JP4094772B2 - フッ素レーザ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置の露光光源としてフッ素レーザのレーザ光を供給するフッ素レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
リソグラフィ用の露光機(ステッパ)に要求される性能としては、解像度、アライメント精度、処理能力、装置信頼性など種々のものが存在する。その中でも、パターンの微細化に直接つながる解像度Rは、R=k・λ/NA(k:定数、λ:露光波長、NA:投影レンズの開口数)によって表される。従って良好な解像度を得るためには、露光波長λが短い程有利になる。
【0003】
従来の露光機では、水銀ランプのi線(波長:365nm)や、波長248nmのクリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザが露光機光源として利用されている。これらはそれぞれ、i線露光機、及びKrF露光機と呼ばれている。これらi線露光機及びKrF露光機で用いられている投影光学系としては、石英ガラスから成るレンズを多数組み合わせた縮小投影レンズが広く用いられている。
【0004】
また次世代のリソグラフィ用の露光機として、より微細な加工を行うために、波長193nmのアルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザを光源に用いた露光機が用いられ始めている。これはArF露光機と呼ばれ、このArF露光機では、スペクトル幅(波長幅)が約0.6pmまで狭帯域化されたArFエキシマレーザが用いられており、縮小投影光学系には、二重の材質から成る色消しレンズが用いられている。
【0005】
なお、ArFエキシマレーザの波長幅を約0.6pmまで狭帯域化する狭帯域化素子としては、エタロン等の素子が知られている。
【0006】
更に上述したArF露光機の次世代のリソグラフィ用露光機としては、光源に波長が約157nmのフッ素レーザを用いたフッ素露光機が検討されている。
【0007】
このフッ素レーザにおいては、波長及び光強度が異なる2本の強い発振線(発振ラインとも呼ばれる)があり、波長はそれぞれ157.6299nmと157.5233nmであり、それぞれの発振線の波長幅は1〜2pmであると言われている。
【0008】
このようなフッ素レーザを露光に利用するには、一般に強度の大きい波長が157.6299nmのライン(以下、強いラインと呼び、もう一方を弱いラインと呼ぶ。)1本を、選択して用いる(以下、1ライン化と呼ぶ。)のが有利とされている。そこで、従来においては、その1ライン化にはプリズムが1〜2個用いられている。
【0009】
ただし、フッ素露光機では、それまでの露光機(すなわちArF露光機までの露光機)で一般に用いられてきたレンズのみによる屈折型の縮小投影光学系を適用することが困難となり、色収差に強い反射屈折型(カタディオプトリク型とも呼ばれる)を適用しなければならないと言われている。
【0010】
その理由としては、波長=157nmのフッ素レーザでは、石英ガラスにおける透過率が極めて低くなり、フッ化カルシウム等のごく限られた材質しか利用できなくなる。そして、このフッ化カルシウムのみによる単色レンズを用いて縮小投影レンズを構成するようにして、フッ素レーザを1ライン化したとしても、このフッ素レーザの発振レーザ光の狭帯域化は不充分である。こうした狭帯域化による波長幅は約2pm程度となるが、実際には、その1ライン化に対して、さらにその1/10程度の波長幅=約0.2pmまで狭帯域化する必要があると言われている。
【0011】
なお、フッ素露光機用のフッ素レーザの1ライン化に関しては、例えば、「SPIE 24th International Symposium on Microlithography,Feb.1999.」において、実験結果が報告されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フッ素レーザにおける波長が157nmのレーザ光は、酸素分子に強く吸収されるため、空気中をほとんど通過しない。そこで従来においては、フッ素レーザ装置内におけるレーザ光の光路を密閉容器で覆い、その密閉容器内を窒素で充填させるようにしていた。つまり、その密閉容器内部の空気を窒素で置換してからレーザ発振させるようにしていたが、窒素の空気との比重は、0.967と空気とほぼ同等であるため、空気との置換(窒素置換)に数十分(例えば30分〜1時間)も時間が掛かり、このためレーザ発振させるまでの準備時間(スタンバイ時間)を多く必要としていた。
