JP4136046B2 - 塗料用組成物 - Google Patents
塗料用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4136046B2 JP4136046B2 JP02230898A JP2230898A JP4136046B2 JP 4136046 B2 JP4136046 B2 JP 4136046B2 JP 02230898 A JP02230898 A JP 02230898A JP 2230898 A JP2230898 A JP 2230898A JP 4136046 B2 JP4136046 B2 JP 4136046B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- coating
- examples
- och
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Degasification And Air Bubble Elimination (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚れが付着しにくく、かつ消泡性とハジキ性(塗装作業性)に優れた屋外の塗装に好適な塗料用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、屋外の汚れに対する関心が高まり、汚れが付着しにくい、付着しても汚れが除去しやすい外装材が求められている。このニーズに対応して低汚染型塗料として、シリケート化合物を塗料に添加する技術が開発されている。たとえばWO 94/06870号、WO 95/02645号、WO 96/26254号各公報にシリケート化合物(4官能加水分解性シラン化合物)を用い塗膜の表面を親水化しうる塗料用組成物が開示されている。しかしながら、これらの塗料組成物はシリケート化合物を配合することにより、泡立ちが著しくなる。そこで消泡性を付与するため、この塗料組成物に通常の消泡剤を添加すると消泡性は改良されるものの、本来の目的である表面親水化による防汚染付着性の改良効果が損われる。さらに、通常の消泡剤を使用した際には塗装時の塗膜のハジキが著しく塗装作業性がわるくなるという課題が残っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、主として屋外における防汚染付着性を改善するために特定の2種類のシリケート化合物を用いたとき、消泡剤としてフルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイルを配合すれば、防汚染付着性を低下させずに消泡性がえられ、かつ塗装時の塗膜のハジキも防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(A)塗料用樹脂と、
(B)式(1):
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、Rは同じかまたは異なり、いずれもチッ素原子、酸素原子、フッ素原子および/もしくは塩素原子を含んでいてもよい炭素数1〜9の有機基または水素原子、nは1〜100の整数を表す)で表される化合物と、
(C)式(2):
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、R1の少なくとも1つはC8F17CH2CH2であり、残りは同じかまたは異なり、いずれもチッ素原子、酸素原子、フッ素原子および/もしくは塩素原子を含んでいてもよい炭素数1〜9の有機基または水素原子、mは1〜100の整数を表す)で表される化合物と
(D)フルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル
を含む塗料用組成物に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の防汚染付着性および消泡性に優れた塗料用組成物は、前記のとおり、塗料用樹脂(A)、式(1)のシリケート化合物(B)、式(2)のC8F17CH2CH2基を含むシリケート化合物(C)およびフルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル(D)を含んでいる。
【0010】
以下各成分について説明する。
【0011】
塗料用樹脂(A)
溶剤可溶性で水酸基および/もしくはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体、アクリルポリオール樹脂、アクリルシリコン樹脂、無機系素材、官能基を有していないフッ化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル共重合体との複合水分散物、またはフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体の水分散物が好ましい。
【0012】
前記水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体としては、たとえば特公昭60−21686号、特開平3−121107号、特開平4−279612号、特開平4−28707号、特開平2−232221号などの各公報に記載されているようなものがあげられ、該共重合体の数平均分子量(GPCによる)としては、1000〜100000であり、1500〜30000が好ましい。前記分子量が1000未満であれば硬化性、耐候性が不充分になる傾向があり、100000を超えると作業性、塗装性に問題が生じる傾向がある。
【0013】
この共重合体の水酸基価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜150(mgKOH/g)であることが好ましい。前記水酸基が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
【0014】
酸価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。前記酸価が少なくなると硬化不良となりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
【0015】
なお、前記共重合体のひとつとして、防汚染付着性、汚染除去性、防錆性の点からテトラフルオロエチレン共重合体を用いることもできる。
【0016】
前記共重合体としては、たとえばダイキン工業(株)製ゼッフル、旭硝子(株)製ルミフロン、セントラル硝子(株)製セフラルコート、大日本インキ化学工業(株)製フルオネート、東亜合成(株)製ザフロンなどの市販品があげられる。
【0017】
前記アクリルポリオール樹脂としては、公知の樹脂が使用できる。該樹脂は水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基を有していてもよい。
【0018】
アクリルポリオール樹脂の水酸基価としては0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることが好ましい。前記水酸基価が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
【0019】
アクリルポリオール樹脂の酸価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。前記酸価が少なくなると硬化不良となりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
【0020】
アクリルポリオール樹脂としては、たとえば三菱レーヨン(株)製ダイヤナール、大日本インキ化学工業(株)製アクリディック、日立化成工業(株)ヒタロイド、三井東圧化学(株)製オレスターなどの市販品を用いることができる。
【0021】
前記アクリルシリコン樹脂としては、たとえばアクリルシリコンモノマーを水酸基含有単量体やその他の重合性不飽和単量体と共に重合したものであればよい。アクリルシリコン樹脂は加水分解性シリル基、水酸基、エポキシ基を有してもよい。
【0022】
アクリルシリコン樹脂としては、たとえば鐘淵化学工業(株)製ゼムラック、三洋化成工業(株)製クリヤマーなどの市販品を用いることができる。
【0023】
