JP4144141B2 - 穀粒乾燥装置の繰出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は穀粒乾燥装置の繰出装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、循環型穀粒乾燥装置において、穀粒流下通路の下部側にはドラムシャッタ形態の繰出バルブを設け、繰出モータの正逆転連動によってドラム内に流下する穀粒をその反転回動によって排出させる。ところで、繰出バルブは一回転毎に正逆転させる構成であるから、例えば左右の流下通路の下部合流点に繰出バルブを設ける場合には、穀粒は各通路から左右均等に繰り出されることとなる。
ところが、水分ばらつきが大きい場合には穀粒を混合させることによって当該ばらつきを解消しうるが、上記のように左右均等に繰り出させる形態ではいつまでもばらつきを保ったまま乾燥継続される。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記に鑑み、次の技術的手段を講じた。
即ち、請求項1の記載の発明は、V字状の穀粒流下通路の合流地点の下部に単一の繰出モータによってこれら流下通路からの穀粒を間歇的に正逆回転駆動しながら繰出する繰出バルブを設け、所定量毎の穀粒を繰出しながら乾燥する構成であり、水分検出手段及びこの検出データに基づいて水分ばらつきを算出するばらつき算出手段を設けると共に、検出水分値が予め決定してある水分値以上であって、水分ばらつきが所定以上の場合に、当該水分ばらつきが所定以下になるまで繰出バルブの連続駆動回数を変更すべく繰出制御手段を設けてなる穀粒乾燥装置の繰出装置の構成とする。
【0004】
請求項2,3に記載の発明のばらつき算出手段は、標準偏差、あるいはその移動平均値により求めものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、張込量の大小に基づき繰出バルブの連続駆動回数を変更すべく構成してなる。
【0005】
【発明の作用効果】
穀粒乾燥運転の途中、所定時間間隔で水分測定信号が出力される。平均水分値と標準偏差が算出され、繰出モータ67のシーケンスが変更されたり、標準を維持して駆動されるものとなる。シーケンス変更に伴い、繰出バルブ10の駆動周期や連続駆動回数が変更されると、複数流下通路の一から連続して標準駆動状態の場合よりも多い穀粒が繰り出され、次いで、他方の流下通路からも多く穀粒が繰り出される結果、相互に繰り出される穀粒量が通常よりも多くなって下方集穀部での穀粒混合が促進される。従って、比較的水分ばらつきの異なる穀粒同士が混合されることとなり、水分平衡化を促進できる。
また、張込量に見合った連続駆動回数にすると、穀粒混合が万便なく適正に実行できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施例を図面に基づき説明する。
1は穀粒乾燥機の機枠で、この機枠内には上部から貯留タンク2、乾燥室3、集穀室4を縦設し、このうち乾燥室3は、バ−ナ5に通じる熱風室6と排風装置7に通じる排風室8との間に穀粒流下通路9,9をV字状に形成してなり、各流下通路9,9の下部に設ける繰出バルブ10の正逆回転連動により所定量毎に流下する穀粒に熱風を浴びせて乾燥する構成である。
【0007】
上記機枠1外部には集穀室4の一側に集めた穀粒を貯留タンク2に揚上還元する昇穀機11を立設する。この昇穀機11は内部上下のプーリ12,12間にバケット13付ベルト14を巻回する構成であり、集穀室4下部に横設する下部移送螺旋15により一側に移送された乾燥穀粒を掬い上げ上部に移送できる構成としている。この昇穀機11で掬われ上部で投てきされる穀粒は、投げ口開口部16を介して上部移送螺旋17を設ける移送樋18の始端側に案内される。尚、移送螺旋17で水平移送される穀粒は貯留タンク2の中央上部に配設する回転拡散盤19に案内され、貯留タンク2内に拡散落下される構成としている。
【0008】
前記昇穀機11、上部及び下部移送螺旋15,17等からなる穀粒循環系は、機枠下隅部の駆動モ−タ20により回転連動する。該モ−タ20駆動軸にはカウンタプーリ21を介して下部移送螺旋15を回転連動し、該下部移送螺旋15の回転は、昇穀機11のバケットベルト14を連動回転すると共に、この昇降機11の上部側プーリ12と上部移送螺旋17との間の連動ベルト(図示せず)により当該上部移送螺旋17を連動しうる構成である。