【0013】
何故ならば、波長が157nmのレーザ光の吸収が無視できる酸素濃度が約10ppm以下まで空気を排気する必要があるが、密閉容器内を真空に引ける構造(すなわち剛性の高い構造)になっていないため、空気を真空に引かずに、後から注入する窒素で空気を押し出していたからである。
【0014】
なお、密閉容器内を真空状態にするためには、剛性の高い構造にしなければならず、コストが掛かってしまう。
【0015】
そこで、本発明の課題は、レーザ発振させるまでの待機時間を短縮させることのできるフッ素レーザ装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上記課題を達成するために、本発明の第1発明では、
フッ素レーザのレーザ光を発振するレーザチャンバを備えたフッ素レーザ装置において、
ヘリウムが充填され、レーザチャンバ内にヘリウムを注入するためのガス容器と、
レーザチャンバから発振されるレーザ光の光路と外部とを遮蔽する気密性容器と、
ガス容器からレーザチャンバ内にヘリウムを注入する第1の注入管と、
ガス容器から気密性容器内にヘリウムを注入する第2の注入管と
が備えられ、
第2の注入管は、レーザ光の光路よりも高い位置に設けられており、
更に、レーザ光の光路よりも低い位置に、気密性容器内の空気を排出させるための排気管が設けられていること
を特徴とする。
【0020】
上記第1発明乃至第4発明について図1を参照して説明する。
【0021】
レーザウインド13bと全反射鏡12との光路間には、レーザ光を狭帯域化するエタロン16が配置されている。
【0022】
エタロン16は、狭帯域化素子としての機能を有するものであり、レーザウインド13bから出射されるフッ素レーザのレーザ光を狭帯域化する。
【0023】
レーザウインド13aから出力鏡11までの光路(図中点線で示される部分)、及び出力鏡11から所定距離までの光路は、密閉容器17aで覆われており、一方、レーザウインド13bから全反射鏡12までの光路(図中点線で示される部分)は密閉容器17bで覆われている。
【0024】
2つの密閉容器17a、17bにおける光路よりも低い位置に、それぞれの密閉容器内部の空気を排出するための排気管18a、18bの一端が接続されており、また、2つの密閉容器17a、17bにおける光路よりも高い位置に、それぞれの密閉容器にヘリウム(He)を注入するための注入管19a、19bの一端が接続されている。
【0025】
これら注入管19a、19bのそれぞれの他端は、Heが充填されているHeボンベ20Aに一端が接続されているT字型の注入管21の他端が接続されている。なお、周知のように、Heは空気との比重が0.138であり、空気の約1/7と軽い。
【0026】
そして、バルブV1〜V4が閉じている状態において、レーザガスをレーザチャンバ13に充填する場合、先ず、バルブV1を開くと、Heボンベ20Aからは、Heが、注入管21及び注入管14を介してレーザチャンバ13に注入される。
【0027】
次に、所望の容量例えば所望の圧力に達するまでHeを注入した後、バルブV1を閉じて、バルブV2を開くと、F2/Heボンベ20Bからは、F2とHeとの混合ガスが、注入管14a、14を介してレーザチャンバ13内に注入される。
【0028】
そして、所望の容量例えば所望の圧力に達するまで混合ガスがレーザチャンバ13内に注入されたら、バルブV2を閉じる。なお、ここでもう一度、閉じているバルブV1を開けて、Heボンベ20AからのHeを注入するのが好ましく、これにより、注入管14内にフッ素(F2)が残らないようになる。この処理が終了したら、再度、バルブV1を閉じる。
【0029】
以上の手順で、フッ素とHeとの混合ガスがレーザチャンバ13内に所定の圧力に達するまで充填されると、レーザチャンバ13内で放電が可能になる。
【0030】
