JP4139479B2 - 負荷時タップ切換変圧器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電線の電圧を調整する負荷時タップ切換変圧器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
負荷時タップ切換変圧器は、変圧器に負荷が接続されている状態で、変圧器巻線のタップを切り換える負荷時タップ切換器を備えた変圧器で、この種の変圧器は、内部が絶縁油で満たされた変圧器油槽と、一次巻線または二次巻線にタップを有して変圧器油槽内に配置された変圧器本体と、変圧器油槽内に変圧器本体とともに収容された負荷時タップ切換器とを備えている。
【0003】
負荷時タップ切換器は、変圧器本体のタップを選択するタップ選択器と、タップ選択器が選択するタップを切り換える際に限流抵抗器や限流リアクトルなどの限流手段を通して流れるタップ間短絡電流を開閉する切換開閉器とを備えたもので、切換開閉器は、内部が絶縁油で満たされた独立の切換開閉器収容タンク内に収容されて、変圧器本体とともに変圧器油槽内に配置されている。
【0004】
負荷時タップ切換変圧器では、変圧器本体からの発熱や周囲温度の変化に伴って生じる変圧器油槽内及び切換開閉器収容タンク内の絶縁油の膨張収縮を吸収するために変圧器油槽及び切換開閉器収容タンクのそれぞれに対してコンサベータが設けられていて、変圧器油槽用のコンサベータ及び切換開閉器収容タンク用のコンサベータがそれぞれ連結管を通して変圧器油槽の上部及び切換開閉器収容タンクの上部に接続されている。
【0005】
この種の変圧器ではまた、変圧器本体から生じる熱を放散させるために、油槽内の絶縁油を冷却する冷却器が設けられていて、該冷却器が導油管を通して油槽に接続されている。
【0006】
市街地に配置される高電圧大容量の屋内変電所においては、広い用地を確保することが困難になっているため、建屋の小形化と、設置面積の一層の縮小化とを図ることが要請されるようになっている。そのため、変圧器油槽を収容する建屋の屋上に、冷却器と、変圧器油槽用コンサベータ及び切換開閉器収容タンク用コンサベータとを立体配置する構造の負荷時タップ切換変圧器が実用化されている。
【0007】
図2は従来のこの種の負荷時タップ切換変圧器を示したもので、同図において1はキュービクル形の(直方体ないしは立方体状の)建屋、2は建屋1内に配置されて設置ベース3上に支持された直方体状の変圧器油槽であり、油槽2内は絶縁油4により満たされている。変圧器油槽2内には、一次巻線または二次巻線にタップを備えた変圧器本体5と、変圧器本体5のタップを選択するタップ選択器6と、内部に絶縁油4´が満たされた独立の切換開閉器収容タンク7とが配置されている。
【0008】
図示の例では、切換開閉器収容タンク7の上端に該タンク7よりも大径のギアケース8が接続されていて、変圧器油槽2の天井部に設けられた開口部を通して切換開閉器収容タンク7が変圧器油槽内に挿入され、ギアケース8が変圧器油槽2の天井部に接続されて該油槽2の天井部の開口部が液密に閉じられている。
【0009】
切換開閉器収容タンク7内には、切換開閉器9が収容され、ギアケース8内には減速機構が収容されている。タップ選択器6を操作する操作軸10がギアケース8内の減速機構の出力部に連結され、ギアケース8内の減速機構の入力部は、変圧器油槽2の側面に支持された電動機(図示せず。)の出力軸に図示しない駆動軸を介して連結されている。この電動機によりタップ選択器6が駆動されるようになっている。ギアケース8内は切換開閉器収容タンク7内に連通させられていて、該ギアケース8内は、切換開閉器収容タンク7内の絶縁油4´と同じ絶縁油で満たされている。
【0010】
