JP5103570B1 - 回転式流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑なクランク機構を用いることなく、簡単な構造で、部品点数も少なく、高性能で低コスト生産が可能であり、信頼性が高い回転式流体機械を提供する。
【解決手段】クラッチ係合部132a,132bを備えた駆動軸132を環状作動室114の中心軸方向に配置し、クラッチ係合部によって第1及び第2ピストンロータ本体150,152を回動可能に支持し、第1及び第2ピストンロータ本体がそれぞれ、第1及び第2ボス部154,156と、第1及び第2ボス部からそれぞれ軸方向に延びる第1及び第2スリーブ部158,160とを備え、第1及び第2ボス部の径方向外側に延びるように第1及び第2ロータピストン150p,152pを設けて環状作動室に回転可能に収納する。スリーブ部とハウジング106の端面壁部102,104との間にスリーブ部締結用クラッチ170,172をそれぞれ配置して、ロック状態又はアンロック状態を交互に切替える。
【選択図】図1

Description

本発明は回転機械に関し、特に、液圧ポンプ、真空ポンプ、圧縮機、膨張機、ブロアー、空気エンジン、スチームエンジン、ガスエンジン、ハイドロリックモータ、ポンプモータ、高圧ポンプとして有用な回転式流体機械に関する。
近年、太陽光、太陽熱、風力発電装置、地熱発電装置等の再生可能エネルギー発電装置や、静止型発電設備の余剰電力の貯蔵装置や、乗用車、トラック・バスや建設機械等の車両の回生エネルギー装置の分野において、余剰エネルギーを空気圧、油圧及び液圧等の流体エネルギーとして蓄積するエネルギー蓄積装置が注目され、これらに使用される圧縮機、油圧モータ及び油圧ポンプ等の回転式流体機械や流体回転式流体機械、ロータリーピストンエンジン等の回転式流体機械が提案されている。
特許文献1には、作動媒体の熱エネルギー及び圧力エネルギーを機械エネルギーに変換するための膨張機として機能する回転式流体機械が提案されている。
特許文献2には、ポンプとして機能する回転式流体機械が提案されている。
特許文献3には、液圧モータポンプとして機能する回転式流体機械が提案されている。
特許文献4〜6には、径方向に対向する一対のピストンを有する第1及び第2ロータをハウジングに回転可能に収納して、前記第1及び第2ロータの間に配置したクランク・遊星歯車機構により前記ロータピストンの相対移動を制御するようにした回転式流体機械が提案されている。
特許文献7には、径方向に対向する複数対のモーターベーンを同心的な内側スリーブ及び外側スリーブにより支持して、モーターベーンの軸方向端部のそれぞれに連結した円板型ロータの相対移動を制御するようにした共軸ロータエンジンが提案されている。
特許文献8〜11には、さらに、径方向に対照的なピストンをエンジンハウジングに回転可能に収納した構造において、各種のピストンタイミング制御機構によりピストンの回転移動関係を制御するようにしたロータリーピストンエンジンが提案されている。
公開特許公報第2002−256804号 米国特許第7992484号 米国特許第7637202号 米国特許第3829257号 米国特許第5147191号 米国特許第5527165号 公開特許公報第H05−5401号 米国特許第6305345号 米国特許第6739307号 米国特許第6886527号 米国特許第7730869号
ところで、特許文献1及び2で開示された膨張機及び回転式流体機械では、回転軸に隣接してこれと平行となるように複数のシリンダー状作動室を設け、回転軸に連結した斜板の回転により高圧ピストンを作動させるようにした構造が採用されている。これら回転式流体機械は、何れも構造的に複雑で部品点数が多いため、生産コストも高くなる。しかも、可動部品の摺動抵抗が高いため、必然的に回転式流体機械の運転効率を向上させることが困難であった。さらに、回転式流体機械の主軸に沿って複数の高圧ピストンが高速で往復運動を余儀なくされるため機械的な振動・騒音が全体的に大きくなり、これら振動・騒音を低減することが困難であった。また、これら回転式流体機械では、何れも、多数の摺動部品や可動部品で構成されているため、保守・メンテの頻度数が高く、ランニングコスト上昇の原因となっていた。
特許文献3で開示された液圧モータポンプでは、軸方向に所定間隔で配置した複数のクランク軸にそれぞれピストン・シリンダー機構を連結し、ピストン・シリンダー機構の直進運動をクランク軸を介して回転運動に変換するような構成とし、クランク軸に駆動力を伝達し、或いはクランク軸の出力を取り出すための多数の歯車が採用されている。そのため、モータポンプの構造が必然的に複雑で大型となり、しかも、部品点数が多いため、小型高性能の構造にすることが困難であった。
一方、特許文献4〜6に開示された回転式流体機械及び蒸気駆動エンジンでは、ロータリーピストン部のロック・アンロック状態を制御することを目的として、前記ロータリーピストン部の主要な構成要素の軸方向外側においてクランク・遊星歯車機構が配置されている。これらクランク・遊星歯車機構は、クランクや複数のコネクティングロッド、多数の遊星歯車および遊星歯車支持円板等から構成されるため、クランク・遊星歯車機構の構造が複雑となるだけでなく、部品点数の増大により、クランク・遊星歯車機構の軸方向寸法が極めて大きくなっている。そのため、エンジンの全体構造と総重量が大きくなり、生産コストも高いものとなっていた。さらに、ピストン駆動制御機構に採用された多数の歯車やクランク機構には必然的に大きなバックラッシュが存在するため、前記ロータリーピストン部に対する作動流体の作用が開始しても、一定のバックラッシュを経過した後に、駆動軸にトルクが発生していたため、機械的ロスが大きくなってエンジン効率が悪くなっていた。しかも、前記クランク・遊星歯車機構において、特に、クランクが高速で運動すればする程、エンジンの振動・騒音も大きくなっていた。上記の特殊な構造により、エンジンの振動・騒音を低減することが困難であった。また、これら従来の回転式流体機械では、単一のエンジンを複数の熱サイクルによる作動流体で駆動する構造となっていなかったため、エンジン効率を向上させることが困難であった。さらに、これら回転式流体機械では、何れも、多数の摺動部品や可動部品で構成されているため、保守・メンテ要因を少なくすることができず、ランニングコスト上昇の原因ともなっていた。
特許文献7に開示された共軸ロータエンジンでは、複数のモータ−ベーンを円板型ロータによりそれぞれ支持し、これら円板型ロータにはそれぞれ内側スリーブと外側スリーブを設け、内側スリーブの内側に高圧流体の通路を形成した構造となっています。この構造では、トルク発生用の構成部品であるスリーブ部材を駆動軸に直結することができないため、両側のロータ板の軸方向外側に環状室を形成するようにそれぞれスリーブを接続し、これらスリーブにそれぞれ円板型端板を連結し、これら円板型端板の中央部を駆動軸の端部に連結してトルクを伝達している。したがって、共軸ロータエンジンにおいて、出力トルクを取り出すための有効な作動領域が全体構造に対して、極めて少なくなり、結果として、共軸ロータエンジンの構造が大型化していた。しかも、これら構造は極めて複雑であり、必然的にエンジンの部品点数が大幅に増大するだけでなく、エンジンの軸方向寸法および径方向寸法が著しく増大する。そのため、コンパクトで軽量な構造の回転式流体機械を低コストで製造することが困難であった。
特許文献8で開示されたロータリーエンジンでは、3個のクランクや3個のコネクティングロッド及び該コネクティングロッドに連結されたカップリングユニットを備えている。この種の回転式流体機械では、クランク・タイミング機構の構造が複雑となるだけでなく、可動部分に配置されたベアリング等を含む部品点数の増大により、エンジンの全体構造と総重量が大きくなり、生産コストも高いものとなっていた。さらに、ロータリーエンジンの高速回転時において、コネクティングロッドの振動が大きくなるため、静寂な運転を達成することが困難であった。
特許文献9で開示されたロータリーエンジンでは、ピストンアッセンブリの軸方向外側の広域範囲のスペースにピストンの駆動タイミング制御用のクランク・遊星歯車機構を配置した構造が採用されています。この回転式流体機械は、複数の太陽歯車、複数の遊星歯車、複数のキャリアー、複数のクランクや複数のコネクティングロッド等から構成され、クランク・遊星歯車機構自体の構造が複雑となるだけでなく、部品点数の増大により、クランク・遊星歯車機構の軸方向寸法がロータリーピストン本体の構造に対して著しく大きなものとなっていた。従って、エンジンの全体構造と総重量が大きくなり、生産コストも高いものとなっていた。さらに、クランク・遊星歯車機構で採用された多数の歯車、複数のクランクや複数のコネクティングロッドの間にはそれぞれ、バックラッシュが存在する。そのため、爆発工程において、ピストンの移動時にタイムラグが生じ、機械的ロスが大きくなってエンジン効率が悪くなっていた。しかも、エンジンの高速回転時において、クランクやコネクティングロッドの振動が大きくなり、必然的に大きな騒音が発生していた。したがって、振動を抑制した状態で、静寂な運転を達成することが困難であった。
