JP4142252B2 - パーカッション及びトレパニングの組合せレーザー・ドリリング - Google Patents
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Description
この発明は、レーザー・ドリリングにより部材に孔を穿孔することに関し、より詳しくは、超合金部材に、及び、特にタービン翼・羽根のようなガスタービン部材に、比較的大きく深い孔を穿孔するレーザー・ドリリングに関する。
【0002】
タービン翼・羽根のようなガスタービン部材に冷却用の孔の如き孔をレーザー・ドリリングすることは、かなりの間知られてきた。レーザーによる材料処理は、工程中の材料の表面に高エネルギーのレーザービームを集中させることが必要になる。このビームのある部分は吸収されるが、その量は、材料の種類や表面の状態に依存する。高エネルギー(例えば、250ワット)の吸収によって高い強度(107ワット/cm2のオーダー)が作成されること、及び、ビームを0.004乃至0.008インチ(すなわち、0.01016乃至0.02032cm)径に集束させることによって、その表面材料は、加熱、溶融、そして蒸発する。
【0003】
レーザー・ドリリングは、全ての強靭な航空宇宙用合金において、小さな径(例えば、0.004インチ(すなわち、0.01016cm))の孔、高い(>10対1)アスペクト(孔径に対する深さ)比を持った孔、及び、その表面からの浅い(10°)角度の孔を作成する能力のために、最も注目されている。
【0004】
レーザー・ドリリングのプロセスには、パーカッション・ドリリングとトレパニング・ドリリングの2つがある。パーカッション・レーザー・ドリリングは、典型的には、翼及びノズルガイド羽根に冷却用孔を作成するために使用される。この方法は、一定のビームと一つ以上のパルスを必要とし、材料の厚さを貫通させる。パーカッション・レーザー・ドリリングに関しては、孔の径は、ビームの径とそのパワーレベルによって確定される。
【0005】
トレパニング・レーザー・ドリリングは、孔を輪郭切削することを必要とする。これは、一定の集束されたビーム(例えば、パーカッション・ドリリングにおけるように)によって形成される孔径よりも大きな孔径の孔を作成するために、円形の経路に沿ってビームを移動させるものである。レーザービームと同時に、高圧の不活性ガス又は酸化ガスがノズルを経て流れ、レーザーで融解した金属を除去するために必要な機械的エネルギーを提供する。トレパニング・ドリリングに関しては、その孔径は、移動系の動きのみによって制限される。
【0006】
パーカッション・ドリリング及びトレパニング・ドリリングについては、それが比較的大きな孔(例えば、少なくとも0.030インチ(すなわち、0.0762cm))や深い孔(例えば、少なくとも0.30インチ(すなわち、0.762cm))を穿孔するとき、特にNi及び/又はCo系超合金に関して、制限を受ける。パーカッション法が制限されるのは、効果的に穿孔することができる最大のアスペクト比が、孔を塞ぐスラグの形成のため、約0.030インチ(すなわち、0.0762cm)の孔径の場合に約10対1である、という点からである。更に、大きく深い孔がパーカッション・ドリリングで穿孔されるとき、形成される孔は、例えば底に向かって小さくなるように、テーパーがついているように観察される。大きく深い孔をトレパニング・ドリリングすることもまた効果的ではないが、これは、孔が深く形成される以前にスラグが孔に堆積する傾向があって、レーザーエネルギーが基材によって吸収され、以後の穿孔を阻害するからである。
【0007】
従って、本発明の目的は、超合金部材に大きく深い孔をレーザー穿孔する方法を提供することである。
【0008】
(発明の要約)
要約すると、ニッケル系、コバルト系、又はニッケル及びコバルト系超合金部材に、少なくとも0.0762cmの所定の孔径と、少なくとも1.016cmの孔の深さと、少なくとも10対1の深さ/孔径の比とを有する孔をレーザー・ドリリングにより穿孔する方法であって、前記部材に、前記所定の孔径未満の孔径に達する中央孔をパーカッション・レーザー・ドリリングにより穿孔し、次いで、前記中央孔の周囲をトレパニング・レーザー・ドリリングにより穿孔し、前記孔の孔径を前記所定の孔径まで拡大し、更に、前記パーカッション・レーザー・ドリリング及びトレパニング・レーザー・ドリリングのステップを繰り返して前記孔を穿孔すること、を含む方法である。これらのステップは、この穿孔プロセスの間、均一な孔の形成が完了するまで必要に応じて繰り返される。
【0009】
(詳細な説明)
レーザー・ドリリングは、一般に、CNC(コンピュータ数値制御)を用いたパルス・ヤグ(YAG)レーザーによって実施される。このレーザーは、典型的には、約250ワットの平均エネルギーを持った約0.004乃至0.008インチ(すなわち、0.01016乃至0.02032cm)径のビームを形成する。このレーザービームを、穿孔される部材の表面に集束させるための、レンズを有した光学系が用意される。この部材は、Ni及び/又はCo系超合金である。代表的な超合金には、Mar-M509、IN-738、CMSX-4、IN-792、U520及びX-40が含まれる。この部材は、タービン翼・羽根などのガス・タービン部材とすることができ、この孔は、一般に膜冷却のために穿孔される。穿孔される所定の孔径は少なくとも約0.030インチ(すなわち、0.0762cm)であり、深さ/孔径の比は少なくとも約10対1であり、好ましくは、約0.03乃至0.10インチ(すなわち、0.0762乃至0.254cm)の孔径であり、約20対1乃至30対1の深さ/孔径の比である。一般に、孔の深さは、約0.4乃至1.5インチ(すなわち、1.016乃至3.81cm)の範囲内にある。
【0010】
この方法の第1のステップは、超合金に、所望(所定)の孔径未満の孔径に達する中央孔をパーカッション・ドリリングにて穿孔することを含む。このパーカッション・ドリリングにて形成される中央孔は、約0.020インチ(すなわち、0.0508cm)までの孔径、好ましくは、0.01乃至0.02インチ(すなわち、0.0254乃至0.0508cm)の孔径を有する。8インチ(すなわち、20.32cm)焦点距離のレンズが、この中央孔のパーカッション・ドリリングに使うことができる。典型的には、パーカッション・レーザー・ドリリングの間、4乃至8レーザーパルス/秒で使われる。この中央孔の孔径は、スラグの除去を促進し、引き続くトレパニング・ドリリングを効果的に実施させる。
【0011】
このパーカッション・ドリリングの後、トレパニング・レーザー・ドリリングが実施され、中央孔を所定の孔径まで拡大する。トレパニング・ドリリングは、円形の経路に従うレーザーによって一連の小さな円をレーザー・ドリリングし、所定の径の孔を作成することを要する。6インチ(すなわち、15.24cm)焦点距離のレンズは、トレパニングの間、トレパニング円形を形成するために使用される。トレパニングの間、典型的には、10乃至15レーザー・パルス/秒で使われる。レーザー・ビームと部材の相対運動は、レーザー・ビーム及び/又は部材を、該分野周知の方法で移動させることで実施することができる。トレパニングの間、スラグが堆積してドリリングを阻害する場合には、パーカッション・ドリリングのステップが繰り返され、その後トレパニングのステップが行われる。これら2つの操作は、超合金材の全深さに亙って、所定の孔径が一様に達成されるまで繰り返される。
【0012】
レーザー・ドリリングのプロセスの間、孔の後方は清浄に保たれ、トレパニングの間に、スラグが中央孔から出で行くことを許容する。かくて、孔の出口に隣接するバリアー材(例えば、樹脂)は、使用されない。しかしながら、孔の出口に対向する部材の壁の腐食を防ぐため、保護バリアーが使われることが望ましい。保護バリアー材(例えば、樹脂)が、この孔の出口と対向する部材壁の上に使うことができ、これによって、レーザー・ビームの経路に当たる部材のこの表面を機械加工や損傷から保護する。
【0013】
(実施例)
M34コンバージェント・エナジー・CNC・パルスヤグ(YAG)レーザー・マシーンが使用され、MAR M509超合金からなる工業用タービン羽根部材の厚さ0.9インチ(すなわち、2.286cm)の壁に、孔径0.045インチ(すなわち、0.1143cm)の孔を形成した。
【0014】
8インチ焦点距離のレンズを使い、0.015乃至0.020インチ(すなわち、0.0381乃至0.0508cm)径の中央孔が、6パルス/秒のレートのレーザー・パルスで以って、この部材にパーカッション・ドリリングされた。6インチ(すなわち、15.24cm)焦点距離のレンズを用いて、トレパニング・レーザー・ドリリングが実施され、12パルス/秒のレートのレーザー・パルスで各中央孔の回りに一連の円が形成され、0.045インチ(すなわち、0.1143cm)孔径の孔を作成した。中央孔を閉塞するスラグが、トレパニングの間、孔の中に形成されたとき、パーカッション・ドリリングが繰り返されて中央孔を清浄化し、その後トレパニングが行われる。これらのステップは、0.045インチ(すなわち、0.1143cm)孔径の孔が、深さ0.9インチ(すなわち、2.286cm)に達するまで繰り返される。この孔は、均一な径をなし、テーパーは極小である。
Claims (11)
- ニッケル系、コバルト系、又はニッケル及びコバルト系超合金部材に、少なくとも0.0762cmの所定の孔径と、少なくとも1.016cmの孔の深さと、少なくとも10対1の深さ/孔径の比とを有する孔をレーザー・ドリリングにより穿孔する方法であって、
前記部材に、前記所定の孔径未満の孔径に達する中央孔をパーカッション・レーザー・ドリリングにより穿孔し、次いで、
前記中央孔の周囲をトレパニング・レーザー・ドリリングにより穿孔し、前記孔の孔径を前記所定の孔径まで拡大し、更に、
前記パーカッション・レーザー・ドリリング及びトレパニング・レーザー・ドリリングのステップを繰り返して前記孔を穿孔すること、
を含む方法。 - 前記中央孔が0.0508cmまでの孔径を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記孔が20対1から30対1までの深さ/孔径の比を有する、請求項2に記載の方法。
- 前記所定の孔径が0.0762cmから0.254cmである、請求項3に記載の方法。
- 前記孔の深さは1.016cmから3.81cmである、請求項3に記載の方法。
- 前記レーザー・ドリリングのレーザー・ビームが最初に当たる前記部材の表面に形成される前記孔の前方入口とは反対側の表面上に形成される前記孔の後方出口に接するバリアー材が用いられない、請求項1に記載の方法。
- 前記孔の後方出口と対向し、かつ前記孔の後方出口から間隔を置いた前記部材の壁面に、保護バリアー材が用いられる、請求項6に記載の方法。
- 前記部材は、ガスタービンの部材である、請求項6に記載の方法。
- 前記孔は、冷却用の孔である、請求項7に記載の方法。
- 前記パーカッション・レーザー・ドリリング及びトレパニング・レーザー・ドリリングは、コンピュータ数値制御を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
- 前記パーカッション・レーザー・ドリリングは、4乃至8パルス/秒で実施され、かつ、前記トレパニング・レーザー・ドリリングは、10乃至15パルス/秒で実施される、請求項10に記載の方法。
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