JP4136026B2 - 赤色系色素およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサトイモ科サトイモの赤色乃至赤紫色に着色した部分を酸水性液(一部アルコールなど有機溶剤を含む)に浸し、必要に応じて加熱し、ついで抽出し、芋茎などに含まれる、主として赤色系色素(フラボノイド系アントシアニン)を溶出させ、これを濃縮、精製、加工して安定した色素の溶液、粉末、顆粒、乳濁液などを製造することに関し、食品、飲料、医薬品、化粧品、紙材、繊維、樹脂およびその加工品などの染色に使用するものである。
【0002】
【従来の技術】
植物の中に含まれる色素は多種多様であり、その数も非常に多い。したがってその植物から採取した色素を染料として食品を始め、衣類、紙などの染色に利用してきた。とくに食品の色づけ用色素はその種類も多いが、主なものはフラボノイド系の色素であり、主食の米を始め酒類、副食品、飲料など食品のすべての分野および化粧品の分野で使用されている。そのためこれらの色素を抽出して色素製剤として利用しているものも多い。(たとえば、特開昭50−60524号、特開昭54−49364号、特開昭54−113478号、特開平2−248465号各公報参照)。
【0003】
サトイモ科サトイモとしては、トウノイモ(Colocasia antiquorum var. esculenta)、アカメ(C. antiquorum var. esculenta)、イシカワワセ(C. antiquorum var. globulifara)、ヤツガシラ(C. antiquorum var. esculenta)、クロジク(C. antiquorum var. globulifara)およびエグイモ(C. antiquorum var. lypica)などの品種群があげられるが、その中でたとえばトウノイモ、アカメ、イシカワワセ、ヤツガシラ、クロジク品種群などの芋茎は昔から「ずいき」と称して食品として用いられてきた。たとえばサトイモの芋茎の表皮を除き10〜20cmに切断したもの200〜300gに水約500〜1000mlを加え、重炭酸ソーダ10〜20gを加えて煮沸し、約1000mlの水で2〜3回洗浄して、水きり、切断して味つけを行ない、食用としていた。しかしその加工の際、芋茎の中に含まれる「あく」を抜くために、多量の熱水またはアルカリ水で処理していたので、その中に含まれる色素は分解して褐色に変化していた。そのため、これらの茎には多量の色素(フラボノイド系アントシアニン)が含まれているにも拘わらずその色素を色素製剤として有効に利用した文献は見当らない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者はサトイモ科サトイモの赤色乃至赤紫色に着色した部分をpH1.5〜4.0の酸水性液に浸し充分浸透させることにより「あく」やその他不純物とともに色素を溶出させ、さらにこの抽出液を酸性の状態で濃縮することにより不純物を含む濃い色素がえられることを見出し、さらにこの程度の品質では食品、飲料、そのほかの前記の被着色物を着色するためには品質が不純であるため、精製することにより、また着色の目的のために溶液、粉末、顆粒、乳濁液などの製剤化を行なうことにより、本発明を完成するにいたった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、サトイモ科サトイモの赤色乃至赤紫色に着色した部分を切断し、pH1.5〜4.0の酸水性液に加え、15〜80℃で抽出し、えられた抽出液を常圧または減圧下で濃縮し、精製することからなる赤色系色素の製法、および該製法でえられた赤色系色素に関する。前記製法において、サトイモ科サトイモがトウノイモ、アカメ、イシカワワセ、ヤツガシラおよびクロジクからなる群より選択されるばあい、酸水性液が酸もしくはその塩を含有する水、アルコールまたはそれらの混合物であるばあい、抽出が、酸水性液を循環させることおよび/または撹拌することにより行なわれるばあいが好ましい。
【0006】
さらに、本発明は、前記赤色系色素の製法でえられた赤色系色素を精製し、有機溶剤に溶解し、えられた溶液に酸を加えてpH1.7〜4.0の酸性液とすることからなる色素溶液の製法、および該製法でえられた色素溶液に関する。
【0007】
つぎに、本発明は、前記色素溶液の製法でえられた色素溶液を常圧または減圧下で濃縮し、えられた濃縮液にプロピレングリコールもしくはエタノール、および/またはクエン酸一カリウムもしくはリン酸塩類を加えることからなる色素液の製法、および該製法でえられた色素液に関する。
【0008】
また、本発明は前記色素液の製法でえられた色素液にクエン酸塩類、リン酸塩類、糖質類および吸着剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分とクエン酸を添加すること、ならびに常圧または減圧下で加熱乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥を行なうことからなる色素粉末の製法、および該製法でえられた色素粉末に関する。
