JP4144921B2 - 二段圧縮機のシリンダ構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
開示技術は、二段圧縮機のシリンダを軽量化すると共に、小サイズ化し、使い勝手が良いようにして用いることが出来る構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
周知の如く、建築工事現場や農作業等において圧縮機が多く用いられているが、圧縮効率を良好にするべく、クランクケースの左右に一段側(低圧)のシリンダと二段側(高圧)のシリンダをツインタイプに配列した二段圧縮機が多用されている。
【0003】
而して、当該二段圧縮機においては一段側(低圧)のシリンダのピストンが上死点から下死点に移行するプロセスでエアを吸入し圧縮工程に入ると、同時に二段側(高圧)のシリンダの吸入バルブが開き、一段側(低圧)の圧縮エアが二段側(高圧)のシリンダに送給され、更に、一段側(低圧)のヘッドで4〜5kg/cm2と低圧に圧縮されたエアを、更に、二段側のシリンダ圧縮高圧にしてエアタンクに圧縮貯留して使用に供するようにしている。
【0004】
而して、在来態様の二段圧縮機1においては図3に示す様に、一対のドラムタイプのエアタンク2,2´ を併設し、該エアタンク2,2´ に対し駆動モータ3を装備し、その回転シャフト4に冷却ファン5を設けると共に、そのクランクケース6の左右に一段側(低圧)のシリンダ7、及び、二段側(高圧)のシリンダ7´ を設けると共に、エアレギュレータ8やゲージ9やカップラー10等のエア計装機器類を装備させるような構造とされており、該一段側(低圧)のシリンダ7、及び、二段側(高圧)のシリンダ7´ に嵌装するピストン11は図4に示す様に、コネクティングロッド12の先端部にはクランクシャフトの嵌装孔13が設けられ、基端部にはウエアリング14がニードルベアリング15を介し、ピストンピン16を介し相対旋回動自在に枢支され、その上端にはピストンリング17が嵌装され、ピストンピン16に対してはオイルシール18が介装されているような揺動型の構造であった。
【0005】
そして、かかるピストン11は一段側(低圧)のシリンダ7、及び、二段側(高圧)のシリンダ7´ にピストン径は違うが同構造の物が使用されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近時建設現場や農場等の作業用においては可搬式の携帯タイプの二段圧縮機が用いられるようになり、小型サイズでコンパクトな使い勝手が良いものが求められるようになってきており、したがって、小サイズ,軽量タイプで、しかも、使い勝手が良く、低コストで耐久性が良好なものに対する需要が高まってきている。
【0007】
しかしながら、在来態様の二段圧縮機1にあっては、図当該図3,図4に示す様に、一段側(低圧)のシリンダ7や二段側(高圧)のシリンダ7´ にピストン11の基本的構造が共通的に設けられているために、該ピストン11の当該図4に示す構造の如くコネクティングロッド12の頂部にウエアリング14がオイルシール18やニードルベアリング15やピストンピン16をその軸方向に重設されており、しかも、ピストンリング17も嵌装しているために、コネクティングロッド12の頂部においてシリンダ内面に昇降進退する時に揺動可能であり、高圧圧縮が出来はするものの、その軸方向長さが大きくなり、したがって、シリンダ7,7´ の長さが長くなり、図3における左右方向の長手方向幅サイズが大きくなり、コンパクト化が出来ず、しかも、当該図3,図4に示す様に、シリンダ7,7´ 、及び、ピストン11の構造が複雑であるために、初期製造時の組付や保守点検整備に際しての解体再組付が煩瑣である難点があり、使い勝手が悪い欠点があるうえに、結果的にコスト高につながるという不利点があった。
【0008】
しかしながら、従来より近時図2に示す様な非揺動型のピストン11´ が有り、そのコネクティングロッド12´ の先端部にはクランクシャフトに対する孔13´ が図4に示す在来態様同様に設けられてはいるものの、その基端部におけるピストン本体14´ においては皿型のリップリング15がその頂面にリップリング押えプレート15´ を有するディスク状の薄い厚さのものがコネクティングロッド12´ に固定され、したがって、該コネクティングロッド12´ が図示しないクランクシャフトにより回動して昇降する際に、ピストン本体14´ がコネクティングロッド12´ に固定された傾斜姿勢でシリンダ内面を摺動移動するようにされ、したがって、耐久性にはやや劣るものであるが、当該図2,図4に対比される如く、在来態様のピストン11に比し、非揺動型のピストン11´ はその軸方向長さがピストンピン16やニードルベアリング15やオイルシール18、そして、ピストンリング17の分だけ短くなり、該非揺動型のピストン11´ としては著しく短尺化出来、小サイズ化され得るようになってきている。
