JP4144593B2 - 可変動弁装置 - Google Patents

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Description

この発明は、可変動弁装置に係り、特に、弁体の開弁特性を機械的に変更可能な内燃機関の可変動弁装置に関する。
従来、例えば特許3245492号公報には、弁体の作用角およびリフト量を変更する可変動弁装置を、各気筒に備える内燃機関が開示されている。この可変動弁装置は、弁体を開閉駆動するスイングレバー(ロッカーアーム)と、カム軸に固定されたカムの回転と同期して揺動し、カムの押圧力をスイングレバーに伝達するロッカーレバーを備えている。そして、この装置は、偏心軸(制御軸)の回転位置に応じてロッカーレバーの揺動範囲を変更できるように構成されている。このため、上記従来の可変動弁装置によれば、偏心軸の回転位置に応じて、弁体の作用角およびリフト量を連続的に変更することができる。また、上記従来の装置において、偏心軸とカム軸は、シリンダヘッドに回転可能に保持されている。
特許第3245492号
上述した従来の可変動弁装置において、内燃機関が発する熱によりシリンダヘッドが熱膨脹すると、制御軸(偏心軸)とカム軸との軸間距離が変化する。その結果、ロッカーレバーの姿勢が変化してしまう。つまり、上記従来の可変動弁装置において、シリンダヘッドの熱膨脹が生ずると、上記軸間距離の変化に伴い、弁体の作用角およびリフト量に意図しない変化が生じてしまう。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、内燃機関が発する熱による温度変化に伴う軸間距離の変化によって、弁体の作用角およびまたはリフト量が変化するのを抑制し得る可変動弁装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、カム軸の回転に対する弁体の作用角およびまたはリフト量を機械的に変化させる可変動弁装置であって、
アクチュエータにより駆動され、その軸中心と同心の第1のはすば歯車が設けられ、所定の制御軸軸方向拘束位置において拘束部材により軸方向の移動が拘束される制御軸と、
カムと弁体との間に介在し、前記カムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動部材と、
前記制御軸とは別の支持軸により回転可能に支持され、当該支持軸の軸中心と同心であって前記第1のはすば歯車と対となる第2のはすば歯車が設けられ、前記第1のはすば歯車および前記第2のはすば歯車を介して前記制御軸の移動に伴って回転することで、前記カムの回転に対する前記揺動部材の揺動動作を変化させる可変機構とを備え、
前記第1のはすば歯車および前記第2のはすば歯車のねじれ角の向きが、温度変化に伴う前記第1のはすば歯車と第2のはすば歯車とのはすば相対位置変化によって、前記制御軸と前記支持軸との相対的な軸間距離の変化に伴う弁体の作用角およびまたはリフト量の変化を打ち消す方向の回転角度変化を前記可変機構に生じさせるように設定されていることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記可変機構は、前記制御軸と異なる線膨張係数を有する前記拘束部材によって、前記支持軸の軸方向に対する位置が拘束されていることを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、前記制御軸軸方向拘束位置からの距離に応じて、気筒間または弁体間で前記ねじれ角を異ならせていることを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、前記制御軸軸方向拘束位置からの距離が長くなるほど、前記ねじれ角が小さな角度に設定されていることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1の発明において、前記可変機構は、前記支持軸との間で前記支持軸の軸方向に対する位置が拘束されており、
前記支持軸は、前記軸方向拘束位置の近傍で軸方向位置が拘束されており、
前記制御軸と前記支持軸とが同一系統の材質で構成されており、
前記制御軸上における前記制御軸軸方向拘束位置と当該制御軸軸方向拘束位置に隣接する気筒との間の部位に、或いは、前記支持軸上における前記支持軸の軸方向拘束位置と当該軸方向拘束位置に隣接する気筒との間の部位に、前記制御軸および前記支持軸と異なる線膨張係数を有する調整部材を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第5の発明において、前記制御軸軸方向拘束位置からの距離に応じて、気筒間または弁体間で前記ねじれ角を異ならせていることを特徴とする。
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れかにおいて、前記ねじれ角の設定は、更に、前記はすば相対位置変化に伴う前記可変機構の回転角度変化量を、前記軸間距離の変化に伴う弁体の作用角およびまたはリフト量の変化量と一致させるように設定されたものであることを特徴とする。
第1の発明によれば、制御軸と可変機構の支持軸との間がはすば歯車で連結されていることにより、第1のはすば歯車と第2のはすば歯車との間で生じたはすば相対位置変化に応じた量の回転角度変化を可変機構に生じさせることができる。また、本発明のはすば歯車のねじれ角の設定によれば、上記はすば相対位置変化によって、軸間距離の変化に伴う弁体の作用角およびまたはリフト量の変化を打ち消す方向の回転角度変化を可変機構に生じさせることができる。このため、本発明によれば、内燃機関が発する熱による温度変化に伴う軸間距離の変化によって、弁体の作用角およびまたはリフト量が変化するのを抑制することができる。
第2の発明によれば、制御軸に設けられた第1のはすば歯車と支持軸に支持された第2のはすば歯車との間に、温度変化に伴うはすば相対位置変化を生じさせることができる。
第3の発明によれば、気筒間または弁体間で異なるはすば相対位置変化が生ずることがあっても、制御軸軸方向拘束位置からの距離に応じて、軸間距離の変化に伴う弁体の作用角およびまたはリフト量の変化を打ち消すための適切な回転角度変化を、各気筒または各弁体に対応する可変機構に与えることができる。
第4の発明によれば、制御軸軸方向拘束位置からの距離が長い気筒ほどはすば相対位置変化量が大きくなることがあっても、各気筒または各弁体に対応する可変機構に対して同等の回転角度変化を与えることができる。
第5の発明によれば、制御軸、或いは支持軸における調整部位が配置された部位以外の部位では、制御軸とカム軸に対して、温度変化に伴って同量の軸方向寸法の変化を生じさせることができる。そして、本発明によれば、制御軸、或いは支持軸上に配置された調整部材により、制御軸と支持軸との間に異なる軸方向寸法変化、すなわち、はすば相対位置変化を生じさせることができる。
第6の発明によれば、気筒間または弁体間で異なるはすば相対位置変化が生ずることがあっても、制御軸軸方向拘束位置からの距離に応じて、軸間距離の変化に伴う弁体の作用角およびまたはリフト量の変化を打ち消すための適切な回転角度変化を、各気筒または各弁体に対応する可変機構に与えることができる。
第7の発明によれば、軸間距離の変化に伴って生じる弁体の作用角およびまたはリフト量の変化を、はすば相対位置変化に伴って生ずる可変機構の回転角度変化によって相殺することができる。このため、本発明によれば、温度変化に伴う軸間距離の変化によって、弁体の作用角およびまたはリフト量が変化するのを確実かつ精度良く抑制することができる。
実施の形態1.