【0009】
加えて、本発明は前記色素粉末を造粒することからなる色素顆粒の製法、および該製法でえられた色素顆粒に関する。
【0010】
さらに加えて、本発明は、前記の赤色系色素、色素溶液、色素液、色素粉末または色素顆粒に、食用油脂;プロピレングリコール;ショ糖脂肪酸エステル;アラビアゴム;グリセリン脂肪酸エステル;プロピレングリコールのモノエステル化物;クエン酸および/またはリン酸塩類、と水を添加し乳化を行なうことからなる、油分散型水性色素液の乳化製剤の製法、および該製法でえられた油分散型水性色素液の乳化製剤に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の赤色系色素の製法に用いる「サトイモ科サトイモ」は、その植物体に存在する色素を利用するので、好ましくはトウノイモ、アカメ、イシカワワセ、ヤツガシラおよびクロジクであり、より好ましくはアカメ、ヤツガシラ、トウノイモおよびクロジクであり、高い色素濃度を要するので、とくに好ましくはアカメおよびヤツガシラであり、ヤツガシラと同種で関東で作られている商品名としてはヤツ子と呼ばれるものもある。しかしながら、本発明は、前記サトイモ科サトイモ以外に赤色乃至赤紫色を呈する以下の植物由来材料にも適用しうる。具体的には、サトイモ科オホハンゲの茎、サトイモ科オランダカイウおよびコンニャクイモの芋茎にも本発明の製法を適用しうる。
【0012】
本発明における「赤色乃至赤紫色に着色した部分」としては、芋茎、葉、芋およびその外皮などがあげられ、外観および内部が着色しているので、好ましくは、芋茎、葉および芋であり、一般に普及し色素濃度が高いので、より好ましくは芋茎である。
【0013】
サトイモ科サトイモは6月末から12月まで収穫でき、したがって芋茎などの着色部分も長期間使用できるが、芋茎の中には季節により異なるが、2〜3CAVの色素が含まれている。CAVはその色素の可視部最大吸収波長λmaxにおける吸光度が0.3〜0.6の範囲になるようにpH2.2のクエン酸水溶液で検体色素液を希釈し、また検体色素液を加えないpH2.2のクエン酸水溶液を対照液として、吸光層の厚さ1cm=l1cmでの吸光度の値aを測定し、次式より求める。
【0014】
CAV=a×希釈倍数/試料採取量(g)
本発明における「赤色系色素」とは、pH2.0〜4.0の77%(w/w)水溶液で赤色乃至赤紫色を呈し、可視部最大吸収波長が515〜520nmである色素を意味し、「酸水性液」とは、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1つの酸もしくはその塩を含有する、水およびアルコールからなる群より選択される少なくとも1つからなる水性媒体を意味する。好ましい酸もしくはその塩は、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸、フマル酸、乳酸、塩酸、硫酸、リン酸およびそれらの塩類であり、より好ましい酸もしくはその塩は、食品添加物として用いられるので、クエン酸、クエン酸一カリウムであり、とくに好ましい酸はクエン酸である。また、好ましい水性媒体は、被染色物が水分を多く含むので、水およびエタノールであり、より好ましい水性媒体は水である。水とアルコールの(容量)混合比は、100:0〜0:100のいずれの割合でも本発明に用いることができるが、好ましい混合比は水:アルコール=50:50〜80:20である。より好ましい混合比は、クエン酸を添加するので、水:アルコール:クエン酸=78:20:2〜77:20:3である。
【0015】
前記「酸水性液」は、好ましくは、クエン酸水溶液、酒石酸水溶液、リンゴ酸水溶液、乳酸水溶液、コハク酸水溶液であり、より好ましくは、クエン酸水溶液、酒石酸水溶液、リンゴ酸水溶液であり、とくに好ましくはクエン酸水溶液である。
【0016】
前記「酸水性液」の好ましいpHは、1.5〜4.0であり、より好ましいpHは、1.8〜2.0である。
【0017】
本発明の赤色系色素をうるために使用する酸水性液の量(重量)は抽出に用いる着色部分の量(重量)に対して1.0〜5.0倍、好ましくは1.0〜2.5倍である。
【0018】
抽出温度は、15℃未満では抽出速度が遅く、80℃をこえると目的とする色素が分解されるので、15〜80℃であり、好ましい抽出温度は、色素の分解が少ないので、15〜60℃、より好ましい抽出温度は、色素の分解がより少ないので、15〜50℃、さらに好ましい抽出温度は、色素が分解しないので、15〜40℃、とくに好ましい抽出温度は、20〜30℃である。
【0019】
