JP4147346B2 - 可動体の開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のコンソールボックス部に設けられた収容箱の開口を開閉する扉等の可動体の開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の可動体の開閉装置としては、例えば、収容箱に対して回動可能に支持された扉の開位置と閉位置とを、扉に対する押し操作を通じて切り替えるプッシュオープン機構を備えたものが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に記載の開閉装置は、以下のような構成を有している。即ち、図12(a),(b)に示すように、プッシュオープン機構100は、略ハート状のカム面を有するハート形カム101と、ハート形カム101に対して係脱可能なピンが突設されたアーム102と、扉120が閉位置から開位置へと回動するように常に付勢する付勢ばねとを備えている。ハート形カム101は、収容箱110に対して、固定軸111を中心とする回転方向及び軸方向において揺動可能に、かつ回転一方向及び軸一方向に付勢された状態で設けられており、アーム102は、扉120に対して一体的に設けられている。
【0004】
この開閉装置では、開位置にある扉120を閉位置へと回動させると、アーム102のピンがハート形カム101の窪み部103に係合され、収容箱110の開口112が扉120により閉じられる(図12(a)参照)。また、閉位置にある扉120に対して押し操作を行うと、扉120が収容箱110に対して押し込み方向へ僅かに回動するとともに、アーム102のピンとハート形カム101の窪み部103との係合が解除され、ハート形カム101が前記回転一方向へ回動する。その後、扉120は前記付勢ばねの付勢力により開位置へと回動され、収容箱110の開口112が開けられる(図12(b)参照)。
【0005】
ところで、扉120が閉位置にあるときにおいて、ハート形カム101が固定軸111に対して傾斜した状態となると、アーム102のピンとハート形カム101の窪み部103との係合が不用意に解除されるおそれが生じる。そして、アーム102のピンとハート形カム101の窪み部103との係合が不用意に解除されると、閉位置にある扉120が押し操作されていないにも拘わらず、開位置へと回動されることとなる。
【0006】
そこで、この開閉装置では、収容箱110の外側面110aにおけるハート形カム101と対応する部分に、ハート形カム101に向かって突出する受けリブを突設している。そして、この受けリブは、扉120が閉位置にある状態では、ハート形カム101と当接して、そのハート形カム101が固定軸111に対して収容箱110側へと傾斜しないように規制する。また、扉120が押し操作されて、アーム102のピンとハート形カム101の窪み部103との係合が解除されると、受けリブとハート形カム101との当接が解除されるとともに、受けリブによるハート形カム101の固定軸111に対する収容箱110側への傾斜規制も解除される。
【0007】
【特許文献1】
特開平8―177294号公報(第2−3頁、第6−13図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記特許文献1に記載の開閉装置でが、以下のような不具合が生じるおそれがあった。
【0009】
すなわち、扉120が閉位置にある状態で車両に小さな振動が加わると、扉120自身の慣性荷重により、ハート形カム101の窪み部103とアーム102のピンとの係合が解除されない範囲内で、扉120が収容箱110に対して僅かに回動し、ばたつくことがある。また、車両に大きな衝撃が加わると、扉120が収容箱110に対して大きく回動し、扉120が押し操作されたのと同様の状態となり、ハート形カム101の窪み部103とアーム102のピンとの係合が不用意に解除されるおそれがある。このように、扉120に対して押し操作をしていないにも拘わらずハート形カム101の窪み部103とアーム102のピンとの係合が解除されると、収容箱110の開口112が意図せず開くこととなる。
【0010】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、可動体がばたついたり、不用意に開いたりすることを抑制することができる可動体の開閉装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
前記目的を達成するために、本願請求項1、4、7に記載の発明は、開口を有する固定体に対し、前記開口を開閉するように回動可能に支持される可動体を、開位置と閉位置とに切り替えるためのターンオーバー機構を介して開閉する可動体の開閉装置において、前記ターンオーバー機構は、前記可動体を前記開位置または前記閉位置に変位させるように付勢する可動体付勢手段と、前記固定体に対して回動可能に軸支されるとともに前記可動体付勢手段に接続される駆動歯車部と、前記可動体に対して一体的に設けられるとともに前記駆動歯車部に噛合される従動歯車部と、を備えるものであり、前記可動体が前記閉位置にあるときに、同可動体の前記固定体に対する回動を規制する回動規制手段を設けることを要旨とするものである。
【0012】
この本願請求項1、4、7に記載の発明では、可動体が閉位置にあるときには、固定体が外部からの振動等によって変位しても、回動規制手段により、可動体が自身の慣性荷重で固定体に対して回動することが規制される。このため、可動体が固定体に対して僅かに回動してばたついたり、閉位置から開位置へと不用意に回動することがなく、可動体を閉位置に保持する保持性を向上することができる。
【0015】
とくに、本願請求項1に記載の発明は、前記回動規制手段は、前記可動体が前記閉位置にあるときに、前記駆動歯車部及び前記従動歯車部及び前記可動体付勢手段のうちの少なくとも1つの前記固定体に対する回動を規制するものであり、前記ターンオーバー機構は、前記可動体を少なくとも前記閉位置から前記開位置へと切り替える際に操作される操作部と、同操作部の変位に連動して前記固定体に対して変位するとともに、前記可動体付勢手段の付勢方向を変更するアームとをさらに備えるものであり、前記回動規制手段は、前記アームに設けられる係止部と、前記駆動歯車部または前記従動歯車部または前記可動体に設けられる係合部とを備え、それら係止部と係合部との係合により、前記駆動歯車部または前記従動歯車部または前記可動体の前記固定体に対する回動を規制することを要旨とするものである。
【0016】
この本願請求項1に記載の発明では、可動体が閉位置にあるときには、回動規制手段により、駆動歯車部及び従動歯車部及び可動体付勢手段のうちの少なくとも1つの固定体に対する回動が規制される。このように、駆動歯車部及び従動歯車部及び可動体付勢手段のうちの少なくとも1つの固定体に対する回動を規制することにより、可動体の固定体に対する回動を規制することができる。
また、この本願請求項1に記載の発明では、可動体が閉位置にあり、同可動体の回動が回動規制手段により規制された状態で操作部が所定距離を変位するように操作されると、まず、アームが操作部の変位に連動する。この際、アームの係止部と、駆動歯車部または従動歯車部または可動体の係合部との係合が解除され、駆動歯車部と従動歯車部と可動体とが固定体に対して回動可能な状態となる。そして、操作部がさらに変位するように操作されると、アームによって可動体付勢手段の付勢方向が変更されるとともに駆動歯車部が所定角度だけ回動され、この駆動歯車部の回動を通じて従動歯車部が所定角度を回動される。この従動歯車部の回動に伴って可動体が固定体に対して回動し、同可動体が閉位置から開位置へと変位される。
このように、可動体を閉位置から開位置に変位させる際には、操作部を一度操作するのみで、可動体の前記固定体に対する回動規制を解除しつつ、可動体を閉位置から開位置まで回動させることが可能となる。このため、一度の操作、いわゆるワンモーションで、可動体の固定体に対する回動規制の解除と、可動体の開位置への回動とを行うことができ、可動体を回動操作する際の操作性を向上することができる。
【0024】
また、本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記係止部は、前記アームの外表面から突出する突出爪であり、同突出爪は、前記操作部の操作を通じて前記アームの先端部が前記可動体付勢手段及び前記可動体の一方に接触する直前または接触したときに、前記係止部と前記係合部との係合が解除されるように形成されることを要旨とするものである。
【0025】
この本願請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、操作部の操作を通じたアームの変位によって可動体付勢手段の付勢方向が変更され始めるとともに駆動歯車部が回動され始める際には、駆動歯車部または従動歯車部または可動体の係合部は、固定体に対して変位可能となる。このため、駆動歯車部及び従動歯車部及び可動体が回動する際に、係合部がアームの突出爪に接触することがなく、駆動歯車部及び従動歯車部及び可動体の回動を円滑に行うことができる。
【0026】
また、本願請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記係止部は、その高さが、前記可動体が前記開位置から前記閉位置へ変位する際における前記係合部の変位方向の前側から後側に向かって徐々に大きくなるように形成されることを要旨とするものである。
