JP4141909B2 - 携帯製品 - Google Patents

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JP4141909B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の携帯製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯製品として特に携帯電話は、その普及が急速にしかも広範囲にわたってなされ、これに伴って種々の形態のものが提供されている。当初においては、キー操作部と受話部および送話部、さらに液晶等による表示部も一体に形成されたものが主流であった。ところが、このような一体型では全体が大きくなってしまうことで携帯性が悪く、したがって、その後これをコンパクト化する改良が種々なされている。
【0003】
このようなコンパクト化を行ったものとして、例えばスライド開閉するカバーでキー操作部を覆う構造のもの(例えば、特許文献1参照)や、電話本体に対してカバーを開閉できるようにした二つ折りタイプのものが提供されている。
さらに、近時、電話本体に対してカバーを水平方向(電話本体の面方向)に180°回動させることにより、電話本体の内面側に形成された操作部を開けることができるようにしたものも提供されている。このタイプのものでは、非使用時においてもカバーに設けられた表示部が外側を向くことにより、デザイン性に優れ、また使用時には例えば片手で簡単にカバーを開くことができることにより、操作性に優れたものとなっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−119456号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のカバーを水平方向に回動させることによって操作部を開けるタイプのものでは、カバーを閉じた状態、すなわち非使用時にも表示部が外側を向いていることでデザイン的には斬新である反面、表示部が非使用時にも外側を向いていることでこれの保護が十分に配慮されていないといった問題がある。すなわち、非使用時において不測に表示部をぶつけ、表示面に傷をつけてしまったり、これを汚すことで表示部としての機能を損なってしまったり、雨に濡らしてしまうなどの問題がある。特に、液晶によって表示部が形成されている場合、この表示部は機械的衝撃に対して弱く、また耐水性も十分ではないことから、このような問題の解決が強く要望されている。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、本体に対してカバーを水平方向に回動させることで、例えば片手で簡単にカバーを開くことができるなど良好な操作性を有し、しかも非使用時に表示部等の機能部が外側に向くことによる不都合を防止した、携帯電話等の携帯製品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の携帯製品では、一方の面を第1機能面とし、この第1機能面に操作部と表示部との少なくとも一方を有してなる第1機能部を形成した装置本体と、該装置本体の前記第1機能面側に設けられ、一方の面を第2機能面とし、この第2機能面に操作部と表示部との少なくとも他方を有してなる第2機能部を形成したカバーと、を備えてなる携帯製品であって、前記カバーが、前記装置本体に設けられた回動機構部を介して前記装置本体に取り付けられてなり、前記回動機構部と前記装置本体との間には、回動機構部を装置本体の第1機能面の面方向に回動させる第1回動部が設けられ、前記カバーと前記回動機構部との間には、回動機構部に対してカバーを回動させるための第2回動部が設けられ、前記カバーは該第2回動部の回動軸の一方の側に設けられ、かつ前記回動機構部は該第2回動部の回動軸の他方の側に設けられたことにより、前記カバーは前記回動機構部に対してこの回動軸の軸線回りに回動するよう構成されてなり、前記第2回動部は第1回動部の回動力が伝達されることで回動するよう構成され、これによって前記カバーは、該カバーが装置本体の第1機能面上に位置しているときにその第2機能面を第1機能面側に向け、カバーが装置本体の第1機能面の面方向に回動して第1回動部の回動力が第2の回動部に伝達されると、その第2機能面が第1機能面と反対の側に向くように回動するよう構成されてなることを前記課題の解決手段とした。
