JP3780766B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の制御装置に関し、詳細には機関アイドル運転時に機関回転数を目標回転数に制御する内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関アイドル運転時に機関回転数を所定の目標回転数に維持する制御装置が一般に知られている。
例えば、この種の制御装置の例としては特開平5−222997号公報に記載されたものがある。同公報の装置は、機関始動後のアイドル運転時に機関回転数が予め定めた目標回転数に一致するように、機関吸入空気量と点火時期とをフィードバック制御することにより、アイドル回転数を一定に維持するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、機関始動時、特に機関の冷間始動時には燃焼の悪化が生じやすく機関回転数が不安定になる場合がある。
例えば、機関吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた機関では、機関冷間始動時には噴射された燃料が、低温のため気化せずに液体のまま吸気ポート壁面に付着して気化燃料の濃度が不十分になる場合がある。特に、揮発性の低い燃料(重質燃料)を使用した場合には、機関冷間始動時には燃料の気化が不十分になり、実際に気筒内に吸入される気化燃料の量が減少するため、気筒内の混合気の空燃比のリーン化による燃焼の悪化が生じ易い。このような場合には、特開平5−222997号公報の装置のように吸入空気量による回転数制御を行っていると、燃焼の悪化の程度が増大し機関回転数が更に不安定になる場合がある。
【0004】
すなわち、吸入空気量による回転数制御では燃焼が悪化して機関回転数が低下すると、吸入空気量を増大して回転数を上昇させるためにスロットル弁開度を増大する操作が行われる。ところが、燃料の気化が不十分な状態でスロットル弁開度を増大すると、スロットル弁下流側の吸気管負圧が低下(絶対圧力が上昇)するため、吸気ポート壁面に付着した燃料は更に気化しにくくなり混合気の空燃比は更にリーン化してしまい、燃焼の悪化が増幅される場合が生じるのである。
【0005】
本願出願人は、上記問題を解決するために既に特願平11−98897号で、機関始動時の回転数をスロットル弁開度(機関吸入空気量)を調整することにより制御するとともに、機関燃焼悪化が生じた場合にはスロットル弁開度調整による回転数制御を停止して機関点火時期調整による回転数制御に切り換える制御装置を提案している。
【0006】
同公報の装置では機関始動時のピーク回転数や回転変動等に基づいて機関燃焼状態の悪化を判断し、悪化が生じている場合にはスロットル弁開度調整による回転数制御を停止して、機関点火時期調整による回転数制御または燃料噴射量増量による回転数制御への切り換えを行うことにより燃焼悪化時にも機関回転数を目標回転数に維持することを可能としている。
【0007】
しかし、機関に供給する燃料を増量すると機関の燃料消費量が増大するのみならず、排気中の未燃HC、CO成分が増大して機関の排気性状が悪化する問題が生じる。このため、機関燃焼悪化時に燃料増量による回転数制御を実施した場合には、機関の燃焼が安定した後できるだけ早い時期に燃料増量を停止することが好ましい。ところが、上記出願では機関燃焼悪化を判断して燃料増量を行っているものの、燃料増量の停止タイミング、すなわち機関燃焼が安定したことの判断についてはなにも考慮されていない。
【0008】
このため、上記出願の装置では機関の燃焼が安定した後も不必要な燃料増量が行われる可能性があり、排気性状の悪化を生じるおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑み機関アイドル運転中に機関の燃焼が悪化した場合に燃料増量を実施して機関回転数を目標回転数に維持する場合に、機関の燃焼が安定したことを適切に判断して燃料増量を停止することにより、機関燃料消費量の増大と機関排気性状の悪化を防止可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、機関アイドル運転中に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御し、前記吸気量回転数制御実施中に吸気量回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関回転数を目標回転数に制御し、更に前記点火時期回転数制御実施中に、点火時期回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には、点火時期回転数制御に加えて機関に供給する燃料量を増量することにより機関回転数を目標回転数に制御する燃料増量制御を行う、内燃機関の制御装置において、更に、前記燃料増量制御実施中に前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下になったときには前記燃料増量制御を停止する、内燃機関の制御装置が提供される。
【0010】
すなわち、請求項1の発明では燃料増量制御中に点火時期フィードバック補正量が所定値以下まで低下した場合には燃料増量制御を中止する。点火時期回転数制御では、燃焼が悪化して回転数が低下すると点火時期を進角させて回転を上昇させるために点火時期フィードバック補正量は増大する。このフィードバック補正量が上限値付近まで増大して、それ以上点火時期を進角させることによっては回転数を上昇できなくなると点火時期回転数制御を実行したままで燃料増量が行われる。この場合、燃焼の悪化が継続しているとフィードバック補正量はそのまま大きな値に維持されるが、機関の燃焼が改善されるとフィードバック補正量は徐々に低下する。このため、燃料増量制御実施中にフィードバック補正量がある程度まで低下した場合には、フィードバック補正量に再度増大する余地が生じるため点火時期回転数制御に余裕が生じる。このため、燃料増量制御実施中に点火時期フィードバック補正量が充分低い値まで低下した場合には、燃料増量を停止しても点火時期回転数制御のみで回転数を目標回転数に維持可能になる。本発明では点火時期回転数制御のフィードバック補正量が所定値まで低下した場合には、点火時期回転数制御のみによりアイドル回転数を目標回転数に維持可能であると判断し燃料増量制御を停止する。これにより、燃料増量制御による機関燃料消費量の増大と排気性状の悪化とが防止される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、更に、前記点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下になった状態が予め定めた所定時間継続するまで前記燃料増量制御を継続し、前記所定時間継続後に前記燃料増量制御を停止する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項2の発明では燃料増量制御実施中に点火時期フィードバック補正量が所定値以下に低下した状態が生じても直ちには燃料増量制御を停止しないで、フィードバック補正量が低下した状態が所定時間継続したときに初めて燃料増量制御を停止する。燃焼の悪化が生じた場合には、燃料増量制御中も機関回転数が変動する場合があり、点火時期フィードバック補正量もこの回転変動に応じて増減する。このため、燃焼の悪化が改善されていない場合でも点火時期フィードバック補正量が短時間低下する場合が生じる可能性がある。このように、フィードバック補正量の変動により一時的にフィードバック補正量が所定値以下になった場合に、燃焼状態が改善されていないにもかかわらず燃料増量制御を停止すると、機関回転数が不安定になり再度燃料増量制御を開始する必要が生じる場合がある。本発明では、フィードバック補正量が所定時間継続して低い値に維持された場合にのみ燃料増量制御を停止するようにしているため、燃料増量制御は燃焼状態が改善された場合にのみ停止されるようになり、燃焼状態の悪化が続いているにもかかわらず誤って燃料増量制御が停止される事態が防止される。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、更に、機関冷却水温度を検出するとともに、前記燃料増量制御実施中に、前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下であり、かつ機関始動時からの冷却水温度の上昇幅が予め定めた所定値以上になったときに前記燃料増量制御を停止する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項3の発明では、点火時期フィードバック補正量が所定値以下になり、しかも機関始動時から機関冷却水温度が所定幅以上上昇した場合には燃料増量制御を停止する。機関冷却水温度が所定幅以上上昇したことは、機関始動時から機関の各部分に冷却水温度上昇分に相当する熱量が与えられたことを意味する。このため、気筒や吸気ポート温度も機関始動時から所定量以上上昇しており、燃料の気化状態も改善していると考えられる。従って、機関始動時から所定幅以上冷却水温度が上昇した場合には燃料増量制御を停止しても燃焼の悪化は生じない。これにより、本発明では簡易に燃料増量制御の停止時期を判断することが可能となっている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、更に、予め定めた空燃比フィードバック制御条件が成立したときに、機関排気通路に配置された空燃比センサ出力に基づいて機関空燃比をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を開始するとともに、前記燃料増量制御実施中に、前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下であり、かつ前記空燃比フィードバック制御が開始されたときに前記燃料増量制御を停止する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0015】
