JP4148693B2 - 直接アルコール型燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルコール燃料を直接アノードに供給する燃料電池に関し、詳しくは、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)やエタノールを主成分として含む燃料をアノードに直接供給することを特徴とし、さらに該燃料を効果的にアノード酸化するアノード材料を用いることを特徴とする小型軽量化に適した直接アルコール型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
直接メタノール型燃料電池(DMFC)は比較的低温(常温〜120℃)で運転する発電装置である。この燃料電池は、古くより研究されているように、メタノール燃料を直接アノードに供給するため、アルコールから水素を取り出すための改質器が不要となり、装置自体が小型化ならびに安価にできるだけでなく全体の運転手段も簡素化できる。このように利点の多い直接メタノール型燃料電池ではあるが、メタノールのアノード酸化反応が大きな過電圧を有するという欠点を有している。水素を燃料に用いる酸素−水素燃料電池では、水素の酸化速度が大きく、空気極(酸素極)における酸素還元が律速となっているが、直接メタノール型燃料電池では酸素還元よりもメタノール酸化がはるかに律速となってしまい、出力低下の回避を免れることができなかった。また、メタノールの持つ毒性は、人体の健康を害するばかりか生命の危険をも脅かすものである。さらに、直接メタノール型燃料電池においては、メタノール酸化の反応中間体としてギ酸やホルムアルデヒドが生成することが知られており、両者ともに毒性が報告されている。
【0003】
その一方で、液体燃料は水素ガスを燃料として使用する場合に比べて可燃物としての安全性及び小型化容易の面からおおきな期待が寄せられている。このような観点から、メタノール燃料の代わりにジメチルエーテルを用いる燃料電池が提案されているが、メタノールを使用する以上の出力特性は得られていないのが現状である。このため、液体燃料を直接アノードに供給する燃料電池でありながら、直接メタノール型燃料電池を上回る出力特性を有しかつ安全な燃料電池の開発が待ち望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池の電極反応は、アノード反応とカソード反応からなる。カソード反応は、通常酸素還元であり、これを回避することはできないため、アノード反応はこれより速い反応(反応速度が大きい)であることが要求される。すなわちアノード反応が全体の律速とならないことが望まれる。水素を燃料とする場合、この要件は満足されるが、水素燃料電池の取り扱いに対する要求が煩雑であることは前述したとおりであり、小型電源、特に携帯機器等の電源を目的としたパーソナル用途には不向きである。代わって有望視されるのが液体燃料であり、その筆頭候補にあげられるのがメタノールである。しかし、メタノールは水と混合する以外に単独で使用した場合、アノード酸化の過電圧が大きく取り出せる電流値も水素に及ばない。この他にもジメチルエーテルが有力候補にあげられているが、実際はメタノールを上回るアノード酸化特性を発現することがないのが現状である。メタノールの酸化が律速となる理由は、電極酸化を受ける過程で発生する一酸化炭素が電極に吸着し、白金をはじめとする電極触媒を被毒することが原因とされている。これを解決するため、さまざまな電極触媒の開発が検討されてきた。中でもPt−Ru合金を使用した場合、CO被毒を低減することが知られているが、この場合も依然として燃料極反応が酸素還元に比較して律速となっており、液体燃料を用いながらも液体燃料酸化反応の過電圧を低減し、燃料電池の起電力及び出力電流密度を上昇させる技術の開発が待ち望まれていた。
【0005】
以上、述べてきたように、液体燃料を直接アノードに供給するタイプの燃料電池は、携帯機器用をはじめとする小型、超小型電源として極めて有用なものである。このような要求に鑑み、本発明においては、液体燃料を使用しながらもメタノールに比較して反応の過電圧を低減し電流密度を上昇させる技術を通して、直接メタノール型燃料電池を上回る起電力と出力を有する燃料電池を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、意外にも燃料としてイソプロピルアルコール(2−プロパノール)を用いると、高起電力及び高出力を有する燃料電池が得られることを知見した。また本発明者らは、燃料としてエタノールを用い、これを所定温度に加熱されたアノードに供給することで、高起電力及び高出力を有する燃料電池が得られることを知見した。
【0007】
