JP4148745B2 - 希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法 - Google Patents
希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼成前の蛍光体前駆体の製造方法、更に詳しくは希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体は、X線や電子線等の放射線の照射によって紫外乃至可視領域に瞬時発光を示すことが知られていて、例えば、放射線写真フィルムと放射線増感スクリーン(増感紙ともいう)の組合せを用いる放射線写真法において、増感スクリーン用の蛍光体として利用されている。また、この蛍光体は、X線等の放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーを輝尽発光として放出する輝尽性蛍光体としても知られ、蓄積性蛍光体を用いる放射線画像記録再生方法において放射線像変換パネル(イメージングプレートともいう)用の蛍光体として利用されている。
【0003】
放射線画像記録再生方法は、輝尽性蛍光体等の蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる方法であり、広く実用に共されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行なわれた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
【0004】
希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体は一般に、弗化バリウム、ハロゲン化バリウム、希土類ハロゲン化物、弗化アンモニウムなどからなる原料化合物を一緒に乾式または湿式(液相法)で混合したのち焼成することにより製造される。液相法で原料化合物を混合して反応させた場合には、まず蛍光体前駆体が得られ、これを焼成することにより目的の蛍光体が得られる。ここで、蛍光体前駆体とは、焼成工程に掛けられていない化合物であって、焼成後に得られる蛍光体とほぼ同一の化学組成式を有するものの、発光特性が殆どもしくは充分には付与されていない化合物を意味する。
【0005】
特許文献1には、14面体型の希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体[(Ba,MII)FX:MI,Ln、但し、MIIはSr及び/又はCa、MIはアルカリ金属、XはF以外のハロゲン元素、そしてLnは希土類元素である]およびその製造方法が開示されている。この輝尽性蛍光体は、14面体型の蛍光体前駆体結晶の沈殿物を得た後、蛍光体前駆体結晶沈殿物を焼成することにより製造される。そして、蛍光体前駆体結晶沈殿物は、BaX2とLnのハロゲン化物を含み、必要によりMIIのハロゲン化物とMIのハロゲン化物を含み、それらが溶解した後のBaX2濃度が1.4モル/L以下の水溶液を調製した後、この水溶液を20〜100℃の温度に維持しながら、これに無機弗化物の水溶液を添加することにより得られると記載されている。
【0006】
特許文献2には、反応容器内の弗化物以外のアルカリ土類金属ハロゲン塩水溶液を撹拌しながら、これに弗化物塩水溶液を供給管を通して供給することによって、希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体を製造する方法が開示されている。
また、特許文献3にも、弗化物(およびハロゲン化バリウム)以外の蛍光体前駆体原料を含む水溶液に濃度5N以上の無機弗化物の水溶液(およびハロゲン化バリウムの水溶液)を添加することにより、希土類元素の含有量が中心組成と表面組成で異なる希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体を製造する方法が開示されている。
【0007】
上記いずれの公報においても、弗素源として添加される弗化物は、弗化アンモニウムまたはアルカリ金属弗化物である。これら弗化物の水溶液をその他の蛍光体原料を含む水溶液に添加すると、実際には、添加後瞬時に反応が生じて蛍光体前駆体の粒子が生成するために、添加方法を一定速度で連続的に行う、間欠的に行うなどどのように工夫しようとも、粒子の形成が局所的に不均一となって、得られた蛍光体前駆体は粒径分布が広がったものとなる。よって、粒径分布が狭い、単分散の蛍光体前駆体を得ようとする上で、このことが問題となっている。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−233369号公報
【特許文献2】
特開平10−147778号公報
【特許文献3】
特開平10−265774号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、単分散性の高い希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を製造する新規な方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を製造する方法について検討した結果、液相反応法において、弗素源としてフルオロホウ素錯体を用い、このフルオロホウ素錯体を反応溶液中でトリガーの存在下で徐々に分解させて反応に関与しうるフリーの弗素イオンを放出させることにより、反応溶液中に蛍光体前駆体の粒子を均一に生成させることができ、その結果、単分散性の高い蛍光体前駆体粒子が得られること、さらにこの蛍光体前駆体を用いることにより単分散性の高い蛍光体が得られることを見い出し、本発明に到達したものである。
【0011】
従って、本発明は第一に、基本組成式(I):
Ba1-aMII aFX:yMI,zLn …(I)
[MIIはCa及びSrからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン元素を表し;LnはCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;そしてa、y及びzはそれぞれ、0≦a≦0.5、0≦y≦0.05、0<z≦0.2の範囲にある数値を表す]
を有する希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を製造するための下記工程からなる製造方法にある:
1)水系媒体に、バリウム化合物、フルオロホウ素錯体、弗化物以外のハロゲン化物および希土類化合物を溶解して、反応母液を調製する工程(第一工程);
2)反応母液にフルオロホウ素錯体の分解を促進するトリガーもしくはトリガーとなりうる物質を添加することにより希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を沈殿生成させる工程(第二工程);および
3)反応溶液から該蛍光体前駆体を分離する工程(第三工程)。
【0012】
また、本発明は第二に、上記基本組成式(I)を有する希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を製造するための下記工程からなる製造方法にもある:
1)水系媒体に、バリウム化合物、フルオロホウ素錯体の分解を促進するトリガーもしくはトリガーとなりうる物質、弗化物以外のハロゲン化物、および希土類化合物を溶解させて反応母液を調製する工程;
2)反応母液中にフルオロホウ素錯体を添加することにより希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を沈殿生成させる工程;および
3)反応溶液から該蛍光体前駆体を分離する工程。
【0013】
上記の第一および第二の方法によって製造された上記基本組成式(I)を有する希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体は単分散性が高い。
【0014】
上記の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を用いて焼成することにより、上記基本組成式(I)を有する単分散性が高い希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体を得ることができる。
【0015】
なお、蛍光体製造時の焼成工程の前後で、化学組成の変化が生じうるため、蛍光体前駆体の各成分の比と出来上がった蛍光体の各成分の比は若干異なる場合がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の蛍光体前駆体の製造方法において、好ましい態様は以下のとおりである。
(1)フルオロホウ素錯体がテトラフルオロホウ素錯体である。
(2)第一工程においてハロゲン化物が少なくとも臭化物であり、より好ましくハロゲン化物が臭化物および沃化物である。
(3)第一工程においてハロゲン化物が少なくとも沃化物である。
(4)第一工程において希土類化合物がセリウム化合物またはユーロピウム化合物である。
【0017】
以下に、本発明の下記基本組成式(I)を有する希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の第一の製造方法について、詳細に説明する。
【0018】
Ba1-aMII aFX:yMI,zLn …(I)
[MIIはCa及びSrからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン元素を表し;LnはCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;そしてa、y及びzはそれぞれ、0≦a≦0.5、0≦y≦0.05、0<z≦0.2の範囲にある数値を表す]
【0019】
[粒子形成工程]
(1)反応母液の調製
まず、水系媒体に、バリウム化合物、フルオロ錯体、弗化物以外のハロゲン化物(本明細書において単にハロゲン化物というとき、弗化物は含まれない)、および希土類化合物を溶解して、反応母液を調製する。
【0020】
バリウム化合物の例としては、酢酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、安息香酸バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、および沃化バリウムなど水に溶解し易いものが挙げられるが、特に臭化バリウムおよび沃化バリウムが好ましい。
【0021】
本発明においては弗素源として、フルオロ錯体が用いられる。フルオロ錯体は、フルオロホウ素錯体であることが好ましく、その例としては、M[BF2(OH)2](Mは、Na、K等のアルカリ金属又はNH4)等のジフルオロホウ酸塩;H[BF3(OH)]のトリフルオロホウ酸;M[BF3(OH)]、M[BF3(OCH3)]等のトリフルオロホウ酸塩;H[BF4]のテトラフルオロホウ酸;M[BF4]等のテトラフルオロホウ酸塩を挙げることができる。これらのうちでも、H[BF4]、Na[BF4]、K[BF4]、NH4[BF4]を好ましく使用することができる。
【0022】
フルオロ錯体を反応母液中に含有させる場合には、反応を開始するまで、フルオロ錯体からフリーの弗素イオンが実質的に発生しないようにすることが要求される。すなわち、フルオロ錯体が分解して弗素イオンを発生し、これにより安定で最終的に残留するような弗素化合物が生成しないようにしなければならない。不均一な反応や望まない副生成物の生成を防ぐためである。そのためには、反応母液の温度およびpHを一定範囲内で管理する必要がある。
【0023】
ハロゲン化物の例としては、塩化アンモニウム、塩化水素、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化アンモニウム、臭化水素、臭化リチウム、臭化カリウム、沃化アンモニウム、沃化水素、沃化リチウム、沃化ナトリウム、および沃化カリウムを挙げることができる。目的とする蛍光体前駆体の組成に応じて、これらハロゲン化物の中から適宜選択してあるいは組み合わせて使用する。本発明の蛍光体前駆体を用いて蛍光体を得た場合の発光特性(瞬時発光特性、輝尽発光特性等)などの点から、ハロゲン化物は少なくとも臭化物もしくは沃化物を含むことが好ましく、特に好ましくは臭化物と沃化物の組合せである。具体的には、臭化アンモニウムおよび沃化アンモニウムであることが好ましい。
【0024】
沃素とハロゲンX’(塩素及び/又は臭素)とを含む希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を安定して製造するためには、実験的に、反応母液中のハロゲンX’イオン濃度に対する沃素イオン濃度の比率([I-]/[X’-])を、目的の蛍光体前駆体の化学量論的比率よりもはるかに高くして、沃素イオンを過剰に存在させる必要があることが判明している。
【0025】
従って、ハロゲン化物が沃化物を含む場合には、[I-]/[X’-]比率が、0.30以上であって、かつ目的とする蛍光体前駆体における沃素とハロゲンX’の比率の10倍以上、すなわち化学量論比の10倍以上となるように、反応母液を調製することが望ましい。この[I-]/[X’-]比率は、2.0以上100.0以下であることが好ましく、より好ましくは10.0以上80.0以下であり、更に好ましくは20.0以上60.0以下であり、そして特に好ましくは30.0以上50.0以下である。
【0026】
具体的には、基本組成式(I)にて、沃素の含有量が0.02〜0.70(グラム原子)の範囲にある蛍光体前駆体を得るためには、反応母液中の上記[I-]/[X’-]比率を2.0以上100.0以下になるようにすることが好ましい。沃素含有量を0.05〜0.30の範囲にするには、[I-]/[X’-]比率を10.0以上80.0以下に、そして沃素含有量を0.08〜0.20の範囲にするには、[I-]/[X’-]比率を20.0以上、60.0以下、より好ましくは30.0以上、50.0以下になるようにすることが好ましい。
【0027】
