JP4140973B2 - 内部に液体流路を有する成形品の製造方法および成形品 - Google Patents

内部に液体流路を有する成形品の製造方法および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、所定面積の第1の板体と第2の板体とが接合されると、前記第1の板体と第2の板体との間に液体流路が形成される、内部に液体流路を有する成形品の製造方法および成形品に関するもので、特にプリンタに内蔵されているインク容器が着脱自在に固定されるインク容器固定部材に適用して好適な成形品の製造方法および成形品にを関するものである。
カラープリンタは、複数色例えば6色のインクがそれぞれ収納されている6個のインク容器を備えている。そして、これらのインク容器は、インク容器固定部材50に保持されている。このようなインク容器固定部材50は、特許文献1にも示されているが、概略図4の(イ)に示されているように構成されている。すなわち、底壁51と、この底壁51の4辺から立ち上がっている両側壁52、52と前後壁53、54とから全体として略箱状を呈するように構成され、内部は仕切板55、55、…により、上方が開口した6個の容器室56、56、…に仕切られている。そして、図4には示されていないが6個のインク容器は、これらの容器室56、56、…に上方から着脱自在に装着され、位置決めされるようになっている。
このように構成されているインク容器固定部材50の容器室56、56、…のそれぞれには、それぞれのインク容器中のインクを受けるインク受口57、57、…が設けられている。図4の(ロ)は、インク容器固定部材50を下方から見た底面図であるが、この図に示されているように、インク容器固定部材50の底壁51には6個のインクノズル58、58、…が外方、すなわち図4の(イ)において下方へ延びるようにして設けられている。そして、前述した6個のインク受口57、57、…は、6個のインクノズル58、58、…とインク流路60、60、…でそれぞれ接続されている。これらのインク流路60、60、…は、6個のインク受口57、57、…が間隔があるのに対し、6個のインクノズル58、58、…は互いに近接して設けられているので、図4の(ロ)に示されているように、屈曲している。
このように屈曲している6個のインク流路60、60、…は、底壁51の内部に形成されている。具体的には、図4の(ハ)は図4の(ロ)において矢視ハ−ハ方向に見た断面図であるが、この断面図に示されているように、インク流路60、60が形成される部分の底壁51は、底板61とこの底板61に重ねられている覆板62とからなる積層構造になっており、覆板62の方に凹溝63が形成されている。したがって、底板61に覆板62を接合すると、閉断面形状のインク流路60、60が形成される。合成樹脂の接合方法には電磁誘導発熱による接合方法、レーザー光による接合方法等が知られているが、上記のような底板61と覆板62との接合には超音波プラスチック溶着装置が適用されている。実際には、図5の(イ)に示されているように、覆板62の方にインク流路用の凹溝63、63と、この凹溝63、63を挟む形で下方へ突出した一対のリブ64、64が成形され、一方底板61の方には覆板62のリブ64、64に対応した所定大きさの凹溝65、65が成形されている。そして、図5の(イ)に示されているように、底板61に覆板62を整合させ加圧しながら15〜70kHzの超音波の振動エネルギを加えると、そのエネルギでリブ64、64の先端部から溶融が始まり、覆板62は底板61に溶着される。これにより、図5の(ロ)に示されているように底壁51の内部にインク流路60、60、…が形成される。
特開平6−320830号公報 特公平2−38377号公報 特開平7−195421号公報 特開平10−16065号公報
このように超音波プラスチック溶着装置を利用すると、インク容器固定部材50の底壁51にインク流路60、60、…を形成することができるが、色々な欠点もある。例えば、インク容器固定部材50と覆板62は、あらかじめ成形されているので、合成樹脂特有の経時変化による収縮、ソリ等の変形が生じ、微細なインク流路60、60、…の成形が困難になることがある。また、変形のため超音波プラスチック溶着時に溶着ムラが生じ、不安定な溶着になることもある。さらには、完全に固化したインク容器固定部材50と覆板62に振動エネルギを印加し、その自己発熱により溶着させるので、工場内の湿度・温度等の外乱の影響を受けやすく、厳しい環境管理が要求される欠点もある。また、あらかじめ成形されているので、在庫管理が必要となり、一時保管、溶着加工に必要な箇所への移動等のため外傷を受けやすく、自動成形が困難な状況にもある。さらには、溶着時にインク流路60、60、…の内側へ樹脂がハミダシあるいは粉が発生し、不良品が出たり、高精度のインク流路60、60、…の成形が困難になる等の問題もある。このような成形不良が生じるので、インク容器固定部材50のリーク検査および目詰まり検査が必要となり、生産工程以外の検査工程に多額の費用がかかる欠点もある。
