JP4140017B1 - 回転ピストンエンジンの相関式クランク - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油不要で機構がシンプルでコンパクト、製作容易な上、可変圧縮比の同心2ローター6ピストン方式のいわゆるキャットアンドマウス方式の内燃機関を提供する。
【解決手段】ローター軸の中心から見た相関式クランク間のなす角が所定の角度で相互に玉突きする玉突き部および緩衝材の付いた玉突き受け部を備えた相関式クランクとし、連接ワイヤーの届曲による圧縮室での最小ピストン間隙すなわち燃焼室容積を確保して過圧縮を防ぐとともに「衝突」により衝突する側のクランク、ローター軸、ローター、ピストンの持つ運動エネルギーを相手のクランクに伝達する機能を有する同心2ローター6ピストン方式のいわゆるキャットアンドマウス方式の内燃機関。
【選択図】図13

Description

本発明は1組3枚のピストンを有する同心のローター2本が変調角速度回転し、シリンダー内でピストン間隙を大小変化し、内燃機関としての吸入、圧縮等の各行程をなす、いわゆるキャットアンドマウス方式の内燃機関に関するものである。
ピストン間の容積変化を利用する方式のエンジンは次の文献で公知である。
特開昭56−159504号 特開昭59−168223号 特開昭61−47967号 特開平5−7524号 特開平6−323103号 特開平9−303101号 米国特許第3139871号 西独特許出願公開第3038500号
燃焼室容積の可変制御機構はレシプロエンジンで可変ストローク機構が公知である。
本発明は、振動騒音の少ないコンパクトでエネルギー効率の良い、排気のクリーンな、かつ耐久性のある、しかも製作容易な内燃機関を実用化することを究極課題とする。
キャットアンドマウス方式内燃機関は回転ピストンである点で振動が少なく、ピストン表裏両サイドを行程に作動させるので、機関効率が高くコンパクトである。
また同方式のシリンダー及びピストン部に関しては、弁機構が無く真円を基調とした形状で工作精度上製作容易である。
ピストン間隙の周期的大小変化を機関各行程に利用する点では、ポンプあるいはコンプレッサーと共通であるが、しかし、内燃機関は爆発燃焼行程で爆発室後方側ピストンにかかる逆転向きの力を出力軸に伝えないための機構が必要である。
低負荷時から高負荷時に渡る全域で、必要な発生トルクに対応して、必要最小量の空気あるいは理論空燃比の混合気を燃料の種類で定まるノッキング限界内の可能な限りの高圧の理想的燃焼圧力に圧縮して燃焼させることが熱力学におけるエネルギー効率の面で、また排気ガス清浄化の面で求められている。
圧縮比一定のつまりシリンダー容積と燃焼室容積が固定した通常の内燃機関では、シリンダーの吸入気量が変動すると圧縮率が固定している関係上、燃焼室の燃焼圧力も比例的に変動する。
本件方式の内燃機関においては玉突き機構を備えたクランク(以下相関式クランクという。)の玉突き開始タイミングがピストン間隙すなわち燃焼室容積を決定している。
そこで空燃比を一定の下で燃焼圧力を一定(CPB;Constant Pressure Burn)とするために燃焼室容積をシリンダーの吸入気量に対応して変化させる

ことが第1の課題である。
さらにこれを進化させた、予混合圧縮着火(HCCI;Homogeneous Charge Compression Ignition)、すなわちピストンが所定の位置に達したら燃焼室圧力を自己着火に至る圧力に急激に高める機構が第2の課題である。
出力アーム(9)に自転軸を有する遊星歯車(6−1,6−2)が歯数3倍の機関躯体固定の内歯枠(11)に噛合しながら出力軸(10)の回転とともに遊星回転するとき、遊星歯車(6−1,6−2)の自転軸(8−1,8−2)から一定の距離にある離心棒(7−1,7−2)は角の円くなった正三角形の様な軌跡を描き、出力軸中心から見て周期的角速度変調回転する。
離心棒(7−1,7−2)はリンク部材(5−1,5−2)を介して相関式クランク(4−1,4−2)に連接し、ローター(2−1,2−1)を上記の角速度変調回転させる。
2本のローター(2−1,2−2)の回転角速度変化はシリンダー(44)内の6枚のピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)間の容積を周期的に変化させる。
離心棒(7−1,7−2)の位置を遊星歯車(6−1,6−2)の中心自転軸(8−1,8−2)から見て等距離で同位相に設置するとき、ローター(2−1,2−2)に120°ピッチで取り付けられたピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)は出力軸(10)と出力アーム(9)が6分の1回転するごとに互いに他の元のピストンの角度位置まで回転する周期回転をする。
このピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)間のピストン内空間容積変化を吸入、圧縮、爆発、排気および冷気吸入、冷気排出の作動行程に利用するため、シリンダー(44)の所定の位置に吸気口、排気口、冷媒吸入口もしくは冷媒噴射ノズル、冷媒排出口および点火プラグまたは燃料噴射ノズルを設ける。
リンク部材(5−1,5−2)の屈曲で、圧縮室をなすピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)間の間隙が固有の周期的変調から自由となったために起こる圧縮室での過圧縮を防ぐために、各ローター(2−1,2−1)に直結した相関式クランク(4−1,4−2)に一定角度で玉突き運動する玉突き部(13−1,13−2)および玉突き受け部(24−1,24−2)を備え燃焼室容積を確保しなければならない。
リンク部材(5−1,5−2)が屈曲することで爆発燃焼室後ろ側ピストンにかかる逆転向の圧力を相関式クランク(4−1,4−2)に伝えないで、かつリンク部材(5−1,5−2)が緊張することで爆発燃焼室の前側ピストンの正回転力を相関式クランク(4−1,4−2)に伝える。ピストンとローターの逆回転力は、機関躯体とローター軸(3−1,3−2)の間に設けるワンウェイクラッチ(12−1,12−2)で受け止める。
本件内燃機関のシリンダー(44)内をピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)で区画された6室(g,h,i,j,k,l)は、さながら吸入、圧縮、爆発、排気、冷気吸入、冷気排出の6行程の様相を呈し、特徴である冷気吸入排出室は爆発膨張室で高温に加熱されるローター、ピストンまでも冷気の直接接触により適切に冷却することができる。
上記冷媒吸入口に代えて冷媒液噴射ノズルを設け気化熱によりさらに強力に冷却することもできる。
ローター、ピストン、シリンダー内面は真円形を基調として形成され工作精度を高める

ことが容易であり、かつローター、ピストン、シリンダーは面的に対面しているのでピストンリングや潤滑油なしに圧力リークを小さくすることが可能で摩擦による発熱を無くすることができる。
オイルレスの効果は機構をシンプルにして、安価高性能にするのみならず、排気ガスの清浄化にも貢献する。
本件方式の内燃機関において玉突き機構を備えたクランク(以下相関式クランクという。)の玉突き開始タイミング(玉突き量ともいえる。)がピストン間隙すなわち燃焼室容積を決定している。
アクセル開度で制御されたステッピングモーター(15−1,15−2)の軸にワイヤー駆動プーリー(23−1,23−2)を取り付け、プーリーのドラムに正逆2様に2本の駆動ワイヤー(16−1a,16−1b,16−2a,16−2b)を巻きつける。この2本のワイヤーのそれぞれ両端はリール(17−1,17−2)を介して、スライドレール(14−1,14−2)に沿ってスライドする2つのスライドくさび(21−1a,21−1b,21−2a,21−2b)に連結される。斜面が対向し、逆向きに並走する2つのくさびの上辺にできるV字谷はくさびのスライドに応じて谷中央に乗る玉突き部(13−1,13−2)を玉ホルダー(28−1,28−2)内で上下にスライドさせ、また玉突き時に玉突きの衝撃力を力の方向性をブレることなくクランク間に伝達する。玉突き部の高さが玉突き時のピストン間隙、すなわち燃焼室容積を決定しているので、第1の課題を解決することになる。
またワイヤー駆動プーリー(23−1,23−2)にかかる1本のワイヤー(16−1,16−2)の両端をリール(17−1,17−2)を介して玉突き部(13−1,13−2)に直結し、ワイヤー(16−1,16−2)の移動量がそのまま玉突き部(13−1,13−2)の移動量となる様に設定する。玉突き部はスライドレール(14−1,14−2)を跨いでスライドして位置を定める。玉突き部に相対するクランクの玉突き受け部(24−1,24−2)の形状を所定の玉突き開始タイミングの得られる曲線に形成してなる玉突き機構及び、これのワイヤーとリールをウォームギア(29−1,29−2)に替えた玉突き機構も第1の課題解決手段である。
ピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)とローター軸(3−1,3−2)の先端とその回転周囲にピストン位置センサー(20)を設け、位置信号を点火あるいは燃料噴射の入力信号とする。