【0008】
この携帯製品によれば、装置本体とカバーとの間に回動機構部を設け、この回動機構部に第1回動部と第2回動部とを設け、第1回動部の回動力が伝達されることで第2回動部が回動するよう構成したので、カバーが装置本体の第1機能面上に位置しているときにその第2機能面を第1機能面側に向くようにしておけば、回動機構部を装置本体の第1機能面の面方向に回動させて第1回動部の回動力を第2の回動部に伝達させることで、その第2機能面が第1機能面と反対の側に向くようにカバーを回動させることができる。
【0009】
また、前記の携帯製品においては、前記第1回動部および第2回動部はそれぞれギアを備えて形成され、これらは互いに歯合していることで第2回動部に第1回動部の回動力が伝達されるよう構成されているのが好ましい。
このようにすれば、簡易な構成で第1回動部の回動力を第2回動部に伝達させることが可能になる。
【0010】
また、前記の携帯製品においては、前記第1回動部および第2回動部には、それぞれその中心軸となる位置に貫通孔が形成されてなり、前記装置本体とカバーとの間に電気的接続をなす配線が設けられ、前記配線は、前記第1回動部の貫通孔と第2回動部の貫通孔とをそれぞれ通るよう引き回されて配設されてなり、前記配線には、前記第1回動部の貫通孔内又はその近傍においてその回動方向に巻回されてなる第1巻回部が設けられ、かつ、前記第2回動部の貫通孔内又はその近傍においてその回動方向に巻回されてなる第2巻回部が設けられ、これら第1巻回部および第2巻回部は、それぞれ対応する回動部が正方向に回動した際に展開し、逆方向に回動した際に元の巻回された状態に復帰するよう構成されてなるのが好ましい。
【0011】
このようにすれば、装置本体とカバーとの間の配線を、装置本体と回動機構部との間を連結する第1回動部、および回動機構部とカバーとの間を連結する第2回動部のそれぞれの貫通孔を通すことで引き回しているので、別に配線の経路を設ける必要がないため省スペース化が図られたものとなる。また、各回動部の回動により、対応する巻回部がこれに連れ回りすることで展開しあるいは元の巻回された状態に復帰するようにしたので、カバーの回動によって配線に不測のよじれ等が生じ、これに起因して配線に断線等の不都合が生じるのが防止される。
【0012】
また、前記の携帯製品においては、前記装置本体と前記回動機構部との間に、装置本体に対する回動機構部の回動方向および回動量を規制する規制手段が設けられているのが好ましい。
このようにすれば、例えば回動方向を一定方向とすることで不測にカバーが開いてしまうことが防止され、また回動量を規制することで最も使い勝手の良い状態、すなわち使用状態となる位置でカバーの回動が停止するよう構成することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の携帯製品を詳しく説明する。
図1〜図5は本発明の携帯製品を携帯電話に適用した場合の一実施形態を示す図であり、これらの図において符号1は携帯電話である。この携帯電話1は、装置本体2とこれに設けられた回動機構部3を介して装置本体1に取り付けられたカバー4とを備えてなるものである。
【0014】
装置本体2は、図5(a)に示すようにその内面側に操作部5と送話孔6とからなる第1機能部7を有した直本体状のもので、この第1機能部7を形成した内面を第1機能面2aとしたものである。カバー4は、その一方の面側に液晶ディスプレイ等の表示部8と受話孔9とからなる第2機能部10を有した直方体状のもので、この第2機能部10を形成した面を第2機能面4aとしたものである。
回動機構部3は、前記装置本体2の長辺方向における一方の側において、第1機能面2a側に配置され取り付けられたもので、その一方の側部にて前記カバー4と連結したものである。
【0015】
ここで、前記装置本体2には、図1(b)、図5(b)に示すようにそのケース2bに装置本体2の取り付け用の孔11が形成されており、ケース2bの外面側には、孔11を覆うようにして取付ブラケット12が取り付けられ、螺子等によって固定されている。取付ブラケット12は、図1(a)に示すように略円板状のもので、その外周部に一部を切り欠いてなる切欠部12aを形成したものであり、切欠部12a近傍に係合部13を形成したものである。係合部13は、取付ブラッケット12の外周縁に沿った状態で切欠部12a内に突出して形成されたもので、その先端部には上方、すなわち装置本体2の第1機能面2aが向く側に立ち上がった状態の係合片13aが形成されている。また、取付ブラケット12には、図1(b)に示したように中心部に孔12bが形成されている。