[可変動弁装置の構成]
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の実施の形態1の可変動弁装置10の構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の可変動弁装置10の構成を示す側面図である。より具体的には、図1は、後述するカム28が設けられた位置で可変動弁装置10を切断した断面図である。図1に示す可変動弁装置10は、内燃機関の弁体を駆動するための装置である。ここでは、内燃機関の個々の気筒に2つの吸気弁と2つの排気弁とが備わっているものとする。そして、図1に示す構成は、単一の気筒に配設された2つの吸気弁、或いは2つの排気弁を駆動する装置として機能するものとする。
図1に示す構成は、吸気弁または排気弁として機能する2つの弁体12を備えている。弁体12には、それぞれ弁軸14が固定されている。弁軸14の端部は、ロッカーアーム16の一端に設けられたピボットに接している。弁軸14には、図示しないバルブスプリングの付勢力が作用しており、ロッカーアーム16は、その付勢力を受けた弁軸14により上方に付勢されている。ロッカーアーム16の他端は、ラッシュアジャスタ18により回動可能に支持されている。ロッカーアーム16の中央部には、ロッカーローラ20が配設されている。また、ロッカーローラ20の上部には、揺動カムアーム(揺動部材)22が配置されている。揺動カムアーム22に対するロッカーローラ20の位置は、ロッカーアーム16が弁軸14を介してバルブスプリングの付勢力を受け、更に、ロッカーアーム16がラッシュアジャスタ18から押し上げ力を受けることによって特定される。
揺動カムアーム22は、制御軸24により回転可能であって、制御軸24の軸方向には移動可能に保持されている。揺動カムアーム22には、ロッカーローラ20と接する面として、揺動カム面26が形成されている。揺動カム面26は、揺動カムアーム22の回転中心、すなわち、制御軸24の軸中心からの距離が一定となるように形成された非作用面26aと、非作用面26aから離れた位置ほど制御軸24の軸中心からの距離が遠くなるように形成された作用面26bとで構成されている。
また、揺動カム面26の反対側には、カム28が固定されたカム軸(支持軸)30と対向するように、スライド面32が形成されている。スライド面32は、揺動カムアーム22が後述する中間ローラ48と接するための面であり、その中間ローラ48が揺動カムアーム22の先端側から制御軸24の軸中心側に向かって移動するほど、図1に示す方向におけるカム28との間隔が徐々に狭まるような曲面で形成されている。
制御軸24は、カム軸30に平行となるように、後述する図3に示すシリンダヘッドの軸受け部66に回転可能に取り付けられている。制御軸24の外周面には、制御軸24と同心の第1のはすば歯車34が設けられている。第1のはすば歯車34の外径は、制御軸24の外径より小さくなるように形成されている。そして、制御軸24には、後述する図3に示すアクチュエータ64(例えばモータ)が接続されており、内燃機関のECUは、アクチュエータ64を制御することによって制御軸24の回転角度を任意の角度に調整することができる。尚、第1のはすば歯車34は、制御軸24と一体に形成されるものに限らず、制御軸24に固定されるものであってもよい。
カム軸30の回転方向は、図1における右回り方向とされている。より具体的には、カム軸30の回転方向は、上述したスライド面32が狭まる方向と一致するように構成されている。カム軸30は、後述する図3に示すシリンダヘッドの軸受け部68に回転可能に取り付けられている。また、カム軸30には、可変機構36が回転可能に取り付けられている。可変機構36は、制御アーム38、制御アーム38に回動可能に保持された揺動ローラアーム40、および一対のキャップ42により構成されている。
制御アーム38には、第1のはすば歯車34と対となる第2のはすば歯車44が形成されている。第2のはすば歯車44は、制御アーム38の回転中心、すなわち、カム軸30と同心の円弧に沿って扇状に形成されている。第2のはすば歯車44は、第1のはすば歯車34より大径とされている。そして、制御アーム38は、その第2のはすば歯車44が第1のはすば歯車34と対向するように、そのカム軸30上の位置およびカム軸30に対する回転位相を調整されている。第2のはすば歯車44は、第1のはすば歯車34と噛み合わされ、制御軸24のトルクが第1のはすば歯車34および第2のはすば歯車44を介して、制御アーム38に入力されるように構成されている。つまり、第1のはすば歯車34と第2のはすば歯車44とにより、制御アーム38の回転を制御軸24の回転に同期させる機構が実現されている。
また、制御アーム38には、制御アーム38の回転中心、すなわち、カム軸30の軸中心から径方向に突出した位置に、揺動支点46が設けられている。揺動支点46には、上述した揺動ローラアーム40が回動可能に保持されている。揺動ローラアーム40は、中間ローラ48と、その中間ローラ48の両端部を保持する2つの側壁50とにより構成されている。尚、図1においては、説明の便宜上、中間ローラ48の両端に配置される2つの側壁50の一方を図示している。
中間ローラ48は、カム28と当接するカムローラ52と、このカムローラ52と同軸上に配置され、スライド面32と当接するスライドローラ54と、これらのローラ52、54の中心軸であるローラ軸56とを備えている。これらのローラ52、54は、2つの側壁50により保持されたローラ軸56を中心軸として自由に回動することができる。より具体的には、スライドローラ54は、カムローラ52の両側に、各々のスライド面32に対応して設けられている。
