JP4140143B2 - 一方向クラッチおよびこれを用いたプーリユニット - Google Patents

一方向クラッチおよびこれを用いたプーリユニット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方向クラッチおよびこれを用いたプーリユニットに関する。このプーリユニットは、例えば自動車などのエンジンのクランクシャフトからベルトを介して駆動される補機に装備することができる。補機としては、例えば自動車のエアコンディショナ用コンプレッサ、ウォーターポンプ、オルターネータ、冷却ファンなどが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンに装着される各種の補機は、エンジンのクランクシャフトによりベルトを介して駆動されるようになっている。ここで、補機のうち、特にオルタネータの場合、エンジンのクランクシャフトと同期回転するように連結していると、クランクシャフトの回転数の低下に伴い、オルタネータの発電能力が低下する。
【0003】
そこで、オルタネータに一方向クラッチを内蔵し、クランクシャフトの回転数が低下するときには、オルタネータのロータの回転をその慣性力により継続させることで発電効率を高めるように構成したプーリユニットが本願出願人により提案されている。
【0004】
この場合のプーリユニットは、オルタネータのプーリとロータとの間に介装された一方向クラッチを少なくとも含み、ロータとプーリとの回転数差に応じて、一方向クラッチをロック状態(動力伝達状態:プーリからロータへ動力が伝達される状態)とフリー状態(動力伝達遮断状態:プーリからロータへの動力伝達が遮断される状態)とに切り替え、プーリとロータとの間で動力の伝達と遮断とを行うように構成されている。
【0005】
このようなオルタネータの動力の伝達と遮断とに用いられるプーリユニット内の一方向クラッチには、内輪をロータに固定し、外輪をプーリに固定し、これら内輪と外輪とをロータとプーリ間に径方向内外に同心状に対向配設する。そして、内輪の外周面と外輪の内周面との対向空間を周方向一方に向けて漸次広くしてくさび状空間を形成するために、その内輪の外周面の周方向に沿って、複数のカム面を設け、各カム面それぞれと外輪の内周面との間に複数のころを個別に介在させた内輪カム方式のものがある。
【0006】
このような方式の一方向クラッチでは、ロータとプーリとの回転数差に応じた各ころそれぞれの各くさび状空間内での特定の周方向位置により、内輪と外輪とをころを介して同期回転させて一方向クラッチを前記ロック状態に切り換え、また、内輪と外輪とを相対回転させて一方向クラッチを前記フリー状態に切り換えるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した内輪カム方式の一方向クラッチでは、外輪が空転しているフリー状態時では外輪の内周面ところとの接触部位、および、内輪のカム面ところとの接触部位で滑りが発生している。
【0008】
ところで、前者の場合の接触部位は外輪の内周面全体にわたりほぼ均等に分散されるので、各接触部位それぞれでの摩耗はあってもそれぞれが偏摩耗しにくい。 しかし、後者の場合の接触部位は、内輪の外周面の特定部位に集中するためにその接触部位での摩耗の進行が特に進んで偏摩耗し、その寿命が著しく短縮されてしまう結果となる。
【0009】
また、外輪の内周面にカム面を有するようなプーリユニット構造でも、外輪のカム面が上述と同様の理由で偏摩耗し、その寿命が著しく短縮されてしまう結果となる。
【0010】
このようなカム面での偏摩耗が進行し易い一方向クラッチをプーリユニットに用いた場合は、前記ロック状態とフリー状態との切り換え動作の応答性が早期に低下する他、甚だしい場合には完全なロック状態にならなくなることも起こりうる。また、オルタネータのプーリやロータの回転動作に伴い振動が継続して発生するような状況では、ころがスキューしやすくなるなど、ロック状態とフリー状態との切り換え動作が不安定になりやすくなる。
【0011】
なお、このような不具合は、オルタネータのプーリとロータとの間に一方向クラッチを介装したプーリユニット構造に限らず、要するに、外側環体と内側環体とを有し、前記両環体間に一方向クラッチを介装し、この一方向クラッチで前記両環体を上述のようにロック状態とフリー状態とに切り換えを行うプーリユニット構造においても同様である。
