JP4140937B2 - 熱間圧延ロール用固形状潤滑剤及び該固形状潤滑剤を使用する熱間圧延方法 - Google Patents

熱間圧延ロール用固形状潤滑剤及び該固形状潤滑剤を使用する熱間圧延方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、炭素鋼或いはステンレス鋼やチタン等の鋼板、条鋼、例えばH型鋼、L型鋼、山型鋼等、或いは、チタンの熱間圧延に使用する固形潤滑剤に関し、更に詳しくは、熱間圧延に於ける上記の各種被圧延材の表面特性或いは圧延ロールの耐摩耗性や耐疵性に、優れた効果を発揮する固形潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来熱間圧延油としては、油脂系圧延油、例えば、牛脂、パーム油、なたね油等を基油とする圧延油、スピンドル油、マシン油などを基油とする鉱物油系圧延油、また、これらの油脂と鉱物油とを混合した基油からなる混合系圧延油が用いられてきた。また、粉末状固体潤滑剤、例えば、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、黒鉛などを鉱物油等の基油に分散させて供給し、使用している。
前者の圧延油は、耐熱性に限界があり、後者は粉末固体に起因して、作業環境を汚染する欠点がある。また、両者とも原液処理性、廃水処理性が必須であり、熱間圧延工程を考えるとき、圧延油の一部燃焼によりガスや煙りが発生するという理由で環境に問題がある。
一方、金属の熱間圧延において、特に、極低炭素鋼やステンレス鋼或いはチタンは普通鋼とは異なり、ロールへの焼き付きに起因する鋼材の表面疵が発生し、商品価値を著しく低下させる。
【0003】
また、従来から、液状の熱間圧延油をロールに噴射塗布する方法に於いては、ロール冷却水により形成されるロール表面の水膜によって、熱間圧延油をカリバーロールに適用する場合には、局部的に均一に塗布することが困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、低炭素鋼やステンレス鋼の熱間圧延油は、その潤滑性を向上させるために、各種添加剤を配合し、ロールと被圧延材との金属接触を防止し、焼き付きを抑制する方法がとられてきた。
また従来の潤滑油に黒鉛等の粉末状固体潤滑剤を添加して用いる試みがなされているが、基油の選定、潤滑油の供給方法などに、例えば、粉末状固体潤滑剤を基油と共存させることによってノズル詰まりを生じ、操業トラブルの要因ともなるという問題がある。
また、圧延機廻りの汚れや、ロール焼き付きに起因する鋼板、鋼材表面の疵発生の防止策として、従来より、ウオーターインジェクション方式やスチームアトマイズ方式の適用により、潤滑油を使用してきたが、充分な水準まで到達できなかった。
【0005】
更に詳しくは、熱間圧延油の場合には、圧延ロール表面に、冷却水による水膜が形成され、従来のような、インジェクション方式、或いはアトマイズ方式による潤滑油の供給方法では、ロールへの付着むらが生じ、充分な潤滑効果を得ることができなかった。
本発明はかかる問題を解決し得る潤滑剤を提供するもので、水膜の存在下においても、容易に潤滑剤を強固に付着させ、高効率潤滑圧延とロールの疵発生防止を可能ならしめる固形状潤滑剤を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、極低炭素鋼及びステンレス鋼の潤滑性及び耐ロール疵性に、優れた固形状潤滑剤を熱間圧延ロール表面に押圧塗布して圧延する事を特徴とする。
即ち、本発明は、炭素数が20〜100α位に二重結合を有するオレフィンと、亜リン酸、次亜リン酸及びジアルキルホスファイトの少なくとも1種以上とから合成された下記一般式で示されるアルキルホスホン酸誘導体を含有し、且つこれに融点40℃以上の固形状ワックス及び天然又は合成粉末状固体潤滑剤の少なくとも1種が配合されていると共に、その軟化点が40〜130℃であって、ロールに押圧塗布して使用される熱間圧延ロール用固形潤滑剤。
一般式
【化1】
Figure 0004140937
