JP4146735B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4146735B2
JP4146735B2 JP2003021528A JP2003021528A JP4146735B2 JP 4146735 B2 JP4146735 B2 JP 4146735B2 JP 2003021528 A JP2003021528 A JP 2003021528A JP 2003021528 A JP2003021528 A JP 2003021528A JP 4146735 B2 JP4146735 B2 JP 4146735B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic field
gradient magnetic
pulse
echo
correction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003021528A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004229866A5 (ja
JP2004229866A (ja
Inventor
紀彦 小澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Medical Corp
Priority to JP2003021528A priority Critical patent/JP4146735B2/ja
Publication of JP2004229866A publication Critical patent/JP2004229866A/ja
Publication of JP2004229866A5 publication Critical patent/JP2004229866A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4146735B2 publication Critical patent/JP4146735B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴(NMR)現象を利用して被検体の検査部位の断層画像を得る磁気共鳴イメージング装置(以下「MRI装置」という)に関し、特に、高速スピンエコー法(CPMG(Carr-Purcell- Meiboom-Gill)系列)のように1回の原子核スピンの励起によって複数のエコー信号を取得するパルスシーケンスにおいて、傾斜磁場パルスの印加によって発生する不整磁場を補正する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記高速スピンエコー法等のパルスシーケンスを実行して断層画像を得るMRI装置において、傾斜磁場パルスの印加によって渦電流傾斜磁場や残留傾斜磁場の不整磁場が発生すると、これらが原因で再構成画像を劣化する。特に、高速スピンエコー法では、再構成画像上にリンギングやシェーディングアーチファクトが発生する。
【0003】
このような不整磁場を補正して再構成画像の劣化を低減する方法としては、ある一定期間(例えば、高速スピンエコー法では、位相エンコード傾斜磁場パルスの印加から次の位相エンコード傾斜磁場パルスの印加までの期間)の間に傾斜磁場パルスの振幅に比例する補正用傾斜磁場パルスを予め調整して印加することにより不整磁場の補正を行うものがある。
また、[特許文献1]にも補正用傾斜磁場パルスを位相エンコード傾斜磁場パルスに重ね合わせて印加する方法が掲載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002-143115号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の方法では、エコー間隔を変えた場合には、不整磁場の内、残留傾斜磁場のようなエコー間隔に比例する成分の補正には対応できるが、渦電流傾斜磁場のようなエコー間隔に依存しない成分に対しては対応できず、不整磁場の補正が不十分となってしまう。このような不十分な補正の結果残ってしまう不整磁場は、高速スピンエコー法の位相エンコード方向で特に影響が大きく、再構成画像上でリンギングやシェーディングアーチファクトを発生させてしまう。
【0006】
また、[特許文献1]においても、エコー間隔を変更したとき、同様の原因により画像上にリンギングやシェーディングアーチファクトが発生する問題がある。