可変動弁装置10は、ロストモーションスプリング58を備えている。ロストモーションスプリング58は、圧縮バネであり、その一端が図示しないシリンダヘッド等の静止した部材に固定されている。揺動カムアーム22には、ロストモーションスプリング58を掛けるためのバネ座60が設けられている。バネ座60は、揺動カムアーム22の延伸方向と逆方向に延びるように、非作用面26aの後方に設けられている。揺動カムアーム22は、ロストモーションスプリング58からバネ座60に作用するバネ力によって、スライド面32側に回転するように付勢されている。このロストモーションスプリング58の付勢力は、スライド面32が中間ローラ48を付勢し、中間ローラ48をカム28に押し当てる力として作用する。その結果、可変動弁装置10は、カム28と揺動カムアーム22とが中間ローラ48を介して機械的に連結された状態に維持されている。
図2は、図1に示す可変動弁装置10の主要部の分解斜視図である。図2に示すように、上述した第1のはすば歯車34は右ネジの螺旋状に形成されており、上述した第2のはすば歯車44は左ネジの螺旋状に形成されている。また、上述した制御アーム38には、その内部に、カム28を収納するための溝62が形成されている。溝62は、そのカム軸30方向の幅寸法がカム28の幅寸法に対して大きくなるように形成されている。制御軸24には、揺動カムアーム22が挿入される。制御アーム38は、その溝62とカム28との位置合わせがされた状態で、カム軸30を介して一対のキャップ42と重ね合わされ、制御アーム38と一対のキャップ42とが図示しないボルトによって固定される。そして、制御軸24の回転位置に対する制御アーム38の回転角度が所定の角度となるように、第1のはすば歯車34および第2のはすば歯車44とが噛み合わされる。
図3は、図1に示す可変動弁装置10が内燃機関に搭載された状態を示す概略構成図である。尚、図3においては、アクチュエータ64に最も近接する気筒に配置された可変動弁装置10のみを示している。図3に示すように、制御軸24の一端には、アクチュエータ64が接続されている。アクチュエータ64は、シリンダヘッドに固定されている。制御軸24は、シリンダヘッドの軸受け部66に回転可能に保持されており、カム軸30は、シリンダヘッドの軸受け部68に回転可能に保持されている。また、制御アーム38(可変機構36)の両側には、軸受け部68が当接して配置されている。つまり、制御アーム38は、カム軸30に対しては、回転可能であって所定の範囲(上記溝62とカム28とのクリアランス分の範囲)を軸方向に移動可能となるようにカム軸30により保持されていると共に、軸受け部68によりカム軸30の軸方向位置を拘束されている。また、本実施形態の可変動弁装置10では、第1のはすば歯車34が形成された制御軸24、第2のはすば歯車44が形成された制御アーム38、およびカム軸30は、それぞれ、アルミ製であるシリンダヘッドと異なる材質、より具体的には、鉄系の材質で構成されている。
[可変動弁装置の動作]
次に、図4および図5を参照して、本実施形態の可変動弁装置10の動作を説明する。
図4は、可変動弁装置10が弁体12に対して小さなリフトを与えるように動作している様子を示している。図5は、可変動弁装置10が弁体12に対して大きなリフトを与えるように動作している様子を示している。より具体的には、図4(A)および図5(A)は、リフト動作の過程で弁体12が閉弁している様子を、また、図4(B)および図5(B)はリフト動作の過程で弁体12が開弁している様子を、それぞれ表している。
(1)可変動弁装置のリフト動作
先ず、図4を参照して、可変動弁装置10のリフト動作について説明する。
図4(A)に示す状態は、カム28の押圧力が中間ローラ48に作用しておらず、揺動カム面26とロッカーローラ20との接触位置P1が、ロストモーションスプリング58(図1参照)の付勢力によって、非作用面26a上の所定位置に維持されている状態を示している。本実施形態の可変動弁装置10では、接触位置P1が非作用面26aに位置しているときに、弁体12が閉弁状態となるように各構成要素の位置関係が設定されている。
上記の状態において、カム28の回転に伴ってカムノーズが中間ローラ48を押圧すると、その力はスライド面32に伝達される。制御アーム38は、カム軸30に回転可能に保持され、かつ、第2のはすば歯車44および第1のはすば歯車34(図1参照)を介して制御軸24に回転が拘束されている。つまり、制御アーム38は、カム28の回転に関係なく一定の姿勢で静止している。中間ローラ48は、その静止している制御アーム38の揺動支点46を中心に回転し、スライド面32上を転動する。カム28の押圧力が中間ローラ48を介してスライド面32に伝達されると、揺動カムアーム22には、制御軸24を中心とする図4(B)における右回り方向の回転が生ずる。この際、揺動カム面26とロッカーローラ20との接触位置P1が非作用面26aである間は、ロッカーアーム16にカム28の押圧力が伝達されることはないが、揺動カムアーム22が更に回転することにより、接触位置P1が作用面26bにまで及ぶと、ロッカーアーム16が押し下げられ、弁体12に開弁方向の動きが与えられる。
