び/又は腸運動性を抑制すること、胃及び/又は腸内容排出を抑制すること並びに食物摂取を抑制することも見出されている。従って、GLP−1に関連する疾患には、例えば、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、インスリン依存性糖尿病、脳卒中(Efendicによる国際公開公報第WO00/16797号パンフレットを参照)、心筋梗塞(Efendicによる国際公開公報第WO98/08531号パンフレットを参照)、肥満(Efendicによる国際公開公報第WO98/19698号パンフレットを参照)、機能性消化不良、過敏性腸症候群(Efendicによる国際公開公報第WO99/64060号パンフレットを参照)、膵島移植が含まれる。本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物は、特に糖尿病の治療又は予防に有効であり、より特定すれば、1型糖尿病の予防、2型糖尿病の治療に有効である。
上記医薬組成物は、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いて、通常の医薬組成物の形態に製剤したものである。
このような医薬組成物としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤等が挙げられる。
このような医薬組成物としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤等が挙げられる。
医薬組成物中に含有される本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの量は、特に限定されず広い範囲内から適宜選択することができるが、通常、医薬組成物中に本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを1〜70重量%含有させるのが好ましい。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物は、さらに他の有効成分を含有することもできるし、他の有効成分を含有する医薬組成物と組み合わせて用いることもできる。また、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物は、さらに異なる1以上の本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有することもできるし、異なる1以上の本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログを有効成分として含有する医薬組成物と組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る医薬組成物の投与方法としては特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与される。錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合の投与方法としては、例えば、経口投与が挙げられる。また、注射剤の場合には、単独で、又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して、静脈内、筋肉内、皮内、皮下又は腹腔内に投与することができる。坐剤の場合には、直腸内に投与される。
上記医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、通常、体重1kgに対して本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログが0.1〜900nmol、好ましくは1〜90nmolとなる投与量である。本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは非糖鎖付加抗原性GLP−1アナログに比べ、抗原性が低いので投与量を増やしても比較的安全性が高い。
上記医薬組成物の投与回数は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、3回/1日、2回/1日、1回/1日、さらにはその血中安定性に応じて、より頻度の少ない投与回数(例えば、1回/週、1回/月など)も選択しうる。好ましくは、上記医薬組成物の投与回数は、1回以下/1日である。
本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログに付加された糖鎖は、体内の代謝系で容易に分解される。また、本発明の一態様において、該糖鎖は生体内で糖ペプチド(又は糖タンパク質)として結合して存在する構造を有する。従って、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログ及び該ペプチドを有効成分として含む医薬組成物は、生体内に投与しても副作用や抗原性を示すことがなく、アレルギー反応や、抗体産生により薬効が得られなくなる心配が少ないなどの利点を有する。
さらに、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログは安定して簡便に大量に供給することが可能であり、品質の安定した、高品質の医薬品の提供という観点からも、非常に有用である。
本発明はまた、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの有効量を投与することを特徴とする、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防方法も提供する。
本発明はまた、本発明の糖鎖付加抗原性GLP−1アナログの有効量を投与することを特徴とする、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防方法も提供する。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
本発明の実施態様は模式図を参照しつつ説明される場合があるが、模式図である場合、説明を明確にするために、誇張されて表現されている場合がある。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。
実施例1 30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4(配列番号:6)の合成法
後述する合成例1により合成したEx−4(配列番号:10;配列番号:2に示すEx−4のアミノ酸配列の30位のGlyがCysで置換された39残基のペプチド)12.0mgと、下記式(a)で示すブロモアセチル化したジシアロ糖鎖(大塚化学株式会社製)36mgを100mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4、5mMトリスカルボキシエチルホスフィン 1mL中、37℃で1時間反応させた。
そのままHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min、;B液35→50% 20min linear gradient]で精製し、エキセンディン−4の30位のGlyがジシアロ糖鎖付加Cysで置換された糖鎖付加エキセンディン−4を10.6mg得た。(M:C271H422N58O123S MALDI TOF Mass calculated for [M+H]+6493.63,found 6494.33)
後述する合成例1により合成したEx−4(配列番号:10;配列番号:2に示すEx−4のアミノ酸配列の30位のGlyがCysで置換された39残基のペプチド)12.0mgと、下記式(a)で示すブロモアセチル化したジシアロ糖鎖(大塚化学株式会社製)36mgを100mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4、5mMトリスカルボキシエチルホスフィン 1mL中、37℃で1時間反応させた。
実施例2 30位Cys−ハイマンノース−5型糖鎖付加エキセンディン−4(配列番号:7)の合成法
後述する合成例1により合成したEx−4(配列番号:10;配列番号:2に示すEx−4のアミノ酸配列の30位のGlyがCysで置換された39残基のペプチド)1.2mgと、後述する合成例2で合成したブロモアセチル化した下記式(b)で示すM5糖鎖3.9mgを、35mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4、1mMトリスカルボキシエチルホスフィン 0.17mL中、37℃で3時間反応させた。
そのままHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 0.7ml/min、;B液35→50% 20min linear gradient]で精製し、エキセンディン−4の30位のGlyが高マンノース型M5糖鎖付加Cysで置換された糖鎖付加エキセンディン−4を0.5mg得た。(M:C233H362N54O97S MALDI TOF Mass calculated for[M(average)+H]+5504.74,found 5506.85)
実施例3 30位Cys−アシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:8)の合成
(1)28位Arg,30位Cys GLP−1(配列番号:11)の合成
Fmoc法によるによるペプチド固相合成法にて合成し、HPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min;B液20→95% 20min linear gradient]にて精製した。
(2)28位Arg,30位Cys−アシアロ糖鎖付加GLP−1(配列番号:12)の合成
合成した28位Arg,30位Cys GLP−1(7−37)21.9mgと下記式に示すアシアロブロモアセチル糖鎖40.3mg,水1.3mLを100mM TCEP 60μL,200mM HEPES buffer pH 7.5 700μL中、37℃で7時間反応させた。
そのままHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min;B液20→95% 20min linear gradient]で精製し、28位Arg,30位Cys−アシアロ糖鎖付加GLP−1(7−37)を20.8mg得た。
(3)30位Cys−アシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:8)の合成
(2)で合成した28位Arg,30位Cys−アシアロ糖鎖付加GLP−1(7−37)7.0mgとPal−Glu(OBu)−OSu(特表2002−512175号公報、例33参照)5.0mgをDIPEA4.6μL,NMP300μL、水200μL中で5分反応させた。Gly水溶液(Gly 6mg,水100μL,EtOH 100μL)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min;B液40→55% 15min 65℃ linear gradient]で精製し、凍結乾燥した(4.3mg)。
得られた凍結乾燥品の中から1.1mgをTFA処理した後、再度HPLC同条件で精製し(図1)、リラグルチドの30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysで置換された30Cysアシアロ糖鎖付加リラグルチドを0.8mg得た。(MALDI TOF Mass calculated for[M(average)+H]+5379.68,found 5378.42)
実施例4 30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:9)の合成
(1)28位Arg,30位Cys(acm)GLP−1(配列番号:13)の合成
Fmoc法によるペプチド固相合成法にて合成し、HPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min、;B液20→95% 20min linear gradient]にて精製した。
(2)30位Cysリラグルチドの合成
(1)で得られたペプチド10.4mgとPal−Glu(OBu)−OSu(特表2002−512175号公報、例33参照)9.0mgをDIPEA10.9μL,NMP 600μL、水300μL中で10分反応させた。Gly水溶液(Gly 29mg, 水400μL,EtOH 200μL)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min;B液48−55(7min)−65(8min)−100(9min),15min 65℃ linear gradient]で精製し、凍結乾燥した。
得られたペプチド8.2mgのうち5.2mgをTFA処理した後、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min、;B液45−47(1min)−50(7min)−95(8min),14min 65℃ linear gradient]で精製し、凍結乾燥した(3.2mg)。
凍結乾燥品3.2mgを2.5mM90%酢酸銀水溶液(160μL)に溶解させ、室温にて2時間撹拌した。ジチオスレイトール(3.8mg)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min、;B液45−48(1min)−50(7min)−95(8min),14min,65℃ linear gradient]で精製し(図2)、凍結乾燥し、リラグルチドの30位のArgがCysで置換されたペプチド(配列番号:14)を2.9mg得た。
(3)30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:9)の合成
(2)で得られた30位Cysリラグルチド1.6mg、下記式で示されるジシアロブロモアセチル糖鎖20.0mg、水 250μLを100mM TCEP 40μL,200mM HEPES buffer pH7.5 480μL中、37℃で6時間反応させた。
9時間後、そのままHPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0 ml/min;B液42−43(3min)−52(4min)−61(7min)−95(8min),14min,65℃ linear gradient]で精製し(図3)、下記式に示す、リラグルチドの30位Argがジシアロ糖鎖付加Cysで置換された30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド2.3mgを得た。(MALDI TOF Mass calculated for [M(average)+H]+5962.19,found 5963.04)
親油性置換基のLys(K20)への結合部位は、下記のとおりである。
後述する合成例1により合成したEx−4(配列番号:10;配列番号:2に示すEx−4のアミノ酸配列の30位のGlyがCysで置換された39残基のペプチド)1.2mgと、後述する合成例2で合成したブロモアセチル化した下記式(b)で示すM5糖鎖3.9mgを、35mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4、1mMトリスカルボキシエチルホスフィン 0.17mL中、37℃で3時間反応させた。
実施例3 30位Cys−アシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:8)の合成
(1)28位Arg,30位Cys GLP−1(配列番号:11)の合成
Fmoc法によるによるペプチド固相合成法にて合成し、HPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min;B液20→95% 20min linear gradient]にて精製した。
(2)28位Arg,30位Cys−アシアロ糖鎖付加GLP−1(配列番号:12)の合成
合成した28位Arg,30位Cys GLP−1(7−37)21.9mgと下記式に示すアシアロブロモアセチル糖鎖40.3mg,水1.3mLを100mM TCEP 60μL,200mM HEPES buffer pH 7.5 700μL中、37℃で7時間反応させた。
(3)30位Cys−アシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:8)の合成
(2)で合成した28位Arg,30位Cys−アシアロ糖鎖付加GLP−1(7−37)7.0mgとPal−Glu(OBu)−OSu(特表2002−512175号公報、例33参照)5.0mgをDIPEA4.6μL,NMP300μL、水200μL中で5分反応させた。Gly水溶液(Gly 6mg,水100μL,EtOH 100μL)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min;B液40→55% 15min 65℃ linear gradient]で精製し、凍結乾燥した(4.3mg)。
得られた凍結乾燥品の中から1.1mgをTFA処理した後、再度HPLC同条件で精製し(図1)、リラグルチドの30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysで置換された30Cysアシアロ糖鎖付加リラグルチドを0.8mg得た。(MALDI TOF Mass calculated for[M(average)+H]+5379.68,found 5378.42)
実施例4 30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:9)の合成
(1)28位Arg,30位Cys(acm)GLP−1(配列番号:13)の合成
Fmoc法によるペプチド固相合成法にて合成し、HPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min、;B液20→95% 20min linear gradient]にて精製した。
(2)30位Cysリラグルチドの合成
(1)で得られたペプチド10.4mgとPal−Glu(OBu)−OSu(特表2002−512175号公報、例33参照)9.0mgをDIPEA10.9μL,NMP 600μL、水300μL中で10分反応させた。Gly水溶液(Gly 29mg, 水400μL,EtOH 200μL)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min;B液48−55(7min)−65(8min)−100(9min),15min 65℃ linear gradient]で精製し、凍結乾燥した。
得られたペプチド8.2mgのうち5.2mgをTFA処理した後、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min、;B液45−47(1min)−50(7min)−95(8min),14min 65℃ linear gradient]で精製し、凍結乾燥した(3.2mg)。
凍結乾燥品3.2mgを2.5mM90%酢酸銀水溶液(160μL)に溶解させ、室温にて2時間撹拌した。ジチオスレイトール(3.8mg)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min、;B液45−48(1min)−50(7min)−95(8min),14min,65℃ linear gradient]で精製し(図2)、凍結乾燥し、リラグルチドの30位のArgがCysで置換されたペプチド(配列番号:14)を2.9mg得た。
(3)30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド(配列番号:9)の合成
(2)で得られた30位Cysリラグルチド1.6mg、下記式で示されるジシアロブロモアセチル糖鎖20.0mg、水 250μLを100mM TCEP 40μL,200mM HEPES buffer pH7.5 480μL中、37℃で6時間反応させた。
