以下、本発明を適用した自動画像読取装置の実施形態を説明する前に、本発明を理解する上で参考になる参考形態に係る自動画像読取装置について説明する。
まず、参考形態に係る自動画像読取装置の基本的な構成について説明する。図1は、この自動画像読取装置を示す斜視図である。同図において、自動画像読取装置300は、画像読取部310と、原稿自動送り部350とを備えている。
図2は、本自動画像読取装置を示す断面図である。画像読取部310は、原稿フレーム301と、これの上部に固定された第1コンタクトガラス302、第2コンタクトガラス303とからなる筐体を有する。画像読取部310内では、光源304や第1ミラーを有する第1走行体305と、第2ミラーや第3ミラーを有する第2走行体306とが、第1コンタクトガラス302に平行に移動して原稿を光走査する。第2走行体306には、第1走行体305の1/2の速度で移動する公知の光学系が採用されている。光源304から発せられて原稿で反射した走査光は、第1ミラー、第2ミラー、第3ミラー上で順次反射して、固定レンズ307で結像された後、固体撮像素子(CCD)308に取り込まれる。取り込まれた結像データはデジタル信号として適宜処理され、ファクシミリ機能によって電話回線を介して遠隔地へ送られたり、プリンタ部100に送られたりする。
原稿自動送り部350は、第1コンタクトガラス302、第2コンタクトガラス303に向けて押さえる第1圧板363、第2厚板357を有している。そして、図示しない回動軸を中心に回動せしめられることで、コンタクトガラスを境にして見開かれる。閉じられた状態では、本のような厚い原稿でも第1圧板363によって第1コンタクトガラスに密着せしめることができる。本のように綴じられていなシート状の原稿については、複数重ねた束の状態で、給紙台361の可動板362上に第1面(奇数頁)を上面にしてセットすることができる。スキャン開始命令が操作者によって送られると、最上部のシート原稿に当接している給紙ローラ352が図中矢印方向に回転し、そのシート原稿を給紙搬送部351に送る。この給紙搬送部351内では、2枚以上重なった状態でシート原稿が送られてきても、分離ローラ対353によって確実に1枚づつ分離されて搬送される。そして、原稿搬送手段たる搬送用ローラ対354、搬送ローラ355,358、排紙ローラ対359を順次経て図中矢印に排出され、原稿排紙トレイ360上に第1面を下にしてスタックされる。排出に至るまでの間に、シート原稿の第2面(偶数頁)の画像情報がイメージセンサ356によって読み取られる。この後、シート原稿が第2圧板357と第2コンタクトガラス303の間を通過しているときに、その第1面の画像情報が画像読取部310に読み取られる。このとき、画像読取部310は、第1走行体305、第2走行体306を移動させることなく、光走査を行うことができる。第1圧板363の原稿に接する部分には白色シート363aが貼りつけてある。裏面が透けるような薄い原稿であると、圧板363の色が読み取り手段で背景として読み取られてしまうからである。同じ理由で、搬送ローラ355、第2圧板357も白色にしてある。
図3は、上記イメージセンサ356を示す平断面図である。イメージセンサ356は、原稿に対面するガラス356a、画像の読み取り面を照明する光源たるLEDアレイ356b、結像素子であるレンズアレイ356c、等倍センサ356dなどを有している。結像レンズを使用しない密着センサなどを採用することも可能である。本などの厚い原稿については、コンタクトガラス302上にセットし、圧板363で押しつけるが、このとき、自動画像送り部350が正規位置よりも浮き上がる。このため、第2厚板357も第2コンタクトガラス303から浮き上がってしまう。そこで、第2圧板357の第2コンタクトガラス303からの浮き上がりを検知するセンサ(図示せず)が設けられている。このセンサによる検知結果に基づいて、イメージセンサ356による読取が禁止されるようになっている。よって、厚い原稿が第1コンタクトガラス302上にセットされたままで、シート原稿の読み取りが行われるといった不具合が発生しない。シート原稿の画像情報がイメージセンサ356によって読み取られているときに、他の原稿を割り込み処理によって読み取らせてプリントアウトしたい場合には、画像読取部310を用いる。具体的には、まず、図示しない「割り込み中断ボタン」を押下して自動送りによる画像読取を中断させる。次に、シート原稿を給紙台361や原稿排紙トレイ360にスタックさせたままの状態で、自動原稿送り部350を見開いた後、新たな原稿を第1コンタクトガラス302上にセットする。そして、自動原稿送り部350を閉じた後、図示しない「割り込みスキャンボタン」を押下して、割り込みスキャンを実施させるのである。
次に、本自動画像読取装置300の特徴的な構成について説明する。先に示した図2において、複数の原稿搬送手段のうち、搬送用ローラ対354の2つの搬送用ローラには、それぞれに対応する異物除去装置380が個別に当接している。
図4は、上述の搬送用ローラと、これに当接する異物除去装置380とを示す分解斜視図である。なお、もう一方の異物除去装置380も同様の構成になっている。同図において、矢印xは、上記搬送用ローラの軸線方向と平行な方向を示している。また、矢印yは、図示しない原稿の搬送方向を示している。
異物除去装置380は、除去部材たる除去ブレード381や、異物受入部たる異物受入トレイ382などを有している。また、トレイ支持板383、ガイドレール384、ストッパ−部材385、コイルバネ386、偏心カム387、駆動モータ388、異物収容ボトル389等も有している。
除去ブレード381は、無体移動体たる搬送用ローラに当接しつつ、搬送用ローラの軸線方向に延在するように配設されている。そして、搬送用ローラの回転に伴って移動してくる異物に突き当たって、異物を搬送用ローラ表面から掻き取り除去する。掻き取られた異物は、除去ブレード381と搬送用ローラとの当接部よりも重力方向下方に設けられた異物受入トレイ382に重力落下して受け入れられる。
異物受入トレイ382は、樹脂等の材料が雨どい状に形成されたもので、その溝(凹部)を除去ブレード381に向けている。そして、その長手方向(矢印xと平行な方向)の一側面には、2つの滑車382a,bが、長手方向に並ぶように設けられている。また、これら滑車382a,bが設けられた側面の一端部には、突き当て部382cが立設せしめられている。また、底面には、カム受け円盤382dが、円面を上下方向に向けるように回転可能あるいは回転不能に固定されている。
コイルバネ386は、異物受入トレイ382における図中左端の端面を、図中左側から右側に向けて付勢するように、図示しない支持手段に支持されている。この付勢により、異物受入トレイ382は図中左側から右側に向けて、矢印x方向に沿って移動する。そして、その突き当て部382cを原稿自動送り部本体に固定された円柱状のストッパー部材385に突き当てる位置(以下、ストッパー位置という)で、左側から右側に向けての移動を停止させる。
