JP4146956B2 - 保険料賦課収納記録更新装置および保険料賦課収納記録更新プログラム記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被保険者に賦課された保険料の収納の記録および保険料の還付の記録を更新する保険料賦課収納記録更新装置、年金の受給予定額を計算する年金受給予定額計算装置、および前納保険料を計算する前納保険料計算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、社会保険事務所および都道府県市町村の地方自治体における国民年金の事務および窓口業務において、国民年金の被保険者が納付すべき年金保険料、納付した年金保険料、あるいは受け取ることができる年金の額を被保険者に通知する書類を作成したり被保険者に直接提示したりする際に、それらの保険料や年金の額の情報を取り出すのに長時間を要する場合がある。具体的にはそのように取り出すのに長時間を要する情報として、被保険者に賦課された国民年金保険料の収納状況をあらわす賦課収納情報の他、老齢基礎年金の受給予定額および国民年金前納保険料といったものがあげられる。
【0003】
国民年金保険料の賦課収納情報は、年度/月単位で管理される情報である。賦課収納情報は、被保険者の、国民年金加入履歴、付加年金加入履歴、および保険料免除履歴などの資格履歴が変更されるとその変更に応じて更新されなくてはならない。しかし、これらの資格履歴は全て日付単位で管理される情報であるので、年度/月単位で管理される賦課収納情報とこれらの資格履歴との突合は、複雑な手順が必要であって、人手によるかあるいは夜間のバッチ処理により行われている。このため資格履歴の変更が発生してから、その資格履歴の変更に応じた賦課収納情報の更新を行うまでにタイムラグが発生する。このタイムラグにより資格変更に伴う賦課収納情報の更新が間に合わず、新しい賦課収納情報の窓口での提供に支障が生ずることがある。また、国民年金の事務においては、このタイムラグにより、本来資格喪失と同時に払い戻しされるべき納付済み保険料の還付処理が遅延したり、資格取得に伴う保険料の納付を請求する納付書の発行が遅れて保険料の徴収率が低下するといった問題を引き起こしている。
【0004】
老齢基礎年金の受給予定額の計算は、国民年金被保険者の年金受給相談時に行われる計算であり、例えば、被保険者のこれまでの保険料の納付状況では何歳から年金が支給されると将来の月々のいくらの年金が支給されるかなどをシミュレートするものである。従来の老齢基礎年金受給予定額計算は卓上計算機などを利用して手作業で行われており、また老齢基礎年金に加算される振替加算の振替加算額計算も同様に卓上計算機などを利用して手作業で行われている。このため1人の被保険者の年金受給相談に要する時間が長く窓口業務の効率が悪い。
【0005】
国民年金前納保険料は、前納することにより納付額の割り引かれた保険料である。従来、国民年金前納保険料の納付書の作成は、前納開始月と前納期間に対応する前納保険料を表にしたものから担当者が目で探して前納保険料の額を記載することによって行われており、非常に手間がかかる上に人為ミスも起こり易かった。また、その前納保険料をチェックする際にも納付書作成の際と同じ手間がかかる。あるいは、その表の内容を磁気記憶媒体に記憶しておいてその表の内容から前納開始月と前納期間を手がかりに国民年金全納保険料を検索することも考えられている。その場合には、納付書などの出力および徴収した前納保険料額のチェックは自動的に行われるが、保険料額改定のたびに表の内容を更新しなければならない。表は11種類あって全部で1796パターンの前納保険料が存在するので、表のメンテナンスには大変な労力を要する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来、国民年金に関する事務および窓口業務は、必要な情報の取り出しに長時間を要することがあり、また上記バッチ処理や上記メンテナンスなどの上記情報の取り出しの予備的な作業に手間がかかるため、効率化が望まれている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、年金の事務および窓口業務を効率化させる保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の保険料賦課収納記録更新装置は、
(1)被保険者を識別するための年金番号と、その被保険者に与えられる資格の種類と、その資格の得失に関する日付とを含む情報を操作に応じて取得する情報取得部
(2)情報取得部で取得した情報に応じて、被保険者ごとの資格の種類およびその資格の得失に関する日付を含む資格履歴を更新する資格履歴更新部
(3)上記資格履歴を、資格履歴更新部による更新自在に記憶する資格履歴記憶部
(4)被保険者ごとの月別の保険料の賦課収納や還付の情報が記録された賦課収納記録を書替自在に記憶する賦課収納記録記憶部
(5)情報取得部で取得した年金番号と、資格履歴記憶部に記憶された資格履歴とに基づいて、賦課収納記録記憶部に記憶された賦課収納記録を更新する賦課収納記録更新部
とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記の、その被保険者に与えられる資格の種類とその資格の得失に関する日付とを含む情報には、例えば年金加入履歴、付加年金加入履歴、および保険料免除履歴があげられる。
【0010】
資格履歴更新部が上記資格履歴を更新すると賦課収納記録更新部が上記賦課収納記録を更新するので、この賦課収納記録の更新とこの資格履歴の更新とのタイムラグは無くなって年金の事務および窓口業務の効率が良くなる。
【0011】
また、この保険料賦課収納記録更新装置は、資格履歴更新部と賦課収納記録更新部とを共に備えたものであるため保守性に優れている。
【0012】
上記本発明の保険料賦課収納記録更新装置は、賦課収納記録更新部が、情報取得部で取得した年金番号と資格履歴記憶部に記憶された資格履歴とに基づいて、被保険者ごとの月別の資格の履歴をあらわす資格テーブルを作成する資格テーブル作成手段と、資格テーブル作成手段により作成された資格テーブルに基づいて賦課収納記録を更新する賦課収納記録更新手段とを備えたものであることが好ましい。
【0013】
この資格テーブルにより、賦課収納記録更新手段は賦課収納記録を簡単な手順で更新することができる。
【0014】
また、上記保険料賦課収納記録更新装置は、
(6)賦課収納記録記憶部に記憶された賦課収納記録のうちの、情報取得部により取得された年金番号により特定される被保険者に関する賦課収納記録を出力する出力部
を備えたものであることが好ましい。
【0015】
出力部により、年金の事務および窓口業務に必要な月別の保険料の賦課収納や還付の情報を含む賦課収納記録を出力することができ、またその出力された賦課収納記録を閲覧することができる。
【0016】
また、上記保険料賦課収納記録更新装置は、賦課収納記録更新部が、資格変更前の資格に応じた賦課収納記録の月ごとの情報および変更後の資格と、変更後の賦課収納記録の月ごとの情報との対応をあらわす更新パターンテーブルを記憶する更新パターンテーブル記憶手段を有し、その更新パターンテーブルに基づいて賦課収納記録記憶部に記憶された賦課収納記録を更新するものであることが好ましい。