【0027】
この本願請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、可動体が開位置から閉位置へ回動すると、アームの係止部に対して駆動歯車部または従動歯車部または可動体の係合部が接近する。そして、可動体がほぼ閉位置に位置するようになると、前記係合部は、アームの外側面に当接してその外側面上を摺動する。この際、係止部は、その高さが、可動体が閉位置へと回動する際の係合部の変位方向における前側から後側に向かって徐々に大きくなるように形成されているため、係合部を、係止部の外面上を円滑に摺動させることができる。そして、可動体が閉位置に達した際には、係止部と係合部とを速やかに係合させることができる。
【0034】
とくに、本願請求項4に記載の発明は、前記可動体における前記開位置と前記閉位置との間での回動状態を調整する調整手段をさらに備えることを要旨とするものである。
【0035】
この本願請求項4に記載の発明では、調整手段により、可動体が開位置と閉位置との間で回動する際の回動状態が所定の状態となるように調整される。これにより、例えば可動体における開閉時の回転速度等を所望の状態とすることができ、開閉装置の品質を向上することができる。
【0036】
また、本願請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記調整手段は、コイル状の伸長部と、同伸長部に連続するとともに伸長方向の両端部に設けられる弦部とを有した引張りコイルばねを備えることを要旨とするものである。
【0037】
この本願請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明の効果に加えて、引張りコイルばねを固定体と可動体との間に設けるのみであるため、簡素な構成とすることができるとともに、可動体に対してカウンターウエイトを設ける場合に比べて開閉装置の軽量化を図ることができる。
【0038】
また、本願請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記引張りコイルばねの自然長ばらつきを吸収するためのばらつき吸収手段をさらに備えることを要旨とするものである。
【0039】
この本願請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明の効果に加えて、引張りコイルばねによる付勢力を、可動体に対し、その可動体の回動量に応じて所定の大きさで生じさせることが可能となる。このため、引張りコイルばねによる可動体の開位置と閉位置との間での回動状態の調整を精度よく行うことができる。また、各開閉装置において、可動体が開位置と閉位置との間で回動する際の回動状態をほぼ一定とすることができ、開閉装置間での可動体の回動状態のばらつきを小さくすることができる。
【0049】
とくに、本願請求項7に記載の発明は、前記可動体付勢手段は、ねじりコイルばねを備えるものであり、そのねじりコイルばねの一方端が前記固定体に対して固定軸を中心として回動可能に係合されるとともに、他方端が前記駆動歯車部に対してその長孔内を揺動可能に係合され、前記長孔は、前記駆動歯車部において、同駆動歯車部の前記固定体に対する支承軸と前記固定軸とを含む平面に交差するように形成されることを要旨とするものである。
【0050】
この本願請求項7に記載の発明では、ねじりコイルばねの他方端が駆動歯車部の長孔内を一端部から他端部へと変位する際には、ねじりコイルばねの付勢方向が変更されるとともに、駆動歯車部が固定体に対して回動される。この駆動歯車部の回動により従動歯車部が回動されて、可動体を閉位置から開位置へと、または開位置から閉位置へと回動させることが可能となる。
【0051】
また、本願請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記可動体が閉位置から開位置へ、または開位置から閉位置へと回動する際に、前記ねじりコイルばねの他方端が前記長孔内を一端部から他端部へ変位することを抑制する変位抑制手段をさらに備えることを要旨とするものである。
【0052】
可動体が、例えば操作ボタン等の操作を通じて回動される構成の場合には、その操作ボタンが強い力で瞬間的に操作された際、ねじりコイルばねの他方端が前記長孔内を一端部から他端部へと一旦は変位するものの、その他方端が長孔内の他端部の内面に接触した際に一端部側へと跳ね返るおそれが生じる。このような跳ね返りが生じると、駆動歯車部が所定角度を回動されなくなり、可動体が閉位置から開位置へ、または開位置から閉位置へと回動されず、可動体の動作不良が生じる一因となる。
【0053】
これに対して、請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明の効果に加えて、ねじりコイルばねの他方端が前記長孔内を一端部から他端部へと一旦変位すると、変位抑制手段により、ねじりコイルばねの他方端が前記長孔内を他端部から一端部側へと跳ね返ることが抑制される。これにより、前記操作ボタンが強い力で瞬間的に操作されることがあっても、可動体を閉位置または開位置へと確実に回動させることができる。
【0054】
また、ねじりコイルばねの他方端を前記長孔内で一端部から他端部へと変位させるには、変位抑制手段による抑制力以上の力でねじりコイルばねの他方端を変位させる必要がある。これにより、変位抑制手段によって、ねじりコイルばねの他方端が駆動歯車部の長孔内を一端部から他端部へと容易に変位することが抑制される。このため、例えば可動体が開位置にあるときに、その可動体に対して閉位置へと回動させるような外力が作用し、従動歯車部を介して駆動歯車部が僅かに回動されても、変位抑制手段によってねじりコイルばねの他方端の変位が抑制され、可動体が開位置まで戻るようになり、閉位置まで回動されることを回避することができる。
【0055】
また、本願請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記変位抑制手段は、前記長孔内において一端部及び他端部の少なくとも一方に形成される凹部または凸部であることを要旨とするものである。
【0056】
この本願請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明の効果に加えて、変位抑制手段を簡素な構成で形成することができるとともに、開閉装置の大型化を抑制することができる。
【0059】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0060】
図1に示すように、車両のコンソールボックス部13には、その内部に設けられるとともに上面に開口14aを有する固定体としての収容箱14と、開口14aを開閉するように閉位置と開位置との間にて回動軸15aを中心として収容箱14に回動可能に支持される可動体としての扉15とが設けられている。また、このコンソールボックス部13には、扉15を閉位置から開位置へ、開位置から閉位置へと回動させることによって収容箱14の開口14aを開閉する開閉装置が設けられている。
【0061】
本実施形態では、図3に示すように、扉15は、収容箱14に対して一対取着されている。この一対の扉15は、それぞれ閉位置にある状態において、例えば、一方の扉16が収容箱14の開口14aにおける車両左右方向の一方側の半分を覆うように、また、他方の扉17が収容箱14の開口14aにおける車両左右方向の他方側の半分を覆うように設けられている。
【0062】
各扉16,17は、収容箱14の開口14aに対応する覆い部16a,17aと、収容箱14における後方側壁14b及び前方側壁14c(図1参照)の外表面に対向するように覆い部16a,17aの車両前後方向の両端部から前記回動軸15aへと延長される一対の延長部16b,17bとを有している。そして、両扉16,17は、覆い部16a,17aが収容箱14の内底面に略平行をなす閉位置(図3参照)と、覆い部16a,17aが収容箱14の内底面に略直交する開位置(図9参照)との間で回動可能に収容箱14にて支持されている。これにより、両扉16,17は、閉位置から開位置へと回動する際には、覆い部16a,17aが重力方向における上方から下方へと変位される。
【0063】
また、本実施形態では、図3に示すように、前記開閉装置は、一対の扉15を、閉位置と開位置との間においてそれぞれの回動軸15aを中心として互いに異なる方向に同期して回動させるリンク機構20を有している。このリンク機構20は、各扉16,17における車両後方側の延長部16b,17bの周縁部に形成される後方歯車部16c,17cと、一方の扉16の後方歯車部16cに噛合する第1歯車21と、第1歯車21及び他方の扉17の後方歯車部17cに噛合する第2歯車22とを有している。ここで、第1、第2歯車21,22は、収容箱14の後方側壁14bにて回動可能に取着されている。なお、収容箱14の後方側壁14bには、他方の扉17の後方歯車部17cに噛合するピニオン19aを有したダンパ19が取着されている。
【0064】
また、本実施形態では、開閉装置は、以下に説明するターンオーバー機構30を有しており、両扉16,17は、このターンオーバー機構30を介して開位置と閉位置とに切り替えられる。
【0065】
