JP4146170B2 - 磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗(Mangeto Resistive)効果を利用する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、新たな原理によりデータを記憶するメモリが数多く提案されているが、そのうちの一つに、トンネル磁気抵抗(Tunneling Mangeto Resistive:以後、TMRと表記する。)効果を利用する磁気ランダムアクセスメモリがある。
【0003】
磁気ランダムアクセスメモリの提案としては、例えば、Roy Scheuerlein et.alによる、ISSCC2000 Technical Digest p.128「A 10ns Read and Write Non-Volatile Memory Array Using a Magnetic Tunnel Junction and FET Switch in each Cell」が知られている。
【0004】
磁気ランダムアクセスメモリは、TMR素子により、“1”,“0”−データを記憶する。TMR素子の基本構造は、2つの磁性層(強磁性層)により絶縁層(トンネルバリア)を挟み込んだ構造である。但し、TMR素子の構造については、MR(Magneto Resistive)比の最適化などのため、種々の構造が提案されている(MR比及びTMR素子の構造については、例えば、特願2000−296082号、特願2001−37140号を参照)。
【0005】
TMR素子に記憶されるデータは、2つの磁性層の磁化状態が平行か、又は反平行かによって判断される。ここで、平行とは、2つの磁性層の磁化の向きが同じであることを意味し、反平行とは、2つの磁性層の磁化の向きが逆向きであることを意味する。
【0006】
通常、2つの磁性層のうちの1つ(固定層)には、反強磁性層が付設される。反強磁性層は、固定層の磁化の向きを固定するための部材である。従って、実際には、2つの磁性層のうちの他の1つ(自由層)の磁化の向きによって、TMR素子に記憶されるデータ(“1”又は“0”)が決定される。
【0007】
TMR素子の磁化状態が平行となった場合、そのTMR素子を構成する2つの磁性層の間に挟まれた絶縁層(トンネルバリア)のトンネル抵抗は、最も低くなる。例えば、この状態を“1”−状態とする。また、TMR素子の磁化状態が反平行となった場合、そのTMR素子を構成する2つの磁性層の間に挟まれた絶縁層(トンネルバリア)のトンネル抵抗は、最も高くなる。例えば、この状態を“0”−状態とする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
磁気ランダムアクセスメモリのセルアレイ構造については、現在、メモリ容量の大容量化、書き込み/読み出し動作の安定化などの観点から、種々の構造が検討されている。
【0009】
例えば、現在では、1つのメモリセルを1つのMOSトランジスタと1つのTMR素子(又はMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)から構成するセルアレイ構造が知られている。また、読み出し動作の安定化を実現するため、このようなセルアレイ構造を有すると共に、1ビットデータを2つのメモリセルアレイを用いて記憶する磁気ランダムアクセスメモリも知られている。
【0010】
しかし、これらの磁気ランダムアクセスメモリでは、メモリ容量の増大を図ることが難しい。なぜなら、これらのセルアレイ構造では、1つのTMR素子に1つのMOSトランジスタが対応しているためである。
【0011】
ところで、例えば、特願2000−296082号には、複数のTMR素子を並列に接続したアレイ構造が提案されている。このセルアレイ構造によれば、複数のTMR素子に1つのMOSトランジスタが対応しているため、1つのメモリセルが1つのTMR素子と1つのMOSトランジスタとから構成されるセルアレイ構造に比べて、メモリ容量の増大を図ることができる。
【0012】
しかし、特願2000−296082号に開示される技術においても、TMR素子は、一平面内に二次元的に配置されるため、TMR素子を高密度に集積することが十分にできない。
【0013】
本発明の目的は、メモリ容量の増大に適した新規なセルアレイ構造を有する磁気ランダムアクセスメモリ及びその製造方法を提案すること、その新規なセルアレイ構造に適した新規な読み出し動作原理を提案すること、並びに、その新規な読み出し動作原理を実現するための読み出し回路を提案することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを備える。前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続される。前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有される。
【0016】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続と並列接続の組み合わせにより構成される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを備える。前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続と並列接続の組み合わせにより接続される。前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有される。
【0045】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの製造方法は、半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを備え、前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続され、前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有される磁気ランダムアクセスメモリに適用される。その製造方法は、前記半導体基板の表面領域に読み出し選択スイッチを形成するステップと、前記読み出し選択スイッチ上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第1の書き込みワード線を形成するステップと、前記第1の書き込みワード線の直上に第1のメモリセルを形成するステップと、前記第1のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第1の書き込みビット線を形成するステップと、前記第1の書き込みビット線の直上に、前記第1の書き込みビット線に対して前記第1のメモリセルと対称となる第2のメモリセルを形成するステップと、前記第2のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第2の書き込みワード線を形成するステップと、前記第2の書き込みワード線の直上に、前記第2の書き込みワード線に対して前記第2のメモリセルと対称となる第3のメモリセルを形成するステップと、前記第3のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第2の書き込みビット線を形成するステップと、前記第2の書き込みビット線の直上に、前記第2の書き込みビット線に対して前記第3のメモリセルと対称となる第4のメモリセルを形成するステップと、前記第4のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第3の書き込みワード線を形成するステップと、前記第3の書き込みワード線上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる前記読み出しビット線を形成するステップとから構成される。
【0046】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの製造方法は、半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続と並列接続の組み合わせにより構成される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを備え、前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続と並列接続の組み合わせにより接続され、前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有される磁気ランダムアクセスメモリに適用される。その製造方法は、前記半導体基板の表面領域に読み出し選択スイッチを形成するステップと、前記読み出し選択スイッチ上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第1の書き込みワード線を形成するステップと、前記第1の書き込みワード線の直上に第1のメモリセルを形成するステップと、前記第1のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第1の書き込みビット線を形成するステップと、前記第1の書き込みビット線の直上に、前記第1の書き込みビット線に対して前記第1のメモリセルと対称となる第2のメモリセルを形成するステップと、前記第2のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第2の書き込みワード線を形成するステップと、前記第2の書き込みワード線の直上に、前記第2の書き込みワード線に対して前記第2のメモリセルと対称となる第3のメモリセルを形成するステップと、前記第3のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第2の書き込みビット線を形成するステップと、前記第2の書き込みビット線の直上に、前記第2の書き込みビット線に対して前記第3のメモリセルと対称となる第4のメモリセルを形成するステップと、前記第4のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第3の書き込みワード線を形成するステップと、前記第3の書き込みワード線上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる前記読み出しビット線を形成するステップとから構成される。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の磁気ランダムアクセスメモリについて詳細に説明する。
【0053】
1. 概要
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第一の特徴は、メモリセルアレイのセルアレイ構造にある。
【0054】
磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルの高集積化を図るための構造としては、例えば、特願2001−350013号や、特願2001−365236号などに開示されたメモリセルアレイ構造がある。
【0055】
本発明は、これらの文献に開示されるメモリセルアレイ構造を変形したメモリセルアレイ構造について提案する。即ち、本発明の磁気ランダムアクセスメモリでは、複数のTMR素子(又はMTJ素子)により読み出しブロックを構成し、その読み出しブロックを、読み出しビット線とソース線との間に接続する。
【0056】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第二の特徴は、読み出し動作原理にある。
【0057】
上述の第一の特徴に関わるセルアレイ構造を採用した場合、読み出し動作原理についても、工夫する必要がある。
【0058】
その読み出し動作原理については、特願2000−296082号、特願2001−350013号や、特願2001−365236号などに詳細に開示されている。本願では、これらの読み出し動作原理を、本発明の第一の特徴であるメモリセルアレイ構造に適用した場合をについて説明する。
【0059】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第三の特徴は、TMR素子の構造にある。
【0060】
上述の第二の特徴に関わる新たな読み出し動作原理を適用する場合には、読み出しブロック内の複数のTMR素子の構造を工夫しなければならない場合がある。そこで、本発明では、本発明の第二の特徴であるメモリセルアレイ構造を採用した場合におけるTMR素子の構造について説明する。
【0061】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第四の特徴は、読み出し回路の構成にある。
【0062】
本発明では、上述の第二及び第三の特徴により実現される読み出し動作原理を実行するために、新規な読み出し回路が必要となる。そこで、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの読み出し回路の具体例について提案する。
【0063】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第五の特徴は、磁気ランダムアクセスメモリの製造方法にある。
【0064】
本発明では、上述の第一の特徴に関わるセルアレイ構造を実現するために、新規な読み出し方法が必要となる。そこで、本発明では、上述の第一の特徴に関わるメモリセルアレイ構造を実現するための製造方法について提案する。
【0065】
2. セルアレイ構造
まず、本発明の磁気ランダムアクセスメモリのセルアレイ構造について説明する。本発明に関わるセルアレイ構造の特徴は、複数のTMR素子(又はMTJ素子)を、半導体基板の表面に対して垂直な方向(縦方向)に複数段に積み重ねた点にある。つまり、本発明のセルアレイ構造では、複数のTMR素子は、半導体基板上に三次元的に配置される。
【0066】
また、複数段に積み重ねられた複数のTMR素子は、読み出しビット線とソース線との間に直列、並列又はそれらの組み合せ(直並列)に接続される。
【0067】
このようなセルアレイ構造にすれば、TMR素子は、半導体基板上に三次元的に配置されると共に、複数のTMR素子に1つのMOSトランジスタ(読み出し選択スイッチ)を対応させればよいため、結果として、メモリ容量の増大に貢献することができる。
【0068】
(1) 構造例1
構造例1は、複数段に積み重ねられた複数のTMR素子を直列接続したセルアレイ構造に関する。
【0069】
▲1▼ 回路構造
まず、回路構造について説明する。
図1は、本発明の構造例1としての磁気ランダムアクセスメモリの主要部を示している。
【0070】
メモリセルアレイ11は、X方向、Y方向及びZ方向にアレイ状に配置される複数のTMR素子12を有する。ここで、Z方向とは、X方向及びY方向に直交する紙面に垂直な方向をいうものとする。
【0071】
本例では、メモリセルアレイ11は、X方向に配置されるj+1個のTMR素子12と、Y方向に配置されるn+1個のTMR素子12と、Z方向に積み重ねられる4個のTMR素子12とからなるセルアレイ構造を有する。Z方向に積み重ねされるTMR素子12の数は、本例では、4個であるが、その数は、複数個であれば、いくつであっても構わない。
【0072】
Z方向に積み重ねられた4個のTMR素子12は、互いに直列接続され、1つのブロックBKik(i=0,1,・・・j、k=0,1,・・・n)を構成している。ブロックBKik内の4個のTMR素子12は、実際には、紙面に垂直な方向(Z方向)に互いに重なり合っている。
【0073】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の一端は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWを経由して、接地点に接続される。
【0074】
本例では、X方向に配置されるj+1個のブロックBKikにより1つのロウが構成される。メモリセルアレイ11は、n+1個のロウを有する。また、Y方向に配置されるn+1個のブロックBKikにより1つのカラムが構成される。メモリセルアレイ11は、j+1個のカラムを有する。
【0075】
ブロックBKikを構成する4つのTMR素子12の近傍には、X方向に延び、Z方向に積み重ねられる複数本(本例では、3本)の書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2が配置される。但し、nは、ロウの番号であり、n=0,1,2,・・・である。
【0076】
X方向に延びる書き込みワード線に関しては、例えば、図217に示すように、1ロウ内の1つの段に1本の書き込みワード線を配置することができる。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数は、4本(WWL4n,WWL4n+1,WWL4n+2,WWL4n+3)、即ち、TMR素子12を積み重ねる段数と同じとなる。
【0077】
また、Y方向に延びる書き込みビット線に関しても、例えば、図217に示すように、1カラム内の1つの段に1本の書き込みビット線を配置することができる。この場合、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の数は、4本(BLj0,BLj1,BLj2,BLj3)、即ち、TMR素子12を積み重ねる段数と同じとなる。
【0078】
しかし、本例では、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の少なくとも1本を2つのTMR素子(上段のTMR素子と下段のTMR素子)で共有するようにしている。具体的には、本例では、書き込みワード線WWL3n+1が二段目と三段目のTMR素子に共有される。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数が減少し、TMR素子12の直下の絶縁膜の平坦化や製造コストの低下を実現できる。
【0079】
ブロック構造から考えると、例えば、図218に示すように、一段目と二段目のTMR素子で1本の書き込みワード線を共有し、三段目と四段目のTMR素子で1本の書き込みワード線を共有することもできる。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数は、2本(WWL2n,WWL2n+1)にすることができる。
【0080】
それにもかかわらず、本例で、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数を3本としたのは、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の位置を考慮したためである。
【0081】
即ち、本例では、一段目のTMR素子12と二段目のTMR素12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子12と四段目のTMR素子12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj1が配置される。
【0082】
その結果、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線に関しては、一段目と二段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有され、三段目と四段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有される。この場合、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の数は、2本となる。
【0083】
なお、図1では、TMR素子12を立体的に描けないという理由から、2本の書き込みビット線BLj0,BLj1は、ブロックBKjn内の4つのTMR素子12を挟み込むように描かれているが、実際は、上述のように、一段目のTMR素子と二段目のTMR素の間に1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子と四段目のTMR素子の間に1本の書き込みワード線BLj1が配置される。
【0084】
ブロック内のTMR素子及びその近傍における具体的構造については、後述するデバイス構造の説明で明らかになる。
【0085】
X方向に延びる書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2の一端は、書き込みワード線ドライバ23A−nに接続され、その他端は、書き込みワード線シンカー24−nに接続される。
【0086】
読み出し選択スイッチRSWのゲートは、読み出しワード線RWLn(n=0,1,2,・・・)に接続される。1本の読み出しワード線RWLnは、1つのカラム内の1つのブロックBKjkに対応し、かつ、X方向に配置される複数のブロックBKjkに共通となっている。
【0087】
例えば、1つのカラムが4つのブロックから構成される場合、読み出しワード線RWLnの数は、4本となる。読み出しワード線RWLnは、X方向に延び、その一端は、読み出しワード線ドライバ23B−nに接続される。
【0088】
ロウデコーダ25−nは、書き込み動作時、ロウアドレス信号に基づいて、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2のうちの1本を選択する。書き込みワード線ドライバ23A−nは、選択された書き込みワード線に書き込み電流を供給する。書き込み電流は、選択されたワード線を流れ、書き込みワード線シンカー24−nに吸収される。
【0089】
ロウデコーダ25−nは、読み出し動作時、例えば、上位ロウアドレス信号に基づいて、1ロウ内のブロックを選択する。読み出しワード線ドライバ23B−nは、選択されたブロックBKに接続される読み出しワード線RWLnに読み出しワード線電圧を供給する。選択されたブロックBKでは、読み出し選択スイッチRSWがオン状態となるため、読み出し電流は、選択されたブロックBK内の複数のTMR素子を経由して、接地点に向かって流れる。
【0090】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の他端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの一端は、カラム選択スイッチ(MOSトランジスタ)SWAを経由して、共通データ線28に接続される。共通データ線28は、読み出し回路(センスアンプを含む)29Bに接続される。
【0091】
書き込みビット線BLj0,BLj1の一端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック29Aに接続される。
【0092】
書き込みビット線BLj0,BLj1の他端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック31に接続される。
【0093】
カラム選択スイッチSWAのゲートには、カラム選択線信号CSLj(j=0,1,・・・)が入力される。カラムデコーダ32は、カラム選択線信号CSLjを出力する。
【0094】
本例の磁気ランダムアクセスメモリでは、1つのカラムは、複数のブロックから構成され、ブロック単位で読み出しを行う。また、1つのブロックは、複数段に積み重ねられ、互いに直列接続される複数のTMR素子から構成される。
【0095】
このようなセルアレイ構造にすれば、TMR素子は、半導体基板上に三次元的に配置されると共に、複数のTMR素子に1つのMOSトランジスタ(読み出し選択スイッチ)を対応させればよいため、結果として、メモリ容量の増大に貢献することができる。
【0096】
▲2▼ デバイス構造
次に、デバイス構造について説明する。
図2及び図3は、本発明の構造例1としての磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のデバイス構造を示している。
【0097】
図2は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のY方向の断面を表し、図3は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のX方向の断面を表している。図2及び図3に示される要素には、図1の回路の要素と対応がとれるように、図1と同じ符号が付してある。
【0098】
半導体基板41の表面領域には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが配置される。読み出し選択スイッチRSWのソースは、ソース線SLを経由して接地点に接続される。ソース線SLは、例えば、X方向に一直線に延びている。
【0099】
読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのゲートは、読み出しワード線RWLnとなっている。読み出しワード線RWLnは、X方向に延びている。読み出し選択スイッチRSW上には、4個のTMR素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4が積み重ねられている。
【0100】
TMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4の各々は、下部電極41A1,41A2,41A3,41A4と上部電極41B1,41B2,41B3,41B4の間に配置されている。コンタクトプラグ42B,42C,42D,42E,42Fは、4個のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4を互いに直列接続する。
【0101】
最も下段のTMR素子MTJ1の下部電極41A1は、コンタクトプラグ42A,42B及び中間層43を経由して、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのドレインに接続される。最も上段のTMR素子MTJ4の上部電極41B4は、コンタクトプラグ42Fを経由して、Y方向に延びる読み出しビット線BLjに接続される。
【0102】
書き込みワード線WWL3nは、TMR素子MTJ1の直下に配置され、書き込みワード線WWL3n+1は、TMR素子MTJ2とTMR素子MTJ3との間に配置され、書き込みワード線WWL3n+2は、TMR素子MTJ4の直上に配置される。書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2は、X方向に延びている。
【0103】
書き込みビット線BLj0は、TMR素子MTJ1とTMR素子MTJ2との間に配置され、書き込みビット線BLj1は、TMR素子MTJ3とTMR素子MTJ4との間に配置される。書き込みビット線BLj0,BLj1は、Y方向に延びている。
【0104】
このようなデバイス構造によれば、1つの読み出し選択スイッチRSWに対して、複数(本例では、4個)のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4を設けている。また、これらのTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、読み出し選択スイッチRSW上に積み重ねられ、互いに直列に接続される。
【0105】
また、この場合、読み出しビット線BLjは、例えば、最上層に1本のみ設ければよい。また、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2及び書き込みビット線BLj0,BLj1の少なくとも1本については、2つのTMR素子で共有させることが可能である。
【0106】
従って、このようなデバイス構造によれば、TMR素子を半導体基板上に高密度に配置することができるようになるため、メモリ容量の増大に貢献できる。また、TMR素子のアレイ内に配置される配線(書き込みワード線、書き込みビット線、読み出しビット線など)の数を減らすことができるため、TMR素子の直下の絶縁膜の平坦化を実現でき、TMR素子の特性を向上できる。
【0107】
▲3▼ 変形例
構造例1の変形例について説明する。
【0108】
図4及び図5は、構造例1の第1変形例を示している。
図4の回路図は、図1の回路図に対応し、また、図5のデバイス構造の断面図は、図2のデバイス構造の断面図に対応している。本例の構造が図1乃至図3の構造と異なる点は、読み出し選択スイッチを実現する素子にある。
【0109】
即ち、図1乃至図3の構造では、読み出し選択スイッチは、MOSトランジスタから構成されていた。これに対し、本例の構造では、読み出し選択スイッチは、ダイオードDIから構成される。これに伴い、読み出しワード線RWL0,・・・RWLnは、ダイオードDIのカソードに接続される。
【0110】
本例の構造を採用した場合、読み出し動作時には、選択されたロウの読み出しワード線RWLiを“L”、即ち、接地電位に設定する。この時、選択されたロウのブロックを構成する直列接続された複数のTMR素子に、読み出し電流を流すことができる。
【0111】
図6及び図7は、構造例1の第2変形例を示している。
図6の回路図は、図1の回路図に対応し、また、図7のデバイス構造の断面図は、図2のデバイス構造の断面図に対応している。本例の構造が図1乃至図3の構造と異なる点は、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタの種類にある。
【0112】
即ち、図1乃至図3の構造では、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタは、MOSトランジスタであった。これに対し、本例の構造では、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタは、バイポーラトランジスタとなっている。
【0113】
本例の構造の場合、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタの全てをバイポーラトランジスタにしてもよいし、その一部をバイポーラトランジスタにしてもよい。
【0114】
(2) 構造例2
構造例2は、複数段に積み重ねられた複数のTMR素子を並列接続したセルアレイ構造に関する。
【0115】
▲1▼ 回路構造
まず、回路構造について説明する。
図8は、本発明の構造例2としての磁気ランダムアクセスメモリの主要部を示している。
【0116】
メモリセルアレイ11は、X方向、Y方向及びZ方向にアレイ状に配置される複数のTMR素子12を有する。Z方向とは、X方向及びY方向に直交する紙面に垂直な方向をいう。
【0117】
メモリセルアレイ11は、X方向に配置されるj+1個のTMR素子12と、Y方向に配置されるn+1個のTMR素子12と、Z方向に積み重ねられる4個のTMR素子12とからなるセルアレイ構造を有する。Z方向に積み重ねされるTMR素子12の数は、本例では、4個であるが、その数は、複数個であれば、いくつであっても構わない。
【0118】
Z方向に積み重ねられた4個のTMR素子12は、互いに並列接続され、1つのブロックBKik(i=0,1,・・・j、k=0,1,・・・n)を構成している。ブロックBKik内の4個のTMR素子12は、実際には、紙面に垂直な方向(Z方向)に互いに重なり合っている。
【0119】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の一端は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWを経由して、接地点に接続される。
【0120】
本例では、X方向に配置されるj+1個のブロックBKikにより1つのロウが構成される。メモリセルアレイ11は、n+1個のロウを有する。また、Y方向に配置されるn+1個のブロックBKikにより1つのカラムが構成される。メモリセルアレイ11は、j+1個のカラムを有する。
【0121】
ブロックBKikを構成する4つのTMR素子12の近傍には、X方向に延び、Z方向に積み重ねられる複数本(本例では、3本)の書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2が配置される。但し、nは、ロウの番号であり、n=0,1,2,・・・である。
【0122】
X方向に延びる書き込みワード線に関しては、例えば、図219に示すように、1ロウ内の1つの段に1本の書き込みワード線を配置することができる。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数は、4本(WWL4n,WWL4n+1,WWL4n+2,WWL4n+3)、即ち、TMR素子12を積み重ねる段数と同じとなる。
【0123】
また、Y方向に延びる書き込みビット線に関しても、例えば、図219に示すように、1カラム内の1つの段に1本の書き込みビット線を配置することができる。この場合、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の数は、4本(BLj0,BLj1,BLj2,BLj3)、即ち、TMR素子12を積み重ねる段数と同じとなる。
【0124】
しかし、本例では、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の少なくとも1本を2つのTMR素子(上段のTMR素子と下段のTMR素子)で共有するようにしている。具体的には、本例では、書き込みワード線WWL3n+1が二段目のTMR素子と三段目のTMR素子に共有される。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数が減少し、TMR素子12の直下の絶縁膜の平坦化や製造コストの低下を実現できる。
【0125】
ブロック構造から考えると、例えば、図220に示すように、一段目と二段目のTMR素子で1本の書き込みワード線を共有し、三段目と四段目のTMR素子で1本の書き込みワード線を共有することもできる。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数は、2本(WWL2n,WWL2n+1)にすることができる。
【0126】
それにもかかわらず、本例で、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数を3本としたのは、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の位置を考慮したためである。
【0127】
即ち、本例では、一段目のTMR素子12と二段目のTMR素12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子12と四段目のTMR素子12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj1が配置される。
【0128】
その結果、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線に関しては、一段目と二段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有され、三段目と四段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有される。この場合、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の数は、2本となる。
【0129】
なお、図8では、TMR素子12を立体的に描けないという理由から、2本の書き込みビット線Bj0,BLj1は、ブロックBjn内の4つのTMR素子12に交差するように描かれているが、実際は、上述のように、一段目のTMR素子と二段目のTMR素の間に1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子と四段目のTMR素子の間に1本の書き込みワード線BLj1が配置される。
【0130】
ブロック内のTMR素子及びその近傍における具体的構造については、後述するデバイス構造の説明で明らかにする。
【0131】
X方向に延びる書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2の一端は、書き込みワード線ドライバ23A−nに接続され、その他端は、書き込みワード線シンカー24−nに接続される。
【0132】
読み出し選択スイッチRSWのゲートは、読み出しワード線RWLn(n=0,1,2,・・・)に接続される。1本の読み出しワード線RWLnは、1つのカラム内の1つのブロックBKjkに対応し、かつ、X方向に配置される複数のブロックBKjkに共通となっている。
【0133】
例えば、1つのカラムが4つのブロックから構成される場合、読み出しワード線RWLnの数は、4本となる。読み出しワード線RWLnは、X方向に延び、その一端は、読み出しワード線ドライバ23B−nに接続される。
【0134】
ロウデコーダ25−nは、書き込み動作時、ロウアドレス信号に基づいて、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2のうちの1本を選択する。書き込みワード線ドライバ23A−nは、選択された書き込みワード線に書き込み電流を供給する。書き込み電流は、選択されたワード線を流れ、書き込みワード線シンカー24−nに吸収される。
【0135】
ロウデコーダ25−nは、読み出し動作時、例えば、上位ロウアドレス信号に基づいて、1ロウ内のブロックを選択する。読み出しワード線ドライバ23B−nは、選択されたブロックBKに接続される読み出しワード線RWLnに読み出しワード線電圧を供給する。選択されたブロックBKでは、読み出し選択スイッチRSWがオン状態となるため、読み出し電流は、選択されたブロックBK内の複数のTMR素子を経由して、接地点に向かって流れる。
【0136】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の他端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの一端は、カラム選択スイッチ(MOSトランジスタ)SWAを経由して、共通データ線28に接続される。共通データ線28は、読み出し回路(センスアンプを含む)29Bに接続される。
【0137】
書き込みビット線BLj0,BLj1の一端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック29Aに接続される。
【0138】
書き込みビット線BLj0,BLj1の他端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック31に接続される。
【0139】
カラム選択スイッチSWAのゲートには、カラム選択線信号CSLj(j=0,1,・・・)が入力される。カラムデコーダ32は、カラム選択線信号CSLjを出力する。
【0140】
本例の磁気ランダムアクセスメモリでは、1つのカラムは、複数のブロックから構成され、ブロック単位で読み出しを行う。また、1つのブロックは、複数段に積み重ねられ、互いに並列接続される複数のTMR素子から構成される。
【0141】
このようなセルアレイ構造にすれば、TMR素子は、半導体基板上に三次元的に配置されると共に、複数のTMR素子に1つのMOSトランジスタ(読み出し選択スイッチ)を対応させればよいため、結果として、メモリ容量の増大に貢献することができる。
【0142】
▲2▼ デバイス構造
次に、デバイス構造について説明する。
図9及び図10は、本発明の構造例2としての磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のデバイス構造を示している。
【0143】
図9は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のY方向の断面を表し、図10は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のX方向の断面を表している。図9及び図10に示される要素には、図8の回路の要素と対応がとれるように、図8と同じ符号が付してある。
【0144】
半導体基板41の表面領域には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが配置される。読み出し選択スイッチRSWのソースは、ソース線SLを経由して接地点に接続される。ソース線SLは、例えば、X方向に一直線に延びている。
【0145】
読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのゲートは、読み出しワード線RWLnとなっている。読み出しワード線RWLnは、X方向に延びている。読み出し選択スイッチRSW上には、4個のTMR素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4が積み重ねられている。
【0146】
TMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4の各々は、下部電極41A1,41A2,41A3,41A4と上部電極41B1,41B2,41B3,41B4の間に配置されている。コンタクトプラグ42C1,42C2,42D1,42D2,42E1,42E2は、4個のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4を互いに並列接続する。
【0147】
最も下段のTMR素子MTJ1の下部電極41A1は、コンタクトプラグ42A,42B及び中間層43を経由して、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのドレインに接続される。最も上段のTMR素子MTJ4の上部電極41B4は、コンタクトプラグ42Fを経由して、Y方向に延びる読み出しビット線BLjに接続される。
【0148】
書き込みワード線WWL3nは、TMR素子MTJ1の直下に配置され、書き込みワード線WWL3n+1は、TMR素子MTJ2とTMR素子MTJ3との間に配置され、書き込みワード線WWL3n+2は、TMR素子MTJ4の直上に配置される。書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2は、X方向に延びている。
【0149】
書き込みビット線BLj0は、TMR素子MTJ1とTMR素子MTJ2との間に配置され、書き込みビット線BLj1は、TMR素子MTJ3とTMR素子MTJ4との間に配置される。書き込みビット線BLj0,BLj1は、Y方向に延びている。
【0150】
このようなデバイス構造によれば、1つの読み出し選択スイッチRSWに対して、複数(本例では、4個)のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4を設けている。また、これらのTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、読み出し選択スイッチRSW上に積み重ねられ、互いに並列に接続される。
【0151】
また、この場合、読み出しビット線BLjは、例えば、最上層に1本のみ設ければよい。また、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2及び書き込みビット線BLj0,BLj1の少なくとも1本については、2つのTMR素子で共有させることが可能である。
【0152】
従って、このようなデバイス構造によれば、TMR素子を半導体基板上に高密度に配置することができるようになるため、メモリ容量の増大に貢献できる。また、TMR素子のアレイ内に配置される配線(書き込みワード線、書き込みビット線、読み出しビット線など)の数を減らすことができるため、TMR素子の直下の絶縁膜の平坦化を実現でき、TMR素子の特性を向上できる。
【0153】
▲3▼ 変形例
構造例2の変形例について説明する。
【0154】
図11は、構造例2の第1変形例を示している。
同図は、図9に対応している。本例のデバイス構造が図9のデバイス構造と異なる点は、TMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4が積み重ねられる位置にある。
【0155】
即ち、図9のデバイス構造では、TMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのゲート電極、即ち、読み出しワード線RWLnの直上に積み重ねられた。
【0156】
この場合、下部電極41A1,41A3及び上部電極41B2,41B4は、TMR素子から一方側に広がり、下部電極41A2,41A4及び上部電極41B1,41B3は、TMR素子から他方側に広がる。また、TMR素子の両側に、下部電極及び上部電極に対するコンタクト部が設けられる。
【0157】