上記のように、超音波プラスチック溶着装置により接合する方法には問題が多いので、他の接合方法、特に射出成形により接合あるいは溶着法を採用することが考えられる。射出成形による接合方法としてDSI法すなわちダイ・スライド・インジェクション法が知られている。このDSI法は、特許文献1、2等により多数提案されているように、固定金型と、この固定金型に対して型締めされると共に第1の位置と第2の位置との間をスライド的に駆動される可動金型とを使用し、一対の半成形品を成形する1次成形と、1次成形で成形された半成形品を接合する2次成形とからなっている。さらに詳しくは、可動金型を第1の位置にして一対の半成形品を、その突き合わせ面に接合用の凹溝を成形する1次成形と、この1次成形後可動金型を開いて一対の半成形品がそれぞれの金型に残った状態で可動金型を一対の半成形品の突き合わせ面が整合する第2の位置へスライド的に駆動して型締めし、そして接合用の凹溝により構成される閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出充填する2次成形とからなっている。
このDSI法によると、一対の半成形品が金型内で接合されるので、各工程が自動化でき量産ができるという利点がある。また、複雑な成形品も高精度に成形できる利点もある。このようなDSI法のさらに改良された樹脂製多岐管の製造方法が特許文献4により提案されている。この製造方法によると、2次成形用の閉断面形状の樹脂流路は、ゲート部から溶融樹脂の流れ方向において離れるにつれて、通過断面積が大きくなるように設定されている。したがって、ゲート部から離れるにつれて2次成形用の溶融樹脂の充填量が多くなり、温度低下による2次成形用の溶融樹脂の流動性の低下を抑えることができる効果が認められる。
以上のように、DSI法は従来から多数提案され、また改良もされているが、以下に説明するように、このDSI法をインク流路の成形にそのまま適用しても所望の効果は得られない。すなわち、図5の(ハ)は前述したインク流路の模式的拡大図で、その(ニ)は図5の(ハ)において矢視ニーニ方向に見た断面図で、これらの図はDSI法により成形する例を示しているが、これらの図に示されているように、インク流路60を挟んで2個の2次成形用の樹脂流路70、70、より正確には循環した2次成形用の樹脂流路70が設けられているが、ゲート71から充填される2次成形用の溶融樹脂は、矢印で示されているように、これらの樹脂流路70、70に分流する。そして、最終的に合流する。合流する点Aには空気が溜まり、合流点Aの近傍では溶着不良が生じる可能性がある。溶着が不完全であると、インク漏れが生じる。このようにインク漏れが生じる可能性もあるが、溶着不良が生じているか否かを知ることができないので、全品のリーク検査を必要とする欠点もある。また、インク流路60、60、…は、図4の(ロ)に示されているように6個設けられているので、6個のゲートから充填することになり、金型のゲート構造が複雑になり、実施する上で問題がある。
したがって、本発明は2次成形用の樹脂流路が長くても、実質的に完全に充填することができ、これによって液体の漏れのない、内部に液体流路を有する成形品の製造方法および成形品を提供することを目的としている。また、他の発明は、上記のような目的に加えてリーク検査、液体流路の目詰まり検査等を必要としない、内部に液体流路を有する成形品の製造方法および成形品を提供することを目的としている。さらに他の発明は、2次成形用の樹脂流路が長くても、実質的に完全に充填することができ、これによってインク漏れのないプリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材からなる成形品の製造方法および成形品を提供することを目的としている。また、他の発明は、上記のような目的に加えてリーク検査、インク流路の目詰まり検査等を必要としない、底壁部にインク流路を有するインク容器固定部材からなる成形品の製造方法および成形品を提供することを目的としている
本発明は、上記目的を達成するために、液体流路あるいはインク流路は、第1、2の板体を接合することにより、あるいは底体と補助板とを接合することにより、これらの板間に形成されるが、その接合に前述したDSI法が適用される。このとき、2次成形用の樹脂流路には可動堰が設けられる。これにより、2次成形用の樹脂流路は全長にわたって実質的に完全に充填され、液体あるいはインク漏れのない、内部に液体流路あるいはインク流路を有する成形品が製造される。また、可動堰の近傍に樹脂流路に開口した確認用の細孔あるいは透孔を設けることにより完全に充填された状態を確認できるように構成される。さらには、補助板を実質的に透明な合成樹脂により成形し、2次成形用の樹脂流路には有色な合成樹脂を射出、充填するように構成される。
