以下、本発明の排気熱回収装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の目的は、再生器が特に高温下の環境に配される場合において、再生器の性能の低下が抑制可能なスターリングエンジンからなる排気熱回収装置を提供することである。本実施形態は、再生器ハウジングにおける作動流体の流れ方向への熱伝導率の上昇を抑制する技術に関する。
上述のように、再生器が加熱器を加熱する熱源の近傍に配置される場合には、その熱源からの熱を再生器ハウジングが受熱する。また、加熱器を加熱する熱源から直接受熱する場合以外にも、その熱源となる流体を流通させる管の外表面から放射される熱や、加熱器を加熱する熱源以外に熱を発生する機器・部材からの熱が、再生器ハウジングに伝わると、再生器における作動流体の流れ方向の熱伝導率に悪影響を及ぼす場合がある。
以下の実施形態では、排気管内に再生器の少なくとも一部が収容されて、再生器ハウジングが受熱する場合を例にとり説明するが、本発明は、その例に限定されない。本発明は、広く、再生器ハウジングが他の機器・部材・流体から直接的に又は間接的に受熱する場合の対策として、有効である。
また、以下の実施形態において、再生器の蓄熱材は、例えば、複数の金網が積層されてなるもののような積層形材料により構成される。以下では、積層形材料として、金網が用いられた場合を例にとり説明するが、本発明では、金網に限定されず、一般に積層形材料として使用される、発泡金属やマット状金属繊維やスプリングメッシュなどが適用されたものも含まれる。ここで、積層形材料では、シート状のエレメントが積層して用いられる。更に、本発明では、蓄熱材として、積層形材料に限定されず、一般に、流れ方向への熱伝導が低いものとして使用される、細管のような配列形材料、綿状金属繊維のようなパック形材料が適用されたものも含まれる。配列形材料では、エレメントを一定方向あるいはランダムに配列して使用される。パック形材料では、エレメントはそのままか焼結後に充填して使用される。
本実施形態では、スターリングエンジンの装置規模(全体構成)の小型化が要求されている。特に、スターリングエンジンが例えば車両の内燃機関の排気ガスのような排熱を熱源として作動する場合には、車両の床下に配される内燃機関の排気管に隣接するスペースのように、限られた空間にスターリングエンジンを搭載しなくてはならない場合があるためである。以下に説明するスターリングエンジンでは、装置規模のコンパクト化が実現されている。
図1は、本実施形態のスターリングエンジンを示す正面図である。図1に示すように、本実施形態のスターリングエンジン10は、α型(2ピストン形)のスターリングエンジンであり、二つのパワーピストン20、30を備えている。二つのパワーピストン20、30は、直列並行に配置されている。低温側パワーピストン30のピストン31は、高温側パワーピストン20のピストン21に対して、クランク角で90°程度遅れて動くように位相差がつけられている。
高温側パワーピストン20のシリンダ(以下高温側シリンダという)22の上部の空間(膨張空間)には、加熱器47によって加熱された作動流体が流入する。低温側パワーピストン30のシリンダ(以下低温側シリンダという)32の上部の空間(圧縮空間)には、冷却器45によって冷却された作動流体が流入する。
再生器(再生熱交換器)46は、上述したように、膨張空間と圧縮空間を作動流体が往復する際に熱を蓄える。即ち、膨張空間から圧縮空間へと作動流体が流れる時には、再生器46は、作動流体より熱を受け取り、圧縮空間から膨張空間へと作動流体が流れる時には、蓄えられた熱を作動流体に渡す。
2つのピストン21、31の往復動に伴い、作動ガスの往復流動が生じて高温側シリンダ22の膨張空間と低温側シリンダ32の圧縮空間にある作動流体の割合が変化するとともに、全内容積も変わるため、圧力の変動が生じる。2つのピストン21、31がそれぞれ同位置にある場合の圧力を比較すると、膨張ピストン21についてはその上昇時より下降時の方がかなり高く、圧縮ピストン31については逆に低くなる。このため、膨張ピストン21は外部に対し大きな正の仕事(膨張仕事)を行い、圧縮ピストン31は外部から仕事(圧縮仕事)を受ける必要がある。膨張仕事は、一部が圧縮仕事に使われ、残りが駆動軸40を介して出力として取り出される。
