JP4138549B2 - コンデンサ素子結合体及び固体電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ素子、コンデンサ素子結合体及び固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の陽極には、絶縁性酸化皮膜形成能力を有するアルミニウム、チタン、真鍮、ニッケル、タンタルなどの金属、いわゆる弁金属が用いられる。そして、この弁金属の表面を陽極酸化して、絶縁性酸化皮膜を形成した後に、実質的に陰極として機能する電解質層を形成し、さらに、グラファイトや銀などの導電層を陰極として設けたものをコンデンサ素子としている。図10に示すように、このコンデンサ素子80は、多くの場合、長方形薄片状の蓄電部82と、蓄電部82の長辺の側面から外方に突出する、薄片状の複数対の電極部84とで構成されている。なお、電極部84は、接続部材86を介して、電極リード(図示せず)と接続される。このような形状のコンデンサ素子は、例えば、下記特許文献1に開示されている。なお、この文献に係るコンデンサ素子は、積層型セラミックコンデンサに適用するためのコンデンサ素子である。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第5880925号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のコンデンサ素子によって構成される固体電解コンデンサは、例えば、2cm×0.8cm程度の小さな素子サイズに対して約190μFもの大きな静電容量を有しているが、素子サイズを増大せずにさらに静電容量を増大する技術の開発が切望されている。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、外形寸法の増大を抑えつつ、静電容量を有意に増大することができるコンデンサ素子、コンデンサ素子結合体及び固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコンデンサ素子結合体は、複数の辺を有し、少なくとも1辺から複数の電極部が突出する弁金属基体と、弁金属基体から突出する複数の電極部のうちの一部の電極部に形成された陽極部と、弁金属基体の表面上の領域のうち、陽極部が形成された電極部の領域の残余領域に絶縁層を介して形成された固体電解質層と、該固体電解質層上に形成された導電体層とを有する陰極部と、を備えるコンデンサ素子が複数重なっており、一のコンデンサ素子の電極部間に、他のコンデンサ素子の電極部が位置し、陽極部が形成された電極部の側方に、陰極部が形成された電極部が位置していることを特徴とする。
【0007】
このコンデンサ素子結合体においては、コンデンサ素子の弁金属基体の少なくとも1辺から、複数の電極部が突出しており、これらの電極部には陽極部及び陰極部が形成されている。そして、このコンデンサ素子が複数重ねられて作製されたコンデンサ素子結合体においては、陰極部が形成された電極部が、陽極部が形成された電極部の側方に位置している。そのため、陰極部が形成された電極部が突出しても、それに伴うコンデンサ素子の外形寸法の増加が抑制される。従って、このコンデンサ素子結合体の外形寸法の増加を抑えつつ、電極部に形成された陰極部の分だけ静電容量を増大することができる。
【0008】
また、弁金属基体は、矩形状を有すると共に、その対向する2辺から2つずつ電極部が突出しており、電極部のうち、一方の辺から突出する2つの電極部には陽極部が形成されており、他方の辺から突出する2つの電極部には陰極部が形成されていることが好ましい。この場合、弁金属基体の表面上の領域のうち、陽極部が形成された領域と陰極部が形成された領域とを1本の仮想直線で分離することができるため、例えば、レジストを用いずに陰極部をディップ形成することが可能である。
【0009】
また、弁金属基体は、矩形状を有すると共に、その対向する2辺から2つずつ電極部が突出しており、電極部のうち、それぞれの辺から突出する2つの電極部の、一方には陽極部が形成されており、他方には陰極部が形成されていることが好ましい。
【0010】
また、電極部はそれぞれ、対向する辺に形成された電極部の位置に対応する位置から突出していることが好ましい。
【0011】
また、一方の辺から突出する2つの電極部の間に対応する位置に、他方の辺から突出する2つの電極部の一方である第1電極部が位置しており、他方の辺から突出するもう一方の電極部は、この電極部と第1電極部との間に対応する位置が、一方の辺から突出する2つの電極部の片方の位置となるように、位置していることが好ましい。
【0012】
また、弁金属基体は、矩形状を有すると共に、1辺のみから2つの電極部が突出しており、2つの電極部のうち、一方には陽極部が形成されており、他方には陰極部が形成されていることが好ましい。この場合、コンデンサ素子結合体をリードフレームに取り付ける際、1辺側のみの接合で取り付け作業が完了するため、取り付け作業の省力化が図られる。
【0013】
本発明に係る固体電解コンデンサは、複数の辺を有し、少なくとも1辺から複数の電極部が突出する弁金属基体と、該弁金属基体から突出する複数の電極部のうちの一部の電極部に形成された陽極部と、弁金属基体の表面上の領域のうち、陽極部が形成された電極部の領域の残余領域に絶縁層を介して形成された固体電解質層と、該固体電解質層上に形成された導電体層とを有する陰極部と、を備えるコンデンサ素子が複数重なっており、一のコンデンサ素子の電極部間に、他のコンデンサ素子の電極部が位置し、陽極部が形成された電極部の側方に、陰極部が形成された電極部が位置している、コンデンサ素子結合体と、陽極部及び陰極部に接続された導出部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この固体電解コンデンサにおいては、コンデンサ素子結合体の外形寸法が増加することなく、コンデンサ素子結合体の電極部に形成された陰極部の分だけ静電容量が増大されている。そのため、この固体電解コンデンサは、外形寸法の増加を抑えつつ、静電容量を増大することが可能である。
【0015】
