JP4144626B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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本発明は内燃機関の制御装置に関し、詳細には機関始動時に機関回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置に関する。
機関始動時、特に機関の冷間始動時には燃焼の悪化が生じやすく機関回転数が不安定になる場合がある。燃焼の悪化が生じると機関始動性の悪化や機関排気性状の悪化、始動後の回転数不安定による振動、騒音の増大等の問題が生じる。
このため、機関始動時に燃焼の悪化を防止して機関回転数を安定させるための制御装置が種々提案されている。
例えば、この種の制御装置の例としては特許文献1に記載されたものがある。特許文献1の装置は、機関始動後のアイドル運転時に機関回転数が予め定めた目標回転数に一致するように、機関吸入空気量と点火時期とをフィードバック制御することにより、アイドル回転数を一定に維持するようにしている。
特開平5−222997号公報 特開2000−291467号公報
ところが、上記特許文献1の装置のように機関始動直後の暖機運転時に吸入空気量により機関回転数を制御していると、特に冷間始動後のアイドル運転では機関の燃焼悪化が生じる場合がある。例えば、機関吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた機関では、機関冷間始動時には噴射された燃料が気化せずに液体のまま吸気ポート壁面に付着して気化燃料の濃度が不十分になる場合がある。特に、機関冷間始動時や揮発性の低い燃料(以下「重質燃料」という)を使用した場合には、燃料が充分に気化しないため実際に気筒内に吸入される気化燃料の量が減少して混合気の空燃比がリーン化してしまい燃焼が悪化するような場合がある。このような場合には、吸入空気量を増大するためにスロットル弁開度を増大すると、スロットル弁下流側の吸気管負圧が低下(絶対圧力が上昇)してしまうため、壁面に付着した燃料が更に気化しにくくなり燃焼の悪化が増大する場合が生じるのである。
本願出願人は、上記問題を解決するために既に上記特許文献2で、機関始動時の回転数をスロットル弁開度(機関吸入空気量)を調整することにより制御するとともに、機関燃焼悪化が生じた場合にはスロットル弁開度調整による回転数制御を停止して機関点火時期調整による回転数制御に切り換える制御装置を提案している。
上記特許文献2の装置では機関始動時のピーク回転数や回転変動等に基づいて機関燃焼状態の悪化を判断し、悪化が生じている場合にはスロットル弁開度調整による回転数制御から、機関点火時期調整による回転数制御、またはスロットル弁開度調整による回転数制御から、燃料噴射量増量による回転数制御への切り換えを行うことにより燃焼悪化を防止するようにしている。
しかし、上記特許文献2の装置では機関始動時(本明細書では、機関始動操作(クランキング)開始から定常アイドル運転までの期間を「機関始動時」と呼ぶことにする)に回転数制御自体を開始するタイミングについては充分に考慮がされていない。例えば、機関回転数は始動操作(クランキング)開始後、機関の全気筒内で燃焼が開始されると急激に上昇し、始動時ピーク回転数に到達後再度低下して一定の回転数になる。機関始動時の回転数制御は、短時間で機関回転数を所定の目標回転数に収束させることが必要とされるが、機関始動操作開始後に上記のように回転数が変化している状態では、回転数制御を開始するタイミングによって回転数制御開始後の回転数収束までの時間が異なってくる。
また、上記出願の装置では、燃焼状態の悪化の有無により吸入空気量調整による回転数制御から点火時期調整による回転数制御への切り換えが行われるものの、切り換え後の点火時期調整による回転数制御の制御方法によっては、機関回転数を目標回転数に収束させる時間が長くなる問題が生じる。
本発明は上記問題に鑑み、機関始動時に短時間で機関回転数を目標回転数に収束させることが可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明によれば、機関始動時に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御するとともに、機関始動時の機関燃焼悪化の有無を判断し、燃焼悪化時には前記吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関始動時の回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置において、更に、機関始動時に機関排気通路に配置した排気浄化触媒の昇温を促進するために触媒昇温後に較べて点火時期を所定の触媒暖機遅角量だけ遅角させるとともに、該触媒暖機遅角量が機関始動操作開始から所定時間経過後にゼロになるように触媒暖機遅角量を変化させる触媒暖機手段を備え、該触媒暖機手段は、前記点火時期回転数制御実施時には点火時期回転数制御が実施されていない場合に較べて短い時間で前記触媒暖機遅角量がゼロになるように触媒暖機遅角量を変化させる、内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項1の発明では機関始動時に触媒昇温のための点火時期遅角を行う触媒暖機手段が備えられている。一方、燃焼の悪化が生じて点火時期回転数制御か実施されると燃焼悪化による機関回転数の低下を防止するために機関点火時期は進角される。このため、燃焼悪化が生じた場合には、触媒暖機手段による点火時期遅角操作と点火時期回転数制御による点火時期進角操作とが同時に行われる場合が生じ、触媒暖機操作と回転数制御とが相互に干渉してしまい機関回転数を目標回転数に収束させるための時間が長くなる場合がある。本実施形態では、点火時期回転数制御が実施される場合には、触媒暖機遅角量が通常の機関始動時より(点火時期回転数制御が実施されない場合)早く減少してゼロになるように触媒暖機遅角量を変化させる。これにより、触媒暖機操作が点火時期回転数制御と干渉することが防止され、機関回転数が短時間で目標回転数に収束するようになる。
請求項2に記載の発明によれば、機関始動時に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御するとともに、機関始動時の機関燃焼悪化の有無を判断し、燃焼悪化時には前記吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関始動時の回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置において、更に、機関始動時に機関排気通路に配置した排気浄化触媒の昇温を促進するために触媒昇温後に較べて点火時期を所定の触媒暖機遅角量だけ遅角させる触媒暖機手段と、機関始動操作開始後の始動時ピーク回転数を検出する手段とを備え、前記触媒暖機手段は、前記点火時期回転数制御実施時には、点火時期回転数制御が実施されていない場合に較べて前記触媒暖機遅角量を、予め定めた基準ピーク回転数と前記始動時ピーク回転数との差に応じた量だけ小さく設定する、内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項2の発明では、請求項12の場合と同様に触媒暖機操作と点火時期回転数制御との干渉を防止するために、触媒暖機遅角量を小さな値に設定する。また、このときには触媒暖機遅角量は基準ピーク回転数と始動時ピーク回転数との差に応じた量だけ小さく設定される。前述したように基準ピーク回転数と始動時ピーク回転数との差は燃焼の悪化の程度に応じて変化する。また、燃焼の悪化の程度が大きい場合(すなわち、上記ピーク回転数差が大きい場合)には点火時期回転数制御において点火時期の進角量は大きくなる。このため、本発明では、ピーク回転数差が大きいほど触媒暖機遅角量を大幅に低減するようにして、触媒暖機遅角量により点火時期回転数制御における点火時期進角が影響を受けないようにしている。これにより、触媒暖機操作が点火時期回転数制御と干渉することが防止され、機関回転数が短時間で目標回転数に収束するようになる。
請求項3に記載の発明によれば、機関始動時に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御するとともに、機関始動時の機関燃焼悪化の有無を判断し、燃焼悪化時には前記吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関始動時の回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置において、更に、機関始動時に機関排気通路に配置した排気浄化触媒の昇温を促進するために触媒昇温後に較べて点火時期を所定の触媒暖機遅角量だけ遅角させる触媒暖機手段を備え、前記触媒暖機手段は、前記点火時期回転数制御実施時には、点火時期回転数制御が実施されていない場合に較べて、前記触媒暖機遅角量を、点火時期回転数制御における点火時期のフィードバック補正量に応じて小さく設定する、内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項3の発明では点火時期回転数制御実施時の触媒暖機遅角量の低減が点火時期回転数制御のフィードバック補正量に応じて設定される。燃焼悪化による回転数低下が大きい場合には、点火時期回転数制御における点火時期のフィードバック補正量は大きく設定され点火時期は大きく進角される。この場合に、触媒暖機遅角量が大きいと点火時期が充分に進角できず必要とされる回転数上昇が得られない。本発明では、点火時期のフィードバック補正量に応じて触媒暖機遅角量を、例えばフィードバック補正量が大きい場合には触媒暖機遅角量が大幅に低減されるように設定することにより、触媒暖機操作が点火時期回転数制御と干渉することが防止される。このため、機関回転数が触媒暖機操作に影響されることなく短時間で目標回転数に収束するようになる。
各請求項に記載の発明によれば、機関始動時の回転数制御において、機関回転数を短時間で円滑に目標回転数に収束させることが可能となる共通の効果を奏する。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の全体構成を示す概略図である。図1において、1は内燃機関本体、2は機関1の吸気通路に設けられたサージタンク、2aはサージタンク2と各気筒の吸気ポートを接続する吸気マニホルド、16はサージタンク2の上流側の吸気通路に配置されたスロットル弁、7は機関1の各気筒の吸気ポートに加圧燃料を噴射する燃料噴射弁である。