すなわち、請求項4の発明では、点火時期フィードバック補正量が所定値以下になり、しかも空燃比フィードバック制御が開始されたときに燃料増量制御を停止する。空燃比フィードバック制御は、例えば機関排気通路に配置された空燃比センサの温度が上昇して空燃比に対応した信号を出力可能となったときに開始される。空燃比フィードバック制御が開始されると、機関の燃料噴射量は機関燃焼空燃比が目標空燃比に一致するようにフィードバック制御される。従って、空燃比フィードバック制御が開始されると機関燃焼空燃比のリーン化は解消されるため燃料増量制御を実施する必要はなくなる。本発明では、空燃比フィードバック制御が開始されたときに燃料増量制御を停止することにより、燃料増量制御の停止時期が適切に判断されるため、機関燃料消費量の増大や機関排気性状の悪化が防止される。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、機関アイドル運転中に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御し、前記吸気量回転数制御実施中に吸気量回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関回転数を目標回転数に制御し、更に前記点火時期回転数制御実施中に、点火時期回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には、点火時期回転数制御に加えて機関に供給する燃料量を増量することにより機関回転数を目標回転数に制御する燃料増量制御を行う、内燃機関の制御装置において、更に、機関始動後の機関吸入空気量の積算値を算出するとともに、前記燃料増量制御実施中に、前記機関始動後の吸入空気量積算値が予め定めた所定値に到達したときには前記燃料増量制御を停止する、内燃機関の制御装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項5の発明では、機関始動後の吸入空気量の積算値が所定値に到達したときに燃料増量制御を停止する。機関に吸入される空気量は、機関で燃焼により発生する熱量に対応している。従って、始動後に機関に吸入された空気量の積算値は始動後機関で発生した熱量の合計値を表すパラメータとして使用できる。機関始動後、機関で所定量の熱量が発生した場合には気筒や吸気ポート温度の温度も上昇しており燃料の気化状態も改善していると考えられ、燃料増量制御を停止しても点火時期回転数制御或いは吸気量回転数制御で充分に回転数を目標回転数に維持することが可能である。このため、機関始動後の吸入空気量積算値が所定値に到達したときに燃料増量制御を停止することにより、燃料増量制御の停止時期が適切に判断されるため、機関燃料消費量の増大や機関排気性状の悪化が防止される。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、機関アイドル運転中に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御し、前記吸気量回転数制御実施中に吸気量回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関回転数を目標回転数に制御し、更に前記点火時期回転数制御実施中に、点火時期回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には、点火時期回転数制御に加えて機関に供給する燃料量を増量することにより機関回転数を目標回転数に制御する燃料増量制御を行う、内燃機関の制御装置において、更に、前記燃料増量制御実施中に、前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下であり、かつ前記目標回転数と現在の機関回転数との差及び現在の機関回転数の変化率とが予め定めた安定条件を満足する場合には前記燃料増量制御を停止する、内燃機関の制御装置が提供される。
【0021】
すなわち、請求項6の発明では点火時期フィードバック補正量が所定値以下になり、しかも機関の運転状態が所定の安定条件を満足する場合に燃料増量制御を停止する。点火時期フィードバック補正量は機関回転数の変動に応じて増減するため、燃焼悪化時の機関回転数変動により点火時期フィードバック補正量が一時的に所定値以下になる場合も生じる。このため、フィードバック補正量のみに基づいて燃料増量制御を停止していると、燃焼が改善されていないにもかかわらず燃料増量制御が停止されてしまう場合が生じる可能性がある。本発明では、点火時期フィードバック補正量が所定値以下になった場合には、現在の機関回転数と目標回転数との偏差、及び現在の機関回転数の変化率とから現在機関が所定の安定状態で運転されているか否か、すなわち燃料増量制御を停止しても回転数制御が可能な運転領域で運転されているか否かを判定し、所定の安定状態で運転されている場合にのみ燃料増量制御を停止する。例えば、目標回転数との偏差が正であり(すなわち、現在の機関回転数が目標回転数より低く)、かつ機関回転数の変化率が負(すなわち機関回転数が低下中)であるような場合にはたとえ点火時期フィードバック補正量が所定値より低下していても燃焼の悪化程度が大きく機関の運転が安定しない。このため、このような場合には燃料点火時期フィードバック補正量が低下していても燃料増量制御を継続する。これにより、燃料増量制御は燃焼状態が改善された場合にのみ停止されるようになり、燃焼状態の悪化が続いているにもかかわらず誤って燃料増量制御が停止される事態が防止される。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、前記燃料増量制御を停止する際には、燃料増量分を時間とともに、徐々にゼロまで減少させる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項7の発明では請求項1から請求項6において、燃料増量制御を停止する際には徐々に燃料増量分を減少させ、通常の燃料噴射量に戻すようにしている。これにより、燃料噴射量の急激な変化によるトルク変動が発生することが防止される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の全体構成を示す概略図である。図1において、1は内燃機関本体、2は機関1の吸気通路に設けられたサージタンク、2aはサージタンク2と各気筒の吸気ポートを接続する吸気マニホルド、16はサージタンク2の上流側の吸気通路に配置されたスロットル弁、7は機関1の各気筒の吸気ポートに加圧燃料を噴射する燃料噴射弁である。
【0024】
本実施形態では、スロットル弁16はステッパモータ等のアクチュエータ16aを備えており、後述するECU10から入力する制御信号に応じた開度をとる形式のものが使用されている。すなわち、本実施形態のスロットル弁16としては、運転者のアクセルペダル操作量とは無関係な開度をとることができる、いわゆる電子制御スロットル弁が用いられている。また、スロットル弁16にはスロットル弁の動作量(開度)に応じた電圧信号を発生するスロットル開度センサ17が設けられている。
【0025】
図1において11は各気筒の排気ポートを共通の集合排気管14に接続する排気マニホルド、20は排気管14に配置された三元触媒、13は排気マニホルド11の排気合流部(三元触媒20上流側)に配置された上流側空燃比センサ、15は三元触媒20下流側の排気管14に配置された下流側空燃比センサである。三元触媒20は、流入する排気空燃比が理論空燃比近傍にあるときに排気中のHC、CO、NOX の3成分を同時に浄化することができる。空燃比センサ13、15は機関通常運転時に機関空燃比が所定の目標空燃比になるように機関への燃料噴射量をフィードバック制御する際の排気空燃比検出に用いられる。