本発明に係るコンデンサ素子は、固体電解コンデンサに適用されるコンデンサ素子であって、複数の辺を有し、少なくとも1辺から複数の電極部が突出する弁金属基体と、弁金属基体から突出する複数の電極部のうちの一部の電極部に形成された陽極部と、弁金属基体の表面上の領域のうち、陽極部が形成された電極部の領域の残余領域に絶縁層を介して形成された固体電解質層と、該固体電解質層上に形成された導電体層とを有する陰極部と、を備え、隣り合う電極部同士の間隔は、電極部が突出する弁金属基体の辺に沿う方向における電極部の幅よりも広いことを特徴とする。
【0016】
このコンデンサ素子においては、弁金属基体の少なくとも1辺から、複数の電極部が突出しており、これらの電極部には陽極部及び陰極部が形成されている。そして、隣り合う電極部同士の間隔は電極部の幅よりも広くなっているため、例えば、2つのコンデンサ素子を重ね合わせる際、電極部同士が接触しないように重ね合わせることができる。そのため、このコンデンサ素子は、上記コンデンサ素子結合体や固体電解コンデンサに適用可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係るコンデンサ素子、コンデンサ素子結合体及び固体電解コンデンサの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサ10を示した斜視図である。図1に示すように、固体電解コンデンサ10は、コンデンサ素子12Aとコンデンサ素子12Bが重なり合ったコンデンサ素子結合体12と、このコンデンサ素子結合体12が搭載される8つのリード電極(導出部)14と、コンデンサ素子結合体12及びリード電極14の一部をモールド固定する樹脂モールド16とを備えている。この固体電解コンデンサ10においては、固体電解コンデンサ10が搭載される回路基板(図示せず)からリード電極14を介してコンデンサ素子結合体12に給電がおこなわれる。なお、リード電極14は、回路基板の陽極電極に接続される陽極リード14Aと、回路基板の陰極電極に接続される陰極リード14Bとで構成されている。
【0019】
コンデンサ素子結合体12を構成する一対のコンデンサ素子12A,12Bそれぞれは、その表裏面12a,12bが粗面化(拡面化)されると共に化成処理が施された箔状のアルミニウム基体(弁金属基体)上の一部の領域(後述する陰極部の領域)に、固体高分子電解質層(固体電解質層)及び導電体層が順次積層されたものである。この領域の積層状態を、図2を参照しつつより具体的に説明する。図2は、図1に示したコンデンサ素子12A,12Bの要部を示す模式断面図である。
【0020】
図2に示すように、エッチングによって粗面化されたアルミニウム基体18(厚さ100μm)は、化成処理、すなわち陽極酸化によって、その表面18aに絶縁性を有する酸化アルミニウム皮膜20が成膜されている。そして、さらに酸化アルミニウム皮膜20上には、アルミニウム基体18の凹部に含浸するように、導電性高分子化合物を含む固体高分子電解質層22が形成されている。なお、固体高分子電解質層22の形成は、導電性化合物をモノマーの状態でアルミニウム基体18の凹部に含浸させて、その後、化学酸化重合又は電解酸化重合する方法によっておこなわれる。
【0021】
この固体高分子電解質層22上には、グラファイトペースト層24及び銀ペースト層26(導電体層)が浸漬法(ディップ法)によって順次形成されている。上述した固体高分子電解質層22、グラファイトペースト層24及び銀ペースト層26によって、コンデンサ素子12の陰極電極が構成されている。なお、グラファイトペースト層24や銀ペースト層26の形成は、必要に応じ、スクリーン印刷法やスプレー塗布法で代用される。
【0022】
次に、コンデンサ素子結合体12について、図3を参照しつつ説明する。図3は、コンデンサ素子結合体12を示した平面図である。コンデンサ素子結合体12を構成するコンデンサ素子12A及びコンデンサ素子12Bはいずれも、略長方形状の外形を有しており、対向する長辺のそれぞれからは2つの電極部28が突出している。電極部28は、対向する辺に形成された電極部28と互いに対応する位置から突出している。以下、説明の便宜上、コンデンサ素子12Aとコンデンサ素子12Bの長辺の延在方向をX方向、短辺の延在方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向として説明をすすめる。
【0023】
まず、固体電解コンデンサ10において、より下方に位置するコンデンサ素子12であるコンデンサ素子12Aについて説明する。コンデンサ素子12Aの電極部28のうち、一方の長辺から突出する2つの電極部28には陽極部30が形成されている。そして、コンデンサ素子12Aの表面領域のうち、この陽極部30が形成された領域以外の領域に陰極部32が形成されている。すなわち、長方形状の部分、及び、陽極部30が形成された電極部28側の長辺に対向する長辺の電極部28の部分には、陰極部32が形成されている。
【0024】
陽極部30には、アルミニウム基体18上に酸化アルミニウム皮膜20のみが成膜されている。一方、陰極部32には、上述したように、アルミニウム基体18に成膜された酸化アルミニウム皮膜20上に、固体高分子電解質層22、グラファイトペースト層24及び銀ペースト層26からなる陰極電極がさらに形成されている。なお、上述した陽極部30領域と陰極部32領域との境界には、幅1mm程度でシリコーン製の絶縁性樹脂層34が塗布されている。また、以下の説明においては、説明の便宜上、陽極部30が形成された電極部28を陽極電極部28A、陰極部32が形成された電極部28を陰極電極部28Bと呼ぶこととする。
【0025】
次に、コンデンサ素子12Aを作製する手順について、図4を参照しつつ説明する。図4は、コンデンサ素子12Aを作製する手順を示した図である。
【0026】
まず、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜20が形成されているアルミニウム箔シートから、長方形の対向する長辺から2つずつ突起部38が突出した形状のアルミニウム箔40を切り出す。そして、一方の長辺に形成された突起部38の端部を支持して、アルミニウム箔40をステンレスビーカ41中に収容された化成溶液42中に浸漬する(図4(a)参照)。そして、支持された突起部38をプラス、ステンレスビーカ41をマイナスにして電圧を印加する。このようにして、アルミニウム箔40を化成溶液42で化成処理することで、箔シートからの切り出し時に露出した、アルミニウム基体18の端面に酸化アルミニウム皮膜20が形成される。なお、化成溶液42は、例えば、濃度3%のアジピン酸アンモニウム水溶液等が好ましい。また、化成処理時の電圧は、所望する酸化アルミニウム皮膜の膜厚に応じて適宜決定することができ、10nm〜1μmの膜厚を有する酸化アルミニウム皮膜20を形成する場合には、通常、数ボルト〜20ボルト程度である。