【0017】
この更新パターンテーブルにより、賦課収納記録更新手段は賦課収納記録を簡単な手順で更新することができる。
【0018】
上記目的を達成する本発明の年金受給予定額計算装置は、
(7)年金の被保険者の生年月日と、その被保険者が保険料の納付を免除された月数と、その被保険者が定額保険料および/又は付加保険料を納付した月数と、年金の支給の開始年度とからなる被保険者情報を取得する情報取得部
(8)年度ごとの年金支給額の満額、被保険者の生年月日に対する加入可能年数の対応表、および支給開始年齢ごとの年金額増減率の対応表からなる一般情報を記憶する記憶部
(9)上記(7)の情報取得部により取得された被保険者情報および上記(8)の記憶部に記憶されている一般情報とに基づいて年金受給予定額の計算を行う年金受給予定額計算部
(10)年金受給予定額計算部により計算された年金受給予定額を表示する表示部
を備えたことを特徴とする。
【0019】
上記(7)の情報取得部が上記被保険者情報を取得すると、その被保険者情報に基づいて年金受給予定額計算部が年金受給予定額を計算して、その計算された年金受給予定額が表示部により表示されるので、所望の年金受給予定額が即時に得られて窓口業務の年金受給相談が短時間で済む。
【0020】
上記本発明の年金受給予定額計算装置は、上記(7)の情報取得部がさらに、被保険者の振替加算の有無を含む被保険者情報を取得するものであり、上記(8)の記憶部がさらに、年度ごとの振替加算額の満額および被保険者の生年月日に対する振替加算額減額率の対応表を含む一般情報を記憶するものであり、年金受給予定額計算部が、上記(7)の情報取得部により取得された被保険者情報と上記(8)の記憶部に記憶された一般情報とに基づいて振替加算額計算を行うものであって、表示部がさらに、その年金受給予定額計算部により計算された振替加算予定額を表示するものであることが好ましい。
【0021】
この年金受給予定額計算装置は、振替加算額の計算を行ってその計算により得られた振替加算額を上記(10)の表示部に表示することができる。
【0022】
上記目的を達成する本発明の前納保険料計算装置は、
(11)保険料の前納開始年月および前納終了年月を含む前納年月情報を取得する情報取得部
(12)年度ごとの定額保険料および年度ごとの付加保険料、並びに複利現価法の利率を含む一般情報を記憶する記憶部
(13)上記(11)の情報取得部により取得された前納年月情報および上記(12)の記憶部に記憶された一般情報に基づいて前納保険料を計算する前納保険料計算部
(14)前納保険料計算部により計算された前納保険料を出力する出力部を備えたことを特徴とする。
【0023】
上記(11)の情報取得部が上記前納年月情報を取得すると、その前納年月情報に基づいて前納保険料計算部が前納保険料を計算して、その計算された前納保険料が上記(14)の出力部により出力されるので、所望の前納保険料が即時に得られて年金前納保険料の収納事務の効率が向上する。
【0024】
前納保険料計算部は、上記(12)の記憶部に記憶された、年度ごとの定額保険料および年度ごとの付加保険料と複利現価法の利率とを含む一般情報に基づいて前納保険料を計算するので、この前納保険料計算装置は、保険料額改訂時にその一般情報の内容を変更するだけでその保険料改定に対応することができてメンテナンスが容易である。
【0025】
上記本発明の前納保険料計算装置は、上記(12)の記憶部がさらに、被保険者ごとの月別の保険料の賦課収納の状況である保険料賦課収納状況を記憶するものであり、上記(11)の情報取得部がさらに、被保険者を識別するための年金番号を取得するものであって、前納保険料計算部が、上記(12)の記憶部に記憶された保険料賦課収納状況のうち、上記(11)の情報取得部により取得された年金番号により特定される被保険者の保険料賦課収納状況に応じて前納保険料を計算するものであることが好ましい。
【0026】
この前納保険料計算装置は、例えば被保険者の保険料賦課収納状況に未納の状態と納付済みの状態が混在している場合にも、上記(12)の記憶部に記憶された保険料賦課収納状況に応じて前納保険料計算を行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置それぞれの一実施形態が実現されたコンピュータの外観図(A)および内部構成図(B)である。
【0029】
図1(A)および図1(B)に示すように、このコンピュータ10は、CPU11、CD−ROMドライブ12、メモリ13、ハードディスク14、マウス15_1、キーボード15_2、ディスプレイ16、およびプリンタ19が、システムバス17によって接続されてなる、通常のGUI(グラフィックユーザインターフェース)機能を備えたコンピュータであり、このコンピュータ10のCD−ROMドライブ12に、本発明の保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置それぞれにおいて使用されるプログラムを記憶したCD−ROM18を挿入し、磁気ディスク14にそのプログラムをインストールすることによりこの保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置それぞれは運用可能の状態となり、このインストールされたプログラムが起動されると、このコンピュータシステムは、本発明の保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置それぞれの一実施形態として動作する。
【0030】
なお、図1に示したコンピュータ10では、上記プログラムを記憶するプログラム記憶媒体としてCD−ROM18を用いているが、本発明の保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置それぞれで使用されるプログラムを記憶する媒体は、CD−ROMに限られるものではなく、それ以外の光ディスク、光磁気ディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどのプログラム記憶媒体、および上記プログラムがインストールされた状態にあるハードディスク装置などの内部記憶装置をも含むものである。
【0031】
また、図1に示したコンピュータ10はスタンドアロン運用の場合の構成を示すが、本発明の保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置は、クライアント/サーバシステムが構築されたものであってもよい。
【0032】
まず、本発明の保険料賦課収納記録更新装置の一実施形態について説明する。本実施形態の保険料賦課収納記録更新装置は、被保険者の国民年金の資格の取得と喪失、付加年金への加入と脱退、および保険料免除の開始と終了によって被保険者の日付単位で管理される資格履歴が変更されると、その資格履歴の変更に応じて、年度/月単位で管理される賦課収納情報を自動的に更新するものである。
【0033】
図2は、本発明の保険料賦課収納記録更新装置の一実施形態を示す概念構成図である。
【0034】
本実施形態の保険料賦課収納記録更新装置は、情報取得部101、資格履歴更新部102、および資格履歴記憶部103を有する。
【0035】