さらに、この渦電流傾斜磁場や残留傾斜磁場の影響の中で、特に、残留傾斜磁場の影響は、超伝導磁石型装置よりも、永久磁石型装置で顕著であることが判明している。永久磁石型装置では、強磁性体の構造物で磁気回路を構成するため、残留傾斜磁場が残りやすいためである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の磁気共鳴イメージング装置は、以下の様に構成される。即ち、
(A)被検体に静磁場を与える静磁場発生手段と、スライス方向と位相エンコード方向と周波数エンコード方向の傾斜磁場を与えるとともに、前記傾斜磁場の印加によって発生する不整磁場を補正して本来の印加量を印加する傾斜磁場発生手段と、前記被検体内の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場パルスを照射する高周波磁場送信手段と、核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出するエコー信号受信手段と、前記エコー信号受信手段で検出したエコー信号を用いて画像再構成演算を行う信号処理手段と、前記エコー信号を発生させて受信するパルスシーケンスを制御するパルスシーケンス制御手段とを備え、さらに、前記パルスシーケンスにおけるコー信号間隔に対応して前記不整磁場を正する補正用傾斜磁場調整手段を備える。
【0008】
(B)好ましくは、前記(A)において、前記補正用傾斜磁場調整手段は、前記不正磁場の構成成分毎に、前記エコー信号間隔に対応して前記補正用傾斜磁場を求め、前記各構成成分の加算を補正用傾斜磁場とする
【0009】
(C)また、好ましくは、前記(B)において、前記補正用傾斜磁場調整手段は、前記エコー間隔に対応して前記補正用傾斜磁場を調整するステップを、前記エコー間隔を変えながら前記不正磁場の構成成分数以上の回数繰り返すことにより、前記不正磁場の構成成分ごとに前記補正用傾斜磁場を求める
【0010】
(D)また、好ましくは、前記(A)において、前記パルスシーケンスが、複数のエコー信号を順次検出するタイプのものであり、前記補正用傾斜磁場調整手段は、前記補正用傾斜磁場を前記複数のエコー信号の内の隣接する2つのエコー信号間隔に対応して制御する
【0011】
[実施例]
本発明が適用されるMRI装置を図6により説明する。図6は本発明が適用されるMRI装置の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、大別すると、中央処理装置(CPU)1と、シーケンサ2と、送信系3と、静磁場発生磁石4と、傾斜磁場発生系5と、受信系6と、信号処理系7とを備えて構成する。
【0012】
中央処理装置(CPU)1は、予め定められたプログラムに従ってシーケンサ2、送信系3、傾斜磁場発生系5、受信系6、信号処理系7の各々を制御するものである。
【0013】
シーケンサ2は、高周波磁場パルスと傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御を行い、CPU1の制御で動作し、被検体8の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系3、傾斜磁場発生系5、受信系6に送る。
【0014】
送信系3は、高周波発信器9と変調器10と高周波コイルとしての照射コイル12を有し、シーケンサ2の指令により高周波発信器9からの高周波パルスを変調器10で振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器11を介して増幅して照射コイル12に供給することにより、所定のパルス状の磁場(つまり電磁波)を被検体8に照射する。
【0015】
静磁場発生磁石4は、被検体8の回りに任意の方向に均一な静磁場を発生させるためのものである。この静磁場発生磁石の内部には、照射コイル12の他、傾斜磁場パルスを発生させる傾斜磁場パルスコイル14と、受信系6の受信コイル15が設置されている。
【0016】
傾斜磁場発生系5は互いに直交するデカルト座標軸方向にそれぞれ独立に傾斜磁場パルスを印加できる構成を有す傾斜磁場コイル14と傾斜磁場コイルに電流を供給する傾斜磁場電源13と、傾斜磁場電源13を制御するシーケンサ2により構成する。
【0017】
受信系6は、高周波コイルとしての受信コイル15と当該受信コイル15に接続された増幅器16と直交位相検波器17とA/D変換器18と有し、シーケンサ2からの指令によるタイミングで、受信コイル15が検出した被検体8からのエコー(NMR)信号を増幅器16で増幅した後、直交位相検波器17により直交する二系統の信号に分割し、それぞれをA/D変換器18を介してディジタル量に変換しCPU1に送る。
【0018】