【0027】
化成処理の後は、アルミニウム箔40の支持された側の突起部38の付け根部分で、陽極部30領域となる部分と陰極部32領域となる部分の境界に絶縁性樹脂層34を塗布する(図4(b)参照)。そして、このアルミニウム箔40の絶縁性樹脂層34より下の部分を、ビーカ44内に収容された重合液45内に浸漬して、化学酸化重合(又は、電解酸化重合)をおこなう(図4(c)参照)。それにより、アルミニウム箔40表面上の陰極部32領域に固体高分子電解質層22が形成される。
【0028】
陽極部30領域となる部分と陰極部32領域となる部分との境界には、絶縁性樹脂層34が塗布されているため、上記酸化重合の際に、毛細現象により、陰極部32領域の粗面化構造部分から陽極部30領域の粗面化構造部分への重合液45の浸透が抑止される。そのため、陽極部領域には、固体高分子電解質層22が形成されない。また、アルミニウム箔40には、その端面にも酸化アルミニウム皮膜20が形成されているので、陰極電極(固体高分子電解質層等)と陽極電極(アルミニウム基体)とのショートが抑止される。さらに、アルミニウム箔40表面上の領域のうち、陽極部30領域と陰極部32領域とを1本の仮想直線で分離可能なため、酸化重合の際などにおいて、陰極部32領域のみを重合液45等に浸すことが可能である。従って、レジストを用いることなく、陰極部32を形成することが可能である。
【0029】
そして、さらにアルミニウム箔40の表面上で、固体高分子電解質層22が形成された領域に、グラファイトペースト層24及び銀ペースト層26をディップ形成する。最後に、上述した突起部38の一部を切断することで、図3に示したコンデンサ素子12Aが得られる。なお、アルミニウム箔40表面上に固体高分子電解質層22を形成する前に、上述した化成処理と同様の方法で、皮膜修復処理(エージング)をおこなってもよい。
【0030】
図3に示したコンデンサ素子12Bは、上述したコンデンサ素子12Aの製造方法と同じ方法により得られる素子であり、コンデンサ素子12Aと同じ構成を有している。そして、このコンデンサ素子12Bは、コンデンサ素子12Aに対してZ軸周りに180度回転した状態で、導電性接着剤を介してコンデンサ素子12Aに重ねられている。そのため、コンデンサ素子12Aの陽極電極部28A及び陰極電極部28Bと、コンデンサ素子12Bの陽極電極部28A及び陰極電極部28Bとは、コンデンサ素子12A(又はコンデンサ素子12B)の重心点に対して点対称の位置関係となっている。また、コンデンサ素子12A及びコンデンサ素子12Bはともに、その電極部28の間隔(D1)が、X方向における電極部28の幅(D2)よりも広くなっている。さらに、コンデンサ素子12Bをコンデンサ素子12Aに重ね合わせた際、コンデンサ素子12Bの電極部28がコンデンサ素子12Aの電極部28の間に位置するよう、コンデンサ素子12A及びコンデンサ素子12Bの電極部28の位置が調整されている。なお、以下で示すコンデンサ素子はいずれも、電極部28の間隔(D1)が、X方向における電極部28の幅(D2)よりも広くなっている。
【0031】
従って、図3に示すように、コンデンサ素子結合体12を平面視した場合には、所定距離だけ離間して、コンデンサ素子12Aの陽極電極部28Aの側方にコンデンサ素子12Bの陰極電極部28Bが位置し、コンデンサ素子12Aの陰極電極部28Bの側方にコンデンサ素子12Bの陽極電極部28Aが位置する。そして、コンデンサ素子結合体12の一方の長辺側では、コンデンサ素子12Aの陽極電極部28Aとコンデンサ素子12Bの陰極電極部28Bとが交互に並び、コンデンサ素子結合体12の他方の長辺側では、コンデンサ素子12Aの陰極電極部28Bとコンデンサ素子12Bの陽極電極部28Aとが交互に並んでおり、電極部28同士の接触はない。
【0032】
次に、上述したコンデンサ素子結合体12を用いて固体電解コンデンサ10を作製する方法について、図5を参照しつつ説明する。
【0033】
図5に示すように、リードフレーム46は、コンデンサ素子結合体12を搭載させるべく、りん青銅製の基体が所定の形状に打ち抜き加工されたものである。リードフレーム46には、四方を囲むフレーム部46aの中央を結ぶ支持部46bが設けられており、また支持部46bとの直交方向(図のY方向)には、フレーム部46aから支持部46bに向けて突出した4つの陽極リード部47a,47b,47c,47dが設けられ、さらに、これらの陽極リード部47a,47b,47c,47dと所定間隔だけ離間して並行に設けられ、フレーム部46aと支持部46bとをつなぐ4つの陰極リード部48a,48b,48c,48dが設けられている。
【0034】
コンデンサ素子結合体12は、リードフレーム46の支持部46b上に、コンデンサ素子12Aの裏面12bが対向するように搭載され、銀を含む導電性接着剤50でコンデンサ素子12Aの裏面12bの最上層の銀ペースト層26と支持部46bとが接着固定される。コンデンサ素子12Aの2つの陽極電極部28Aは、対応する2つの陽極リード部47a,47bの端部と重なるように配置されると共に、レーザスポット溶接機で溶接される。また、コンデンサ素子12Bの2つの陽極電極部28Aは、対応する2つの陽極リード部47c,47dの端部にアルミニウム小片49を介して重ねられ、レーザスポット溶接機で溶接される。このようにレーザスポット溶接機で溶接することで、陽極電極部28Aに形成されている酸化アルミニウム皮膜20を突破して、陽極電極部28Aと陽極リード部47a,47b,47c,47dとが電気的に接続される。
【0035】