【0009】
【発明の目的】
この出願の発明の目的は上述従来技術に基づく在来態様の二段圧縮機における在来態様のピストンの長尺タイプによるシリンダの長さを短縮出来ず、結果的に二段圧縮機の長手方向幅サイズが小サイズ化出来ないという問題点を解決すべき技術的課題とし、コネクティングロッドの基端部にピストン本体が固設されている非揺動型のピストンにより軸方向長さが小サイズ化される利点を用い、傾斜姿勢でそのピストン本体がシリンダ内面を摺動することにより、圧縮効率がいささか悪くはあるものの、一段側(低圧)のシリンダに装着することにより、充分に低圧圧縮が可能であり、二段側(高圧)のシリンダには高圧縮が可能な在来態様のピストンを用いて結果的に長手方向幅サイズが短尺化され、軽量化が図れ、より良く軽量化が図れ、構造が簡単で低コスト化も図れ、初期組付製造時は勿論のこと、保守,点検,整備等の際にも作業性が良く、使い勝手が良く、圧縮性能には何ら本質的には変わりはないようして各種施工産業における圧縮技術利用分野に益する優れた二段圧縮機のシリンダ構造を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成は、前述課題を解決するために、二段圧縮機において前段の一段側(低圧)のシリンダと後段の二段側(高圧)のシリンダの各々に圧縮ピストンを駆動モータの回転シャフトにコネクティングロッドを介して挿設されている構造において、該二段側(高圧)のシリンダに嵌装する圧縮ピストンがクランクシャフトを介しコネクティングロッドを揺動してシリンダ内面に摺動するピストンピンやピストンリング等を有し、高圧圧縮が可能にされる通常の揺動型のピストンを用いるようにし、一段側(低圧)のシリンダに嵌装するピストンはクランクシャフトに連係するコネクティングロッドの基端部に薄肉厚のリップリングが固設されている薄い厚さのピストン本体を固設するタイプの非揺動型のピストンにされてシリンダ全体としては短尺化が図られ、結果的に二段圧縮機の長手方向幅サイズが小サイズにされ、しかも、構造が簡単であることにより軽量化が図られ、使い勝手が良好であるようにした技術的手段を講じたものである。
【0011】
【作用】
上述構成において、一段側(低圧)のシリンダに嵌装するピストンをコネクティングロッドの基端部にピストン本体を固設した非揺動型のピストンにすることにより短尺化され、結果的にシリンダ全体を、即ち、二段圧縮機の全体の長手方向幅サイズを小さくし、コンパクト化が図れ、又、構造が簡単であることにより、軽量化が促進され、初期製造組付は勿論のこと、保守,点検,整備等のメンテナンス時にも再組付がし易く、結果的にイニシャルストは勿論のこと、メンテナンスコスト、ランニングコストも低減され、又、コネクティングロッドにピストン本体が固設されるタイプであることにより、一段側(低圧)のシリンダに用いられることで低圧圧縮には何ら支障がなく、耐久性も充分であり、使い勝手が良く、コスト的にも安くつくようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の実施しようとする形態を図1,図2に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0013】
尚、図3,図4と同一態様部分は同一符号を用いて説明するものとする。
【0014】
図示実施例において、1´ はこの出願の発明の要旨の中心を成す二段圧縮機であり、当該実施例においては建築現場等の狭隘な凹凸のある設置部位や農道や圃場等の不安定な場所に設置して稼動に供するべく携帯して可搬タイプのものであり、その下側にはベース兼用のボンベ型の一対の相似形エアタンク2,2´ が同サイズ,同容量で対称的に設置されており、そのベースプレート上には駆動モータ3が設けられてその回転シャフト4の先端には冷却ファン5が装備されており、そのクランクケース6には左右に対称的に延設された一段側(低圧)のシリンダ7と二段側(高圧)のシリンダ7´ が設けられている。
【0015】
そして、該双胴型の一対のエアタンク2,2´ には共用化可能に標準化された部位にエアレギュレータ8やゲージ9やカップラー10等の計装機器類のブロックやソケットが対称的に取り付けられており、装置全体の製造組付時の作業や保守,点検,整備等の再組付が容易であるようにされ、又、全体的にコンパクト化コストダウンが図れ、使い勝手が良いようにされている。
【0016】