トレイ支持板383は、L型アングル鋼のような形状になっており、その一側面にはC型鋼状のガイドレール384が固定されている。ガイドレール384は、その凹部内に係合せしめられた異物受入トレイ382の2つの滑車382a,bを回転可能に支持している。これにより、異物受入トレイ382はガイドレール384に沿って円滑にスライド移動することができる。
駆動モータ388は、異物受入トレイ382の下方且つカム受け円盤382dの近傍に配設され、その駆動軸388aには偏心カム387が、その周面をカム受け円盤382dの周面に当接させるように固定されている。駆動モータ388の駆動によって回転せしめられる偏心カム387は、カム受け円盤382d、ひいては異物受入トレイ382を、コイルバネ386の付勢力に逆らって図中右側から左側へと押していく。これにより、異物受入トレイ382が図中右側から左側に向けて、矢印x方向に沿って移動する。偏心カム387の回転に伴ってその偏心凸部の頂点がカム受け円盤382dとの当接位置を通過すると、偏心カム387とカム受け円盤382dとの当接が一瞬だけ解除される。この一瞬の間に、異物受入トレイ382がコイルバネ386の付勢力によって一気に図中左側から右側に移動して、上述のストッパー位置でその移動を急激に停止させる。このようにして、異物受入トレイ382は、矢印x方向に沿って往復移動せしめられる。なお、以下、異物受入トレイ382の往復移動について、偏心カム387による図中右側から左側に向けての移動を往移動という。また、コイルバネ386による図中右側から左側に向けての移動を復移動という。
除去ブレード381は、PET等の樹脂材料が細長い板状に形成されたもので、その長手方向のエッジを搬送用ローラに対して矢印x方向に平行に当接させる姿勢で、異物受入トレイ382の溝内面に固定されている。そして、異物受入トレイ82の往復移動に伴って、矢印x方向に往復移動せしめられる。即ち、除去ブレード381、異物受入トレイ382は、何れも互いの当接面における搬送用ローラ表面移動方向と直交する方向に沿って往復移動する。
図5は、上記ストッパー位置にある異物受入トレイ382を示す分解平面図である。同図において、振振幅W内を往復移動せしめられる異物受入トレイ382上には、図中右端から距離L1の位置に異物zが乗っている。異物収容器たる上記異物収容ボトル389は、鉛直方向上方に向けて大きく開口する受入口389aを有しており、これを異物受入トレイ382の図中右端の直下に位置させるように、プリンタ本体に対して着脱可能に装着されている。同図に示す状態から、偏心カム387が図中時計回りに回転すると、そのカム面を異物受入トレイ382のカム受け円盤382dに当接させ、異物受入トレイ382を往移動させ始める。
偏心カム387が、その偏心凸部の頂点をカム受け円盤382dに当接させる位置まで回転すると、図6に示すように、異物受入トレイ382が振振幅Wの図中左端に位置して、その往移動を停止させる。この停止については、偏心カム387のカム面の曲率変化に伴って比較的ゆっくりと行われる。すると、異物受入トレイ382上の異物zが異物受入トレイ382とともにゆっくりと停止するため、異物zの慣性力を異物zにおけるトレイ面との静止摩擦力よりも上回らせてしまう事態がほとんど起こらない。よって、異物zは、異物受入トレイ382の図中右端から距離L1の位置に留まったままになる。
偏心カム387が更に回転すると、偏心カム387とカム受け円盤382dとの当接が解かれて、図7に示すように、異物受入トレイ382が振振幅Wの右端まで一気に復移動する。そして、その突き当て部382cをストッパー部材385に突き当てて、復移動を急激に停止させる。この突き当たりの際、異物受入トレイ382に衝撃が付与されて、トレイ面に吸着した異物zのトレイ面からの離脱が促される。また、同時に、異物受入トレイ382の急停止に伴って、異物受入トレイ382上で引き続き復移動しようとする異物zの慣性力が、異物zにおけるトレイ面との静止摩擦力を上回って、異物zがトレイ面上を図中左側から右側に向けて移動する。そして、異物受入トレイ382の図中右端に対して、距離L2の位置まで近づく。このようにして、異物受入トレイ382上の異物zは、異物受入トレイ382の往復移動に伴い、駆動源たるコイルバネ386からの弾性力が伝達されてトレイ面上を復移動して、異物受入トレイ382の図中右端に徐々に近づいていく。そして、やがて右端から落下して異物収容ボトル389内に収容される。
かかる構成の異物除去装置80においては、次に列記する部材から、除去ブレード381をx方向に沿って往復移動させる往復移動手段が構成されている。即ち、トレイ支持板383、ガイドレール384、ストッパ−部材385、弾性体たるコイルバネ386、偏心カム387、駆動モータ388等である。
先に示した図4において、除去ブレード381は、搬送用ローラに当接しながらその表面に付着している異物を掻き取って除去する。但し、原稿の通紙枚数が数百枚に達すると、ブレード先端と搬送用ローラとの当接部の手前側に異物が溜まり始め、やがて塊となってブレードをすり抜けてしまうことがある。すり抜けた異物は、搬送用ローラから原稿に逆転移して、読取画像を乱してしまう。
本発明者らは、搬送用ローラと除去ブレード381と当接部の手前側における異物の堆積を抑えるべく、除去ブレード381をほぼ垂直な姿勢で搬送用ローラに当接させてみた。しかしながら、異物の堆積を有効に抑えることができなかった。
そこで、本自動画像読取装置300においては、除去ブレード381を異物受入トレイ382に固定して、トレイとともに矢印x方向に往復移動させるようにしている。これにより、除去ブレード381をそのエッジ面やローラ軸線方向と平行な方向に往復移動させて搬送用ローラに摺擦せしめることで、当接部の手前側における異物の堆積を抑えることができる。
本発明者らは、図4に示した異物除去装置80の試作機を製造し、異物受入トレイ82の往復移動速度を様々に変化させて、トレイ上における異物の移動性を試験してみた。この結果を次の表1に示す。
復移動している異物受入トレイ382の突き当て部382cに対し、ストッパー部材385との突き当たりによって衝撃を付与することで、トレイ面に粘着している異物をトレイ面から離脱させながら、良好に搬送することができた。そして、表1に示した移動性を長期に渡って良好に維持することができた。なお、異物受入トレイ382としては、異物受入面(溝面)にABS樹脂シートを被覆したものを用いたが、ステンレスシート、アルミシートなどに代えた場合にも、同様の結果が得られた。また、搬送先である異物収容ボトル382に向かう昇り勾配を異物搬送路に設けるべく、試験機を水平方向から30[°]傾斜させた姿勢で固定して作動させてみたが、その昇り勾配上で異物を良好に搬送することができた。