図4に示すように、ターンオーバー機構30は、収容箱14の前方側壁14c側に配置されており、操作部としての一対の操作ボタン31,32と、一対のアーム33,34と、可動体付勢手段を構成するターンオーバースプリング35と、駆動歯車部としての駆動歯車部材36と、従動歯車部37とを有している。
【0066】
前記一対の操作ボタン31,32は、閉位置にある扉16,17を開位置へと回動させる際に押し操作される開時操作ボタン31と、開位置にある扉16,17を閉位置へと回動させる際に押し操作される閉時操作ボタン32とから構成されている。これら操作ボタン31,32は、保持部材38に対して操作方向及びその逆方向(図4では上下方向)に揺動可能に取着されている。そして、各操作ボタン31,32は、操作ボタン31,32と保持部材38との間に設けられる付勢ばね(図示略)により、操作面31a,32aが保持部材38から離間する方向に常に付勢されている。図2に示すように、この保持部材38は、収容箱14に対してその前方側壁14cにて例えばねじ止め等によって固定されており、操作ボタン31,32は、前記扉16,17に対して車両前方側へ僅かに離間した位置に配置されている。
【0067】
前記一対のアーム33,34は、開アーム33と閉アーム34とから構成され、図4に示すように、平面視で略逆2字状をなす板体である。開アーム33は、保持部材38に突設された支持軸としての支持ピン39を中心に回動可能に支持されており、軸側端部33aが、接続部材40との係合を介して開時操作ボタン31に接続されている。この開アーム33は、開時操作ボタン31の揺動に連動して、支持ピン39を中心として回動可能である。一方、閉アーム34は、開アーム33に対して左右が反転された状態で前記支持ピン39を中心に回動可能に支持されており、軸側端部34aが、接続部材41との係合を介して閉時操作ボタン32に接続されている。この閉アーム34は、閉時操作ボタン32の揺動に連動して、支持ピン39を中心として回動可能である。
【0068】
前記ターンオーバースプリング35は、図4に示すように、ねじりコイルばねであり、その固定端35aが収容箱14の前方側壁14cに突設された固定軸としての固定リブ42を中心として回動可能に係合しており、自由端35bが前記駆動歯車部材36に係合して接続されている。このターンオーバースプリング35は、固定端35aと自由端35bとが互いに離間するように付勢された状態で組み付けられている。
【0069】
前記駆動歯車部材36は、図4に示すように、一対のアーム33,34にほぼ対応する位置にて収容箱14の前方側壁14cに突設された支承軸としての支承ピン43を中心として回動可能に軸支されている。この駆動歯車部材36は、図2及び図5(b)に示すように、支承ピン43が内嵌される筒部36aと、筒部36aの収容箱14側端部に形成されて平面視で略扇状をなす歯車部36bと、筒部36aの収容箱14側端部とは反対側の端部にて支承ピン43に直交するように形成される一対の板部36cとを有している。
【0070】
この駆動歯車部材36の歯車部36bは、筒部36aから前記他方の扉17の延長部17bに向かって収容箱14の前方側壁14cに沿うように延設されている。そして、歯車部36bの先端部の外周面には、複数の歯36dが形成されている。また、歯車部36bには、その中央部に前記支承ピン43を中心として円弧状に延びる貫通孔44が形成されている。ここで、収容箱14の前方側壁14cには、歯車部36bの貫通孔44を介して車両前方側へ突出する規制ピン45が設けられている。そして、これら貫通孔44と規制ピン45とは、前記一対の扉15が閉位置にある状態では、規制ピン45が貫通孔44の一側部44aに当接するように、一方、前記一対の扉15が開位置にある状態では、規制ピン45が貫通孔44の他側部44bに当接するように設けられている。
【0071】
また、駆動歯車部材36の前記一対の板部36cは、両アーム33,34における先端部としての作用端部33b,34bを挟み込むように設けられている。これらの両板部36cには、両アーム33,34における作用端部33b,34bの端面33c,34c間の空間とほぼ対応した部分に、開アーム33の端面33cから閉アーム34の端面34cへと直線状に延びる長孔46が形成されている。ここで、前記ターンオーバースプリング35の自由端35bは、図2に示すように、両板部36cに対し、両長孔46内に挿通された状態で両長孔46内を摺動可能に係合されている。
【0072】
この長孔46は、図4に示すように、詳しくは、両板部36cにおいて前記支承ピン43の中心線と固定リブ42の中心線とを含む平面P1に常に交差するように形成されている。また、長孔46は、扉15が閉位置にある状態では、閉位置側端部(以後、閉端部と記す)46aが開位置側端部(以後、開端部と記す)46bよりも固定リブ42から離間するように、かつ閉端部46aが、開アーム33の端面33cと対応する位置よりも僅かに閉アーム34側へ離間するように形成されている。さらに、長孔46は、扉15が開位置にある状態では、開端部46bが閉端部46aよりも固定リブ42から離間するように、かつ開端部46bが、閉アーム34の端面34cと対応する位置よりも僅かに開アーム33側へ離間するように形成されている。
【0073】
前記従動歯車部37は、他方の扉17における車両前方側の延長部17bの下端部に、前記駆動歯車部材36の歯36dと噛合するように一体的に設けられている。
【0074】
また、本実施形態では、前記開閉機構は、一方の扉16及び他方の扉17が閉位置にあるときにこれら扉16,17が収容箱14に対して回動することを規制するための回動規制手段50を備えている。この回動規制手段50は、両扉16,17が閉位置にあるときに、前記駆動歯車部材36が収容箱14に対して回動することを直接規制するように構成されている。
【0075】
この回動規制手段50は、図4に示すように、前記開アーム33に設けられる係止部としての突出爪51と、前記駆動歯車部材36に設けられるとともに突出爪51に係合される係合部52とを備えている。
【0076】
突出爪51は、図5(a)に示すように、開アーム33における軸側端部33aと作用端部33bとの間にて側方の外表面から突出するように形成されている。詳しくは、この突出爪51は、図5(a)中の二点鎖線の丸印内にて拡大して示すように、平面視略台形状をなしている。そして、この突出爪51は、側方の外表面における頂部51aと、その軸側端部33a側の側面51bとがほぼ直交した状態でアーム33の側方外表面に対して高さHの段部を形成するように設けられている。また、突出爪51における頂部51aよりも作用端部33b側の側面51cは、その高さが、開アーム33の作用端部33b側から軸側端部33a側へ向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、突出爪51の側面51cは、開アーム33の側方外表面における突出爪51よりも作用端部33b側の外表面から突出爪51の頂部51aに向かうにつれて係合部52とのオーバーラップ量が徐々に増すように滑らかに形成されている。
【0077】
さらに、突出爪51の頂部51aの高さHは、開アーム33が支持ピン39を中心に図4中反時計回りに回動して、開アーム33の先端部、すなわち作用端部33bが前記ターンオーバースプリング35の自由端35bに接触する直前で、突出爪51と前記係合部52との係合が解除されるように設定されている。
【0078】
ここで、図4に示すように、駆動歯車部材36の一対の板部36cは、両扉16,17が閉位置にある状態で、かつ、開時操作ボタン31が押し操作されていないときの開アーム33の突出爪51を覆うように延設部36eが延設されている。図4及び図5(b)に示すように、前記係合部52は、一対の板部36cにおける延設部36eの先端において、図2に示すように、橋設されている。
【0079】
また、本実施形態では、前記開閉機構は、回動規制手段50により収容箱14に対する回動が規制された両扉16,17の回動の規制を解除する解除手段55を有しており、前記ターンオーバー機構30を構成する部品の一部が、この解除手段55を兼ねる構成となっている。この解除手段55は、前記開時操作ボタン31と接続部材40と開アーム33と支持ピン39と保持部材38とから構成されている。
【0080】
さらに、本実施形態では、開閉機構は、両扉16,17における開位置と閉位置との間での回動状態を調整する調整手段60を有している。
図3に示すように、調整手段60は、コイル状の伸長部61aと、この伸長部61aに対してその伸長方向の両端部にて連続するとともに略U字状に湾曲形成される一対の弦部61bとを有した引張りコイルばね61を備えている。また、前記一方の扉16における車両後方側の延長部16bには、一対の弦部61bのうちの一方の弦部61bが引掛けられる引掛部62が設けられており、収容箱14の後方側壁14bには、引張りコイルばね61の一対の弦部61bのうちの他方の弦部61bを保持する保持部63が設けられている。
【0081】
この引張りコイルばね61は、両扉16,17が閉位置にあるときには、伸長部61aが伸長しないように、そして、両扉16,17が開位置へと回動し始めると同時に伸長部61aが伸長するように設けられている。また、引張りコイルばね61は、両扉16,17が開位置へと向かって回動しているときに、それら両扉16,17を閉位置へと向かう方向に付勢力が作用するように設けられている。この引張りコイルばね61の付勢力により、両扉16,17が開位置及び閉位置へと確実に、かつ所定の回動速度でもって回動するように調整される。
