JP4138152B2 - トラクタの空調装置構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタの空調装置構造に関し、特に、ボンネットに内装した空調装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空調装置を具備したトラクタは公知であり、例えば、該空調装置を機体前部のボンネットに内装したものがあった。このようなトラクタにおいては、特に比較的大型のトラクタでは、図13に示すように、ボンネット91内に設置されたエンジン92の上方に空調装置98を配置し、該空調装置98の前方に外気ダクト95を配設して、該外気ダクト95から空調装置98のブロア94を介してエアコンユニット93内へ外気を取り込むように構成していた。また、図14に示すように、空調装置98内へ内気を取り込むための内気ダクト96がブロア94及びエアコンユニット93の下方に配置されており、キャビンの前端に配設した防風板97における、内気ダクト96の配置位置に対応した箇所へ吸込孔97aを開口して、該吸込孔97aから内気ダクト96を通じて空調装置98内へ内気を取り込むようにしていた。さらに、空調装置98内へ取り込まれる内気用のエアフィルタはボンネット91内に設けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、内気の吸込口である前記吸込孔97aの開口位置は、内気ダクト96の配置位置により決定されてしまうため、該吸込孔97aの開口位置が空調装置98の目詰まり等に対して不利な位置であったとしても移動させることができなかった。さらに、空調装置98内へ取り込まれる内気用のエアフィルタはボンネット91内に設けられていたので、該エアフィルタの交換やメンテナンスを行う場合には、ボンネット91を開閉する必要があり、作業が煩雑になっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
ボンネット(4)に空調装置(15)を内装し、キャビン(12)を有したトラクタの空調装置構造において、該キャビン(12)の前端下部で、ステアリングハンドル(51)の前部に防風板を配設し、該防風板を、後方に窪んだ凹部(25a)を形成した第一防風板(25)と、平板状の第二防風板(26)の二層構造に構成し、二層に構成された該第一防風板(25)と第二防風板(26)間に形成される空間を、キャビン(12)内の 内気を空調装置(15)内へ取り込むための内気ダクト(20)とし、前記キャビン(12)の前端下部に配設した第一防風板(25)に取付プレート(35)を固設し、該取付プレート(35)に、前記空調装置(15)内に取り込まれる内気用のエアフィルタ(27)を取り付けるとともに、該取付プレート(35)により、前記ステアリングハンドル(51)のステアリング軸(24)を支持したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0007】
図1は本発明の空調装置構造を有するトラクタを示す側面図、図2はボンネット内部を示す側面図、図3は同じく平面図、図4は外気ダクトを示す平面断面図、図5は同じく側面断面図、図6は内気の取込経路及びエアコンユニットからの送風の吹出経路を示す側面断面図、図7は第一防風板と第二防風板とにより構成される第二内気ダクトを示す図6における矢視断面図、図8は内気フィルタが取り付けられるとともにステアリング軸を支持する取付プレートを示す斜視図、図9は同じく側面断面図、図10は従来のボンネットに内装された空調装置における外気ダクトを示す側面断面図、図11は従来のボンネットに内装された空調装置における内気ダクトを示す側面断面図である。
【0008】
まず、本発明の空調装置構造を有するトラクタの全体構成について図1により説明する。前後に前輪2・2及び後輪3・3を懸架する本機の前部にボンネット4を配置し、該ボンネット4にエンジン5を内蔵している。ボンネット4の後方にはステアリングハンドル51を設けて、該ステアリングハンドル51の後方にはシート52を配設している。
【0009】
また、ステアリングハンドル51の前方にはインストルメントパネル18が配設されている。そして、ステアリングハンドル51、シート52、及びインストルメントパネル18等はキャビン12により覆われている。エンジン5の後方にはトランスミッション53を連設し、エンジン5からの動力を後輪3に伝達して駆動している。また、エンジン5の駆動力は、機体後端から後方に突出したPTO軸を駆動し、機体後端部の作業機装着装置56に接続した作業機57を駆動するように構成している。
【0010】
次に、トラクタ前部のボンネット4内の構成について説明する。図2、図3に示すように、ボンネット4内に設置されるエンジン5の前方にラジエータ13が配設され、エンジン5に回転駆動される冷却ファン14により該ラジエータ13が冷却されている。また、ボンネット4には空調装置15が内装され、該空調装置15のエアコンユニット16及びブロア17がエンジン5の上方に配設されるとともに、コンデンサ22がラジエータ13の前方に配置されている。
【0011】