本実施形態では、スロットル弁16はステッパモータ等のアクチュエータ16aを備えており、後述するECU10から入力する制御信号に応じた開度をとる形式とされている。すなわち、本実施形態のスロットル弁16としては、運転者のアクセルペダル操作量とは無関係な開度をとることができる、いわゆる電子制御スロットル弁が用いられている。また、スロットル弁16にはスロットル弁の動作量(開度)に応じた電圧信号を発生するスロットル開度センサ17が設けられている。
図1において11は各気筒の排気ポートを共通の集合排気管14に接続する排気マニホルド、20は排気管14に配置された三元触媒、13は排気マニホルド11の排気合流部(三元触媒20上流側)に配置された上流側空燃比センサ、15は三元触媒20下流側の排気管14に配置された下流側空燃比センサである。三元触媒20は、流入する排気空燃比が理論空燃比近傍にあるときに排気中のHC、CO、NOXの3成分を同時に浄化することができる。空燃比センサ13、15は機関通常運転時に機関空燃比が所定の目標空燃比になるように機関への燃料噴射量をフィードバック制御する際の排気空燃比検出に用いられる。
本実施形態では、吸気通路のサージタンク2にはサージタンク内の吸気圧力(絶対圧)に応じた電圧信号を発生する吸気圧センサ3が、また、機関本体1のシリンダブロックのウォータジャケット8には、冷却水の温度に応じたアナログ電圧の電気信号を発生する水温センサ9が設けられている。
なお、上述のスロットル弁開度センサ17、吸気圧センサ3、水温センサ9及び空燃比センサ13、15の出力信号は、後述するECU10のマルチプレクサ内蔵A/D変換器101に入力される。
図1に5、6で示すのは、機関1のカム軸とクランク軸(図示せず)とのそれぞれ近傍に配置されたクランク角センサである。クランク角センサ5は例えばクランク角に換算して720°毎に基準位置検出用パルス信号を発生し、クランク角センサ6は、クランク角30°毎にクランク角検出用パルス信号を発生する。これらクランク角センサ5、6のパルス信号はECU10の入出力インターフェイス102に供給され、このうちクランク角センサ6の出力はECU10のCPU103の割込み端子に供給される。ECU10は、クランク角センサ6からのクランク角パルス信号間隔に基づいて機関1の回転数(回転速度)を算出し、種々の制御に使用している。
機関1の電子制御ユニット(ECU)10は、たとえばマイクロコンピュータとして構成され、マルチプレクサ内蔵A/D変換器101、入出力インターフェイス102、CPU103の他に、ROM104、RAM105、メインスイッチがオフにされた場合でも記憶保持可能なバックアップRAM106、クロック発生回路107等が設けられている。
ECU10は、吸気圧、スロットル弁開度及び機関回転数に基づいて機関1の燃料噴射量制御、点火時期制御等の機関1の基本制御を行う他、本実施形態では、後述するように機関始動時(クランキング開始から完爆後の定常アイドル運転まで)に機関回転数を目標回転数に維持する始動時回転数制御を行う。
上記制御を行うため、ECU10は一定時間毎に実行するA/D変換ルーチンにより、吸気圧センサ3からの吸気圧(PM)信号、スロットル開度センサ17からのスロットル開度(TA)信号、水温センサ9からの冷却水温度(THW)信号をA/D変換して入力する。
また、ECU10の入出力インターフェイス102は駆動回路108を介して燃料噴射弁7に接続され、燃料噴射弁7からの燃料噴射量、噴射時期を制御している。
更に、ECU10の入出力インターフェイス102は、点火回路110を介して機関1の各点火プラグ111に接続され、機関の点火時期を制御するとともに、駆動回路113を介してスロットル弁16のアクチュエータ16aに接続され、アクチュエータ16aを駆動してスロットル弁16開度を制御している。
次に、本実施形態の始動時回転数制御について説明する。
本実施形態では、ECU10は機関始動時、すなわち機関始動操作開始(クランキング開始)から機関暖機完了後の安定したアイドル運転が行われるようになるまでの間、機関回転数を予め定めた目標回転数(一般的には機関暖機促進のためのファストアイドル回転数)に維持する始動時回転数制御を行う。通常、機関クランキング開始時には機関の燃料噴射量は冷却水温度と機関回転数とから定まる基本始動時噴射量に吸気温度(大気温度)と大気圧とに応じた補正を加えた量に設定される。そして、クランキング開始後、機関回転数がクランキング回転数より高い所定の回転数(例えば400rpm程度)を越えたあと、(すなわち、各気筒で燃焼が開始され機関が完爆状態になったと判断された後)は燃料噴射量は機関吸入空気量と機関回転数とに応じた基本燃料噴射量に所定の係数を乗じた量に設定される。基本燃料噴射量は、機関燃焼空燃比を理論空燃比に維持するために必要とされる燃料噴射量である。また、上記所定の係数は機関始動時の吸気ポート壁面への噴射燃料の付着や低温による燃料の気化状態の悪化を補償するためのものであり、機関始動時には上記所定の係数は1より大きな値に設定され機関燃焼空燃比は理論空燃比よりリッチ側に設定される。
また、機関始動時には排気通路に配置された排気浄化触媒(図1に20で示す)の温度は低くなっており、触媒は排気浄化機能を発揮できない。従って、機関始動後は、できるだけ早く触媒温度を活性化温度まで上昇させて触媒による排気浄化を開始する必要がある。このため、通常機関始動時には排気温度を上昇させて短時間で触媒を昇温するために機関点火時期は通常運転時に較べて遅角される。
上記のように、機関始動時の燃料噴射量は種々の要因に応じて適切に設定されるため、本来機関が正常な状態にあれば機関始動時に燃焼悪化による回転数変動は生じにくくなっている。しかし、機関が正常であっても始動時の燃焼悪化による回転数変動が生じる場合がある。例えば、機関に使用する燃料(ガソリン)の性状が異なると始動時の燃焼悪化が生じやすい。機関始動時の燃料噴射量は標準の性状を有する燃料を使用した場合に基づいて設定されている。このため、例えば標準の燃料に較べて揮発性の低い燃料(以下、「重質燃料」と呼ぶ)が機関に使用されると、特に機関冷間始動時には燃焼の悪化が生じる場合がある。すなわち、重質燃料は揮発性が低いため、標準燃料と同量の燃料を噴射した場合でも気化せずに液体のまま吸気ポート壁面に付着する燃料の割合が増加し実際に気筒内に供給される燃料の量は少なくなる。このため、機関の燃焼空燃比が通常よりリーン側にシフトしてしまい、燃焼の悪化による機関回転数の不安定化が生じるのである。
一般に、始動時の機関回転数の不安定化を防止して機関回転数を所定の目標回転数に維持する方法としては、機関回転数に基づく機関吸入空気量のフィードバック制御(吸気量回転数制御)が行われる。吸気量回転数制御では、機関回転数が目標回転数より低い場合にはスロットル弁16開度を増大(機関吸入空気量を増大)して回転数を上昇させ、回転数が目標回転数より高い場合にはスロットル弁開度を低減(吸入空気量を低減)して回転数を低下させる、回転数に基づくフィードバック制御を行うことにより回転数が目標回転数に維持される。しかし、重質燃料を使用した場合には、吸気量回転数制御では機関の燃焼悪化を抑制できず、始動時回転数を目標回転数に維持できない場合が生じる。
例えば、重質燃料を使用したために機関始動時に機関の燃焼空燃比がリーン空燃比になり燃焼が悪化したような場合、吸気量回転数制御では燃焼悪化により機関回転数が低下すると回転数を上昇させるためにスロットル弁開度は増大される。ところが、スロットル弁開度を増大するとスロットル弁下流側の吸気通路内負圧が低下(絶対圧が増大)するため、噴射された燃料がますます気化しにくくなる。このため、機関燃焼空燃比は更にリーン方向に移行して燃焼悪化が増大するような場合が生じるのである。
本実施形態では、吸気量回転数制御では燃焼の悪化による始動時回転数低下を補償できないと判断されたときには、吸気量回転数制御に代えて点火時期回転数制御を実施することにより、燃焼悪化時にも機関回転数を目標回転数に正確に維持するようにしている。
点火時期回転数制御では機関回転数に基づいて点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に維持する操作が行われる。機関始動時には、前述したように触媒暖機のため機関点火時期は遅角されている。一方、重質燃料を使用したような場合には、空燃比のリーン化等のため気筒内混合気の燃焼速度は低下している。このため、機関点火時期を進角させて燃焼速度の低下を補うことにより気筒での出力トルクが増大し、機関回転数は上昇する。これにより、重質燃料が使用されて機関燃焼が悪化したような場合でも機関回転数を正確に目標回転数に一致させることが可能となる。
なお、点火時期回転数制御が行われると一般に点火時期は点火時期回転数制御か実施されていない場合に較べて進角されるため、機関排気温度が低くなり触媒の暖機が遅くなる。このため、本実施形態では、機関始動時にはまず吸気量回転数制御を実施し、燃焼悪化が判断されたときにのみ吸気量回転数制御から点火時機械点数制御への切り換えを行うようにして触媒暖機の遅延による機関排気性状の悪化を抑制している。
また、本発明で使用する燃焼悪化の判定方法は特に制限はなく、燃焼悪化を正確に判定できる方法であればいかなる方法を使用しても良い。例えば、機関始動操作(クランキング)が開始された後、機関全気筒で燃焼が開始されると(すなわち機関が完爆状態になると)機関回転数は急上昇して始動時ピーク回転数に到達し、その後低下する。この始動時ピーク回転数は機関燃焼の悪化程度が大きいほど(使用される燃料の揮発性が低いほど)低くなる。このため、燃焼悪化が生じていないときの(揮発性の良好な通常の燃料を使用したときの)始動時ピーク回転数を基準ピーク回転数として予め設定しておき、実際の始動時ピーク回転数が基準ピーク回転数より所定値以上低い場合には燃焼の悪化が生じたと判定するようにすることも可能である。また、上記により燃焼悪化が生じていると判定された場合には、機関始動時に吸気量回転数制御を行うことなく直ちに点火時期回転数制御を開始するようにしても良いし、燃焼悪化時には機関始動時に最初は吸気量回転数制御を実施し、その後吸気量回転数制御では回転数を目標回転数に維持できないと判定された場合(例えば、吸気量回転数制御における吸気量フィードバック補正量が所定値を越えて増大した場合に)点火時期回転数制御に切り換えるようにしても良い。