抽出操作は、通常当該技術分野で用いるいずれの手段でも行ないうるが、色素の抽出効率をよくする点から、酸水性液を循環および/または撹拌しながら行なうことが好ましい。たとえば、図1に示す装置を用いて芋茎などの着色部分から抽出を行なうばあい、抽出の初期においては芋茎などが酸水性液上に浮くため、バルブ3を開けて酸水性液を取り出し、液送ポンプ4を通じSUSタンク1の上部に設置した分散液管5よりシャワー式に散布することにより酸水性液を循環させる。抽出が進み、芋茎などの中に抽出液が浸透すると芋茎などは液中に浮遊するので、撹拌機2を回転させることにより、酸水性液を撹拌する。
【0020】
ここでえられた抽出液はサトイモの芋茎などの植物部分、抽出された色素および色素以外の物質ならびに繊維などの不溶物が混在した状態の液体である。したがってろ板、金網、ろ布、遠心分離などの手段で不溶物を分離することが必要である。たとえば金網を使って1段目の粗ろ過した溶液を、遠心分離機で2段目のろ過を行ない、比較的清澄な抽出液をうることができる。
【0021】
本発明は前記でえられた比較的清澄な抽出液を常圧または減圧下で濃縮することにより高濃度の抽出液をうることができるが、さらに清澄な抽出液とするために、φ=3〜6μmのろ板、ろ紙などで濃縮前後にろ過してもよい。
【0022】
前記「えられた抽出液」の濃縮は常圧または減圧下で行なうが、好ましくは、常圧で、50〜70℃、5〜6時間;20〜200mmHg、10〜50℃、3〜5時間行ない、より好ましくは、20〜100mHgで、10〜50℃、2〜5時間行ない、さらに好ましくは、20〜40mmHgで、10〜40℃、1〜4時間行なう。
【0023】
前記「精製」は、色素ではない濁りを伴う泥状の物質や繊維状物質、いわゆる「あく」などの不純物を除去する目的で行なうものであり、通常当該技術分野で用いるいずれの方法でも行ないうるが、好ましい方法は、ろ板、ろ紙、金網などによるろ過方法、抽出液を冷暗所に静置して、濁りの原因である不純物を沈降させ、上澄液を分離する沈降方法、遠心分離方法、およびこれらの組合せであり、より好ましい方法は、金網ろ過方法、ろ紙ろ過方法、遠心分離方法、沈降方法とろ紙ろ過方法の組合せ、金網ろ過方法とろ紙ろ過方法の組合せであり、とくに好ましい方法は、遠心分離方法、ろ紙ろ過方法、静置した沈降液をろ紙で再ろ過する方法、金網でろ過したろ液をろ紙で再ろ過する方法である。
【0024】
さらに、本発明は、前記製法でえられた赤色系色素を精製し、有機溶剤に溶解し、えられた溶液に酸を加えてpH1.7〜4.0の酸性液とすることからなる色素溶液の製法、および該製法でえられた色素溶液に関する。この製法における「精製」は、通常当該技術分野で用いるいずれの方法でも行ないうるが、好ましい方法は、遠心分離方法、ろ板、ろ紙などによるろ過方法、吸着剤によるイオン交換または物理吸着による吸着方法であり、より好ましい方法は、遠心分離方法、ろ紙ろ過方法、吸着剤による吸着方法であり、とくに好ましい方法は、ろ紙ろ過方法、吸着剤による吸着方法である。
【0025】
具体的には、有機および無機の溶解している不純物を除去するために、吸着剤(たとえば、アンバーライトXAD−4、XAD−7(オルガノ(株)製)、ダイアイオンHP−20、HP−2MG、SP−207(三菱化学(株)製)、S−102、S−102A(栗田テクニカルサービス(株)販)などをあげることができるが、これらのみに限定されるものではない。)に前記赤色系色素を通して色素を吸着させ、不純物を除去するために水または弱酸性溶液、たとえば、0.2〜0.5%(w/v)のクエン酸水溶液(pH2.0〜6.0)で洗浄したのち分離し、ついで吸着されている色素を通常用いられる緩衝液を含む有機溶剤で脱着し溶解し、えられた溶液に酸を加えてpH1.7〜4.0の酸性液とすることにより精製された赤色系色素をうることができる。
【0026】
前記「酸」としては、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸があげられ、製品に対する安定性がよく、水に対する溶解性がよいので好ましくはクエン酸、酒石酸であり、緩衝力がよいのでとくに好ましくはクエン酸である。
【0027】
前記酸性液のpHは1.7〜4.0であり、好ましいpHは1.7〜2.5であり、より好ましいpHは1.7〜2.2であり、とくに好ましいpHは1.7〜2.0である。
【0028】
前記「有機溶剤」とは、エタノール、メタノール、プロパノールなどのアルコール類を意味し、好ましくは、エタノールおよびメタノールであり、より好ましくは、エタノールである。
【0029】