本実施形態のスターリングエンジン10は、車両においてガソリンエンジン(内燃機関)と共に用いられてハイブリッドシステムを構成する。即ち、スターリングエンジン10は、ガソリンエンジンの排気ガスを熱源として用いる。スターリングエンジン10の加熱器47が車両のガソリンエンジンの排気管100の内部に配置され、排気ガスから回収した熱エネルギーにより作動流体が加熱されてスターリングエンジン10が作動する。
本実施形態のスターリングエンジン10は、排気管100の内部にその加熱器47が収容されるというように車両内の限られたスペースに設置されるため、装置全体がコンパクトである方が設置の自由度が増す。そのために、スターリングエンジン10では、2つのシリンダ22、32をV字形ではなく、直列並行に配置した構成を採用している。
加熱器47が排気管100の内部に配置されるに際しては、排気管100の内部において相対的に高温の排気ガスが流れる排気ガスの上流側(ガソリンエンジンに近い側)100aに、加熱器47の高温側シリンダ22側が位置し、相対的に低温の排気ガスが流れる下流側(ガソリンエンジンから遠い側)100bに加熱器47の低温側シリンダ32側が位置するように配置される。加熱器47の高温側シリンダ22側をより多く加熱するためである。
高温側シリンダ22及び低温側シリンダ32のそれぞれは、円筒状に形成されており、基準体である基板42に支持されている。本実施形態においては、この基板42が、スターリングエンジン10の各構成要素の位置基準となる。このように構成されることで、スターリングエンジン10の各構成要素の相対的位置精度が確保される。また、この基板42は、スターリングエンジン10が排熱回収対象である排気管(排気通路)100等に取り付けられるときの基準として用いられることができる。
排気管100のフランジ100fに対して、断熱材(スペーサ、図示せず)を介して、基板42が固定されている。排気管100と基板42とは、相対的位置精度が確保された状態で固定されるため、基板42は、固定的構造物として排気管100が備えた装置取付面であると捉えることができる。基板42には、高温側シリンダ22の側面(外周面)に設けられたフランジ22fが固定されている。また、基板42には、再生器46の側面(外周面)46cに設けられたフランジ46fが、断熱材(スペーサ、図示せず)を介して固定されている。また、基板42には、後述する隔壁70が固定されている。
基板42に対して、スターリングエンジン10の全ての構造部材が支持されている。このことから、基板42が排気管100内の排気ガスの熱により変形すると、その変形の影響がスターリングエンジン10の全ての構造部材に及ぶ。そのため、排気管100のフランジ100fとの間に上記断熱材を設けるとともに、後述するシュラウド90により、排気管100内の排気ガスの熱が基板42に伝わることが最小限に抑制されている。
排気管100とスターリングエンジン10とは、基板42を介して取り付けられる。このとき、基板42と、高温側シリンダ22において加熱器47が接続される側の端面(頂部22bの上面)、及び低温側シリンダ32において冷却器45が接続される側の端面(頂面32a)とが実質的に平行になるように、スターリングエンジン10が基板42に取り付けられる。あるいは、基板42とクランクシャフト43(又は駆動軸40)の回転軸とが平行になるように、もしくは排気管100の中心軸とクランクシャフト43の回転軸とが平行になるように、スターリングエンジン10が基板42に取り付けられる。これにより、既存の排気管100に大幅な設計変更を加えることなく、容易に排気管100にスターリングエンジン10を取り付けることができる。その結果、排熱回収対象である車両の内燃機関本体の性能や搭載性、騒音等の機能を損なうことなくスターリングエンジン10を排気管100に搭載することができる。また、同一仕様のスターリングエンジン10を異なる排気管に取り付ける場合でも、加熱器47の仕様を変更するだけで対応できるので、汎用性を向上させることができる。