前記無機系素材としては、非含フッ素の非加水分解性基含有金属(Si、Ti、Alなど)アルコキシド、非含フッ素の非加水分解性基含有オルガノポリシロキサン、非含フッ素の金属(Si、Ti、Alなど)アルコキシドなどがあげられ、市販品としてたとえばグンゼ産業(株)発売エコルトン、日本合成ゴム(株)製グラスカ、トウペ(株)製ポーセリン、日本油脂(株)製ベルクリーン、ベルハード、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH、SRおよびDCシリーズ、信越化学工業(株)製KRシリーズ、味の素(株)製プレンアクト、日本曹達(株)製有機チタネート、川研ファインケミカル(株)製アルミニウムアルコレートおよびアルミニウムキレート化合物、北興化学工業(株)製ジルコニウムアルコキサイド、日本ユニカー(株)製複合変性シリコーンオイルならびにMMCAなどがあげられる。
【0024】
前記塗料用樹脂としてはその他に、官能基を有しないフッ素樹脂(特公昭43−10363号、特開平3−28206号、特開平4−189879号などの各公報に記載のフッ化ビニリデンの単独重合体または共重合体など)があげられ、前記の官能基を有する樹脂にブレンドすることもできる。また、官能基を有しない樹脂を用いるばあいは、本発明の塗料用組成物には硬化剤や硬化触媒を用いる必要は限らずしもない。
【0025】
また、前記フッ化ビニリデン共重合体とアクリル共重合体との複合水分散物としては、たとえば特開平3−7784号公報およびWO95/08582号公報記載のものなどがあげられ、市販品としてはたとえばダイキン工業(株)製のゼッフル、日本合成ゴム工業(株)製のフローレンなどがあげられる。
【0026】
さらに前記フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体の水分散物としては、たとえば特開平3−37252号公報記載のものなどがあげられ、市販品としてはたとえば旭硝子(株)製のルミフロン、大日本インキ化学工業(株)製のフルオネートなどがあげられる。
【0027】
式(1)のシリケート化合物(B)(以下、「化合物B」という)
シリケート化合物Bは防汚染付着性を塗膜に与える目的で配合する。すなわち、シリケート化合物Bは塗膜が形成される際、塗膜表面に表出し、加水分解性基を有するときは加水分解を受けることにより、塗膜表面を親水化して防汚染付着性が奏される。
【0028】
式(1)においてRは前記のとおり、水素原子であるか、チッ素原子、酸素原子、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよい有機基である。Rは同じでも異なっていてもよい。
【0029】
該有機基の炭素数は表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点から1〜9個とする。
【0030】
具体例としては、たとえばH(CH2)q、(CH3)2CH、H(CH2)qC=O、F(CF2)p(CH2)q、(CF3)2CH、H(CF2)p(CH2)q、F(CF2)p(CH2)qC=O、H(CF2)p(CH2)qC=O、(F(CF2)p(CH2)q)2N、((CF3)2CH)2N、(H(CF2)p(CH2)q)2N、F(CF2)pO(CF(CF3)CF2O)qCF(CF3)C=O、(F(CF2)p(CH2)q)2C=N、((CF3)2CH)2C=N、(H(CF2)p(CH2)q)2C=N、F(CF2)p(CH2)qC=ONR3、H(CF2)p(CH2)qC=ONR3、F(CF2)p(CH2)qC=CH2、H(CF2)p(CH2)qC=CH2、F(CF2)p(CH2)qC=CF2、H(CF2)p(CH2)qC=CF2(式中、qは0または1〜6の整数、pは1〜9の整数、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表し、アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよい)で示されるものが好ましい。ただし、炭素数の合計は9までである。
【0031】
これらの有機基の具体例としては、たとえばCF3CH2、CF3CF2CH2、CF3(CF2)2CH2、CF3(CF2)3CH2CH2、(CF3)2CH、H(CF2)2CH2、H(CF2)3CH2、H(CF2)4CH2、CF3C=O、CF3CF2C=O、CF3(CF2)6C=O、CF3(CF2)7C=Oなどがあげられるが、表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点からCF3CH2、CF3CF2CH2、CF3(CF2)2CH2、CF3(CF2)3CH2CH2、CF3C=O、CF3CF2C=Oが好ましくCF3CH2、CF3CF2CH2がさらに好ましい。
【0032】
式(1)においてnが1のときの具体例として、つぎにあげるような化合物などがあげられる。
【0033】
Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、
Si(OCH2CF2CF3)4、Si(OCH(CF3)2)4、
Si(OCH2CH2C8F17)4、
Si(OCH2CF2CF2H)4、
Si(OCH2C4F8H)4、
Si(OCH2CF2CF3)2(OCH3)2、
Si(OCH(CF3)2)2(OCH3)2、
Si(OCH2CH2C8F17)2(OCH3)2、
Si(OCH2CF2CF2H)2(OCH3)2、
Si(OCH2CF2CH2H)2(OC4H9)2、
Si(OCH2CF2CF3)2(OH)2、
Si(OCH(CF3)2)2(OH)2、
Si(OCH2CF2CF2H)2(ON=CCH3(C2H5))2、
Si(OCOCF3)4、Si(OCOC2F5)4、
Si(OCOC8F17)4、
Si(OCOCF3)2(OCH3)2、
Si(OCOC2F5)2(OCH3)2、
Si(OCOC8F17)2(OCH3)2、
Si(OCH2CF2CF3)3(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCH(CF3)2)3(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCH2CF2CF3)2(OCH3)(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCH(CF3)2)2(OCH3)(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCH2CF2CF3)2(OH)(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCH(CF3)2)2(OH)(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCOCF3)3(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCOC2F5)3(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCOC8F17)3(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCOCF3)2(OCH3)(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCOC2F5)2(OCH3)(OCH2CH2)hOCH3、
Si(OCOC8F17)2(OCH3)(OCH2CH2)hOCH3
Si(OCH3)4、
Si(OC2H5)4、
Si(OC4H9)4、
Si(ON=CCH3(C2H5))4
(式中、hは1〜4の整数)
以上の化合物Bのうち、Rの炭素数が1〜3のものが好ましい。
【0034】
また、前記nが2以上のオリゴマーまたはコオリゴマーとしては、直鎖状、分岐鎖状、環状、三次元化などのオリゴマーまたはコオリゴマーがあげられる。重合度(n)としては2〜100が好ましく、4〜20であることがさらに好ましい。重合度が小さくなるとオリゴマーまたはコオリゴマーが低沸点となりやすく、塗装時に揮発しやすくなり、塗膜に取り込まれにくくなる。重合度が100を超えると、合成時に重合度の制御が困難となったり、オリゴマーまたはコオリゴマーの粘度が高くなりやすく、作業性に劣る傾向がある。ただし、オリゴマーまたはコオリゴマーがフッ素原子を有しているとき、その重合度は塗膜外観、耐タレ性、耐アルカリ性の点から2〜40であることが好ましく、その例としては、たとえば
【0035】
【化5】
【0036】
などがあげられる。
【0037】
前記式(1)で示されるシリケート化合物Bは、該化合物Bを構成するケイ素のハロゲン化物、アルキル金属、金属アルコキシド、金属キレートなどの1種または2種以上と該シリケート化合物Bの有機基に該当するアルコール、カルボン酸、オキシム、β−ジケトン、β−ケトエステル、アルカリ金属アルコキシド、カルボン酸のアルカリ金属塩などの1種または2種以上とを必要により触媒の存在下、通常は1気圧付近で−20〜100℃、好ましくは0〜80℃の温度で撹拌下、好ましくは乾燥した不活性ガスの雰囲気下で反応させる方法により合成することができ、また反応溶剤を用いることができる。