本発明は前記知見に基づきなされたものであり、少なくともアノード、カソード、これらの間に介在配置された電解質及び液体燃料を収納する部分並びにこれらを収容する筐体からなる直接アルコール型燃料電池において、イソプロピルアルコール又はイソプロピルアルコールと水の混合物からなる燃料が40℃以上80℃以下に加熱された前記アノードに直接供給されるようになされており、前記アノードが白金ルテニウム合金を有効成分として構成されており、前記白金ルテニウム合金におけるルテニウムに対する白金の元素比は、35/65以上50/50以下であることを特徴とする直接アルコール型燃料電池を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0010】
本明細書において「直接供給する」とは、アルコールを水素ガスやその他のガス等に改質せず、そのままの状態で燃料電池に供給することを意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。図1は、本発明の直接アルコール型燃料電池の単セル構造を示す概念図であり、筐体1a、1b内にイオン交換膜2と、それを挟持するカソード3とアノード4を有し、それらの外側に酸化剤流路5と液体燃料収納部6を具備してなる。
【0012】
イオン交換膜2は、アニオンまたはカチオンのいずれのイオン伝導タイプでも使用できるが、プロトン伝導タイプのものが好適に使用される。イオン交換膜2としては、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーを代表とする高分子膜をはじめとする公知の材料すべてが使用できる。
【0013】
カソード3及びアノード4は、それぞれ所定の触媒が塗布された多孔質カーボンペーパーである場合が多い。カソード3とアノード4との間に電解質膜2を介在配置させて挟持するか、或いはホットプレス又はキャスト製膜等によって三者を接合して、膜−電極構造体(Membrane Electrode Assembly)が構成される。多孔質カーボンペーパーには、必要であればポリテトラフルオロエチレンに代表される撥水剤を添加又は積層することもできる。
【0014】
アノード4は、多くの場合白金又は白金基合金を担持したカーボンをイオン伝導材料とともによく混合した上でイオン交換膜2に当接させることで構成されている。イオン伝導材料は、イオン交換膜2と同じ材料であると好ましい結果が得られる。アノード4をイオン交換膜2に当接させる方法としては、ホットプレス、キャスト製膜をはじめとする公知の方法が使用できる。白金又は白金基合金を担持したカーボン以外にも、アノード4として、貴金属又はそれらを担持したもの(電極触媒)や、有機金属錯体又はそれを焼成したものなど公知のものを使用できる。米国特許第5759712号明細書に開示されているような貴金属又は貴金属薄膜若しくはそれらの積層体を、アノード4として使用することもできる。これらの材料の中でも白金又は白金基合金が良好な結果を与える。
【0015】
白金基合金としては、白金と、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉄、ニッケル、金、コバルト、パラジウム、タングステン、モリブデン及び錫からなる群より選択される一種又は二種以上の元素との合金を用いることが、高起電力及び高出力の燃料電池が得られる点から好ましい。とりわけ白金ルテニウム合金を用いると、極めて良好な起電力及び出力が得られる。この観点から、白金ルテニウム合金における白金とルテニウムとの元素比(前者:後者)は、35:65から50:50であることが好ましい。
【0016】
カソード3も、多くの場合白金を担持したカーボンをイオン伝導材料とともによく混合した上でイオン交換膜2に当接させることで構成されている。イオン伝導材料は、イオン交換膜2と同じ材料であると好ましい結果が得られる。カソード3をイオン交換膜2に当接させる方法としては、ホットプレス、キャスト製膜をはじめとする公知の方法を使用することができる。白金を担持したカーボン以外にも、カソード3として、貴金属又はそれらを担持したもの(電極触媒)や、有機金属錯体又はそれを焼成したものなど公知のものを使用できる。
【0017】
カソード3側には、上方に酸化剤(多くの場合空気)を導入するための酸化剤導入孔(図示せず)が設けられる一方、下方に未反応空気と生成物(多くの場合水)を排出するための酸化剤排出孔(図示せず)設けられる。この場合、強制吸気及び/または強制排気手段を付設してもよい。また、筐体1aに空気の自然対流孔を設けてもよい。
【0018】
アノード4の外側には、液体燃料収納部6が設けられる。液体燃料収納部6は、アルコール燃料を収納するための部位であってもよいが、外部燃料収納部(図示せず)との流通路であってもよい。この際、燃料は、自然対流及び/または強制対流により撹拌されるものである。強制対流が必要な場合は、強制対流手段を付設してもよい。
【0019】