スターリングエンジン10は、車両の床下に配された排気管100に隣接するスペースに、横置き、即ち、車両の床面(図示せず)に対して、高温側シリンダ22及び低温側シリンダ32のそれぞれの軸線方向が概ね平行になるように配置され、2つのピストン21、31は、水平方向に往復動される。本実施形態では、説明の便宜上、2つのピストン21、31の上死点側を上方向、下死点側を下方向であるとして説明する。
作動流体は、その平均圧力が高い程、冷却器45や加熱器47による同じ温度差に対しての圧力差が大きくなるので高い出力が得られる。そのため、上記のように、高温側シリンダ22、低温側シリンダ32内の作動流体は高圧に保持されている。
ピストン21,31は、円柱状に形成されている。ピストン21、31の外周面とシリンダ22、32の内周面との間には、それぞれ数十μmの微小クリアランスが設けられており、そのクリアランスには、スターリングエンジン10の作動流体(空気)が介在している。ピストン21,31は、それぞれシリンダ22、32に対して空気軸受48により非接触の状態で支持されている。したがって、ピストン21,31の周囲には、ピストンリングは設けられておらず、また、一般にピストンリングと共に使用される潤滑油も使用されていない。但し、シリンダ22、32の内周面には、固定潤滑材が付されている。空気軸受48の作動流体の摺動抵抗は元々極めて低いが、更に低減するために、固定潤滑材が付されている。上記のように、空気軸受48は、作動流体(気体)により膨張空間、圧縮空間それぞれの気密を保ち、リングレスかつオイルレスでクリアランスシールを行う。
加熱器47は、複数の伝熱管(管群)47tを有し、それらの複数の伝熱管47tが概ねU字形の形状に形成されてなるものである。各伝熱管47tの第1端部47aが高温側シリンダ22の上部(頂面22a側の端面)22bに接続されている。各伝熱管47tの第2端部47bが再生器46の上部(加熱器47側の端面)46aに接続されている。上記のように、加熱器47が概ねU字形に形成されている理由については後述する。
再生器46は、蓄熱材(マトリックス、図示せず)と、その蓄熱材が収容される再生器ハウジング46hとを備えている。再生器ハウジング46hは、低温側シリンダ32の上部と概ね同じ断面形状を有する概ね円柱状の蓄熱材を収容する。そのため、再生器ハウジング46hは、低温側シリンダ32の上部の断面形状と概ね同じ形の底面及び上面を有する円筒形(中空円柱状)に形成されている。
上記のように、再生器46の側面(外周面)46cには、フランジ46fが設けられており、そのフランジ46fが断熱材を介して基板42に固定されている。フランジ46fにおいて、排気管100のフランジ100f側の面46fcと、排気管100との間には、空隙が設けられている。即ち、フランジ46fと排気管100は、直接的に接触していない。
再生器46では、蓄熱材として、積層された金網(積層形材料)が用いられている。金網は、作動流体が流れる方向に沿って積層され、複数の金網が互いに熱伝達を起こし難い状態で設けられている。
作動流体が膨張空間から圧縮空間へと流れるときに、蓄熱材が作動流体から受熱する場合、まず上記積層された複数の金網のうち最も加熱器47に近い最上部の金網が受熱することで作動流体の温度が低下し、次に加熱器47に近い金網が受熱することで作動流体の温度が更に低下し、更に次に加熱器47に近い金網が受熱することで更に作動流体の温度が低下するというように、再生器46において上方から下方に向けて金網の層を通過する度に、作動流体の温度が低下していく。