情報取得部101は、図1に示したマウス15_1およびキーボード15_2を表しており、被保険者を識別するための基礎年金番号と、その被保険者に与えられる国民年金の資格、付加年金の資格、および保険料免除の資格のうちのいずれか1つ以上の、どの資格を、日付単位でいつ、取得あるいは喪失したかもしくは取得あるいは喪失するのかという情報を利用者の操作に応じて取得するものである。
【0036】
資格履歴記憶部103は、国民年金加入履歴103_1と付加年金加入履歴103_2と保険料免除履歴103_3のデータベースを有する。国民年金加入履歴103_1は、年金被保険者の国民年金加入履歴(基礎年金番号、資格取得日、資格喪失日、被保険者種別)を管理するデータベースであり、付加年金加入履歴103_2は、年金被保険者の付加年金加入履歴(基礎年金番号、付加加入日、付加脱退日)を管理するデータベースであって、保険料免除履歴103_3は、年金被保険者の保険料免除履歴(基礎年金番号、免除開始日、免除終了日、免除区分)を管理するデータベースである。
【0037】
資格履歴更新部102は、情報取得部101で取得した情報に応じて上記3つのデータベースを更新するものである。
【0038】
また、この保険料賦課収納記録更新装置は、賦課収納記録更新部104、資格テーブル105、および賦課収納記録記憶部106を有する。
【0039】
資格テーブル105は、各被保険者ごとの月別の資格の履歴をあらわすテーブルである。
【0040】
賦課収納記録記憶部106は、賦課収納記録を書替自在に記憶し、その賦課収納記録は現年度収納記録106_1、過年度収納記録106_2、および保険料還付記録106_3からなる。現年度収納記録106_1は、年金被保険者の直近(2〜10年度分)の収納状況(基礎年金番号、保険料賦課コード、検認コード)を管理するデータベースであり、過年度収納記録106_2は、年金被保険者の現年度収納記録以前分の収納状況(基礎年金番号、納付コード)を管理するデータベースであって、保険料還付記録106_3は、年金被保険者に対する保険料還付記録(基礎年金番号、還付対象年月、還付額)を管理するデータベースである。
【0041】
賦課収納記録更新部104は、情報取得部101で取得した基礎年金番号と、資格履歴記憶部103に記憶された資格履歴とに基づいて、賦課収納記録記憶部106に記憶された賦課収納記録を更新するものである。この賦課収納記録更新部104は、資格テーブル作成手段104_1、更新パターンテーブル104_2、および課収納情報更新手段104_3を有する。
【0042】
資格テーブル作成手段104_1は、情報取得部101で取得した基礎年金番号と資格履歴記憶部103に記憶された国民年金加入履歴103_1と付加年金加入履歴103_2と保険料免除履歴103_3のデータベースに基づいて資格テーブル105を作成するものであり、更新パターンテーブル104_2は、変更前の賦課収納記録の月ごとの情報と変更後の賦課収納記録の月ごとの情報との変更後の資格に応じた対応をあらわすテーブルである。更新パターンテーブル104_2には、後に説明する、検認コードに対するものと納付コードに対するものの2種類がある。賦課収納記録更新手段104_3は、資格テーブル作成手段104_1により作成された資格テーブル105に基づいて賦課収納記録記憶部106に記憶された現年度収納記録106_1、過年度収納記録106_2、および保険料還付記録106_3中の賦課収納記録を更新するものである。
【0043】
出力部107は、情報取得部101により取得された基礎年金番号により特定される被保険者の、賦課収納記録記憶部106に記憶された賦課収納記録を出力するものであって、図1ではディスプレイ16およびプリンタ19をあらわす。
【0044】
次に、具体的に、資格の変更に伴う賦課収納情報の更新を1つの例で図3および図4とともに説明する。ここでは、1999年3月21日に国民年金資格を喪失する場合を考える。
【0045】
図3は、資格履歴更新部による資格履歴の更新の一例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS101では、利用者が情報取得手段101より被保険者の基礎年金番号に加えて「国民年金資格」を「1999年3月21日」に「喪失」するという内容を有する資格の更新情報を情報取得手段101の操作により入力し、情報取得手段101がその基礎年金番号およびその更新情報それらの情報を取得する。次に、ステップS102へ進む。
【0047】
ステップS102では、資格履歴更新部102が、情報取得手段101に取得された更新情報を読み込む。次に、ステップS103へ進む。
【0048】
ステップS103では、資格履歴更新部102が、情報取得手段101から読み込んだ変更情報の「国民年金資格」というキーワードに基づいて、資格履歴記憶部103の国民年金加入履歴103_1のうちの、情報取得手段101から読み込んだ基礎年金番号で特定される被保険者に関する資格履歴を全て読み込む。
【0049】
ここでは、この被保険者の国民年金加入履歴の内容は、「資格取得日:1998年5月10日」、および「被保険者種別:第1号」であるとする。また、この被保険者の付加年金加入履歴の内容は、「付加年金加入日:1998年6月15日」、および「付加年金脱退日:1998年9月14日」であり、この被保険者の保険料免除履歴の内容は、「免除開始日:1998年11月8日」、および「免除終了日:1999年1月4日」であるとする。次にステップS104へ進む。
【0050】
ステップS104では、資格履歴更新部102が、情報取得手段101から読み込んだ更新情報に応じて、資格履歴記憶部103から読み込んだ国民年金の資格履歴に「資格喪失日:1999年3月21日」を追加してその資格履歴を更新する。次にステップS105へ進む。
【0051】
ステップS105では、資格履歴更新部102が、ステップS104更新された国民年金の資格履歴を国民年金加入履歴103_1に書き込む。次にステップS106へ進む。
【0052】
ステップS106では、資格履歴更新部102が、情報取得手段101から読み込んだ基礎年金番号を賦課収納記録更新部104へ出力する。これで資格履歴更新部102は動作を終了する。
【0053】
なお、ここでは、国民年金資格を喪失した場合を考えたので、国民年金加入履歴103_1を書き替えた。国民年金資格を取得した場合にも国民年金加入履歴103_1が書き替えられる。また、付加年金に加入あるいは付加年金から脱退した場合には付加年金加入履歴103_2が書き替えられ、さらに、保険料免除の開始および終了に応じて保険料免除履歴103_3が書き替えられる。
【0054】
図4は、図3に示した資格履歴の更新を受けて賦課収納記録更新部により行われる賦課収納記録の更新の一例を示すフローチャートである。
【0055】
このフローチャートは、図3で示したフローチャートから続くものである。
【0056】
ステップS107では、賦課収納記録更新装置104が、資格履歴更新部102から出力された基礎年金番号を受け取る。この基礎年金番号を受け取ることにより賦課収納記録の更新の処理が始められる。次にステップS108へ進む。
【0057】
ステップS108では、賦課収納記録更新部104が、資格履歴記録記憶部103の国民年金加入履歴103_1、付加年金加入履歴103_2、および保険料免除履歴103_3から、ステップS107で受け取った基礎年金番号で特定される被保険者の資格履歴を読み込む。上述したようにこの資格履歴は日付単位で表されている。次にステップS109へ進む。