アノード4に直接供給される燃料が、イソプロピルアルコールを主成分として含むと、良好なセル起電力と出力が得られることが本発明者らの検討によって判明した。また、燃料が、イソプロピルアルコールと水との混合物であると、クロスオーバーが効果的に防止されて更に良好なセル起電力と出力が得られることも判明した。プロピルアルコールと水とのモル比(前者:後者)は、1:60から1:0.1、特に1:7から1:0.5であることが、高出力性能及び高起電力の燃料電池が得られる点から好ましい
【0024】
図1に示す直接アルコール型燃料電池の概念図は、単セルだけを表しているが、本発明においては、この単セルをそのまま使用してもよいし、複数のセルを直列及び/または並列接続して実装燃料電池とすることもできる。セル同士の接続方法は、バイポーラ板を使用する従来の接続方式を採用しても良いし、例えば"2000 Fuel Cell Seminar Abstracts", 791から812頁に記載の平面接続方式を採用してもよい。むろんその他公知の接続方式の採用も有用である。
【0025】
図2は、本発明の直接アルコール型燃料電池の別の実施形態を示す模式図である。図2に示す燃料電池は、やや厚みのある扁平な直方体の形状をしている。燃料電池内には、これを上下に仕切る燃料供給路6が形成されている。また燃料電池は、円筒状の容器7から構成された液体燃料の収納部分を有している。容器7は燃料電池に着脱可能になっている。容器7にはその側面に小孔7aが形成されている。容器7内に収納された燃料は小孔7aを通じて供給される。小孔7aは、容器7が筐体内へ装着される前は所定の封止手段(図示せず)によって封止されており、容器7内に燃料を密封収容することが可能になっている。小孔7aは、容器7が燃料電池内に装着されたときに、該小孔7aが前述の燃料供給路6と連通する位置に形成されている。
【0026】
本実施形態の燃料電池は2個以上のセルを具備している。詳細には、燃料供給路6の上側に4個のセルからなる第1のセル群が配置されている。一方、燃料供給路6の下側にも4個のセルからなる第2のセル群が配置されている。各セルは何れもアノード4、カソード3及びこれらの間に介在配置された電解質膜2から構成されており、個々に独立している。各セル群におけるセルは、平面状に配置されており且つ直列に結線されている。第1のセル群のセルと、第2のセル群のセルとは、それらのアノード4が、燃料供給路6を挟んで相対向するように配置されている。これと共に第1のセル群のセルと、第2のセル群のセルとは、それらのカソード3が外方を向くように配置されている。セルをこのように配置することで、燃料電池の小型化が容易となり、小型電源、特に携帯機器の電源として適したものとなる。また燃料を収納した容器7が着脱可能になっているので、燃料の補充が容易であり、これによっても本発明の燃料電池は携帯機器の電源として適したものとなる
【0027】
容器7内から燃料供給路6への燃料供給は、燃料が液体状態で行ってもよく、或いは気体状態で行ってもよい。何れの場合においても燃料の円滑な供給の点から、例えばSiO2やAl2O3などを焼結して得られた多孔質体、高分子繊維、高分子多孔質膜等から構成されていることが好ましい。高分子繊維や高分子多孔質膜を用いる場合には、これらが燃料にふれても変形しないことが必要である。
【0028】
図2において、横方向に隣接するセル間には,燃料がカソード3に到達すること(一種のクロスオーバー)を防止する点から、燃料遮断機能を有する部材を配置することが望ましい(図示せず)。例えばポリエチレン及びポリプロピレンに代表される高分子材料や、ガラス及び酸化アルミを始めとする無機酸化物を、隣接するセル間に充填することで、燃料のカソード3への到達を遮断できる。
【0029】
各セル群のセルにおけるカソード3は前述の通り外方を向いている。即ちカソード3は筐体と対向している。カソード3と筐体との間には空間が設けられている。また筐体には該空間と外部とを連通させる通気孔(図示せず)が設けられている。従って、カソード3と筐体との間の空間には、自然対流によって空気が流通する。これによってカソード3に酸素が供給される。カソード3への空気の供給を制御したい場合には、筐体の所定部位にファン等の強制対流手段を付設してもよい。
【0030】
容器7内に収納された燃料はアノード4での酸化反応によって消費される。この場合、燃料の種類によっては反応中間体及び/または反応生成物によって酸化反応が妨げられる場合がある。しかし、本実施形態においては、容器7を交換するという簡単な操作で反応系からこれらの物質を除去することができる。従って発電を容易に継続できる。この場合、容器7内には反応中間体及び/または反応生成物が含まれていることから、容器7ごと回収することで環境負荷を軽減できるという利点もある。
【0031】