そして、二段側(高圧)のシリンダ7´ に嵌装されているピストン11を図4に示した在来態様同様のコネクティングロッド12の頂部にウエアリング14がニードルベアリング15を介しオイルシール18等を介しピストンピン16を有して上側にはピストンリング17を嵌装した揺動型のタイプのものがそのクランクシャフトに対する嵌装孔13を介して取り付けられて所定の高圧圧縮が可能にされている。
【0017】
又、該二段側(高圧)のシリンダ7´ に対し、クランクシャフトに対称的な位置に一段側(低圧)のシリンダ7が設けられてその内部には図2に示す様な前述非揺動型のピストン11´ が嵌装されており、その先端のクランクシャフトに対する嵌装孔13´ を介しピストン本体14´ が傾斜姿勢でシリンダ7内を摺動進退して低圧圧縮をするようにされている。
【0018】
尚、先述した如く、該非揺動型のピストン11´ はそのコネクティングロッド12´ の基端部にピストン本体14´ が固設されているために、該コネクティングロッド12´ に対しピストン本体14´ が固設による傾斜姿勢でシリンダ7内を動可能にされているために堅牢ではあるものの、圧縮効率が悪いというデメリットがあるが、該一段側(低圧)シリンダ7においては低圧圧縮であるため充分に圧縮が可能であり、該一段側(低圧)のシリンダ7のヘッドの吐出口から二段側(高圧)のシリンダ7´ のヘッドの吸気口には連結管通路17が渡設されて該一段側(低圧)のシリンダ7からの低圧圧縮されたエアを冷却ファン5により冷却して二段側(高圧)シリンダ7´ に送給することにより冷却効果により圧縮効率を上げ、該二段側(高圧)シリンダ7´ により高圧圧縮が可能であるようにされている。
【0019】
そして、非揺動タイプのピストン11´ が上死点から下死点間で空気エアを吸い込み、圧縮工程に入ると同時に二段側(高圧)のシリンダ7´ の吸入バルブが開き、連通管通路17を介して送給される一段側(低圧)シリンダ7側からの低圧圧縮空気を送給され、更に、圧縮されて高圧にされてエアタンク2に貯留される。
【0020】
尚、一段側(低圧)シリンダ7側のピストンには非揺動型のピストン11´ を設けているために、該ピストン11´ 自体の寿命には問題があるが、該該一段側(低圧)シリンダ7側における圧縮圧力が4〜5kg/cm2と低いために、実用上何ら支障はない。
【0021】
そして、作業現場に当該二段圧縮機1´ を携帯して搬入するに際しては、上述の如く、一段側(低圧)シリンダのピストンが非揺動型のピストン11´ とされていることにより、ピストン本体14´ が当該図2に示す様に、ピストンリングやピストンピンを有していないがために、それだけ、軸方向の長さが短く結果的に当該一段側(低圧)シリンダ7の長さが短く、二段圧縮機1´ の長手方向サイズが小さくなり、又、部品点数が少く、軽量化が図られていることにより、極めて容易に搬送セットすることが出来る。
【0022】
勿論、保守や点検整備等の際の二段圧縮機1´ の解体後の再組付に際しても部品点数が少く、小サイズ化されているために、該組付は容易であり、加えて、計装機器類8,9,10が各エアタンク2,2´ に対称的に組み付けられていることにより、ソケットやブロック等が対称的に組み付けられることにより、初期製造組付は勿論、保守,点検,整備等の際の再組付等も容易に、スムーズに行われ、作業性が良く、使い勝手が良好である。
【0023】
尚、この出願の発明の実施態様は上述実施例に限るものでないことは勿論であり、例えば、非揺動型のピストン11´ の材質は一般態様のアルミ製に限らず、チタン合金等の軽量,大強度の材質を用いることが出来る等種々の態様が採用可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上、この出願の発明によれば、基本的に建設工事現場や農場等の所定設置するには難点がある場所へ可搬式に携帯して搬入出来る中,小型の二段圧縮機において一段側(低圧)のシリンダ内に設けるピストンをコネクティングロッドの基端部においてコネクティングロッドに固定してあるピストン本体が薄肉厚の首振りのない非揺動型のピストンを設けて二段側(高圧)のシリンダにはピストンを介しコネクティングロッドにウエアリングを旋回動自在に設けた通常タイプの揺動型のピストンを設けたことにより、該非揺動タイプの一段側(低圧)のピストンの構造が簡単で、耐久性には劣るものの、小サイズ化が可能となり、シリンダ全体の長さが短くなり、結果的に圧縮機の長手方向幅サイズが縮少され、又、ピストンの部品点数が少く、それだけ、軽量化がなされ、又、軽量化がより促進され、したがって、初期製造組付におけるイニシャルコストが低く抑えられるのみならず、保守,点検,整備等の再組付に際しても作業性や使い勝手が良く、ランニングコストやメンテナンスコストが安くなるという優れた効果が奏される。
【0025】