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、所定面積の第1の板体と第2の板体とが接合されると前記第1の板体と第2の板体との間に液体流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされると共に第1の位置と第2の位置との間をスライド的に駆動される可動金型とを使用して製造する製造方法であって、前記可動金型が第1の位置にあるとき、前記第1、2の板体を、その接合面に液体流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形する1次成形と、前記第1、2の板体がそれぞれの金型に残った状態で前記可動金型を第2の位置へ駆動して接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、前記第1、2の板体を接合する2次成形とから内部に液体流路を有する成形品を得るとき、前記2次成形時に、前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填して液体流路を形成するように構成される。
請求項2に記載の発明は、所定面積の第1の板体と第2の板体とが接合されると前記第1の板体と第2の板体との間に液体流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされる可動金型とを使用して製造する製造方法であって、前記第1、2の板体を、その接合面に液体流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形し、成形された第1、2の板体を前記金型にインサートし、接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、内部に液体流路を有する成形品を得るとき、前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填して液体流路を形成するように構成される。そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の製造方法において、可動堰の近傍に樹脂流路に連通した透孔あるいは細孔を設けておき、前記透孔あるいは細孔から溶融樹脂が漏出するのを確認するように構成される。
請求項4に記載の発明は、プリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材の底壁部が底板と、該底板に接合される補助板とからなり、前記補助板が前記底板に接合されると、前記底板と補助板との間にインク流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされると共に第1の位置と第2の位置との間をスライド的に駆動される可動金型とを使用して製造する製造方法であって、前記可動金型が第1の位置にあるとき、前記底板と補助板を、その接合面にインク流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形する1次成形と、前記底板と補助板がそれぞれの金型に残った状態で前記可動金型を第2の位置へ駆動して接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、前記底板と補助板を接合する2次成形とから底壁部にインク流路を有する成形品を得るとき、前記2次成形時に、前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填してインク流路を形成するように構成される。
請求項5に記載の発明は、プリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材の底壁部が底板と、該底板に接合される補助板とからなり、前記補助板が前記底板に接合されると、前記底板と補助板との間にインク流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされる可動金型とを使用して製造する製造方法であって、前記底板と補助板を、その接合面にインク流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形し、成形された前記底板と補助板を前記金型にインサートし、接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、底壁部にインク流路を有する成形品を得るとき、前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填してインク流路を形成するように構成される。請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の製造方法において、底板と補助板を、その接合面にインク流路用の複数個の独立した凹溝と、これらの凹溝を取り囲むように接合用の複数個の独立した循環状の凹溝とを有するように成形し、成形された前記底板と補助板を接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の複数個の独立した循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、底壁部に独立した複数個のインク流路を有する成形品を得るとき、前記連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路の隣り合った2個の樹脂流路の合流点のそれぞれの近傍に可動堰を挿入して前記樹脂流路の一側側への流れを一