【0026】
本実施形態では、吸気通路のサージタンク2にはサージタンク内の吸気圧力(絶対圧)に応じた電圧信号を発生する吸気圧センサ3が、また、機関本体1のシリンダブロックのウォータジャケット8には、冷却水の温度に応じたアナログ電圧の電気信号を発生する水温センサ9が設けられている。
なお、上述のスロットル弁開度センサ17、吸気圧センサ3、水温センサ9及び空燃比センサ13、15の出力信号は、後述するECU10のマルチプレクサ内蔵A/D変換器101に入力される。
【0027】
図1に5、6で示すのは、機関1のカム軸とクランク軸(図示せず)とのそれぞれ近傍に配置されたクランク角センサである。クランク角センサ5は例えばクランク角に換算して720°毎に基準位置検出用パルス信号を発生し、クランク角センサ6は、クランク角30°毎にクランク角検出用パルス信号を発生する。これらクランク角センサ5、6のパルス信号はECU10の入出力インターフェイス102に供給され、このうちクランク角センサ6の出力はECU10のCPU103の割込み端子に供給される。ECU10は、クランク角センサ6からのクランク角パルス信号間隔に基づいて機関1の回転数(回転速度)を算出し、種々の制御に使用している。
【0028】
機関1の電子制御ユニット(ECU)10は、たとえばマイクロコンピュータとして構成され、マルチプレクサ内蔵A/D変換器101、入出力インターフェイス102、CPU103の他に、ROM104、RAM105、メインスイッチがオフにされた場合でも記憶保持可能なバックアップRAM106、クロック発生回路107等が設けられている。
【0029】
ECU10は、吸気圧、スロットル弁開度及び機関回転数に基づいて機関1の燃料噴射量制御、点火時期制御等の機関1の基本制御を行う他、本実施形態では、後述するように機関アイドル運転時に機関回転数を目標回転数に維持するアイドル回転数制御を行う。
上記制御を行うため、ECU10は一定時間毎に実行するA/D変換ルーチンにより、吸気圧センサ3からの吸気圧(PM)信号、スロットル開度センサ17からのスロットル開度(TA)信号、水温センサ9からの冷却水温度(TW)信号をA/D変換して入力している。
【0030】
また、ECU10の入出力インターフェイス102は駆動回路108を介して燃料噴射弁7に接続され、燃料噴射弁7からの燃料噴射量、噴射時期を制御している。
更に、ECU10の入出力インターフェイス102は、点火回路110を介して機関1の各点火プラグ111に接続され、機関の点火時期を制御するとともに、駆動回路113を介してスロットル弁16のアクチュエータ16aに接続され、アクチュエータ16aを駆動してスロットル弁16開度を制御している。
【0031】
次に、本実施形態のアイドル回転数制御について説明する。
本実施形態では、ECU10は機関始動後のアイドル運転中、機関回転数を予め定めた目標回転数に維持するアイドル回転数制御を行う。通常、機関始動時(クランキング開始時)には機関の燃料噴射量は冷却水温度と機関回転数とから定まる基本始動時噴射量に吸気温度(大気温度)と大気圧とに応じた補正を加えた量に設定される。そして、クランキング開始後、機関回転数がクランキング回転数より高い所定の回転数(例えば400rpm程度)を越えたあと、(すなわち、各気筒で燃焼が開始され機関が完爆状態になったと判断された後)は燃料噴射量は機関吸入空気量と機関回転数とに応じた基本燃料噴射量に所定の係数を乗じた量に設定される。基本燃料噴射量は、機関燃焼空燃比を理論空燃比に維持するために必要とされる燃料噴射量である。また、上記所定の係数は機関始動時の吸気ポート壁面への噴射燃料の付着や低温による燃料の気化状態の悪化を補償するためのものであり、機関始動時には上記所定の係数は1より大きな値に設定され機関燃焼空燃比は理論空燃比よりリッチ側に設定される。
【0032】
また、機関始動時には排気通路に配置された排気浄化触媒(図1に20で示す)の温度は低くなっており、触媒は排気浄化機能を発揮できない。従って、機関始動後は、できるだけ早く触媒温度を活性化温度まで上昇させて触媒による排気浄化を開始する必要がある。このため、通常機関始動時には排気温度を上昇させて短時間で触媒を昇温するために機関点火時期は通常運転時に較べて遅角される。
【0033】
上記のように、機関始動時の燃料噴射量は種々の要因に応じて適切に設定されるため、本来機関が正常な状態にあれば機関始動後のアイドル運転中には燃焼悪化による回転数変動は生じにくくなっている。しかし、機関が正常であってもアイドル運転時に燃焼悪化による回転数変動が生じる場合がある。例えば、機関に使用する燃料(ガソリン)の性状が異なると始動時の燃焼悪化が生じやすい。機関始動時の燃料噴射量は標準の性状を有する燃料を使用した場合に基づいて設定されている。このため、例えば標準の燃料に較べて揮発性の低い燃料(以下、「重質燃料」と呼ぶ)が機関に使用されると、特に機関冷間始動時には燃焼の悪化が生じる場合がある。すなわち、重質燃料は揮発性が低いため、標準燃料と同量の燃料を噴射した場合でも気化せずに液体のまま吸気ポート壁面に付着する燃料の割合が増加し実際に気筒内に供給される燃料の量は少なくなる。このため、機関の燃焼空燃比が通常よりリーン側にシフトしてしまい、燃焼の悪化による機関回転数の不安定化が生じるのである。
一般に、アイドル運転時の機関回転数の不安定化を防止して機関回転数を所定の目標回転数に維持する方法としては、機関回転数に基づく機関吸入空気量のフィードバック制御(吸気量回転数制御)が行われる。吸気量回転数制御では、機関回転数が目標回転数より低い場合にはスロットル弁16開度を増大(機関吸入空気量を増大)して回転数を上昇させ、回転数が目標回転数より高い場合にはスロットル弁開度を低減(吸入空気量を低減)して回転数を低下させる回転数に基づくフィードバック制御を行うことにより回転数が目標回転数に維持される。しかし、重質燃料を使用した場合には、吸気量回転数制御では機関の燃焼悪化を抑制できず、アイドル回転数を目標回転数に維持できない場合が生じる。
【0034】
例えば、重質燃料を使用したために機関始動時に機関の燃焼空燃比がリーン空燃比になり燃焼が悪化したような場合、吸気量回転数制御では燃焼悪化により機関回転数が低下すると回転数を上昇させるためにスロットル弁開度は増大される。ところが、スロットル弁開度を増大するとスロットル弁下流側の吸気通路内負圧が低下(絶対圧が増大)するため、噴射された燃料がますます気化しにくくなる。このため、機関燃焼空燃比は更にリーン方向に移行して燃焼悪化が増大するような場合が生じるのである。
【0035】
本実施形態では、アイドル回転数制御中に吸気量回転数制御では燃焼の悪化による回転数低下を補償できないと判断されたときには、燃焼悪化の程度に応じて吸気量回転数制御に代えて以下の回転数制御を実施することにより、燃焼悪化時にも機関回転数を目標回転数に正確に維持するようにしている。
▲1▼ 点火時期回転数制御
本実施形態では、吸気量回転数制御では燃焼の悪化によるアイドル回転数低下を補償できないと判断されたときには、まず吸気量回転数制御に代えて点火時期回転数制御を実施する。点火時期回転数制御では機関回転数に基づいて点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に維持する操作が行われる。機関始動後のアイドル運転時には、前述したように触媒暖機のため機関点火時期は遅角されている。一方、重質燃料を使用したような場合には、空燃比のリーン化等のため気筒内混合気の燃焼速度は低下している。このため、機関点火時期を進角させて燃焼速度の低下を補うことにより気筒での出力トルクが増大し、機関回転数は上昇する。
【0036】
▲2▼ 燃料増量制御
燃焼の悪化が大きく、点火時期回転数制御を実施しても燃焼悪化による回転数低下が補償できない場合には、点火時期回転数制御に加えて燃料増量制御が行われる。燃料増量制御では、燃料噴射量は通常のアイドル運転時より所定量だけ増量される。これにより、重質燃料による気化の悪化を補って充分な気化燃料を気筒に供給することができるようになり、機関回転数が上昇し点火時期回転数制御により回転数を目標回転数に維持することが可能となる。
【0037】
しかし、燃料噴射量増量は機関燃料消費量の増大を招くのみならず、排気中の未燃HC、CO成分等の増大を生じる。機関冷間始動後のアイドル運転時等では排気浄化触媒温度は低くなっており触媒は充分な排気浄化作用を発揮できないため、この状態で燃料増量制御を行うと機関排気性状の悪化が比較的大きくなる問題がある。そこで、燃料増量制御が行われた場合には可能な限り早期に燃料増量制御を停止して、点火時期回転数制御(または吸気量回転数制御)に復帰する必要がある。しかし、このためには燃料増量制御を停止して点火時期回転数制御のみで安定したアイドル回転数制御が可能な状態になっているか否か(燃焼状態が改善されているか否か)を正確に判定する必要がある。
