JP4140279B2 - フラッシュランプ装置および閃光放射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラッシュランプ装置および閃光放射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、閃光放射装置によれば、被処理体に対して閃光を照射することにより、例えば被処理体の表層部分のみを選択的に短時間で高温に加熱する光加熱処理、被処理体を殆ど加熱することなしにその表面に強力な紫外線を照射する低温紫外線照射処理などの処理が行われている。
【0003】
このような閃光放射装置の光源としては、固体レーザー放射装置、ガスレーザー放射装置などのレーザー放射装置、例えばキセノン、クリプトンなどの希ガスが、例えば石英ガラス製の放電容器内に封入されてなるフラッシュランプ(以下、「希ガスフラッシュランプ」ともいう。)が知られているが、レーザー放射装置では、放射される閃光の波長が単一であること、単位エネルギー当たりの光子を放射するためのレーザー装置が極めて高価であるため、広い被処理面を有する被処理体の被処理面全面を照射することが困難であることなどから、希ガスフラッシュランプが広く用いられている。
【0004】
しかしながら、希ガスフラッシュランプは、フラッシュ電力が供給されると共に、トリガー用高電圧が印加されることによって駆動されることにより、短時間に閃光が放射されるフラッシュ点灯状態となるが、投入されたフラッシュ電力量に対する閃光の放射量を示す放射効率が小さく、また、放射される閃光においては、特に、光化学反応を行うための低温紫外線照射処理に有効とされる、長波長域(波長200〜400nm)の光(以下、「長波域紫外光」ともいう。)の放射割合が小さい、という問題がある。
【0005】
而して、閃光放射装置による処理に必要とされる放射量の閃光を得るために、フラッシュ電力供給用の電源装置として大型のものを用い、希ガスフラッシュランプに投入するフラッシュ電力量を大きくすることが検討されている。
しかしながら、フラッシュ点灯状態の希ガスフラッシュランプにおいては、放電容器内において発生する長波域紫外光の発光割合が小さい一方で、当該放電容器を構成する材料に吸収される短波長域の光(以下、「短波域紫外光」ともいう。)が発生する発光割合が大きいため、投入するフラッシュ電力量を大きくすることに伴って長波域紫外光の発光量が大きくなると共に、必然的に、短波域紫外光の発光量も大きくなる。その結果、大きなフラッシュ電力量が投入される閃光放射装置においては、希ガスフラッシュランプの放電容器が多量の短波域紫外光を吸収することに起因して早期劣化をひき起こす、という問題がある。
従って、閃光放射装置においては、処理に必要とされる閃光放射性能を得るため、比較的低電力で点灯される多数の希ガスフラッシュランプを光源として用いていることから、閃光放射装置が大型化されて、高価なものとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、高い放射効率を得ることができ、しかも使用寿命が長いフラッシュランプ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、小型であっても、優れた閃光放射性能を有する閃光放射装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のフラッシュランプ装置は、水銀が放電容器内に封入されてなるフラッシュランプを備えてなるフラッシュランプ装置であって、
前記フラッシュランプを予備加熱するための予備加熱手段が設けられており、
前記フラッシュランプにおける水銀の封入量が5〜55mg/cm3 であって、当該フラッシュランプが、フラッシュランプにおける平均電力密度(W/cm3 )をW1 、フラッシュ電力量(J)をQ、放電容器の内容積(cm3 )をV、電力半値幅(s)をΔtおよび水銀の封入量(mg/cm3 )をHとするとき、下記式(1)が満たされる条件で点灯されることを特徴とする。
【0008】
【数5】
Figure 0004140279
【0009】
本発明のフラッシュランプ装置においては、予備加熱手段が、フラッシュランプを構成する放電容器の外周面の温度をTw1 (K)とするとき、下記式(2)が満たされる条件となるまで予備加熱を行うものであることが好ましい。
【0010】
【数6】
Figure 0004140279
【0011】
本発明のフラッシュランプ装置は、水銀が放電容器内に封入されてなるフラッシュランプを備えてなるフラッシュランプ装置であって、
前記フラッシュランプを予備加熱するための予備加熱手段が設けられており、前記フラッシュランプの放電容器内に、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムの少なくとも1種よりなるアルカリ元素が、水銀のモル数に対する当該アルカリ元素のモル数の割合が0.1〜20%となる量で封入されており、前記フラッシュランプが、フラッシュランプにおける平均電力密度(W/cm3 )をW2 、フラッシュ電力量(J)をQ、放電容器の内容積(cm3 )をV、電力半値幅(s)をΔtおよび水銀のモル数に対するアルカリ元素のモル数の割合をα(%)、アルカリ元素の原子量の平均値に対するセシウムの原子量の比をSとするとき、下記式(3)が満たされる条件で点灯されることを特徴とする。
【0012】
【数7】
Figure 0004140279
【0013】
本発明のフラッシュランプにおいては、予備加熱手段が、フラッシュランプを構成する放電容器の外周面の温度をTw2 (K)、アルカリ元素の封入量をA(mg/cm3 )とするとき、下記式(4)が満たされる条件となるまで予備加熱を行うものであることが好ましい。
【0014】
【数8】
Figure 0004140279
【0015】
本発明のフラッシュランプ装置においては、予備加熱手段による予備加熱が、フラッシュランプを構成する放電容器を、当該放電容器の外周面から加熱することによって行われてもよく、また、フラッシュランプにフラッシュ時の平均電力よりも小さい大きさを有する予備加熱用平均電力を投入することによって行われてもよい。
【0016】
本発明のフラッシュランプにおいては、フラッシュランプを構成する放電容器内に、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスの少なくとも1種よりなる希ガスが、室温において3×105 Pa以下の圧力となる量で封入されていることが好ましい。
【0017】
本発明の閃光放射装置は、光源として、上記のフラッシュランプ装置を具えることを特徴とする。
【0018】
【作用】
上記のようなフラッシュランプ装置によれば、フラッシュランプにおける平均電力密度および特定の封入物質の封入量を制御することにより、封入物質の電離に由来する電子に係る制動放射を大きな割合で利用し、それにより、フラッシュランプから放射される閃光における長波域紫外光(波長200〜400nmの光)や短波長可視光(波長400〜600nmの光)の放射割合を大きくすることができる。しかも、主発光物質として水銀を用いていることから、フラッシュ点灯状態においてフラッシュランプの放電容器内において発生する短波域紫外光の発光割合が小さいため、放電容器が短波域紫外光を吸収することに起因して生じるフラッシュランプの早期劣化を防止することができる。
従って、本発明のフラッシュランプ装置は、高い放射効率を得ることができ、しかも長い使用寿命を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のフラッシュランプ装置の一実施例を示す説明図であり、図2は、図1のフラッシュランプ装置に備えられているフラッシュランプを示す説明図である。
このフラッシュランプ装置は、主発光物質として水銀が放電容器11内に封入されてなるフラッシュランプ10と、当該フラッシュランプ10を覆うよう設けられた円筒状の加熱管21の外周面に沿って、例えばニクロム線などの線状のヒーター22が巻回されてなる予備加熱手段20とを備えている。
この例において、予備加熱手段20を構成する加熱管21は、フラッシュランプ10を構成する放電容器11の外径よりも僅かに大きい外径を有し、当該放電容器11の全長より大きい全長を有する石英ガラス製のものであり、当該加熱管21内に挿入されたフラッシュランプ10を支持用部材(図示せず)で固定保持する構成を有するものである。
【0021】
フラッシュランプ10は、円筒状であって両端が封止され、内部に放電空間を区画する直管型の放電容器11を備えてなり、この放電容器11の両端から管軸方向内方に突出して伸びる電極棒12、13の各々の先端に形成された陽極14および陰極15が、当該放電容器11内において互いに対向する状態とされている。
フラッシュランプ10に封入する水銀は、単体であっても化合物であってもよいが、化合物として封入する場合には、その蒸気圧が同じ温度での単体の蒸気圧と同じ程度のものか高いものを選択することが好ましい。
図2において、フラッシュランプ10は、放電容器11の外面に管軸方向に螺旋状に伸びるよう配設したトリガー電極16を有し、このトリガー電極16はバンド17によって支持されている。
【0022】
図3は、図2のフラッシュランプの点灯用回路の具体例を示す説明図である。
フラッシュランプ10は、エネルギーを供給するための主コンデンサ31に波形整形用コイル33を介して接続されると共に、フラッシュランプ10のトリガー電極16はトリガー回路18に接続されている。
この例において、34は主コンデンサ31に電力を供給するための電源装置である。
【0023】
放電容器11を構成する材料としては、例えば石英ガラス、多結晶アルミナ、サファイアなどの透光性を有する材料を用いることができる。
また、放電容器11は、全長、外径および内径が特に限定されるものではなくフラッシュランプ装置の用途に応じて、種々の形状のものとすることができるが、通常、全長は1〜50cm、外径は0.7〜1.8cm、内径は0.5〜1.5cmとされる。
【0024】
放電容器11の内部には、水銀が封入されており、当該放電容器11内における単位体積当たりの水銀の封入量は、5〜55mg/cm3 とされる。
【0025】
水銀の封入量が0.2mg/cm3 未満である場合には、フラッシュ点灯状態のフラッシュランプにおける電子密度を十分な大きさとすることができないため、高い放射効率を得ることができない。
一方、水銀の封入量が55mg/cm3 を超える場合には、放電容器の内圧が大きくなることに伴って始動電圧が大きくなると共に、フラッシュ点灯時の圧力が高くなり十分な安全性が確保できなくなると共に、フラッシュランプの点灯用回路の設計における自由度が小さくなる。
【0026】
以上のような構成を有するフラッシュランプ装置は、予備加熱手段20によって所定の温度にまで予備加熱したフラッシュランプ10に対して、トリガー回路18において発生したトリガー用高電圧がトリガー電極16に印加されて絶縁破壊が生じることにより、直ちに電気容量C(μF)の主コンデンサ31に充電電圧V0 (V)で蓄えられた、下記式(a)で表される大きさを有するエネルギーが、フラッシュ電力量Q(J)として波形整形用コイル33を介してフラッシュランプ10に投入される。このようにしてフラッシュランプ10が駆動されて、短時間に極めて高い放射輝度の放射光が得られるフラッシュ点灯状態となる。
【0027】
【数9】
Figure 0004140279
【0028】
〔式中、Qはフラッシュ電力量(J)、Cは主コンデンサの電気容量(μF)、V0 は充電電圧(V)を示す。〕
【0029】
そして、フラッシュランプ10は、平均電力密度に係る上記式(1)が満たされる条件でフラッシュ点灯されることが必要とされる。
【0030】
式(1)において、「フラッシュランプにおける平均電力密度(W1 )」とは、フラッシュランプの放電容器内の単位体積当たりにおける単位時間当たりのフラッシュ電力を示す値であり、具体的には、フラッシュランプに投入されるフラッシュ電力量(Q)を、放電容器の内容積(V)と電力半値幅(Δt)の積で除することにより求められる。
【0031】
また、「電力半値幅(Δt)」とは、フラッシュランプに投入されるフラッシュ電力に基づく値であり、フラッシュランプの点灯用回路における電流波形の整形の仕方に応じて下記(1)または下記(2)のように定義される。
なお、式(1)においては、電力半値幅(Δt)として、フラッシュランプから放射される閃光についての、波長300〜500nmの光に係る波形から、下記(1)または下記(2)に係る手法によって求められる半値幅を代用することができる。
【0032】
(1)コンデンサ、波形整形用コイル、フラッシュランプの電気抵抗からなる過渡電流回路において、電流のダンピングが大きい条件下においては、フラッシュランプ(10)に投入されるフラッシュ電力と時間との関係を示す波形(以下、単に「フラッシュ電力の波形」ともいう。)として、図4(i)に示すような単純衰退型の波形が得られることから、ピークにおける電力量の半分の大きさを示す2点(図4(i)において点aおよび点b)間の時間軸上の幅をこの場合の電力半値幅と定義する。
(2)電流のダンピングが小さい条件下では、フラッシュ電力の波形として、図4(ii)に示すような振動衰退型の電力波形が得られることから、当該波形を構成する複数のピークのうちの最大電力ピーク値の半分以上になっている時間の総和をこの場合の電力半値幅と定義する。
具体的に、図4(ii)の波形においては、点a1 および点b1 間の幅Δt1 と、点a2 および点b2 間の幅Δt2 との和が電力半値幅(Δt)となる。
【0033】
電力半値幅(Δt)は、0.3μs〜10msであることが好ましい。
電力半値幅(Δt)が0.3μs未満である場合、特に0.1μs以下である場合には、フラッシュランプにフラッシュ電力を投入することによって放電容器内に発生するプラズマの直径が十分な大きさとならずに好適な放射状態が得られないおそれがある。
一方、電力半値幅(Δt)が10msを超える場合には、1回のフラッシュ点灯に必要とされるフラッシュ電力量が極めて大きくなるため、このような態様は特別の要請がある場合を除いては実用的ではない。
【0034】
平均電力密度が特定の範囲から外れる場合には、封入物質(水銀)の電離に由来する電子に係る制動放射の強度を十分に大きくすることができないため、高い放射効率を得ることができない。
【0035】
予備加熱手段20による予備加熱は、フラッシュランプ10を構成する放電容器11の外周面の温度が、フラッシュ点灯直前には上記式(2)が満たされる条件となるまで行われることが点灯時の放射の再現性を確保するためには好ましい。
実際上、予備加熱は、フラッシュランプ10の構成要素などに対する熱の影響を考慮して、例えば水銀の封入量が5mg/cm3 であるフラッシュランプ10においては、通常、当該フラッシュランプ10を構成する放電容器11の外周面の温度が540〜600Kとなるまで行われる。
【0036】
予備加熱が放電容器の外周面の温度が特定の温度域となるまで行われない場合には、当該放電容器の内周面の温度が十分に高くならないことから、放電容器内に封入されている水銀が完全に蒸発しておらず、水銀の蒸気圧が十分に高くなっていない状態でフラッシュ電力が投入されることとなるため、フラッシュ点灯毎に放射輝度にバラツキが生じて安定した閃光放射特性が得られないおそれがある。
また、特に、フラッシュランプ装置を連続して駆動させるような場合においては、フラッシュ点灯回数が大きくなるに従ってフラッシュランプ内の温度が上昇することに伴って放射輝度が次第に変化するため、安定した閃光放射特性が得られないおそれがあり、また、フラッシュ点灯中に放電容器内の電極間の空間に形成されている発光領域において蒸発した水銀が、放電容器内の電極棒の伸びる空間に形成されている非発光領域に存在する低温部において凝縮することに起因して、フラッシュ電力を投入しても水銀の発光が得られなくなるおそれがある。
【0037】
以上のような構成のフラッシュランプ装置によれば、フラッシュランプ10を構成する放電容器11内に、主発光物質として、最低励起電圧および電離電圧が希ガスに比べて小さい特性を有する水銀が封入され、更に、この水銀の封入量は、当該水銀が電離することに起因して大きくなる電子密度が、フラッシュ点灯状態において十分な大きさとなる量に特定されており、しかも、予備加熱手段20によって予備加熱されたフラッシュランプ10が特定の条件によって要求される放射源のフラッシュ点灯状態とされることから、フラッシュランプ10における平均電力密度および水銀の封入量が制御されるため、水銀の電離に由来する電子に係る制動放射を大きな割合で利用することができ、フラッシュランプ10から放射される閃光における長波域紫外光や短波長可視光の放射割合が大きくなる。また、封入されている水銀の最低励起電圧が小さいことから、水銀が励起されることによって発生する輝線の強度が大きくなる。
従って、このフラッシュランプ装置においては、高い放射効率を得ることができる。
なお、水銀の最低励起電圧は約4.6eV、電離電圧は約10eVであるが、これらの値は、各々、希ガスフラッシュランプにおいて発光物質として用いられているキセノン(最低励起電圧が約8eV、電離電圧が約12eV)の値に比して小さいものである。
【0038】
実際上、このような構成のフラッシュランプ装置においては、閃光を放射する放射体を黒体に近くでき、投入されたフラッシュ電力量に対する閃光の放射量を示す放射効率を、容易に、しかも、弊害を伴わずに確実に40%以上とすることができる。ここに、黒体においては投入電力量の放射量への転換効率は100%となる。
なお、希ガスフラッシュランプにおいては、弊害を伴わずに放射効率を40%以上とすることは非常に困難である。
【0039】
また、主発光物質として水銀が封入されていることから、フラッシュ点灯状態においてフラッシュランプ10の放電容器11内において発生する短波域紫外光の発光割合が小さいため、放電容器11が短波域紫外光を吸収することに起因して生じるフラッシュランプ10の早期劣化を防止することができる。
従って、フラッシュランプ装置においては、長い使用寿命を得ることができる。
【0040】
更に、主発光物質として水銀が封入されていることから、放電容器11内の電子密度が大きくなっても、それに伴ってフラッシュ点灯状態に係る放電容器11内の電流値が大きくなることがないため、電極(陽極14および陰極15)の設計の自由度が大きいことから、フラッシュランプ装置を用途に応じた好適な形状とすることが可能である。
【0041】
予備加熱手段20によって放電容器11の外周面の温度が特定の温度域となるように予備加熱が行われることから、フラッシュ電力が投入される際には放電容器11内において水銀がほぼ完全に蒸気の状態で存在することとなるため、フラッシュランプ10は、トリガー用高電圧が印加されることによって確実にフラッシュ電力が投入されてフラッシュ点灯状態とされると共に、安定した閃光放射特性を得ることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態のフラッシュランプ装置は、主発光物質である水銀の封入量が特定されておらず、また特定の量のアルカリ元素が封入されており、更に、フラッシュランプが、上記式(1)に代えて、上記式(3)が満たされる条件で点灯されることが必要とされること以外は実施例1と同様の構成を有する。
フラッシュランプに封入する水銀あるいはアルカリ元素は、単体であっても化合物であってもよいが、化合物として封入する場合には、その蒸気圧が同じ温度での単体の蒸気圧と同じ程度か高いものを選択することが好ましい。
【0043】
以上の構成を有するフラッシュランプ装置において、放電容器内における水銀の単位体積当たりの封入量は、0.2〜55mg/cm3 であることが好ましい。
【0044】
「アルカリ元素」とは、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムの1種あるいは2種以上よりなるアルカリ金属である。
放電容器内におけるアルカリ元素の封入量は、放電容器内に封入されている水銀のモル数に対するアルカリ元素のモル数の割合(以下、「アルカリ元素のモル割合」ともいう。)(α)が0.1〜20%となる量とされる。
実質上、アルカリ元素の放電容器内における単位体積当たりの封入量は、0.03μg/cm3 〜7.3mg/cm3 とされる。このアルカリ元素の封入量においては、下限値はアルカリ元素としてナトリウムを用いた場合の値であり、上限値はアルカリ元素としてセシウムを用いた場合の値である。
【0045】
ここに、アルカリ元素が2種以上のアルカリ金属よりなる場合には、フラッシュランプのアルカリ元素のモル数は、当該アルカリ元素を構成するすべてのアルカリ金属のモル数の総和である。
【0046】
アルカリ元素のモル割合が0.1%未満である場合には、フラッシュ点灯状態のフラッシュランプにおける電子密度を十分な大きさとすることができないため、水銀のみを封入した場合より大きな放射効率を得ることができない。
一方、アルカリ元素のモル割合が20%を超える場合には、各々、水銀およびアルカリ元素の放電容器内での蒸気圧が小さくなるため、フラッシュランプの点灯信頼性を損なわずに高い放射効率を得ることができない。
【0047】
式(3)において、アルカリ元素の原子量の平均値に対するセシウムの原子量の比Sに係る、アルカリ元素の原子量の平均値は、アルカリ元素が2種以上のアルカリ金属よりなる場合には、当該アルカリ元素を構成するすべてのアルカリ金属をモル加重平均した原子量である。
なお、「フラッシュランプにおける平均電力密度(W2 )」および「電力半値幅(Δt)」は、式(1)におけるフラッシュランプにおける平均電力密度および電力半値幅と同様に定義される値である。
【0048】
フラッシュランプにおける平均電力密度が特定の範囲から外れる場合には、封入物質(水銀および特定のアルカリ物質)の電離に由来する電子に係る制動放射の強度を十分に大きくすることができないため、高い放射効率を得ることができない。
【0049】
予備加熱手段による予備加熱は、フラッシュランプを構成する放電容器の外周面の温度が上記式(4)が満たされる条件となるまで行われることが好ましい。実際上、予備加熱は、フラッシュランプの構成要素などに対する熱の影響を考慮して、例えば水銀の封入量が5mg/cm3 、アルカリ元素の封入量が0.166mg/cm3 (アルカリ元素のモル割合5%)であるフラッシュランプにおいては、通常、フラッシュランプを構成する放電容器の外周面の温度が700〜750Kで行われる。
【0050】
予備加熱が放電容器の外周面の温度が特定の温度域となるまで行われない場合には、当該放電容器の内周面の温度が十分に高くならないことから、放電容器内に封入されている封入物質(水銀および特定のアルカリ物質)が完全に蒸発しておらず、当該封入物質の蒸気圧が十分に高くなっていない状態でフラッシュ電力が投入されることとなるため、フラッシュ点灯毎に放射輝度にバラツキが生じて安定した閃光放射特性が得られないおそれがある。
また、特に、フラッシュランプ装置を連続して駆動させるような場合においては、フラッシュ点灯回数が大きくなるに従ってフラッシュランプ内の温度が上昇することに伴って放射輝度が次第に変化するため、安定した閃光放射特性が得られないおそれがあり、また、フラッシュ点灯中に放電容器内の電極間の空間に形成されている発光領域において蒸発した封入物質が、放電容器内の電極棒の伸びる空間に形成されている非発光領域に存在する低温部において凝縮することに起因して、フラッシュ電力を投入しても水銀あるいはアルカリ元素の発光が得られず、要求される放射特性が発揮されない点灯状態が得られるおそれがある。
【0051】
以上のような構成のフラッシュランプ装置によれば、第1の実施の形態のフラッシュランプ装置と同様にして、高い放射効率を得ることができ、しかも長い使用寿命を得ることができるという作用効果を得ることができるが、第2の実施の形態に係るフラッシュランプ装置は、主発光物質である水銀と、アルカリ元素とが封入されており、このアルカリ元素が水銀に比して極めて小さい最低励起電圧および電離電圧を有するものであり、また、放電容器内の温度が比較的低温である場合においては、当該放電容器内の電子密度はアルカリ元素に係る電子に由来するものとなり、平均電力密度(W2 )が増加するとフラッシュランプ内プラズマ温度が上昇し、やがて当該アルカリ元素が殆ど電離した後に水銀の電離が開始されることとなるため、フラッシュランプが特定の条件によってフラッシュ点灯状態とされることによってフラッシュランプにおける平均電力密度およびアルカリ元素の封入量を制御する構成を有する。
なお、アルカリ元素の最低励起電圧、電離電圧は約5eV以下である。
【0052】
また、予備加熱手段によって放電容器の外周面の温度が特定の温度域となるまで予備加熱が行われることから、フラッシュ電力が投入される際には放電容器内において封入物質(水銀および特定のアルカリ物質)が蒸気の状態で存在することとなるため、フラッシュランプは、トリガー用高電圧が印加されることによって、確実にフラッシュ電力が投入されてフラッシュ点灯状態とされると共に、安定した閃光放射特性を得ることができる。
【0053】
アルカリ元素が封入されていることにより、放電容器内に水銀のみを封入した場合に比して、封入物質に係る高密度の蒸気が得られ、低温において高い電子密度が得られるため、小さいフラッシュ電力で高い放射効率が得られる。
【0054】
このようなフラッシュランプ装置は、閃光放射装置の光源として好適に用いることができる。
この閃光放射装置は、光源を構成するフラッシュランプ装置が高い放射効率を有するものであることから、被処理体に対する処理に必要とされる放射量の閃光を得るために、実際上、希ガスフラッシュランプを光源とする閃光放射装置において光源として必要とされるランプの数より少ない数のフラッシュランプ装置を光源とすれば十分であり、更に、当該フラッシュランプを構成するフラッシュランプの各々に投入するフラッシュ電力を大きくする必要がない。従って、小型であっても、優れた閃光放射性能が得られ、また閃光放射装置自体が高価なものとならない。或いはフラッシュランプ装置のフラッシュ電力を低く抑えることができることから、電源装置の小型化、低価格化を実現することができる。
【0055】
閃光放射装置は、例えば金属、セラミックス、ガラス、プラスチックなどよりなる製品や、半導体装置の製造工程などで瞬間加熱するアニーリング処理、合金反応処理、リフロー処理、光硬化材の硬化などの光化学反応処理、記録媒体の一括処理などの種々の処理を好適に行うことができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明においては、種々の変更を加えることができる。
例えば、フラッシュランプの放電容器の内部に、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンおよびキセノンガスのうちの1種あるいは2種以上の希ガスよりなるガスが、室温(25℃以下)で3×105 Pa以下の圧力となる量で封入されていてもよい。
【0057】
この場合には、フラッシュランプを容易にフラッシュ点灯状態とすることができると共に、予備加熱手段によって放電容器の内周面の温度を、短時間で均一に所望の温度にまで予備加熱することができる。
このような作用効果を確実に得るためには、希ガスの封入量が室温で1000Pa以上の圧力となる量であることが好ましいが、希ガスの封入量が過大である場合には、フラッシュランプに大きな始動電圧が必要となることから、トリガー回路において発生させるべきトリガー用高電圧が大きくなるため、トリガー回路の設計の自由度が小さくなる。
【0058】
また、予備加熱手段は、フラッシュランプを構成する放電容器の外周面に、直接線状のヒーターが巻回されてなる構成を有するものであってもよい。この場合には、フラッシュランプとして、トリガー電極が放電容器の外周面に配置されていない構成を有するものを用いることが好ましい。
【0059】
更に、予備加熱手段は、フラッシュランプを、放電容器の外周面から加熱する構成のものに限定されず、例えばフラッシュランプに対してフラッシュ時の平均電力よりも小さく、例えばフラッシュ時の平均電力の0.1%の大きさを有する予備加熱用平均電力を投入する構成のものであってもよい。このような予備加熱手段は、予備加熱用平均電力を投入することによって発生するエネルギーによってフラッシュランプ自体を予備加熱する構成を有するものである。この場合には、予備加熱によって発生するエネルギーを、フラッシュランプを加熱するのみでなく、例えばフラッシュランプ装置を光源とする閃光放射装置に係る被処理体を予備加熱することなどに用いることも可能となり、更に、当該被処理体を予備加熱するための電源装置を、予備加熱用電力投入用電源として兼用することもできる。
【0060】
フラッシュランプは、電極を介して電力を投入する構成のものに限定されず、例えば放電容器の内部に電極を持たない無電極放電ランプであってもよく、この場合は透光性を有する材料よりなる放電容器内において絶縁破壊を生じさせると共に、このタイミングにおいてフラッシュ電力を投入することのできる回路を備えてなるものであればよい。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれによって制限されるものではない。
【0062】
<実施例1>
図1に示されている構成に従い、図3に示されている形式であって、電源装置が直流電源である点灯用回路を有するフラッシュランプと、石英ガラス製であって円筒状の加熱管に、ニクロム線よりなるヒーターが巻回されてなる予備加熱手段とを備えてなるフラッシュランプ装置(以下、「フラッシュランプ装置(1)」ともいう。)を製造した。
フラッシュランプ装置(1)を構成するフラッシュランプの仕様は、放電容器の内容積が12cm 3 、主コンデンサの電気容量が100μF、充電電圧が3000V、電力半値幅が0.2msであった。また、放電容器内には、水銀55mg/cm 3 を封入した。
【0063】
製造したフラッシュランプ装置(1)を予備加熱手段によってフラッシュランプの放電容器の外周面の温度が1300Kとなるまで予備加熱した後、当該フラッシュランプを、平均電力密度が下記式(ロ)となる条件でフラッシュ点灯状態とし、放射される閃光の平均分光放射輝度を測定した。結果を図5に示す。
なお、下記式(ロ)に係る平均電力密度は、上記式(1)の条件を満たしている。
【0068】
【数11】
Figure 0004140279
【0069】
〔式中、Hは水銀の封入量(mg/cm3 )を示す。〕
【0070】
図5において、曲線(2a)はフラッシュランプ装置(1)に係る平均分光放射輝度を示し、曲線(2b)はフラッシュランプ装置(1)における放電容器内に発生するプラズマの温度と同一の温度を有する黒体に係る分光放射輝度を示す。
曲線(2b)に示す黒体の分光放射輝度に対する曲線(2a)に示すフラッシュランプ装置(1)の平均分光放射輝度の大きさから放射効率を求めたところ、42%であった。
【0071】
実施例2
フラッシュランプとして、放電容器の内容積が12cm3 、主コンデンサの電気容量が100μF、充電電圧が5100V、電力半値幅が0.2msである仕様を有し、放電容器内に、水銀55mg/cm3 が封入されてなるフラッシュランプを備えてなること以外は実施例1と同様の構成を有するフラッシュランプ装置(以下、「フラッシュランプ装置(2)」ともいう。)を製造し、当該フラッシュランプ装置(2)を予備加熱手段によってフラッシュランプの放電容器の外周面の温度が1300Kとなるまで予備加熱した後、当該フラッシュランプを、平均電力密度が下記式(ハ)となる条件でフラッシュ点灯状態とし、放射される閃光の平均分光放射輝度を測定した。結果を図6に示す。
なお、下記式(ハ)に係る平均電力密度は、上記式(1)の条件を満たしている。
【0072】
【数12】
Figure 0004140279
【0073】
〔式中、Hは水銀の封入量(mg/cm3 )を示す。〕
【0074】
図6において、曲線(3a)はフラッシュランプ装置(2)に係る平均分光放射輝度を示し、曲線(3b)はフラッシュランプ装置(2)における放電容器内に発生するプラズマの温度と同一の温度を有する黒体に係る分光放射輝度を示す。
曲線(3b)に示す黒体の分光放射輝度に対する曲線(3a)に示すフラッシュランプ装置(2)の平均分光放射輝度の大きさから放射効率を求めたところ、89%であった。
【0075】
<比較例1>
フラッシュランプとして、放電容器の内容積が12cm3 、主コンデンサの電気容量が50μF、充電電圧が850V、電力半値幅が0.38msである仕様を有し、放電容器内に、水銀4.1mg/cm3 が封入されてなるフラッシュランプを備えてなること以外は実施例1と同様の構成を有するフラッシュランプ装置(以下、「比較用フラッシュランプ装置(1)」ともいう。)を製造し、当該比較用フラッシュランプ装置(1)を予備加熱手段によってフラッシュランプの放電容器の外周面の温度が680Kとなるまで予備加熱した後、当該フラッシュランプを、平均電力密度が下記式(ニ)となる条件でフラッシュ点灯状態とし、放射される閃光の平均分光放射輝度を測定した。結果を図7に示す。
【0076】
【数13】
Figure 0004140279
【0077】
〔式中、Hは水銀の封入量(mg/cm3 )を示す。〕
【0078】
図7において、曲線(4a)は比較用フラッシュランプ装置(1)に係る平均分光放射輝度を示し、曲線(4b)は比較用フラッシュランプ装置(1)における放電容器内に発生するプラズマの温度と同一の温度を有する黒体に係る分光放射輝度を示す。
曲線(4b)に示す黒体の分光放射輝度に対する曲線(4a)に示す比較用フラッシュランプ装置(1)の平均分光放射輝度の大きさから放射効率を求めたところ、8%であった。
【0079】
<比較例2>
フラッシュランプとして、放電容器の内容積が12cm3 、主コンデンサの電気容量が50μF、充電電圧が1050V、電力半値幅が0.38msである仕様を有し、放電容器内に、水銀4.3mg/cm3 が封入されてなるフラッシュランプを備えてなること以外は実施例1と同様の構成を有するフラッシュランプ装置(以下、「比較用フラッシュランプ装置(2)」ともいう。)を製造し、当該比較用フラッシュランプ装置(2)を予備加熱手段によってフラッシュランプの放電容器の外周面の温度が700Kとなるまで予備加熱した後、当該フラッシュランプを、平均電力密度が下記式(ホ)となる条件でフラッシュ点灯状態とし、放射される閃光の平均分光放射輝度を測定した。結果を図8に示す。
【0080】
【数14】
Figure 0004140279
【0081】
〔式中、Hは水銀の封入量(mg/cm3 )を示す。〕
【0082】
図8において、曲線(5a)は比較用フラッシュランプ装置(2)に係る平均分光放射輝度を示し、曲線(5b)は比較用フラッシュランプ装置(2)における放電容器内に発生するプラズマの温度と同一の温度を有する黒体に係る分光放射輝度を示す。
曲線(5b)に示す黒体の分光放射輝度に対する曲線(5a)に示す比較用フラッシュランプ装置(2)の平均分光放射輝度の大きさから放射効率を求めたところ、20%であった。
【0083】
以上の結果から、比較例1および比較例2に係るフラッシュランプ装置においては、当該フラッシュランプ装置を構成するフラッシュランプの平均電力密度が過小であって特定の条件を満足しない状態でフラッシュ点灯が行われたため、高い放射効率を得ることができなかったが、実施例1および実施例2に係るフラッシュランプ装置によれば、各々、特定量の封入物質が封入され、フラッシュランプ装置を構成するフラッシュランプにおける平均電力密度が特定の条件を満たした状態でフラッシュ点灯が行われることから、高い放射効率が得られることが確認された。
【0084】
実施例3
フラッシュランプとして、放電容器の内容積が12cm3 、主コンデンサの電気容量が100μF、充電電圧が2300V、電力半値幅が0.54msである仕様を有し、放電容器内に、水銀3.0mg/cm3 およびアルカリ元素としてセシウム0.2mg/cm3 (アルカリ元素のモル割合αは10%)が封入されてなるフラッシュランプを備えてなること以外は実施例1と同様の構成を有するフラッシュランプ装置(以下、「フラッシュランプ装置(3)」ともいう。)を製造し、当該フラッシュランプ装置(3)を予備加熱手段によってフラッシュランプの放電容器の外周面の温度が1050Kとなるまで予備加熱した後、当該フラッシュランプを、平均電力密度が下記式(ヘ)となる条件でフラッシュ点灯状態とし、放射される閃光の平均分光放射輝度を測定した。結果を図9に示す。 なお、下記式(ヘ)に係る平均電力密度は、上記(3)の条件を満たしている。また、アルカリ元素としてはセシウムのみを封入しているのでアルカリ元素の原子量の平均値に対するセシウムの原子量の比は1となる。
【0085】
【数15】
Figure 0004140279
【0086】
〔式中、αは水銀のモル数に対するアルカリ元素のモル数の割合(%)を示す。〕
【0087】
図9において、曲線(6a)はフラッシュランプ装置(3)に係る平均分光放射輝度を示し、曲線(6b)はフラッシュランプ装置(3)における放電容器内に発生するプラズマの温度と同一の温度を有する黒体に係る分光放射輝度を示す。
曲線(6b)に示す黒体の分光放射輝度に対する曲線(6a)に示すフラッシュランプ装置(3)の平均分光放射輝度の大きさから放射効率を求めたところ、50%であった。
【0088】
以上の結果から、実施例3に係るフラッシュランプ装置によれば、特定量の封入物質が封入され、フラッシュランプ装置を構成するフラッシュランプにおける平均電力密度が特定の条件を満たした状態でフラッシュ点灯が行われることから、高い放射効率が得られることが確認された。
なお、平均電力密度をいろいろ変化させて同様の実験を行ったところ、平均電力密度が下記式(ト)で示される値以上である場合に放射効率が高くなることが確認された。
【0089】
【数16】
Figure 0004140279
【0090】
また、実施例1〜実施例3に係るフラッシュランプ装置の各々を、連続して駆動させたところ、実施例1および実施例2に係るフラッシュランプ装置においては、上記式(2)を満たす条件となるまで、実施例3に係るフラッシュランプ装置においては、上記式(4)を満たす条件となるまで予備加熱を行ったため、ラッシュ電力が投入されてトリガー用高電圧が印加されることによって確実にフラッシュ点灯状態とされると共に、安定した閃光放射特性を得ることができた。
更に、連続駆動した後に、実施例1〜実施例3に係るフラッシュランプ装置を構成するフラッシュランプの各々を目視にて確認したところ、劣化が生じておらず、長い使用寿命が得られることが確認された。
【0091】
【発明の効果】
本発明のフラッシュランプ装置によれば、フラッシュランプにおける平均電力密度および特定の封入物質の封入量を制御することにより、封入物質の電離に由来する電子に係る制動放射を大きな割合で利用し、それにより、フラッシュランプから放射される閃光における長波域紫外光(波長200〜400nmの光)や短波長可視光(波長400〜600nmの光)の放射割合を大きくすることができる。しかも、主発光物質として水銀を用いていることから、フラッシュ点灯状態においてフラッシュランプの放電容器内において発生する短波域紫外光の発光割合が小さいため、放電容器が短波域紫外光を吸収することに起因して生じるフラッシュランプの早期劣化を防止することができる。
従って、本発明のフラッシュランプ装置は、高い放射効率を得ることができ、しかも長い使用寿命を得ることができる。
【0092】
本発明の閃光放射装置は、光源として上記のフラッシュランプ装置を用いてなるものであり、当該フラッシュランプ装置が高い放射効率を有するものであるため、小型であっても、優れた閃光放射性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフラッシュランプ装置の一実施例を示す説明図である。
【図2】 図1のフラッシュランプ装置に備えられているフラッシュランプを示す説明図である。
【図3】 図2のフラッシュランプの点灯用回路の具体例を示す説明図である。
【図4】 フラッシュランプに投入されるフラッシュ電力と時間との関係を示す波形を示す説明図である。
【図5】 実施例1に係る平均分光放射輝度を示す説明図である。
【図6】 実施例2に係る平均分光放射輝度を示す説明図である。
【図7】 比較例1に係る平均分光放射輝度を示す説明図である。
【図8】 比較例2に係る平均分光放射輝度を示す説明図である。
【図9】 実施例3に係る平均分光放射輝度を示す説明図である。
【符号の説明】
10 フラッシュランプ
11 放電容器
12、13 電極棒
14 陽極
15 陰極
16 トリガー電極
17 バンド
18 トリガー回路
20 予備加熱手段
21 加熱管
22 ヒーター
31 主コンデンサ
33 波形整形用コイル
34 電源装置

Claims (8)

  1. 水銀が放電容器内に封入されてなるフラッシュランプを備えてなるフラッシュランプ装置であって、
    前記フラッシュランプを予備加熱するための予備加熱手段が設けられており、
    前記フラッシュランプにおける水銀の封入量が5〜55mg/cm3 であって、当該フラッシュランプが、フラッシュランプにおける平均電力密度(W/cm3 )をW1 、フラッシュ電力量(J)をQ、放電容器の内容積(cm3 )をV、電力半値幅(s)をΔtおよび水銀の封入量(mg/cm3 )をHとするとき、下記式(1)が満たされる条件で点灯されることを特徴とするフラッシュランプ装置。
    Figure 0004140279
  2. 予備加熱手段が、フラッシュランプを構成する放電容器の外周面の温度をTw1 (K)とするとき、下記式(2)が満たされる条件となるまで予備加熱を行うものであることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュランプ装置。
    Figure 0004140279
  3. 水銀が放電容器内に封入されてなるフラッシュランプを備えてなるフラッシュランプ装置であって、
    前記フラッシュランプを予備加熱するための予備加熱手段が設けられており、前記フラッシュランプの放電容器内に、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムの少なくとも1種よりなるアルカリ元素が、水銀のモル数に対する当該アルカリ元素のモル数の割合が0.1〜20%となる量で封入されており、前記フラッシュランプが、フラッシュランプにおける平均電力密度(W/cm3 )をW2 、フラッシュ電力量(J)をQ、放電容器の内容積(cm3 )をV、電力半値幅(s)をΔtおよび水銀のモル数に対するアルカリ元素のモル数の割合をα(%)、アルカリ元素の原子量の平均値に対するセシウムの原子量の比をSとするとき、下記式(3)が満たされる条件で点灯されることを特徴とするフラッシュランプ装置。
    Figure 0004140279
  4. 予備加熱手段が、フラッシュランプを構成する放電容器の外周面の温度をTw2 (K)、アルカリ元素の封入量をA(mg/cm3 )とするとき、下記式(4)が満たされる条件となるまで予備加熱を行うものであることを特徴とする請求項3に記載のフラッシュランプ装置。
    Figure 0004140279
  5. 予備加熱手段による予備加熱が、フラッシュランプを構成する放電容器を、当該放電容器の外周面から加熱することによって行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフラッシュランプ装置。
  6. 予備加熱手段による予備加熱が、フラッシュランプにフラッシュ時の平均電力よりも小さい大きさを有する予備加熱用平均電力を投入することによって行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフラッシュランプ装置。
  7. フラッシュランプを構成する放電容器内に、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスの少なくとも1種よりなる希ガスが、室温において3×105 Pa以下の圧力となる量で封入されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフラッシュランプ装置。
  8. 光源として、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のフラッシュランプ装置を具えることを特徴とする閃光放射装置。
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