JP4145298B2 - ガスタービンエンジンのディフューザーの製造方法 - Google Patents

ガスタービンエンジンのディフューザーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はガスタービンエンジンのディフューザーに関し、特にガスタービンエンジンのディフューザーを機械加工する方法に関する。
ガスタービンエンジンの圧縮機セクションは圧縮機の下流のディフューザーを含む。ディフューザーの機能は圧縮空気の速度を低下させると同時に静圧を高め、これによって空気が比較的低速で燃焼器へ流入するように準備することである。高圧低速の空気を燃焼器部分に供給することは適切な燃料混合および効率的な燃焼にとって重要である。
遠心式圧縮機のインペラーが軸方向に空気を誘引し、導入空気が遠心力によってインペラーのベーンに沿って半径方向外側に流れるに従ってインペラーの回転が空気の速度を高める。インペラーを離れる空気の半径方向の流れを環状の軸方向の流れに再変向して燃焼器に供給するためにディフューザーアセンブリーが設けられる。ディフューザーアセンブリーは流れを再変向すると同時に空気流の速度を低下させ、静圧を高める。
この形式の従来のディフューザーアセンブリーは時にフィッシュテール型ディフューザーとして知られるが、一般にインペラーの周囲を取り囲む機械加工されたリングを含み、これが空気の半径方向の流れを捕捉して、実質的に接線方向のオリフィスを通して変向して、ディフューザーチューブの列に送り込む。ディフューザーリングに設けられたオリフィスは円周方向に間隔を置いており、その各々は二つの隣接する孔と非対称な位置で交差している。ディフューザーチューブはリングにロウ付けされるかまたは機械的に接続され、その断面積は後方に向かって拡大している。
一般にディフューザーの設計は所望の空気力学的性能と製造工程の実際的限界との妥協を要する。例えばインペラーを取り囲むリングに設けられるオリフィスはドリル穿孔工程の経済的限界の故に通常は円筒形または円錐形の孔である。例えば楕円形の孔を設けることは製造と品質管理において法外に高いコストを伴うであろう。
エンジンの性能は接線方向のディフューザー孔の品質によって直接に影響される。良い性能を得るには、これらの孔の非常に正確な直径と正確な位置、孔が交差する領域の尖鋭な縁部、およびこれらの孔の非常に良い表面仕上げがすべて要求される。この故に、ディフューザーはガスタービンエンジンにおいてその製造が最も高価かつ困難な部品の一つとなっている。
ディフューザーの製造工程は通常、その種々の表面の荒加工と仕上げ作業とを含む。仕上げ作業を始める前に全ての表面の荒加工を完了するのが通常の手順である。このようにするのは工具の取り替えの便などもあるが、より重要なのは荒加工を先に完了することによって仕上げ済みの表面の損傷を避けるためである。従来の方法では、ディフューザーリングのディフューザー孔はガンドリルマシンによって機械加工される。このドリルマシンによってディフューザーリングの全ての孔の荒加工が実施された後、円筒形および/またはテーパー付きのリーマーによって仕上げ工程が実施される。
荒加工が終わったディフューザーにおける交差した孔の位置のために、孔を仕上げ加工するときに仕上げ工具は常に隣接する孔との二ヵ所の交差部の間にある。隣接する孔との二ヵ所の交差部は非対称であるために、仕上げ工具に働く半径方向の切削抵抗はバランスせず、望ましくない工具のたわみを生じ、その結果として孔の位置および直径がいずれも低品質となる。
さらに、半径方向の切削抵抗がバランスせず工具のたわみが生じるために、高速切削に適合したカーバイド工具を用いることができない。なぜならばカーバイド工具は脆過ぎて、この種の作業において通常起こるような工具のたわみに耐えられないからである。したがってディフューザー孔の機械加工工程の生産性は制限される。また従来の工程ではディフューザー孔の優れた品質の表面仕上げを提供することができない。なぜならば各々のディフューザー孔の非対称な交差部のために、バニシング工具などの超仕上げ工具の使用が制限されるからである。
したがって、より良い品質管理とより高い生産性が得られるような、ディフューザーリングの孔を機械加工するための改良された方法が求められている。
本発明の一つの目的は工具のたわみを最小にするような、ガスタービンエンジンのディフューザーリングにおけるディフューザー孔を機械加工するための改良された方法を提供することである。
