JP4148488B2 - 紫外線レーザ装置および紫外線レーザ装置のガス供給方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバ内に導入した紫外線レーザ用ガスにキセノンガスを微量添加し、このチャンバ内でのパルス発振によって紫外線レーザ用ガスを励起してパルスレーザを発振する紫外線レーザ装置に関し、特に、既存のレーザガス供給設備の改修を伴うことなく、効率良くチャンバ内にキセノンガスを供給する紫外線レーザ装置および紫外線レーザ装置のガス供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エキシマレーザ装置などの紫外線レーザ装置を光源とする半導体露光装置では、露光とステージ移動を交互に繰り返して半導体ウエハ上のICチップの露光を行うため、紫外線レーザ装置は、レーザ光を所定回数連続してパルス発振させる連続パルス発振運転と、所定時間パルス発振を休止する発振休止とを繰り返すバースト運転を行っている。
【0003】
ところが、かかるバースト運転を行うと、エネルギーが次第に低下するバースト特性やスパイク特性が生じ、エキシマレーザ装置が出力するレーザ出力にバーストごとのエネルギー変動が生じ、結果的に露光量のばらつきを招くという問題があった。
【0004】
このため、本発明の出願人は、特願平11−23709号において、チャンバ内の紫外線レーザ用ガスに微量のキセノンガスを添加することにより、かかるバースト特性及びスパイク特性に起因する露光量のばらつきを改善する技術を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この先行技術では、チャンバ内にキセノンガスを供給するキセノンガスボンベを紫外線レーザ用ガスボンベと別個に設け、紫外線レーザガスの供給経路と全く異なる経路でキセノンガスをチャンバ内に供給する必要があるため、効率的とは言えない。
【0006】
特に、エキシマレーザを設置する現場には、本来必要となる紫外線レーザ用ガスボンベ等のレーザガス供給設備のみが配設されているため、単にキセノンガスをチャンバ内に供給するためだけにかかる設備を改修するのは効率的ではない。
【0007】
これらのことから、紫外線レーザ装置のバースト特性及びスパイク特性をキセノンガスの微量添加により解消する場合に、既存のレーザガス供給設備の改修を伴うことなく、いかに効率良くチャンバ内にキセノンガスを供給するかが極めて重要な課題となっている。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決して、紫外線レーザ装置のバースト特性及びスパイク特性をキセノンガスの微量添加により解消する場合に、既存のレーザガス供給設備の改修を伴うことなく、効率良くチャンバ内にキセノンガスを供給することができる紫外線レーザ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するため、本発明に係る紫外線レーザ装置は、バッファガスとしてのNeと希ガスとしてのKr又はArとハロゲンガスとしてのF2とが用いられる紫外線レーザ用ガスをチャンバ内に導入し、チャンバ内に導入した紫外線レーザ用ガスにキセノンガスを微量添加することによって、このチャンバ内でのパルス発振によって紫外線レーザ用ガスを励起してパルスレーザを発振したときに生ずる出力エネルギー変動を抑制するようにした紫外線レーザ装置において、前記キセノンガスを封入したキセノンガスボンベと、前記紫外線レーザ用ガスを封入した紫外線レーザ用ガスボンベと、前記紫外線レーザ用ガスボンベと前記チャンバとを連結する配管であって、当該配管上に第1のバルブ及び第2のバルブが設けられる紫外線レーザガス供給用配管と、前記紫外線レーザガス供給用配管のうちの第1のバルブと第2のバルブとの間の箇所と前記キセノンガスボンベとを連結する配管であって、当該配管上に第3のバルブが設けられるキセノンガス用配管とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明では、紫外線レーザ用ガスボンベとチャンバとを連結する紫外線レーザガス供給用配管の所定の位置とキセノンガスボンベとをキセノンガス用配管を介して連結するよう構成したので、既存のレーザガス供給設備を改修することなく、チャンバ内に軽易にキセノンガスを供給できるという効果を奏する。微量体積の配管内部に添加キセノンガスを入れ、圧力計を用いて当該キセノンガスを定量するため、簡易かつ精度良くキセノンガスをレーザガス中へ添加することができる。また、キセノンガスボンベをチャンバ近傍に設置しておけば、チャンバ交換時にはバルブを閉鎖し、配管継手を外せばチャンバとキセノンガスボンベとを同時に交換することができるため、キセノン定量配管内部に大気中などから不純物ガスが混入するおそれも少なくなる。