【0058】
ステップS109では、賦課収納記録更新部104の資格テーブル作成手段104_1が、資格履歴記録記憶部103から読み込んだ資格履歴に基づいて、次の手順でその被保険者の月別の資格をあらわす資格テーブル105を作成する。このような資格テーブル105を作成する理由は、資格履歴は日付単位であらわされるけれども、保険料の賦課収納に関してはその資格履歴が年度/月単位で処理されるためである。
【0059】
まず、保険料の賦課収納における国民年金資格の有資格期間は、国民年金資格加入履歴の資格取得日の属する月から資格喪失日の月の前月までと定められている。その資格は、第1号被保険者、第3号被保険者の被保険者種別で識別される。この被保険者の国民年金加入履歴の内容は、「資格取得日:1998年5月10日」、「資格喪失日:1999年3月21日」、および「被保険者種別:第1号」であるので、上記有資格期間は1998年5月から1999年2月までとなる。
【0060】
次に、保険料の賦課収納において、被保険者が付加年金に加入していると見なされる付加加入期間は、付加年金資格加入履歴の付加加入日の属する月から付加脱退日の月の前月までと定められている。この被保険者の付加年金加入履歴の内容は、「付加年金加入日:1998年6月15日」、および「付加年金脱退日:1998年9月14日」であるので、上記付加加入期間は1998年6月から1998年8月までとなる。
【0061】
次に、保険料免除期間は、保険料免除履歴の免除開始日の属する月の前月から免除終了日の属する月までと定められている。この被保険者の保険料免除履歴の内容は、「免除開始日:1998年11月8日」、および「免除終了日:1999年1月4日」であるので、上記保険料免除期間は、1998年10月から1999年1月までとなる。
【0062】
そして、このように定められた有資格期間、付加加入期間、および保険料免除期間に従って、図5に示す資格テーブル105が作成できる。
【0063】
図5は、資格テーブルを示す図である。
【0064】
この図に示される資格テーブルは1998年度の1年分の資格テーブルであって、1998年4月から1999年3月までの月ごとの被保険者の資格が表示されている。矢印a51によって有資格期間が1998年5月から1999年2月までであることが示され、矢印a52によって付加加入期間が1998年6月から1998年8月までであることが示され、さらに、矢印a53によって保険料免除期間が1998年10月から1999年1月までであることが示される。
【0065】
これにより、図に示されるように、この被保険者の資格は、1998年4月には「無資格」であり、5月には「1号被保険者」、6月から8月には「付加加入」、9月には「1号被保険者」、10月から1999年1月までは「保険料免除」、1999年2月には「1号被保険者」、そして1999年3月には「無資格」となる。なお、ここでは、被保険者が1999年3月21日に国民年金資格を喪失した場合を考えているが、その喪失の前には、資格テーブル105の1999年3月の資格は「1号被保険者」と記述されていた。
【0066】
次にステップS110へ進む。
【0067】
ステップS110では、賦課収納記録更新手段104_3が、賦課収納記録記憶部106の現年度収納記録106_1、過年度収納記録106_2、および保険料還付記録106_3のうちの、ステップS107で受け取った上記基礎年金番号により特定される被保険者の賦課収納記録を読み込む。これらの記録に使用される、保険料賦課コードを表1に示し、検認コードを表2に示し、納付コードを表3に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
表1は上下2段に分割されている。上段は、「無資格期間」、「第3号被保険者」、「第1号被保険者」、および「申請免除」などの被保険者の資格を示す。下段は、上段に示される資格に応じた保険料賦課コードが示されている。例えば、「無資格期間」、「第1号被保険者」、および「申請免除」というそれぞれの資格に対しては、それぞれ「0」(不要)、「1」(第1号)、および「6」(申請免除)というコードが対応する。
【0070】
【表2】
【0071】
表2は左右二つの欄に分割されている。左欄は、「未納」、「定額(前納)」、「定額」、「定額+付加」、および「不要」などの月ごとの保険料の納付状況の種類を示す。右欄は、左欄に示される納付状況の種類に応じた検認コードが示されている。例えば、「未納」、「定額(前納)」、「定額」、「定額+付加」、および「不要」というそれぞれの納付状況に対しては、「0」、「1」、「4」、「5」、「9」というコードが対応する。
【0072】
【表3】
【0073】
表3は左右二つの欄に分割されている。左欄は、「定額」、「定額+付加」などの月ごとの保険料の納付状況の種類を示す。右欄は、左欄に示される納付状況の種類に応じた納付コードが示されている。例えば、「定額」および「定額+付加」というそれぞれの納付状況に対しては、それぞれ「A」および「B」というコードが対応する。
【0074】
現年度収納記録106_1のうちの特に1999年3月の記録に着目すると、資格変更した被保険者は資格の変更前には第1号被保険者であったので、その記録の保険料賦課コードは「1」(第1号)である。また、ここでは、被保険者は既に1999年3月分の保険料は前納していると考え、この記録の検認コードは、定額(前納)に相当する「1」であるとする。
【0075】
過年度収納記録106_2には過年度分の各月の納付状況が、上記納付コードにより示される。この記録は、過年度分の納付状況を示すものであるので、1999年3月の記録は存在しない。
【0076】
上述したように、3月には、保険料賦課コードが「1」(第1号)であり検認コードが定額(前納)に相当する「1」であるので、被保険者は保険料を納付し過ぎていない。そのため、保険料還付記録106_3には、1999年3月の記録は存在しない。
【0077】
次にステップS111へ進む。
【0078】
ステップS111では、賦課収納更新手段104_3が、更新パターンテーブル104_2と、ステップS108で資格テーブル作成手段104_1により作成された資格テーブル105とを用いて、ステップS110で読み込まれた現年度収納記録106_1、および保険料還付記録106_3を更新する。まず、現年度収納記録106_1の更新について説明する。表4に、検認コードに対する更新パターンテーブル104_2を示す。
【0079】
【表4】
【0080】
表4の最左欄には、表2で示したものと同じ保険料納付状況が検認コードとともに示されている。この保険料納付状況のそれぞれは、賦課収納記録更新手段104_3が現年度収納記録106_1から読み込む、資格の更新前の保険料納付状況に相当する。表4の上段には、表1の上段で示したものと同じ資格の様々な種類が示されている。この資格は、資格テーブル105に示される更新された新しい資格を表す。この最左欄の保険料納付状況を含む行と上段の資格を含む列との交わる部分に、資格の更新後の新しい保険料納付状況を表す検認コードが示されている。
【0081】
