JP4147813B2 - シリンダヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダヘッドの構造に関し、特に、4サイクルエンジンのオイル注入口を設けたシリンダヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、二輪車の4サイクルエンジンにおいて、車体構成上エンジン上方に吸気経路やその他のエンジン補器類が配設される場合が多い。
そのため、エンジンオイルの注入口を設ける場合、作業性を考慮してエンジン側方より注油できるように、図9に示すように、エンジン下部のクラッチカバー136dの側部に注油口131c設けたり、図10に示すように、マグネトカバー136nの側部に注油口231c設けるのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のエンジンにおける注油口の構成では、車体を覆うようにカウリングが装着され場合、カウリングにより注油口が見え難くなったり注油作業が煩雑となるなど、車両構造によっては整備性が悪くなるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、注油作業を容易にしてエンジンの整備性の向上を図るシリンダヘッドを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリンダヘッドに係り、気筒軸を水平乃至上方に傾斜して車両に搭載し、その上方乃至側面を車体カバーで覆うエンジンのシリンダヘッドであって、カムシャフトを軸支し、シリンダブロックに連通するオイル戻し通路が設けられたエンジンのシリンダヘッドにおいて、
前記車体カバーは、エンジンの上方乃至側面から作業するための作業口が形成されると共に、この作業口を覆うメンテナンスリッドを備え、
前記シリンダヘッドは、カムシャフトよりもシリンダブロック側に位置しかつカムシャフトの軸方向一端面を外方に突出させて形成した注油部と、この注油部の内部に形成された案内通路と、前記注油部の最突出端付近の上部に形成されて前記作業口から外部に露出可能な注油口と、この注油口を閉塞自在とする蓋とを備え、
前記注油口からシリンダヘッド内に供給されたオイルを前記カムシャフトよりシリンダブロック側でオイル戻し通路に連通したことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明は、前記注油部の案内通路を略直線的に形成し、その指向する方向をカム軸及びエンジンの気筒軸に対しねじれの位置に配し、該注油部の直線上に注油口を開口することが好ましい。
【0007】
また、本発明は、前記注油部の案内通路を略直線的に形成し、その指向する方向に少なくとも一つのオイル戻し通路の開口を臨ませたことが好ましい。
【0008】
また、本発明は、搭載されるエンジンの上方にセンターコンソールを備えたスクータ型自動二輪車であって、前記センターコンソールの主要部を取付けた状態で前記メンテナンスリッドを取外すかまたは開閉することにより、前記作業口より少なくとも注油口を露出するようにしたことが好ましい。
また、本発明は、前記案内通路が、前記オイル戻し通路の開口よりも上方でシリンダヘッドの内部に開口すると共にオイル戻し通路の開口よりもカムシャフト寄りでシリンダヘッド内部に開口するものであって、前記案内通路とオイル戻し通路のそれぞれの開口部間を略直線状に結ぶ隔壁部をシリンダヘッドに形成したことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図9は発明を実施する形態の一例であって、図1は本発明に係るシリンダヘッドが採用されたエンジンを搭載した自動二輪車の全体の構成を示す側面図、図2は前記自動二輪車の全体の構成を示す平面図、図3は前記自動二輪車のメンテナンスリッドを外した状態を示す車両左側面図、図4は前記センターコンソール下側の作業口の詳細を示す部分側面図、図5は前記自動二輪車の作業口のエンジンユニットのパワートレーンの構成を示す側面図、図6は前記エンジンユニットの構成を示す車両左側面図、図7は本発明に係るシリンダヘッドの側面図、図8は図7の車両左側のA矢視図である。
【0010】
本実施形態は、本発明に係るシリンダヘッドが採用されたエンジンを搭載したスクータ型自動二輪車1であって、図1〜図3に示すように、車体前部2にフレーム(図示省略)によってハンドルバー11が保持されるとともに該ハンドルバー11の下方に連結されるフロントフォーク12に前輪4が回動自在に保持され、車体の略中央部下側にエンジンユニット3が配設され、前記エンジンユニット3の後側上方にはシート5が配設されている。車体前部2とシート5の間には、前記シート5に搭乗した乗車員が両足を置くためのステップフロア21と、前記ステップフロア21より前方に向かい上方へ立ち上がるセンターコンソール22とにより構成されるフロア部23がエンジンユニット3の上方および側方を覆うように形成されている。