また前記有機溶媒は「緩衝液」を含有してもよい。前記「緩衝液」とは、通常当該技術分野で用いるいずれの緩衝液をも包含するが、好ましい緩衝液は、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸および/またはその塩類を含有する緩衝液、リン酸、ポリリン酸、塩酸、硫酸などの無機酸および/またはその塩類を含有する緩衝液であり、より好ましい緩衝液は、クエン酸、酒石酸、コハク酸などの有機酸および/またはそのナトリウム塩またはカリウム塩、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸などの無機酸および/またはそのナトリウム塩またはカリウム塩を含有する水溶液またはアルコール溶液であり、とくに好ましい緩衝液は、クエン酸またはヘキサメタリン酸を含有する水溶液またはエタノール溶液である。
【0030】
前記「酸」を前記「えられた溶液」100重量部に対して、10〜0.1重量部の割合で加えてpH1.7〜4.0の酸性液をうるが、好ましくは5〜0.2重量部、より好ましくは3〜0.3重量部の割合で加える。
【0031】
つぎに、本発明は前記の色素溶液の製法でえられた色素溶液を常圧または減圧下で濃縮し、えられた濃縮液にプロピレングリコールもしくはエタノール、および/またはクエン酸一カリウムもしくはリン酸塩を加えることからなる色素液の製法、および該製法でえられた色素液に関する。
【0032】
前記「えられた色素溶液」の濃縮は常圧または減圧下で行なうが、好ましくは、70℃以上では色素が一部分解するので、常圧で、50〜70℃、5〜6時間;20〜200mmHg、10〜50℃、3〜5時間行ない、より好ましくは、高温では色素が分解するので、20〜100mmHgで、10〜50℃、2〜5時間行ない、さらに好ましくは、高温では色素が分解するので、20〜40mmHgで、10〜40℃、1〜4時間行なう。
【0033】
えられた濃縮液に加える「プロピレングリコールもしくはエタノール、および/またはクエン酸一カリウムもしくはリン酸塩類」は、好ましくは、プロピレングリコール;プロピレングリコールおよびリン酸塩類;エタノール;ならびにエタノールおよびリン酸塩類であり、より好ましくは、プロピレングリコールおよびリン酸塩類;エタノール;ならびにエタノールおよびリン酸塩類である。
【0034】
前記リン酸塩類はリン酸、ピロリン酸、メタリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩などを包含し、好ましくはメタリン酸のカリウム塩である。
【0035】
濃縮液100容量部に対して、前記「プロピレングリコールもしくはエタノール、および/またはクエン酸一カリウムもしくはリン酸塩類」10〜30容量部の割合で添加するが、好ましくは15〜28容量部、とくに好ましくは18〜25容量部である。
【0036】
また本発明は、前記の色素液の製法でえられた色素液に、クエン酸塩類、リン酸塩類、糖質類および吸着剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分とクエン酸を添加すること、ならびに常圧または減圧下で加熱乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥を行なうことからなる色素粉末の製法、および該製法でえられた色素粉末に関する。
【0037】
前記クエン酸塩類はクエン酸一カリウム、クエン酸一ナトリウムなどを包含し、好ましくはクエン酸一カリウムである。
【0038】
前記リン酸塩類はモノリン酸塩、ピロリン酸塩などのポリリン酸塩およびメタリン酸塩を包含し、好ましくはモノリン酸、ピロリン酸およびヘキサメタリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩であり、より好ましくはヘキサメタリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0039】
前記糖質類は、好ましくは、デキストリン、乳糖、ブドウ糖、果糖であり、より好ましい糖質類は、デキストリン、乳糖、ブドウ糖であり、とくに好ましい糖質類は、デキストリンである。
【0040】
前記吸着剤は、色素を吸着させ水に不溶性とする素材であり、分散性染色剤(レーキ)の形態のものであればよく、好ましくは、結晶セルロース、水酸化アルミニウムを含むゼオライトがあるが、より好ましい吸着剤は、結晶セルロース(たとえばアビセル(旭化成工業株式会社製)があげられるが、これに限定されるものではない。)である。この色素粉末の製法において、色素液に添加するものは、好ましくはクエン酸およびクエン酸一カリウム;クエン酸およびリン酸一ナトリウム;クエン酸、クエン酸一カリウムおよびデキストリン;クエン酸、リン酸一ナトリウムおよびデキストリン;クエン酸、クエン酸一カリウムおよび乳糖;クエン酸、リン酸一ナトリウムおよび乳糖;クエン酸、デキストリンおよび乳糖;クエン酸、クエン酸一カリウムおよび結晶セルロース;ならびにクエン酸、リン酸一ナトリウムおよび結晶セルロースであり、より好ましくは、クエン酸、デキストリンおよび乳糖;クエン酸、クエン酸一カリウムおよびデキストリン;ならびにクエン酸、リン酸一ナトリウムおよびデキストリンである。
