JP4142401B2 - ろ過式水処理方法及びろ過式水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固液分離における運転管理に用いる方法及び装置であって、余剰汚泥濃縮、上水膜処理における前処理、上水汚泥分離(濃縮)、無機物含有排水処理、凝集フロック分離、粗ろ過(下排水前処理)等における、有機性あるいは無機性工業廃水、及び生活排水処理、特に活性汚泥の固液分離に好ましく用いる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水処理の分野では、活性汚泥や凝集フロックの固液分離は、沈殿池においてこれら対象物を重力沈降させて分離を行い、その上澄み液を処理水として流出させる方法が一般的である。しかし、こうした沈殿池は設置面積が大きいこと、滞留時間が長いこと、さらに、除去できる粒子径に限界があることなどから、処理装置の大型化と設置容積増大の要因となっている。
【0003】
近年、こうした沈殿池の代替として、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)等による膜分離も用いられるようになり、良好な処理水質が得られている。しかしながら、膜分離に用いられる膜の孔径は1μm以下と非常に小さいため、膜の使用時には、通常、数十〜数百kPa程度のポンプ等による加圧、または吸引を行う必要があり、ポンプ動力等のランニングコストが大きい割に、得られる透過流束が小さいため、大容量処理にはあまり適当でない。さらに、これら分離膜は、阻止した有機物、微生物の代謝産物等により膜が汚染され、膜孔の閉塞が生じてろ過性能が低下するため、定期的な薬品洗浄が不可欠であるという欠点もある。
【0004】
以上のような沈殿分離法の代替技術、あるいは、膜分離処理における問題を解決する方策として、織布、不織布等を用いたダイナミックろ過法(特許文献1)が提案されている。ここで言う「ダイナミックろ過法」とは、分離対象よりも大きな孔径を有する織布、不織布等をろ過基盤(基材)として用いて、これを曝気槽(生物反応槽)に浸漬し、その表面に分離対象物質を付着、いわゆる“ダイナミック膜”を形成させ、「取りたいものを取りたいものでろ過する」方法である。より分かり易くいうと、前記ろ過体のろ過基材の上に分離対象物質の薄いダイナミックろ過層を形成し、被処理液をこのろ過基材の上に平行にかつ比較的早く流すことによりダイナミックろ過層の厚さを成長させないようにしてろ過を進行させる方法である。
【0005】
本法によれば、ろ過基盤(基材)の孔径が大きいため、付着したダイナミック膜が抵抗とならない範囲であれば、わずかな圧力差、例えば、数cm程度の水頭差で十分な透過流束が得られ、大容量処理が可能となる。但し、付着させたダイナミック膜は、ある厚さを越えると抵抗となって透過流束を減少させるため、定期的に空洗等により剥離して新しいダイナミック膜を形成させる、という繰り返しサイクルで運転する必要がある。この時、剥離のタイミングが適当でないと、付着したダイナミック膜が圧密化してろ過基盤(基材)から剥がれず、透過流束の低下を招くこととなる。このため、適切な運転サイクルを設定することが重要となる。
【0006】
そこで、通水性ろ過体の表面に対して水洗を行い、初期値とほぼ同様なろ過Fluxを、長期にわたって安定して得られ、しかも、安定した処理水量、水質を得ることができる生物処理汚水の固液分離装置の洗浄方法及び装置を得ることを目的として、ろ過体洗浄時に、ろ過分離槽内の活性汚泥混合物を生物反応槽に完全に返送した時点で、ろ過体より上に設置された水洗ユニットをろ過体に面する液の流路に降下させて、ろ過体表面に対して水洗するろ過体の洗浄方法及び洗浄装置(特許文献2)が提案されている。
【0007】
また、最近提案された膜分離手段を用いる分離装置では、分離膜による透水速度と上澄み液中の懸濁粒子濃度とが密接に関係しており、被処理液の上澄み液中の懸濁粒子濃度を指標にすると、適正な透水速度で円滑かつ効率よく固液分離できると説明されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−185078号公報
【特許文献2】