ところで、上述のように吸気量回転数制御や点火時期回転数制御により始動時回転数制御を行う場合、始動時の回転数制御の開始タイミングや開始時の制御パラメータの設定等が問題となる。すなわち、始動時回転数制御においては機関始動操作開始後できるだけ短時間で機関回転数をファストアイドル回転数相当の目標回転数に収束させることが望ましい。しかし、制御開始のタイミングや制御開始時の制御パラメータの設定によっては、逆に回転数変動の増大や、目標回転数への追従速度の低下を生じ、目標回転数への収束が遅れる問題がある。例えば、後述するように機関始動操作開始後、機関回転数がピーク回転数に到達するまでの間は一般的には機関回転数を制御することはできない。このため、機関始動操作開始と同時に回転数制御を開始したのでは、正確な回転数制御が行えないのみならず回転数制御により吸入空気量や点火時期のフィードバック補正量が過度に大きな値に設定されてしまい、回転数制御か可能となった時に逆に回転数の変動が大きくなる場合がある。また、回転数制御開始時に実際の機関回転数が目標回転数近傍の領域にあるような場合に、例えばフィードバック制御ゲインなどの制御パラメータを大きな値に設定したのでは、回転数のオーバシュートやアンダシュートが発生し目標回転数への収束が遅れる場合が生じる。
以下に説明する本発明の始動時回転数制御では、回転数制御開始のタイミング、或いは制御開始時の回転数制御における制御パラメータ等を適切に設定することにより、機関回転数を円滑に、かつ短時間で目標回転数に収束させることを可能としている。
以下、本発明の始動時回転数制御の具体的な実施形態について説明する。
(1)第1の実施形態
本実施形態では、機関始動操作(クランキング)開始後、機関に吸入された空気量がスロットル弁下流側の吸気通路容積に等しくなった時点から回転数制御を開始することにより、回転数制御開始のタイミングを適切に設定し、制御開始後短時間で円滑に機関回転数を目標回転数に収束させる。
図2は、スロットル弁16開度を一定にした状態で機関を始動したときの機関回転数の一般的な時間変化を示す図である。図2に示すように、機関回転数はクランキング開始後上昇し、全気筒内で爆発が生じると、急激に上昇してピーク回転数(図2、a点)に到達する。そしてピーク回転数に到達した後機関回転数は再度低下してアイドル回転になる(b点)。
図2において、スロットル弁16が一定に保持されているにもかかわらず、始動時に回転数が急激に上昇してピーク回転数が生じるのは以下の理由による。
すなわち、機関停止時にはスロットル弁16下流側の吸気通路圧力は大気圧に等しくなっており、スロットル弁16と各気筒の間の吸気通路には比較的多量の空気が貯留されている。機関が回転を始めると、スロットル弁下流側に貯留された空気は一挙に気筒内に吸入される。このため、機関始動操作開始時にはスロットル弁が全開のときと同様に多量の空気が気筒内に吸入され、機関完爆とともに回転数が急激に上昇するようになる。しかし、スロットル弁下流側に貯留された空気の全量が気筒内に吸入された後は、気筒内にはスロットル弁開度に応じた量の空気しか供給されなくなるため回転数は低下する。このため、機関始動操作開始後、一時的に機関回転数が急上昇して始動時ピーク回転数が生じるようになる。
前述したように、早期に機関回転数を目標回転数に一致させるためにはできるだけ早い時期に回転数制御を開始することが望ましい。しかし、機関始動時にスロットル弁下流側の吸気通路に貯留された空気が気筒に吸入されている間は、いわばスロットル弁が全開に保持されているのと同様であるため、吸気量回転数制御、点火時期回転数制御のいずれによっても回転数を制御することは困難である。また、この時期に回転数制御を開始すると吸気量回転数制御と点火時期回転数制御では回転数を低下させるために吸気量を大幅に低減、或いは点火時期を大幅に遅角させる方向に制御が進んでしまう。このため、始動時ピーク回転数到達後、回転数低下時には目標回転数より大幅に回転数が低下してしまい、目標回転数への収束が遅れる問題が生じる。
本実施形態では、機関始動操作開始後に機関に吸入された空気量を積算し、この積算値がスロットル弁下流側の吸気通路容積に到達した時点から回転数制御を開始することにより、上記問題を解決している。すなわち、機関始動操作開始時にスロットル弁下流側の吸気通路に貯留された量の空気が機関に吸入された後は、回転数制御により機関回転数を制御することが可能である。そこで、本実施形態では、機関の吸入空気量の積算値からスロットル弁下流側に貯留された量に等しい量の吸気が機関に吸入されたことを判断し、その時点から回転数制御を開始する。これにより、機関始動操作開始後に回転数制御が可能となった時点から直ちに回転数制御を開始することができるため、短時間で機関回転数を目標回転数に収束させることが可能となる。
図3は、本実施形態の始動時回転数制御の開始操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図3の操作がスタートすると、ステップ301では、それぞれ対応するセンサ6、17で検出された機関回転数NEとスロットル弁開度THAとが読み込まれる。そして、ステップ303では上記NEとTHAとに基づいて現在の吸気体積効率ηVが算出される。体積効率ηVは、実際に機関に吸入される空気量と機関の総排気量との比であり、スロットル弁開度THAと機関回転数NEとの関数となる。本実施形態では、予めスロットル弁開度と機関回転数とを変化させて実際の機関を運転し、機関吸入空気量を実測することにより、ηVの値とTHA、NEとの関係を求めてあり、ECU10のROM104にηVの値をTHAとNEとを用いた数値テーブルとして格納してある。ステップ303では、スロットル弁開度THAと回転数NEとに基づいてこの数値テーブルから体積効率ηVの値が読み出される。
次に、ステップ305では機関に実際に吸入された空気量(体積)の積算値が、(ηV×Vd/2)×NE×KTだけ増大される。
ここで、ηVはステップ303で算出した吸気体積効率、Vdは機関の排気量、NEは機関回転数(RPM)、KTはKT=ΔT/60で表される定数。ΔTは本操作の実行間隔(秒)である。すなわち、本実施形態では、機関1は4サイクル機関とされるため、機関1回転当たりに吸入する空気量は(ηV×Vd/2)で表される。また、NE×KTは本操作を前回実行してから今回本操作を実行するまでの間に機関が何回転したかをあらわしている。従って、(ηV×Vd/2)×NE×KTの値は、前回本操作実行後機関に吸入された空気量(体積)を表すことになる。ΣQの値の初期値は0とされているため、ステップ305を一定時間(ΔT)毎に実行することにより、ΣQの値は現在までの機関吸入空気量の積算値を正確に表すことになる。
上記により、積算値ΣQを算出後、ステップ307では現在の吸入空気量積算値ΣQの値が所定値Vvolに到達したか否かが判定される。ここで、Vvolはスロットル弁16下流側の吸気通路全容積である。ステップ307でΣQ<Vvolであった場合には、すなわち、スロットル弁16下流側に貯留された空気の全量が機関に吸入されておらず、精度の良い回転数制御を行うことができないため、そのまま本操作は終了する。また、ΣQ≧Vvolであった場合にはスロットル弁下流側に貯留された空気の全量が機関に吸入されており、精度の良い回転数制御を実施可能となっている。このため、この場合には、ステップ309に進み、回転数制御実行フラグFBの値を1にセットして操作を終了する。
フラグFBが1にセットされると、別途ECU10により実行されるルーチンにより、前述した吸気量回転数制御と点火時期回転数制御の実行が許可され、吸気量回転数制御、または燃焼が悪化している場合には点火時期回転数制御が実行される。
(2)第2の実施形態
次に、本発明の機関始動時回転数制御の開始操作の別の実施形態について説明する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に回転数制御が可能になると同時に制御を開始することにより、短時間で回転数を目標回転数に収束させるが、第1の実施形態では機関吸入空気量に基づいて制御開始時期を判定していたのに対して、本実施形態では機関回転数に基づいて制御開始時期を判定する点が相違している。
前述のように、機関始動操作開始後スロットル弁下流側に貯留された空気が機関に吸入されている間はスロットル弁開度にかかわらず機関回転数は上昇し、貯留された空気の全量が機関に吸入された後は機関回転数はスロットル弁開度に応じた回転数まで低下する。このため、機関回転数が低下を開始する時点、すなわち機関回転数が図2で説明した始動時ピーク回転数に到達した時点は、スロットル弁下流側に貯留された空気の全量が機関に吸入された時点であると考えることができる。
そこで、本実施形態では、機関始動操作開始後機関回転数を監視して、回転数が始動時ピーク回転数に到達したと判断される時点から回転数制御を開始するようにしている。
図4、図5は本実施形態の回転数制御開始操作を説明するフローチャートである。図4は、機関の始動操作開始後、機関回転数が始動ピーク回転数に到達したことを検出する検出操作を示すフローチャート、図5は、始動ピーク回転数到達の有無に基づく始動時回転数制御開始操作を示すフローチャートである。図4、図5の操作は、それぞれECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図4の操作では、まず、ステップ401でピーク検出フラグFPの値が1にセットされているか否かが判定される。ピーク検出フラグFPは、機関回転数が始動時ピーク回転数に到達したときに後述するステップ415で1にセットされるフラグであり、初期値は0にセットされている。
ステップ401でピーク検出フラグFPの値が1にセットされている場合には、再度ピーク検出を行う必要はないため本操作はステップ403以下を実行することなく終了する。