特許文献10で開示されたロータリーエンジンでは、ピストンアッセンブリの軸方向外側の広域範囲のスペースにピストンの駆動タイミング制御用の遊星歯車タイミング機構を備えた構造が採用されています。この種の回転式流体機械では、駆動軸に径大のドライブギアを設け、駆動軸と平行に第2回転軸を設けてドリブンギアを支持し、これらドライブギアとドリブンギアとの係合により、出力トルクの一部を利用して、遊星歯車タイミング機構を駆動する構造となっています。第2回転軸の周囲には径大のリングギアが配置されて、その内部にサンギア、複数のプラネットギア、キャリアー及びクランク、ならびに複数の楕円歯車から構成され、遊星歯車タイミング機構自体の構造が複雑となっています。そのため、部品点数も大幅に増大し、回転式流体機械の軸方向及び横方向の寸法が著しく大きなものとなっていた。従って、エンジンの全体構造と総重量が大きくなり、生産コストも高いものとなっていた。
特許文献11で開示されたロータリーエンジンでは、径方向に延びる複数のスポーク部材を設けた第1及び第2半割リング状ケース部材にそれぞれのピストンを支持し、第1及び第2半割リング状ケース部材の軸方向外側に遊星歯車セットをそれぞれ配置し、これら遊星歯車セットの遊星歯車にそれぞれ偏心ピンを固定し、これら偏心ピンをスポーク部材内で移動させるようにしたタイミング機構となっています。このタイミング機構はエンジンの軸方向寸法を増加させることにより、回転式流体機械全体の寸法・重量が増加し、生産コストの増加の原因となっていた。また、遊星歯車セット構造のバックラッシュやスポークと偏心ピンとの摩擦により、エンジン効率が低下していた。しかも、エンジンの吸気及び排気のための吸気弁及び排気弁の作動機構が複雑であり、エンジン性能を向上させることが困難であった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、構造が簡単で部品点数も少なく、しかも、高性能で低コストの生産が可能であり、信頼性が高い回転式流体機械を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、回転式流体機械が、軸方向に間隔を置いて配置された端面壁部を有するハウジングと、前記端面壁部の間に形成されていてインレット及びアウトレットを有する環状作動室と、前記環状作動室の軸心方向に延びていて前記環状作動室の中間部に配置されたクラッチ係合部を備えた駆動軸と、前記駆動軸に回動可能に支持されていて前記環状作動室に回転可能に収納され、作動サイクルにおいてトルクを出力させる第1及び第2ピストンロータ本体であって、前記クラッチ係合部と径方向に整列する第1及び第2ボス部と、前記第1及び第2ボス部の径方向外側にそれぞれ延びていて前記環状作動室に回転可能に収納された第1及び第2ロータピストンと、前記第1及び第2ボス部からそれぞれ軸方向に延びる第1及び第2スリーブ部とを有する第1及び第2ピストンロータ本体と、前記端面壁部と前記第1及び第2スリーブ部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2スリーブ部それぞれを第1及び第2回転方向との間で前記端面壁部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2スリーブ部締結用クラッチと、前記クラッチ係合部と前記第1及び第2ボス部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2ボス部それぞれ前記第2回転方向と前記第1回転方向との間で前記クラッチ係合部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2ボス部締結用クラッチとを備え、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチは前記第1及び第2スリーブ部を前記端面壁部に対してそれぞれロック及びアンロック状態にするスリーブ部締結用楔状カム空間部とスリーブ部締結用カムエレメントとを備え、一方、前記ボス部締結用クラッチは前記第1及び第2ボス部を同一回転方向において前記駆動軸のクラッチ係合部に駆動連結させるボス部締結用カム空間部とボス部締結用カムエレメントをそれぞれ備えることを要旨とする。
請求項2に記載された発明によれば、請求項1記載の構成に加えて、前記回転式流体機械は、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチが、前記端面壁部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と、前記第1及び第2スリーブ部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と前記第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部との間に形成されていて前記スリーブ部締結用カム空間部を構成する第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記スリーブ部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2スリーブ部締結用カムエレメントとを備え、前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、前記第1及び第2ボス部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と、前記クラッチ係合部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用インナレース部と、前記第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と前記第1及び第2ボス部締結用インナレース部との間でそれぞれ設けられていて、前記ボス部締結用カム空間部を構成する第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記ボス部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2ボス部締結用カムエレメントとを備えることを要旨とする。
請求項3に記載された発明によれば、請求項2記載の構成に加えて、前記回転式流体機械は、 前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ及び前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、それぞれ、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部と前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部に収納されていて、前記スリーブ部締結用カムエレメントと前記ボス部締結用カムエレメントをそれぞれ支持するリテーナと、前記リテーナをアンチバックラッシュ位置にそれぞれ付勢するバネ手段とからなるアンチバックラッシュ機構を備えることを要旨とする。
請求項4に記載された発明によれば、請求項3記載の構成に加えて、前記回転式流体機械は、前記アンチバックラッシュ機構が、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部に隣接して前記端面壁部に形成されたアンチバックラッシュ溝部と、前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部に隣接して前記第1及び第2ボス部に形成されたアンチバックラッシュ溝部と、前記リテーナにそれぞれ設けられていて前記アンチバックラッシュ溝部にそれぞれ収納された作動部とを備え、前記バネ手段が前記作動部を前記アンチバックラッシュ溝部において前記アンチバックラッシュ位置にそれぞれ付勢することを要旨とする。
請求項5に記載された発明によれば、請求項1乃至4記載の構成に加えて、前記回転式流体機械は、さらに、前記駆動軸の中心軸に沿って形成されたメイン潤滑油供給路と、前記メイン潤滑油供給路から径方向に延びていて前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ及び前記第1及び第2ボス部締結用クラッチとにそれぞれ連通する複数のラジアル潤滑油供給路と、前記メイン潤滑油供給路に潤滑油を供給する潤滑油ポンプとをさらに備え、前記スリーブ部締結用楔状カム空間部と前記ボス部締結用楔状カム空間部が前記ラジアル潤滑油供給路とそれぞれ連通していることを要旨とする。
請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至5記載の構成に加えて、さらに、前記ハウジングに収納された高圧ポンプ部を備え、前記高圧ポンプ部が、前記ハウジング内に設けられたポンプ作動室と、前記ポンプ作動室に開口する吸入ポート及び吐出ポートと、前記ポンプ作動室内に回動可能に収納されていて、前記駆動軸に直結されていて、前記ポンプ作動室に流入した流体を加圧するポンプロータ手段とを備えることを要旨とする。