【0038】
このような合成法において、温度を0〜200℃、好ましくは20〜150℃とし、シリケート化合物Bに反応溶液がなるべく均一になるように徐々に水を加えることにより、化合物Bが水と反応して加水分解するとほぼ同時に縮合して化合物Bのオリゴマーがえられる。また、このような合成法においてシリケート化合物Bを2種以上用いることによりコオリゴマーがえられる。
【0039】
本発明におけるオリゴマーおよびコオリゴマーの重合度は、反応させる水とたとえばシリケート化合物Bとのモル比により制御できる。たとえば[H2O]/シリケート化合物B]=0.4〜0.95の範囲内のモル比で反応させると、重合度が2〜20程度のオリゴマーまたはコオリゴマーがえられる。また、前記モル比を0.94〜1.0の範囲内とすることにより、重合度が20を超え100以下のオリゴマーまたはコオリゴマーがえられる。なお、前記コオリゴマーとして、2種のシリケート化合物Bを用いてえられるコオリゴマーを構成するユニットの組成比(モル比)は1/9〜9/1であることが好ましい。
【0040】
前記触媒としては、たとえば塩酸、硫酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、(−)−スパルテイン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの酸/アルカリ類、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズアセテート、ジオクチルスズマレエート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどの有機金属化合物/有機金属塩類があげられるが、触媒残渣を生成物から除去しやすいという点から塩酸、アンモニア、トリエチルアミンが好ましい。
【0041】
前記反応溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロエタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、アセトン、酢酸2−メトキシエチルなどのケトン/エステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ポリオキサゾリンなどのアミド類、酢酸、トリフルオロ酢酸、F(CF2)8COOHなどのカルボン酸類、トリフルオロメチルベンゼン、m−ビストリフルオロメチルベンゼンなどの含フッ素芳香族類などがあげられるが、溶解力が高いという点から2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロエタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピランが好ましい。
【0042】
前記シリケート化合物Bは塗膜中で加水分解して塗膜表面を親水性とし、塗膜に優れた防汚染付着性、低帯電性、防くもり性を与えうる。
【0043】
特に、化合物BにおいてRの少なくともひとつがフッ素原子を有していることにより、たとえば表面濃縮性、表面親水化の再現性に優れているという効果がえられる。また、化合物B中のフッ素原子の含有率が、少なくとも5重量%、好ましくは15〜60重量%であることにより、表面濃縮性、表面親水化の再現性により一層優れているという効果がえられる。
【0044】
また、式(1)においてnが2以上100以下のオリゴマーまたはコオリゴマーであることにより、たとえば塗膜外観、耐タレ性、耐アルカリ性に優れているという効果がえられる。
【0045】
化合物Bの配合量は、塗料用樹脂100重量部に対し、0.1〜80重量部、好ましくは1〜50重量部である。0.1重量部未満であると防汚染付着性が低くなる傾向があり、80重量部を超えると塗膜の外観不良、樹脂との相溶性の低下が生ずる傾向がある。
【0046】
式(2)のシリケート化合物(以下、「化合物C」という)
前記式(2)で示されるシリケート化合物CはR1がC8H17C2H5という長鎖の疎水基を少なくともひとつ有しており、この疎水性基により消泡作用を発揮する。R1は塗膜を形成したのち加水分解により離脱し、塗膜表面を親水化する。したがって、化合物Bで付与された塗膜表面の親水性を損うことがないだけでなく、向上させうる。
【0047】
式(2)においてC8F17CH2CH2以外のR1は、水素原子であるか、チッ素原子、酸素原子、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよい炭素数1〜9の有機基である。かかる有機基としては、前記式(1)のシリケート化合物Bで説明した炭素数1〜9の有機基があげられる。
【0048】
シリケート化合物Cの具体例としては、たとえば
Si(OCH2CH2C8F17)2(OH)2、
Si(OCH2CH2C8F17)3(OCH2CH2)gOCH3、
Si(OCH2CH2C8F17)2(OCH3)(OCH2CH2)gOCH3、
Si(OCH2CH2C8F17)2(OH)(OCH2CH2)gOCH3、
Si(OCH2CH2C8F17)(OCH3)3、
Si(OCH2CH2C8F17)(OC2H5)3
(式中、gは1〜4の整数)などがあげられる。
【0049】
また、前記式(2)のmが2以上のオリゴマーまたはコオリゴマーとしては、直鎖状、分岐鎖状、環状、三次元化などのオリゴマーまたはコオリゴマーがあげられる。重合度(m)としては2〜100が好ましく、2〜40であることがさらに好ましい。重合度が小さくなるとオリゴマーまたはコオリゴマーが低沸点となりやすく、塗装時に揮発しやすくなり、塗膜に取り込まれにくくなると共に、消泡性も低下する。重合度が100を超えると、合成時に重合度の制御が困難となったり、オリゴマーまたはコオリゴマーの粘度が高くなりやすく、作業性に劣る傾向がある。ただし、オリゴマーまたはコオリゴマーがフッ素原子を有しているとき、その重合度は塗膜外観、耐タレ性、耐アルカリ性の点から2〜40であることが好ましく、たとえば
【0050】
【化6】
【0051】
などがあげられる。
【0052】
シリケート化合物Cは、化合物Bと同様の方法で製造できる。
【0053】
化合物Cの配合量は、塗料用樹脂100重量部に対し0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。0.01重量部未満であると消泡性が低くなる傾向があり、5重量部を超えると親水性が低下したり、塗膜にハジキが発生しやすくなる傾向がある。
【0054】
フルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル(D)
フルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル(D)は、消泡剤として配合する。消泡性は前記化合物Cも有しているが、ジメチルシリコーンオイル(D)を配合することによりさらに消泡性を向上させると共に塗装時の塗膜のハジキを防止できる。
【0055】
フルオロアルキル基としては、たとえばCF3、CF3CF2、C8F17などがあげられ、ジメチルシリコーンオイルの重合度は10〜1000程度である。
【0056】
フルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル(D)の例としては、たとえば東芝シリコーン(株)製のFQF501;信越化学工業(株)製のFL100、FA−600、FA−630、X−50−741、X−70−170C;ダウコーニングアジア社製のFS−1265(10000CS)、FS−1265(1000CS);日本ユニカー(株)製のFZ−3108;共栄社化学(株)製のAO−40H、AO−970Hなどがあげられる。
【0057】
フルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル(D)の配合量は、塗料用樹脂100重量部に対し0.001〜1.0重量部、好ましくは0.01〜0.3重量部である。0.001重量部未満であると消泡性が不充分となる傾向があり、1.0重量部を超えると表面親水化を疎外する傾向がある。
【0058】
その他の添加剤
本発明の塗料組成物には、本発明が目的とする防汚染付着性と消泡性を損わない限り、硬化剤、硬化触媒、フロン系溶剤を配合してもよい。
【0059】