そして、リードフレーム46上に固定されたコンデンサ素子結合体12が、インジェクションまたはトランスファモールドによって、エポキシ樹脂でモールドされる。樹脂モールドされたコンデンサ素子結合体12は、リードフレーム46から切り離される。そして、陽極電極部28Aが形成された辺に直交するように延びる陽極リード部47a,47b,47c,47dを折り曲げて、図1に示した陽極リード14Aが構成される。また、陰極リード部48a,48b,48c,48dも折り曲げて、図1に示した陰極リード14Bが構成される。このように、コンデンサ素子結合体12からは、4つの陽極リード14Aと4つの陰極リード14Bとが引き出されて電流経路の分割が図られている。
【0036】
以上、詳細に説明したように、固体電解コンデンサ10においては、コンデンサ素子結合体12の各陰極電極部28Bは、陽極電極部28Aの側方に位置している。そして、コンデンサ素子12A,12Bに陰極電極部28Bが設けられている場合と、陰極電極部28Bが設けられていない場合とでは、コンデンサ素子12A,12Bの外形寸法に変化はない。また、この陰極電極部28Bには陰極部32が形成されており、この陰極電極部28Bは蓄電作用を有するため、コンデンサ素子12A及びコンデンサ素子12Bは、陰極電極部28Bの分だけ、陰極電極部28Bのないコンデンサ素子に比べて静電容量が増大している。すなわち、このようなコンデンサ素子結合体12においては、外形寸法を変えずに、陰極電極部28Bに形成された陰極部32の分だけ静電容量が増大される。また、外形寸法を変えずに静電容量が増大された、このようなコンデンサ素子結合体12が採用された固体電解コンデンサ10においては、固体電解コンデンサ10の外形寸法を変えずに、静電容量を増大することができる。さらに、コンデンサ素子12A,12Bの陽極電極部28A及び陰極電極部28Bとが並列していることにより、コンデンサ素子12A,12Bに電流が流れた場合に、その電流により発生する磁場が相殺されるため、等価直列インダクタンス(ESL)の低減が図られている。
【0037】
次に、上述したコンデンサ素子、コンデンサ素子結合体及び固体電解コンデンサの異なる態様について、図を参照しつつ説明する。
【0038】
図6は、上述したコンデンサ素子12A,12Bと異なる態様のコンデンサ素子を示した概略斜視図である。この図6に示したコンデンサ素子12Cは、上記陽極電極部が別部材である点でのみ、上述したコンデンサ素子12A,12Bと異なる。すなわち、コンデンサ素子12Cにおいては、コンデンサ素子12A,12Bでは陽極電極部28Aが突出していた位置に、電極片52が超音波溶接により取り付けられている。この電極片52は、粗面化されていないアルミニウム箔から切り出されたものである。以下、このコンデンサ素子12Cを作製する手順について、図7を参照しつつ説明する。図7は、コンデンサ素子12Cを作製する手順を示した図である。
【0039】
まず、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜20が形成されているアルミニウム箔シートから、長方形の1つの長辺から2つの突起部38が突出した形状のアルミニウム箔を切り出す。また、表面が粗面化されていないアルミニウム箔シートから矩形上の電極片54を切り出す。そして、突起部38が突出する長辺に対向する辺に2つの電極片54を部分的に重なるように取り付けて、アルミニウム箔接合体40Aを作製する。そして、電極片54の各端部を支持して、このアルミニウム箔接合体40Aをステンレスビーカ41中に収容された化成溶液42中に浸漬する(図7(a)参照)。そして、支持された電極片54をプラス、ステンレスビーカ41をマイナスにして電圧を印加する。このようにして、アルミニウム箔接合体40Aを化成溶液42で化成処理することで、箔シートからの切り出し時に露出した、アルミニウム基体18の端面に酸化アルミニウム皮膜20が形成される。
【0040】
化成処理の後は、アルミニウム箔接合体40Aの粗面化処理が施されたアルミニウム箔が全部浸るように、電極片54で支持して、アルミニウム箔接合体40Aをビーカ44内に収容された重合液45内に浸漬して、化学酸化重合(又は、電解酸化重合)をおこなう(図7(b)参照)。それにより、アルミニウム箔接合体40Aのうち、粗面化処理が施されているアルミニウム箔表面全体と、電極片54の一部に固体高分子電解質層22が形成される。なお、電極片54は表面が粗面化されていないため、上記酸化重合の際、重合液45の毛細現象による電極片54への浸透が抑止される。また、アルミニウム箔接合体40Aには、その端面にも酸化アルミニウム皮膜20が形成されているので、陰極電極(固体高分子電解質層等)と陽極電極(アルミニウム基体)とのショートが抑止される。
【0041】
そして、さらにアルミニウム箔接合体40Aの表面上で、固体高分子電解質層22が形成された領域に、グラファイトペースト層24及び銀ペースト層26をディップ形成する。最後に、上述した電極片54の一部を切断して電極片52とすることで、図6に示したコンデンサ素子12Cが得られる。
【0042】
以上説明したように、コンデンサ素子12Cにおいても、コンデンサ素子12A,12Bと同様に、コンデンサ素子12C同士を重ね合わせることにより、コンデンサ素子結合体12と同様のコンデンサ素子結合体を形成することが可能である。すなわち、コンデンサ素子12Cを用いてコンデンサ素子結合体を形成した場合、その各陰極電極部28Bは、上述の陽極電極部28Aと同様に機能する電極片52の側方に位置する。そのため、このようなコンデンサ素子12Cにおいては、外形寸法を変えずに、陰極電極部28Bに形成された陰極部32の分だけ静電容量が増大される。また、外形寸法を変えずに静電容量が増大された、このようなコンデンサ素子結合体が採用された固体電解コンデンサ(図示せず)においては、固体電解コンデンサ10の外形寸法を変えずに、静電容量を増大することができる。
【0043】
図8は、上述したコンデンサ素子結合体12と異なる態様のコンデンサ素子結合体を示した概略平面図である。この図8に示したコンデンサ素子結合体56は、コンデンサ素子12D及びコンデンサ素子12Eとにより構成されている。そして、コンデンサ素子12Dとコンデンサ素子12A、及び、コンデンサ素子12Eとコンデンサ素子12Bとは、電極部28が突出する位置が異なる点でのみ相異する。すなわち、コンデンサ素子12Dは、一方の辺から突出する2つの陽極電極部28Aの間の位置に対応する位置で、対向する辺から陰極電極部(第1電極部)28Bが突出している。また、この陰極電極部28Bとは異なる陰極電極部28Bが、この陰極電極部28Bと上記第1電極部28Bとの間に対応する位置が、上記陽極電極部28Aの位置となるように位置している。