建屋1の屋上には、冷却器11が配置されている。冷却器11は、ケース11a内に収容された放熱器と該放熱器を冷却する冷却ファン11bとを備えたもので、支持脚11cを介して建屋1の天井部1aに支持されている。冷却器11は放熱器に絶縁油を導入する絶縁油導入管11dと冷却された絶縁油を導出する絶縁油導出管11eとを有していて、絶縁油導入管11dは、建屋の天井部1aを貫通した導油管12を通して変圧器油槽2の天井部に設けられた管台部2aに接続され、絶縁油導出管11eは同じく建屋の天井部1aを貫通した導油管13を通して変圧器油槽2の下部側面に設けられた管台部2bに接続されている。
【0011】
図示の例では、変圧器本体から発生する熱により加熱された変圧器油槽2内の絶縁油が、変圧器油槽2内の上部から導油管12と、冷却器11内の放熱器と、導油管13とを経て変圧器油槽2内の下部に戻る絶縁油循環経路を通して循環して冷却される。
【0012】
建屋1の屋上にはまた、変圧器油槽2用の第1のコンサベータ15と、切換開閉器収容タンク7用の第2のコンサベータ16とが配置されている。冷却器11の放熱器内を絶縁油で満たすため、第1のコンサベータ15は、冷却器11よりも高い位置に配置されて支持台17により建屋の天井部1aに支持されている。第1のコンサベータ15は、建屋の天井部1aを貫通して上下に伸びる連結管18を通して変圧器油槽2の上部に設けられた管台部2cに接続され、変圧器油槽2内の絶縁油と同じ絶縁油の油面L1 がコンサベータ15内の高さ方向の所定の範囲に形成されるように変圧器油槽2内に充填する絶縁油4の量が設定されている。
【0013】
第1のコンサベータ15の上部には、逆J字形に形成された第1の呼吸管19の一端が接続されており、該第1の呼吸管19の他端(下端)には第1の吸湿呼吸器20が接続されている。なお、第1の吸湿呼吸器20は点検及び交換がしやすい高さ位置に設けるのが好ましい。
【0014】
第2のコンサベータ16は第1のコンサベータ15とほぼ同じ高さの位置に配置されて、支持台21により建屋1の天井部1aに支持されている。第2のコンサベータ16は建屋の天井部1aを貫通した連結管22を通してギアケース8の上部に設けられた管台部8aに接続され、ギアケース8内及び切換開閉器収容タンク7内に充填された絶縁油と同じ絶縁油が第2のコンサベータ16内の所定のレベル位置まで収容されている。変圧器油槽2内の圧力と切換開閉器収容タンク7内の圧力とに差を生じさせないようにするため、第2のコンサベータ16内に生じる油面L2 のレベルを第1のコンサベータ15内の油面L1 のレベルに等しくするように、切換開閉器収容タンク7内への絶縁油4´の充填量が設定されている。
【0015】
第2のコンサベータ16の上部には逆J字形の第2の呼吸管23の一端が接続され、該第2の呼吸管23の下端に第2の吸湿呼吸器24が接続されている。
【0016】
変圧器油槽2の上部には変圧器本体の一次側及び2次側にそれぞれ接続される高圧ブッシング及び低圧ブッシング等が更に取り付けられ、また変圧器油槽2及び切換開閉器収容タンク7には放圧装置が接続されるが、これらの図示は省略されている。
【0017】
上記の負荷時タップ切換変圧器では、変圧器油槽2内の絶縁油から隔絶された切換開閉器収容タンク7内の絶縁油中に切換開閉器を浸漬する構造にすることにより、タップ切換え時に切換え開閉器に生じるアークによって絶縁油から生じる分解ガスにより変圧器油槽2内の絶縁油が汚損されるのを防止している。
【0018】
上記の負荷時タップ切換変圧器においては、変圧器油槽2内の絶縁油及び切換開閉器収容タンク7内の絶縁油の膨張収縮に伴って第1のコンサベータ15内及び第2のコンサベータ16内の絶縁油のレベルが変化し、両コンサベータ内の油面レベルの変化に伴って、第1の吸湿呼吸器20及び第2の吸湿呼吸器24を通して呼吸が行われる。吸湿呼吸器20及び24は、吸湿剤を通して空気を流通させるもので、大気中の水分がコンサベータ15,16内に侵入するのを防止するために設けられている。
【0019】