請求項7に記載された発明によれば、回転式流体機械は、軸方向に間隔を置いて配置された端面壁部と、前記端面壁部の間に形成された環状作動室とを有するハウジングと、前記ハウジングの周方向に配置された第1回転機械部及び第2回転機械部とを備え、前記第1回転機械部が、作動サイクルの開始点及び終端点において、それぞれ前記環状作動室に開口する第1インレット及び第1アウトレットと、前記環状作動室において前記第1インレットに隣接して区画されている第1作動室と、前記第1作動室に隣接して区画されている第1排出室とを備え、前記第2回転機械部が、前記第1アウトレット及び前記第1インレットに隣接した位置においてそれぞれ形成された第2インレット及び第2アウトレットと、前記環状作動室において前記第2インレットに隣接して区画されている第2作動室と、前記第2作動室に隣接して区画されている第2排出室とを備え、前記第1回転機械部及び前記第2回転機械部が前記環状作動室の軸心方向に延びていて前記環状作動室の中間部に配置されたクラッチ係合部を備えた駆動軸と、前記駆動軸に回動可能に支持されていて前記環状作動室に回転可能に収納され、作動サイクルにおいてトルクを出力させる第1及び第2ピストンロータ本体であって、前記クラッチ係合部と径方向に整列する第1及び第2ボス部と、前記第1及び第2ボス部の径方向外側にそれぞれ延びていて前記環状作動室を前記第1作動室と、前記第1排出室と、前記第2作動室と、前記第2排出室とに区画する第1及び第2ロータピストンと、前記第1及び第2ボス部からそれぞれ軸方向に延びる第1及び第2スリーブ部とを有する第1及び第2ピストンロータ本体と、前記端面壁部と前記第1及び第2スリーブ部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2スリーブ部それぞれを第1及び第2回転方向との間で前記端面壁部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2スリーブ部締結用クラッチと、前記クラッチ係合部と前記第1及び第2ボス部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2ボス部それぞれ前記第2回転方向と前記第1回転方向との間で前記クラッチ係合部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2ボス部締結用クラッチとを備え、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチは前記第1及び第2スリーブ部を前記端面壁部に対してそれぞれロック及びアンロック状態にするスリーブ部締結用楔状カム空間部とスリーブ部締結用カムエレメントとを備え、一方、前記ボス部締結用クラッチは前記第1及び第2ボス部を同一回転方向において前記駆動軸のクラッチ係合部に駆動連結させるボス部締結用カム空間部とボス部締結用カムエレメントをそれぞれ備えることを要旨とする。
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の構成に加えて、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチが、前記端面壁部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と、前記第1及び第2スリーブ部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と前記第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部との間に形成されていて前記スリーブ部締結用カム空間部を構成する第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記スリーブ部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2スリーブ部締結用カムエレメントとを備え、前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、前記第1及び第2ボス部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と、前記クラッチ係合部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用インナレース部と、前記第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と前記第1及び第2ボス部締結用インナレース部との間でそれぞれ設けられていて、前記ボス部締結用カム空間部を構成する第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記ボス部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2ボス部締結用カムエレメントとを備えることを要旨とする。
請求項1記載の構成では、前記ハウジングの一部や駆動軸の一部をクラッチ手段の一部として構成したため、独立した別個の構成部品を使うことなく、回転式流体機械の構造を簡略化すると共に、部品点数を大幅に削減して信頼性の向上、長寿命化によるランニングコストの大幅なコストダウンを図れる。即ち、ピストンロータ本体の基幹部品であるボス部とスリーブ部とをそれぞれ第1及び第2ボス部締結用クラッチと第1及び第2スリーブ部締結用クラッチの構成部品の一部とし、駆動軸とハウジングの端面壁部とを第1及び第2ボス部締結用クラッチと第1及び第2スリーブ部締結用クラッチの構成部品の一部とすることで、極めてシンプルな構造とすることができる。クラッチ自身の切替はピストンロータ本体の移動関係によって自動的に実行されるため、従来技術で採用されていた複雑なクランク機構や遊星歯車機構が不要となる。また、別の従来技術で採用されていた主動力部の両側の環状室や円板型端板も不要となり、円板型ロータとその外周に配置した関連クラッチ機構も不要となる。このため、軸方向及び径方向の大幅なサイズダウンが可能となり、小型高性能の回転式流体機械を実現化することが可能となる。しかも、機構的に何等クランク運動を利用していないため、回転式流体機械の振動・騒音を大幅に低減し、スムーズな運転が可能となる。上記構成の回転式流体機械は、太陽熱、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギーを利用して発生させた高圧蒸気で作動するロータリースチームエンジンとして機能させ、数十メガワットクラスの大型発電機に直結して高効率の発電が可能となる。また、バイオマスや太陽熱を利用して高圧蒸気を発生させることにより、環境にやさしい大型船舶や建設機械その他の特殊車両の推進装置としても利用可能であり、実用上のメリットが大きい。一方、上記構成の回転式流体機械は、空気エンジン、ハイドローリックエンジン、油圧モータ等の流体機械としても機能する。即ち、インレットに空気圧又はガス圧を導入すると、空気エンジン又はガスエンジンとして機能し、水圧を導入するとハイドローリックエンジンとして機能する。また、油圧をインレットに供給すると油圧モータとして機能する。この場合、油圧源から離れた位置において油圧モータにより動力を得ることができるため、例えば、原子力発電プラントの燃料棒の冷却水ポンプの駆動用としても利用可能である。このように、上記構成の回転式流体機械は、作動媒体の種類に応じて様々な機能を呈する。
請求項2記載の構成では、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチが、前記ハウジングの端面壁部と前記第1及び第2ピストンロータ本体のスリーブ部で構成され、前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、前記第1及び第2ピストンロータ本体のボス部と駆動軸に設けたクラッチ係合部で構成したため、部品点数が少なく、構造が簡単で低コストでの生産が可能であり、しかも、信頼性が高い回転式流体機械を提供可能となる。
請求項3記載の構成では、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ及び前記第1及び第2ボス部締結用クラッチの双方がアンチバックラッシュ機構を備えているため、ピストンに作動流体が作用開始した時点で、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチの締結作用がスピードアップされて、前記ピストンロータ本体のトルク発生が迅速に実行され、一方、前記第1及び第2ボス部締結用クラッチの締結作用がスピードアップされて、前記駆動軸に対するトルク伝達が迅速に実行される。このように、カムローラのバックラッシュ(遊び)を最小にした分、作動流体の動力への変換効率が高まり、回転式流体機械の運転効率が向上する。