【0011】
前記ステップフロア21は、図2、図3に示すように、車両進行方向に対して左右幅方向に亘り形成され、その中央部付近を略断面U字形状に突出させて下側に図示しない車体フレームの一部やエンジンユニット3を収容可能なフロアトンネル部21aを構成し、その左右側端に側方に突出した平坦部を形成して乗車員が両足を置くためのドライバー用フットボード21bとパッセンジャー用フットボード21cを構成している。
前記パッセンジャー用フットボード21cはドライバー用フットボード21bの後方で一段高い位置に前後方向に並設されている。
【0012】
また、図4に示すように、前記ステップフロア21前側のエンジンユニット3と対向する部位には、上面および側面にスリット部21dが形成されている。前記ステップフロア21の下側には、前端側から後端側に亘りエンジンユニット3の側方覆うように車両左右側にレッグサイドシールド27aが延設されている。
【0013】
前記センターコンソール22は、図1、図3に示すように、一端側がハンドルバー11側に向かい立ち上がり、他端側が前記ステップフロア21の一端部に連結するように配設されたフロントボックス24と、前記フロントボックス24に形成された作業口24bおよびステップフロア21に形成されたスリット部21dを覆うメンテナンスリッド25により構成されている。
【0014】
前記フロントボックス24は、図3に示すように、車両進行方向に対して左右幅方向に亘り形成され、その中央部付近を略断面U字形状に突出させて下側に図示しない車体フレームの一部やエンジンユニット3およびエンジン補器類を収容可能なトンネル部24aを構成し、前記エンジンユニット3と対向する側部(本実施形態においては車両左側)には作業口24bが設けられている。
【0015】
前記メンテナンスリッド25は、ステップフロア21のフロアトンネル部21aおよびフロントボックス24のトンネル部24aの断面形状と略同形状のU字状断面を呈し、ステップフロア21とフロントボックス24とを連結した状態で着脱自在に構成され、該メンテナンスリッド25を装着した状態で前記スリット部21dおよび作業口24bを覆うように構成されている。
【0016】
一方、前記メンテナンスリッド25を取外した状態では、スリット部21dを介してステップフロア21下側に配置されるエンジンユニット3を目視確認できるとともに、前記作業口24bからエンジンユニット3のメンテナンス作業を行うことを可能としている。
【0017】
前記フロントボックス24の上側にはフロントコンソールパネル26が配設され、該フロントコンソールパネル26の前方から下方に向かい前記レッグサイドシール27a前端部に亘り、ライダーの脚部の前方を覆うようにレッグフロントシールド27bが車両左右側に向かい突出して延設されている。
【0018】
前記フロア部23の後方には、車体の後部を覆う後部カバー28が設けられている。前記後部カバー28の下側には後輪8が配設されており、その後輪8の上方を覆うようにリアフェンダ29が後部カバー28側に固着されている。
【0019】
前記後部カバー28の上側には、車体後方のほぼ全長にわたってシート5が設けられ、該シート5の下側には収納ボックス(図示省略)が形成されている。前記シート5は前記収納ボックスの蓋の役割を担っている。また、前記収納ボックスの後方にはガソリンタンク(図示省略)が配置されている。
【0020】
次に、エンジンユニット3について、図面を参照して詳細に説明する。
前記エンジンユニット3は、図5〜図6に示すように、クランク軸9を車両幅方向に指向させ、クランクケース33の前側に2気筒用のシリンダヘッド31およびシリンダブロック32を備え、その気筒中心軸が前上がり傾斜となるように搭載されたエンジン本体3aを構成したいわゆる前方横置きエンジンであって、前記クランクケース33の後方車両右側に変速装置(図示省略)を前後方向に一体的に並設した4サイクルのユニット型エンジンユニットである。
【0021】
前記エンジンユニット3は、車両側面視で気筒中心軸線より上方側に吸気系(図示省略)が配設され、該気筒中心軸線より下方側にラジエータ(図示省略)および排気系が配設されている。
【0022】
排気経路は、前記シリンダヘッド31より車体後方に向かい排気管(図示省略)と該排気管に接続される排気消音器(マフラー)19とにより構成されている。前記排気管は、該シリンダヘッド31の下側から後方に向かい延設され、さらに、前記シリンダブロック32の下側に配置されるクランクケース33の側部に沿って車体後方に延設されて、後輪8の側方で車体フレームに取付けられた排気消音器(マフラー)19に接続されている。
【0023】
前記シリンダブロック32の後方には、図5、図6に示すように、クランクケース33が構成されるエンジンケース36が設けられている。
