JP2011235622A - 射出成形における、ガス抜き角形コアピン - Google Patents

Abstract

【課題】 従来の製品部のガス抜き方法は、金型部品の分割面にガスベント加工をした為に、金型部品はガスによる腐食が進み、ガスベント寸法が広がってしまう事に起因するバリの為に、製品不良が生じてしまう。そのように腐食してしまった金型部品は交換をしなければいけなくなり、修正コストが掛かるという問題があった。
更に、分割面に加工ができるガスベントの範囲には限度があり、充分なガスニゲ効果が得られないことがあった。
【解決手段】ガス抜きの経路を製品部の金型部品よりも小さなコアピン内に多数設けることによって、効率よくガスを排出できる為、ガスが起因する製品不良を低減できる。
また、ガスによる腐食はガス抜きコアピンに生じる為、バリが発生するようになったら、ガス抜きコアピンの交換だけで問題の解決ができ、修正コスト削減に繋がる。
【選択図】図１０

Description

本発明は、溶融させたプラスチック成形材料（以降、樹脂と表記）を金型に充填させて製品を製造する、射出成形におけるガス抜き角形コアピンである。

従来のガス抜き方法は、金型部品の分割部やパーティング面にガスベント及び、ガスベントの断面積よりも大きい断面積を有するガスニゲと呼ばれる隙間を設けて、金型内に存在している空気及び、成形材料を溶融させた際に発生したガス（以降、総称としてガスと表記）を金型外に排出させている。

以下、図１・２により従来のガス抜き方法を説明する。図において、樹脂注入口１から注入された樹脂は、スプルー２、スプルーロック３、ランナー４、ゲート５を通り製品部６に充填される。その際に、ガスを金型外に排出させないと、製品部６に完全に充填されずショートショット（充填不足による不完全形状）やガスヤケ（ガス抜き箇所の不足、または、ガスが集中した事によりガスベント７の手前でガスが圧縮され高温になって成形材料が焦げる現象）等の不良に繋がってしまう。

ガス抜き不足による問題を解決する為、図２のパーティング（金型の開閉面）１１に設けたガスベント７を通りガスニゲ８に、更に、分割部１２に設けたガスベント９を通りガスニゲ１０にガスが滞留し、順次樹脂が充填される度に各ガスベントからガスニゲにガスが押し出され、金型外に排出させる。（図１の矢印部イ）

但し、ガスベント７、９の寸法が小さい場合は、ガス抜きの効果が出なかったり、逆に大きい場合は、樹脂が流れてしまいバリ（金型の隙間に樹脂が流れる事によってできる薄肉状の余肉が生じる製品不良）が生じてしまう。

樹脂から発生するガスが、図２のガスベント９、ガスニゲ１０を通って金型外に排出される度に、金型部品はガスによる腐食が進み、ガスベント９が広がり、その隙間に樹脂が入り込んでバリが生じてしまう為、新たな部品と交換をしなければいけなくなってしまう。

本発明は、製品部に滞留してしまったガスを効率よく排出する事によって、製品不良を低減させ、且つ、部品交換が容易にできる為にコスト削減にも繋がるものである。

本発明は上記目的を達成する為に、図３のガス抜き角形コアピン１３の先端部を彫り込み、そこにガスベントを設けたガスベントピース１７〜１９を埋め込む事によって、従来は、部品の外側面しか設けることができなかったガスベントを、ガス抜き角形コアピンの内側に多数設けることによって、効率よくガスを排出できるものである。

本発明のガス抜き角形コアピンは、内側に多数のガス抜きの経路を設けた事により、ガスが起因する問題を解決する事ができる。

本発明の背景技術を示す金型の部分断面図 パーティング及び、分割部のガス抜き部分の拡大図（［図１］のＡ部詳細図） ガス抜き角形コアピンの図面 ガスベントピース１７（ガスベントが１箇所で面取りあり）の図面 ガスベントピース１８（ガスベントが２箇所で面取りあり）の図面 ガスベントピース１９（ガスベントが１箇所で面取りなし）の図面 ガス抜き角形コアピンにガスベントピースを埋め込む様子を示す断面図 ガス抜き角形コアピンにガスベントピースを埋め込んだ後の平面図 ガス抜き角形コアピンの実施形態を示す平面図 ガス抜き角形コアピンにガスベントピースを埋め込んだ後の断面図 微細孔タイプのガス抜き角形コアピン先端部の断面図 微細孔タイプのガス抜き角形コアピンの平面図 細溝タイプのガス抜き角形コアピンの平面図