前記硬化剤としては、たとえばイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂、二塩基酸、非加水分解性基含有シラン化合物、エポキシ樹脂または酸無水物などがあげられるが、耐候性、耐酸性雨性の点からイソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシ樹脂が好ましい。
【0060】
前記イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
イソシアネートと塗料用樹脂との混合割合はNCO/OH(モル比)で0.5〜5.0が好ましく、さらに0.8〜1.2がより好ましい。また、イソシアネートが湿気硬化タイプのばあいは1.1〜1.5が好ましい。
【0062】
前記メラミン樹脂としては、たとえばメラミン樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
前記エポキシ化合物としては、たとえば
【0064】
【化7】
【0065】
などがあげられるがこれらに限定されるものではない。
【0066】
前記酸無水物としては、たとえば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸などがあげられるがこれらに限定されるものではない。
【0067】
また、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸などの二塩基酸も硬化剤として用いられる。
【0068】
硬化剤は塗料用樹脂100重量部に対し100重量部以下、好ましくは5〜40重量部配合する。
【0069】
硬化触媒としては、たとえば有機スズ化合物、有機酸性リン酸エステル、有機チタネート化合物、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機スルホン酸、アミン系化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物などがあげられる。
【0070】
前記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテートなどがあげられる。
【0071】
前記有機酸性リン酸エステルの具体例としては、
【0072】
【化8】
【0073】
などがあげられる。
【0074】
前記有機チタネート化合物としては、たとえばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルがあげられる。
【0075】
さらに前記アミン系化合物の具体例としては、たとえばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などがあげられる。
【0076】
前記キレート化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネートなどがあげられる。
【0077】
硬化触媒は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましい硬化触媒としては、有機スズ化合物、アルミニウムキレート化合物があげられる。
【0078】
本発明における、前記塗料用樹脂と硬化剤および/または硬化触媒との組み合わせとしては、とくに限定されないが好ましい組み合わせとしてはつぎのようなものがあげられる。
【0079】
水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体またはアクリルポリオール樹脂のばあい、これらが水酸基を有するときの硬化剤としてはイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物またはメラミン樹脂であり、カルボキシル基を有するときの硬化剤としてはメラミン樹脂またはエポキシ化合物である。なお、これらの系においては硬化触媒も併用できる。
【0080】
アクリルシリコン樹脂、フッ素シリコーン樹脂または無機系素材のばあいは硬化触媒を用いればよい。
【0081】
硬化触媒は塗料用樹脂100重量部に対し50重量部以下、好ましくは0.0001〜10重量部である。
【0082】
前記フロン系溶剤としては、常温で液体のものが望ましく、トリクロロフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、HCFC−123、HCFC−141b、HCFC−225、ジクロロヘキサフルオロシクロブタン、テトラクロロヘキサフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタンなどがあげられるが、前記化合物1および/または2、さらには塗料用樹脂、硬化剤をよく溶解させるためには、フッ素原子、塩素原子、炭素原子を同時に含むことが望ましく、HCFC−123、HCFC−141b、HCFC−225、テトラクロロヘキサフルオロブタンが好ましい。
【0083】
また、これらフロン系溶剤を2種以上組み合せるか、あるいは炭化水素系の有機溶剤と組み合せることも可能である。前記塗料用樹脂とフロン系溶剤の配合割合としては、塗料用樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部、塗膜外観の点から0.1〜20重量部が好ましい。
【0084】
本発明においては、前記塗料用組成物に有機溶剤を配合することができる。
【0085】
前記有機溶剤としては、たとえばキシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコール、酢酸ジエチレングリコールなどのエステル系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、ジメチルスルホキシドなどのスルホン酸エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度3〜100)、CF3CH2OH、F(CF2)2CH2OH、(CF3)2CHOH、F(CF2)3CH2OH、F(CF2)4C2H5OH、H(CF2)2CH2OH、H(CF2)3CH2OH、H(CF2)4CH2OHなどのアルコール系溶剤などがあげられるが、相溶性、塗膜外観、貯蔵安定性の点から低級アルコール、低級フッ素アルコールなどのアルコール系溶剤が好ましい。
【0086】
前記塗料用樹脂とアルコール系溶剤との配合割合としては、塗料用樹脂100重量部に対してアルコール1〜50重量部であり、硬化性、塗膜外観の点から1〜25重量部であることがさらに好ましい。
【0087】
また、硬化剤が常温硬化型のイソシアネートなどのようにアルコールと反応性の高いばあいには、さらに1〜15重量部が好ましく、アルコールの種類も2級または3級アルコールが好ましい。
【0088】
本発明の塗料用組成物には、さらにたとえば顔料、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、前記以外の他の消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、HALS、艶消し剤、フィラー、コロイダルシリカ、防カビ剤、シランカップリング剤、皮張り防止剤、酸化防止剤、難燃剤、垂れ防止剤、帯電防止剤、防錆剤、水溶性樹脂(ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドなど)などの塗料用添加剤を配合することもできる。ただし、他の消泡剤は形成される塗膜の親水性を損わない量とする必要がある。
【0089】
前記顔料としては、たとえば酸化チタン、酸化鉄、アルミメタリック顔料、カーボンブラック、焼成顔料、フタロシアニン系顔料、有機顔料、体質顔料などがあげられる。
【0090】
前記酸化チタンとしては、たとえば石原産業(株)製タイペークCR−90、CR−93、CR−95、CR−97などがあげられる。
【0091】
前記酸化鉄としては、たとえば戸田工業(株)製トダカラー120ED、140ED、160ED、KN−R、KN−V、チタン工業(株)製TAROXのLL−XLO、HY−100、HY−200、BL−100、BL−500などがあげられる。
【0092】
前記アルミメタリック顔料としては、たとえば東洋アルミニウム(株)製アルペースト0100MA、0700M、0200M、0215M、1950M、1900M、1100M、1109M、1200M、8820YF、7080N、MG600、1700Nなどがあげられる。
【0093】
前記カーボンブラックとしては、たとえば三菱化学(株)製MA7、MA11、MA100、OIL7B、OIL30B、OIL31Bなどがあげられる。
【0094】
前記焼成顔料としては、たとえば大日精化(株)製ダイピロキサイド#9510、#9512、#9410、#9310などがあげられる。
【0095】
前記フタロシアニン系顔料としては、たとえば大日精化(株)製#5195N、#5370などがあげられる。