実施例5 20位Cys−ジシアロ糖鎖付加BIM51077(配列番号:21)の合成
合成例3にて合成したBIM51077の20位のLysがCysで置換された30残基のペプチド(配列番号:20)(2.4mg,0.72μmol)およびグアニジン(216mg)を蒸留水(240μL)に溶解し、順次TCEP水溶液(100mM、100μL)、下記式(a)で示すブロモアセチル化したジシアロ糖鎖(10mg/mL,100μL,4.26μmol)ならびに、500mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4,100μL)を加えた。
37℃で2時間反応させた後、そのままHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 0.7ml/min、;B液35→60% 20min lineargradient]で精製し、BIM51077の20位のLysがジシアロ糖鎖付加Cysで置換された糖鎖付加BIM51077ペプチド(配列番号:21)を1.9mg得た。(MALDI TOF Mass calculated for[M(average)+H]+5578.72,found 5578.74)
合成例3にて合成したBIM51077の20位のLysがCysで置換された30残基のペプチド(配列番号:20)(2.4mg,0.72μmol)およびグアニジン(216mg)を蒸留水(240μL)に溶解し、順次TCEP水溶液(100mM、100μL)、下記式(a)で示すブロモアセチル化したジシアロ糖鎖(10mg/mL,100μL,4.26μmol)ならびに、500mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4,100μL)を加えた。
比較例1 エキセンディン−4(配列番号:2)の合成
固相合成用カラムにRink−Amido−PEGA resin(メルク社製)(100μmol)をDMFで洗浄後、ペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸(0.5mmol)を0.45M HCTU・HOBT/NMP(2.5mmol)に溶解させ、固相合成用カラムに加え、続いて0.9M DIPEA/NMP(2.5mmol)を加えた。室温で20分間攪拌した後、樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄し、Fmoc基を15分20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて脱保護した。この操作を繰り返し、アミノ酸を順次縮合させた。
Fmoc基で保護したアミノ酸にはFmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Ala,Fmoc−Gly,Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Gly,Fmoc−Gly,Fmoc−Asn(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Leu,Fmoc−Trp(Boc),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Ile,Fmoc−Phe,Fomc−Leu,Fmoc−Arg(Pbf),Fmoc−Val,Fmoc−Ala,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Met,Fmoc−Gln(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Ser(tBu)Fmoc−Leu,Fmoc−Asp(OtBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Phe,Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Gly,Fmoc−His(Trt)を用い、固相樹脂にSer(tBu)−Pro−Pro−Pro−Ala−Gly−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Pro−Gly−Gly−Asn(Trt)−Lys(Boc)−Leu−Trp(Boc)−Glu(OtBu)−Ile−Phe−Leu−Arg(Pbf)−Val−Ala−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Met−Gln(Trt)−Lys(Boc)−Ser(tBu)−Leu−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Thr(tBu)−Phe−Thr(tBu)−Gly−Glu(OtBu)−Gly−His(Trt)の39残基ペプチドを得た(配列番号:15)。
得られたペプチドを形成した樹脂を一部固相合成用カラムにとり、トリフルオロ酢酸:水:TIPS(=95:2.5:2.5)を樹脂が十分に浸る程度に加え、3時間室温で撹拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18 5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8.0ml/min、;B液35→60% 20min linear gradient]で精製し、Ex−4の39残基のペプチド(配列番号:2)が得られた。
固相合成用カラムにRink−Amido−PEGA resin(メルク社製)(100μmol)をDMFで洗浄後、ペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸(0.5mmol)を0.45M HCTU・HOBT/NMP(2.5mmol)に溶解させ、固相合成用カラムに加え、続いて0.9M DIPEA/NMP(2.5mmol)を加えた。室温で20分間攪拌した後、樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄し、Fmoc基を15分20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて脱保護した。この操作を繰り返し、アミノ酸を順次縮合させた。
Fmoc基で保護したアミノ酸にはFmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Ala,Fmoc−Gly,Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Gly,Fmoc−Gly,Fmoc−Asn(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Leu,Fmoc−Trp(Boc),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Ile,Fmoc−Phe,Fomc−Leu,Fmoc−Arg(Pbf),Fmoc−Val,Fmoc−Ala,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Met,Fmoc−Gln(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Ser(tBu)Fmoc−Leu,Fmoc−Asp(OtBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Phe,Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Gly,Fmoc−His(Trt)を用い、固相樹脂にSer(tBu)−Pro−Pro−Pro−Ala−Gly−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Pro−Gly−Gly−Asn(Trt)−Lys(Boc)−Leu−Trp(Boc)−Glu(OtBu)−Ile−Phe−Leu−Arg(Pbf)−Val−Ala−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Met−Gln(Trt)−Lys(Boc)−Ser(tBu)−Leu−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Thr(tBu)−Phe−Thr(tBu)−Gly−Glu(OtBu)−Gly−His(Trt)の39残基ペプチドを得た(配列番号:15)。
得られたペプチドを形成した樹脂を一部固相合成用カラムにとり、トリフルオロ酢酸:水:TIPS(=95:2.5:2.5)を樹脂が十分に浸る程度に加え、3時間室温で撹拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18 5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8.0ml/min、;B液35→60% 20min linear gradient]で精製し、Ex−4の39残基のペプチド(配列番号:2)が得られた。
比較例2 GLP−1(配列番号:1)の合成
固相合成用カラムにAmino−PEGA resin(100μmol)を入れ、DCM、DMFで十分に洗浄した後、DMFで十分に膨潤させた。4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(0.25mmol)、TBTU(0.25mmol)、N−エチルモルホリン(0.25mmol)をDMF(2ml)に溶解させてカラムに入れ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びDCMで十分に洗浄し、HMPB−PEGA resinを得、固相合成の固相として用いた。