信号処理系7は、光ディスク20、磁気ディスク21等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ19とを有し、受信系6からのデータがCPU1に入力されると、当該CPU1が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体8の断層画像をディスプレイ19に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク21等に記録する。
【0019】
以上の様なMRI装置は、核磁気共鳴現象を利用して被検体中の所望の検査部位における原子核スピン(以下、単に「スピン」と称す。)からのエコー信号にスピンの密度分布や緩和時間分布等を反映させて計測して、その計測データから、被検体の断層画像を表示できるようになっている。
【0020】
そして、このような断層画像が得られるMRI装置は、高周波磁場パルスや傾斜磁場パルス等を発生させるタイミングを予め設定したパルスシーケンスに基づき、かつこのパルスシーケンスを必要回数繰り返すことによって動作されるようになっている。このパルスシーケンスとしては種々のものが知られており、このうち、断層画像情報が比較的速く得られるものとして高速スピンエコー法が有効となっている。
【0021】
この高速スピンエコー法の特徴としては、位相エンコード方向傾斜磁場パルスの振幅を順次変化させて一のパルスシーケンスを所定回繰り返して動作させることによって断層画像情報を計測するものであって、当該一のパルスシーケンスの動作によって少なくても2以上のエコー信号が得られるようになっている。
【0022】
図7に、高速スピンエコー法の一例を、図8に位相エンコード方向傾斜磁場パルスの振幅の変化の一例を示している。図7,図8において、その一回目の計測(第1計測)では、まず、横磁化の生成を目的とする高周波磁場90゜パルス(以下「RF励起パスル」という)28とスライス傾斜磁場パルス30の印加により選択された断面内のスピンが90゜に倒され、続いて横磁化の反転により再収束を目的とする高周波磁場180゜パルス(以下「RF再収束パスル」という)29-1とスライス傾斜磁場パルス30-1の印加により励起された当該スピンが180゜反転され、位相エンコード傾斜磁場パルス32-1(その印加量(時間軸と囲む面積で、傾斜磁場パルスが矩形であれば 面積=振幅×印加時間 となる)を8としている)の印加及び周波数エンコード傾斜磁場パルス34-1の印加によって第1エコー24が得られるようになっている。更に位相エンコード傾斜磁場パルス32-1に対して逆極性の位相エンコード傾斜磁場パルス(以下、「位相リワインド傾斜磁場パルス」という)32-1’(その印加量を−8としている)を印加して位相エンコード傾斜磁場パルス32-1によりエンコードされたスピンの位相を再整相(リワインド、つまり位相を0に戻す)する。
【0023】
そして、第2番目のRF再収束パスル29-2とスライス傾斜磁場パルス30-2の印加によって、当該スピンが反転され、位相エンコード傾斜磁場パルス32-2(その印加量を6としている)の印加及び周波数エンコード傾斜磁場パルス34-2の印加によって第2エコー25が得られるようになっている。更に位相エンコード傾斜磁場パルス32-2に対して位相リワインド傾斜磁場パルス32-2’(その印加量を−6としている)を印加してスピンの位相を再整相する。
【0024】
その後も同様で、RF再収束パスル29-3の印加、位相エンコード傾斜磁場パルス32-3及び位相リワインド傾斜磁場パルス32-3’(その印加量を4、−4)の印加及び周波数エンコード傾斜磁場パルス34-3の印加によって第3エコー26が得られるようになっており、RF再収束パスル29-4の印加、位相エンコード傾斜磁場パルス32-4及び位相リワインド傾斜磁場パルス32-4’(その印加量を順次2、−2)の印加及び周波数エンコード傾斜磁場パルス34-4の印加によって第4エコー27が得られるようになっている。ここで、順次得られる第1エコーないし第4エコーの各断層画像情報は、いわゆるK空間上のメモリにおいて、各エコーの対応する位相方向傾斜磁場パルスの印加量(8,6,4,2)に相当するKy(位相エンコード方向)におけるKx(周波数エンコード方向)方向に沿って格納される。
【0025】
ここで、エコー信号(24,25,26,27)の中心間の時間間隔、つまり、エコー間隔は、それぞれ等しく、かつRF励起パルス28とRF再収束パルス29-1間の時間間隔の2倍となっている。従って、エコー間隔を変更することは、それぞれのエコー中心間の時間間隔と、RF励起パルス28とRF再収束パルス29-1間の時間間隔(=エコー間隔の1/2)およびRF再収束パルス29-1と第1エコー24の中心間の時間間隔(=エコー間隔の1/2)を同様の関係を保って同時に変更することである。
【0026】