【0009】
上記昇穀機11の適宜高さの位置における側壁22には、バケットベルト14の往行程と復行程との左右間隔部以内に対応すべく供給口23を設けると共に、この供給口23部には水分計24を着脱自在に設けている。水分計24は、例えば供給口23の繰出ロール(図示せず)の下方にのぞませた一対の電極ロール(図示せず)間でサンプル粒の一粒を圧砕しながらその抵抗値を電気的処理して穀粒水分値に換算する構成である。
【0010】
機枠1正面側には、左右幅にわたって接続案内枠25、この接続案内枠25の前面に着脱自在の熱風発生胴26を設け、該熱風発生胴26の内部に前記バーナ5を収容している。バーナ5について、実施例ではガンバーナ形態とされ、本体部は熱風発生胴26の下部右側に偏寄して横置きとされている。
【0011】
前記熱風発生胴26内において、左半部には熱風ダクト36を配設し、バーナ5のファンカバー30及び燃焼筒33を一側下部にレイアウトするが、余りの空間部、即ち一側上部には、乾燥運転に必要な制御を行うコントロールボックス38を接続案内枠25の壁面に吊持状に着脱自在に固定している。
【0012】
上記コントロールボックス38は、その操作盤40面に、運転・燃焼・停止の各運転モードスイッチ41,42,43、仕上水分,張込量の各設定スイッチ44,45、乾燥時間設定のための増・減スイッチ46,47等を配設している。48は緊急停止スイッチ、49は表示部である。この操作盤40面に対応する熱風発生胴26の前面カバーには操作のための開口26bを有する。
【0013】
機枠1背面側には、前記排風装置7を設ける。排風装置7は、高速回転する遠心ファン50、このファンを内蔵するファン胴51、及び排風ダクト52等からなり、機枠1背面において排風室8にのぞむよう円形開口53を形成するものである。遠心ファン50は、回転軸55中心に複数の羽根56,56…を所定角度に配設して片側吸入に構成し、またファン胴51は遠心ファン50の回転に伴い起風し、上記円形開口53からの空気を上方に放出すべく構成される。
【0014】
上記ファン胴51に接続する上記排風ダクト52は、開口を水平向きに変更するものであり、両者は円形嵌合とされているため、該排風ダクト52を縦軸心まわりに任意の方向に向き調整できる構成である。
【0015】
上記回転軸55の外側端にはプーリ57を設け、前記カウンタプーリ21と一体的に設ける第2カウンタプーリ21aと当該プーリ57との間にベルト58を掛け回し、循環系モータ20に連動する構成としている。
【0016】
図9は制御ブロック図であり、前記コントロールボックス38の制御部61には、前記操作盤40に配設した運転・燃焼・停止の各運転モードスイッチ41,42,43、仕上水分,張込量の各設定スイッチ44,45、乾燥時間設定のための増・減スイッチ46,47等の入力信号のほか、バルブセンサ62,水分計24,循環系モータ20の負荷検出器63,熱風温度センサ64,外気温度センサ65,風量センサ66等の各種検出信号を入力する。一方出力信号としては、前記昇降機等の循環系兼排風装置7を駆動する循環系モータ20,繰出バルブ10用に正逆転しうる繰出モータ67駆動信号、バーナ5駆動信号、表示部49の表示出力信号等がある。
【0017】
上記運転スイッチ41がオンすると、循環系モータ20及び繰出モータ67が起動し、燃焼スイッチ42がオンするとバーナ系に起動信号が出力されバーナが点火燃焼状態に入る。停止スイッチ43をオンすると起動状態の各部が停止されるものとなる構成である。従って、所謂張込モード,排出モードとするときには運転スイッチ41をオンしておき、乾燥モードとするには当該運転スイッチ41操作に加え燃焼スイッチ42をオン操作することとなる。
【0018】
上記繰出モータ67は間歇的に正逆回転駆動すべく制御出力される。即ち、円筒ドラム形状の上下に所定幅を切欠き形成されて開口(イ)(ロ)する前記繰出バルブ10は、常時は当該開口(イ)(ロ)を上・下向く状態で待機しており、繰出用モータ67に制御出力されると、まず360度正転(例えば右回転とする)し、下向き開口(ロ)が上向きながら回転する途中で主として左側穀粒流下通路9の穀粒を取り込みつつ再度該開口(ロ)が下向きとなる位置に達して集穀室4に排出する。更に正転360度に引き続き360度逆転(左回転)し、主として右側穀粒流下通路9の穀粒を取り込みつつ再び開口を下向きとして排出する。