なお、蛍光体前駆体における沃素含有量は、化学分析による方法や粉末X線回折法等の物理的測定方法など、公知の方法により測定することができる。例えばX線回折法では、弗化ハロゲン化バリウムの沃素含有量とその格子定数とがほぼ直線関係にあることを利用して、弗化塩化バリウム、弗化臭化バリウムまたは弗化沃化バリウム粉末等を標準試料として用い、蛍光体前駆体粉末の{hkl}面ピークの回折角度(2θ)を精密に測定することにより、沃素含有量を求めることができる。
【0028】
水溶性の希土類化合物の例としては、希土類元素のハロゲン化物(塩化物、臭化物または沃化物)、硝酸塩、および酢酸塩を挙げることができる。特に好ましい希土類化合物は、希土類ハロゲン化物である。本発明の蛍光体前駆体を用いて蛍光体を得た場合の発光特性などの点から、希土類元素はセリウムまたはユーロピウムであることが好ましい。
【0029】
反応母液には更に、必要に応じて、アルカリ土類金属(バリウムを除く)化合物、および/またはアルカリ金属化合物が含まれていてもよい。アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、および安息香酸塩を挙げることができる。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属のハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、および酢酸塩を挙げることができる。
【0030】
反応母液の調製は、撹拌機を備えた反応容器を用いて、適当な撹拌回転数にて撹拌しながら行う。このとき、所望により、反応母液に少量の酸、アルカリ、アルコール類、水不溶性金属酸化物微粒子粉体、水溶性高分子物質、凝集防止剤、および焼結防止剤などを添加してもよい。
【0031】
上記添加剤のうちでも水溶性高分子物質が特に好ましく、水溶性高分子物質の吸着作用により、略球状の粒子を形成することが可能である。水溶性高分子物質としては、ゼラチンを好ましく挙げることができる。ゼラチンとしては、ハロゲン化銀写真乳剤粒子調製に使用できるモノを好ましく使用することができる。ゼラチン中のアミノ基(−NH2)1個当たり少なくとも1個のカルボキシル基(−COOH)が導入された修飾ゼラチンが好ましく、その一例としてフタル化ゼラチンが挙げられる。より好ましくは、ゼラチン中のアミノ基(−NH2)1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基(−COOH)が導入された修飾ゼラチンであり、その一例としてトリメリット化ゼラチンが挙げられる。
【0032】
水溶性高分子物質は平均分子量が5000〜20万の範囲にあることが好ましい。一般に、平均分子量が小さい場合には生成する粒子が小サイズとなり、逆に大きい場合には大サイズ粒子が生成する傾向にある。水溶性高分子物質の使用量は、目的とする粒子のサイズに応じて決定することができるが、一般には0.01〜100g/Lの範囲にあり、好ましくは0.1〜50g/Lの範囲にあり、そしてより好ましくは0.5〜20g/Lの範囲にある。
【0033】
なお、水溶性高分子物質を含めた添加剤は、予め反応母液に溶解または分散させる以外に、後述する粒子の生成・成長と同時に添加してもよいし、あるいは粒子成長後に添加してもよいし、またあるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。
【0034】
反応母液中の全アルカリ土類金属(バリウムを含む)塩の濃度は、0.75乃至4.5モル/Lの範囲内で好適に設定することができる。
【0035】
反応母液の温度は、一般には0〜100℃の範囲にある。反応母液のpHは、一般には−2.0〜14.0の範囲にある。反応母液の温度およびpHは、蛍光体原料の組合せ、特にフルオロ錯体の種類に応じて好適に設定される。
【0036】
(2)沈殿生成
次いで、上記反応母液に、フルオロ錯体の分解を促進するトリガーもしくはトリガーとなりうる物質を添加して、反応溶液中に希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を沈殿生成させる。
【0037】
本発明において、フルオロ錯体の分解を促進するトリガー物質とは、反応溶液中で前記のフルオロ錯体を分解させてフリーの弗素イオンを放出させる物質であり、一般には酸またはアルカリが溶液の形態で用いられる。酸としては、例えば硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、弗化水素酸、塩酸、臭化水素酸、および沃化水素酸を挙げることができる。アルカリ溶液としては、例えばアンモニア水、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、および水酸化カリウム水溶液を挙げることができる。これらの中から適宜選択して、あるいはこれらを組み合わせて使用する。
【0038】
フルオロ錯体の分解を促進するトリガーとなりうる物質としては、その代表例として尿素が挙げられる。尿素は、反応溶液中で加水分解してアンモニア(トリガー)を生成する。尿素の加水分解は、反応溶液の温度やpHを調節することにより促すことができる。
【0039】
トリガーまたはトリガーとなりうる物質の添加は、例えばシングルジェット方式により、添加速度を制御しながら行うことが好ましい。ダブルジェット方式またはトリプルジェット方式で添加する場合には、そのタイミングは任意に選択することができるが、同時添加であることが好ましい。
【0040】
反応溶液の温度は、反応中40℃以上に保持されることが好ましく、より好ましくは60℃以上であり、そして更に好ましくは80℃以上である。反応温度は、生成する蛍光体前駆体の組成や粒子の形状、サイズに影響を及ぼす重要な条件である。
【0041】
あるいは、トリガーまたはトリガーとなりうる物質を全く添加しないで、単に反応溶液(反応母液)の温度を変えて一定時間維持する(すなわち、熟成する)ことなどによっても、フルオロ錯体からフリーの弗素イオンを放出させて反応を起こすことが可能である。
【0042】
反応溶液中に溶解しているフルオロ錯体は、トリガー物質の存在により、あるいは反応溶液の温度、pH等の条件により、次第に分解してフリーの弗素イオンを放出する。弗素イオンの発生により、反応が緩やかにかつ均一に進行して、蛍光体前駆体が生成し、沈殿する。
【0043】
[固液分離]
反応溶液から沈殿した蛍光体前駆体粒子を、吸引濾過、加圧濾過、あるいは遠心分離などの手段により分離する。次いで、分離した蛍光体前駆体粒子を、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールで充分に洗浄して、塩などの不要な残留物を除去する。洗浄後、50〜180℃の温度で、大気中または減圧下で所定時間乾燥して、水分および洗浄液成分を蒸発させる。
【0044】
このようにして、前述した基本組成式(I)を有する、単分散性の高い希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体が得られる。この蛍光体前駆体を用いて蛍光体を得た場合の発光特性(瞬時発光特性、輝尽発光特性等)などの点から、前記基本組成式(I)において、XはBrおよびIであることが好ましく、そしてLnはCeまたはEuであることが好ましい。
【0045】