固相合成用カラムにAmino−PEGA resin(100μmol)を入れ、DCM、DMFで十分に洗浄した後、DMFで十分に膨潤させた。4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(0.25mmol)、TBTU(0.25mmol)、N−エチルモルホリン(0.25mmol)をDMF(2ml)に溶解させてカラムに入れ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びDCMで十分に洗浄し、HMPB−PEGA resinを得、固相合成の固相として用いた。
Fmoc−Gly(0.50mmol)とMSNT(0.50mmol)、N−メチルイミダゾール(0.375mmol)をDCM(2ml)に溶解させて、固相合成用カラムに入れ、25℃で3時間攪拌した。
攪拌後、樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄した。Fmoc基を15分20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて脱保護した。DMFで洗浄後、その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸をNMP(1ml)に溶解させ、0.45MHCTU・HOBT/NMP(0.4mmol)を加えた後に,固相合成用カラムに加え、続いて0.9MDIPEA/NMP(0.8mmol)を固相合成用カラムに加えた。室温で20分間攪拌した後、樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄し、Fmoc基を15分20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc基で保護したアミノ酸(0.5mmol)を使用しアミノ酸を順次縮合させた。
Fmoc基で保護したアミノ酸にはFmoc−Gly,Fmoc−Arg(Pbf),Fmoc−Gly,Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Val,Fmoc−Leu,Fmoc−Trp(Boc),Fmoc−Ala,Fmoc−Ile,Fmoc−Phe,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Ala,Fmoc−Ala,Fmoc−Gln(Trt),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Leu,Fmoc−Tyr(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Val,Fmoc−Asp(OtBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Phe,Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Ala,Fmoc−His(Trt)を用い、固相樹脂にGly−Arg(Pbf)−Gly−Lys(Boc)−Val−Leu−Trp(Boc)−Ala−Ile−Phe−Glu(OtBu)−Lys(Boc)−Ala−Ala−Gln(Trt)−Gly−Glu(OtBu)−Leu−Tyr(tBu)−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Val−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Thr(tBu)−Phe−Thr(tBu)−Gly−Glu(OtBu)−Ala−His(Trt)の31残基ペプチドを得た(配列番号:16)。
DCM及びDMFを用いて洗浄した後、31残基のペプチド5μmol相当の樹脂をエッペンチューブに移した。
得られたペプチドを形成した樹脂を一部固相合成用カラムにとり、トリフルオロ酢酸:水:TIPS(=95:2.5:2.5)を樹脂が十分に浸る程度に加え、3時間室温で撹拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC(Cadenza column C18 100×10mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=95:5→5:95 15分 流速3.0ml/min)で精製し、GLP−1(配列番号:1)を得た。
比較例3 リラグルチド(配列番号:3)の合成
リラグルチドの調製は特表JP2002−512175 例34の方法に従い下記の手順にて実施した。
Fmoc法によるペプチド固相合成法にて合成し、HPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min、;B液20→95% 20min linear gradient]にて精製した。
得られたペプチド10.4mgとPal−Glu(OBu)−OSu(9.0mg)をDIPEA10.9μL,NMP 600μL、水300μL中で10分反応させた。Gly水溶液(Gly 29mg,水400μL,EtOH 200μL)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min;B液48−55(7min)−65(8min)−100(9min),15min 65℃]で精製した後、凍結乾燥した。
得られた保護脂質化ペプチドをTFA処理した後、HPLC[カラム:Zorbax 300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min、;B液45−47(1min)−50(7min)−95(8min),14min,65℃]で精製した後、凍結乾燥することにより、リラグルチド(配列番号:3)を得た。(MALDI TOF Mass calculated for[M(average)+H]+3749.95,found 3750.97)
リラグルチドの調製は特表JP2002−512175 例34の方法に従い下記の手順にて実施した。
Fmoc法によるペプチド固相合成法にて合成し、HPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8ml/min、;B液20→95% 20min linear gradient]にて精製した。
得られたペプチド10.4mgとPal−Glu(OBu)−OSu(9.0mg)をDIPEA10.9μL,NMP 600μL、水300μL中で10分反応させた。Gly水溶液(Gly 29mg,水400μL,EtOH 200μL)を加え、HPLC[カラム:Zorbax300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min;B液48−55(7min)−65(8min)−100(9min),15min 65℃]で精製した後、凍結乾燥した。
得られた保護脂質化ペプチドをTFA処理した後、HPLC[カラム:Zorbax 300SB−CN、φ4.6x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 1.0ml/min、;B液45−47(1min)−50(7min)−95(8min),14min,65℃]で精製した後、凍結乾燥することにより、リラグルチド(配列番号:3)を得た。(MALDI TOF Mass calculated for[M(average)+H]+3749.95,found 3750.97)
合成例1 エキセンディン−4の30位がCysで置換されたペプチドの合成法
固相合成用カラムにRink−Amido−PEGA resin(メルク社製)(100μmol)をDMFで洗浄後、ペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸(0.5mmol)を0.45M HCTU・HOBT/NMP(2.5mmol)に溶解させ、固相合成用カラムに加え、続いて0.9M DIPEA/NMP(2.5mmol)を加えた。室温で20分間攪拌した後、樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄し、Fmoc基を15分20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて脱保護した。この操作を繰り返し、アミノ酸を順次縮合させた。
Fmoc基で保護したアミノ酸にはFmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Ala,Fmoc−Gly,Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Cys(Trt),Fmoc−Gly,Fmoc−Asn(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Leu,Fmoc−Trp(Boc),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Ile,Fmoc−Phe,Fomc−Leu,Fmoc−Arg(Pbf),Fmoc−Val,Fmoc−Ala,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Met,Fmoc−Gln(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Ser(tBu)Fmoc−Leu,Fmoc−Asp(OtBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Phe,Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Gly,Fmoc−His(Trt)を用い、