以上説明したように第1発明乃至第4発明によれば、空気に比べて比重が1/7と軽いHe(比重0.138)を、レーザ光の光路が形成される気密性容器内に充填するようにし、またその光路よりも低い位置に設けられる排気管により気密性容器内の空気を排出するようにしているので、空気をHeと置換するための時間を、従来の如く空気を窒素と置換するための時間と比較して、大幅に短縮することができる。
【0031】
このため、レーザ発振が可能なスタンバイ状態になるまでの時間を従来と比較して大幅に短縮することができる。
【0032】
しかもその置換のために必要なHeは、新たにHeボンベを備える必要はなく、従来においてレーザガスとして利用しているHeボンベに充填されているHeを使用すれば良いので、その分、コスト及びスペースを削減することができる。
【0033】
またフッ素レーザ装置においては、狭帯域化素子が配置されているので、フッ素レーザの発振ラインを約0.2pmに狭帯域化することができる。
【0034】
しかも、気密性容器内はHeで充填されているので、レーザ動作によりHeの温度が上昇した場合であっても、Heは窒素と比較して屈折率の変化が約1/8.5も小さいので、温度変化による屈折率の変化は約1/8.5となり、結果として、発振波長の変動を小さくすることができる。
【0035】
したがって、第1発明乃至第4発明によれば、特別に、波長を安定化させるための制御をすることなく、長時間安定した波長でレーザ動作させることが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、フッ素レーザ装置100の構成を示す構成図である。
【0038】
同図に示すように、フッ素レーザ装置100では、出力鏡11と全反射鏡12とで安定型共振器が構成されている。この安定型共振器内には、レーザチャンバ13が設けられており、このレーザチャンバ13には、レーザガスを注入するための注入管14の一端と、レーザチャンバ13内の気体を排出するための排気管15の一端とが接続されている。
【0039】
またレーザチャンバ13の光路方向の両側には、内部の気体が、排気管15以外の箇所から排出されないように(漏れないないように)、レーザ光を透過させる材質から形成されたレーザウインド13a、13bが密着されている。
【0040】
レーザウインド13bと全反射鏡12との光路間には、レーザ光を狭帯域化するエタロン16が配置されている。
【0041】
エタロン16は、狭帯域化素子としての機能を有するものであり、レーザウインド13bから出射されるフッ素レーザのレーザ光を狭帯域化する。
【0042】
すなわち、エタロン16は、フッ素レーザにおける、波長と光強度が異なる2本の強い発振線のうち、波長幅が1〜2pmで、波長λ1が157.6299nmの発振線を選択して、この発振線の波長幅を約0.2pmまでに狭帯域化するように設定されている。
【0043】
出力鏡11と全反射鏡12との間のレーザ光の光路、及び出力鏡11から所定距離までのレーザ光の光路は、気密性の密閉容器で覆われている。
【0044】
すなわち、レーザウインド13aから出力鏡11までの光路(図中点線で示される部分)、及び出力鏡11から所定距離までの光路は、密閉容器17aで覆われており、一方、レーザウインド13bから全反射鏡12までの光路(図中点線で示される部分)は密閉容器17bで覆われている。
【0045】
2つの密閉容器17a、17bの下方側には、それぞれの密閉容器内部の空気を排出するための排気管18a、18bの一端が接続されている。すなわち、これら密閉容器17a、17b中における光路よりも低い位置に、それぞれ排気管18a、18bが接続されている。
【0046】
また2つの密閉容器17a、17bにおける光路よりも高い位置に、それぞれの密閉容器にヘリウム(He)を注入するための注入管19a、19bの一端が接続されている。
【0047】
これら注入管19a、19bのそれぞれの他端は、Heが充填されているHeボンベ20Aに一端が接続されているT字型の注入管21の他端が接続されている。なお、周知のように、Heは空気との比重が0.138であり、空気の約1/7と軽い。
【0048】
この実施形態では、Heボンベ20AにはHeが100%のガスが充填されている。このようにHeが100%のガスが好ましいが、多少窒素が含まれていてもかまわない。しかし、酸素や水分が殆ど含まれていないガスを用いる必要がある。