ステップ401でFP≠1、すなわちピーク検出か完了していない場合には、次にステップ403で現在の機関回転数NEを読み込むとともに、ステップ405と407とで現在ピーク検出条件が成立しているか否かが判断される。本実施形態では、ピーク検出操作は、機関回転数NEが所定値NES以上であり、(ステップ405)、かつ機関始動操作開始後所定時間が経過している場合(ステップ407)にのみ実施される。これらの条件は、始動時ピーク回転数の誤検出を防止するためのものである。すなわち、機関が完爆状態になる前は機関の燃焼が安定せず、機関回転数が一様に上昇しないで変動するため回転数に小さなピークが生じる場合がある。本実施形態では、この小さな回転数ピークを始動時ピーク回転数として誤検出することを防止するために、機関回転数が所定値NES以上(NESは機関が完爆状態にあると判定される回転数)、かつ始動操作開始後所定時間(例えば1000ms)経過した後にピーク回転数の検出を開始するようにしている。ステップ405、407のいずれか一方または両方の条件が成立しない場合には、本操作はステップ409以下を実行することなく直ちに終了する。
ステップ405、407の条件が成立していた場合には、次にステップ409に進み、前回操作実行時の機関回転数NEi-1とステップ403で読み込んだ現在の機関回転数NEとを比較する。そして、NE≧NEi-1である場合、すなわち現在機関回転数が上昇中である場合には、始動時ピーク回転数NEPの値を今回測定した機関回転数NEで置き換える操作(ステップ411)を行うとともに、次回の本操作実行に備えてNEi-1の値を更新して本操作を終了する。
一方、ステップ409でNE<NEi-1であった場合、すなわち始動時ピーク回転数に到達して機関回転数が低下を始めている場合には、ステップ415に進み、ピーク検出フラグFPの値を1にセットして操作を終了する。これにより、機関回転数が上昇を続けている間はピーク回転数NEPは現在の機関回転数を用いて更新されるが、機関回転数が減少を開始するとNEPの値は更新されなくなるため、NEPには始動時のピーク回転数がセットされるようになる。また、一旦始動時ピーク回転数が検出されるとピーク検出フラグFPが1にセットされるため、次回からはピーク検出操作は実行されなくなる(ステップ401)。
図5の操作では、まずステップ501で現在機関がアイドル運転中か否かが判定される。現在機関がアイドル運転中か否かは、スロットル弁開度THAがアイドル時の所定開度にセットされているか否かに基づいて判定される。現在、機関がアイドル運転中である場合には、次にステップ503で、図4の操作でセットされるピーク検出フラグFPの値が1(検出済)になっているか否かを判定する。FP=1である場合には、機関回転数は始動時ピーク回転数に到達したことを意味するため、ステップ505に進み、回転数制御実施フラグFBを1にセットして操作を終了する。これにより、第1の実施形態と同様に吸気量回転数制御(または点火時期回転数制御)が実行される。一方、FP≠1であった場合には、現在、まだ始動時ピーク回転数に到達しておらず、回転数制御を開始する時期ではないため、回転数制御フラグFBの値は変更せずにそのまま操作を終了する。
なお、ステップ501で現在、機関がアイドル運転中でない場合、すなわち現在車両が走行中である場合には、回転数制御を開始する必要はないため本操作は直ちに終了する。
本実施形態によれば、吸入空気量の積算値を算出することなく簡易に回転数制御の開始時期を判断することが可能となる。
(3)第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態では第2の実施形態と同様に、機関回転数が始動時ピーク回転数に到達したときに回転数制御を開始するが、回転数制御開始時には制御目標回転数を実際のピーク回転数に設定し、その後時間の経過とともに徐々に目標回転数を最終的な目標回転数(ファストアイドル回転数)まで変化させる。
始動時ピーク回転数到達時に回転数制御を開始すると、制御開始時の回転数はファストアイドル回転数よりかなり高くなっている。このため、制御開始時からファストアイドル回転数を目標回転数として設定すると、回転数制御では実際の回転数を低下させる方向に制御が行われる。一方、ピーク回転数到達後は機関回転数は自然に低下するため、この時期に回転数を大幅に低下させる方向に制御が行われると、回転数がファストアイドル回転数を越えて大幅に低下してしまい、最終的な目標回転数であるファストアイドル回転数に収束するまでに時間を要する場合がある。そこで、本実施形態では始動時ピーク回転数到達時に回転数制御を開始する際には、制御目標回転数を実際の始動時ピーク回転数に設定し、その後徐々に制御目標回転数を最終的な目標回転数であるファストアイドル回転数まで低下させる操作を行う。これにより、ピーク回転数到達後も実際の機関回転数と制御目標回転数との間に大きな偏差が生じないため、回転数を大幅に低下させる制御が行われず、制御開始後短時間で機関回転数が目標回転数に収束するようになる。
また、本実施形態では機関回転数が始動時ピーク回転数から低下中に、ファストアイドル回転数から所定値以内になった場合、すなわち回転数低下中に最終目標回転数に近づいた場合には、更に上記の制御目標回転数の低下速度が小さくなるような操作を行う。このように、最終目標回転数近傍では制御目標回転数の低下速度を小さくすることにより、回転数低下時にアンダシュートが生じることが更に抑制されるようになる。
図6は、本実施形態の目標回転数設定操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図6において操作がスタートすると、ステップ601では、現在回転数制御実行フラグFBが1にセットされているか否かが判定され、FB≠1の場合にはステップ603以下を実行することなく直ちに本操作を終了する。
一方、ステップ601でFB=1であった場合には、ステップ603で今回の操作がフラグFBの値が0から1に変化した後最初に実行されているか否かが判定され、FBの値変化後最初の実行である場合にのみステップ605を実行して後述する変数KNEの初期値を設定する操作を行う。
なお、本実施形態においても、図4、図5の操作が別途行われており、機関が始動ピーク回転数に到達すると同時にFBの値が1にセットされる。また、ステップ603、607のフラグXはステップ605をFBの値が0から1に変化した直後に1回だけ実行するために使用されるフラグである。
ステップ605では、KNEの初期値は、KNE=NEP−NE0として設定される。ここで、NEPは今回機関始動時の実際の始動時ピーク回転数であり、図4の操作で設定される。また、NE0は回転数制御の最終目標回転数(ファストアイドル回転数)である。後述するように、本実施形態では回転数制御の目標回転数はTNEはNE0+KNEとして設定され、KNEの値は上記初期値から時間とともに低減される。
ステップ613と615はKNEの低減操作である。本実施形態では実際の機関回転数NEが最終目標値NE0に近接したか否か、すなわちNEがNE+ΔNE1以下になったか否かに応じてKNEの減少速度を変更する。すなわち、ステップ611では回転数NEが、NE0+ΔNE1以下になったか否かを判定し、NE>NE0+ΔNE1(実際の回転数が最終目標値に近接していない場合)には、操作実行毎にKNEの値を比較的大きな一定値K1ずつ低減する(ステップ613)これにより、KNEの値は比較的大きな速度で時間とともに減少する。また、ステップ611でNE≦NE0+ΔNE1(実際の回転数が最終目標値に近接した場合)には操作実行毎にKNEの値を比較的小さな一定値K2(K2<K1)ずつ低減する(ステップ615)。これにより、KNEの値は制御開始から最終目標値に近接するまでは比較的大きな速度で時間とともに減少し、最終目標値に近づいた場合には減少速度が小さくなるように変化する。なお、本実施形態ではΔNE1の値は、例えば100RPM程度の一定値に設定されている。
そして、ステップ617では回転数制御における目標回転数TNEが、TNE=NE0+KNEとして設定される。また、KNEの値が減少により負の値になった場合には、TNEの値は最終目標回転数NE0に設定される(ステップ609、619)。
図6の操作により、本実施形態では始動時ピーク回転数到達時に回転数制御が開始されるときには、制御目標回転数TNEは実際のピーク回転数NEPに設定され(ステップ605、617)、その後最終目標回転数に実際の回転数が近づくまでは時間とともに比較的大きな速度で減少し(ステップ611、613)、実際の回転数が最終目標回転数NE0に接近した領域では比較的小さな速度で減少して(ステップ615)、最終目標回転数NE0に一致するようになる(ステップ609、619)。
なお、図6の操作はECU10により一定時間毎に実行されるが、図6の操作を機関クランク軸の一定回転角毎に実行するようにすれば、上記に加えて制御目標回転数の低下速度が機関回転数に応じて変化するようになるため、制御応答性を更に高めることが可能となる。
本実施形態では、上記のように制御目標回転数を実際のピーク回転数から最終目標回転数まで徐々に変化させることにより、実際の始動時ピーク回転数のばらつきが生じた場合にも、制御目標回転数と実際の回転数との間に大きな偏差が生じることがなく、短時間で機関回転数を最終目標回転数に収束させることが可能となる。また、本実施形態では実際の機関回転数が最終目標回転数に接近した場合には制御目標回転数の変化速度が小さく設定されるため、回転数のアンダシュートが生じることが防止され最終目標回転数への収束時間が更に短縮されるようになる。
(4)第4の実施形態
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
前述の第1から第3の実施形態では、機関始動操作開始後、回転数が始動時ピーク回転数付近になったときから回転数制御を開始している。このため、回転数制御開始時には実際の回転数は目標回転数(例えばファストアイドル回転数)より高くなっており、回転数制御が開始されると吸入空気量または点火時期は回転数を低下させる方向に補正されるようになる。しかし、実際には機関始動時に回転数はピーク回転数到達後急激に低下する。このため、ピーク回転数到達後急激な回転数低下が生じているときに回転数制御を開始すると、回転数が過度に低下してしまい目標回転数への収束が遅くなる場合がある。
そこで、本実施形態では機関始動操作開始後の機関回転数変化速度を検出し、変化速度が所定値以下になった時点から回転数制御を開始するようにして、機関回転数を目標回転数に短時間で収束させるようにしている。