該コンデンサ22の上方からブロア17の一側方にかけて外気ダクト21を配設し、該外気ダクト21を通じて、ブロア17によりエアコンユニット16へ外気を取り込むように構成している。該外気ダクト21の前端部には外気用のエアフィルタである外気フィルタ23が内装されている。また、エアコンユニット16及びブロア17の下方に第一内気ダクト19が配設されるとともに、キャビン12前端部に第二内気ダクト20が構成されており、該第一内気ダクト19と第二内気ダクト20とは互いに連結されている。そして、内気用のエアフィルタである内気フィルタ27が取り付けられる第二内気ダクト20の後端部から内気を吸い込み、該第二内気ダクト20及び第一内気ダクト19を通じて、ブロア17によりエアコンユニット16へ内気を取り込むように構成している。該第二内気ダクト20は、第一防風板25及び第二防風板26により形成されている。
【0012】
前述の如く、エアコンユニット16内に取り込まれた外気又は内気は、該エアコンユニット16にて冷却又は加温された後、インストルメントパネル18の左右上方に配置される吹出口28・28等からキャビン12内に送風される。また、ステアリングハンドル51を支持するステアリング軸24は、第一・第二防風板25・26及び第二内気ダクト20を貫通して、ボンネット4内に侵入している。
【0013】
図4、図5に示すように、前記外気ダクト21は、外気フィルタ23が内装される前端部から外気を吸入して、ブロア17の左右一側方まで外気を案内するが、ラジエータ13上端部の左右略中央に配置されるラジエータキャップ13aを避けるようにして、左右一側に寄せて配置されている。外気ダクト21の後端部と内気ダクト19の前端部とは連結され、その連結部には開閉可能に構成した内外気切換シャッター29が配設されている。そして、該内外気切換シャッター29を閉じているときには内気ダクト19の上方に配置されるブロア17により内気を取り込み、該内外気切換シャッター29が開いているときにはブロア17により外気ダクト21を通じて外気を取り込むように構成している。
【0014】
このように、空調装置15を構成するブロア17の左右側方から、内気ダクト19を介して該ブロア17へ接続することにより、空調装置15の前方に大きなスペースがとれない場合でも、外気ダクト21を、通路長・通路面積を十分に確保しながら配設することが可能となり、ボンネット4内のスペースが小さな小型トラクターにおいても、外気導入式の空調装置15をボンネット4内に設置することが可能となる。
【0015】
また、図6に示すように、ブロア17により内気をエアコンユニット16へ取り込む場合は、第二内気ダクト20の後端部から、該第二内気ダクト20及び第一内気ダクト19を通じてキャビン12の内気を取り込むようにしており、エアコンユニット16からの送風は、吹出通路31を通じて前記吹出口28・28から吹き出すとともに、吹出パイプ32を通じてステアリングハンドル51下方の左右から吹き出すように構成している。
【0016】
キャビン12の前端下部に配設される防風板は、後方に窪んだ凹部25aが形成される第一防風板25と平板状に形成される第二防風板26とを対向して配置した二層構造に構成されており、該第一防風板25の凹部25aと第二防風板26とで囲まれた空間により第二内気ダクト20を構成している。第一防風板25は、例えば下端部に吸込口25bを開口して、該吸込口25bに内気フィルタ27を取り付けており、第二防風板26は、第一内気ダクト19の後端部に位置を合わせて開口部26aを開口し、該開口部26aと第一内気ダクト19をフレキシブルホース33等により連結している。即ち、第一内気ダクト19の後端部と吸込口25bとが第一・第二防風板25・26により形成された第二内気ダクト20により連結されているのである。
【0017】
このように、第一内気ダクト19とキャビン12との間に、第一・第二防風板25・26により形成された第二内気ダクト20を介装することにより、即ち、二層に構成された第一・第二防風板25・26により形成された空間を、内気を空調装置15内へ取り込むための内気ダクトとして利用することにより、内気の吸込口の配置位置を、ボンネット内に配置した内気ダクトの後端部に対応した位置に限定することなく、防風板の範囲内で任意に選択することができるので、空調装置の目詰まり等に対して有利な位置を選んで吸込口を開口することが可能となる。また、吸込口を、該吸込口に取り付けられる内気フィルタの着脱作業やメンテナンスが行い易い位置に配置することもできる。さらに、吸込口を、ボンネット内の内気ダクトの後端部に対応しない位置に形成しようとした場合、キャビン前端下部に配設されている二層構造の防風板を用いて内気ダクトを構成することにより、該吸込口と内気ダクトとの間を独立したダクトにて連結した場合よりも、部品点数を減少することができ、構成の簡素化及びコストダウンを図ることができる。
【0018】
また、吸込口25bには、該吸込口25bから取り込まれる内気を清浄化するための内気フィルタ27が取り付けられているが、該内気フィルタ27を吸込口25bに取り付けることにより、ボンネット4内に内気フィルタ27を配設した場合に比べて、メンテナンス等の作業性を向上することができるとともに、内気フィルタ27のフィルタ面積を大きく構成することが可能となる。
【0019】
図8、図9に示すように、前記内気フィルタ27は取付プレート35を介して吸込口25bに取り付けられている。該取付プレート35は、板状部材により構成され、吸込口25bの形状・大きさに合わせて形成されている。また、取付プレート35における、内気フィルタ27が取り付けられた部分よりも上方の部分には、前記ステアリング軸24がピローボール36を介して支持されている。そして、取付プレート35のステアリング軸24支持部はピローボール36により密封し、キャビン12内と第二内気ダクト20内とを完全に遮断して、該第二内気ダクト20内の気密を保持している。