【0049】
なお、注入管14の他端は注入管21の途中部分に接続されており、また注入管14の途中部分と、フッ素(F2)とHeとの混合ガスが充填されているF2/Heボンベ20Bとが、L字型の注入管14aを介して接続されている。
【0050】
注入管14、14a、注入管19a、19bそれぞれにはバルブV1〜V4が設けられている。
【0051】
次に、係る構成のフッ素レーザ装置100のレーザ発振が可能なスタンバイ状態になるまでの処理について、図1を参照して詳細に説明する。
【0052】
ここで、初期状態として、バルブV1〜V4は、気体の流れを遮断するために閉じた状態に設定されている。
【0053】
レーザガスをレーザチャンバ13に充填する場合、先ず、バルブV1を開くと、Heボンベ20Aからは、Heが、注入管21及び注入管14を介してレーザチャンバ13に注入される。
【0054】
次に、所望の容量例えば所望の圧力に達するまでHeを注入した後、バルブV1を閉じて、バルブV2を開くと、F2/Heボンベ20Bからは、混合ガスが、注入管14a、14を介してレーザチャンバ13内に注入される。
【0055】
そして、所望の容量例えば所望の圧力に達するまで混合ガスがレーザチャンバ13内に注入されたら、バルブV2を閉じる。なお、ここでもう一度、閉じているバルブV1を開けて、Heボンベ20AからのHeを注入するのが好ましく、これにより、注入管14内にフッ素(F2)が残らないようになる。この処理が終了したら、再度、バルブV1を閉じる。
【0056】
以上の手順で、フッ素とHeとの混合ガスがレーザチャンバ13内に所定の圧力に達するまで充填されると、レーザチャンバ13内で放電が可能になる。
【0057】
ところが、このままでは、レーザ光L1はほとんど感知できないほど低いパワーになる。つまり、最初は、レーザチャンバ13のレーザウインド13aと出力鏡11との間、及びレーザウインド13bと全反射鏡12との間にそれぞれ空気が存在するため、その中に含まれる酸素によって波長が157nmのレーザ光は強く吸収されるからである。
【0058】
そこで本実施形態では、上述したように出力鏡11及び全反射鏡12を囲むように、密閉容器17a、17bが取り付けられており、これら密閉容器中の空気を取り除ける構造になっている。
【0059】
すなわち、バルブV3、V4を開いて、レーザガスとして利用されるHeボンベ20A内のHeを、注入管21及び注入管19a、19bを介して密閉容器17a、17b内に充填すようにしている。この結果、酸素濃度が10ppm以下になるまでの時間を数分(例えば5分程度)にすることができる。
【0060】
その理由としては、Heは空気に比べて比重(0.138)が1/7と軽いため、注入管19a、19bから密閉容器17a、17b内に注入されるHeは、これら密閉容器内において上方から徐々に満たされていく。これと同時に、これら密閉容器19a、19bの下部に取り付けられている排気管18a、18bから空気が排出されていくからである。
【0061】
すなわち、排気管18a、18bをレーザ光の光路より下方に取り付けているので、密閉容器17a、17b内部では、上部から、少なくとも排気管18a、18bとの接続部分の高さまでは、Heで充填されることとなり、レーザ光の光路はHeで満たされることになる。
【0062】
ところで、従来においては、排気管18a、18bから空気を排出しながら、注入管19a、19bから、窒素を注入することにより、窒素置換を行うようにしていたため、空気を十分に排気するまでに(つまり酸素濃度が10ppm以下になるまで)、1時間程度掛かっていた。
【0063】
その理由としては、波長が157nmのレーザ光の吸収が無視できる酸素濃度が約10ppm以下まで空気を排気する必要があるが、密閉容器17a、17b内を真空に引ける構造(すなわち剛性の高い構造)になっていないため、空気を真空に引かずに、後から注入する窒素で押し出していたからである。
【0064】
なお従来において、窒素を注入するようにした場合には、窒素の空気との比重は0.967であることから、注入された窒素と、密閉容器内に最初から存在していた空気とが、ほぼ均質に混ざり合ってしまうことになり、その結果、窒素濃度が十分下がるまでに多くの時間を要していた。