【0012】
この発明では、第1のバルブ、第2のバルブ及びその間の配管で形成される混合配管上に第3のバルブを配設し、該第3のバルブとキセノンガスボンベとをキセノンガス用配管で連結するよう構成したので、第1〜第3のバルブの開閉のみによって、キセノンガス又は紫外線レーザガスを軽易にチャンバ内に導入できるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る紫外線レーザ装置のガス供給方法は、バッファガスとしてのNeと希ガスとしてのKr又はArとハロゲンガスとしてのF2とが用いられる紫外線レーザ用ガスを封入する紫外線レーザ用ガスボンベと、第1のバルブと第2のバルブが設けられチャンバと紫外線レーザ用ガスボンベとを連結する紫外線レーザガス供給用配管と、第3のバルブが設けられ前記第1のバルブと第2のバルブとの間の配管とキセノンガスボンベとを連結するキセノンガス用配管と、前記第1のバルブと第2のバルブとの間の配管内の圧力を計測する圧力計と、を備えた紫外線レーザのガス供給方法において、前記紫外線レーザ用ガスボンベ側に位置する前記第2のバルブと前記第3のバルブを閉鎖し、かつ、前記チャンバ側に位置する前記第1のバルブを解放した状態で前記チャンバを排気した後、前記第1のバルブを閉鎖しつつ前記第3のバルブを解放して前記第1、第2、第3のバルブで囲まれる配管内にキセノンガスを供給し、前記第1、第2、第3のバルブで囲まれる配管内のガス圧が所定のガス圧となったことを前記圧力計で計測したならば、前記第3のバルブを閉鎖するとともに、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを解放することを特徴とする。
【0014】
この発明では、混合配管の紫外線レーザ用ガスボンベ側に位置する第2のバルブと第3のバルブを閉鎖し、かつ、混合配管のチャンバ側に位置する第1のバルブを解放した状態でチャンバを排気した後、該第1のバルブを閉鎖しつつ第3のバルブを解放して混合配管内にキセノンガスを供給し、該混合配管上のガス圧が所定のガス圧となったことを計測したならば、第3のバルブを閉鎖するとともに、第1のバルブ及び第2のバルブを解放するよう構成したので、チャンバの真空性及び第1〜第3のバルブの開閉を用いて、より簡単にキセノンガス又は紫外線レーザガスをチャンバ内に導入できるという効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る紫外線レーザ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお以下では、本発明をエキシマレーザ装置に適用した場合について説明することとする。
【0016】
図1は、実施の形態1で用いるエキシマレーザ装置の全体構成を示すブロック図である。
【0017】
同図に示すエキシマレーザ装置は、Ne等のバッファガスと、Ar若しくはKr等の希ガスと、F2などのハロゲンガスとからなるエキシマレーザ用ガスにキセノン(Xe)ガスを微量添加してチャンバ10内に封入し、このエキシマレーザ用ガスを放電電極間の図示しない放電によって励起させてレーザパルス発振を行う装置である。なお、単にエキシマレーザ用ガスのみをチャンバ10内に導入するのではなく、キセノンガスをもチャンバ10内に導入した理由は、このキセノンガスの存在によって、エキシマレーザ出力のバースト特性及びスパイク特性が改善されるからである。
【0018】
ここで、このエキシマレーザ装置は、Xeガスボンベ22をチャンバ10に直結するのではなく、3つのバルブ14〜16(各第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブとする。)で区切られた配管(この配管を「混合配管」と言う。)のバルブ16にXeガスボンベ22を結合するようにした点に特徴がある。