【0016】
取付ブラケット12の孔12b内には、固定ギア14が取付固定されている。この固定ギア14は、前記孔12b内に挿通された円筒部14aと、この円筒部14aの上側に形成された円盤部14bとからなるもので、その中心軸となる位置に貫通孔15を形成し、また、図1(a)に示したように円盤部14b上の一部に該円盤部14bの周方向沿ってギア部14cを形成したものである。円筒部14aは、前述したように孔12b内に挿通されたもので、図1(b)に示したように孔12bから装置本体2側に突出した下端部には、トルク調整板16と固定ブロック17とがこの順に外挿されている。円盤部14bは、取付ブラケット12の孔12bより大径に形成されたもので、円筒部14a側に小径部14dが形成され、その上に前記ギア部14cを有した大径部14eが形成されている。
【0017】
このような構成のもとに固定ギア14は、取付ブラケット12の下側(装置本体2側)にて円筒部14aに固定ブロック17が嵌められ、取付ブラケット12の上側(回動機構部3側)で円盤部14bが取付ブラケット12上に載ることにより、取付ブラケット12に保持固定されたものとなっている。
なお、トルク調整板16は、固定ブロック17によって取付ブラケット12側に押さえ付けられることで、その反力として固定ブロック17を介して固定ギア14を取付ブラケット12側に引っ張る力を発生させる。その結果、この固定ギア14を介してブッシュ18も取付ブラケット12側に引っ張られることになり、これによってブッシュ18が取付ブラケッット12に押し付けられるようになる。したがって、トルク調整板16はこのようにブッシュ18を取付ブラケッット12に押し付けさせるように作用することから、装置本体2と回動機構部3との間にトルクを発生させるものとなる。すなわち、ブッシュ18は後述するように回転ブラケット19とともに回動することから、回転ブラケット19が回転したとき、ブッシュ18が取付ブラケッット12に押し付けられていることで、トルクが発生するのである。
【0018】
なお、前記ギア部14cは、後述する回動ギアのギア部に歯合するよう形成配置されたもので、円盤部14bの周縁部上にてその周方向に沿って形成されたものである。また、本例のギア部14cは、円盤部14bの全周に亘って形成されたものではなく、約1/3周分程度に亘って形成されたものである。
【0019】
取付ブラケット12の上側、すなわち回動駆動部3内には、固定ギア14の外周側にブッシュ18が回転可能に設けられ、さらにこのブッシュ18には回転ブラケット19が取り付け固定されている。ブッシュ18は円環状のもので、その内周側が固定ギア14の小径部14dに外挿されて取付ブラケット12と大径部14eとの間に回転可能に挟持されたものである。このブッシュ18には、その外周面に周方向に沿って取付溝18aが形成されており、この取付溝18aには前記回転ブラケット19が固定されている。
【0020】
回転ブラケット19は、ブッシュ18に嵌められるための円孔19aをその内部(略中心部)に形成した角板状のもので、図1(a)に示したように前記円孔19aの外側に、前記取付ブラケット12の周方向に沿う開口19bを形成したものである。開口19bは、前記取付ブラケット12に形成された係合片13aを通過させてこれを上側に突出させた円弧状のもので、後述するように回転ブラケット19が取付ブラケット12上を回動する際、係合片13aに案内されるよう形成されたものである。ここで、この開口19bは、本例では前記固定ギア14の中心軸を中心とした略半円のなす円弧、すなわち中心角を180°とする扇形(半円)の円弧に相当する、形状・大きさに形成されたものである。
なお、装置本体2に取付ブラケット12を介して固定された固定ギア14と、これに対して回転可能に設けられたブッシュ18及び回転ブラケット19とを備えて、本発明における第1回動部が構成されている。
【0021】
また、回転ブラケット19の一辺、すなわち前記開口19bを形成した側の辺には、図1(b)に示したようにその上面側に立ち上がってなる保持部19cが形成されており、この保持部19cにはブッシュ20が保持固定されている。ブッシュ20は、回動機構部3を形成するケース3aを貫通して取り付けられた円筒状のもので、その側面で前記保持部19c及びケース3aに保持固定されたものであり、その孔内に回動ギア21を回動可能に挿通させたものである。