【0065】
なお、従来においては、F2/Heボンベ20B及びHeボンベ20Aの他に、窒素ボンベを用意する必要がある、ということは言うまでもない。
【0066】
ところで、フッ素レーザ装置100においては、エタロン16によって1〜2pmの発振ラインを更に狭帯域化しているため、狭帯域化された波長を安定化する必要がある。すなわち、エタロン16がエアーギャップエタロンの場合、一般にギャップに満たされる気体がレーザ光の熱によって温度上昇することが原因となって、光路長が変化し、エタロンでの選択波長が変化する。これは、ギャップ中の気体の屈折率が温度依存性を有するからである。
【0067】
ところが、Heを用いることにより、温度変化に伴う波長変化を抑制(つまり波長を安定化)することができるので、次にその波長の安定化について詳細に説明する。
【0068】
一般に屈折率がnの気体は、(n−1)の値が密度に比例することになるが、理想気体では、密度は温度Tに反比例するため、比例係数をkとすると、次の数式1が成立する。
【0069】
【数1】
(n−1)=k/T
そこで、(n−1)の温度変化は、数式2で表される。
【0070】
【数2】
d(n−1)/dT=−k/T^2
ただし、T^2はTの2乗を意味する。
【0071】
上記数式1を基に、上記数式2から比例係数kを消去すると、次の数式3が得られる。
【0072】
【数3】
d(n−1)/dT=−(n−1)/T
この数式3を参照して分かるように、屈折率の温度変化分(数式3の左辺)は(n−1)に比例することになる。
【0073】
一方、(n−1)の値は、摂氏0度で1気圧の場合、窒素では「0.000297」であるが、Heでは「0.000035」であることが知られている。すなわち、Heは窒素と比較して(n−1)の値が約1/8.5も小さいことから、温度変化により(n−1)の値の変化分は約1/8.5になる。
【0074】
上述したようにフッ素レーザ装置100では、レーザ光の光路をHeで満たすことによって、空気を追い出す時間が窒素置換に比べて、大幅に短縮されるだけでなく、満たされるHeの温度変化によるエタロン16の選択波長の変化が1桁近くも小さくすることができる。
【0075】
しかも、実際には、密閉容器17a、17b内に満たされるHeの温度上昇は、窒素で満たされる場合よりも小さくなる。その理由としては、Heの熱伝導度が窒素の約6倍大きいことも知られている。その結果、Heが密閉容器17a、17bの内壁に衝突して冷やされる効果が大きいからである。
【0076】
以上説明したように本実施形態によれば、空気に比べて比重が1/7と軽いHe(比重0.138)を、注入管19a、19bから注入すると共に、排出管18a、18bから空気を排出するようにしているので、空気をHeと置換するための時間を、従来の如く空気を窒素と置換するための時間と比較して、大幅に短縮することができる。
【0077】
このため、レーザ発振が可能なスタンバイ状態になるまでの時間を従来と比較して1桁短くすることが可能となる。
【0078】
しかもその置換のために必要なHeは、新たにHeボンベを備える必要はなく、従来においてレーザガスとして利用しているHeボンベに充填されているHeを使用すれば良い。また新たなHeボンベが必要ない分、コスト及びスペースを削減することができる。
【0079】
これは、フッ素レーザに関する場合であるためであり、一般にバッファガスとしてNeを用いるエキシマレーザとは異なるものである。
【0080】
またフッ素レーザ装置100においては、共振器中にエタロン16が配置されているので、フッ素レーザの発振ラインを約0.2pmに狭帯域化することができる。
【0081】
しかも、レーザ動作によりHeの温度が上昇した場合であっても、Heは窒素と比較して(n−1)の値が約1/8.5も小さいので、温度変化による(n−1)の値の変化分は約1/8.5になり、結果として、発振波長の変動を小さくすることができる。
【0082】
よって、本実施形態によれば、特別に波長制御することなく、長時間安定した波長でレーザ動作させることができる。
【0083】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態に係るフッ素露光機300の構成を示す構成図である。