以上の図7のパルスシーケンスで従来のマルチスピンエコー法と異なる点は、周波数エンコード傾斜磁場パルスの前後に互いに逆極性となる位相エンコード傾斜磁場パルスを印加していることである。これによって、それぞれのエコーに独立して別々の位相エンコードをできるようにしている。更に、RF励起パスル印加後の周波数エンコード方向の傾斜磁場パルス33の印加量(面積S)に対して、RF再収束パスル印加後の周波数エンコード方向の傾斜磁場パルス34-1、34-2、…の印加量は、面積(=時間×振幅)が2倍(面積2S)に設定してある。これによって、周波数エンコード(34-1、34-2、…)とエコー信号(24、25、…)計測タイミングとの同期(各周波数エンコード傾斜磁場パルスの中央にエコー信号の中心が出現すること)が図られる。
【0027】
尚、図8には、第2計測目〜第4計測目における位相方向傾斜磁場パルスの振幅の変化も示している。このように二回目の計測(第2計測)、三回目の計測(第3計測)、四回目の計測(第4計測)が順次行われ、各計測のそれぞれによって得られた第1エコーないし第4エコーの断層画像情報は、前記K空間上のメモリに格納されることになる。このK空間メモリを図9に示す。横軸は周波数エンコード軸Kx、縦軸は位相エンコード軸Kyを示す。
【0028】
以上の様な、高速スピンエコー法を使用するMRI画像において、傾斜磁場パルスの印加によって不整磁場が発生し、これが原因で再構成画像上でリンギングやシェーディングアーチファクトが発生する場合がある。この不整磁場は渦電流傾斜磁場や残留傾斜磁場である。
【0029】
高速スピンエコー法は次に述べる3つの条件を満たす必要がある。
(条件1)
RF励起パルスからRF再収束パルスまでの時間間隔と後続するRF再収束パルス間の時間間隔の比が、1:2の割合になっている必要がある。
【0030】
(条件2)
RF励起パルスからRF再収束パルスまでに印加する傾斜磁場パルスの印加量が、後続するRF再収束パルス間に印加する傾斜磁場パルスの印加量に対して、やはり1:2の割合になっている必要がある。
【0031】
(条件3)
RF励起パルスとそれに続く複数のRF再収束パルスの位相が直交するように位相制御を行う。例えば、共鳴周波数で回転する回転座標系xyzでRFパルスの位相を表すと、RF励起パルスの位相がx、後続するRF再収束パルスの位相がyとなるように制御する。
【0032】
これらの(条件1)、(条件2)、(条件3)をCPMG条件というが、傾斜磁場パルスの印加に伴い渦電流傾斜磁場や残留傾斜磁場が発生すると、上記の(条件2)が満たされなくなり、再構成画像上にリンギングやシェーディングアーチファクトが発生する。このようなアーチファクトを低減する方法として、従来から以下に示す方法や[特許文献1]のような方法がある。
【0033】
従来から行われている方法を図1から図3 にて説明する。この方法は、図1に示すような傾斜磁場パルス101により発生する、図2に示すような渦電流傾斜磁場成分102や残留傾斜磁場成分103を補正するために、傾斜磁場パルス101印加直後に次の傾斜磁場パルスを印加するまでの間、図3に示すような補正用傾斜磁場パルス104を印加する方法である。この補正用傾斜磁場パルスの振幅は、傾斜磁場パルス101の振幅に比例し、比例係数は予め調整しておく。しかしこの方法では、エコー間隔を変更すると調整された比例係数が合わなくなってしまうため上記の(条件2)が満たされなくなり、結果として再構成画像上にリンギングやシェーディングアーチファクトが発生するという問題がある。
【0034】
比例係数が合わなくなる原因は、渦電流傾斜磁場成分はエコー間隔に依らず一定であるのに対し、残留傾斜磁場成分はエコー間隔に比例して増加するためである。従来の補正法は、傾斜磁場パルス印加直後から次の傾斜磁場パルス印加まで一定振幅の補正用傾斜磁場パルスを印加するため、エコー間隔に比例する残留傾斜磁場成分の補正には対応しているが、エコー間隔に依らない渦電流傾斜磁場成分には対応していない。この結果、比例係数がエコー間隔の変更に伴い適当でなくなる。
この問題は、特に高速スピンエコー法における位相エンコード方向の補正に関して深刻で、RF再収束パルス間で位相エンコード量の総和をゼロにすることができなくなってしまい、上記の(条件2)が満たされなくなる。
【0035】
次に、本発明の不整磁場を補正する方法を説明する。
本発明には、補正しようとする方向(例:位相エンコード方向)に傾斜磁場パルスを印加した直後から次に同じ方向に傾斜磁場パルスを印加するまでの間、補正用傾斜磁場パルスを印加する。この補正用傾斜磁場パルスの振幅はエコー間隔に対応して変化される。以下、図4を用いて具体的に説明する。
【0036】
