JP4144824B2 - 半導体集積回路装置の故障箇所特定方法 - Google Patents

半導体集積回路装置の故障箇所特定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置の故障解析に関するものであり、特にCMOSロジック集積回路において、静止状態で流れる電源電流(IDDQ )が異常値を示す故障に対し、故障箇所を特定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CMOSロジック回路において異常なIDDQ を伴う故障の故障箇所特定方法としてはエミッション顕微鏡を用いた方法がある。
【0003】
この方法は、LSIテスター等でCMOSロジック回路の動作パターンを入力し、IDDQ が異常値を示す動作パターンを検出し、異常IDDQ パターンを入力した状態で異常電流に伴う発光をEMSにて観察する。
【0004】
次にEMSにて観察された発光箇所を必要に応じ所定の層までエッチング処理を実施し光学顕微鏡または電子顕微鏡等で物理的異常を観察する。
【0005】
また、CMOSロジック回路の内部配線に電子ビームを照射、又は金属針を直接接触させ内部配線の動作波形を観測し、CMOSロジック回路の設計データからシミュレーションを行い故障箇所の特定を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、EMSによる故障箇所特定方法の場合、半導体素子部での再結合発光等を検出するため、故障モードが金属膜配線間の低抵抗ショートまたはオープン故障の場合等は、EMSによる発光箇所は物理的な異常部分(配線のショートまたはオープン)ではなく、異常部分に接続される半導体素子部である。EMSによる発光素子は物理的異常を示すシグナルの1つではあるが、それが実際の故障箇所と一致しない場合もあり、その後の物理解析において異なった箇所を解析してしまう危険がある。
【0007】
また、シミュレーションを用いた方法は、該当する集積回路の設計情報が不可欠であるため、実施はその集積回路の製造者側(設計者側)に限られるという問題がある。
【0008】
[発明の目的]
本発明は、特に設計情報が無くても、CMOSロジック回路における信号配線間の低抵抗ショート及びオープン故障の物理的異常箇所の特定を行うことを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、まず、LSIテスター等によりCMOSロジック回路等の半導体集積回路装置の動作テストパターンを入力し、全動作パターンにおける異常IDDQ パターンを検出する。全動作パターンにおける異常IDDQ の変化は数種類のモードに分けられる事に着目し、全動作テストパターンにおける異常IDDQ の変化モードを定義する。
【0010】
次に、定義した異常IDDQ 変化モードと、これに対し、想定される物理的異常とをあらかじめ対応を取り、第1の情報テーブルとして作成し、実際の異常品の異常IDDQ の変化とこのテーブル内のデータを比較し、第1回目の物理的異常の絞り込みを行う。
【0011】
次に、各異常IDDQ パターンでのEMS発光素子を検出し、各異常IDDQ パターンにおける発光素子の変化とモデル化した物理的異常とを、あらかじめ対応を取り、第2の情報テーブル等に作成し、実際の異常品のEMS解析結果とこのテーブル内のデータを比較し物理的異常箇所を特定するための第2回目の絞り込みを行い、これらの絞り込みを組み合わせて判断することにより、物理的異常箇所を正確に特定する解析手法である。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の詳細を実施例をあげ説明する。
【0013】
(実施例1)
この実施例は、信号用金属配線のオープンにより機能不良となったCMOSロジック集積回路において本発明を使用し故障箇所の特定を実施したものである。
【0014】
図1は、本発明を適用した異常箇所特定の実施形態を示したフローチャートである。
【0015】
図2〜図4は、実施例1において、LSIテスターにより動作テストパターンをCMOSロジック集積回路に入力してIDDQを測定し、全動作テストパターンにおけるIDDQ の変化の関係をグラフ化したものである。
【0016】
図2は、全動作テストパターンにおいてIDDQ が常に異常値を示すものでありモード1とする。
【0017】
また、図3及び図4は、別モードの動作テストパターンと異常IDDQ の変化との関係を示したグラフの一例であり、図3は、動作テストパターンによりIDDQ が異常値を示す時と、正常値を示す時がある場合でありモード2とする。
【0018】
図4は、全動作テストパターンでIDDQ が常に異常値を示すが、異常値のレベルが論理状態で変化するものでありモード3とする。
【0019】
以上の様に全動作テストパターンにおける異常IDDQ の変化をモード分けし定義する。
【0020】
次に、あらかじめ作成した実際の物理的異常が発生した場合の異常IDDQ の変化と上記の定義した異常IDDQ 変化モードとの対応テーブルと比較し物理的異常の第1回目の振り分けを行う。
【0021】
図5は、その異常IDDQ の変化モードと物理的異常の対応テーブルの一例でありテーブル1(第1の情報テーブル)とする。
【0022】