前述の位置センサー(20)に加えて、玉突き機構のアクチュエーターへの駆動電源及び制御信号入出力の褶動コネクター(19−1,19−2)を設ける。
アクセル開度で必要トルクが指示されると、スロットルバルブが指示相当分開いて、相当量の空気あるいは混合気がシリンダーへ吸入される。
アクセル開度信号は褶動コネクター(19−1,19−2)を通って相関式クランク(4−1,4−2)に備えた玉突き機構のアクチュエーターへ届き、玉突き部(13−1,13−2)を相当玉突き量の高さ又は位置にスライドさせる。
圧縮行程が進み玉突きが開始する時、燃焼室の容積は相当に、圧力は理想燃焼圧力となる。
続いてピストンの回転が進み、圧縮室後側ピストンが点火プラグあるいは燃料噴射ノズ

ルのある所定位置(燃料の質、種類で定まる燃焼速度と機関に求める回転速度及びシリンダーとピストンの形状とで定まる。仮に点火位置と呼称する。)に達したら、位置センサー(20)がこれを検知して、点火あるいは燃料噴射の指示を発し、さらに後述のアクセル開度状態維持もリセットする。
上記の一連の動きはアクセル全域に渡り連続的、比例的に行われ、燃焼室容積がシリンダー吸入気量に対応して変化する結果、燃焼圧力は理想燃焼圧力(CPB;Constant Pressure Burn)に保たれて課題1を解決するのである。
なお、機関のアクセル応答はその分遅くなるが、シリンダー吸入気量を指示したアクセル開度信号は、スロットルバルブと玉突き機構においては、その回の吸入気の圧縮が完了し点火するまで一貫して維持される様、信号系をプログラムする。
さらに、アクセルが小さな領域で運転中、急にアクセル開度がかけ離れて大へ移行するとき、要求される圧縮トルクに発生している回転トルクが及ばない場合が起きるので、途中の段階のアクセル開度にステップアップするプログラムも必要である。
請求項2または請求項3の可変相関式クランクの玉突き部(13−1,13−2)あるいは請求項1の可変相関式クランクの玉突き受け部(24−1,24−2)に、玉突き解除の引抜き板(31−1,31−2)とそのアクチュエーターとしてのソレノイド(25−1,25−2)、および摩擦軽減のためのベアリングからなる玉突き解除機構を設けて、さらにこれら相関式クランクの外辺寄りの箇所に重り(26−1,26−2)とこれを支持するバネ(22−1a,22−1b,22−2a,22−2b)、重りの移動を滑らかにするベアリング、および重りレール(27−1,27−2)を設けて課題2の解決手段とし、以後この機構を慣性力相関式クランク(4−1,4−2)と名づけ、請求項4あるいは請求項5とする。
玉突きによって上記の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)の回転速度が変化するとき、玉突きする側、される側共にバネ(22−1a,22−1b,22−2a,22−2b)に重り(26−1,26−2)の慣性運動エネルギーが保存される。
機関が回転して燃焼室後ろ側ピストンが玉突き解除位置に達し、玉突き解除機構が作動して引抜き板(31−1,31−2)が引き抜かれ玉突きの当接が働かなくなると、バネ(22−1a,22−1b,22−2a,22−2b)が慣性力相関式クランク(4−1,4−2)を押しつけて、連なるピストン間隙を減少し、燃焼室の圧力を高圧にし、混合気を自己着火(HCCI;Homogeneous Charge Compression Ignition)させる。
なお、ソレノイドの制御信号電力は褶動コネクター(19−1,19−2)を通じて供給される。
請求項1の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関の実施例の断面図を図1に示す。
請求項1の可変相関式クランク(4−1,4−2)の詳細実施例を図2に示す。
請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関の実施例の断面図を図3に示す。
請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)の実施例詳細を図4に示す。
請求項3の可変相関式クランク(4−1,4−2)の実施例詳細を図5に示す
請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関の実施例でアクセル開度最大回転に伴う各部の位置関係を図6に示す。
請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関の実施例でアクセル開度最小回転に伴う各部の位置関係を図7に示す。