【0038】
以下に説明する実施形態では、燃焼悪化により燃料増量制御が実施されているときに、点火時期回転数制御のみでアイドル回転数の安定した制御が可能な状態まで燃焼状態が改善されたか否かを正確に判断するとともに、燃焼状態が改善されたときには直ちに燃料増量制御を停止して点火時期回転数制御に復帰するようにしている。これにより、真に必要な場合にのみ燃料増量制御が実行されるようになり、機関燃料消費量の増大や排気性状の悪化が最小限に抑制される。
【0039】
以下、本発明の燃料増量制御停止操作の実施形態について説明するが、その前に以下の各実施形態に共通のアイドル回転数制御における吸気量回転数制御、点火時期回転数制御及び燃料増量制御の切り換え操作について説明する。
図2、図3及び図4はそれぞれアイドル回転数制御における吸気量回転数制御操作、点火時期回転数制御操作及び燃料増量制御操作を説明するフローチャートである。図2から図4の操作では、機関アイドル運転時にはまず吸気量回転数制御(図2)が行われ、吸気量回転数制御実施中に後述する吸入空気量フィードバック補正量が燃焼悪化のために増大して所定の上限値に到達すると、吸気量回転数制御は停止され、代りに点火時期回転数制御(図3)が実施される。そして、点火時期回転数制御実施中に、後述する点火時期フィードバック補正量が増大して所定の上限値に到達すると、点火時期回転数制御を実施したままで更に燃料増量制御(図4)が実施される。
【0040】
図2は、吸気量回転数制御操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図2の吸気量回転数制御操作では、目標アイドル回転数NE0 と現在の機関回転数NEとの差DNE(=NE0 −NE)、及びDNEの積分値(積算値)IDNE、DNEの時間変化率DDNEを用いて、吸気量フィードバック補正量EQの値が、EQ=α1 ×DNE+α2 ×IDNE+α3 ×DDNEとして算出され、目標吸入空気量QT の値が補正量EQに応じて増減される。すなわち、機関吸入空気量が目標回転数NE0 と実際の回転数NEとの差DNEに基づいて比例積分微分(PID)制御される。
【0041】
すなわち、図2の操作がスタートするとステップ201では現在アイドル運転中か否が判定される。本実施形態では、スロットル弁16開度が所定のアイドル運転開度(例えば全閉)にあるときに現在アイドル運転中と判定される。
ステップ201で現在アイドル運転中であるときには、アイドル回転数制御の必要はないため、ステップ203で後述する点火時期回転数制御実行フラグINと、燃料増量制御実行フラグFNの値を0にセットして直ちに操作を終了する。フラグINとFNはそれぞれ点火時期回転数制御と燃料増量制御との実行可否を示すフラグであり、INの値が1にセットされると点火時期回転数制御(図3)、FNの値が1にセットされると燃料増量制御(図4)が、それぞれ実行される。INとFNの値の初期値はともに0にセットされている。
【0042】
従って、ステップ201で現在機関がアイドル運転中でない場合にはステップ207以下の吸気量回転数制御が実施されないのみならず、点火時期回転数制御と燃料増量制御も実施されない。また、後述する吸気量回転数制御実行フラグCNの値は変更されないため、次にアイドル運転が行われたときにはCNの値が1にセットされていればステップ207以下の操作が実行される。
【0043】
ステップ201で現在アイドル運転中であった場合には、次にステップ205では吸気量回転数制御実行フラグCNの値が1にセットされているか否かが判定される。フラグCNの初期値は1(実行)にセットされており、ステップ219で吸気量フィードバック補正量EQの値が上限値EQMAX 以上になった場合に0(停止)にセットされる。
【0044】
ステップ205でCN≠1の場合にはステップ207以下の吸気量回転数制御は実行せずに直ちに本操作は終了する。また、CN=1であった場合には、ステップ207で機関回転数NEを読み込み、ステップ209では目標回転数NE0 とNEとの差DNEが、ステップ211では差DNEの積算値IDNE(積分値)が、更にステップ213、215では差DNEの時間変化率DDNEがそれぞれ算出される。ステップ213におけるDNEi-1 は前回操作実行時のDNEの値であり、ステップ215で次回の操作実行に備えて更新される。
【0045】
ステップ217では、上記DNE、IDNE、DDNEの値に基づいて吸気量フィードバック補正量EQの値が、
EQ=α1 ×DNE+α2 ×IDNE+α3 ×DDNE
として算出される。α1 、α2 、α3 は、それぞれ比例項係数、積分項係数、微分項係数であり、それぞれ正の一定値とされる。
【0046】
次いで、ステップ219では、上記により算出したフィードバック補正量EQの値が所定の上限値EQMAX 以下か否かが判定される。
フィードバック補正量EQの値は、機関燃焼が悪化して回転数が低くなるほど、すなわちDNEが大きな値になるほど増大する。このため、EQの値は機関燃焼状態の悪化程度を表すパラメータとして使用することができる。すなわち、EQの値がある程度以上大きくなっている場合には吸気量回転数制御では機関回転数を目標回転数にまで上昇させることが困難な程度に機関燃焼状態が悪化していると判定することができる。
【0047】
図2の操作では、フィードバック補正量EQの値が増大して予め定めた上限値EQMAX に到達した場合(ステップ219)には、燃焼状態の悪化が大きく吸気量回転数制御では燃焼の悪化を補償して機関回転数を目標回転数に制御することができないと判断する。EQMAX は機関の形式毎に異なるため、実際には実験等に基づいて設定される値である。この場合には、吸気量回転数制御を中止して点火時期回転数制御を実施することにより回転数を目標回転数に維持する切り換え操作が行われる。すなわち、ステップ219でEQ>EQMAX であった場合には、ステップ227が実行され、吸気量回転数制御実行フラグCNの値は0にセットされ、点火時期回転数制御実行フラグINの値が1にセットされる。これにより、本操作が次に実行されたときには、ステップ207以下の吸気量回転数制御は実行されず、代りに点火時期回転数制御(図3)が実行されるようになる。
【0048】
ステップ219でEQ≦EQMAX であった場合には、ステップ221では、点火時期回転数制御実行フラグINと燃料増量制御実行フラグFNの値が0にセットされ、ステップ223では機関の目標吸入空気量QT の値がQT =QCAL +EQとして算出され、ステップ225では目標吸入空気量QT が得られるようにスロットル弁開度が調節される。なお、QCAL は基本吸入空気量であり、機関回転数NEとスロットル弁開度とに基づいて予め設定された関係により定まる値である。すなわち、この場合には吸気量回転数制御が実行され、点火時期回転数制御、燃料増量制御は実施されない。
【0049】
なお、図2の例ではフィードバック補正量EQの値が上限値EQMAX に到達したときに燃焼悪化が大きいと判断して点火時期回転数制御への切り換えを行っているが、フィードバック補正量EQの代りに、例えば機関回転数NEが所定の下限値NEMIN まで低下した場合に燃焼悪化の程度が大きいと判断して点火時期回転数制御への切り換えを行うようにしても良い。
【0050】
図3は点火時期回転数制御操作を説明するフローチャートである。図3の操作はECU10により一定時間毎(若しくは機関クランク軸一定回転角毎)に実行されるルーチンにより行われる。
図3の操作では、まずステップ301で点火時期回転数制御実行フラグINの値が1にセットされているか否かを判断し、IN=1の場合にのみステップ303以下の操作を実行する。すなわち、図2の点火時期回転数制御操作は、図1の吸気量回転数制御では機関回転数を目標回転数に維持できないと判定された場合にのみ行われる。
【0051】
ステップ303からステップ313は、図2のステップ207から217と同様の操作である。すなわち本操作においても、点火時期フィードバック補正量EAの値が、目標回転数NE0 と実際の機関回転数NEとの差DNEと、DNEの積分値IDNE、変化率DDNE(微分値)を用いて、
EA=β1 ×DNE+β2 ×IDNE+β3 ×DDNE
として比例積分微分(PID)制御により決定される。β1 、β2 、β3 は、それぞれ比例項係数、積分項係数、微分項係数であり、正の一定値とされる。
【0052】
ここで、点火時期フィードバック補正量EAの値は、吸気量フィードバック補正量EQの値と同様、燃焼悪化の程度を表すパラメータとして使用できる。そこで、図2の例では、点火時期回転数制御実施中にフィードバック補正量EAの値が予め定めた上限値EAMAX に到達した場合には燃焼悪化の程度が大きく点火時期回転数制御のみでは機関回転数を目標回転数に制御できないと判断し、点火時期回転数制御に加えて燃料増量制御を実行する。
【0053】