【0044】
それにより、コンデンサ素子12Dにおいては、コンデンサ素子12Dの重心点に関して、点対称に電極部28が設けられている。また、このコンデンサ素子12Dと同様の電極部28の位置関係を有するコンデンサ素子12Eとが重ね合わされて、コンデンサ素子結合体56が形成されている。なお、コンデンサ素子12Dと、コンデンサ素子12Eとは、X軸に関して鏡像関係を有するように重なり合うため、コンデンサ素子結合体56においては陽極電極部28A同士及び陰極電極部28B同士が互いに対向している。
【0045】
このような位置関係を有するコンデンサ素子結合体56であっても、上述したコンデンサ素子結合体12と同様に、各陰極電極部28Bが陽極電極部28Aの側方に位置しているため、外形寸法を変えずに、陰極電極部28Bに形成された陰極部32の分だけ静電容量を増大することが可能である。
【0046】
図9は、上述したコンデンサ素子結合体12と異なる態様のコンデンサ素子結合体を示した概略平面図である。この図9に示したコンデンサ素子結合体58は、コンデンサ素子12F及びコンデンサ素子12Gとにより構成されている。そして、コンデンサ素子12Fとコンデンサ素子12A、及び、コンデンサ素子12Gとコンデンサ素子12Bとは、陽極部30が形成されている電極部28が異なる点でのみ異なる。すなわち、コンデンサ素子12F及びコンデンサ素子12Gにおいて、同じ辺にある2つの電極部28のうち、一方は陽極電極部28Aで他方は陰極電極部28Bである。また、対向する長辺においては、陰極電極部28Bの位置と陽極電極部28Aの位置とが対応している。以下、このコンデンサ素子12F,12Gを作製する手順について、図10を参照しつつ説明する。図10は、コンデンサ素子12F,12Gを作製する手順を示した図である。
【0047】
まず、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜20が形成されているアルミニウム箔シートから、長方形の対向する長辺から2つずつ突起部38が突出した形状のアルミニウム箔40を切り出す。このとき、陽極電極部28Aとなる突起部38の付け根部分、すなわち陽極部領域と陰極部領域との境の帯状領域(例えば、幅1mm)を圧縮してその部分の粗面化構造を破壊して、絶縁溝部60を形成してもよい。このような絶縁溝部60を形成することにより、アルミニウム箔40の粗面化構造が陰極部32領域と陽極部30領域とで分断される。そのため、後述する固体高分子電解質層22の形成工程で、陰極部32領域に浸透した重合液が毛細現象によって陽極部30領域まで浸透することを確実に防ぐことができる。
【0048】
次に、コンデンサ素子12A,12Bの作製方法と同様に、アルミニウム箔40を化成溶液42中に浸漬する(図10(a)参照)。そして、突起部38をプラス、ステンレスビーカ41をマイナスにして電圧を印加する。このようにして、アルミニウム箔40を化成溶液42で化成処理することで、箔シートからの切り出し時に露出した、アルミニウム基体18の端面に酸化アルミニウム皮膜20が形成される。
【0049】
化成処理の後は、陽極部30領域となる部分に熱硬化型レジスト62を塗布する。(図10(b)参照)。そして、このアルミニウム箔40のレジスト62の上端より下の部分を、ビーカ44内に収容された重合液45内に浸漬して、化学酸化重合(又は、電解酸化重合)をおこない、アルミニウム箔40表面上に固体高分子電解質層22を形成する(図10(c)参照)。
【0050】
ここで、粗面化されたアルミニウム箔40表面の凹凸は微細なため、粗面化された表面にレジスト62を隙間無く緻密に形成することは困難である。そのため、レジスト62で覆った領域であっても、粗面化構造の部分における毛細現象によって、その領域に固体高分子電解質層22が形成されてしまう場合がある。このような場合には、先に述べたように、粗面化構造を破壊した絶縁溝部60を陽極部30領域と陰極部32領域との境界に形成して、重合液45が、固体高分子電解質層22が形成される陰極部32領域から陽極部30領域へ浸透してしまうのを防止する。
【0051】
そして、さらにアルミニウム箔40の表面上で、固体高分子電解質層22が形成された領域に、グラファイトペースト層24及び銀ペースト層26をディップ形成する。最後に、レジスト62を除去すると共に、突起部38の一部を切断することで、図9に示したコンデンサ素子12F,12Gが得られる。
【0052】
以上説明したように、このようなコンデンサ素子結合体58においても、外形寸法を変えずに、陰極電極部28Bに形成された陰極部32の分だけ静電容量が増大される。また、外形寸法を変えずに静電容量が増大された、このようなコンデンサ素子結合体58が採用される固体電解コンデンサ10においては、固体電解コンデンサ10の外形寸法を変えずに、静電容量を増大することができる。
【0053】
また、コンデンサ素子は、一辺にのみから電極部が突出する態様であってもよい。すなわち、図11に示すように、一辺に陽極電極部28A及び陰極電極部28Bが形成されたコンデンサ素子12H及びコンデンサ素子12Iを重ね合わせたコンデンサ素子結合体64であっても、陰極電極部28Bを陽極電極部28Aの側方に位置させることが可能である。そして、コンデンサ素子12H,12Iに陰極電極部28Bが設けられている場合と、陰極電極部28Bが設けられていない場合とでは、コンデンサ素子12H,12Iの外形寸法に変化はない。このようなコンデンサ素子結合体64においては、外形寸法を変えずに、陰極電極部28Bに形成された陰極部32の分だけ静電容量が増大される。また、外形寸法を変えずに静電容量が増大された、このようなコンデンサ素子結合体64が採用される固体電解コンデンサ10においては、固体電解コンデンサ10の外形寸法を変えずに、静電容量を増大することができる。さらに、コンデンサ素子結合体64を、上述したリードフレーム46のようなリードフレームに取り付ける際、コンデンサ素子結合体64を1辺側のみの接合で取り付け作業が完了するため、取り付け作業の省力化が図られる。