前記エンジン(クランク)ケース36は、内部にオイルを貯留するオイルパン(図示省略)を備える。シリンダヘッド31およびシリンダブロック32にはそれぞれの下方にオイル戻し通路31f、32fが設けられ、それらを順次連通させて戻りオイルを流下している。
また、前記エンジンケース36の内部には、クランク軸9と、前記クランク軸9からの出力を前記変速装置に入力するための入力軸(図示省略)と、前記変速装置からの出力を伝達するクラッチ軸(図示省略)と、前記クラッチ軸に伝達された駆動力を駆動輪側に出力する出力軸39が平行に配設されている。前記出力軸39は、後輪側を軸支するためのピボット軸を兼用している。
【0024】
前記エンジンケース36の車両左側には、クランク軸9の一端部に設けられたマグネト(図示省略)を覆うマグネトカバー36nが配設され、前記クラッチ軸の一端部に設けられたクラッチ部(図示省略)を覆うクラッチカバー36dが配設されている。
【0025】
後輪8への出力の伝達は、図5に示すように、出力軸39により車両左側に配設される伝動ユニット80を介して後輪8を減速駆動するようにされている。前記後輪8は、車両左側が前記伝動ユニット80により上下方向に揺動自在に軸支されるとともに、車両右側がライトリアアーム(図示省略)により上下方向に揺動自在に軸支されている。
【0026】
前記伝動ユニット80は伝動ケース81を備え、該伝動ケース81内に前記出力軸39の一端部に設けられるドライブギア(図示省略)が配設されるとともにアイドルギア(図示省略)および後輪軸8aに設けられるファイナルギア(図示省略)が略平行に配設されている。
【0027】
前記伝動ケース81は、駆動軸心方向に対して略垂直方向に分割可能な外側ケースと後輪側に配設される内側ケースとで構成され、伝動ユニット80を単体で組立て可能に構成されている。
こうして、前記出力軸39からの駆動力はアイドルギアを介してファイナルギアに伝達されて後輪8を駆動するように構成されている。
【0028】
次に、シリンダヘッド31の構成について、図面を参照して詳細に説明する。
図7、図8に示すように、前記シリンダヘッド31には、車両側面視で気筒中心軸線より上方側に吸気カム軸16が配設され、該気筒中心軸線より下方側に排気カム軸17が配設されている。前記シリンダヘッド31の上部には吸気マニホールド31aが形成されている。
【0029】
前記シリンダヘッド31は、カム軸方向一端面の一部を外方に突出させて注油部31bを形成し、前記注油部31bの最突出端付近に注油口31cが形成されている。前記注油口31cには、図5に示すように、開口部を閉塞自在とする蓋31dが設けられている。
【0030】
前記注油部31b内の案内通路31b1は、図7及び図8に示すように、側面視で気筒軸に対し略垂直に且つ直線的に形成され、その指向する方向をカム軸16、17及びシリンダブロック32の気筒軸32aに対しねじれの位置に配されている。前記注油口31cは、前記注油部31bの指向する方向に形成されている。また、前記注油口31cが形成される面は、シリンダヘッド31端面から傾斜する傾斜面とされている。
【0031】
前記案内通路31b1は、シリンダヘッド31の内部で動弁室31mに開口しており、その室内側開口はカム軸の並び方向に長く形成され、また、シリンダヘッド31の内部の前記隔壁部31eに沿って形成されている。前記動弁室31mの中でもヘッドカバー寄りに設けられたカム軸や動弁機構といった比較的大きな構造物を避けた隔壁部31e寄りに設けたので、そこに開口するオイル戻し通路31fまで妨げとなるものが少なく、スムーズに注油が行える。
【0032】
前記注油部31bおよび注油口31cは、図4に示すように、側面視および平面視でフロントボックス24の作業口24b内に視認可能状態で位置するように構成されている。
【0033】
また、図7、図8に示すように、前記シリンダヘッド31の動弁室31mと冷却室(ウォータジャケット)31nとを区別する隔壁部31eには、前記注油部31bの指向する方向であって前記注油口31cが形成される方向と反対方向にシリンダブロック32側へのオイル戻し通路31fの開口31gが形成されている。図中の符号31jはヘッドカバー取付け面、31kはシリンダブロック取付け面である。
【0034】
前記開口31gの長手方向両端には、シリンダヘッド31をシリンダブロック32に取付けるためのボルトボス31pが連設されている。これにより高い剛性を有する。
前記注油部31bの案内通路31b1は上方に向かい広がる形状を有している。これにより、動弁室31mの空間と協働して漏斗の役目を果たし、注油作業を短時間に行うことができる。
【0035】
次に、本実施形態のシリンダヘッド31の構造を備えたエンジンユニット3の注油作業について図面を参照して説明する。
エンジンユニット3の注油作業およびエンジンのメンテナンスを行う場合、まず、センターコンソール22およびステップフロア21からメンテナンスリッド25を取外す。この状態で、図3、図4に示すように作業口24bが露出して、該作業口24b内の注油部31bおよび蓋31dで閉塞された注油口31cが車両上方および車両左側方より確認できる状態となっている。