再生器46には、上述した機能から、以下の条件が要求される。即ち、伝熱性能と蓄熱容量が高く、流動抵抗(流動損失、圧力損失)が小さいことのほか、作動流体の流れ方向の熱伝導率が小さく、温度勾配を大きくとれることが要求される。このことから、複数の金網同士の間の熱伝導は極力小さいことが求められる。その金網の材料は、ステンレス鋼であることができる。
再生器ハウジング46hは、再生器ハウジング46hが受熱したときに、その熱が、再生器ハウジング46hから複数の金網にそれぞれ伝わり、再生器46における作動流体の流れ方向への熱伝導率が上昇してしまうことがないように、作動流体の流れ方向への熱伝導率が低いことが求められている。一方、再生器ハウジング46hには、高圧の作動流体が入るため、所定の耐圧性能(強度)を備えた耐圧容器である必要がある。このように、再生器ハウジング46hには、作動流体の流れ方向への熱伝導率の低さ及び耐圧性能が要求される。
本実施形態では、再生器ハウジング46hの材料として、ステンレス鋼が用いられる。例えば、発泡セラミックス材料は、ステンレス鋼に比べて、熱伝導率が低いという点で再生器ハウジング46hに適している。しかし、発泡セラミックス材料は、ステンレス鋼に比べて、強度が弱く、所定の強度(耐圧性能)を再生器ハウジング46hに持たせようとすると、再生器ハウジング46hの円筒の肉厚を増大せざるをえず、再生器ハウジング46hの表面積(伝熱面積)が増大することになり、その分だけ伝熱性が上がってしまうという点で再生器ハウジング46hに適していない。上記の長所及び短所を総合判断すると、再生器ハウジング46hの材料として、発泡セラミックス材料は、ステンレス鋼に比べて優位性がなく、本実施形態の再生器ハウジング46hでは、ステンレス鋼が用いられている。
ここで、再生器ハウジング46hの材料として、ステンレス鋼を使用した場合、再生器ハウジング46hが受ける熱の温度が、例えば約600℃を超えると、強度が極端に低下し、所定の耐圧性能を満たさなくなるおそれがある。このような高温の熱を受けたときにも、所定の耐圧性能を満たすためには、再生器ハウジング46hの円筒の肉厚を大きくせざるを得ない。上記のように、再生器ハウジング46hの肉厚の増大は、伝熱面積の増大につながるため、回避されるべきである。このため、本実施形態では、再生器ハウジング46hが受熱することを抑制し、再生器ハウジング46hの温度を下げる必要がある。
再生器46の上部は、排気管(排気ダクト)100の内部に配設されている。以下に、再生器46が排気管100の内部に設けられている理由について説明する。
本実施形態では、スターリングエンジン10の熱源が車両の内燃機関の排気ガスであることから、得られる熱量に制約があり、その得られる熱量の範囲でスターリングエンジン10を効果的に作動させる必要がある。そのため、膨張空間に、なるべく高温の作動流体が流れるべく、高温側シリンダ22の頂部(上部)22b及び高温側シリンダ22の側面22cの上部が、排気管100の内部に配設されている。これにより、上死点近傍での膨張ピストン21の上部は、排気管100の内部に位置することになり、膨張ピストン21の上部が効果的に加熱される。
一方、2つのシリンダ22、32が直列並行に配置されてなるスターリングエンジン10において、第1端部47aから第2端部47bまでの全体が排気管100の内部に配設される加熱器47の、上記高温側シリンダ22が接続される第1端部47aと反対側の第2端部47bには、再生器46の上面46aが接続されている。スターリングエンジン10の出力に直接的には関与しない無効容積の増大を抑制すべく、加熱器47の第2端部47bと再生器46の上面46aとは、接続用の配管を介することなく、直接的に接続されている。この再生器46の上面46aは、上下方向において、高温側シリンダ22の頂部22bと概ね同じ位置となるように排気管100の内部に収容されている。
排気管100の内部において、再生器46の上面46aが、上下方向において、高温側シリンダ22の頂部22bと概ね同じ位置となるように配置されている理由は、以下の通りである。