固相樹脂にSer(tBu)−Pro−Pro−Pro−Ala−Gly−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Pro−Cys(Trt)−Gly−Asn(Trt)−Lys(Boc)−Leu−Trp(Boc)−Glu(OtBu)−Ile−Phe−Leu−Arg(Pbf)−Val−Ala−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Met−Gln(Trt)−Lys(Boc)−Ser(tBu)−Leu−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Thr(tBu)−Phe−Thr(tBu)−Gly−Glu(OtBu)−Gly−His(Trt)
の39残基ペプチドを得た(配列番号:17)。
得られたペプチドを形成した樹脂を一部固相合成用カラムにとり、トリフルオロ酢酸:水:TIPS(=95:2.5:2.5)を樹脂が十分に浸る程度に加え、3時間室温で撹拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18 5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8.0ml/min、;B液35→60% 20min linear gradient]で精製し、Ex−4の30位のGlyがCysで置換された39残基のペプチドが得られた。(MALDI TOF Mass calculated for[M+H]+4230.60,found 4231.27)(配列番号:10)
固相合成用カラムにRink−Amido−PEGA resin(メルク社製)(100μmol)をDMFで洗浄後、ペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸(0.5mmol)を0.45M HCTU・HOBT/NMP(2.5mmol)に溶解させ、固相合成用カラムに加え、続いて0.9M DIPEA/NMP(2.5mmol)を加えた。室温で20分間攪拌した後、樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄し、Fmoc基を15分20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて脱保護した。この操作を繰り返し、アミノ酸を順次縮合させた。
Fmoc基で保護したアミノ酸にはFmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Pro,Fmoc−Ala,Fmoc−Gly,Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Pro,Fmoc−Cys(Trt),Fmoc−Gly,Fmoc−Asn(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Leu,Fmoc−Trp(Boc),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Ile,Fmoc−Phe,Fomc−Leu,Fmoc−Arg(Pbf),Fmoc−Val,Fmoc−Ala,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Met,Fmoc−Gln(Trt),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Ser(tBu)Fmoc−Leu,Fmoc−Asp(OtBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Phe,Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Gly,Fmoc−His(Trt)を用い、
固相樹脂にSer(tBu)−Pro−Pro−Pro−Ala−Gly−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Pro−Cys(Trt)−Gly−Asn(Trt)−Lys(Boc)−Leu−Trp(Boc)−Glu(OtBu)−Ile−Phe−Leu−Arg(Pbf)−Val−Ala−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Met−Gln(Trt)−Lys(Boc)−Ser(tBu)−Leu−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Thr(tBu)−Phe−Thr(tBu)−Gly−Glu(OtBu)−Gly−His(Trt)
の39残基ペプチドを得た(配列番号:17)。
得られたペプチドを形成した樹脂を一部固相合成用カラムにとり、トリフルオロ酢酸:水:TIPS(=95:2.5:2.5)を樹脂が十分に浸る程度に加え、3時間室温で撹拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18 5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8.0ml/min、;B液35→60% 20min linear gradient]で精製し、Ex−4の30位のGlyがCysで置換された39残基のペプチドが得られた。(MALDI TOF Mass calculated for[M+H]+4230.60,found 4231.27)(配列番号:10)
合成例2 ブロモアセチル化したM5糖鎖の合成法
大豆パウダー100gを、500mlのアセトンで2回、500mlのメタノールで2回洗浄し脱脂大豆パウダー61.4gを得た。
得られた脱脂大豆パウダー43.0gに水430ml、液化酵素T(HBI社製)4.3gを加え、撹拌しながら70℃で19時間反応させた。反応液を遠心分離(10000G、10分)して上清と沈殿物に分け、上清800mlを得た。さらに沈殿物に水430ml、液化酵素T4.3gを加えて再度70℃で19時間反応させ、反応液を遠心分離(10000G、10分)して上清と沈殿物に分け、上清600mlを得た。
得られた上清を合わせ(計1400ml)、500mMのリン酸緩衝液pH7.0を100ml、オリエンターゼONS(HBI社製)3.0gを加え、撹拌しながら50℃で19時間反応を行った。反応後の液をろ過して不溶物を除き、ロータリーエバポレーターにて液量が400mlになるまで濃縮した。得られた液を分画分子量1Kの限外ろ過膜(Minimate TFF Capsule 1K membrane ポール社製)を用いて限外ろ過を行った。
6時間の処理の後、膜を透過しなかった液230mlを回収した。回収した液に1Mトリス−塩酸緩衝液pH8.0を20ml、アジ化ナトリウム250mg、アクチナーゼE(科研製薬社製)423.5mgを加え37℃で82時間反応させた。反応液をろ過して不溶物を除いた後、ロータリーエバポレーターにて液量が100mlになるまで濃縮した。濃縮液を半分ずつ2回にわけてSephadex−G25(φ25mm×100mm)カラムにて分画し、糖鎖含有画分のみを集めて濃縮し2.22gを得た。
得られた糖鎖含有画分に蒸留水21.0ml、エタノール14.9mlを加えて溶かし、炭酸水素ナトリウム1.13g、Fmoc−OSu 2.02gを加え室温で16時間反応させた。反応後アセトン250mlを加え沈殿物をメンブレンフィルター(φ47mm、保持粒子経0.5μm アドバンテック東洋社製)でろ過した。膜上に残った不溶物を蒸留水に溶かして回収し、ロータリーエバポレーターにて液量が10ml以下になるまで濃縮した。濃縮液をSephadex−G25(φ25mm×100mm)カラムにて分画し、糖鎖含有画分を集めて濃縮し1.37gを得た。
これをさらに蒸留水4mlに溶かしてODSカラム(ワコーゲル100C18、φ25mm×150mm)にて分画し、糖鎖含有画分のみを集めて濃縮し、粗精製糖鎖48.6mgを得た。粗精製糖鎖をHPLC[カラム:YMC−PackODS−AM φ20×250mm、溶離液:アセトニトリル/25mM酢酸アンモニウム緩衝液=82/18、流速:8.0ml/min]にて精製し、ハイマンノース型Man5GlcNAc2糖鎖(M5糖鎖)13.0mgを得た。
得られたM5糖鎖11.0mgに水165μlを加えて溶かした。この溶液に炭酸水素アンモニウム200mgを加え室温で41時間処理した後、凍結乾燥した。得られた凍結乾燥品に炭酸水素ナトリウム12.5mg、水110μlを加え、予め10μlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた無水ブロモ酢酸(アルドリッチ社製)19.9mgを加え、氷冷しながら1時間反応させた。1時間後、反応系を室温に戻しさらに1時間反応させた後、ゲルろ過にて精製を行い、以下に示すブロモアセチル化M5糖鎖(b)7.9mgを得た。
大豆パウダー100gを、500mlのアセトンで2回、500mlのメタノールで2回洗浄し脱脂大豆パウダー61.4gを得た。
得られた脱脂大豆パウダー43.0gに水430ml、液化酵素T(HBI社製)4.3gを加え、撹拌しながら70℃で19時間反応させた。反応液を遠心分離(10000G、10分)して上清と沈殿物に分け、上清800mlを得た。さらに沈殿物に水430ml、液化酵素T4.3gを加えて再度70℃で19時間反応させ、反応液を遠心分離(10000G、10分)して上清と沈殿物に分け、上清600mlを得た。
得られた上清を合わせ(計1400ml)、500mMのリン酸緩衝液pH7.0を100ml、オリエンターゼONS(HBI社製)3.0gを加え、撹拌しながら50℃で19時間反応を行った。反応後の液をろ過して不溶物を除き、ロータリーエバポレーターにて液量が400mlになるまで濃縮した。得られた液を分画分子量1Kの限外ろ過膜(Minimate TFF Capsule 1K membrane ポール社製)を用いて限外ろ過を行った。
6時間の処理の後、膜を透過しなかった液230mlを回収した。回収した液に1Mトリス−塩酸緩衝液pH8.0を20ml、アジ化ナトリウム250mg、アクチナーゼE(科研製薬社製)423.5mgを加え37℃で82時間反応させた。反応液をろ過して不溶物を除いた後、ロータリーエバポレーターにて液量が100mlになるまで濃縮した。濃縮液を半分ずつ2回にわけてSephadex−G25(φ25mm×100mm)カラムにて分画し、糖鎖含有画分のみを集めて濃縮し2.22gを得た。