【0022】
回動ギア21は、ブッシュ20の孔内に摺動可能に挿通された円筒部21aと、この円筒部21aの一端側に形成されたギア部21bとからなるもので、ギア部21bがブッシュ20の孔より大径に形成されたことにより、このギア部21bがブッシュ20の外側(一端側)に配置させられたものである。なお、ギア部21bにおいても円筒部21aにおける孔に連通する孔が形成されており、これによって回動ギア21は、その中心軸(回動軸)に沿って貫通孔21cが形成されたものとなっている。
【0023】
ギア部21bは、前記固定ギア14の円盤部14bの上面周縁部上に位置するように形成された歯車上のもので、前記固定ギア14のギア部14cに係脱可能に歯合するよう構成されたものである。すなわち、このギア部21bは、後述するように回動機構部3を回動させた際、回転ブラケット19とともに固定ギア14を中心として回動し、これによって前記ギア部14cに歯合するようになっている。また、歯合した状態から逆方向に回動することにより、ギア部14cから脱離するようになっている。
【0024】
ここで、ギア部21bがギア部14cに歯合し、さらにその状態で回転ブラケット19の回動(正方向の回動)が進むと、これに伴ってギア部21bが回動し、したがって回動ギア21全体がブッシュ20内を回動するようになる。
また、この回動ギア21には、ギア部21bと反対の側にカバー側ブラケット22が取り付けられており、さらにこれの外側に固定ブロック23が取り付けられている。このような構成にもとにカバー側ブラケット22は、前記ブッシュ20と固定ブロック23との間に挟持されている。カバー側ブラケット22は、カバー4のケース4bの一部を構成するよう、該ケース4bに形成された開口(図示せず)に嵌め込まれた板状のもので、その両側には、図1(a)に示したように一対の取付片22a、22aが、ケース4b内に延出した状態で形成されている。取付片22a、22aは、カバー4内において固定部材(図示せず)に螺子止め等で固定されており、これによって回動ギア21は、カバー側ブラケット22を介してカバー4に保持固定されたものとなっている。
【0025】
このような構成のもとに回動ギア21は、前述したようにブッシュ20が回転ブラケット19の保持部19cとケース3aとに保持固定されたことにより、ギア部21b側が回動機構部3側に保持固定されたものとなっており、また反対の側がケース4bを貫通したことにより、カバー4に保持固定されたものとなっている。すなわち、回動ギア21とブッシュ20及び固定ブロック23とは、回動機構部3に対してカバー4を回動させるための、本発明における第2回動部を構成するものとなっているのである。
【0026】
また、前記装置本体2とカバー4との間には、これらの間の電気的接続をなす配線24が、回動機構部3内を通って設けられている。この配線24は、前記の固定ギア14の貫通孔15を通り、さらに回動ギア21の貫通孔21cを通って装置本体2側からカバー4側に引き回されたものである。また、この配線24には、図1(b)、図2(a)に示すように固定ギア14の貫通孔15内又はその近傍に第1巻回部24aが設けられており、さらに回動ギア21の貫通孔21c内又はその近傍に第2巻回部24bが設けられている。すなわち、この配線24は、展開した状態で例えば図2(b)に示すように折曲部を3箇所形成したテープ状のものであり、折曲部間をそれぞれ巻回することで図2(a)に示したように第1巻回部24a、第2巻回部24bを形成したものである。
【0027】
ここで、第1巻回部24aは前述した第1回動部の回動方向、すなわち固定ギア14に対する回転ブラケット19の回動方向に巻回され、これによって固定ギア14が正方向に回動した際に展開し、逆方向に回動した際に元の巻回された状態に復帰するよう構成されたものである。同様に、第2巻回部24bは第2回動部の回動方向、すなわち回動ギア14の回動方向に巻回され、これによって回動ギア21が正方向に回動した際に展開し、逆方向に回動した際に元の巻回された状態に復帰するよう構成されたものである。なお、この配線24には、各巻回部24a、24bが対応する回動部の回動によって確実に連れ回りするよう、例えば、巻回部24a、24bの一部を直接あるいは間接的に、前記貫通孔15(21c)内に固定するようにしてもよい。