請求項4記載の構成では、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ及び前記第1及び第2ボス部締結用クラッチのカムエレメントのバックラッシュが、何れも、前記アンチバックラッシュ機構によって抑制されているため、回転式流体機械の運転効率が向上する。しかも、前記アンチバックラッシュ機構は部品点数が少なく、しかも、構成部品の組みつけが簡単に行われるため、エンジン全体としての低コスト化が可能となる。
請求項5記載の構成では、前記駆動軸に形成されたメイン潤滑油供給路及び複数のラジアル潤滑油供給路を介して前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ及び前記第1及び第2ボス部締結用クラッチの双方に常時、潤滑油が供給される。このため、これらクラッチのスムーズな作動が保障されるとともに、各構成部材間の接触面の磨耗が著しく低減される。その分、回転式流体機械の信頼性と低騒音化が向上し、さらには、回転式流体機械の長寿命化が図れる。しかも、各構成部材間の接触面の磨耗の低減により、保守・メンテの回数が大幅に少なくなり、回転式流体機械の長期運転とランニングコストの大幅なコストダウンが得られる。
請求項6記載の構成では、前記高圧ポンプ部を前記ハウジング内に収納させたので、前記駆動軸の出力トルクで任意の流体を加圧して高圧流体を吐出することができる。そのため、本発明の回転式流体機械が、例えば、ランキンサイクル又はカリーナサイクル等の熱サイクルシステムに適用される場合は、この高圧ポンプ部が高圧ポンプとして機能し、熱サイクルの凝縮器の作動液体を高圧下でボイラー等の水蒸気発生器に供給するために用いられ、高効率の熱サイクルシステムがコンパクトで低コストの構造にて構築可能となり、産業上のメリットが大きい。
請求項7記載の構成では、前記回転式流体機械が、前記ハウジングの周方向に配置された第1回転機械部及び第2回転機械部とを備え、これら第1回転機械部及び第2回転機械部が、第1及び第2スリーブ部締結用クラッチと、第1及び第2ボス部締結用クラッチとにより第1及び第2ピストンロータ本体を構成することで、従来技術で必要としていた複雑な構造のクランク・遊星歯車機構を不要とし、軸方向寸法の大幅な短縮化によるコンパクトな構造を達成可能とする。しかも、機構的に斜板や往復動ピストンの使用を不要とし、しかも、何等クランク運動を利用していないため、回転式流体機械の振動・騒音を大幅に低減し、スムーズな運転が可能となる。さらに、部品点数の大幅な削減を可能とするとともに、構成部品の組付け性も向上させることで、回転式流体機械の信頼性向上と低コスト化を図っている。第1回転機械部及び第2回転機械部は様々な用途に応じて、例えば、第1及び第2インレットに同時に作動流体を導入してエアーモータ、スチームエンジン、液圧モータ等の動力源として利用可能である。さらに、他の適用例としては、例えば、第1インレットに作動流体を導入して第1回転機械部をモータ又はエンジン等の動力源として機能させ、第2回転機械部はコンプレッサ、真空ポンプ、高圧ポンプ等の流体機械として機能させることも可能である。このように、上記構成の回転式流体機械は、用途に応じて様々な機能を達成することが可能である。換言すれば、第1回転機械部及び第2回転機械部の構成部品を共通化することで、簡単な構造にて、複合機能を達成することが可能となる。
請求項8記載の構成では、前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチが、前記ハウジングの端面壁部と前記第1及び第2ピストンロータ本体のスリーブ部で構成され、前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、前記第1及び第2ピストンロータ本体のボス部と駆動軸に設けたクラッチ係合部で構成したため、部品点数が少なく、構造が簡単で低コストでの生産が可能であり、しかも、信頼性が高い回転式流体機械を提供可能となる。
本発明の実施例による回転式流体機械の断面図を示す。 図1の回転式流体機械のIIA−IIA断面図を示す。 図1の回転式流体機械のIIB−IIB断面図を示す。 図1の回転式流体機械の一部であるロータリーピストン部の斜視図を示す。 図1の回転式流体機械のIVA−IVA断面図を示す。 図1の回転式流体機械のIVB−IVB断面図を示す。 図4Aに示した第1スリーブ部締結用ワンウエイクラッチのリテーナの1例を示す。 図4Aに示した第1スリーブ部締結用ワンウエイクラッチのバネ部材の1例を示す。 図1に示した回転式流体機械の高圧ポンプ部のVII−VII断面図を示す。 本発明の実施例による回転式流体機械の作用を説明するための概略断面図であり、第1ピストン及び第2ピストンの初期位置を示す。 本発明の実施例による回転式流体機械の作用を説明するための概略断面図であり、第1ピストン及び第2ピストンの膨張行程における中間位置を示す。 本発明の実施例による回転式流体機械の作用を説明するための概略断面図であり、第1ピストン及び第2ピストンの第1サイクルにおける中間位置を示す。 本発明の実施例による回転式流体機械の作用を説明するための概略断面図であり、第1ピストン及び第2ピストンの第2サイクルの開始位置を示す。
以下、本発明の実施例による回転式流体機械について図面に基づき詳細に説明する。図1〜図2A及び図2Bにおいて、回転式流体機械100は、軸方向に間隔を置いて配置された端面壁部102,104と、前記端面壁部の間に形成された環状作動室114とを有するハウジング106を備え、これら端面壁部102,104からそれぞれ軸方向に延びる静止側空洞壁部108,110を備える。端面壁部102,104の間にはセンターハウジング112が配置され、端面壁部102,104とセンターハウジング112とはボルトその他の固定手段(図示せず)によって所定位置にて固定支持される。なお、センターハウジング112は薄肉ケースからなるものとして示されているが、センターハウジング112の内部の複数個所にはクーラント通路を必要に応じて形成しても良い。
回転式流体機械100は、ハウジング106の周方向に配置された第1回転機械部A及び第2回転機械部Bとを備え、第1回転機械部A及び第2回転機械部Bはハウジング106に形成された共通の環状作動室114を備える。回転式流体機械100をロータリースチームエンジンとして利用する場合、或いは、エアーモータや油圧モータとして利用する場合は、後述のごとく、第1回転機械部Aと第2回転機械部Bが協同で機能する。回転式流体機械100がポンプモータとして作動する場合は、第1回転機械部A及び第2回転機械部Bの一方をモータとして機能させ、その他方をポンプとして用いる。
第1回転機械部Aは、所定角度でセンターハウジング112から環状作動室114に開口する第1インレット124及び第1アウトレット128と、第1インレット124に連通している第1作動室116と、第1作動室116に隣接して区画されている第1排出室120とを備える。
第2回転機械部Bは、第1アウトレット128及び第1インレット124に隣接した位置においてそれぞれ環状作動室114に形成された第2インレット126と第2アウトレット130と、第1作動室116と径方向に対向した位置において第2インレット126と連通する第2作動室118と、第1排出室120と径方向に対向した位置において第2アウトレット130と連通する第2排出室122とを備える。第1回転機械部A及び第2回転機械部Bに共通の駆動軸132が環状作動室114の軸心方向に延びていて環状作動室114の中央部に配置されたクラッチ係合部132a,132bを備える。駆動軸132のクラッチ係合部132a,132bにはロータリーピストン部200が回動可能に支持されていて、環状作動室114を第1、第2作動室116,118と第1排出室122とに区画する。
ロータリーピストン部200は、径方向で対称的に配置された一対のピストンをそれぞれ有する第1及び第2ロータピストン150p、152pからなる第1及び第2ピストンロータ本体150,152を備える。第1及び第2ロータピストン150p、152pの外周端縁には流体を案内するためのガスガイド部150g、152gが形成されている。第1及び第2ピストンロータ本体150,152は、第1及び第2ロータピストン150p、152pをそれぞれ支持する第1及び第2ボス部154、156と、第1及び第2第1及び第2ボス部154、156からそれぞれ軸方向外側に延びる第1及び第2スリーブ部158,160を有する。第1及び第2ボス部154、156はそれぞれ内壁部154a、156aを有する。なお、ピストン150p、152pの外周面及び両側面には複数のシール部材が配置されるが、図面の簡略化のため、これらシール部材は図面において省略されている。
ハウジング106内において、駆動軸132は環状作動室114の中心軸に沿って軸方向に延びていて、ハウジング106の端面壁部102,104に装着されたベアリング134,136によって回転可能に支持されている。環状作動室114内には、ロータピストン部200が回転可能に収納され、ロータピストン部200はニードルベアリング142,144を介して駆動軸132に回動可能に支持される。