特開2002−136845号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方法では、上澄み液の懸濁粒子濃度を指標としているため、その試料調製に時間がかかり、生物処理液のように水質が刻々と変化する被処理液の水質を適切に把握できるとは限らない。しかも、静置の操作が入るため、上澄み濁度の測定を自動化することは難しく、連続的に安定した処理を行うことができない。さらに、被処理液の性状によっては、懸濁粒子がまったく沈殿しない、すなわち、上澄み液が得られない場合があるため、このような方法を用いて運転制御することは実質的に不可能である。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ダイナミックろ過法を用いた固液分離において、分離対象物の性状変化に対応した適切な運転を可能にする運転管理指標を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、被処理水中の懸濁物の平均粒径及び水温、さらには懸濁物密度指標との関係から、ろ過開始から空洗を行うまでの1サイクルあたりのろ過時間が設定できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、下記の手段により上記の課題を解決することができた。
(1)生物処理液から活性汚泥をダイナミックろ過により固液分離するろ過方法において、該生物処理液の懸濁物平均粒径、懸濁物密度指標、及び水温を指標として下記式1及び式2によりろ過係数を算出し、これに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を決定することを特徴とする生物処理液のろ過式水処理方法。
(式1) y=αx 2 +βx+c
ただし、y:ろ過係数
x:懸濁物平均粒径
α、β、c:定数
(式2) y=μ・U 2 ・t/d
ただし、μ:水温により変動する水の粘性係数
U:膜透過速度
t:ろ過速度が立ち上がり始めるまでのろ過時間
d:懸濁物密度指標
(2)生物処理液から活性汚泥をダイナミックろ過により固液分離するろ過装置において、該生物処理液の懸濁物の粒径分布測定装置、SS測定装置、懸濁物容量測定装置、及び水温計を備え、懸濁物の粒径分布測定装置のデータから算出された懸濁物平均粒径、SS測定装置と懸濁物容量測定装置とから算出された懸濁物密度指標、及び水温計の測定水温から下記式1及び式2によりろ過係数を算出する演算装置、並びにこれに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を決定する制御機構を有することを特徴とする生物処理液のろ過式水処理装置。
(式1) y=αx 2 +βx+c
ただし、y:ろ過係数
x:懸濁物平均粒径
α、β、c:定数
(式2) y=μ・U 2 ・t/d
ただし、μ:水温により変動する水の粘性係数
U:膜透過速度
t:ろ過速度が立ち上がり始めるまでのろ過時間
d:懸濁物密度指標
【0013】
(3)運転開始後に算出されたろ過係数をフィードバックし、これに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を再設定する制御機構を有することを特徴とする前記(2)記載のろ過式水処理装置。
【0014】
以下に、本発明の構成について個別に説明する。
本発明は、懸濁物平均粒径、及び水温の一部、又は全部、さらに、懸濁物密度指標を指標として運転サイクルの制御を行うことを特徴とするろ過式水処理方法であるが、運転サイクルの制御として、ろ過水を循環、または放出することの切り替えを含むことも特徴の一つとしている。
【0015】
本発明は、懸濁物平均粒径及び水温、さらには懸濁物密度指標を指標としてろ過体のろ過係数を算出し、これに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を決定することを特徴としているが、ろ過係数を算出する際、例えば、次のような2次式(式1)が利用できる。
(式1) y=αx2+βx+c
ただし、y:ろ過係数
x:懸濁物平均粒径
α、β、c:定数
なお、α、β、cは実験により求める。その値の例は以下に示す。さらに、ろ過係数yは、以下の関係式より求める。
(式2) y=μ・U2・t/d
ただし、μ:水温により変動する水の粘性係数
U:膜透過速度
t:ろ過速度が立ち上がり始めるまでのろ過時間
d:懸濁物密度指標
【0016】
また、上記のろ過の方法は、ダイナミックろ過であっても良く、この場合、上記式1から決定したろ過係数は、付着したダイナミック膜を更新するまでの時間、すなわち、ダイナミック膜が容易に剥離できるまでの時間、すなわち、ダイナミック膜が容易に剥離できるまでの最大時間を決定するために用いられる。