【0028】
次に、このような構成からなる携帯電話1の動作について説明する。
まず、非使用時には、図1(b)に示したように、すなわち図3(b)中実線で示すように、カバー4を装置本体2の直上に位置させ、これによって装置本体2の第1機能面2aをカバー4で覆い、これによって第1機能面2aに形成された操作部5や送話孔6を保護しておく。この状態では、カバー4はその第2機能面4a、すなわち表示部8や受話孔9を形成した面が装置本体2側を向くようになっており、結果的に表示部8や受話孔9は装置本体2によって保護されたものとなる。
【0029】
このような状態から、使用状態に移行するためには、回動機構部3を、装置本体2の第1機能面2aの面方向に回動する。なお、本例では、図1(a)に示した取付ブラケット12の係合片13aと回転ブラケット19の開口19bとの位置関係から、回動機構部3は図3(a)中実線で示した方向にしか、回動しないように規制されている。したがって本例では、この方向、すなわち装置本体2の第1機能面2aに向かって時計回りに回動する方向を正方向の回動とし、その逆を逆方向の回動としている。
【0030】
回動機構部3を図3(a)中実線で示したように正方向に90°回動すると、回動機構部3中の回転ブラケット19も回動する。これに伴い、回転ブラケット19にブッシュ20及び回動ギア21を介して接続されたもカバー4も回動する。すなわち、回転ブラケット19及び回動ギア21は、図4(a)に示した状態から図4(b)に示した状態に回動する。この間、回動ギア21のギア部21bは固定ギア14のギア部14cに歯合していないことから、ギア部14cは固定ギア14に対する回転ブラケット19の回動による回動力、すなわち本発明における第1回動部の回動力が第2の回動部である回動ギア21に伝達されず、したがってカバー4は回動ギア21の軸線回りに回動しない。
なお、回動機構部3が90°回動したとき、すなわち図4(b)に示したときに、回動ギア21のギア部21bが固定ギア14のギア部14cに歯合するようになっている。また、回転ブラケット19の回動は、その開口19bと取付ブラケット12の係合片13aとの係合により、その軌道が規制されている。
【0031】
続いて、回動機構部3を図3(a)中一点鎖線で示したようにさらに正方向に回動させ、その回動角を約135°にすると、回転ブラケット19及び回動ギア21は、図4(b)に示した状態から図4(c)に示した状態に回動する。すると、前述したように回動機構部3が90°回動した段階で回動ギア21のギア部21bが固定ギア14のギア部14cに歯合していることから、ギア部14cは固定ギア14に対する回転ブラケット19の回動による回動力、すなわち本発明における第1回動部の回動力を第2の回動部である回動ギア21に伝達することになり、これによって回動ギア21は回動し、したがってカバー4も回動ギア21の軸線回りに回動する。
【0032】
なお、回動ギア21のギア部21bと固定ギア14のギア部14cとは予めそのギア比が決められており、これによって回動ギア21とこれに固定されたカバー4とは、図4(b)に示した状態から図4(c)に示した状態、すなわち回動角を90°から135°までとする回動により、回動ギア21の軸線回りに90°回動するようになっている。ここで、このようにカバー4が軸線回りに90°回動しても、カバー4は図3(a)中一点鎖線で示すように、破線で示した装置本体2の端部とは干渉しないようになっている。
【0033】
次いで、回動機構部3をさらに正方向に回動させると、図4(d)に示すように取付ブラケット12の係合片13aが回転ブラケット19の開口19bの一端側の縁部に当接し、これによって正方向の回動が停止させられる。すなわち、本例では、図4(a)に示した非使用状態(カバー4が閉じた状態)から図4(d)に示したように約180°回動した状態で、回動機構部3の回動が停止させられるよう、その回動が前記開口19bと係合片13aとによって規制されているのである。なお、これら開口19bと係合片13aとは、本発明において装置本体2に対する回動機構部3の回動方向および回動量を規制する規制手段を構成するものとなっている。
【0034】
