JP4146908B2 - 高意匠成型品の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、表面に深彫りの意匠が施された高意匠成型品を製造する方法に関し、特に住宅の外壁材として有用な高意匠成型品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、セメントスラリーを脱水プレス方式にて高意匠成型品を製造する場合には、セメントスラリーを型枠内に投入後、エンボス板を用いて該セメントスラリーをプレスして脱水、成型していた。この方法では、成型されたセメントスラリーがある程度硬化する前に、次工程等に搬送することが必要なため、石割等の深彫りの意匠を施すと、搬送中に該意匠が変形するという問題があった。このような変形を防止するために、従来は、長時間脱水プレス時間を行ってセメントスラリーの脱水を十分に行うか又はセメントスラリー中に流動化防止剤を添加する等の方法がとられていた。しかしながら、このような防止方法には、製造速度が遅いといった欠点や、製造コストが増加するといった欠点があった。
【0004】
また、高意匠成型品を製造する別法として、エンボス板の上にセメントスラリーを投入し、該セメントスラリーの硬化後に型枠を脱型して高意匠成型品を得る、いわゆるプレキャスト方法も知られている。プレキャスト方法を用いると、エンボス板の表面形状にある程度近い意匠を施された成型品の製造が可能である。しかしながら、プレキャスト方法には、成型完了までの時間がかかり過ぎるといった欠点や、セメントスラリーの投入時にエアを抱き込んでしまうので、得られた成型品に欠損が生じてしまうといった欠点があった。更にプレキャスト方法における脱水は、上下面の何れかの面又は両面からのみ行われるので、型枠の四周面付近のセメントスラリーは、その性質から高含水状態となり、結果的に材料不足が起こり、得られた成型品に欠損が生じてしまうとう欠点もあった。
【0005】
また、上述の方法の他、例えば、特公平6−73849号公報に記載のプレス成型装置を用いた高意匠成型品を製造する方法も知られている。この公報に記載のプレス成型装置では、下金型の上に模様板をセットし、該模様板の上にセメントスラリーを供給し、平板状の上金型と共にプレス成型する。上記プレス成型装置は、金型と模様板とが別体なので、金型を安価に製造できるという利点を有する。しかしながら、成型体を大量生産するためには多量の模様板を必要とするという欠点を有する。また、成型体が完全硬化するまで、上記模様板を取り外すことができないという欠点もある。
【0006】
従って、本発明の目的は、欠損等の表面不良の発生が防止され且つ深彫りの意匠が施されたセメント成型品を短時間で安価に製造し得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、プレス下でのセメントスラリーの流動特性に着目して鋭意研究した結果、プレス成型におけるセメントスラリーの脱水条件を特定の条件としその流動特性を制御することで、上記目的が達成されることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、型枠内にセメントスラリーを投入した後、該セメントスラリーを、エンボス板を有するプレス手段にてプレスして脱水、成型することにより、表面に深彫りの凹凸形状を有するセメント成型品を製造する高意匠成型品の製造方法において、濃度15〜35%のセメントスラリーを0.5〜10kgf/cm2 の圧力下、表面が凹凸形状となっているエンボス板を有するプレス手段で一次プレスして、濃度が43〜53%になるまで脱水すると共に、最終形状又はそれに類似の形状に成型されたケーキを得、次いで、上記一次プレスの解圧後、上記ケーキを30〜70kgf/cm2 の圧力下、表面が凹凸形状となっているエンボス板を有するプレス手段で二次プレスして、濃度が60〜70%になるまで脱水すると共に、最終形状に成型し、次いで、養生、硬化させて成型品を得ることを特徴とする高意匠成型品を製造する方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
【作用】
本発明の方法においては、一次プレスにより、セメントスラリー中の材料をエンボスの凹凸部の隅々にまで行き届かせ、次いで、二次プレスにより脱水を完了させると共に最終形状を付与する。
【0010】
以下、本発明の方法について詳述する。
【0011】