【0017】
ダイナミックろ過において、ろ過対象とする懸濁物を含む被処理水は、例えば、平均粒径が50〜200μm程度の活性汚泥を含む生物処理液などでも良く、ろ過に用いるろ過基盤(基材)は、孔径100〜200μm程度の織布、不織布、金属網等を用いることができる。これらのろ過体を用いた場合、ろ過基盤(基材)の上に層状に形成させた懸濁物(ろ過層)で、分離対象の懸濁物をろ過するダイナミックろ過法による分離が行えるため、下水処理等、大流量の処理に用いることができる。上記式1から決定したろ過可能時間に達したら、ろ過面を更新し、新たなろ過面を形成させるという繰り返しによって、長期に渡り良好な運転が可能となる。
【0018】
この時、例えば、ろ過基盤(基材)の孔径が170μm近傍において、活性汚泥を含む生物処理液のろ過では、活性汚泥の平均粒径が50〜200μm、特に、50〜150μmの場合、上記式1のα、β、cはそれぞれ、
α=0.2〜0.4、β=−40〜−60、c=2000〜5000
とすることで、1サイクルあたりのろ過可能時間が決定できることを確認した。
また、本発明は、ろ過水の懸濁物濃度を測定することで、ろ過水の循環、または放出の切り替えを行うことができ、この点も特徴としている。
【0019】
本法で用いる装置は、懸濁物の粒径分布測定装置、SS測定装置、懸濁物容量測定装置、及び水温計を備え、懸濁物の粒径分布測定装置のデータから算出された懸濁物平均粒径、SS測定装置と懸濁物容量測定装置から算出された懸濁物密度指標、及び水温計の測定水温から、上記2次式(式1)に基づきろ過係数(y)を算出する演算装置、並びに、yに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を決定する制御機構を有することを特徴とするろ過式水処理装置である。
本装置は、前記記載の制御装置により、ろ過水ライン切り替え弁を操作する弁操作機構を有することを特徴としており、さらに、この制御装置により制御される洗浄装置を備えたことを特徴とするろ過式水処理装置である。
【0020】
また、本発明のろ過装置は、被処理水である懸濁水の撹拌装置を備えるものであり、水槽内に置かれたこれら懸濁水の撹拌装置とろ過装置のろ過体との間に仕切板を備えたことを特徴としている。懸濁水が活性汚泥のような生物処理液の場合、撹拌装置は、生物処理水槽内に設置されている曝気装置を兼用できるため、この場合、新たに撹拌装置を設置する必要はない。この時、ろ過体の設置位置、曝気強度の制御等により、ダイナミックろ過形成に最適な撹拌速度を設定することができる。
あるいは、ろ過水槽を生物処理槽と別置きにした場合は、生物処理槽から上向流、または下向流でろ過水槽に生物処理水を循環させることにより、ろ過を行う。循環速度を変化させることで、ろ過基盤(基材)の表面流速を、良好なダイナミックろ過が行える最適値に容易に制御することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の態様を、図面を参照して、さらに詳細に説明する。
まず、図1に、本発明による運転サイクル制御に好適な装置の一例を示す。図1は、下水処理に適用される活性汚泥法において、従来、沈殿槽を用いて行っていた活性汚泥分離を、タイナミックろ過法によるろ過分離に置換した場合の一例を示している。
【0022】
ここで、ダイナミックろ過に用いられるろ過基盤(基材)は、その表面に活性汚泥を付着、あるいは保持できるものであれば特に限定されないが、織布、ネット、不織布、金属製網などが好んで用いられる。特に、平織の織布は、金属製網に比べて安価で、不織布のように孔径のばらつきがなく、強度にも優れていることから、本法に適用するには好ましいと考えられる。
また、その孔径は100μm以上、好ましくは、100〜200μm、さらに好ましくは、150〜200μmのものが、良好なろ過性能を維持しながら、ろ過基盤(基材)の目詰まり防止も可能であるとの観点から適当である。
【0023】
織布の材質としては、繊維が単繊維のものであれば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリテトラフロオロエチレン等いずれでも良いが、繊維表面が滑らかで、水中でも膨潤などによる構造変化がほとんどなく、種々の化学物質に対しても安定なポリエステルが特に好ましい。
【0024】