ハウジング106の端面壁部102,104と第1、第2ロータピストン本体150,152との間にはそれぞれ第1、第2スリーブ部締結用クラッチ170,172が配置される。図4Aにおいて、第1スリーブ部締結用クラッチ170は、静止側空洞壁部108と一体的なスリーブ部締結用アウターレース部108aと、第1ロータピストン本体150のボス部154のスリーブ部158と一体的なスリーブ部締結用インナーレース部158aとを備える。スリーブ部締結用アウターレース部108aは、六角形状のカム面108bを有する。スリーブ部締結用アウターレース部108aとスリーブ部締結用インナーレース部158aとの間には周方向に間隔をおいて複数のスリーブ部締結用楔状カム空間部174が形成され、スリーブ部締結用楔状カム空間部174には複数のカムエレメントとしてのスリーブ部締結用カムローラ176が収納される。
さらに、静止側空洞壁部108とスリーブ部158との間には環状リテーナ178が収納される。環状リテーナ178はスリーブ部締結用カムローラ176を収納するために周方向に間隔をおいて形成された複数の開口部178aを有するリテーナ本体178bを備え、リテーナ本体178bの内周部178cの直径はスリーブ部158の外周よりわずかに大きめに設定されて後述の潤滑油導入空間を形成している。第1、第2スリーブ部締結用クラッチ170,172は、それぞれ、アンチバックラッシュ機構180,182を備える。
図4Aに示されるように、アンチバックラッシュ機構180は、静止側空洞壁部108において径方向に対向する位置に形成されたアンチバックラッシュ抑制溝部180aと、リテーナ178の外周から径方向外側に突出するように延びていて、アンチバックラッシュ抑制溝部180aに収納された作動突起部178dとを備える。S−字状バネ部材184(図6参照)が作動突起部178dをアンチバックラッシュ抑制溝部182aにおいてアンチバックラッシュ位置に付勢してスリーブ部締結用カムローラ176のバックラッシュ(遊び)を最小化する。そのため、ピストン150pのスリーブ部158が、図4Aにおいて、反時計方向の作用を受けたときに静止側インナーレース部108を介して端面壁部102に迅速にロック状態とされ、スリーブ部締結用カムローラ176の遊びが少ない分、機械変換効率が向上する。
一方、図4Bに示すように、第2スリーブ部締結用クラッチ172は、静止側空洞壁部110と一体的なスリーブ部締結用アウターレース部110aと、第2ロータピストン本体152のボス部156から延びるスリーブ部160と一体的なインナーレース部160aとを備える。スリーブ部締結用アウターレース部110aは、六角形状のカム面110bを有する。スリーブ部締結用アウターレース部110aとインナーレース部160aとの間には周方向に間隔をおいて複数のスリーブ部締結用楔状カム空間部174Aが形成され、スリーブ部締結用楔状カム空間部174Aには複数のカムエレメントとしてのスリーブ部締結用カムローラ176Aが収納される。
さらに、静止側空洞壁部110とスリーブ部160との間には環状リテーナ178Aが収納される。環状リテーナ178Aはスリーブ部締結用カムローラ176Aを収納するために周方向に間隔をおいて形成された複数の開口部178aを有するリテーナ本体178bを備え、リテーナ本体178bの内周部178cの直径はスリーブ部158の外周よりわずかに大きめに設定される。第2スリーブ部締結用クラッチ172はアンチバックラッシュ機構182を備える。
図4Bに示されるように、アンチバックラッシュ機構182は、静止側空洞壁部110において径方向に対向する位置に形成されたアンチバックラッシュ抑制溝部182aと、リテーナ178Aの外周から径方向外側に突出するように延びていて、アンチバックラッシュ抑制溝部182aに収納された作動突起部178dとを備える。S−字状バネ部材184(図6参照)が作動突起部178dをアンチバックラッシュ抑制溝部182aにおいてアンチバックラッシュ位置に付勢し、スリーブ部締結用カムローラ176Aのバックラッシュ(遊び)を最小化する。そのため、ピストン152pのスリーブ部160が、図4Bにおいて、反時計方向の作用を受けたときに静止側インナーレース部110aを介して端面壁部110に迅速にロック状態とされる。リテーナ178Aはリテーナ178と同様な構造を有するため、図示が省略されている。
図1及び図2A、図2Bに戻って、駆動軸132のクラッチ係合部132a、132bと第1、第2ロータピストン本体150,152との間にはそれぞれ、第1、第2ボス部締結用クラッチ186,188が配置される。第1、第2ボス部締結用クラッチ186,188は、第1及び第2ボス部154、156とそれぞれ一体的なボス部締結用アウタレース部186a,188aと、駆動軸132のクラッチ係合部132a、132bとそれぞれ一体的なボス部締結用インナーレース部186b、188bとを備える。
図2Aに示されるように、ボス部締結用アウタレース部186aは六角形状のカム面186cを有する。環状内壁部154aと駆動軸132のクラッチ係合部132bとの間には周方向に間隔をおいてボス部締結用楔状カム空間部186dが形成され、ボス部締結用楔状カム空間部186dには複数のカムエレメントとしてのボス部締結用カムローラ186eが収納される。ボス部154と駆動軸132のクラッチ係合部132aとの間には環状リテーナ186fが収納され、環状リテーナ186fの周方向に分離した位置には複数の開口部186gが形成され、これら開口部186gにボス部締結用カムローラ186eがそれぞれ収納されて複数のボス部締結用楔状カム空間部186dにそれぞれ保持される。
図1及び図2Bにおいて、第2ボス部締結用クラッチ188は、第2ロータピストン本体152のボス部156と一体的なボス部締結用アウタレース部188aと、駆動軸132のクラッチ係合部132bと一体的なボス部締結用インナーレース部188bとを備える。図2Bに示されるように、ボス部締結用アウタレース部188aは六角形状のカム面188cを有する。ボス部156と駆動軸132のクラッチ係合部132bとの間には周方向に間隔をおいて複数のボス部締結用楔状カム空間部188dが形成され、ボス部締結用楔状カム空間部188dには複数のカムエレメントとしてのボス部締結用カムローラ188eが収納される。ボス部156と駆動軸132のクラッチ係合部132bとの間には環状リテーナ188fが収納され、環状リテーナ188fの周方向に分離した位置には複数の開口部188gが形成され、これら開口部188gにボス部締結用カムローラ188eがそれぞれ収納されて複数のボス部締結用楔状カム空間部188dにそれぞれ保持される。
図1及び図2Bにおいて、ボス部締結用ワンウエイクラッチ188は、ボス部156の環状内壁部156aと一体的なボス部締結用アウタレース部188aと、駆動軸132のクラッチ係合部132bと一体的なボス部締結用インナーレース部188bとを備える。図2Bに示されるように、ボス部締結用アウタレース部188aは六角形状のカム面188cを有する。環状内壁部156aと駆動軸132のクラッチ係合部132bとの間には周方向に間隔をおいて複数のボス部締結用楔状カム空間部188dが形成され、ボス部締結用楔状カム空間部188dには複数のカムエレメントとしてのボス部締結用カムローラ188eが収納される。環状内壁部156aと駆動軸132のクラッチ係合部132bとの間には環状リテーナ188fが収納され、環状リテーナ188fの周方向に分離した位置には複数の開口部188gが形成され、これら開口部188gにボス部締結用カムローラ188eがそれぞれ収納されて複数のボス部締結用楔状カム空間部188dにそれぞれ保持される。
図1に示されるように、ボス部締結用ワンウエイクラッチ186,188は、それぞれ、アンチバックラッシュ機構190,192を備える。図2Aにおいて、アンチバックラッシュ機構190は、ボス部154の環状内壁部154aにおいて径方向に対向するように形成されたアンチバックラッシュ抑制溝部190aと、環状リテーナ186fの外周に設けられていてアンチバックラッシュ抑制溝部190aに収納された作動部材186hとを備える。環状リテーナ186fは図5のリテーナ178と類似構造を有する。S−字状バネ部材194が作動部材186hをアンチバックラッシュ抑制溝部190aにおいてアンチバックラッシュ位置に付勢する。S−字状バネ部材194は図6のものと類似構造を有する。図2Bにおいて、アンチバックラッシュ機構192は、ボス部156の環状内壁部156aにおいて径方向に対向するように形成されたアンチバックラッシュ抑制溝部192aと、リテーナ188fの外周に設けられていてアンチバックラッシュ抑制溝部192aに収納された作動部材188hとを備える。リテーナ188fは図5のリテーナ178と類似構造を有する。S−字状バネ部材194が作動部材188hをアンチバックラッシュ抑制溝部192aにおいてアンチバックラッシュ位置に付勢する。S−字状バネ部材194は図6のものと類似構造を有する。