プリンタ本体内からの異物の取り出しについては、異物収容ボトル389を設けずに、次のようにして定期的に行うことも可能である。即ち、原稿自動送り部350の図示しない扉を開いて、異物受入トレイ382の搬送側端部の直下でゴミ箱を持った後、駆動モータ388を作動させて、トレイ上で異物を搬送しながら順次ゴミ箱内に落下させるのである。このようにしても、トレイ上からの異物については、清掃用具などを用いた手作業による取り除きではなく、駆動力を用いた取り除きが可能である。しかしながら、トレイ上の異物を全てトレイ端まで搬送するまでの間、ゴミ箱を持った状態で待機しなければならない。本体内からの異物の取り出し時に、ユーザーに余計な待ち時間を強いてしまうのである。そこで、本自動画像読取装置300においては、取り出し作業に先立って、異物を予め異物収容ボトル389内に搬送しておくように、異物受入トレイ382を定期的に往復移動させている。また、異物収容ボトル389内の異物満杯レベルを検知する図示しない満杯センサを設けている。かかる構成では、異物を異物収容ボトル89内が満杯になるまで予めトレイ上から搬送しておき、満杯になった時点で迅速にボトルを交換あるいは取り外して、異物をまとめて廃棄することができる。異物収容ボトル389を本体から取り出し易くするには、本体の操作面側にボトルを配設したり、上記扉が開かれた状態でアクセスし易い位置に配設したりすると良い。異物除去装置の定期的な往復移動(以下、除去駆動という)については、後述の制御部による制御によって行われる。
異物除去装置380を駆動する際には、異物受入トレイ382の復移動停止時におけるストッパー部材との衝突により、トレイだけでなく、イメージセンサ(356)画像読取部(310)にも少なからず衝撃を与えることになる。そして、その衝撃の影響で読取画像を乱してしまうおそれがある。
そこで、移動制御手段たる上記制御部は、画像読取手段たるイメージセンサ(356)や画像読取部(310)による読取処理の停止中に限って、上記往復移動手段を駆動する制御を実施するように構成されている。この読取処理の停止中とは、具体的には、イメージセンサ(356)や画像読取部(310)による読取位置を原稿が通過していない期間のことである。かかる構成では、読取処理中のイメージセンサ(356)や画像読取部(310)に対して、トレイやブレードの往復移動による衝撃を与えることによる読取画像の乱れを回避することができる。なお、上記制御部は、自動画像読取装置300の全体の制御を司るもので、演算手段たるCPUや、記憶手段たるRAM、ROM等から構成されている。
図8は、上記制御部による除去駆動制御の一例を示すフローチャートである。この除去駆動制御では、まず、通紙カウント値C1の値について、閾値を上回ったか否かが判断される(ステップ1−1:以下、ステップをSと記す)。この通紙カウント値C1とは、制御部によってカウントされる値であって、前回の除去駆動制御を終えてからの通紙枚数の累積である。
上記通紙カウント値C1が閾値を上回っていない場合には(S1−1でN)、異物除去装置80による除去駆動がなされないまま、制御が終了する。一方、閾値を上回っている場合には(S1−1でY)、次に、画像読取中であるか否かが判断される(S1−2)。そして、画像読取中である場合には(S1−2でY)、それが終了するまで制御フローの進行が中断される。また、画像読取中でない場合、即ち、読取処理の停止中には(S1−2でN)、異物除去装置80の駆動が所定時間だけONされて、搬送用ローラ対354からの異物の除去が行われた後(S1−3)、一連の制御フローが終了する。
図9は、参考形態に係る自動画像読取装置の変形例における異物除去装置380Aを、搬送用ローラとともに示す分解斜視図である。この異物除去装置380Aは、異物受入トレイ382の復移動を弾性体たるコイルバネによる付勢力(弾性力)によって行うのではなく、弾性体たる2つの板バネ390a,bの弾性力によって行う点が図4に示したものと異なる。異物受入トレイ382の両端近傍には、扁平状の板バネ390a,bの長手方向一端側が、バネ扁平面を側面にする姿勢でそれぞれ図示しないビスによって固定されている。このような姿勢で固定された板バネ390a,bは、水平方向に弾性変形するが、垂直方向に弾性変形することはない。板バネ390a,bのもう一端側は、それぞれ図示しないビスによってトレイ支持板383に固定されている。ビスに代えて、接着や嵌合などによっていたバネ390a,bを固定してもよい。
図10は、上記ストッパー位置にある異物受入トレイ382を示す分解平面図である。同図において、振振幅W内を往復移動せしめられる異物受入トレイ382上に固定された2つの板バネ390a,bは、それぞれ弾性変形していない真っ直ぐに延びた形状になっている。偏心カム387が回転して異物受入トレイ382を往移動させ始めると、板バネ390a,bがそれぞれ図中左方向に撓み始める。そして、偏心カム387が、その偏心凸部の頂点をカム受け円盤382dに当接させる位置まで回転すると、図11に示すように、異物受入トレイ382が振振幅Wの図中左端に位置して、その往移動を停止させる。偏心カム387が更に回転すると、偏心カム387とカム受け円盤382dとの当接が解かれて、図12に示すように、異物受入トレイ382が撓んだ板バネ390a,bの復元力によって振振幅Wの右端まで一気に復移動する。そして、その突き当て部382cをストッパー部材385に突き当てて、復移動を急激に停止させる。この突き当たりの際、異物受入トレイ382に衝撃が付与されて、被吸着体たるトレイ面に吸着した異物zのトレイ面からの離脱が促される。また、同時に、異物受入トレイ382の急停止に伴って、異物受入トレイ382上で引き続き復移動しようとする異物zの慣性力が、異物zにおけるトレイ面との静止摩擦力を上回って、異物zがトレイ面上を図中左側から右側に向けて移動する。
かかる構成の変形例に係る自動原稿読取装置における異物除去装置380Aにおいては、異物受入トレイ382の往復移動を案内するためのガイドレールを設けなくても、2つの板バネ390a,bによってその撓み方向に往復移動を案内することができる。但し、異物受入トレイ382を相対的に矢印x方向に往復移動させるものの、厳密に矢印x方向に往復移動させることはできない。振幅Wの両端付近に移動した異物受入トレイ382は、大きく撓む板バネ390a,bによって、振幅Wの中央(ストッパー位置)に比べて異物受入トレイ382を搬送用ローラから遠ざける。すると、異物受入トレイ382に固定された除去ブレード381を僅かにローラから離間させたり、当接させたりしながら、往復移動を行うことになる。そして、この離間と当接との繰り返しにより、図4に示した構成のものに比べて搬送用ローラを傷付け易くなる。
