JP4143975B2 - 船体の減揺装置 - Google Patents
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Description
ただし、このような減揺装置の場合、船体の揺れに対して減揺タンク内への海水の出入りは時間的に緩慢になるために、船体の揺れが周期の比較的長い揺れとなる場合に有効に作用するという特徴を持っている。
【課題の解決手段】船体の横揺れに応じて海水(湖沼や河川にあっては真水、以下海水又は水と称する)が流入出する、すなわち横揺れの傾斜側への重心移動のための重量物として海水を利用する、船体後端部の左右両舷を一対として船体の船尾方向に全開口し、主として喫水線上の空間を利用した減揺タンクを、船体の構造として内装するか、又は、取り付け部材として外装することとした。
水抵抗等の摩擦抵抗を無視するとW・GZをI(Iは慣性モーメント)で除した角加速度でいつまでも横揺れを続け、この横揺れは自由横揺れと言われる。このような運動を示す文献には、例えば、船体工学概論(面田 信昭 著 株式会社成山堂書店発行)等がある。
タンクA(1)またはタンクC(3)の水は、タンクA(1)またはタンクC(3)の開口面積の内、喫水面より上に露出した部分にタンクの奥行きを乗じた体積が流出するが、流出する水は船体の反転運動による遠心力によって左舷側船側外板(14)側に寄せられながら、さらには水の粘性によって、水を入れたコップを横に倒した時の水の流出具合を見ても判るように、実際には相当遅れながら流出する。
すなわち、開口面積が広く奥行きが浅いタンクの場合水の粘性の影響はさほどないが、開口面積が狭く奥行きが深いタンクの場合ほど水の粘性の影響が強く働き流出速度は遅い。
すなわち、タンクA(1)またはタンクC(3)への水の流入により新たな重心G2(43)が与えられ、反転を開始するために与えられたθ2(44)の位置エネルギーは、反転途中でタンクA(1)・タンクC(3)の水の流出によって除々に重心をG1(39)に戻しながら反転を終わり静止するとき、反転角度はθ2(44)より大きく、新たにG2′(48)を通る重心線(49)によって与えられる角度θ3(50)の角度まで揺れ戻す。
すなわち、角度θ3(50)はタンクが無かった時に与えられる鉛直線(40)を中心とした振幅角度θ1(42)より小さく、重心線G2(46)によって与えられる鉛直線(40)を中心とした振幅角度θ2(44)より大きいという関係にある。
したがって、反転のための位置エネルギーの角度はθ3(50)からθ4(53)へ減少変化する。
aは船体(5)の平面における本発明の減揺タンクの設置位置を示し、船体(5)の船尾部の左右両舷側に一対のタンクA(1)およびタンクB(2)を配置する。
図4のbは船体(5)の側面における減揺タンクの設置位置を示し、船体(5)の船尾部の喫水線と同一線上に床面を配置したタンクの設置状況を説明している。
図4のcは船体(5)の後部からトランサム(7)方向をみたものである。
タンクA(1)は、左舷側船側外板(14)を横側板と兼用し、船内側横側板(9)と頂板(8)および喫水線(6)と同一線上に配置した床板(10)と前部側板(16)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。
タンクB(2)は、右舷側船側外板(15)を横側板と兼用し、船内側横側板(12)と頂板(11)および喫水線(6)と同一線上に配置した床板(13)と前部側板(17)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。なお、頂板(8)(11)は船体(5)に打ち込んだ海水の排水のため等、船体(5)への影響がない限り小径の開穴は許容される。
図4のdは船体(5)のタンクA(1)タンクB(2)周辺を斜視した図で、abcdの各図共、減揺タンクおよび船体(5)への組込み構造、材質、強度や剛性確保のためのフレーム、ロンジ、フランジ等は省略してある。
図5のbは船体(5)の側面における減揺タンクの設置位置を示し、船体(5)の船尾部の喫水線(6)と同一線上に床面を配置したタンクの設置状況を説明している。
図5のcは船体(5)の後部からトランサム(7)方向をみたものである。
タンクC(3)は、左右の横側板(21)と(19)、頂板(18)および床板(20)と前部側板(26)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。
タンクD(4)は、左右の横側板(23)と(25)、頂板(22)および喫水線と同一線上に配置した床板(24)と前部側板(27)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。なお、前部側板(26)(27)はトランサム(7)で兼用可能であり、各板横側板(21)(19)(23)(25)頂板(18)(22)床板(20)(24)前部側板(26)(27)の接合は強度、減揺性能に影響がない限り多少の空隙は許容される。また、頂板(18)(22)は減揺性能に最も影響が少なく、小径の穴による網構造としても可である。