請求項4の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)の実施例を図8に示す。
請求項4の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)を用いたHCCI内燃機関の実施例を図9に示す。
請求項4の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)を用いたHCCI内燃機関の実施例でアクセル開度最大時回転に伴う各部の位置関係を図10に示す。
(図1)請求項1の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関の実施例
(図2)請求項1の可変相関式クランク(4−1,4−2)
(図3)請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関の実施例
(図4)請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)
(図5)請求項3の可変相関式クランク(4−1,4−2)
(図6)請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関のアクセル開度大回転に伴う各部の位置関係
(図7)請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)を用いたCPB内燃機関のアクセル開度小回転に伴う各部の位置関係
(図8)請求項4の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)
(図9)請求項4の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)を用いたHCCI内燃機関の実施例
(図10)請求項4の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)を用いたHCCI内燃機関のアクセル開度大回転に伴う各部の位置関係
符号の説明
1a,1b,1c,1d,1e,1f ピストン
2−1,2−2 ローター
3−1,3−2 ローター軸
4−1,4−2 相関式クランク、可変相関式クランク、
慣性力相関式クランク
5−1,5−2 リンク部材
6−1,6−2 遊星歯車
7−1,7−2 離心棒
8−1,8−2 自転軸
9 出力アーム
10 出力軸
11 固定内歯枠
12−1,12−2 ワンウェイクラッチ
13−1,13−2 玉突き部
14−1,14−2 スライドレール
15−1,15−2 ステッピングモーター
16−1,16−2 駆動ワイヤー
16−1a,16−1b,16−2a,16−2b 駆動ワイヤー
17−1,17−2 リール
18−1,18−2 緩衝材
19−1,19−2 褶動コネクター
20 位置センサー
21−1a,21−1b,21−2a,21−2b スライドくさび
22−1a,22−1b,22−2a,22−2b バネ
23−1,23−2 ワイヤー駆動プーリー
24−1,24−2 玉突き受け部
25−1,25−2 ソレノイド
26−1,26−2 重り
27−1,27−2 重りレール
28−1,28−2 玉ホルダー
29−1,29−2 ウォームギャ
31−1,31−2 引抜き板
44 シリンダー
g,h,i,j,k,l ピストン間の間隙

Claims (5)

  1. (1)遊星歯車(6−1,6−2)の中心自転軸(8−1,8−2)を、出力アーム(9)の両端の軸対称位置に回転自在に設置し、出力アーム(9)中央の出力軸(10)を公転の中心として出力アーム(9)と共に周回させる。
    (2)2つの遊星歯車(6−1,6−2)は、歯数が3倍の固定内歯枠(11)と内接噛合し、出力軸(10)および出力アーム(9)が1回転するごとに1周公転3回自転の遊星回転する。
    (3)2つの遊星歯車(6−1,6−2)にはそれぞれに、自転軸(8−1,8−2)から等距離、同位相に離心棒(7−1,7−2)を設置する。
    (4)出力軸(10)が回転するとき、2つの離心棒(7−1,7−2)は、角の円まった正三角形の様な共通、同一の軌跡を描き、出力軸(10)から見た回転角度が120°ずれた周期的変調角速度運動をする。
    (5)シリンダー(44)から外部に出た同心ローター軸(3−1,3−2)の終端部にそれぞれ相関式クランク(4−1,4−2)を取りつける。
    (6)それぞれの相関式クランク(4−1,4−2)をリンク部材(5−1,5−2)により2つの遊星歯車(6−1,6−2)から直角に突き出た離心棒(7−1,7−2)に軸回転自在に連接する。