上述したように、1999年3月の資格の更新前の保険料納付状況は、「1:定額(前納)」であり、資格テーブル105に示される1999年3月の資格は「無資格」であった。「1:定額(前納)」の行と、「無資格」の列の交わる部分には検認コード「9」が示されている。検認コード「9」は「不要」を表す。これは、資格が「無資格」に更新されたことにより、保険料納付の必要がなくなって検認コードが「不要」に変更されるためである。この検認コード「9」の部分は太線で囲まれた領域内にある。この太線で囲まれた領域は、保険料の還付が発生することを示す。これは、検認コードが、保険料納付の必要のない「不要」に変更されるかわりに、既に納付済みの定額(前納)分の保険料を被保険者へ還付する必要が生ずるためである。
【0082】
賦課収納記録更新手段104_3はこの検認コード「9」を読みとって、現年度収納記録106_1のうちの1999年3月の記録の検認コードを定額(前納)を示す「1」から不要を示す「9」に変更してその記録を更新する。さらに、賦課収納記録更新手段104_3は、保険料還付記録106_3に、還付する被保険者の基礎年金番号、還付対象年月「1999年3月」、および定額(前納)分の保険料に相当する還付額の記録を追加する。
【0083】
また、現年度収納記録106_1のうちの1999年3月の保険料賦課コードは、「1」(第1号)から、資格テーブル105の1999年3月の資格「無資格」に従って「0」(不要)に更新される。
【0084】
ここでは、1999年3月の資格のみが更新される場合を考えているので、過年度収納記録は更新されない。過年度分の資格が何らかの理由により資格履歴更新部102によりされる場合には、賦課収納記録更新手段104_3は、納付コードに対する更新パターンテーブル104_2を用いて過年度収納記録106_2を更新する。表5に、納付コードに対する更新パターンテーブル104_2を示す。
【0085】
【表5】
【0086】
表5は、表2において検認コードとともに示される最左欄の保険料納付状況が納付コードとともに示される保険料納付状況に置き換えられたものである。この保険料納付状況は、賦課収納記録更新手段104_3が過年度収納記録106_2から読み込む、資格の更新前の保険料納付状況に相当する。表5の上段には、表1の上段で示したものと同じ資格の様々な種類が示されている。この資格は、資格テーブル105に示される更新された新しい資格を表す。この最左欄の保険料納付状況を含む行と上段の資格を含む列との交わる部分に、資格の更新後の新しい保険料納付状況を表す納付コードが示されている。
【0087】
以上のように、資格テーブル105および更新パターンテーブルを用いることにより賦課収納記録更新手段104_3は賦課収納記録を簡単な手順で更新することができる。
【0088】
次に、ステップS112へ進む。
【0089】
ステップS112では、賦課収納記録更新手段104_3が、ステップS111で更新した1999年3月分の現年度収納記録106_1と保険料還付記録106_3とを賦課収納記録記憶部106に書き込む。過年度収納記録106_2に更新がある場合には過年度収納記録106_2も賦課収納記録記憶部106へ送られる。これにより、保険料賦課収納記録の更新を完了する。
【0090】
これらの保険料賦課収納記録は、賦課収納記録更新部104および資格履歴更新部102を経由して出力部107から出力される。これらの出力された保険料賦課収納記録に含まれる月別の保険料の賦課収納や還付の情報を年金の事務および窓口業務において利用することができる。
【0091】
以上述べたように、資格履歴更新部102が賦課収納記録記憶部103に記憶された資格履歴を更新すると、自動的に賦課収納記録更新部104が賦課収納記録記憶部106に記憶された賦課収納記録を更新するので、賦課収納記録の更新とこの資格履歴の更新との間のタイムラグは無くなり年金の事務および窓口業務の効率が向上する。また、この保険料賦課収納記録更新装置は、資格履歴更新部102と賦課収納記録更新部104とを共に備えたものであるため保守性に優れている。
【0092】
次に、本発明の年金受給予定額計算装置の一実施形態について説明する。本実施形態の年金受給予定額計算装置は、国民年金被保険者の年金受給相談時などに老齢基礎年金受給予定額を被保険者の年金加入状況や保険料納付状況に基づいて計算するものである。
【0093】
図6は、本発明の年金受給予定額計算装置の一実施形態を示す概念構成図である。
【0094】
本実施形態の年金受給予定額計算装置は、情報取得部201、年金受給相談画面制御部202、年金受給予定額計算部203、パラメタファイル204、および表示部205を有する。
【0095】
情報取得部201は、図1に示したマウス15_1およびキーボード15_2を表しており、年金の被保険者の生年月日と、その被保険者が保険料の納付を免除された月数と、その被保険者が定額保険料および/又は付加保険料を納付した月数と、年金の支給の開始年度と、被保険者の振替加算の有無とからなる被保険者情報を取得するものであり、年金受給相談画面制御部202は、情報取得部201からの指示に従って、表示部205への被保険者の年金受給相談の情報の出力制御を行うものである。
【0096】
また、パラメタファイル204は、本発明にいう記憶部に含まれるファイルに相当し、年度ごとの年金支給額の満額、被保険者の生年月日に対する加入可能年数の対応表、支給開始年齢ごとの年金額増減率の対応表、年度ごとの振替加算額の満額、および被保険者の生年月日に対する振替加算額減額率の対応表からなる一般情報を記憶するものである。
【0097】
【表6】
【0098】
表6に被保険者の生年月日に対する加入可能年数の対応表を示す。
【0099】
表は左右の2つの欄に分かれており、左欄に1926年度から1941年度以降までの被保険者の生年月日の範囲が1年度ごとに示され、右欄にそれぞれの年度の生年月日の範囲に対する加入可能年数が示される。その加入可能年数は、1926年度の25年から1941年度以降の40年に渡っている。この表を用いて、被保険者の生年月日からその被保険者の加入可能年数を求めることができる。
【0100】
【表7】
【0101】
表7に支給開始年齢ごとの年金額増減率の対応表を示す。
【0102】
表は上下2段に分かれており、上段に60歳から70歳までの年齢が示され、下段に上段の各年齢に対する年金額増減率が示される。その年金額増減率は、60歳の−0.42から70歳の0.88に渡っている。支給開始年齢が高い程年金増減率は大きいので、支給開始年齢が高いほど被保険者に毎月支給される年金の額が高くなる。この表を用いて、被保険者の希望する支給開始年齢の年金増減率を求めることができる。
【0103】
【表8】
【0104】
表8に被保険者の生年月日に対する振替加算額減額率の対応表を示す。
【0105】
表は、左右2欄に分かれており、左欄に、1926年度から1965年度までの被保険者の生年月日の範囲が1年度ごとに示され、右欄にそれぞれの年度の生年月日の範囲に対する振替加算額減額率が示される。その振替加算減額率は、1926年度の1.000から1965年度の0.067に渡っている。生年月日が表8に示される生年月日の範囲外の場合には振替加算の対象とはならないので振替加算額はゼロとなる。この表を用いて、被保険者の生年月日からその被保険者の振替加算減額率を求めることができる。
【0106】