図6は、実施例1の物理的異常である信号用金属配線オープンを電気回路的に示した図であり、物理的異常と異常IDDQ の変化モードの関係を説明するための図である。
【0023】
図6において、1,2はそれぞれ1組のCMOS素子を示し共通の信号用金属配線に接続される。Aは物理的異常である信号用金属配線のオープン箇所を示す。3はオープン箇所の前段素子を示す。
【0024】
この場合、CMOS素子1及び2はMOSのゲートがオープンによりフローティング状態となる。そのためVDD−VSS間には該CMOSロジック回路の論理状態に関係なく常に貫通電流が流れ、これが異常IDDQ となるため異常IDDQ 変化モードはモード1となる。
【0025】
次に、IDDQ を測定したLSIテスターと接続可能なEMSを用い、異常IDDQ に伴う発光箇所を確認する。
【0026】
図7は該集積回路での発光箇所のイメージを図示したものである。この実施例1においては、複数箇所の素子部で発光が確認され、かつ全ての動作テストパターンにおいて発光素子に変化が見れず同一の素子で発光が確認されるのが特徴であった。
【0027】
発光素子の変化を確認後、あらかじめ作成したEMSによる発光素子の変化と物理的異常との対応を示したテーブルと比較をし第2回目の絞り込みを実施した。
【0028】
図8は、EMSによる発光素子の変化と物理的異常との対応を表すテーブルの一例でありテーブル2(第2の情報テーブル)とする。
【0029】
これは、物理的異常を示すモデルを電気回路的に表し、異常部前段CMOS素子の論理状態の組み合わせにより複数の電流径路が存在する場合と、論理状態に関わらず異常電流が流れる場合は常に共通の素子に電流が流れる場合で分類分けをする。
【0030】
図9は、信号用金属配線のオープン(X)を示す図であり、この場合は論理状態に関わらず常にゲートフローティングによるVDD−VSS間の貫通電流が流れ、また電流は常に同一素子を流れる。
【0031】
図10は、物理的異常が信号用金属配線とVDD用金属配線のショートの場合を示す図であり、この場合ショート箇所の前段素子の論理状態によりIDDQ が流れる場合と流れない場合があるが電流径路は1つであるため発光素子は変化しない。
【0032】
図11は、異なる信号用金属配線間でショートした場合を示す図である。図11において、4,5は回路を構成する1組みのCMOS素子である。Bは物理的異常である異なる信号用金属配線間のショート箇所を示す。I及びIIは4と5の論理状態による電流径路を表す。
【0033】
図12は、図11における4と5の2組のCMOS素子の論理状態の組み合わせと電流径路I及びIIの関係を示す図である。図12に示す様に論理状態により異なる電流径路が存在するため発光素子も論理状態で変化する。
【0034】
この様に、想定される物理的異常をモデル化しEMSによる発光素子の変化をあらかじめテーブルに作成し比較する事で、第2回目の絞り込みを行う。
【0035】
尚、ここで使用したモデルは、想定した物理的異常の前段及び次段の素子までをモデル化すれば良く、特に該CMOSロジック集積回路の設計情報が無くても可能である。
【0036】
異常品の測定結果を、図5、図8に示すテーブル1及びテーブル2とそれぞれ比較する事により実施例1の場合は、信号用金属配線のオープンによる異常である事が絞り込める。
【0037】
次に異常箇所を実際に確認するため、光学顕微鏡等による観察を実施する。尚、発光素子と物理的異常箇所は、発光素子も含めその前段又は次段素子までの間に存在するため、その間の観察のみで十分である。
【0038】
この実施例においては、図6に示す様に発光が確認された素子全てが共通の信号用金属配線を介して前段素子に至っている事が確認され、結果この共通の金属配線部分にオープン箇所が存在することが確認出来た。
【0039】
(実施例2)
この実施例は、異なる信号用金属配線間がショートした事により機能不良となったCMOSロジック集積回路に適用した例である。
【0040】
実施例2においては、LSIテスターにより測定した全動作テストパターンにおけるIDDQ の変化は図3のモード2を示した。
【0041】
図5のテーブル1との比較により第1回目の絞り込みを行なった。
【0042】
実施例2の物理的異常である異なる信号用金属配線間のショートを電気回路的に表した図は実施例1で説明した図11であり、ショート箇所前段の2組のCMOS素子の論理状態と異常IDDQ 径路の関係は図12に示した。
【0043】
図12に示す通り、論理状態の組み合わせによってはIDDQ が正常値を示す場合と異常値を示す場合に二分されるため異常IDDQ 変化モードはモード2となる。
【0044】
次に、全動作テストパターンにおける各異常IDDQ パターンでのEMS解析を実施し発光素子を確認した。
【0045】
実施例2においては、異常IDDQ パターンで複数素子で発光が確認され、また異常IDDQ パターンにより発光素子が変化する特徴が確認された。
【0046】
次に図8の発光素子の変化と物理的異常との関係を示したテーブル2と実施例2の特徴を比較し故障モード及び物理的異常箇所の第2回目の絞り込みを実施した。
【0047】
この場合の物理的異常のモデルは前述の図11であり、また図12で示した様に論理状態により複数の電流径路が存在するため異常IDDQ パターンにより発光素子が変化するモデルが適用される。
【0048】