織布を取り付ける支持材としては、集水構造を備えた枠、あるいは平板状で中央部に凹部を有するプラスチック、または金属製のもので、各支持材が相互に脱着できる構造のものが、ろ過水量に応じて基材のろ過面積を容易に増減できることから好ましい。また、織布は支持材両面に取り付ける構造とすることが、集水面積を効率的に増やすことができるため有利である。織布と支持材の間には、織布が平面を保持できるように、目開きが大きな金網、厚手のプラスチック製網をスペーサーとして介在させるか、支持材空隙に縦横に何本かの支持棒を渡しても良い。このように織布と支持材、スペーサーを組み合わせた構造体をろ過体と称する。
【0025】
さて、このような織布を用いたダイナミックろ過においては、大きな透過圧力を必要としないため、ポンプによる吸引ろ過はもちろん、ろ過水を得るための駆動力として水頭差を利用することができる。この時、織布表面にダイナミック層(活性汚泥層)が形成していない透過初期には活性汚泥がそのまま透過し、ろ過水質が安定しないため、ろ過水は曝気槽へ返送する必要がある。このため、ろ過水ラインには、ろ過水中の懸濁物濁度により制御される電磁弁等を設置して循環/放出の切り替えを行うことが望ましい。
【0026】
ろ過水水質の安定後、ダイナミックろ過層は徐々に成長し、ある厚さを越えるとろ過抵抗が大となってろ過水量を減少させる。このため、ある段階で、ろ過体下部に設置した散気管から空気を供給し、空洗により余剰なダイナミックろ過層を剥離してろ過抵抗を低減、ろ過水量を回復させる必要がある。しかし、ろ過開始から空洗が必要となるまでの1サイクルあたりの時間は、活性汚泥性状(水質)によって異なるため、水質に応じてその時間を設定しなければならない。
さらに、ろ過基盤(基材)の孔径が大きいため、透過初期、あるいは空洗時、ろ過体内部に懸濁物が入り込み、これがろ過開始後に流出することで、ろ過水の水質(濁度)を悪化させる可能性がある。このため、ろ過体下部に、蓄積した懸濁物の引き抜きラインを備えていることが望ましい。
【0027】
本発明は、懸濁物平均粒径、水温、懸濁物密度指標といった項目を指標として、運転サイクルの制御を行うことを特徴とするろ過式水処理方法に関するものであって、前記懸濁物平均粒径、水温、懸濁物密度を自動計測する手段を備えている、または、別途計測したそれらデータを入力する手段を備えているものである。また、入力されたデータから、1サイクルあたりの運転時間を計算するデータ解析機能を備え、さらに、ろ過水中の懸濁物容量から、ろ過水ラインのバルブ切り替えを自動的に行うバルブ切り替え機構を備えたものである。本発明によれば、被処理水水質の変動に応じて、煩わしい操作をすることなく、ダイナミックろ過における運転サイクルの設定を行うことが可能となり、専門の技術者が常駐しない場所においても、高度なろ過式水処理が適用できるようになる。本発明の適用先は、活性汚泥の固液分離に限らず、余剰汚泥濃縮、上水膜処理における前処理、上水汚泥分離(濃縮)、無機物含有排水処理、凝集フロック分離、粗ろ過(下排水前処理)等、有機性、無機性工業廃水および生活排水処理と幅広い。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
基材としてポリエステル製平織織布(100mesh≒公称孔径170μm)を図1に示した装置に取り付け、実験を行った(有効膜面積=0.084m2)。被処理水として、下水処理場より採取した活性汚泥を含む生物処理水を用いた。被処理水は、ろ過体を設置した水槽下部より上向流で流入させ、ろ過体表面に対して水平に0.05m/sの流速で流動させ、オーバーフローにより曝気槽へ返送した。単位面積当たりの設定ろ過水量を5m3/m2・dとして、ローラーポンプによる吸引ろ過を行った。処理水の水温、活性汚泥平均粒径、並びに懸濁物密度指標(汚泥密度指標=SDI)をあらかじめ測定し、式1にしたがって、1サイクル当たりのろ過可能時間を算出した。なお、本実施例においては、ポンプ吸引圧が50mmAq(0.49kPa)になったところで空洗を行うこととした。これは、良好なダイナミックろ過が行える吸引圧は、約70mmAq(0.69kPa)であることをあらかじめ確認しているため、若干の安全率を掛けて決定した値である。
【0030】