時閉鎖しておき、前記可動堰の一つの可動堰の閉鎖した側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が次々に流れて最後の可動堰に達すると、該可動堰を合流点から退避させ、退避させることにより溶融樹脂が他の可動堰の他側側に達すると、その圧力によりこれらの可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填して複数個のインク流路を形成するように、請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかの項に記載の製造方法において、可動堰あるいは最終の可動堰の近傍に樹脂流路に連通した透孔あるいは細孔を設けておき、前記透孔あるいは細孔から溶融樹脂が漏出するのを確認するように、そして請求項8に記載の発明は、請求項4〜7のいずれかの項に記載の製造方法において、補助板を実質的な透明な合成樹脂により成形し、樹脂流路には有色な合成樹脂を射出、充填するように構成される。
請求項9に記載の発明は、請求項4〜8のいずれかの項に記載の製造方法により得られる、プリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材からなる底壁部にインク流路を有する成形品のように構成される。
以上のように、本発明によると、第1の板体と第2の板体とが接合されると前記第1の板体と第2の板体との間に液体流路が形成される成形品を、あるいはプリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材の底壁部が底板と、該底板に接合される補助板とからなり、前記補助板が前記底板に接合されると、前記底板と補助板との間にインク流路が形成される成形品は、射出成形により金型内で成形されるので、合成樹脂特有の経時変化による収縮、ソリ等の変形がなく、液体流路あるいは微細なインク流路を成形できる。また、溶着ムラが生じるようなこともない。さらには、金型内で溶着あるいは接合されるので、工場内の湿度・温度等の外乱の影響を受けることはない。また、在庫管理、一時保管等の管理が不要で安価に成形品を製造できる。さらには、溶着時に液体流路あるいはインク流路の内側への樹脂のハミダシがないので、リーク検査、目詰まり検査等の検査費用が不要で安価に製造できる効果も得られる。
上記のような効果が得られると共に、本発明によると、接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出、充填するときには、前記樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達すると、その圧力により前記可動堰を退避させるので、連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填することができる。すなわち、本発明によると、2次成形用の樹脂流路が長くても、一方から1個の射出ノズルにより充填するので、空気たまり等による成形不良は生じない。したがって、本発明によると、液体漏れあるいはインク漏れのない、内部に液体流路あるいはインク流路を有する成形品を安価に製造することができるという、本発明に特有の効果が得られる。
また、他の発明によると、プリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材の底壁部が底板と該底板に接合される補助板とからなり、前記補助板が前記底板に接合されると、前記底板と補助板との間に複数個のインク流路が形成される成形品を成形するとき、前記底板と補助板を、その接合面にインク流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを複数個有するように成形し、そして前記底板と補助板を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路に、2次成形用の溶融樹脂を射出して、前記底板と補助板を接合するとき、前記連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路の隣り合った2個の樹脂流路の合流点のそれぞれの近傍に可動堰を挿入して前記樹脂流路の一側側への流れを一時閉鎖しておき、前記可動堰の一つの可動堰の閉鎖した側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が次々に流れて最後の可動堰に達すると、該可動堰を合流点から退避させ、退避させることにより溶融樹脂が他の可動堰の他側側に達すると、その圧力によりこれらの可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填して複数個のインク流路を形成するので、1個のゲートから複数個のインク流路を有するインク容器固定部材を射出成形により安価に製造することができる効果がさらに得られる。
さらに他の発明によると、最終の可動堰の近傍に樹脂流路に連通した透孔あるいは細孔を設けておき、前記透孔あるいは細孔から溶融樹脂が漏出するのを確認するようにされているので、あるいは補助板を実質的な透明な合成樹脂により成形し、樹脂流路には有色な合成樹脂を射出、充填するので、前述したような効果に加えて、インク流路の成形状態を目視できる効果がさらに得られる。