図1に戻って、駆動軸132の中心軸に沿ってメイン潤滑油供給路132Lと、メイン潤滑油供給路132Lから径方向に延びるように複数のラジアル潤滑油供給路132L1、132L2及び132L3が形成され、第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ170,172及び第1及び第2ボス部締結用クラッチ186,188に後述の潤滑油ポンプ250から潤滑油が供給される。即ち、図1において、ラジアル潤滑油供給路132L1及びラジアル潤滑油供給路132L2は第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ170、172の楔状カム空間部174、174Aと連通していて、これら楔状カム空間部を経由してリテーナとカムローラとの接触面、カムローラと駆動軸との接触面、カムローラとピストンのボス部との接触面及びアンチバックラッシュ機構180、182に潤滑油を供給する。同様に、図1及び図2Aから明らかなように、ラジアル潤滑油供給路132L1は、第1及び第2ボス部締結用クラッチ186、188のボス部締結用楔状カム空間部186d、188dと連通していて、これら楔状カム空間部を経由して第1及び第2ボス部締結用クラッチ186、188のリテーナとカムローラとの接触面、カムローラと駆動軸との接触面、カムローラとピストンのボス部との接触面及びアンチバックラッシュ機構190、192に潤滑油を供給する。このように、回転式流体機械100の第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ170、172並びに第1及び第2ボス部締結用クラッチ186、188には潤滑油が効果的に供給されるため、これらピストン駆動タイミング機構の耐久性が飛躍的に向上し、回転式流体機械100の円滑な運転、低騒音化及び長寿命化が図れる。
図1において、潤滑油ポンプ250は端面壁部104の一部に収納されていて駆動軸132の後方端部付近に連結されることにより駆動され、メイン潤滑油供給路132Lに潤滑油を供給する。より詳細には、潤滑油ポンプ250は所謂、トロコイドポンプ(例えば、米国特許第4008018号に開示された内接歯車ポンプ)に構造的に類似するもので、端面壁部104の背面に支持されたポンプケーシング252を備える。ポンプケーシング252はカバー部材254を介して端面壁部104の背面に固定支持され、端面壁部104の背面と、ポンプケーシング252及びカバー部材254の下部にオイルサンプ256が形成され、オイルサンプ256に潤滑油が貯留されている。このオイルサンプ256は必要によっては、回転式流体機械100の外部に取り出して、潤滑油タンクとしても良い。
ポンプケーシング252にはポンプ本体258が収納されていて、ポンプ本体258はポンプ作動部260と、ポンプ作動部260に潤滑油を導くインレットポート262と、ポンプ作動部260から吐出された潤滑油をメイン潤滑油供給路132Lに導くアウトレットポート264とを有する。ポンプ作動部内260にはリング状のアウターロータ266が回動可能に収納され、アウターロータ266内にはインナーロータ268が内接状態で収納され、インナーロータ268は駆動軸132に連結されて駆動され、インナーロータ268の外歯がアウターローター266の内歯に内接して噛み合い、その中心がインナーロータ268の中心に対して偏心する状態でアウターロータ266内に収容される。アウターロータ266及びインナーロータ268が回転すると、容積が増大することにより負圧となって吸入圧が生じ、オイルサンプ256から潤滑油を吸入し、さらに、2つのローターが回転すると、容積が減少して吐出する吐出側容積室において高圧となり、吸入された潤滑油は駆動軸132の後方端部付近に形成されたオイルポート270を介してメイン潤滑油供給路132Lに供給される。
図1及び図7において、回転式流体機械100は、さらに、油圧、空圧などの流体圧を生成する高圧ポンプ部300を備える。高圧ポンプ部300は、回転式流体機械100をランキンサイクル又はカリーナサイクル等の熱サイクルのスチームエンジンとして利用する場合に、熱サイクルの高圧ポンプとして利用され、システムの簡略化と低コスト化に貢献する。特に限定されるものではないが、1例として、この熱サイクルの水蒸気発生用ボイラに給水する場合に、高圧ポンプ部300を介して高圧下でボイラーに給水すると高圧の蒸気が得られ、この蒸気を第1インレット124に供給するように利用しても良い。
高圧ポンプ部300は、ハウジング106の端面壁部104の一部に支持されたカバー部材254から構成されるポンプハウジング310を備える。ポンプハウジング310にはポンプ作動室312と、ポンプ作動室312に開口するインレット314及びアウトレット316とが形成されている。ポンプ作動室312内にはジェロータアウターロータ318が回転中心C1を中心として回動可能に収納される。ジェロータアウターロータ318は、周方向に均等間隔で形成された4個の係合部318a〜318dと、該係合部318a〜318dとの間においてアウターロータ318の外周に近接して周方向に等間隔で形成された複数のポンプチャンバ320と、ポンプチャンバ320にそれぞれ形成されていてインレット314及びアウトレット316に連通する複数の開口部322とを備える。インレット314から吸入された流体は加圧下でアウトレット316から吐出される。
アウターロータ318内にはロータロータピストン324が回転中心C2を中心として回動可能に内接状態で収納されている。ロータピストン324は駆動軸132に直結されて直接駆動される。ロータピストン324は、4個のポンプチャンバ320よりも1つ少ない数、即ち、3個のピストンローブ324a〜324cがロータ本体326から周方向に均等間隔で形成されており、ピストンローブ324a〜324cの外形はポンプチャンバ320の内壁とほぼ同一のものとなっている。ロータピストン324のローブがアウターローター318のポンプチャンバ320に内接して噛み合い、その中心C2がアウターロータ318の中心C1に対して偏心する状態でアウターロータ318内で移動する。アウターロータ318及びロータピストン324が図7において、時計方向R1に回転すると、ポンプチャンバ320の容積が増大することにより負圧となって吸入圧が生じ、インレット314から流体を吸入し、さらに、これらローターが回転すると、アウトレット316に最も近接したポンプチャンバ320の吐出側容積室において容積が減少して高圧となり、高圧の流体がアウトレット316から吐出される。
ロータピストン324のピストンローブ324a〜324cには、潤滑油貯留チャンバ328と、潤滑油路330が、それぞれ、形成され、潤滑油路330は駆動軸132のメイン潤滑油供給路132Lと連通する。潤滑油貯留チャンバ328に供給された潤滑油は、ロータピストン324及びアウターローター318の軸方向両面とその軸方向対向面との接触部、ロータピストン324及びアウターローター318の接触部、アウターローター318の外周部とポンプ作動室312の内壁との接触部等の潤滑を促進する。
図7に示すように,アウターロータ318において、隣接するポンプチャンバ320の間には径方向内側に突出していてピストンローブ324a〜324cと係合する突起部3
18cが形成されており、隣接するポンプチャンバ320間における加圧流体のリークを最小限にすることを目的として、全部又は一部の突起部318cにシール部材318fを設けても良い。図1において,符号340、342はベアリング及びオイルシールをそれぞれ示す。駆動軸132の左側端部にはフライホイール兼タイミングプーリー344が装着されていて、タイミングベルト(図示せず)を介してスタータモータ(図示せず)に連結される。
次に、図8〜図10に基づいて、本実施例による回転式流体機械100をロータリースチームエンジンとして利用した場合の作用について説明する。なお、ロータリーピストン部200の作動サイクルにおける作用について、図2A、図2B,図4A及び図4Bを参照しながら、説明する。図8において、第1インレット124と第2流体インレット126とに同時に高圧蒸気Sが供給されるものとする。
図2A及び図2Bに示すように、ロータリーピストン部200の作動サイクルにおいて、第1、第2作動室116,118に高圧蒸気Sが導入されると、第1ピストン150pに反時計方向の押圧力が作用し、第2ピストン152pには時計方向CWの押圧力が作用する。すると、図4Aに示すように、第1ピストン150pのボス部154と一体のスリーブ部158は、スリーブ部締結用カムローラ176に対して反時計方向に作用するため、スリーブ部締結用カムローラ176がカム面108bと係合して、第1ピストン150pはハウジング112に対してロック状態となる。一方、第2ピストン152pのスリーブ部160には、図4Bにおいて、時計方向の力が作用しているため、スリーブ部締結用カムローラ176Aがカム面110bから離脱して、第2ピストン152pはハウジング112に対してアンロック状態、即ち、自由回転状態となる。この時、図2Bにおいて、第2ピストン152pのボス部156における時計方向の作用によって、第2ボス部締結用クラッチ188のボス部締結用カムローラ188eがカム面188cに係合して駆動軸132のクラッチ係合部132bとロック状態となり、両者は一体回転が可能となる。一方、第1ピストン150pのスリーブ部158はスリーブ部締結用カムローラ176によって端面壁部104にロック状態に保持されていても、駆動軸132の左側端部部分(図1参照)は駆動軸132と第1ピストン150pのスリーブ部158との間に配置されたニードルベアリング144により自由回転可能に支持されている。また、図2Aより明らかなように、駆動軸132が時計方向に回転しようとするため、第1ボス部締結用クラッチ150のカムローラ186eがカム面186cから離脱する。したがって、第1ボス部締結用クラッチ150はアンロック状態とされ、駆動軸132が時計方向CWに対して自由回転状態となる。こうして、図9に示すように、第2ピストン152pと駆動軸132とは一体となって時計方向CWに回転し、駆動軸132から出力トルクが得られる。この作動サイクルにおいて、第2ピストン152の時計方向回転によって、第1、第2排出室120、122の残留流体は第1、第2アウトレット128、130からそれぞれ排出される。
図10は、ロータリーピストン部200の作動サイクルの終了近辺における第2ピストン152pの位置関係を示す。作動室116に導入された高圧蒸気Sにより、図10に示す位置から、第2ピストン152pがさらに時計方向CWに回転すると、第2ピストン152pが第1ピストン150pに当接してさらに時計方向に回転する。このとき、第1ピストン150pは第2ピストン152pの時計方向の押圧力を受ける。したがって、図4Aから明らかなように、第1スリーブ部締結用クラッチ170がアンロック(解放)状態となり、スリーブ部締結用カムローラ176がカム面108bから離脱して、第1ロータピストン本体150のスリーブ部158をアンロック状態にする。そのため、図10において、第1ピストン150pが第2ピストン152pと一体となって時計方向に回転移動し、図11に示す位置に両ピストンは到達する。
図11に示した、ロータリーピストン部200の次の作動サイクルにおいて、第1ピストン150pと第2ピストン152pとの当接部のスペースが第1、第2インレット124、126に連通すると、ガイド部150gを介して第1、第2インレット124、126から高圧蒸気Sがこのスペースに供給される。この時、図11において、第1ピストン150pには時計方向の力が作用し、第2ピストン152pには反時計方向の力が作用する。そのため、図4Bにおいて、第2ピストン152pのスリーブ部160には、反時計方向の力が作用しているため、スリーブ部締結用カムローラ176Aがカム面110bに係合して、第2ピストン152pはハウジング112に対してロック状態となる。したがって、図11に示した作動サイクルにおいては、第2ピストン152pが静止する(ロック状態)のに対して、第1ピストン150が高圧蒸気Sの作用により、時計方向の作用を受ける。この時、図2Aにおいて、第1ピストン150の第1ボス部締結用クラッチ186が係合して、第1ピストン150のボス部154が駆動軸132のクラッチ係合部132aとロック状態となる。したがって、第1ピストン150のボス部154を介して駆動軸132が時計方向に駆動されて出力トルクが得られる。このように、第1、第2ロータピストン本体150、152は、交互にロック状態とアンロック状態を繰り返しながら、駆動軸132から連続的にトルクが出力される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、これ等はあくまでも一実施形態を示すものであり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することが出来る。
即ち、本発明の実施例の回転式流体機械は、ロータリースチームエンジンとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、空気エンジン、ハイドローリックエンジン、油圧モータ等の流体機械としても利用しても良い。即ち、インレットに空気圧又はガス圧を導入すると、空気エンジン又はガスエンジンとして機能し、水圧を導入するとハイドローリックエンジンとして機能する。また、油圧をインレットに供給すると油圧モータとして機能する。さらに、本発明の実施例の回転式流体機械において、第1回転機械部のインレットに高圧蒸気、高圧空気、油圧又は水圧等の動力発生用高圧流体を導入してエンジン又はモータとして機能させ、第2回転機械部のインレットを所望の流体源に接続して、真空ポンプ、コンプレッサ、揚水ポンプ、排水ポンプその他の流体機械、所謂、2つの機能モータ及びポンプの機能、即ち、モータポンプとして利用しても良い。このように、本発明の回転式流体機械は、用途に応じて様々な機能を呈する。
本発明の実施例において、回転式流体機械は、1つのピストンロータ本体は径方向に対称的な一対のロータピストンを有するものとして示されたが、ピストンロータ本体は単一のロータピストンを有するものであっても良いし、或いは、周方向に均等間隔で配置された3個又は3個以上のロータピストンを備えた構造でも良い。また、スリーブ部締結用クラッチとボス部締結用クラッチはそれぞれローラー型ワンウエイクラッチからなるものと説明したが、スプラグ型ワンウエイクラッチで構成しても良い。
さらに、スリーブ部締結用クラッチのスリーブ部締結用アウターレース部とインナーレース部がそれぞれ端面壁部の静止側内壁部及びピストンロータ本体のスリーブ部と一体に形成されたものとして図示されているが、前記スリーブ部締結用アウターレース部と前記インナーレース部自体をそれぞれ独立部品により構成して、これら独立部品を前記静止側内壁部と前記スリーブ部とにそれぞれ装着した構成としても良い。同様に、ボス部締結用クラッチにおいて、ボス部締結用アウタレース部とボス部締結用インナーレース部とをそれぞれ独立部品により形成して、これら独立部品をピストンロータ本体のボス部と駆動軸のクラッチ係合部にそれぞれ装着した構成としても良い。
回転式流体機械に高圧ポンプ部を設けた構造を示したが、この高圧ポンプ部は任意で設けてもよい。
106 ハウジング
114 作動室
132 駆動軸
132a,132b クラッチ係合部
150、152 第1、第2ピストン本体
170,172 スリーブ部締結用クラッチ
180,182 アンチバックラッシュ機構
186,188 ボス部締結用クラッチ
190,192 アンチバックラッシュ機構
300 高圧ポンプ部

Claims (8)

  1. 軸方向に間隔を置いて配置された端面壁部を有するハウジングと、
    前記端面壁部の間に形成されていてインレット及びアウトレットを有する環状作動室と、
    前記環状作動室の軸心方向に延びていて前記環状作動室の中間部に配置されたクラッチ係合部を備えた駆動軸と、
    前記駆動軸に回動可能に支持されていて前記環状作動室に回転可能に収納され、作動サイクルにおいてトルクを出力させる第1及び第2ピストンロータ本体であって、前記クラッチ係合部と径方向に整列する第1及び第2ボス部と、前記第1及び第2ボス部の径方向外側にそれぞれ延びていて前記環状作動室に回転可能に収納された第1及び第2ロータピストンと、前記第1及び第2ボス部からそれぞれ軸方向に延びる第1及び第2スリーブ部とを有する第1及び第2ピストンロータ本体と、
    前記端面壁部と前記第1及び第2スリーブ部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2スリーブ部それぞれを第1及び第2回転方向との間で前記端面壁部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2スリーブ部締結用クラッチと、
    前記クラッチ係合部と前記第1及び第2ボス部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2ボス部それぞれ前記第2回転方向と前記第1回転方向との間で前記クラッチ係合部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2ボス部締結用クラッチとを備え、
    前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチは前記第1及び第2スリーブ部を前記端面壁部に対してそれぞれロック及びアンロック状態にするスリーブ部締結用楔状カム空間部とスリーブ部締結用カムエレメントとを備え、一方、前記ボス部締結用クラッチは前記第1及び第2ボス部を同一回転方向において前記駆動軸のクラッチ係合部に駆動連結させるボス部締結用カム空間部とボス部締結用カムエレメントとをそれぞれ備えることを特徴とする回転式流体機械。
  2. 前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチが、前記端面壁部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と、前記第1及び第2スリーブ部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と前記第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部との間に形成されていて前記スリーブ部締結用カム空間部を構成する第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記スリーブ部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2スリーブ部締結用カムエレメントとを備え、