これら2段階の絞り込みにより実施例2の物理的異常は異なる信号用金属配線間のショートである事が絞り込め、次に物理解析としてそれぞれの発光素子と次段素子までの間を光学顕微鏡等の観察手段により実際のショート箇所の特定に至った。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明した様に、本発明によれば、半導体集積回路装置として、例えば、CMOSロジック集積回路における、全動作テストパターンと異常IDDQ の変化の関係を異常IDDQ変化モードとして定義し、異常IDDQ変化モードと物理的異常の関係を示すテーブルをあらかじめ作成し比較することにより第1回目の絞り込みを実施し、更に異常IDDQ パターンでのEMS解析による発光素子の変化とモデル化した物理的異常箇所との関係を示すテーブルとを比較する事で第2回目の絞り込みを実施し、これら2つの絞り込み手段を組み合わせることにより、物理的異常箇所と異常を示すシグナルの1つである異常IDDQ による発光素子が異なる場合においても正確な異常箇所の特定が可能となった。
【0050】
また、本発明の場合、EMSによる発光箇所と物理的異常箇所は、発光素子を含め金属配線を介した前段または次段素子間の狭い範囲に存在するため該CMOSロジック集積回路の設計情報無しに特定が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を使用した物理的異常箇所特定の実施形態を示すフローチャートである。
【図2】実施例1の動作テストパターンにおけるモード1のIDDQ の変化を示す図である。
【図3】異常IDDQ の変化モード2を示す図である。
【図4】異常IDDQ の変化モード3を示す図である。
【図5】異常IDDQ変化のモードと物理的異常の関係を示したテーブル(第1の情報テーブル)の一例である。
【図6】実施例1の物理的異常を電気回路的に示した図である。
【図7】実施例1のEMS発光箇所を示した図である。
【図8】EMS解析による発光素子の変化と物理的異常の関係を示したテーブル(第2の情報テーブル)の一例である。
【図9】物理的異常の例である信号用金属配線のオープンを電気回路的に示した図である。
【図10】物理的異常の例である信号用金属配線とVDD用金属配線のショートを電気回路的に示した図である。
【図11】物理的異常の例である異なる信号用金属配線間のショートを示した図である。
【図12】図11における論理状態と異常IDDQの径路の関係を示す図である。
【符号の説明】
1,2 1組のCMOS素子
3 オープン箇所の前段素子
4,5 1組のCMOS素子
A オープン箇所
B ショート箇所

Claims (3)

  1. 動作静止状態における電源電流(IDDQ )の異常を示す箇所を有する半導体集積回路装置の故障箇所特定方法において、
    前記集積回路の動作テストパターンに対する前記異常IDDQ の変化モードを定義し、
    更に、前記定義した異常IDDQ の変化モードと、物理的異常との対応を示す第1の情報テーブルを予め作成し、
    更に、エミッション解析法(EMS)により、動作テストパターン内の前記IDDQ 異常パターンに対する発光素子の変化と、モデル化した該物理的異常との関係を示す第2の情報テーブルを予め作成し、
    故障解析の際に、前記各テーブルと実際の前記集積回路から得られる前記異常IDDQ及び前記発光素子の変化を比較することで、物理的異常箇所を特定することを特徴とする半導体集積回路装置の故障箇所特定方法。
  2. CMOSロジック集積回路において、動作静止状態における電源電流(IDDQ )が、本来の電流値を超える異常を示す前記集積回路に対し、
    前記CMOSロジック集積回路の動作テストパターンに対する前記異常IDDQ の変化モードを定義し、
    更に、前記定義した異常IDDQ の変化モードと、物理的異常との対応をあらかじめ情報テーブルとして作成し、
    更に、エミッション解析法(EMS)により、動作テストパターン内のIDDQ 異常パターンに対する発光素子の変化と、モデル化した該物理的異常との関係を示す情報テーブルをあらかじめ作成し、
    故障解析の際に、前記各テーブルと実際のCMOSロジック集積回路を比較することで、物理的異常箇所を特定することを特徴とする半導体集積回路装置の故障箇所特定方法。
  3. 半導体集積回路装置の動作テストパターンにおいて、全動作パターンにおける異常IDDQ の変化モードを定義する工程;
    前記定義した異常IDDQ 変化モードと、これに対し想定される物理的異常との関係を、あらかじめ対応を取り、第1の情報テーブルとして作成する工程;
    前記各異常IDDQ パターンでのEMS発光素子を検出し、各異常IDDQ パターンにおける発光素子の変化とモデル化した物理的異常をあらかじめ対応を取り第2の情報テーブルとして作成する工程;
    実際の異常品の異常IDDQ の変化と前記第1の情報テーブル内のデータを比較し、第1回目の物理的異常の絞り込みを行う工程;
    前記実際の異常品のEMS解析結果と前記第2の情報テーブル内のデータを比較し物理的異常箇所を特定するための第2回目の絞り込みを行う工程;
    上記絞り込みを組み合わせて判断することにより、物理的異常箇所を正確に特定する工程;
    を有することを特徴とする半導体集積回路装置の故障箇所特定方法。
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