【0054】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、様々な変形が可能である。例えば、コンデンサ素子結合体を構成するコンデンサ素子の数は2つに限定されず、適宜増加させることができる。また、固体電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子の数も2つに限定されず、適宜増加させることができる。さらに、弁金属基体の材料として、アルミニウムが用いられているが、アルミニウムに代えて、アルミニウム合金、または、タンタル、チタン、ニオブ、ジルコニウムもしくはこれらの合金などによって、弁金属基体を形成することもできる。また、上記実施形態においては、8端子の固体電解コンデンサを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、端子数を加減したタイプの固体電解コンデンサにも同様に適用することができる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の効果をより一層明らかなものとするため、実施例および比較例を掲げる。
【0056】
(実施例1)
固体電解コンデンサを、以下のようにして、作製した。
【0057】
まず、図7に示した作製方法と略同様の方法によってコンデンサ素子を以下のように作製した。すなわち、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜が形成されている厚さ100μmのアルミニウム箔シートから、0.6cm×2.0cmの寸法のアルミニウム箔を切り出すと共に、切り抜き成形して、図6に示した形状のアルミニウム箔を得た。そして、粗面化処理が施されていない厚さ70μmのアルミニウム箔シートから、0.25cm×0.4cmの寸法で1つ、1.25cm×0.4cmの寸法で1つのアルミニウム箔を切り出した。
【0058】
これら2つのアルミニウム箔(陽極電極箔、電極片)を、所定の位置に配置し,それぞれの一端部領域が0.5mmだけ重なり合うように重ね合わせ、それぞれの一端部領域が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によって接合して電気的に接続し、陽極電極箔と粗面化処理が施されているアルミニウム箔との接合体(コンデンサ素子用電極体)を作製した。
【0059】
そして、このようにして得られたコンデンサ素子用電極体を、粗面化処理が施されているアルミニウム箔が完全に浸漬されるように、3重量%の濃度で6.0のpHに調整されたアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬した。次いで、長い方の陽極電極箔を陽極とし、化成電流密度が50〜100mA/cm2、化成電圧が12Vの条件下で、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬されたコンデンサ素子の切断部端面を酸化させ、酸化アルミニウム皮膜を形成した。この化成処理により、電極体表面に酸化アルミニウム皮膜が形成された。
【0060】
その後、電極体をアジピン酸アンモニウム水溶液から引き上げ、粗面化処理が施されているアルミニウム箔表面に、ポリピロールからなる固体高分子電解質層を化学酸化重合によって形成した。
【0061】
ここで、ポリピロールからなる固体高分子電解質層は、精製した0.1モル/リットルのピロールモノマー、0.1モル/リットルのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム及び0.05モル/リットルの硫酸鉄(III)を含むエタノール水混合溶液セル中に電極体をセットし、30分間にわたって攪拌し、化学酸化重合を進行させ、同じ操作を3回にわたって繰り返して、生成した。その結果、最大厚さが、約50μmの固体高分子電解質層が形成された。
【0062】
さらに、こうして得られた固体高分子電解質層の表面にカーボンペースト及び銀ペーストをディップ形成して、陰極電極を形成した。最後に、化成処理の際に陽極として用いた陽極電極箔を切り揃え、コンデンサ素子(0.8cm×2.0cm)が完成した。
【0063】
以上のようにして2つのコンデンサ素子を作製し、その陽極電極箔同士が接触しないように2つのコンデンサ素子を導電性接着剤を介して重ねあわせた。以上のようにして作製されたコンデンサ素子結合体を、図5に示した所定の形状に加工されたリードフレーム上に搭載し、銀を含む導電性接着剤で最下面の銀ペースト層とリードフレームとを接着した。なお、コンデンサ素子結合体のそれぞれの陽極部を、NEC製YAGレーザスポット溶接機でリードフレームの陽極リード部に溶接して、コンデンサ素子結合体とリードフレームとを一体化した。
【0064】
リードフレーム上に固体電解コンデンサ素子が固定された後に、インジェクションまたはトランスファモールドによって、エポキシ樹脂でモールドした。モールド後の固体電解コンデンサをリードフレームから切り離し、陽極リードおよび陰極リードを折り曲げて、図1に示すような8端子型のディスクリート型固体電解コンデンサ#1を得た。その後、既知の方法にて、固体電解コンデンサに一定の電圧を印加して、エージング処理を行い、漏れ電流を十分に低減させて、完成させた。
【0065】
こうして得られた8端子型固体電解コンデンサ#1の電気的特性について、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナライザー4194A、ネットワークアナライザー8753Dを用いて、静電容量およびS21特性を測定し、得られたS21特性をもとに、等価回路シミュレーションを行い、ESR、ESL値を決定した。その結果、120Hzでの静電容量は220.0μFであり、100kHzでのESRは14mΩであり、ESLは157pHであった。
【0066】
(実施例2)
固体電解コンデンサを、以下のようにして作製した。
【0067】
まず、図4に示した作製方法によってコンデンサ素子を以下のように作製した。すなわち、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミニウム箔シートから、0.8cm×2.0cmの寸法でアルミニウム箔を切り出すと共に、切り抜き成形して、図3に示した形状のアルミニウム箔を得た。そして、電極部の付け根部分に幅1mmの絶縁性樹脂層を形成した。なお、この絶縁性樹脂層を形成する領域は、圧縮によって粗面化構造を破壊してもよい。