【0082】
加えて、本実施形態では、開閉装置は、引張りコイルばね61における無負荷時の長さのばらつき、すなわち自然長のばらつきを吸収するためのばらつき吸収手段70を有しており、前記引掛部62と保持部63とが、ばらつき吸収手段70を構成している。なお、この自然長ばらつきは、引張りコイルばね61の製造誤差に起因して生じるものである。
【0083】
図3に示すように、引掛部62は、一方の扉16における車両後方側の延長部16bに対して、その外表面から突出するように形成されている。また、引掛部62の先端には、一方の扉16の車両後方側の延長部16bの外表面と略平行をなす頭部が設けられており、引掛部62と引張りコイルばね61の弦部61bとの係合が容易に解除されないようになっている。
【0084】
一方、保持部63は、図6に示すように、収容箱14の後方側壁14bに対してその外表面に突設されるとともに頂部に締結座面64aを有する筒状の締結部64と、この締結部64に螺合するビス65とを備えている。
【0085】
前記引張りコイルばね61は、両扉16,17が閉位置にある状態で、一対の弦部61bのうちの一方の弦部61bを引掛部62に対して引掛けた後、他方の弦部61bを、ビス65の締結部64に対する締め付けにより締結部64とビス65とに挟持される。このとき、引張りコイルばね61の伸長部61aを無負荷状態に保って、ビス65を締め付けることにより、引張りコイルばね61は、その自然長ばらつきが吸収された状態でコンソールボックス部13に組み付けられる。
【0086】
また、本実施形態では、開閉機構は、ビス65を締結部64に締め付ける際に、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bが締結部64に対してビス65の回転方向に回動することを規制する弦部回動規制手段75を有している。
【0087】
図3及び図7に示すように、弦部回動規制手段75は、前記保持部63(締結部64)の近傍に設けられており、収容箱14の後方側壁14bの外表面に突設される突出リブ76から構成されている。この突出リブ76は、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bにおいて、伸長部61a側の基端部61cと先端部61dとにそれぞれ対応するように設けられている。さらに、突出リブ76は、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bを、その基端部61cと先端部61dとのそれぞれにおいて、ビス65の回転方向及びその逆方向の両側から挟み込むように設けられている。
【0088】
このような構成の開閉機構を有するコンソールボックス部13では、図4に示したように、閉位置にある両扉16,17を開位置へと回動させるには、まず、開時操作ボタン31を押し操作する。この開時操作ボタン31に対する押し操作により、開時操作ボタン31と接続部材40とが、押し方向(図4では下方向)へ変位するとともに、開アーム33が支持ピン39を中心として図4における反時計回りに回動して、開アーム33の端面33cがターンオーバースプリング35の自由端35bに接触する。
【0089】
この際、開アーム33の回動により、開アーム33の突出爪51が駆動歯車部材36の係合部52から離間し、開アーム33の端面33cがターンオーバースプリング35の自由端35bに接触する直前で突出爪51と係合部52との係合が解除される。すなわち、開アーム33の端面33cがターンオーバースプリング35の自由端35bに接触した状態では、駆動歯車部材36が図4において反時計回りに回動しても、開アーム33の突出爪51と駆動歯車部材36の係合部52とが互いに接触しない。
【0090】
こうして、開アーム33の端面33cがターンオーバースプリング35の自由端35bに接触した状態で開時操作ボタン31がさらに押し操作されると、ターンオーバースプリング35の自由端35bが開アーム33により押圧される。そして、ターンオーバースプリング35は、その固定端35aが前記固定リブ42を中心として図4における時計回りに回動しつつ、自由端35bが駆動歯車部材36の長孔46内を閉端部46aから開端部46bへと変位する。ここで、ターンオーバースプリング35の自由端35bが長孔46内を閉端部46aから開端部46bへ向かって変位すると、ターンオーバースプリング35の自由端35bが固定端35aに接近するようになり、ターンオーバースプリング35自身の付勢力が増大される。
【0091】
そして、ターンオーバースプリング35の自由端35bが、長孔46内を閉端部46aから前記平面P1を越えて開端部46b側へ変位すると、ターンオーバースプリング35の付勢力により、駆動歯車部材36が収容箱14に対して前記支承ピン43を中心に図4における反時計回りに回動される。この際、駆動歯車部材36は、歯車部36bの貫通孔44における一側部44aと前記規制ピン45とが当接している位置から、図8に示すように、貫通孔44の他側部44bと規制ピン45とが当接する位置まで回動され、ターンオーバースプリング35の付勢方向が変更される。
【0092】
こうして駆動歯車部材36が回動されると、前記他方の扉17が、駆動歯車部材36の歯車部36bと他方の扉17の車両前方側の延長部17bにおける従動歯車部37との噛合を介して回動軸15aを中心に閉位置から開位置に向かって回動される。また、一方の扉16も、他方の扉17における車両後方側の延長部17bの後方歯車部17cと前記リンク機構20の第2歯車22との噛合、第2歯車22と第1歯車21との噛合、第1歯車21と一方の扉16における車両後方側の延長部16bの後方歯車部16cとの噛合を介して回動される。そして、駆動歯車部材36が、歯車部36bの貫通孔44における他側部44bと規制ピン45とが当接する位置まで回動されると、図9に示すように、一方の扉16と他方の扉17とが開位置へと回動されて、両扉16,17の閉位置から開位置への切り替えが行われる。このように、一方の扉16と他方の扉17とは、リンク機構20を介し、相異なる方向に同期して回動される。
【0093】
ここで、一方の扉16が閉位置にある状態では、コイルばね61の伸長部61aは伸長しておらず、収容箱14と一方の扉16とには、コイルばね61の付勢力は作用していない。このコイルばね61の伸長部61aは、一方の扉16が閉位置から開位置へと回動すると同時に伸長され、その伸長部61aの伸長量(一方の扉16の回動量)に応じた付勢力が収容箱14と一方の扉16とに作用するようになる。なお、コイルばね61の付勢力は、収容箱14と一方の扉16とに対し、一方の扉16の引掛部62を収容箱14の保持部63に接近させるように、すなわち、一方の扉16を開位置から閉位置へと回動させるように作用する。また、コイルばね61の付勢力は、前記ターンオーバースプリング35の付勢力よりも小さく設定されており、開位置にある扉16,17が、コイルばね61の付勢力のみによって閉位置へと回動されることはない。
【0094】
また、開時操作ボタン31に対する押し操作をやめると、開時操作ボタン31は、開時操作ボタン31と保持部材38との間に設けられた前記付勢ばねの付勢力により、保持部材38から離間する方向(図4では上方)に変位され、押し操作される前の位置に戻るようになる。この開時操作ボタン31の変位に伴って、接続部材40及び開アーム33も、開時操作ボタン31が押し操作される前の元の位置へと戻る。
【0095】
次に、開位置にある両扉16,17を閉位置へと回動させるには、閉時操作ボタン32を押し操作する。この閉時操作ボタン32に対する押し操作により、閉時操作ボタン32と接続部材41とが、押し方向(図4では下方向)へ変位するとともに、閉アーム34が支持ピン39を中心として図4における時計回りに回動する。そして、閉アーム34の端面34cが、駆動歯車部材36の長孔46内においてその開端部46bに位置するターンオーバースプリング35の自由端35bに接触する。
【0096】
このように、閉アーム34の端面34cがターンオーバースプリング35の自由端35bに接触した状態で閉時操作ボタン32がさらに押し操作されると、ターンオーバースプリング35の自由端35bが閉アーム34により押圧される。そして、ターンオーバースプリング35は、その固定端35aが前記固定リブ42を中心として図4における反時計回りに回動しつつ、自由端35bが駆動歯車部材36の長孔46内を開端部46bから閉端部46aへ向かって変位する。ここで、ターンオーバースプリング35の自由端35bが長孔46内を開端部46bから閉端部46aへ向かって変位すると、ターンオーバースプリング35の自由端35bが固定端35aに接近するようになり、ターンオーバースプリング35自身の付勢力が増大される。
【0097】
そして、ターンオーバースプリング35の自由端35bが、長孔46内を開端部46bから前記平面P1を越えて閉端部46a側へ変位すると、ターンオーバースプリング35の付勢力により、駆動歯車部材36が収容箱14に対して前記支承ピン43を中心に図4における時計回りに回動される。この際、駆動歯車部材36は、図8に示すように、歯車部36bの貫通孔44における他側部44bと規制ピン45とが当接している位置から、図4に示すように、貫通孔44の一側部44aと規制ピン45とが当接する位置まで回動され、ターンオーバースプリング35の付勢方向が変更される。
【0098】