    前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、前記第1及び第2ボス部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と、前記クラッチ係合部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用インナレース部と、前記第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と前記第1及び第2ボス部締結用インナレース部との間でそれぞれ設けられていて、前記ボス部締結用カム空間部を構成する第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記ボス部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2ボス部締結用カムエレメントとを備えることを特徴とする請求項1記載の回転式流体機械。
  3. 前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ及び前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、それぞれ、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部と前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部に収納されていて、前記スリーブ部締結用カムエレメントと前記ボス部締結用カムエレメントをそれぞれ支持するリテーナと、前記リテーナをアンチバックラッシュ位置にそれぞれ付勢するバネ手段とからなるアンチバックラッシュ機構を備えることを特徴とする請求項2記載の回転式流体機械。
  4. 前記アンチバックラッシュ機構が、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部に隣接して前記端面壁部に形成されたアンチバックラッシュ溝部と、前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部に隣接して前記第1及び第2ボス部に形成されたアンチバックラッシュ溝部と、前記リテーナにそれぞれ設けられていて前記アンチバックラッシュ溝部にそれぞれ収納された作動部とを備え、前記バネ手段が前記作動部を前記アンチバックラッシュ溝部において前記アンチバックラッシュ位置にそれぞれ付勢することを特徴とする請求項3記載の回転式流体機械。
  5. 前記駆動軸の中心軸に沿って形成されたメイン潤滑油供給路と、前記メイン潤滑油供給路から径方向に延びていて前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチ及び前記第1及び第2ボス部締結用クラッチとにそれぞれ連通する複数のラジアル潤滑油供給路と、
    前記メイン潤滑油供給路に潤滑油を供給する潤滑油ポンプとをさらに備え、
    前記スリーブ部締結用楔状カム空間部と前記ボス部締結用楔状カム空間部が前記ラジアル潤滑油供給路とそれぞれ連通していることを特徴とする請求項1乃至4記載の回転式流体機械。
  6. さらに、前記ハウジングに収納された高圧ポンプ部を備え、
    前記高圧ポンプ部が、前記ハウジング内に設けられたポンプ作動室と、前記ポンプ作動室に開口する吸入ポート及び吐出ポートと、前記ポンプ作動室内に回動可能に収納されていて、前記駆動軸に直結されていて、前記ポンプ作動室に流入した流体を加圧するポンプロータ手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至5記載の回転式流体機械。
  7. 軸方向に間隔を置いて配置された端面壁部と、前記端面壁部の間に形成された環状作動室とを有するハウジングと、
    前記ハウジングの周方向に配置された第1回転機械部及び第2回転機械部とを備え、
    前記第1回転機械部が、作動サイクルの開始点及び終端点において、それぞれ前記環状作動室に開口する第1インレット及び第1アウトレットと、
    前記環状作動室において前記第1インレットに隣接して区画されている第1作動室と、
    前記第1作動室に隣接して区画されている第1排出室とを備え、
    前記第2回転機械部が、前記第1アウトレット及び前記第1インレットに隣接した位置においてそれぞれ形成された第2インレット及び第2アウトレットと、
    前記環状作動室において前記第2インレットに隣接して区画されている第2作動室と、
    前記第2作動室に隣接して区画されている第2排出室とを備え、
    前記第1回転機械部及び前記第2回転機械部が前記環状作動室の軸心方向に延びていて前記環状作動室の中間部に配置されたクラッチ係合部を備えた駆動軸と、
    前記駆動軸に回動可能に支持されていて前記環状作動室に回転可能に収納され、作動サイクルにおいてトルクを出力させる第1及び第2ピストンロータ本体であって、前記クラッチ係合部と径方向に整列する第1及び第2ボス部と、前記第1及び第2ボス部の径方向外側にそれぞれ延びていて前記環状作動室を前記第1作動室と、前記第1排出室と、前記第2作動室と、前記第2排出室とに区画する第1及び第2ロータピストンと、前記第1及び第2ボス部からそれぞれ軸方向に延びる第1及び第2スリーブ部とを有する第1及び第2ピストンロータ本体と、
    前記端面壁部と前記第1及び第2スリーブ部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2スリーブ部それぞれを第1及び第2回転方向との間で前記端面壁部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2スリーブ部締結用クラッチと、
    前記クラッチ係合部と前記第1及び第2ボス部との間にそれぞれ配置されていて、前記作動サイクルにおいて、前記第1及び第2ボス部それぞれ前記第2回転方向と前記第1回転方向との間で前記クラッチ係合部に対してロック状態とアンロック状態とに切り替える第1及び第2ボス部締結用クラッチとを備え、
    前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチは前記第1及び第2スリーブ部を前記端面壁部に対してそれぞれロック及びアンロック状態にするスリーブ部締結用楔状カム空間部とスリーブ部締結用カムエレメントとを備え、一方、前記ボス部締結用クラッチは前記第1及び第2ボス部を同一回転方向において前記駆動軸のクラッチ係合部に駆動連結させるボス部締結用カム空間部とボス部締結用カムエレメントをそれぞれ備えることを特徴とする回転式流体機械。
  8. 前記第1及び第2スリーブ部締結用クラッチが、前記端面壁部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と、前記第1及び第2スリーブ部とそれぞれ一体的な第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用アウターレース部と前記第1及び第2スリーブ部締結用インナレース部との間に形成されていて前記スリーブ部締結用カム空間部を構成する第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2スリーブ部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記スリーブ部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2スリーブ部締結用カムエレメントとを備え、
    前記第1及び第2ボス部締結用クラッチが、前記第1及び第2ボス部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と、前記クラッチ係合部とそれぞれ一体的な第1及び第2ボス部締結用インナレース部と、前記第1及び第2ボス部締結用アウターレース部と前記第1及び第2ボス部締結用インナレース部との間でそれぞれ設けられていて、前記ボス部締結用カム空間部を構成する第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部と、前記第1及び第2ボス部締結用楔状カム空間部にそれぞれ配置されていて前記ボス部締結用カムエレメントを構成する第1及び第2ボス部締結用カムエレメントとを備えることを特徴とする請求項7記載の回転式流体機械。
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