本発明の第二の製造方法においては、弗素源であるフルオロ錯体を含有させないで反応母液を調製する。すなわち、水系媒体に、バリウム化合物、弗化物以外のハロゲン化物、希土類化合物、および必要に応じてアルカリ土類金属化合物とアルカリ金属化合物を溶解して、反応母液を調製する。その代わりに、この反応母液には予め、フルオロ錯体の分解を促進するトリガーもしくはトリガーとなりうる物質を含有させておいてもよい。好ましくは、トリガーとなりうる物質であり、特に好ましくは尿素である。
【0046】
次いで、反応母液にフルオロ錯体の溶液を添加して、蛍光体前駆体を沈殿生成させる。フルオロ錯体溶液の溶媒としては、水、低級アルコール等が挙げられる。上記トリガーもしくはトリガーとなりうる物質は、予め反応母液に含有させないで、この時点で溶液として反応母液に添加してもよい。これらの溶液は、前述した添加手段を用いて同時に、あるいは順次添加することができる。あるいは、前述したように、トリガーもしくはトリガーとなりうる物質を全く使用しないで、単に反応溶液を熟成することにより反応を起こさせることも可能である。
【0047】
反応母液にフルオロ錯体が添加されると、反応溶液中のフルオロ錯体はトリガーの存在により、あるいは反応溶液の温度、pH等の条件により、次第に分解してフリーの弗素イオンを放出し、これにより反応が緩やかにかつ均一に進行して、蛍光体前駆体が生成し、沈殿する。
【0048】
次に、この蛍光体前駆体を用いて、本発明の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体を製造する方法について説明する。
【0049】
[原料混合]
上記希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体は、それだけで焼成工程に掛けてもよいが、所望によりその他の蛍光体原料を添加混合してもよい。
【0050】
添加混合され得る蛍光体原料の例としては、ハロゲン化バリウム(BaF2、BaCl2、BaBr2、BaI2、BaFCl、BaFBr、BaFI、BaF(Br,I)等)、アルカリ土類金属ハロゲン化物(MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、SrF2、SrCl2、SrBr2、SrI2等)、アルカリ金属ハロゲン化物(LiF、LiCl、LiBr、LiI、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、CsI等)、金属酸化物(Al2O3、SiO2、ZrO2等)、希土類元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb)の化合物、例えばハロゲン化物、酸化物、硝酸塩、硫酸塩等、およびハロゲン化アンモニウム(NH4X’;ただし、X’はF、Cl、BrまたはIを表す)を挙げることができる。
【0051】
さらに、発光特性(輝尽発光強度、蓄積されたエネルギーの消去性能等)を改良する目的で、以下のような種々の成分を添加することもできる。前記蛍光体前駆体に含まれる元素以外の元素であって、例えばB、O、S、Asに代表される非金属元素、Al、Ge、Snに代表される両性元素、V、Be、Mn、Fe、Ni、Co 、Cu、Agに代表される金属元素、更にはテトラフルオロホウ酸化合物、ヘキサフルオロ化合物等を挙げることができる。
【0052】
蛍光体前駆体への上記蛍光体原料の混合調製方法としては、公知の混合方法の中から適宜選択して行うことができる。例えば、上記原料を秤量して単に蛍光体前駆体と混合する方法、上記原料の一部または全部を秤量、混合し、この混合物を100℃以上の温度で数時間加熱した後、得られた熱処理物を残りの原料および/または蛍光体前駆体に混合する方法、上記原料と蛍光体前駆体全てを懸濁液の状態で混合し、この懸濁液を加温下で、好ましくは30〜180℃の温度下で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥させる方法、あるいは上記原料と蛍光体前駆体のうちの一部を懸濁液の状態で混合、乾燥した後、得られた乾燥物を残りの原料等に混合する方法を挙げることができる。
【0053】
蛍光体前駆体と上記蛍光体原料との混合に際しては、剪断力を付与しうる手段を利用したり、あるいは各原料の添加、混合のタイミングなどの種々の条件を制御しうる手段を利用することができる。混合装置としては、公知の混合装置の中から適宜選択して用いることができるが、例えば各種ミキサー、V型ブレンダー、ボールミル、ロッドミル、ジェットミル、および自動乳鉢等を用いることができる。
【0054】
[焼成]
本発明において焼成とは、蛍光体前駆体、または蛍光体前駆体と蛍光体原料との混合物に所望の発光特性を付与して蛍光体とするための熱処理をいう。焼成工程に先立って、以下のような仮焼成工程を実施してもよい。
【0055】
(仮焼成)
仮焼成工程は、焼成工程(本焼成)における焼成温度よりも低い温度で、予め蛍光体前駆体またはその混合物粒子を熱処理する工程である。本焼成が、高温により蛍光体結晶の生成(結晶化)、および付活剤の結晶中への拡散など得られる蛍光体に発光特性(瞬時発光特性、輝尽発光特性、残光特性等)を付与する作用、これら全てを担っているのに対して、仮焼成は、焼成時の温度よりも低い温度によって粒子を結晶化させることが大きな目的である。仮焼成を行うことにより、後の本焼成との役割分担が明確になり、得られる蛍光体の発光特性をより自由に制御することができる。
【0056】
仮焼成は、蛍光体に発光特性を付与する作用を担っていないので、本焼成のように厳密な雰囲気管理を必要とせず、従って雰囲気炉等の焼成炉で焼成する必要がないため、簡単な構造の炉で行うことができる。また、仮焼成により、蛍光体前駆体またはその混合物に含まれる飛散すべき各種成分が飛散してしまうため、後の本焼成においては飛散が少なくなり、厳密な雰囲気管理を必要とする焼成炉の汚染を低減できる。このことは、得られる蛍光体の発光特性の安定化およびメンテナンス作業の負荷軽減につながる。なお、汚れ防止の観点から、蛍光体前駆体および個々の原料を別々に仮焼成し、その後にこれら全てを混合して本焼成することもできる。
【0057】
仮焼成は、200〜900℃の温度範囲であって本焼成の温度よりも低い温度で行う。200℃未満では粒子の結晶化および/または飛散すべき各種成分の飛散が不充分であり、逆に900℃を超えると、発光特性を付与する作用までも行われてしまう可能性がある。仮焼成温度と本焼成温度との差は、蛍光体前駆体またはその混合物の組成・仮焼成の時間等によっても異なるが、一般には20℃以上であり、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは100℃以上である。
【0058】
仮焼成の時間は、一般には0.1〜10時間であり、好ましくは0.5〜5時間であり、更に好ましくは1〜3時間である。0.1時間未満では、粒子の結晶化や各種成分の飛散が充分ではなく、逆に10時間を超えても効果は変わらず生産性が低下する。
【0059】