すなわち、ステップ315ではフィードバック補正量EAが上限値EAMAX まで増大しているか否かを判定し、EA>EAMAX の場合にはステップ317で燃料増量制御実行フラグFNの値を1にセットするとともに、フィードバック補正量EAの値を上限値EAMAX で制限する。そして、ステップ321で機関点火時期AOP(各気筒の圧縮上死点までのクランク角で表す)をAOP=EACAL +EA−EACATとして算出する、そして、ステップ323では上記により算出したAOPの値を点火回路110にセットして操作を終了する。EACAL の値は、機関負荷状態(機関1回転当たりの吸入空気量と機関回転数と)に応じて予め設定された関係により定まる基本点火時期である。また、EACATは触媒暖機のための点火時期遅角量であり、機関始動操作開始後所定の時間が経過すると予め定めた値から減衰して0になるように変化する値である。
【0054】
また、ステップ315でEA≦EAMAX であった場合には、FNの値は変更せずにステップ321を実行する。
上記により、一旦フィードバック補正量が上限値EAMAX に到達すると点火時期回転数制御に加えて燃料増量制御が実行されるようになる。
図4は、燃料増量制御操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎(若しくは機関クランク軸一定回転角毎)に実行されるルーチンにより行われる。図4の操作では、燃料増量制御実行フラグFNの値が1にセットされると機関の燃料噴射量が予め定めた燃料噴射補正量ETAUだけ増量される。
【0055】
すなわち、図4ステップ401では機関の基本燃料噴射量TAUCAL が算出される。TAUCAL は、機関の空燃比を理論空燃比にするのに必要な燃料噴射量であり、機関1回転当たりの吸入空気量と機関回転数とに基づいて予め定めた関係により設定される値である。
そして、ステップ403では、燃料増量制御実行フラグFNの値が1か否かを判定し、FN≠1の場合にはステップ407に進み、機関の燃料噴射量TAUが、TAU=TAUCAL +PTAUとして算出される。PTAUは機関運転状態に応じた補正量である。すなわち、この場合には燃料増量は行われない。
【0056】
また、ステップ403でFN=1であった場合には、ステップ405に進み、機関燃料噴射量TAUが、TAU=TAUCAL +ETAU+PTAUとして算出される。すなわち機関燃料噴射量はETAUだけ増量される。これにより、機関燃焼が点火時期回転数制御のみでは回転数を制御できない程度に悪化した場合でも、機関回転数を上昇させて目標回転数に制御することが可能となる。
【0057】
図2から図4の制御により、機関燃焼状態の悪化が大きく点火時期回転数制御のみでは回転数を目標回転数に制御できない場合には、図4の燃料増量制御が行われ、回転数は目標回転数に維持されるようになる。しかし、前述したように燃料増量制御は機関燃料消費量の増大や排気性状の悪化を招くため、機関燃焼状態が改善され、点火時期回転数制御のみによっても回転数の制御が可能となった場合には直ちに燃料増量制御を停止することが好ましい。
【0058】
そこで、以下に説明する各実施形態では、燃料増量制御実施中に機関燃焼状態が改善されたか否かを判定し、燃焼状態が改善されている場合には直ちに燃料増量制御を停止して機関燃料消費量の増大と排気性状の悪化を抑制している。
以下に、本発明の燃料増量制御の停止操作のいくつかの実施形態について説明する。
(1)第1の実施形態
本実施形態では、燃料増量制御実施中に点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量EAを監視し、EAの値が所定の判定値EA0 以下に低下した場合には燃料増量制御を停止するようにしている。前述したように、点火時期フィードバック補正量EAは燃焼悪化の程度が大きいほど増大する。このため、フィードバック補正量EAが上限値EAMAX まで増大して、これ以上点火時期を進角することによっては回転数を維持できないと判断された場合には点火時期回転数制御に加えて燃料増量制御が実行される。
【0059】
燃料増量制御が実行されると、点火時期フィードバック補正量EAはある程度まで減少するが、この状態で燃料増量制御が停止されるとEAは再度上限値EAMAX まで増大してしまい、点火時期回転数制御によっては回転数を維持できなくなる。一方、燃料増量制御を実施中に機関が暖機され燃焼状態が改善されるにつれて、点火時期フィードバック補正量EAは減少して行く。この状態で燃料増量制御を停止すると点火時期フィードバック補正量EAは再度上昇するが、燃料増量制御停止前にEAがある程度まで低下していれば、燃料増量制御を停止した後もEAの値は上限値EAMAX より小さな値になり点火時期回転数制御のみで回転数を維持可能となる。本実施形態では、予め実験等により燃料増量制御を停止しても点火時期回転数制御のみで回転数を維持可能となるフィードバック補正量EAの判定値EA0 (EA0 はEAMAX より小さい値となる)を決定しておき、燃料増量制御中に点火時期フィードバック補正量EAがこの判定値EA0 まで低下した場合には燃料増量制御を停止するようにしている。これにより、燃焼状態が改善された後は、点火時期回転数制御のみにより機関回転数が目標回転数に維持されるようになり、機関燃料消費量の増大や排気性状の悪化が抑制される。
【0060】
図5は、本実施形態の燃料増量制御停止操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図5において操作がスタートすると、ステップ501では現在燃料増量制御が実施中か否かが燃料増量制御実行フラグFNの値に基づいて判定され、FN≠1の場合には、燃料増量制御は実行されていないため、本操作は直ちに終了する。また、ステップ501で現在燃料増量制御実施中である場合には、次にステップ503で点火時期フィードバック補正量EAの値に基づいて、燃料増量制御を停止すべきか否かが判定される。すなわち、ステップ503でEAが判定値EA0 以下に低下していた場合には、燃料増量制御を停止しても点火時期回転数制御のみによって機関回転数の維持が可能であるためステップ505に進み燃料増量制御実行フラグFNの値を0にセットして操作を終了する。これにより、図4ステップ403、407で燃料増量制御が停止されるとともに、次回の操作実行時からはステップ501の後直ちに操作が終了するようになる。また、ステップ503でEA>EA0 であった場合には、まだ充分に機関燃焼状態が改善されておらず燃料増量制御を停止すると点火時期回転数制御のみでは回転数を維持することが困難になるため、燃料増量制御実行フラグFNの値は1のままに維持して操作を終了する。これにより、図4の操作では燃料の増量が継続される。
(2)第2の実施形態
第1の実施形態では、点火時期フィードバック補正量EAの値が判定値EA0 以下になると直ちに燃料増量制御を停止しているが、実際には燃焼状態悪化時には回転数が一定せず変動が大きくなる場合がある。回転数が変動すると、それに応じてフィードバック補正量EAの値も増減するため、実際には燃焼状態は充分に改善されていないにもかかわらず短時間フィードバック補正量EAの値が判定値EA0 より低下してしまう場合がある。このような場合には、EAの値が判定値EA0 以下になったときに直ちに燃料増量制御を停止すると点火時期回転数制御のみでは回転数を維持できなくなるおそれがある。
【0061】
そこで、本実施形態では、フィードバック補正量EAが判定値EA0 以下に低下した場合に直ちに燃料増量制御を停止せず、EAがEA0 以下になった状態が所定の時間継続した場合にのみ燃料増量制御を停止するようにしている。これにより、本来燃料増量制御を停止すべきでない時に誤って燃料増量制御が停止される事態が防止されるようになる。
【0062】
図6は、本実施形態の燃料増量制御停止操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行される。
図6の操作では、図5の操作と同様、現在燃料増量制御が実行中か否かが判定され(ステップ601)、実行中の場合には更に、点火時期フィードバック補正量EAの値が判定値EA0 以下に低下しているか否かが判定される(ステップ603)。そして、EA≦EA0 であった場合にはステップ605に進み、カウンタCTの値を1増大させる。カウンタCTの値は、ステップ603でEA>EA0 であった場合には常にステップ611で0にリセットされているため、ステップ605におけるCTの値はステップ603においてEA≦EA0 が成立した状態が継続した時間に対応する値となる。
【0063】
ステップ607では、EA≦EA0 の状態の継続時間が所定時間CT1 に到達したか否かが判定される。そして、EA≦EA0 の状態がCT1 以上継続している場合には、機関燃焼状態は真に改善されており、燃料増量制御を停止しても回転数の維持は可能となっていると判断できるため、ステップ609で燃料増量制御実行フラグFNの値を0にセットして操作を終了する。これにより、図4では燃料増量制御が停止される。