【0041】
前記成分の配合割合として、好ましくは色素液:全ての選択された成分:クエン酸が100:50〜200:2〜10(重量比)であり、たとえば色素液(CAV=40)100重量部:デキストリン100重量部:クエン酸4重量部があげられるが、これに限定されるわけではない。
【0042】
また、加熱乾燥における乾燥温度は、常圧で50〜80℃、減圧(20〜100mmHg)で30〜50℃である。噴霧乾燥の乾燥温度は入口温度が80〜120℃であり、出口温度が40〜70℃である。また凍結乾燥の乾燥温度は−20〜−40℃である。好ましくは加熱乾燥を30〜100mmHg、35〜45℃で行なうか、噴霧乾燥を入口温度100〜120℃、出口温度40〜70℃で1〜5分間行なう。
【0043】
加えて、本発明は、前記の色素粉末を造粒することからなる色素顆粒の製法、および該製法でえられた色素顆粒に関する。この製法における造粒手段は、通常当該技術分野で用いるいずれの手段でも行ないうるが、好ましい手段は、造粒機である。
【0044】
また造粒を行なう手順および条件は、当業者が通常用いるものでよいが、たとえば、賦形剤を添加し混式で20〜30℃で10〜20秒間造粒機に通し、1.2mmメッシュのスクリーンより20〜30kg/cm2の圧力で押出し、40〜50℃の熱風で20〜30分間流動乾燥する。
【0045】
前記賦形剤としてはデキストリン、乳糖、ブドウ糖などがあげられ、好ましくはデキストリン、乳糖である。
【0046】
さらに加えて、本発明は、前記の赤色系色素、色素溶液、色素液、色素粉末または色素顆粒に、食用油脂;プロピレングリコール;ショ糖脂肪酸エステル;アラビアゴム;グリセリン脂肪酸エステル;プロピレングリコールのモノエステル化物;クエン酸および/またはリン酸塩類、と水を添加して乳化を行なうことからなる、油分散型水性色素液の乳化製剤の製法、および該製法でえられた油分散型水性色素液の乳化製剤に関する。
【0047】
前記「食用油脂」は当該技術分野で用いられるものでよく、食用油、大豆油、ナタネ油、マーガリンなどを包含し、好ましくは食用油、大豆油である。
【0048】
前記「ショ糖脂肪酸エステル」は、ショ糖とステアリン酸のエステル、ショ糖とパルミチン酸のエステル、ショ糖とオレイン酸のエステル、ショ糖と酢酸のエステルおよびショ糖とイソ酪酸のエステルなどを包含し、好ましくは、ショ糖とステアリン酸のエステル、ショ糖とパルミチン酸のエステルおよびショ糖とイソ酪酸のエステルであり、より好ましくは、ショ糖とパルミチン酸のエステル、およびショ糖とステアリン酸のエステルであり、とくに好ましくはショ糖とパルミチン酸のエステルである。
【0049】
前記「グリセリン脂肪酸エステル」は、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステルおよびグリセリン脂肪酸エステルなどを包含する。好ましくは、HLBが3〜20であるグリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルおよびグリセリン脂肪酸エステルであり(ただし、前記エステルにおける脂肪酸はオレイン酸、パルミチン酸またはステアリン酸を意味する)、より好ましくはHLBが3〜20であるグリセリンクエン酸オレイン酸エステル、グリセリンクエン酸パルミチン酸エステル、グリセリンコハク酸オレイン酸エステル、グリセリンコハク酸パルミチン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステルおよびグリセリンパルミチン酸エステルである。
【0050】
前記「プロピレングリコールのモノエステル化物」は、プロピレングリコールとステアリン酸のモノエステル、プロピレングリコールとパルミチン酸のモノエステル、プロピレングリコールとオレイン酸のモノエステルおよびプロピレングリコールとリノール酸のモノエステルなどを包含し、好ましくはプロピレングリコールとステアリン酸のモノエステルおよびプロピレングリコールとパルミチン酸のモノエステルであり、より好ましくはステアリン酸とのモノエステルおよびパルミチン酸とのモノエステルである。
【0051】
前記リン酸塩類はモノリン酸塩、ピロリン酸塩などのポリリン酸塩およびメタリン酸塩を包含し、好ましくはモノリン酸、ピロリン酸およびヘキサメタリン酸のナトリウム塩およびカリウム塩であり、より好ましくはヘキサメタリン酸のナトリウム塩およびカリウム塩である。
【0052】
本発明の油分散型水性色素液の乳化製剤は、当該技術分野で通常用いられるいずれの配合割合を用いても製造することができるが、たとえば以下の配合割合により製造することができる。
【0053】
配合例1
色素溶液 10部
グリセリン脂肪酸エステル 30部
クエン酸 2部
食用油脂 20部
アラビアゴム 10部
水 15部
配合例2
色素粉末 15部
グリセリン脂肪酸エステル 25部
クエン酸 2部