年金受給予定額計算部203は、年金受給相談画面制御部202からの処理以来により、情報取得部201により取得された被保険者情報およびパラメタファイル204に含まれる一般情報とに基づいて老齢基礎年金受給予定額および振替加算額の計算を行うものである。老齢基礎年金受給予定額の計算は以下の計算式で行われる。
【0107】
【式1】
【0108】
【式2】
【0109】
式1に示すように、国民年金の納付月数に納付を免除された月数を3で割ったものを加算して実効的な納付月数を求める。その実効的な納付月数を、納付可能な最高の月数をあらわす、被保険者の加入可能年数×12で割ることにより、被保険者が実効的に保険料を納付した割合を求める。全て納付していればこの割合は1である。この割合に、その被保険者の希望する支給開始年度の年金支給額の満額をかけることにより、付加年金に加入していない場合の老齢基礎年金の受給予定額が求められる。付加年金に加入している場合には、その受給予定額にさらに、200円×付加納付月数を加算する。この加算された額が付加年金の加入をも考慮した場合の年金の受給予定額となる。この受給予定額は65歳支給開始の場合の年金額に相当する。受給予定額の端数は50円未満切捨て、50円以上切上げとする。
【0110】
次に、式2に示すように、この受給予定額に、被保険者の希望する支給開始年齢ごとの年金額増減率に1を加えた値を乗算して、その支給開始年齢ごとの年金の受給予定額が求められる。
【0111】
なお、式1と式2とにより、この受給予定額のうち、付加年金を含めない額および付加年金分の額それぞれを独立に計算することもできる。
【0112】
【式3】
【0113】
式3に示されるように、振替加算額は、被保険者の希望する支給開始年度の振替加算額の満額に表8に示される被保険者の振替加算額減額率を乗算することにより求められる。
【0114】
表示部205は、年金受給予定額計算部203により計算された年金受給予定額および振替加算予定額を表示するものである。
【0115】
本実施形態の年金受給予定額計算装置の動作を図7のフローチャートとともに説明する。
【0116】
図7は、本発明の年金受給予定額計算装置の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0117】
ステップS201では、利用者の入力操作に応じて、情報取得手段201が上記被保険者情報を取得する。その際、フローチャートには示していないが、受給相談画面制御部202を通して表示部205に年金相談用の画面が表示されることにより利用者の入力操作が導かれる。次に、ステップS202へ進む。
【0118】
ステップS202では、受給相談画面制御部202が情報取得手段201の取得した被保険者情報を受け取り、その被保険者情報とともに受給予定額計算処理依頼を年金受給予定額計算部203に渡す。次に、ステップS203へ進む。
【0119】
ステップS203では、受給予定額計算部203が、受給相談画面制御部202から被保険者情報とともに受給予定額計算処理依頼を受け取る。次に、ステップS204へ進む。
【0120】
ステップS204では、年金受給予定計算部203が、パラメタファイル204から上記一般情報を読み込む。次に、ステップS205へ進む。
【0121】
ステップS205では、年金受給予定額計算部203が、上述した式1および式2に基づいて老齢基礎年金受給予定額を計算し、式3に基づいて振替加算額を計算する。次に、ステップS206へ進む。
【0122】
ステップS206では、年金受給予定額計算部203によって計算された老齢基礎年金受給予定額および振替加算額の結果が年金受給相談画面制御部202経由で表示部205へ送られ、表示部205でそれらの結果が表示される。
【0123】
このように本実施形態の年金受給予定額計算装置は、情報取得部201が上記被保険者情報を取得すると、その被保険者情報に基づいて年金受給予定額計算部203が年金受給予定額および振替加算額を計算して、その計算された年金受給予定額が表示部205により表示されるので、所望の年金受給予定額が即時に得られて窓口業務の年金受給相談が短時間で済む。また、被保険者が年金受給相談に訪れた際に、このように、即時に正確な受給予定額計算ができるので、年金受給相談の質及び効率が向上する。この質および効率の向上は、これは窓口事務全体および年金事務全体としての質と効率の向上にもつながる。
【0124】
次に、本発明の年金前納保険料計算装置の一実施形態について説明する。本実施形態の年金前納保険料計算装置は、被保険者の、指定された前納期間内の国民年金の保険料納付状況を考慮に入れてその被保険者の国民年金前納保険料を即時計算するものである。
【0125】
図8は、本発明の年金前納保険料計算装置の一実施形態を示す概念構成図である。
【0126】
本実施形態の年金前納保険料計算装置は、保険料収納処理部301、納付書作成処理部302、前納保険料計算部303、パラメタファイル304、現年度収納記録106_1、および印字部305からなる。
【0127】
保険料収納処理部301は、保険料収納の際の確認(消し込み確認)の処理を行うものである。保険料収納処理部301は、本発明にいう情報取得部に相当する部分を含んでおり、利用者の操作に応じて、保険料を前納する際の、前納開始年月および前納終了年月を含む前納年月情報並びに被保険者を識別するための基礎年金番号を取得する。さらに、保険料収納処理部301は、本発明にいう出力部に相当するディスプレイを有し、前納保険料をディスプレイ上に表示する。
【0128】
納付書作成処理部302は、納付書作成処理を行うものである。納付書作成処理部302も、保険料収納処理部301と同様に、本発明にいう情報取得部に相当する部分を含んでおり、利用者の操作に応じて、保険料を前納する際の、前納開始年月(基準月)および前納終了年月を含む前納年月情報並びに被保険者を識別するための基礎年金番号を取得する。
【0129】
パラメタファイル304は、年度ごとの定額保険料および年度ごとの付加保険料、並びに複利現価法の利率(年5分5厘)を含む国民年金前納保険料計算に必要な一般情報を含むファイルである。また、現年度収納記録106_1は、被保険者に賦課された保険料の収納状況を示す保険料賦課収納状況を含む一般情報を記憶するものであって、図2で示した、本発明の保険料賦課収納記録更新装置の現年度収納記録106_1と同じものである。パラメタファイル304と現年度収納記録106_1とは本発明にいう記憶部に含まれるファイルおよび記録に相当する。
【0130】
前納保険料計算部303は、保険料収納処理部301および納付書作成処理部302のいずれかにより取得された前納年月情報と基礎年金番号を読み込み、さらに、現年度賦課収納記録106_1からこの読み込んだ基礎年金番号により特定される被保険者の賦課収納記録とパラメタファイル304の一般情報とを読み込み、これらの読み込んだ前納年月情報と基礎年金番号と上記一般情報とに基づいてさらに上記賦課収納記録の保険料賦課収納状況に応じて国民年金前納保険料を計算するものである。前納保険料計算部303は、この計算を以下の手順で行う。
【0131】
まず、保険料収納処理部301および納付書作成処理部302のいずれかにより取得された基礎年金番号に基づいて、現年度賦課収納記録106_1から被保険者の保険料賦課収納状況を検索して、前納開始年月の月から前納終了年月の月までの前納期間の各月のうちの未納である月を探し出す。この前納期間のうちの未納である月のみが計算対象となる。