また、このように回動機構部3を正方向に約180°回動させると、図3(a)中二点鎖線で示したようにカバー4は非使用状態のときに比べて反転し、表示部8や受話孔9を形成した第2機能面4aが装置本体2の第1機能面2aと同じ方向に向くようになる。すなわち、図4(c)に示した状態から図4(d)に示した状態に回動すると、固定ギア14に対する回転ブラケット19の回動による回動力がギア部14cに伝達されて回動ギア21が回動し、これによってカバー4がさらに回動ギア21の軸線回りに回動することにより、前述したようにカバー4が反転した状態、すなわち図5(a)、(b)に示すように使用状態となるのである。
【0035】
したがって、回動機構部3を装置本体2の面方向に規制手段で規制されるまで回動させることにより、単に装置本体2の第1機能面2aを開くだけでなく、カバー4を使用状態、すなわちその第2機能面4aを表側に向けることができる。なお、使用を終え、再度非使用状態に戻したいときには、回動機構部3を逆方向に回動させて図4(a)〜(d)に示した動作を逆に行わせることにより、カバー4を軸線回りに180°回動させつつ装置本体2の第1機能面2a上に被着させることができる。
また、このような動作中において配線24は、第1巻回部24aおよび第2巻回部24bがそれぞれ対応する回動部が正方向に回動した際に展開し、逆方向に回動した際に元の巻回された状態に復帰するようになっているので、カバー4の回動に起因してよじれ等が生じないようになっている。
【0036】
このような携帯電話1にあっては、回動機構部3に第1回動部と第2回動部とを設け、第1回動部の回動力が伝達されることで第2回動部が回動するよう構成したので、回動機構部3を装置本体2の面方向に回動させることによって単に装置本体2の第1機能面2aを開くだけでなく、カバー4を使用状態、すなわちその第2機能面4aを表側に向けることができるようになる。よって、例えば片手で簡単にカバーを開くことができるなど良好な操作性を有したものとなり、しかも、非使用時には表示部8等の第2機能部10が外側に向くことなく内側、すなわち装置本体2側を向くことで装置本体2に保護されるようになる。
【0037】
また、配線24を、各貫通孔15、21cを通すことで引き回しているので、別に配線用の経路を設ける必要がないため省スペース化による小型化が図られたものとなる。さらに、各巻回部24a、24cを形成したことによって配線24に不測のよじれ等が生じないようにしたので、これに起因して配線24に断線等の不都合が生じないようになる。
また、開口19bと係合片13aとからなる規制手段を設けたので、例えば回動方向を一定方向とすることで不測にカバー4が開いてしまうことを防止することができ、また回動量を規制することで最も使い勝手の良い状態、すなわち使用状態となる位置でカバー4の回動が停止するよう構成することができる。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しないかぎり種々の変更が可能である。例えば、前記実施形態では第1回動部、第2回動部を、それぞれギアを備えて構成されたものとしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えばカム機構を用いることにより、第1回動部の回動力を第2回動部に伝達するよう構成してもよい。
また、前記実施形態では、規制手段を設けてカバーを開く際に一方向(正方向)にしか回動しないようにしたが、規制手段を特に設けず、したがって正逆両方に開くよう構成してもよい。
また、前記実施形態では本発明を携帯電話に適用した場合の例について説明したが、本発明はもちろんこれに限定されることなく、電子手帳や電子辞書、PDA等の各種携帯製品にも適用可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の携帯製品は、装置本体とカバーとの間に回動機構部を設け、この回動機構部に第1回動部と第2回動部とを設け、第1回動部の回動力が伝達されることで第2回動部が回動するよう構成したものであるから、カバーが装置本体の第1機能面上に位置しているときにその第2機能面を第1機能面側に向くようにしておけば、回動機構部を装置本体の第1機能面の面方向に回動させて第1回動部の回動力を第2の回動部に伝達させることで、その第2機能面が第1機能面と反対の側に向くようにカバーを回動させることができる。よって、例えば片手で簡単にカバーを開くことができるなど良好な操作性を有したものとなり、しかも、非使用時には第2機能部が外側に向くことなく内側、すなわち装置本体側を向くことで装置本体に保護されるようになり、これにより第2機能部を傷や汚れから守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の携帯製品(携帯電話)の一実施形態の、非使用状態を示す図であって、(a)は要部を断面視した平面図、(b)は側断面図である。