食用油脂 25部
水 15部
配合例3
色素溶液 10部
ショ糖脂肪酸エステル 40部
クエン酸 2部
食用油脂 20部
アラビアゴム 10部
水 15部
配合例4
色素粉末 15部
ショ糖脂肪酸エステル 30部
クエン酸 2部
食用油脂 20部
水 15部
前記配合例のなかでは配合例2および3が好ましく、より好ましくは配合例2である。
【0054】
つぎに、本発明のサトイモの赤色系色素およびその製法を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0055】
【実施例】
実施例1
サトイモ科サトイモであるヤツガシラの芋茎を10×30mm位の大きさに切断し、その10kgを5%(w/v)クエン酸水溶液(pH1.8〜1.9)15kgの入ったタンクに加え、前記タンクの底部から液を抜き、その液を上部からシャワー状に内容物全体にかかるように散布し抽出液を循環させ、ついでゆっくり撹拌した。この操作を25℃で8時間行なった。色素の抽出が充分行なわれたことを抽出残芋茎を再抽出することにより確認し、えられた抽出液を20mmHg、35℃で5時間で濃縮し、金網製受皿(イイダ製作所(株)製、JIS規格品(試験篩通(Testing sieve)、ワイヤー径:0.740mm=10メッシュ)により分離した。この液を東洋ろ紙5A(東洋濾紙会社製)により精製ろ過してろ液18kg(pH2.3、最大吸収波長λmax=515〜520nm付近、色素濃度CAV=1.3(紫外−可視吸収スペクトルにおけるλmaxの値より計算)(紫外−可視吸収スペクトルは測定装置として(株)日立製作所、分光光度計 220Aを、使用電球としてタングステンランプ 10V4A NOMAと紫外吸収ランプ H4141SV HITACHIを、対象溶剤として0.5%(w/v)クエン酸水溶液を用いて測定した)、以下同様)の赤色系色素をえた。残った切断物を0.5%(w/v)クエン酸水溶液2kgで洗浄した。
【0056】
抽出液20kgをロータリー減圧濃縮機(ヤマト科学(株))に入れ、20〜30mmHgの減圧下、30〜45℃12時間濃縮した。色素濃度CAV=40で0.7kgのものをえた。この液を5〜10℃で24時間放置し、析出した沈殿を東洋ろ紙5Aでろ別することにより精製し、ろ液に95%(w/v)エタノール0.15kgおよびクエン酸0.02kgを添加してpH2.4、アルコール濃度20%(w/w)、クエン酸3%(w/w)の色素溶液0.87kgをえた。
【0057】
実施例2
実施例1の方法でえた赤色系色素22kgを合成吸着剤アンバーライトXAD−7(オルガノ(株)製)、2.1kgの樹脂塔に通液して色素を吸着させた。さらに樹脂塔に0.2%(w/v)のクエン酸を含む水溶液(pH2.3〜2.6)2kgを2回通して不純物を洗浄した。
【0058】
この樹脂塔に0.2%(w/v)クエン酸を含む80%(w/v)エタノール5kgを通して色素をエタノール液に脱着、溶解させ、クエン酸0.022kgを加え色素濃度CAV=5.5の溶液(pH2.4)4kgをえた。
【0059】
この溶液を20〜30mmHgで25〜30℃4時間で濃縮してえられた色素濃度CAV=40のものに95%(w/v)エタノール0.05kgを加え、アルコール濃度を20%とした色素液0.58kgをえた。
【0060】
また前記色素液の濃度を0.5%(w/v)クエン酸水溶液で吸光度0.6に調整した溶液(pH=2.2)の紫外−可視吸収スペクトルおよび液体クロマトグラムを測定した。以下に液体クロマトグラムの測定条件を示す。またえられた吸収スペクトルを図2に示す。
【0061】
液体クロマトグラフィー
測定装置:(株)島津製作所、液体クロマトグラムLC−10
検出器:SPD−10A
カラムオーブン:CTO−10A
カラム:1)(株)島津製作所、STR ODSIIガードカラム
2)(株)島津製作所、STR ODSIIカラム4.6φ×250mm
移動相:0.01M NaClO4(リン酸緩衝液)
カラム温度:40℃
流量:0.8ml/min
検出:紫外吸収210nm
図2は、サトイモの芋茎からえられた色素が515〜518nm付近に最大吸収波長を有していることを示している。
【0062】
またえられた液体クロマトグラムにおいては保持時間3.823分においてピークが現れた。これはアントシアニン系色素であるブドウ果汁色素の測定においてみられたピークと保持時間が同じであった。
【0063】
したがって、本発明に係るサトイモの芋茎よりえられた色素はアントシアニン系色素であると認められる。
【0064】
また、前記色素液からクエン酸および水酸化ナトリウムでpHをそれぞれ2.0、3.0、4.0、5.0、6.0および7.0に調整した溶液を調製した。pHの異なる各溶液について、前記と同様の方法で紫外−可視吸収スペクトルを測定した。結果を図3に示す。
【0065】