【0036】
そして、注油作業を行う場合は、注油口31cの蓋31dを取外して該注油口31cを開口させて注油を行う。この時、注油口31cは車両上方および車両左側方より確認できる状態となっているため、カウリングやその他のエンジン補器類に邪魔されること無く容易に注油作業を行うことができる。
【0037】
一方、エンジンユニット3のメンテナンスを行う場合は、前記作業口24bおよびステップフロア21のスリット部21dの開口部より容易に行うことができる。
【0038】
以上のように構成したので、本実施形態のシリンダヘッド31の構成によれば、エンジンユニット3の上方のシリンダヘッド31に注油部31bを外方に突出させて形成し、フロントボックス24の前記注油部31bと対向する位置に作業口24bを形成して、前記作業口24bより注油部31bを露出するようにしたので、メンテナンスリッド25を取外すだけで注油作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、センターコンソール22の一部に着脱自在のメンテナンスリッド25を構成したので、センターコンソール22の一部を構成するフロントボックス24とステップフロア21とを接続した状態のままでメンテナンスリッド25を着脱することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、シリンダヘッド31の隔壁部31eに、注油部31bの指向する方向であって前記注油口31cが形成される方向と反対方向にシリンダブロック32側へのオイル戻し通路31fの開口31gを形成したので、オイル専用の通路を設けること無くオイル戻し通路31fを利用して供給されたオイルをエンジン内部にスムーズに導入できる。
【0041】
尚、本実施形態では、センターコンソール22を構成する部品として、フロントボックス24と別体のメンテナンスリッド25を設けているが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、センターコンソールの一部に作業口24bやスリット部21dと対向して部分的に作業可能なように開閉自在のメンテナンスリッドを設けるようにしたものであっても良い。
【0042】
また、本実施形態においては、注油口31cの案内通路31b1を通路の軸方向に沿って連続する略U字状断面にて形成したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、軸方向に沿って段部を形成したり、軸線に沿って丸みを持たせたり、オフセットなどの屈曲部を設けたものであっても良く、また、断面形状をU字に変えて、コ字状、V字状や半円形状としても良い。これらは何れも通路の軸方向として大きく湾曲して外れない限り直線状と解することができる。
さらに、積極的に案内し、仕切るようなガイド部材を別に設けるようにしたものであっても良い。
【0043】
また、本実施形態では、本発明に係るシリンダヘッド構造を採用したエンジンをスクータ型自動二輪車に搭載しているが、例えば、三輪車や四輪車のようなエンジンルームに収容された水平ないし傾斜搭載されるエンジンにも適用できる。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1〜5に記載のシリンダヘッドによれば、シリンダヘッドに注油部を設けることで、簡単な構成で注油作業を容易にするとともにエンジンの整備性の向上を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0045】
詳しくは、本発明によれば、気筒軸を水平乃至上方に傾斜して車両に搭載し、その上方乃至側面を車体カバーで覆うエンジンのシリンダヘッドであって、カムシャフトを軸支し、シリンダブロックに連通するオイル戻し通路が設けられたエンジンのシリンダヘッドにおいて、前記車体カバーは、エンジンの上方乃至側面から作業するための作業口が形成されると共に、この作業口を覆うメンテナンスリッドを備え、前記シリンダヘッドは、カムシャフトよりもシリンダブロック側に位置しかつカムシャフトの軸方向一端面を外方に突出させて形成した注油部と、この注油部の内部に形成された案内通路と、前記注油部の最突出端付近の上部に形成されて前記作業口から外部に露出可能な注油口と、この注油口を閉塞自在とする蓋とを備え、前記注油口からシリンダヘッド内に供給されたオイルを前記カムシャフトよりシリンダブロック側でオイル戻し通路に連通したことで、車両上方および側方からの注油作業を実現して、カウリング等に煩わされること無く注油作業を容易にして、エンジンの整備性の向上を図ることができる。
【0046】