あるエコー間隔のときに、エコー中心での傾斜磁場パルスの印加量が適正になるように補正用傾斜磁場パルス107の振幅をm1に調整したとする。例えば、得られたエコー信号を再構成した画像上に生じるシェーディングやリンギングなどのアーチファクトを最小にするように振幅を調整する。このとき、傾斜磁場パルス101により発生する不整磁場の内、渦電流傾斜磁場成分102と残留傾斜磁場成分103を補正するため、渦電流傾斜磁場成分補正項105と残留傾斜磁場成分補正項106の振幅をそれぞれa, bとする。このとき、この補正用傾斜磁場パルス107の振幅m1は、
m1=a+b (1)
と表せる。傾斜磁場パルス印加直後からエコー中心までの時間(この時間はエコー間隔に連動して、エコー間隔に比例して変わる)108をt0とすると、エコー間隔を変更したとき、傾斜磁場パルス印加直後からエコー中心までの時間108はk×t0(kは係数)と表せる。渦電流傾斜磁場成分は、エコー間隔に依らず時間軸との囲む面積は一定とみなせるので、エコー間隔がk倍になれば渦電流傾斜磁場成分補正項の振幅を1/k倍しなければならない。一方、残留傾斜磁場成分は、傾斜磁場パルスの振幅が一定ならば、その振幅は変わらず一定となるので、残留傾斜磁場成分補正項の振幅は変わらない。エコー間隔変更後に補正用傾斜磁場パルス107の振幅を調整し、m2を得たとする。この値は、
m2=a/k+b (2)
と表せる。(1)式、(2)式より不変成分と比例成分は、
a=(m1−m2)k/(k−1) (3)
b=m1−(m1−m2)k/(k−1) (4)
を得る。したがって、任意のエコー間隔の場合、傾斜磁場パルス印加直後からエコー中心までの時間がp×t0となった場合、補正用傾斜磁場パルス107の振幅は、
m=a/p+b (5)
とすれば良い。
【0037】
以上の様にして、不整磁場である渦電流傾斜磁場成分と残留傾斜磁場成分のそれぞれに関して補正用傾斜磁場パスルの振幅を求めることができる。なお、ここでは不整磁場の成分数を2として計算したが、これに限られるわけではなく、3以上の成分が考えられる場合は、上記ステップを成分数と同数回以上繰り返すことにより、不整磁場の成分ごとに補正用傾斜磁場パルスの振幅を求めることが可能になる。そして、それぞれの補正用傾斜磁場パルスの加算を総合的な補正用傾斜磁場パルスとして印加する。
【0038】
以上の計算において、渦電流傾斜磁場の減衰時定数はt0未満として扱い、次に続くエコーに影響を与えないと仮定した。典型的なエコー間隔とt0は数ms〜数十msのオーダーであるので、渦電流傾斜磁場は十分に減衰しており、この仮定は補正用傾斜磁場パスルを求めることにおいて特に現実的な問題はない。
【0039】
以上の説明で用いた図4の傾斜磁場パルスの極性は正であるが、本補正方法は傾斜磁場パルスの極性に依存せず、任意の傾斜磁場パルスに対する補正用傾斜磁場パルスへ適用することができる。通常は、傾斜磁場パルスとそれに対する補正用傾斜磁場パルスの極性は互いに反対となる。
【0040】
以下、本発明の好ましい適用例として、高速スピンエコー法(CPMG系列)における位相エンコード方向に適用した場合を、図5に基づいて説明する。
【0041】
RF励起パルス201により対象領域に横磁化が生成され、続くRF再収束パルス202, 203, 204, ・・・によりスピンが再収束される。このとき、スライス傾斜磁場パルス(Gs)211, 212, 213, 214, ・・・により関心領域のスピンが選択的に励起、反転される。位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)221, 222, 223, ・・・は、RF再収束パルス間に印加され、位相リワインド傾斜磁場パルス231, 232, ・・・により位相方向の横磁化の再整相がなされる。ここで、それぞれの位相エンコード傾斜磁場パルスにより、不整磁場である渦電流傾斜磁場成分241, 242, 243, 244, 245, ・・・と、残留傾斜磁場成分251, 252, 253, 254, 255, ・・・が発生する。これらの不整磁場を補正するため、補正用傾斜磁場パルス261, 262, 263, 264, 265, ・・・を印加する。こられの内、261,263,265, ・・・はそれぞれ221,222,223, ・・・の補正が主であり、262,264, ・・・はそれぞれ231,232, ・・・の補正が主である。エコー信号は、読み出し傾斜磁場パルス271の後に、272, 273, 274, ・・・を印加しながら収集される。
【0042】