図7は、本実施形態の始動時回転数制御開始操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図7、ステップ701から705は回転数制御開始条件が成立しているか否かの判定を示す。すなわち、ステップ701ではスロットル弁16開度に基づいて現在アイドル運転中か否かが判断され、ステップ703では既に回転数制御が開始されているか否かが回転数制御実行フラグFBに基づいて判定される。また、ステップ705では、現在機関始動操作(クランキング)開始後所定時間(例えば2000ms程度)が経過したか否かが判定される。ステップ701で現在アイドル運転でない場合、及びステップ703で既に回転数制御が開始されている場合(FB=1)には、更に回転数制御を開始する必要がないため、ステップ707以下の操作は実行せず直ちに本操作は終了する。ステップ705で、機関始動操作開始後所定時間が経過していない場合には、まだ機関回転数が始動時ピーク回転数に到達していない可能性がある。この場合には、始動時ピーク回転数付近での回転数変化速度の低下を検出することを避けるため、同様にステップ707以下は実行せずにそのまま操作を終了する。
ステップ701から703の条件が全て成立した場合には、ステップ707で現在の機関回転数NEを読み込み、前回操作実行時の回転数NEi-1から現在までの回転数変化速度RNEが、RNE=|NE−NEi-1|として算出される。そして、ステップ711で次回のRNE算出操作に備えてNEi-1の値を更新した後、ステップ713に進む。
ステップ713では、ステップ711で算出した回転数変化速度が予め定めた所定値RNE0以下になったか否かが判定され、RNE≦RNE0の場合には回転数制御実行フラグFBの値が1にセットされる。
これにより、本実施形態では回転数の変化速度が小さくなった時点から回転数制御が開始されるようになり、回転数が短時間で目標回転数に収束するようになる。
(5)第5の実施形態
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
本実施形態では、機関始動操作開始後、機関回転数が始動時ピーク回転数を通過した後に低下する際に、目標回転数を横切った時点から回転数制御を開始するようにしている。
前述したように、始動時ピーク回転数を過ぎると機関回転数は急激に低下する。このため、ピーク回転数通過後まだ回転数が目標回転数より高い状態から回転数制御を開始すると、機関回転数が低下中であるにもかかわらず回転数制御はさらに回転数を低下させる方向に作用してしまい、回転数が過度に低下する場合が生じる。
本実施形態では、機関回転数がピーク回転数到達後の低下中に目標回転数(ファストアイドル回転数)を横切ったとき、すなわち実際の回転数が目標回転数に等しくなった時点から回転数制御を開始することにより、回転数の過度の低下を防止するようにしている。すなわち、本実施形態では回転数制御開始時には実際の回転数と目標回転数との差は極めて小さくなっているため、実際の回転数が大幅に低下方向に制御されることがない。このため、制御開始時の回転数の過度の低下が防止され短時間で回転数が目標回転数に収束するようになる。
図8は、本実施形態の回転数制御開始操作を説明するフローチャートである。 本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図8、ステップ801、803は図7、ステップ701、703と同様な回転数制御開始条件成立の有無の判定を示す。また、ステップ805は現在回転数が始動時ピーク回転数を通過したか否かの判定を示す。FPは、別途ECU10により実行される図4と同様な操作により設定されるピーク検出フラグである。ステップ805でFP≠1、すなわち回転数が始動時ピーク回転数到達していない場合には、回転数上昇中に機関回転数が目標回転数に一致したときに回転数制御が開始されてしまうことを防止するためステップ807以下の操作は実行しない。
ステップ805で現在ピーク回転数通過後である場合には、ステップ807で回転数NEを読み込み、ステップ809では読み込んだ回転数NEが目標回転数NE0以下に低下したか否かを判定する。そして、NE≦NE0であった場合にはステップ811で回転数制御実行フラグFBの値を1にセットして操作を終了する。これにより、始動時ピーク回転数通過後に機関回転数が目標回転数まで低下すると回転数制御が開始されるようになる。
また、ステップ809で機関回転数NEが未だ目標回転数NE0まで低下していない場合には、ステップ813に進み、現在、機関始動操作開始時から所定時間(例えば3000ms程度)が経過したか否かを判定し、所定時間が経過した場合には、機関回転数が目標回転数まで低下していない場合であってもステップ811に進み回転数制御を開始する。これは、始動時ピーク到達後の機関回転数の低下が比較的緩やかなような場合には機関回転数が目標回転数まで低下するのに比較的長い時間が係るため、目標回転数まで低下するのを待たずに回転数制御を開始して早期に回転数を目標回転数に収束させるためである。この場合、機関回転数の低下速度は比較的緩やかであるため、回転数が目標回転数に低下する前に回転数制御を開始しても、大幅な回転数低下は生じない。
(6)第6の実施形態
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
本実施形態では、機関の燃焼悪化時に吸気量回転数制御から点火時期回転数制御に切り換える際に、点火時期をステップ的に所定量だけ進角させた状態で点火時期回転数制御を開始するようにしている。通常、燃焼悪化時にはピーク回転数到達後の回転数低下が大きいため、機関燃焼悪化時に吸気量回転数制御から点火時期回転数制御への切り換えが行われる時点では、機関回転数は目標回転数より低くなっている。このため、点火時期回転数制御への切り換え後には早期に回転数を上昇させる必要がある。
そこで、本発明では点火時期回転数制御への切り換え時には、切り換え前に較べて所定量点火時期を進角させた状態で点火時期回転数制御を開始するようにしている。これにより、点火時期回転数制御の開始と同時に機関回転数は上昇し、短時間で目標回転数に到達するようになる。
以下に、図9から図12を用いて機関燃焼悪化時の回転数制御切り換え操作と、吸気量回転数制御操作及び点火時期回転数操作について具体的に説明する。
本実施形態では、図4の操作で検出した始動時ピーク回転数NEPと予め定めた基準ピーク回転数NEP0とを比較することにより、機関燃焼の悪化が生じているか否かを判定する。機関の燃焼が悪化すると、始動時ピーク回転数NEPは燃焼悪化の程度に応じて低下する。このため、例えば適宜な基準ピーク回転数NEP0(一定値)を予め設定しておき、この基準ピーク回転数NEP0と実際の始動時ピーク回転数NEPとの差DNP(=NEP0−NEP)を算出すれば、燃焼の悪化の程度が大きいほどDNPの値が大きくなる。このため、DNPの値を用いて燃焼悪化の程度を表すことができる。
本実施形態では、回転数制御開始時には、まず吸気量回転数制御を実施するとともに、上記ピーク回転数差DNPの値に基づいて燃焼悪化の有無を判定するとともに、燃焼悪化の程度に応じて吸気量回転数制御から点火時期制御への切り換え時期を設定している。
図9は、本実施形態の始動時回転数制御操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図9において操作がスタートすると、ステップ901では現在アイドル運転中か否かが、またステップ903では回転数制御実行フラグFBの値が1か否かが判定される。
現在アイドル運転中で、かつ回転数制御実行フラグFBの値が1(実行)にセットされている場合には、次にステップ905に進み、予め定めた基準ピーク回転数NEP0と図4の操作で検出した始動時ピーク回転数NEPとの差DNPを算出する。そして、ステップ907では吸気量回転数制御のフィードバック補正量EQの上限値EQMAXをDNPの値に応じて設定して操作を終了する。
一方、ステップ901、903のいずれかの条件が成立しなかった場合にはステップ909に進み、吸気量回転数制御実行フラグCNと点火時期回転数制御実行フラグINとの値をともに0にセットして操作を終了する。
本実施形態では、吸気量回転数制御実行フラグCNが1にセットされると後述の吸気量回転数制御が実行され、点火時期回転数制御実行フラグINが1にセットされると点火時期回転数制御が実行される。なお、吸気量回転数制御実行フラグCNの初期値は1(実行)に設定されている。このため、アイドル運転時にフラグFBの値が1にセットされると(ステップ901、903)、まず吸気量回転数制御が開始されるようになる。
図10は、吸気量回転数制御操作を説明するフローチャートである。本操作では、目標回転数NE0と実際の機関回転数NEとの差DNEに基づいて吸入空気量フィードバック補正量EQの値が設定される。また、フィードバック補正量EQの値が上限値EQMAXに到達すると吸気量回転数制御から点火時期回転数制御への切り換えが行われる。
すなわち、ステップ1001では、吸気量回転数制御実行フラグCNの値が1(実行)か否かが判断され、CN=1の場合にはステップ1003、1005でDNEの値が算出され、ステップ1007では偏差DNEの積分値IDNEが算出される。また、ステップ1009では、偏差DNEの微分値DDNEが、DDNE=DNE−DNEi-1として算出される。DNEi-1は前回本操作実行時のDNEの値である。DNEi-1の値は、操作実行毎にステップ1011で更新される。
そして、ステップ1013では吸入空気量のフィードバック補正量EQの値がEQ=α1×DNE+α2×IDNE+α3×DDNEとして算出される。すなわち、フィードバック補正量EQの値は目標回転数と実際の回転数との差DNEに基づく比例微分積分制御により設定される。
上記により、補正量EQの値を設定後、ステップ1015では補正量EQの値が図9の操作で設定した上限値EQMAXに到達したか否かが判定され、上限値に到達していない場合には、ステップ1017に進み、機関吸入空気量の目標値QTが、QT=QCAL+EQとして算出される。QCALは、機関回転数と運転者のアクセルペダル踏込み量とにより定まる目標吸入空気量である。そして、ステップ1019では算出した機関吸入空気量QTに応じてスロットル弁16の開度が制御される。