図4(B)に示す状態は、カムノーズの頂部が中間ローラ48を押圧した状態を示している。ロッカーアーム16の押し下げ量は、この状態において最大となり、接触位置P1は、揺動カムアーム22の最も先端側に位置することとなる。一方、与えられたカム28の押圧力が減少に転ずると、揺動カムアーム22がそれまでとは反対方向に回転することとなる。その結果、接触位置P1が作用面26bから非作用面26aに向かって変化することで、ロッカーアーム16が押し戻され、その後、弁体12が閉弁することとなる。可変動弁装置10は、以上説明したように、カム28の押圧力を、中間ローラ48を介してスライド面32に伝達することで弁体12に対してリフトを与えることができる。
(2)可変動弁装置の作用角およびリフト量の変更動作
図5(A)に示す状態は、図4(A)に示す状態に比して、制御軸24を図5(A)における左回り方向により大きく回転させた状態を示している。制御軸24を図5(A)における左回り方向に回転させると、制御アーム38は、第1のはすば歯車34および第2のはすば歯車44を介して図5(A)における右回り方向に回転し、揺動支点46に支持された中間ローラ48は、スライド面32およびカム28との接触を維持しながら制御軸24に近づく方向に、言い換えれば、カム軸30の回転方向に移動する。
中間ローラ48が制御軸24に近づく方向に移動すると、揺動カムアーム22の揺動中心(制御軸24の軸中心)から中間ローラ48とスライド面32との接触位置P2までの距離が短くなる。カム28の押圧力によって中間ローラ48を介してスライド面32に変位が与えられた場合に、上記の距離が短くなるほど、揺動カムアーム22の揺動角度幅が大きくなる。揺動カムアーム22の揺動角度幅が大きくなると、初期接触位置P1i(カム28の押圧力が作用していない状態における接触位置P1)が同一であるとした場合に、最終接触位置P1f(カムノーズの頂部が中間ローラ48と接触した状態における接触位置P1)が揺動カムアーム22の先端側までより大きく移動することとなる。
また、中間ローラ48が制御軸24に近づく方向に移動すると、図5(A)に示すように、揺動カムアーム22は、揺動カム面26とロッカーローラ20との初期接触位置P1iがより作用面26bに近づく方向に回転する。初期接触位置P1iが作用面26bにより近い位置にあると、揺動カムアーム22の揺動角度幅が同一であるとした場合に、最終接触位置P1fが揺動カムアーム22の先端側までより大きく移動することとなる。
既述した通り、本実施形態の揺動カムアーム22の作用面26bは、非作用面26aから離れた位置ほど制御軸24の軸中心からの距離が遠くなるように形成されている。このため、最終接触位置P1fが揺動カムアーム22の先端側までより大きく移動することで、図5(B)に示すように、弁体12の押し下げ量、およびその押し下げ期間、すなわち、弁体12のリフト量および作用角が増大する。このように、本実施形態の可変動弁装置10によれば、制御軸24を回転駆動して制御アーム38の回転角度を変更することで、揺動カムアーム22の揺動動作が変更され、その結果として、弁体12の作用角およびリフト量を連続的に変更することができる。
また、中間ローラ48が制御軸24により近い位置とされるほど、クランク角度を基準にした場合における、カム28が中間ローラ48を押圧し始めるタイミング(すなわち、揺動カムアーム22の揺動タイミング)が遅れることになる。この現象は、弁体12の開弁タイミングを遅角させる要因となる。一方、既述した通り、中間ローラ48が制御軸24により近い位置とされるほど、初期接触位置P1iは、作用面26bにより近づくことになる。この現象は、上記の現象とは逆に、弁体12の開弁タイミングを進角させる要因となる。このため、本実施形態の可変動弁装置10によれば、上記の2つの要因を考慮して、各構成要素の形状や位置関係を決定することにより、開弁タイミングを一定としつつ、弁体12の作用角およびリフト量を連続的に変更することが可能となる。
[本実施形態の可変動弁装置の特徴部分]
本実施形態の可変動弁装置10は、第1のはすば歯車34および第2のはすば歯車44のねじれ角θの設定に特徴を有している。以下、上記図3を参照して、そのねじれ角θの設定について具体的に説明する。
内燃機関が発する熱によって、可変動弁装置10およびそれを支持するシリンダヘッドに温度変化が生ずると、制御軸24とカム軸30との軸間距離L1(図1参照)が変化する。より具体的には、アルミで作られたシリンダヘッドは、鉄で作られた制御軸24、カム軸30、および制御アーム38などに比して線膨張係数Cが大きいため、温度上昇に伴って制御軸24等に比して大きな量の熱膨張を示す。従って、これらの部材の温度が高くなると、軸間距離L1は長くなる。
本実施形態の可変動弁装置10においては、熱膨張により軸間距離L1が長くなると、第1のはすば歯車34と第2のはすば歯車44との間でバックラッシュが大きくなる。揺動カムアーム22は、ロストモーションスプリング58の付勢力を受けている。このため、バックラッシュが大きくなると、制御アーム38(可変機構36)が図1における左回り方向に回転する、すなわち、中間ローラ48は、制御軸24から離れる方向に移動する。つまり、軸間距離L1が長くなると、弁体12の作用角およびリフト量が小さくなるという現象が生ずる。また、軸間距離L1が長くなることは、中間ローラ48の揺動支点46の位置が、揺動カムアーム22の回転中心である制御軸24の軸中心から離れていくことを意味する。本実施形態の構成の場合は、そのような揺動支点46の位置変化が生ずることによっても、弁体12の作用角およびリフト量が小さくなるという現象が生ずる。