図2に示した負荷時タップ切換変圧器においては、変圧器油槽2内の絶縁油の圧力と切換開閉器収容タンク7内の絶縁油の圧力との間に差を生じさせないようにするために、第1のコンサベータ15と第2のコンサベータ16とを同じ高さの位置に配置して、両コンサベータ内に生じる油面L1 及びL2 のレベルを等しくしている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
図2に示した負荷時タップ切換変圧器では、コンサベータに取り付けられている油面計などの各種の計器を点検する際に作業員が歩行するためのスペースを建屋1の屋上に確保しておく必要がある。またコンサベータは風の影響を受けて動揺しやすく、コンサベータを支持する支持台はその揺れに耐え得る強度を有している必要があるため、相当に大形の構造物にならざるを得ない。従って、図2に示したように、建屋1の屋上に冷却器11とともに2台のコンサベータ15及び16を配置した場合には、建屋1の天井部1aの面積を相当に広くとる必要があり、それに伴って建屋が大形化して設置面積が増大するという問題があった。
【0021】
そこで、図3に示すように、切換開閉器収容タンク7用の第2のコンサベータ16を第2の呼吸管23及び吸湿呼吸器24とともに建屋1の内部に配置して、コンサベータ16を変圧器油槽2の天井部に取り付けることが提案された。
【0022】
図3に示した負荷時タップ切換変圧器は、第2のコンサベータ16が第2の呼吸管23及び第2の吸湿呼吸器24とともに建屋1内に配置されている点を除き、図2に示したものと同様であり、図3において、図2の各部と同等の部分にはそれぞれ図2と同一の符号を付してある。
【0023】
図3に示したように構成すると、建屋1の天井部に2つのコンサベータを並べて配置する必要がないため、建屋を小形に構成することができ、設置面積の縮小を図ることができる。
【0024】
しかしながら、図3に示すように構成した場合には、変圧器油槽2内の圧力と切換開閉器収容タンク7内の圧力とに差が生じるため、万一変圧器の運転中に変圧器油槽内で切換開閉器収容タンクの液密が破れた場合には、その差圧により、変圧器油槽2内の絶縁油が、切換開閉器収容タンク内と、第2のコンサベータ16と第2の呼吸管23とを通して第2の吸湿呼吸器24から外部に流出し、それにより変圧器の絶縁が低下して、重大な事故が発生するおそれがある。
【0025】
本発明の目的は、建屋の小形化を図ることができるだけでなく、万一切換開閉器収容タンク内の液密が破れた場合に、変圧器油槽内の絶縁油が外部に流出することがないようにした負荷時タップ切換変圧器を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、変圧器に負荷が接続されている状態で、変圧器巻線のタップを切り換える負荷時タップ切換器に係わるものである。本発明が対象とする負荷時タップ切換変圧器は、建屋内に配置されて内部空間が絶縁油で満たされた変圧器油槽と、一次巻線または二次巻線にタップを備えていて変圧器油槽内に配置された変圧器本体と、変圧器油槽内に配置されて変圧器本体のタップを選択するタップ選択器と、変圧器油槽内に配置されて内部が絶縁油で満たされた独立の切換開閉器収容タンクと、切換開閉器収容タンク内に収容されてタップ選択器が選択するタップを切り換える際に限流手段を通して流れる電流を開閉する切換開閉器と、変圧器油槽内の絶縁油を冷却する冷却器と、変圧器油槽内に接続された第1のコンサベータと、切換開閉器収容タンク内に接続された第2のコンサベータと、第1のコンサベータ及び第2のコンサベータのそれぞれの上部に接続された第1及び第2の呼吸管とを備えたもので、冷却器は建屋の屋上に配置されて建屋の天井部を貫通した導油管を通して変圧器油槽に接続され、第1のコンサベータは建屋の屋上に配置されて建屋の天井部を貫通した第1の連結管を通して変圧器油槽の上部に接続されている。また第2のコンサベータは建屋内で変圧器油槽の天井部の上方に配置されて第2の連結管を通して切換開閉器収容タンク内に接続されている。
【0027】
本発明においては、第2のコンサベータに接続された第2の呼吸管が、建屋の天井部を通して外部に導出された立上がり部を有し、第1のコンサベータ内の油面が上限位置にある状態で切換開閉器収容タンク内と変圧器油槽内とを連通させたとした場合に、第1のコンサベータ内で生じる油面の低下を許容範囲内に抑えるように、第2の呼吸管の立上り部の上端位置が設定されている。
【0028】
上記の条件を満たすためには、例えば、第2の呼吸管の立上り部の上端位置を、第1のコンサベータ内の油面レベルの上限位置よりも高い位置に設定すればよい。
【0029】
なお第1のコンサベータ内の油面の上限位置とは、変圧器の定常運転時の油温の変化に伴って第1のコンサベータ15内で生じる油面の変動範囲の上限位置を意味する。
【0030】
上記のように、第2の呼吸管に立上がり部を設けておくと、万一変圧器の運転中に切換開閉器収容タンクの液密が破れたとしても、切換開閉器収容タンク内の絶縁油は、第2の呼吸管内を通して第1のコンサベータ内の油面の高さまで上昇するだけであり、外部に流出することはない。従って、万一切換開閉器収容タンクの液密が破れたとしても、変圧器油槽内の絶縁油の油面レベルが低下することはないため、この種の変圧器の信頼性を高めることができる。
【0031】
また上記のように、切換開閉器収容タンク用の第2のコンサベータを建屋内に配置すると、建屋の天井部の面積を縮小することができるため、建屋の小形化を図って、変圧器の設置面積の縮小を図ることができる。
【0032】
第2のコンサベータを切換開閉器収容タンクに接続するための第2の連結管は、その径が大きいため、図2に示した従来例のように、第2のコンサベータを建屋の屋上に配置した場合には、建屋の天井部に第2の連結管を貫通させるための大径の孔を形成する必要があったが、上記のように構成すると、第2の連結管を貫通させるための大径の孔を天井部に設ける必要がなく、天井部には、径が小さい第2の呼吸管を貫通させるための孔を設ければよいため、建屋の屋上の機器のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係わる負荷時タップ切換変圧器の構成例を示したもので、同図において、図2に示した各部と同等の部分にはそれぞれ図2と同一の符号を付してある。
【0034】
図1において、1は建屋、2は建屋1内に配置されて設置ベース3上に支持された変圧器油槽で、変圧器変圧器油槽2内には絶縁変圧器油4が満たされている。5は変圧器油槽2内に配置された変圧器本体で、この変圧器本体は、一次巻線または二次巻線にタップを備えている。また6は変圧器本体5とともに変圧器油槽内に配置されて変圧器本体5のタップを選択するタップ選択器、7は変圧器油槽内に配置された切換開閉器収容タンク、8はタンク7の上部に接続されたギアケースであり、ギアケース8は、切換開閉器収容タンク7を油槽2内に挿入するために該油槽の天井部に設けられた開口部を閉じるように取り付けられている。切換開閉器収容タンク7内及びギアケース8内は絶縁油4´で満たされ、切換開閉器収容タンク内には、タップ選択器6が選択するタップを切り換える際に限流抵抗器や限流リアクトルなどの限流手段を通して流れるタップ間短絡電流を開閉する切換開閉器9が収容されている。
【0035】
11は変圧器油槽内の絶縁油を冷却するために建屋1の屋上に配置された冷却器で、この冷却器は、建屋の天井部を貫通した導油管12及び13を通して変圧器油槽2の上部及び下部にそれぞれ設けられた管台部2a及び2bに接続されている。
【0036】
なお管台部は、容器(例えば変圧器油槽2)の所定箇所に設けられた孔の周縁部に、フランジを先端に有する管の後端部を溶接することにより構成されるもので、容器に他の容器や管などを接続するために用いられるものである。
【0037】