また、ステップ1015でフィードバック補正量EQが上限値EQMAXに到達していた場合には、ステップ1021に進み吸気量回転数制御実行フラグCNの値が0(停止)にセットされ、点火時期回転数制御フラグINの値が1(実行)にセットされる。これにより、次回からは吸気量回転数制御は停止され(ステップ1001)、後述する点火時期回転数制御が開始される。すなわち、吸気量回転数制御から点火時期回転数制御への切り換えが行われる。
本実施形態で、フィードバック補正量EQが上限値EQMAXに到達したときに点火時期回転数制御への切り換えを行うのは以下の理由による。
すなわち、点火時期回転数制御が実施されると点火時期は一般に進角されるため、排気温度が低下して排気浄化触媒の温度上昇に時間を要するようになる。このため、点火時期回転数制御への切り換えが行われると、排気浄化触媒が活性温度に到達しない状態での機関運転時間が長くなり、全体として機関始動時の排気性状が悪化する傾向になる。本実施形態ではできるだけ吸気量回転数制御で回転数制御を行うようにして排気性状の悪化を防止し、燃焼悪化等により吸気量回転数では回転数を制御できないと判断された場合にのみ点火時期回転数制御への切り換えを行うようにしている。例えば、機関燃焼の悪化が生じて回転数が目標回転数より低下すると吸気量回転数制御では機関回転数を上昇させるためにフィードバック補正量EQは増大設定される。また、EQの値は積分項IDNEの作用により、実際の機関回転数NEが目標回転数より低い値である限り増大を続ける。このため、EQの値がある程度の大きな値に到達した場合には吸気量回転数制御では機関回転数を目標回転数に制御することが困難であると判定できる。そこで、本実施形態ではEQの値がある上限値EQMAXに到達した場合には、吸気量回転数制御によっては燃焼の悪化による回転数の低下を回復できないと判断して点火時期回転数制御への切り換えを行うようにしている。
また、前述したように、本実施形態では上記上限値EQMAXの値はピーク回転数差DNPの値に応じて設定するようにしている(図9、ステップ907)。
図11は、図9、ステップ907で設定されるEQMAXの値を示す図である。図11に示すように、EQMAXの値はDNPが負の値の領域では(機関始動時ピーク回転数NEPが基準回転数NEP0より高い場合)比較的大きな正の一定値EQMAX0に設定される。またEQMAXの値はDNPが正の値の領域ではDNPが大きいほど低減され、DNPが予め定めた値DNP1以上では0に設定される。
前述したように、DNPの値は燃焼悪化の程度を表しており、DNPの値が大きくなるほど燃焼は悪化している。このため、本実施形態では燃焼の悪化の程度が大きいほど、上限値EQMAXの値を小さく設定して吸気量回転数制御から点火時期回転数制御への切り換えタイミングが早くなるようにしている。また、DNPの値が所定値DNP1より大きい場合、すなわち燃焼の悪化がかなり大きいと判断される場合には上限値EQMAXの値は0にセットされるため、回転数制御開始後直ちに吸気量回転数制御から点火時期回転数制御への切り換えが行われる。
次に、本実施形態の点火時期回転数制御操作について説明する。本実施形態では、上述したように吸気量回転数から点火時期回転数制御への切り換えが行われると、吸気量回転数制御と同様に目標回転数NE0と実際の回転数NEとの偏差DNEに基づいて点火時期のフィードバック補正量が比例積分微分制御により設定される。しかし、本実施形態では、上記フィードバック補正量の他に点火時期回転数制御が開始されると点火時期が所定量K3だけ進角される。吸気量回転数制御から点火時期回転数制御に回転数制御が切り換えられるときは、燃焼の悪化が生じたときであるため、機関回転数は燃焼の悪化に応じて低下している。このため、点火時期回転数制御が開始された時点では、点火時期を大幅に進角させて機関回転数を目標回転数まで上昇させる必要がある。この場合、回転数差に基づくフィードバック制御により点火時期フィードバック補正量が増大するのを待っていたのでは回転数の上昇が遅くなる可能性がある。そこで、本実施形態では、点火時期回転数制御が開始された場合には、機関回転数に関係なく開始前に較べて一律に点火時期を所定値K3だけ進角するようにしている。これにより、点火時期回転数制御開始と同時に機関回転数は上昇し、短時間で目標回転数に収束するようになる。
図12は、本実施形態の点火時期回転数制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図12において、操作がスタートすると、ステップ1201では点火時期回転数制御実行フラグINの値が1にセットされているか否かが判定される。本操作は、フラグINの値が1にセットされた場合にのみ実行される。これにより、図10の吸気量回転数制御操作でフラグINの値が1にセットされると直ちに吸気量回転数制御から点火時期回転数制御への切り換えが行われる。
ステップ1203から1207では、図10、ステップ1003から1009と同様に、目標回転数NE0と実際の回転数NEとの差DNE、及びDNEの積分値IDNE、微分値DDNEが算出される。
また、本実施形態では機関点火時期AOPは上記DNE、IDNE、DDNEを用いて、
AOP=EACAL+K3+β1×DNE+β2×IDNE+β3×DDNE
−EACAT
として設定される。そして、ステップ1215では、上記により設定した点火時期AOPは点火回路110にセットされ、本操作は終了する。
上記の式において、点火時期AOPは各気筒の上死点までのクランク角で表されており、AOPの値が増大すると点火時期は進角する。また、EACALは機関冷却水温度から定まる基本点火時期、β1、β2、β3はそれぞれ比例項、積分項、微分項の係数(フィードバック制御定数)である。また、K3は正の所定値、EACATは触媒暖機遅角量である。触媒暖機遅角量EACATについては後述する。
上述のように、点火時期回転数制御においても、フィードバック補正量(β1×DNE+β2×IDNE+β3×DDNE)は目標回転数と実際の回転数との差DNEに基づく比例積分微分制御により設定されるが、点火時期制御においては、基本点火時期EACALに対して進角量K3が一律に加算されている点が相違する。
すなわち、点火時期回転角制御が開始されると、開始前に較べて点火時期はステップ状にK3だけ進角されることになる。これにより、回転数の上昇速度が速くなり、短時間で機関回転数が目標回転数NE0に収束するようになる。
次に、点火時期開始時のステップ進角量K3について説明する。
ステップ進角量K3は一定値として設定しても良いが、本実施形態では、燃焼の悪化の程度に応じてK3の値を設定するようにしている。すなわち、燃焼悪化の程度が大きければ点火時期回転数制御開始時の機関回転数の低下も大きくなっており、回転数の上昇速度を大きく設定する必要がある。本実施形態では、燃焼悪化の程度、すなわちピーク回転数差DNPの値がが大きいほどステップ進角量K3の値を大きく設定するようにして、回転数の上昇を早めている。
図13は、本実施形態のステップ進角量K3とピーク回転数差DNPとの関係を示す図である。
図13に示すように、ステップ進角量K3は、DNPの値が負の領域では0に設定され、DNPの値が0から所定値DNP2の間では直線的に増大し、DNPの値がDNP2以上の領域では一定値となるように設定される。これにより、ステップ進角量K3は燃焼の悪化が大きいほど大きな値に設定されるようになる。
次に、DNPの算出に用いる基準ピーク回転数NEP0について説明する。NEP0の値は、燃焼悪化が生じていない時の始動時ピーク回転数を予め実験により測定しておき、この始動時ピーク回転数を基準ピーク回転数NEP0としてECU10のROMに記憶するようにしても良い。しかし、始動時ピーク回転数は機関の個体差や経年変化による内部摩擦の変化により機関毎にばらつきを生じる場合がある。そこで、本実施形態では実際の機関始動毎に検出した始動時ピーク回転数NEPに基づいて基準ピーク回転数NEP0を設定するようにしている。
すなわち、ECU10は機関始動時に検出したピーク回転数NEPをRAMに記憶し、機関暖機が完了して通常運転になった時点で点火時期回転数制御実行フラグINの値が1にセットされたか否か、すなわち今回の機関始動時に点火時期回転数制御が実行されたか否かを判断する。今回の機関始動時に点火時期回転数制御が実行されなかった場合には、今回の始動時に燃焼の悪化は生じなかったと判断できる。そこで、この場合には、基準ピーク回転数NEP0の値として今回始動時に記憶した始動時ピーク回転数を採用し、バックアップRAMに記憶して次回の機関始動操作時に使用する。今回の機関始動時に点火時期回転数制御が実行された場合には、前回までの基準ピーク回転数NEP0は更新せずに次回の機関始動操作にも使用する。これにより、機関毎、或いは経年変化による内部摩擦の変化等が生じた場合でも正確に機関燃焼の悪化を判定することが可能となる。
(7)第7の実施形態
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
第6の実施形態では、吸気量回転数制御と点火時期回転数制御とは目標回転数NE0と実際の回転数NEとの差DNEに基づく比例積分微分制御とされていたが、比例項α1×DNE、β1×DNE、積分項α2×IDNE、β2×IDNE及び微分項α3×DDNE、β3×DDNEの各係数(フィードバック制御定数)α1、α2、α3、及びβ1、β2、β3の値は一定値に固定されていた。これに対して、本実施形態では、フィードバック制御定数の値を回転数差DNEとその変化率DDNEとに応じて設定するようにしている。
例えば、機関回転数が目標回転数より大幅に下回っており、しかも目標回転数との差DNEが増大しつつあるような場合には、回転数を大幅に上昇させるためにフィードバック補正量(α1×DNE+α2×IDNE+α3×DDNE)、(β1×DNE+β2×IDNE+β3×DDNE)を大きく増大させる必要がある。
一方、機関回転数が目標回転数に近づいており、回転数差DNEの値が比較的小さく、回転数差DNEが減少しつつあるような場合には、回転数の上昇速度は小さく設定しないと目標回転数に対してオーバシュートを生じる可能性があるため、フィードバック補正量は小さく設定する必要がある。
この場合、フィードバック制御定数を一定値に固定していると、フィードバック補正量が必ずしも最適に設定されず、目標回転数への収束が遅くなる場合が生じる。