更に、本実施形態の構成では、上記の熱膨脹が生ずると、軸間距離L1の変化だけではなく、第1のはすば歯車34と第2のはすば歯車44との間に、制御軸24の軸方向に相対位置変化(以下、単に、「はすば相対位置変化」と称する)が生ずる。具体的には、同一系統(鉄)の材質で構成された制御軸24とカム軸30とは、熱膨脹に伴って同様の寸法変化を示す。制御軸24およびカム軸30は、それぞれの軸受け部66、68との関係においては、軸方向の拘束を受けていないからである。ところが、上記の如く、第2のはすば歯車44が形成された制御アーム38は、カム軸30に対してはその軸方向位置を拘束されていないが、その両側を制御軸24と異なる線膨脹係数Cを有するシリンダヘッドの軸受け部68により軸方向位置を拘束されている。そして、制御軸24は、アクチュエータ64を介して、制御アーム38の軸方向位置を拘束する部材であるシリンダヘッドにより軸方向位置が拘束されている。このため、制御軸24(鉄)に形成された第1のはすば歯車34と、軸受け部68(アルミ)により位置が拘束された第2のはすば歯車44との間には、上記の通り、熱膨脹に伴ってはすば相対位置変化が生ずることとなる。
より詳細に説明すると、上記の熱膨脹が生ずると、アルミの線膨張係数は鉄のそれに比して大きいため、図3に示すアクチュエータ64と第1のはすば歯車34中心との寸法Bに対して、アクチュエータ64と第2のはすば歯車44中心との寸法Aが大きくなるように、はすば相対位置変化が生ずる。
これらのはすば歯車34、44は、所定のねじれ角θ(図3参照)を有しているため、これらのはすば歯車34、44間に生じたはすば相対位置変化は、両者の間の相対的な回転角度の変化に変換される。制御軸24は、アクチュエータ64によって、その軸方向位置および回転位置が固定されている。このため、これらのはすば歯車34、44間にはすば相対位置変化が生ずると、制御軸24が回転することはなく、制御アーム38(可変機構36)に回転角度変化が生じ、その結果として、弁体12の作用角およびリフト量が変化するという現象が生ずる。
従って、はすば相対位置変化に伴って、軸間距離L1の変化に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を打ち消す方向の回転角度変化を、制御アーム38に生じさせることができれば、軸間距離L1の変化に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を抑制することが可能となる。
そこで、本実施形態では、上記の回転角度変化を制御アーム38に生じさせることができるように、ねじれ角θの向きを決定している。具体的には、上記の如く、第1のはすば歯車34を右ネジの螺旋状に形成すると共に、第2のはすば歯車44を左ネジの螺旋状に形成している。このような構成によれば、はすば歯車34、44間に上述したA>Bとなる相対位置変化が生じた場合に、制御アーム38が図1における右回り方向に回転することとなり、はすば相対位置変化に伴う制御アーム38の回転角度変化を、軸間距離L1に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を打ち消すように生じさせることができる。
また、本実施形態の可変動弁装置10では、所定の温度域において、はすば相対位置変化に伴う回転角度変化量を、軸間距離L1の変化に伴う制御アーム38の回転角度変化量と一致させるべく、次のような手順に基づき、はすば歯車34、44のねじれ角θを決定することとしている。以下、その手順を具体的に説明する。尚、ここでは、図1および図3を参照して、熱膨張時に上述したA>Bとなる相対位置変化が生ずる構成を例にとって説明するものとする。
先ず、軸間距離L1の変化量を算出する。軸間距離L1の変化量は、可変動弁装置10の各構成要素の材質(線膨張係数C)、各構成要素間の寸法等が判明していれば、可変動弁装置10の温度によって定まる値である。そして、その軸間距離L1の変化量が判れば、はすば歯車の形状等に基づき、軸間距離L1の変化に伴うバックラッシュの変化量も算出でき、更に、そのバックラッシュの変化量に応じた制御アーム38の回転角度変化量を算出することができる。また、軸間距離L1の変化量が判れば、揺動支点46の位置の変化に伴う中間ローラ48の位置の変化量を算出することができる。その結果として、軸間距離L1の変化に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化量を算出することができる。
次に、はすば相対位置変化量を算出する。はすば相対位置変化量についても、軸間距離L1の算出の場合と同様に、各構成要素の材質(線膨張係数C)、各構成要素間の寸法等が判明していれば、可変動弁装置10の温度によって定まる値である。そして、その算出されたはすば相対位置変化量によって、軸間距離L1に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を打ち消す方向であって、当該変化に相当する量の回転角度変化量を生じさせることができるように、ねじれ角θを決定する。
更に、本実施形態では、気筒間に生ずる上記はすば相対位置変化のばらつきを考慮して、ねじれ角θを設定することとしている。以下、図6を参照して、具体的に説明する。
図6は、熱膨脹が生じた際に、内燃機関の各気筒に生ずる寸法変化量ΔLを説明するための図である。尚、図6中に付した「#1」から「#4」は、それぞれ、内燃機関の第1気筒から第4気筒を表している。また、「L#1〜#4」、「ΔL#1〜#4」は、それぞれ、L#1〜L#4の合計和、ΔL#1〜ΔL#4の合計和を示すものとする。