本発明の方法は、型枠内にセメントスラリーを投入した後、該セメントスラリーをエンボス板を有するプレス手段でプレスして脱水、成型することにより深彫りの凹凸形状をその表面に有する高意匠成型品を製造する方法において、プレス成型におけるセメントスラリーの脱水工程に特徴を有するものである。かかる脱水工程は、一次プレス工程及び二次プレス工程を含むものである。以下、図面を参照しつつ、上記一次プレス工程及び二次プレス工程について、バッチ工程を例として詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の方法の工程を示す概略図であり、図2は、プレス成型装置の断面を示す概略図であり、図3は、一次プレスから二次プレスへの移送工程の別法を示す模式図であり、そして、図4は、本発明の方法を連続工程で行うための装置を示す概略図である。
【0012】
図1(a)に示すように、本発明の方法においては、まず、多孔板10の上に型枠12を載置し、ホッパー14から該型枠12内にセメントスラリー15を投入する。この場合、上記セメントスラリー15の濃度は、15〜35%とする。該濃度が15%に満たないとブリージング(セメントスラリー中で材料と水とが分離して水が浮いてくる現象)が発生し、均一な濃度のセメントスラリーを得ることができず、35%を超えると後述するセメントスラリーのならしがうまくいかず、均一な濃度のセメントスラリーを得ることができないので、上記範囲内とする。上記セメントスラリー15の濃度は、15〜30%であることが好ましい。
【0013】
上記セメントスラリー15の組成に特に制限はなく、本発明の方法で得られた成型品の使用目的に応じてその組成を適宜決定すればよい。例えば、本発明の方法で得られた成型品を住宅の外壁材として使用する場合には、上記セメントスラリーは、典型的にはセメント及び水の他に、スラグ、石膏、パーライト、マイカ、パルプ、ビニロン繊維、高分子凝集剤等を、その成分とし含有する。これらの成分の配合量は、典型的にはセメント15〜50重量%、スラグ30〜70重量%、石膏3〜10重量%、パーライト3〜10重量%、マイカ2〜10重量%、パルプ3〜6重量%、ビニロン繊維0.5〜1.5重量%、高分子凝集剤0.1〜0.5重量%であるが、これに限定されない。
【0014】
本発明においては、上記セメントスラリー15は、上記型枠12内に、その厚さが65mmなるまで投入することができる。この厚さは、従来のセメント成形品の製造方法に比して極めて大きいものである。その結果、本発明の方法によれば、深彫りの、即ち、凹凸の差の大きな意匠が施されたセメント成型品を製造することがきる。
【0015】
上記セメントスラリー15の投入後、図1(c)に示すように、エンボス板16を有するプレス手段17を降下させて、上記セメントスラリー15の一次プレスを行う。かかる一次プレスを行うに先立ち、例えば、図1(b)に示すようにドクターブレード18等を用いて、上記型枠12内に投入された上記セメントスラリー15を平滑にならすことが好ましい。この理由は、上記型枠12内に投入されたままの上記セメントスラリー15においては、図1(a)に示すように、その表面が平滑でなく、窪んだ部分20が存在する。かかる部分には、上記セメントスラリー中の水が滲み出して、溜まった状態になっている。この状態から直ちに一次プレスを行うと、水が溜まった部分に材料不足が起こり、その結果欠損等の表面不良が生じてしまうからである。それ故、一次プレスを行う前に、図1(b)に示すように上記型枠12内に投入された上記セメントスラリー15を平滑にならすことが好ましい。
【0016】
次に、図1(c)に示す一次プレス工程について詳述すると、一次プレス工程においては、上記セメントスラリー15を、0.5〜10kgf/cm2 の圧力下、上記エンボス板16を有するプレス手段17で一次プレスして、濃度が43〜53%になるまで脱水すると共に、最終形状又はそれに類似の形状に成型されたケーキ23を得る。
【0017】
一次プレスの際の圧力は、上述の通り、0.5〜10kgf/cm2 である。一次プレスの圧力が0.5kgf/cm2 に満たないと次工程である二次プレス工程に移送する間に上記ケーキ23が著しく型くずれを起こし、10kgf/cm2 を超えると二次プレスの圧力を上げても材料移動が起こらず成型品が丸みを帯び、ヒビ割れを起こすので、上記範囲内とする。一次プレスの圧力は、1〜5kgf/cm2 であることが好ましい。
【0018】