これに対して、本例のデバイス構造では、TMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのソースに接続されるソース線SLの直上に積み重ねられる。
【0158】
この場合、下部電極41A1,41A2,41A3,41A4及び上部電極41B1,41B2,41B3,41B4は、共に、TMR素子から一方側に広がる。また、TMR素子の一方側のみに、下部電極及び上部電極に対するコンタクト部が設けられる。
【0159】
図12は、図11のデバイス構造において、TMR素子、下部電極及び上部電極の位置関係を平面図で表したものである。
本例では、下部電極41A1,41A3及び上部電極41B2,41B4の形状は、下部電極41A2,41A4及び上部電極41B1,41B3の形状とは異なっている。また、下部電極41A1,41A3及び上部電極41B2,41B4の一部、即ち、下部電極41A2,41A4及び上部電極41B1,41B3にオーバーラップする部分は、取り除かれている。
【0160】
図13及び図14は、構造例2の第2変形例を示している。
図13の回路図は、図8の回路図に対応し、また、図14のデバイス構造の断面図は、図9のデバイス構造の断面図に対応している。本例の構造が図8乃至図10の構造と異なる点は、読み出し選択スイッチを実現する素子にある。
【0161】
即ち、図8乃至図10の構造では、読み出し選択スイッチは、MOSトランジスタから構成されていた。これに対し、本例の構造では、読み出し選択スイッチは、ダイオードDIから構成される。これに伴い、読み出しワード線RWL0,・・・RWLnは、ダイオードDIのカソードに接続される。
【0162】
本例の構造を採用した場合、読み出し動作時には、選択されたロウの読み出しワード線RWLiを“L”、即ち、接地電位に設定する。この時、選択されたロウのブロックを構成する直列接続された複数のTMR素子に、読み出し電流を流すことができる。
【0163】
図15及び図16は、構造例2の第3変形例を示している。
図15の回路図は、図8の回路図に対応し、また、図16のデバイス構造の断面図は、図9のデバイス構造の断面図に対応している。本例の構造が図8乃至図10の構造と異なる点は、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタの種類にある。
【0164】
即ち、図8乃至図10の構造では、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタは、MOSトランジスタであった。これに対し、本例の構造では、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタは、バイポーラトランジスタとなっている。
【0165】
本例の構造の場合、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタの全てをバイポーラトランジスタにしてもよいし、その一部をバイポーラトランジスタにしてもよい。
【0166】
(3) 構造例3
構造例3は、複数段に積み重ねられた複数のTMR素子を直並列接続したセルアレイ構造に関する。
【0167】
▲1▼ 回路構造
まず、回路構造について説明する。
図17は、本発明の構造例3としての磁気ランダムアクセスメモリの主要部を示している。
【0168】
メモリセルアレイ11は、X方向、Y方向及びZ方向にアレイ状に配置される複数のTMR素子12を有する。Z方向とは、X方向及びY方向に直交する紙面に垂直な方向をいう。
【0169】
メモリセルアレイ11は、X方向に配置されるj+1個のTMR素子12と、Y方向に配置されるn+1個のTMR素子12と、Z方向に積み重ねられる4個のTMR素子12とからなるセルアレイ構造を有する。Z方向に積み重ねされるTMR素子12の数は、本例では、4個であるが、その数は、複数個であれば、いくつであっても構わない。
【0170】
Z方向に積み重ねられた4個のTMR素子12は、互いに直並列接続され、1つのブロックBKik(i=0,1,・・・j、k=0,1,・・・n)を構成している。ブロックBKik内の4個のTMR素子12は、実際には、紙面に垂直な方向(Z方向)に互いに重なり合っている。
【0171】
ここで、本例では、ブロックBKik内の4つのTMR素子12を第1乃至第4TMR素子とした場合、第1及び第2TMR素子が並列接続され、第3及び第4TMR素子が並列接続される。そして、並列接続された第1及び第2TMR素子と並列接続された第1及び第2TMR素子とは、互いに直列接続される。
【0172】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の一端は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWを経由して、接地点に接続される。
【0173】
本例では、X方向に配置されるj+1個のブロックBKikにより1つのロウが構成される。メモリセルアレイ11は、n+1個のロウを有する。また、Y方向に配置されるn+1個のブロックBKikにより1つのカラムが構成される。メモリセルアレイ11は、j+1個のカラムを有する。
【0174】
ブロックBKikを構成する4つのTMR素子12の近傍には、X方向に延び、Z方向に積み重ねられる複数本(本例では、3本)の書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2が配置される。但し、nは、ロウの番号であり、n=0,1,2,・・・である。
【0175】
X方向に延びる書き込みワード線に関しては、例えば、図221に示すように、1ロウ内の1つの段に1本の書き込みワード線を配置することができる。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数は、4本(WWL4n,WWL4n+1,WWL4n+2,WWL4n+3)、即ち、TMR素子12を積み重ねる段数と同じとなる。
【0176】
また、Y方向に延びる書き込みビット線に関しても、例えば、図221に示すように、1カラム内の1つの段に1本の書き込みビット線を配置することができる。この場合、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の数は、4本(BLj0,BLj1,BLj2,BLj3)、即ち、TMR素子12を積み重ねる段数と同じとなる。
【0177】
しかし、本例では、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の少なくとも1本を2つのTMR素子(上段のTMR素子と下段のTMR素子)で共有するようにしている。具体的には、本例では、書き込みワード線WWL3n+1が二段目のTMR素子と三段目のTMR素子に共有される。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数が減少し、TMR素子12の直下の絶縁膜の平坦化や製造コストの低下を実現できる。
【0178】
ブロック構造から考えると、例えば、図222に示すように、一段目と二段目のTMR素子で1本の書き込みワード線を共有し、三段目と四段目のTMR素子で1本の書き込みワード線を共有することもできる。この場合、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数は、2本(WWL2n,WWL2n+1)にすることができる。
【0179】
それにもかかわらず、本例で、X方向に延びる1ロウ内の書き込みワード線の数を3本としたのは、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の位置を考慮したためである。
【0180】
即ち、本例では、一段目のTMR素子12と二段目のTMR素12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子12と四段目のTMR素子12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj1が配置される。
【0181】
その結果、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線に関しては、一段目と二段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有され、三段目と四段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有される。この場合、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の数は、2本となる。
【0182】
なお、図17では、TMR素子12を立体的に描けないという理由から、2本の書き込みビット線Bj0,BLj1は、ブロックBjn内の4つのTMR素子12に交差するように描かれているが、実際は、上述のように、一段目のTMR素子と二段目のTMR素の間に1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子と四段目のTMR素子の間に1本の書き込みワード線BLj1が配置される。
【0183】
ブロック内のTMR素子及びその近傍における具体的構造については、後述するデバイス構造の説明で明らかにする。
【0184】
X方向に延びる書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2の一端は、書き込みワード線ドライバ23A−nに接続され、その他端は、書き込みワード線シンカー24−nに接続される。
【0185】
読み出し選択スイッチRSWのゲートは、読み出しワード線RWLn(n=0,1,2,・・・)に接続される。1本の読み出しワード線RWLnは、1つのカラム内の1つのブロックBKjkに対応し、かつ、X方向に配置される複数のブロックBKjkに共通となっている。
【0186】
例えば、1つのカラムが4つのブロックから構成される場合、読み出しワード線RWLnの数は、4本となる。読み出しワード線RWLnは、X方向に延び、その一端は、読み出しワード線ドライバ23B−nに接続される。
【0187】
ロウデコーダ25−nは、書き込み動作時、ロウアドレス信号に基づいて、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2のうちの1本を選択する。書き込みワード線ドライバ23A−nは、選択された書き込みワード線に書き込み電流を供給する。書き込み電流は、選択されたワード線を流れ、書き込みワード線シンカー24−nに吸収される。
【0188】
ロウデコーダ25−nは、読み出し動作時、例えば、上位ロウアドレス信号に基づいて、1ロウ内のブロックを選択する。読み出しワード線ドライバ23B−nは、選択されたブロックBKに接続される読み出しワード線RWLnに読み出しワード線電圧を供給する。選択されたブロックBKでは、読み出し選択スイッチRSWがオン状態となるため、読み出し電流は、選択されたブロックBK内の複数のTMR素子を経由して、接地点に向かって流れる。
【0189】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の他端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの一端は、カラム選択スイッチ(MOSトランジスタ)SWAを経由して、共通データ線28に接続される。共通データ線28は、読み出し回路(センスアンプを含む)29Bに接続される。
【0190】
書き込みビット線BLj0,BLj1の一端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック29Aに接続される。
【0191】
書き込みビット線BLj0,BLj1の他端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック31に接続される。
【0192】
カラム選択スイッチSWAのゲートには、カラム選択線信号CSLj(j=0,1,・・・)が入力される。カラムデコーダ32は、カラム選択線信号CSLjを出力する。
【0193】
本例の磁気ランダムアクセスメモリでは、1つのカラムは、複数のブロックから構成され、ブロック単位で読み出しを行う。また、1つのブロックは、複数段に積み重ねられ、互いに直並列接続される複数のTMR素子から構成される。
【0194】
このようなセルアレイ構造にすれば、TMR素子は、半導体基板上に三次元的に配置されると共に、複数のTMR素子に1つのMOSトランジスタ(読み出し選択スイッチ)を対応させればよいため、結果として、メモリ容量の増大に貢献することができる。
【0195】
▲2▼ デバイス構造
次に、デバイス構造について説明する。
図18は、本発明の構造例3としての磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のデバイス構造を示している。
【0196】
図18は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のY方向の断面を表している。図18に示される要素には、図17の回路の要素と対応がとれるように、図17と同じ符号が付してある。
【0197】
半導体基板41の表面領域には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが配置される。読み出し選択スイッチRSWのソースは、ソース線SLを経由して接地点に接続される。ソース線SLは、例えば、X方向に一直線に延びている。
【0198】
読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのゲートは、読み出しワード線RWLnとなっている。読み出しワード線RWLnは、X方向に延びている。読み出し選択スイッチRSW上には、4個のTMR素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4が積み重ねられている。
【0199】
TMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4の各々は、下部電極41A1,41A2,41A3,41A4と上部電極41B1,41B2,41B3,41B4の間に配置されている。コンタクトプラグ42C1,42C2,42D1,42E1,42E2は、4個のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4を互いに直並列接続する。
【0200】
最も下段のTMR素子MTJ1の下部電極41A1は、コンタクトプラグ42A,42B及び中間層43を経由して、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのドレインに接続される。最も上段のTMR素子MTJ4の上部電極41B4は、コンタクトプラグ42Fを経由して、Y方向に延びる読み出しビット線BLjに接続される。
【0201】
書き込みワード線WWL3nは、TMR素子MTJ1の直下に配置され、書き込みワード線WWL3n+1は、TMR素子MTJ2とTMR素子MTJ3との間に配置され、書き込みワード線WWL3n+2は、TMR素子MTJ4の直上に配置される。書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2は、X方向に延びている。
【0202】
書き込みビット線BLj0は、TMR素子MTJ1とTMR素子MTJ2との間に配置され、書き込みビット線BLj1は、TMR素子MTJ3とTMR素子MTJ4との間に配置される。書き込みビット線BLj0,BLj1は、Y方向に延びている。
【0203】
このようなデバイス構造によれば、1つの読み出し選択スイッチRSWに対して、複数(本例では、4個)のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4を設けている。また、これらのTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、読み出し選択スイッチRSW上に積み重ねられ、互いに直並列に接続される。
【0204】
また、この場合、読み出しビット線BLjは、例えば、最上層に1本のみ設ければよい。また、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2及び書き込みビット線BLj0,BLj1の少なくとも1本については、2つのTMR素子で共有させることが可能である。
【0205】
従って、このようなデバイス構造によれば、TMR素子を半導体基板上に高密度に配置することができるようになるため、メモリ容量の増大に貢献できる。また、TMR素子のアレイ内に配置される配線(書き込みワード線、書き込みビット線、読み出しビット線など)の数を減らすことができるため、TMR素子の直下の絶縁膜の平坦化を実現でき、TMR素子の特性を向上できる。
【0206】
▲3▼ 変形例
構造例3の変形例について説明する。
【0207】
図19及び図20は、構造例3の第1変形例を示している。
図19の回路図は、図17の回路図に対応し、また、図20のデバイス構造の断面図は、図18のデバイス構造の断面図に対応している。本例の構造が図17及び図18の構造と異なる点は、読み出し選択スイッチを実現する素子にある。
【0208】
即ち、図17及び図18の構造では、読み出し選択スイッチは、MOSトランジスタから構成されていた。これに対し、本例の構造では、読み出し選択スイッチは、ダイオードDIから構成される。これに伴い、読み出しワード線RWL0,・・・RWLnは、ダイオードDIのカソードに接続される。
【0209】
本例の構造を採用した場合、読み出し動作時には、選択されたロウの読み出しワード線RWLiを“L”、即ち、接地電位に設定する。この時、選択されたロウのブロックを構成する直列接続された複数のTMR素子に、読み出し電流を流すことができる。
【0210】
図21及び図22は、構造例3の第2変形例を示している。
図21の回路図は、図17の回路図に対応し、また、図22のデバイス構造の断面図は、図18のデバイス構造の断面図に対応している。本例の構造が図17及び図18の構造と異なる点は、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタの種類にある。
【0211】
即ち、図17及び図18の構造では、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタは、MOSトランジスタであった。これに対し、本例の構造では、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタは、バイポーラトランジスタとなっている。
【0212】
本例の構造の場合、メモリセルアレイ11及びその周辺回路を構成するトランジスタの全てをバイポーラトランジスタにしてもよいし、その一部をバイポーラトランジスタにしてもよい。
【0213】
(4) 構造例4
構造例4は、構造例1〜3の改良例である。構造例4は、構造例1〜3と組み合せて用いることができる。
【0214】
構造例4は、メモリセルアレイのY方向に延びる1ロウ内の書き込み線を、折り返し構造(蛇行構造)又は並列接続構造にすることにより、1ロウ内の書き込み線の数を実質的に1本とした点に特徴を有する。
【0215】
このような構造によれば、1ロウ内の書き込み線に接続される書き込みドライバ/シンカーの数を減らすことができるため、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0216】
▲1▼ 回路構造
まず、回路構造について説明する。
図23乃至図25は、本発明の構造例4としての磁気ランダムアクセスメモリの主要部を示している。
図23は、構造例4を図1の構造例1に適用した例であり、図24は、構造例4を図8の構造例2に適用した例であり、図25は、構造例4を図17の構造例3に適用した例である。
【0217】
メモリセルアレイ11は、X方向、Y方向及びZ方向にアレイ状に配置される複数のTMR素子12を有する。Z方向とは、X方向及びY方向に直交する紙面に垂直な方向をいう。
【0218】
メモリセルアレイ11は、X方向に配置されるj+1個のTMR素子12と、Y方向に配置されるn+1個のTMR素子12と、Z方向に積み重ねられる4個のTMR素子12とからなるセルアレイ構造を有する。Z方向に積み重ねされるTMR素子12の数は、本例では、4個であるが、その数は、複数個であれば、いくつであっても構わない。
【0219】
Z方向に積み重ねられた4個のTMR素子12は、互いに直列(図23)、並列(図24)又は直並列(図25)に接続され、1つのブロックBKik(i=0,1,・・・j、k=0,1,・・・n)を構成している。ブロックBKik内の4個のTMR素子12は、実際には、紙面に垂直な方向(Z方向)に互いに重なり合っている。
【0220】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の一端は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWを経由して、接地点に接続される。
【0221】
本例では、X方向に配置されるj+1個のブロックBKikにより1つのロウが構成される。メモリセルアレイ11は、n+1個のロウを有する。また、Y方向に配置されるn+1個のブロックBKikにより1つのカラムが構成される。メモリセルアレイ11は、j+1個のカラムを有する。
【0222】
ブロックBKikを構成する4つのTMR素子12の近傍には、X方向に延び、Z方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線が配置される。また、これら複数の書き込みワード線は、メモリセルアレイ11の端部で、互いに直列接続され、1つの書き込みワード線WWLnを構成している。全体的には、書き込みワード線WWLnは、メモリセルアレイ11の内部を縫うように、曲がりくねって配置される。
【0223】
このような書き込みワード線の構造を、折り返し構造(又は蛇行構造)と呼ぶことにする。
【0224】
折り返し構造(又は蛇行構造)によれば、1ロウ内には、実質的に、1本の書き込みワード線WWLnのみが配置されるため、1ロウ内の書き込みワード線WWLnに接続される書き込みドライバ/シンカー23A−n,24−nを構成する素子数を減らすことができる。従って、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0225】
ブロック構造から考えると、図223乃至図225に示すように、一段目と二段目のTMR素子の間、及び、三段目と四段目のTMR素子の間に、それぞれ、書き込みワード線WWLnを配置すれば、書き込みワード線WWLnの長さを短くすることができる。
【0226】
しかし、本例では、折り返し構造を有する書き込みワード線WWLnは、最下段のTMR素子の直下、二段目のTMR素子と三段目のTMR素子の間、及び、最上段のTMR素子の直上に、それぞれ配置される。
【0227】
このような構造としたのは、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の位置を考慮したためである。
【0228】
即ち、一段目のTMR素子12と二段目のTMR素12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子12と四段目のTMR素子12の間にY方向に延びる1本の書き込みビット線BLj1が配置される。
【0229】
その結果、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線に関しては、一段目と二段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有され、三段目と四段目のTMR素子で1本の書き込みビット線が共有される。この場合、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の数は、2本となる。
【0230】
なお、図23乃至図25では、TMR素子12を立体的に描けないという理由から、2本の書き込みビット線Bj0,BLj1は、ブロックBjn内の4つのTMR素子12に平行又は交差するように描かれているが、実際は、上述のように、一段目のTMR素子と二段目のTMR素の間に1本の書き込みビット線BLj0が配置され、三段目のTMR素子と四段目のTMR素子の間に1本の書き込みワード線BLj1が配置される。
【0231】
X方向に延びる書き込みワード線WWLnの一端は、書き込みワード線ドライバ23A−nに接続され、その他端は、書き込みワード線シンカー24−nに接続される。
【0232】
読み出し選択スイッチRSWのゲートは、読み出しワード線RWLn(n=0,1,2,・・・)に接続される。1本の読み出しワード線RWLnは、1つのカラム内の1つのブロックBKjkに対応し、かつ、X方向に配置される複数のブロックBKjkに共通となっている。
【0233】
例えば、1つのカラムが4つのブロックから構成される場合、読み出しワード線RWLnの数は、4本となる。読み出しワード線RWLnは、X方向に延び、その一端は、読み出しワード線ドライバ23B−nに接続される。
【0234】
ロウデコーダ25−nは、書き込み動作時、ロウアドレス信号に基づいて、書き込みワード線WWL0,・・・WWLnのうちの1本を選択する。書き込みワード線ドライバ23A−nは、選択された書き込みワード線に書き込み電流を供給する。書き込み電流は、選択されたワード線を流れ、書き込みワード線シンカー24−nに吸収される。
【0235】
ロウデコーダ25−nは、読み出し動作時、例えば、上位ロウアドレス信号に基づいて、1ロウ内のブロックを選択する。読み出しワード線ドライバ23B−nは、選択されたブロックBKに接続される読み出しワード線RWLnに読み出しワード線電圧を供給する。選択されたブロックBKでは、読み出し選択スイッチRSWがオン状態となるため、読み出し電流は、選択されたブロックBK内の複数のTMR素子を経由して、接地点に向かって流れる。
【0236】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の他端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの一端は、カラム選択スイッチ(MOSトランジスタ)SWAを経由して、共通データ線28に接続される。共通データ線28は、読み出し回路(センスアンプを含む)29Bに接続される。
【0237】
書き込みビット線BLj0,BLj1の一端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック29Aに接続される。
【0238】
書き込みビット線BLj0,BLj1の他端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック31に接続される。
【0239】
カラム選択スイッチSWAのゲートには、カラム選択線信号CSLj(j=0,1,・・・)が入力される。カラムデコーダ32は、カラム選択線信号CSLjを出力する。
【0240】
本例の磁気ランダムアクセスメモリでは、1つのカラムは、複数のブロックから構成され、ブロック単位で読み出しを行う。また、1つのブロックは、複数段に積み重ねられ、互いに直列、並列、又は、直並列接続される複数のTMR素子から構成される。
【0241】
このようなセルアレイ構造にすれば、TMR素子12は、半導体基板上に三次元的に配置されると共に、複数のTMR素子12に1つのMOSトランジスタ(読み出し選択スイッチ)RSWを対応させればよいため、結果として、メモリ容量の増大に貢献することができる。
【0242】
また、本例の磁気ランダムアクセスメモリでは、書き込みワード線WWLnを、折り返し構造(又は蛇行構造)にしているため、1ロウ内には、実質的に、1本の書き込みワード線WWLnのみが配置される。
【0243】
従って、1ロウ内の書き込みワード線WWLnに接続される書き込みドライバ/シンカー23A−n,24−nを構成する素子数を減らすことができ、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0244】
▲2▼ デバイス構造
次に、デバイス構造について説明する。
図26は、本発明の構造例4としての磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のデバイス構造を示している。
【0245】
図26は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のY方向の断面を表している。図26に示される要素には、図23乃至図25の回路の要素と対応がとれるように、図図23乃至25と同じ符号が付してある。
【0246】
同図においては、構造例4の特徴を明確にするため、メモリセルアレイ11においては、書き込みワード線WWLn以外の部材を全て省略している。
【0247】
メモリセルアレイ11上には、書き込みワード線WWLnを構成する配線が3段に積み重ねられている。これら配線は、メモリセルアレイ11の端部で、コンタクトプラグにより互いに接続されている。結果として、書き込みワード線WWLnは、メモリセルアレイ11上において、折り返し構造(又は、蛇行構造)を有している。
【0248】
書き込みワード線WWLnの一端は、書き込みワード線ドライバ23A−nに接続され、その他端は、書き込みワード線シンカー24−nに接続される。
【0249】
本例では、書き込みワード線WWLnを構成する配線が3段(奇数段)に積み重ねられているため、書き込みワード線ドライバ23A−nの位置と書き込みワード線シンカー24−nの位置は、メモリセルアレイ11を挟んで、互いに対向した位置となる。
【0250】
仮に、書き込みワード線WWLnを構成する配線が4段(複数段)に積み重ねられているとすると、書き込みワード線ドライバ23A−nと書き込みワード線シンカー24−nは、メモリセルアレイ11に対して同じ方向に配置される。
【0251】
このようなデバイス構造によれば、書き込みワード線WWLnを、折り返し構造(又は蛇行構造)にしているため、1ロウ内には、実質的に、1本の書き込みワード線WWLnのみが配置される。
【0252】
従って、1ロウ内の書き込みワード線WWLnに接続される書き込みワード線ドライバ/シンカー23A−n,24−nを構成する素子数を減らすことができ、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0253】
▲3▼ 変形例
構造例4のデバイス構造の変形例について説明する。
【0254】
図27は、本発明の構造例4としての磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のデバイス構造を示している。
【0255】
図27は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のY方向の断面を表している。図27に示される要素には、図23乃至図25の回路の要素と対応がとれるように、図23乃至図25と同じ符号が付してある。
【0256】
同図においては、構造例4の特徴を明確にするため、メモリセルアレイ11においては、書き込みワード線WWLn以外の部材を全て省略している。
【0257】
メモリセルアレイ11上には、書き込みワード線WWLnを構成する配線が3段に積み重ねられている。これら配線は、メモリセルアレイ11の端部で、コンタクトプラグにより互いに接続されている。結果として、書き込みワード線WWLnは、メモリセルアレイ11上において、並列に接続された構造(並列接続構造)を有している。
【0258】
書き込みワード線WWLnの一端は、書き込みワード線ドライバ23A−nに接続され、その他端は、書き込みワード線シンカー24−nに接続される。
【0259】
本例では、書き込みワード線WWLnを構成する配線が3段に積み重ねられているが、複数段(2段以上)であれば、書き込みワード線WWLnを構成する配線を積み重ねる段数は、何段であっても、全く構わない。
【0260】
このようなデバイス構造によれば、書き込みワード線WWLnを、並列接続構造にしているため、1ロウ内には、実質的に、1本の書き込みワード線WWLnのみが配置される。
【0261】
従って、1ロウ内の書き込みワード線WWLnに接続される書き込みワード線ドライバ/シンカー23A−n,24−nを構成する素子数を減らすことができ、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0262】
(4) 構造例5
構造例5は、構造例1〜3の改良例である。構造例5は、構造例1〜3と組み合せて用いることができる。
【0263】
構造例5は、メモリセルアレイのX方向に延びる1カラム内の書き込み線を、折り返し構造(蛇行構造)又は並列接続構造にすることにより、1カラム内の書き込み線の数を実質的に1本とした点に特徴を有する。
【0264】
このような構造によれば、1カラム内の書き込み線に接続される書き込みドライバ/シンカーの数を減らすことができるため、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0265】
▲1▼ 回路構造
まず、回路構造について説明する。
図28乃至図30は、本発明の構造例5としての磁気ランダムアクセスメモリの主要部を示している。
図28は、構造例5を図1の構造例1に適用した例であり、図29は、構造例5を図8の構造例2に適用した例であり、図30は、構造例5を図17の構造例3に適用した例である。
【0266】
メモリセルアレイ11は、X方向、Y方向及びZ方向にアレイ状に配置される複数のTMR素子12を有する。Z方向とは、X方向及びY方向に直交する紙面に垂直な方向をいう。
【0267】
メモリセルアレイ11は、X方向に配置されるj+1個のTMR素子12と、Y方向に配置されるn+1個のTMR素子12と、Z方向に積み重ねられる4個のTMR素子12とからなるセルアレイ構造を有する。Z方向に積み重ねされるTMR素子12の数は、本例では、4個であるが、その数は、複数個であれば、いくつであっても構わない。
【0268】
Z方向に積み重ねられた4個のTMR素子12は、互いに直列(図28)、並列(図29)又は直並列(図30)に接続され、1つのブロックBKik(i=0,1,・・・j、k=0,1,・・・n)を構成している。ブロックBKik内の4個のTMR素子12は、実際には、紙面に垂直な方向(Z方向)に互いに重なり合っている。
【0269】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の一端は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWを経由して、接地点に接続される。
【0270】
本例では、X方向に配置されるj+1個のブロックBKikにより1つのロウが構成される。メモリセルアレイ11は、n+1個のロウを有する。また、Y方向に配置されるn+1個のブロックBKikにより1つのカラムが構成される。メモリセルアレイ11は、j+1個のカラムを有する。
【0271】
ブロックBKikを構成する4つのTMR素子12の近傍には、X方向に延び、Z方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2が配置される。
【0272】
書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2は、最下段のTMR素子の直下、二段目のTMR素子と三段目のTMR素子の間、及び、最上段のTMR素子の直上に、それぞれ配置される。
【0273】
ブロック構造から考えると、図226乃至図228に示すように、一段目と二段目のTMR素子の間、及び、三段目と四段目のTMR素子の間に、それぞれ、書き込みワード線を配置すれば、書き込みワード線の長さを短くすることができる。
【0274】
しかし、本例では、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2は、最下段のTMR素子の直下、二段目のTMR素子と三段目のTMR素子の間、及び、最上段のTMR素子の直上に、それぞれ配置される。
【0275】
このような構造としたのは、Y方向に延びる1カラム内の書き込みビット線の位置を考慮したためである。
【0276】
即ち、一段目のTMR素子12と二段目のTMR素12の間にY方向に延びる書き込みビット線が配置され、三段目のTMR素子12と四段目のTMR素子12の間にY方向に延びる書き込みビット線が配置される。
【0277】
また、これら複数の書き込みビット線は、メモリセルアレイ11の端部で、互いに直列接続され、1つの書き込みビット線BLj1を構成している。全体的には、書き込みビット線BLj1は、メモリセルアレイ11の内部を縫うように、曲がりくねって配置される。
【0278】
このような書き込みビット線の構造を、折り返し構造(又は蛇行構造)と呼ぶことにする。
【0279】
折り返し構造(又は蛇行構造)によれば、1カラム内には、実質的に、1本の書き込みビット線BLj1のみが配置されるため、1カラム内の書き込みビット線BLj1に接続される書き込みドライバ/シンカー31を構成する素子数を減らすことができる。従って、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0280】
なお、図28乃至図30では、TMR素子12を立体的に描けないという理由から、折り返し構造の書き込みビット線Bj1は、ブロックBjn内の4つのTMR素子12に平行又は交差するように描かれているが、実際は、上述のように、一段目のTMR素子と二段目のTMR素の間、及び、三段目のTMR素子と四段目のTMR素子の間に、書き込みビット線BLj1が配置される。
【0281】
X方向に延びる書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2の一端は、書き込みワード線ドライバ23A−nに接続され、その他端は、書き込みワード線シンカー24−nに接続される。
【0282】
読み出し選択スイッチRSWのゲートは、読み出しワード線RWLn(n=0,1,2,・・・)に接続される。1本の読み出しワード線RWLnは、1つのカラム内の1つのブロックBKjkに対応し、かつ、X方向に配置される複数のブロックBKjkに共通となっている。
【0283】
例えば、1つのカラムが4つのブロックから構成される場合、読み出しワード線RWLnの数は、4本となる。読み出しワード線RWLnは、X方向に延び、その一端は、読み出しワード線ドライバ23B−nに接続される。
【0284】
ロウデコーダ25−nは、書き込み動作時、ロウアドレス信号に基づいて、書き込みワード線WWL3n,WWL3n+1,WWL3n+2のうちの1本を選択する。書き込みワード線ドライバ23A−nは、選択された書き込みワード線に書き込み電流を供給する。書き込み電流は、選択されたワード線を流れ、書き込みワード線シンカー24−nに吸収される。
【0285】
ロウデコーダ25−nは、読み出し動作時、例えば、上位ロウアドレス信号に基づいて、1ロウ内のブロックを選択する。読み出しワード線ドライバ23B−nは、選択されたブロックBKに接続される読み出しワード線RWLnに読み出しワード線電圧を供給する。選択されたブロックBKでは、読み出し選択スイッチRSWがオン状態となるため、読み出し電流は、選択されたブロックBK内の複数のTMR素子を経由して、接地点に向かって流れる。
【0286】
ブロックBKik内の4個のTMR素子12の他端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの一端は、カラム選択スイッチ(MOSトランジスタ)SWAを経由して、共通データ線28に接続される。共通データ線28は、読み出し回路(センスアンプを含む)29Bに接続される。
【0287】
書き込みビット線BLj1の一端及び他端は、書き込みビット線ドライバ及び書き込みビット線シンカーを含む回路ブロック31に接続される。
【0288】
カラム選択スイッチSWAのゲートには、カラム選択線信号CSLj(j=0,1,・・・)が入力される。カラムデコーダ32は、カラム選択線信号CSLjを出力する。
【0289】
本例の磁気ランダムアクセスメモリでは、1つのカラムは、複数のブロックから構成され、ブロック単位で読み出しを行う。また、1つのブロックは、複数段に積み重ねられ、互いに直列、並列、又は、直並列接続される複数のTMR素子から構成される。
【0290】
このようなセルアレイ構造にすれば、TMR素子12は、半導体基板上に三次元的に配置されると共に、複数のTMR素子12に1つのMOSトランジスタ(読み出し選択スイッチ)RSWを対応させればよいため、結果として、メモリ容量の増大に貢献することができる。
【0291】
また、本例の磁気ランダムアクセスメモリでは、書き込みビット線BLj1を、折り返し構造(又は蛇行構造)にしているため、1カラム内には、実質的に、1本の書き込みビット線BLj1のみが配置される。
【0292】
従って、1カラム内の書き込みビットBLj1に接続される書き込みドライバ/シンカー31を構成する素子数を減らすことができ、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0293】
▲2▼ デバイス構造
次に、デバイス構造について説明する。
図31は、本発明の構造例5としての磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のデバイス構造を示している。
【0294】
図31は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のY方向の断面を表している。図31に示される要素には、図28乃至図30の回路の要素と対応がとれるように、図28乃至図30と同じ符号が付してある。
【0295】
同図においては、構造例5の特徴を明確にするため、メモリセルアレイ11においては、書き込みビット線BLj1及び読み出しビット線BLj以外の部材を全て省略している。
【0296】
メモリセルアレイ11上には、書き込みビット線BLj1を構成する配線が2段に積み重ねられている。これら配線は、メモリセルアレイ11の端部で、コンタクトプラグにより互いに接続されている。結果として、書き込みビット線BLj1は、メモリセルアレイ11上において、折り返し構造(又は、蛇行構造)を有している。
【0297】
書き込みビット線BLj1の一端及び他端は、それぞれ、書き込みビット線ドライバ/シンカー31に接続される。
【0298】
本例では、書き込みビット線BLj1を構成する配線が2段(偶数段)に積み重ねられているため、書き込みビット線ドライバ/シンカーは、メモリセルアレイ11の一端側のみに配置される。
【0299】
仮に、書き込みビット線BLj1を構成する配線が3段(奇数段)に積み重ねられているとすると、書き込みビット線ドライバ/シンカーは、メモリセルアレイ11の両端側にそれぞれ配置される。
【0300】
このようなデバイス構造によれば、書き込みビット線BLj1を、折り返し構造(又は蛇行構造)にしているため、1カラム内には、実質的に、1本の書き込みビット線BLj1のみが配置される。
【0301】
従って、1カラム内の書き込みビット線BLj1に接続される書き込みビット線ドライバ/シンカー31を構成する素子数を減らすことができ、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0302】
▲3▼ 変形例
構造例5のデバイス構造の変形例について説明する。
【0303】
図32は、本発明の構造例5としての磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のデバイス構造を示している。
【0304】
図32は、磁気ランダムアクセスメモリの1ブロック分のY方向の断面を表している。図32に示される要素には、図28乃至図30の回路の要素と対応がとれるように、図28乃至図30と同じ符号が付してある。
【0305】
同図においては、構造例5の特徴を明確にするため、メモリセルアレイ11においては、書き込みビット線BLj1以外の部材を全て省略している。
【0306】
メモリセルアレイ11上には、書き込みビット線BLj1を構成する配線が2段に積み重ねられている。これら配線は、メモリセルアレイ11の端部で、コンタクトプラグにより互いに接続されている。結果として、書き込みビット線BLj1は、メモリセルアレイ11上において、並列に接続された構造(並列接続構造)を有している。
【0307】
書き込みビット線BLj1の一端及び他端は、共に、書き込みビット線ドライバ/シンカー31に接続される。
【0308】
本例では、書き込みビット線BLj1を構成する配線が2段に積み重ねられているが、複数段(2段以上)であれば、書き込みビット線BLj1を構成する配線を積み重ねる段数は、何段であっても、全く構わない。
【0309】
このようなデバイス構造によれば、書き込みビット線BLj1を、並列接続構造にしているため、1カラム内には、実質的に、1本の書き込みビット線BLj1のみが配置される。