【0019】
すなわち、従来から現場にはレーザガス供給設備が設けられているが、Xeガスボンベ22からチャンバ10内にエキシマガスを供給できるようにレーザガス供給設備を改修することとすると、既存の設備を大幅に改修する結果となり効率的ではない。特に、キセノンガス添加を要しないレーザ装置も存在するため、キセノンガスの添加のためだけにレーザを用いた光処理を行う現場(半導体ウエハ露光ステッパーを設置するクリーンルームなど)のガス供給設備を大幅に改修するのは現実的ではない。
【0020】
このため、本実施の形態では、レーザガス供給設備の改修を伴うことなく、またチャンバ10に設ける配管口数を増やすことなく、キセノンガスをチャンバ10内に導入できるようにしている。
【0021】
同図に示すように、このエキシマレーザ装置は、ArFエキシマレーザを例に説明すると、チャンバ10と、狭帯域化ユニット11と、部分透過ミラー12と、ガス排気モジュール13と、バルブ14〜16と、圧力計17と、配管継手18と、給気モジュール19と、Ar/Ne混合ガスボンベ20と、Ar/Ne/F2混合ガスボンベ21と、Xeガスボンベ22と、ガスコントローラ23とを有する。
【0022】
チャンバ10は、Neガス、Arガス及びF2ガスからなるエキシマレーザ用ガスにキセノンガスを微量添加して封入する封入媒体であり、狭帯域化ユニット11は、発光したパルス光を狭帯域化するユニットであり、図示しないプリズムビームエキスパンダやグレーティングにより形成される。また、部分透過ミラー12は、発振レーザの一部分のみを透過出力し、他の一部をチャンバ10内へ戻すミラーである。
【0023】
ガス排気モジュール13は、チャンバ10内のガスを外部に排気するモジュールであり、バルブ14〜16は、チャンバ10から各ガスボンベに至る配管上に配設される。
【0024】
圧力計17は、バルブ14〜16で区切られる混合配管の圧力と、チャンバ10内の圧力を計測する計測装置であり、配管継手18は、レーザガス供給設備とチャンバ10へ向かう配管とを結合する結合部である。
【0025】
給気モジュール19は、Ar/Ne混合ガスボンベ20内のAr/NeガスとAr/Ne/F2混合ガスボンベ21内のAr/Ne/F2ガスの配管への供給量を制御するモジュールである。
【0026】
Ar/Ne混合ガスボンベ20は、アルゴンとネオンの混合ガスを蓄えるガスボンベであり、Ar/Ne/F2混合ガスボンベ21は、アルゴン、ネオン及びフッ素の混合ガスを蓄えるガスボンベであり、Xeガスボンベ22は、キセノンガスを蓄える小型のガスボンベである。
【0027】
ガスコントローラ23は、ガス排気モジュール13による排気制御及びバルブ14〜16の開閉制御を行う制御部である。
【0028】
このように、このエキシマレーザ装置では、Xeガスボンベ22を混合配管に結合し、ガスコントローラ23によるガス排気モジュール13及びバルブ14〜16の制御によって、エキシマレーザ用ガスにキセノンガスを微量添加するよう構成している。
【0029】
次に、図1に示すガスコントローラ23によるガス排気モジュール13及びバルブ14〜16の制御手順について説明する。
【0030】
図2は、図1に示すガスコントローラ23によるガス排気モジュール13及びバルブ14〜16の制御手順を示すフローチャートである。
【0031】
同図に示すように、このガスコントローラ23は、まず最初にバルブ14を開き、バルブ15及び16を閉じた後に(ステップ201)、ガス排気モジュール13によりチャンバ10内を排気する(ステップ202)。
【0032】
かかるガス排気モジュール13による排気によって、チャンバ10内はもとより混合配管内のガスも排気され、このチャンバ10及び混合配管内は真空状態に近い状態となる。
【0033】
そして、バルブ14を閉じてバルブ16を開くと(ステップ203〜204)Xeガスボンベ22のガス圧と混合配管内の真空性とによってXeガスボンベ22内のキセノンガスが混合配管内に流れ込む。
【0034】
その後、この混合配管内のガス圧を圧力計17で計測し、この圧力計17の計測値が所定の目標値以上となったならば(ステップ205)、バルブ16を閉じてキセノンガスの供給を停止する(ステップ206)。
【0035】