以下、本発明の実施の形態を、インク容器を保持するインク容器保持部材を成形する例について、図1〜3により説明する。図1は、2次成形用の樹脂流路を模式的に示す平面図であるが、この図1に示されているように樹脂流路1は、循環状につながっている。さらに詳しくは、図5の(ハ)、(ニ)に示されているように、1次成形により、底板61と覆板62が固定金型とスライド金型とにより、底板61の方に2次成形用の凹溝65、65が、そして覆板62の方にインク流路60用の凹溝63がそれぞれ成形され、そして2次成形のためにスライド金型をスライド的に駆動して底板61と覆板62とを整合させ、次いで型締めすることにより、2次成形用の樹脂流路1が構成されている状態が、図1に模式的に示されている。したがって、樹脂流路1に2次成形用の溶融樹脂を射出、充填すると、底板61と覆板62とが接合されて、循環状の樹脂流路1の内側にインク流路60が形成されることになる。
本実施の形態によると、上記のようにして構成される樹脂流路1には、可動堰2が設けられている。可動堰2は、コイルスプリングのような弾性体3により樹脂流路1内に略直角に臨むようにバネ付勢されている棒状のバルブ体4を備えている。このバルブ体4の一方側は、樹脂流路1に対して略直角な阻止面5となっているが、他方側は先端部が狭くなるように略45度に切り落とされた作用面6となっている。したがって、作用面2に2次成形用の溶融樹脂の圧力が作用すると、バルブ体4には該バルブ体4を樹脂流路1から退避させる方向の力が作用することになる。バルブ体4の先端部に対応した位置には、樹脂流路1内に連通した確認孔あるいは確認用の細孔7が設けられている。このように構成されている可動堰2のバルブ体4の阻止面5の近傍に2次成形用の溶融樹脂が射出されるゲート10が設けられている。
したがって、ゲート10から2次成形用の溶融樹脂を射出すると、溶融樹脂はバルブ体4の阻止面5によりバルブ体4の方への流れが阻止され、図1の(イ)において矢印で示されているように時計針の方向に流れる。そして、図1の(ロ)に示されているバルブ体4の作用面6に達する。そうすると、溶融樹脂の圧力が作用面6に作用し、バルブ体4は弾性体3を圧縮して樹脂流路1から退避する。2次成形用の溶融樹脂は、退避したバルブ体4の跡を埋めるように充填される。そうして、確認用の細孔7から余分の溶融樹脂が流れ出る。これにより、樹脂流路1は実質的に完全に充填され、前述したようなインク流路60が形成される。確認用の細孔7から出る溶融樹脂を確認して、実質的に完全に充填されたことを知ることができる。
上記のようにして、1個のインク流路60を形成することができるが、3個のインク流路を形成する原理が図2に示されている。図2の(イ)において、2次成形用の、3個の循環状の第1、2および3の樹脂流路1a、1b、1cが模式的に示されている。したがって、これらの第1〜3の樹脂流路1a、1b、1cにより、図5の(ハ)、(ニ)により説明したように3個のインク流路60、60、…が形成されることになる。図1に示されている構成要素と同じような要素には同じ参照数字にアルフアベットの小文字を添えて重複説明はしないが、第1、2の樹脂流路1a、1bの合流点近傍には共通の第2の可動堰2bが設けられている。同様に、第2、3の樹脂流路1b、1cの合流点の近傍には共通の第3の可動堰2cが設けられ、そして第3、1の樹脂流路1c、1aの合流点近傍には共通の第1の可動堰2aがそれぞれ設けられている。これらの可動堰2a〜2cは、図1に示されているように構成され、そして第1〜3の可動堰2a〜2cは、図2に示されているように三角形の頂点に背中合わせ状態に配置されている。さらに詳しくは、これらの可動堰2a〜2cのバルブ体は、背中合わせ面側が「作用面」、他方側が「阻止面」となるように配置されている。したがって、溶融樹脂は、後述するように第1〜3の樹脂流路1a、1b、1cを順に流れることになる。なお、第1の可動堰2aのバルブ体は、油圧あるいは電磁的に強制的に退避可能となっている。
今、図2の(イ)に示されているように、阻止面側に設けられている1個のゲート10aから2次成形用の溶融樹脂を射出、充填すると、第1の可動堰2aにより反時計針方向の流れが阻止され、時計針の方向に流れる。この状態が図2の(ロ)に示されている。溶融樹脂は、第2の可動堰2bの阻止面に達する。第2の可動堰2bを開くことなく、図2の(ハ)に示されているように、第2の樹脂流路1bへと流れる。次いで、図2の(ニ)に示されているように、同様にして第3の樹脂流路1cへと流れる。ここで、溶融樹脂が第1の可動堰2aに達すると、これを検知してバルブ体を開く。そうすると、溶融樹脂は第2、3の可動堰2b、2cの作用面に達する。溶融樹脂の圧力がバルブ体の作用面に作用し、バルブ体は第1、2の樹脂流路1a、1bおよび第2、3の樹脂流路1b、1cから退避する。これにより、バルブ体が退避した跡にも充填される。このように1個のゲート10aから3個の第1〜3の樹脂流路1a〜1cに実質的に完全に充填された状態が図2の(ヘ)に示されている。