得られた糖鎖含有画分に蒸留水21.0ml、エタノール14.9mlを加えて溶かし、炭酸水素ナトリウム1.13g、Fmoc−OSu 2.02gを加え室温で16時間反応させた。反応後アセトン250mlを加え沈殿物をメンブレンフィルター(φ47mm、保持粒子経0.5μm アドバンテック東洋社製)でろ過した。膜上に残った不溶物を蒸留水に溶かして回収し、ロータリーエバポレーターにて液量が10ml以下になるまで濃縮した。濃縮液をSephadex−G25(φ25mm×100mm)カラムにて分画し、糖鎖含有画分を集めて濃縮し1.37gを得た。
これをさらに蒸留水4mlに溶かしてODSカラム(ワコーゲル100C18、φ25mm×150mm)にて分画し、糖鎖含有画分のみを集めて濃縮し、粗精製糖鎖48.6mgを得た。粗精製糖鎖をHPLC[カラム:YMC−PackODS−AM φ20×250mm、溶離液:アセトニトリル/25mM酢酸アンモニウム緩衝液=82/18、流速:8.0ml/min]にて精製し、ハイマンノース型Man5GlcNAc2糖鎖(M5糖鎖)13.0mgを得た。
得られたM5糖鎖11.0mgに水165μlを加えて溶かした。この溶液に炭酸水素アンモニウム200mgを加え室温で41時間処理した後、凍結乾燥した。得られた凍結乾燥品に炭酸水素ナトリウム12.5mg、水110μlを加え、予め10μlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた無水ブロモ酢酸(アルドリッチ社製)19.9mgを加え、氷冷しながら1時間反応させた。1時間後、反応系を室温に戻しさらに1時間反応させた後、ゲルろ過にて精製を行い、以下に示すブロモアセチル化M5糖鎖(b)7.9mgを得た。
合成例3 BIM51077の26位がCysで置換されたペプチドの合成法
固相合成用カラムにRink−Amido−PEGA resin(メルク社製)(100μmol)をDMFで洗浄後、ペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
固相合成用カラムにRink−Amido−PEGA resin(メルク社製)(100μmol)をDMFで洗浄後、ペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸(0.5mmol)を0.45M HCTU・HOBT/NMP(2.5mmol)に溶解させ、固相合成用カラムに加え、続いて0.9M DIPEA/NMP(2.5mmol)を加えた。室温で20分間攪拌した後、樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄し、Fmoc基を15分20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて脱保護した。この操作を繰り返し、アミノ酸を順次縮合させた。
Fmoc基で保護したアミノ酸にはFmoc−Arg(Pbf),Fmoc−Aminoisobutyric Acid(Aib),Fmoc−Lys(Boc),Fmoc−Val,Fmoc−Leu,Fmoc−Trp(Boc),Fmoc−Ala,Fmoc−Ile,Fmoc−Phe,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Cys(Trt),Fmoc−Ala,Fmoc−Ala,Fmoc−Gln(Trt),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Leu,Fmoc−Tyr(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Val,Fmoc−Asp(OtBu),Fmoc−Ser(tBu),Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Phe,Fmoc−Thr(tBu),Fmoc−Gly,Fmoc−Glu(OtBu),Fmoc−Aib,Fmoc−His(Trt)を用い、固相樹脂上にArg(Pbf)−Aib−Lys(Boc)−Val−Leu−Trp(Boc)−Ala−Ile−Phe−Glu(OtBu)−Cys(Trt)−Ala−Ala−Gln(Trt)−Gly−Glu(OtBu)−Leu−Tyr(tBu)−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Val−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Thr(tBu)−Phe−Thr(tBu)−Gly−Glu(OtBu)−Aib−His(Trt)の30残基ペプチドを得た(配列番号22)。
得られたペプチドを形成した樹脂を一部固相合成用カラムにとり、トリフルオロ酢酸:水:TIPS(=95:2.5:2.5)を樹脂が十分に浸る程度に加え、3時間室温で撹拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO UG−120(C18,5μm)、φ20x250mm、グラジエント:A液:0.1%TFA水、B液:0.09%TFA/10%水/90%AN 8.0ml/min、;B液35→60%20min linear gradient]で精製し、BIM51077の20位のLysがCysで置換された30残基のペプチド12mgが得られた。(MALDI TOF Mass calculated for[M(average)+H]+3315.69,found 3314.72)(配列番号20)
試験例1 糖鎖付加によるエキセンディン−4の抗原性低下作用の確認
マウスに非糖鎖付加エキセンディン−4あるいは30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4を感作し、血中の抗エキセンディン−4抗体濃度を比較することにより、糖鎖付加がエキセンディンの抗原性に与える効果を検証した。
初回免疫として、実施例1で合成した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4及び非糖鎖付加エキセンディン−4(American Peptide Company)を、Complete Freund’s adjuvant(Difco Laboratories)と充分に混合してエマルジョンとし、balb/cマウス(雌、7週齢)に腹腔内に投与した。
14日目に、Incomplete Freund’s adjuvant(Difco Laboratories)と充分に混合することによりエマルジョン化した糖鎖付加エキセンディン−4又は非糖鎖付加エキセンディン−4を、Balb/cマウス(雌、7週齢)に皮下投与し、追加免疫とした。
追加免疫から7日後にマウスから血漿を採取した。血漿中の抗エキセンディン−4抗体濃度は、市販の抗エキセンディン−4抗体(Antibodyshop)を標準品としたEnzyme−Linked Immunosorbent assay(ELISA)によって測定した。
50μgの非糖鎖付加エキセンディン−4を96穴ELISAプレートに添加し、37℃、2時間インキュベートした。プレートは0.05%Tween20含有Phosphate Buffered Saline(PBS)、pH7.4(洗浄バッファー)で3回洗浄し、0.5%bovine serum albumin含有洗浄バッファーで4℃、1晩ブロッキングした。ブロッキング後のプレートを3回洗浄した後、血漿サンプルをPBSで希釈することにより作製された希釈系列を添加し、37℃、2時間インキュベートした。洗浄バッファーを用いて3回洗浄されたプレートに50μLのperoxidase−conjugated goat anti−mouse IgGを添加し、37℃、2時間インキュベートした。プレートは洗浄バッファーを用いて3回洗浄し、100μLのABTS peroxidase substrate(Pierce)を添加し発色させた。発色反応は20%SDSを添加することによって停止し、405nmにおける吸光度を測定した。抗エキセンディン−4抗体の濃度は抗エキセンディン−4モノクローナル抗体を標準品として決定した。結果を図4に示す。
糖鎖付加の非糖鎖付加エキセンディン−4を免疫したマウスでは抗体産生が強く誘導され、その血漿中濃度は707±68.2mg/mLであった。これに対し、30位−Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4を免役したマウスの血漿中抗エキセンディン−4抗体濃度は非糖鎖付加エキセンディン−4を免疫した場合に比べて約4分の1(178.8±22.3mg/mL)に低下し、有意な抗原性低下作用を示した(p<0.001,Student’s t−test)。
マウスに非糖鎖付加エキセンディン−4あるいは30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4を感作し、血中の抗エキセンディン−4抗体濃度を比較することにより、糖鎖付加がエキセンディンの抗原性に与える効果を検証した。
初回免疫として、実施例1で合成した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4及び非糖鎖付加エキセンディン−4(American Peptide Company)を、Complete Freund’s adjuvant(Difco Laboratories)と充分に混合してエマルジョンとし、balb/cマウス(雌、7週齢)に腹腔内に投与した。
14日目に、Incomplete Freund’s adjuvant(Difco Laboratories)と充分に混合することによりエマルジョン化した糖鎖付加エキセンディン−4又は非糖鎖付加エキセンディン−4を、Balb/cマウス(雌、7週齢)に皮下投与し、追加免疫とした。
追加免疫から7日後にマウスから血漿を採取した。血漿中の抗エキセンディン−4抗体濃度は、市販の抗エキセンディン−4抗体(Antibodyshop)を標準品としたEnzyme−Linked Immunosorbent assay(ELISA)によって測定した。