かかる状態でバルブ14を開くと、チャンバ10内の真空性により混合配管内のキセノンガスがチャンバ10内に導入され、該キセノンガスがチャンバ10内に拡散される(ステップ207)。
【0036】
その後、バルブ15を開いて給気モジュール19から供給されるエキシマレーザ用ガスをチャンバ10内に導入すると(ステップ208)、拡散されたキセノンガスがエキシマレーザ用ガスに添加される。
【0037】
上述してきたように、本実施の形態では、チャンバ10からエキシマレーザ用ガスボンベ20及び21に至る配管上にバルブ14〜16で仕切られる混合配管を設け、この混合配管とXeガスボンベ22とを連結するとともに、ガスコントローラ23によって、ガス排気モジュール13によるガス排気及びバルブ14〜16の開閉を制御することにより、エキシマレーザ用ガスにキセノンガスを微量添加し得るよう構成したので、既存のレーザガス供給設備及びチャンバの構造を改修することなく、効率良くエキシマレーザ用ガスにキセノンガスを微量添加することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るエキシマレーザ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すガスコントローラの制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 チャンバ
11 狭帯域化ユニット
12 部分透過ミラー
13 ガス排気モジュール
14,15,16 バルブ
17 圧力計
18 配管継手
19 給気モジュール
20 Ar/Ne混合ガスボンベ
21 Ar/Ne/F2混合ガスボンベ
22 Xeガスボンベ
23 ガスコントローラ
Claims (3)
- バッファガスとしてのNeと希ガスとしてのKr又はArとハロゲンガスとしてのF2とが用いられる紫外線レーザ用ガスをチャンバ内に導入し、チャンバ内に導入した紫外線レーザ用ガスにキセノンガスを微量添加することによって、このチャンバ内でのパルス発振によって紫外線レーザ用ガスを励起してパルスレーザを発振したときに生ずる出力エネルギー変動を抑制するようにした紫外線レーザ装置において、
前記キセノンガスを封入したキセノンガスボンベと、
前記紫外線レーザ用ガスを封入した紫外線レーザ用ガスボンベと、
前記紫外線レーザ用ガスボンベと前記チャンバとを連結する配管であって、当該配管上に第1のバルブ及び第2のバルブが設けられる紫外線レーザガス供給用配管と、
前記紫外線レーザガス供給用配管のうちの第1のバルブと第2のバルブとの間の箇所と前記キセノンガスボンベとを連結する配管であって、当該配管上に第3のバルブが設けられるキセノンガス用配管とを備えた
ことを特徴とする紫外線レーザ装置。 - 前記第1のバルブと前記第2のバルブと前記第3のバルブとの間の配管内の圧力を計測する圧力計を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線レーザ装置。 - バッファガスとしてのNeと希ガスとしてのKr又はArとハロゲンガスとしてのF2とが用いられる紫外線レーザ用ガスを封入する紫外線レーザ用ガスボンベと、第1のバルブと第2のバルブが設けられチャンバと前記紫外線レーザ用ガスボンベとを連結する紫外線レーザガス供給用配管と、第3のバルブが設けられ前記第1のバルブと第2のバルブとの間の配管とキセノンガスボンベとを連結するキセノンガス用配管と、前記第1のバルブと第2のバルブとの間の配管内の圧力を計測する圧力計と、を備えた紫外線レーザのガス供給方法において、
前記紫外線レーザ用ガスボンベ側に位置する前記第2のバルブと前記第3のバルブを閉鎖し、かつ、前記チャンバ側に位置する前記第1のバルブを解放した状態で前記チャンバを排気した後、前記第1のバルブを閉鎖しつつ前記第3のバルブを解放して前記第1、第2、第3のバルブで囲まれる配管内にキセノンガスを供給し、
前記第1、第2、第3のバルブで囲まれる配管内のガス圧が所定のガス圧となったことを前記圧力計で計測したならば、前記第3のバルブを閉鎖するとともに、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを解放する
ことを特徴とする紫外線レーザ装置のガス供給方法。
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