図6に示すように、熱膨脹が生ずると、各気筒の寸法L#1〜L#4は、それぞれ、熱膨脹に伴う変化量ΔL#1〜L#4分だけ長くなる。その結果、制御軸24の軸方向拘束位置であるアクチュエータ64の取り付け位置を基準とすると、アクチュエータ64からの距離が長い気筒ほど、その気筒より当該距離が短い気筒に生じた熱膨脹に伴う寸法変化量ΔLが加算されていくため、アクチュエータ64の取り付け位置に対する寸法Ltotalは、当該距離が長い気筒ほど大きくなる。図6は、制御軸24側の構成を示しているが、シリンダヘッドにより軸方向位置が拘束されたカム軸30側の構成についても同様のことが言える。従って、これらの制御軸24側およびカム軸30側の寸法変化の差に起因して生ずるはすば相対位置変化量は、アクチュエータからの距離が長い気筒ほど大きくなる。
そこで、本実施形態では、アクチュエータ64からの距離に応じ、気筒間でねじれ角θの設定を異ならせることとした。より具体的には、アクチュエータ64からの距離が長い気筒ほど、ねじれ角θが小さくなるように構成している。このようなねじれ角θの設定によれば、アクチュエータ64からの距離が長い気筒ほどはすば相対位置変化量が大きくなることがあっても、各気筒の制御アーム38に対して同等の回転角度変化を与えることができる。
つまり、上記のねじれ角θの設定によれば、はすば歯車34、34間に気筒間で異なるはすば相対位置変化が生ずることがあっても、軸間距離L1の変化に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を打ち消すための適切な回転角度変化を、各気筒の可変動弁装置10に与えることができる。また、実機上において、例えばエンジン冷却水の循環経路のレイアウト等に起因して、他の気筒と異なる熱膨脹を示す気筒がある場合、つまり、気筒間で軸間距離L1の変化量が異なるものとなる場合には、それぞれの気筒の可変動弁装置10における軸間距離L1の変化量および相対位置変化量に基づいて、ねじれ角θの設定を気筒間で異ならせてもよい。
以上説明した通り、本実施形態の可変動弁装置10によれば、内燃機関が発する熱による温度変化に伴う軸間距離L1の変化によって弁体12の作用角およびリフト量の変化が生じた際に、はすば歯車34、44間に生ずるはすば相対位置変化量に基づいて、軸間距離L1の変化に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を打ち消す方向であって、当該変化に相当する量の回転角度変化量が制御アーム38に与えられる。このため、本実施形態の可変動弁装置10によれば、軸間距離L1の変化に起因して、弁体12の作用角およびリフト量が変化するのを抑制することができる。
尚、上述した実施の形態1においては、図示を省略するシリンダヘッドが前記第1の発明における「拘束部材」に、揺動カムアーム22が前記第1の発明における「揺動部材」に、カム軸30が前記第1の発明における「支持軸」に、それぞれ相当している。
実施の形態2.
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
図7は、本実施形態の可変動弁装置70の特徴的部分を説明するための概略構成図である。尚、図7において、上記図1に示す構成要素と同一の要素については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。また、図7においては、アクチュエータ64に最も近接する気筒に配置された可変動弁装置70のみを示している。また、図7に示す可変動弁装置70では、各気筒のはすば歯車34、44は、すべて同一のねじれ角θで構成されているものとする。
本実施形態の可変動弁装置70は、はすば相対位置変化を生じさせる手法が異なる点を除き、実施の形態1における可変動弁装置10と同様である。すなわち、図7に示すように、本実施形態の可変動弁装置70は、制御軸72の軸方向拘束位置の近傍に、より好ましくは、制御軸72の軸方向拘束位置と同一線上に、カム軸74の軸方向拘束位置が設定されるように構成されている。また、カム軸74には、可変機構36の両側に接するように、それぞれカム軸フランジ76が形成されている。このような構成によれば、可変機構36は、一対のカム軸フランジ76によってカム軸74の軸方向位置が拘束される。尚、カム軸フランジ76は、カム軸74と一体に形成されるものに限らず、カム軸74に固定されるものであってもよい。また、カム軸74上において、可変機構36の軸方向位置を拘束するための構成は、これに限らず、例えば、可変機構36の内部に配置されているカム28(図2参照)の両側面をカム軸フランジとして用いるものであってもよい。
本実施形態においても、制御軸72およびカム軸74は、同一系統の材質、より具体的には、鉄系の材質で構成されている。以上説明した構成によれば、内燃機関が発する熱による温度変化が生じた場合に、それぞれの軸方向拘束位置に対する制御軸72とカム軸74の軸方向の寸法変化量および当該寸法変化の発生方向を同じにすることができる。本実施形態では、このような構成としたうえで、線膨張係数Cの異なる調整部材78を制御軸72に組み込むこととしている。調整部材78は、制御軸72上における軸方向拘束位置と当該軸方向拘束位置に最も隣接する気筒との間の部位に配置されている。より具体的には、調整部材78は、圧入、ネジによる結合等の手法により制御軸72と機械的に結合されている。調整部材78は、例えば、シリンダヘッドと同一の材質(アルミ)等のように、制御軸72およびカム軸74と異なる線膨張係数Cを有する部材であればよい。