次に図5において、補正用傾斜磁場パルスの求め方を説明する。図5の位相エンコード傾斜磁場パルスとエコー中心間の時間間隔をt0にした場合の補正用傾斜磁場パルス261, 262, 263, 264, 265, ・・・をm1(それぞれの振幅は異なるが代表してm1と表す)とし、次にRF再収束パルスとエコー中心間の時間間隔をk×t0にした場合の補正用傾斜磁場パルス261, 262, 263, 264, 265, ・・・をm2(それぞれの振幅は異なるが代表してm2と表す)とすると、RF再収束パルスとエコー中心間の時間間隔をp×t0にした場合の補正用傾斜磁場パルス261, 262, 263, 264, 265, ・・・は、それぞれ(3)式〜(5)式によって求める。
【0043】
以上の様にして求めた(5)式により、補正用傾斜磁場パルスを求めた際の時間間隔t0に対して設定したエコー間隔に基づく同じ時間間隔が何倍になるかの倍率を求めて、このエコー間隔に応じて定まるように補正用傾斜磁場パルス261, 262, 263, 264, 265, ・・・の振幅を予め調整して印加することができる。このようにして取得したエコー信号から再構成した画像は、渦電流傾斜磁場や残留傾斜磁場の不整磁場が原因で発生するリンギングやシェーディングアーチファクトを抑制した画像となる。
【0044】
なお、上記の図5の高速スピンエコー法の例は一例であり、これに限られるものではない。他の形態として例えば、RF励起パルスは90°である必要はなくスピンの横磁化をある程度励起できる高周波磁場パルスで良く、RF再収束パルスは180°である必要はなくスピンの位相を反転する効果を持つ高周波磁場パルスであれば良い。
【0045】
また、補正用の傾斜磁場パルスの印加方法としては、上記のように、位相エンコード方向の場合は位相エンコード傾斜磁場パルス(または位相リワインド傾斜磁場パルス)印加直後から次に同じ方向へ傾斜磁場パルスが印加されるまで補正用傾斜磁場パルスを印加する方法を述べた。一方、この他にスライス方向や周波数エンコード方向にも同様の補正をすることができる。スライス方向では、例えばスライス選択パルス後のリフェーズパルス(図7の30の後の逆極性傾斜磁場パルス)に重ねて印加する方法などがあり、周波数エンコード方向では、例えばディフェーズパルス(図7の33)に重ねて印加する方法がある。これらの場合は、エコー間隔を変更した場合にも補正用傾斜磁場パルス印加時間τは一定なので、(1)式〜(5)式は下式のように変更される。
m1×τ=a×t0+b×t0 (6)
m2×τ=a×t0+b×k×t0 (7)
a= [(m1−(m2−m1)/(k−1) )] ×(τ/t0) (8)
b= [(m2−m1)/(k−1) ] ×(τ/t0) (9)
m=(a+b×p)×(t0 /τ) (10)
【0046】
また、本発明は、上述の高速スピンエコー法における傾斜磁場パルスによる不整磁場の補正に限定されるわけではなく、他のパルスシーケンスにおける傾斜磁場パルスによる不整磁場の補正に適用可能である。例えば、一のパルスシーケンスで一以上のエコーを取得するスピンエコー法や、一のパルスシーケンスで一以上のエコーを取得するフィールドエコー法、および、エコープラナー法である。
【0047】
【発明の効果】
以上の様な方法により、エコー間隔によらず常に傾斜磁場パルスによって発生する不整磁場を補正して傾斜磁場パルスの印加量を所望の値に印加することができ、その結果として従来不整磁場が原因となって発生していた再構成画像の劣化を低減することができるようになる。この効果は、特に高速スピンエコー法における位相エンコード方向の傾斜磁場パルスの補正において顕著となり、従来の再構成画像上のリンギングやシェーディングアーチファクトを低減でき、短時間で高画質のMRI画像を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】傾斜磁場パルスの時間線図。
【図2】傾斜磁場パルスにより生じる渦電流傾斜磁場と残留傾斜磁場の模式図。
【図3】従来の補正パルスの模式図。
【図4】本補正法における補正パルスの渦電流成分と残留傾斜磁場成分を表す模式図。
【図5】本補正法を高速スピンエコー法に適用した場合の時間線図と模式図。
【図6】本発明を適用したMRI装置を示す全体構成のブロック説明図。
【図7】高速スピンエコー法のパルスシーケンスの説明図。
【図8】高速スピンエコー法の位相エンコード方向傾斜磁場の印加タイミングの説明図。
【図9】 K空間の説明図。
【符号の説明】