仮焼成において焼成雰囲気を厳密に制御する必要はなく、上記温度で焼成し得るものであれば如何なる炉を用いてもよく、例えばマッフル炉、ロータリーキルン、雰囲気炉等を挙げることができる。特に、連続的に焼成可能な連続炉(いわゆるトンネル炉)を用いることが蛍光体の生産性の観点より好ましい。
【0060】
上記蛍光体前駆体またはその混合物を充填した焼成容器を、トンネル炉等の仮焼成炉に投入することにより仮焼成を行う。焼成容器としては、一般に焼成に用いられる石英ボート等を用いてもよいが、容器本体と蓋部とから構成され、そして容器本体の開口部縁端と蓋部の外周周辺とが面で接触し、かつその面同士をすり合わせることにより密閉するような構造であることが好ましい。さらに、容器本体の開口部縁端と蓋部の外周周辺が接触する面は、シール剤(仮焼成の温度で固化し得る物質、または仮焼成の温度で溶融し得る物質)を介して接触して、容器が密閉されていることが好ましい。このような構造の焼成容器を用いることにより、適度に外気を遮断し、かつ焼成容器内の焼成雰囲気を保ちながら焼成を行うことができる。ただし、ここでいう「密閉」とは、必ずしも容器内外への気体の侵入や流出が全くない状態とは異なり、焼成中に容器内が加圧状態になれば蓋が持ち上げられ内部の気体が流出したり、容器内が減圧状態になれば外部の気体が侵入する状態も含まれる。焼成容器の材質としては、アルミナ、石英、SiC、SiN、カーボン、白金等が挙げられる。また、焼成容器を多重構造とし、内側の焼成容器に蛍光体前駆体またはその混合物を充填し、内側の焼成容器と外側の焼成容器との間には粉末状のカーボンブラックを充填してもよい。粉末状のカーボンブラックを充填することで、焼成容器内に残存する酸素を還元することができる。
【0061】
仮焼成後、得られた仮焼成物に必ずしも粉砕等を施す必要はないが、得られる蛍光体の粒径や仮焼成物の均一性の点から、乳鉢等で簡単にほぐしておいてもよい。
【0062】
(本焼成)
1)仮焼成物の充填:まず、仮焼成物、あるいは仮焼成を行わない場合には前記蛍光体前駆体またはその混合物を、石英ボート、石英るつぼ等の耐熱容器に充填する。仮焼成物の充填率は、耐熱容器の容積の10%〜60%の範囲にあることが好ましく、また、仮焼成物の厚みが均一になるように充填することが好ましく、最大厚みと最小厚みの差が平均厚みの50%以下であることが好ましい。充填率が10%未満であると生産性が低下し、逆に充填率が60%を超える場合および厚さが不均一な場合には、厚み方向に対する焼成雰囲気の効果に違いが生じて、得られる蛍光体の発光特性の低下やばらつきを生ずる可能性がある。
【0063】
2)焼成:耐熱容器に充填した仮焼成物を、加熱した電気炉に投入する。投入の際に、炉内は大気に開放されるが、高温での多量の酸素との接触を避けるために、炉芯への投入後に炉内の雰囲気を不活性ガス雰囲気に入れ換えることが好ましい。例えば、仮焼成物を充填した耐熱容器を炉内の低温部(500℃以下)に投入した後、炉内を密閉して真空ポンプ等の排気装置で真空に近い状態まで排気し、不活性ガスを導入し、次いでこの雰囲気を維持したまま、押入棒等の移動装置により耐熱容器を炉内の均熱部に移動する方法や、炉芯部に接続され、かつ炉芯部と気密に分離された雰囲気置換室を備えた焼成炉を用いる方法等が挙げられる。あるいは、炉内を予め加熱せずに仮焼成物を充填した耐熱容器を炉内の均熱部に投入し、炉芯内の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換した後に、電気炉の加熱を開始してもよい。
【0064】
焼成に用いる炉としてはチューブ炉が好ましいが、焼成時の雰囲気を任意に制御できるものである限り他の各種の炉に使用することができる。また、ロータリーキルン等を用いることにより、耐熱容器を用いずに仮焼成物をその炉芯管に直接投入し、炉芯管を回転させて仮焼成物を均一に雰囲気に接触させながら焼成してもよい。
【0065】
仮焼成物1kgに対して2〜500Lの焼成部分容積を有する炉が必要であり、中でも5〜50Lの焼成部分容積を有する炉が好ましい。焼成部分容積が仮焼成物1kgに対して2L未満であると、狭い空間に密に蛍光体を詰め込むことになり、全体的に均一な焼成を行うことが困難になることがあり、逆に500Lを超えると、揮発するハロゲンガス濃度が低すぎて、得られる蛍光体の発光特性が低下することがある。
【0066】
焼成炉は、炉芯内部の雰囲気を入れ換えたり、真空に近い状態で一定時間焼成可能な構造となっていることが好ましい。そのためには、各開閉部や駆動部の気密性が高い構造(炉のリークレートが15Pa/分以下)を有し、かつ焼成空間Va(L)に対して、1.0×Va(L/分)以上の排気速度を有する排気装置を備えていることが好ましい。排気装置としては、油回転式ポンプ、油拡散ポンプ、メカニカルブースターポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、またはそれらの組合せを用いることができる。
【0067】
焼成温度は、一般には500〜1000℃の範囲にあり、好ましくは700〜900℃の範囲にある。焼成温度が500℃未満では充分な発光特性を得られにくくなり、逆に1000℃を超えると母体結晶が溶融してしまうことがある。焼成の温度パターンとしては、焼成の間中温度を一定にしたり、あるいは焼成の後半に温度を一定の勾配で下げる(徐冷する)ようにしてもよい。
【0068】
焼成時間は、一般には0.5〜12時間であるが、好ましくは1〜5時間である。焼成時間が0.5時間未満では充分な発光特性を得られず、逆に12時間を超えても蛍光体の特性上の効果は少なく、生産性を低下させることになる。
【0069】
焼成雰囲気としては、中性または弱酸化性の雰囲気を用いる。中性雰囲気としては、He、Ne、Ar、N2等の不活性ガスが挙げられる。また、弱酸化性雰囲気とは、単位体積当たり100〜100000ppmの範囲、好ましくは150〜50000ppmの範囲の酸素を含有する不活性ガスの雰囲気を指す。あるいは場合によっては、少量の水素を含有する不活性ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元雰囲気を用いることもできる。
【0070】
弱酸化性雰囲気の場合には、酸素の導入量は、炉の焼成部分容積1Lに対して室温下で一般に0.1〜200mLであり、好ましくは0.2〜100mLである。酸素導入量が0.1mL未満であると、蛍光体の消去性能を充分に得られないことがあり、逆に200mLを超えると輝尽発光強度が著しく低下することがある。
【0071】
炉内への酸素の導入は、例えば一旦、炉内を真空に近い状態まで排気した後、酸素を所定量導入する。このとき、真空度は雰囲気中の酸素量を正確にするために15Pa以下とすることが好ましい。そして、不活性ガスを炉内に導入して大気圧近傍とする。これにより、必要な酸素量を正確に導入できると同時に、他の気体の影響を最小限に抑えることができる。あるいは、酸素の代わりに、空気等の酸素を含む気体を用いてもよい。この場合に、酸素を含む気体の導入量は、酸素量が所定の量となるように調整する。またあるいは、炉内の気体を所定量の酸素を含有する不活性ガスで置換することにより、炉内の酸素量を段階的または連続的に変化させてもよいし、また大気圧の中性または弱酸化性雰囲気中に単に微量の酸素を導入してもよい。さらに、炉内への酸素の導入は焼成開始時に行う必要はなく、焼成開始時点では不活性ガス雰囲気で焼成し、そして一定時間が経過した後に、上記と同様にして酸素を導入してもよい。