(但しRは炭素数20〜100の直鎖又は分岐アルキル基、R及びRは両方又はいずれか一方が水素であり、他方が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数2〜6のポリオキシアルキレン基、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属を示す。)
であり、更にこれに融点40℃以上の固形ワックス、天然或いは合成粉末状固体潤滑剤の少なくとも1種が配合された熱間圧延ロール用固形潤滑剤に係るものである。
そして、更に換言すれば、
(1)熱間圧延中のロール表面に押圧塗布して用いる、上記一般式[化1]で表される化合物を含有してなる潤滑剤であって、40〜130℃の軟化点を有し、固形状である事を特徴とする熱間圧延ロール用固形潤滑剤であり、又、
(2)熱間圧延中のロール表面に押圧塗布して用いる、上記一般式[化1]で表される化合物を含有してなる潤滑剤であって、天然或いは合成の粉末状固体潤滑剤を、0.5〜50重量%を混合し、且つ、40〜130℃の軟化点を有し、固形状である事を特徴とする熱間圧延ロール用固形潤滑剤であり、又、
(3)粉末上固体潤滑剤が、無機化合物であるグラファイト、炭酸カルシウム、天然雲母、合成雲母、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、酸化チタン、或いは有機化合物であるメラミンシアヌレート、シリコンレジンパウダー及びN−ラウロイルリシンから選ばれる1種又は2種を用いる事を特徴とする前記(2)に記載の熱間圧延ロール用固形潤滑剤であり、更には又、
(4)熱間圧延中ロール表面に、前記(1)、(2)又は(3)に記載の熱間圧延ロール用固形状潤滑剤を押圧塗布しながら圧延する事を特徴とする熱間圧延方法である。
【0007】
従来の油状タイプの熱間圧延油は、ロール冷却水により油分のロールへの付着が阻害され、圧延ロールは高温の被圧延材と高圧下状態で接触し、且つ、冷却水によって急冷されることによって、被圧延材と接触するロール表面はヒートクラック、摩耗、肌荒れを大きくし、鋼材表面に悪影響を及ぼす。
これに対して、熱間圧延潤滑剤は、圧延中のロール表面に十分な潤滑被膜を形成し、高温潤滑性及びロールの耐摩耗性、耐疵性に優れるものである。このように、本発明の熱間圧延ロール用固形状潤滑剤は、[化1]で示されるように、分子設計に基づき合成したアルキルホスホン酸誘導体化合物を主成分とした固形状潤滑剤で、従来のリン酸エステルと異なり、熱及び水による分解を受けにくい特性を持ち、熱間圧延での潤滑性に優れた効果を発揮するものである。
【0008】
【発明の作用】
本発明で使用される固形状の熱間圧延ロール用固形潤滑剤は30〜100℃の軟化点を有し、これにワックスを混合して使用することができ、天然ワックスである植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス及び合成ワックスのいずれもが1種又は2種以上で使用できる。
【0009】
天然ワックスとしては、植物系ワックスのキャンデリラワックス、カーナバワックス、ワイスオイルワックスなど、動物系ワックスとしては、セラックワックス、鉱物系ワックスとしては、モンタンワックス、オゾケライトセレシンなどが、石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、ペトロラタムワックスなどが例示できる。
【0010】
合成ワックスとしては、ポリエチレンワックス、各種動植物油に水素添加したワックス、各種脂肪族アミド、脂肪族ケトン、及びモノ、ジ、トリ、ポリの各種アルコールと天然或いは合成の各種脂肪酸、樹脂酸、多塩基酸とのエステル化生成物が使用できる。本発明の目的の固形状潤滑剤は、圧延ロール表面の水膜の存在下においても、潤滑剤のロールへの付着性に優れることが特徴である。
【0011】
本発明の固形状を保持する[化1]で示されるアルキルホスホン酸誘導体化合物である基剤、又は、これにワックスを共存させた基剤である固形状潤滑剤に、粉末状固体潤滑剤を含有させると、被圧延材と接触する熱間圧延ロール表面での潤滑性がなお一層向上する。