こうして駆動歯車部材36が回動されると、他方の扉17が、駆動歯車部材36の歯車部36bと他方の扉17の車両前方側の延長部17bにおける従動歯車部37との噛合を介して開位置から閉位置に向かって回動されるとともに、一方の扉16も、リンク機構20を介して開位置から閉位置に向かって回動される。
【0099】
また、駆動歯車部材36の回動により、駆動歯車部材36の係合部52が開アーム33の突出爪51に接近するようになり、両扉16,17が閉位置の近傍まで回動されると、係合部52は、開アーム33における側方の外表面に当接する。そして、両扉16,17が閉位置へ向かってさらに回動されると、係合部52は、開アーム33における側方の外表面、突出爪51の側面51c、突出爪51の頂部51a上を順に摺動する。ここで、係合部52が突出爪51の側面51c上を頂部51aへ向かって摺動する際、突出爪51と係合部52とのオーバーラップ量が徐々に増し、開アーム33は、駆動歯車部材36の係合部52により押圧され、支持ピン39を中心として図4における反時計回りに僅かに回動される。
【0100】
その後、駆動歯車部材36が、歯車部36bの貫通孔44における一側部44aと規制ピン45とが当接する位置まで回動されると、一方の扉16と他方の扉17とがともに閉位置へと回動されて、両扉16,17の開位置から閉位置への切り替えが行われる。この際、駆動歯車部材36の係合部52が開アーム33における突出爪51よりも軸側端部33a側に変位したときに、開アーム33が前記付勢ばねの付勢力によって図4における時計回りに僅かに回動される。これにより、係合部52と突出爪51の側面51bとが当接して係合し、駆動歯車部材36が収容箱14に対して図4における反時計回りに回動しないように規制される。なお、閉時操作ボタン32に対する押し操作をやめると、閉時操作ボタン32及び接続部材41及び閉アーム34は、閉時操作ボタン32が押し操作される前の位置に戻る。
【0101】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、収容箱14の開口14aに対応する覆い部16a,17aと、同覆い部16a,17aから回動軸15aへと延長される延長部16b,17bとを有する扉16,17を用いている。そして、それら扉16,17を、閉位置から開位置へと変位する際に、扉16,17の覆い部16a,17aが重力方向における上方から下方へと変位するように収容箱14に回動可能に設けている。また、一方の扉16及び他方の扉17が閉位置にあるときに、それら扉16,17の収容箱14に対する回動を規制する回動規制手段50を設けている。
【0102】
これにより、両扉16,17が閉位置にあるときには、収容箱14(コンソールボックス部13)が外部からの振動等によって変位しても、回動規制手段50により、両扉16,17が自身の慣性荷重で収容箱14に対して回動することが規制される。このため、両扉16,17が閉位置にあるときに、各扉16,17の重心が重力方向において上方に位置して不安定な状態となり易いコンソールボックス部13であっても、両扉16,17が収容箱14に対して僅かに回動してばたついたり、閉位置から開位置へと不用意に回動することを回避することができる。この結果、走行時において特に振動が生じやすく、その振動が両扉16,17にも伝わり易い車両のコンソールボックス部13にあって、両扉16,17を閉位置に保持する保持性を効果的に向上することができる。
【0103】
(2)本実施形態では、ターンオーバー機構30は、開時操作ボタン31と閉時操作ボタン32と、それぞれ対応する操作ボタン31,32の変位に連動して回動するとともにターンオーバースプリング35の付勢方向を変更するアーム33,34とを有している。また、回動規制手段50は、開アーム33における側方の外表面に設けられる突出爪51と、駆動歯車部材36の板部36cに設けられる係合部52とを有している。そして、両扉16,17が閉位置にあるときに、突出爪51と係合部52とが係合することにより、駆動歯車部材36の収容箱14に対する回動を規制するようにしている。
【0104】
このように、突出爪51と係合部52との係合により駆動歯車部材36の収容箱14に対する回動が規制されると、駆動歯車部材36の歯車部36bと噛合する従動歯車部37が収容箱14に対して回動しなくなる。このため、両扉16,17は、閉位置に保持され、収容箱14に対して回動しなくなる。
【0105】
また、両扉16,17を閉位置から開位置へと回動させる際には、開時操作ボタン31を一度、押し操作するのみで、両扉16,17の収容箱14に対する回動規制を解除しつつ、両扉16,17を開位置まで回動させることができる。このため、一度の押し操作、いわゆるワンモーションで、両扉16,17の収容箱14に対する回動規制の解除と、両扉16,17の開位置への回動とを行うことができ、両扉16,17を回動操作する際の操作性を向上することができる。
【0106】
また、駆動歯車部材36の収容箱14に対する回動を、開アーム33の突出爪51と駆動歯車部材36の係合部52との係合を通じて直接規制する構成であるため、両扉16,17の収容箱14に対する回動軸15aの位置を任意に設定することが可能となる。このため、両扉16,17が開位置にあるときにおいて、それら両扉16,17における収容箱14の開口14aからの突出量が小さくなるように回動軸15aの位置を設定することができる。
【0107】
(3)本実施形態では、突出爪51の頂部51aでの高さHを、開時操作ボタン31に対する押し操作を通じた開アーム33の回動により、開アーム33の端面33cがターンオーバースプリング35の自由端35bに接触する直前で、突出爪51と係合部52との係合が解除されるように設定している。
【0108】
これにより、開時操作ボタン31に対する押し操作を通じた開アーム33の回動によって、ターンオーバースプリング35の付勢方向が変更され始めるとともに、駆動歯車部材36の係合部52が収容箱14に対して回動可能となる。このため、駆動歯車部材36が回動する際に、係合部52が突出爪51に接触することがなく、駆動歯車部材36の収容箱14に対する回動を円滑に行うことができる。
【0109】
(4)本実施形態では、突出爪51の開アーム33の側面に対する突出量を、開アーム33の作用端部33b側から軸側端部33a側へ向かうにつれて大きくなるようにした。すなわち、両扉16,17が開位置から閉位置へと回動する際における係合部52の変位方向の前側から後側へ向かうにつれて、突出爪51の側面51cの開アーム33の側面に対する高さが徐々に大きくなるようになっている。さらに、突出爪51の側面51cを、開アーム33の側方の外表面から滑らかに連続するように形成している。
【0110】
これにより、両扉16,17が開位置から閉位置へと回動する際に、駆動歯車部材36の係合部52を、側面51c上を円滑に摺動させることができる。そして、両扉16,17が閉位置に達した際には、開アーム33の突出爪51と駆動歯車部材36の係合部52とを速やかに係合させることができる。
【0111】
(5)本実施形態では、係合部52を、駆動歯車部材36の一対の板部36cに対し、両扉16,17が閉位置にあるときの開アーム33の突出爪51と対応する位置にて橋設している。これにより、係合部52の剛性を確保し易くなる。
【0112】
(6)本実施形態では、コンソールボックス部13における両扉16,17の近傍に開時操作ボタン31を配設し、その開時操作ボタン31を押し操作することによって、両扉16,17を閉位置から開位置へと回動させるようにしている。これにより、閉位置にある両扉16,17に対して押圧するような外力が作用しても、両扉16,17は、回動規制手段50によって収容箱14に対する回動が規制されているため、両扉16,17が意図せずに開位置へと変位することを抑制することができる。
【0113】
(7)本実施形態では、回動規制手段50による両扉16,17の収容箱14に対する回動の規制を解除する解除手段55を設けている。これにより、両扉16,17の収容箱14に対する回動が回動規制手段50により規制されている状態で、解除手段55により両扉16,17の回動規制を解除すれば、両扉16,17を収容箱14に対して回動させることが可能となる。
【0114】
(8)本実施形態では、ターンオーバー機構30を構成する部品のうち、開時操作ボタン31と接続部材40と開アーム33と支持ピン39と保持部材38とが、解除手段55を兼ねている。これにより、解除手段55を、ターンオーバー機構30を構成する部品とは別の部品から構成する場合に比べて、開閉装置の大型化を抑制することができる。
【0115】
(9)本実施形態では、両扉16,17における開位置と閉位置との間での回動状態を調整する調整手段60を設けている。この調整手段60により、両扉16,17が開位置と閉位置との間で回動する際の回動状態を、所定の状態に調整することができる。このため、例えば両扉16,17における開閉時の回動速度等を所定の状態とすることができ、開閉装置の品質を向上することができる。
【0116】
(10)本実施形態では、調整手段60は、コイル状の伸長部61aと、同伸長部61aに連続するとともに伸長方向の両端部に設けられる弦部61bとを有した引張りコイルばね61を備えている。これにより、引張りコイルばね61の両弦部61bを、収容箱14の後方側壁14bに形成された保持部63と、一方の扉16における車両後方側の延長部16bに形成された引掛部62とに係合させるのみであるため、調整手段60を簡素な構成とすることができるとともに、開閉装置の軽量化を図ることができる。