次に、本発明を適用した実施形態に係る自動原稿読取装置について説明する。図13は、実施形態に係る自動原稿読取装置の異物除去装置380Bを示す分解斜視図である。この異物除去装置380Bは、駆動モータ388で偏心カムを回転させるのではなく、回動部材たるリール391を回転させる点以外が、図4に示した異物除去装置380とほぼ同様の構成になっている。駆動モータ388の駆動によってリール391が図中時計回りに回転すると、巻き付け部材たるワイヤ392がリール391に巻き付けられている。すると、ワイヤ392の端に固定された異物受入トレイ382が、コイルバネ386の付勢力に打ち勝って、図14や図15に示すように、図中右側から左側へと移動する。そして、駆動モータ388の回転駆動が停止すると、コイルバネ386の付勢力により、駆動モータ388が図中反時計回りに空転する。そして、ワイヤ392がリール391から巻き戻されて、ワイヤ392の端に固定された異物受入トレイ382が図中左側から右側に向けて一気に移動した後、ストッパー部材385に突き当たって停止する。
次に、本発明を適用した画像形成システムの実施形態について説明する。
図17は、本実施形態に係る画像形成システムを示す斜視図である。この画像形成システムは、プリンタ部100と、給紙バンク400と、自動画像読取装置300とから構成されている。自動画像読取装置300は、図2に示したものと同様の構成になっており、プリンタ部100の上方に固定されている。そして、原稿から読み取った画像情報をプリンタ部100の図示しない画像データ処理装置に送る。給紙バンク400は、内部に多量の記録体たる転写紙を収容しており、それを2枚ずつプリンタ部100に供給することができる。
図18は、画像形成装置たる電子写真方式のプリンタ部100を示す概略構成図である。図において、このプリンタ部100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図19に示すように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、直径10〜100[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。なお、現像装置は、トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤を用いるものでも、トナー粉体だけを用いるものでもよい。また、トナーは、粉砕法によって製造された粉砕トナーでも、球形に形成されたトナーでもよく、粒径で6[μm]程度のものが良好である。
先に示した図18において、上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その図中左側方には画像データ処理装置E1が配設されている。画像データ処理装置E1は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。また、露光装置7の筐体には、その上方に配設された各感光体1Y,M,C,Kから落下してくるトナーによる内部部品の汚染を防止するために、図示しないシール部材を設けている。
各感光体1Y,M,C,K上に形成されたY,M,C,K用の静電潜像は、転写装置60による転写工程を経る。この転写装置60は、第1紙カセット25、第2紙カセット26、手差しトレイ27、記録体搬送手段たる給紙手段、両面転写手段などを備えている。
上記転写装置60の第1紙カセット25、第2紙カセット26、手差しトレイ27は、それぞれ記録体収容手段として機能している。これらのうち、第1紙カセット25と第2紙カセット26とは、上述の露光装置7の図中下方で鉛直方向に重なるように配設されており、それぞれ内部には記録体たる転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容している。一方、手差しトレイ25は、プリンタ本体の筐体内でなく、筐体の側面から延出するように設けられており、この上には転写束が載置される。
上記転写装置60の給紙手段は、第1給紙ローラ28、第2給紙ローラ29、手差し給紙ローラ30、レジストローラ対31、給紙路32、これに合流する給紙案内路33、搬送ローラ対34などから構成されている。第1給紙ローラ28、第2給紙ローラ29は、それぞれ上記第1紙カセット25、第2紙カセット26内に収容されている転写紙束の一番の転写紙Pに当接している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、その一番上の転写紙Pを給紙路32に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、給紙路32の末端付近に配設されたレジストローラ対の第1レジストローラ31aと第2レジストローラ31bとの間に挟まれる。レジストローラ対31は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを互いに順方向に回転駆動させるが、ローラ間に記録体を挟み込むとすぐに両ローラの回転を一旦停止させる。そして、適切なタイミングで回転を再開して転写紙Pを後述の2次転写ニップに向けて送り出す。タイミングローラ対として機能しているのである。一方、手差し給紙ローラ30は、上記手差しトレイ27に載置されている転写紙束の一番上の転写紙Pに当接している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、その一番上の転写紙Pを給紙案内路33に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、図示しない駆動手段によって互いに当接しながら順方向に回転せしめられる搬送ローラ対34のローラ間を経由して給紙路32の末端付近に至る。そして、第1レジストローラ31aと第2レジストローラ31bとの間に挟まれる。
上記転写装置60の両面転写手段は、第1転写ユニット15と第2転写ユニット24とを有している。第1転写ユニット15は、上述のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方に配設されており、第1中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10などを備えている。また、2次転写バックアップローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。第1中間転写体たる第1中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、図示しない電源の供給を受けて、トナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)に印加する。第1中間転写ベルト8は、この1次転写バイアスによるトナー像の静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、樹脂フィルムやゴムなどからなる50〜500[μm]の厚みのベルト基体に、低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率は、105〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。