上記の通りの圧力によって上記セメントスラリー15を濃度が43〜53%になるまで脱水されたケーキ23を得る。上記濃度が43%に満たないと上記ケーキ23が著しい型くずれを起こし、二次プレス時に材料が吹き出てしまう。一方、上記濃度が53%を超えると材料移動が起こらず、二次プレス成型品が丸みを帯び、場合によってはヒビ割れを起こすので、上記範囲内とする。上記濃度は44〜48%であることが好ましい。
【0019】
この一次プレスによって、上記型枠12内における上記ケーキ23の厚さを20〜30mmにすることが好ましい。上記ケーキ23の厚さを上記範囲内にすることによって、著しい型くずれのないケーキが成型されるので好ましい。
【0020】
一次プレスについて更に詳述すると、図2に示すように、上記型枠12内に投入された上記セメントスラリー15の上方から、上記エンボス板16を有するプレス手段17を降下させ、上記セメントスラリー15を脱水プレスする。脱水を効果的に行うために、上記エンボス板には多数の脱水孔21が設けられている。該脱水孔21は、上記プレス手段の脱水孔21’と連通しており、該脱水孔21’はポンプ22に接続され、上記セメントスラリー15の脱水が行われる。この際、上記セメントスラリー15と上記エンボス板16との間に濾過布24を介在させることが好ましい。これにより、上記セメントスラリー15の脱水を一層効果的に行うことができる。上記濾過布24としては、例えば、厚さが0.5〜1.0mmであり、通気度が10000〜40000cm3 /min・cm2 である合成繊維製の平織又は綾織の織布等が好ましく用いられるが、これに限定されない。
【0021】
なお、上記脱水孔21、21’及び上記ポンプ22は上記セメントスラリー15の脱水のみならず、上記セメントスラリー15と上記エンボス板16との間に発生するエア溜まりからエアを除去するエア抜きとしても作用する。
【0022】
上記エンボス板16を介しての脱水と共に、上記セメントスラリー15の下方部から、即ち、上記多孔板10からも脱水を行うと一層効果的である。更に詳しくは、図2に示すように、上記多孔板10には多数の脱水孔26が設けられており、該脱水孔26はポンプ28に接続され、上記セメントスラリー15の脱水がその下方からも行われる。この際、上記セメントスラリー15と上記多孔板10との間に濾過布30を介在させることが好ましい。これにより、上記セメントスラリー15の脱水を一層効果的に行うことができる。上記濾過布24としては、例えば、厚さが1.0mm以上であり、通気度が10000〜40000cm3 /min・cm2 である合成繊維製の綾織又は杉綾織の織布等が好ましく用いられるが、これに限定されない。
【0023】
このように、一次プレスにおいては、上記セメントスラリー15の脱水を上記セメントスラリー15の上下面から行うことが好ましいが、更に好ましくは、上記セメントスラリー15の側面からも脱水を行う。即ち、上記エンボス板16及び上記多孔板10からの脱水に加えて、上記型枠12の側面のうちの少なくとも一側面、好ましくは四側面のすべてからも脱水を行うことが望ましい。更に詳述すると、図2に示すように、上記型枠12の側面には多数の脱水孔32が設けられており、該脱水孔32は、ポンプ34に接続され、上記セメントスラリー15の脱水がその側面からも行われる。このように、上記セメントスラリー15の脱水をその側面からも行うことによって、脱水プレスの時間が一層短縮されると共に、欠損等の表面不良の発生も効果的に防止される。その理由は、上記セメントスラリー15の上下面からのみ脱水すると、上記セメントスラリー15の側面、即ち、上記型枠12に接している部分は、上記セメントスラリー15の性質上、高含水状態となるので、得られる成型品に材料不足が起こり、欠損等が発生することが屡あるが、上記セメントスラリー15の脱水をその側面からも行うことによって、そのような欠損等の発生を防止することができるからである。上記型枠12からの脱水においても、上記型枠12と上記セメントスラリー15との間に濾過布36を介在させることが好ましい。これにより、上記セメントスラリー15の脱水を一層効果的に行うことができる。上記濾過布36としては、例えば、上記多孔板10と上記セメントスラリー15との間に介在させる濾過布24と同様のものを用いることができるが、これに限定されない。
【0024】