【0020】
このように、内気フィルタ27を第一防風板25に取り付けるための取付部材と、ステアリング軸24を支持するための支持部材とを共通の部材である取付プレート35とすることにより、内気フィルタ27とステアリング軸24とを別部材にてそれぞれ取り付け及び支持した場合に比べて、部品点数を減少することができ、構成の簡略化及びコストダウンを図ることが可能となる。
【0021】
また、空調装置内へ外気を取り込むための外気ダクトを、空調装置の左右側方から該空調装置に接続したので、空調装置の前方等に大きなスペースがとれない場合でも、外気ダクトを、通路長・通路面積を十分に確保しながら配設することが可能となり、ボンネット内のスペースが小さな小型トラクターにおいても、外気導入式の空調装置をボンネット内に設置することが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
ボンネット(4)に空調装置(15)を内装し、キャビン(12)を有したトラクタの空調装置構造において、該キャビン(12)の前端下部で、ステアリングハンドル(51)の前部に防風板を配設し、該防風板を、後方に窪んだ凹部(25a)を形成した第一防風板(25)と、平板状の第二防風板(26)の二層構造に構成し、二層に構成された該第一防風板(25)と第二防風板(26)間に形成される空間を、キャビン(12)内の内気を空調装置(15)内へ取り込むための内気ダクト(20)としたので、内気の吸込口の配置位置を、ボンネット内に配置した内気ダクトの後端部に対応した位置に限定することなく、防風板の範囲内で任意に選択することができるので、空調装置の目詰まり等に対して有利な位置を選んで吸込口を開口することが可能となる。
また、吸込口を、該吸込口に取り付けられる内気フィルタの着脱作業やメンテナンスが行い易い位置に配置することもできる。
さらに、吸込口を、ボンネット内の内気ダクトの後端部に対応しない位置に形成しようとした場合、キャビン前端下部に配設されている二層構造の防風板を用いて内気ダクトを構成することにより、該吸込口と内気ダクトとの間を独立したダクトにて連結した場合よりも、部品点数を減少することができ、構成の簡素化及びコストダウンを図ることができる。
【0023】
また、前記キャビン(12)の前端下部に配設した第一防風板(25)に取付プレート(35)を固設し、該取付プレート(35)に、前記空調装置(15)内に取り込まれる内気用のエアフィルタ(27)を取り付けるとともに、該取付プレート(35)により、前記ステアリングハンドル(51)のステアリング軸(24)を支持したので、内気用のエアフィルタとステアリング軸とを別部材にて、それぞれ取り付け及び支持した場合に比べて、部品点数を減少することができ、構成の簡略化及びコストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空調装置構造を有するトラクタを示す側面図である。
【図2】 ボンネット内部を示す側面である。
【図3】 同じく平面図である。
【図4】 外気ダクトを示す平面断面図である。
【図5】 同じく側面断面図である。
【図6】 内気の取込経路及びエアコンユニットからの送風の吹出経路を示す側面断面図である。
【図7】 第一防風板と第二防風板とにより構成される第二内気ダクトを示す図6における矢視断面図である。
【図8】 内気フィルタが取り付けられるとともにステアリング軸を支持する取付プレートを示す斜視図である。
【図9】 同じく側面断面図である。
【図10】 従来のボンネットに内装された空調装置における外気ダクトを示す側面断面図である。
【図11】 従来のボンネットに内装された空調装置における内気ダクトを示す側面断面図である。
【符号の説明】
4 ボンネット
5 エンジン
12 キャビン
15 空調装置
16 エアコンユニット
17 ブロア
19 第一内気ダクト
20 第二内気ダクト
21 外気ダクト
24 ステアリング軸
25 第一防風板
26 第二防風板
27 内気フィルタ
35 取付プレート
Claims (1)
- ボンネット(4)に空調装置(15)を内装し、キャビン(12)を有したトラクタの空調装置構造において、該キャビン(12)の前端下部で、ステアリングハンドル(51)の前部に防風板を配設し、該防風板を、後方に窪んだ凹部(25a)を形成した第一防風板(25)と、平板状の第二防風板(26)の二層構造に構成し、二層に構成された該第一防風板(25)と第二防風板(26)間に形成される空間を、キャビン(12)内の内気を空調装置(15)内へ取り込むための内気ダクト(20)とし、前記キャビン(12)の前端下部に配設した第一防風板(25)に取付プレート(35)を固設し、該取付プレート(35)に、前記空調装置(15)内に取り込まれる内気用のエアフィルタ(27)を取り付けるとともに、該取付プレート(35)により、前記ステアリングハンドル(51)のステアリング軸(24)を支持したことを特徴とするトラクタの空調装置構造。
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