50μgの非糖鎖付加エキセンディン−4を96穴ELISAプレートに添加し、37℃、2時間インキュベートした。プレートは0.05%Tween20含有Phosphate Buffered Saline(PBS)、pH7.4(洗浄バッファー)で3回洗浄し、0.5%bovine serum albumin含有洗浄バッファーで4℃、1晩ブロッキングした。ブロッキング後のプレートを3回洗浄した後、血漿サンプルをPBSで希釈することにより作製された希釈系列を添加し、37℃、2時間インキュベートした。洗浄バッファーを用いて3回洗浄されたプレートに50μLのperoxidase−conjugated goat anti−mouse IgGを添加し、37℃、2時間インキュベートした。プレートは洗浄バッファーを用いて3回洗浄し、100μLのABTS peroxidase substrate(Pierce)を添加し発色させた。発色反応は20%SDSを添加することによって停止し、405nmにおける吸光度を測定した。抗エキセンディン−4抗体の濃度は抗エキセンディン−4モノクローナル抗体を標準品として決定した。結果を図4に示す。
糖鎖付加の非糖鎖付加エキセンディン−4を免疫したマウスでは抗体産生が強く誘導され、その血漿中濃度は707±68.2mg/mLであった。これに対し、30位−Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4を免役したマウスの血漿中抗エキセンディン−4抗体濃度は非糖鎖付加エキセンディン−4を免疫した場合に比べて約4分の1(178.8±22.3mg/mL)に低下し、有意な抗原性低下作用を示した(p<0.001,Student’s t−test)。
試験例2 糖鎖付加エキセンディン−4の経口耐糖能試験(OGTT:Oral Glucose Tolerance Test)
実施例1で合成した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4、若しくは比較例1で合成した非糖鎖付加エキセンディン−4のPBS溶液(0.9nmol/10ml)、又は比較例2で製造したGLP−1のPBS溶液(9nmol/10ml)を、一晩絶食させたC57BL/6JJclマウス(10週齢、雄)に10ml/kgの投与量で腹腔内に投与した。
30分後にグルコース溶液を1mg/gの投与量で経口投与した。グルコース投与前、グルコース投与30分後、60分後、120分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。同様に、非糖鎖付加リラグルチドもdb/dbマウスに投与し、経時的に血糖値を測定して30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドの作用と比較した。結果を図5に示す。
30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4及び非糖鎖付加エキセンディン−4は同等の効果を示し、いずれもVehicle(PBSのみ)及びGLP−1より高い血糖上昇抑制作用を示した。
実施例1で合成した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4、若しくは比較例1で合成した非糖鎖付加エキセンディン−4のPBS溶液(0.9nmol/10ml)、又は比較例2で製造したGLP−1のPBS溶液(9nmol/10ml)を、一晩絶食させたC57BL/6JJclマウス(10週齢、雄)に10ml/kgの投与量で腹腔内に投与した。
30分後にグルコース溶液を1mg/gの投与量で経口投与した。グルコース投与前、グルコース投与30分後、60分後、120分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。同様に、非糖鎖付加リラグルチドもdb/dbマウスに投与し、経時的に血糖値を測定して30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドの作用と比較した。結果を図5に示す。
30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4及び非糖鎖付加エキセンディン−4は同等の効果を示し、いずれもVehicle(PBSのみ)及びGLP−1より高い血糖上昇抑制作用を示した。
試験例3 db/dbマウスを使用した糖鎖付加エキセンディン−4の血糖値低下作用の確認
実施例1で合成した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4のPBS溶液(9nmol/10mL)を、BKS.Cg−+Leprdb/+Leprdb/Jclマウス(10週齢、雄)に10mL/kgの投与量で腹腔内に投与した。化合物投与前、30分後、60分後、120分、240分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。
血糖値低下作用を、比較例1で合成した非糖鎖付加エキセンディン−4と比較した。結果を図6に示す。
非糖鎖付加エキセンディン−4の血中安定性は高く、投与後30分で強い血糖値低下作用を示し、その効果が240分後まで持続した。30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4は非糖鎖付加エキセンディン−4と同等の血糖値低下作用と持続性を示し、エキセンディン−4の30位のアミノ酸への糖鎖付加の影響は検出されなかった。
試験例1、2及び3の結果から、非糖鎖付加エキセンディン−4の30位への糖鎖付加はエキセンディン−4の薬理作用に影響を与えることなく、非糖鎖付加エキセンディン−4の抗原性を低下させる有効な方法であると考えられた。
実施例1で合成した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4のPBS溶液(9nmol/10mL)を、BKS.Cg−+Leprdb/+Leprdb/Jclマウス(10週齢、雄)に10mL/kgの投与量で腹腔内に投与した。化合物投与前、30分後、60分後、120分、240分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。
血糖値低下作用を、比較例1で合成した非糖鎖付加エキセンディン−4と比較した。結果を図6に示す。
非糖鎖付加エキセンディン−4の血中安定性は高く、投与後30分で強い血糖値低下作用を示し、その効果が240分後まで持続した。30位Cys−ジシアロ糖鎖付加エキセンディン−4は非糖鎖付加エキセンディン−4と同等の血糖値低下作用と持続性を示し、エキセンディン−4の30位のアミノ酸への糖鎖付加の影響は検出されなかった。
試験例1、2及び3の結果から、非糖鎖付加エキセンディン−4の30位への糖鎖付加はエキセンディン−4の薬理作用に影響を与えることなく、非糖鎖付加エキセンディン−4の抗原性を低下させる有効な方法であると考えられた。
試験例4 糖鎖付加リラグルチドの経口耐糖能試験(OGTT:Oral Glucose Tolerance Test)
実施例4で製造した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド、比較例2で製造したGLP−1若しくは比較例3で製造したリラグルチドのPBS溶液(9nmol/10ml)、又はPBS溶液を、一晩絶食させたC57BL/6JJclマウス(10週齢、雄)に10ml/kgの投与量で腹腔内に投与した。
30分後にグルコース溶液を1mg/gの投与量で経口投与した。グルコース投与前、グルコース投与30分後、60分後、120分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。結果を図7に示す。
30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド及び非糖鎖付加リラグルチドのいずれもVehicle(PBSのみ)及びGLP−1より高い血糖上昇抑制作用を示したが、30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドは、非糖鎖付加リラグルチドに比較して、更に高い血糖値上昇抑制作用を示した。
実施例4で製造した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド、比較例2で製造したGLP−1若しくは比較例3で製造したリラグルチドのPBS溶液(9nmol/10ml)、又はPBS溶液を、一晩絶食させたC57BL/6JJclマウス(10週齢、雄)に10ml/kgの投与量で腹腔内に投与した。
30分後にグルコース溶液を1mg/gの投与量で経口投与した。グルコース投与前、グルコース投与30分後、60分後、120分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。結果を図7に示す。
30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチド及び非糖鎖付加リラグルチドのいずれもVehicle(PBSのみ)及びGLP−1より高い血糖上昇抑制作用を示したが、30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドは、非糖鎖付加リラグルチドに比較して、更に高い血糖値上昇抑制作用を示した。
試験例5 糖鎖付加リラグルチドのdb/dbマウスを使用した血糖値上昇抑制作用試験
実施例4で製造した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドのPBS溶液(9nmol/10mL)を、BKS.Cg−+Leprdb/+Leprdb/Jclマウス(db/dbマウス、10週齢、雄)に10mL/kgの投与量で腹腔内に投与した。化合物投与前、30分後、60分後、120分、240分、480分、720分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。同様に、非糖鎖付加リラグルチドもdb/dbマウスに投与し、経時的に血糖値を測定して30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドの作用と比較した。結果を図8に示す。