【0068】
そして、粗面化処理が施されていない厚さ70μmのアルミニウム箔シートから、1.05cm×0.4cmの寸法でアルミニウム箔を切り出した。このアルミニウム箔(陽極電極箔)を、所定の位置に配置し,それぞれの一端部領域が0.5mmだけ重なり合うように重ね合わせ、それぞれの一端部領域が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によって接合して電気的に接続し、陽極電極箔と粗面化処理が施されているアルミニウム箔との接合体(コンデンサ素子用電極体)を作製した。
【0069】
その後、実施例1と同様に、コンデンサ素子用電極体を、粗面化処理が施されているアルミニウム箔が完全に浸漬されるようにアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、化成処理をおこなうと共に、電極体に陰極電極(ポリピロールからなる固体高分子電解質層、カーボンペースト層及び銀ペースト層)を形成した。以上の処理によって、コンデンサ素子(0.8cm×2.0cm)が完成した
【0070】
以上のようにして2つのコンデンサ素子を作製し、その陽極電極箔同士が接触しないように2つのコンデンサ素子を導電性接着剤を介して重ねあわせた。以上のようにして作製されたコンデンサ素子結合体を、図5に示した所定の形状に加工されたリードフレーム上に搭載し、銀を含む導電性接着剤で最下面の銀ペースト層とリードフレームとを接着した。なお、コンデンサ素子結合体のそれぞれの陽極部を、NEC製YAGレーザスポット溶接機でリードフレームの陽極リード部に溶接して、コンデンサ素子結合体とリードフレームとを一体化した。
【0071】
リードフレーム上に固体電解コンデンサ素子が固定された後に、インジェクションまたはトランスファモールドによって、エポキシ樹脂でモールドした。モールド後の固体電解コンデンサをリードフレームから切り離し、陽極リードおよび陰極リードを折り曲げて、図1に示すような8端子型のディスクリート型固体電解コンデンサ#2を得た。その後、既知の方法にて、固体電解コンデンサに一定の電圧を印加して、エージング処理を行い、漏れ電流を十分に低減させて、完成させた。
【0072】
こうして得られた8端子型固体電解コンデンサ#2の電気的特性について、実施例1と同様の手法で評価した。その結果、120Hzでの静電容量は224.0μFであり、100kHzでのESRは13mΩであり、ESLは157pHであった。
【0073】
(比較例1)
まず、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜が形成されている厚さ100μmのアルミニウム箔シートから、0.4cm×2.0cmの寸法で、アルミニウム箔を矩形状に切り出した。また、粗面化処理が施されていない厚さ70μmのアルミニウム箔シートから、0.25cm×0.4cmの寸法で、2つのアルミニウム箔を矩形状に切り出した。これら2つのアルミニウム箔(陽極電極箔)を、粗面化処理が施されたアルミニウム箔の1つの端部に所定間隔だけ離間させて配置した。そして、陽極電極箔それぞれの一端部領域が、粗面化処理が施されたアルミニウム箔に0.5mmだけ重なるように重ね合わせて、重なり合った部分を、日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によって接合するとともに電気的に接続して、粗面化処理が施されていないアルミニウム箔および粗面化処理が施されているアルミニウム箔の接合体(コンデンサ素子用電極体)を作製した。
【0074】
その後、実施例1と同様に、コンデンサ素子用電極体を、粗面化処理が施されているアルミニウム箔が完全に浸漬されるようにアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、化成処理をおこなうと共に、電極体に陰極電極(ポリピロールからなる固体高分子電解質層、カーボンペースト層及び銀ペースト層)を形成した。以上の処理によって、コンデンサ素子(0.6cm×2.0cm)が完成した
【0075】
以上のようにして2つのコンデンサ素子を作製し、その陽極電極箔同士が接触しないよう、2つのコンデンサ素子がアルミニウム箔の重心点に対して点対称となるように導電性接着剤を介して重ねあわせた。以上のようにして作製されたコンデンサ素子結合体を、図5に示した所定の形状に加工されたリードフレーム上に搭載し、銀を含む導電性接着剤で最下面の銀ペースト層とリードフレームとを接着した。なお、コンデンサ素子結合体のそれぞれの陽極部を、NEC製YAGレーザスポット溶接機でリードフレームの陽極リード部に溶接して、コンデンサ素子結合体とリードフレームとを一体化した。
【0076】
リードフレーム上に固体電解コンデンサ素子が固定された後に、インジェクションまたはトランスファモールドによって、エポキシ樹脂でモールドした。モールド後の固体電解コンデンサをリードフレームから切り離し、陽極リードおよび陰極リードを折り曲げて、図1に示すような8端子型のディスクリート型固体電解コンデンサ#3を得た。その後、既知の方法にて、固体電解コンデンサに一定の電圧を印加して、エージング処理を行い、漏れ電流を十分に低減させて、完成させた。
【0077】
こうして得られた8端子型固体電解コンデンサ#3の電気的特性について、実施例1と同様の手法で評価した。その結果、120Hzでの静電容量は186.0μFであり、100kHzでのESRは20mΩであり、ESLは158pHであった。
【0078】
(比較例2)
まず、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミニウム箔シートから、0.6cm×2.0cmの寸法でアルミニウム箔を切り出すと共に、切り抜き成形して、図11に示した形状のアルミニウム箔を得た。そして、電極部の付け根部分に幅1mmの絶縁性樹脂層を形成した。そして、粗面化処理が施されていない厚さ70μmのアルミニウム箔シートから、1.05cm×0.4cmの寸法でアルミニウム箔を切り出した。このアルミニウム箔(陽極電極箔)を、所定の位置に配置し,それぞれの一端部領域が0.5mmだけ重なり合うように重ね合わせ、それぞれの一端部領域が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によって接合して電気的に接続し、陽極電極箔と粗面化処理が施されているアルミニウム箔との接合体(コンデンサ素子用電極体)を作製した。