【0310】
従って、1カラム内の書き込みビット線BLj1に接続される書き込みビット線ドライバ/シンカー31を構成する素子数を減らすことができ、チップ面積の縮小による製造コストの低下を図ることができる。
【0311】
3. TMR素子の構造
上述したセルアレイ構造では、1ブロック内の複数のTMR素子は、直列、並列又は直並列に接続される。
【0312】
このようなセルアレイ構造を前提とする場合、1ブロック内の複数のTMR素子の構造が同じであるときには、破壊読み出し動作原理などの読み出し動作原理を採用する必要がある(例えば、特願2001−350013号)。また、1ブロック内の複数のTMR素子の構造を異なるものとし、破壊読み出し動作原理によらない一括読み出し動作原理を採用することもできる(例えば、特願2001−365236号)。
【0313】
これら読み出し動作原理については、後に詳述することにして、ここでは、これらの読み出し動作原理を実現するためのTMR素子の構造例を説明する。
【0314】
(1) 読み出し動作時の等価回路
まず、読み出し動作時における1ブロック内のTMR素子(メモリセル)の等価回路について説明する。
【0315】
図33乃至図35は、セルアレイ構造の構造例1における読み出し動作時の等価回路を示している。
【0316】
4個のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、互いに直列接続され、その一端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの電位は、例えば、電源電位VDDに設定される。直列接続されたTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4の他端とソース線SLとの間には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが接続される。
【0317】
読み出し選択スイッチRSWがMOSトランジスタの場合(図33)、そのゲート、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“H”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。ソース線SLは、例えば、接地電位VSSに設定される。
【0318】
読み出し選択スイッチRSWがダイオードの場合(図34)、そのカソード、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“L(=VSS)”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。
【0319】
読み出し選択スイッチRSWがバイポーラトランジスタの場合(図35)、そのベース、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“H”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。ソース線SLは、例えば、接地電位VSSに設定される。
【0320】
図36乃至図38は、セルアレイ構造の構造例2における読み出し動作時の等価回路を示している。
【0321】
4個のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、互いに並列接続され、その一端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの電位は、例えば、電源電位VDDに設定される。並列接続されたTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4の他端とソース線SLとの間には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが接続される。
【0322】
読み出し選択スイッチRSWがMOSトランジスタの場合(図36)、そのゲート、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“H”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。ソース線SLは、例えば、接地電位VSSに設定される。
【0323】
読み出し選択スイッチRSWがダイオードの場合(図37)、そのカソード、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“L(=VSS)”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。
【0324】
読み出し選択スイッチRSWがバイポーラトランジスタの場合(図38)、そのベース、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“H”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。ソース線SLは、例えば、接地電位VSSに設定される。
【0325】
図39乃至図41は、セルアレイ構造の構造例3における読み出し動作時の等価回路を示している。
【0326】
4個のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、互いに直並列接続され、その一端は、読み出しビット線BLjに接続される。読み出しビット線BLjの電位は、例えば、電源電位VDDに設定される。直並列接続されたTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4の他端とソース線SLとの間には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが接続される。
【0327】
読み出し選択スイッチRSWがMOSトランジスタの場合(図39)、そのゲート、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“H”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。ソース線SLは、例えば、接地電位VSSに設定される。
【0328】
読み出し選択スイッチRSWがダイオードの場合(図40)、そのカソード、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“L(=VSS)”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。
【0329】
読み出し選択スイッチRSWがバイポーラトランジスタの場合(図41)、そのベース、即ち、読み出しワード線RWLnの電位は、“H”に設定される。このため、読み出し選択スイッチRSWは、オン状態となる。ソース線SLは、例えば、接地電位VSSに設定される。
【0330】
(2) TMR素子の構造
▲1▼ 破壊読み出し動作原理を適用する場合
この場合、ブロックBKjn内の複数のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4の構造は、全て同じでよい。
【0331】
図42乃至図44は、TMR素子の構造例を示している。
図42の例に示すTMR素子は、最も基本的な構造であり、2つの強磁性層とこれらに挟まれるトンネルバリア層を有する。
【0332】
2つの強磁性層のうち、磁化の向きが固定される固定層(ピン層)には、磁化の向きを固定するための反強磁性層が付加される。2つの強磁性層のうち、磁化の向きを自由に変えることができる自由層(記憶層)は、書き込みワード線と書き込みビット線によって作られる合成磁界により、磁化の向きが決定される。
【0333】
図43の例に示すTMR素子は、図42の例のTMR素子に比べて、バイアス電圧を増大させることを目的に、TMR素子内に2つのトンネルバリア層を設けたものである。
【0334】
図43のTMR素子は、図42のTMR素子を2個直列接続した構造(ダブルジャンクション構造)を有する、と言うこともできる。
【0335】
本例では、TMR素子は、3つの強磁性層を有し、それらの間には、トンネルバリア層が配置される。両端の2つの強磁性層(ピン層)には、それぞれ反強磁性層が付加されている。3つの強磁性層のうち、磁化の向きを自由に変えることができる自由層(記憶層)は、真ん中の強磁性層となっている。
【0336】
図44の例に示すTMR素子は、図42の例のTMR素子に比べて、書き込み反転磁場を削減しつつ、記憶保持特性を落とさないようにしたものである。
【0337】
本例のTMR素子は、図42のTMR素子の記憶層を、2つの強磁性層とそれらの間に挟まれる非磁性金属層(例えば、アルミニウム)とから構成される記憶層に代えたものと言うことができる。
【0338】
TMR素子の記憶層が、2つの強磁性層と、それらの間に挟まれる非磁性金属層とからなる3層構造を有することにより、書き込み反転磁場を削減しつつ、記憶保持特性を落とさないようにすることが可能になる。即ち、記憶層を構成する2つの強磁性層の厚さを薄くすることにより、書き込み反転磁場を下げることが可能になる。
【0339】
単層構造の場合には、熱揺らぎに弱くなり、誤書き込みを起こし易くなるが、3層構造の場合には、非磁性金属を挟む2つの強磁性層の磁気的な結合により、熱揺らぎに強くなるため、誤書き込みを起こし難い優れた記憶保持特性のTMR構造を実現できる。
【0340】
▲2▼ 一括読み出し動作原理を適用する場合
この場合、ブロック内の直列、並列又は直並列に接続された複数のTMR素子の構造は、互いに異なるものとなる。
【0341】
具体的には、ブロック内の複数のTMR素子の磁化状態が全て平行(平行及び反平行の定義は、従来技術の欄を参照)である場合の各TMR素子の抵抗値がそれぞれ異なる値となるように、複数のTMR素子の構造を決定する。
【0342】
・ 構造例1
図45は、TMR素子MTJ1の例を示している。
TMR素子MTJ1は、基本ユニットから構成される。基本ユニットとは、トンネルバリアと、トンネルバリアの一方側に配置される強磁性層(記憶層)と、トンネルバリアの他方側に配置される強磁性層及び反強磁性層とからなるユニットのことである。
【0343】
トンネルバリアの他方側に配置される強磁性層は、反強磁性層に接触しているため、その磁化の向きが固定されている。トンネルバリアの他方側に配置される強磁性層とそれに接触する反強磁性層は、ピン層を構成する。
【0344】
この構造により実現されるTMR素子MTJ1の抵抗値は、Rとする。
【0345】
図46は、TMR素子MTJ2の例を示している。
TMR素子MTJ2は、2つの基本ユニットから構成される。但し、2つの基本ユニット間で、1つの強磁性層(記憶層)が共有される。つまり、記憶層としての強磁性層の一方側には、トンネルバリアを経由して、強磁性層及び反強磁性層からなるピン層が配置され、記憶層としての強磁性層の他方側にも、トンネルバリアを経由して、強磁性層及び反強磁性層からなるピン層が配置される。
【0346】
TMR素子MTJ2は、記憶層としての強磁性層に対して、トンネルバリアとピン層(強磁性層及び反強磁性層)が対称的に配置された構造を有する。
【0347】
この構造により実現されるTMR素子MTJ2の抵抗値は、2×Rとなる。
【0348】
図47は、TMR素子MTJ3の例を示している。
TMR素子MTJ3は、4つの基本ユニットから構成される。また、TMR素子MTJ3は、2つのTMR素子MTJ2を直列に接続したということもできる。即ち、TMR素子MTJ3は、2つのTMR素子MTJ2を直列に接続すると共に、その接続部の反強磁性層を2つのTMR素子MTJ2で共有した構造を有する。
【0349】
TMR素子MTJ3では、2つの記憶層が存在するが、当然に、これらの2つの記憶層には、同一データが記憶される。即ち、TMR素子MTJ3には、2つの記憶層により、1ビットデータが記憶される。
【0350】
この構造により実現されるTMR素子MTJ3の抵抗値は、4×Rとなる。
【0351】
図48は、TMR素子MTJ4の例を示している。
TMR素子MTJ4は、8つの基本ユニットから構成される。また、TMR素子MTJ4は、2つのTMR素子MTJ3を直列に接続したということもできる。即ち、TMR素子MTJ4は、2つのTMR素子MTJ3を直列に接続すると共に、その接続部の反強磁性層を2つのTMR素子MTJ3で共有した構造を有する。
【0352】
TMR素子MTJ4では、4つの記憶層が存在するが、当然に、これらの4つの記憶層には、同一データが記憶される。即ち、TMR素子MTJ4には、4つの記憶層により、1ビットデータが記憶される。
【0353】
この構造により実現されるTMR素子MTJ4の抵抗値は、8×Rとなる。
【0354】
・ 構造例2
構造例1では、基本ユニット(MTJ素子)の数によりトンネルバリアの数を変え、TMR素子の抵抗値を変える技術を説明した。しかし、この場合、1ブロック内では、TMR素子ごとに、基本ユニットの数が異なるため、その厚さも、まちまちとなる。
【0355】
そこで、構造例2では、1ブロック内の各TMR素子の厚さが異なるという問題を解決するため、1ブロック内の全てのTMR素子を、同一数のユニットから構成し、それらの厚さを同じにする。
【0356】
例えば、1ブロックが4つのTMR素子から構成される場合には、各TMR素子は、8つのユニットにより構成する。
【0357】
また、TMR素子の抵抗値の調整については、そのTMR素子を構成する複数のユニットのうちのいくつかをダミーユニットにすることにより行う。ダミーユニットとは、基本ユニットのトンネルバリアを非磁性金属に変えたユニットをいうものとする。
【0358】
このようにすれば、例えば、1つの基本ユニットの抵抗値をRとした場合、8つの基本ユニットからなるTMR素子の抵抗値は、8×R(8つのトンネルバリア)となる。また、8つのユニットのうちの4つが基本ユニットで、他の4つがダミーユニットであるTMR素子の抵抗値は、4×R(4つのトンネルバリア)となる。
【0359】
さらに、8つのユニットのうちの2つが基本ユニットで、他の6つがダミーユニットであるTMR素子の抵抗値は、2×R(2つのトンネルバリア)となり、8つのユニットのうちの1つが基本ユニットで、他の7つがダミーユニットであるTMR素子の抵抗値は、R(1つのトンネルバリア)となる。
【0360】
非磁性金属を挟んだ2つの強磁性層間の抵抗値は、トンネルバリアを挟んだ2つの強磁性層間の抵抗値よりも十分に小さい。このため、TMR素子を構成するユニット(基本ユニット及びダミーユニットの合計)の数を同じにして、全てのTMR素子の厚さを同じにすると共に、1ブロック内のTMR素子の抵抗値の比を、例えば、1:2:4:8にすることができる。
【0361】
基本ユニットのトンネルバリアは、例えば、アルミナから構成される。アルミナは、アルミニウムを酸化することにより形成されるものである。
【0362】
よって、アルミニウムを形成した後、このアルミニウムを酸化することなく、ユニットを形成すれば、そのユニットは、ダミーユニットとなる。また、アルミニウムを形成した後、このアルミニウムを酸化してアルミナとすれば、最終的に完成するユニットは、抵抗値Rの基本ユニットとなる。
【0363】
図49は、TMR素子MTJ1の例を示している。
TMR素子MTJ1は、8つのユニットから構成される。8つのユニットのうちの1つは、トンネルバリアを有する基本ユニットであり、残りの7つは、トンネルバリアを有しない(非磁性金属を有する)ダミーユニットである。
【0364】
よって、この構造により実現されるTMR素子MTJ1の抵抗値は、ユニット(又はトンネルバリア)1つ分の抵抗値Rとなる。
【0365】
図50は、TMR素子MTJ2の例を示している。
TMR素子MTJ2は、8つのユニットから構成される。8つのユニットのうちの2つは、トンネルバリアを有する基本ユニットであり、残りの6つは、トンネルバリアを有しない(非磁性金属を有する)ダミーユニットである。
【0366】
よって、この構造により実現されるTMR素子MTJ2の抵抗値は、ユニット(又はトンネルバリア)2つ分の抵抗値2×Rとなる。
【0367】
図51は、TMR素子MTJ3の例を示している。
TMR素子MTJ3は、8つのユニットから構成される。8つのユニットのうちの4つは、トンネルバリアを有する基本ユニットであり、残りの4つは、トンネルバリアを有しない(非磁性金属を有する)ダミーユニットである。
【0368】
よって、この構造により実現されるTMR素子MTJ3の抵抗値は、ユニット(又はトンネルバリア)4つ分の抵抗値4×Rとなる。
【0369】
図52は、TMR素子MTJ4の例を示している。
TMR素子MTJ4は、8つのユニットから構成される。8つのユニットの全ては、トンネルバリアを有する基本ユニットである。
【0370】
よって、この構造により実現されるTMR素子MTJ4の抵抗値は、ユニット(又はトンネルバリア)8つ分の抵抗値8×Rとなる。
【0371】
・ その他
本例では、ブロック内の複数のTMR素子の磁化状態を全て同じとした場合に、そのブロック内の複数のTMR素子の抵抗値を、トンネルバリアの数を変えることにより、互いに異なるものとした。
【0372】
但し、この構造は、一例であり、種々の変更が可能である。例えば、図49乃至図52のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3に関しては、トンネルバリアの数が変わらなければ、トンネルバリアを有する基本ユニットの位置や非磁性金属を有するダミーユニットの位置は、任意に変えることができる。
【0373】
(3) まとめ
以上、TMR素子の構造例について説明したが、本発明(回路構造、デバイス構造、読み出し動作原理、読み出し回路及び製造方法)に関しては、TMR素子の構造は、特に、限定されるものではない。上述した構造例は、単に、TMR素子の構造の代表例として、示したに過ぎない。
【0374】
4. 読み出し動作原理
磁気ランダムアクセスメモリでは、選択されたTMR素子のデータのみを読み出せる場合には、▲1▼ 読み出しデータをセンスアンプにより検出する通常の読み出し動作原理が適用される。また、ブロック内の全てのTMR素子のデータが混在した形で読み出される場合(読み出しビット線を共有する場合)には、▲2▼ いわゆる破壊読み出し動作原理、又は、▲3▼ 一括読み出し動作原理が適用される。
【0375】
なお、破壊読み出し動作原理を適用できる磁気ランダムアクセスメモリについては、例えば、特願2001−350013号に詳細に記載されている。一括読み出し動作原理を適用できる磁気ランダムアクセスメモリについては、例えば、特願2001−365236号に詳細に記載されている。
【0376】
5. 読み出し回路
本発明の読み出し動作原理を実現するための読み出し回路の回路例について説明する。
【0377】
(1) 破壊読み出し動作原理を適用する場合
▲1▼ 回路例1
図53は、磁気ランダムアクセスメモリの読み出し回路の回路例1を示している。
複数のTMR素子は、互いに並列接続され、その一端は、接地点に接続され、その他端は、カラム選択スイッチとしてのNチャネルMOSトランジスタN7(SW)を経由して、ノードn1に接続される。図示するTMR素子のグループは、参考例、改良例1,2,5では、1カラム分に相当し、改良例3,4,6では、1カラム内の1ブロック分に相当する。
【0378】
ノードn1の電位は、クランプ回路によりクランプ電位Vclampに設定される。クランプ回路は、オペアンプOP1とNチャネルMOSトランジスタN8とから構成される。
【0379】
NチャネルMOSトランジスタN8は、ノードn1とカレントミラー回路M1との間に配置される。オペアンプOP1は、例えば、ノードn1の電位がクランプ電位Vclampに等しくなるように、NチャネルMOSトランジスタN8のゲート電位を制御する。
【0380】
クランプ回路の役割は、1カラム内又は1ブロック内のTMR素子の両端の間の電圧を調整することにある。
【0381】
即ち、例えば、TMR素子の一端に接地電位が与えられている場合に、TMR素子の他端の電位が大きくなり過ぎると、TMR素子のMR比が小さくなる。TMR素子のMR比が小さいということは、“1”状態のTMR素子の抵抗値と“0”状態のTMR素子の抵抗値との差が小さいことを意味する。つまり、読み出し時の“1”、“0”判定のためのマージンが小さくなる。
【0382】
これを防ぐため、本例では、クランプ回路を用いて、TMR素子の他端の電位、即ち、TMR素子の両端の間の電圧を調整し、TMR素子のMR比が小さくならないようにする。
【0383】
カレントミラー回路M1は、複数のTMR素子に流れる読み出し電流の合計値に等しい電流を、NチャネルMOSトランジスタN9に流す役割を果たす。この時のノードn2の電位(例えば、イニシャルデータ)は、トランスファゲート回路TG1により、記憶回路43に記憶される。
【0384】
トランスファゲート回路TG1のオン/オフは、制御信号READ1S,bREAD1Sにより制御される。制御信号READ1Sは、1回目の読み出し動作時(イニシャルデータの読み出し時)に“H”となる信号である。なお、制御信号bREAD1Sは、制御信号READ1Sの値と逆の値を有する反転信号である。
【0385】
制御信号READ1Sが“H”の時(1回目の読み出し動作時)、ノードn2の電位は、トランスファゲート回路TG1を経由して、インバータ回路I7に入力される。インバータ回路I7の出力信号は、オペアンプOP2のマイナス側入力端子に入力される。オペアンプOP2の出力信号は、インバータ回路I8に入力され、インバータ回路I8の出力信号は、オペアンプOP2のプラス側入力端子に入力される。
【0386】
オペアンプOP2は、そのマイナス側入力端子に入力される入力電位とそのプラス側入力端子に入力される入力電位とが互いに等しくなるように、例えば、インバータ回路I8内のNチャネルMOSトランジスタのゲート電位を制御する。従って、結果として、オペアンプOP2の出力信号を受けるインバータ回路I8に流れる電流が、イニシャルデータ(セルデータ)となる。
【0387】
トランスファゲート回路TG2は、オペアンプOP2の出力端子とインバータ回路I7の入力端子との間に接続される。1回目の読み出し動作が終わると、制御信号READ1Sは、“L”となり、制御信号bREAD1Sは、“H”となる。その結果、イニシャルデータは、記憶回路43内にラッチされる。
【0388】
センスアンプSAのプラス側入力端子は、ノードn2に接続され、そのマイナス側入力端子は、オペアンプOP2の出力端子n3に接続される。選択されたTMR素子のデータを判定するとき、センスアンプSAは、ノードn2の電位とオペアンプOP2の出力端子n3の電位とを比較する。
【0389】
即ち、ノードn1の電位は、2回目の読み出し結果(比較データ)を表し、オペアンプOP2の出力端子n3の電位は、1回目読み出し結果(イニシャルデータ)を表している。
【0390】
ところで、1カラム内又は1ブロック内の並列接続されるTMR素子の数が多くなると、読み出し電流の値に対する信号電流の値が非常に小さくなり、センスアンプによりこの微小な信号電流を検出することが困難となる。
【0391】
そこで、本例では、付加電流生成部42を設けている。
【0392】
付加電流生成部42は、電流源Isを有する。この電流源Isにより発生した定電流は、カレントミラー回路M2により、TMR素子に供給される。
【0393】
つまり、回路例6では、1カラム内又は1ブロック内の並列接続されるTMR素子に流れるセル電流をIcellとすると、カレントミラー回路M1に流れる電流、即ち、NチャネルMOSトランジスタN9に流れる電流Isenseは、Isense = Icell−Isとなる。
【0394】
これにより、読み出し電流の値に対する信号電流の値を大きくすることができるため、センスアンプによる信号電流の検出感度を向上できる。
【0395】
▲2▼ 回路例2
図54は、磁気ランダムアクセスメモリの読み出し回路の回路例2を示している。
この回路例2は、回路例1の変形例である。回路例2は、回路例1と比較すると、記憶回路43に特徴を有する。即ち、回路例1では、記憶回路43は、2つのインバータ回路I7,I8とオペアンプOP2を有していたが、回路例2では、記憶回路43は、オペアンプを有しておらず、4段のカレントミラー回路I9,I9’,I10,I11を有している。
【0396】
即ち、回路例2では、オペアンプを用いることなく、カレントミラー回路を用いて、記憶回路43にイニシャルデータをラッチしている。
【0397】
例えば、1回目の読み出し動作時(イニシャルデータの読み出し時)、制御信号READ1Sは、“H”となるため、ノードn1の電位(イニシャルデータ)は、4段のカレントミラー回路I9,I9’,I10,I11からなる記憶回路43に転送される。
【0398】
即ち、I9,I9’,I10,I11は、カレントミラー回路を構成しているため、各段において電源端子から接地端子へ流れる電流は、同じ値となる。従って、カレントミラー回路I9,I9’,I10,I11を構成するMOSトランジスタが飽和領域で動作するように設計すれば、カレントミラー回路I9内のNチャネルMOSトランジスタのゲート電位、即ち、ノードn1の電位は、ノードn3に転送される。
【0399】
1回目の読み出し動作が終わると、制御信号READ1Sは、“L”となり、制御信号bREAD1Sは、“H”となるため、ノードn3に転送されたイニシャルデータは、記憶回路43内にラッチされる。
【0400】
▲3▼ 回路例3
図55は、磁気ランダムアクセスメモリの読み出し回路の回路例3を示している。
この回路例3も、回路例1の変形例であり、回路例1と比較すると、記憶回路43に特徴を有する。即ち、回路例3では、記憶回路43は、キャパシタC1から構成される。
【0401】
本例では、例えば、ノードn2の電位(イニシャルデータ)をキャパシタC1にダイナミックに記憶する。このため、例えば、1回目の読み出しから2回目の読み出しまでの期間を、キャパシタC1がデータを保持し続ける期間よりも短くする必要がある。
【0402】
キャパシタC1がデータを保持し続ける期間は、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)の分野で十分に研究されているように、例えば、数m秒である。従って、1回目の読み出しから2回目の読み出しまでの期間を数m秒よりも短くすれば、記憶回路43にキャパシタC1を使用することもできる。
【0403】
▲4▼ センスアンプの具体例
回路例1,2,3に使用されるセンスアンプSAの具体例について述べる。センスアンプSAの構成は、破壊読み出し動作時に、選択されたTMR素子に書き込む試行データの値によって決定される。
【0404】
・ 試行データが“1”の場合
図56は、試行データが“1”の場合のセンスアンプの一例を示している。 センスアンプSAは、例えば、3つの差動アンプDI1,DI2,DI3とNAND回路ND5とから構成される。
【0405】
初段の差動アンプDI1は、図53乃至図55のノードn2の電位(例えば、比較データ)とノードn3の電位(例えば、イニシャルデータ)とを比較する。差動アンプDI1は、2つの入力電位に基づいて、2つの出力電位を出力する。差動アンプDI1の2つの出力電位の差は、2つの入力電位の差に基づいて決定される。
【0406】
差動アンプDI2のプラス側入力端子には、ノードn2の電位に基づく電位が入力され、そのマイナス側入力端子には、基準電位VrefHが入力される。差動アンプDI2は、プラス側入力端子に入力される電位が基準電位VrefHよりも大きいときは、“H”を出力し、それよりも小さいときは、“L”を出力する。
【0407】
差動アンプDI3のマイナス側入力端子には、ノードn3の電位に基づく電位が入力され、そのプラス側入力端子には、基準電位VrefLが入力される。差動アンプDI3は、マイナス側入力端子に入力される電位が基準電位VrefLよりも小さいときは、“H”を出力し、それよりも大きいときは、“L”を出力する。
【0408】
例えば、選択されたTMR素子のデータが“0”、試行データが“1”のときには、2回目の読み出し動作で読み出された比較データ、即ち、ノードn2の電位は、1回目の読み出し動作で読み出されたイニシャルデータ、即ち、ノードn3の電位よりも高くなる。
【0409】
この時、差動アンプDI2のプラス側入力端子に入力される電位は、そのマイナス側入力端子に入力される基準電位VrefHよりも高くなるため、差動アンプDI2の出力信号は、“H”となる。また、差動アンプDI3のマイナス側入力端子に入力される電位は、そのプラス側入力端子に入力される基準電位VrefLよりも低くなるため、差動アンプDI3の出力信号も、“H”となる。
【0410】
従って、NAND回路ND5の出力信号は、“L”、即ち、センスアンプSAの出力信号は、“0”となる(“L”=“0”)。つまり、選択されたTMR素子のデータが“0”であると判断される。
【0411】
また、例えば、選択されたTMR素子のデータが“1”、試行データが“1”のときには、2回目の読み出し動作で読み出された比較データ、即ち、ノードn2の電位と、1回目の読み出し動作で読み出されたイニシャルデータ、即ち、ノードn3の電位とは、実質的に、同じとなる。
【0412】
この時、差動アンプDI1は、ノードn2,n3の微小な電位差に基づいて、2つの出力電位を出力する。
【0413】
しかし、差動アンプDI2のプラス側入力端子に入力される電位は、そのマイナス側入力端子に入力される基準電位VrefHよりも高くなることはないため、差動アンプDI2の出力信号は、“L”となる。また、差動アンプDI3のマイナス側入力端子に入力される電位は、そのプラス側入力端子に入力される基準電位VrefLよりも低くなることはないため、差動アンプDI3の出力信号も、“L”となる。
【0414】
従って、NAND回路ND5の出力信号は、“H”、即ち、センスアンプSAの出力信号は、“1”となる(“H”=“1”)。つまり、選択されたTMR素子のデータが“1”であると判断される。
【0415】
図57は、図56のセンスアンプの初段の差動アンプの一例を示している。
【0416】
この差動アンプDI1の特徴は、2つの出力端子の間に適当な抵抗値を有する抵抗Rrを接続した点にある。
【0417】
このように、差動アンプDI1の2つの出力端子の間に抵抗を接続することにより、選択されたTMR素子のデータと試行データとが同じである場合、即ち、2つの入力電位にほとんど差がないような場合には、差動アンプDI1は、その差を増幅して出力しない。差動アンプDI1は、2つの入力電位に明らかな差がある場合のみに、その差を増幅して出力する。
【0418】
図58は、図56のセンスアンプの初段の差動アンプの他の例を示している。
【0419】
この差動アンプDI1の特徴は、2つの出力端子の間にデプレッションタイプMOSトランジスタQDを接続した点にある。
【0420】
デプレッションタイプMOSトランジスタQDは、図46の抵抗Rrと同じ機能を有する。つまり、選択されたTMR素子のデータと試行データとが同じである場合、即ち、2つの入力電位にほとんど差がないような場合には、差動アンプDI1は、その差を増幅して出力しない。差動アンプDI1は、2つの入力電位に明らかな差がある場合のみに、その差を増幅して出力する。
【0421】
・ 試行データが“0”の場合
図59は、試行データが“0”の場合のセンスアンプの一例を示している。 センスアンプSAは、例えば、3つの差動アンプDI1,DI2,DI3とNOR回路NR3とから構成される。
【0422】
初段の差動アンプDI1は、図53乃至図55のノードn2の電位(例えば、比較データ)とノードn3の電位(例えば、イニシャルデータ)とを比較する。差動アンプDI1は、2つの入力電位に基づいて、2つの出力電位を出力する。差動アンプDI1の2つの出力電位の差は、2つの入力電位の差に基づいて決定される。
【0423】
差動アンプDI2のプラス側入力端子には、ノードn2の電位に基づく電位が入力され、そのマイナス側入力端子には、基準電位VrefLが入力される。差動アンプDI2は、プラス側入力端子に入力される電位が基準電位VrefLよりも小さいときは、“L”を出力し、それよりも大きいときは、“H”を出力する。
【0424】
差動アンプDI3のマイナス側入力端子には、ノードn3の電位に基づく電位が入力され、そのプラス側入力端子には、基準電位VrefHが入力される。差動アンプDI3は、マイナス側入力端子に入力される電位が基準電位VrefHよりも大きいときは、“L”を出力し、それよりも小さいときは、“H”を出力する。
【0425】
例えば、選択されたTMR素子のデータが“1”、試行データが“0”のときには、2回目の読み出し動作で読み出された比較データ、即ち、ノードn2の電位は、1回目の読み出し動作で読み出されたイニシャルデータ、即ち、ノードn3の電位よりも低くなる。
【0426】
この時、差動アンプDI2のプラス側入力端子に入力される電位は、そのマイナス側入力端子に入力される基準電位VrefLよりも低くなるため、差動アンプDI2の出力信号は、“L”となる。また、差動アンプDI3のマイナス側入力端子に入力される電位は、そのプラス側入力端子に入力される基準電位VrefHよりも高くなるため、差動アンプDI3の出力信号も、“L”となる。
【0427】
従って、NOR回路NR3の出力信号は、“H”、即ち、センスアンプSAの出力信号は、“1”となる(“H”=“1”)。つまり、選択されたTMR素子のデータが“1”であると判断される。
【0428】
また、例えば、選択されたTMR素子のデータが“0”、試行データが“0”のときには、2回目の読み出し動作で読み出された比較データ、即ち、ノードn2の電位と、1回目の読み出し動作で読み出されたイニシャルデータ、即ち、ノードn3の電位とは、実質的に、同じとなる。
【0429】
この時、差動アンプDI1は、ノードn2,n3の微小な電位差に基づいて、2つの出力電位を出力する。
【0430】
しかし、差動アンプDI2のプラス側入力端子に入力される電位は、そのマイナス側入力端子に入力される基準電位VrefLよりも低くなることはないため、差動アンプDI2の出力信号は、“H”となる。また、差動アンプDI3のマイナス側入力端子に入力される電位は、そのプラス側入力端子に入力される基準電位VrefHよりも高くなることはないため、差動アンプDI3の出力信号も、“H”となる。
【0431】
従って、NAND回路ND5の出力信号は、“L”、即ち、センスアンプSAの出力信号は、“0”となる(“L”=“0”)。つまり、選択されたTMR素子のデータが“0”であると判断される。
【0432】
なお、図59のセンスアンプの初段の差動アンプDI1に関しても、図57又は図58に示すような構成を有する差動アンプDI1を用いることができる。
【0433】
これにより、選択されたTMR素子のデータと試行データとが同じである場合、即ち、2つの入力電位にほとんど差がないような場合には、センスアンプは、その差を増幅して出力しない。センスアンプは、2つの入力電位に明らかな差がある場合のみに、その差を増幅して出力する。
【0434】
▲5▼ オペアンプの具体例
図60は、図53乃至図55のオペアンプOP1の具体例を示している。
【0435】
オペアンプOP1のプラス側入力端子には、クランプ電位Vclampが入力され、そのマイナス側入力端子には、ノードn1の電位が入力される。イネーブル信号Enableが“H”になると、ノードn1の電位がクランプ電位Clampに等しくなるような出力信号Outが出力される。
【0436】
図61は、図53のオペアンプOP2の具体例を示している。
【0437】
オペアンプOP2のプラス側入力端子には、図53のインバータ回路I8の出力信号が入力され、そのマイナス側入力端子には、インバータ回路I7の出力信号が入力される。イネーブル信号Enableが“H”になると、インバータ回路I7の出力信号がインバータ回路I8の出力信号に等しくなるような出力信号Outが出力される。
【0438】
▲6▼ 付加電流生成部の電流源の具体例
図62は、付加電流生成部の電流源の一例を示している。
付加電流生成部42の電流源Isは、例えば、メモリセルアレイ部と同じ構成にすることができる。即ち、電流源Isは、並列接続された複数のTMR素子、クランプ回路及びNチャネルMOSトランジスタから構成できる。
【0439】
ここで、電流源Is内のTMR素子の数は、メモリセルアレイの1カラム内又は1ブロック内の並列接続されるTMR素子の数よりも少なくしておくことが好ましい。
【0440】
なお、本例では、付加電流生成部42を構成するに当たって、TMR素子を利用したが、例えば、これに代えて、BGR回路などを利用してもよい。
【0441】
▲7▼ 回路例1,2,3の動作
・ 1回目の読み出し動作
1回目の読み出し動作では、イニシャルデータの読み出しが行われる。
【0442】
カラムアドレス信号が入力され、カラム選択スイッチN7(SW)がオン状態になる。また、オペアンプOP1は、ノードn1の電位がクランプ電位Vclampに等しくなるように、NチャネルMOSトランジスタN8のゲート電位を制御する。
【0443】
この時、読み出し電流は、電源端子VDDから、トランジスタM7,M8及び複数のTMR素子を経由して、接地点に流れ込む。カレントミラー回路M1は、この読み出し電流に等しい電流を、NチャネルMOSトランジスタN9に流す役割を果たす。
【0444】
従って、複数のTMR素子の合成抵抗に応じた電位(イニシャルデータ)がノードn2に表れる。
【0445】
また、制御信号READ1Sは、1回目の読み出し動作時においては、“H”となっている。つまり、トランスファゲート回路TG1は、オン状態、トランスファゲート回路TG2は、オフ状態となっている。このため、ノードn2の電位は、トランスファゲート回路TG1を経由して、記憶回路43に入力される。
【0446】
図53の例では、オペアンプOP2は、そのマイナス側入力電位とそのプラス側入力電位とが互いに等しくなるように、インバータ回路I8内のNチャネルMOSトランジスタのゲート電位を制御する。結果として、インバータ回路I8に流れる電流が、イニシャルデータ(セルデータ)となる。
【0447】
図54の例では、インバータ回路I11の出力ノードn3の電位が、イニシャルデータ(セルデータ)となる。図55の例では、キャパシタC1の一端n3の電位が、イニシャルデータ(セルデータ)となる。
【0448】
1回目の読み出し動作が終わると、制御信号READ1Sは、“L”となり、制御信号bREAD1Sは、“H”となる。その結果、イニシャルデータは、記憶回路43内にラッチされる。
【0449】
・ 2回目の読み出し動作及びデータ判定動作
選択されたTMR素子に試行データを書き込んだ後(通常の破壊読み出し動作)又は書き込むと同時に(改良された破壊読み出し動作)、2回目の読み出し動作が行われ、比較データが読み出される。
【0450】
カラムアドレス信号が入力され、カラム選択スイッチN7(SW)がオン状態になる。また、オペアンプOP1は、ノードn1の電位がクランプ電位Vclampに等しくなるように、NチャネルMOSトランジスタN8のゲート電位を制御する。
【0451】
この時、読み出し電流は、電源端子VDDから、トランジスタM7,M8及び複数のTMR素子を経由して、接地点に流れ込む。カレントミラー回路M1は、この読み出し電流に等しい電流を、NチャネルMOSトランジスタN9に流す役割を果たす。
【0452】
従って、複数のTMR素子の合成抵抗に応じた電位(比較データ)がノードn2に表れる。
【0453】
この時、センスアンプSAのプラス側入力端子には、ノードn2の電位が入力され、そのマイナス側入力端子には、記憶回路43のノードn3の電位が入力される。その結果、センスアンプSAは、ノードn2の電位とノードn3の電位とに基づいて、選択されたTMR素子のデータの値を判定する。
【0454】
(2) 一括読み出し動作原理を適用する場合
一括読み出し動作原理では、読み出し動作時に、読み出しブロック内の複数のTMR素子の合成抵抗値に応じた読み出し電位Vtotalが読み出しビット線BLjに現れる。この合成抵抗値は、読み出しブロック内のTMR素子の数がN(Nは、複数)個の場合に、TMR素子のデータ値の組合せ数に相当する2通りだけ存在する。
【0455】
従って、読み出しビット線BLjに現れた読み出し電位Vtotalを読み出し回路(センスアンプを含む)で検出すれば、読み出しブロック内のTMR素子のデータを、一度に、かつ、容易に、読み出すことができる。
【0456】
▲1▼ センスアンプ
図63は、本発明に関わる読み出し回路の回路例を示している。
この読み出し回路は、センスアンプとしてのアナログ/デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)から構成される。
【0457】
直列接続された4つのTMR素子からなるブロックBKjnの一端は、NチャネルMOSトランジスタSWA及びPチャネルMOSトランジスタPx2を経由して電源端子に接続され、他端は、接地端子に接続される。ブロックBKjn内の4つのTMR素子は、直列接続に代えて、並列接続してもよい。
【0458】
第1電流経路は、電源端子から、MOSトランジスタPx2,SWA及び複数のTMR素子を経由して、接地端子までの経路をいうものとする。
【0459】
抵抗値ΔRを有する14個の抵抗素子の一端は、PチャネルMOSトランジスタPx3を経由して電源端子に接続され、他端は、抵抗値15R+ΔR/2を有する抵抗素子を経由して、接地端子に接続される。第2電流経路は、電源端子から、MOSトランジスタPx3及び複数の抵抗素子を経由して、接地端子までの経路をいうものとする。
【0460】
ここで、R及びΔRは、読み出し動作原理の欄で説明したR及びΔRと同じ意味を有するものとする。
【0461】
PチャネルMOSトランジスタPx1,Px2,Px3は、カレントミラー回路を構成している。このため、定電流源Ixにより生成される定電流は、上述の第1及び第2電流経路に流れる。
【0462】
第1電流経路に流れる電流は、読み出し電流となり、この読み出し電流は、複数のTMR素子に流れる。その結果、ノードnrには、ブロックBKjn内のTMR素子のデータ値(合成抵抗値)に応じた読み出し電位Vtotalが現れる。一方、第2電流経路に電流が流れると、各抵抗素子の接続点nx0,nx1,・・・nx13,nx14に所定の基準電位が現れる。
【0463】
差動アンプDI0,DI2,・・・DI13,DI14は、ノードnrの読み出し電位Vtotalと所定の基準電位とを比較し、その比較結果を出力信号O0b1,O1b2,・・・O13b14,O14b15として出力する。
【0464】
例えば、差動アンプDI0のプラス側入力端子には、ノードnx0の基準電位が入力され、そのマイナス側入力端子には、ノードnrの読み出し電位Vtotalが入力される。同様に、差動アンプDI1のプラス側入力端子には、ノードnx1の基準電位が入力され、そのマイナス側入力端子には、ノードnrの読み出し電位Vtotalが入力され、差動アンプDI14のプラス側入力端子には、ノードnx14の基準電位が入力され、そのマイナス側入力端子には、ノードnrの読み出し電位Vtotalが入力される。
【0465】
なお、センスアンプの詳しい動作については、特願2001−365236号に開示されているので、ここでは、省略する。
【0466】
▲2▼ ロジック回路
次に、センスアンプ(A/Dコンバータ)の出力信号O0b1,O1b2,・・・O13b14,O14b15に基づいて、実際に、読み出しブロック内のTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4のデータ値を判定するロジック回路について説明する。
【0467】
図64は、A/Dコンバータの出力信号に基づいてTMR素子MTJ4のデータ値を判定するロジック回路の一例を示している。
【0468】
TMR素子MTJ4のデータ値は、A/Dコンバータの出力信号O0b1,O1b2,・・・O13b14,O14b15のうち、出力信号O7b8に基づいて判断される。
【0469】
TMR素子MTJ4のデータ値は、上述したように、出力信号O7b8の値のみから判断できるため、TMR素子MTJ4のデータ値を判定するロジック回路は、直列接続されたインバータIV1,IV2から構成される。
【0470】
図65は、A/Dコンバータの出力信号に基づいてTMR素子MTJ3のデータ値を判定するロジック回路の一例を示している。
【0471】
TMR素子MTJ3のデータ値は、A/Dコンバータの出力信号O0b1,O1b2,・・・O13b14,O14b15のうち、出力信号O3b4,O7b8,O11b12に基づいて判断される。
【0472】
TMR素子MTJ3のデータ値は、上述したように、出力信号O3b4,O7b8,O11b12の値から判断できるため、TMR素子MTJ3のデータ値を判定するロジック回路は、インバータIV3,IV4及びNORゲート回路NR1,NR2から構成される。
【0473】