その第一の理由は、排気管100内を流れる排気ガスの流動抵抗の増大や、よどみの発生を抑制するためである。即ち、排気ガスが、排気管100の延在方向(図中左右方向)に沿うように直線状に円滑に流れるようにするため、再生器46の上面46aと、高温側シリンダ22の頂部22bとの間に上下方向の段差が形成されないように構成されている。なお、再生器46の上面46aと、高温側シリンダ22の頂部22bの上下方向における位置(高さ)は、排気管100内を流れる排気ガスの流動に対して大きな抵抗とならないように、排気管100の中心軸の位置よりも十分に下方に設定されている。
第二の理由は、スターリングエンジン10の装置規模のコンパクト化のためである。即ち、スターリングエンジン10は、車両の床下に配される内燃機関の排気管に隣接する限られた空間に搭載されることから、スターリングエンジン10の小型化が要求されている。ここでは、スターリングエンジンの小型化の指標として、排気管100の内部に収容される加熱器47の第1及び第2端部47a、47bのそれぞれから、クランクシャフト43(駆動軸40)までの上下方向の長さ寸法を考えることとする。
この場合、スターリングエンジンにおいて、加熱器の第1及び第2端部のそれぞれから、クランクシャフトまでの上下方向の長さを決定付けるのは、高温側パワーピストン側ではなく、低温側のパワーピストン側の長さである。その理由は、上下方向において、高温側パワーピストン側の構成要素が高温側シリンダのみであるのに対して、低温側のパワーピストン側は低温側シリンダに加えて冷却器及び再生器がある分だけ、上下方向の長さが大きくなることにある。
ここで、本実施形態では、膨張ピストン21の上下方向の長さが圧縮ピストン31に比べて大きく形成され、また、高温側シリンダ22の上下方向の長さが低温側シリンダ32に比べて大きく形成されている(その理由については後述する)。その結果として、上述した構成要素の数の差に伴って生じる、高温側パワーピストン20側と低温側のパワーピストン30側の上下方向の長さの差が緩和されている。
しかしながら、それでも、低温側のパワーピストン側の長さの方が長いことには変わりがない。図1の例では、後述するように冷却器45の構成を工夫することで低温側のパワーピストンの長さを短縮させているが、このような工夫がなければ、高温側パワーピストン側に比べて、低温側のパワーピストン側の方が明らかに長い。このことから、スターリングエンジンの上下方向の長さを決定付けるのは、低温側のパワーピストン側の長さということになる。
ここで、上述のように、再生器ハウジング46hの作動流体の流れ方向への熱伝導の悪影響を考えて、再生器46の全体が排気管100の外部に位置するように配置されたとすると、その分、クランクシャフト43の低温側のパワーピストン30側の位置が下がる。そして、その下がった位置に合わせて、加熱器47の第1端部47aとクランクシャフト43の高温側パワーピストン20側との間の長さが設定される。この設定では、図1よりも高温側パワーピストン20側の長さが長くなる。このことから、再生器46の全体が排気管100の外部に位置するように配置された場合には、スターリングエンジン10の装置規模が大きくなる。
以上のことから、本実施形態では、スターリングエンジン10の小型化を実現すべく、再生器46の上面46aが高温側シリンダ22の頂部22bと概ね同じ高さとなるように、再生器46を排気管100の内部に配置することとしている。
上記のように、排気管100の内部に配置された再生器46においては、再生器ハウジング46hの作動流体の流れ方向への熱伝導の悪影響を抑制する必要性が非常に高い。このことから、本実施形態では、以下の構成が採用されている。