【0117】
(11)本実施形態では、引張りコイルばね61の自然長ばらつきを吸収するためのばらつき吸収手段70を設けている。これにより、引張りコイルばね61による付勢力を、一方の扉16に対し、その一方の扉16の閉位置から開位置への回動量に応じて所望の大きさで生じさせることが可能となる。このため、引張りコイルばね61による両扉16,17の開位置から閉位置への復帰性、閉止速度等の回動状態の調整を精度よく行うことができる。また、各開閉装置(各コンソールボックス部13)において、両扉16,17が開位置と閉位置との間で回動する際の回動状態をほぼ一定とすることができ、開閉装置(コンソールボックス部13)間での両扉16,17の回動状態のばらつきを小さくすることができる。
【0118】
(12)本実施形態では、ばらつき吸収手段70は、一方の扉16に設けられる引掛部62と、収容箱14に設けられるとともに締結座面64aを有する締結部64と、同締結部64に螺合するビス65とを有している。そして、引張りコイルばね61の弦部61bのうちの一方の弦部61bを引掛部62に引掛け、他方の弦部61bをビス65と締結部64とにより、ビス65の締結部64に対する締付けによって挟持する構成としている。
【0119】
これにより、簡素な構成で引張りコイルばね61の自然長ばらつきを吸収することができる。また、引張りコイルばね61の一方の弦部61bを引掛部62に引掛けて、他方の弦部61bをビス65の締付けにより締結部64とビス65とで挟持するのみであるため、引張りコイルばね61の組付けを容易に行うことができる。
【0120】
(13)本実施形態では、収容箱14における締結部64の近傍に、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bが締結部64に対して回動することを規制するための弦部回動規制手段75を設けている。これにより、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部をビス65の締付けによりビス65と締結部64とで挟持する際、その弦部61bが、ビス65の締付時の回転に伴い締結部64に対して回動することが規制される。このため、引張りコイルばね61が、その伸長部61aが開閉装置に対して不用意に伸長された状態で組付けられることを抑制することができる。従って、引張りコイルばね61による両扉16,17の開位置と閉位置との間での回動状態の調整を高い精度で行うことができる。
【0121】
(14)本実施形態では、弦部回動規制手段75を、収容箱14の後方側壁14bの外表面に突設される突出リブ76から構成している。これにより、引張りコイルばね61における保持部63側の弦部61bの締結部64に対する回動を容易な構成で規制することができる。
【0122】
(15)本実施形態では、突出リブ76を、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bにおいて、伸長部61a側の基端部61cと先端部61dとにそれぞれ対応する位置に設けている。さらに、突出リブ76を、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bにおいて、その基端部61cと先端部61dとのそれぞれをビス65の回転方向及びその逆方向の両側から挟み込むように設けている。これにより、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bの締結部64に対する回動をより確実に規制することができる。そして、引張りコイルばね61の伸長部61aが不用意に伸長されることをより確実に抑制することができる。
【0123】
(16)本実施形態では、ターンオーバースプリング35の固定端35aを収容箱14に対して固定リブ42を中心に回動可能に係合させるとともに、自由端35bを駆動歯車部材36の長孔46内における閉端部46aと開端部46bとの間で揺動可能に係合させている。また、長孔46を、駆動歯車部材36の両板部36cにおいて支承ピン43の中心線と固定リブ42の中心線とを含む平面P1に常に交差するように形成している。
【0124】
これにより、ターンオーバースプリング35の自由端35bが駆動歯車部材36の長孔46内を閉端部46aから開端部46bへ、または開端部46bから閉端部46aへと変位すると、駆動歯車部材36が収容箱14に対して回動して、ターンオーバースプリング35の付勢方向が変更される。こうして駆動歯車部材36が回動されることにより従動歯車部37が回動されて、両扉16,17を閉位置から開位置へと、または開位置から閉位置へと回動させることが可能となる。
【0125】
(17)本実施形態では、ターンオーバー機構30は、ターンオーバースプリング35と、収容箱14に回動可能に軸支されてターンオーバースプリング35の自由端35bに接続される駆動歯車部材36と、他方の扉17に一体的に設けられて駆動歯車部材36の歯36dと噛合する従動歯車部37とを有している。さらに、ターンオーバー機構30は、両扉16,17を開位置または閉位置へと回動させる際に押し操作される操作ボタン31,32と、各操作ボタン31,32の変位に連動して収容箱14に対して回動するとともにターンオーバースプリング35の付勢方向を変更するアーム33,34とを有している。
【0126】
これにより、両扉16,17を閉位置または開位置へと回動させる際には、開時操作ボタン31または閉時操作ボタン32を押し操作するのみでよいため、操作性を向上することができる。
【0127】
(18)本実施形態では、一対の扉15を、それぞれ閉位置にある状態において、一方の扉16が収容箱14の開口14aにおける車両左右方向の一方側の半分を覆うように、また、他方の扉17が収容箱14の開口14aにおける車両左右方向の他方側の半分を覆うように設けている。また、この一対の扉15を、閉位置と開位置との間においてそれぞれの回動軸15aを中心として互いに異なる方向に同期して回動させるリンク機構20を設けている。
【0128】
これにより、一対の扉15を同時に閉位置から開位置へ、開位置から閉位置へと回動させることが可能となり、コンソールボックス部13の利便性を向上することができる。また、大きな開口14aを有する収容箱14が用いられても、開位置にあるときの一対の扉15における収容箱14の上部からの突出量を低減することができる。このため、開位置にある一対の扉15が、収容箱14の内部に収容物を収容する際の妨げとなったりすることを回避し易くなる。
【0129】
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態について、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。この第2実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、後述する変位抑制手段80がさらに設けられた構成となっている。この変位抑制手段80は、両扉16,17が閉位置または開位置へと回動する際に、ターンオーバースプリング35の自由端35bが駆動歯車部材36の長孔46内を閉端部46aから開端部46bへ、開端部46bから閉端部46aへと使用者の意に反して変位することを抑制するために設けられている。
【0130】
変位抑制手段80は、図10に示すように、駆動歯車部材36の両板部36cの長孔46内において閉端部46a及び開端部46bの双方に形成される凹部81から構成されている。この凹部81は、両板部36cに対して、ターンオーバースプリング35の略付勢方向(図10では上方)へ向かって窪むように形成されている。
【0131】
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(18)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(19)両扉16,17を例えば、開位置へと回動させる際には、開時操作ボタン31の押し操作に伴う開アーム33の回動を通じて、ターンオーバースプリング35の自由端35bが長孔46内を開端部46bへと一旦変位すると、その自由端35bは、長孔46の開端部46b側の凹部81と係合する。これにより、ターンオーバースプリング35の自由端35bが長孔46内を開端部46bから閉端部46aに向かって跳ね返ることが抑制される。このため、開時操作ボタン31が強い力で瞬間的に押し操作されることがあっても、両扉16,17を開位置へと確実に回動させることができる。
【0132】
また、ターンオーバースプリング35の自由端35bが長孔46の開端部46b側の凹部81と係合しているときには、その自由端35bが長孔46内を開端部46bから閉端部46aへと不用意に変位することが抑制される。これにより、両扉16,17が開位置にあるときに、それら扉16,17に対して閉位置へと回動させるような外力が作用し、従動歯車部37を介して駆動歯車部材36が僅かに回動されても、ターンオーバースプリング35の自由端35bと長孔46の開端部46b側の凹部81との係合が容易に解除されなくなる。このため、扉16,17に対して閉位置へと回動させるような外力が作用しなくなると、両扉16,17が開位置まで戻るようになり、閉位置まで回動されることを回避することができる。
【0133】