例えば、O3b4=“1”のときは、TMR素子MTJ3のデータ値は、“1”と判断される。また、O3b4=“0”,O7b8=“1”のときは、TMR素子MTJ3のデータ値は、“0”と判断され、O3b4=“0”,O7b8=“0”,O11b12=“1”のときは、TMR素子MTJ3のデータ値は、“1”と判断され、O3b4=“0”,O7b8=“0”,O11b12=“0”のときは、TMR素子MTJ3のデータ値は、“0”と判断される。
【0474】
図66は、A/Dコンバータの出力信号に基づいてTMR素子MTJ2のデータ値を判定するロジック回路の一例を示している。
【0475】
TMR素子MTJ2のデータ値は、A/Dコンバータの出力信号O0b1,O1b2,・・・O13b14,O14b15のうち、出力信号O1b2,O3b4,O5b6,O7b8,O9b10,O11b12,O13b14に基づいて判断される。
【0476】
TMR素子MTJ2のデータ値を判定するロジック回路は、インバータIV5,IV6,IV7,IV8及びNORゲート回路NR3,NR4,NR5,NR6から構成される。
【0477】
例えば、O1b2=“1”のときは、TMR素子MTJ2のデータ値は、“1”と判断される。また、O1b2=“0”,O3b4=“1”のときは、TMR素子MTJ2のデータ値は、“0”と判断され、O1b2=“0”,O3b4=“0”,O5b6=“1”のときは、TMR素子MTJ2のデータ値は、“1”と判断される。
【0478】
図67は、A/Dコンバータの出力信号に基づいてTMR素子MTJ1のデータ値を判定するロジック回路の一例を示している。
【0479】
TMR素子MTJ1のデータ値は、A/Dコンバータの全ての出力信号O0b1,O1b2,・・・O13b14,O14b15に基づいて判断される。
【0480】
TMR素子MTJ1のデータ値を判定するロジック回路は、インバータIV9,IV10,IV11,IV12,IV13,IV14,IV15,IV16及びNORゲート回路NR7,NR8,NR9,NR10,NR11,NR12,NR13,NR14から構成される。
【0481】
例えば、O0b1=“1”のときは、TMR素子MTJ1のデータ値は、“1”と判断される。また、O0b1=“0”,O1b2=“1”のときは、TMR素子MTJ1のデータ値は、“0”と判断され、O0b1=“0”,O1b2=“0”,O2b3=“1”のときは、TMR素子MTJ1のデータ値は、“1”と判断される。
【0482】
なお、A/Dコンバータの出力信号O0b1,O1b2,・・・O13b14,O14b15の出力信号のパターンは、全て“1”の場合、全て“0”の場合、及び、“0”と“1”が存在する場合の3通りとなる。
【0483】
また、“0”と“1”が存在する場合には、常に、“0”と“1”の境界が存在し、その境界の一方側の出力信号は、全て、“0”、他方側の出力信号は、全て、“1”となる。
【0484】
6. 読み出し回路以外の回路例
読み出し回路以外の回路例、即ち、書き込みワード線ドライバ/シンカーの回路例、書き込みビット線ドライバ/シンカーの回路例、読み出しワード線ドライバの回路例、及び、カラムデコーダの回路例について説明する。
【0485】
(1) 書き込みワード線ドライバ/シンカー
図68は、書き込みワード線ドライバ/シンカーの回路例を示している。
本例では、「2.セルアレイ構造」の欄で説明したように、1ロウ内には、4段に積み重ねされたTMR素子と3本の書き込みワード線が存在することを前提とする。同図では、書き込みワード線ドライバ/シンカーの1ロウ分のみを示している。
【0486】
書き込みワード線ドライバ23A−0は、PチャネルMOSトランジスタQP15,QP16,QP17及びNANDゲート回路ND1,ND2,ND3を含んでいる。書き込みワード線シンカー24−0は、NチャネルMOSトランジスタQN15,QN16,QN17から構成される。
【0487】
PチャネルMOSトランジスタQP15は、電源端子と上段の書き込みワード線WWL2との間に接続される。NANDゲート回路ND1の出力信号は、PチャネルMOSトランジスタQP15のゲートに供給される。NチャネルMOSトランジスタQN15は、上段の書き込みワード線WWL2と接地端子の間に接続される。
【0488】
NANDゲート回路ND1の出力信号が“0”のとき、書き込みワード線WWL2に書き込み電流が流れる。
【0489】
PチャネルMOSトランジスタQP16は、電源端子と中段の書き込みワード線WWL1との間に接続される。NANDゲート回路ND2の出力信号は、PチャネルMOSトランジスタQP16のゲートに供給される。NチャネルMOSトランジスタQN16は、中段の書き込みワード線WWL1と接地端子の間に接続される。
【0490】
NANDゲート回路ND2の出力信号が“0”のとき、書き込みワード線WWL1に書き込み電流が流れる。
【0491】
PチャネルMOSトランジスタQP17は、電源端子と下段の書き込みワード線WWL0との間に接続される。NANDゲート回路ND3の出力信号は、PチャネルMOSトランジスタQP17のゲートに供給される。NチャネルMOSトランジスタQN17は、下段の書き込みワード線WWL0と接地端子の間に接続される。
【0492】
NANDゲート回路ND3の出力信号が“0”のとき、書き込みワード線WWL0に書き込み電流が流れる。
【0493】
NORゲート回路NR15及びエクスクルーシブORゲート回路Ex−OR1には、それぞれ複数ビットのロウアドレス信号のうちの下位2ビットが入力される。この下位2ビットは、選択されたロウ内の3本の書き込みワード線WWL0,WWL1,WWL2のうちの1本を選択するために使用される。
【0494】
NORゲート回路NR15の出力信号は、NANDゲート回路ND1に入力され、エクスクルーシブORゲート回路Ex−OR1の出力信号は、NANDゲート回路ND2に入力される。
【0495】
このような書き込みワード線ドライバ/シンカーにおいては、書き込み動作時、書き込み信号WRITEは、“1”となる。また、複数ビットのロウアドレス信号のうち、下位2ビットを除く、上位ロウアドレス信号に基づいて、複数のロウのうちの1つが選択される。選択されたロウでは、上位ロウアドレス信号の全てのビットは、“1”となる。
【0496】
選択されたロウでは、複数ビットのロウアドレス信号のうち、下位2ビットRA0,RA1に基づいて、書き込みワード線WWL0,WWL1,WWL2に書き込み電流を流すか否を決定する。
【0497】
例えば、書き込み動作時、選択されたロウでは、RA0=“0”,RA1=“0”となると、NANDゲート回路ND1の入力信号は、全て“1”となる。その結果、NANDゲート回路ND1の出力信号が“0”となり、PチャネルMOSトランジスタQP15がオン状態となり、書き込みワード線WWL2に書き込み電流が流れる。
【0498】
また、RA0=“1”,RA1=“1”となると、NANDゲート回路ND3の入力信号は、全て“1”となる。その結果、NANDゲート回路ND3の出力信号が“0”となり、PチャネルMOSトランジスタQP17がオン状態となり、書き込みワード線WWL0に書き込み電流が流れる。
【0499】
また、RA0とRA1が異なる値(一方が“0”で、他方が“1”)になると、NANDゲート回路ND2の入力信号は、全て“1”となる。その結果、NANDゲート回路ND2の出力信号が“0”となり、PチャネルMOSトランジスタQP16がオン状態となり、書き込みワード線WWL1に書き込み電流が流れる。
【0500】
(2) 書き込みビット線ドライバ/シンカー
図69は、書き込みビット線ドライバ/シンカーの回路例を示している。
本例では、1カラム内には、4段に積み重ねされたTMR素子と2本の書き込みビット線が存在することを前提とする。同図では、書き込みビット線ドライバ/シンカーの1カラム分のみを示している。
【0501】
書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aは、PチャネルMOSトランジスタQP18,QP19、NチャネルMOSトランジスタQN18,QN19、NANDゲート回路ND4,ND5、ANDゲート回路AD1,AD2、NORゲート回路NR16及びインバータIV17,IV18から構成される。
【0502】
書き込みビット線ドライバ/シンカー31は、PチャネルMOSトランジスタQP20,QP21、NチャネルMOSトランジスタQN20,QN21、NANDゲート回路ND6,ND7、ANDゲート回路AD3,AD4、NORゲート回路NR17及びインバータIV19,IV20から構成される。
【0503】
PチャネルMOSトランジスタQP18は、電源端子と下段の書き込みビット線BL01との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN18は、下段の書き込みビット線BL00と接地端子との間に接続される。PチャネルMOSトランジスタQP20は、電源端子と下段の書き込みビット線BL00との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN20は、下段の書き込みビット線BL00と接地端子との間に接続される。
【0504】
NANDゲート回路ND4の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD3の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0505】
NANDゲート回路ND6の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD1の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0506】
PチャネルMOSトランジスタQP19は、電源端子と上段の書き込みビット線BL01との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN19は、上段の書き込みビット線BL01と接地端子との間に接続される。PチャネルMOSトランジスタQP21は、電源端子と上段の書き込みビット線BL01との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN21は、上段の書き込みビット線BL01と接地端子との間に接続される。
【0507】
NANDゲート回路ND5の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD4の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0508】
NANDゲート回路ND7の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD2の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0509】
このような書き込みビット線ドライバ/シンカーにおいては、書き込み動作時、書き込み信号WRITEは、“1”となる。また、選択されたカラムでは、複数ビットのカラムアドレス信号の全ビットが“1”となる。
【0510】
また、本例では、複数ビットのロウアドレス信号のうちの1ビットRA1を用いて、1カラム内の2つの書き込みビット線BL00,BL01のうちの1つを選択する。例えば、RA1が“1”のときは、書き込みビット線BL00が選択され、RA1が“0”のときは、書き込みビット線BL00が選択される。
【0511】
また、選択されたカラム内の選択された書き込みビット線に流す書き込み電流の向きは、書き込みデータDATAの値に応じて決定される。
【0512】
例えば、書き込みビット線BL01が選択されているとき(RA1=“1”のとき)は、書き込みデータDATAが“1”であると、NANDゲート回路ND5の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD4の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01に、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0513】
また、書き込みビット線BL01が選択されているとき(RA1=“1”のとき)は、書き込みデータDATAが“0”であると、NANDゲート回路ND7の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD2の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01に、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0514】
また、書き込みビット線BL00が選択されているとき(RA1=“0”のとき)は、書き込みデータDATAが“1”であると、NANDゲート回路ND4の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD3の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL00に、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0515】
また、書き込みビット線BL00が選択されているとき(RA1=“0”のとき)は、書き込みデータDATAが“0”であると、NANDゲート回路ND6の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD1の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL00に、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0516】
なお、図2及び図3に示すようなデバイス構造を採用した場合、例えば、書き込みビット線BLj0は、2つのTMR素子MTJ1,MTJ2に共用される。ここで、TMR素子MTJ1から見ると、書き込みビット線BLj0は、その上方にあり、TMR素子MTJ2から見ると、書き込みビット線BLj0は、その下方にある。
【0517】
従って、例えば、書き込み電流の向きが、図1の書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向かう方向である場合、この書き込み電流により、TMR素子MTJ1が受ける磁場とTMR素子MTJ2が受ける磁場とは、互いに逆向きとなる。
【0518】
このように、1つの書き込みビット線を2つのTMR素子で共有する場合には、その書き込みビット線に流す書き込み電流の向きが同じであっても、2つのTMR素子に作用する磁場は、逆向きとなり、磁化方向も、互いに逆になる点に注意する必要がある。
【0519】
これは、例えば、図2及び図3のデバイス構造における2つのTMR素子MTJ3,MTJ4についても言えることである。
【0520】
各TMR素子MTJ1,MTJ2.MTJ3,MTJ4に関して、ピン層の磁化の向きを個別に設定し得る場合には、例えば、書き込みビット線BLj0の下方に存在するTMR素子MTJ1のピン層の磁化の向きと、書き込みビット線BLj0の上方に存在するTMR素子MTJ2のピン層の磁化の向きとを、互いに逆向きにすることにより、上述の読み出し動作原理及び読み出し回路で説明した論理をそのまま適用できる。
【0521】
即ち、ピン層の磁化方向と記憶層の磁化方向が同じ場合を“1”とし、ピン層の磁化方向と記憶層の磁化方向が異なる場合を“0”とすることができる。
【0522】
各TMR素子MTJ1,MTJ2.MTJ3,MTJ4に関して、ピン層の磁化の向きが全て同じである場合には、上述の読み出し動作原理及び読み出し回路で説明した論理をそのまま適用しようとすると、書き込み動作又は読み出し動作について、さらなる工夫が必要となる。
【0523】
例えば、書き込み動作時に、書き込みビット線の下方のTMR素子に対する書き込みと、書き込みビット線の上方のTMR素子に対する書き込みとを、時間をずらして別々に行うことにより、ピン層の磁化方向と記憶層の磁化方向が同じ場合を“1”とし、ピン層の磁化方向と記憶層の磁化方向が異なる場合を“0”とすることができる。
【0524】
書き込みビット線の下方のTMR素子の“1”/“0”の条件(ピン層の磁化方向と記憶層の磁化方向との関係)と、書き込みビット線の上方のTMR素子の“1”/“0”の条件が逆の場合には、読み出し動作時におけるデータを判定する論理を変える必要がある。
【0525】
(3) 読み出しワード線ドライバ
図70は、読み出しワード線ドライバの回路例を示している。
読み出しワード線ドライバ23B−0は、ANDゲート回路AD5から構成される。ANDゲート回路AD5には、読み出し信号READ及び上位ロウアドレス信号が入力される。
【0526】
読み出し信号は、読み出し動作時に、“1”となる信号である。上位ロウアドレス信号は、書き込みワード線ドライバ/シンカー(図68)における上位ロウアドレス信号と同じである。即ち、複数ビットのロウアドレス信号のうち、カラムの選択に使用する上位ロウアドレス信号に基づいて、読み出しワード線RWL0の電位を決定する。
【0527】
選択されたロウでは、上位ロウアドレス信号の全ビットは、“1”となるため、読み出しワード線RWL0の電位は、“1”となる。
【0528】
(4) カラムデコーダ
図71は、カラムデコーダの回路例を示している。
カラムデコーダ32は、ANDゲート回路AD6から構成される。ANDゲート回路AD6には、読み出し信号READ及びカラムアドレス信号が入力される。読み出し信号は、読み出し動作時に、“1”となる信号である。また、選択されたカラムでは、カラムアドレス信号の全ビットは、“1”となるため、カラム選択信号CSLjの電位は、“1”となる。
【0529】
(5) 構造例4,5の場合
▲1▼ 書き込みワード線ドライバ/シンカー
図72は、書き込みワード線ドライバ/シンカーの回路例を示している。
同図は、図68に対応させて、書き込みワード線ドライバ/シンカーの1ロウ分のみを示している。
【0530】
図68と図72を比較すれば分かるように、構造例4,5を採用した場合には、書き込みワード線ドライバ/シンカーが簡略化される。
【0531】
具体的には、図68の場合には、1ロウ内には、3本の書き込みワード線WWL0,WWL1,WWL2を駆動するための3つのドライバ/シンカーが必要であったが、図72の場合には、1ロウ内には、1本の書き込みワード線WWL0を駆動するための1つのドライバ/シンカーを設ければ足りる。
【0532】
書き込みワード線ドライバ23A−0は、PチャネルMOSトランジスタQP15及びNANDゲート回路ND1から構成される。書き込みワード線シンカー24−0は、NチャネルMOSトランジスタQN15から構成される。
【0533】
PチャネルMOSトランジスタQP15は、電源端子と書き込みワード線WWL0との間に接続される。NANDゲート回路ND1の出力信号は、PチャネルMOSトランジスタQP15のゲートに供給される。NチャネルMOSトランジスタQN15は、書き込みワード線WWL0と接地端子の間に接続される。
【0534】
NANDゲート回路ND1の出力信号が“0”のとき、書き込みワード線WWL0に書き込み電流が流れる。
【0535】
このような書き込みワード線ドライバ/シンカーにおいては、書き込み動作時、書き込み信号WRITEは、“1”となる。また、複数ビットのロウアドレス信号に基づいて、複数のロウのうちの1つが選択される。選択されたロウでは、上位ロウアドレス信号の全てのビットは、“1”となる。選択されたロウでは、書き込みワード線に書き込み電流が流れる。
【0536】
▲2▼ 書き込みビット線ドライバ/シンカー
図73は、書き込みビット線ドライバ/シンカーの回路例を示している。
同図は、図69に対応させて、書き込みワード線ドライバ/シンカーの1ロウ分のみを示している。
【0537】
図69と図73を比較すれば分かるように、構造例4,5を採用した場合には、書き込みビット線ドライバ/シンカーが簡略化される。
【0538】
具体的には、図69の場合には、1カラム内には、2本の書き込みビット線BL00,BL01を駆動するための2つのドライバ/シンカーが必要であったが、図73の場合には、1カラム内には、1本の書き込みビット線BL01を駆動するための1つのドライバ/シンカーを設ければ足りる。
【0539】
書き込みビット線ドライバ/シンカー31は、PチャネルMOSトランジスタQP19,QP21、NチャネルMOSトランジスタQN19,QN21、NANDゲート回路ND5,ND7、ANDゲート回路AD2,AD4及びインバータIV18,IV20から構成される。
【0540】
PチャネルMOSトランジスタQP19は、電源端子と書き込みビット線BL01との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN19は、書き込みビット線BL01と接地端子との間に接続される。PチャネルMOSトランジスタQP21は、電源端子と書き込みビット線BL01との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN21は、書き込みビット線BL01と接地端子との間に接続される。
【0541】
NANDゲート回路ND5の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD4の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL01には、PチャネルMOSトランジスタQP19からNチャネルMOSトランジスタQN21へ向う書き込み電流が流れる。
【0542】
NANDゲート回路ND7の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD2の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL01には、PチャネルMOSトランジスタQP21からNチャネルMOSトランジスタQN19へ向う書き込み電流が流れる。
【0543】
このような書き込みビット線ドライバ/シンカーにおいては、書き込み動作時、書き込み信号WRITEは、“1”となる。また、選択されたカラムでは、複数ビットのカラムアドレス信号の全ビットが“1”となる。
【0544】
また、選択されたカラム内の選択された書き込みビット線に流す書き込み電流の向きは、書き込みデータDATAの値に応じて決定される。
【0545】
例えば、書き込みデータDATAが“1”であると、NANDゲート回路ND5の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD4の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01に、PチャネルMOSトランジスタQP19からNチャネルMOSトランジスタQN21へ向う書き込み電流が流れる。
【0546】
また、書き込みデータDATAが“0”であると、NANDゲート回路ND7の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD2の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01に、PチャネルMOSトランジスタQP21からNチャネルMOSトランジスタQN19へ向う書き込み電流が流れる。
【0547】
7. 各TMR素子のピン層と記憶層の位置関係
構造例1〜6のように、例えば、書き込み線(書き込みワード線又は書き込みビット線)に対して、その上部と下部に、それぞれTMR素子を配置し、かつ、その書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁界を用いて、その上部又は下部にあるTMR素子にデータを書き込む場合、各TMR素子のピン層(固定層)と記憶層(自由層)の位置関係や、ピン層の磁化の向きなどについて検討する必要がある。
【0548】
なぜなら、各TMR素子のピン層と記憶層の位置関係や、書き込み線に流れる電流の向きなどによって、書き込み動作原理又は書き込み回路の構成が変わってくるためである。
【0549】
(1) 各TMR素子のピン層と記憶層の位置関係
図74に示すように、各TMR素子(MTJ素子)のピン層と記憶層の位置関係(相対関係)は、使用する書き込み線に対して対称となっていることが望ましい。
【0550】
例えば、書き込み線(書き込みワード線又は書き込みビット線)に対して、その上部と下部に、それぞれTMR素子を配置し、かつ、その書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁界を用いて、その上部又は下部にあるTMR素子にデータを書き込む場合、各TMR素子のピン層と記憶層の位置関係は、その書き込み線に対して対称となるように設定する。
【0551】
具体的には、書き込み線の下部のTMR素子の構造が、書き込み配線に近い側に記憶層が存在し、それに遠い側にピン層が存在する構造である場合には、書き込み線の上部のTMR素子の構造についても、書き込み配線に近い側に記憶層が存在し、それに遠い側にピン層が存在する構造となるようにする。
【0552】
同様に、書き込み線の下部のTMR素子の構造が、書き込み配線に近い側にピン層が存在し、それに遠い側に記憶層が存在する構造である場合には、書き込み線の上部のTMR素子の構造についても、書き込み配線に近い側にピン層が存在し、それに遠い側に記憶層が存在する構造となるようにする。
【0553】
なお、このような位置関係は、メモリセルアレイ内の全てのTMR素子に対して成立するようにする。また、メモリセルアレイ内の全ての書き込み線に対して、その上部に配置されるTMR素子とその下部に配置されるTMR素子は、互いに対称に配置されるようにする。
【0554】
このような位置関係にすれば、書き込み線から記憶層までの距離は、全てのTMR素子で実質的に等しくなる。つまり、書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁界の影響が全てのTMR素子で同じとなるため、全てのTMR素子の書き込み特性を同じにすることができる。
【0555】
ところで、この場合、書き込み線に対して下部(又は上部)に配置されるTMR素子の向きと、その書き込み線に対して上部(又は下部)に配置されるTMR素子の向きとは、互いに逆となる。
【0556】
但し、このようなメモリセルアレイ内のTMR素子が全て同じ方向を向いておらず、例えば、複数段に積み重ねられたTMR素子に関して、各段ごとに、TMR素子の向きが異なることは、何ら、本発明にとって、デメリットとはならない(ここでいう向きとは、上向き及び下向きの2種類のみである。また、上及び下の定義としては、半導体基板側を下と定義する。)。
【0557】
なぜなら、TMR素子を形成するときに、TMR素子を構成する各層を形成する順番を変えるだけで、容易に、TMR素子の向きを変えることができるからである。
【0558】
(2) TMR素子のピン層の磁化の向き
書き込み線(書き込みワード線又は書き込みビット線)に対して、その上部と下部に、それぞれTMR素子を配置し、かつ、その書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁界を用いて、その上部又は下部にあるTMR素子にデータを書き込む場合、TMR素子のピン層の磁化の向きによって、書き込み動作原理や読み出し動作原理を変える必要がある。
【0559】
なぜなら、書き込み線に流れる電流の向きが一定でも、その上部に配置されるTMR素子に与えられる磁界の向きと、その下部に配置されるTMR素子に与えられる磁界の向きとは、逆向きになるためである。
【0560】
▲1▼ ピン層の磁化の向きを個別に設定する場合
ピン層の磁化の向きを個別に設定し得る場合には、書き込み線(書き込みワード線、書き込みビット線)の下部に存在するTMR素子のピン層の磁化の向きと、書き込み線の上部に存在するTMR素子のピン層の磁化の向きとを、互いに逆向きにすることにより、通常通りに、読み出し動作原理及び書き込み動作原理を適用できる。
【0561】
即ち、ピン層の磁化方向と記憶層の磁化方向が同じ場合を“1”とし、ピン層の磁化方向と記憶層の磁化方向が異なる場合を“0”とすることができる。
【0562】
以下、具体例について述べる。
前提条件として、図75及び図76に示すように、TMR素子MTJ1,MTJ2の磁化容易軸は、X方向(書き込みワード線が延びる方向)を向き、かつ、書き込みビット線BL00の下部に配置されるTMR素子MTJ1のピン層の磁化の向きは、左側、書き込みビット線BL00の上部に配置されるTMR素子MTJ2のピン層の磁化の向きは、右側であるものとする。
【0563】
また、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流の向きにより書き込みデータが決定され、書き込みワード線WWL0,WWL1には、一方向に向かう書き込み電流のみが流れるものとする。
【0564】
・ 書き込みビット線の下部のTMR素子にデータを書き込む場合
[“1”−書き込み]
図75に示すように、書き込みワード線WWL0には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面に吸い込まれる方向に書き込み電流を流す。書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、右回りの円を描くようになる。
【0565】
この場合、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1には、左向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の向きは、左向きとなる。
【0566】
従って、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の状態は、平行となり、データ“1”が書き込まれる。
【0567】
[“0”−書き込み]
書き込みワード線WWL0には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面から吐き出される方向に書き込み電流を流す。書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、左回りの円を描くようになる。
【0568】
この場合、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1には、右向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の向きは、右向きとなる。
【0569】
従って、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の状態は、反平行となり、データ“0”が書き込まれる。
【0570】
・ 書き込みビット線の上部のTMR素子にデータを書き込む場合
書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2に対しては、TMR素子MTJ1に対する書き込み条件と同じ条件で、同じデータを書き込むことができれば、2つのTMR素子MTJ1,MTJ2に対しては、同一の書き込み回路(書き込みビット線ドライバ/シンカー)及び同一の読み出し回路を用いて、書き込み/読み出し動作を実行することができる。
【0571】
[“1”−書き込み]
図76に示すように、書き込みワード線WWL1には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面に吸い込まれる方向に書き込み電流を流す。
【0572】
この書き込み条件は、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1に対する“1”−書き込みの条件と同じである。この時、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、右回りの円を描くようになる。
【0573】
この場合、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2には、右向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の向きは、右向きとなる。
【0574】
従って、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の状態は、平行となり、データ“1”が書き込まれる。
【0575】
このように、TMR素子MTJ,MTJ2のピン層の磁化の向きを異なるものとすることで、TMR素子MTJ,MTJ2には、同じ書き込み条件で、同じデータを書き込むことができる。
【0576】
[“0”−書き込み]
書き込みワード線WWL1には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面から吐き出される方向に書き込み電流を流す。
【0577】
この書き込み条件は、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1に対する“0”−書き込みの条件と同じである。この時、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、左回りの円を描くようになる。
【0578】
この場合、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2には、左向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の向きは、左向きとなる。
【0579】
従って、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の状態は、反平行となり、データ“0”が書き込まれる。
【0580】
このように、TMR素子MTJ,MTJ2のピン層の磁化の向きを異なるものとすることで、TMR素子MTJ,MTJ2には、同じ書き込み条件で、同じデータを書き込むことができる。
【0581】
▲2▼ 全てのTMR素子のピン層の磁化の向きが同じ場合
全てのTMR素子のピン層の磁化の向きを同じにする場合、例えば、ウェハプロセスを終了した後、全てのTMR素子のピン層に一度に同じ方向の磁界を与えて、瞬時に、全てのTMR素子のピン層の磁化の向きを決定できる。
【0582】
特に、磁界を与えるときに、ウェハの温度を上昇させることにより、全てのTMR素子のピン層の磁化の向きを容易に決定できる。
【0583】
しかし、この場合、書き込み線の下部に配置されるTMR素子とその上部に配置されるTMR素子に関しては、同じ書き込み条件で、同じデータを書き込むことができない。
【0584】
従って、対応策としては、A. 書き込み回路(書き込みビット線ドライバ/シンカー)の構成、即ち、書き込み条件を変えないで、読み出し回路の構成を変える対応策と、B. 書き込み回路(書き込みビット線ドライバ/シンカー)の構成、即ち、書き込み条件を変えて、読み出し回路の構成を変えない対応策の2つがある。
【0585】
以下、具体例について述べる。
前提条件として、図77及び図79に示すように、TMR素子MTJ1,MTJ2の磁化容易軸は、X方向(書き込みワード線が延びる方向)を向き、かつ、書き込みビット線BL00の下部に配置されるTMR素子MTJ1のピン層の磁化の向き、及び、書き込みビット線BL00の上部に配置されるTMR素子MTJ2のピン層の磁化の向きは、共に、左側であるものとする。
【0586】
また、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流の向きにより書き込みデータが決定され、書き込みワード線WWL0,WWL1には、一方向に向かう書き込み電流のみが流れるものとする。
【0587】
A. 書き込み条件を変えない場合
・ 書き込みビット線の下部のTMR素子にデータを書き込む場合
[“1”−書き込み]
図77に示すように、書き込みワード線WWL0には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面に吸い込まれる方向に書き込み電流を流す。書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、右回りの円を描くようになる。
【0588】
この場合、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1には、左向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の向きは、左向きとなる。
【0589】
従って、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の状態は、平行となり、データ“1”が書き込まれる。
【0590】
[“0”−書き込み]
書き込みワード線WWL0には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面から吐き出される方向に書き込み電流を流す。書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、左回りの円を描くようになる。
【0591】
この場合、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1には、右向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の向きは、右向きとなる。
【0592】
従って、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の状態は、反平行となり、データ“0”が書き込まれる。
【0593】
・ 書き込みビット線の上部のTMR素子にデータを書き込む場合
書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2に対しては、TMR素子MTJ1に対する書き込み条件と同じ条件、即ち、同一の書き込み回路(書き込みビット線ドライバ/シンカー)を用いて書き込み動作を実行する。
【0594】
[“1”−書き込み]
図78に示すように、書き込みワード線WWL1には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面に吸い込まれる方向に書き込み電流を流す。
【0595】
この書き込み条件は、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1に対する“1”−書き込みの条件と同じである。この時、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、右回りの円を描くようになる。
【0596】
この場合、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2には、右向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の向きは、右向きとなる。
【0597】
従って、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の状態は、反平行、即ち、データ“0”が記憶された状態となる。
【0598】
ここで、TMR素子MTJ2に対する書き込みデータは、“1”であったのであるから、読み出し時には、TMR素子MTJ2に記憶された“0”−データは、“0”ではなく、“1”として、読み出さなければならない。
【0599】
そこで、読み出し回路の構成を多少変更する。
【0600】
基本的には、書き込みビット線の上部に存在するTMR素子に対して、書き込みデータが反転した状態で記憶されるため、書き込みビット線の上部に存在するTMR素子のデータを読み出すための読み出し回路の出力部(最終段)に、1つのインバータを追加すればよい。
【0601】
例えば、構造例1〜6では、2段目のTMR素子MTJ2と4段目のTMR素子MTJ4が書き込みビット線の上部に配置される。
そこで、例えば、いわゆる一括読み出し動作原理を適用する場合には、図64及び図66のロジック回路の出力部に、さらに、1つのインバータを追加すればよい。
【0602】
このように、TMR素子MTJ,MTJ2のピン層の磁化の向きが同じ場合には、書き込み線の上部に配置されるTMR素子とその下部に配置されるTMR素子のいずれか一方には、書き込みデータと逆のデータが記憶される。
【0603】
従って、逆のデータが記憶されたTMR素子のデータを読み出す読み出し回路の出力部(最終段)に、1つのインバータを追加すれば、書き込み回路(書き込みビット線ドライバ/シンカー)の構成を変えることなく、書き込み動作を行うことができる。
【0604】
[“0”−書き込み]
書き込みワード線WWL1には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面から吐き出される方向に書き込み電流を流す。
【0605】
この書き込み条件は、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1に対する“0”−書き込みの条件と同じである。この時、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、左回りの円を描くようになる。
【0606】
この場合、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2には、左向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の向きは、左向きとなる。
【0607】
従って、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の状態は、平行、即ち、データ“1”が記憶された状態となる。
【0608】
ここで、TMR素子MTJ2に対する書き込みデータは、“0”であったのであるから、読み出し時には、TMR素子MTJ2に記憶された“1”−データは、“1”ではなく、“0”として、読み出さなければならない。
【0609】
そこで、上述したように、書き込みビット線の上部に存在するTMR素子のデータを読み出すための読み出し回路の出力部(最終段)に、1つのインバータが追加されていれば、問題なく、データを読み出すことができる。
【0610】
B. 書き込み条件を変える場合
書き込み条件を変えれば、例えば、書き込みデータが“1”のときは、TMR素子MTJ1,MTJ2の状態を、共に、平行にすることができ、書き込みデータが“0”のときは、TMR素子MTJ1,MTJ2の状態を、共に、反平行にすることができる。
【0611】
つまり、読み出し回路を変更する必要はない。
【0612】
・ 書き込みビット線の下部のTMR素子にデータを書き込む場合
[“1”−書き込み]
図77に示すように、書き込みワード線WWL0には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面に吸い込まれる方向に書き込み電流を流す。書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、右回りの円を描くようになる。
【0613】
この場合、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1には、左向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の向きは、左向きとなる。
【0614】
従って、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の状態は、平行となり、データ“1”が書き込まれる。
【0615】
[“0”−書き込み]
書き込みワード線WWL0には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面から吐き出される方向に書き込み電流を流す。書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、左回りの円を描くようになる。
【0616】
この場合、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1には、右向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の向きは、右向きとなる。
【0617】
従って、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1の磁化の状態は、反平行となり、データ“0”が書き込まれる。
【0618】
・ 書き込みビット線の上部のTMR素子にデータを書き込む場合
[“1”−書き込み]
図79に示すように、書き込みワード線WWL1には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面から吐き出される方向に書き込み電流を流す。
【0619】
この書き込み条件は、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1に対する“1”−書き込みの条件とは異なっている。つまり、書き込みデータを同じと仮定した場合、TMR素子が書き込み線の上部に存在するか又は下部に存在するかによって、書き込み線に流す書き込み電流の向きが変わってくる。
【0620】
なお、このような動作を実現する書き込み回路(書き込みビット線ドライバ/シンカーについては、後述する。
【0621】
この時、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、左回りの円を描くようになる。
【0622】
この場合、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2には、左向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の向きは、左向きとなる。
【0623】
従って、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の状態は、平行、即ち、データ“1”が記憶された状態となる。
【0624】
[“0”−書き込み]
書き込みワード線WWL1には、一方向に向かう書き込み電流を流し、書き込みビット線BL00には、紙面に吸い込まれる方向に書き込み電流を流す。
【0625】
この書き込み条件は、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1に対する“0”−書き込みの条件とは異なっている。つまり、書き込みデータを同じと仮定した場合、TMR素子が書き込み線の上部に存在するか又は下部に存在するかによって、書き込み線に流す書き込み電流の向きが変わってくる。
【0626】
この時、書き込みビット線BL00に流れる書き込み電流により発生する磁界は、書き込みビット線BL00を中心に、右回りの円を描くようになる。
【0627】
この場合、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2には、右向きの磁界が与えられる。このため、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の向きは、右向きとなる。
【0628】
従って、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2の磁化の状態は、反平行、即ち、データ“0”が記憶された状態となる。
【0629】
▲3▼ 全てのTMR素子のピン層の磁化の向きが同じ場合の書き込み回路(書き込みビット線ドライバ/シンカー)の構成
図80は、書き込みビット線ドライバ/シンカーの回路例を示している。
図80の回路は、図69の回路の変形例となっている。即ち、図80の回路は、図69に回路に新機能、即ち、TMR素子の位置情報に基づいて書き込み電流の向きを変える機能を持たせた点に特徴を有する。
【0630】
この書き込みビット線ドライバ/シンカーは、構造例1〜6の磁気ランダムアクセスメモリのセルアレイ構造に対応している。
【0631】
読み出しブロックを構成する4つのTMR素子MTJ1,MTJ2,MTJ3,MTJ4は、4段に積み重ねられ、TMR素子MTJ1とTMR素子MTJ2の間に、書き込みビット線BL00が配置され、TMR素子MTJ3とTMR素子MTJ4の間に、書き込みビット線BL01が配置されるものとする。
【0632】
TMR素子MTJ1,MTJ3は、書き込みビット線BL00,BL01の下部に配置され、TMR素子MTJ2,MTJ4は、書き込みビット線BL00,BL01の上部に配置される。
【0633】
同図では、書き込みビット線ドライバ/シンカーの1カラム分のみを示している。
【0634】
書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aは、PチャネルMOSトランジスタQP18,QP19、NチャネルMOSトランジスタQN18,QN19、NANDゲート回路ND4,ND5、ANDゲート回路AD1,AD2、NORゲート回路NR16、インバータIV17、エクスクルーシブオア回路Ex−OR1,Ex−OR2,Ex−OR5及びエクスクルーシブノア回路Ex−NR1から構成される。
【0635】
書き込みビット線ドライバ/シンカー31は、PチャネルMOSトランジスタQP20,QP21、NチャネルMOSトランジスタQN20,QN21、NANDゲート回路ND6,ND7、ANDゲート回路AD3,AD4、NORゲート回路NR17、インバータIV19、エクスクルーシブオア回路Ex−OR3,Ex−OR4,Ex−OR6及びエクスクルーシブノア回路Ex−NR2から構成される。
【0636】
PチャネルMOSトランジスタQP18は、電源端子と下段の書き込みビット線BL00との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN18は、下段の書き込みビット線BL00と接地端子との間に接続される。PチャネルMOSトランジスタQP20は、電源端子と下段の書き込みビット線BL00との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN20は、下段の書き込みビット線BL00と接地端子との間に接続される。
【0637】
NANDゲート回路ND4の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD3の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0638】
NANDゲート回路ND6の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD1の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0639】
PチャネルMOSトランジスタQP19は、電源端子と上段の書き込みビット線BL01との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN19は、上段の書き込みビット線BL01と接地端子との間に接続される。PチャネルMOSトランジスタQP21は、電源端子と上段の書き込みビット線BL01との間に接続され、NチャネルMOSトランジスタQN21は、上段の書き込みビット線BL01と接地端子との間に接続される。
【0640】
NANDゲート回路ND5の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD4の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0641】
NANDゲート回路ND7の出力信号が“0”、ANDゲート回路AD2の出力信号が“1”のとき、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0642】
このような書き込みビット線ドライバ/シンカーにおいては、書き込み動作時、書き込み信号WRITEは、“1”となる。また、選択されたカラムでは、複数ビットのカラムアドレス信号の全ビットが“1”となる。
【0643】
また、本例では、複数ビットのロウアドレス信号のうちの1ビットRA1を用いて、1カラム内の2つの書き込みビット線BL00,BL01のうちの1つを選択する。例えば、RA1が“0”のときは、書き込みビット線BL00が選択され、RA1が“1”のときは、書き込みビット線BL01が選択される。
【0644】
また、選択されたカラム内の選択された書き込みビット線に流す書き込み電流の向きは、書き込みデータDATA及びRA0の値に応じて決定される。
【0645】
ここで、RA0の値とは、書き込みビット線BL00,BL01の下部のTMR素子MTJ1,MTJ3を選択するか、又は、書き込みビット線BL00,BL01の上部のTMR素子MTJ2,MTJ4を選択するかを決定する信号である。
【0646】
・ BL00が選択されているとき
例えば、書き込みビット線BL00が選択されているとき(RA1=“0”のとき)、RA0=0であると、書き込みビット線BL00の下部のTMR素子MTJ1が選択される。
【0647】
この時、書き込みデータDATAが“1”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR1〜Ex−OR4の出力信号は、全て、“1”となる。また、NORゲート回路NR16,NR17の出力信号は、共に、“0”となる。
【0648】
従って、NANDゲート回路ND4の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD3の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0649】
また、書き込みデータDATAが“0”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR1〜Ex−OR4の出力信号は、全て、“0”となる。また、NORゲート回路NR16,NR17の出力信号は、共に、“1”となる。
【0650】
従って、NANDゲート回路ND6の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD1の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0651】
また、例えば、書き込みビット線BL00が選択されているとき(RA1=“0”のとき)、RA0=1であると、書き込みビット線BL00の上部のTMR素子MTJ2が選択される。
【0652】
この時、書き込みデータDATAが“1”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR1〜Ex−OR4の出力信号は、全て、“0”となる。また、NORゲート回路NR16,NR17の出力信号は、共に、“1”となる。
【0653】
従って、NANDゲート回路ND6の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD1の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0654】
また、書き込みデータDATAが“0”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR1〜Ex−OR4の出力信号は、全て、“1”となる。また、NORゲート回路NR16,NR17の出力信号は、共に、“0”となる。
【0655】
従って、NANDゲート回路ND4の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD3の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL00には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0656】
・ BL01が選択されているとき
例えば、書き込みビット線BL01が選択されているとき(RA1=“1”のとき)、RA0=0であると、書き込みビット線BL01の下部のTMR素子MTJ3が選択される。
【0657】
この時、書き込みデータDATAが“1”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR5,Ex−OR6の出力信号は、共に、“1”となる。また、エクスクルーシブノア回路Ex−NR1,Ex−NR2の出力信号は、共に、“0”となる。
【0658】
従って、NANDゲート回路ND5の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD4の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0659】
また、書き込みデータDATAが“0”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR5,Ex−OR6の出力信号は、共に、“0”となる。また、エクスクルーシブノア回路Ex−NR1,Ex−NR2の出力信号は、共に、“1”となる。
【0660】
従って、NANDゲート回路ND7の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD2の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0661】
また、例えば、書き込みビット線BL01が選択されているとき(RA1=“1”のとき)、RA0=1であると、書き込みビット線BL01の上部のTMR素子MTJ4が選択される。
【0662】
この時、書き込みデータDATAが“1”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR5,Ex−OR6の出力信号は、共に、“0”となる。また、エクスクルーシブノア回路Ex−NR1,Ex−NR2の出力信号は、共に、“1”となる。
【0663】
従って、NANDゲート回路ND7の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD2の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー31から書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aへ向う書き込み電流が流れる。
【0664】
また、書き込みデータDATAが“0”であると、エクスクルーシブオア回路Ex−OR5,Ex−OR6の出力信号は、共に、“1”となる。また、エクスクルーシブノア回路Ex−NR1,Ex−NR2の出力信号は、共に、“0”となる。
【0665】
従って、NANDゲート回路ND5の出力信号が“0”となり、ANDゲート回路AD4の出力信号が“1”となる。その結果、書き込みビット線BL01には、書き込みビット線ドライバ/シンカー29Aから書き込みビット線ドライバ/シンカー31へ向う書き込み電流が流れる。
【0666】
8. 製造方法
本発明の磁気ランダムアクセスメモリのセルアレイ構造、読み出し動作原理、TMR素子の構造、読み出し回路を含む周辺回路、及び、書き込み線に対するピン層と記憶層の位置関係については、上述した通りである。
【0667】
そこで、最後に、本発明の磁気ランダムアクセスメモリを実現するための製造方法について説明する。
【0668】
(1) 製造方法1
この製造方法1は、複数のTMR素子が複数段に積み重ねられ、かつ、これら複数のTMR素子が読み出しビット線と接地端子の間に直列接続されたセルアレイ構造(1スイッチ−nMTJ構造)を有する磁気ランダムアクセスメモリに適用される。
【0669】
まず、本発明の製造方法により完成されるセルアレイ構造について簡単に説明する。その後、そのセルアレイ構造の製造方法について説明する。
【0670】
▲1▼ 製造方法1に関するセルアレイ構造
図81は、1ブロックが直列接続された複数のTMR素子から構成される磁気ランダムアクセスメモリのセルアレイ構造の一例を示している。
このセルアレイ構造の特徴は、1カラム(Y方向)内に、1本の読み出しビット線が配置され、その直下に、直列接続された複数のTMR素子が配置される点にある。複数のTMR素子は、1つの読み出しブロックを構成しており、読み出しビット線と接地端子との間に接続される。
【0671】
半導体基板の表面領域には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが配置される。読み出し選択スイッチRSWのソースは、ソース線SLを経由して接地端子に接続される。ソース線SLは、カラム方向に隣接する2つの読み出しブロックで共有される。ソース線SLは、例えば、X方向(紙面に垂直な方向)に一直線に延びている。
【0672】
読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのゲートは、読み出しワード線RWLnとなっている。読み出しワード線RWLnは、X方向に延びている。読み出し選択スイッチRSW上には、それぞれ、4個のTMR素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)が積み重ねられている。
【0673】
TMR素子の各々は、下部電極と上部電極の間に配置され、かつ、コンタクトプラグにより、互いに直列に接続される。最も下段のTMR素子の下部電極は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのドレインに接続される。最も上段のTMR素子の上部電極は、コンタクトプラグにより、Y方向に延びる読み出しビット線BL0に接続される。
【0674】
1ロウ内には、X方向に延びる3本の書き込みワード線WWL0,WWL1,WWL2が存在し、1カラム内には、Y方向に延びる2本の書き込みビット線BL00,BL01が存在する。
【0675】
半導体基板の上部からセルアレイ構造を見た場合に、例えば、積み重ねられた複数のTMR素子は、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。また、3本の書き込みワード線についても、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。さらに、読み出しビット線及び2本の書き込みビット線についても、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。
【0676】
複数のTMR素子を直列接続するためのコンタクトプラグは、書き込みワード線や書き込みビット線とオーバーラップしないような位置にレイアウトされる。TMR素子の上部電極及び下部電極は、コンタクトプラグとコンタクトし易いようなパターンで形成される。
【0677】
▲2▼ 製造方法1の各ステップ
以下、図81のセルアレイ構造を実現するための製造方法について説明する。ここでは、具体化された製造方法(例えば、デュアルダマシンプロセスの採用など)を説明するので、図81のセルアレイ構造にない要素についても説明されることに留意する。但し、最終的に完成するセルアレイ構造の概略は、図81のセルアレイ構造とほぼ同じとなる。
【0678】
・ 素子分離ステップ
まず、図82に示すように、半導体基板51内に、STI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁層52を形成する。
【0679】
素子分離絶縁層52は、例えば、以下のようなプロセスにより形成できる。
【0680】
PEP(Photo Engraving Process)により、半導体基板51上にマスクパターン(窒化シリコンなど)を形成する。このマスクパターンをマスクにして、RIE(Reactive Ion Etching)を用いて半導体基板51をエッチングし、半導体基板51にトレンチを形成する。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法及びCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、このトレンチ内に絶縁層(酸化シリコンなど)を満たす。
【0681】
この後、必要ならば、例えば、イオン注入法により、半導体基板内に、P型不純物(B、BFなど)又はN型不純物(P,Asなど)を注入し、P型ウェル領域又はN型ウェル領域を形成する。
【0682】
・ MOSFETの形成ステップ
次に、図83に示すように、半導体基板51の表面領域に、読み出し選択スイッチとして機能するMOSトランジスタを形成する。
【0683】
MOSトランジスタは、例えば、以下のようなプロセスにより形成できる。
【0684】
素子分離絶縁層52に取り囲まれた素子領域内のチャネル部に、MOSトランジスタの閾値を制御するための不純物をイオン注入する。熱酸化法により、素子領域内にゲート絶縁膜(酸化シリコンなど)53を形成する。CVD法により、ゲート絶縁膜53上に、ゲート電極材料(不純物を含むポリシリコンなど)及びキャップ絶縁膜(窒化シリコンなど)55を形成する。
【0685】
PEPにより、キャップ絶縁膜55をパターニングした後、このキャップ絶縁膜55をマスクにして、RIEにより、ゲート電極材料及びゲート絶縁膜53を加工(エッチング)する。その結果、半導体基板51上に、X方向に延びるゲート電極54が形成される。
【0686】
キャップ絶縁膜55及びゲート電極54をマスクにして、イオン注入法を用いて、半導体基板51内に、P型不純物又はN型不純物を注入する。そして、半導体基板内に、低濃度の不純物領域(LDD領域又はエクステンション領域)を形成する。
【0687】
CVD法により、半導体基板51上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングし、ゲート電極54及びキャップ絶縁膜55の側壁に、サイドウォール絶縁層57を形成する。キャップ絶縁膜55、ゲート電極54及びサイドウォール絶縁層57をマスクにして、イオン注入法を用いて、半導体基板51内に、P型不純物又はN型不純物を注入する。その結果、半導体基板51内には、ソース領域56A及びドレイン領域56Bが形成される
この後、CVD法により、半導体基板51上の全体に、MOSトランジスタを完全に覆う層間絶縁膜(例えば、酸化シリコンなど)58を形成する。また、CMP技術を利用することによって、層間絶縁膜58の表面を平坦化する。
【0688】
・ コンタクトホールの形成ステップ
次に、図84及び図85に示すように、半導体基板51上の層間絶縁膜58に、MOSトランジスタのソース領域56A及びドレイン領域56Bに到達するコンタクトホール59を形成する。
【0689】
コンタクトホール59は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜58上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜58をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0690】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図86に示すように、半導体基板51上の層間絶縁膜58に、配線溝60を形成する。本例では、配線溝60は、X方向に延びているため、Y方向に沿う断面で見た場合には、配線溝60は、コンタクトホール59にオーバーラップしている。そこで、同図では、配線溝60を破線で示している。
【0691】
配線溝60は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜58上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜58をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0692】
・ 第1配線層の形成ステップ
次に、図87に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜58上、コンタクトホール59の内面上及び配線溝60の内面上に、それぞれ、バリアメタル層(TiとTiNの積層など)61を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層61上に、コンタクトホール59及び配線溝60を完全に満たす金属層(Wなど)62を形成する。
【0693】
この後、図88に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層62を研磨し、金属層62を、コンタクトホール59内及び配線溝60内のみに残す。コンタクトホール59内に残存した金属層62は、コンタクトプラグとなり、配線溝60内に残存した金属層62は、第1配線層となる。また、CVD法により、層間絶縁膜58上に、層間絶縁膜(酸化シリコンなど)63を形成する。
【0694】
なお、コンタクトホールの形成ステップ、配線溝の形成ステップ及び第1配線層の形成ステップからなるステップは、デュアルダマシンプロセスと呼ばれる。
【0695】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図89に示すように、層間絶縁膜63に、配線溝64を形成する。本例では、配線溝64は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝64の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)65が形成される。
【0696】
配線溝64は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜63上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜63をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0697】
サイドウォール絶縁層65は、CVD法により、層間絶縁膜63上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0698】
・ 第2配線層の形成ステップ
次に、図90に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜63上、配線溝64の内面上及びサイドウォール絶縁層65上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)66を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層66上に、配線溝64を完全に満たす金属層(Cuなど)67を形成する。
【0699】
この後、図91に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層67を研磨し、金属層67を、配線溝64内のみに残す。配線溝64内に残存した金属層67は、書き込みワード線として機能する第2配線層となる。
【0700】
また、CVD法により、層間絶縁膜63上に絶縁層(窒化シリコンなど)68を形成する。また、CMP法により、この絶縁層68を研磨し、この絶縁層68を、第2配線層としての金属層67上のみに残存させる。また、層間絶縁膜63上に、第2配線層としての金属層67を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)69を形成する。
【0701】
なお、配線溝の形成ステップ及び第2配線層の形成ステップからなるステップは、ダマシンプロセスと呼ばれる。
【0702】
・ 第1MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図92及び図93に示すように、層間絶縁膜69に、第1配線層としての金属層62に到達するコンタクトホールを形成する。
【0703】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜69上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜63,69をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0704】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)70を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層70上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)71を形成する。
【0705】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層71を研磨し、金属層71を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層71は、コンタクトプラグとなる。また、CVD法により、層間絶縁膜69上に、第1MTJ素子の下部電極となる金属層(Taなど)72を形成する。
【0706】
・ 第1MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図94に示すように、金属層72上に、第1MTJ素子73を形成する。第1MTJ素子73は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図45に示すような構造を有している。
【0707】
CVD法を用いて、第1MTJ素子73を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)75Aを形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜75Aを研磨し、層間絶縁膜75Aを、第1MTJ素子73の間のみに残存させる。
【0708】
また、スパッタ法により、層間絶縁膜75A上に、第1MTJ素子73の上部電極となる金属層(Taなど)74を形成する。
【0709】
・ 第1MTJ素子の下部/上部電極のパターニングステップ
次に、図95及び図96に示すように、第1MTJ素子73の下部電極72及び上部電極74をそれぞれパターニングする。
【0710】
第1MTJ素子73の下部/上部電極72,74のパターニングは、PEPにより、上部電極74上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部/上部電極72,74をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0711】
CVD法を用いて、第1MTJ素子73の上部電極74を完全に覆う層間絶縁膜75を形成する。
【0712】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図97に示すように、層間絶縁膜75に、配線溝75Aを形成する。本例では、配線溝75Aは、書き込みビット線を形成するための溝となっており、Y方向に延びている。配線溝75Aの側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)が形成される。
【0713】
配線溝75Aは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜75上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0714】
サイドウォール絶縁層は、CVD法により、層間絶縁膜75上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0715】
・ 第3配線層の形成ステップ
次に、図98に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜75上、配線溝75Aの内面上及びサイドウォール絶縁層上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)76を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層76上に、配線溝75Aを完全に満たす金属層(Cuなど)77を形成する。
【0716】
この後、図99に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層77を研磨し、金属層77を、配線溝75A内のみに残す。配線溝75A内に残存した金属層77は、書き込みビット線として機能する第3配線層となる。
【0717】
また、CVD法により、層間絶縁膜75上に絶縁層(窒化シリコンなど)78を形成する。また、CMP法により、この絶縁層78を研磨し、この絶縁層78を、第3配線層としての金属層77上のみに残存させる。また、層間絶縁膜75上に、第3配線層としての金属層77を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)79を形成する。
【0718】
・ 第2MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図100及び図101に示すように、層間絶縁膜75,79に、第1MTJ素子の上部電極74に到達するコンタクトホールを形成する。
【0719】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜79上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75,79をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0720】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)80を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層80上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)81を形成する。
【0721】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層81を研磨し、金属層81を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層81は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜79上に、第2MTJ素子の下部電極となる金属層(Taなど)82を形成する。
【0722】
・ 第2MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図102に示すように、金属層82上に、第2MTJ素子84を形成する。第2MTJ素子84は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図46に示すような構造を有している。
【0723】
CVD法を用いて、第2MTJ素子84を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)83を形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜83を研磨し、層間絶縁膜83を、第2MTJ素子84の間のみに残存させる。
【0724】
また、スパッタ法により、層間絶縁膜83上に、第2MTJ素子84の上部電極となる金属層(Taなど)85を形成する。
【0725】
・ 第2MTJ素子の下部/上部電極のパターニングステップ
次に、図103及び図104に示すように、第2MTJ素子84の下部電極82及び上部電極85をそれぞれパターニングする。
【0726】
第2MTJ素子84の下部/上部電極82,85のパターニングは、PEPにより、上部電極85上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部/上部電極82,85をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0727】
CVD法を用いて、第2MTJ素子84の上部電極85を完全に覆う層間絶縁膜86を形成する。
【0728】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図105に示すように、層間絶縁膜86に、配線溝87を形成する。本例では、配線溝87は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝87の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)88が形成される。
【0729】
配線溝87は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜86上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0730】
サイドウォール絶縁層88は、CVD法により、層間絶縁膜86上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0731】
・ 第4配線層の形成ステップ
次に、図106に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜86上、配線溝87の内面上及びサイドウォール絶縁層88上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)89を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層89上に、配線溝87を完全に満たす金属層(Cuなど)91を形成する。
【0732】
この後、図107に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層91を研磨し、金属層91を、配線溝87内のみに残す。配線溝87内に残存した金属層91は、書き込みワード線として機能する第4配線層となる。
【0733】
また、CVD法により、層間絶縁膜86上に絶縁層(窒化シリコンなど)92を形成する。また、CMP法により、この絶縁層92を研磨し、この絶縁層92を、第4配線層としての金属層91上のみに残存させる。また、層間絶縁膜86上に、第4配線層としての金属層91を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)93を形成する。
【0734】
・ 第3MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図108及び図109に示すように、層間絶縁膜86,93に、第2MTJ素子の上部電極85に到達するコンタクトホールを形成する。
【0735】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜93上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86,93をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0736】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)94を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層94上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)95を形成する。
【0737】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層95を研磨し、金属層95を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層95は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜93上に、第3MTJ素子の下部電極となる金属層(Taなど)96を形成する。
【0738】
・ 第3MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図110に示すように、金属層96上に、第3MTJ素子97を形成する。第3MTJ素子97は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図47に示すような構造を有している。
【0739】
CVD法を用いて、第3MTJ素子97を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)98を形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜98を研磨し、層間絶縁膜98を、第3MTJ素子97の間のみに残存させる。
【0740】
また、スパッタ法により、層間絶縁膜98上に、第3MTJ素子97の上部電極となる金属層(Taなど)99を形成する。
【0741】
・ 第3MTJ素子の下部/上部電極のパターニングステップ
次に、図111及び図112に示すように、第3MTJ素子97の下部電極96及び上部電極99をそれぞれパターニングする。
【0742】
第3MTJ素子97の下部/上部電極96,99のパターニングは、PEPにより、上部電極99上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部/上部電極96,99をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0743】
CVD法を用いて、第3MTJ素子97の上部電極99を完全に覆う層間絶縁膜100を形成する。
【0744】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図113に示すように、層間絶縁膜100に、配線溝100Aを形成する。本例では、配線溝100Aは、書き込みビット線を形成するための溝となっており、Y方向に延びている。配線溝100Aの側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)が形成される。
【0745】
配線溝100Aは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜100上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0746】
サイドウォール絶縁層は、CVD法により、層間絶縁膜100上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0747】
・ 第5配線層の形成ステップ
次に、図114に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜100上、配線溝100Aの内面上及びサイドウォール絶縁層上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)101を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層101上に、配線溝100Aを完全に満たす金属層(Cuなど)102を形成する。
【0748】
この後、図115に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層102を研磨し、金属層102を、配線溝100A内のみに残す。配線溝100A内に残存した金属層102は、書き込みビット線として機能する第5配線層となる。
【0749】
また、CVD法により、層間絶縁膜100上に絶縁層(窒化シリコンなど)103を形成する。また、CMP法により、この絶縁層103を研磨し、この絶縁層103を、第5配線層としての金属層102上のみに残存させる。また、層間絶縁膜100上に、第5配線層としての金属層102を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)104を形成する。
【0750】
・ 第4MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図116及び図117に示すように、層間絶縁膜100,104に、第3MTJ素子の上部電極99に到達するコンタクトホールを形成する。
【0751】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜104上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100,104をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0752】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)105を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層105上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)106を形成する。
【0753】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層106を研磨し、金属層106を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層106は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜104上に、第4MTJ素子の下部電極となる金属層(Taなど)107を形成する。
【0754】
・ 第4MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図118に示すように、金属層107上に、第4MTJ素子108を形成する。第4MTJ素子108は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図48に示すような構造を有している。
【0755】
CVD法を用いて、第4MTJ素子108を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)109を形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜109を研磨し、層間絶縁膜109を、第4MTJ素子108の間のみに残存させる。
【0756】
また、スパッタ法により、層間絶縁膜109上に、第4MTJ素子108の上部電極となる金属層(Taなど)110を形成する。
【0757】
・ 第4MTJ素子の下部/上部電極のパターニングステップ
次に、図119及び図120に示すように、第4MTJ素子108の下部電極107及び上部電極110をそれぞれパターニングする。
【0758】
第4MTJ素子108の下部/上部電極107,110のパターニングは、PEPにより、上部電極110上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部/上部電極107,110をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0759】
CVD法を用いて、第4MTJ素子108の上部電極110を完全に覆う層間絶縁膜111を形成する。
【0760】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図121に示すように、層間絶縁膜111に、配線溝112を形成する。本例では、配線溝112は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝112の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)113が形成される。
【0761】
配線溝112は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜111上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0762】
サイドウォール絶縁層113は、CVD法により、層間絶縁膜111上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0763】
・ 第6配線層の形成ステップ
次に、図122に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜111上、配線溝112の内面上及びサイドウォール絶縁層113上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)114を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層114上に、配線溝112を完全に満たす金属層(Cuなど)115を形成する。
【0764】
この後、図123及び図124に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層115を研磨し、金属層115を、配線溝112内のみに残す。配線溝112内に残存した金属層115は、書き込みワード線として機能する第6配線層となる。
【0765】
また、CVD法により、層間絶縁膜111上に絶縁層(窒化シリコンなど)116を形成する。また、CMP法により、この絶縁層116を研磨し、この絶縁層116を、第6配線層としての金属層115上のみに残存させる。また、層間絶縁膜111上に、第6配線層としての金属層115を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)117を形成する。
【0766】
・ 第7配線層の形成ステップ
次に、図125及び図126に示すように、層間絶縁膜111,117に、第4MTJ素子の上部電極110に到達するコンタクトホールを形成する。
【0767】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜117上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111,117をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0768】
また、層間絶縁膜117に、読み出しビット線を形成するための配線溝を形成する。
【0769】
この配線溝は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜117上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜117をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0770】
この後、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜117上、コンタクトホールの内面上及び配線溝の内面上に、それぞれ、バリアメタル層(TiとTiNの積層など)118を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層118上に、コンタクトホール及び配線溝を完全に満たす金属層(Wなど)119を形成する。
【0771】
また、例えば、CMP法により、金属層119及びバリアメタル層117を研磨し、これら金属層119及びバリアメタル層117を、コンタクトホール内及び配線溝内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層119は、コンタクトプラグとなる。また、配線溝内に残存した金属層119は、読み出しビット線として機能する第7配線層となる。
【0772】
▲3▼ まとめ
この製造方法1によれば、複数のTMR素子が複数段に積み重ねられ、かつ、これら複数のTMR素子が読み出しビット線と接地端子の間に直列接続されたセルアレイ構造(1スイッチ−nMTJ構造)を実現することができる。
【0773】
なお、本例では、配線層を形成するに当たって、ダマシンプロセス及びデュアルダマシンプロセスを採用したが、これに代えて、例えば、配線層の加工をエッチングにより行うプロセスを採用してもよい。
【0774】
(2) 製造方法2
この製造方法2は、複数のTMR素子が複数段に積み重ねられ、かつ、これら複数のTMR素子が読み出しビット線と接地端子の間に並列接続されたセルアレイ構造(1スイッチ−nMTJ構造)を有する磁気ランダムアクセスメモリに適用される。
【0775】
まず、本発明の製造方法により完成されるセルアレイ構造について簡単に説明する。その後、そのセルアレイ構造の製造方法について説明する。
【0776】
▲1▼ 製造方法2に関するセルアレイ構造
図127は、1ブロックが並列接続された複数のTMR素子から構成される磁気ランダムアクセスメモリのセルアレイ構造の一例を示している。
このセルアレイ構造の特徴は、1カラム(Y方向)内に、1本の読み出しビット線が配置され、その直下に、並列接続された複数のTMR素子が配置される点にある。複数のTMR素子は、1つの読み出しブロックを構成しており、読み出しビット線と接地端子との間に接続される。
【0777】
半導体基板の表面領域には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが配置される。読み出し選択スイッチRSWのソースは、ソース線SLを経由して接地端子に接続される。ソース線SLは、カラム方向に隣接する2つの読み出しブロックで共有される。ソース線SLは、例えば、X方向(紙面に垂直な方向)に一直線に延びている。
【0778】
読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのゲートは、読み出しワード線RWLnとなっている。読み出しワード線RWLnは、X方向に延びている。読み出し選択スイッチRSW上には、それぞれ、4個のTMR素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)が積み重ねられている。
【0779】
TMR素子の各々は、下部電極と上部電極の間に配置され、かつ、コンタクトプラグにより、互いに並列に接続される。最も下段のTMR素子の下部電極は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのドレインに接続される。最も上段のTMR素子の上部電極は、コンタクトプラグにより、Y方向に延びる読み出しビット線BL0に接続される。
【0780】
1ロウ内には、X方向に延びる3本の書き込みワード線WWL0,WWL1,WWL2が存在し、1カラム内には、Y方向に延びる2本の書き込みビット線BL00,BL01が存在する。
【0781】
半導体基板の上部からセルアレイ構造を見た場合に、例えば、積み重ねられた複数のTMR素子は、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。また、3本の書き込みワード線についても、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。さらに、読み出しビット線及び2本の書き込みビット線についても、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。
【0782】
複数のTMR素子を直列接続するためのコンタクトプラグは、書き込みワード線や書き込みビット線とオーバーラップしないような位置にレイアウトされる。TMR素子の上部電極及び下部電極は、コンタクトプラグとコンタクトし易いようなパターンで形成される。
【0783】
▲2▼ 製造方法2の各ステップ
以下、図127のセルアレイ構造を実現するための製造方法について説明する。ここでは、具体化された製造方法(例えば、デュアルダマシンプロセスの採用など)を説明するので、図127のセルアレイ構造にない要素についても説明されることに留意する。但し、最終的に完成するセルアレイ構造の概略は、図127のセルアレイ構造とほぼ同じとなる。
【0784】
・ 素子分離ステップ
まず、図128に示すように、半導体基板51内に、STI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁層52を形成する。
【0785】
素子分離絶縁層52は、例えば、以下のようなプロセスにより形成できる。
【0786】
PEP(Photo Engraving Process)により、半導体基板51上にマスクパターン(窒化シリコンなど)を形成する。このマスクパターンをマスクにして、RIE(Reactive Ion Etching)を用いて半導体基板51をエッチングし、半導体基板51にトレンチを形成する。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法及びCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、このトレンチ内に絶縁層(酸化シリコンなど)を満たす。
【0787】
この後、必要ならば、例えば、イオン注入法により、半導体基板内に、P型不純物(B、BFなど)又はN型不純物(P,Asなど)を注入し、P型ウェル領域又はN型ウェル領域を形成する。
【0788】
・ MOSFETの形成ステップ
次に、図129に示すように、半導体基板51の表面領域に、読み出し選択スイッチとして機能するMOSトランジスタを形成する。
【0789】
MOSトランジスタは、例えば、以下のようなプロセスにより形成できる。
【0790】
素子分離絶縁層52に取り囲まれた素子領域内のチャネル部に、MOSトランジスタの閾値を制御するための不純物をイオン注入する。熱酸化法により、素子領域内にゲート絶縁膜(酸化シリコンなど)53を形成する。CVD法により、ゲート絶縁膜53上に、ゲート電極材料(不純物を含むポリシリコンなど)及びキャップ絶縁膜(窒化シリコンなど)55を形成する。
【0791】
PEPにより、キャップ絶縁膜55をパターニングした後、このキャップ絶縁膜55をマスクにして、RIEにより、ゲート電極材料及びゲート絶縁膜53を加工(エッチング)する。その結果、半導体基板51上に、X方向に延びるゲート電極54が形成される。
【0792】
キャップ絶縁膜55及びゲート電極54をマスクにして、イオン注入法を用いて、半導体基板51内に、P型不純物又はN型不純物を注入する。そして、半導体基板内に、低濃度の不純物領域(LDD領域又はエクステンション領域)を形成する。
【0793】
CVD法により、半導体基板51上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングし、ゲート電極54及びキャップ絶縁膜55の側壁に、サイドウォール絶縁層57を形成する。キャップ絶縁膜55、ゲート電極54及びサイドウォール絶縁層57をマスクにして、イオン注入法を用いて、半導体基板51内に、P型不純物又はN型不純物を注入する。その結果、半導体基板51内には、ソース領域56A及びドレイン領域56Bが形成される
この後、CVD法により、半導体基板51上の全体に、MOSトランジスタを完全に覆う層間絶縁膜(例えば、酸化シリコンなど)58を形成する。また、CMP技術を利用することによって、層間絶縁膜58の表面を平坦化する。
【0794】
・ コンタクトホールの形成ステップ
次に、図130及び図131に示すように、半導体基板51上の層間絶縁膜58に、MOSトランジスタのソース領域56A及びドレイン領域56Bに到達するコンタクトホール59を形成する。
【0795】
コンタクトホール59は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜58上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜58をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0796】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図132に示すように、半導体基板51上の層間絶縁膜58に、配線溝60を形成する。本例では、配線溝60は、X方向に延びているため、Y方向に沿う断面で見た場合には、配線溝60は、コンタクトホール59にオーバーラップしている。そこで、同図では、配線溝60を破線で示している。
【0797】
配線溝60は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜58上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜58をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0798】
・ 第1配線層の形成ステップ
次に、図133に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜58上、コンタクトホール59の内面上及び配線溝60の内面上に、それぞれ、バリアメタル層(TiとTiNの積層など)61を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層61上に、コンタクトホール59及び配線溝60を完全に満たす金属層(Wなど)62を形成する。
【0799】
この後、図134に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層62を研磨し、金属層62を、コンタクトホール59内及び配線溝60内のみに残す。コンタクトホール59内に残存した金属層62は、コンタクトプラグとなり、配線溝60内に残存した金属層62は、第1配線層となる。また、CVD法により、層間絶縁膜58上に、層間絶縁膜(酸化シリコンなど)63を形成する。
【0800】
なお、コンタクトホールの形成ステップ、配線溝の形成ステップ及び第1配線層の形成ステップからなるステップは、デュアルダマシンプロセスと呼ばれる。
【0801】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図135に示すように、層間絶縁膜63に、配線溝64を形成する。本例では、配線溝64は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝64の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)65が形成される。
【0802】
配線溝64は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜63上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜63をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0803】
サイドウォール絶縁層65は、CVD法により、層間絶縁膜63上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0804】
・ 第2配線層の形成ステップ
次に、図136に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜63上、配線溝64の内面上及びサイドウォール絶縁層65上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)66を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層66上に、配線溝64を完全に満たす金属層(Cuなど)67を形成する。
【0805】
この後、図137に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層67を研磨し、金属層67を、配線溝64内のみに残す。配線溝64内に残存した金属層67は、書き込みワード線として機能する第2配線層となる。
【0806】
また、CVD法により、層間絶縁膜63上に絶縁層(窒化シリコンなど)68を形成する。また、CMP法により、この絶縁層68を研磨し、この絶縁層68を、第2配線層としての金属層67上のみに残存させる。また、層間絶縁膜63上に、第2配線層としての金属層67を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)69を形成する。
【0807】
なお、配線溝の形成ステップ及び第2配線層の形成ステップからなるステップは、ダマシンプロセスと呼ばれる。
【0808】
・ 第1MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図138及び図139に示すように、層間絶縁膜69に、第1配線層としての金属層62に到達するコンタクトホールを形成する。
【0809】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜69上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜63,69をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0810】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)70を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層70上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)71を形成する。
【0811】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層71を研磨し、金属層71を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層71は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜69上に、第1MTJ素子の下部電極となる金属層72を形成する。
【0812】
・ 第1MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図140及び図141に示すように、金属層72上に、第1MTJ素子73を形成する。第1MTJ素子73は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図45に示すような構造を有している。
【0813】
また、本例では、第1MTJ素子73の側面に、第1MTJ素子73を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)73Aを形成する。この保護絶縁層73Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第1MTJ素子73の側面に、容易に形成することができる。
【0814】
CVD法を用いて、第1MTJ素子73を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)75Bを形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜75Bを研磨し、層間絶縁膜75Bを、第1MTJ素子73の間のみに残存させる。
【0815】
また、図142に示すように、スパッタ法により、層間絶縁膜75B上に、第1MTJ素子73の上部電極となる金属層74を形成する。続けて、CVD法により、金属層74上に、第1MTJ素子73を保護するアルミナ層74Aを形成する。
【0816】
この後、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層74A、金属層74及び層間絶縁膜75Bをパターニングする。この時、同時に、第1MTJ素子73の下部電極としての金属層72の表面を露出させる。
【0817】
再び、アルミナ層74Aを形成した後、RIEにより、アルミナ層74Aをエッチングすると、このアルミナ層74Aは、上部電極としての金属層74及び第1MTJ素子73の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【0818】
この後、CVD法を用いて、第1MTJ素子73を完全に覆う層間絶縁膜75を形成する。
【0819】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図143に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75に、配線溝75Aを形成する。この時、アルミナ層74Aは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝75Aの底部が金属層74及び第1MTJ素子73に到達することはない。
【0820】
本例では、配線溝75Aは、書き込みビット線を形成するための溝となっており、Y方向に延びている。配線溝75Aの側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)が形成される。
【0821】
配線溝75Aは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜75上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0822】
サイドウォール絶縁層は、CVD法により、層間絶縁膜75上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0823】
・ 第3配線層の形成ステップ
次に、図144に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜75上、配線溝75Aの内面上及びサイドウォール絶縁層上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)76を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層76上に、配線溝75Aを完全に満たす金属層(Cuなど)77を形成する。
【0824】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層77を研磨し、金属層77を、配線溝75A内のみに残す。配線溝75A内に残存した金属層77は、書き込みビット線として機能する第3配線層となる。
【0825】
また、CVD法により、層間絶縁膜75上に絶縁層(窒化シリコンなど)78を形成する。また、CMP法により、この絶縁層78を研磨し、この絶縁層78を、第3配線層としての金属層77上のみに残存させる。また、層間絶縁膜75上に、第3配線層としての金属層77を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)79を形成する。
【0826】
・ 第2MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図145及び図146に示すように、層間絶縁膜75,79及びアルミナ層74Aに、第1MTJ素子の上部電極74に到達するコンタクトホールを形成する。
【0827】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜79上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75,79及びアルミナ層74Aをエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0828】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)80を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層80上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)81を形成する。
【0829】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層81を研磨し、金属層81を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層81は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜79上に、第2MTJ素子の下部電極となる金属層82を形成する。
【0830】
・ 第2MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図147及び図148に示すように、金属層82上に、第2MTJ素子84を形成する。第2MTJ素子84は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図46に示すような構造を有している。
【0831】
また、本例では、第2MTJ素子84の側面に、第2MTJ素子84を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)83Aを形成する。この保護絶縁層83Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第2MTJ素子84の側面に、容易に形成することができる。
【0832】
この後、第2MTJ素子84の下部電極82をパターニングする。第2MTJ素子84の下部電極82のパターニングは、PEPにより、下部電極82上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部電極82をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0833】
次に、図149に示すように、CVD法により、第2MTJ素子84上に、第2MTJ素子84を保護するアルミナ層83Bを形成する。この後、RIEにより、アルミナ層83Bは、エッチングされ、その結果、第2MTJ素子84の側壁部にアルミナ層83Bが残存する。
【0834】
CVD法を用いて、第2MTJ素子84を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)84Bを形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜84Bを研磨し、層間絶縁膜84Bを、第2MTJ素子84の間のみに残存させる。
【0835】
また、層間絶縁膜75,79,84Bに、第1MTJ素子の下部電極72に到達するコンタクトホールを形成する。
【0836】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜84B上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75,79,84Bをエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0837】
なお、このエッチングステップにおいて、アルミナ層74A,83Bのエッチングレートは、層間絶縁膜75,79,84Bのエッチングレートよりも十分に小さくなるように設定されている。
【0838】
即ち、本例によれば、コンタクトホールの合せずれが生じても、アルミナ層74A,83Bが第1及び第2MTJ素子73,84を保護しているため、第1及び第2MTJ素子73,84がエッチングされるという事態が生じることがない。
【0839】
次に、図150に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)85Aを形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層85A上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)85Bを形成する。
【0840】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層85Bを研磨し、金属層85Bを、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層85Bは、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜84B上に、第2MTJ素子84の上部電極となる金属層85を形成する。続けて、CVD法により、金属層85上に、第2MTJ素子84を保護するアルミナ層85Cを形成する。
【0841】
この後、図151に示すように、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層85C及び金属層85をパターニングする。再び、アルミナ層85Cを形成した後、RIEにより、アルミナ層85Cをエッチングすると、このアルミナ層85Cは、上部電極としての金属層85及び第2MTJ素子84の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【0842】
この後、CVD法を用いて、第2MTJ素子85を完全に覆う層間絶縁膜86を形成する。
【0843】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図152に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86に、配線溝87を形成する。この時、アルミナ層85Cは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝87の底部が金属層85及び第2MTJ素子84に到達することはない。
【0844】
本例では、配線溝87は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝87の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)88が形成される。
【0845】
配線溝87は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜86上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0846】
サイドウォール絶縁層88は、CVD法により、層間絶縁膜86上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0847】
・ 第4配線層の形成ステップ
次に、図153に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜86上、配線溝87の内面上及びサイドウォール絶縁層88上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)89を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層89上に、配線溝87を完全に満たす金属層(Cuなど)90を形成する。
【0848】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層90を研磨し、金属層90を、配線溝87内のみに残す。配線溝87内に残存した金属層90は、書き込みワード線として機能する第4配線層となる。
【0849】
また、CVD法により、層間絶縁膜86上に絶縁層(窒化シリコンなど)92を形成する。また、CMP法により、この絶縁層92を研磨し、この絶縁層92を、第4配線層としての金属層90上のみに残存させる。また、層間絶縁膜86上に、第4配線層としての金属層90を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)93を形成する。
【0850】
・ 第3MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図154及び図155に示すように、層間絶縁膜86,93に、第2MTJ素子84の上部電極85に到達するコンタクトホールを形成する。
【0851】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜93上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86,93をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0852】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)94を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層94上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)95を形成する。
【0853】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層95を研磨し、金属層95を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層95は、コンタクトプラグとなる。また、CVD法により、層間絶縁膜93上に、第3MTJ素子の下部電極となる金属層96を形成する。
【0854】
・ 第3MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図156及び図157に示すように、金属層96上に、第3MTJ素子97を形成する。第3MTJ素子97は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図47に示すような構造を有している。
【0855】
また、本例では、第3MTJ素子97の側面に、第3MTJ素子97を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)97Aを形成する。この保護絶縁層97Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第3MTJ素子97の側面に、容易に形成することができる。
【0856】
この後、第3MTJ素子97の下部電極96をパターニングする。第3MTJ素子97の下部電極96のパターニングは、PEPにより、下部電極96上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部電極96をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0857】
次に、図158に示すように、CVD法を用いて、第3MTJ素子97を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)98を形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜98を研磨し、層間絶縁膜98を、第3MTJ素子97の間のみに残存させる。
【0858】
この後、層間絶縁膜86,93,98に、第2MTJ素子84の下部電極82に到達するコンタクトホールを形成する。
【0859】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜98上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86,93,98をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0860】
次に、図159に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)99Aを形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層99A上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)99Bを形成する。
【0861】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層99Bを研磨し、金属層99Bを、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層99Bは、コンタクトプラグとなる。また、CVD法により、層間絶縁膜98上に、第3MTJ素子の上部電極となる金属層99を形成する。
【0862】
また、CVD法により、第3MTJ素子97の上部電極99上に、第3MTJ素子97を保護するアルミナ層99Cを形成する。
【0863】
次に、図160に示すように、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層99C及び金属層99をパターニングする。再び、アルミナ層99Cを形成した後、RIEにより、アルミナ層99Cをエッチングすると、このアルミナ層99Cは、上部電極としての金属層99及び第3MTJ素子97の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【0864】
この後、CVD法を用いて、第3MTJ素子97を完全に覆う層間絶縁膜100を形成する。
【0865】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図161及び図162に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100に、Y方向に延びる配線溝を形成する。この時、アルミナ層99Cは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝の底部が金属層99及び第3MTJ素子97に到達することはない。
【0866】
本例では、配線溝は、書き込みビット線を形成するための溝となっており、Y方向に延びている。配線溝の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)が形成される。
【0867】
配線溝は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜100上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0868】
サイドウォール絶縁層は、CVD法により、層間絶縁膜100上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0869】
・ 第5配線層の形成ステップ
次に、図161及び図162に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜100上、配線溝の内面上及びサイドウォール絶縁層上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)101を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層101上に、配線溝を完全に満たす金属層(Cuなど)102を形成する。
【0870】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層102を研磨し、金属層102を、配線溝内のみに残す。配線溝内に残存した金属層102は、書き込みビット線として機能する第5配線層となる。
【0871】
また、CVD法により、層間絶縁膜100上に絶縁層(窒化シリコンなど)103を形成する。また、CMP法により、この絶縁層103を研磨し、この絶縁層103を、第5配線層としての金属層102上のみに残存させる。また、層間絶縁膜100上に、第5配線層としての金属層102を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)104を形成する。
【0872】
・ 第4MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図163及び図164に示すように、層間絶縁膜100,104及びアルミナ層99Cに、第3MTJ素子97の上部電極99に到達するコンタクトホールを形成する。
【0873】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜104上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100,104及びアルミナ層99Cをエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0874】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)80Xを形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層80X上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)81Xを形成する。
【0875】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層81Xを研磨し、金属層81Xを、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層81Xは、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜104上に、第4MTJ素子の下部電極となる金属層107を形成する。
【0876】
・ 第4MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図163及び図164に示すように、金属層107上に、第4MTJ素子108を形成する。第4MTJ素子108は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図48に示すような構造を有している。
【0877】
また、本例では、第4MTJ素子108の側面に、第4MTJ素子108を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)108Aを形成する。この保護絶縁層108Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第4MTJ素子108の側面に、容易に形成することができる。
【0878】
この後、第4MTJ素子108の下部電極107をパターニングする。第4MTJ素子108の下部電極107のパターニングは、PEPにより、下部電極107上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部電極107をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0879】
次に、図165に示すように、CVD法により、第4MTJ素子108上に、第4MTJ素子108を保護するアルミナ層108Bを形成する。この後、RIEにより、アルミナ層108Bは、エッチングされ、その結果、第4MTJ素子108の側壁部にアルミナ層108Bが残存する。
【0880】
CVD法を用いて、第4MTJ素子108を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)109を形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜109を研磨し、層間絶縁膜109を、第4MTJ素子108の間のみに残存させる。
【0881】
また、層間絶縁膜100,104,109に、第3MTJ素子97の下部電極96に到達するコンタクトホールを形成する。
【0882】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜109上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100,104,109をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0883】
なお、このエッチングステップにおいて、アルミナ層99C,108Bのエッチングレートは、層間絶縁膜100,104,109のエッチングレートよりも十分に小さくなるように設定されている。
【0884】
即ち、本例によれば、コンタクトホールの合せずれが生じても、アルミナ層99C,108Bが第3及び第4MTJ素子97,108を保護しているため、第3及び第4MTJ素子97,108がエッチングされるという事態が生じることがない。
【0885】
次に、図166に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)105を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層105上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)106を形成する。
【0886】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層106を研磨し、金属層106を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層106は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜109上に、第4MTJ素子108の上部電極となる金属層107を形成する。続けて、CVD法により、金属層107上に、第4MTJ素子108を保護するアルミナ層107Aを形成する。
【0887】
次に、図167に示すように、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層107A及び金属層107をパターニングする。
【0888】
再び、アルミナ層107Aを形成した後、RIEにより、アルミナ層107Aをエッチングすると、このアルミナ層107Aは、上部電極としての金属層107及び第4MTJ素子108の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【0889】
この後、CVD法を用いて、第4MTJ素子108を完全に覆う層間絶縁膜111を形成する。
【0890】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図168及び図169に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111に、X方向に延びる配線溝112を形成する。この時、アルミナ層107Aは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝112の底部が金属層107及び第4MTJ素子108に到達することはない。
【0891】
本例では、配線溝112は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝112の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)113が形成される。
【0892】
配線溝112は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜111上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0893】
サイドウォール絶縁層113は、CVD法により、層間絶縁膜111上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0894】
・ 第6配線層の形成ステップ
次に、図168及び図169に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜111上、配線溝112の内面上及びサイドウォール絶縁層113上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)114を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層114上に、配線溝112を完全に満たす金属層(Cuなど)115を形成する。
【0895】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層115を研磨し、金属層115を、配線溝112内のみに残す。配線溝112内に残存した金属層115は、書き込みワード線として機能する第6配線層となる。
【0896】
また、CVD法により、層間絶縁膜111上に絶縁層(窒化シリコンなど)116を形成する。また、CMP法により、この絶縁層116を研磨し、この絶縁層116を、第6配線層としての金属層115上のみに残存させる。
【0897】
・ 第7配線層の形成ステップ
次に、図170及び図171に示すように、層間絶縁膜111上に、第6配線層としての金属層115を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)117を形成する。層間絶縁膜111,117に、第4MTJ素子の下部電極107に到達するコンタクトホールを形成する。
【0898】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜117上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111,117をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0899】
また、層間絶縁膜117に、読み出しビット線を形成するための配線溝を形成する。
【0900】
この配線溝は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜117上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜117をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0901】
この後、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜117上、コンタクトホールの内面上及び配線溝の内面上に、それぞれ、バリアメタル層(TiとTiNの積層など)118を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層118上に、コンタクトホール及び配線溝を完全に満たす金属層(Wなど)119を形成する。
【0902】
また、例えば、CMP法により、金属層119及びバリアメタル層117を研磨し、これら金属層119及びバリアメタル層117を、コンタクトホール内及び配線溝内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層119は、コンタクトプラグとなる。また、配線溝内に残存した金属層119は、読み出しビット線として機能する第7配線層となる。
【0903】
▲3▼ まとめ
この製造方法2によれば、複数のTMR素子が複数段に積み重ねられ、かつ、これら複数のTMR素子が読み出しビット線と接地端子の間に並列接続されたセルアレイ構造(1スイッチ−nMTJ構造)を実現することができる。
【0904】
なお、本例では、配線層を形成するに当たって、ダマシンプロセス及びデュアルダマシンプロセスを採用したが、これに代えて、例えば、配線層の加工をエッチングにより行うプロセスを採用してもよい。
【0905】
(3) 製造方法3
この製造方法3は、複数のTMR素子が複数段に積み重ねられ、かつ、これら複数のTMR素子が読み出しビット線と接地端子の間に直並列接続されたセルアレイ構造(1スイッチ−nMTJ構造)を有する磁気ランダムアクセスメモリに適用される。
【0906】
まず、本発明の製造方法により完成されるセルアレイ構造について簡単に説明する。その後、そのセルアレイ構造の製造方法について説明する。
【0907】
▲1▼ 製造方法3に関するセルアレイ構造
図172は、1ブロックが直並列接続された複数のTMR素子から構成される磁気ランダムアクセスメモリのセルアレイ構造の一例を示している。
このセルアレイ構造の特徴は、1カラム(Y方向)内に、1本の読み出しビット線が配置され、その直下に、直並列接続された複数のTMR素子が配置される点にある。複数のTMR素子は、1つの読み出しブロックを構成しており、読み出しビット線と接地端子との間に接続される。
【0908】
半導体基板の表面領域には、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWが配置される。読み出し選択スイッチRSWのソースは、ソース線SLを経由して接地端子に接続される。ソース線SLは、カラム方向に隣接する2つの読み出しブロックで共有される。ソース線SLは、例えば、X方向(紙面に垂直な方向)に一直線に延びている。
【0909】
読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのゲートは、読み出しワード線RWLnとなっている。読み出しワード線RWLnは、X方向に延びている。読み出し選択スイッチRSW上には、それぞれ、4個のTMR素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)が積み重ねられている。
【0910】
TMR素子の各々は、下部電極と上部電極の間に配置され、かつ、コンタクトプラグにより、互いに直並列に接続される。最も下段のTMR素子の下部電極は、読み出し選択スイッチ(MOSトランジスタ)RSWのドレインに接続される。最も上段のTMR素子の上部電極は、コンタクトプラグにより、Y方向に延びる読み出しビット線BL0に接続される。
【0911】
1ロウ内には、X方向に延びる3本の書き込みワード線WWL0,WWL1,WWL2が存在し、1カラム内には、Y方向に延びる2本の書き込みビット線BL00,BL01が存在する。
【0912】
半導体基板の上部からセルアレイ構造を見た場合に、例えば、積み重ねられた複数のTMR素子は、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。また、3本の書き込みワード線についても、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。さらに、読み出しビット線及び2本の書き込みビット線についても、互いにオーバーラップするようにレイアウトされる。
【0913】
複数のTMR素子を直列接続するためのコンタクトプラグは、書き込みワード線や書き込みビット線とオーバーラップしないような位置にレイアウトされる。TMR素子の上部電極及び下部電極は、コンタクトプラグとコンタクトし易いようなパターンで形成される。
【0914】
▲2▼ 製造方法3の各ステップ
以下、図172のセルアレイ構造を実現するための製造方法について説明する。ここでは、具体化された製造方法(例えば、デュアルダマシンプロセスの採用など)を説明するので、図172のセルアレイ構造にない要素についても説明されることに留意する。但し、最終的に完成するセルアレイ構造の概略は、図172のセルアレイ構造とほぼ同じとなる。
【0915】
・ 素子分離ステップ
まず、図173に示すように、半導体基板51内に、STI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁層52を形成する。
【0916】
素子分離絶縁層52は、例えば、以下のようなプロセスにより形成できる。
【0917】
PEP(Photo Engraving Process)により、半導体基板51上にマスクパターン(窒化シリコンなど)を形成する。このマスクパターンをマスクにして、RIE(Reactive Ion Etching)を用いて半導体基板51をエッチングし、半導体基板51にトレンチを形成する。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法及びCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、このトレンチ内に絶縁層(酸化シリコンなど)を満たす。
【0918】
この後、必要ならば、例えば、イオン注入法により、半導体基板内に、P型不純物(B、BFなど)又はN型不純物(P,Asなど)を注入し、P型ウェル領域又はN型ウェル領域を形成する。
【0919】
・ MOSFETの形成ステップ
次に、図174に示すように、半導体基板51の表面領域に、読み出し選択スイッチとして機能するMOSトランジスタを形成する。
【0920】
MOSトランジスタは、例えば、以下のようなプロセスにより形成できる。
【0921】
素子分離絶縁層52に取り囲まれた素子領域内のチャネル部に、MOSトランジスタの閾値を制御するための不純物をイオン注入する。熱酸化法により、素子領域内にゲート絶縁膜(酸化シリコンなど)53を形成する。CVD法により、ゲート絶縁膜53上に、ゲート電極材料(不純物を含むポリシリコンなど)及びキャップ絶縁膜(窒化シリコンなど)55を形成する。
【0922】
PEPにより、キャップ絶縁膜55をパターニングした後、このキャップ絶縁膜55をマスクにして、RIEにより、ゲート電極材料及びゲート絶縁膜53を加工(エッチング)する。その結果、半導体基板51上に、X方向に延びるゲート電極54が形成される。
【0923】
キャップ絶縁膜55及びゲート電極54をマスクにして、イオン注入法を用いて、半導体基板51内に、P型不純物又はN型不純物を注入する。そして、半導体基板内に、低濃度の不純物領域(LDD領域又はエクステンション領域)を形成する。
【0924】
CVD法により、半導体基板51上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングし、ゲート電極54及びキャップ絶縁膜55の側壁に、サイドウォール絶縁層57を形成する。キャップ絶縁膜55、ゲート電極54及びサイドウォール絶縁層57をマスクにして、イオン注入法を用いて、半導体基板51内に、P型不純物又はN型不純物を注入する。その結果、半導体基板51内には、ソース領域56A及びドレイン領域56Bが形成される
この後、CVD法により、半導体基板51上の全体に、MOSトランジスタを完全に覆う層間絶縁膜(例えば、酸化シリコンなど)58を形成する。また、CMP技術を利用することによって、層間絶縁膜58の表面を平坦化する。
【0925】
・ コンタクトホールの形成ステップ
次に、図175及び図176に示すように、半導体基板51上の層間絶縁膜58に、MOSトランジスタのソース領域56A及びドレイン領域56Bに到達するコンタクトホール59を形成する。
【0926】
コンタクトホール59は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜58上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜58をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0927】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図177に示すように、半導体基板51上の層間絶縁膜58に、配線溝60を形成する。本例では、配線溝60は、X方向に延びているため、Y方向に沿う断面で見た場合には、配線溝60は、コンタクトホール59にオーバーラップしている。そこで、同図では、配線溝60を破線で示している。
【0928】
配線溝60は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜58上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜58をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0929】
・ 第1配線層の形成ステップ
次に、図178に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜58上、コンタクトホール59の内面上及び配線溝60の内面上に、それぞれ、バリアメタル層(TiとTiNの積層など)61を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層61上に、コンタクトホール59及び配線溝60を完全に満たす金属層(Wなど)62を形成する。
【0930】
この後、図179に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層62を研磨し、金属層62を、コンタクトホール59内及び配線溝60内のみに残す。コンタクトホール59内に残存した金属層62は、コンタクトプラグとなり、配線溝60内に残存した金属層62は、第1配線層となる。また、CVD法により、層間絶縁膜58上に、層間絶縁膜(酸化シリコンなど)63を形成する。
【0931】
なお、コンタクトホールの形成ステップ、配線溝の形成ステップ及び第1配線層の形成ステップからなるステップは、デュアルダマシンプロセスと呼ばれる。
【0932】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図180に示すように、層間絶縁膜63に、配線溝64を形成する。本例では、配線溝64は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝64の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)65が形成される。
【0933】
配線溝64は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜63上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜63をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0934】
サイドウォール絶縁層65は、CVD法により、層間絶縁膜63上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0935】
・ 第2配線層の形成ステップ
次に、図181に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜63上、配線溝64の内面上及びサイドウォール絶縁層65上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)66を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層66上に、配線溝64を完全に満たす金属層(Cuなど)67を形成する。
【0936】
この後、図182に示すように、例えば、CMP法を用いて、金属層67を研磨し、金属層67を、配線溝64内のみに残す。配線溝64内に残存した金属層67は、書き込みワード線として機能する第2配線層となる。
【0937】
また、CVD法により、層間絶縁膜63上に絶縁層(窒化シリコンなど)68を形成する。また、CMP法により、この絶縁層68を研磨し、この絶縁層68を、第2配線層としての金属層67上のみに残存させる。また、層間絶縁膜63上に、第2配線層としての金属層67を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)69を形成する。
【0938】
なお、配線溝の形成ステップ及び第2配線層の形成ステップからなるステップは、ダマシンプロセスと呼ばれる。
【0939】
・ 第1MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図183及び図184に示すように、層間絶縁膜69に、第1配線層としての金属層62に到達するコンタクトホールを形成する。
【0940】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜69上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜63,69をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0941】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)70を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層70上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)71を形成する。
【0942】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層71を研磨し、金属層71を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層71は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜69上に、第1MTJ素子の下部電極となる金属層72を形成する。
【0943】
・ 第1MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図185及び図186に示すように、金属層72上に、第1MTJ素子73を形成する。第1MTJ素子73は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図45に示すような構造を有している。
【0944】
また、本例では、第1MTJ素子73の側面に、第1MTJ素子73を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)73Aを形成する。この保護絶縁層73Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第1MTJ素子73の側面に、容易に形成することができる。
【0945】
CVD法を用いて、第1MTJ素子73を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)75Bを形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜75Bを研磨し、層間絶縁膜75Bを、第1MTJ素子73の間のみに残存させる。
【0946】
また、図187に示すように、スパッタ法により、層間絶縁膜75B上に、第1MTJ素子73の上部電極となる金属層74を形成する。続けて、CVD法により、金属層74上に、第1MTJ素子73を保護するアルミナ層74Aを形成する。
【0947】
この後、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層74A、金属層74及び層間絶縁膜75Bをパターニングする。この時、同時に、第1MTJ素子73の下部電極としての金属層72の表面を露出させる。
【0948】
再び、アルミナ層74Aを形成した後、RIEにより、アルミナ層74Aをエッチングすると、このアルミナ層74Aは、上部電極としての金属層74及び第1MTJ素子73の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【0949】
この後、CVD法を用いて、第1MTJ素子73を完全に覆う層間絶縁膜75を形成する。
【0950】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図188に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75に、配線溝75Aを形成する。この時、アルミナ層74Aは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝75Aの底部が金属層74及び第1MTJ素子73に到達することはない。
【0951】
本例では、配線溝75Aは、書き込みビット線を形成するための溝となっており、Y方向に延びている。配線溝75Aの側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)が形成される。
【0952】
配線溝75Aは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜75上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0953】
サイドウォール絶縁層は、CVD法により、層間絶縁膜75上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0954】
・ 第3配線層の形成ステップ
次に、図189に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜75上、配線溝75Aの内面上及びサイドウォール絶縁層上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)76を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層76上に、配線溝75Aを完全に満たす金属層(Cuなど)77を形成する。
【0955】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層77を研磨し、金属層77を、配線溝75A内のみに残す。配線溝75A内に残存した金属層77は、書き込みビット線として機能する第3配線層となる。
【0956】
また、CVD法により、層間絶縁膜75上に絶縁層(窒化シリコンなど)78を形成する。また、CMP法により、この絶縁層78を研磨し、この絶縁層78を、第3配線層としての金属層77上のみに残存させる。また、層間絶縁膜75上に、第3配線層としての金属層77を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)79を形成する。
【0957】
・ 第2MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図190及び図191に示すように、層間絶縁膜75,79及びアルミナ層74Aに、第1MTJ素子の上部電極74に到達するコンタクトホールを形成する。
【0958】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜79上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75,79及びアルミナ層74Aをエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0959】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)80を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層80上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)81を形成する。
【0960】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層81を研磨し、金属層81を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層81は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜79上に、第2MTJ素子の下部電極となる金属層82を形成する。
【0961】
・ 第2MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図192及び図193に示すように、金属層82上に、第2MTJ素子84を形成する。第2MTJ素子84は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図46に示すような構造を有している。
【0962】
また、本例では、第2MTJ素子84の側面に、第2MTJ素子84を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)83Aを形成する。この保護絶縁層83Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第2MTJ素子84の側面に、容易に形成することができる。
【0963】
この後、第2MTJ素子84の下部電極82をパターニングする。第2MTJ素子84の下部電極82のパターニングは、PEPにより、下部電極82上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部電極82をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0964】
次に、図194に示すように、CVD法により、第2MTJ素子84上に、第2MTJ素子84を保護するアルミナ層83Bを形成する。この後、RIEにより、アルミナ層83Bは、エッチングされ、その結果、第2MTJ素子84の側壁部にアルミナ層83Bが残存する。
【0965】
CVD法を用いて、第2MTJ素子84を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)84Bを形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜84Bを研磨し、層間絶縁膜84Bを、第2MTJ素子84の間のみに残存させる。
【0966】
また、層間絶縁膜75,79,84Bに、第1MTJ素子の下部電極72に到達するコンタクトホールを形成する。
【0967】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜84B上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜75,79,84Bをエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0968】
なお、このエッチングステップにおいて、アルミナ層74A,83Bのエッチングレートは、層間絶縁膜75,79,84Bのエッチングレートよりも十分に小さくなるように設定されている。
【0969】
即ち、本例によれば、コンタクトホールの合せずれが生じても、アルミナ層74A,83Bが第1及び第2MTJ素子73,84を保護しているため、第1及び第2MTJ素子73,84がエッチングされるという事態が生じることがない。
【0970】
次に、図195に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)85Aを形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層85A上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)85Bを形成する。
【0971】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層85Bを研磨し、金属層85Bを、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層85Bは、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜84B上に、第2MTJ素子84の上部電極となる金属層85を形成する。続けて、CVD法により、金属層85上に、第2MTJ素子84を保護するアルミナ層85Cを形成する。
【0972】
この後、図196に示すように、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層85C及び金属層85をパターニングする。再び、アルミナ層85Cを形成した後、RIEにより、アルミナ層85Cをエッチングすると、このアルミナ層85Cは、上部電極としての金属層85及び第2MTJ素子84の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【0973】
この後、CVD法を用いて、第2MTJ素子85を完全に覆う層間絶縁膜86を形成する。
【0974】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図197に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86に、配線溝87を形成する。この時、アルミナ層85Cは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝87の底部が金属層85及び第2MTJ素子84に到達することはない。
【0975】
本例では、配線溝87は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝87の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)88が形成される。
【0976】
配線溝87は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜86上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0977】
サイドウォール絶縁層88は、CVD法により、層間絶縁膜86上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0978】
・ 第4配線層の形成ステップ
次に、図198に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜86上、配線溝87の内面上及びサイドウォール絶縁層88上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)89を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層89上に、配線溝87を完全に満たす金属層(Cuなど)90を形成する。
【0979】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層90を研磨し、金属層90を、配線溝87内のみに残す。配線溝87内に残存した金属層90は、書き込みワード線として機能する第4配線層となる。
【0980】
また、CVD法により、層間絶縁膜86上に絶縁層(窒化シリコンなど)92を形成する。また、CMP法により、この絶縁層92を研磨し、この絶縁層92を、第4配線層としての金属層90上のみに残存させる。また、層間絶縁膜86上に、第4配線層としての金属層90を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)93を形成する。
【0981】
・ 第3MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図199及び図200に示すように、CVD法により、層間絶縁膜93上に、第3MTJ素子の下部電極となる金属層96を形成する。
【0982】
ここで、製造方法3では、製造方法2と比べると、4段に積み重ねられたTMR素子を直並列に接続するために、第2MTJ素子の上部電極85に到達するコンタクトホールを形成するステップを省略している。
【0983】
・ 第3MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図201及び図202に示すように、金属層96上に、第3MTJ素子97を形成する。第3MTJ素子97は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図47に示すような構造を有している。
【0984】
また、本例では、第3MTJ素子97の側面に、第3MTJ素子97を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)97Aを形成する。この保護絶縁層97Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第3MTJ素子97の側面に、容易に形成することができる。
【0985】
この後、第3MTJ素子97の下部電極96をパターニングする。第3MTJ素子97の下部電極96のパターニングは、PEPにより、下部電極96上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部電極96をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【0986】
次に、図203に示すように、CVD法を用いて、第3MTJ素子97を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)98を形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜98を研磨し、層間絶縁膜98を、第3MTJ素子97の間のみに残存させる。
【0987】
この後、層間絶縁膜86,93,98に、第2MTJ素子84の下部電極82に到達するコンタクトホールを形成する。
【0988】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜98上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜86,93,98をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0989】
次に、図204に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)99Aを形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層99A上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)99Bを形成する。
【0990】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層99Bを研磨し、金属層99Bを、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層99Bは、コンタクトプラグとなる。また、CVD法により、層間絶縁膜98上に、第3MTJ素子の上部電極となる金属層99を形成する。
【0991】
また、CVD法により、第3MTJ素子97の上部電極99上に、第3MTJ素子97を保護するアルミナ層99Cを形成する。
【0992】
次に、図205に示すように、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層99C及び金属層99をパターニングする。再び、アルミナ層99Cを形成した後、RIEにより、アルミナ層99Cをエッチングすると、このアルミナ層99Cは、上部電極としての金属層99及び第3MTJ素子97の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【0993】
この後、CVD法を用いて、第3MTJ素子97を完全に覆う層間絶縁膜100を形成する。
【0994】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図206及び図207に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100に、Y方向に延びる配線溝を形成する。この時、アルミナ層99Cは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝の底部が金属層99及び第3MTJ素子97に到達することはない。
【0995】
本例では、配線溝は、書き込みビット線を形成するための溝となっており、Y方向に延びている。配線溝の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)が形成される。
【0996】
配線溝は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜100上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【0997】
サイドウォール絶縁層は、CVD法により、層間絶縁膜100上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【0998】
・ 第5配線層の形成ステップ
次に、図206及び図207に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜100上、配線溝の内面上及びサイドウォール絶縁層上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)101を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層101上に、配線溝を完全に満たす金属層(Cuなど)102を形成する。
【0999】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層102を研磨し、金属層102を、配線溝内のみに残す。配線溝内に残存した金属層102は、書き込みビット線として機能する第5配線層となる。
【1000】
また、CVD法により、層間絶縁膜100上に絶縁層(窒化シリコンなど)103を形成する。また、CMP法により、この絶縁層103を研磨し、この絶縁層103を、第5配線層としての金属層102上のみに残存させる。また、層間絶縁膜100上に、第5配線層としての金属層102を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)104を形成する。
【1001】
・ 第4MTJ素子の下部電極の形成ステップ
次に、図208及び図209に示すように、層間絶縁膜100,104及びアルミナ層99Cに、第3MTJ素子97の上部電極99に到達するコンタクトホールを形成する。
【1002】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜104上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100,104及びアルミナ層99Cをエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【1003】
また、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)80Xを形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層80X上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)81Xを形成する。
【1004】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層81Xを研磨し、金属層81Xを、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層81Xは、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜104上に、第4MTJ素子の下部電極となる金属層107を形成する。
【1005】
・ 第4MTJ素子及びその上部電極の形成ステップ
次に、図208及び図209に示すように、金属層107上に、第4MTJ素子108を形成する。第4MTJ素子108は、トンネルバリア及びこれを挟み込む2つの強磁性層と反強磁性層とから構成され、例えば、図48に示すような構造を有している。
【1006】
また、本例では、第4MTJ素子108の側面に、第4MTJ素子108を保護する保護絶縁層(酸化シリコンなど)108Aを形成する。この保護絶縁層108Aは、CVD法とRIE法を用いれば、第4MTJ素子108の側面に、容易に形成することができる。
【1007】
この後、第4MTJ素子108の下部電極107をパターニングする。第4MTJ素子108の下部電極107のパターニングは、PEPにより、下部電極107上にレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、下部電極107をエッチングすることにより、容易に行える。この後、レジストパターンは、除去される。
【1008】
次に、図210に示すように、CVD法により、第4MTJ素子108上に、第4MTJ素子108を保護するアルミナ層108Bを形成する。この後、RIEにより、アルミナ層108Bは、エッチングされ、その結果、第4MTJ素子108の側壁部にアルミナ層108Bが残存する。
【1009】
CVD法を用いて、第4MTJ素子108を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)109を形成する。また、例えば、CMP法により、層間絶縁膜109を研磨し、層間絶縁膜109を、第4MTJ素子108の間のみに残存させる。
【1010】
また、層間絶縁膜100,104,109に、第3MTJ素子97の下部電極96に到達するコンタクトホールを形成する。
【1011】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜109上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜100,104,109をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【1012】
なお、このエッチングステップにおいて、アルミナ層99C,108Bのエッチングレートは、層間絶縁膜100,104,109のエッチングレートよりも十分に小さくなるように設定されている。
【1013】
即ち、本例によれば、コンタクトホールの合せずれが生じても、アルミナ層99C,108Bが第3及び第4MTJ素子97,108を保護しているため、第3及び第4MTJ素子97,108がエッチングされるという事態が生じることがない。
【1014】
次に、図211に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、コンタクトホールの内面上にバリアメタル層(TiとTiNの積層など)105を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層105上に、コンタクトホールを完全に満たす金属層(Wなど)106を形成する。
【1015】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層106を研磨し、金属層106を、コンタクトホール内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層106は、コンタクトプラグとなる。また、スパッタ法により、層間絶縁膜109上に、第4MTJ素子108の上部電極となる金属層107を形成する。続けて、CVD法により、金属層107上に、第4MTJ素子108を保護するアルミナ層107Aを形成する。
【1016】
次に、図212に示すように、PEPにより、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、アルミナ層107A及び金属層107をパターニングする。
【1017】
再び、アルミナ層107Aを形成した後、RIEにより、アルミナ層107Aをエッチングすると、このアルミナ層107Aは、上部電極としての金属層107及び第4MTJ素子108の上部及び側壁部を覆った形で残存する。
【1018】
この後、CVD法を用いて、第4MTJ素子108を完全に覆う層間絶縁膜111を形成する。
【1019】
・ 配線溝の形成ステップ
次に、図213及び図214に示すように、例えば、レジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111に、X方向に延びる配線溝112を形成する。この時、アルミナ層107Aは、エッチングストッパとして機能するため、配線溝112の底部が金属層107及び第4MTJ素子108に到達することはない。
【1020】
本例では、配線溝112は、書き込みワード線を形成するための溝となっており、X方向に延びている。配線溝112の側面には、自己整合コンタクトプロセスのためのサイドウォール絶縁層(窒化シリコンなど)113が形成される。
【1021】
配線溝112は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜111上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【1022】
サイドウォール絶縁層113は、CVD法により、層間絶縁膜111上の全体に、絶縁膜(窒化シリコンなど)を形成した後、RIEにより、その絶縁膜をエッチングすることにより、容易に形成することができる。
【1023】
・ 第6配線層の形成ステップ
次に、図213及び図214に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜111上、配線溝112の内面上及びサイドウォール絶縁層113上に、それぞれ、バリアメタル層(TaとTaNの積層など)114を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層114上に、配線溝112を完全に満たす金属層(Cuなど)115を形成する。
【1024】
この後、例えば、CMP法を用いて、金属層115を研磨し、金属層115を、配線溝112内のみに残す。配線溝112内に残存した金属層115は、書き込みワード線として機能する第6配線層となる。
【1025】
また、CVD法により、層間絶縁膜111上に絶縁層(窒化シリコンなど)116を形成する。また、CMP法により、この絶縁層116を研磨し、この絶縁層116を、第6配線層としての金属層115上のみに残存させる。
【1026】
・ 第7配線層の形成ステップ
次に、図215及び図216に示すように、層間絶縁膜111上に、第6配線層としての金属層115を完全に覆う層間絶縁膜(酸化シリコンなど)117を形成する。層間絶縁膜111,117に、第4MTJ素子の上部電極107に到達するコンタクトホールを形成する。
【1027】
このコンタクトホールは、例えば、PEPにより、層間絶縁膜117上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜111,117をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【1028】
また、層間絶縁膜117に、読み出しビット線を形成するための配線溝を形成する。
【1029】
この配線溝は、例えば、PEPにより、層間絶縁膜117上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、層間絶縁膜117をエッチングすれば、容易に形成することができる。このエッチング後、レジストパターンは、除去される。
【1030】
この後、例えば、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜117上、コンタクトホールの内面上及び配線溝の内面上に、それぞれ、バリアメタル層(TiとTiNの積層など)118を形成する。続けて、例えば、スパッタ法により、バリアメタル層118上に、コンタクトホール及び配線溝を完全に満たす金属層(Wなど)119を形成する。
【1031】
また、例えば、CMP法により、金属層119及びバリアメタル層117を研磨し、これら金属層119及びバリアメタル層117を、コンタクトホール内及び配線溝内のみに残す。コンタクトホール内に残存した金属層119は、コンタクトプラグとなる。また、配線溝内に残存した金属層119は、読み出しビット線として機能する第7配線層となる。
【1032】
▲3▼ まとめ
この製造方法3によれば、複数のTMR素子が複数段に積み重ねられ、かつ、これら複数のTMR素子が読み出しビット線と接地端子の間に直並列接続されたセルアレイ構造(1スイッチ−nMTJ構造)を実現することができる。
【1033】
なお、本例では、配線層を形成するに当たって、ダマシンプロセス及びデュアルダマシンプロセスを採用したが、これに代えて、例えば、配線層の加工をエッチングにより行うプロセスを採用してもよい。
【1034】
9. その他
上述の説明では、磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルとして、TMR素子を用いることを前提としたが、メモリセルがGMR(Giant Magneto Resistance)素子である場合にも、本発明、即ち、各種のセルアレイ構造、読み出し動作原理、読み出し回路の具体例などを適用することができる。
【1035】
また、TMR素子やGMR素子の構造や、これらを構成する材料などについても、本発明の適用に当たって、特に、限定されることはない。
【1036】
磁気ランダムアクセスメモリの読み出し選択スイッチとしては、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ及びダイオードの場合について説明したが、これ以外のスイッチ素子、例えば、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタ(MOSFETを含む)、MES(Metal Semiconductor)トランジスタ、接合(Junction)トランジスタを、読み出し選択スイッチとして用いることもできる。
【1037】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、第一に、メモリ容量の増大に適した新規なセルアレイ構造を有する磁気ランダムアクセスメモリ及びその製造方法を提供できる。また、第二に、その新規なセルアレイ構造に適した新規な読み出し動作原理を提供できる。さらに、第三に、その新規な読み出し動作原理を実現するための読み出し回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例1に関わる回路図。
【図2】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例1に関わる断面図。
【図3】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例1に関わる断面図。
【図4】構造例1の第1変形例を示す回路図。
【図5】構造例1の第1変形例を示す断面図。
【図6】構造例1の第2変形例を示す回路図。
【図7】構造例1の第2変形例を示す断面図。
【図8】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例2に関わる回路図。
【図9】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例2に関わる断面図。
【図10】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例2に関わる断面図。
【図11】構造例2の第1変形例を示す断面図。
【図12】構造例2の第1変形例を示す平面図。
【図13】構造例2の第2変形例を示す回路図。
【図14】構造例2の第2変形例を示す断面図。
【図15】構造例2の第3変形例を示す回路図。
【図16】構造例2の第3変形例を示す断面図。
【図17】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例3に関わる回路図。
【図18】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例3に関わる断面図。
【図19】構造例3の第1変形例を示す回路図。
【図20】構造例3の第1変形例を示す断面図。
【図21】構造例3の第2変形例を示す回路図。
【図22】構造例3の第2変形例を示す断面図。
【図23】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例4に関わる回路図。
【図24】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例4に関わる回路図。
【図25】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例4に関わる回路図。
【図26】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例4に関わる断面図。
【図27】構造例4の変形例を示す断面図。
【図28】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例5に関わる回路図。
【図29】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例5に関わる回路図。
【図30】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例5に関わる回路図。
【図31】本発明の磁気ランダムアクセスメモリの構造例5に関わる断面図。
【図32】構造例5の変形例を示す断面図。
【図33】構造例1の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図34】構造例1の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図35】構造例1の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図36】構造例2の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図37】構造例2の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図38】構造例2の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図39】構造例3の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図40】構造例3の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図41】構造例3の読み出し動作時の等価回路を示す図。
【図42】TMR素子の構造例を示す図。
【図43】TMR素子の構造例を示す図。
【図44】TMR素子の構造例を示す図。
【図45】第1TMR素子の構造例を示す図。
【図46】第2TMR素子の構造例を示す図。
【図47】第3TMR素子の構造例を示す図。
【図48】第4TMR素子の構造例を示す図。
【図49】第1TMR素子の構造例を示す図。
【図50】第2TMR素子の構造例を示す図。
【図51】第3TMR素子の構造例を示す図。
【図52】第4TMR素子の構造例を示す図。
【図53】本発明に関わる読み出し回路の回路例1を示す図。
【図54】本発明に関わる読み出し回路の回路例2を示す図。
【図55】本発明に関わる読み出し回路の回路例3を示す図。
【図56】センスアンプの一例を示す図。
【図57】センスアンプ内の差動アンプの一例を示す図。
【図58】センスアンプ内の差動アンプの他の例を示す図。
【図59】センスアンプの他の例を示す図。
【図60】読み出し回路内のオペアンプの一例を示す図。
【図61】読み出し回路内のオペアンプの他の例を示す図。
【図62】付加電流生成部の一例を示す回路図。
【図63】本発明に関わる読み出し回路の回路例4を示す図。
【図64】第4TMR素子のデータ値を判定するロジック回路を示す図。
【図65】第3TMR素子のデータ値を判定するロジック回路を示す図。
【図66】第2TMR素子のデータ値を判定するロジック回路を示す図。
【図67】第1TMR素子のデータ値を判定するロジック回路を示す図。
【図68】書き込みワード線ドライバ/シンカーの回路例を示す図。
【図69】書き込みビット線ドライバ/シンカーの回路例を示す図。
【図70】読み出しワード線ドライバの回路例を示す図。
【図71】カラムデコーダの回路例を示す図。
【図72】書き込みワード線ドライバ/シンカーの回路例を示す図。
【図73】書き込みビット線ドライバ/シンカーの回路例を示す図。
【図74】書き込み線に対して対称に配置されるTMR素子を示す図。
【図75】書き込み線に対して対称に配置されるTMR素子を示す図。
【図76】書き込み線に対して対称に配置されるTMR素子を示す図。
【図77】書き込み線に対して対称に配置されるTMR素子を示す図。
【図78】書き込み線に対して対称に配置されるTMR素子を示す図。
【図79】書き込み線に対して対称に配置されるTMR素子を示す図。
【図80】書き込みビット線ドライバ/シンカーの回路例を示す図。
【図81】本発明の製造方法1が適用されるデバイス構造を示す図。
【図82】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図83】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図84】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図85】図84のLXXXV−LXXXV線に沿う断面図。
【図86】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図87】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図88】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図89】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図90】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図91】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図92】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図93】図92のXCIII−XCIII線に沿う断面図。
【図94】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図95】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図96】図95のXCVI−XCVI線に沿う断面図。
【図97】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図98】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図99】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図100】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図101】図100のCI−CI線に沿う断面図。
【図102】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図103】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図104】図103のCIV−CIV線に沿う断面図。
【図105】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図106】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図107】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図108】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図109】図108のCIX−CIX線に沿う断面図。
【図110】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図111】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図112】図111のCXII−CXII線に沿う断面図。
【図113】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図114】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図115】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図116】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図117】図116のCXVII−CXVII線に沿う断面図。
【図118】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図119】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図120】図119のCXX−CXX線に沿う断面図。
【図121】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図122】本発明の製造方法1の1ステップを示す断面図。
【図123】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図124】図123のCXXIV−CXXIV線に沿う断面図。
【図125】本発明の製造方法1の1ステップを示す平面図。
【図126】図125のCXXVI−CXXVI線に沿う断面図。
【図127】本発明の製造方法2が適用されるデバイス構造を示す図。
【図128】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図129】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図130】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図131】図130のCXXXI−CXXXI線に沿う断面図。
【図132】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図133】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図134】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図135】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図136】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図137】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図138】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図139】図138のCXXXIX−CXXXIX線に沿う断面図。
【図140】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図141】図140のCXLI−CXLI線に沿う断面図。
【図142】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図143】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図144】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図145】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図146】図145のCXLVI−CXLVI線に沿う断面図。
【図147】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図148】図147のCXLVIII−CXLVIII線に沿う断面図。
【図149】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図150】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図151】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図152】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図153】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図154】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図155】図154のCLV−CLV線に沿う断面図。
【図156】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図157】図156のCLVII−CLVII線に沿う断面図。
【図158】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図159】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図160】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図161】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図162】図161のCLXII−CLXII線に沿う断面図。
【図163】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図164】図163のCLXIV−CLXIV線に沿う断面図。
【図165】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図166】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図167】本発明の製造方法2の1ステップを示す断面図。
【図168】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図169】図168のCLXIX−CLXIX線に沿う断面図。
【図170】本発明の製造方法2の1ステップを示す平面図。
【図171】図170のCLXXVI−CLXXVI線に沿う断面図。
【図172】本発明の製造方法3が適用されるデバイス構造を示す図。
【図173】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図174】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図175】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図176】図175のCLXXVI−CLXXVI線に沿う断面図。
【図177】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図178】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図179】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図180】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図181】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図182】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図183】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図184】図183のCLXXXIV−CLXXXIV線に沿う断面図。
【図185】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図186】図185のCLXXXVI−CLXXXVI線に沿う断面図。
【図187】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図188】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図189】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図190】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図191】図190のCXCI−CXCI線に沿う断面図。
【図192】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図193】図192のCXCIII−CXCIII線に沿う断面図。
【図194】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図195】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図196】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図197】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図198】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図199】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図200】図199のCC−CC線に沿う断面図。
【図201】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図202】図201のCCII−CCII線に沿う断面図。
【図203】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図204】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図205】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図206】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図207】図206のCCVII−CCVII線に沿う断面図。
【図208】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図209】図208のCCIX−CCIX線に沿う断面図。
【図210】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図211】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図212】本発明の製造方法3の1ステップを示す断面図。
【図213】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図214】図213のCCXIV−CCXIV線に沿う断面図。
【図215】本発明の製造方法3の1ステップを示す平面図。
【図216】図215のCCXVI−CCXVI線に沿う断面図。
【図217】構造例1の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図218】構造例1の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図219】構造例2の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図220】構造例2の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図221】構造例3の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図222】構造例3の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図223】構造例4の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図224】構造例4の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図225】構造例4の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図226】構造例5の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図227】構造例5の一部を変更した構造例を示す回路図。
【図228】構造例5の一部を変更した構造例を示す回路図。
【符号の説明】
11 :メモリセルアレイ、
12 :TMR素子、
23A−0,・・・23A−n :書き込みワード線ドライバ、
24−0,・・・24−n :書き込みワード線シンカー、
25−0,・・・25−n :ロウデコーダ、
28 :共通データ線、
29 :書き込みビット線ドライバ/シンカー、
29A :書き込みビット線ドライバ/シンカー、
29B :読み出し回路、
30A,30B :共通ドライバ線、
31 :書き込みビット線ドライバ/シンカー、
32 :カラムデコーダ、
41,51 :半導体基板、
41A1,・・・41A4 :下部電極、
41B1,・・・41B4 :上部電極、
42A,・・・42F :コンタクトプラグ、
43 :中間層、
44A,44B,47,49,50,51X,52X:コンタクト部、
44−0,・・・44−14 :基準電流生成回路、
52 :素子分離絶縁層、
53 :ゲート絶縁膜、
54 :ゲート電極、
55 :キャップ絶縁膜、
56A :ソース領域、
56B :ドレイン領域、
57,65,88 :サイドウォール絶縁層、
58,63,69,75,75B,79,84B,86,93,98,100,104,109,111,117 :層間絶縁膜、
59 :コンタクトホール、
60,64,75A,87,112 :配線溝、
61,66,70,76,80,85A,89,99A,101,114,118 :バリアメタル層、
62,67,71,72,74,77,81,82,85B,90,99B,102,115,119 :金属層、
68,78,103 :絶縁層、
73,84,97,108 :MTJ素子、
74A,83B,85C :アルミナ層、
83A :保護絶縁層、
MTJ1,・・・MTJ4 :TMR素子(MTJ素子)、
BL00,・・・BLjn :ブロック、
WWL0,・・・WWL3n+2 :書き込みワード線、
RWL0,・・・RWLn :読み出しワード線、
BL00,・・・BLj0,BL01,・・・BLj1 :書き込みビット線、
BL0,・・・BLj :読み出しビット線、
Px1,Px2,Px3,QPx,QP0,・・・QP21 :PチャネルMOSトランジスタ、
QN00,・・・QN140,QN01,・・・QN141,QN0,・・・QN21 :NチャネルMOSトランジスタ、
NR1,・・・NR17 :NOR回路、
AD1,・・・AD6 :AND回路、
ND1,・・・ND3 :NAND回路、
Ex−OR1 :エクスクルーシブOR回路、
IV1,・・・IV20 :インバータ回路、
DI0,・・・DI14 :差動アンプ、
Mx :カレントミラー回路、
Ix :電流源、
SW,SWA,SWB :カラム選択スイッチ。

Claims (4)

  1. 半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、
    前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、
    前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを具備し、
    前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続され、
    前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有されることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  2. 半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続と並列接続の組み合わせにより構成される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、
    前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、
    前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを具備し、
    前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続と並列接続の組み合わせにより接続され、
    前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有されることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  3. 半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、
    前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、
    前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを具備し、
    前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続され、
    前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有されることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリの製造方法において、
    前記半導体基板の表面領域に読み出し選択スイッチを形成するステップと、
    前記読み出し選択スイッチ上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第1の書き込みワード線を形成するステップと、
    前記第1の書き込みワード線の直上に第1のメモリセルを形成するステップと、
    前記第1のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第1の書き込みビット線を形成するステップと、
    前記第1の書き込みビット線の直上に、前記第1の書き込みビット線に対して前記第1のメモリセルと対称となる第2のメモリセルを形成するステップと、
    前記第2のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第2の書き込みワード線を形成するステップと、
    前記第2の書き込みワード線の直上に、前記第2の書き込みワード線に対して前記第2のメモリセルと対称となる第3のメモリセルを形成するステップと、
    前記第3のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第2の書き込みビット線を形成するステップと、
    前記第2の書き込みビット線の直上に、前記第2の書き込みビット線に対して前記第3のメモリセルと対称となる第4のメモリセルを形成するステップと、
    前記第4のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第3の書き込みワード線を形成するステップと、
    前記第3の書き込みワード線上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる前記読み出しビット線を形成するステップと
    を具備することを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリの製造方法。
  4. 半導体基板上に積み重ねられ、かつ、直列接続と並列接続の組み合わせにより構成される磁気抵抗効果を利用する複数のメモリセルと、
    前記複数のメモリセルの全てのさらに上に配置され、前記複数のメモリセルの一端に接続される読み出しビット線と、
    前記読み出しビット線に接続される読み出し回路と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、X方向に延び、前記X方向と垂直なZ方向に積み重ねられる複数の書き込みワード線と、
    前記複数のメモリセルのうちの1つにデータを書き込むために使用され、前記X方向に交差し、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に延びる書き込みビット線とを具備し、
    前記複数のメモリセルの各々は、上部電極と下部電極に挟まれ、前記複数のメモリセルは、前記上部電極又は前記下部電極にコンタクトするコンタクトプラグにより、互いに直列接続と並列接続の組み合わせにより接続され、
    前記書き込みワード線は、前記メモリセルの上部又は下部に配置され、且つ、前記書き込みビット線は、前記書き込みワード線の配置される側と反対側の、前記メモリセルの下部又は上部に配置され、前記メモリセルの間に配置される前記書き込みワード線及び前記書き込みビット線は、その上部及び下部に配置される前記メモリセルによって共有されることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリの製造方法において、
    前記半導体基板の表面領域に読み出し選択スイッチを形成するステップと、
    前記読み出し選択スイッチ上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第1 の書き込みワード線を形成するステップと、
    前記第1の書き込みワード線の直上に第1のメモリセルを形成するステップと、
    前記第1のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第1の書き込みビット線を形成するステップと、
    前記第1の書き込みビット線の直上に、前記第1の書き込みビット線に対して前記第1のメモリセルと対称となる第2のメモリセルを形成するステップと、
    前記第2のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第2の書き込みワード線を形成するステップと、
    前記第2の書き込みワード線の直上に、前記第2の書き込みワード線に対して前記第2のメモリセルと対称となる第3のメモリセルを形成するステップと、
    前記第3のメモリセルの直上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる第2の書き込みビット線を形成するステップと、
    前記第2の書き込みビット線の直上に、前記第2の書き込みビット線に対して前記第3のメモリセルと対称となる第4のメモリセルを形成するステップと、
    前記第4のメモリセルの直上に、前記X方向に延び、前記Z方向に積み重ねられる第3の書き込みワード線を形成するステップと、
    前記第3の書き込みワード線上に、前記X方向に交差し、前記Y方向に延びる前記読み出しビット線を形成するステップと
    を具備することを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリの製造方法。
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