本実施形態では、回転数差DNEと、その増減傾向(すなわちDNEの微分値DDNE)に応じてフィードバック制御定数の値を設定することにより、フィードバック補正量が回転数の変化傾向に応じて最適な値に設定されるようにして、回転数が目標回転数に収束する時間を更に短縮する。
本実施形態では、フィードバック制御定数のうち積分項係数α2、β2を実際の回転数変化傾向に応じて変化させるようにしている。積分項は、回転数差の積算値であるため、回転数差が変化しても積分項自身の変化は比較的小さい。このため、比例項、微分項に較べて積分項には回転数の変化傾向が反映されにくくなっている。従って、回転数変化傾向に応じてフィードバック制御定数を変化させる場合には、積分項係数を回転数変化傾向に応じて変化させ、積分項への回転数変化傾向の反映の度合いを大きくすることが回転数の収束時間を短縮する上で最も効果的なためである。なお、当然ながら比例項、微分項についても回転数変化傾向に応じて変化させるようにすれば更に大きな効果が得られる。
まず、本実施形態における積分項について説明する。
第6の実施形態では、積分項IDNEは回転数差DNEの積算値ΣDNEとして算出され、フィードバック補正量算出の際にIDNEに一定の係数α2、β2を乗じていた。すなわち、図10の吸気量回転数制御の場合についていえば、フィードバック補正量EQは、(1)EQ=α1×DNE+α2×IDNE(=ΣDNE)+α3×DDNEとして算出されていた。これに対して、本実施形態では、積分項IDNEは予め積算の際にDNEにα2を乗じておき、Σ(α2×DNE)として算出し、その代わりにフィードバック補正量EQは、(2)EQ=α1×DNE+IDNE(=Σ(α2×DNE))+α3×DDNEとして算出される。(1)式と(2)式とは、α2が一定値である場合には同一になる。
しかし、本実施形態では積分項係数α2の値を、回転数差DNEとその変化率DDNEの値に応じて変化させる。これにより、回転数の変化傾向がより適切に積分項に反映されるようになる。
すなわち、α2の値はDNEとDDNEとの値に応じて設定されるが、本実施形態では実際にはDNEとDDNEの各組合せに応じて最適なα2(点火時期回転数制御の場合にはβ2)の値を実験等により設定しておき、DNEにα2を乗じた値QIDNE(=α2×DNE)をDNEとDDNEとを用いた数値マップの形でECU10のROM104に格納してある。そして、図10の操作実行毎に算出したDNEとDDNEとの値を用いて、この数値マップから積分項の増減量としてQIDNE(=α2×DNE)の値を読み出し、上記(2)式を用いてフィードバック補正量EQの値を、EQ=α1×DNE+IDNE(=ΣQIDNE)+α3×DDNEとして算出するようにしている。
図18は、上記積分項の変化量QIDNE(=α2×DNE)の値の設定を示す図である。
図18において、横軸は回転数差DNE(=NE0−NE)を、縦軸はその辺か率DDNEを、それぞれ表している。また、図18において直線N1は回転数差DNE=0(目標回転数と実際の回転数とが一致している状態)、直線N2はDDNE=0(機関回転数が安定している状態)、をそれぞれ表している。更に、直線Iは後述するように、QIDNE=0となる状態であり、本実施形態では、DNE=0、DDNE=0の点を通り傾きが45度の右下がりの直線として与えられている。
いま、図18においてDNE<0、かつDDNE<0である場合(図18、A点)について考える。この場合は、DNE(=NE0−NE)<0であるので、機関回転数NEは目標回転数NE0より高くなっており、しかもDDNE<0であるので回転数差は前回より大きな負の値になっている。すなわちこの場合は回転数はすでに目標回転数より高くなっているのに、更に回転数が上昇傾向にあることを意味する。このため、この場合には積分項IDNEの値を低下させてフィードバック補正量EQの値を減少させる必要がある。そこで、本実施形態ではこのような場合には積分項変化量QIDNE(=α2×DNE)の値が負になり、かつ回転数差DNEが負の大きな値であるほど(回転数が高いほど)、また変化率DDNEが負の大きな値であるほど(回転数の上昇が急なほど)、QIDNEが負の大きな値になるようにα2の値を設定する。
一方、DNE>0、かつDDNE>0(図18、B点)の場合には、回転数は目標回転数より低く、しかも回転数差が増大(すなわち回転数が低下)しつつある。このため、この場合には積分項IDNEの値を早く増大させてフィードバック補正量EQの値を増大する必要がある。そこで、この場合には積分項変化量QIDNE(=α2×DNE)の値は正になり、かつ回転数差DNEが正の大きな値であるほど(回転数が低いほど)、また変化率DDNEが正の大きな値であるほど(回転数の低下が急なほど)、QIDNEが正の大きな値になるようにα2の値を設定する。
次に、図18、C点、D点の場合について考える。この場合にはともに、DNE<0、DDNE>0であり、回転数は目標回転数より高いが回転数差は縮小(回転数が低下)しつつある状態である。この場合には、DNEとDDNEとの大きさに応じてQIDNEの正負を変える必要がある。
例えば、図18、C点では、DNEの値が負の比較的大きい値になっているため、回転数が目標回転数より大きく上回っている。このため、回転数は低下傾向にあるものの、回転数の低下速度を多少大きくして回転数が早く目標回転数に到達するようにすることが好ましい。そこで、この場合には、QIDNEの値は比較的小さい負の値に設定される。一方、D点ではDNEの値が負の比較的小さい値になっているため、回転数は目標回転数より高いものの、比較的目標回転数に近い値になっている。しかも、DDNE>0であるため回転数差は縮小(回転が低下)しつつある。このため、IDNEの値が大きいままだとオーバシュートを生じ、回転数が目標回転数を越えて低下してしまう可能性がある。そこで、D点ではQIDNEの値は比較的小さい正の値に設定し、IDNEの値を緩やかに増大させるようにする。
上記と同様に、図18、E、F点(DNE>0、DDNE<0)について見ると、QIDNEの値はE点では比較的小さい負の値に、F点では比較的小さい正の値に、それぞれ設定される。
また、図18の直線I上の点では、回転数差DNEと差の変化傾向DDNEとの影響が互いに相殺するため、積分項IDNEの値は増減せずに前回の値をそのまま保持するようにする。このため、この線上の点ではQIDNE=0に設定される。このため、直線IはQIDNEが正になる領域と負になる領域との境界線になっている。また、本実施形態では制御を安定させるために、直線Iから一定の距離内の領域(図18に斜線で示す領域)を設け、この領域内ではQIDNEの値を0に設定して、DNEとIDNEとの値が変化してもIDNEの値が増減しないようにしている。
上述のように、本実施形態では、QIDNE(=α2×DNE)の値は、図18の斜線領域の上側の部分では正の、下側の部分では負の値をとり、その絶対値は直線Iからの距離が大きい程大きな値になるように設定されることになる。
このように、フィードバック制御定数(α2、β2)の値を回転数差DNEとその変化率DDNEとに応じて操作実行毎に設定することにより、フィードバック補正量が回転数の変化傾向に応じて適切に設定されるようになり、回転数の目標回転数への収束時間が短縮されるようになる。
(8)第8の実施形態
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。
本実施形態では、点火時期回転数制御実施中の触媒暖機のための点火時期遅角量を調整することにより、点火時期回転数制御と触媒暖機のための点火時期遅角との干渉を防止し短時間で機関回転を目標回転数に収束させる。
図12で説明したように、点火時期回転数制御中は機関点火時期AOPは、機関冷却水温度から定まる基本点火時期EACAL(図12の例ではEACAL+K3)とフィードバック補正量(図12の例ではβ1×DNE+β2×IDNE+β3×IDNE)との和に触媒暖機遅角量(−EACAT)を加えた量として設定される。触媒暖機遅角量EACATは、機関始動時に排気温度を上昇させ排気浄化触媒を短時間で活性化温度まで到達させるために設けられており、機関始動操作開始後徐々に増大し、その後緩やかに減少して始動操作開始後所定時間経過後に0になるように変化する。
実際には、触媒暖機遅角量EACATは、EACAT=RF×EACATBASEの形で与えられる。ここで、EACATBASEは基本触媒暖機遅角量であり、予め機関冷却水温度の関数として与えられる。また、RFは反映係数であり、機関始動操作開始からの時間の関数として与えられる。
図14は、RFの機関始動操作開始後の時間変化を示す図である。
図14に示すように、反映係数RFは、機関始動操作開始時から所定時間t1までは機関始動を容易にするために0にセットされ、始動操作開始後数秒経過すると増大を開始する。そして、RF=1まで増大すると、その後徐々に減少を開始し、0まで減少するように設定されている。このため、触媒暖機遅角量EACATも、機関始動操作開始後、図14に示したと同様な変化をすることになる。ところが、点火時期回転数制御は機関点火時期を変化させて回転数を目標回転数に一致させるものであるため、点火時期回転数制御を実施中に触媒暖機遅角量EACATが増減変化すると回転数制御による点火時期調整とEACATの増減とが干渉してしまい、短時間で機関回転数を目標回転数に収束させることができなくなる場合が生じる。
そこで、本実施形態では点火時期回転数制御が開始された場合には、触媒暖機遅角量EACAT(反映係数RF)を早くゼロまで減衰させて触媒暖機のための点火時期遅角が点火時期回転数制御と干渉することを防止している。
図15は、本実施形態の触媒暖機遅角量制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
本操作では、点火時期遅角制御が実行されていない場合には通常通りEACATの値を、EACAT=RF×EACATBASEとして設定するが、点火時期遅角制御が開始されると、触媒暖機遅角量EACATを上記の計算式により設定することを中止し、遅角量EACATを現在の値から0まで一定量ずつ減少させる。すなわち、本実施形態では点火時期回転数制御が実行されていないときには、触媒暖機遅角量EACATは図14に実線で示したように変化するが、例えば図14のS点で点火時期回転数制御が開始されると、その後は点線で示したように触媒暖機遅角量EACATが直線的に減少し、点火時期回転数制御が実行されていない時に較べて短時間で0になるように制御される。