【0072】
焼成中、炉芯内に酸素を導入する目的以外にも、1〜30分/回の真空に近い状態までの真空排気を1回以上行うことが好ましい。なお、真空排気は、真空に近い状態まで行わなくても炉芯内が大気圧より低い圧力になればよい。これにより、焼成中の仮焼成物からハロゲンを飛散させて、蛍光体の発光強度を増加させることができる。
【0073】
炉芯内の雰囲気操作は、上述した方法に限定されるものではなく、また各種ガスの導入や真空排気のタイミング、焼成温度パターンおよび焼成時間を適宜組み合わせることができる。
【0074】
[冷却]
冷却工程は、焼成により得られた焼成物を、外気から遮断した状態で、焼成時の中性または弱酸化性雰囲気を除去しながら、もしくは所定の雰囲気に置換しながら、冷却する工程である。冷却工程は通常は、焼成工程、または徐冷を含む焼成工程を終了した後に直ちに行うが、冷却速度と冷却雰囲気を変化させながら段階的に行ってもよい。
【0075】
冷却工程において、焼成温度から焼成物取り出し温度までの平均冷却速度は、一般には0.1〜5℃/分であり、好ましくは0.3〜2℃/分である。段階的に冷却する場合には、焼成温度と取り出し温度との間に複数の温度を設定し、各冷却区間の平均冷却速度を変化させて冷却する。
【0076】
冷却は、自然放置により温度低下させる方法、冷却機を用いて温度制御しながら強制的に冷却する方法のいずれであってもよい。ただし、冷却時間を短縮し、良好な特性を有する蛍光体を安定に製造するためには、所望の温度に制御しながら冷却することが好ましい。冷却機としては、例えば冷却ファン等の空冷型冷却機や、冷却水を用いた水冷型冷却機が利用できる。
【0077】
冷却雰囲気としては、真空雰囲気、中性雰囲気、弱酸化性雰囲気を用いることが好ましい。段階的に冷却する場合には、各冷却区間の冷却雰囲気を変化させてもよい。真空雰囲気としては、15Pa以下にすることが好ましく、1.5Pa以下がより好ましい。中性雰囲気および弱酸化性雰囲気としては、焼成工程において前述した雰囲気を用いることができる。
【0078】
冷却終了時の耐熱容器の温度は500℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。冷却終了後に、焼成物を有する耐熱容器を炉外に取り出す。必要に応じて、焼成物を更に冷却してもよい。
【0079】
[ほぐし・篩分]
冷却された焼成物は、粒子同士が軽い焼結を生じていたり、凝集していることがあるので、ほぐし・篩分などの後処理を施すことが好ましい。焼成物をほぐし工程に掛けることにより、粒子同士の焼結や凝集をほぐして、得られる蛍光体の収率を上げることができる。また、篩分・分級工程に掛けることにより、焼結した粒子や大きく成長し過ぎた粗大サイズの粒子を除去することができる。このような粗大サイズの粒子は、放射線増感スクリーンや放射線像変換パネルの蛍光体層に用いたときに放射線画像の画質を著しく低下させることになるからである。
【0080】
ほぐし工程は、焼成物を、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+およびBa2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含む水溶液、または低級アルコール、ケトン等の有機溶媒中で撹拌することにより行う。低級アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。ケトンとしては、例えばメチルエチルケトン、アセトンが挙げられる。これらの金属は、Baよりもイオン化エネルギーが小さいか同一であるので、これら金属のイオンが存在する溶液に焼成物を分散させると、焼成物粒子中のBaが溶媒に溶解する速度が遅くなり、発光特性上の変化を起こさせずに撹拌によるほぐしを効果的に行うことができる。
【0081】
金属イオンは、一般に金属塩として溶媒に添加され、陰イオンと共存することになるが、この陰イオンは特には限定されない。金属塩としては、ハロゲン化物が好ましく、特には塩化物、臭化物および沃化物である。金属イオンを含む溶液は、例えば上記焼成物の一部を用いて調製したものであってもよい。また、金属イオンを含む溶液の濃度は、焼成物粒子中のBaが溶媒に溶解し難いような濃度であることが望ましいが、金属イオンの種類、陰イオンの種類、溶液の温度などに応じて、その飽和濃度以下で適宜選択される。
【0082】
撹拌手段は特には限定されないが、撹拌羽根による乱流撹拌が効率良くほぐし処理を行えるので好ましい。その他の撹拌手段としては、ロールミル、振動ミル等の粉砕機、ダブルコーン等の混合機を使用することもできる。撹拌の程度は、焼成による焼結や凝集を緩和し得る程度であればよく、撹拌装置の種類、焼成物の状態に応じて適宜設定すればよい。ただし、撹拌が強過ぎると、焼成物粒子がストレスで破砕されて発光特性が低下してしまう。
【0083】
撹拌時間も、焼成による焼結や凝集を緩和し得る程度であればよく、撹拌装置の種類、焼成物の状態に応じて適宜設定することができるが、一般的には30分以上48時間以下であり、好ましくは1時間以上24時間以下である。30分より短いと、焼結や凝集の緩和が進まず篩分時の収率が低下する。一方、48時間より長いと、Baの溶液中への溶解と再析出を繰り返すことで発光特性が低下する。
【0084】
ほぐし処理された焼成物の懸濁液、または懸濁液から分離された焼成物粒子を、次いで篩い分けする。篩分方法としては、湿式または乾式による篩い法、湿式サイクロンを用いた水流分級法、乾式サイクロンを用いた気流分級法、沈降法などが挙げられる。特に、ほぐし処理終了直後の懸濁液を連続的に処理できる湿式の篩い法が好ましい。
【0085】
篩い法におけるメッシュの目の径は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。湿式の篩い法では、メッシュの目詰りによる効率低下を防ぐために、複数段の構成とすることが好ましい。すなわち、径の異なるメッシュを順に大径から小径になるように、そして最下段のメッシュが所望の径となるようにして複数段で設ける。
最後に、篩い分けされた粒子に一般的な固液分離および乾燥処理を施す。
【0086】
このようにして、前記基本組成式(I)を有する、単分散性の高い希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体結晶が得られる。得られた本発明の蛍光体は、蛍光体材料を必要とする様々な用途に使用することができる。特に、放射線変換パネルの輝尽性蛍光体として好ましく使用することができる。
【0087】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
【0088】
[実施例1]蛍光体前駆体
(1)粒子形成