第2、3の可動堰2b、2cの近傍すなわち図1に示されているようにバルブ体4の近傍に確認用の細孔を設けておき、充填状態を知ることができることは明らかである。また、2次成形用の樹脂流路の数を増やしても、同様に充填して複数個のインク流路を形成できることも明らかである。
図3により、固定金型と、スライド金型とを使用した、プリンタに内蔵されているインク容器保持部材のインク流路の成形例について説明する。図3の(イ)は、1次成形のためにスライド金型を第1の位置にして型締めして充填した状態で、その(ハ)は2次成形のためにスライド金型を第2の位置へ駆動して型締めした状態の金型をそれぞれ示す断面図であるが、これらの図に示されているように、固定金型20のパーティングラインP側の図において上方には、図5に関して説明した覆板62を成形するための凹部21が形成されている。この凹部21の底部にはゲートが開口し、このゲートは1次成形用の第2のスプール22、ランナ23および第1のスプール24を介して射出ノズル25に連通している。ランナ24は第1のスプール24を越えて下方にも延びている。そして、この延びたランナ23には1次成形用の第3のスプール26が連通し、そのゲートはパーティングラインP側に開口している。
固定金型20には2次成形用のスプール27も設けられている。この2次成形用のスプール27はゲート28を介して、樹脂流路に開口しているが、ゲート28は図1に関して説明したように、可動堰2のバルブ体の阻止面に近接して設けられている。このような、1次成形用の第2、3のスプール22、26と、2次成形用のスプール27は、特許第3515249号明細書(特開平9−76289号公報)、特許第3047213号明細書(特開平9−155921号公報)等に記載されているようなスプール切換装置あるいはランナ切換装置により、作用の項で説明するように適宜切り換えられるようになっている。
固定金型20のパーティングラインP側の下方位置には、コア29が形成されている。このコア29は、図3の(ロ)に示されているように環状になっている。したがって、このコア29で成形される2次成形用の樹脂流路、より正確には凹溝の間に、前述したインク流路60が成形されることになる。
スライド金型30は、固定金型20に対して型締めされると共に、図3には示されていないが、駆動装置により図3の(イ)に示されている第1の位置と、図3の(ハ)に示されている第2の位置とを採るようにスライド的に駆動されるようになっている。このように駆動されるスライド金型30のパーティングラインP側には、固定金型20の凹部21に対応して所定高さのコア31が設けられている。このコア31によりインク流路60が成形されることになる。また、固定金型20の凹部21に対応して、該凹部21の深さと同じ高さのコア32が設けられている。このコア32により覆板62に2次成形用の溶融樹脂が流れる流路が成形される。スライド金型30の下方部分には、インク容器固定部材を成形するための凹部33が形成されている。この凹部33は固定金型20のコア29に対応している。スライド金型30には、可動堰2が設けられている。この可動堰2は、図1に示されているように構成されているので、重複説明はしないが、スライド金型30が第1の位置にあるときは、そのバルブ体の先端部は固定金型20のコア29と整合している。したがって、図3の(イ)に示されている第1の位置で型締めすると、バルブ体はコア29に押されて退避する。
次に、上記金型を使用した成形例について説明する。スライド金型30を、図3の(イ)に示されている第1の位置にして型締めする。そうすると、固定金型20の凹部21とスライド金型30のコア31、32およびパーティングライン面Pとにより覆板62を1次成形するためのキャビテイCCが構成される。また、固定金型20のコア29とスライド金型30の凹部33とによりインク容器固定部材62を1次成形するためのキャビテイHCが構成される。スプールあるいはランナを切り換えて1次成形用の溶融樹脂を射出ノズル25から射出する。溶融樹脂は、第1のスプール24、ランナ23および第2のスプール22からキャビテイCCに射出充填される。これにより、覆板62がインク流路60を形成するための凹溝63と2次成形用の透孔とを有するように成形される。一方、溶融樹脂は第1のスプール24、ランナ23および第3のスプール26からキャビテイHCに射出充填され、底板61を有する本体が成形される。本体の底板61には、コア29により2次成形用の溶融樹脂が充填される凹溝65、65が成形される。
ある程度の冷却固化を待って、覆板62は可動金型20の方に、本体はスライド金型30の方に残った状態で、スライド金型30を開く。そうして、スライド金型30を第2の位置へスライドさせる。この第2の位置では、覆板62と本体の底板61は整合する。スライド金型30を型締めする。型締めすると、底板61の凹溝65、65と、覆板62とにより閉断面形状の樹脂流路70、70が構成される。このようにして型締めされた状態が図3の(ハ)に示されている。スプールあるいはランナを切り換えて2次成形用の溶融樹脂を射出ノズル25から射出する。2次成形用の溶融樹脂は、第1のスプール24、ランナ23、第3のスプール27およびゲート28を介して2次成形用の樹脂流路70に充填される。このとき、樹脂流路70内には、図1に関して説明したように可動堰2のバルブ体が臨んでいるので、溶融樹脂は図3の(ニ)に示されているように、時計針の回転方向に充填されていく。そして、可動堰2の作用面に達すると、バルブ体を弾性体に抗して押し戻す。これにより、バルブ体の跡も充填される。そして、確認用の細孔7から出る。