本実施形態の燃料電池によれば、前述したように小型化が容易となる。従って、本実施形態の燃料電池はその容積を100cm3以下、特に20cm3以下といった小容積のものとすることが可能である。この容積は小さいほど好ましいが、現在到達可能な最小容積は10cm3程度となる。
【0032】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前述した図1及び図2に示す実施形態は本発明を説明するための一例であり、各々のセルの配置、配列、結線などに関して、図示する以外の公知の方法を使用することはまったく差し支えがない。
【0033】
また、燃料としてイソプロピルアルコールを用いた場合、アノードを加熱しなくても高起電力及び高出力が得られるが、アノードを加熱した状態下に発電を行うことは差し支えない。アノードを加熱する場合には、筐体内にアノード4の加熱手段(図示せず)を付設する必要がある。この加熱手段としては、例えば抵抗発熱体、PTC発熱体、赤外線、高周波、ベルチエ素子などの公知の加熱手段が使用できる。加熱手段は、アノード4を加熱し得る何れの部位に配置してもよいが、アノード4と燃料との接触を極力妨げないことが望ましい。例えば、加熱手段を液体燃料収納部6の中に配置してもよく、或いは筐体全体を加熱してもよい。尚、加熱手段によってアノード4を加熱する必要があるのは、主に燃料電池の運転開始時である。定常運転では反応に起因する自己発熱によってアノード4が加熱されるので、加熱手段によってアノード4を加熱する必要はない。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明を詳細に説明する。しかし、実施例は本発明を詳しく説明するためのものであり、本発明がこれらの実施例によってなんらの制約も受けないことは断るまでもない。
【0035】
参考例1及び比較例1〜3)
直径6mmの金箔に溶接器を用いて0.2mmの金線を溶接してリード部とした。この金箔部の両面にスパッタ製膜法で厚さ約0.1μmの白金層を設けた。1規定の過塩素酸水溶液に0.5モル/リットルとなるようにイソプロピルアルコール(参考例1)、エタノール(比較例1)、メタノール(比較例2)、1−プロパノール(比較例3)を加えて被検液とした。前記の白金層を設けた金電極を作用極、白金線を対極、標準水素電極を参照極に使用して、これらの電極を各々の被検液に浸漬し、常温で電気化学測定を行った。結果を図3に示す。図3の電流−電位曲線(サイクリックボルタモグラム)から、アルコールの中で最も活性であると思われていたメタノール(比較例2)よりも、イソプロピルアルコール(参考例1)の方が電流の絶対値が大きく、かつ電流が流れはじめる電位が卑方向にあることが分かり、燃料としてメタノールを上回るものであることが分かる。なお、エタノール(比較例1)、1−プロパノール(比較例3)は、図3の結果から、電流の絶対値と電流が流れはじめる電位の比較において、メタノールを上回る特性を示さないことが明らかである。
【0036】
参考例2及び比較例4〜6)
参考例1及び比較例1〜3で用いた電極に代えて、金箔の上に白金ルテニウム合金を両金属の元素比が5:5となるようにスパッタ法により設けた電極を用いた以外は参考例1及び比較例1〜3と同様な測定を行った。結果を図4に示す。各アルコールの電極酸化の序列は、白金電極の場合(図3参照)と変わらないが、とりわけイソプロピルアルコール(参考例2)とメタノール(比較例5)の場合に、白金電極よりも白金ルテニウム合金の方が、電流の絶対値が大きくかつ電流が流れはじめる電位も卑にシフトしていることが分かり、アルコールの電極酸化に有利に作用していることが明らかである。
【0037】
参考例3及び4並びに比較例7〜9)
純水に対して表1に示す各アルコールを0.5モル/リットルとなるように調整し、市販の燃料電池(H−TEC社製モデルPEMPower1−DMFC)の燃料極に投入した。なお、該燃料電池のカソード側は、空気の自然対流による酸素供給を行うものである。またアノードには白金とルテニウムとが元素比で1:1となっている白金ルテニウム合金が使用されている。各々の燃料を使用した場合の常温での燃料電池の開路電圧(起電力)と、電流を取り出した場合の最大出力(電流×電圧)を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004148693
【0039】
以上のように、イソプロピルアルコールを用いる直接アルコール型燃料電池は、従来液体燃料の中でメタノールが最良とされてきた燃料電池(DMFC)を、回路電圧と最大出力を総合した特性で上回ることが分かる。更に、前記の結果から、アノード極材料として白金ルテニウム合金が好適であることも判った。
【0040】
(実施例5及び参考例6並びに比較例10及び11)
参考例1並びに比較例1〜3で用いた電極及び被検液を用い、アノードを表2に示す温度に加熱して参考例1並びに比較例〜3と同様な電流−電位曲線の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004148693