30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドの血中安定性は高く、投与後30分で強い血糖値低下作用を示し、その効果が12時間後まで持続した。30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドは非糖鎖付加リラグルチドと同等の血糖値低下作用と持続性を示し、リラグルチドの30位のアミノ酸への糖鎖付加の影響は検出されなかった。
実施例4で製造した30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドのPBS溶液(9nmol/10mL)を、BKS.Cg−+Leprdb/+Leprdb/Jclマウス(db/dbマウス、10週齢、雄)に10mL/kgの投与量で腹腔内に投与した。化合物投与前、30分後、60分後、120分、240分、480分、720分後に眼窩採血を行い、アキュチェックアビバ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血糖値を測定した。同様に、非糖鎖付加リラグルチドもdb/dbマウスに投与し、経時的に血糖値を測定して30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドの作用と比較した。結果を図8に示す。
30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドの血中安定性は高く、投与後30分で強い血糖値低下作用を示し、その効果が12時間後まで持続した。30位Cys−ジシアロ糖鎖付加リラグルチドは非糖鎖付加リラグルチドと同等の血糖値低下作用と持続性を示し、リラグルチドの30位のアミノ酸への糖鎖付加の影響は検出されなかった。
配列表フリーテキスト
配列番号:1は、GLP−1である。
配列番号:2は、エキセンディン−4である。
配列番号:3は、リラグルチドである。
配列番号:4は、糖鎖付加エキセンディン−4の一般式である。
配列番号:5は、糖鎖付加リラグルチドの一般式である。
配列番号:6は、30位のGlyがジシアロ糖鎖付加Cysで置換されたエキセンディン−4である。
配列番号:7は、30位のGlyがハイマンノース−5型糖鎖付加Cysで置換されたエキセンディン−4である。
配列番号:8は、30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysで置換されたリラグルチドである。
配列番号:9は、30位のArgがジシアロ糖鎖付加Cysで置換されたリラグルチドである。
配列番号:10は、30位のGlyがCysで置換されたエキセンディン−4である。
配列番号:11は、28位LysがArgで、30位のArgがCysで置換されたGLP−1ペプチドである。
配列番号:12は、28位のLysがArgで、30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysで置換されたGLP−1である。
配列番号:13は、28位のLysがArgで、30位のArgがCys(acm)で置換されたGLP−1である。
配列番号:14は、30位−のArgがCysで置換されたリラグルチドである。
配列番号:15は、比較例1で合成された保護基を有するペプチドである。
配列番号:16は、比較例2で合成された保護基を有するペプチドである。
配列番号:17は、合成例1で合成された保護基を有するペプチドである。
配列番号:18は、BIM−51077である。
配列番号:19は、糖鎖付加BIM−51077の一般式である。
配列番号:20は、20位のLysがCysで置換されたBIM−51077である。
配列番号:21は、20位のLysがジシアロ糖鎖付加Cysで置換されたBIM−51077である。
配列番号:22は、合成例3で合成された保護基を有するペプチドである。
配列番号:1は、GLP−1である。
配列番号:2は、エキセンディン−4である。
配列番号:3は、リラグルチドである。
配列番号:4は、糖鎖付加エキセンディン−4の一般式である。
配列番号:5は、糖鎖付加リラグルチドの一般式である。
配列番号:6は、30位のGlyがジシアロ糖鎖付加Cysで置換されたエキセンディン−4である。
配列番号:7は、30位のGlyがハイマンノース−5型糖鎖付加Cysで置換されたエキセンディン−4である。
配列番号:8は、30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysで置換されたリラグルチドである。
配列番号:9は、30位のArgがジシアロ糖鎖付加Cysで置換されたリラグルチドである。
配列番号:10は、30位のGlyがCysで置換されたエキセンディン−4である。
配列番号:11は、28位LysがArgで、30位のArgがCysで置換されたGLP−1ペプチドである。
配列番号:12は、28位のLysがArgで、30位のArgがアシアロ糖鎖付加Cysで置換されたGLP−1である。
配列番号:13は、28位のLysがArgで、30位のArgがCys(acm)で置換されたGLP−1である。
配列番号:14は、30位−のArgがCysで置換されたリラグルチドである。
配列番号:15は、比較例1で合成された保護基を有するペプチドである。
配列番号:16は、比較例2で合成された保護基を有するペプチドである。
配列番号:17は、合成例1で合成された保護基を有するペプチドである。
配列番号:18は、BIM−51077である。
配列番号:19は、糖鎖付加BIM−51077の一般式である。
配列番号:20は、20位のLysがCysで置換されたBIM−51077である。
配列番号:21は、20位のLysがジシアロ糖鎖付加Cysで置換されたBIM−51077である。
配列番号:22は、合成例3で合成された保護基を有するペプチドである。
Claims (21)
- 抗原性GLP−1アナログの少なくとも1個のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換され、GLP−1活性を有する、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸が、糖鎖付加Asn又は糖鎖付加Cysである、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1又は2に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸において、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が4個以上の糖からなる糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が2本鎖複合型糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項5に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が、ジシアロ糖鎖、モノシアロ糖鎖、アシアロ糖鎖、ジグルクナック糖鎖、及びジマンノース糖鎖からなる群から選択される糖鎖である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記抗原性GLP−1アナログがエキセンディン−4である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項8に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖付加アミノ酸で置換された部位が、配列番号:2に記載のアミノ酸配列における30位である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記抗原性GLP−1アナログがリラグルチドである、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項11に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖付加アミノ酸で置換された部位が、配列番号:3に記載のアミノ酸配列における30位である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が実質的に均一である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、前記糖鎖が99%以上均一である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログに比較して抗原性が2分の1以下である、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体であって、糖鎖を付加していない抗原性GLP−1アナログより抗原性が低下し、天然型GLP−1よりGLP−1活性が上昇している、抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体を有効成分として含む医薬組成物。
- 請求項18に記載の医薬組成物であって、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防のための医薬組成物。
- 請求項19に記載の医薬組成物であって、前記GLP−1に関連する疾患が糖尿病である医薬組成物。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗原性GLP−1アナログの糖鎖付加体の有効量を投与することを特徴とする、GLP−1に関連する疾患の治療又は予防方法。
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