以上、一次プレスにおける上記セメントスラリー15の脱水について詳述したが、一次プレスにおいては、上記セメントスラリー15の脱水に加えて、上記セメントスラリー15を最終形状又はそれに類似の形状に成型されたケーキ23にする。ここで、「類似の形状」までも含めた理由は、最終形状への完全な成型は、後述する二次プレスにおいて行われるので、一次プレスにおける上記ケーキ23の成型を、最終形状への完全な成型とする必要の無いことによるものである。一次プレスにおける成型は、例えば図2に示すように、エンボス板16を有するプレス手段17によって行うことができる。この場合、上記エンボス板16と上記プレス手段17とは一体でもよく又は別体でもよい。上記エンボス板16の表面は凹凸形状となっており、かかる形状は、成型品表面に最終形状を付与し得るような形状であるか又はそれに類似の形状である。なお、成型品表面の最終形状の例としては、該成型品を住宅の外壁材として使用する場合には、深彫りのタイル調や石割調の形状等が挙げられるが、これに限定されない。
【0025】
このようにして、一次プレスが完了したら、図1(d)に示すように、上記エンボス板16を上記プレス手段17と共に上昇させて一次プレスを解圧する。次いで、ケーキ23を二次プレスに移送し、図1(e)に示すように二次プレスを行う。
【0026】
また、この別法として、図3に示すように、一次プレスの完了後、上記エンボス板16を上記ケーキ23上に載置したままの状態で、上記プレス手段のみ上昇させて一次プレスを解圧することも好ましい。このようにすることで、二次プレスにおいて、再度上記エンボス板16で上記ケーキ23をプレスする際に、上記エンボス板16と上記ケーキ23との間にエアが入り込むことが防止されると共に、上記エンボス板16の上昇時に上記ケーキ23の表面張力により上記エンボス板16の表面に上記ケーキ23が付着して、上記ケーキ23の形状がくずれることが防止される。そして、二次プレスの際には、上記プレス手段17を降下させて、上記エンボス板16を押圧してプレスを行う。
【0027】
なお、一次プレスを解圧して二次プレスの工程に移送する際には、上記型枠12は取り付けたままでもよく又は取り外してもよい。
【0028】
次に、二次プレスについて説明する。
二次プレスにおいては、一次プレスで得られた上記ケーキ23を30〜60kgf/cm2 の圧力下、エンボス板を有するプレス手段で二次プレスして、濃度が60〜70%になるまで脱水すると共に、最終形状に成型する。
【0029】
二次プレスの際の圧力は、上述の通り、30〜60kgf/cm2 である。二次プレスの圧力が30kgf/cm2 に満たないと、上記ケーキ23をエンボス形状に沿った意匠にするのに長時間を要し、60kgf/cm2 を超えると厚み制御が困難であり、最大圧力まで到達するのに長時間を要するので、上記範囲内とする。二次プレスの圧力は、45〜55kgf/cm2 であることが好ましい。
【0030】
上記の通りの圧力によって上記ケーキ23をその濃度が60〜70%になるまで脱水する。上記濃度が60%に満たないと二次プレス成型品の表面硬度が低く、積み重ね時に意匠がくずれたり、垂れを発生し、70%を超えると比重の高い、つまり重い成型品となってしまうので、上記範囲内とする。上記濃度は62〜65%であることが好ましい。
【0031】
この二次プレスによって、上記型枠12内における上記ケーキ23の厚さを9〜22mmにすることが好ましい。上記ケーキ23の厚さを上記範囲内にすることによって、目的とする高意匠性を有する成型品が得られるので好ましい。
【0032】
二次プレスは、一次プレスと同様の装置を用いて用いることができる。即ち、二次プレスにおける脱水は、上記ケーキ23の上下面から行ってもよく又はこれに加えて側面から行ってもよい。なお、二次プレスにおいても濾過布を用いて脱水することが好ましいが、その際使用する濾過布は、二次プレスの圧力が高いことに鑑み、強度の高いものが好ましく、例えば、厚さが1.0mm以上であり、通気度が10000〜40000cm3 /min・cm2 である合成繊維製の綾織又は杉綾織の織布等を用いることができるが、これに限定されない。
【0033】
また、二次プレスにおける上記ケーキ23の成型に使用される上記エンボス板16の表面形状は、得られる成型品に最終形状を付与し得るような形状のものである。具体的な形状は、一次プレスにおいて用いられるエンボス板と同様である。
【0034】
二次プレスが完了したら、図1(f)に示すように、上記エンボス板16を上記プレス手段17と共に上昇させ、二次プレスを解圧する。次いで、公知の方法により養生、硬化させて、目的とする成型品が得られる。
【0035】