【0012】
したがって、本発明は、一方向クラッチにおいて、内輪または外輪の一方の部材のカム面における偏摩耗を防止して長寿命化を図り、それをプーリユニットに用いた場合に、その動作の安定化を図れるようにすることを共通の解決課題としている。
【0013】
本発明はまた、プーリユニットにおいて、上記切り換え動作の安定化した一方向クラッチを用いて、ロック状態とフリー状態との切り換え動作の安定化を図れるようにすることを解決課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の一方向クラッチは、径方向内外に同心状に配設された内輪と外輪とを同期回転させるロック状態と、相対回転させるフリー状態とに切り換える一方向クラッチであって、前記内外輪の径方向で対向する面の一方に、対向空間の円周数箇所に周方向一方へ向けて漸次広くしてくさび状空間を形成するカム面が設けられており、このカム面もしくはこのカム面に対向する対向面でころが転動する領域に潤滑油保持部が設けられているとともに、潤滑油保持部が、少なくとも2つの線状溝で構成され、前記両線状溝は、ロック方向からフリー方向に向かうに従い軸方向離隔距離が短くなり、かつ、前記フリー方向基点で合流する少なくとも2つの線状溝で構成されている、ことを特徴としている。
また、本発明の一方向クラッチは、径方向内外に同心状に配設された内輪と外輪とを同期回転させるロック状態と、相対回転させるフリー状態とに切り換える一方向クラッチであって、前記内外輪の径方向で対向する面の一方に、対向空間の円周数箇所に周方向一方へ向けて漸次広くしてくさび状空間を形成するカム面が設けられており、このカム面もしくはこのカム面に対向する対向面でころが転動する領域に潤滑油保持部が設けられているとともに、前記潤滑油保持部が、軸方向断面の大きさが、ロック方向からフリー方向に向かうに従い減少する溝構造を有している、ことを特徴とする。
【0019】
本発明のプーリユニットは、同心状に配設される内外2つの環体と、前記両環体の間の環状空間に介装される前記いずれかに記載の一方向クラッチと、前記環状空間において一方向クラッチの両側に設けられる転がり軸受とを具備したことを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0021】
本発明に係る実施形態は、後述する図11ないし図16、及び図18に示すものである。図1ないし図6は参考例の一実施形態にかかり、図1は、プーリユニットの縦断面図、図2は、図1の(2)−(2)線断面の矢視図、図3は、図1の(3)−(3)線断面の矢視図、図4は、図1の一方向クラッチの内輪の斜視図、図5は、図1の一方向クラッチの一部を示す平面図、図6は、図で示される内輪のカム面上に形成される潤滑油保持部を示すもので(a)はその平面図、(b)はその側面断面図である。また、図7ないし図10に示すものも参考例である。
【0022】
このプーリユニットは、例えば自動車の補機の1つであるオルタネータに適用して説明するが、この補機に限定されるものではない。
【0023】
また、このプーリユニットは、要するに、外側環体と内側環体とを有し、前記両環体間に一方向クラッチを介装し、この一方向クラッチで前記両環体を上述のようにロック状態とフリー状態とに切り換えを行うものに適用される。
【0024】
ここで、オルタネータの場合、前記外側環体はプーリに、前記内側環体はロータに相当する。
【0025】
図例のプーリユニットAは、同心状に配設される外側環体としてのプーリ1と、スリーブ2と、プーリ1とスリーブ2との間の環状空間に介装される一方向クラッチ3と、前記環状空間において一方向クラッチ3の軸方向両側に配設される2つの転がり軸受4,4とを備えている。
【0026】
プーリ1の外周には、波状のベルト巻き掛け用の溝が形成されている。プーリ1は、例えば自動車エンジンのクランクシャフトによりいわゆるVリブドベルトと呼ばれるベルトBを介して回転駆動される。
【0027】
スリーブ2は、その内部軸方向穴に一方向から嵌入される図示しないオルタネータのロータに固定される。
【0028】
なお、本明細書のプーリユニットは、プーリのような外側環体とロータのような内側環体との間に一方向クラッチが介装されるプーリユニットであるが、この場合、内側環体と一方向クラッチとの間に前記スリーブ2が介在されるが、この場合も、前記一方向クラッチの介装に含まれる。また、内側環体には、ロータのみならず、スリーブも含めて称して構わない。また、構造としてはこのスリーブ2が省略されても構わない。