15は建屋1の屋上に配置されて支持台17により建屋の天井部1aに支持された第1のコンサベータである。第1のコンサベータ15は、軸線を水平方向に向けた円筒状の容器からなっていて、その下部に設けられた管台部15aが、建屋1の天井部を貫通した第1の連結管18を通して変圧器油槽2の上部に設けられた管台部2cに接続され、第1のコンサベータ15内の高さ方向の所定の範囲に、変圧器油槽2内の絶縁油4と同じ絶縁油の油面L1 が形成されるように、絶縁油4の量が設定されている。
【0038】
第1のコンサベータ15の上部には第1の呼吸管19が接続され、該第1の呼吸管19の下端には第1の吸湿呼吸器20が接続されている。
【0039】
以上の各部は、図2に示した従来の負荷時タップ切換変圧器と同様であるが、本発明においては、第2のコンサベータ16が建屋1内に配置されて支持台25を介して油槽2の天井部に支持されている。第2のコンサベータ16は、軸線を水平方向に向けた円筒状の容器からなっていて、垂直方向に伸びる第2の連結管22を通してギアケース8に設けられた管台部8aに接続され、連結管22とギアケース8内とを通して第2のコンサベータ16と切換開閉器収容タンク7とが接続されている。
【0040】
第2のコンサベータ16の上部には、第2の呼吸管23の一端が接続されている。この第2の呼吸管23は、第2のコンサベータ16の上部からほぼ垂直に立ち上がって、建屋1の天井部1aを貫通して第1のコンサベータ15内の油面L1 の上限位置よりも更に高い位置に達する立上がり部23aと、該立上がり部23aの上端から折り返して下方に伸びる下向延伸部23bとを有している。図示の例では、立上り部23aの上端が第1のコンサベータ15の上端よりも高い位置(第1の呼吸管19の上端位置)に達するように設けられていて、下向延伸部23bの下端が第1のコンサベータ15よりも十分に低い位置(建屋1の天井部1aに近い位置)に達するように、立上り部23a及び下向延伸部23bの長さが設定され、下向延伸部23bの下端に第2の吸湿呼吸器24が接続されている。そして、第2のコンサベータ16内の高さ方向の所定の範囲内に切換開閉器収容タンク7内の絶縁油4´と同じ絶縁油の油面L2 が形成されるように、絶縁油4´の量が設定されている。
【0041】
なお本発明においては、第1のコンサベータ15内の油面が上限位置にある状態で切換開閉器収容タンク7内と変圧器油槽2内とを連通させたとした場合に、第1のコンサベータ15内で生じる油面の低下を許容範囲内に抑えるように、第2の呼吸管23の立上り部23aの上端位置を設定すればよく、必ずしも、第2の呼吸管23の立上り部23aの上端位置は、第1のコンサベータ15内の油面レベルの上限位置よりも高い位置に設定する必要はないが、第2の呼吸管23の立上り部23aの上端位置を、第1のコンサベータ15内の油面レベルの上限位置よりも高い位置に設定しておけば、上記の条件は確実に満たされる。
【0042】
上記のように、第2の呼吸管23に立上がり部23aを設けておくと、万一変圧器の運転中に切換開閉器収容タンク7の液密が破れたとしても、切換開閉器収容タンク7内の絶縁油は、第2の呼吸管13内を通して第1のコンサベータ15内の油面の高さまで上昇するだけであり、外部に流出することはない。従って、万一切換開閉器収容タンク7の液密が破れたとしても、変圧器油槽2内の絶縁油の油面レベルが低下することはないため、負荷時タップ切換変圧器の信頼性を高めることができる。
【0043】
また上記のように、切換開閉器収容タンク用の第2のコンサベータを建屋1内に配置すると、建屋の天井部1aの面積を縮小することができるため、建屋の小形化を図って、変圧器の設置面積の縮小を図ることができる。
【0044】
第2のコンサベータ16を切換開閉器収容タンク7に接続するための第2の連結管22は、その径が大きいため、図2に示した従来例のように、第2のコンサベータ16を建屋1の屋上に配置した場合には、建屋の天井部に第2の連結管を貫通させるための大径の孔を形成する必要があり、この大径の孔が建屋の屋上の機器のレイアウト設計を行う上で制約になる。
【0045】