図3は、本発明に係るサトイモの芋茎からえられた色素はpHの影響を受け吸光度曲線が変化することを示している。pH2.0〜4.0では515〜518nm付近に最大吸収波長のピークがみられるが、pHが上昇するにしたがい、最大吸収波長のピークは消失した。
【0066】
実施例3
実施例2でえた色素液25gにクエン酸2g、乳糖5gおよびデキストリン10gを加え、溶解させ、30〜50mmHgの減圧下で35℃で加熱濃縮し、さらに30mmHg、40〜50℃で3時間濃縮乾固することにより加熱乾燥し、粉砕して色素濃度CAV=30の粉末25gをえた。
【0067】
実施例4
実施例3で調製した濃縮前の色素溶液を噴霧乾燥機(入口温度:120℃、出口温度:70℃)で2〜5分間乾燥し、色素濃度CAV=30の粉末25gをえた。
【0068】
実施例5
実施例4でえられた色素粉末100gにデキストリン100gを混合し、造粒機(不二パウダル(株))を使用し、混式で20〜30℃で10〜20秒で混和し、1.2mmメッシュのスクリーンより20〜30kg/cm2の圧力で押出し、流動乾燥機((株)大川原製作所)を使用し、40〜50℃の熱風で20〜30分間流動乾燥することにより大きさ1mmφ×3mmの色素顆粒200g(色素濃度CAV=15)をえた。
【0069】
実施例6
実施例3または4でえられた色素粉末10gを食用油(日清製油)20g、ショ糖パルミチン酸エステル5g、50%(w/v)アラビアゴム水溶液20g、プロピレングリコール10g、グリセリンオレイン酸エステル5g、プロピレングリコールモノステアレート5gを加えて乳化機(特殊機化工業(株)製)で乳化することにより油分散型水性色素液の乳化製剤70gをえた。
【0070】
比較例1
実施例1と同じ原料を使って下記の表の条件でテストを行なった。
【0071】
【表1】
【0072】
(a)および(b)の仕込みで30〜40℃で8時間の抽出を(そのあいだに一般家庭における調理法に準じて「あく抜き」手段として75℃で90分間加温した)行なった。ついで、実施例1と同様に濃縮、分離、精製を行なって精製液530mlをえ、クエン酸を(a)では約10g、(b)では約15g添加して液量を600ml、pH2.3に調整した。えられた(b)および(a)の溶液の吸収スペクトルをそれぞれ図4および図5に示す。これら吸収スペクトルを実施例1の抽出液と比較すると515〜520nmにおけるλmaxは認められず、515nmにおける吸光度はCAVで(a)では0.16、(b)では0.14であった。これらの値は実施例1の1.3に比べて非常に低い値であり、もはや色素としての価値はない。
【0073】
比較例2
比較例1でえた抽出液(a)と(b)の各々300mlを合成吸着剤アンバーライトXAD−7、75mlの樹脂塔に通液して着色物を吸着させた。さらに0.2%(w/v)のクエン酸水溶液(pH2.3〜2.6)25mlで2回洗浄した。つぎに0.2%(w/v)クエン酸を含む80%(w/v)エタノール80ml、水20mlを通して吸着物を脱着させた。これらの液に(a)では0.5g、(b)では1.0gのクエン酸を添加してpH2.2とした。その吸収スペクトルを(b)および(a)についてそれぞれ図6および図7に示す。これらの吸収スペクトルは比較例1の抽出液と比べて吸光度が約2.5倍に上がっているが、同様な吸収スペクトルの変化を示した。したがって、この結果は、比較例1の条件での抽出においてサトイモ色素は分解しており、さらに吸着剤で精製しても目的の色素を分離することができなかったことを示している。
【0074】
試験例1
実施例2でえられた赤色系色素液から調製した0.2%(w/v)クエン酸水溶液での耐光性および耐熱性は他の植物からえられるアントシアニン色素と比較してもすぐれている。耐光性試験および耐熱性試験の結果をそれぞれ表2および表3に示す。耐光性試験および耐熱性試験において比較するために用いた紫トウモロコシ色素溶液およびブドウ果汁色素溶液は以下のようにしてえたものを使用した。
【0075】
紫トウモロコシ(Maize Morado)の種100g、水500gおよびクエン酸50gを混合し45〜50℃で昼夜撹拌した。抽出液をろ過し、着色したろ液を実施例2に準じて精製および濃縮を行ないCVA=5の溶液を20mlえた。
【0076】
ブドウ果実(ブィティス=ラブルスカ V.labrusca L.)1000gの果実を圧控機(布製ろ過袋)でしぼり800mlの液をえた。これにクエン酸50gを加えて、4〜5℃の温度で20日間放置した。えられた溶液の粘度が低くなり色素が溶解したことを確認したのち、実施例2に準じて精製および濃縮を行ないCVA=3の溶液20mlをえた。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
表2は本発明のサトイモ色素、ブドウ果汁色素の耐光性を色素残存率を指標として示している。
【0080】