(3)第3の実施形態
本実施形態では、燃焼改善の程度を判定するパラメータとして機関始動時からの冷却水温度上昇幅を使用する。機関始動時から冷却水温度が或る幅だけ上昇した場合には機関各部の温度も冷却水温度上昇幅に対応した温度だけ上昇している。このため、吸気ポートや気筒内温度も冷却水温度上昇幅に対応した温度だけ上昇しており、それに応じて機関の燃焼状態も改善されていると考えられる。
【0064】
そこで、本実施形態では機関始動時の冷却水温度TW0 を記憶しておき、燃料増量制御実施中に機関冷却水温度TWを監視するとともに、始動時からの冷却水温度上昇DTW(=TW−TW0 )が判定値DTW1 以上になったときに燃料増量制御を停止する。判定値DTW1 は予め始動時の冷却水温度を変えて実際に機関を運転し、燃料増量制御を停止しても点火時期回転数制御のみによって回転数が維持可能となる冷却水温度上昇幅を実測した結果に基づいて設定される。
【0065】
図7は、本実施形態の燃料増量制御停止操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図7で操作がスタートすると、ステップ701では冷却水温度センサ9で検出された機関冷却水温度TWが読み込まれる。そして、ステップ703では今回の操作実行が機関始動操作開始直後のものであるか否かが判定され、今回の操作実行が機関始動操作開始後最初に実施されていた場合には、ステップ705に進み、現在の機関冷却水温度TWを機関始動時冷却水温度TW0 として記憶する。
【0066】
現在機関始動操作開始直後でない場合には、ステップ707に進み、現在燃料増量制御が実行されているか否かが燃料増量制御実行フラグFNの値に基づいて判定される。現在燃料増量制御実行中であった場合には、次にステップ709に進み、機関始動時からの冷却水温度上昇分DTWをDTW=TW−TW0 として算出する。そして、ステップ711では冷却水温度上昇幅DTWが所定の判定値DTW1 以上になっているか否かを判定し、DTW≧DTW1 の場合のみ燃料増量制御実行フラグFNの値を0にセットする。
【0067】
これにより、図4の操作では燃料増量制御が停止され、燃料消費量の増大と排気性状の悪化とが抑制される。
なお、本実施形態では、冷却水温度上昇幅DTWのみに基づいて燃料増量制御の停止可否を判断しているが、図5と同様に点火時期フィードバック補正量EAの値が所定値EA0 以下になったか否かを判定し、EA≦EA0 とDTW≧DTW1 との2つの条件が成立した時にのみ燃料増量制御を停止するようにしても良い。
(4)第4の実施形態
本実施形態では、燃料増量制御実施中に排気通路に配置した空燃比センサ13、15に基づく空燃比フィードバック制御が開始された場合に燃料増量制御を停止する。
【0068】
本実施形態では機関始動後空燃比センサ13、15の温度がセンサの活性化温度まで上昇して空燃比センサ13、15の出力が安定すると空燃比フィードバック制御が開始される。空燃比フィードバック制御では、機関燃料噴射量は空燃比センサ13、15で検出した機関排気空燃比(機関燃焼空燃比)が所定の目標空燃比(例えば理論空燃比)になるように機関燃料噴射量がフィードバック制御される。
【0069】
空燃比フィードバック制御が開始されるのは、上述したように排気通路に配置された空燃比センサ13、15の温度が充分に上昇して活性化温度に到達したときであり、この場合には機関各部の温度もある程度上昇しているため機関の燃焼状態は改善されている。また、空燃比フィードバック制御が開始されると実際の機関燃焼空燃比が目標空燃比に一致するように燃料噴射量がフィードバック制御されるため、例えば重質燃料の使用により燃焼空燃比がリーン化して燃焼が悪化したような場合には、空燃比フィードバック制御により燃焼空燃比が目標空燃比に一致するまで燃料噴射量が増量され、燃焼状態が適正化されるため燃料増量制御を実施する必要はなくなる。このため、本実施形態では空燃比フィードバック制御が開始された場合には燃料増量制御を停止するようにしている。
【0070】
図8は、本実施形態の燃料増量制御停止操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行される。
図8において、ステップ801では、前述の各実施形態と同様に燃料増量制御実行フラグFNの値に基づいて、現在燃料増量制御を実行中か否かが判定される。現在燃料増量制御実行中の場合には、次にステップ803に進み空燃比フィードバック制御実行フラグFXの値が1(実行)に設定されているか否かが判定される。空燃比フィードバック制御実行フラグFXは、別途ECU10により実行されるルーチンにより、空燃比センサ13、15の温度が上昇してセンサ出力が安定したときに1(実行)にセットされる。また、フラグFXの値が1にセットされると、別途ECU10により実行される空燃比フィードバック制御ルーチンにより機関燃料噴射量は燃焼空燃比が目標空燃比に一致するように制御されるようになる。なお、本実施形態における空燃比フィードバック制御は、特定の形式のものに限定されるわけではなく,機関燃焼空燃比を目標空燃比に一致させるように機関燃料噴射量を制御するものであれば公知のいずれの形式の制御も使用可能である。
【0071】
本実施形態では、図8ステップ803で現在空燃比フィードバック制御実施中(FX=1)である場合にはステップ805で燃料増量制御実行フラグFNの値は0にセットされる。これにより、図4の操作では燃料増量が停止され、機関燃料消費量の増大と排気性状の悪化とが抑制されるようになる。
なお、本実施形態においても空燃比フィードバック制御が開始されたことと、点火時期フィードバック補正量EAの値が判定値EA0 以下に低下したこととの2つの条件が同時に成立した場合にのみ燃料増量制御を停止するようにしても良い。
(5)第5の実施形態
本実施形態では、機関始動時からの機関吸入空気量の積算値が所定量に到達した場合に機関燃焼状態が改善されたと判断して燃料増量制御を停止する。
【0072】
機関吸入空気量は機関で生じた燃焼、すなわち機関の熱発生量に対応している。すなわち機関始動時からの機関吸入空気量積算値が大きければ、機関始動時から機関で発生した熱量も大きくなっており、機関各部の温度もそれに応じて上昇しており、機関燃焼状態も改善されていると考えられる。そこで、本実施形態では機関始動時からの吸入空気量積算値を燃焼状態判定のためのパラメータとして使用し、積算値が所定の判定値に到達したときに燃料増量制御を停止する。
【0073】
図9は、本実施形態の燃料増量制御停止操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行される。
図9で操作がスタートすると、ステップ901では、吸気圧センサ3で検出された吸気圧力PMと機関回転数NEとに基づいて、予め定めた関係から機関吸入空気量DQ(リットル/分)が算出される。本実施形態では、予め機関吸入空気量と吸入空気量圧力PMと機関回転数NEとの関係が実験により求められており、ECU10のROMにPMとNEとを用いた二次元数値テーブルの形で格納されている。ステップ901ではこの数値テーブルに基づいてPMとNEとの値から機関吸入空気量が算出される。
【0074】
次に、ステップ903では、機関始動時からの吸入空気量の積算値ΣQが、
ΣQ=ΣQ+K×DQとして算出される。ここで、Kは図9の操作の実行間隔により定まる定数であり、K×DQは前回本操作実行時から今回本操作実行時までに機関に吸入された空気量を表している。
そして、ステップ905では、現在燃料増量制御を実行中か否かが判定され、実行中の場合にはステップ907で現在までの機関吸入空気量の積算値ΣQが所定の判定値Q1 に到達したか否かを判定する。ここで、Q1 は機関燃焼が改善されたと判定できる吸入空気量積算値であり、詳細には実験により設定される。
【0075】
ステップ907で機関始動時からの吸入空気量積算値ΣQが判定値Q1 に到達している場合には、ステップ909で燃料増量制御フラグFNの値は0にセットされる。
これにより、図4の操作では燃料増量が停止され、機関燃料消費量の増大と排気性状の悪化とが抑制される。なお、本実施形態においても、機関始動時からの吸入空気量積算値ΣQが判定値Q1 に到達したことと、点火時期フィードバック補正量EAが所定値EA0 以下になったこととの両方が成立した場合にのみ燃料増量制御を停止するようにしても良い。
(6)第6の実施形態
本実施形態では、機関始動時からの運転時間が所定の判定値に到達したときに機関燃焼状態が改善されたと判断して燃料増量制御を停止する。機関始動時からの運転時間は機関の発生した熱量に対応しており、運転時間が長くなればそれに応じて機関の発生した熱量も大きくなっているため、機関各部の温度も上昇している。そこで、本実施形態では機関始動時からの運転時間を燃焼状態のパラメータとして使用し、燃料増量制御停止の可否を判定している。
【0076】