【0019】
なお、上向き開口(イ)には停止時時点で穀粒充満して正逆回転に伴い適宜に排出される。上記繰出バルブ位置検出は、例えばバルブ回転軸68側の磁性体69と固定側リードスイッチ70とからなる上記バルブセンサ62が行なう。上記正逆転の動きを単位として所定時間置きに実行させるべく当該繰出モータ67に制御出力される構成としている。
【0020】
更に詳細に繰出制御について説明すると、上記繰出バルブ10は、制御部61に構成される繰出制御手段によって図9のフロー図のように制御される。即ち、前記水分計24によって所定粒数(例えば100粒)単位毎の籾水分が検出されるが、制御部61は水分平均値Mのほか、標準偏差σを算出する。この水分平均値Mと標準偏差σの条件に基づき、繰出制御手段は繰出モータ67に次の指令信号を出力する。水分測定が終了し水分値、標準偏差を算出した後(ステップ1,2)、穀物種類が籾であるか否かが判定されると共に(ステップ3)、籾の場合にはさらに続いて水分値が所定値N以上であるかが判定される(ステップ4)。ここで、標準偏差が予め設定した値α(例えば4)以上であるか否かが判定され(ステップ5)、この値を越えるときは繰出モータ67はシーケンス▲2▼の変更処理が実行され、つまり繰出バルブ10は、正転−正転−逆転−逆転をサイクルとして繰り返し正逆駆動される(ステップ6)。ステップ4及びステップ5で水分値、標準偏差いずれかが所定値を下回るときは、繰出モータ67は通常のシーケンス処理、つまり正転−逆転をサイクルとして繰り返し正逆駆動される(ステップ7)。なお、ステップ4における値Nは例えば18%である。
【0021】
上記ステップ3において、籾でなく麦と判定されるときは、水分値が所定値n(例えば15%)以上であり、標準偏差が予め設定した値β(例えば4)以上であれば(ステップ8,9)、上記同様に繰出モータ67シーケンスの変更処理が実行され、つまり繰出バルブ10は、正転−正転−逆転−逆転をサイクルとして繰り返し正逆駆動される(ステップ10)。また、ステップ8,9で水分値、標準偏差いずれかが所定値を下回るときは、繰出モータ67は通常のシーケンス▲1▼処理が実行される(ステップ11)。
【0022】
なお、71は機枠1側部に開口する張込口、72はこの張込口71を開閉しかつ籾袋投入用台座となすサイドホッパである。このサイドホッパ72からの投入穀粒は、下部移送螺旋15,昇降機11,上部移送螺旋17を経て貯留タンク2に張り込まれる構成である。73は排出シャッタである。
【0023】
上例の作用について説明する。
運転スイッチ41をオンすると、循環系モータ20及び繰出モータ67が起動する。サイドホッパ72から昇穀機11を利用して貯留タンク2に所定量の穀粒を張り込むが、一旦貯留タンク2に張り込まれた穀粒は繰出バルブ10の回転に伴って流下し再び貯留タンク2に戻されるいわゆる循環張込が行われる。その間排風装置7が駆動されているから、流下通路9,9にある穀粒は通風され予備的乾燥が行われる。
【0024】
次いで穀粒種類、仕上水分等を設定して乾燥作業を開始する。燃焼スイッチ42をオンする(張込作業終了後一旦停止スイッチ43をオンして停止動作としたときは、運転スイッチ41もオンする)と、バーナ5に駆動信号が出力されバーナ5が点火され熱風乾燥に入る。
【0025】
所期の乾燥運転が終了すると穀粒を排出する排出作業に入る。運転スイッチ41をオンし、そして排出シャッタ73を開くと、穀粒は機外に排出されることとなる。
【0026】
途中所定時間間隔で水分計24には測定信号が出力される。100粒の測定が完了した時点で平均水分値と標準偏差が算出され、図9に示すフローに従い、繰出モータ67のシーケンスが変更されたり、標準を維持して駆動されるものとなる。シーケンス変更に伴い、繰出バルブ10も正転−正転−逆転−逆転をサイクルとして繰り返し正逆駆動されるから、片側の流下通路9(例えば左側)から連続して2回転分の穀粒が繰り出され、次いで、他方の流下通路9(右側)からも2回転分の穀粒が繰り出される結果、交互に繰り出される穀粒量が通常の倍となって集穀室4での穀粒混合が促進される。従って、比較的水分ばらつきの異なる穀粒同士が混合されることとなり、水分平衡化も促進できる。