上記金型の実施の形態では1個のインク流路60を成形する例について説明されているが、図2に示されているように、複数個のインク流路を有するインク容器固定部材を同様にして成形できることは明らかである。また、インク容器固定部材について説明したが、1次成形した2部材間に同様にして1個あるいは複数個の液体流路を成形できることも明らかである。また、上記実施の形態では、スライド金型が使用されているが、他の金型で成形した本体と覆板を一対の金型にインサートして前述したようにして成形することもできる。このようにインサートして成形しても、射出成形により成形するので、発明の効果の項で説明されているような効果が得られることは明らかである。
本発明の基本動作を模式的に示す図で、その(イ)は可動堰が樹脂流路内に臨んだ状態を、その(ロ)は可動堰に2次成形用の溶融樹脂が作用している状態を、そして(ハ)は可動堰が2次成形用の溶融樹脂の作用により退避している状態をそれぞれ示す平面図である。 本発明の第2の基本動作を模式的に示す図で、その(イ)〜(ヘ)は第1〜3の樹脂流路が2次成形用の溶融樹脂により順次充填されている段階を示す平面図である。 本発明の方法の実施に使用される金型を模式的に示す図で、その(イ)は、1次成形のためにスライド金型を第1の位置にして型締めし充填した状態を示す断面図で、その(ロ)は1次成形時の樹脂流路を示す平面図、その(ハ)はスライド金型を第2の位置へ駆動して型締めした状態で示す断面図、そしてその(ニ)は2次成形用の樹脂流路を示す平面図である。 インク容器固定部材を模式的に示す図で、その(イ)は全体を示す斜視図、その(ロ)はその裏面図、その(ハ)は(ロ)において矢視ハーハ方向に見た断面図である。 インク容器固定部材に覆板を接合する例を示す図で、その(イ)は図4の(ロ)において矢視ハーハ方向に見た図に相当した接合前の断面図、その(ロ)は超音波により接合した断面図、その(ハ)は射出成形により接合する例を示す模式的平面図、その(ニ)は(ハ)において矢視ニーニ方向に見た断面図である。
符号の説明
1、70 2次成形用の樹脂流路 2 可動堰
3 弾性体 4 バルブ体
5 阻止面 6 作用面
7 確認用の細孔 20 固定金型
21 凹部(覆板成形用) 29 コア(樹脂流路成形用)
30 スライド金型 31 コア(インク流路成形用)
33 凹部(インク容器本体成形用
50 インク容器固定部材 60 インク流路
61 底板(インク容器固定部材の底板)
62 覆板(底板に接合される板)

Claims (9)

  1. 所定面積の第1の板体と第2の板体とが接合されると前記第1の板体と第2の板体との間に液体流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされると共に第1の位置と第2の位置との間をスライド的に駆動される可動金型とを使用して製造する製造方法であって、
    前記可動金型が第1の位置にあるとき、前記第1、2の板体を、その接合面に液体流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形する1次成形と、前記第1、2の板体がそれぞれの金型に残った状態で前記可動金型を第2の位置へ駆動して接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、前記第1、2の板体を接合する2次成形とから内部に液体流路を有する成形品を得るとき、
    前記2次成形時に、前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填して液体流路を形成することを特徴とする、内部に液体流路を有する成形品の製造方法。
  2. 所定面積の第1の板体と第2の板体とが接合されると前記第1の板体と第2の板体との間に液体流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされる可動金型とを使用して製造する製造方法であって、
    前記第1、2の板体を、その接合面に液体流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形し、成形された第1、2の板体を前記金型にインサートし、接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、内部に液体流路を有する成形品を得るとき、
    前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填して液体流路を形成することを特徴とする、内部に液体流路を有する成形品の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法において、可動堰の近傍に樹脂流路に連通した透孔あるいは細孔を設けておき、前記透孔あるいは細孔から溶融樹脂が漏出するのを確認する内部に液体流路を有する成形品の製造方法。