1 央処理装置(CPU)シーケンサ、4 磁場発生磁石、5 傾斜磁場発生系、6 受信系、7 信号処理系、8 被検体、9 高周波発信器、10 変調器、11 高周波増幅器、12 照射コイル、13 傾斜磁場パルス電源、14 傾斜磁場パルスコイル、15 受信コイル、16 増幅器、17 直交位相検波器、18 A/D変換器、19 ディスプレイ、20 光ディスク、21 磁気ディスク、22 傾斜磁場パルス発生系、28 高周波磁場90゜パルス、29 高周波磁場180゜パルス、30 スライス傾斜磁場パルス、32-1〜32-4 位相エンコード傾斜磁場パルス、32-1'〜32-4' 位相リワインド傾斜磁場パルス、33,34 周波数エンコード傾斜磁場パルス、24〜27 エコー信号、101 傾斜磁場パルス、102 渦電流傾斜磁場、103 残留傾斜磁場104, 107 補正パルス、105 渦電流傾斜磁場成分の補正用傾斜磁場、106 残留傾斜磁場成分の補正用傾斜磁場、108 傾斜磁場パルス印加直後からエコー中心までの時間、201 RF励起パルス、202,203,204 RF再収束パルス、211, 212, 213, 214 スライス選択傾斜磁場(Gs)、221, 222, 223 位相エンコード傾斜磁場(Gp)、231, 232 位相リワインド傾斜磁場パルス、241, 242, 243, 244, 245 渦電流傾斜磁場、251, 252, 253, 254, 255 残留傾斜磁場、261, 262, 263, 264, 265 補正パルス、271, 272, 273, 274 読み出し傾斜磁場(Gr)

Claims (3)

  1. 被検体に静磁場を与える静磁場発生手段と、スライス方向と位相エンコード方向と周波数エンコード方向の傾斜磁場を与えるとともに、前記傾斜磁場の印加によって発生する不整磁場を補正して本来の印加量を印加する傾斜磁場発生手段と、前記被検体内の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場パルスを照射する高周波磁場送信手段と、核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出するエコー信号受信手段と、前記エコー信号受信手段で検出したエコー信号を用いて画像再構成演算を行う信号処理手段と、前記エコー信号を発生させて受信するパルスシーケンスを制御するパルスシーケンス制御手段とを備える磁気共鳴イメージング装置において、
    前記パルスシーケンスにおけるコー信号間隔に対応して前記不整磁場を正する補正用傾斜磁場調整手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記補正用傾斜磁場調整手段は、前記不正磁場の構成成分毎に、前記エコー信号間隔に対応して前記補正用傾斜磁場を求め、前記各構成成分の加算を補正用傾斜磁場とすることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記パルスシーケンスが、複数のエコー信号を順次検出するタイプのものであり、
    前記補正用傾斜磁場調整手段は、前記補正用傾斜磁場を前記複数のエコー信号の内の隣接する2つのエコー信号間隔に対応して制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
JP2003021528A 2003-01-30 2003-01-30 磁気共鳴イメージング装置 Expired - Lifetime JP4146735B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003021528A JP4146735B2 (ja) 2003-01-30 2003-01-30 磁気共鳴イメージング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003021528A JP4146735B2 (ja) 2003-01-30 2003-01-30 磁気共鳴イメージング装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004229866A JP2004229866A (ja) 2004-08-19
JP2004229866A5 JP2004229866A5 (ja) 2006-03-09
JP4146735B2 true JP4146735B2 (ja) 2008-09-10

Family

ID=32950837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003021528A Expired - Lifetime JP4146735B2 (ja) 2003-01-30 2003-01-30 磁気共鳴イメージング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4146735B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5064685B2 (ja) * 2006-01-10 2012-10-31 株式会社日立メディコ 磁気共鳴イメージング装置