【0096】
前記体質顔料としては、たとえば、アスベステン、炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、クレー、カオリン、陶土、珪酸アルミニウム、珪藻土、ホワイトカーボン、シリカ白、含水微粉珪酸、ベントナイト、タルク、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウムなどがあげられる。
【0097】
前記顔料分散剤としては、たとえばビックケミー・ジャパン(株)製Anti−Terra−P、Anti−Terra−U、Anti−Terra−203/204、Disperbyk、Disperbyk−101、Disperbyk−110、Disperbyk130、Disperbyk161、Disperbyk−164、Disperbyk−170、Bykumen、BYK−P104/P105、BYK−104S、BYK−240S、Lactimonなどがあげられる。
【0098】
前記レベリング剤としては、たとえばビックケミー・ジャパン(株)製BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−335、BYK−310、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−324、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−344、BYK−370、BYK−354、BYK−355、BYK−358などがあげられる。
【0099】
前記増粘剤としては、たとえば楠本化成(株)製ディスパロン#6900−20X、#6900−10S、#4200−20、#4200−10、NLケミカルズ(株)製ベントンSD−1、SD−2、SD−3、#27、#34、#38、MPA−2000Xなどがあげられる。
【0100】
前記他の消泡剤としては前記化合物Cおよびシリコーンオイル(D)以外のものがあげられ、たとえばビックケミー・ジャパン(株)製BYK−051、BYK−052、BYK−053、BYK−055、BYK−057、BYK−065、BYK−066、BYK−070、BYK−077、BYK−080、BYK−088、BYK−141、ダウコーニングアジア(株)製のペインダット54、ペインダットS、DB−100、OC−2コンパウンド、FS544、FS011、FS80、FS81、DKQ1−071、DKQ1−1086、ペインダット7などがあげられるが、前記のとおり、形成される塗膜の親水性を損わない量とする必要がある。
【0101】
前記紫外線吸収剤としては、たとえばベンゾフェノン系およびベンゾトリアゾール系のものが好適であり、これらのうちでもベンゾフェノン系では、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メチトキベンゾフェノンおよび2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンが、ベンゾトリアゾール系では2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロル−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−フェニルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tertブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジtertブチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2′−ヒドロキシ−5′−tertオクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが有効である。
【0102】
とくに好適な紫外線吸収剤は、式(3):
【0103】
【化9】
【0104】
(式中、R4およびR5は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、低級アルキル基、殊に分岐鎖状の低級アルキル基、またはアリール基、とくにフェニル基を表わし、Xは水素原子またはハロゲン原子、とくに塩素原子である)
で示されるタイプのものである。
【0105】
前記HALSとしては、たとえばチバ・ガイギー(株)製チヌビン−770、292、622123、440などがあげられる。
【0106】
前記艶消し剤としては、たとえばヘキストインダストリー(株)製セリダスト#3620、#9615A、#9612A、#3715、#3910など、ヘキストワックスPE520、ホワイトカーボンなどがあげられる。
【0107】
前記シランカップリング剤としては、たとえばメチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランなどがあげられ、アルキルケトオキシム基またはイソシアネート基を含有するものが好ましい。
【0108】
本発明の塗料用組成物は、溶剤溶解性やレベリング性に優れ、形成された塗膜は高度の耐候性を有し、防汚染付着性や耐薬品性、光学的性質、機械的性質、基材への密着性、耐熱黄変性などに優れたものであり、通常の硬化用組成物と同じく建材、内装材などの屋内用あるいは建材、自動車、航空機、船舶、電車などの屋外用の塗料として金属、コンクリート、プラスチックなどに直接、あるいはウォッシュプライマー、錆止め塗料、エポキシ樹脂、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料などの下塗り塗料の上に重ねて塗装することができる。さらにシーリング剤やフィルム形成剤としても使用できる。
【0109】
また塗料組成は、クリヤー、ソリッド、充填剤(フィラー)配合など種々の形態を採用できる。
【0110】
塗装方法については、スプレー、ハケ、ローラ、カーテンフロー、ロール、ディップなど種々の方法が用いられる。
【0111】
本発明の塗料用組成物は、各種基材に塗装することができるが、塗装する基材としては、たとえば金属系基材、セメント系基材、プラスチック系基材などがあげられる。
【0112】
前記金属系基材としては、たとえば鉄およびその化成処理物またはメッキ物、アルミおよびその化成処理物、ステンレス鋼およびその化成処理物などがあげられる。
【0113】
前記セメント系基材としては、たとえばセメント類、石灰類、セッコウ類、コンクリート、セメントモルタル、石綿スレート、石膏ボードなどがあげられる。
【0114】
前記プラスチック系基材としては、たとえばポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ナイロン類、天然ゴム類、ウレタンゴム類、ABS樹脂類などがあげられる。
【0115】
基材が金属系基材のばあいは、たとえばつぎのような下塗り塗料、中塗り塗料を塗装したのちに、本発明の塗料用組成物を塗装するのが、防食性、相間密着性の点から好ましい。
【0116】
このばあい、ジンクリッチペイント塗料が下塗り塗料として好ましい。
【0117】
有機質系のジンクリッチペイントのビヒクルとしては、たとえばエポキシ樹脂−ポリアミド樹脂の組合せ、塩化ゴム、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂などがあげられ、また無機質系のジンクリッチペイントのビヒクルとしてはエチルシリケート、ナトリウムシリケート、リチウムシリケート、カリウムシリケート、アンモニウムシリケートなどがあげられる。とくに本発明のごとき目的に対して好ましいビヒクルは、エポキシ樹脂−ポリアミド樹脂の組合せ、エチルシリケート、カリウムシリケート、リチウムシリケートである。
【0118】
その他下塗り塗料、中塗り塗料の例としては、好ましくはエポキシ樹脂(タール変性、ウレタン変性を含む)、ビニル系樹脂(タール変性、アクリル樹脂を含む)、塩化ゴム、ポリウレタン樹脂、およびフェノール樹脂から選ばれた少くとも1種の合成樹脂に、通常使用される着色顔料、体質顔料、沈殿防止剤、分散剤、硬化剤、硬化促進剤、希釈剤、溶剤などを混練してえられる塗料である。
【0119】
前記エポキシ樹脂とは、分子中に2個以上のエポキシ基を有する、通常塗料用に使用される樹脂である。
【0120】