さらに、変位抑制手段80を駆動歯車部材36に設けられる凹部81から構成しているため、変位抑制手段80を簡素な構成で形成することができるとともに、開閉装置の大型化を抑制することができる。
【0134】
(変形例)
なお、本発明の各実施形態は、以下のように変形してもよい。
・前記第2実施形態において、変位抑制手段80を、例えば図11に示すように、駆動歯車部材36の長孔46内において閉端部46a及び開端部46bの双方に形成される凸部82からなる構成としてもよい。また、この場合には、凸部82を、駆動歯車部材36の一対の板部36cのうちの一方の板部36cのみに設ける構成としてもよい。
【0135】
・前記第2実施形態において、変位抑制手段80を、例えば、駆動歯車部材36の長孔46内において閉端部46a及び開端部46bの双方に設けられる磁石等を有する構成としてもよい。
【0136】
・前記第2実施形態において、変位抑制手段80を、駆動歯車部材36の長孔46内において閉端部46a及び開端部46bの一方のみに形成する構成としてもよい。
【0137】
・前記各実施形態において、引張りコイルばね61の代わりに、例えば、一端が巻取装置に巻回された線材等を用いる構成としてもよい。この場合には、収容箱14の保持部63は省略される。そして、線材の他端を一方の扉16の延長部16bに引掛部62に引っ掛け、巻取装置を収容箱14の後方側壁14bに取着するといった構成を採用することができる。
【0138】
・前記各実施形態において、調整手段60を省略してもよい。なお、この場合には、ばらつき吸収手段70及び弦部回動規制手段75も省略される。また、調整手段60を設ける代わりに、例えば、一方の扉16の延長部16bにカウンターウエイト等を設ける構成としてもよい。
【0139】
・前記各実施形態において、引掛部62を収容箱14の後方側壁14bに設け、保持部63を一方の扉16における車両後方側の延長部16bに設ける構成としてもよい。このようにした場合には、突出リブ76は、一方の扉16における車両後方側の延長部16bの保持部63の近傍に設けられる。
【0140】
・前記各実施形態において、保持部63を、収容箱14の後方側壁14bに対し、引張りコイルばね61の伸長方向の任意の位置で固定可能に設ける構成としてもよい。この場合、引張りコイルばね61の引掛部62側の弦部61bを引掛部62に引っ掛け、保持部63側の弦部61bを締結部64とビス65とで挟持した状態で締結部64を、収容箱14の後方側壁14bにおいて引張りコイルばね61が自然長となる位置にて固定すれば、自然長ばらつきを吸収することができる。また、この場合には、保持部63は、締結部64とビス65とを有する構成には限定されず、例えば引張りコイルばね61における保持部63側の弦部61bを引っ掛けることが可能な構成であってもよい。
【0141】
・前記各実施形態において、突出リブ76の大きさや形状は、図7に示したものに限らず、引張りコイルばね61の大きさ等に応じて任意である。
・前記各実施形態において、突出リブ76を、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bにおける基端部61cのみに対応するように設ける構成としてもよい。
【0142】
・前記各実施形態において、突出リブ76を、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bにおけるビス65の回転方向側のみに設ける構成としてもよい。
【0143】
・前記各実施形態では、収容箱14に突出リブ76を設けて、この突出リブ76により、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bがビス65の回転方向及びその逆方向に回動しないように規制するようにしたが、吸収手段70は、突出リブ76には限定されない。突出リブ76を設ける代わりに、例えば、引張りコイルばね61の保持部63側の弦部61bと保持部63とを係合させた状態で、保持部63側の弦部61bがビス65の回転方向及びその逆方向に回転しないような回り止め用の治具を用いて、ビス65を締結部64に締め付けるようにしてもよい。
【0144】
・前記各実施形態において、駆動歯車部材36の板部36cに、開アーム33及び閉アーム34の端面33c,34cが当接する当接部を設け、開アーム33及び閉アーム34が回動した際に、それらの端面33c,34cが板部36cの前記当接部を押圧して、駆動歯車部材36を回動させる構成としてもよい。
【0145】
・前記各実施形態において、開アーム33の突出爪51の側面51cを、必ずしも滑らかに形成する構成でなくてもよい。
・前記各実施形態において、突出爪51の頂部51aでの高さHを、開時操作ボタン31に対する押し操作を通じた開アーム33の回動により、開アーム33の端面33cがターンオーバースプリング35の自由端35bに接触したときに突出爪51と係合部52との係合が解除されるように設定してもよい。
【0146】
・前記各実施形態において、板部36cを1つのみ有する駆動歯車部材36を用い、係合部52を、1つの板部36cに対し、両扉16,17が閉位置にあるときの突出爪51と対応する位置にて突設する構成としてもよい。このようにした場合には、開アーム33の突出爪51と駆動歯車部材36の係合部52とを簡素な構成で係合させることができる。
【0147】
・前記各実施形態において、両扉16,17が開位置にあるときにも、それら扉16,17の収容箱14に対する回動を規制するようにしてもよい。この場合には、閉アーム34に突出爪を設けるとともに、駆動歯車部材36の板部36cに、両扉16,17が開位置にあるときの閉アーム34の突出爪と係合する係合部を設けるといった構成を採用することができる。
【0148】
・前記各実施形態において、係合部52を駆動歯車部材36の板部36cに設ける代わりに、一方の扉16または他方の扉17の車両前方側の延長部16b,17b、もしくは従動歯車部37に設ける構成としてもよい。
【0149】
・前記各実施形態において、回動規制手段50は、突出爪51と係合部52とを有する構成には限定されない。この回動規制手段50は、両扉16,17が閉位置にあるときに、駆動歯車部材36及び従動歯車部37及びターンオーバースプリング35及び両扉16,17における延長部16b,17bのうちの少なくとも1つの収容箱14に対する回動を規制するものであってもよい。要は、回動規制手段50は、両扉16,17の収容箱14に対する回動を規制する構成を有するものであればよい。
【0150】
・前記各実施形態において、解除手段55をターンオーバー機構30とは別に設ける構成としてもよい。
・前記各実施形態において、両扉16,17は、閉位置から開位置へと変位する際に、覆い部16a,17aが重力方向において上方から下方へと変位するように収容箱14に対して回動可能に支持される構成には限定されない。両扉16,17を、例えば、側面に開口を有する収容箱に対して、上下方向または左右方向へ回動可能に支持する構成としてもよい。
【0151】
・前記各実施形態において、収容箱14に対してその開口14aの全体を開閉する扉を1つのみ設ける構成としてもよい。ただし、このようにした場合には、リンク機構20は省略される。
【0152】
・前記各実施形態において、開閉装置は、例えば、操作ボタンを1つのみ有し、その操作ボタンを押し操作する毎に開アーム33と閉アーム34とが交互に回動される構成のものであってもよい。
【0153】
・前記各実施形態では、開閉装置を、コンソールボックス部13に設ける例を示したが、この構成には限定されない。本発明は、例えば、車両のインストルメントパネル等に設けられた収容箱の扉を開閉する開閉装置にも同様に適用することができる。
【0154】
・前記各実施形態では、車両に設けられた収容箱14の扉16,17を開閉する開閉装置の例を示したが、この構成には限定されない。本発明は、例えば、船舶や航空機等の乗り物、家具等に設けられた収容箱の扉を開閉する開閉装置にも同様に適用することができる。
【0155】
その他、実施形態並びに以上の記載から把握できる技術的思想について、効果とともに以下に記載する。
(イ)前記係止部は、前記係合部の変位方向にいくに従って、その係合部とのオーバーラップ量が徐々に増すように形成されることを特徴とする可動体の開閉装置。
【0156】
この(イ)に記載の発明によれば、駆動歯車部または従動歯車部の係合部がアームの係止部における頂部から前記係合部の変位方向の前側の外面上を摺動する際の摺動性を向上することができる。
【0157】
(ロ)開口を有する固定体に対し、前記開口を開閉するように回動可能に支持される可動体を、開位置と閉位置とに切り替えるためのターンオーバー機構を介して開閉する可動体の開閉装置において、前記ターンオーバー機構は、前記可動体を前記開位置または前記閉位置に変位させるように付勢する可動体付勢手段と、前記固定体に対して回動可能に軸支されるとともに前記可動体付勢手段に接続される駆動歯車部と、前記可動体に対して一体的に設けられるとともに前記駆動歯車部と噛合される従動歯車部と、前記可動体を少なくとも前記開位置に切り替える際に操作される操作ボタンと、同操作ボタンの変位に連動して前記固定体に対して変位するとともに、前記可動体付勢手段の付勢方向を変更するアームとを備えることを特徴とする可動体の開閉装置。
【0158】
この(ロ)に記載の発明では、可動体を固定体に対して回動させる際には、操作ボタンを操作するのみでよいため、操作性を向上することができる。