【0084】
この実施形態では、フッ素露光機300は、図1に示したフッ素レーザ装置からの狭帯域化されたレーザ光を露光光源として使用することを想定している。
【0085】
さて図2に示すように、フッ素露光機300は、大別して、露光機本体200と、図1に示したフッ素レーザ装置100とで構成されている。
【0086】
露光機本体200は、クリーンルーム内のグレーチング23上に配置されており、フッ素レーザ装置100は、グレーチング23の下のフロアー(一般に床下と呼ばれるフロアー)の床24上に配置されている。
【0087】
フッ素レーザ装置100から取り出された波長幅=約0.2pmの強いラインのみのレーザ光L1は、ミラー25aに反射して上方に進み、グレーチング23における開口部26を通過して、露光機本体200内に進む。
【0088】
レーザ光L1が、レンズ27で絞られ、フッ化カルシウム製のガラスロッド28内を進み、更にガラスロッド28内部で全反射を繰り返すことにより、ガラスロッド28からは、ビーム強度分布が均一化されたレーザ光L2が出射される。
【0089】
レーザ光L2は、ミラー25bに反射して、レンズ29a、29bから構成されるビーム整形器29を通過することによりビーム断面が拡げられ、さらにミラー25cに反射して、コンデンサレンズ30を通過してレチクル31に照射される。
【0090】
レチクル31から出射されたレーザ光L3は、フッ化カルシウムの単色レンズで構成される縮小投影レンズ32を通過して、ウエハー33に当たる。すなわち、レチクル31内のパターンが、縮小投影レンズ32によってウエハー33上に転写される。なおウエハー33はステージ34に搭載されている。
【0091】
なお、フッ素レーザ装置100と露光機本体200との間を窓35で仕切っており、密閉容器17a内に満たされたHeが露光機本体200へ進まないようになっている。ただし、露光機本体200もHeで満たすようにした場合は、この窓35は不要となる。また、その場合、露光機本体200内に満たすためのHeボンベが別に備えられているならば、そのHeボンベからHeをフッ素レーザ装置100のレーザ光路周辺に導いても良い。
【0092】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、空気をHeと置換するための時間を、従来の如く空気を窒素と置換するための時間と比較して、大幅に短縮することができるフッ素レーザ装置100からのレーザ光を、露光光源として用いるようにしているので、露光処理を実施するまでの待機時間を、従来の如く空気を窒素と置換するようにしていた時と比較して、大幅に短縮(例えば1桁分の時間)することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1の実施の形態に係るフッ素レーザ装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2は第2の実施の形態に係るフッ素露光機の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
11 出力鏡
12 全反射鏡
13 レーザチャンバ
14 、14a、19a、19b、21 注入管
15、18a、18b 排気管
16 エタロン
17a、17b 密閉容器
20A Heボンベ
20B F2/Heボンベ
V1、V2、V3、V4 バルブ

Claims (1)

  1. フッ素レーザのレーザ光を発振するレーザチャンバを備えたフッ素レーザ装置において、
    ヘリウムが充填され、レーザチャンバ内にヘリウムを注入するためのガス容器と、
    レーザチャンバから発振されるレーザ光の光路と外部とを遮蔽する気密性容器と、
    ガス容器からレーザチャンバ内にヘリウムを注入する第1の注入管と、
    ガス容器から気密性容器内にヘリウムを注入する第2の注入管と
    が備えられ、
    第2の注入管は、レーザ光の光路よりも高い位置に設けられており、
    更に、レーザ光の光路よりも低い位置に、気密性容器内の空気を排出させるための排気管が設けられていること
    を特徴とするフッ素レーザ装置。
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