色素濃度CAV=0.5の各色素溶液30mlを透明ガラス容器(φ=2cm×18cmの試験管、高さ10cm)に入れ、室内北窓側に置き、5日、10日および14日後の色素残存率を該色素溶液を調製した日におけるCAVを100%としたときの百分率として示した。CAVは実施例1と同様に分光光度計により520nm附近の吸光度λmaxを測定した。
【0081】
表2より、本発明の赤色系サトイモ色素はほかの公知の色素に比べてすぐれた耐光性を有していることが認められた。
【0082】
表3は本発明の赤色系サトイモ色素、紫トウモロコシ色素およびブドウ果汁色素の耐熱性を色素残存率を指標として示している。調製時の色素濃度CAV=0.5の各色素溶液40mlを温水バス内で85〜90℃で1時間加熱し、該色素溶液の調製時のCAVを100%としたときの加熱後の色素残存率を百分率として示した。CAVは実施例1と同様に分光光度計により520nm附近の吸光度λmaxを測定した。
【0083】
表3より、本発明の赤色系サトイモ色素はほかの公知の色素に比べてすぐれた耐熱性を有していることが認められた。
【0084】
本発明の色素溶液を酸性とし、濃縮して、濃厚な製品をうることができる。また本発明の溶液に賦形剤などを添加して乾燥することにより、粉末など固型の製品とすることができる。また油脂、乳化剤、可溶化剤、安定剤などで乳化させることにより油分散型の製品とすることができる。
【0085】
【発明の効果】
本発明にしたがえば、食品の中に含まれていても安全で、色彩もよく、耐光性および耐熱性にすぐれた利用価値の高い着色剤ならびにその製法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いうるサトイモの芋茎などの着色部分の色素の抽出装置である。
【図2】実施例2でえられた本発明の赤色系色素の紫外−可視吸収スペクトルである。
【図3】pH2.0〜7.0における本発明の赤色系色素の紫外−可視吸収スペクトルである。
【図4】比較例1(b)でえられたサトイモの芋茎の炭酸水素ナトリウム水溶液での抽出液の吸収スペクトルである。
【図5】比較例1(a)でえられたサトイモの芋茎の水での抽出液の吸収スペクトルである。
【図6】比較例2(b)でえられたサトイモの芋茎の炭酸水素ナトリウム水溶液での抽出液を吸着剤で精製してえられた液の吸収スペクトルである。
【図7】比較例2(a)でえられたサトイモの芋茎の水での抽出液を吸着剤で精製してえられた液の吸収スペクトルである。
【符号の説明】
1 SUSタンク
2 撹拌機
3 バルブ
4 液送ポンプ
5 分散液管
Claims (14)
- トウノイモ、アカメ、イシカワワセ、ヤツガシラおよびクロジクからなる群より選択されるサトイモ科サトイモの、赤色乃至赤紫色に着色した部分を切断し、pH1.5〜4.0の酸水性液に加え、15〜80℃で抽出し、えられた抽出液を常圧または減圧下で濃縮し、精製することからなる赤色系色素の製法。
- 酸水性液が酸もしくはその塩を含有する水、アルコールまたはそれらの混合物である請求項1記載の製法。
- 抽出が、酸水性液を循環させることおよび/または撹拌することにより行なわれる請求項1または2記載の製法。
- 請求項1、2または3記載の製法でえられた赤色系色素。
- 請求項1記載の製法でえられた赤色系色素を精製し、有機溶剤に溶解し、えられた溶液に酸を加えてpH1.7〜4.0の酸性液とすることからなる色素溶液の製法。
- 請求項5記載の製法でえられた色素溶液。
- 請求項5記載の製法でえられた色素溶液を常圧または減圧下で濃縮し、えられた濃縮液にプロピレングリコールもしくはエタノール、および/またはクエン酸一カリウムもしくはリン酸塩類を加えることからなる色素液の製法。
- 請求項7記載の製法でえられた色素液。
- 請求項7記載の製法でえられた色素液にクエン酸塩類、リン酸塩類、糖質類および吸着剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分とクエン酸を添加すること、ならびに常圧または減圧下で加熱乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥を行なうことからなる色素粉末の製法。
- 請求項9記載の製法でえられた色素粉末。
- 請求項10記載の色素粉末を造粒することからなる色素顆粒の製法。
- 請求項11記載の製法でえられた色素顆粒。
- 請求項4、6、8、10または12記載の赤色系色素、色素溶液、色素液、色素粉末または色素顆粒に、食用油脂;プロピレングリコール;ショ糖脂肪酸エステル;アラビアゴム;グリセリン脂肪酸エステル;プロピレングリコールのモノエステル化物;クエン酸および/またはリン酸塩類、と水を添加し乳化を行なうことからなる、油分散型水性色素液の乳化製剤の製法。
- 請求項13記載の製法でえられた油分散型水性色素液の乳化製剤。
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