本発明に従って、固形状の基剤に添加する粉末状固体潤滑剤としては、グラファイト、炭酸カルシウム、雲母、窒化ホウ素、及びテイスモ(チタン酸カリウムのウイスカー:大塚化学(株)製)等の無機化合物や、MCA(メラミンシアヌレート:三菱油化(株)製)、N−ラウロイルリシン(味の素(株)製:商品名アミホープL)、シリコーンレジンパウダーなどの有機化合物の超微粉体が使用でき、通常その粒径は、0.1〜10μm程度である。
これらの粉末状固体潤滑剤は、1種又は2種以上を混合して添加してもよい。その添加量は本発明の固形状の基剤に又はこれにワックスを共存させた基剤に対し、0.1〜50重量%である。50重量%を超えると、必要とする硬さが脆くなり、固形状の強度保持ができなくなり、ロールへの押圧塗布する固形状潤滑剤として使用できなくなる。
【0012】
本発明に於いては、炭素数20〜100個のα位に二重結合を有するオレフィンと、亜リン酸、次亜リン酸及びジアルキルホスファイトとより合成された[化1]で示されるアルキルホスホン酸誘導体を基剤としている。
【0013】
【化1】
Figure 0004140937
但しRは炭素数20〜100の直鎖又は分岐アルキル基、R及びRは両方又はいずれか一方が水素であり、他方が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数2〜6のポリオキシアルキレン基、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属を示す。
【0014】
本発明に使用するα位に二重結合を有するオレフィンとしては、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン等の炭素数20〜100のαオレフィンが例示出来る。炭素数が100よ大きいと融点が極めて高く、好ましくない。好ましくは、炭素数20〜60のα−オレフィンが生成物の融点の点で好ましい。
【0015】
本発明に於いて使用するジアルキオルホスファイトとしては、ジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジ−2エチルヘキシルホスファイト、ジシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジテトラデシルホスファイト、ジヘキサデシルホスファイト、ジオクタデシルホスファイトなどが使用でき、好ましくは、炭素数1〜8のジアルキルホスファイトである。炭素数9以上のジアルキルホスファイトは加水分解を受けやすく、好ましくない。
【0016】
アルキレンオキサイドとしては、アルキレン基の炭素数が、2〜6のもので、酸化エチレン、酸化プロピレンが好ましい
【0017】
アルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Na、K、Ca、Ba、Mg等が好ましい。
【0018】
[化1]で示されるアルキルホスホン酸誘導体化合物を用いた(1)潤滑防錆油組成物(特開平3−20395号)、(2)熱間圧延油組成物(特開平3−258897号)及び(3)アルミ合金または非鉄金属の塑性加工潤滑剤(特開平5−65493号)が既に開示されているが、これらと本発明における上記[化1]で示される特定化合物を基剤とする熱間圧延ロール用に適用する固形状潤滑剤とは、目的、使用方法、手段など全く異なるものである。
即ち、上記の(1)、(2)及び(3)に示されているのは、いずれの場合も、アルキルホスホン酸誘導体化合物を基油、例えば、鉱油、動植物油、合成エステル等に溶解希釈して、油液状にして、これに極圧添加剤として用いるのに対し、本発明に於いては、その使用形態が全く異なり、固形状を保持することが必須条件であり、それによって、熱間圧延ロール用固形状潤滑剤としての効果を発揮する。
また、[化1]で示される特定化合物を単独で、又はワックスを混合したものを基剤とするが、通常はこれに粉末状固体潤滑剤を添加することで熱間圧延中のロール表面での潤滑性、耐疵性が一層向上する。