以下、本発明の実施の形態を図３〜１０に基づいて説明する。

図３のように、細穴加工機によりコアピンの中心部分の長さ方向に貫通する孔を明け、その孔をスタート孔としてワイヤーカット放電加工機によって、ガスニゲ１４を加工する。

ガス抜き角形コアピン１３の先端部を、放電加工機によりガスベントピースを埋め込む彫り込み１５の加工を行なう。

放電加工機により、レーザー溶接を行なう為の面取り１６の加工を行なう。

図４に示すガスベントピース１７は、勾配加工したガスベントを１箇所とその両端の角に面取り２０を加工する。

図５に示すガスベントピース１８は、勾配加工したガスベントを２箇所と１箇所のガスベントの両端の角に面取り２０を加工する。

図６に示すガスベントピース１９は、勾配加工したガスベントを１箇所加工する。

図７・８のように、彫り込み１５にガスベントピース１７・１８は面取り２０が外側に向くように両端に配置して、その間にガスベントピース１９がガスベントピース１７と同じ方向に向くように挿入し、各々の部品抜けを防止する為に、面取り１６にレーザー溶接を行なう。

最後に、ガス抜き角形コアピン１３の先端の平面を平滑にする為に、研削加工を行なう。

図９のように、ガスが滞留しやすい箇所にガス抜き角形コアピン１３を組み込み樹脂を充填すると、樹脂注入口１から注入された樹脂は、スプルー２、スプルーロック３、ランナー４、ゲート５を通り製品部６へと充填され、ガスは、製品部６の奥側へと押し込まれて行く。

製品部６の奥側へと押し込まれたガスは、図１０に示すガス抜き角形コアピン１３に埋め込まれたガスベントピース１７〜１９に設けたガスベント２１を通り、ガス抜き角形コアピンに設けたガスニゲ１４にガスが滞留し、順次樹脂が充填される度にガスベントからガスニゲにガスが押し出され、金型内に施されたガスニゲとガス抜き角形コアピンのガスニゲを連通させることにより金型外に排出させる。

ガスベントの加工方法に於いては、図１１、１２に示すように、ガス抜き角形コアピン２２のガスニゲ１４を貫通させずに放電加工をし、残された板状の部分に微細孔を多数開けた、微細孔タイプのガス抜き角形コアピンも可能である。

また、図１３に示すように、微細孔の代わりに細穴加工機にてφ０．２ｍｍ程度の孔（ワイヤーカット加工のスタート穴）２５を明け、ワイヤーカット放電加工機を利用して細溝２３を加工し、最後にスタート孔２５をレーザー溶接で埋めてから上面を研削加工して平滑に仕上げた、細溝タイプのガス抜き角形コアピンも可能である。

ガスベントの加工方法に於いては、微細孔及び微細溝の形状や加工方法は一例であり、これに限定しない。

樹脂の種類により、流動性が良くガスベント寸法を小さくしなければバリが発生してしまう場合には、ガスベント寸法を自由に設定できるガスベントピースタイプを使用し、流動性が悪くバリの心配がない場合には、微細孔や微細溝タイプを使用すると良い。

これまで、コアピンの形状を角形で説明してきたが、金型部品の形状に合わせ、様々な形状で応用が可能であり、角形に限定しない。

１ 樹脂注入口
２ スプルー
３ スプルーロック
４ ランナー
５ ゲート
６ 製品部
７ パーティングに設けたガスベント
８ パーティングに設けたガスニゲ
９ 分割部に設けたガスベント
１０ 分割部に設けたガスニゲ
１１ パーティング
１２ 分割部
１３ ガス抜き角形コアピン
１４ ガス抜き角形コアピンに設けたガスニゲ
１５ ガスベントピースを埋め込む彫り込み
１６ レーザー溶接を行なう為の面取り
１７ ガスベントピース
１８ ガスベントピース
１９ ガスベントピース
２０ ガスベントピースに設けた面取り
２１ ガスベントピースに設けたガスベント
２２ 微細孔（細溝）タイプのガス抜き角形コアピン
２３ 微細孔タイプのガス抜き角形コアピンに設けたガスベント孔
２４ 細溝タイプのガス抜き角形コアピンに設けたガスベント溝
２５ 細溝タイプのガス抜き角形コアピンに設けたワイヤーカット加工のスタート孔

Claims (3)

1. 射出成形により発生するガスを外部に排出するためのガス抜きコアピンにおいて、
   長さ方向に延びる柱部分を有し、前記柱部分の上面から長さ方向の所定位置まで延びる少なくとも一つの微細孔であるガスベントが設けられ、前記ガスベントと連通し、前記ガスベントの断面積よりも大きい断面積を有し、前記所定位置から前記柱部分の底面又は前記所定位置より下の外周面まで延びるガスニゲが設けられ、ガスが前記上面側から前記ガスベントを通じて前記ガスニゲへ導入されて、ガスの排出を援助する為の他の装置を介す事なく、金型内に施されたガスニゲとガス抜きコアピンのガスニゲを連通させることによりから金型外に排出されることを特徴とするガス抜きコアピン。
2. 請求項１において、
   前記ガスベントに於いて、ガスの排出をスムーズにするためにガスベントを勾配に加工することを特徴とするガス抜きコアピン。
3. 請求項２において、
   前記ガスベント形成部は複数のピースにより構成されることを特徴とするガス抜きコアピン。

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