本発明の方法によれば、成形品の厚さを最大で22mmとすることができ、しかも、表面の凹凸の差を最大で10mmとすることができる。その結果、エンボス板の表面形状により近いリアル感のある成型品を得ることができる。
【0036】
以上、本発明の方法をバッチ工程に基づいて説明したが、本発明の方法は、かかるバッチ工程のみに限定されるものではなく、例えば、図4に示す連続工程によっても行うことができる。そこで、かかる連続方法について下記に説明する。なお、かかる連続工程における工程及び条件等のうち、上記バッチ工程と同様のものについては特に詳述しないが、上記バッチ工程において詳述した説明が適宜適用される。また、連続工程を示す図4における部材及び材料等に関し、上記バッチ工程を示す図1〜3における部材及び材料等と同様のものについては同様の番号を付した。
【0037】
図4は、本発明の方法を連続工程で行うための装置を示す概略図である。
この装置は、一次プレスを行う一次プレス部40、一次プレスで得られたケーキを所定の寸法に切断する切断部42、所定の寸法に切断されたケーキを移送する移送部44、及び移送部44から移送されたケーキを二次プレスする二次プレス部46とを有する。下記に、それぞれの部分について説明する。
【0038】
まず、一次プレス部40について説明する。
一次プレス部においては、ホッパー14からセメントスラリー15が、移動するフェルト40上に供給される。該フェルト48上に供給された上記セメントスラリー15は、ならしロール50によって平滑にならされると共に、予備脱水される。次いで、上記セメントスラリー15は、上部脱水ボックス52と下部脱水ボックス54との間で一次プレスされ、所定の濃度まで脱水され且つ所定の表面形状を付与されたケーキ23となる。なお、一次プレス部40においては、型枠は示されていないが、勿論型枠を使用してもよい。また、型枠を使用する場合には、該型枠の側面から脱水を行ってもよい。
【0039】
次に、切断部42について説明する。
切断部42においては、一次プレス部40で得られたケーキ23を所定の寸法に切断する。切断手段に特に制限はなく、例えば、ウォータージェット、かき取り、ギロチンカット等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0040】
次に、移送部44について説明する。
移送部44においては、所定の寸法に切断されたケーキ23が待機コンベア56上に載置され、次工程である二次プレス部46に移送される。また、移送部44は、一次プレス部44と二次プレス部46との工程速度差を調整する役割を有する。
【0041】
次に、二次プレス部46について説明する。
二次プレス部46においては、移送部44から移送されてきたケーキ23を、エンボス板16を有するプレス手段17によってプレスして、所定の濃度まで脱水すると共にその表面に最終形状を付与する。二次プレスが完了したら、上記エンボス板16を上記プレス手段17と共に上昇させ、二次プレスを解圧する。次いで、公知の方法により養生、硬化させて、目的とする成型品が得られる。
【0042】
以上、本発明の方法を、その典型的な実施態様であるバッチ工程及び連続工程に基づいて説明したが、本発明はかかる実施態様に限定されるものではなく、種々の変更態様が可能である。例えば、二次プレスを二段以上の多段にして各段のエンボス形状を変えることにより、多品種少量生産が可能となり、又、エンボス型替え時間の短縮及び脱水時間を更に短縮することもできる。
【0043】
【実施例】
次いで、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、特に断らない限り、%は重量%を示す。
【0044】
〔実施例1〕
下記に示す配合から、濃度15%のセメントスラリーを調製した。次いで、このセメントスラリーを図2に示すプレス成型装置に投入し、その表面を平滑にならして上記セメントスラリーの厚さを62mmにした。次いで、石割調の表面を有するエンボス板を有するプレス手段を用いて、3kgf/cm2 の圧力下、14秒間一次プレスして、濃度44%のケーキを得た。この際、脱水は、上記セメントスラリーの上下面及び各側面から行った。得られたケーキの厚さは30mmであった。
【0045】
一次プレスの完了後、上記エンボス板を上記ケーキ上に載置したままの状態で、上記プレス手段のみ上昇させて一次プレスを解圧した。なお、型枠は取り付けたままであった。次いで、上記プレス手段を降下させて、上記エンボス板を押圧して、上記ケーキを55kgf/cm2 の圧力下、15秒間二次プレスして、濃度が62〜63%になるまで脱水しその厚さを11mmにすると共に、最終形状に成型した。
