JP4142266B2 - 指示情報生成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、指示情報生成装置に関し、より詳細には、ワイヤハーネス製造治具が有する複数の係止部材毎に係止された電線を用い、複数の工程を経てワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムに、前記ワイヤハーネスの前記製造における作業を指示する指示情報を生成する指示情報生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムには、▲1▼前準備、▲2▼電線切断、▲3▼付属品取付、▲4▼端子圧着、▲5▼ジョイント、▲6▼仕分け、▲7▼サブアッシーなどという工程が必要であった。
【0003】
▲1▼の前準備では、OES処理・エフ(絵符)出力・エフ針金通し・エフ仕分けを行う。
OES(Order Entry System)とは、作業指示に従ってサブワイヤハーネスをバッチ生産する方法である。バッチ生産とは例えば電線を1ロットで何本も同一長さに切断し、次いで各電線に次々に同一の端子を圧着して同一の端子付き電線をロット生産する方式である。OES処理とはそのための入力処理のことである。エフ(絵符)出力とはOES処理に基づいて作業指示書すなわち絵符を発行することである。エフには針金を通し、製品に括り付けて、各工程毎に順送りする。エフ仕分けで電線の品種サイズ毎にエフを仕分ける。
【0004】
▲2▼の電線切断工程では、切断・仕分け・皮剥き段取・皮剥きを行う。
すなわち、同一長さに電線を切断し、皮剥き長さや皮剥き位置等に応じて電線を仕分する。そして、皮剥き長さ等に応じて皮剥き機を調整し、電線の端末部ないしは中間部において絶縁被覆を剥ぐ。
【0005】
▲3▼の付属品取付工程では、仕分け・付属品取付を行う。
すなわち、付属品の種類に応じて電線を仕分けし、同一の付属品を電線に組み付けていく。
【0006】
▲4▼の端子圧着工程では、仕分け・A/P段取・圧着・検査・マジック付け(マーキング)を行う。
すなわち、先ず端子の種類毎に電線を仕分けする。A/P段取は、端子圧着機のA/P(アプリケータ)を端子の種類に応じて載せ換えたり、圧着高さを調整したりすることである。A/Pは圧着具である昇降式の上型(クリンパ)と固定式の下型(アンビル)とを含む。電線の端末に端子を圧着した後、圧着状態を目視やテレビカメラで検査し、後述の端子挿入工程での識別のためにマジックインクで端子に識別印を付ける。
【0007】
▲5▼のジョイント工程では、ジョイント仕分け・ジョイント中剥き・A/P段取・ジョイント圧着・検査・ジョイントテープ巻きを行う。
すなわち、先ずジョイント端子の種類やジョイント位置に応じて▲4▼の端子付き電線を仕分けする。次いで電線の中間部の絶縁被覆を皮剥き機で皮剥きする。さらに端子圧着と同様にジョイント圧着機のA/Pをジョイント端子に応じて段取する。そして電線の皮剥き位置に別の電線の端末をジョイント端子で分岐接続する。圧着状態を検査した後、ジョイント部を絶縁ビニールテープでテープ巻きする。
【0008】
▲6▼の仕分け工程では、▲4▼で端子圧着した電線や▲5▼でジョイントした電線を品番ごとにセットする。
▲7▼のサブアッシー工程では、▲6▼の各電線の端子をコネクタハウジング内に挿入して、サブワイヤハーネスを組み立てる。
サブワイヤハーネスは布線台でワイヤハーネスの形態に布線され、プロテクタ等の組付やテープ巻き等が施されてワイヤハーネスとして完成する。
【0009】
ここで、図12はクランプ竿を示す正面図であり、図12において10はクランプ竿を示し、このクランプ竿10は、アルミ等で細長く真直に形成された基板部11と、基板部11上に等間隔に配列された合成樹脂製のクランプ(係止部材に相当)12とで構成され、従来よりワイヤハーネス製造治具として利用されているものである。そして、基板部11にバーコードのシール13が貼り付けられている。クランプ12は閉じ方向にばね付勢された一対の挟持部材で構成され、一対の挟持部材の間に電線を上方から手で挿入(打ち込み)可能である。
【0010】
ワイヤハーネスを構成する電線が、クランプ竿10のクランプ12に係止されると、クランプ竿10は各工程を移動され、各工程にて上述した作業が行われてワイヤハーネスは完成することとなる。
【0011】
また、上述した従来のワイヤハーネス製造システムにおいては、上述した工程を管理するコンピュータが、ワイヤハーネスを生産する上で必要な電線品番、サイズ、切断長等の各種データを有して構成している電線情報を受信すると、この電線情報に対してクランプ竿10におけるクランプ12の位置データ等を付加し、指示情報として管理している。なお、指示情報には、必要に応じて電線クランプ位置データ以外のデータとして、付属品棚位置(アドレス)データや電線ストッカ位置データや、圧着機やハンダ付け機等の号機指示データなどを有して構成している。
【0012】
そして、ワイヤハーネスを製造する場合、各工程毎に設けられたコンピュータは指示情報を受信すると、この指示情報に基づいて作業指示を行い、クランプ竿10に係止された電線に対する作業が終了すると、次の工程に指示情報を送信することで、上述した工程処理が進められる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のワイヤハーネス製造システムでは、電線情報にクランプ12の位置データを付加する場合、ワイヤハーネスを構成する電線の数とクランプ竿10のクランプ数とに基づいて割り振っていたため、電線のクランプ12に対する配置によっては、ワイヤハーネス製造システムにおける作業効率を低下させる可能性があるという不具合を有していた。
【0014】
また、作業者に作業効率を踏まえて電線のクランプ12に対する配置を入力させることも考えられるが、これは作業者の熟練度に依存するため、作業者が多品番に渡る製造知識を持つ必要があり、作業者の負担を増加させるという問題があった。特に、多品種少量生産や生産拠点の海外工場への移管などに対応しようとすると、作業者の負担をより一層増加させることになるため、実現することが困難であった。