図5のdは船体(5)のタンクC(3)タンクD(4)周辺を斜視した図で、abcdの各図共減揺タンクの構造、材質、減揺タンクの固着方法、強度や剛性確保のためのフレーム、ロンジ、フランジ等は省略してある。
すなわち、静止状態におけるタンク内の喫水線以下に滞留する水が、タンク全体の空間に占める割合が少なく、詳細説明における本発明の原理に大きく影響を及ぼすことがなく、減揺効果は充分に期待可能である。
aは船体(5)の平面における本発明の減揺タンクの設置位置を示し、船体(5)の船尾部の左右両舷側に一対のタンクA(1)およびタンクB(2)を配置する。
図6のbは船体(5)の後部からトランサム(7)方向をみたものである。
タンクA(1)は、左舷側船側外板(14)を横側板と兼用し、船内側横側板(9)は船底外板(28)に接合し、船底外板(28)は床板(10)の機能を兼ね、頂板(8)およびと前部側板(16)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。
同様に、タンクB(2)は、 右舷側船側外板(15)を横側板と兼用し、船内側横側板(12)は船底外板(29)に接合し、船底外板(29)は床板(13)の機能を兼ね、頂板(11)およびと前部側板(17)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。なお、頂板(8)(11)は船体(5)に打ち込んだ海水の排水のため等、船体(5)への影響がない限り小径の開穴は許容される。
図6のcは船体(5)のタンクA(1)タンクB(2)周辺を斜視した図で、abcの各図共、減揺タンクおよび船体(5)への組込み構造、材質、強度や剛性確保のためのフレーム、ロンジ、フランジ等は省略してある。
すなわち、静止状態におけるタンク内の喫水線以下に滞留する水が、タンク全体の空間に占める割合が少なく、詳細説明における本発明の原理に大きく影響を及ぼすことがなく、減揺効果は充分に期待可能である。
aは船体(5)の平面における本発明の減揺タンクの設置位置を示し、船体(5)の船尾部の左右両舷側に船体(5)に一対のタンクC(3)およびタンクD(4)を強固に固着設置する。
図7のbは船体(5)の後部からトランサム(7)方向をみたものである。
タンクC(3)は、左右の横側板(21)と(19)、頂板(18)および船底外板(28)に沿った床板(20)と前部側板(26)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。
タンクD(4)は、左右の横側板(23)と(25)、頂板(22)および船底外板(29)に沿った床板(24)と前部側板(27)とで囲われた水密空間を構成し、船尾側に向かい全開口している。なお、前部側板(26)(27)はトランサム(7)で兼用可能であり、各板横側板(21)(19)(23)(25)頂板(18)(22)床板(20)(24)前部側板(26)(27)の接合は強度、減揺性能に影響がない限り多少の空隙は許容される。また、頂板(18)(22)は減揺性能に最も影響が少なく、小径の穴による網構造としても可である。
図7のcは船体(5)のタンクC(3)タンクD(4)周辺を斜視した図で、abcの各図共減揺タンクの構造、材質、減揺タンクの固着方法、強度や剛性確保のためのフレーム、ロンジ、フランジ等は省略してある。
詳細説明で明らかなように、減揺効果を高めるためには左右の減揺タンクの水の流出は適度に遅いことが肝要であるが、物理的制約によりタンクの形状や寸法が制限される場合も考えられ、特にタンクの開口部から船首側に向かう距離、すなわちタンクの奥行きが短い場合、水の粘性の有効な利用が困難となる。
したがって、タンクの床板または船底外板が床板を兼ねている場合は船底外板に水の流出を遅延させるための抵抗板を(30)設置すれば水の粘性を有効に利用することが可能となる。
抵抗板(30)の形状、設置数は必要に応じて考慮するべきである。
2 内装式減揺タンクB(右舷側)
3 外装式減揺タンクC(左舷側)
4 外装式減揺タンクD(右舷側)
5 船体
30 抵抗板
Claims (3)
- 船舶の船尾方向に全開口し、かつ、喫水線上の空間に設けた減揺タンクを、左右両舷を一対として、船体の構造として内装することを特徴とする船舶の横揺れに対する減揺装置。
- 減揺効果を向上せしむるための減揺タンク内に配置する抵抗板を設置することを特徴とする請求項1に記載の減揺装置。
- 請求項1または請求項2記載の減揺装置を装備する船舶において、当該減揺装置を内燃機関の排気管の構成部材の一部として利用することを特徴とする船舶。
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