又、該種非揺動型のピストンは構造が簡単であるが、耐久性に劣る等の寿命の点に問題が潜在的にあるにしても、一段側(低圧)のシリンダ内における圧力が4〜5kg/cm2と低圧であるために、かかる潜在的に問題のある非揺動型のピストンであっても低圧圧縮には何ら実用的に支障がなく、充分に使用が可能であり、又、二段側(高圧)のシリンダにおけるピストンには在来態様と同じピストンリングやピストンピンを有する揺動型のピストンを用いるために、高圧圧縮が可能であり、したがって、二段圧縮機としての機能は何ら損なわれることなく、充分に発揮出来るという利点がある。
【0026】
このように二段圧縮機としての小サイズ化,軽量化が図れ、コストダウンも図れ、しかも、実用的機能には何ら劣ることがない利点があることから、その実用性は極めて高く評価出来るというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の1実施例の全体概略平面図である。
【図2】一段側(低圧)シリンダに装備されるロッキングピストンの一部透視部分断面側面図である。
【図3】在来態様における二段圧縮機の全体概略平面図である。
【図4】同シリンダに装備される通常タイプのピストンの部分は半断面側面図である。
【符号の説明】
7 前段の低圧シリンダ
7´ 後段の高圧シリンダ
11,11´ 圧縮ピストン
3 ローター(駆動モータ)
12,12´ コネクティングロッド
16 ピストンピン
11 通常のピストン
15 リップリング
11´ 非揺動型のピストン
1´ 二段圧縮機
Claims (3)
- 前段の低圧シリンダと後段の高圧シリンダの各々に圧縮ピストンが駆動モータのローターにコネクティングロッドを介して装設されている二段圧縮機のシリンダ構造において、
上記高圧シリンダの圧縮ピストンが、コネクティングロッドの端部にピストンピンを介してピストンヘッドを連結された揺動型のピストンとして構成され、
他方の低圧シリンダの圧縮ピストンが、コネクティングロッドにピストンヘッドが固設された非揺動型のピストンとして構成されている
ことを特徴とする二段圧縮機のシリンダ構造。 - 前段の低圧シリンダと後段の高圧シリンダの各々に圧縮ピストンが設けられ、各圧縮ピストンが駆動モータのローターにコネクティングロッドを介して装設されている二段圧縮機のシリンダ構造において、
上記高圧シリンダの圧縮ピストンとして設けられ、コネクティングロッドに対し揺動可能に設けられた揺動型のピストンと、
上記低圧シリンダの圧縮ピストンとして設けられ、コネクティングロッドに対し揺動不可能に固設された非揺動型のピストンと、
を有することを特徴とする二段圧縮機のシリンダ構造。 - 前段の低圧シリンダと後段の高圧シリンダの各々に圧縮ピストンが設けられ、各圧縮ピストンが駆動モータのローターにコネクティングロッドを介して装設されている二段圧縮機のシリンダ構造において、
上記高圧シリンダの圧縮ピストンとして設けられ、高圧シリンダ内における進退動に伴って揺動可能に設けられた揺動型のピストンと、
上記低圧シリンダの圧縮ピストンとして設けられ、低圧シリンダ内における進退動にかかわらず揺動不可能に設けられた非揺動型のピストンと、
を有することを特徴とする二段圧縮機のシリンダ構造。
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JP24024797A JP4144921B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | 二段圧縮機のシリンダ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP24024797A JP4144921B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | 二段圧縮機のシリンダ構造 |
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JPH1162822A JPH1162822A (ja) | 1999-03-05 |
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Family Applications (1)
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1997
- 1997-08-22 JP JP24024797A patent/JP4144921B2/ja not_active Expired - Lifetime
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