【0046】
次いで、養生、硬化させて成形品を得た。なお、上記一次プレス及び二次プレスに要した時間は、圧力0kgf/cm2 から最大圧力3kgf/cm2 又は55kgf/cm2 に到達する迄の時間である。また、得られた成型品は、全体の厚さが平均11mmであり、凹凸の差は最大で7mmであり、そして、表面に欠損は認められなかった。
【0047】
<セメントスラリーの配合>
スラグ 60%
セメント 18%
二水石膏 6%
パーライト 6%
マイカ 5%
パルプ 4%
ビニロン繊維 1%
スラリー濃度15%(材料:水=15:85)
【0048】
〔比較例1〕
セメントスラリーの厚さ62mmから11mmまで圧力30kgf/cm2 で一気に脱水プレス成型を行った以外は実施例1と同様にして成型品を得た。脱水プレス成型に要した時間は3分超であった。また、得られた成型品は、全体の厚さが11.3mmであり、凹凸の差は最大で5mmであり、そして、表面に凸部欠損が認められた。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明の高意匠成型品の製造方法によれば、セメントスラリーをプレスして脱水、成型した後に、養生、硬化させて、表面に深彫りの凹凸形状を有するセメント成型品を得るための製造方法において、表面が凹凸形状となっているエンボス板を有するプレス手段を用いた脱水プレス工程を、上述の所定のセメントスラリーの濃度と所定の圧力で行われる一次プレス及び二次プレスの二工程で行うことにより脱水プレスの時間が短縮され、短時間で大量の成型品を安価に製造することができる。また、従来の成型品に比して極めて深彫りの意匠が施された成型品を製造することができる。更に、脱水をセメントスラリーの上下面からのみならず、その側面からも行うことで、脱水プレスの時間が一層短縮されると共に、欠損等の表面不良の発生も効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の工程を示す概略図である。
【図2】プレス成型装置の断面を示す概略図である。
【図3】一次プレスから二次プレスへの移送工程の別法を示す模式図である。
【図4】本発明の方法を連続工程で行うための装置を示す概略図である。
【符号の説明】
10 多孔板
12 型枠
14 ホッパー
15 セメントスラリー
16 エンボス板
17 プレス手段
23 ケーキ
Claims (6)
- 型枠内にセメントスラリーを投入した後、該セメントスラリーを、エンボス板を有するプレス手段にてプレスして脱水、成型することにより、表面に深彫りの凹凸形状を有するセメント成型品を製造する高意匠成型品の製造方法において、
濃度15〜35%のセメントスラリーを0.5〜10kgf/cm2 の圧力下、表面が凹凸形状となっているエンボス板を有するプレス手段で一次プレスして、濃度が43〜53%になるまで脱水すると共に、最終形状又はそれに類似の形状に成型されたケーキを得、
次いで、上記一次プレスの解圧後、上記ケーキを30〜70kgf/cm2 の圧力下、表面が凹凸形状となっているエンボス板を有するプレス手段で二次プレスして、濃度が60〜70%になるまで脱水すると共に、最終形状に成型し、
次いで、養生、硬化させて成型品を得ることを特徴とする高意匠成型品を製造する方法。 - 上記型枠内に投入した上記セメントスラリーを平滑にならした後、上記一次脱水を行う、請求項1記載の方法。
- 上記一次プレス及び/又は上記二次プレスにおける脱水を上記セメントスラリーの上下面及び側面から行う、請求項1又は2記載の方法。
- 一次プレスの完了後、上記エンボス板を上記ケーキ上に載置したままの状態で、上記プレス手段のみ上昇させて一次プレスを解圧する、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
- 上記一次プレス及び上記二次プレスをバッチ工程で行う、請求項1〜4の何れかに記載の方法。
- 上記一次プレス及び上記二次プレスを連続工程で行う、請求項1〜4の何れかに記載の方法。
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1995
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