本発明の他の目的はディフューザー孔の表面仕上げを改善するような、ガスタービンエンジンのディフューザーリングにおけるディフューザー孔を機械加工するための方法を提供することである。
一般的に言えば、本発明の一つの態様による方法は物体に円周方向に間隔を置いた複数の孔を機械加工するためのものであり、この場合各々の孔は実質的に接線方向にかつ内方に伸び、かつ二つの隣接する孔と実質的に非対称に交差するように物体内に配置されている。この方法は(a)物体を用意するステップと、b)物体の周縁部に実質的に沿った複数の孔の位置を決定するステップと、(c)最初の孔を機械加工するステップと、(d)最初の孔について少なくとも一つの後続の機械加工作業を実施して、最初の孔の機械加工作業を完了するステップと、(e)完成された最初の孔に隣接する二番目の孔を機械加工するステップであり、この際二番目の孔は完成された最初の孔と交差するように機械加工される、ステップと、(f)二番目の孔について少なくとも一つの後続の機械加工作業を実施して、二番目の孔の機械加工作業を完了するステップと、(g)最後の孔を除く残りの複数の孔を順に機械加工し、この際各々の孔は隣接する完成された孔とそれぞれ交差するように機械加工される、ステップと、(h)一方の側で最初の孔と隣接し、他方の側でその前に完成された孔と隣接する最後の孔を機械加工するステップであり、この際最後の孔はその両側に位置する二つの隣接する完成された孔とそれぞれ交差するように機械加工される、ステップと、からなる。
好ましくは、二番目の孔から最後の一つ手前の孔までの各々の孔が機械加工される際に、その孔とその前に加工された隣接する孔との交差部が孔の機械加工中において孔の末端部で生じるように、孔の位置が選択される。したがって各々の孔における切削工具は、最初の孔と最後の孔を除いて、二ヵ所の交差部のうち一箇所のみによって影響される。孔の入口に比較的近い交差部を避けることによって、工具は孔のより長い部分にわたってたわみを生じることなく正常に働く。
また好ましくは、最初の孔の機械加工を除いて、次の孔を機械加工する前にその前に完成された隣接する孔にプラグが挿入される。
本発明による方法をガスタービンエンジンのディフューザーリングにおけるディフューザー孔の機械加工に用いるならば、位置と直径の品質が改善され、これによって廃棄品やばらつきが避けられることによって製造コストが低減される利点がある。製造コストは加工時間およびリードタイムが低減され、生産性が上昇することによってさらに低減される。さらにまた本発明による、ガスタービンエンジンのディフューザーリングにディフューザー孔を機械加工する方法によって、ディフューザー孔の表面仕上げの改善と、タービンエンジンのディフューザーリングの再現性の向上が得られる。これらはいずれもガスタービンエンジンの性能を改善する。
本発明のその他の利点および特徴は、以下に述べる本発明の好ましい実施例を参照することによってより良く理解されよう。
一般的な型のタービンエンジンのディフューザーリングに複数のディフューザー孔を加工する工程が、1995年2月7日にルブランに与えられた米国特許第5,387,081号に記載されており、この特許はここに参考文献として援用されている。この工程を以下において段階的に説明する。ディフューザー孔は円周方向に、通常は均等に間隔を置いており、ディフューザーリングがインペラーとともに組み立てられたときにタービンエンジンのインペラーを接線位置で取り囲む。各々のディフューザー孔は隣接する二つのディフューザー孔と非対称な位置で交差する。これについては後に図面を参照しつつより明瞭に説明する。しかしながら以下に説明する実施例は本発明による方法の一つの用法を説明するものである。本発明は必ずしもガスタービンエンジンのディフューザーリングのみに応用されるものではなく、円周方向にかつ実質的に内方に伸び、二つの隣接する孔と非対称な位置で交差するような孔を有する任意の物体に応用されてよい。
図1においてタービンエンジンのディフューザーリングが一般的に数字20で示されており、これはタービンエンジンのインペラー22を取り囲むのに適合している。インペラーの位置は破線で概略的に図示されている。ディフューザーリング20は全断面で図示されているが、ディフューザーリング20の詳細を示すために上半部が除去されている。ディフューザーリング20の同様な図が他の図面にも示されている。ディフューザーリング20は円形の内周部24と外周部26とを有し、外周部はそれぞれ取り付け面28を与えるための複数の半径方向の突出部を有する。各々の取り付け面28はディフューザーリング20に対して接線方向に伸びる軸30に対して直角である。