上記の調整部材78を備える本実施形態の構成によれば、温度変化に伴う調整部材78の寸法変化量分がはすば相対位置変化量に相当することになる。つまり、本実施形態の構成によれば、各気筒に対して、同量のはすば相対位置変化を生じさせることができる。また、本実施形態の可変動弁装置70においても、はすば歯車34、44のねじれ角は、軸間距離L1の変化に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を打ち消す向きで形成されている。このため、本実施形態の構成によれば、上記弁体の作用角およびリフト量の変化を打ち消すために、各気筒の制御アーム38に対して、同量の回転角度変化を与えることができる。
次に、図7および図8を参照して、調整部材78の仕様の具体的な選定手法について説明する。
図8は、はすば相対位置変化量ΔL2に基づく制御アーム38の回転角度変化量β1’の算出手法を説明するための図である。より具体的には、図8(A)は、第2のはすば歯車44の歯面を拡大して示す図であり、図8(B)は、図8(A)に示す第2のはすば歯車44をカム軸74の軸方向から見た図である。尚、図8(A)に示す2本の歯すじは、軸線方向にΔL2だけ移動した場合の同一の歯すじを示している。また、図8(B)に示す円弧は、第2のはすば歯車44のピッチ円を示している。
ある温度変化量ΔTが生じた場合の調整部材78の寸法L2の変化量ΔL2、すなわち、はすば相対位置変化量ΔL2は、次の(1)式により算出することができる。
ΔL2=L2’−L2=(C・ΔT−1)・L2 ・・・(1)
但し、上記(1)式において、L2’は温度変化後の調整部材78の寸法である。
第1のはすば歯車34と第2のはすば歯車44との間には、ロストモーションスプリング58の付勢力が両者の接触を保つように作用している。このため、これらのはすば歯車34、44間にはすば相対位置変化量ΔL2が生ずると、図8(A)に示すように、はすば歯車34、44間のある接触点P0は、接触点P1に移動する。すなわち、第2のはすば歯車44には、図8(B)に示す回転角度変化量β1’に応じた回転が生ずる。
回転角度変化量β1’は、上記接触点Pの変化のx軸方向成分Lxおよびy軸方向成分Lyとの関係を、次の(2)式のように表すことができる。
tanβ1’=Lx/Ly=(ΔL2・tanθ)/(r・cosβ1’) ・・・(2)
但し、上記(2)式において、rは第2のはすば歯車44のピッチ円の半径である。
従って、回転角度変化量β1’は、上記(2)式を展開することにより、次の(3)式によって算出することができる。
β1’=sin-1((ΔL2・tanθ)/r) ・・・(3)
以上説明した通り、本実施形態の可変動弁装置70によれば、上記(3)式により算出することのできる回転角度変化量β1’を、軸間距離L1の変化に伴う制御アーム38の回転角度変化量β1と逆向きであって同じ大きさとなるように決定することにより、当該軸間距離L1の変化に伴う弁体12の作用角およびリフト量の変化を、調整部材78の作用によって相殺することが可能となる。
具体的には、上記(3)式の関係に基づき、回転角度変化量β1’が回転角度変化量β1と等しくなるように、調整部材78の線膨張係数C、または寸法L2を選定する。その際、回転角度変化量β1’を生じさせるのに必要となるはすば相対位置変化量ΔL2は、ねじれ角θの値を変更することによって調整可能である。また、本実施形態の機構は、軸間距離L1の拡大に伴い弁体12の作用角およびリフト量が小さくなる特性を有するものであるが、軸間距離L1の拡大に伴い弁体12の作用角およびリフト量が大きくなる特性を有する機構であれば、ねじれ角θの向きを上記図7の設定と逆向きとすることにより上述した効果を得ることができる。
図9は、本実施形態の可変動弁装置70により実現される効果を説明するための図である。図9は、内燃機関の暖機過程における温度に対する弁体12の作用角およびリフト量の特性を表したものである。また、図9中に実線で示す波形は、調整部材78を備えている場合を示し、図9中に破線で示す波形は、調整部材78を備えていない場合の特性を示している。このように、調整部材78を備えていない場合には、温度上昇に伴って軸間距離L1が拡大していくため、それに伴い、弁体12の作用角およびリフト量は減少していく。一方、調整部材78を備えている場合には、軸間距離L1の変化に起因する弁体12の作用角およびリフト量の変化が、上述した調整部材78の作用によって補正されていくため、図9に示すように、温度変化の影響を受けずに弁体12の作用角およびリフト量を常に狙いの値に制御することが可能となる。
ところで、上述した実施の形態2においては、調整部材78を、制御軸72上における軸方向拘束位置と当該軸方向拘束位置に最も隣接する気筒との間の部位に配置することとしているが、調整部材78の配置場所はこれに限定されるものではない。すなわち、本実施形態の構成によれば、可変機構36はカム軸フランジ76に拘束された状態で軸方向に対してカム軸74の熱膨脹量に伴う量だけ熱膨脹するものとなるため、調整部材78を、カム軸74側に配置、より具体的には、カム軸74上における軸方向拘束位置と当該軸方向拘束位置との間の部位に配置してもよい。