【0027】
なお、水分ばらつきの大小判定に標準偏差を用いたが、別の手法、例えば未熟粒の比率の大小などでばらつきを予測してもよい。
【0028】
図10は別実施例を示すもので、標準偏差γが所定値(例えば4)以上で繰出モータのシーケンスを変更処理する構成に加えて張込量δが所定値(例えばレベル3)以上であるか否かを判定し、張込量が多いときはその分を配慮して繰出バルブ10の連続回転数を多く設定する。即ち、実施例において張込量がレベル3以上であるときは、正転,逆転の各連続回数を3回とし、正転−正転−正転−逆転−逆転−逆転を1サイクルとしてのシーケンス▲1▼が実行される。上記において、張込量がレベル3未満であると、正転−正転−逆転−逆転サイクルのシーケンス▲2▼が実行される。標準偏差が所定値4未満であると、通常の シーケンス▲3▼である正転−逆転の繰り返しが実行される。
【0029】
張込量を考慮して繰出バルブ10の連続回転数を決定すると、この張込量の大小によって1サイクル当たりの繰出量を大小に変更設定されるため、混合の適正化がはかれる。
【0030】
実施例における各シーケンスモードの駆動回数は左右同じ回数としたが、これらは異なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥機本体の正断面図である。
【図2】乾燥機本体の正面図である。
【図3】乾燥機正面の拡大図である。
【図4】その側面図である。
【図5】乾燥機背面図である。
【図6】操作盤面の正面図である。
【図7】制御ブロック図である。
【図8】繰出バルブ駆動部の分解斜視図である。
【図9】フロー図である。
【図10】フロー図である。
【符号の説明】
1…機枠、2…貯留タンク、3…乾燥室、4…集穀室、5…バーナ胴、6…熱風室、7…排風装置、8…排風室、9,9…穀粒流下通路、10…繰出バルブ、11…昇穀機、12,12…プーリ,13…バケット、14…バケットベルト、15…下部移送螺旋、16…投げ口開口部、17…上部移送螺旋、18…移送樋、19…回転拡散盤、20…駆動モ−タ、21…カウンタプーリ、22…側壁、23…供給口、24…水分計、25…接続案内枠、26…熱風発生胴、27…モータ、28…軸、29…ファン、30…ファンカバー、31…電磁ポンプ、32…燃焼筒、33…接続筒、34…案内筒、35…ガイド筒、36…熱風ダクト、37…フランジ接合部、38…コントロールボックス、40…操作盤、41,42,43…運転モードスイッチ、44,45…設定スイッチ、46,47…増・減スイッチ、48…緊急停止スイッチ、49…表示部、50…遠心ファン、51…ファン胴、52…排風ダクト、53…円形開口、55…回転軸、56…羽根、57…57、58…ベルト、61…制御部、62…バルブセンサ、64…熱風温度センサ、65…外気温度センサ、66…風量センサ、67…繰出モータ、68…バルブ回転軸、69…磁性体、70…リードスイッチ、71…張込口、72…サイドホッパ、73…排出シャッタ
Claims (4)
- V字状の穀粒流下通路の合流地点の下部に単一の繰出モータによって、これら流下通路からの穀粒を間歇的に正逆回転駆動しながら繰出する繰出バルブを設け、所定量毎の穀粒を繰出しながら乾燥する構成であり、
水分検出手段及びこの検出データに基づいて水分ばらつきを算出するばらつき算出手段を設けると共に、検出水分値が予め決定してある水分値以上であって、水分ばらつきが所定以上の場合に、当該水分ばらつきが所定以下になるまで繰出バルブの連続駆動回数を変更すべく繰出制御手段を設けてなる穀粒乾燥装置の繰出装置。 - 前記ばらつき算出手段は、標準偏差が所定値以上のときにばらつき大と判定する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥装置の繰出装置。
- 前記ばらつき算出手段は、標準偏差の移動平均値により求める構成としたことを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥装置の繰出装置。
- 張込量の大小に基づき繰出バルブの連続駆動回数を変更すべく構成してなる請求項1記載の穀粒乾燥装置の繰出装置。
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