図10は、本実施形態の燃料増量制御停止操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。図10、ステップ1001では計時カウンタCTの値が1増大される。カウンタCTの初期値は0にセットされており、本操作は機関の始動操作開始(クランキング開始)時から一定時間毎に実行される。このため、CTの値は機関始動時からの経過時間(運転時間)に対応した値となる。
【0077】
次いで、ステップ1003では現在燃料増量制御を実施中か否かが判定され、実施中であった場合にはステップ1005でカウンタCTの値が所定の判定値CT2 に到達したか否かが判定される。そして、CT≧CT2 であった場合にはステップ1007で燃料増量制御実行フラグFNの値が0にセットされる。
これにより、図4の操作では燃料増量が停止され、機関燃料消費量の増大と排気性状の悪化とが抑制される。なお、上記判定値CT2 は詳細には実際の機関を用いた実験により設定される。
(7)第7の実施形態
本実施形態では、第1の実施形態と同様に点火時期フィードバック補正量EAが所定値EA0 以下になったことを燃料増量制御停止可否の判定条件としているが、フィードバック補正量EAが判定値EA0 以下になっただけでは燃料増量制御を停止せず、更に機関の運転状態が所定の安定条件を満たしている場合にのみ燃料増量制御を停止する。
【0078】
例えば、フィードバック補正量EAが判定値EA0 以下になった場合でも、機関回転数が目標回転数より大幅に低く、しかも回転数が徐々に低下しているような場合には燃料増量制御を停止すると点火時期回転数制御のみでは回転数を制御することが困難であるか、或いは制御可能であっても実際の機関回転数を目標回転数に一致させるのに長時間を要する場合がある。
【0079】
そこで、本実施形態では、フィードバック補正量EAが判定値EA0 以下になった場合に、更に目標回転数と実際の機関回転数との差DNE、及び回転数NEの時間変化率DTNEとが所定の安定条件を満たしている場合にのみ燃料増量制御を停止するようにしている。
図11は、本実施形態の燃料増量制御停止操作を説明するフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
【0080】
図11の操作において、ステップ1101から1107では、目標回転数NE0 と現在の回転数NEとの差DNE(=NE0 −NE)と回転数NEの時間変化率DTNE(=NE−NEi- 1)が算出される。そして、ステップ1109では現在燃料増量制御実施中か否かが、またステップ1111では図3の操作で設定される点火時期フィードバック補正量EAの値が前述の判定値EA0 以下になったか否かが判定され、FN≠1またはEA>EA0 であった場合には燃料増量制御実行フラグの値は1のままに保持して操作を終了する。
【0081】
ステップ1109とステップ1111でFN=1、かつEA≦EA0 であった場合には、次にステップ1113とステップ1115で現在の機関運転状態が所定の安定条件を満たしているか否かが目標回転数と現在の回転数との差DNEと回転数の時間変化率DTNEとに基づいて判定される。
本実施形態では、DNE≦0(ステップ1113)とDTNE≧−K2 (ステップ1115)(K2 は正の定数)のいずれか一方の条件を満たしている場合には機関運転状態が安定条件を満たしていると判定される。すなわち、現在の機関回転数が目標回転数NE0 より高い場合(DNE≦0)、もしくは機関回転数の変化率があまり大きな速度で低下中でない場合(DTNE≧−K2 )には機関運転状態は安定条件を満たしていると判定され、この場合にはステップ1117で燃料増量制御実行フラグFNの値は0にセットされる。これにより、燃料増量は停止され、機関燃料消費量の増大と排気性状の悪化とが抑制される。
【0082】
一方、ステップ1113と1115でDNE>0、かつDTNE<−K2 であった場合には、現在の機関回転数は目標回転数より低く、しかも機関回転数が比較的大きな速度で低下中であることを意味しているため、点火時期フィードバック補正量EAの値が判定値より小さくなっていても燃料増量制御を停止すると点火時期回転数制御のみでは機関回転数を目標回転数に制御することが困難である可能性がある。このため、この場合には燃料増量制御実行フラグFNの値は1に維持したまま操作を終了し、燃料増量制御を継続する。これにより、燃料増量制御の停止により機関回転数が不安定になることが防止される。
(8)第8の実施形態
前述の各実施形態では、それぞれ燃料増量制御の停止可否が適切に判定されるが、図4に示した燃料増量制御操作では、燃料増量制御実行フラグFNの値が0にセットされると直ちに燃料増量が停止されるため、実際に機関に供給される燃料量は増量分ETAUだけ急激に減少し、燃料量の急変に伴って回転数が一時的に急激に変化する可能性がある。
【0083】
本実施形態では、前述の各実施形態で燃料増量制御が停止されたとき、すなわち燃料増量制御実行フラグの値が1から0に変化したときに、時間とともに徐々に燃料増量分を0まで減少するようにして急激な回転数変動が生じることを防止する。
図12は、本実施形態の燃料増量制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、図4の操作に代えてECU10により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
【0084】
図12において、ステップ1201は、基本燃料噴射量TAUCAL の算出操作を示す。ステップ1201は図4ステップ401と同一の操作である。
ステップ1203では燃料増量制御実行フラグの値が1か否かが判定される。FN=1の場合には図4の操作と同様、ステップ1205で燃料噴射量TAUは所定の増量分ETAUだけ増大される。
【0085】
また、ステップ1203でFN≠1、すなわち燃料増量制御が停止されていた場合には、次にステップ1207でフラグXの値が1か否かが判定される。フラグXは別途ECU10により実行されるルーチンにより、燃料増量制御実行フラグFNの値が1にセットされたときに1にセットされるフラグである。すなわち、フラグXの値は機関始動後に燃料増量制御が実行されたか否かを表している。ステップ1207でX≠1、すなわち過去に燃料増量制御が実行されていない場合には、ステップ1209が実行され、図4ステップ407と同様、燃料噴射量TAUは、TAU=TAUCAL +PTAUとして設定される。
【0086】
一方、ステップ1207でX=1であった場合、すなわち過去に燃料増量制御が実行され、その後燃料増量制御が停止されていた場合には、次にステップ1211では、燃料増量分ETAUが所定量ΔETAUだけ減量される。これにより燃料増量制御停止後、燃料増量分は操作実行毎にΔETAUずつ徐々に低減される。また、ステップ1211でETAUを低減した結果、ETAUの値が負になった場合にはステップ1205に代えてステップ1209が実行される。これにより、燃料増量制御停止後、ETAUは0になるまで徐々に減少するようになり、燃料増量制御停止に伴う回転数の急変が防止される。
(9)第9の実施形態
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図4または図12の燃料増量制御では燃料増量制御実施時には燃料増量分ETAUの値は点火時期フィードバック補正量とは無関係に設定されていた。しかし、前述したように点火時期フィードバック補正量EAの値は、燃焼状態の悪化程度に対応しており、燃焼状態の悪化程度が少ない場合(フィードバック補正量EAの値が小さい場合)にはそれに応じて燃料増量分を小さく設定しても、回転数を目標回転数に制御することが可能なはずである。そこで、本実施形態では燃料増量制御実施時には点火時期フィードバック補正量のEAの値に応じて燃料増量制御における燃料増量分の値を変化させるようにしている。これにより、燃料増量制御における燃料の増量は必要最小限に抑制されるようになり、機関燃料消費量の増大と排気性状の悪化とが最小限に抑制される。
【0087】
図13は、図4または図12に代えて実行される本実施形態の燃料増量制御操作を表すフローチャートである。本操作はECU10により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
本操作では、燃料増量制御実施時における燃料噴射量TAUは、
TAU=TAUCAL ×(1+RTAU)+PTAU
として算出される。すなわち、TAUCAL ×RTAUが図4、図12の燃料増量制御における燃料増量分ETAUに相当する。また、RTAUの値は点火時期フィードバック補正量EAの値に応じて設定される。
【0088】