前記エポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノール型エポキシ樹脂としては、一般に市販されているシエル化学(株)製の商品名エピコート828、同834、同836、同1001、同1004、同DX−255、チバガイギー(株)製の商品名アラルダイトGY−260、ダウ・ケミカル(株)製の商品名DER330、同331、同337:大日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロン800など、フェノールノボラック型エポキシ樹脂として一般に市販されているダウ・ケミカル(株)製の商品名DEN431、同438、ポリグリコール型エポキシ樹脂として、市販されているチバガイギー(株)製の商品名アラルダイトCT−508、ダウケミカル(株)製の商品名DER−732、同736、エステル型エポキシ樹脂として、たとえば大日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロン200、同400;線状脂肪族エポキシ樹脂として、たとえば日本曹達(株)製の商品名BF−1000のごときエポキシ化ポリブタジエンなどをあげることができる。
【0121】
さらにこれらの樹脂から、容易に類推されるエポキシ系化合物、ならびに前記エポキシ樹脂の誘導体も同様に使用可能であり本発明の技術的範囲内に含まれる。
【0122】
たとえばポリオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ハロゲン含有エポキシ樹脂などが含まれる。
【0123】
前記エポキシ樹脂には天然アスファルト、アスファルタイト、アスファルト性パイロビチュメン、タール、コールタール、人造アスファルト、ピッチなどの歴青質を混合することができる。
【0124】
また、前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミンアダクト、ポリアミド樹脂など通常塗料用に使用されるものが使用可能である。
【0125】
前記硬化剤としては、たとえばポリアミド樹脂として一般に市販されている富士化成工業(株)製商品名トーマイドY−25、同245、同2400、同2500、第一ゼネラル(株)製商品名ゼナミド2000、バーサミド115、同125、三和化学(株)製商品名サンマイド320、同330、同X2000、シェル化学(株)製商品名エピキュアー3255、同4255、アミンアダクト樹脂として富士化学工業(株)製商品名トーマイド238、フジキュアー202、旭電化(株)製商品名アデカハードナーEH−531、脂肪族ポリアミンとして三和化学(株)製商品名サンマイドT−100、同D−100、同P−100、複素環状ジアミン誘導体として味の素(株)製エポメートB−002、同C−002、同S−005などがあげられる。
【0126】
前記硬化剤のエポキシ樹脂に対する添加量は当量前後、すなわちエポキシ樹脂1当量に対して0.7〜1.3当量程度の範囲である。
【0127】
また、ポリイソシアネートを前記エポキシ樹脂の硬化剤として使用することもできる。
【0128】
本発明に使用されるビニル系樹脂としては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなどのモノマーの1種もしくは2種以上の共重合体であり、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂などがあげられる。
【0129】
また、本発明に使用される塩化ゴム樹脂とは天然ゴムの塩素化物で通常塩素含量65〜68%の化合物である。
【0130】
塩化ゴムはロジン、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、石油樹脂、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アルキド樹脂と混合して使用することができる。
【0131】
また、塩化パラフィン、塩化ジフェニル、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどの可塑剤と混合して使用される。
【0132】
さらに、本発明に使用されるポリウレタン樹脂とは、分子中に2個以上の活性水素を有する化合物、たとえば多塩基酸と多価アルコールからえられるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオキシアルキレングリコール、アクリルポリオールなどを主剤とし、前述した分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを硬化剤とした組成物である。
【0133】
基材がセメント系基材のばあいは、たとえばつぎのような下塗り塗料、中塗り塗料を塗装したのちに、本発明の塗料用組成物を塗装するのが好ましい。
【0134】
下塗り塗料としては、未硬化型合成樹脂エマルジョン系複層仕上げ塗料、反応硬化形水溶性エポキシ樹脂複層模様仕上げ塗料および反応硬化形溶剤系エポキシ樹脂複層仕上げ塗料などの複層仕上げ塗料を用いることがとくに好ましい。前記未硬化型合成樹脂エマルジョンの樹脂成分としては、たとえばアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂およびこれらの変性樹脂などが包含される。また、前記反応硬化型水性または溶剤系のエポキシ樹脂の硬化系としては、たとえばエポキシ−ポリアミン系、エポキシ−ポリアミド系、エポキシ−ポリアミンポリアミド系などが包含される。
【0135】
下塗り塗料をセメント系基材に塗装する方法は、たとえば吹付け塗装、ローラー塗装などにより行うことができる。塗布量は通常0.5〜2.0kg/m2で充分と思われる。また、乾燥は通常1〜3日行われるのが一般的である。
【0136】
前記下塗り塗料をセメント系基材に塗装する前に、一般的に建築用下地処理に使用されている従来から公知のプライマー、サーフェサーシーラーなどを塗装しておくことができる。また、前記下塗り塗料以外にも溶剤形エポキシ樹脂系などのシーラーに直接もしくは該シーラーを塗布し、つぎにイソシアネート硬化型樹脂塗料などで平滑仕上げを行なったものも包含される。
【0137】
本発明の塗料用組成物を下塗り塗膜に塗装する方法は、たとえばローラー塗装、刷毛塗装、吹付け塗装などにより行うことができる。塗布量は0.05〜0.5kg/m2、好ましくは0.1〜0.3kg/m2である。また、乾燥は、常温で1日以上で硬化塗膜が形成できる。
【0138】
改修塗装方法としてはセメント系基材に塗装した建築外装用塗膜の旧上塗り塗膜に必要に応じて下地処理を行なったのち、本発明の塗料用組成物を塗装し改修を行なう方法がある。
【0139】
前記方法において旧上塗り塗膜としては、とくに限定されないが前記の本発明の塗料用組成物に使用されるような硬化型フッ素塗料、硬化型アクリル塗料、アクリルシリコン塗料、カルボニル−ヒドラジド硬化型水性塗料、酢酸ビニル変性アクリル樹脂系塗料などの非架橋溶剤系塗料およびアクリル樹脂系水性塗料などの非架橋水性塗料によって形成された塗膜であることがとくに好ましい。
【0140】
また、前記カルボニル−ヒドラジド硬化系水性塗料としては、カルボニル基含有共重合体水分散液にジヒドラジド架橋剤およびヒドラジン残基を有する水性ポリウレタン樹脂を配合してなるもの(たとえば特願平4−171683号公報)があげられる。前記旧上塗り塗膜とセメント系基材との間にはプライマー、サーフェサーが塗装されていても、また、このものの上に複層塗材が塗装されていてもよい。
【0141】
旧上塗り塗膜に必要に応じて行なう下地処理は、たとえば下記の下地処理剤を塗布することによって実施できる。該下地処理剤としては、たとえばセメント系(たとえばセメント/合成樹脂エマルジョン系など)のフィラーまたはサーフェサー、反応硬化樹脂系(たとえばエポキシポリアミン系、エポキシポリアミド系など)の浸透形シーラーなどが好ましい例としてあげられる。
【0142】
下地処理方法は前記下地処理剤をたとえばローラー、刷毛などで塗装することによって実施できる。また、下地処理剤の塗布量は、たとえばフィラーのものでは0.3〜2.0kg/m2、サーフェサーでは0.1〜1.0kg/m2、浸透形シーラーでは0.01〜0.5kg/m2で充分と考える。
【0143】
また、これらの下地処理剤を塗装したのち、さらにポリイソシアネート硬化型溶剤系塗料を塗装することができる。この塗料の塗装方法は、たとえばローラー、刷毛、吹付けによって行なうことができる。また、塗布量は0.05〜0.5kg/m2で充分と考える。前記下地処理剤およびポリイソシアネート硬化型溶剤系塗料の乾燥は通常1〜3回行なわれる。また、本発明の塗料用組成物の塗装、乾燥は前記した本発明の塗料用組成物と同様の方法で行なうことができる。
【0144】
基材がプラスチック系基材であるばあいも前記金属系基材、セメント系基材に使用される下塗り塗料、中塗り塗料を塗装したのちに、本発明の塗料用組成物を塗装することもできる。
【0145】