このように、開示されている潤滑油としての使用目的、役割、作用などにおいて、本発明は上記(1)〜(3)とは全く異質のものである。
【0019】
本発明と同じ様なP−C結合を有する参考化合物(以下、本実験例に於いて単に本発明化合物ということがある)は、下記実験例に示す様に、耐加水分解性、特に熱間潤滑に有利な耐熱分解性で優れる。
【0020】
【実験例】
下記表1に示す有機リン酸の化合物の特性を調べた。
【0021】
【表1】
Figure 0004140937
【0022】
<耐加水分解性>
試験方法:試料2gに10%KOH水溶液100mlを加え、1時間加熱還流を行い、次いで、エーテル抽出し、油層及び水層のそれぞれリン分を測定した。無機リン化合物の生成度合から、耐加水分解性の指標とした。その結果を、表1に示す。
【0023】
A化合物
【化2】
Figure 0004140937
【0024】
B化合物
【化3】
Figure 0004140937
【0025】
C化合物
【化4】
Figure 0004140937
【0026】
表1より明らかなように、本発明化合物は、市販リン酸エステルに比べ、化学的に安定なことを示している。
これは、リンと結合する原子の違いによるもので、P−C結合と、P−O−C結合エネルギーの差によるものである。
【0027】
<熱安定性>
試料10g、昇温速度5℃/min.窒素ガス還流下、熱天秤により、減量曲線を測定した。その結果を図1に示す。
【0028】
図1において、1は本発明化合物A、2は市販リン酸エステルB、3は市販リン酸エステルCを示す。化合物Aは市販リン酸エステルに比し、熱安定性に優れることが判る。
【0029】
<潤滑性>
化合物A、B及びCを、測定温度:40〜280℃、試験球:SUJ−2(φ3/16インチ)、試験ピン:SUJ−2の条件下、曽田式振り子式油性試験機による摩擦係数を測定した。その結果を、図2に示す。但し、図2中1は本発明化合物A、2は市販リン酸エステルB、3は市販リン酸エステルCを示す。
化合物A(曲線1)は市販リン酸エステル(化合物B及びC)に比し、高温域においても、低い摩擦係数を示す。
【0030】
本発明で使用する上記特定化合物であるアルキルホスホン酸誘導体は、その製法は何ら限定されないが、例えば、次の方法で合成される。
【0031】
<合成例>
炭素数が6〜100のα位に二重結合を有するオレフィンと亜リン酸、次亜リン酸及びジアルキルホスファイトの少なくとも1種とを、オレフィンに対し、1.0〜2.0モル混合し、触媒として、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を用い、窒素雰囲気中、60〜150℃、4〜20時間反応させ、アルキルホスホン酸又はアルキルホスホン酸ジアルキルエステルを得る。またアルキルホスホン酸ジアルキルエステルは、更に、適当な触媒下、例えば、濃塩酸、濃アルカリ水の存在下、加水分解してアルキルホスホン酸モノアルキルエステル又はアルキルホスホン酸を得ることができる。
【0032】
アルキルホスホン酸にアルキレンオキサイドを付加する場合は、オートクレーブ中に、アルキルホスホン酸又はアルキルホスホン酸モノアルキルエステルを1モル入れ、触媒として、水酸化カリウムなどのアルカリを0.5〜2重量%加え、オートクレーブ中を窒素置換し、撹拌しながら、酸化エチレン、酸化プロピレンなどのアルキレンオキサイドを、0.5〜10モル圧入し、50〜200℃、1〜20時間反応を行い、必要に応じて、瀘過し、アルキレンオキサイド付加物を得る。
【0033】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩にするには、温度計、撹拌機、還流冷却管を取り付けた反応器に、アルキルホスホン酸又はアルキルホスホン酸モノアルキルエステルを1モル入れ、水酸化ナトリウム又は水酸化マグネシウムを0.5〜1.0モル加え、100〜150℃、1〜5時間反応を行い、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を得る。