図2に、計算式より求めた1サイクル当たりのろ過可能時間、及び実際に50mmAq(0.49kPa)に達するまでのろ過時間をそれぞれ示した。なお、試験例ごとに処理水の水温が異なるため、いずれの試験例も、水の粘性係数から水温を20℃に換算し、その計算値により比較を行った。5回に渡る試験の結果、そのいずれの計算値も実測値にほぼ一致、または実測値より短く算出されていた。実測値よりも計算値が若干短めに算出されることは、運転条件を安全サイドに設定できることから、実用上は何ら支障がない。
【0031】
(実施例2)
本発明におけるろ過式水処理装置の一例として、活性汚泥の粒径分布、活性汚泥浮遊物質(MLSS)濃度、汚泥容量及び水温を自動的に計測する測定装置を備え、これらのデータを処理、保存するための演算装置を有する装置のフロー図を図3に示す。また、本装置による活性汚泥分離における運転サイクルの一例と各機器の動作状態を図4に示す。さらに本装置は、懸濁物の粒径分布測定装置のデータから算出された活性汚泥の平均粒径、MLSS測定装置、および懸濁物容量測定装置から算出された懸濁物密度指標、及び水温計の測定水温を、演算装置を用いてろ過係数を算出し、並びに、これに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を決定する制御機構を有するろ過式水処理装置である。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、ダイナミックろ過法を用いた固液分離において、懸濁物平均粒径及び水温、さらには懸濁物密度指標を指標として運転制御を行うことで、ろ過開始から空洗が必要となるまでの1サイクルあたりのろ過時間を適切に設定できる。これより、分離対象物の性状が変化しても、長期に渡り安定したろ過が行える運転条件を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイナミックろ過による活性汚泥分離に用いられる装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施例1のろ過可能時間に関する結果を示すグラフである。
【図3】本発明の活性汚泥分離における各機器の制御フローの一例を示すフロー図である。
【図4】本発明の活性汚泥分離における運転サイクルの一例と各機器の動作状態を示す図である。
【符号の説明】
1 原水流入ライン
2 散気用ブロワ
2a 空洗用ブロワ
3 循環ポンプ
4 生物反応槽
5 散気管
6 分離水槽
7 ろ過モジュール
8 ろ過水貯槽
9 ろ過水ライン
10 電磁バルブ
11 透過水返送ライン
12 原水循環ライン
13 ドレインバルブ
14 水頭差
15 汚泥排出ライン
16 汚泥排出ポンプ
Claims (3)
- 生物処理液から活性汚泥をダイナミックろ過により固液分離するろ過方法において、該生物処理液の懸濁物平均粒径、懸濁物密度指標、及び水温を指標として下記式1及び式2によりろ過係数を算出し、これに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を決定することを特徴とする生物処理液のろ過式水処理方法。
(式1) y=αx 2 +βx+c
ただし、y:ろ過係数
x:懸濁物平均粒径
α、β、c:定数
(式2) y=μ・U 2 ・t/d
ただし、μ:水温により変動する水の粘性係数
U:膜透過速度
t:ろ過速度が立ち上がり始めるまでのろ過時間
d:懸濁物密度指標 - 生物処理液から活性汚泥をダイナミックろ過により固液分離するろ過装置において、該生物処理液の懸濁物の粒径分布測定装置、SS測定装置、懸濁物容量測定装置、及び水温計を備え、懸濁物の粒径分布測定装置のデータから算出された懸濁物平均粒径、SS測定装置と懸濁物容量測定装置とから算出された懸濁物密度指標、及び水温計の測定水温から下記式1及び式2によりろ過係数を算出する演算装置、並びにこれに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を決定する制御機構を有することを特徴とする生物処理液のろ過式水処理装置。
(式1) y=αx 2 +βx+c
ただし、y:ろ過係数
x:懸濁物平均粒径
α、β、c:定数
(式2) y=μ・U 2 ・t/d
ただし、μ:水温により変動する水の粘性係数
U:膜透過速度
t:ろ過速度が立ち上がり始めるまでのろ過時間
d:懸濁物密度指標 - 運転開始後に算出されたろ過係数をフィードバックし、これに基づき1サイクルあたりのろ過可能時間を再設定する制御機構を有することを特徴とする請求項2記載のろ過式水処理装置。
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