【0029】
一方向クラッチ3は、内輪10と、外輪11と、保持器12と、複数のころ13と、複数のコイルバネ14とを備える。
【0030】
内輪10は、外周面の円周数箇所にキー状のカム面10aを有し、かつ、スリーブ2を介して不図示のロータに固定されている。
【0031】
外輪11は、両端に転がり軸受4,4が内嵌されるように軸方向長尺に形成され、プーリ1に固定されている。
【0032】
内輪10と外輪11は、スリーブ2とプーリ1との間で径方向内外に同心状に対向して配設されている。
【0033】
保持器12は、内輪10の各カム面10aそれぞれに対応して径方向内外に貫通形成される複数のポケット12aを有する。
【0034】
複数のころ13は、くさび部材として機能し、保持器12の各ポケット12aそれぞれに1つずつ収納されている。
【0035】
複数のコイルバネ14は、断面ほぼ長方形を有し、保持器12の各ポケット12aそれぞれに1つずつ収納されかつ複数のころ13それぞれを各カム面10aそれぞれと外輪11内周面との間のくさび状空間の狭い側(ロック側)へ押圧する弾性部材として機能する。
【0036】
内輪10のカム面10aは、内輪10の外周面と外輪11の内周面11aとの各対向空間を周方向複数箇所それぞれで周方向一方(フリー方向)に向けて漸次広くして複数のくさび状空間を形成するために、内輪10の外周面の周方向に沿って形成されている。
【0037】
これによって、実施の形態の一方向クラッチ3は、内輪10の複数のカム面10aそれぞれと外輪11の内周面11aとの間に複数のころ13を個別に介在させた内輪カム方式のものとなっている。
【0038】
このような方式の一方向クラッチ3においては、スリーブ2を介した不図示のロータとプーリ1との回転数差に応じて、複数のころ13それぞれの各くさび状空間内での特定の周方向位置により、内輪10と外輪11とを複数のころ13それぞれを介して同期回転させて一方向クラッチ3をロック状態に切り換え、また、相対回転させて一方向クラッチ3をフリー状態に切り換えるようにしている。
【0039】
さらに、一方向クラッチ3において、保持器12のポケット12aの内壁面には、根元がくびれた形状の突起12bが一体形成されており、この突起12bの根元のくびれ部分にコイルバネ14の軸方向一端が係止嵌合され、突起12bの外周でコイルバネ14の内周を受けることにより、コイルバネ14の圧縮時のゆがみなどが防止される。
【0040】
なお、突起12bの先端外径面には、コイルバネ14の装着を容易とするためのテーパ面が設けられている。
【0041】
2つの転がり軸受4,4は、いずれも、内輪16、外輪17、複数の玉18、保持器19を有する一般的な深溝型玉軸受からなり、内・外輪16,17間の軸方向外端側にのみ密封部材としてのオイルシール20が装着されている。つまり、2つの転がり軸受4,4で一方向クラッチ3を密封するようになっていて、2つの転がり軸受4,4と一方向クラッチ3とを共通の潤滑油で潤滑させるようにしている。
【0042】
また、2つの転がり軸受4,4の両端に密封部材としてのオイルシールを装着して、2つの転がり軸受4,4と一方向クラッチ3とを別々の潤滑油で潤滑させてもよい。
【0043】
一方向クラッチ3の保持器12は周方向ならびに軸方向に不動とされている。具体的には、一方向クラッチ3の内輪10の軸方向一端面には、軸端へ向けて開放するとともに径方向内外に開放するスリット状の凹部10bが、また、保持器12の軸方向一端内周側には、凹部10bに軸方向から圧入嵌合される凸部12cが、それぞれ設けられており、これら凹部10bと凸部12cとの圧入嵌合により保持器12の周方向への動きを封じている。また、凸部12cは、凹部10bの奥壁面と、凹部10bの開口側に配設される片方の転がり軸受4の内輪16の端面とで軸方向から挟まれており、これにより保持器12の軸方向への動きを封じている。
【0044】
ここで、本実施の形態の一方向クラッチ3の特徴構成の説明に先立って、プーリユニットAの動作を説明する。
【0045】
プーリ1の回転速度がスリーブ2を介するロータのそれよりも相対的に速くなると、一方向クラッチ3のころ13がくさび状空間の狭い側(ロック方向)へ転動させられてロック状態となるので、プーリ1とロータとが一体化して同期回転する。