  4. プリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材の底壁部が底板と、該底板に接合される補助板とからなり、前記補助板が前記底板に接合されると、前記底板と補助板との間にインク流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされると共に第1の位置と第2の位置との間をスライド的に駆動される可動金型とを使用して製造する製造方法であって、
    前記可動金型が第1の位置にあるとき、前記底板と補助板を、その接合面にインク流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形する1次成形と、前記底板と補助板がそれぞれの金型に残った状態で前記可動金型を第2の位置へ駆動して接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、前記底板と補助板を接合する2次成形とから底壁部にインク流路を有する成形品を得るとき、
    前記2次成形時に、前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填してインク流路を形成することを特徴とする、底壁部にインク流路を有する成形品の製造方法。
  5. プリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材の底壁部が底板と、該底板に接合される補助板とからなり、前記補助板が前記底板に接合されると、前記底板と補助板との間にインク流路が形成される成形品を、固定金型と、該固定金型に対して型締めされる可動金型とを使用して製造する製造方法であって、
    前記底板と補助板を、その接合面にインク流路用の凹溝と接合用の循環状の凹溝とを有するように成形し、成形された前記底板と補助板を前記金型にインサートし、接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、底壁部にインク流路を有する成形品を得るとき、
    前記連続した閉断面形状の樹脂流路に可動堰を挿入して前記樹脂流路を一時閉鎖しておき、前記可動堰の一側側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が前記可動堰の他側側に達するとその圧力により前記可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填してインク流路を形成することを特徴とする、底壁部にインク流路を有する成形品の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の製造方法において、底板と補助板を、その接合面にインク流路用の複数個の独立した凹溝と、これらの凹溝を取り囲むように接合用の複数個の独立した循環状の凹溝とを有するように成形し、成形された前記底板と補助板を接合面を互いに突き合わせて型締めすることにより、前記接合用の複数個の独立した循環状の凹溝により構成される連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路に溶融樹脂を射出して、底壁部に独立した複数個のインク流路を有する成形品を得るとき、
    前記連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路の隣り合った2個の樹脂流路の合流点のそれぞれの近傍に可動堰を挿入して前記樹脂流路の一側側への流れを一時閉鎖しておき、前記可動堰の一つの可動堰の閉鎖した側の近傍から2次成形用の溶融樹脂を射出し、射出する溶融樹脂が次々に流れて最後の可動堰に達すると、該可動堰を合流点から退避させ、退避させることにより溶融樹脂が他の可動堰の他側側に達すると、その圧力によりこれらの可動堰を退避させ、これにより連続した閉断面形状の複数個の樹脂流路を一方向から実質的に完全に充填して複数個のインク流路を形成する、底壁部にインク流路を有する成形品の製造方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかの項に記載の製造方法において、可動堰あるいは最終の可動堰の近傍に樹脂流路に連通した透孔あるいは細孔を設けておき、前記透孔あるいは細孔から溶融樹脂が漏出するのを確認する、底壁部にインク流路を有する成形品の製造方法。
  8. 請求項4〜7のいずれかの項に記載の製造方法において、補助板を実質的な透明な合成樹脂により成形し、樹脂流路には有色な合成樹脂を射出、充填する、底壁部にインク流路を有する成形品の製造方法。
  9. 請求項4〜8のいずれかの項に記載の製造方法により得られる、プリンタに内蔵されているインク容器を保持するインク容器固定部材からなる、底壁部にインク流路を有する成形品。
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