基材がプラスチック系基材のうちでもフィルム、シートであるばあいの塗装方法としては、たとえばグラビアコーティング法、ドクターブレード法、ロールコート法、リバースロール法、エヤーナイフコート法などもあげられ、これらの塗装方法のばあい、塗装膜厚としては塗膜外観、塗装性の点から1〜20μm、好ましくは1〜10μmが適当である。
【0146】
本発明の塗料用組成物が塗装された物品の用途としては、たとえば建築用防水シート、トンネル用防水シート、農業用ビニールシート、農業用ビニールフィルム、養生シート、建築用保護シート、車両用保護シート、メッシュシート、メッシュスクリーン、ポリカーボネート屋根、アクリルボード壁、ポリカーボネート壁、ガードレール、信号機、トンネル内壁、トンネル内装板、道路標識、案内板、高速道路側壁、高速道路防音壁、道路灯、橋梁、橋桁、橋脚、煙突、壁紙、畳、マット、テーブルクロス、換気扇、マーキングフィルム、ジオメンブレン、広告板、郵便ポスト、電柱、テント、自動車、航空機、船舶、電車などがあげられる。
【0147】
【実施例】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0148】
合成例1(化合物Bの合成)
20リットル容のガラス製フラスコにメチルシリケート51(コルコート社製のテトラメトキシシランのオリゴマー(約4量体)2.6kgを仕込み、つぎに徐々に2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(5FP)10.0kgを加えた。つぎに5FP2.4kgに溶解したトリエチルアミン5.71gを30分間かけて添加した。この混合物を40℃で1時間撹拌したのち、昇温し揮発成分のメタノール、5FP、トリエチルアミンを留去した。10.5kg留去したところで蒸留を停止し、内容物を室温まで冷却した。フラスコ内に残った生成物は4.49kgであった。1H−NMRで分析したところ、生成物のCF3CF2CH2O基とCH3O基のモル比は0.71対1であった。
【0149】
合成例2(化合物Cの合成)
3リットル容のガラス製フラスコにメチルシリケート51を500g入れ、つぎに50℃に加熱した2−パーフルオロオクチルエタノール1500gを仕込み、反応混合物を150〜170℃で10時間加熱した。この間エステル交換により生成したメタノールなどが流出した。内容物を室温まで冷却したところ1850gの生成物がえられた。1H−NMRで分析したところ、生成物のC8F17CH2CH2O基とCH3O基のモル比は0.50対1であった。
【0150】
実施例1
ゼッフルGK−500/ゼッフルGK−510白塗料(GK−500/GK−510=7/3(重量比)、水酸基価=60、酸価=2.7、顔料/樹脂=0.833(重量比)、顔料CR−95、フッ素樹脂固形分30重量%)100gに、合成例1でえた化合物を4.5g(フッ素樹脂100重量部に対し15重量部)と合成例2でえた化合物を0.9g(フッ素樹脂100重量部に対し3重量部)とフルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイルDであるFZ−3108を0.06g(フッ素樹脂固形分100重量部に対して0.2重量部)添加して、タケネートD−140Nを7.0g、コロネートHXの3.5g(NCO/OH=1.1)および酢酸ブチル30gを加えた。この塗料用組成物をローラー塗装によりAM−712処理アルミニウム板(7×15×0.5cm)に塗装し、室温で1週間硬化乾燥させ塗装膜厚約40μmの塗板とし以後の試験を行なった。
【0151】
(消泡性)
塗料用組成物を20cm×30cmの縁付ブリキ板にローラー(好川産業(株)製のスモールローラーSY11M)にて微風を当てながら塗装し、室温で1時間乾燥(指触乾燥)後、その塗膜表面の泡残りの程度を目視により観察する。
【0152】
評価
A:泡残りなし
B:泡残り1〜9箇所
C:泡残り10〜30箇所
D:泡残り31箇所以上
(ハジキ性)
実施例でえた塗料用組成物にさらに酢酸ブチル70gを加え、スプレー塗装して塗膜の状態を目視で判定する。
【0153】
A:異常なし
B:多少のハジキが発生
C:著しくハジキが発生
(防汚染付着性)
消泡性試験で作製した塗板を大阪府下の建築物3階屋上で南面30°傾斜の条件で3カ月間および6カ月間屋外曝露したのち、汚染付着防止性と外観について評価する。汚染付着防止性は、塗板の初期明度と曝露後の明度との差(ΔL*)を測定する。
【0154】
評価
A:ΔL*が0〜2未満
B:ΔL*が2〜4未満
C:ΔL*が4〜7未満
D:ΔL*が7〜10未満
E:ΔL*が10以上
(外観)
消泡性試験と同様にローラー塗装後1週間放置して塗膜の外観を目視で観察する。
【0155】
評価
A:異常なし
B:多少くすみがある。
【0156】
C:異常(内容を記載)がある。
【0157】
(光沢)
JIS K−5400に準じて、60度の鏡面光沢度を測定する。
【0158】
(鉛筆硬度)
JIS K−5400に準じて測定する。
【0159】
その結果、消泡性はB、ハジキ性はA、防汚染付着性は3カ月と6カ月のいずれもB、外観は3カ月と6カ月のいずれもA、光沢は81、鉛筆硬度は2Hであった。
【0160】
実施例2〜19
塗料用樹脂、化合物B、化合物CおよびジメチルシリコーンオイルDを表1に示す種類と量用いたほかは実施例1と同様にして塗膜を形成し、各試験を行なった。結果を表1に示す。
【0161】
比較例1〜2
実施例1においてフルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル(FZ−3108)を使用しなかったばあい(比較例1)および実施例2においてフルオロアルキル基を有するジメチルシリコーンオイル(AO−40H)を使用しなかったばあい(比較例2)について、実施例1と同様の試験を行なった。結果を表1に示す。
【0162】
なお、実施例および比較例(表1)において使用した略号はつぎのものを示す。
【0163】
塗料用樹脂
GK−500:ダイキン工業(株)製のゼッフルGK−500(商品名)。 溶剤可溶性で水酸基を有するテトラフルオロオレフィン共重合体。
【0164】
GK−510:ダイキン工業(株)製のゼッフルGK−510(商品名)。 溶剤可溶性で水酸基およびカルボキシル基を有するテトラフルオロオレフィン共重合体。
【0165】
LC−941:ダイキン工業(株)製のゼッフルLC−941(商品名)。 フッ化ビニリデン共重合体とアクリル重合体の複合水分散物。
【0166】
A−801:大日本インキ製造(株)製のアクリディックA−801(商品名)。アクリルポリオール樹脂。
【0167】
YC3623:商品名。鐘淵化学工業(株)製のアクリルシリコン樹脂。
【0168】
A−3:グンゼ産業(株)より入手可能なエコルトンA−3(商品名)。無機系素材(無機塗料用樹脂)。
【0169】
1750:日本合成化学工業(株)製のコーポニール1750(商品名)。
【0170】
ハイシリコンアクリル樹脂(アクリルシリコン/シリケート グラフト樹脂)。
【0171】
化合物B
Me51:コルコート社製のメチルシリケート51(商品名)。テトラメトキシシランのオリゴマー(約4量体)。
【0172】
Et48:コルコート社製のエチルシリケート48(商品名)。テトラエトキシシランのオリゴマー(約10量体)。
【0173】
ジメチルシリコーンオイルD
FZ−3108:商品名。日本ユニカー(株)製のフルオロシリコーン。
【0174】
AO−40H:商品名。共栄社化学(株)製のフルオロシリコーン。
【0175】
FA−600:商品名。信越化学工業(株)製のフルオロシリコーン。
【0176】
顔料
CR−95:商品名。石原産業(株)製の酸化チタン白顔料。
【0177】
硬化剤または硬化促進剤
D−140N:武田薬品工業(株)製のタケネートD−140N(商品名)。イソホロンジイソシアネート系硬化剤。
【0178】
HX:日本ポリウレタン(株)製のコロネートHX(商品名)。ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤。
【0179】
【表1】
【0180】
【発明の効果】
本発明の塗料用組成物によれば、消泡性に優れ塗装作業性が低下しない塗料を提供でき、えられる塗膜は屋外における汚染物質の付着を防止できかつハジキの少ないものである。
Claims (2)