図13に示されるように、所期のディフューザー孔42は完成されたときにカウンターボア38と、カウンターボア38に隣接するテーパー部分44と、テーパー部分44に続く円筒形部分46とを含む。ディフューザー孔42の円筒形部分46はその底部において一方の側で隣接する1つの孔(図示せず)と交差し、これは交差部48として図示されており、かつその中間部において他方の側で隣接する孔(図示せず)と交差しており、これは交差部48’として図示されている。最初の孔が機械加工されるときは、この作業の時点において隣接する孔はできていないので、工具がなんらかの交差部によって影響されることはない。ディフューザー孔42の最後の一つが機械加工されるときは、隣接する完成された孔の存在のために、工具は交差部48および交差部48’によって影響される。しかしながら本発明の方法によって順に孔を完成していく過程で、二番目の孔から最後の一つ手前の孔までの各々のディフューザー孔42を荒加工または仕上げ加工するときは、工具は交差部48および交差部48’のうち一つのみによって影響される。
再び図1を参照すれば、ディフューザーリング20のディフューザー孔の機械加工工程は、複数の予備孔32を穿孔することで始まる。この予備孔は機械加工作業においてパイロット孔として機能し、各々対応する取り付け面28から対応する軸30に沿って内方に伸びている。この軸はディフューザーリング20に機械加工されるディフューザー孔の一つに対応する。しかしながら予備孔32の数はディフューザーリング20に機械加工されるディフューザー孔の数より一つ少ない。すなわち、28’を付された一つの取り付け面は予備孔32を穿孔されることなく残されている。各々の予備孔32はスタートドリル34によって、隣接する予備孔32がまだ互いに交差しないように限定された深さに穿孔される。予備孔32の直径は完成されたディフューザー孔の直径より小さく、したがって後続の機械加工工程を実施してディフューザー孔を完成することができる。
図2では、各々の予備孔32のカウンターボア38を機械加工するのにカーバイドのカウンターボア荒加工刃36が用いられている。各々のカウンターボア38の直径は完成されたディフューザー孔の所期の寸法よりも小さい。好ましくは予備孔32の穿孔およびカウンターボア38の荒加工は冷媒流過方式で実施される。この方式は比較的高い切削速度で実施することができるので好ましい。
図3では、取り付け面28に隣接する予備孔32に沿って最初の孔42aを荒加工するのに、好ましくは冷媒流過型のガンドリル40が用いられている。ガンドリル40は図1のスタートドリル34と同じ直径を有し、ガンドリル40のブッシングとして働く対応する予備孔32によって案内される。最初の孔42aは所望の深さに穿孔され、ディフューザーリング20の内周部24の直近まで伸びるが、これを貫通しない。穿孔作業の切削速度は予備孔32の穿孔に比較して遅い。なぜならばより深い孔を穿孔するためにより長いガンドリル40が用いられるからである。
最初の孔42aのためのパイロット孔として最初に選ばれる予備孔32は、最後の孔を機械加工するために残された取り付け面28’に隣接する二つの孔のうちの一つが選ばれる。この選択は、二番目の孔が穿孔および仕上げ加工されるときに二番目の孔の底部において最初の孔と二番目の孔とが交差するように行われる。この実施例では、全ての孔の機械加工作業を時計回り順に開始するために、最初の孔のために選択される位置は取り付け面28’の左側でなくてはならない。これについては後に図13を参照しつつさらに説明する。
工程の次のステップでは、図4に示されるように、同じ孔、すなわち最初の孔42aの円筒形部分46を仕上げ加工するために、好ましくはカーバイドのチップを有する好ましくは冷媒流過型の円筒形のリーマー52が用いられる。
図5では、最初の孔42aが次いで機械加工されて、カウンターボア38に隣接する表面仕上げされたテーパー部分44ができている。テーパー部分44の形成と仕上げは、冷媒流過型のテーパー用およびカウンターボア用組み合わせリーマー54を用いて、カウンターボア38の仕上げ加工と同時に行われてもよい。この工具はこのステップにとって好ましい。
図6では、テーパーバニシング工具56が、テーパー部分44を超仕上げするために用いられている。テーパーバニシング工具56は好ましくは多数のローラーを含み、工具が最初の孔42aのテーパー部分44に押し込まれて回転するときに、このローラーが部分44のテーパー付き表面に表面的な塑性変形を起こさせる。
図7では、テーパー部分の後方に残っている円筒形部分46が、好ましくは円筒形バニシング工具58を用いて超仕上げされている。バニシング工具56、58のローラーはテーパー部分および円筒形部分44、46のそれぞれの表面の凹凸を減少させ、高度に磨かれた表面仕上げを作り出すことによってエンジン効率にプラスの効果を及ぼす。超仕上げのためにバニシングを用いることの利点は高い生産性(工程が速いので)および長い工具寿命である。テーパー部分44および円筒形部分46の超仕上げ工程が終わったならば、最初の孔42aは最終的に完成する。当業者は、超仕上げが空気力学的表面を機械加工するときに特に有用なステップであるが、その他の機械加工作業では必ずしも要求または所望されていないことを認識しているであろう。
図8を参照すれば、完成された最初の孔42aにプラグ60が挿入されている。これは工具のたわみを最小にし、かつ二番目のディフューザー孔42bの加工の際に生じる削り屑の排出を容易にするためである。これについて以下にさらに説明する。このプラグ60は完成された最初の孔42aの好ましくは円筒形部分46にぴったりとはまってその中で固定され、かくしてプラグ60と孔42aの間に隙間や相対運動が生じることが防止される。プラグ60はディフューザーリング20と同じ材料で作られ、これによって同様な切削特性を与えることが好ましい。またプラグ60は完成された最初の孔42aの表面の高品質仕上げを保護するために、薄いプラスチック層で被覆されることが好ましい。
プラグ60が完成された最初の孔42aに挿入された後、最初の孔42aに隣接し、かつその左側にある二番目の孔42bが機械加工される。これは最初の孔42aに関して上に述べたのと同じステップを踏んで実施される。
図3に図示されるステップにおいて、二番目の孔42bの穿孔に際してプラグ60がガンドリル40によって機械加工され、これによってプラグ60の中間部分にガンドリル40と同じ直径の部分孔が形成され、かくして二番目の孔42bの底部に、かつ完成された最初の孔42aの中間部分に位置する交差部が生じる。交差部の形状および位置は図13に、より明瞭に示されている。完成された最初の孔42a内のプラグ60は、二番目の孔42bが穿孔される際にガンドリル40の支持体として働き、かつ切り屑の排出を容易にする。これによってガンドリル40の工具たわみが低減され、かつ隣接する二つの孔42aと42bの間の交差部において比較的尖鋭な縁部を形成させることができる。
二番目の孔42bの円筒形部分46の仕上げ加工に際して、プラグ60もまた交差部にわたって機械加工されるのは穿孔工程と同様である。プラグ60に生じた部分孔はさらに機械加工されて、その直径は図4の円筒形リーマー52と等しく、かつ図3のガンドリル40よりは大きい寸法になる。このステップでプラグ60は前と同様に円筒形リーマー52の支持体として働き、削り屑の排出を容易にするとともに二番目の孔42に生じる交差部に尖鋭な縁部を与える。
二番目の孔42bのテーパー部分44およびカウンターボア38の仕上げ加工に際して、プラグ60は図5のテーパー用およびカウンターボア用組み合わせリーマー54によって機械加工されないが、なお削り屑の排出を容易にする。二番目の孔42bのテーパー部分44の超仕上げ加工に際してもまた、プラグ60は接触されない。
二番目の孔42bの円筒形部分46が超仕上げされる際に、図7のバニシング工具58は二番目の孔42bの交差部に到達する前に止まってもよく、また工具は二番目の孔42bの円筒形部分46が超仕上げされる際に二番目の孔42bの端部まで全部貫通してもよい。この実施例においては二番目の孔42bの交差部に到達する前に止まることが好ましい。なぜならば二番目の孔42bのバニシングされないで残る部分は重要ではなく、また交差部を繰り返し加工することによって時間とともにバニシング工具が損傷し、これによってその性能と生産性が低下する可能性があるからである。
図9を参照すれば、二番目の孔42bの機械加工において説明された各ステップは三番目の孔42c、およびそれ以降について順に繰り返され、かくして最後の孔42f(図12参照)を除く各々の残りの孔42が完成される。しかしながら、これらの各々の後続の孔の機械加工に際してのプラグの使い方は、二番目の孔42bの機械加工におけるプラグ60の使い方と異なる。最初の孔42aに挿入されたプラグ60は二番目の孔42bがリーマー仕上げ加工されたときに機械加工されて、図4の円筒形リーマー52と同じ直径の部分孔を有するようになっている。プラグ60の部分孔の直径は図3のガンドリル40の直径よりも大きい。したがってプラグ60はガンドリル40を適切に案内および支持することができない。これをリーマー仕上げ用プラグ60と呼ぶことにする。
三番目の孔42cの穿孔において図3のガンドリル40により適切な支持を与えるためには、完成された二番目の孔42bに新しいプラグ62を挿入してガンドリルによる穿孔作業を行わなければならない。新しいプラグ62は機械加工されて図3のガンドリル40と同じ直径の部分孔を有するようになる。これをガンドリル用プラグ62と呼ぶことにする。ガンドリル用プラグ62は最後の孔42fを除く各々の残りの孔42のガンドリル作業に専用に用いられる。したがってプラグ62の部分孔はさらなる機械加工を受けないので、プラグ62は各々の後続する孔42において同じガンドリル40に対して有効な支持を与える。
各々の残りの孔42のリーマー仕上げ作業において、隣接するその前に完成された孔(例えば図9に示されるように、孔42cが機械加工されるときに孔42bは隣接するその前に完成された孔である。)にあるガンドリル用プラグ62は、当該の孔のガンドリル作業が完了した後にリーマー仕上げ用プラグ60と交換される。図4の円筒形リーマー52と同じ直径の部分孔を有するリーマー仕上げ用プラグ60は、各々の後続する孔42において同じ円筒形リーマー52に対して有効な支持を与える。このリーマー仕上げ用プラグ60とガンドリル用プラグ62とは、三番目の孔から最後の一つ手前の孔までの各々の孔42の機械加工において交換しつつ使用される。
プラグ60、62は孔42内での回転を防止するための、当業界で知られるような手段を含んでもよい。これによってプラグ60または62が隣接する完成された孔42に挿入されたときに、プラグに機械加工された部分孔が、次に機械加工される孔42の軸30と常に正確に整列する。このようにしてプラグが繰り返し使用されるときのプラグ60、62の損傷が避けられる。
図10および図12はディフューザーリング20の最後の孔42fの機械加工工程を図示している。最後の孔42fを除くすべての孔42が完成された後、かつ最後の孔42fの穿孔作業が開始される前に、完成された最初の孔42aにリーマー仕上げ用プラグ60が挿入され、完成された最後の一つ手前の孔42にガンドリル用プラグ62が挿入される。最後の一つ手前の孔は最後の孔42fの機械加工が開始される直前に仕上げ加工されている。
図11および図12を参照すれば、最後の孔42fの機械加工作業は取り付け面28’から伸びる予備孔32fの穿孔で始まる。このディフューザーリング20の最後の予備孔32fは図1の予備孔32と同様であるが、それより短い。これはこの最後の予備孔32fが隣接する完成された孔42および42aのいずれとも交差しないようにするためである。プラグ60および62が完成された最初の孔42aおよび完成された最後の一つ手前の孔42にそれぞれ挿入されるが、これは最後の予備孔32fの穿孔の前でも後でもよい。
短い最後の予備孔32fが穿孔された後、図3を参照しつつ説明されたガンドリル作業が繰り返されて、最後の孔42fが荒加工される。最後の孔42fのガンドリル作業の際に、完成された最初の孔42aに保持されるリーマー仕上げ用プラグ60は交差部に面する底部の、その前に機械加工された部分孔とは反対側の未加工領域においてこの時に機械加工を受ける。したがって、リーマー仕上げプラグ60の比較的大きな部分孔はガンドリル40への適切な支持に影響することはない。これについて図13を参照しつつさらに説明する。右側の隣接する完成された孔42、すなわち最後の一つ手前の孔に保持されたガンドリル用プラグ62は、他の孔42について上述したのと同様に、最後の孔42fの穿孔に際して図3のガンドリル40を支持する。次いで最後の孔42fの機械加工工程はカウンターボアの荒加工、円筒形部分のリーマー仕上げ、テーパー部分の形成およびリーマー仕上げ、ローラーによるテーパー部分のバニシング、およびローラーによる円筒形部分のバニシングが段階的に行われる。これらのステップは上述したのと同様なのでここで繰り返し説明しない。最後の孔が完成するまでのこれらすべてのステップを通じて、プラグ60および62は完成された最初の孔42a、および直前に完成された右側の隣接する孔42にそれぞれ、図11に示されるように残されている。最後の孔42fが完成すれば、プラグ60および62は除去される。
すべてのディフューザー孔42、42a、42b、42c、および42fが図12に示されるようにディフューザーリング20に機械加工され、プラグ60および62が除去されたならば、ディフューザーリング20は次いで内周部24を機械加工され、かくしてすべてのディフューザー孔42、42a、42b、42c、および42fの底部がディフューザーリング20の内周部24に開口する。この段階でディフューザーリング20はガスタービンエンジンにおいて使用可能となる。
最後の孔42fが完成された後では、プラグ60、62はいずれも機械加工されているので、プラグ60とプラグ62のいずれも、ガンドリル作業においてガンドリル40を適切に支持するために再び使用することはできない、ということに留意すべきである。したがって他のディフューザーリングを機械加工するには新しいプラグの対が必要になる。
図13を参照すれば、全体の機械加工工程が矢印Cで示されるように時計回り順に実施される場合、孔42の穿孔および仕上げ加工に用いられる工具は当該の孔の底部の交差部によってのみ影響される。なぜならばその左側の孔はまだ機械加工されておらず、したがって交差部48’はまだ存在しないからである。孔の入り口に近い交差部48’を避けることによって工具は孔のより長い部分にわたって、たわみを生じることなく正常に働くことができる。加えて、このより長い部分は上述したようにバニシング仕上げによってより良く仕上げられ、かつ底部の交差部48の機械加工に際して工具のガイドとして役立つ。したがって時計回り順が望ましい。
さらに図13を参照すれば、プラグが孔42に挿入され、左側の隣接する孔(図示せず)が機械加工されているときに、プラグに生じる部分孔は交差部48’に位置し、かつ交差部48’として形成される。プラグ60、62は常に中間部の左側48’においてのみ機械加工を受ける。ただし図12に示されるように、最後の孔42fが機械加工されているときに最初の孔42aに挿入されるプラグ60は例外である。この場合においてのみ、プラグ60は交差部48に位置し、かつ交差部48として形成される領域に機械加工を受ける。このことはまた、この場合のリーマー仕上げ用プラグ60が最後の孔42fを穿孔しつつあるガンドリルの支持に用いられ得る理由を説明している。
しかしながら、孔の機械加工工程を時計回り順に行うことは、図11に示されるようにディフューザー孔42が内方にかつ反時計回りに伸びているような、ディフューザーリング20におけるディフューザー孔42の接線方向位置によって決定されることに留意すべきである。もしディフューザー孔が内方にかつ時計回りに伸びているならば、孔の機械加工工程は反時計回り順に行われなければならない。
すべてのディフューザー孔を時計回り順に機械加工するためには、前述のように、図3の最初の孔42aは最後の孔を機械加工するために残してある取り付け面28’の左側の隣接する予備孔32に沿って穿孔されなければならない。こうすれば他の孔を最初の孔42aから時計回り順に機械加工することができる。
本発明の上述の実施例の変更および改良が、当業者とって明らかとなろう。これまでの説明は制限的なものではなく例示的なものである。したがって本発明の範囲は添付の請求範囲によってのみ制限されるべきである。
ディフューザーリングは断面を見せるために切り欠かれており、ディフューザーリングにスタートドリルによって複数の予備孔が穿孔されている、本発明による未完成のディフューザーリングの斜視図である。 カウンターボア荒加工機によって機械加工されたカウンターボアを示す、図1のディフューザーリングの斜視図である。 ガンドリルによって最初の孔が穿孔されている、図1のディフューザーリングの部分斜視図である。 円筒形のリーマーによってリーマー仕上げされた最初の孔を示す、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 テーパー用とカウンターボア用の組み合わせリーマーによって仕上げられた最初の孔を示す、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 テーパーバニシング工具によって超仕上げされた最初の孔を示す、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 円筒形バニシング工具によって超仕上げされた最初の孔を示す、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 二番目の孔が完成されて完成された最初の孔と交差したところを示しており、最初の孔にはプラグが挿入された、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 第三の孔が完成されて完成された二番目の孔と交差したところを示しており、二番目の孔には新しいプラグが挿入された、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 