CN117907426A (zh) * 2024-03-18 2024-04-19 电子科技大学 一种基于梯度法特征分析的金属涡流无损检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004229866A (ja) 2004-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4769603A (en) Method for the operation of a nuclear magnetic resonance apparatus
US5378985A (en) Fast spin echo prescan for MRI system
JP4106053B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置及び渦電流補償導出方法
US4672320A (en) Imaging apparatus and method using nuclear magnetic resonance
JPS61181950A (ja) 磁界勾配の影響をなくす方法と装置
US5168227A (en) High resolution imaging using short te and tr pulse sequences with asymmetric nmr echo acquisition
JP4343726B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置及び不整磁場補正方法
JPH1133012A (ja) 磁気共鳴イメージング装置及び撮像方法
JPH03264046A (ja) 核磁気共鳴映像法及び装置
US6229309B1 (en) MR method
JP4146735B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH03292934A (ja) 核磁気共鳴を用いた検査方法
JP4319035B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3322943B2 (ja) Mri装置
US11619692B2 (en) Method for acquiring and processing MR data, MRI system and method, and storage medium
JP2695594B2 (ja) Mri装置
JP3246020B2 (ja) Mrイメージング装置
JP3385750B2 (ja) 核磁気共鳴イメージング装置
JP3770562B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3809179B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2023548495A (ja) スパイラル取得を用いたスピンエコーmr画像
JP2004154302A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2927207B2 (ja) Mrイメージング装置
JP2973116B1 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH06114029A (ja) Mr装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060113

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080616

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080620

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4146735

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110627

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110627

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120627

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120627

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130627

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term