攪拌機を備えた反応容器に、反応母液(BaI20.5モル、NH4I0.556モル、NH4Br0.155モル、EuBr30.0005モル、Ca(CH3COO)20.001モル、及びCH3COOK0.01モルを含有する水溶液)203.5mLを用意し、80℃で撹拌保持した。この反応母液に、6.667MのHBF4水溶液3.75mLを添加して5分間保持した後、続いて28.5%のアンモニア水溶液15.0mLを一定流量で添加して、蛍光体前駆体粒子を生成させた。この間、反応溶液の温度は80℃に維持した。
【0089】
(2)固液分離
反応溶液から蛍光体前駆体粒子を濾別した後、イソプロピルアルコール500mLで洗浄した。次いで、蛍光体前駆体粒子に120℃で4時間の減圧乾燥を行い、本発明のユーロピウム付活弗化沃臭化バリウム系蛍光体前駆体粒子(Ba0.99Ca0.01FBr0.973I0.027:0.0005K,0.005Eu)20.1gを得た。
【0090】
得られた蛍光体前駆体について、下記条件にて粉末X線回折法により測定したところ、BaFBrおよびBaFIの組成は認められず、アルカリ土類金属に対する沃素含有率が2.7%(グラム原子比)の上記組成からなる単一相を構成していた。
管球:Cu、 管電圧:40kV、 管電流:30mA、
サンプリング幅:0.002゜、 走査速度:0.25゜/分、
発散スリット:1゜、 散乱スリット:1゜、
受光スリット:0.15mm
【0091】
[実施例2]蛍光体前駆体
実施例1の(1)粒子形成において、反応母液として、BaI20.5モル、NH4I0.556モル、NH4Br0.078モル、EuBr30.0005モル、Ca(CH3COO)20.001モル、及びCH3COOK0.01モルを含有する水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のユーロピウム付活弗化沃臭化バリウム系蛍光体前駆体粒子(Ba0.99Ca0.01FBr0.924I0.076:0.0005K,0.005Eu)16.6gを得た。
【0092】
得られた蛍光体前駆体について粉末X線回折法により測定したところ、BaFBrおよびBaFIの組成は認められず、アルカリ土類金属に対する沃素含有率が7.6%(グラム原子比)の上記組成からなる単一相を構成していた。
【0093】
[実施例3]蛍光体前駆体
実施例1の(1)粒子形成において、反応母液として、BaI20.5モル、NH4I0.556モル、NH4Br0.058モル、EuBr30.0005モル、Ca(CH3COO)20.001モル、及びCH3COOK0.01モルを含有する水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のユーロピウム付活弗化沃臭化バリウム系蛍光体前駆体粒子(Ba0.99Ca0.01FBr0.854I0.146:0.0005K,0.005Eu)14.8gを得た。
【0094】
得られた蛍光体前駆体について粉末X線回折法により測定したところ、BaFBrおよびBaFIの組成は認められず、アルカリ土類金属に対する沃素含有率が14.6%(グラム原子比)の上記組成からなる単一相を構成していた。
【0095】
[実施例4]蛍光体前駆体
実施例1の(1)粒子形成において、下記のようにしたこと以外は実施例1と同様にして、本発明のユーロピウム付活弗化沃臭化バリウム系蛍光体前駆体粒子(Ba0.99Ca0.01FBr0.930I0.070:0.0005K,0.005Eu)0.6gを得た。反応母液として、BaI20.5モル、NH4I0.556モル、NH4Br0.058モル、EuBr30.0005モル、Ca(CH3COO)20.001モル、CH3COOK0.01モル、及び尿素1.0モルを含有する水溶液218.5mLを用意し、30℃で撹拌保持した。この反応母液に、6.667MのHBF4水溶液3.75mLを添加した後、80℃に昇温した。引き続き80℃で120分間保持して、蛍光体前駆体粒子を生成させた。
【0096】
得られた蛍光体前駆体について粉末X線回折法により測定したところ、BaFBrおよびBaFIの組成は認められず、アルカリ土類金属に対する沃素含有率が7.0%(グラム原子比)の上記組成からなる単一相を構成していた。
【0097】
[実施例5]蛍光体前駆体
実施例4において反応母液として、BaBr20.222モル、EuBr30.0005モル、Ca(CH3COO)20.001モル、CH3COOK0.01モル、及び尿素1.2モルを含有する水溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、本発明のユーロピウム付活弗化臭化バリウム系蛍光体前駆体粒子(Ba0.99Ca0.01FBr:0.0005K,0.005Eu)0.7gを得た。
【0098】
得られた蛍光体前駆体について粉末X線回折法により測定したところ、上記組成からなる単一相を構成していた。
【0099】
[実施例6]蛍光体前駆体
実施例4において、反応母液として、BaI20.667モル、EuI30.0005モル、Ca(CH3COO)20.001モル、CH3COOK0.01モル、及び尿素1.2モルを含有する水溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、本発明のユーロピウム付活弗化沃化バリウム系蛍光体前駆体粒子(Ba0.99Ca0.01FI:0.0005K,0.005Eu)0.8gを得た。
【0100】
得られた蛍光体前駆体について粉末X線回折法により測定したところ、上記組成からなる単一相を構成していた。
【0101】
[比較例1]蛍光体前駆体
実施例1の(1)粒子形成において、下記のようにしたこと以外は実施例1と同様にして、比較のためのユーロピウム付活弗化沃臭化バリウム系蛍光体前駆体粒子(Ba0.99Ca0.01FBr0.924I0.076:0.0005K,0.005Eu)15.7gを得た。反応母液として、BaI20.5モル、NH4I0.556モル、NH4Br0.058モル、EuBr30.0005モル、Ca(CH3COO)20.001モル、及びCH3COOK0.01モルを含有する水溶液207.2mLを用意し、80℃で撹拌保持した。この反応母液に、6.667MのNH4F水溶液15.0mLを一定流量で添加して、蛍光体前駆体粒子を生成させた。この間、反応溶液の温度は80℃に維持した。
【0102】
得られた蛍光体前駆体について粉末X線回折法により測定したところ、BaFBrおよびBaFIの組成は認められず、アルカリ土類金属に対する沃素含有率が7.6%(グラム原子比)の上記組成からなる単一相を構成していた。
【0103】
実施例3および比較例1で得られた蛍光体前駆体粒子について、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果を、図1および図2に示す。
図1は、実施例3の蛍光体前駆体粒子の電子顕微鏡写真である。
図2は、比較例1の蛍光体前駆体粒子の電子顕微鏡写真である。
【0104】
図1および図2から、弗素源として従来の弗化アンモニウムを用いて製造した比較のための蛍光体前駆体粒子(比較例1)は、多数の微小粒子の間に粗大粒子が散在する多分散であることが判る。それに対して、弗素源としてテトラフルオロホウ酸を用い、トリガーとしてアンモニア水を用いて製造した本発明の蛍光体前駆体粒子(実施例3)は、沃素含有率が高い粒子でありながら、粒子サイズの揃った単分散であることが判る。