リング中の最後の孔を機械加工するために残してある位置に隣接する完成された孔に残っている二つのプラグを示す、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 リング中の最後の孔を機械加工するために残してある位置に穿孔された予備孔に隣接する完成された孔に残っている二つのプラグを示す、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 最後の孔が完成されたところを示しており、二つのプラグがそれぞれ隣接するその前に完成された孔に保持された、図3のディフューザーリングの部分斜視図である。 孔の二ヵ所の交差部を示す、図12のディフューザーリングにおける完成された孔のうちの一つの概略図である。

Claims (7)

  1. タービンエンジンのディフューザーリングに複数の孔を機械加工する方法であって、前記孔は円周方向に均等な間隔を置いており、かつディフューザーリングがインペラーとともに組み立てられたときに接線位置でタービンエンジンのインペラーを取り巻き、各々の孔は二つの隣接する孔と非対称な位置で交差しており、前記方法は、
    a)ディフューザーリングの周縁部に実質的に沿って複数の孔位置を決定するステップと、
    b)ディフューザーリングに内方に伸びる複数のパイロット孔を設けるステップであり、各々のパイロット孔は最後の孔が機械加工される位置を除いて孔位置の一つにそれぞれ対応し、かつ各々のパイロット孔は限定された深さを有して隣接するパイロット孔が互いに交差しない、ステップと、
    c)最後の孔のために残してある位置に隣接する二つのパイロット孔のうちの一つを、機械加工する最初の孔として選択するステップと、
    d)対応するパイロット孔に沿って最初の孔を所望の深さまで荒加工するステップと、
    e)最初の孔を仕上げ加工するステップと、
    f)その前に完成された孔に隣接するパイロット孔に沿って次の孔を所望の深さまで荒加工するステップと、
    g)次の孔を仕上げ加工するステップと、
    h)ステップ(f)から(g)までを繰り返して、機械加工される最後の孔を除いて、機械加工される残りの孔を順に完成するステップと、
    i)最後の孔を荒加工および仕上げ加工するステップと、
    を有することを特徴とする方法。
  2. ステップ(i)は、
    最後の孔を機械加工するために残してある位置にパイロット孔を設けることをさらに含み、予備孔はその前に完成された隣接する孔のいずれとも交差しないように限定された深さを有することを特徴とする、請求項記載の方法。
  3. 最初の孔と二番目の孔との交差部が、二番目の孔が荒加工および仕上げ加工されるときに二番目の孔の端部で生じるように、機械加工される最初の孔が選択されることを特徴とする、請求項記載の方法。
  4. 二番目の孔を荒加工する前に完成された最初の孔に第二のプラグを挿入し、二番目の孔を仕上げ加工した後に完成された最初の孔から第二のプラグを除去するステップと、
    三番目の孔から最後の一つ手前の孔までの各々の孔を荒加工するときに、その前に完成された隣接する孔に第一のプラグを挿入し、孔を荒加工した後に第一のプラグを除去するステップと、
    三番目の孔から最後の一つ手前の孔までの各々の荒加工された孔を仕上げ加工するときに、その前に完成された隣接する孔に第二のプラグを挿入し、孔を仕上げ加工した後に第二のプラグを除去するステップと、
    最後の孔を荒加工および仕上げ加工するときに、完成された最初の孔に第二のプラグを挿入し、完成された最後の一つ手前の孔に第一のプラグを挿入するステップと、をさらに有することを特徴とする、請求項記載の方法。
  5. すべての各々の孔の仕上げ加工が、
    各々の孔をリーマー仕上げするステップと、
    孔をリーマー仕上げした後に孔の少なくとも一部をバニシング仕上げするステップと、
    を有することを特徴とする、請求項記載の方法。
  6. 各々の孔のバニシング仕上げがある深さに限定され、該深さがこのバニシング工程において孔の端部に位置する隣接する孔との交差部に達しない深さであることを特徴とする、請求項記載の方法。
  7. 各々の孔がディフューザーリングの内周部の直近に伸びることを特徴とする、請求項記載の方法。
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