図13において操作がスタートすると、ステップ1301では基本燃料噴射量TAUCAL の算出が行われ、ステップ1303では燃料増量制御実行フラグFNの値が1か否かが判定される。また、FN≠1の場合にはステップ1309で燃料噴射量TAUの値はTAU=TAUCAL +PTAUとして設定される。ステップ1301、1303及びステップ1309は図4ステップ401、403及び407と同一の操作である。
【0089】
一方、ステップ1403でFN=1であった場合、すなわち燃料増量を実施する場合には、本実施形態ではステップ1305に進み、点火時期フィードバック補正量EAの値に基づいてRTAUの値が設定される。
図14は、本実施形態におけるRTAUの値の設定を示す図である。本実施形態では、点火時期フィードバック補正量EAの値が正の所定値EA1 以下の場合にはRTAUの値は0に設定され、第2の所定値EA2 (EA2 >EA 1)より大きい場合には一定値RTAU 1(RTAU1 >0)に設定される。また、EAの値がEA1 ≦EA≦EA2 の領域では、RTAUの値はEAの増大とともに0からRTAU1 まで直線的に増大するように設定される。
【0090】
そして、ステップ1307では、上記により設定したRTAUの値を用いて燃料噴射量TAUが、TAU=TAUCAL ×(1+RTAU)+PTAUとして設定される。
これにより、本実施形態では燃料増量制御実施時に燃焼悪化の程度に応じて燃料増量分(TAUCAL ×RTAU)が設定されるようになり、燃料増量量が必要最小限に抑制されるようになる。
【0091】
また、例えば図14のEA1 の値を、第1の実施形態において燃料増量制御を停止する点火時期フィードバック補正量の判定値EA0 に等しく設定すれば、RTAUの値はEAの低下とともに徐々に減少し、EA=EA0 となったときに0になるため、燃料増量制御が停止されるときの燃料噴射量の変動がなくなり、燃料増量制御停止に伴う回転数の変動を防止することが可能となる。
【0092】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、機関アイドル運転中に機関の燃焼が悪化した場合に燃料増量を実施する場合に、機関の燃焼が安定したことを適切に判断して燃料増量を停止することができるため、機関燃料消費量の増大と機関排気性状の悪化とを最小限に抑制することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。
【図2】アイドル回転数制御操作を説明するフローチャートである。
【図3】アイドル回転数制御操作を説明するフローチャートである。
【図4】燃料増量制御操作を説明するフローチャートである。
【図5】燃料増量制御停止操作の一実施形態を説明するフローチャートである。
【図6】燃料増量制御停止操作の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図7】燃料増量制御停止操作の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図8】燃料増量制御停止操作の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図9】燃料増量制御停止操作の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図10】燃料増量制御停止操作の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図11】燃料増量制御停止操作の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図12】燃料増量制御操作の図4とは異なる実施形態を説明するフローチャートである。
【図13】燃料増量制御操作の図4、図12とは異なる実施形態を説明するフローチャートである。
【図14】図13の操作に用いる変数の設定を示す図である。
【符号の説明】
1…内燃機関本体
5、6…クランク角センサ
10…電子制御ユニット(ECU)
16…電子制御スロットル弁
110…点火回路

Claims (7)

  1. 機関アイドル運転中に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御し、
    前記吸気量回転数制御実施中に吸気量回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関回転数を目標回転数に制御し、
    更に前記点火時期回転数制御実施中に、点火時期回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には、点火時期回転数制御に加えて機関に供給する燃料量を増量することにより機関回転数を目標回転数に制御する燃料増量制御を行う、内燃機関の制御装置において、
    更に、前記燃料増量制御実施中に前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下になったときには前記燃料増量制御を停止する、内燃機関の制御装置。
  2. 更に、前記点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下になった状態が予め定めた所定時間継続するまで前記燃料増量制御を継続し、前記所定時間継続後に前記燃料増量制御を停止する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. に、機関冷却水温度を検出するとともに、前記燃料増量制御実施中に、前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下であり、かつ機関始動時からの冷却水温度の上昇幅が予め定めた所定値以上になったときに前記燃料増量制御を停止する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 更に、予め定めた空燃比フィードバック制御条件が成立したときに、機関排気通路に配置された空燃比センサ出力に基づいて機関空燃比をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を開始するとともに、前記燃料増量制御実施中に、前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下であり、かつ前記空燃比フィードバック制御が開始されたときに前記燃料増量制御を停止する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 機関アイドル運転中に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御し、
    前記吸気量回転数制御実施中に吸気量回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関回転数を目標回転数に制御し、
    更に前記点火時期回転数制御実施中に、点火時期回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には、点火時期回転数制御に加えて機関に供給する燃料量を増量することにより機関回転数を目標回転数に制御する燃料増量制御を行う、内燃機関の制御装置において、
    更に、機関始動後の機関吸入空気量の積算値を算出するとともに、前記燃料増量制御実施中に、前記機関始動後の吸入空気量積算値が予め定めた所定値に到達したときには前記燃料増量制御を停止する、内燃機関の制御装置。
  6. 機関アイドル運転中に、機関回転数に応じて機関吸入空気量をフィードバック制御する吸気量回転数制御により機関回転数を予め定めた目標回転数に制御し、
    前記吸気量回転数制御実施中に吸気量回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には吸気量回転数制御から、機関回転数に応じて機関点火時期をフィードバック制御することにより機関回転数を目標回転数に制御する点火時期回転数制御に切り換えて機関回転数を目標回転数に制御し、
    更に前記点火時期回転数制御実施中に、点火時期回転数制御によっては機関回転数を目標回転数に制御できないと判断される場合には、点火時期回転数制御に加えて機関に供給する燃料量を増量することにより機関回転数を目標回転数に制御する燃料増量制御を行う、内燃機関の制御装置において、
    更に、前記燃料増量制御実施中に、前記点火時期回転数制御における点火時期フィードバック補正量が予め定めた所定値以下であり、かつ前記目標回転数と現在の機関回転数との差及び現在の機関回転数の変化率とが予め定めた安定条件を満足する場合には前記燃料増量制御を停止する、内燃機関の制御装置。
  7. 前記燃料増量制御を停止する際には、燃料増量分を時間とともに、徐々にゼロまで減少させる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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