【0046】
プーリ1の回転速度がロータよりも相対的に遅くなると、一方向クラッチ3のころ13がくさび状空間の広い側(フリー方向)へ転動させられてフリー状態となるので、プーリ1からロータへ回転動力の伝達が遮断されることになってロータが回転慣性力のみで回転を継続するようになる。
【0047】
次に、本実施の形態の一方向クラッチ3の特徴構成について説明する。
【0048】
すなわち、実施の形態の一方向クラッチ3においては、内輪10のカム面10aに、そのカム面10a上の潤滑油を保持するための潤滑油保持部30が形成されている。
【0049】
この潤滑油保持部30は、実施の形態では、平面視形状が円形、楕円形あるいは多角形等の形状を有する多数の溝部31が1ないし複数の組み合わせで適宜または任意の配置形態の集合で構成されている。この場合、円形、楕円形が、潤滑油を保持するうえでは好ましい。
【0050】
なお、図では多数の溝部31のすべてを図示することは図面の都合で省略され、その一部のみが図示されている。
【0051】
これら溝部31は、バレル処理、ショットピーニング処理、機械加工等で形成されている。
【0052】
溝部31の周方向幅Wは、円形の場合は直径0.5mm以下、楕円形の場合は長軸側が直径0.5mm以下が好ましい。また、溝部31の深さDは、100μm以内であることが好ましい。
【0053】
内輪10の1つのカム面10aの面積を100%とした場合、このカム面10a上に占める多数の溝部31の総面積は、10〜50%であることが好ましい。
【0054】
また、この溝部31で保持される潤滑油は、40℃での基油粘度が30〜100mm2/秒の範囲のものであることが好ましい。また、潤滑油は、オイルのみならずグリースも含む。
【0055】
以上のように実施の形態の一方向クラッチ3においては、複数のころ13それぞれが内輪10の各カム面10aそれぞれとフリー状態となっているときは、各溝部31それぞれに保持されている潤滑油で潤滑されることになる。
【0056】
その結果、フリー状態で、内輪10のカム面10aの特定部位にころ13の接触が集中しても、溝部31に保持されている潤滑油でその部位を潤滑できる結果、その特定の接触部位での摩耗の進行が回避され、その接触部位の偏摩耗が防止され、一方向クラッチ3の寿命を著しく延ばすことができるという好ましい結果が得られる。
【0057】
以下の(1)、(2)、(5)は参考例の実施形態を示すものであり、(3)、(4)、(6)は本発明に係る実施形態を示すものである。
【0058】
(1)潤滑油保持部30を構成する溝部31は、図7(内輪10の外観斜視図)で示すように、内輪10のカム面10aの周方向に対して斜め線条(ハッチング)の多数の溝部31であっても構わないし、図8(内輪10の外観斜視図)で示すようにそのハッチングが交差した多数の溝部31であっても構わない。
【0059】
この場合、溝部31は幅1.0mm以下、深さが100μm以内が好ましい。
【0060】
(2)潤滑油保持部30は、図9(内輪10の外観斜視図)および図10(図9の内輪10の断面図)で示すような陥没部32で構成しても構わない。
【0061】
この陥没部32は、径方向から見た形状が、軸方向に長軸、周方向に短軸となる楕円形をなし、軸方向長がくさび状空間に介装されるころの軸方向長以下でかつ軸方向の横断面形状が軸方向両側から軸方向中央にかけて徐々に径方向に深くなる円弧形状をなし、軸方向中央で2〜10μmの範囲の深さを有し、その内部に潤滑油が保持されるようになっている。
【0062】
ところで、一方向クラッチ3の軸方向両側には軸受4,4が圧入されて配設されている。そのため、ころ13の転動により、一方向クラッチ3の潤滑油がころ13の軸方向端面に移動して該一方向クラッチ3と両側の軸受4,4との間の空間に移動して内輪10のカム面10aが潤滑油不足を来す可能性がある。
【0063】
そこで、カム面10aに前記範囲の深さを備えた陥没部32を形成した場合、ころ13の転動で軸方向端面に移動しようとする潤滑油は、陥没部32内に流入保持され、その結果、前記カム面10aでの潤滑油不足が解消される。
【0064】
なお、前記範囲の深さを備えた陥没部32の場合、断面形状が適度な凹曲面を有しているので、ころ13の姿勢が安定化しスキュー現象の発生が低減され、ころ13による内輪10と外輪11とのロック状態への切り換え性が向上する。
【0065】
なお、この場合の陥没部32の深さが2μm以下では、前記作用効果が期待されなくなるので、陥没部32の深さは2μm以上であることが好ましい。また10μm以上ではころ13と内輪10との接触部位における面圧が高くなりすぎ、陥没部32内の潤滑油で潤滑されても内輪10の摩耗が進行して短寿命化になるので、陥没部32の深さは10μm以下であることが好ましい。
【0066】
(3)潤滑油保持部30を構成する溝部31については、図11ないし図15を参照して説明する構造であっても構わない。
【0067】
ここで、図11は一方向クラッチ3の要部の側面断面図、図12は図11の一方向クラッチ3の内輪10の斜視図、図13は図11の内輪10の潤滑油保持部30を構成する溝部31の正面図、図14はフリー状態にある一方向クラッチ3の要部の側面断面図、図15はロック状態にある一方向クラッチ3の要部の側面断面図である。
【0068】
これらの図を参照して、潤滑油保持部30を構成する各溝部31は、平面視形状が例えばV形状であり、それぞれ毎に、所定の深さ好ましくは、1〜10μmの2つ一対の線状溝31a,31aで構成されている。一対の線状溝31a,31aは、ロック方向からフリー方向に向かうに従い互いの軸方向離隔距離dが短くなり、かつ、フリー方向基点31bで合流されるようになっている。この場合の線状溝31a,31aの前記基点31bから軸方向への開き角度θは、好ましくは、30〜60度である。
【0069】
このような構造の場合、ころ13が、図14で示すように、プーリ1とロータとの回転数差により、一方向クラッチ3をフリー状態に切り換える周方向位置に移動するとき、両線状溝31a,31a内に保持されている潤滑油は、合流基点31bで合流される結果、そこでの潤滑油の厚みが増す。このため、この合流基点31bがころ13と内輪10との接触部位とされていることで、この接触部位でのころ13の滑りはきわめて良好となり、フリー状態での内輪10の接触部位における摩耗が無くなる。
【0070】
また、ころ13が、図15で示すように、プーリ1とロータとの回転数差により、一方向クラッチ3をロック状態に切り換える周方向位置に移動するとき、その位置でのころ13と内輪10のカム面10aとの接触部位での潤滑油の厚さは薄くなり、境界潤滑となる結果、内輪10と外輪11とはころ13を介して良好なロックつまり同期回転状態となる。
【0071】
(4)潤滑油保持部30は、その軸方向断面の大きさが、ロック方向からフリー方向に向かうに従い減少する溝構造であっても構わない。具体的には、例えば図16で示すようなロック方向に底辺、フリー方向に頂点が来る三角形の溝部31形状であっても構わない。この場合も、ころ13が一方向クラッチ3をフリー状態に切り換える周方向位置つまり三角形の頂点近傍に移動するときは、その三角形の頂点での潤滑油量が増し、また、ロック状態に切り換える周方向位置つまり三角形の底辺近傍に移動するときは、その底辺での潤滑油量が減るから、前記(3)と同様にフリー状態でもロック状態でも内輪と外輪はころを介して良好なフリー状態とロック状態とを得られる。
【0072】
(5)上述の実施の形態では、内輪10のカム面10aは平坦形状であったが、図17で示すように、内輪10のカム面10aを径方向の曲面形状とし、この曲面形状を有しているカム面10aに潤滑油保持部30である円形の溝部31を形成しても構わない。このような溝部31の場合、径方向から見た場合は周方向に短軸、軸方向に長軸の楕円形となり、潤滑油がより良好に保持可能となる。
【0073】
(6)上述の実施の形態では、潤滑油保持部30は、内輪10のカム面10aに設けられたが、図18で示すように、外輪11の内周面をカム面とし、このカム面に潤滑油保持部30を構成する溝部31を形成しても構わない。
【0074】
【発明の効果】
本発明の一方向クラッチによれば、そのカム面もしくはこのカム面に対向する他方の対向面に潤滑油保持部が形成されているので、例えば、内輪カム方式とした場合、フリー状態で内輪のカム面と、くさび部材であるころとの接触部位が特定部位に集中しても、潤滑油保持部で保持されている潤滑油で長期にわたり潤滑される結果、カム面における偏摩耗の進行が大きく軽減され、その長寿命化を達成することができる。
【0078】
さらに、本発明の請求項1に係る一方向クラッチによれば、前記潤滑油保持部が、少なくとも2つの線状溝で構成され、前記両線状溝は、ロック方向からフリー方向に向かうに従い軸方向離隔距離が短くなり、かつ、前記フリー方向基点で合流する少なくとも2つの線状溝で構成されているので、フリー状態における偏摩耗の進行の抑制、およびロック状態における確実なロック動作得られる。
【0079】
本発明の請求項2に係る一方向クラッチによれば、前記潤滑油保持部が軸方向断面の大きさが、ロック方向からフリー方向に向かうに従い減少する溝構造を有しているので、フリー状態における偏り摩耗の進行の抑制、およびロック状態における確実なロック動作得られる。
【0080】
本発明のプーリユニットによれば、外側環体と内側環体との間の環状空間にロック状態とフリー状態との切り換え動作が安定した前記一方向クラッチが介装されているので、プーリからロータへの動力の伝達と遮断とを良好に行わせられるユニットを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の一実施形態のプーリユニットの縦断面図
【図2】図1の(2)−(2)線断面の矢視図
【図3】図1の(3)−(3)線断面の矢視図
【図4】図1の一方向クラッチの内輪の斜視図
【図5】図1の一方向クラッチの一部を示す平面図
【図6】図4の内輪のカム面の潤滑油保持部を構成する溝部を示し、(a)はその平面図、(b)はその断面図
【図7】図1の内輪の変形例を示す斜視図
【図8】図1の内輪の他の変形例を示す斜視図
【図9】図1の内輪のさらに他の変形例を示す斜視図
【図10】図9の内輪の上半分の断面図
【図11】本発明の実施形態の一方向クラッチの要部断面図
【図12】図11の一方向クラッチの内輪の斜視図
【図13】図12の内輪のカム面の潤滑油保持部を構成する溝部の平面図
【図14】図11の一方向クラッチの動作説明に供するものでフリー状態における断面図
【図15】図11の一方向クラッチの動作説明に供するものでロック状態における断面図
【図16】潤滑油保持部を構成する溝部の変形例を示す正面図
【図17】参考例の他の実施の形態の一方向クラッチの要部断面図
【図18】本発明他の実施の形態の一方向クラッチの要部断面図
【符号の説明】
A プーリユニット
B ベルト
1 プーリ
2 ロータ
3 一方向クラッチ
4 転がり軸受
10 一方向クラッチの内輪
10a 内輪のカム面
11 一方向クラッチの外輪
12 一方向クラッチの保持器
13 ころ
14 コイルバネ
30 潤滑油保持部
31 潤滑油保持部を構成する溝部

Claims (3)

  1. 径方向内外に同心状に配設された内輪と外輪とを同期回転させるロック状態と、相対回転させるフリー状態とに切り換える一方向クラッチであって、
    前記内外輪の径方向で対向する面の一方に、対向空間の円周数箇所に周方向一方へ向けて漸次広くしてくさび状空間を形成するカム面が設けられており、
    このカム面もしくはこのカム面に対向する対向面でころが転動する領域に潤滑油保持部が設けられているとともに、
    潤滑油保持部が、少なくとも2つの線状溝で構成され、
    前記両線状溝は、ロック方向からフリー方向に向かうに従い軸方向離隔距離が短くなり、かつ、前記フリー方向基点で合流する少なくとも2つの線状溝で構成されている、ことを特徴とする一方向クラッチ。
  2. 径方向内外に同心状に配設された内輪と外輪とを同期回転させるロック状態と、相対回転させるフリー状態とに切り換える一方向クラッチであって、
    前記内外輪の径方向で対向する面の一方に、対向空間の円周数箇所に周方向一方へ向けて漸次広くしてくさび状空間を形成するカム面が設けられており、
    このカム面もしくはこのカム面に対向する対向面でころが転動する領域に潤滑油保持部が設けられているとともに、
    前記潤滑油保持部が、軸方向断面の大きさが、ロック方向からフリー方向に向かうに従い減少する溝構造を有している、ことを特徴とする一方向クラッチ。
  3. 同心状に配設される内外2つの環体と、
    前記両環体の間の環状空間に介装される請求項1または2に記載の一方向クラッチと、
    前記環状空間において一方向クラッチの両側に設けられる転がり軸受とを具備したことを特徴とするプーリユニット。
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