【0132】
次に、この前納期間の各月の保険料割引率を以下の計算式で求める。
【0133】
【式4】
【0134】
式4に示されるように、基準月からN月後の月の保険料割引率は、複利原価法の利率に従って月単位で複利計算されて求められる。
【0135】
次に、この前納期間のうちの未納である各月の定額保険料に、式4で求めた月毎の保険料割引率を掛けて各月の割引かれた定額保険料を求める。また、被保険者が付加保険にも加入しているならば、この前納期間のうちの未納である各月の付加保険料に、式4で求めた各月の保険料割引率を掛けて各月の割引かれた付加保険料を求める。なお、割引かれた定額保険料および割引かれた付加保険料は少数第3位以下は切捨てて小数点第2位まで求める。
【0136】
こうして求められた、前納期間のうちの未納である各月の割引かれた定額保険料を合計してその合計の1の位を四捨五入したものが定額保険料に対する前納保険料となる。また、前納期間の各月の割引かれた付加保険料を合計してその合計の1の位を四捨五入したものが付加保険料に対する前納保険料となる。以上で、国民年金前納保険料の計算が完了する。
【0137】
印字部305は、前納保険料計算部303により計算された前納保険料を含む納付書等の帳票を印字するものである。
【0138】
本実施形態の年金前納保険料計算装置の動作を図9および図10のフローチャートとともに説明する。
【0139】
図9は、保険料収納消し込み確認を行う際の本実施形態の年金前納保険料計算装置の動作を示すフローチャートである。
【0140】
ステップS301では、保険料収納処理部301が、利用者の操作に応じて、前納年月情報と基礎年金番号とを取得する。次に、ステップS302へ進む。
【0141】
ステップS302では、前納保険料計算部303が、保険料収納処理部301により取得された前納年月情報と基礎年金番号を読み込む。次にステップS303へ進む。
【0142】
ステップS303では、前納保険料計算部303が、現年度賦課収納記録106_1から、ステップS302で読み込んだ基礎年金番号により特定される被保険者の賦課収納記録を読み込む。次に、ステップS304へ進む。
【0143】
ステップS304では、前納保険料計算部303が、パラメタファイル304の上記一般情報を読み込む。次に、ステップS305へ進む。
【0144】
ステップS305では、前納保険料計算部303が、ステップS303およびステップS304で読み込んだ前納年月情報と上記一般情報とに基づいてさらに上記賦課収納記録の保険料賦課収納状況に応じて国民年金前納保険料を計算する。この計算の詳細は既に述べたので省略する。次にステップS306へ進む。
【0145】
ステップS306では、前納保険料計算部303が、ステップS305で計算した国民年金前納保険料の計算結果を保険料収納処理部301へ送る。次に、ステップS307へ進む。
【0146】
ステップS307では、保険料収納処理部301が、前納保険料計算部303により計算された国民年金前納保険料の計算結果を表示する。利用者はこの表示された国民年金前納保険料の計算結果を参考にして、国民年金の前納による保険料収納に対して消し込み確認を行うことができる。
【0147】
図10は、納付書作成を行う際の本実施形態の年金前納保険料計算装置の動作を示すフローチャートである。
【0148】
ステップS311では、納付書作成処理部302が、利用者の操作に応じて、前納年月情報と基礎年金番号とを取得する。次に、ステップS312へ進む。
【0149】
ステップS312では、前納保険料計算部303が、納付書作成処理部302により取得された前納年月情報と基礎年金番号を読み込む。次にステップS313へ進む。
【0150】
ステップS313からステップS315では、ステップS303からステップS305と同じ処理が進められる。次にステップS316へ進む。
【0151】
ステップS316では、前納保険料計算部303が、ステップS315で計算した国民年金前納保険料の計算結果を納付書作成処理部302へ送る。次に、ステップS317へ進む。
【0152】
ステップS317では、納付書作成処理部302が納付書の印字の指示とともに、国民年金前納保険料の計算結果を印字部305へ送る。次に、ステップS318へ進む。
【0153】
ステップS318では、印字部305が、納付書作成処理部302から送られた国民年金前納保険料の計算結果を含む納付書を印字して出力する。
【0154】
このように保険料収納処理部301および納付書作成処理部302により取得された上記前納年月情報に基づいて前納保険料計算部が前納保険料を計算して、その計算された前納保険料が保険料収納処理部301により表示されたり印字部305に出力されるので、利用者は所望の前納保険料を即時に得ることができて年金前納保険料の収納事務の効率が向上する。
【0155】
また、前納保険料計算部303は、パラメタファイル304に記憶されている、年度ごとの定額保険料および年度ごとの付加保険料、並びに複利現価法の利率を含む一般情報に基づいて前納保険料を計算するので、この前納保険料計算装置は、保険料額改訂時にその一般情報の内容を変更するだけでその保険料改定に対応することができてメンテナンスが容易である。
【0156】
また、この前納保険料計算装置は、例えば被保険者の保険料賦課収納状況に未納の状態が納付済みの状態と混在している場合にも、現年度賦課収納記録106_1で表される保険料賦課収納状況に応じて前納保険料計算を行うことができる。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の保険料賦課収納記録更新装置により、被保険者の資格変更に伴って保険料の賦課収納情報が自動的かつ即時に更新されてその更新された賦課収納情報を利用できることにより年金の事務および窓口業務が迅速となり、さらに、本発明の保険料賦課収納記録更新装置は、被保険者の資格変更を行う部分と保険料の賦課収納情報の更新を行う部分とを共に備えたため保守性が向上する。
【0158】
また、本発明の年金受給予定額計算装置により年金の受給予定額が即時に計算されるため年金の窓口業務の効率が向上する。
【0159】
また、本発明の前納保険料計算装置により、前納保険料が即時に計算されてさらに保険料額改訂時のメンテナンスが容易となり、年金の事務および窓口業務の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、および前納保険料計算装置それぞれの一実施形態を示す外観図(A)および内部構成図(B)である。
【図2】本発明の保険料賦課収納記録更新装置の一実施形態を示す概念構成図である。
【図3】資格履歴更新部による資格履歴の更新の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3に示した資格履歴の更新を受けて賦課収納記録更新部により行われる賦課収納記録の更新の一例を示すフローチャートである。
【図5】資格テーブルを示す図である。
【図6】本発明の年金受給予定額計算装置の一実施形態を示す概念構成図である。
【図7】本発明の年金受給予定額計算装置の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の年金前納保険料計算装置の一実施形態を示す概念構成図である。