これら4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kの他に配設された上述の3つのローラは、全て電気的に接地されている。第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。第1中間転写ベルト8を張架している2次転写バックアップローラ12は、後述の第2中間転写ベルト16に食い込むような配設位置になっている。このような食い込み配置により、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とをそれぞれ周長方向に広く当接させる2次転写ニップが形成されている。第1中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、2次転写ニップで第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、第1中間転写ベルト8は、そのループ外面(おもて面)側に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、そのループ内面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。なお、バイアス印加方式の4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kに代えて、電極から放電させるチャージャ方式のものを用いてもよい。
上記両面転写手段の第2転写ユニット24は、第1転写ユニット15の図中右側方に配設されており、第2中間転写ベルト16、第2クリーニング装置18、転写チャージャ23などを備えている。また、2次転写ローラ17、ニップ拡張ローラ19、テンションローラ20、バックアップローラ21なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら4つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。上述した第1転写ユニット15の2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ17とニップ拡張ローラ19との間の第2中間転写ベルト16架橋部分に食い込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ17は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層が被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性(例えばプラス極性)の2次転写バイアスが供給される。第2転写ユニット24におけるこれ以外のローラは全て接地されている。
上述した給紙手段のレジストローラ対31は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第1面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、このとき、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップでニップ圧や2次転写バイアスの作用を受けて第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第2トナー像である場合には、レジストローラ対31は、この第2トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。よって、第2トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pの第2面に2次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、2次転写ニップで転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれている第1トナー像は、2次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられる。このため、転写紙Pの第1面に密着しているが、そこに2次転写されるわけではない。上記第2中間転写ベルト16は、このような静電的な2次転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミドやポリアミドイミドなどからなる厚み50〜500[μm]のベルト基体に、フッ素などの低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014になっている。また、表面抵抗率が105〜1015[Ω/□]に調整されている。
上述の第1転写ユニット15において、2次転写バックアップローラ12は、第1中間転写ベルト8を、その移動方向をほぼ反転させるような形状で張架している。そして、移動方向を反転させつつある第1中間転写ベルト部分を第2中間転写ベルト16に当接させて2次転写ニップを形成している。よって、2次転写ニップの出口では、第1中間転写ベルト8が転写紙Pから離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16の表面だけに保持されて搬送されるようになる。そして、第2転写ユニット24内において、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、3次転写部に送られる。第2転写ユニット24の3次転写部では、第2中間転写ベルト16のバックアップローラ21による張架部分に対し、転写チャージャ23が所定の間隙を介して配設されている。第2中間転写ベルト16上の転写紙Pは、転写チャージャ23によって第2面側にトナーと反対極性(例えばプラス極性)の電荷が付与される。この電荷の付与により、転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれていた第1トナー像が転写紙Pの第1面に3次転写されてフルカラー画像になる。転写装置60は、転写紙Pに対して上記2次転写ニップでその第2面に第2トナー像を前段転写した後、上記3次転写部でその第1面に第1トナー像を後段転写するのである。なお、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される部材として、ローラ(9,17)ではなく、ブラシなど他の形状のものを用いてもよい。また、転写バイアスを部材に印加する静電転写方式ではなく、非接触放電式を採用してもよい。