前述した合成法に基づいて、本発明に使用するアルキルホスホン酸誘導体化合物を、下記表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0004140937
【0035】
【実施例】
次に、本発明で使用する固形潤滑剤の実施例を示す。
固形状潤滑剤の基剤として用いる固形状のアルキルホスホン酸誘導体化合物は、合成例で示したように、融点の異なった化合物が得られ、これらを単独で使用することもできるし、あるいは、本発明の化合物と市販品のワックス類を溶融混合し、固形状潤滑剤を使用する温度条件に適した軟化点を有する基剤に調製することができる。
更に、調製した基剤を加温し、溶融状態を保持し、それに粉末固体潤滑剤を添加し、熱間圧延ロールの形状に合った固形状潤滑剤を調製する。
【0036】
【実施例1】
(固形状潤滑剤1)
アルキルホスホン酸誘導体No.1(融点92℃)を70重量部を容器にとり、加熱溶融後、一定温度に保持して、粒径10〜13μmの燐片状黒鉛を、30重量部加え、よく撹拌しながら、黒鉛を均一に、分散させた溶融物を、目的の形状に作成した金型に流し込み、冷却して、所定の固形状潤滑剤を調製した。
【0037】
【実施例2】
(固形状潤滑剤2)
アルキルホスホン酸誘導体No.2(融点82℃)を80重量部、容器にとり、加熱溶融後、一定温度に保持して、粒径6〜10μmの燐片状黒鉛を20重量部加え、よく撹拌し、その後は実施例1と同様に、調製した。
【0038】
【実施例3】
(固形状潤滑剤3)
アルキルホスホン酸誘導体No.3(融点105℃)を85重量部、容器にとり、加熱溶融後、粒径10〜13μmの燐片状黒鉛を15重量部加え、よく撹拌し、その後は実施例1と同様に、調製した。
【0039】
【実施例4】
(固形状潤滑剤4)
アルキルホスホン酸誘導体No.4(融点98℃)を80重量部、容器にとり、加熱溶融後、平均繊維長10〜20μmのチタン酸カリウムウイスカー、6−チタン酸カリウム(大塚化学(株)製)30重量部加え、よく撹拌し、その後は実施例1と同様に、調製した。
【0040】
【実施例5】
(固形状潤滑剤5)
アルキルホスホン酸誘導体No.5(融点60℃)を80重量部を容器にとり、加熱溶融後、平均繊維長0.07μmの炭酸カルシウム20重量部を加え、よく撹拌し、その後は実施例1と同様に、調製した。
【0041】
【実施例6】
(固形状潤滑剤6)
アルキルホスホン酸誘導体No.2(融点82℃)を20重量部、市販品の融点143℃のエチレンビスステアリン酸アマイド60重量部を容器にとり、混合し、この混合物の融点である124℃以上に、加熱溶融後、平均粒径0.25μmのルチル形酸化チタン20重量部加え、よく撹拌し、その後は実施例1と同様に、調製した。
【0042】
【実施例7】
(固形状潤滑剤7)
アルキルホスホン酸誘導体No.5(融点60℃)を40重量部に、市販品の融点158℃のエチレンビスラウリン酸アマイド30重量部を混合したものを容器にとり、この混合物の融点である90℃以上に加熱溶融後、平均粒径0.6〜2.3μmのメラミンシアヌレート(日産化学工業製)30重量部を加え、よく撹拌し、その後は実施例1と同様に、調製した。
【0043】
【実施例8】
(固形状潤滑剤8)
アルキルホスホン酸誘導体No.6(融点42℃)を35重量部に、市販品の融点69℃のパラフィンワックス35重量部を混合したものを容器にとり、この混合物の融点である55℃以上に加熱溶融後、粒径10〜13μmの燐片状黒鉛を30重量部加え、よく撹拌しながら黒鉛を均一に分散させた溶融物を、目的の形状に作成した金型に流し込み、冷却して所定の固形状固体潤滑剤を調製した。
【0044】
【実施例9】
(固形状潤滑剤9)
アルキルホスホン酸誘導体No.7(融点88℃)を50重量部、市販品の融点143℃のエチレンビスステアリン酸アマイド30重量部を混合したものを容器にとり、この混合物の融点である110℃以上に加熱溶融後、平均粒径0.25μmのルチル形酸化チタン20重量部加え、よく撹拌しながら該チタンを均一に分散させた溶融物を、目的の形状に作成した金型に流し込み、冷却して所定の固形状固体潤滑剤を調製した。