    (7)上記離心棒(7−1,7−2)の周期的角速度変調がリンク部材(5−1,5−2)、相関式クランク(4−1,4−2)によって伝搬して、各ローター(2−1,2−2)に120°ピッチで3枚づつ配置されたピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)がシリンダー(44)内を6室(g,h,i,j,k,l)に隔室した隔室容積を周期的増減変化させる。
    (8)隔室容積が「増」となるシリンダー(44)内の定部位を吸気に、次の「減」を圧縮に、次く「増」を爆発に、次の「減」を排気に利用するためシリンダー(44)の所定位置に吸気口、排気口および点火プラグまたは燃料噴射ノズルを設け、続く残余の「増」「減」の位置を冷媒を吸入排出する冷却室とするため、冷媒吸入口および冷媒排気口を設ける。機関はさながら6行程機関の様相を呈する。
    (9)前述リンク部材(5−1,5−2)は爆発行程にある爆発膨張室前方のピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)に働く正転向きの力を、自身が縛張して相関式クランク(4−1,4−2)に伝達するとともに、爆発膨張室後方ピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)にかかる逆転向きの力の正転出力への干渉を自身が弛緩、歪曲して遮断回避する。
    (10)機関躯体とローター軸(3−1,3−2)との間に設置されるワンウェイクラッチ(12−1,12−2)は、機関が爆発行程にあるとき、爆発膨張室後方ピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)にかかる逆転向きの力によってピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)が逆転するのを防止するとともに、膨張エネルギーを爆発膨張室前方のピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)に有効に働かせる後ささえをする。
    (11)相関式クランク(4−1,4−2)は、相関式クランク(4−1,4−2)相互が一定の角度に近接したとき衝突する突起状の玉突き部(13−1,13−2)と玉突き受け部(24−1,24−2)からなる玉突き機構を有し、リンク部材(5−1,5−2)の届曲による圧縮室での最小ピストン間隙すなわち燃焼室容積を確保して過圧縮を防ぐとともに「衝突」により衝突する側の相関式クランク(4−1,4−2)、ローター軸(3−1,3−2)、ローター(2−1,2−2)およびピストン(1a,1b,1c,1d,1e,1f)の持つ運動エネルギーを相手の相関式クランク(4−1,4−2)に伝達する機能を有する。
    以上の全ての構成を有する同心2ローター6ピストン方式キャットアンドマウス型内燃機関のこれに用いる相関式クランク(4−1,4−2)において、
    (12)アクセル開度で制御されたステッピングモーター(15−1.15−2)の軸にワイヤー駆動プーリー(23−1,23−2)を取り付け、そのドラムに正逆2様に2本の駆動ワイヤー(16−1a,16−1b,16−2a,16−2b)を巻きつける。
    (13)この2本のワイヤー(16−1a,16−1b,16−2a,16−2b)を、リール(17−1,17−2)を介して、スライドレール(14−1,14−2)に沿ってスライドする2つのスライドくさび(21−1a,21−1b,21−2a,21−2b)にそれぞれ両端を連結する。
    (14)くさびの斜面が対面し、逆向きに並走する2つのスライドくさび(21−1a,21−1b,21−2a,21−2b)の上縁にできるV字谷はスライドくさび(21−1a,21−1b,21−2a,21−2b)のスライドに応じて谷の深さが変化し、谷中央に乗る玉突き部(13−1,13−2)を玉ホルダー(28−1,28−2)内で上下にスライドさせ、相関式クランク(4−1,4−2)の玉突きの起こるタイミング角度を変化させる。
    以上の機構機能を有するステッピングモーター(15−1,15−2)、ワイヤー駆動プーリー(23−1,23−2)、駆動ワイヤー(16−1a,16−1b,16−2a,16−2b)、リール(17−1,17−2)、スライドレール(14−1,14−2)、玉突き部(13−1,13−2)、玉ホルダー(28−1,28−2)および玉突き受け部(24−1,24−2)からなる可変玉突き機構を備えたことを特徴とする可変相関式クランク。
  2. 請求項1の同心2ローター6ピストン方式キャットアンドマウス型内燃機関に用いる相関式クランク(4−1,4−2)に関して、
    (1)アクセル開度で制御されたステッピングモーター(15−1,15−2)の軸にワイヤー駆動プーリー(23−1,23−2)を取り付け、プーリードラムに1本の駆動ワイヤー(16−1,16−2)を巻き、ワイヤー両端をリール(17−1,17−2)を介して玉突き部(13−1,13−2)に連結する。
    (2)玉突き部(13−1,13−2)はスライドレール(14−1,14−2)を跨いでスライドし、レール上の位置は駆動ワイヤー(16−1,16−2)の移動量で指定される。
    (3)この玉突き部(13−1,13−2)に対向する相関式クランク(4−1,4−2)の、緩衝材(18−1,18−2)を付した玉突き受け部(24−1,24−2)は、上記玉突き部(13−1,13−2)のスライド結果の位置に対応して玉突きでなすピストン間隙すなわち燃焼室容積を連続的、比例的に増減する形状に形成される。
    以上の機能機構を有するステッピングモーター(15−1,15−2)、ワイヤー駆動プーリー(23−1,23−2)、駆動ワイヤー(16−1,16−2)、リール(17−1,17−2)、スライドレール(14−1,14−2)、玉突き部(13−1,13−2)および玉突き受け部(24−1,24−2)から成る可変玉突き機構を備えたことを特徴とする可変相関式クランク。
  3. 請求項2の可変相関式クランク(4−1,4−2)において、ワイヤー駆動プーリー(23−1,23−2)、駆動ワイヤー(16−1,16−2)およびリール(17−1,17−2)の替わりにウォームギア(29−1,29−2)を有したことを特徴とする可変相関式クランク。
  4. 請求項2または請求項3の可変相関式クランク(4−1,4−2)に次の構成からなる玉突き解除機構を付加した慣性力相関式クランク。
    (1)可変相関式クランク(4−1,4−2)の玉突き部(13−1,13−2)に玉突き解除のための引抜き板(31−1,31−2)とこれを引き抜くソレノイド(25−1,25−2)を設ける。
    (2)可変相関式クランク(4−1,4−2)の外縁部にバネ(22−1a,22−1b,22−2a,22−2b)で支えられた重り(26−1,26−2)とこれの滑らかな移動のためのベアリング、および重りレール(27−1,27−2)を設ける。
    (3)ピストンが回転して所定の玉突き解除位置に達した事を検知するセンサーからの信号で、ソレノイド(25−1,25−2)に引抜き板(31−1,31−2)を引き抜く動作をさせるための位置センサー(20)と制御信号電力を供給する環状褶動コネクター(19−1,19−2)および位置センサー(20)を機関躯体に設け、可変相関式クランク(4−1,4−2)側にも褶動コネクター(19−1,19−2)を設ける。
    (4)上記機材の機能は下記のとおりである。
    (イ)圧縮行程終期に玉突きによって慣性力相関式クランク(4−1,4−2)の回転速度が変化する時、玉突きする側、される側双方の慣性力相関式クランク(4−1,4−2)の重り(26−1,26−2)の持つ慣性運動エネルギーがバネ(22−1a,22−1b,22−2a,22−2b)に保存される。
    (ロ)機関の回転が進み爆発膨張室後ろ側ピストンが所定の玉突き解除位置に達すると、ソレノイド(25−1,25−2)が引抜き板(31−1,31−2)を引き抜く。
    (ハ)玉突き解除状態となってバネ(22−1a,22−1b,22−2a,22−2b)の復元力で慣性力相関式クランク(4−1,4−2)が引抜き板(31−1,31−2)の厚み分相互に接近する。
    (ニ)ピストン間隙でなる燃焼室は容積が小さくなって、自己着火の圧力に加圧され、自己着火による爆発行程に移る。
    (ホ)機関は正に予混合圧縮着火(HCCI;Homogeneous Charge Compression Ignition)で機関には点火プラグおよび点火のための装置は不要となる。
  5. 請求項1の可変相関式クランク(4−1,4−2)の玉突き受け部(24−1,24−2)に、引抜き板(31−1,31−2)、ベアリングおよびソレノイド(25−1,25−2)からなる玉突き解除機構、外縁部にバネ(22−1a,22−1b,22−2a,22−2b)で支えられた重り(26−1,26−2)とこれの滑らかな移動のためのベアリング、および重りレール(27−1,27−2)を設けたことを特徴とする慣性力相関式クランク。
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