【0015】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、ワイヤハーネス製造システムの作業効率を向上させることができる指示情報を生成する指示情報生成装置を提供することを課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の指示情報生成装置は、図1の基本構成図に示すように、ワイヤハーネス製造治具が有する複数の係止部材毎に係止された電線を用い、複数の工程を経てワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムに、前記ワイヤハーネスの前記製造における作業を指示する指示情報を生成する指示情報生成装置であって、前記複数の工程毎に少なくとも前記工程を実行する設備等を示す工程情報を記憶する工程情報記憶手段70d1と、前記ワイヤハーネスの製造に用いる前記電線を示す複数の電線情報を取り込む電線情報取込手段70a1と、前記複数の工程の中から作業効率を向上させるべき前記工程を選択する選択手段70a2と、前記選択手段70a2が選択した前記工程に対応する前記工程情報を、前記工程情報記憶手段70d1から抽出する抽出手段70a3と、前記抽出手段70a3が抽出した前記工程情報と前記電線情報取込手段70a1が取り込んだ前記電線情報とに基づいて、前記選択手段70a2が選択した前記工程の作業効率がよくなるように、前記電線情報取込手段70a1が取り込んだ前記電線情報の各々に前記係止部材に対応する位置データを付加する付加手段70a4と、前記付加手段70a4が付加した前記電線情報に基づいて前記指示情報を生成する指示情報生成手段70a5と、を備えることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の指示情報生成装置において、前記工程情報は、前記ワイヤハーネスの製造における前記工程毎の稼動実績などを管理する管理データを有する構成とし、前記選択手段70a2は、前記工程情報の前記管理データに基づいて前記作業効率を判定し、該判定結果に応じて前記選択を行うことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載の指示情報生成装置において、前記工程は、前記電線の端末に端子を圧着する圧着工程を有し、前記選択手段70a2によって前記圧着工程が選択されると、前記付加手段70a4は前記係止部材に係止する前記電線の各々が交差しないように前記位置データを付加することを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載の指示情報生成装置において、前記選択手段70a2は、複数の前記工程を優先順位を設けて前記選択を行うことが可能であり、前記付加手段70a4は、前記工程の前記優先順位に応じて前記付加を行うことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜4の何れかに記載の指示情報生成装置において、前記ワイヤハーネス製造治具毎の前記係止部材の数などを示す製造治具情報を複数記憶する製造治具情報記憶手段70d2をさらに備え、前記付加手段70a4はさらに、前記電線情報に付加する前記位置データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造にて用いる前記ワイヤハーネス製造治具に対応する前記製造治具情報を製造治具情報記憶手段70d2から選択し、該選択した前記製造治具情報を前記電線情報に付加することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項5に記載の指示情報生成装置において、前記付加手段70a4はさらに、前記電線が係止されない前記係止部材が少なくなるように前記製造治具情報を選択することを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決するためになされた請求項7記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項5に記載の指示情報生成装置において、前記ワイヤハーネスの製造に用いる前記ワイヤハーネス製造治具の削減要求を受けると、前記指示情報及び前記製造治具情報に基づいて、各々の前記ワイヤハーネス製造治具の前記電線が係止される前記係止部材の係止数と前記電線が係止されない空き係止部材の空き数とを比較し、前記係止数が前記空き数以下となる前記ワイヤハーネス製造治具の組み合わせを検出する検出手段70a6と、前記検出手段70a6が検出した前記ワイヤハーネス製造治具の各々を併合するか否かを確認するための確認情報を生成して出力する確認情報出力手段70a7と、前記確認情報出力手段70a7が出力した前記確認情報に応じて入力された前記併合するための情報を併合情報として取り込む併合情報取込手段70a8と、前記併合情報取込手段70a8が取り込んだ前記併合情報に基づいて前記電線情報に付加した前記製造治具情報を変更する変更手段70a9と、をさらに備えることを特徴とする。
【0037】
ここで、上記請求項1に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、選択手段70a2によって作業効率を向上させるべき工程が選択されると、この選択された工程に対応する工程情報が抽出手段70a3によって抽出される。そして、抽出した工程情報と電線情報取込手段70a1が取り込んだ電線情報とに基づいて、選択手段70a2が選択した工程の作業効率がよくなるように、係止部材に対応する位置データが付加手段70a4によって電線情報の各々に付加される。そして、位置データが付加された電線情報に基づいた指示情報が指示情報生成手段70a5によって生成される。よって、指示情報を構成する複数の電線情報には、選択された工程の作業効率を向上させるように、ワイヤハーネス製造治具が有する複数の係止部材に対応する位置データを、作業者の負担を増加させることなく自動的に付加することができる。従って、指示情報に基づいて作業指示を行うことで、選択した工程の作業効率を向上することができるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率を向上させることができる。
【0038】
上記請求項2に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、選択手段70a2が選択する工程情報は、工程情報が備える稼動実績や稼動予定などの管理データに基づいて判定される。よって、工程の稼動実績などを工程情報に反映しているので、複数の工程の中から作業効率を向上させるべき工程をより正確に選択することができる。また、作業効率を踏まえて向上させるべき工程を作業者に選択させる必要がなくなる。従って、作業効率を向上させるべき工程を自動的に選択することができるとともに、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0039】
上記請求項3に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、選択手段70a2によって圧着工程が選択されると、電線の各々が交差しないように係止部材に対応する位置データが付加手段70a4によって電線情報の各々に付加される。そして、位置データが付加された電線情報に基づいた指示情報が指示情報生成手段70a5によって生成される。よって、作業効率を向上させるべき工程として圧着工程が選択された場合、指示情報を構成する複数の電線情報には、各々の電線が交差しない位置データを付加しているので、圧着工程における作業時に電線が絡んでしまうことを防止することができる。従って、圧着工程の作業時に電線が絡まないので、圧着工程における作業効率を向上させることができる。
【0040】
上記請求項4に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、選択手段70a2によって優先順位を設けて工程が選択されると、工程の優先順位に応じて電線情報に位置データが付加手段70a4によって付加される。よって、作業効率を向上させるべき工程に優先順位を設けているので、複数の工程を考慮して電線情報に位置データを付加することができる。従って、工程の優先順位に応じて位置データを電線情報に付加することで、複数の工程における作業効率を向上させることができるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0041】
上記請求項5に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、付加手段70a4によって、製造にて用いるワイヤハーネス製造治具に対応する製造治具情報が製造治具情報記憶手段70d2から選択されると、この製造治具情報が電線情報にさらに付加される。よって、電線情報に付加した位置データに基づいて製造治具情報を選択しているので、作業効率を向上させるべき工程に最適なワイヤハーネス製造治具を選択することができる。また、例えば工程内で同一の設備を複数設けている場合は、複数のワイヤハーネス製造治具を用いるように選択することで、並列で作業を行うことができるため、作業効率をより向上することができる。従って、作業効率を向上させるべき工程に最適なワイヤハーネス製造治具を選択しているので、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0042】
上記請求項6に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、製造治具情報記憶手段70d2から電線が係止されない係止部材が少なくなる製造治具情報が選択される。よって、電線が係止されない係止部材が少なくなるようにワイヤハーネス製造治具を選択しているので、このワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を少なくすることでできる。従って、ワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を減らすことで、ワイヤハーネス製造治具を有効に活用することが可能となるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0043】
上記請求項7に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、削減要求を受けると各々のワイヤハーネス製造治具の電線が係止される係止部材の係止数と電線が係止されない空き係止部材の空き数とが比較され、この比較によって係止数が空き数以下となるワイヤハーネス製造治具の組み合わせが検出手段70a6によって検出される。そして、検出した前記ワイヤハーネス製造治具の各々を併合するか否かを確認するための確認情報が確認情報出力手段70a7によって生成されて出力される。そして、この確認情報の出力に応じて入力された情報が併合情報として併合情報取込手段70a8によって取り込まれると、この併合情報に基づいて電線情報に付加した製造治具情報が変更手段70a8によって変更される。よって、製造に用いるワイヤハーネス製造治具の削減要求を作業者等から受けて併合が可能なワイヤハーネス製造治具の組み合わせを検出すると、併合するか否かを確認するための確認情報を出力するので、作業者等はこの確認情報に基づいてどのようにワイヤハーネス製造治具を併合するかを指定することができるため、作業者等がワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を少なくすることでできる。従って、ワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を減らすことで、ワイヤハーネス製造治具を有効に活用することが可能となるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、ワイヤハーネス製造システムに適用した本発明に係る指示情報生成装置の一実施の形態を、図2〜図12の図面を参照して説明する。
【0059】
ここで、図2はワイヤハーネス製造システムの概略を示す構成図であり、図3は図2の本発明にかかる指示情報生成装置の構成を示すブロック図であり、図4はファイル構成を説明するための図であり、図5は指示情報のデータ構造を示す図であり、図6は竿情報管理ファイルの構成を示す図であり、図7は工程情報管理ファイルの構成を示す図であり、図8は図3のCPUが行う処理概要の一例を示すフローチャートであり、図9はクランプ竿の電線の配置の一例で、(a)は電線が交差する場合、(b)は電線が交差しない場合をそれぞれ示した図であり、図10は竿削減処理の処理概要を示すフローチャートであり、図11はクランプ竿の併合を説明するための図であり、(a)は併合前、(b)は併合後をそれぞれ示す図である。
【0060】
ワイヤーハーネス製造システムは、図2に示すように、ケーブル1に切断2、皮剥き3、付属品組付4、端子圧着5、ジョイント6などといった各工程毎に設けた機器、端末などを接続してLAN、WANなどのネットワークを構築している。そして、このケーブル1には、コンピュータ70を有して構成している本発明にかかる指示情報生成装置7が接続されており、ワイヤハーネスの品番に応じた製造を指示する指示情報を、ネットワークを介してワイヤーハーネス製造システムに出力している。
【0061】
切断工程2は、自動切断機20を有して構成しており、この自動切断機20で検尺した電線の中間部を皮剥し、電線の切断の切断を行うとともに、電線を固定する電線クランプ竿への電線の打ち込み等を行っている。そして、皮剥き工程3は、自動皮剥き機30を有して構成しており、この自動皮剥機30で電線の端末部の皮剥を行っている。
【0062】
付属部品組付工程4は、ケーブル1に接続しているコンピュータ40を有して構成している。このコンピュータ40は、受信した作業指示情報に基づいて、付属品の種類に応じて電線を仕分けや、同一の付属品を電線に組み付けの指示を行っている。
【0063】
端子圧着工程5は、ケーブル1に接続しているコンピュータ50と、端子圧着機(不図示)とを有して構成している。受信した作業指示情報に基づいて、まず端子の種類毎に電線を仕分けが行われる。そして、端子圧着機のA/P(アプリケータ)を端子の種類に応じて載せ換えたり、圧着高さの調整が行われる。そして、電線の端末に端子を圧着した後、圧着状態を目視やテレビカメラで検査し、後述の端子挿入工程での識別のためにマジックインクで端子に識別印が付けられる。
【0064】
ジョイント工程6は、ケーブル1に接続しているコンピュータ60を有して構成している。そして、端子圧着工程5を終えた電線が係止されているクランプ竿10の到着に応じて、ジョイント工程にはジョイントプレスとテープ巻き機が配置され、電線の中剥き部に他の電線の端末がジョイント端子で分岐接続される。ジョイント部は絶縁テープで巻かれる。所要のジョイント部はテープ巻きの前にハンダ付け工程に戻ってハンダ付け(主にジャブ付け)される。ハンダ付け作業の有無はジョイント工程6内のモニタで行われる。
【0065】
次に、指示情報生成装置70は、図3に示すように、予め定めたプログラムに従って装置全体の動作の制御などを行う中央演算処理装置(CPU)70aを有している。このCPU70aには、バスBを介してCPU70aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM70b、各種のデータを格納するとともにCPU70aの処理作業に必要な作業エリア、電線の配置を決定する際に利用する配置エリア(例えば、所定サイズの配列)などの各種エリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM70cが接続されている。
【0066】
CPU70aにはさらに、記憶装置70dがバスBを介して接続されており、この記憶装置70dにはハードディスクなどを用いている。記憶装置70dは、後述する指示情報生成プログラムなどを格納する各種ファイルを記憶している。
【0067】
CPU70aにはさらに、入力装置インタフェース(I/F)70eがバスBを介して接続されている。この入力装置I/F70eに、キーボードやマウスを有して構成する入力装置71が接続されると、入力装置71から入力された各種入力データは、バスBに供給されてCPU70aに入力される。
【0068】
バスBにはさらに、表示装置インタフェース(I/F)70fが接続されており、この表示装置I/F70fにはCRTや液晶ディスプレイなどを用いて構成される表示装置72が接続されている。そして、この表示装置I/F70fは、表示装置72の表示内容をCPU70aからの指示に基づいて制御するものである。
【0069】
ここで、指示情報生成装置70が参照、使用する本発明にかかるファイル構成について、図4を参照して説明する。
【0070】
図4において、F1は指示情報生成プログラムファイルを示し、この指示情報生成プログラムファイルF1は、図12に示すクランプ竿(ワイヤハーネス製造治具に相当)10が有する複数のクランプ(係止部材に相当)12毎に係止された電線を用い、複数の工程を経てワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムに、ワイヤハーネスの製造における作業を指示する指示情報を生成する手段としてコンピュータを機能させるための指示情報生成プログラムなどを格納している。
【0071】
F2は電線情報ファイルを示し、この電線情報ファイルF2はワイヤハーネスの製造で用いる電線を示す複数の電線情報Dを格納している。例えば、本実施の形態では、ワイヤハーネスの品番毎に対応した複数の電線情報ファイルF2を、ホストコンピュータ(不図示)の記憶媒体に記憶しており、指示情報生成装置70はネットワークを介して電線情報ファイルF2を取り込んでいる。
【0072】
F3は竿情報管理ファイルを示し、この竿情報管理ファイルF3には、ワイヤハーネス製造システムで使用が可能なクランプ竿10を示す複数の竿情報Gを格納している。F4は工程情報管理ファイルを示し、この工程情報管理ファイルF4は、ワイヤハーネス製造システムにおける複数の工程を管理する情報を格納している。
【0073】
F5はシミュレーションプログラムファイルを示し、シミュレーションプログラムファイルF5は起動されると、指定された電線の配置位置を定め、その状態での工程毎、全行程に対するシミュレーションを行うことで、作業効率のよい電線の配置を決定している。シミュレーションでは、電線の長さ、電線間のジョイント状態、工程設備などに基づいて電線を配置し、この配置での工程設備などの動作などを模擬する。そして、電線の配置が複数存在する場合は、その全てに対して模擬が行われる。そして模擬結果が作業効率として出力される。
【0074】
指示情報生成プログラムファイルF1、竿情報管理ファイルF3、工程情報管理ファイルF4は、CD−ROMやフロッピーディスク等のコンピュータ70が読み込むことができる記憶媒体から、記憶装置70dにインストールしている。なお、ファイルのインストールについては、通信インタフェースなどを設け、インターネットや電話回線を介してダウンロードするなど種々異なる実施の形態とすることもできる。
【0075】
また、F6は指示情報ファイルを示し、この指示情報ファイルF6には、指示情報生成プログラムファイルF1が起動されて生成した指示情報Cを複数格納している。そして、この指示情報ファイルF6は、指示情報生成装置70によって予め定められたディレクトリなどに出力される。
【0076】
次に、指示情報生成装置70にて用いる各種データ構造について、図5〜図7の図面を参照して説明する。
【0077】
図5に示すように、電線情報ファイルF2には電線情報Dなどが格納される。電線情報Dは、製品品番、構成No、品種、サイズ、色、切断線長、ジョイントレベル、基線構成No、車種部位などの各種データを有して構成している。
【0078】
製品品番データは、製造するワイヤハーネスの品番を示す。構成Noデータは、電線の構成を示し、同じ製品品番内で重複しないように電線毎に割り振られている。品種、サイズ、色、切断線長の各々のデータは、電線の品種、サイズ、色、切断線長をそれぞれ示す。ジョイントレベルデータは、他の電線がジョイントされる親線、この親線にジョイントされる子線、該子線にジョイントされる孫線などのジョイント状態を示し、例えば、電線が親の場合は”0”、子の場合は”1”、孫の場合は”2”、それ以外の場合は”NULL”をそれそれ設定している。
【0079】
基線構成Noデータは、接続先の構成Noを示し、電線に接続する他の電線の場合に接続先の構成Noを設定している。そして、この基線構成Noによって電線情報と他の電線情報とを関連付けている。車種部位データは、ワイヤハーネスが用いられる車種に対する位置を示している。
【0080】
電線情報Dに付加される位置データとしては、A側クランプNo、B側クランプ、竿Noなどの各種データがある。ここで、図12に示すクランプ竿10の各クランプ12には、同じクランプ竿10内で重複しないようにクランプ12毎にクランプNoが割り振られており、A側クランプNoデータとして、電線の一端側が係止されるクランプNoが付加されれ、B側クランプNoデータとして、電線の他端側が係止されるクランプNoが付加される。さらに、竿Noデータとして、使用するクランプ竿10の識別に用いる竿Noデータが付加される。
【0081】
図6に示すように、竿情報管理ファイルF3には、ワイヤハーネス製造システムにて使用が可能なクランプ竿10を示す複数の竿情報Gが格納されおり、竿情報Gは、竿No、クランプ数などの各種データを有して構成している。竿Noデータには、クランプ竿10毎に割り振られ、クランプ竿10を識別する竿Noが設定される。クランプ数データには、クランプ竿10が備えるクランプ12の個数を示すデータが設定される。
【0082】
図7に示すように、工程情報管理情報F4には、ワイヤハーネス製造システムにおける複数の工程を示す複数の工程情報Hが格納されている。上述した切断2、皮剥き3、付属品組付4、端子圧着5、ジョイント6などといった各工程毎に対応する工程情報Hは、管理エリアH1、設備エリアH2、稼動実績エリアH3などの各種エリアを有して構成している。
【0083】
管理エリアH1は、工程情報Hが切断2、皮剥き3、付属品組付4、端子圧着5、ジョイント6などのどの工程なのかを識別する識別データや、工程情報Hのエリアサイズデータなどを有して構成している。設備エリアH2には、工程を構成する設備など示す各種データを有して構成している。なお、設備エリアH2に格納されるデータを本実施の形態では、シミュレーションを実行するのに必要なデータとして構成している。稼動実績エリアH3には、工程がこれまでに行ってきた稼動実績を示すデータなどが格納され、稼動実績エリアH3のデータは、例えば所定期間毎に更新される。
【0084】
次に、記憶装置70dに記憶されている指示情報生成プログラムを実行することで、コンピュータ70のCPU70aが行う処理概要の一例を、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0085】
図8において、指示情報生成プログラムは実行されると、ステップS1において、入力装置71から終了要求を受けているか否かが判定される。終了要求を受けていないと判定された場合は(ステップS1でY)、ステップS2に進む。
【0086】
ステップS2において、格納場所指定処理が実行されることで、製造するワイヤハーネスの品番に対応する電線情報ファイルF2の格納場所、ファイル名などの格納場所データを入力するための入力画面を、表示装置72に表示させるための入力表示情報が表示装置I/F70fに出力され、その後ステップS3に進む。その結果、表示装置72に入力画面が表示される。
【0087】
ステップS3において、電線情報ファイル取込処理が実行されることで、表示装置72の入力画面に応じて格納場所データが入力装置71から入力されると、この格納場所データに基づいて電線情報ファイルF2の格納場所が認識され、この格納場所から電線情報ファイルF2が記憶装置70dに取り込まれ、その後ステップS4に進む。よって、ステップS3で複数の電線情報Dを有する電線情報ファイルF2を取り込んでいることから、電線情報ファイル取込処理が特許請求の範囲に記載の電線情報取込手段に相当する。
【0088】
ステップS4において、電線情報ファイルF2を取り込めたか否かが判定される。電線情報ファイルF2を取り込めていないと判定された場合は(ステップS4でN)、ステップS1に戻り、一連の処理を繰り返すこととなる。一方、電線情報ファイルF2を取り込めたと判定された場合は(ステップS4でY)、ステップS5に進む。
【0089】
ステップS5において、工程選択処理が実行されることで、記憶装置70dに記憶している工程情報管理ファイルF4の全ての工程情報Hを参照して、全工程における工程毎の作業効率が判定され、この判定結果に応じた順位データが工程情報Hに付加され、作業効率の最も悪い工程が作業効率を向上させるべき工程であると選択され、その後ステップS6に進む。よって、ステップS5で工程を選択していることから、工程選択処理が特許請求の範囲に記載の選択手段に相当する。
【0090】
ステップS6において、工程情報抽出処理が実行されることで、選択された作業効率を向上させるべき工程に対応する工程情報が、工程情報管理ファイルF4から抽出され、RAM70cに格納され、その後ステップS7に進む。よって、ステップS6で工程情報を抽出していることから、工程情報抽出処理が特許請求の範囲に記載の抽出手段に相当する。
【0091】
ステップS7において、電線配置シミュレーション処理が実行されることで、電線情報ファイルF2の複数の電線情報DがRAM70cに格納され、シミュレーションプログラムファイルF5の中から、選択した工程に対応するシミュレーションが起動される。そして、RAM70cに抽出した工程情報Hと電線情報Dとに基づいたシュミレーションが実行され、その結果から作業効率が最適な配置が判定され、その判定結果に対応するRAM70cの配置エリアの各エリアに、電線情報Dの構成Noに方向を示すデータ(例えば、構成Noが1の一端側、他端の場合”1A”、”1B”など)が設定され、その後ステップS8に進む。
【0092】
ここで、上記電線配置シミュレーションの処理詳細を説明する。
例えば、端子圧着工程(圧着工程に相当)5の場合、従来は図9(a)に示すようにクランプ竿10に対する電線eの配置は、各端末A,B,C毎に応じた配置となっていたため、各電線eが交差してクランプ竿10のクランプ12に配置されてしまい、その結果、圧着作業中に電線eが絡んでしまい、作業効率を低下させる原因となっていた。
【0093】
そこで、本発明では、ステップS5で端子圧着工程(圧着工程に相当)5が選択されると、図9(b)に示すように、各電線eが交差しないようにクランプ竿10に配置できる配置パターンの変更を数回行い、その配置パターン毎の作業時間が算出され、この算出結果の最短なシミュレーション結果が電線配置として決定される。
【0094】
また、ステップS8において、製造治具選択処理が実行されることで、RAM70cの配置エリアに示す配置を実現するうえで、最適となるクランプ竿10を示す竿情報Gが竿情報管理ファイルF3の中から選択され、その竿情報GがRAM70cに抽出され、その後ステップS9に進む。
【0095】
例えば、各竿情報Gのクランプ数データに基づいて、電線eが係止されないクランプ12の数が少なくなるクランプ竿10を選択することで、ワイヤハーネスの製造に用いるクランプ竿10の本数を削減することができる。その結果、管理するクランプ竿10を有効に活用することが可能となるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0096】
ステップS9において、位置データ付加処理が実行されることで、RAM70cの各電線情報D毎に、電線の一端側(A側)を係止するクランプ12の位置を示すA側クランプNoデータと、他端側(B側)を係止するクランプ12の位置を示すB側クランプNoデータと、そのクランプ12を備えるクランプ竿10を示す竿Noデータが、抽出した竿情報Gを参照して付加され、その後ステップS10に進む。
【0097】
よって、ステップS9で位置データに相当するA側クランプNoデータ、B側クランプNoデータと、製造治具情報に相当する竿Noデータとを、電線情報Dに付加しているので、位置データ付加処理が特許請求の範囲に記載の付加手段に相当する。
【0098】
ステップS10において、指示情報生成処理が実行されることで、位置データが付加されたRAM70cの電線情報に基づいて、ワイヤハーネスの製造に用いる電線を指示する指示情報CがRAM70cに生成され、予め定められた所定ディレクトリに指示情報ファイルF6が生成され、この指示情報ファイルF6に指示情報Cが格納され、その後ステップS1に戻り、ステップS1で終了要求を受けたと判定されるまで(ステップS1でY)、一連の処理を繰り返すこととなる。よって、ステップS10で、指示情報Cを生成していることから、指示情報生成処理が特許請求の範囲に記載の指示情報生成手段に相当する。
【0099】
従って、以上の説明からも明らかなように、コンピュータ70のCPU70aが、特許請求の範囲に記載の電線情報取込手段、選択手段、抽出手段、付加手段、並びに、指示情報抽出手段としてそれぞれ機能している。
【0100】
次に、上述した構成による本実施の形態の動作(作用)の一例を、図面を参照して説明する。
【0101】
コンピュータ70にて指示情報生成プログラムファイルF1のプログラムが起動されると、表示装置72に格納場所を指定するための入力画面が表示される。そして、この入力画面の応じてワイヤハーネスの品番に対応する格納場所が入力装置71によって入力されると、その格納場所から電線情報ファイルF2が記憶装置70dに取り込まれる(ステップS2〜S3)。
【0102】
工程情報管理ファイルF4の全ての工程情報Hを参照して、全工程の中で例えば端子圧着工程5の作業効率が悪い場合は、作業効率を向上させるべき工程は端子圧着工程5であると選択する(ステップS5)。そして、選択した端子圧着工程5に対応する工程情報Hを工程情報管理ファイルF4から抽出し、この工程情報Hと電線情報Dとに基づいて、端子圧着工程5に対応するシミュレーションが実行される。そして、このシュミレーションの結果から端子圧着工程5の作業効率が最適となるように電線が配置される(ステップS6〜S7)。
【0103】
電線の配置が決定すると、この電線の配置を実現するうえで、最適となるクランプ竿10を示す竿情報Gを竿情報管理ファイルF3の中から選択する(ステップS8)。そして、電線情報D毎に位置データに相当するA側クランプNoデータ及びB側クランプNoデータ、並びに製造治具情報に相当する竿情報Gを関連付ける竿Noデータを付加する(ステップS9)。そして、位置データなどが付加された電線情報Dに基づいて、指定されたワイヤハーネスの品番に応じた指示情報Cが指示情報ファイルF6に生成される(ステップS10)。
【0104】
以上説明したように、指示情報Cを構成する複数の電線情報Dには、選択された工程の作業効率を向上させるように、クランプ竿(ワイヤハーネス製造治具)10が有する複数のクランプ(係止部材)12に対応するA側クランプNoデータ及びB側クランプNoデータ(位置データ)を、作業者の負担を増加させることなく自動的に付加することができる。従って、指示情報Cに基づいて作業指示を行うことで、選択した工程の作業効率を向上することができるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率を向上させることができる。
【0105】
また、工程の稼動実績を工程情報Hに反映しているので、複数の工程の中から作業効率を向上させるべき工程をより正確に選択することができる。また、作業効率を踏まえて向上させるべき工程を作業者に選択させる必要がなくなる。従って、作業効率を向上させるべき工程を自動的に選択することができるとともに、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0106】
さらに、電線情報Dに付加する位置データに基づいて竿情報(製造治具情報)Gを選択しているので、作業効率を向上させるべき工程に最適なクランプ竿(ワイヤハーネス製造治具)10を選択することができる。また、例えば工程内で同一の設備を複数設けている場合は、複数のクランプ竿10を用いるように選択することで、並列で作業を行うことができるため、作業効率を向上することができる。従って、作業効率を向上させるべき工程に最適なクランプ竿10を選択しているので、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0107】
また、作業効率を向上させるべき工程として端子圧着工程5が選択された場合、指示情報Cを構成する複数の電線情報Dには、各々の電線が交差しない位置データを付加しているので、端子圧着工程5における作業時に電線が絡んでしまうことを防止することができる。従って、端子圧着工程5の作業時に電線が絡まないので、端子圧着工程5における作業効率を向上させることができる。
【0108】
なお、上述した本実施の形態では、作業効率を向上させるでき工程を自動的に選択する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、表示装置72に選択画面を表示させ、ワイヤハーネス製造システムの管理者などに選択させるなど種々異なる実施の形態とすることもできる。
【0109】
また、上述した実施の形態では、全工程の中で作業効率が最も悪い工程に着目して、位置データを電線情報Dに付加する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、各工程情報Hの稼動実績エリアH3の内容を比較し、その比較結果に基づいて工程情報Hに優先順位データを付加し、例えば優先順位の高い上位3工程を考慮して電線情報Dに、位置データを付加するなど種々異なる実施の形態とすることができる。このように工程の優先順位に応じて位置データを電線情報Dに付加することで、複数の工程における作業効率を向上させることができるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0110】
さらに、上述した指示情報生成装置7は、ワイヤーハーネスの製造に用いるクランプ竿10の数を削減が可能な場合に、その数を削減に応じて生成した指示情報を変更することができる。この説明を図10及び図11の図面を参照して説明する。
【0111】
例えば、図8のフローチャートにおけるステップS1とステップS2の間に、製造に用いるクランプ竿10の本数を削減する削減要求が、作業者等から入力装置71を介して入力されているか否かを判定する判定処理を追加する。そして、削減要求が入力されていない場合は、ステップS2に進む。一方、削減要求が入力された場合は、図10に示す竿削減処理を呼び出し、処理が終了したらステップS1に戻る、というように組み込むことで実現することができる。
【0112】
竿削減処理が呼び出されると、図10に示すステップS21において、クランプ状態確認処理が実行されることで、指示情報Cの電線情報Dに付加されたA側及びB側クランプNoデータと竿Noデータに基づいて、各クランプ竿10のクランプに電線が係止されるか否かのクランプ状態が確認され、各クランプ竿10毎に電線がクランプ12に係止される係止数と電線が係止されない空きクランプ12の空き数とがRAM70cにカウントされ、その後ステップS22に進む。
【0113】
ステップS22において、組み合わせ検出処理(検出手段に相当)が実行されることで、クランプ竿10と他のクランプ10の各々の係止数と空き数とが比較され、係止数が空き数以下となるクランプ竿10の組み合わせが検出されると、その検出結果が組み合わせ情報としてRAM70cに格納され、その後ステップS23に進む。
【0114】
ステップS23において、確認情報出力処理(確認情報出力手段に相当)が実行されることで、検出したクランプ竿10の組み合わせを作業者等に確認させ、その組み合わせを指定させるための確認画面を表示装置72に表示させるための確認情報がRAM70cに生成され、この確認情報が表示装置I/F70fに出力され、その後ステップS24に進む。この確認情報の出力に応じて表示装置72に確認画面が表示される。
【0115】
確認画面の一例としては、図11(a)に示すように、組み合わせることが可能なクランプ竿Xとクランプ竿Yの模式図が表示され、各クランプ竿X,Yには配置される電線を示す電線群x,yを重畳して表示している。そして、電線が配置されないエリアは空きクランプエリアとして表示している。そして、作業者等に入力装置71の操作によって図11(b)に示すようにクランプ竿Xに電線群xと電線群yとなるようにクランプ竿Yの電線群yがクランプ竿Xの空きクランプエリアに移動されると、この移動に応じて変更された情報が発生する。
【0116】
ステップS24において、変更情報が発生したか否かが判定される。変更情報が発生していないと判定された場合は(ステップS24でN)、この判定処理を繰り返すことで、変更情報の発生を待つ。一方、変更情報が発生していると判定された場合は(ステップS24でY)、ステップS25に進む。
【0117】
ステップS25において、併合情報取込処理(併合情報取込手段に相当)が実行されることで、電線をどのクランプ竿10のクランプ12に移動するかを示す併合情報として発生した変更情報がAM70cに取り込まれ、その後ステップS26に進む。なお、図11(b)のようにクランプ竿Yの電線群yをクランプ竿Xの空きクランプエリアに移動する変更情報が発生すると、この変更情報がクランプ竿Xとクランプ竿Yを併合するための併合情報として取り込まれる。
【0118】
ステップS26において、指示情報変更処理(変更手段に相当)が実行されることで、所定ディレクトリから指定された指示情報ファイルF6の指示情報CがRAM70cに抽出され、この指示情報Cが有する電線情報Dに付加されたA側及びB側クランプNoデータと竿Noデータが、RAM70cの併合情報に基づいて変更され、この変更が終了すると、呼び出し元に復帰する。
【0119】
なお、図11(b)のようにクランプ竿Xとクランプ竿Yを併合する場合は、指示情報Cのクランプ竿Yに対応する指示情報Cの電線情報Dに付加されたA側及びB側クランプNoデータと竿Noデータが、クランプ竿Xに対応する新たなデータに変更されることとなる。
【0120】
以上説明したように、削減要求を受けると各々のクランプ竿(ワイヤハーネス製造治具)10の電線が係止されるクランプ(係止部材)12の係止数と電線が係止されない空きクランプ10の空き数とが比較され、この比較によって係止数が空き数以下となるクランプ竿10の組み合わせが検出される。そして、検出したクランプ竿10の各々を併合するか否かを確認するための確認情報が生成されて表示装置I/F70f出力される。そして、この確認情報の出力に応じて入力された変更情報が併合情報としてRAM70cに取り込まれると、この併合情報に基づいて電線情報Dに付加した情報が変更される。
【0121】
よって、製造に用いるクランプ竿(ワイヤハーネス製造治具)10の削減要求を作業者等から受けて併合が可能なクランプ竿10の組み合わせを検出すると、併合するか否かを確認するための確認情報を出力するので、作業者等はこの確認情報に基づいて併合するクランプ竿10の組み合わせを指定することができるため、作業者等がワイヤハーネスの製造に用いるクランプ竿10の数を少なくすることでできる。
【0122】
従って、ワイヤハーネスの製造に用いるクランプ竿(ワイヤハーネス製造治具)10の数を減らすことで、クランプ竿10を有効に活用することが可能となるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができる。
【0123】
なお、竿削減機能を指示情報生成装置7に追加することで、指示情報生成装置のCPU70aはさらに、検出手段、確認情報出力手段、併合情報取込手段、並びに変更手段として機能することとなる。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の指示情報生成装置によれば、指示情報を構成する複数の電線情報には、選択された工程の作業効率を向上させるように、ワイヤハーネス製造治具が有する複数の係止部材に対応する位置データを、作業者の負担を増加させることなく自動的に付加することができる。従って、指示情報に基づいて作業指示を行うことで、選択した工程の作業効率を向上することができるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0125】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、工程の稼動実績などを工程情報に反映しているので、複数の工程の中から作業効率を向上させるべき工程をより正確に選択することができる。また、作業効率を踏まえて向上させるべき工程を作業者に選択させる必要がなくなる。従って、作業効率を向上させるべき工程を自動的に選択することができるとともに、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができるという効果を奏する。
【0126】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、作業効率を向上させるべき工程として圧着工程が選択された場合、指示情報を構成する複数の電線情報には、各々の電線が交差しない位置データを付加しているので、圧着工程における作業時に電線が絡んでしまうことを防止することができる。従って、圧着工程の作業時に電線が絡まないので、圧着工程における作業効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0127】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、作業効率を向上させるべき工程に優先順位を設けているので、複数の工程を考慮して電線情報に位置データを付加することができる。従って、工程の優先順位に応じて位置データを電線情報に付加することで、複数の工程における作業効率を向上させることができるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができるという効果を奏する。
【0128】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れかに記載の発明の効果に加え、電線情報に付加した位置データに基づいて製造治具情報を選択しているので、作業効率を向上させるべき工程に最適なワイヤハーネス製造治具を選択することができる。また、例えば工程内で同一の設備を複数設けている場合は、複数のワイヤハーネス製造治具を用いるように選択することで、並列で作業を行うことができるため、作業効率をより向上することができる。従って、作業効率を向上させるべき工程に最適なワイヤハーネス製造治具を選択しているので、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができるという効果を奏する。
【0129】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、電線が係止されない係止部材が少なくなるようにワイヤハーネス製造治具を選択しているので、このワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を少なくすることでできる。従って、ワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を減らすことで、ワイヤハーネス製造治具を有効に活用することが可能となるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができるという効果を奏する。
【0130】
請求項7に記載の発明によれば、請求項5又は6に記載の発明の効果に加え、製造に用いるワイヤハーネス製造治具の削減要求を作業者等から受けて併合が可能なワイヤハーネス製造治具の組み合わせを検出すると、併合するか否かを確認するための確認情報を出力するので、作業者等はこの確認情報に基づいてどのようにワイヤハーネス製造治具を併合するかを指定することができるため、作業者等がワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を少なくすることでできる。従って、ワイヤハーネスの製造に用いるワイヤハーネス製造治具の数を減らすことで、ワイヤハーネス製造治具を有効に活用することが可能となるため、ワイヤハーネスの製造における作業効率をより一層向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の指示情報生成装置の基本構成を示す図である。
【図2】ワイヤハーネス製造システムの概略を示す構成図である。
【図3】図2の本発明にかかる指示情報生成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】ファイル構成を説明するための図である。
【図5】指示情報のデータ構造を示す図である。
【図6】竿情報管理ファイルの構成を示す図である。
【図7】工程情報管理ファイルの構成を示す図である。
【図8】図3のCPUが行う処理概要の一例を示すフローチャートである。
【図9】クランプ竿の電線の配置の一例で、(a)は電線が交差する場合、(b)は電線が交差しない場合をそれぞれ示した図である。
【図10】竿削減処理の処理概要を示すフローチャートである。
【図11】クランプ竿の併合を説明するための図であり、(a)は併合前、(b)は併合後をそれぞれ示す図である。
【図12】クランプ竿を示す正面図である。
【符号の説明】
70a1 電線情報取込手段(CPU)
70a2 選択手段(CPU)
70a3 抽出手段(CPU)
70a4 付加手段(CPU)
70a5 指示情報生成手段(CPU)
70a6 検出手段(CPU)
70a7 確認情報出力手段(CPU)
70a8 併合情報取込手段(CPU)
70a9 変更手段(CPU)
70d1 工程情報記憶手段(記憶装置)
70d2 製造治具情報記憶手段(記憶装置)
Claims (7)
- ワイヤハーネス製造治具が有する複数の係止部材毎に係止された電線を用い、複数の工程を経てワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムに、前記ワイヤハーネスの前記製造における作業を指示する指示情報を生成する指示情報生成装置であって、
前記複数の工程毎に少なくとも前記工程を実行する設備等を示す工程情報を記憶する工程情報記憶手段と、
前記ワイヤハーネスの製造に用いる前記電線を示す複数の電線情報を取り込む電線情報取込手段と、
前記複数の工程の中から作業効率を向上させるべき前記工程を選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した前記工程に対応する前記工程情報を、前記工程情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した前記工程情報と前記電線情報取込手段が取り込んだ前記電線情報とに基づいて、前記選択手段が選択した前記工程の作業効率がよくなるように、前記電線情報取込手段が取り込んだ前記電線情報の各々に前記係止部材に対応する位置データを付加する付加手段と、
前記付加手段が付加した前記電線情報に基づいて前記指示情報を生成する指示情報生成手段と、
を備えることを特徴とする指示情報生成装置。 - 前記工程情報は、前記ワイヤハーネスの製造における前記工程毎の稼動実績などを管理する管理データを有する構成とし、
前記選択手段は、前記工程情報の前記管理データに基づいて前記作業効率を判定し、該判定結果に応じて前記選択を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の指示情報生成装置。 - 前記工程は、前記電線の端末に端子を圧着する圧着工程を有し、
前記選択手段によって前記圧着工程が選択されると、前記付加手段は前記係止部材に係止する前記電線の各々が交差しないように前記位置データを付加する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の指示情報生成装置。 - 前記選択手段は、複数の前記工程を優先順位を設けて前記選択を行うことが可能であり、
前記付加手段は、前記工程の前記優先順位に応じて前記付加を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の指示情報生成装置。 - 前記ワイヤハーネス製造治具毎の前記係止部材の数などを示す製造治具情報を複数記憶する製造治具情報記憶手段をさらに備え、
前記付加手段はさらに、前記電線情報に付加する前記位置データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造にて用いる前記ワイヤハーネス製造治具に対応する前記製造治具情報を製造治具情報記憶手段から選択し、該選択した前記製造治具情報を前記電線情報に付加する
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の指示情報生成装置。 - 前記付加手段はさらに、前記電線が係止されない前記係止部材が少なくなるように前記製造治具情報を選択する
ことを特徴とする請求項5に記載の指示情報生成装置。 - 前記ワイヤハーネスの製造に用いる前記ワイヤハーネス製造治具の削減要求を受けると、前記指示情報及び前記製造治具情報に基づいて、各々の前記ワイヤハーネス製造治具の前記電線が係止される前記係止部材の係止数と前記電線が係止されない空き係止部材の空き数とを比較し、前記係止数が前記空き数以下となる前記ワイヤハーネス製造治具の組み合わせを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記ワイヤハーネス製造治具の各々を併合するか否かを確認するための確認情報を生成して出力する確認情報出力手段と、
前記確認情報出力手段が出力した前記確認情報に応じて入力された前記併合するための情報を併合情報として取り込む併合情報取込手段と、
前記併合情報取込手段が取り込んだ前記併合情報に基づいて前記電線情報に付加した前記製造治具情報を変更する変更手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の指示情報生成装置。
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