【0045】
本発明の固形状潤滑剤を図3に示すH型鋼の熱間圧延への実施態様を、次に説明する。図3において、固形状潤滑剤(3)はエアーシリンダー(1)の先端の取り付け治具(2)に固定し、H型鋼熱間圧延用の上ロール(4)及び下ロール(5)側面に、0.5〜1.0kg/cm2の圧力で押し付けることにより、ロール冷却水による影響を受けることなく、均一な潤滑被膜を形成させる。尚(6)はH型鋼である。
【0046】
本発明固形状潤滑剤1〜7を実際にH型鋼の熱間圧延に使用した時のロール表面疵発生状況を、下記表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0004140937
【0048】
上記本発明の固形状潤滑剤を使用することによって、H型鋼用熱間圧延ロール表面疵の発生が無く、本発明固形状潤滑剤は優れた効果を示すことが判る。
次に、比較例に使用した固形状潤滑剤を、下記表4に示す。
【0049】
【表4】
Figure 0004140937

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は各種リン化合物の熱安定性を測定した結果を示すグラフである。
【図2】図2は各種リン化合物の潤滑性(摩擦係数)を測定した結果を示すグラフである。
【図3】図3はH型鋼の熱間圧延方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1.エアシリンダー
2.取り付け治具
3.固形潤滑剤
4.仕上げ圧延用上ロール
5.仕上げ圧延用下ロール
6.H型鋼

Claims (6)

  1. 炭素数が20〜100のα位に二重結合を有するオレフィンと、亜リン酸、次亜リン酸及びジアルキルホスファイトの少なくとも1種以上とから合成された下記一般式で示されるアルキルホスホン酸誘導体を含有し、且つこれに融点40℃以上の固形状ワックス及び天然又は合成粉末状固体潤滑剤の少なくとも1種が配合されていると共に、その軟化点が40〜130℃であって、ロールに押圧塗布して使用される熱間圧延ロール用固形潤滑剤。
    一般式
    Figure 0004140937
    (但しRは炭素数20〜100の直鎖又は分岐アルキル基、R及びRは両方又はいずれか一方が水素であり、他方が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数2〜6のポリオキシアルキレン基、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属を示す。)
  2. 一般式[化1]で示されるアルキルホスホン酸誘導体10〜90重量部と、融点40℃以上の固形ワックス90〜10重量部とを含有する請求項1の熱間圧延ロール用固形潤滑剤。
  3. 一般式[化1]で示されるアルキルホスホン酸誘導体50〜95重量部と、天然或いは合成粉末固体潤滑剤0.5〜50重量部の混合物であって、その混合物の軟化点が、40〜100℃である請求項1の熱間圧延ロール用固形潤滑剤。
  4. 一般式[化1]で示されるアルキルホスホン酸誘導体10〜90重量部と、融点が40℃以上の固形状ワックス10〜90重量部に、天然或いは合成粉末状固体潤滑剤0.5〜50重量部を含有さしめた、その軟化点が50〜130℃である請求項1の熱間圧延ロール用固形潤滑剤。
  5. 粉末状固体潤滑剤が無機化合物であり、且つ天然或いは人造グラファイト、天然雲母、合成雲母、窒化ホウ素、ニ硫化モリブデン、酸化チタン、メラミンシアヌレート、シリコンレジンパウダー及びN−ラウロイルリシンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1の熱間圧延ロール用固形潤滑剤。
  6. 熱間圧延ロール表面に、請求項1〜5のいずれかに記載の熱間圧延ロール用固形潤滑剤を、押圧塗布しながら、圧延する事を特徴とする熱間圧延方法。
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