また、本発明によれば、前記注油部を直線的に形成し、その指向する方向をカム軸及びエンジンの気筒軸に対しねじれの位置に配し、該注油部の直線上に注油口を開口することで、シリンダヘッドの気筒軸上の点火栓やそのガイドボス部、カム軸等に注油部を指向させることがないので、注油作業の妨げになること無くスムーズに作業を行うことができる。
【0047】
また、本発明によれば、前記注油部を直線的に形成し、その指向する方向に少なくとも一つのオイル戻し通路の開口を臨ませることで、オイル専用通路を設けること無く、オイル戻し通路を利用してエンジン内部、特にクランクケースのオイルパンにオイルをスムーズに注油することができる。
【0048】
また、本発明によれば、搭載されるエンジンユニットの上方にセンターコンソールを備えたスクータ型自動二輪車において、前記センターコンソールの主要部を取付けた状態で前記メンテナンスリッドを取外すかまたは開閉することにより、前記作業口より少なくとも注油口を露出するようにしたので、従来のようにエンジンユニットの側方や下方の注油口を露出させるために車体カバーを取外すこと無く、容易に注油作業を行うことができるとともにメンテナンスの作業性の向上を図ることができる。
以上のような優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダヘッドが採用されたエンジンを搭載したスクータ型自動二輪車の全体の構成を示す側面図である。
【図2】前記自動二輪車の全体の構成を示す平面図である。
【図3】前記自動二輪車のメンテナンスリッドを外した状態を示す車両左側面図である。
【図4】前記センターコンソール下側の作業口の詳細を示す部分側面図である。
【図5】前記自動二輪車の作業口のエンジンユニットのパワートレーンの構成を示す側面図である。
【図6】前記エンジンユニットの構成を示す車両左側面図である。
【図7】本発明に係るシリンダヘッドの側面図である。
【図8】図7の車両左側のA矢視図である。
【図9】従来のクラッチカバーに設けられた注油口の構成を示す車両左側面図である。
【図10】従来のマグネトカバーに設けられた注油口の構成を示す車両左側面図である。
【符号の説明】
1 スクータ型自動二輪車
2 車体前部
3 エンジンユニット
21 ステップフロア
21a フロアトンネル部
21d スリット部
22 センターコンソール
23 フロア部
24 フロントボックス
24a トンネル部
24b 作業口
25 メンテナンスリッド
31 シリンダヘッド
31b 注油部
31c 注油口
31d 蓋
31f 戻りオイル通路
31g 開口
Claims (5)
- 気筒軸を水平乃至上方に傾斜して車両に搭載し、その上方乃至側面を車体カバーで覆うエンジンのシリンダヘッドであって、カムシャフトを軸支し、シリンダブロックに連通するオイル戻し通路が設けられたエンジンのシリンダヘッドにおいて、
前記車体カバーは、エンジンの上方乃至側面から作業するための作業口が形成されると共に、この作業口を覆うメンテナンスリッドを備え、
前記シリンダヘッドは、カムシャフトよりもシリンダブロック側に位置しかつカムシャフトの軸方向一端面を外方に突出させて形成した注油部と、この注油部の内部に形成された案内通路と、前記注油部の最突出端付近の上部に形成されて前記作業口から外部に露出可能な注油口と、この注油口を閉塞自在とする蓋とを備え、
前記注油口からシリンダヘッド内に供給されたオイルを前記カムシャフトよりシリンダブロック側でオイル戻し通路に連通したことを特徴とするシリンダヘッド。 - 前記注油部の案内通路を略直線的に形成し、その指向する方向をカム軸及びエンジンの気筒軸に対しねじれの位置に配し、該注油部の直線上に注油口を開口したことを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッド。
- 前記注油部の案内通路を略直線的に形成し、その指向する方向に少なくとも一つのオイル戻し通路の開口を臨ませたことを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダヘッド。
- 前記車両は、搭載されるエンジンの上方にセンターコンソールを備えたスクータ型自動二輪車であって、前記センターコンソールの主要部を取付けた状態で前記メンテナンスリッドを取外すかまたは開閉することにより、前記作業口より少なくとも注油口を露出するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載のシリンダヘッド。
- 前記案内通路は、前記オイル戻し通路の開口よりも上方でシリンダヘッドの内部に開口すると共にオイル戻し通路の開口よりもカムシャフト寄りでシリンダヘッド内部に開口するものであって、前記案内通路とオイル戻し通路のそれぞれの開口部間を略直線状に結ぶ隔壁部をシリンダヘッドに形成したことを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッド。
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