【0105】
[実施例7]蛍光体
実施例1〜6で得られた各蛍光体前駆体粒子に、アルミナの超微粒子粉末0.5重量%を添加した後、ミキサーで充分に混合した。これを石英ボートに充填し、チューブ炉を用いて窒素ガス雰囲気中830℃で2時間の焼成を行い、本発明のユーロピウム付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体粒子を得た。
【0106】
得られた各蛍光体について粉末X線回折法により測定したところ、いずれもその組成は各々の前駆体とほぼ同一であった。
【0107】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、液相反応法において弗素源としてフルオロ錯体を用いてその分解を促しながら反応を進めることにより、蛍光体前駆体の粒子を均一に形成することができ、単分散性の高い希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を得ることができる。また、この蛍光体前駆体を焼成することにより、単分散性の高い希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体を得ることができる。
【0108】
本発明の方法により製造される蛍光体前駆体の焼成により得られる蛍光体は単分散性が高いので、結合剤等に分散させたときに均一に分散させることができ、かつ充填率を上げることができる。そのため、この蛍光体を放射線増感スクリーンや放射線像変換パネルの蛍光体層に用いると、その層厚を薄くでき、結果として画質(鮮鋭度等)の向上した放射線画像を得ることができるので、有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光体前駆体の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】比較のための蛍光体前駆体の一例を示す電子顕微鏡写真である。
Claims (14)
- 基本組成式(I):
Ba1-aMII aFX:yMI,zLn …(I)
[MIIはCa及びSrからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン元素を表し;LnはCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;そしてa、y及びzはそれぞれ、0≦a≦0.5、0≦y≦0.05、0<z≦0.2の範囲にある数値を表す]
を有する希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を製造するための下記工程からなる製造方法:
1)水系媒体に、バリウム化合物、フルオロホウ素錯体、弗化物以外のハロゲン化物および希土類化合物を溶解して、反応母液を調製する工程;
2)反応母液にフルオロホウ素錯体の分解を促進するトリガーもしくはトリガーとなりうる物質を添加することにより希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を沈殿生成させる工程;および
3)反応溶液から該蛍光体前駆体を分離する工程。 - 工程1)において、さらにアルカリ土類金属化合物とアルカリ金属化合物とを添加溶解する請求項1に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- フルオロホウ素錯体がテトラフルオロホウ素錯体である請求項1に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)において、ハロゲン化物が少なくとも臭化物である請求項1乃至3のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)においてハロゲン化物が臭化物および沃化物を含む請求項1乃至3のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)においてハロゲン化物が少なくとも沃化物である請求項1乃至3のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)において希土類化合物がセリウム化合物またはユーロピウム化合物である請求項1乃至6のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 基本組成式(I):
Ba 1-a M II a FX:yM I ,zLn …(I)
[M II はCa及びSrからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;M I はLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン元素を表し;LnはCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;そしてa、y及びzはそれぞれ、0≦a≦0.5、0≦y≦0.05、0<z≦0.2の範囲にある数値を表す]
を有する希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体を製造するための下記工程からなる製造方法:
1)水系媒体に、バリウム化合物、フルオロホウ素錯体の分解を促進するトリガーもしくはトリガーとなりうる物質、弗化物以外のハロゲン化物、および希土類化合物を溶解させて反応母液を調製する工程;
2)反応母液中にフルオロホウ素錯体を添加することにより希土類付活弗化ハロゲン化 バリウム系蛍光体前駆体を沈殿生成させる工程;および
3)反応溶液から該蛍光体前駆体を分離する工程。 - 工程1)において、さらにアルカリ土類金属化合物およびアルカリ金属化合物を添加溶解する請求項8に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- フルオロホウ素錯体がテトラフルオロホウ素錯体である、請求項9に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)においてハロゲン化物が少なくとも臭化物である請求項8乃至10のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)においてハロゲン化物が臭化物および沃化物である請求項8乃至10のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)においてハロゲン化物が少なくとも沃化物である請求項8乃至10のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
- 工程1)において希土類化合物がセリウム化合物またはユーロピウム化合物である請求項8乃至13のいずれかの項に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体前駆体の製造方法。
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