(ハ)前記(ロ)に記載の可動体の開閉装置において、前記可動体付勢手段は、ねじりコイルばねを備えるものであり、そのねじりコイルばねの一方端が前記固定体に対して固定軸を中心として回動可能に係合されるとともに、他方端が前記駆動歯車部に対してその長孔内を揺動可能に係合されており、前記長孔は、前記駆動歯車部において、同駆動歯車部の前記固定体に対する支承軸と前記固定軸とを含む平面に交差するように形成されており、前記駆動歯車部または前記ねじりコイルばねを、前記操作ボタンの変位に連動して変位したアームによって所定の状態へと変位させることにより、前記可動体を前記開位置と前記閉位置とに切り替えることを特徴とする可動体の開閉装置。
【0159】
この(ハ)に記載の発明によれば、(ロ)に記載の発明の効果に加えて、ねじりコイルばねの他方端が駆動歯車部の長孔内を一端部から他端部へと変位する際には、ねじりコイルばねの付勢方向が変更されるとともに、駆動歯車部が固定体に対して回動される。この駆動歯車部の回動により従動歯車部が回動されて、可動体を閉位置から開位置へと、または開位置から閉位置へと回動させることが可能となる。
【0160】
(ニ)前記固定体には、一対の可動体が、前記閉位置にあるときにそれぞれ前記開口の相異なる片側半分を覆うように回動可能に支持されており、その一対の可動体を前記閉位置と前記開位置との間で同期して回動させるリンク機構を備えることを特徴とする可動体の開閉装置。
【0161】
この(ニ)に記載の発明によれば、一対の可動体を同時に閉位置から開位置へ、開位置から閉位置へと切り替えることが可能となり、利便性を向上することができる。また、大きな開口を有する固定体が用いられる場合であっても、開位置へと回動した可動体における前記固定体の上面からの突出量を低減することができ、開位置にある可動体が、収容物を固定体の内部に収容する際の妨げとなったりすることを回避し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の開閉装置を有するコンソールボックス部の側面図。
【図2】開閉装置を車両側方から見たときの側面図。
【図3】収容箱を車両後方から前方に向かって見たときの平面図。
【図4】収容箱を車両前方から後方に向かって見たときの平面図。
【図5】(a)は開アームの、(b)は駆動歯車部材の正面図。
【図6】図3の6―6線断面図。
【図7】図6の7―7線断面図。
【図8】開時操作ボタンが押し操作された状態を示す開閉装置の正面図。
【図9】扉が開位置にあるときの収容箱の平面図。
【図10】第2実施形態についてその変位抑制手段を示す平面図。
【図11】変位抑制手段についてその変形例を示す部分断面図。
【図12】(a)及び(b)は、従来の開閉装置を示す斜視図。
【符号の説明】
13…コンソールボックス部、14…固定体としての収容箱、14a…開口、15…可動体としての一対の扉、15a…回動軸、16…可動体としての一方の扉、17…可動体としての他方の扉、16a,17a…覆い部、16b,17b…延長部、20…リンク機構、30…ターンオーバー機構、31…操作部としての開時操作ボタン、32…操作部としての閉時操作ボタン、33…アームとしての開アーム、33b…先端部としての作用端部、34…アームとしての閉アーム、35…可動体付勢手段を構成するねじりコイルばねとしてのターンオーバースプリング、35a…固定端、35b…自由端、36…駆動歯車部としての駆動歯車部材、36c…板部、37…従動歯車部、39…支持軸としての支持ピン、42…固定軸としての固定リブ、43…支承軸としての支承ピン、46…長孔、46a…閉位置側端部(閉端部)、46b…開位置側端部(開端部)、50…回動規制手段、51…係止部としての突出爪、51a…頂部、51c…外面としての側面、52…係合部、55…解除手段、60…調整手段、61…引張りコイルばね、61a…伸長部、61b…弦部、61c…基端部、61d…先端部、62…調整手段及びばらつき吸収手段を構成する引掛部、64…調整手段及びばらつき吸収手段を構成する締結部、64a…締結座面、65…調整手段及びばらつき吸収手段を構成するビス、70…ばらつき吸収手段、75…弦部回動規制手段、76…突出リブ、80…変位抑制手段、81…凹部、82…凸部。
Claims (9)
- 開口を有する固定体に対し、前記開口を開閉するように回動可能に支持される可動体を、開位置と閉位置とに切り替えるためのターンオーバー機構を介して開閉する可動体の開閉装置において、
前記ターンオーバー機構は、前記可動体を前記開位置または前記閉位置に変位させるように付勢する可動体付勢手段と、前記固定体に対して回動可能に軸支されるとともに前記可動体付勢手段に接続される駆動歯車部と、前記可動体に対して一体的に設けられるとともに前記駆動歯車部に噛合される従動歯車部と、を備えるものであり、前記可動体が前記閉位置にあるときに、同可動体の前記固定体に対する回動を規制する回動規制手段を設け、
前記回動規制手段は、前記可動体が前記閉位置にあるときに、前記駆動歯車部及び前記従動歯車部及び前記可動体付勢手段のうちの少なくとも1つの前記固定体に対する回動を規制するものであり、
前記ターンオーバー機構は、前記可動体を少なくとも前記閉位置から前記開位置へと切り替える際に操作される操作部と、同操作部の変位に連動して前記固定体に対して変位するとともに、前記可動体付勢手段の付勢方向を変更するアームとをさらに備えるものであり、前記回動規制手段は、前記アームに設けられる係止部と、前記駆動歯車部または前記従動歯車部または前記可動体に設けられる係合部とを備え、それら係止部と係合部との係合により、前記駆動歯車部または前記従動歯車部または前記可動体の前記固定体に対する回動を規制することを特徴とする可動体の開閉装置。 - 前記係止部は、前記アームの外表面から突出する突出爪であり、同突出爪は、前記操作部の操作を通じて前記アームの先端部が前記可動体付勢手段及び前記可動体の一方に接触する直前または接触したときに、前記係止部と前記係合部との係合が解除されるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の可動体の開閉装置。
- 前記係止部は、その高さが、前記可動体が前記開位置から前記閉位置へ変位する際における前記係合部の変位方向の前側から後側に向かって徐々に大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可動体の開閉装置。
- 開口を有する固定体に対し、前記開口を開閉するように回動可能に支持される可動体を、開位置と閉位置とに切り替えるためのターンオーバー機構を介して開閉する可動体の開閉装置において、
前記ターンオーバー機構は、前記可動体を前記開位置または前記閉位置に変位させるように付勢する可動体付勢手段と、前記固定体に対して回動可能に軸支されるとともに前記可動体付勢手段に接続される駆動歯車部と、前記可動体に対して一体的に設けられるとともに前記駆動歯車部に噛合される従動歯車部と、を備えるものであり、前記可動体が前記閉位置にあるときに、同可動体の前記固定体に対する回動を規制する回動規制手段を設け、
前記可動体における前記開位置と前記閉位置との間での回動状態を調整する調整手段をさらに備えることを特徴とする可動体の開閉装置。 - 前記調整手段は、コイル状の伸長部と、同伸長部に連続するとともに伸長方向の両端部に設けられる弦部とを有した引張りコイルばねを備えることを特徴とする請求項4に記載の可動体の開閉装置。
- 前記引張りコイルばねの自然長ばらつきを吸収するためのばらつき吸収手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の可動体の開閉装置。
- 開口を有する固定体に対し、前記開口を開閉するように回動可能に支持される可動体を、開位置と閉位置とに切り替えるためのターンオーバー機構を介して開閉する可動体の開閉装置において、
前記ターンオーバー機構は、前記可動体を前記開位置または前記閉位置に変位させるように付勢する可動体付勢手段と、前記固定体に対して回動可能に軸支されるとともに前記可動体付勢手段に接続される駆動歯車部と、前記可動体に対して一体的に設けられるとともに前記駆動歯車部に噛合される従動歯車部と、を備えるものであり、前記可動体が前記 閉位置にあるときに、同可動体の前記固定体に対する回動を規制する回動規制手段を設け、
前記可動体付勢手段は、ねじりコイルばねを備えるものであり、そのねじりコイルばねの一方端が前記固定体に対して固定軸を中心として回動可能に係合されるとともに、他方端が前記駆動歯車部に対してその長孔内を揺動可能に係合され、前記長孔は、前記駆動歯車部において、同駆動歯車部の前記固定体に対する支承軸と前記固定軸とを含む平面に交差するように形成されることを特徴とする可動体の開閉装置。 - 前記可動体が閉位置から開位置へ、または開位置から閉位置へと回動する際に、前記ねじりコイルばねの他方端が前記長孔内を一端部から他端部へ変位することを抑制する変位抑制手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の可動体の開閉装置。
- 前記変位抑制手段は、前記長孔内において一端部及び他端部の少なくとも一方に形成される凹部または凸部であることを特徴とする請求項8に記載の可動体の開閉装置。
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