上記第2転写ユニット24において、3次転写によって両面転写が完了した転写紙Pは、第2中間転写ベルト16から分離されて後述の定着装置35に送られる。上記3次転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16は、バックアップローラ21と第2クリーニング装置18との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。この第2クリーニング装置18が第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置18は、図示しない揺動機構によって揺動軸18aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第1トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第1トナー像のクリーニングを回避する。
第2転写ユニット24の図中上方には、定着手段たる定着装置35が配設されている。この定着装置35は、互いに順方向に回転しながら当接して定着ニップを形成する2つの定着ローラ35a,bを有している。これら定着ローラ35a,bは、何れも図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有しており、定着ニップに挟み込まれた転写紙Pを両面から加熱する。この加熱により、転写紙Pの両面にそれぞれ形成されたフルカラー画像が、これを構成するトナーの軟化によって転写紙Pに定着せしめられる。定着後の転写紙Pは、反転ガイド部材36に沿って反転せしめられた後、排紙ローラ対37を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック部40にスタックされる。
2つの定着ローラ35a,bは、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が検知される。この温度検知手段は、プリンタ本体の筺体内の最上部に配設された制御部E2に送信する。制御部E2は、温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、定着ローラ35a,bの上記発熱手段に対する電源供給をON/OFF制御して、定着ローラ35a,bの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。但し、転写紙Pの片面にだけ画像を形成する片面プリントモードが実行されている場合には、両面プリントモードの場合に比べて少ない熱量で画像を定着させることができる。片面にしか画像が形成されていないため、両面のときよりも転写紙P上のトナー量が少なくなるからである。よって、片面プリントモードのときに、両面プリントモードのときよりも上記表面温度の目標範囲を低くすれば、省エネルギー化を図ることが可能になる。また、単色画像はフルカラー画像よりもトナー量が少なくなるので、単色プリントモードとフルカラープリントモードとの違いに応じて上記表面温度の目標範囲を切り替えることによっても、省エネルギー化を図ることが可能になる。
以上のようにして、本プリンタ部100は、フルカラー画像の定着処理を行う定着装置35に送られる前の転写紙Pに対して、上記両面転写手段によってその両面にフルカラー画像の前駆体である4色トナー像を転写する。そして、このことにより、転写紙Pの両面に対してワンパス方式での画像形成を行うことができる。なお、本プリンタ部100のように、感光体等の像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成した可視像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び像担持体に可視像を形成して中間転写体上の可視像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、可視像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数の可視像をそれぞれに対応する像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成時間を大幅に短縮することができる。
上述したように、上記第1トナー像は上記第2トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写された後、上記3次転写部で転写紙の第1面に3次転写される。この第1面とは、上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を上に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタ部100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第1トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面プリントモードを実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第2面に2次転写せしめる。このことにより、片面プリントモードにおいても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像用に形成される各色トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された各色トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pに至る過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体上で正像として形成されることで、転写紙Pの第2面においても正像になるのである。これに対し、第1トナー像用に形成される各色トナー像は、3次転写まで行われるため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
上述の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像器に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。
以上の構成のプリンタ部100は、その全体の制御を司る図示しないプリンタ制御部を有しており、自動画像読取装置(300)の上記制御部と図示しないケーブルで接続されて交信することができる。自動画像読取装置(300)の上記制御部は、プリンタ制御部からの信号に基づいて、上記異物除去装置(380)の駆動を制御する。