【0079】
その後、実施例1と同様に、コンデンサ素子用電極体を、粗面化処理が施されているアルミニウム箔が完全に浸漬されるようにアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、化成処理をおこなうと共に、電極体に陰極電極(ポリピロールからなる固体高分子電解質層、カーボンペースト層及び銀ペースト層)を形成した。以上の処理によって、コンデンサ素子(0.6cm×2.0cm)が完成した
【0080】
以上のようにして2つのコンデンサ素子を作製し、その陽極電極箔同士が接触しないよう、2つのコンデンサ素子がアルミニウム箔の重心点に対して点対称となるように導電性接着剤を介して重ねあわせた。以上のようにして作製されたコンデンサ素子結合体を、図5に示した所定の形状に加工されたリードフレーム上に搭載し、銀を含む導電性接着剤で最下面の銀ペースト層とリードフレームとを接着した。なお、コンデンサ素子結合体のそれぞれの陽極部を、NEC製YAGレーザスポット溶接機でリードフレームの陽極リード部に溶接して、コンデンサ素子結合体とリードフレームとを一体化した。
【0081】
リードフレーム上に固体電解コンデンサ素子が固定された後に、インジェクションまたはトランスファモールドによって、エポキシ樹脂でモールドした。モールド後の固体電解コンデンサをリードフレームから切り離し、陽極リードおよび陰極リードを折り曲げて、図1に示すような8端子型のディスクリート型固体電解コンデンサ#4を得た。その後、既知の方法にて、固体電解コンデンサに一定の電圧を印加して、エージング処理を行い、漏れ電流を十分に低減させて、完成させた。
【0082】
こうして得られた8端子型固体電解コンデンサ#4の電気的特性について、実施例1と同様の手法で評価した。その結果、120Hzでの静電容量は188.0μFであり、100kHzでのESRは18mΩであり、ESLは158pHであった。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、外形寸法の増大を抑えつつ、静電容量を有意に増大することができるコンデンサ素子、コンデンサ素子結合体及び固体電解コンデンサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサを示した概略斜視図である。
【図2】図1に示したコンデンサ素子の要部を示す模式断面図である。
【図3】図1に示したコンデンサ素子結合体を示した平面図である。
【図4】コンデンサ素子を作製する手順を示した図である。
【図5】図3に示したコンデンサ素子結合体がリードフレーム上に搭載された状態を示す斜視図である。
【図6】本発明によるコンデンサ素子の異なる態様を示した概略斜視図である。
【図7】図6に示したコンデンサ素子を作製する手順を示した図である。
【図8】本発明に係るコンデンサ素子結合体の異なる態様を示した図である。
【図9】本発明に係るコンデンサ素子結合体のさらに異なる態様を示した図である。
【図10】図9に示したコンデンサ素子を作製する手順を示した図である。
【図11】本発明に係るコンデンサ素子結合体のさらに異なる態様を示した図である。
【符号の説明】
10…固体電解コンデンサ、12,56,58,64…コンデンサ素子結合体、12A,12B,12C,12D,12E,12F,12G,12H,12I…コンデンサ素子、14…リード電極、18…アルミニウム基体、20…酸化アルミニウム皮膜、22…固体高分子電解質層、26…銀ペースト層、28…電極部、30…陽極部、32…陰極部、D1…間隔、D2…幅。
Claims (2)
- 矩形状を有すると共に、その対向する2辺のそれぞれ対応する位置から2つずつ電極部が突出する弁金属基体と、
前記弁金属基体から突出する複数の前記電極部のうち、一方の辺から突出する2つの前記電極部に形成された陽極部と、
前記弁金属基体の表面上の領域のうち、他方の辺から突出する2つの前記電極部を含む、前記陽極部が形成された前記電極部の領域の残余領域に絶縁層を介して形成された固体電解質層と、該固体電解質層上に形成された導電体層とを有する陰極部と、
を備え、
隣り合う前記電極部同士の間隔は、前記電極部が突出する前記弁金属基体の辺に沿う方向における前記電極部の幅よりも広い、コンデンサ素子が複数重なっており、
複数重ねられた前記コンデンサ素子は、一の前記コンデンサ素子に対し、他の前記コンデンサ素子が前記弁金属基体に直交する軸周りに180度回転した状態で順に重ねられており、
一の前記コンデンサ素子の前記電極部間に、他の前記コンデンサ素子の前記電極部が位置し、
前記陽極部が形成された前記電極部の側方に、前記陰極部が形成された前記電極部が位置している、コンデンサ素子結合体。 - 矩形状を有すると共に、その対向する2辺のそれぞれ対応する位置から2つずつ電極部が突出する弁金属基体と、該弁金属基体から突出する複数の前記電極部のうち、一方の辺から突出する2つの前記電極部に形成された陽極部と、前記弁金属基体の表面上の領域のうち、他方の辺から突出する2つの前記電極部を含む、前記陽極部が形成された前記電極部の領域の残余領域に絶縁層を介して形成された固体電解質層と、該固体電解質層上に形成された導電体層とを有する陰極部と、を備え、隣り合う前記電極部同士の間隔は、前記電極部が突出する前記弁金属基体の辺に沿う方向における前記電極部の幅よりも広い、コンデンサ素子が複数重なっており、複数重ねられた前記コンデンサ素子は、一の前記コンデンサ素子に対し、他の前記コンデンサ素子が前記弁金属基体に直交する軸周りに180度回転した状態で順に重ねられており、一の前記コンデンサ素子の前記電極部間に、他の前記コンデンサ素子の前記電極部が位置し、前記陽極部が形成された前記電極部の側方に、前記陰極部が形成された前記電極部が位置している、コンデンサ素子結合体と、
前記陽極部及び前記陰極部に接続された導出部と、を備える固体電解コンデンサ。
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