【図9】保険料収納消し込み確認を行う際の本実施形態の年金前納保険料計算装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】納付書作成を行う際の本実施形態の年金前納保険料計算装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 保険料賦課収納記録更新装置、年金受給予定額計算装置、前納保険料計算装置
11 CPU
12 CD−ROMドライブ
13 メモリ
15_1 マウス
15_2 キーボード
16 ディスプレイ
17 システムバス
18 CD−ROM
19 プリンタ
101 情報取得部
110 出力部
102 資格履歴更新部
103 資格履歴記憶部
103_1 国民年金加入履歴
103_2 付加年金加入履歴
103_3 保険料免除履歴
104 賦課収納記録更新部
104_1 資格テーブル作成手段
104_2 更新パターンテーブル
104_3 賦課収納記録更新手段
105 資格テーブル
106 賦課収納記録記憶部
106_1 現年度収納記録
106_2 過年度収納記録
106_3 保険料還付記録
107 出力部
201 情報取得部
202 年金受給相談画面制御部
203 年金受給予定額計算部
204 パラメタファイル
205 表示部
301 保険料収納処理部
302 納付書作成処理部
303 前納保険料計算部
304 パラメタファイル
305 印字部
Claims (7)
- 被保険者を識別するための年金番号と、該被保険者に与えられる資格の種類と、該資格の得失に関する日付とを含む情報を操作に応じて取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得した情報に応じて、被保険者ごとの資格の種類および該資格の得失に関する日付を含む資格履歴を更新する資格履歴更新部と、
前記資格履歴を、前記資格履歴更新部による更新自在に記憶する資格履歴記憶部と、
被保険者ごとの月別の保険料の賦課収納や還付の情報が記録された賦課収納記録を書替自在に記憶する賦課収納記録記憶部と、
前記情報取得部で取得した年金番号と、前記資格履歴記憶部に記憶された資格履歴とに基づいて、被保険者ごとの月別の資格の履歴をあらわす資格テーブルを作成する資格テーブル作成手段と、資格変更前の資格に応じた賦課収納記録の月ごとの情報および変更後の資格と、変更後の資格に応じた賦課収納記録の月ごとの情報との対応をあらわす更新パターンテーブルを記憶する更新パターンテーブル記憶手段とを有し、前記資格テーブル作成手段により作成された資格テーブルと前記更新パターンテーブルとに基づいて、前記賦課収納記録記憶部に記憶された賦課収納記録を更新する賦課収納記録更新部とを備えたことを特徴とする保険料賦課収納記録更新装置。 - 更に、前記賦課収納記録記憶部に記憶された賦課収納記録のうちの、前記情報取得部により取得された年金番号により特定される被保険者に関する賦課収納記録を出力する出力部を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の保険料賦課収納記録更新装置。
- 更に、年金の被保険者の生年月日と、該被保険者が保険料の納付を免除された月数と、該被保険者が定額保険料および/又は付加保険料を納付した月数と、年金の支給の開始年度とからなる被保険者情報を取得する情報取得部と、
年度ごとの年金支給額の満額、被保険者の生年月日に対する加入可能年数の対応表、および支給開始年齢ごとの年金額増減率の対応表からなる一般情報を記憶する記憶部と、
前記情報取得部により取得された被保険者情報および前記記憶部に記憶されている一般情報とに基づいて年金受給予定額の計算を行う年金受給予定額計算部と、
前記年金受給予定額計算部により計算された年金受給予定額を表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の年金受給予定額計算機能付きの保険料賦課収納記録更新装置。 - 前記情報取得部がさらに、被保険者の振替加算の有無を含む被保険者情報を取得するものであり、前記記憶部がさらに、年度ごとの振替加算額の満額および被保険者の生年月日に対する振替加算額減額率の対応表を含む一般情報を記憶するものであり、前記年金受給予定額計算部が、前記情報取得部により取得された被保険者情報と前記記憶部に記憶された一般情報とに基づいて振替加算額計算を行うものであって、前記表示部がさらに、該年金受給予定額計算部により計算された振替加算予定額を表示するものであることを特徴とする請求項3記載の年金受給予定額計算機能付きの保険料賦課収納記録更新装置。
- 更に、保険料の前納開始年月および前納終了年月を含む前納年月情報を取得する情報取得部と、
年度ごとの定額保険料および年度ごとの付加保険料、並びに複利現価法の利率を含む一般情報を記憶する記憶部と、
前記情報取得部により取得された前納年月情報および前記記憶部に記憶された一般情報に基づいて前納保険料を計算する前納保険料計算部と、
前記前納保険料計算部により計算された前納保険料を出力する出力部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の前納保険料計算機能付き保険料賦課収納記録更新装置。 - 前記記憶部がさらに、被保険者ごとの月別の保険料の賦課収納の状況である保険料賦課収納状況を記憶するものであり、前記情報取得部がさらに、被保険者を識別するための年金番号を取得するものであって、前記前納保険料計算部が、前記記憶部 に記憶された保険料賦課収納状況のうち、前記情報取得部により取得された年金番号により特定される被保険者の保険料賦課収納状況に応じて前納保険料を計算するものであることを特徴とする請求項5記載の前納保険料計算機能付きの保険料賦課収納記録更新装置。
- コンピュータ内で実行され、該コンピュータを、
被保険者を識別するための年金番号と、該被保険者に与えられる資格の種類と、該資格の得失に関する日付とを含む情報を操作に応じて取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得した情報に応じて、被保険者ごとの資格の種類および該資格の得失に関する日付を含む資格履歴を更新する資格履歴更新部と、
前記資格履歴を、前記資格履歴更新部による更新自在に記憶する資格履歴記憶部と、
被保険者ごとの月別の保険料の賦課収納や還付の情報が記録された賦課収納記録を書替自在に記憶する賦課収納記録記憶部と、
前記情報取得部で取得した年金番号と、前記資格履歴記憶部に記憶された資格履歴とに基づいて、被保険者ごとの月別の資格の履歴をあらわす資格テーブルを作成する資格テーブル作成手段と、資格変更前の資格に応じた賦課収納記録の月ごとの情報および変更後の資格と、変更後の資格に応じた賦課収納記録の月ごとの情報との対応をあらわす更新パターンテーブルを記憶する更新パターンテーブル記憶手段を有し、前記資格テーブル作成手段により作成された資格テーブルと前記更新パターンテーブルに基づいて、前記賦課収納記録記憶部に記憶された賦課収納記録を更新する賦課収納記録更新部とを備えた保険料賦課収納記録更新装置として動作させる保険料賦課収納記録更新プログラムが記憶されていることを特徴とする保険料賦課収納記録更新プログラム記憶媒体。
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