【図2】 (a)は配線を説明するための斜視図、(b)は(a)に示した配線の展開図である。
【図3】 図1に示した携帯電話の使用に際しての動作を説明するための図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】 (a)〜(d)は回動機構部における要部の動作を説明するための平面図である。
【図5】 図1に示した携帯電話の使用状態を示す図であって、(a)は要部を断面視した平面図、(b)は側断面図である。
【符号の説明】
1…携帯電話(携帯製品)、2…装置本体、2a…第1機能面、
3…回動機構部、4…カバー、4a…第2機能面、5…操作部、
7…第1機能部、8…表示部、10…第2機能部、12…取付ブラケット、
13…係合部、13a…係合片、14…固定ギア、15…貫通孔、
19…回転ブラケット、19b…開口、20…ブッシュ、21…回動ギア、
21c…貫通孔、24…配線、24a…第1巻回部、24b…第2巻回部

Claims (4)

  1. 一方の面を第1機能面とし、この第1機能面に操作部と表示部との少なくとも一方を有してなる第1機能部を形成した装置本体と、該装置本体の前記第1機能面側に設けられ、一方の面を第2機能面とし、この第2機能面に操作部と表示部との少なくとも他方を有してなる第2機能部を形成したカバーと、を備えてなる携帯製品であって、
    前記カバーが、前記装置本体に設けられた回動機構部を介して前記装置本体に取り付けられてなり、
    前記回動機構部と前記装置本体との間には、回動機構部を装置本体の第1機能面の面方向に回動させる第1回動部が設けられ、
    前記カバーと前記回動機構部との間には、回動機構部に対してカバーを回動させるための第2回動部が設けられ、前記カバーは該第2回動部の回動軸の一方の側に設けられ、かつ前記回動機構部は該第2回動部の回動軸の他方の側に設けられたことにより、前記カバーは前記回動機構部に対してこの回動軸の軸線回りに回動するよう構成されてなり、
    前記第2回動部は第1回動部の回動力が伝達されることで回動するよう構成され、これによって前記カバーは、該カバーが装置本体の第1機能面上に位置しているときにその第2機能面を第1機能面側に向け、カバーが装置本体の第1機能面の面方向に回動して第1回動部の回動力が第2の回動部に伝達されると、その第2機能面が第1機能面と反対の側に向くように回動するよう構成されてなることを特徴とする携帯製品。
  2. 前記第1回動部および第2回動部はそれぞれギアを備えて形成され、これらは互いに歯合していることで第2回動部に第1回動部の回動力が伝達されるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の携帯製品。
  3. 前記第1回動部および第2回動部には、それぞれその中心軸となる位置に貫通孔が形成されてなり、
    前記装置本体とカバーとの間に電気的接続をなす配線が設けられ、
    前記配線は、前記第1回動部の貫通孔と第2回動部の貫通孔とをそれぞれ通るよう引き回されて配設されてなり、
    前記配線には、前記第1回動部の貫通孔内又はその近傍においてその回動方向に巻回されてなる第1巻回部が設けられ、かつ、前記第2回動部の貫通孔内又はその近傍においてその回動方向に巻回されてなる第2巻回部が設けられ、
    これら第1巻回部および第2巻回部は、それぞれ対応する回動部が正方向に回動した際に展開し、逆方向に回動した際に元の巻回された状態に復帰するよう構成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯製品。
  4. 前記装置本体と前記回動機構部との間に、装置本体に対する回動機構部の回動方向および回動量を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯製品。
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