図20は、本画像形成システムの自動画像読取装置(300)の制御部による除去駆動制御の一例を示すフローチャートである。この除去駆動制御では、まず、通紙カウント値C1の値について、閾値を上回ったか否かが判断される(S2−1)。そして、通紙カウント値C1が閾値を上回っていない場合には(S2−1でN)、異物除去装置(380)による除去駆動がなされないまま、制御が終了する。一方、閾値を上回っている場合には(S2−1でY)、次に、読取処理中であるか否かが判断される(S2−2)。そして、読取処理中である場合には(S2−2でY)、それが終了するまで制御フローの進行が中断される。また、読取処理中でない場合には(S2−2でN)、次に、プリンタ部(100)の画像形成動作中であるか否かが判断される(S2−3)。そして、画像形成動作中である場合には(S2−3でY)、それが終了するまで制御フローの進行が中断される。また、画像形成動作中でない場合には(S2−3でN)、未定着処理の記録体を搬送中であるか否かが判断される(S2−4)。そして、搬送中である場合には(S2−4でY)、その搬送が終わるまで制御フローの進行が中断される。また、搬送中でない場合には(S2−4でN)、異物除去装置(380)の除去駆動が所定時間だけONされて、搬送用ローラ対354からの異物の除去が行われた後(S2−5)、一連の制御フローが終了する。
かかる除去駆動制御を行う本画像形成システムにおいては、実施形態に係る自動画像読取装置300と同様に、読取処理中のイメージセンサ(356)や画像読取部(310)に対して、トレイやブレードの往復移動による衝撃を与えることによる読取画像の乱れを回避することができる。また、除去駆動に伴う衝撃の影響によって画像乱れを引き起こすおそれのある画像形成動作中に除去駆動を行わないことで、その衝撃に起因するプリンタ部100での画像の乱れを回避することができる。なお、通紙枚数が閾値に達する毎に、除去駆動を行うようにした例について説明したが、プリンタ部100の定着温度ウオーミングアップ期間などといった、画像形成動作停止期間の中の所定期間が到来する毎に、除去駆動を所定時間だけ行うようにしてもよい。また、画像形成動作停止期間に限って実施する様々な除去駆動モードを用意しておき、操作パネル等による設定でユーザーに任意のモードを選択させるようにしてもよい。
プリンタ部100として、本画像形成システムのように、電子写真方式で画像を形成するものを用いる場合には、画像形成動作とは、具体的には次の動作のことを指す。即ち、感光体等の潜像に対する光書込を開始してから、潜像担持体上で現像された可視像の記録体(例えば転写紙)への転写を終えるまでの動作である。この転写とは、あくまでも最終的な転写のことを指し、中間転写を意味するものではない。よって、例えば2次転写まで行うものにあっては、光書込開始から2次転写終了までの動作が画像形成動作である。但し、転写終了後、定着完了前(定着装置への記録体の通過を終える前)に、画像形成装置本体に衝撃を与えてしまうと、未定着の画像を見だしてしまうおそれがある。よって、画像形成動作停止期間中で、且つ、定着完了前の記録体を機内でしていないときに、両異物除去装置の除去駆動を行うことがより望ましい。
また、プリンタ部として、特開2002−307737号公報に記載されているようないわゆる直接記録方式で画像を形成するものを用いる場合には、画像形成動作とは次の動作のことを指す。即ち、記録紙等の記録体をトナー飛翔装置の直下に進入させ始めてから、その直下を通過させ終わるまでの期間である。もちろん、電子写真方式と同様に、画像形成動作停止期間中で、且つ、定着完了前の記録体を機内でしていないときに、両異物除去装置の除去駆動を行うことがより望ましい。なお、直接記録方式とは、記録体に向けてトナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナーを付着させることで、ドット状の各画素を直接記録していく方式である。
プリンタ部100における画像形成動作停止期間としては、定着温度ウオーミングアップ期間、プリント命令待機期間、サブ電源オフ後の冷却ファン遅延停止期間などが挙げられる。プリント命令待機期間とは、全てのプリントジョブ(排紙を含む)を終了してから、ユーザーからの次のプリント命令を受信するまでの期間である。この期間が所定時間よりも長くなると、プリンタは定着ローラ(56a)の熱源に電源を供給しない省エネモードでプリント命令を待機するように構成されるのが一般的である。このような省エネモードによる待機も、プリント命令待機期間に含まれる。
上記定着温度ウオーミングアップ期間は、図示しない主電源やサブ電源がONされた直後や、省エネモードの待機でプリント命令を受信した直後などに、発生する。定着ローラ(56a)の熱源への電源供給を開始してから、ローラ表面を所定温度まで昇温せしめるまでの期間である。
上記サブ電源オフ後の冷却ファン遅延停止期間は、図示しないサブ電源がOFFされた直後に発生する。このサブ電源は、コンセントからプリンタ内への電源供給を完全に遮断するための主電源とは異なり、少なくとも上記制御部には電源を供給するように、プリンタ内の殆どの機器への電源を遮断する電源である。サブ電源がOFFされた直後に、冷却ファンの作動を停止させてしまうと、余熱によって筐体内の温度を著しく上昇させて、種々の不具合を発生させるおそれがある。そこで、サブ電源OFF直後にも、一定時間だけ冷却ファンを作動させる冷却ファン遅延停止期間を設けるのが一般的である。
これまで、無端移動体対として、2つのローラ部材(54a,b)を設けた原稿搬送手段を用いた自動画像読取装置の例について説明したが、何れか一方又は両方にベルト部材を用いた自動画像読取装置にも本発明の適用が可能である。
以上、実施形態に係る自動画像読取装置300や画像形成システムにおいては、除去部材たる除去ブレード381を、異物受入部たる異物受入トレイ382に固定して、ブレードをトレイとともに往復移動手段で往復移動させるようにしている。かかる構成では、1つの往復移動手段により、ブレードと搬送用ローラとの当接部で生ずる異物の堆積を抑えて読取画像の乱れを確実に抑えるとともに、図5、図6、図7などを用いて説明したように、トレイを往復移動させてトレイ内の異物を搬送することができる。なお、搬送用ローラ等の表面から除去した異物を受け入れる異物受入部の中にスクリュー部材を配設し、これの駆動によって異物を異物受入部内で所定方向に搬送する異物除去装置の試作機を製造してみた。スクリュー部材による搬送は、従来より、画像形成装置内でトナーを搬送するトナー搬送機構に採用されている技術である。ところが、記録体から出る紙粉や添加剤等の異物の中には、トナーとは異なり、スクリュウ部材表面に強く吸着したままいつまでも離れずにいるものがあり、それがいつまで経って搬送されないという事態を引き起こしてしまった。スクリュウ部材に代えて、他の可動部材による搬送も試してみたが、同様に異物が可動部材に強く吸着して、なかなか搬送されないことがわかった。これに対し、トレイを往復移動させると、移動方向の反転の際にトレイに衝撃を付与して、トレイに吸着した異物のトレイからの離脱を促すことで、異物をいつまでもトレイの一定箇所に吸着させたままでいるといった事態を抑えて、トレイ内で良好に搬送することができた。