これに対し、図1に示すように、第2のコンサベータを建屋内に配置して、第2の呼吸管23のみを建屋の天井部を通して外部に導出するようにすると、第2の連結管22を貫通させるための大径の孔を天井部に設ける必要がなく、天井部には、径が小さい第2の呼吸管23を貫通させるための孔を設ければよいため、建屋の屋上の機器のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、第2の呼吸管に立上がり部を設けて、第1のコンサベータ内の油面が上限位置にある状態で切換開閉器収容タンク内と変圧器油槽内とを連通させたとした場合に、第1のコンサベータ内で生じる油面の低下を許容範囲内に抑えるように、第2の呼吸管の立上り部の上端位置を設定したので、変圧器の運転中に切換開閉器収容タンクの液密が破れた場合に、絶縁油が外部に流出するのを防ぐことができる。従って、万一切換開閉器収容タンクの液密が破れたとしても、変圧器油槽内の絶縁油の油面レベルが低下することはないため、負荷時タップ切換変圧器の信頼性を高めることができる。
【0047】
また本発明によれば、切換開閉器収容タンク用の第2のコンサベータを建屋内に配置したことにより、建屋の天井部の面積を縮小することができるため、建屋の小形化を図って、変圧器の設置面積の縮小を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる負荷時タップ切換変圧器の構成例を示した断面図である。
【図2】 従来の負荷時タップ切換変圧器の一例を示した断面図である。
【図3】 従来の負荷時タップ切換変圧器の他の例を示した断面図である。
【符号の説明】
1…建屋、2…変圧器油槽、5…変圧器本体、6…タップ選択器、7…切換開閉器収容タンク、11…冷却器、12,13…導油管、15…第1のコンサベータ、16…第2のコンサベータ、18…第1の連結管、19…第1の呼吸管、22…第2の連結管、23…第2の呼吸管、23a…立上り部、23b…下向延伸部。
Claims (2)
- 建屋内に配置されて内部空間が絶縁油で満たされた変圧器油槽と、一次巻線または二次巻線にタップを備えていて前記変圧器油槽内に配置された変圧器本体と、前記変圧器油槽内に配置されて前記変圧器本体のタップを選択するタップ選択器と、前記変圧器油槽内に配置されて内部が絶縁油で満たされた独立の切換開閉器収容タンクと、前記切換開閉器収容タンク内に収容されて前記タップ選択器が選択するタップを切り換える際に限流手段を通して流れる電流を開閉する切換開閉器と、前記変圧器油槽内の絶縁油を冷却する冷却器と、前記変圧器油槽内に接続された第1のコンサベータと、前記切換開閉器収容タンク内に接続された第2のコンサベータと、前記第1のコンサベータ及び第2のコンサベータのそれぞれの上部に接続された第1及び第2の呼吸管とを備え、前記冷却器は前記建屋の屋上に配置されて前記建屋の天井部を貫通した導油管を通して前記変圧器油槽に接続され、前記第1のコンサベータは前記建屋の屋上に配置されて前記建屋の天井部を貫通した第1の連結管を通して前記変圧器油槽の上部に接続され、前記第2のコンサベータは前記建屋内で前記変圧器油槽の天井部の上方に配置されて第2の連結管を通して前記切換開閉器収容タンク内に接続されている負荷時タップ切換変圧器において、
前記第2のコンサベータに接続された第2の呼吸管は、前記建屋の天井部を通して外部に導出された立上がり部を有し、
前記第1のコンサベータ内の油面が上限位置にある状態で前記切換開閉器収容タンク内と変圧器油槽内とを連通させたとした場合に前記第1のコンサベータ内で生じる油面の低下を許容範囲内に抑えるように、前記第2の呼吸管の立上り部の上端位置が設定されていることを特徴とする負荷時タップ切換変圧器。 - 前記第2の呼吸管の立上り部の上端位置は、前記第1のコンサベータ内の油面レベルの上限位置よりも高い位置に設定されている請求項1に記載の負荷時タップ切換変圧器。
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