すなわち、図15で操作がスタートすると、ステップ1501では、現在点火時期回転数制御が実行されているか否かが、点火時期回転数制御実行フラグINの値から判定される。そして、IN≠1の場合、すなわち現在点火時期回転数制御が実行されていない場合には、ステップ1503に進み、触媒暖機遅角量EACATを、EACAT=RF×EACATBASEとして設定する。これにより、触媒暖機遅角量EACATは、機関始動操作開始後図14に実線(通常時)で示したように変化する。
一方、ステップ1501で現在点火時期回転数制御が実行中であった場合(IN=1の場合)には、ステップ1505に進み、現在の触媒暖機遅角量を一定値ΔEAだけ減少させるとともに、ステップ1507と1509でEACATの最小値が0になるように制限する。これにより、EACATの値は点火時期回転数制御が開始された時点から本操作実行毎に一定値ΔEAずつ減少し(図14、点線)、通常時(図14、実線)より早く減衰し短時間で0になる。
このため、点火時期回転数制御による点火時期調整と触媒暖機遅角とが干渉することが防止され、短時間で機関回転数を目標回転数に収束させることが可能となる。
なお、本実施形態では点火時期回転数制御の開始とともに触媒暖機遅角量の減少を開始しているが、例えば燃焼の悪化が比較的少ないため点火時期回転数制御が開始されても点火時期があまり大きく進角されない場合がある。このような場合には触媒暖機遅角量を早期に減衰させてしまうと触媒暖機が遅れるために、全体として排気性状が悪化する可能性がある。このため、例えば点火時期回転数制御の開始と同時に触媒暖機遅角量の減少を開始するのではなく、点火時期回転数制御により点火時期がある程度以上進角されたとき、すなわち燃焼の悪化の程度がある程度大きいと判断されたときから触媒暖機遅角量の減少を開始するようにしてもよい。
この場合には、図15ステップ1501で、点火時期回転数制御実行フラグINの値が1になったときにステップ1505以下の減少操作を行う代りに、ステップ1501で点火時期回転数制御におけるフィードバック補正量(図12の例では、β1×DNE+β2×IDNE+β3×DDNE)の値が所定値以上に大きくなったか否か、すなわち点火時期回転数制御により点火時期が所定値以上進角されようとしているか否かを判断し、フィードバック補正量が所定値以上になったときにステップ1507以下の減少操作を行うようにしても良い。
(9)第9の実施形態
本実施形態では、第8の実施形態と同様に点火時期回転数制御実施時に触媒暖機遅角量を低減する操作を行うが、第8の実施形態では一律に触媒暖機遅角量EACATを減少させていたのに対して本実施形態では燃焼の悪化の程度に応じてEACATを減少させる点が相違している。
前述したように、燃焼悪化の程度が大きいときには点火時期回転数制御における点火時期進角量は大きくなる。このため、燃焼悪化の程度が大きいときに触媒暖機遅角量が大きい値になると点火時期回転数制御による精度の良い回転数制御を行うことができなくなる可能生がある。
そこで、本実施形態では前述した機関始動時のピーク回転数NEPの基準ピーク回転数NEP0からの偏差(DNP=NE0−NEP)を燃焼悪化程度のパラメータとして用い、燃焼悪化が大きいとき(DNPが大きいとき)には触媒暖機遅角量の減少が大きく、燃焼悪化が小さい時に(DNPが小さいとき)には触媒暖機遅角量の減少が小さくなるように触媒暖機遅角量を調整している。
図16は、本実施形態の触媒暖機遅角量制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図16において操作がスタートすると、ステップ1601では、まず、触媒暖機遅角量EACATが、EACAT=RF×EACATBASEとして算出される。そして、ステップ1603では、現在点火時期回転数制御が実行されているか否かが点火時期回転数制御実行フラグINの値に基づいて判定される。現在点火時期回転数制御が実行されていない場合(IN≠1の場合)には、本操作は直ち終了する。この場合、触媒暖機遅角量はステップ1601で設定された通常の値になる。一方、現在点火時期回転数制御が実行されている場合(IN=1の場合)には、次にステップ1605で、機関始動時に検出された始動時ピーク回転数NEPの予め定めた基準ピーク回転数NEP0からの偏差DNPに基づいて、触媒暖機遅角量の低減係数K4(K4≦1)が決定される。そして、ステップ1607では、ステップ1601で算出された通常時のEACATの値に係数K4を乗じた値を触媒暖機遅角量EACATとしてセットして操作を終了する。
図17は、係数K4の設定を示すグラフである。図17に示すように、K4の値はピーク回転数差DNPの値が負の領域ではK4=1に設定され、DNPが正の領域ではDNPの値が大きくなるほど(すなわち燃焼悪化の程度が大きいほど)小さな値に設定される。これにより、図16ステップ1607では燃焼悪化の程度が大きいほど触媒暖機遅角量は小さな値に設定されるため、点火時期回転数制御と触媒暖機のための点火時期遅角とが干渉することが防止される。
なお、本実施形態では、図17に示したように係数K4の値をピーク回転数差DNPの値に応じて連続的に変化させているが、例えばDNPの値が所定値以上か否かに応じてK4の値を2段階に設定するようにして制御の簡素化を図ることも可能である。
また、本実施形態ではピーク回転数差DNPに応じて係数K4を設定しているが、点火時期回転数操作開始後のフィードバック補正量(図12の例では、β1×DNE+β2×IDNE+β3×DDNE)は点火時期回転数操作による進角量を表している。そこで、このフィードバック補正量の値に応じて、図17と同様な関係を用いてK4の値を設定するようにすることも可能である。
本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。 機関始動時の回転数の時間変化を説明する図である。 機関始動時の回転数制御開始操作の一例を説明するフローチャートである。 機関始動時のピーク回転数検出操作を説明するフローチャートである。 機関始動時の回転数制御開始操作を説明するフローチャートである。 回転数制御における目標回転数設定操作の一例を示すフローチャートである。 機関始動時の回転数制御開始操作の別の例を説明するフローチャートである。 機関始動時の回転数制御開始操作の別の例を説明するフローチャートである。 吸気量回転数制御と点火時期回転数制御との切り換え操作を説明するフローチャートである。 吸気量回転数制御操作の一例を説明するフローチャートである。 図10の操作におけるパラメータの設定を示す図である。 点火時期回転数制御操作の一例を説明するフローチャートである。 図13の操作におけるパラメータの設定を示す図である。 触媒暖機遅角量の時間変化を示す図である。 触媒暖機遅角量制御操作の一例を説明するフローチャートである。 触媒暖機遅角量制御操作の他の実施形態を説明するフローチャートである。 図16の操作におけるパラメータの設定を示す図である。 図10の操作におけるパラメータの設定の例を示す図である。
符号の説明
1 内燃機関本体
5、6 クランク角センサ
10 電子制御ユニット(ECU)
16 電子制御スロットル弁
110 点火回路

Claims (3)

  1. 機関始動時に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御するとともに、機関始動時の機関燃焼悪化の有無を判断し、燃焼悪化時には前記吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関始動時の回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置において、
    更に、機関始動時に機関排気通路に配置した排気浄化触媒の昇温を促進するために触媒昇温後に較べて点火時期を所定の触媒暖機遅角量だけ遅角させるとともに、該触媒暖機遅角量が機関始動操作開始から所定時間経過後にゼロになるように触媒暖機遅角量を変化させる触媒暖機手段を備え、該触媒暖機手段は、前記点火時期回転数制御実施時には点火時期回転数制御が実施されていない場合に較べて短い時間で前記触媒暖機遅角量がゼロになるように触媒暖機遅角量を変化させる、内燃機関の制御装置。
  2. 機関始動時に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御するとともに、機関始動時の機関燃焼悪化の有無を判断し、燃焼悪化時には前記吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関始動時の回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置において、
    更に、機関始動時に機関排気通路に配置した排気浄化触媒の昇温を促進するために触媒昇温後に較べて点火時期を所定の触媒暖機遅角量だけ遅角させる触媒暖機手段と、機関始動操作開始後の始動時ピーク回転数を検出する手段とを備え、前記触媒暖機手段は、前記点火時期回転数制御実施時には、点火時期回転数制御が実施されていない場合に較べて前記触媒暖機遅角量を、予め定めた基準ピーク回転数と前記始動時ピーク回転数との差に応じた量だけ小さく設定する、内燃機関の制御装置。
  3. 機関始動時に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御するとともに、機関始動時の機関燃焼悪化の有無を判断し、燃焼悪化時には前記吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関始動時の回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置において、
    更に、機関始動時に機関排気通路に配置した排気浄化触媒の昇温を促進するために触媒昇温後に較べて点火時期を所定の触媒暖機遅角量だけ遅角させる触媒暖機手段を備え、前記触媒暖機手段は、前記点火時期回転数制御実施時には、点火時期回転数制御が実施されていない場合に較べて、前記触媒暖機遅角量を、点火時期回転数制御における点火時期のフィードバック補正量に応じて小さく設定する、内燃機関の制御装置。
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