また、上述した実施の形態2においては、各気筒のはすば歯車34、44のねじれ角θがすべて同一となるように構成された例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実機上において、エンジン冷却水の循環経路のレイアウト等に起因して、他の気筒と異なる熱膨脹を示す気筒がある場合、つまり、気筒間で軸間距離L1の変化量が異なるものとなる場合には、それぞれの気筒の可変動弁装置70における軸間距離L1の変化量および相対位置変化量ΔL2に基づいて、ねじれ角θの設定を気筒間で異ならせてもよい。
また、上述した実施の形態1および2においては、内燃機関の気筒毎に可変動弁装置10が設けられた例を示しているが、本発明が適用される可変動弁装置の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、可変動弁装置10等が各気筒の単一の弁体12毎に設けられたものであってもよい。
また、上述した実施の形態1および2においては、制御軸24(または72)は、アクチュエータ64により回転駆動されるものとしたが、はすば歯車34、44を介して制御軸24の移動量を伝達させることで可変機構36の回転角度を変化させる構成はこれに限定されるものではない。すなわち、制御軸24等は、アクチュエータによりその軸方向に駆動されるものであってもよい。
本発明の実施の形態1の可変動弁装置の構成を示す側面図である。 図1に示す可変動弁装置の主要部の分解斜視図である。 図1に示す可変動弁装置が内燃機関に搭載された状態を示す概略構成図である。 図1に示す可変動弁装置が弁体に対して小さなリフトを与えるように動作を行う様子を示す図である。 図1に示す可変動弁装置が弁体に対して大きなリフトを与えるように動作を行う様子を示す図である。 熱膨脹が生じた際に、内燃機関の各気筒間に生ずる寸法変化量を説明するための図である。 本発明の実施の形態2の可変動弁装置の特徴的部分を説明するための概略構成図である。 はすば相対位置変化量に基づく制御アームの回転角度変化量の算出手法を説明するための図である。 図7に示す可変動弁装置により実現される効果を説明するための図である
符号の説明
10、70 可変動弁装置
12 弁体
16 ロッカーアーム
22 揺動カムアーム
24、72 制御軸
26 揺動カム面
26a 非作用面
26b 作用面
28 カム
30、74 カム軸
32 スライド面
34 第1のはすば歯車
36 可変機構
38 制御アーム
44 第2のはすば歯車
48 中間ローラ
64 アクチュエータ
66、68 シリンダヘッドの軸受け部
76 カム軸フランジ
78 調整部材

Claims (7)

  1. カム軸の回転に対する弁体の作用角およびまたはリフト量を機械的に変化させる可変動弁装置であって、
    アクチュエータにより駆動され、その軸中心と同心の第1のはすば歯車が設けられ、所定の制御軸軸方向拘束位置において拘束部材により軸方向の移動が拘束される制御軸と、
    カムと弁体との間に介在し、前記カムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動部材と、
    前記制御軸とは別の支持軸により回転可能に支持され、当該支持軸の軸中心と同心であって前記第1のはすば歯車と対となる第2のはすば歯車が設けられ、前記第1のはすば歯車および前記第2のはすば歯車を介して前記制御軸の移動に伴って回転することで、前記カムの回転に対する前記揺動部材の揺動動作を変化させる可変機構とを備え、
    前記第1のはすば歯車および前記第2のはすば歯車のねじれ角の向きが、温度変化に伴う前記第1のはすば歯車と第2のはすば歯車とのはすば相対位置変化によって、前記制御軸と前記支持軸との相対的な軸間距離の変化に伴う弁体の作用角およびまたはリフト量の変化を打ち消す方向の回転角度変化を前記可変機構に生じさせるように設定されていることを特徴とする可変動弁装置。
  2. 前記可変機構は、前記制御軸と異なる線膨張係数を有する前記拘束部材によって、前記支持軸の軸方向に対する位置が拘束されていることを特徴とする請求項1記載の可変動弁装置。
  3. 前記制御軸軸方向拘束位置からの距離に応じて、気筒間または弁体間で前記ねじれ角を異ならせていることを特徴とする請求項2記載の可変動弁装置。
  4. 前記制御軸軸方向拘束位置からの距離が長くなるほど、前記ねじれ角が小さな角度に設定されていることを特徴とする請求項3記載の可変動弁装置。
  5. 前記可変機構は、前記支持軸との間で前記支持軸の軸方向に対する位置が拘束されており、
    前記支持軸は、前記軸方向拘束位置の近傍で軸方向位置が拘束されており、
    前記制御軸と前記支持軸とが同一系統の材質で構成されており、
    前記制御軸上における前記制御軸軸方向拘束位置と当該制御軸軸方向拘束位置に隣接する気筒との間の部位に、或いは、前記支持軸上における前記支持軸の軸方向拘束位置と当該軸方向拘束位置に隣接する気筒との間の部位に、前記制御軸および前記支持軸と異なる線膨張係数を有する調整部材を備えることを特徴とする請求項1記載の可変動弁装置。
  6. 前記制御軸軸方向拘束位置からの距離に応じて、気筒間または弁体間で前記ねじれ角を異ならせていることを特徴とする請求項5記載の可変動弁装置。
  7. 前記ねじれ角の設定は、更に、前記はすば相対位置変化に伴う前記可変機構の回転角度変化量を、前記軸間距離の変化に伴う弁体の作用角およびまたはリフト量の変化量と一致させるように設定されたものであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の可変動弁装置。
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