- 前記塗料用樹脂が、溶剤可溶性で水酸基および/もしくはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体、アクリルポリオール樹脂、アクリルシリコン樹脂、無機系素材、官能基を有していないフッ化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル共重合体との複合水分散物、またはフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体の水分散物である請求項1記載の組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02230898A JP4136046B2 (ja) | 1998-02-03 | 1998-02-03 | 塗料用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02230898A JP4136046B2 (ja) | 1998-02-03 | 1998-02-03 | 塗料用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11217540A JPH11217540A (ja) | 1999-08-10 |
JP4136046B2 true JP4136046B2 (ja) | 2008-08-20 |
Family
ID=12079123
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02230898A Expired - Fee Related JP4136046B2 (ja) | 1998-02-03 | 1998-02-03 | 塗料用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4136046B2 (ja) |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4638578B2 (ja) * | 2000-07-25 | 2011-02-23 | 日本ペイント株式会社 | 有機溶剤系塗料組成物 |
FR2816622A1 (fr) | 2000-11-15 | 2002-05-17 | Atofina | Copolymeres fluores pour le traitement hydrophobe et oleophobe des materiaux de construction |
JP4775528B2 (ja) * | 2000-11-15 | 2011-09-21 | 有限会社エムテック | 分包機用の被膜形成処理剤と被膜形成方法、およびその被膜を有する分包機 |
JP2003020450A (ja) * | 2001-07-09 | 2003-01-24 | Nippon Paint Co Ltd | 耐汚染性塗料組成物および塗膜形成方法 |
JP2003019460A (ja) * | 2001-07-09 | 2003-01-21 | Nippon Paint Co Ltd | 耐汚染性塗膜形成方法および耐汚染性塗膜ならびに耐汚染性有機溶剤型塗料組成物 |
JP4864244B2 (ja) * | 2001-08-08 | 2012-02-01 | 日本ペイント株式会社 | 耐汚染性つや消し塗料組成物およびつや消し塗膜形成方法 |
JP3896398B2 (ja) * | 2004-02-25 | 2007-03-22 | サンノプコ株式会社 | 熱硬化性樹脂組成物 |
WO2006077751A1 (ja) * | 2005-01-19 | 2006-07-27 | Daikin Industries, Ltd. | 低汚染性塗料組成物およびそれから得られる低汚染性塗膜 |
WO2007102514A1 (ja) * | 2006-03-07 | 2007-09-13 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | 被膜形成用塗布液、その製造方法、その被膜、及び反射防止材 |
KR101457234B1 (ko) * | 2006-10-12 | 2014-10-31 | 닛산 가가쿠 고교 가부시키 가이샤 | 저굴절률 피막 형성용 도포액, 그 제조 방법 및 반사 방지재 |
US9175177B2 (en) | 2007-01-23 | 2015-11-03 | Daikin Industries, Ltd. | Coating composition |
CN101679805B (zh) * | 2007-05-18 | 2013-02-27 | 日产化学工业株式会社 | 低折射率被膜形成用涂布液、其制造方法及防反射材料 |
JP2007284698A (ja) * | 2007-08-08 | 2007-11-01 | Sk Kaken Co Ltd | 塗料組成物 |
GB2466270A (en) | 2008-12-19 | 2010-06-23 | 3M Innovative Properties Co | Composition for providing stain release or stain repellency to stone substrates |
KR101370024B1 (ko) * | 2013-08-28 | 2014-03-05 | 주식회사 한국화이어텍 | 유무기 복합 하이브리드수지 및 이를 이용한 난연조성물 |
JP6460654B2 (ja) * | 2014-06-13 | 2019-01-30 | 日本ペイント株式会社 | 低汚染性塗料組成物 |
-
1998
- 1998-02-03 JP JP02230898A patent/JP4136046B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11217540A (ja) | 1999-08-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6309708B1 (en) | Stain-proofing agent for preventing adherence of stain and composition for paints | |
US6548614B2 (en) | Stain-proofing agent for preventing adherence of stain and non-aqueous composition for paints containing said agent | |
JP4136046B2 (ja) | 塗料用組成物 | |
JP4179323B2 (ja) | 塗料組成物 | |
JP2012177062A (ja) | 防汚塗料組成物及び防汚塗膜の形成方法 | |
JP2008095069A (ja) | 光触媒含有水性硬化性塗料組成物及びその製造方法 | |
JP3202177B2 (ja) | 防食被覆法 | |
JP2004210975A (ja) | 塗料組成物 | |
JP3470886B2 (ja) | 水性低汚染塗料組成物 | |
JP4556256B2 (ja) | 含フッ素有機金属化合物 | |
JP4192285B2 (ja) | 塗料用組成物 | |
JPH10237364A (ja) | 親水性塗膜形成性塗料用組成物 | |
JPH11131020A (ja) | 塗料用組成物 | |
JPH09302328A (ja) | 防汚染付着剤および塗料用組成物 | |
JPH10259327A (ja) | 汚染付着防止剤および塗料用組成物 | |
JPH10148488A (ja) | 空冷式熱交換器 | |
KR20040072334A (ko) | 실리콘 중간체를 포함하는 상온경화형 수지 조성물 및이를 포함하는 도료 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050124 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070907 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070925 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080129 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080324 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20080421 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080513 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080603 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |