JP4139520B2 - 工作機械用のワーク保持治具及び加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,旋盤,ボール盤,フライス盤,NC工作機械等の工作機械において,工作機械の支持手段にワークを固定させるために用いられる保持治具に関し,更に該保持治具を用いてワークを加工する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば金属加工等の分野では,機械部品などのワークを得るために,バイト(cutting tool)等の切削工具で素材を削り,所望の形状に加工することが行われている。このような加工を行う旋盤等の工作機械では,チャック等の支持手段によってワーク(素材)を直接支持して加工を行うのが一般的である。
【0003】
ここで,工作機械の一例である旋盤によってワークを加工する場合について説明すると,先ず図9に示すように,旋盤に備えられたチャック100によってワーク(素材)W’を把持することによりワークW’を固定する。次に図10に示すように,旋盤の稼働によってワークW’を回転させながら,バイト(cutting tool)等の切削工具101をワークW’の表面に接触させ,切りくずを発生さることによりワークW’の表面を削り,所望の形状にワークW’を切削加工する。そしてチャック100から取り外すことにより,図11に示すように所定の形状に加工したワークW’を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,このような手順によってワークを加工した場合,次のような問題があった。即ち旋盤などの工作機械は,通常はチャックによってワークを周りから数力所(例えば3箇所)把持して固定する方法であるが,ワークの形状が複雑な場合などはチャックによってワークを確実に固定し難い場合があった。また強固に固定しようとしてチャック圧を強くすると,固定箇所においてワークが変形し,加工後に変形がそのまま残り,ワークが楕円形やおむすび形に変形してしまうこともあった。特にワークが薄肉のパイプなどのような薄物である場合は変形がし易いので,チャック圧を強くできず,確実に固定することが困難であった。またワークが薄物であると,加工中にワークが変形し易く,バイトの食い込みによってワークを破損したり,あるいはワークの変形(逃げ)によってワークの切削量が少なくなり,加工精度の低下や加工時間,工数の増加を招いていた。
【0005】
本発明の目的は,ワークが薄物などの強度が低い場合であっても工作機械に対してしっかりと固定でき,しかも加工精度が高く,加工中における変形も防止できるワーク保持治具を提供し,更に,このワーク保持治具を用いてワークを加工する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために,本発明は,ワークに工具を接触させ,ワークと工具を相対的に移動させることにより,ワークの外面を加工する工作機械において,ワークを保持するために用いられる保持治具であって,前記焼ばめ部は,前記ワークの内面を加工することにより形成された空洞部に前記保持治具の一部を挿入して前記保持治具の外周面に前記ワークを焼ばめさせ,内側から密着させる構成であり,前記被支持部は,前記ワークを前記焼ばめ部に焼ばめさせた状態で前記空洞部から外部に突出して,前記工作機械の支持手段に支持される構成であり,前記保持治具の内部に空気を流通させるための孔が形成されていることを特徴としている。
【0007】
このワーク保持治具にあっては,焼ばめ部にワークを焼ばめさせ,被支持部を工作機械の支持手段に支持させて,保持治具を介して工作機械の支持手段にワークを固定する。そして,ワークに工具を接触させ,ワークと工具を相対的に移動させることにより,ワークを加工する。そして加工終了後,保持治具の焼ばめ部からワークを取り外すことにより,加工したワークを得ることができる。
【0008】
このワーク保持治具によれば,保持治具を介して工作機械の支持手段にワークを固定しているので,チャック圧を強くしてもワークが変形する心配が無く,薄物のワークなどであっても焼ばめによってしっかりと固定することができる。またワークをしっかりと固定した状態で加工できるので加工中にワークが変形する心配が無く,薄物のワークなどであっても,バイトの食い込みによってワークを破損することもなく,またワークの変形(逃げ)も無くなり,加工精度が向上し,加工時間や工数もいたずらに増える心配がない。
【0009】
このワーク保持治具において,工作機械とは,例えば旋盤,ボール盤,フライス盤,NC工作機械,ブローチ盤等である。旋盤などのようにワークと工具を相対的に回転させて加工する工作機械については,例えば,前記ワークを焼ばめさせた状態において,前記保持治具の中心軸と前記ワークの中心軸が実質的に一致するように構成されていることが好ましい。そうすれば,旋盤等にワークを固定した際に,ワークの中心軸が旋盤等の主軸の中心軸と実質的に一致するので,ワークの加工が円滑に行われるようになる。
【0010】
前記焼ばめ部は,例えば前記ワークに形成された空洞部に前記保持治具の一部を挿入して前記保持治具の外周面に前記ワークを焼ばめさせる構成であり,前記被支持部は,前記ワークを前記焼ばめ部に焼ばめさせた状態で前記空洞部から外部に突出して,前記工作機械の支持手段に支持される構成である。この場合,ワークを加熱して膨張させた状態で空洞部に保持治具の一部(焼ばめ部)を挿入する。次にワークを冷却して収縮させ,保持治具の外周面(焼ばめ部)にワークを焼ばめさせる。そして,このようにワークを焼ばめさせた状態において,ワークの空洞部から外部に突出している被支持部を工作機械の支持手段に支持させることにより,保持治具を介して工作機械の支持手段にワークを固定することが可能となる。
【0011】
前記保持治具は,前記ワークよりも熱膨張係数が小さい材質からなることが好ましい。そうすれば,保持治具の焼ばめ部からワークを取り外す際に,保持治具とワークを一体的に加熱すると,ワークが保持治具よりも多く膨張することとなるので,保持治具の焼ばめ部からワークを容易に取り外すことができるようになる。
【0012】
また,前記焼ばめ部における前記保持治具の外径が,常温において前記ワークの空洞部の内径よりも0.01〜0.02mm大きいことが好ましい。保持治具の焼ばめ部の外径が,ワークの空洞部の内径よりも0.01mm未満大きい程度では,ワークと保持治具との密着力が弱くなって加工時にワークが保持治具から外れて空回りする可能性がある。一方,保持治具の焼ばめ部の外径が,ワークの空洞部の内径よりも0.02mmより大きいと,保持治具を取り外した際に,ワークが縮み寸法が公差外となってしまう。
【0013】
なお,保持治具の焼ばめ部の外周面にワークを焼ばめさせる場合は,前記保持治具の内部に空気を流通させるための孔が形成されていることが好ましい。そうすれば,保持治具の放熱性が向上し,例えば焼ばめ部からワークを取り外す際に加熱された保持治具が,短時間で冷却されるようになる。
【0014】
また一方,ブローチ盤などのようにワークの内面を加工する工作機械については,前記焼ばめ部は,前記保持治具に形成された空洞部に前記ワークを挿入して前記保持治具の内周面に前記ワークを焼ばめさせる構成も提案しておく。この場合は,保持治具を加熱して膨張させた状態で空洞部(焼ばめ部)にワークを挿入する。次に保持治具を冷却して収縮させ,保持治具の内周面(焼ばめ部)にワークを焼ばめさせる。そして,このようにワークを焼ばめさせた状態において,被支持部を工作機械の支持手段に支持させることにより,保持治具を介して工作機械の支持手段にワークを固定することが可能となる。
【0015】
この提案のように保持治具の焼ばめ部の内周面にワークを焼ばめさせる場合は,前記保持治具は,前記ワークよりも熱膨張係数が大きい材質からなることが好ましい。そうすれば,保持治具の焼ばめ部からワークを取り外す際に,保持治具とワークを一体的に加熱すると,保持治具がワークよりも多く膨張することとなるので,保持治具の焼ばめ部からワークを容易に取り外すことができるようになる。
【0016】
また保持治具の焼ばめ部の内周面にワークを焼ばめさせる場合は,前記保持治具に形成された空洞部の内径が,常温において前記ワークの外形よりも0.01〜0.02mm小さいことが好ましい。保持治具の焼ばめ部の内径が,ワークの空洞部の内径よりも0.01mm未満小さい程度では,ワークと保持治具との密着力が弱くなって加工時にワークが保持治具から外れて空回りする可能性がある。一方,保持治具の焼ばめ部の内径が,ワークの空洞部の内径よりも0.02mmより小さいと,保持治具を取り外した際に,ワークが膨張し寸法が公差外となってしまう。
【0017】
また本発明は,上記工作機械用のワーク保持治具を用いてワークを加工する方法であって,前記ワークの内面を加工することにより空洞部を形成する工程と,前記保持治具の焼ばめ部を前記ワークの空洞部に挿入して前記保持治具の外周面に前記ワークを焼ばめさせて内側から密着させ,前記被支持部を工作機械の支持手段に把持させて,前記保持治具を介して前記工作機械の支持手段に前記ワークを固定する工程と,前記ワークに工具を接触させ,前記ワークと前記工具を相対的に移動させることにより,前記ワークの外面を加工する工程とを有することを特徴としている。
【0018】
この加工方法によれば,保持治具を介して工作機械の支持手段にワークを固定することにより,ワークを変形させずに焼ばめによって保持治具を介して工作機械に対してワークをしっかりと固定することができる。また加工中にワークが変形する心配が無く,薄物のワークなどであっても,精度の高い加工ができ,加工時間や工数もいたずらに増える心配がない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,図面を用いて説明する。なお,以下の実施の形態では,工作機械の一例である旋盤を利用してワークWを切削加工する例を説明する。
【0020】
図1は,本発明の実施の形態において加工されるワークWの断面図である。図1では,ワークWは,まだ加工されていない素材の状態で示されている。ワークWは,例えば鋼材,SUS,銅,アルミニウム,各種合金等の金属材料などからなり,その大きさは旋盤で加工できるものであれば良い。この例では,ワークWは,中空円筒の形状をなしている。まだ加工されていない素材の状態において,ワークWの長さLは,加工終了後におけるワークWの長さ(e+f+g)と同寸法か,それよりも両端にそれぞれ1mm程度長く,外径Dは加工終了後におけるワークWの最大外径よりも例えば5mm程度大きく,内径Hは加工終了後におけるワークWの最小内径(c)よりも小さい。
【0021】
先ず,図2に示すようにワークWの内面を切削加工し,内径a,長さeの大径部1,内径b,長さfの中径部2,内径c,長さgの小径部3からなる空洞部4を形成する。
【0022】
次に,保持治具10を作成する。先ず図3に示すような素材11を用意する。この素材11は,ワークWの長さ(e+f+g)よりも例えば40mm程度長く,素材11の外径はワークWの大径部1の内径aよりも大きい円筒形状をなしている。また,素材11の基端面(図3において素材11の左端面)には孔12が形成されており,孔12の内部には空気が流通できるようになっている。素材11の材料は,例えばJISに規定されるSKD−11,DC−53のような熱膨張係数の少ない材質が使用される。
【0023】
図4に示すように,この素材11の基端側(図4において素材11の左端側)を被支持部25とし,この被支持部25を旋盤に備えられたチャック13に支持(把持)させて固定し,旋盤の稼働によって素材11を回転させながら,バイト(cutting tool)等の切削工具14を表面に接触させ,素材11の外周面を切削加工することにより,保持治具10を作成する。図4に示すように,保持治具10の外周面に,内径A,長さEの大径部21,内径B,長さFの中径部22,内径C,長さGの小径部23を設けることにより,保持治具10の先端側(図4において保持治具10の右端側)を焼ばめ部26に形成する。この場合,大径部21の内径Aは,先に図2で説明したワークWの内面の空洞部4における大径部1の内径aよりも,常温において0.01〜0.02mm大きくする。また,中径部22の内径Bは,ワークWの内面の空洞部4における中径部2の内径bよりも,常温において0.01〜0.02mm大きくする。また,小径部23の内径Cは,ワークWの内面の空洞部4における小径部3の内径cよりも,常温において0.01〜0.02mm大きくする。また,大径部21の長さEは,ワークWの内面の空洞部4における大径部1の長さeよりも例えば40mm程度長くすると良い。また,中径部22の長さF,小径部23の長さGは,ワークWの内面の空洞部4における中径部2の内径f,小径部3の長さgとそれぞれ等しくする。なお,孔12の深さ(素材11の基端面からの深さ)は,大径部21の長さEと中径部22の長さFの合計よりも浅くし,孔12の内径Kは,小径部23の内径Cよりも小さくなるように設定すると良い。
【0024】
また,このように切削加工して得た保持治具10を,更に焼き入れ研磨して仕上げても良い。
【0025】
次に,先に図2で説明したワークWを加熱して膨張させる。この場合,加熱はヒータなどで加熱しても良いし,バーナーで加熱しても良い。加熱温度は200℃程度で良く,昇温時間は15〜20分程度がよい。温度を上げすぎるとワークWの表面が変色したりするので好ましくない。
【0026】
こうしてワークWを膨張させた状態で,先に図4で説明した保持治具10の焼ばめ部26を,先に図2で説明したワークWの内面の空洞部4に挿入する。この場合,ワークWは熱膨張で大きくなっているので,焼ばめ部26を空洞部4に容易に挿入することができる。なお,加熱後なるべくすぐに空洞部4に焼ばめ部26を挿入することが望ましい。
【0027】
次に,ワークWを冷却して収縮させ,図5に示すように,焼ばめ部26の外周面にワークWを焼ばめさせる。冷却は,例えば先ず大気冷却させ,次に水冷することによって行う。こうして,保持治具10の焼ばめ部26にワークWを焼きばめした際には,焼ばめ部26に形成された大径部21,中径部22,小径部23が,ワークWの空洞部4に形成された大径部1,中径部2,小径部3に対して内側からそれぞれしっかりと密着することとなり,ワークWは保持治具10にしっかりと固定される。
【0028】
また,このようにワークWを保持治具10に焼ばめさせた状態においては,保持治具10の基端側(図5において保持治具10の左端側)に形成された被支持部25が,ワークWの空洞部4から例えば40mm程度も外部に突出しているので,被支持部25をチャック13でしっかりと把持することができ,ワークWを変形させずに保持治具10を介して強固に固定することが可能となる。
【0029】
次に,旋盤の稼働によってワークWを回転させつつ,ワークWの表面にバイト等の切削工具14を接触させることにより,ワークWの外面を切削加工する。このように旋盤加工を行うに際し,ワークWを内面側からしっかりと保持した状態で加工できるので,加工中にワークWが変形する心配が無く,薄物のワークWを加工しても,切削工具14の食い込みによってワークWを破損することがない。また加工中,ワークWの変形(逃げ)も無くなり,加工精度が向上し,加工時間や工数もいたずらに増える心配がない。更に旋盤加工中は,ワークWの中心軸と保持治具10の中心軸は,旋盤の主軸の中心軸(回転中心)と実質的に一致しているので,ワークWの切削加工が円滑に行われるようになる。
【0030】
そして切削加工の終了後,ワークWを加熱して再び膨張させ,保持治具10の焼ばめ部26からワークWを取り外す。この場合,ワークWのみを加熱膨張させても良いが,保持治具10がワークWよりも熱膨張係数の小さい材質であれば,ワークWと保持治具10を一体的に加熱しても良い。すると,ワークWは保持治具10よりも多く膨張することとなり,保持治具10の焼ばめ部26からワークWを容易に取り外すことができるようになる。こうして,図6に示すように,所望の形状に加工したワークWを得ることが可能となる。なお,保持治具10は再使用することもできる。
【0031】
以上,本発明の好ましい実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,本発明の保持治具は,旋盤以外のボール盤,フライス盤,NC工作機械,ブローチ盤等の他の工作機械に用いることもできる。
【0032】
図7に示す保持治具50は,保持治具50の内面に形成された焼ばめ部55にワークWを焼きばめによって固定させる構成になっている。保持治具50には円筒形状の空間部51が形成されており,この空間部51の内面(焼ばめ部55)に密着して,中空円筒形状のワークWが固定されている。また保持治具50外周面には,工作機械の支持手段に把持される被支持部56が形成されている。このように保持治具50にワークWを固定させるに際しては,先ず,保持治具50を加熱して膨張させた状態で,空間部51にワークWを挿入する。そして挿入後,保持治具50を冷却して収縮させることにより,空間部51の内面(焼ばめ部55)にワークWの外周面を密着させて固定することができる。また,保持治具50からワークWを取り外す場合は,保持治具50を加熱して膨張させ,空間部51からワークWを取り出すことができる。このように,保持治具50の内面(焼ばめ部55)にワークWを焼きばめによって固定させる構成になっている。保持治具50の内面(焼ばめ部55)にワークWを焼きばめによって固定させるためには,保持治具は,ワークよりも熱膨張係数が大きい材質からなることが好ましい。また,保持治具50に形成される空間部51の内径は,ワークWの外径よりも0.01〜0.02mm小さいことが好ましい。
【0033】
図8は,図7で説明した保持治具50の被支持部56をブローチ盤等の工作機械57に把持させ,保持治具50の内面(焼ばめ部55)にワークWを焼きばめさせることにより,保持治具50を介してワークWを工作機械57に固定し,ブローチなどの切削工具58によってワークWの内面を切削加工している状態を示している。このようにワークWを保持治具50の内面に焼きばめによって固定することによっても,先に図1〜6で説明した実施の形態と同様に,加工中にワークWが変形する心配が無く,薄物のワークWを加工しても,切削工具58の食い込みによってワークWを破損することがない。また加工中,ワークWの変形(逃げ)も無くなり,加工精度が向上し,加工時間や工数もいたずらに増える心配がなくなるようになる。
【0034】
【実施例】
先に図1〜6で説明した手順に従って実際にワークを切削加工した。外径φ100mm,内径φ65mm,長さ140mmのステンレス製パイプを素材として切削加工し,図6に示した如き薄物のワークを作成した。先ず,素材を旋盤に備えられたチャックに固定し,回転させて内面を切削加工した。図2で説明したように内面を加工し,a=φ90mm,b=φ80mm,c=φ70mmの寸法に仕上げた。次に,図4に示した保持治具を作成した。保持治具において焼ばめ部の外径は,A=φ90.015mm,B=φ80.015mm,C=70.015mmとした。保持治具の材質はJISのSKD−11を用いた。次に,ワークをヒーターで加熱し,接触温度計で確認しながら15分かけて温度を200℃とした。次に保持治具をワークの空洞部に挿入し,ワークと保持治具をともに大気冷却させ,後は水冷し,ワークと保持治具を密着させた。次に,冷却後図5で説明したように,ワークの外面を加工した。次にワークと保持治具を再加熱し,ワークを保持治具から取り外した。再加熱の条件は,先と同様,ヒーターで加熱し,接触温度計で確認しながら15分かけて温度を200℃とした。加工されたワークの薄肉部の厚みは0.4mmであり,真円形状となっていた。
【0035】
次に比較例として,保持治具をもちいないで, チャックで直接素材を保持して,外面加工,内面加工の順に切削加工を行った。その結果,薄肉部が変形して楕円形のワークとなった。
【0036】
【発明の効果】
請求項1〜10によれば,保持治具を介して工作機械の支持手段にワークを固定しているので,チャック圧を強くしてもワークが変形する心配が無く,薄物のワークなどであっても焼ばめによってしっかりと固定することができる。またワークをしっかりと固定した状態で加工できるので加工中にワークが変形する心配が無く,薄物のワークなどであっても,バイトの食い込みによってワークを破損することもなく,またワークの変形(逃げ)も無くなり,加工精度が向上し,加工時間や工数もいたずらに増える心配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】加工されていない素材の状態のワークの断面図である。
【図2】内面を切削加工したワークの断面図である。
【図3】保持治具を作成するための素材の側面図である。
【図4】旋盤のチャックに支持された保持治具の側面図である。
【図5】保持治具に焼ばめされたワークの断面図である。
【図6】加工後のワークの断面図である。
【図7】内面にワークを焼きばめさせた保持治具の断面図である。
【図8】保持治具の内面に焼きばめされたワークを加工している状態の説明図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【図10】従来技術の説明図である。
【図11】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
W ワーク
10 保持治具
12 孔
13 チャック
14 切削工具
25 被支持部
26 焼ばめ部

Claims (5)

  1. ワークに工具を接触させ,ワークと工具を相対的に移動させることにより,ワークの外面を加工する工作機械において,ワークを保持するために用いられる保持治具であって,
    焼ばめによって前記ワークを固定させる焼ばめ部と,前記工作機械の支持手段に支持される被支持部を備え,
    前記焼ばめ部は,前記ワークの内面を加工することにより形成された空洞部に前記保持治具の一部を挿入して前記保持治具の外周面に前記ワークを焼ばめさせ,内側から密着させる構成であり,前記被支持部は,前記ワークを前記焼ばめ部に焼ばめさせた状態で前記空洞部から外部に突出して,前記工作機械の支持手段に支持される構成であり,
    前記保持治具の内部に空気を流通させるための孔が形成されていることを特徴とする,工作機械用のワーク保持治具。
  2. 前記ワークを焼ばめさせた状態において,前記保持治具の中心軸と前記ワークの中心軸が実質的に一致するように構成されていることを特徴とする,請求項1の工作機械用のワーク保持治具。
  3. 前記保持治具は,前記ワークよりも熱膨張係数が小さい材質からなることを特徴とする,請求項1または2の工作機械用のワーク保持治具。
  4. 前記焼ばめ部における前記保持治具の外径が,常温において前記ワークの空洞部の内径よりも0.01〜0.02mm大きいことを特徴とする,請求項3の工作機械用のワーク保持治具。
  5. 請求項1〜4のいずれかの工作機械用のワーク保持治具を用いてワークを加工する方法であって,
    前記ワークの内面を加工することにより空洞部を形成する工程と,
    前記保持治具の焼ばめ部を前記ワークの空洞部に挿入して前記保持治具の外周面に前記ワークを焼ばめさせて内側から密着させ,前記被支持部を工作機械の支持手段に把持させて,前記保持治具を介して前記工作機械の支持手段に前記ワークを固定する工程と,
    前記ワークに工具を接触させ,前記ワークと前記工具を相対的に移動させることにより,前記ワークの外面を加工する工程とを有することを特徴とする,ワークの加工方法。
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