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300や画像形成システムにおいては、除去部材として、無端移動体たる搬送用ローラの表面に対して、その表面移動方向に直交する方法である上記x方向に延在するように設けられたブレード部材たる除去ブレード381を用いている。かかる構成では、ブレードと搬送用ローラとの当接部に挟み込まれた異物の先端と、挟み込まれていない後端側との境界を、除去ブレード381の鋭いエッジによってカットすることで、エッジのない除去ブラシ等を用いる場合に比べ、より確実に当接部手前側の異物の堆積を抑えることができる。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300や画像形成システムにおいては、図21に示しように、除去ブレード381及び異物受入トレイ382の往移動停止時における負の加速度と、復移動停止時における負の加速度とのうち、何れか一方(本例では後者の加速度)をもう一方よりも大きくしている。かかる構成では、その何れか一方の方向に移動していた異物受入トレイ382の停止に伴って異物を同方向に慣性移動させる量を、もう一方の方向に移動していた異物受入トレイ382の停止に伴って異物を同方向に慣性移動させる量よりも確実に大きくする。そして、このことにより、異物をトレイ面上で確実に前者の方向に搬送することができる。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300や画像形成システムにおいては、除去ブレード381及び異物受入トレイ382の往移動と復移動とのうち、停止時の負の加速度を大きくする方については、異物受入トレイ382をストッパー部材385に衝突させて停止させるようにしている。かかる構成では、ストッパー部材385との衝突によるトレイの急停止により、上記何れか一方の負の加速度を上記もう一方の負の加速度よりも大きくするという構成を容易に取り入れることができる。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300の異物除去装置380Bにおいては、異物受入トレイ382の往移動と復移動とのうち、停止時の負の加速度を大きくする方を、弾性変形した弾性体たるコイルバネ386の復元力によって行わせるように、往復移動手段を構成している。負の加速度を大きくする方の移動については弾性体の復元力で一気に行わせた後に、急停止させてその負の加速度を得ることができる。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300の異物除去装置380Bにおいては、上記往移動と復移動とのうち、停止時の負の加速度を小さくする方を、駆動モータ388の駆動力によって行わせるように、往復移動手段を構成している。かかる構成では、停止時の負の加速度を小さくする方の移動については、駆動モータ388の駆動力によってゆっくりと行わせることで、上記何れか一方の負の加速度を上記もう一方の負の加速度よりも大きくするという構成を更に容易に取り入れることができる。
また、参考形態に係る自動画像読取装置300の異物除去装置380においては、駆動モータ388の駆動力で偏心カム387を回転させ、回転する偏心カム387の付勢力により、上記往移動と復移動とのうち、停止時の負の加速度を小さくする方を行わせるように、往復移動手段を構成している。かかる構成では、駆動モータ388の軸に固定した偏心カム387という簡単な構成により、異物受入トレイ382をゆっくりと付勢して、負の加速度を大きくする方の移動をつくりだすことができる。
また、実施形態に係る異物除去装置380Bにおいては、駆動力の付与によって回動する回動部材たるリール391に巻き付けられる巻き付け部材たるワイヤ392のリール391に対する巻き付けにより、上記往移動と復移動とのうち、停止時の負の加速度を小さくする方を行わせるように、往復移動手段を構成している。かかる構成では、リール391によるワイヤ392の巻き付けにより、異物受入トレイ382をゆっくりと付勢して、負の加速度を大きくする方の移動をつくりだすことができる。なお、巻き付け部材としては、ワイヤ392の他に、ベルト等を用いることも可能である。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300や画像形成システムにおいては、画像読取手段たるイメージセンサ356や画像読取部310による読取処理の停止中に限って、往復移動手段を駆動させる移動制御手段たる制御部を設けている。かかる構成では、読取処理中のイメージセンサ356や画像読取部310に対して、トレイやブレードの往復移動による衝撃を与えることによる読取画像の乱れを回避することができる。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300や画像形成システムにおいては、原稿の両面に記録されている画像をそれぞれ読み取るための2つの画像読取手段(イメージセンサ356及び画像読取部310)を設けている。かかる構成では、自動画像読取装置300内の原稿搬送路に原稿を2回通すことなく、ワンパスでその両面の画像を読み取らせることができる。
また、実施形態に係る自動画像読取装置300や画像形成システムにおいては、前段落に記載した構成に加えて、無端移動体対たる搬送用ローラ対354の2つの搬送用ローラに対してそれぞれ異物除去処理を行うための2つの異物除去装置380を設けている。かかる構成では、原稿の両面からそれぞれ搬送用ローラに転移する異物を両方とも除去して、原稿に異物を付着させることによる読取画像の乱れを更に確実に抑えることができる。しかも、両面に画像が記録されている原稿の読み取りを行っても、その両面に付着している画像形成物質(インクやトナー)からなる異物の除去を、確実に行うことができる。
また、実施形態に係る画像形成システムにおいては、自動画像読取装置300として、画像の読取処理の停止中で、且つ、画像形成装置たるプリンタ部100による画像形成動作の停止中に限って、往復移動手段を駆動させるように、移動制御手段たる制御部を構成したものを用いている。かかる構成では、トレイの往復移動時の衝撃による読取画像の乱れに加えて、その衝撃による形成画像の乱れも回避することができる。
また、実施形態に係る画像形成システムにおいては、自動原稿読取装置300として、2つの画像読取手段(イメージセンサ356及び画像読取部310)を設けたものを用いるとともに、画像形成装置たるプリンタ部100として、次のようなものを用いている。即ち、像担持体たる感光体に担持した可視像たるトナー像を、両面転写手段によって感光体から記録体たる転写紙Pの両面に転写して、転写紙Pの両面に画像を形成するものである。かかる構成では、自動原稿読取装置300内にて1パスで原稿の両面の画像を読み取るとともに、プリンタ部100内にて1パスで転写紙Pの両面に画像を形成することができる。