【0042】
表2における参考例6と比較例10との対比から明らかなように、高温(40℃以上)においては、エタノールとメタノールとで、ほぼ同等の電流密度の値が得られることが判る。従って、アノード電極反応によって生ずる物質の安全性の点から、高温で燃料電池を運転する場合には、メタノールよりもエタノールの方が有利となることが判る。
【0043】
(実施例7及び参考例8並びに比較例12及び13)
参考例2並びに比較例4〜6で用いた電極及び被検液を用い、アノードを表3に示す温度に加熱して参考例2並びに比較例4〜6と同様な電流−電位曲線の測定を行った。測定結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0004148693
【0045】
参考例9並びに比較例14及び15)
参考例3並びに比較例7及び8において常温で連続24時間最大出力密度で運転を行い燃料極の水溶液をガスクロマトクラフィーで分析した。その結果、イソプロピルアルコール(参考例9)を燃料に用いた場合はイソプロピルアルコールとともに電解生成物としてアセトンが検出された。またメタノール(比較例14)の場合は生成物としてギ酸、ホルムアルデヒド、ギ酸メチルが検出された。エタノール(比較例15)の場合は酢酸が検出された。
【0046】
(実施例10及び参考例11並びに比較例16及び17)
参考例3並びに比較例7〜9において、アノードを表4に示す温度に加熱した以外は参考例3並びに比較例7〜9と同様な電流−電位曲線の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
Figure 0004148693
【0048】
(実施例12及び参考例13並びに比較例18及び19)
参考例2並びに比較例4〜6において白金ルテニウム合金の組成(元素比)を表5に示すように変え、且つアノードを50℃に加熱した以外は参考例2並びに比較例4〜6と同様な電流−電位曲線の測定を行った。測定結果を表5に示す。
【0049】
【表5】
Figure 0004148693
【0050】
参考例14及び15並びに比較例20及び21)
参考例2並びに比較例4〜6において白金ルテニウム合金の組成(元素比)を表6に示すように変え、且つアノードを100℃に加熱した以外は参考例2並びに比較例4〜6と同様な電流−電位曲線の測定を行った。測定結果を表6に示す。
【0051】
【表6】
Figure 0004148693
【0052】
【発明の効果】
本発明の直接アルコール型燃料電池によれば、直接メタノール型燃料電池を上回る起電力及び出力特性を得ることができる。また酸化反応の結果生ずる排出物の毒性が低く環境負荷が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直接アルコール型燃料電池の一実施形態の構成を表す概念図である。
【図2】本発明の直接アルコール型燃料電池の別の実施形態の構成を表す模式図である。
【図3】参考例1及び比較例1〜3のサイクリックボルタモグラムを示す図である
【図4】参考例2及び比較例4〜6のサイクリックボルタモグラムを示す図である

Claims (4)

  1. 少なくともアノード、カソード、これらの間に介在配置された電解質及び液体燃料を収納する部分並びにこれらを収容する筐体からなる直接アルコール型燃料電池において、
    イソプロピルアルコール又はイソプロピルアルコールと水の混合物からなる燃料が40℃以上80℃以下に加熱された前記アノードに直接供給されるようになされており、
    前記アノードが白金ルテニウム合金を有効成分として構成されており、
    前記白金ルテニウム合金におけるルテニウムに対する白金の元素比は、35/65以上50/50以下であることを特徴とする直接アルコール型燃料電池。
  2. 前記液体燃料を収納する部分が、前記筐体に着脱可能な容器からなることを特徴とする請求項1に記載の直接アルコール型燃料電池。
  3. 前記筐体は、その容積が100cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の直接アルコール型燃料電池。
  4. 前記液体燃料を収納する部分に収容されている前記燃料を前記アノードへ供給する供給路を更に有すると共に2個以上のセルを有しており、
    前記セルは、各セルにおける前記アノードが前記供給路を挟んで相対向するように配置されていると共に各セルにおける前記カソードが外方を向くように配置されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の直接アルコール型燃料電池。
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