本実施形態では、再生器ハウジング46hに、シュラウド90が設けられている。シュラウド90は、排気管100の内部の熱(例えば約600〜800℃)が、再生器ハウジング46hに伝達されないようにすることを目的としている。この場合、シュラウド90は、特に、再生器ハウジング46hの上面46aを除く面(側面46c及びフランジ46f)に伝達されないようにすることを目的としている。なお、再生器ハウジング46hの上面46aへの熱伝達については、後述する。
上記目的を達成するために、シュラウド90は、排気管100の内部において、再生器ハウジング46hを覆う機能、特に、再生器ハウジング46hの側面46c及びフランジ46fを覆う機能を有している。シュラウド90により覆うことで、再生器ハウジング46hには、排気管100の内部の排気ガスからの熱伝達及び熱放射が抑制される。
シュラウド(被覆部材、隔壁、遮熱部材、熱伝達部位制御部)90は、正(断)面視(図1参照)略L字型に形成されている。シュラウド90は、正面視したときに、そのL字の上下方向の長辺に対応する部分(以下、長辺部と称する)91と、左右方向の短辺に対応する部分(以下、短辺部と称する)92とを有している。
シュラウド90には、ステンレス鋼が用いられる。ステンレス鋼は、耐熱性及び耐酸性が十分であることと、熱伝導率が低いという点で、シュラウド90に適している。
シュラウド90は、再生器ハウジング46hの側面46cの周方向全周に亘るように構成されている。短辺部92は、再生器ハウジング46hの側面46cの周方向に周回するリング状に形成されている。長辺部91は、その短辺部92の周方向外側位置から上下方向において下方に延びる立下り壁部として形成されている。
シュラウド90は、排気管100の内部に位置する、再生器ハウジング46hの主として側面46cの周方向及び上下方向(高さ方向)において殆ど全ての領域を覆うように構成されている。
シュラウド90の短辺部92は、再生器ハウジング46hの上面46aに対してシュラウド90を固定的に支持させる機能と、排気管100の内部において再生器ハウジング46hの上面46aよりも上方からの熱が、再生器ハウジング46hに伝わることを抑制する機能を有する。
シュラウド90の長辺部91は、再生器ハウジング46hの側面46c及びフランジ46fに対して排気管100の内部の熱が伝わるのを抑制する機能を有している。また、シュラウド90の長辺部91は、排気管100の内部の排気ガス(熱)の対流による熱が、再生器ハウジング46hの側面46cと対向する排気管100の面(再生器対抗面)100tと再生器ハウジング46hの側面46cとの間の空間S1に進入することを抑制する機能を有する。
シュラウド90は、その短辺部92にて再生器ハウジング46hの上面46aの外縁部に接触して、固定されている。シュラウド90は、その固定箇所以外は、いずれの構成部材とも接触していない。このため、排気管100の内部から、シュラウド90が受けた熱は、再生器ハウジング46hの上面46aに集中して伝達される。上述したように、再生器ハウジング46hにおいて、その上面46aに対しては、排気管100の内部の熱の伝達を抑制する必要性が相対的に低い。以下に、その理由について説明する。
再生器ハウジング46hの上面46aには、加熱器47の第2端部47bが直接接続されており、加熱器47にて排気管100の内部の排気ガスにより加熱された作動流体が再生器ハウジング46hの上面46aから流入される。そのため、再生器ハウジング46hの上面46aは、もともと十分に高温である。そのため、再生器ハウジング46hの上面46aに対しては、シュラウド90で受けた熱が、相対的に大量の熱量として伝わることが少ない。
再生器ハウジング46hの上面46aは、再生器ハウジング46hにおいて、加熱器47にて加熱された作動流体の流れ方向において最も上流側に位置するため、再生器ハウジング46hの上面46aが十分に高温であることが、再生器ハウジング46hの作動流体の流れ方向への熱伝導に対して悪影響を及ぼすものではない。即ち、再生器ハウジング46hの上面46aが十分に高温であることが、再生器ハウジング46hの上下方向下方に向けて相対的に低温となる温度勾配を大きく取ることに対して、特に大きな支障を生じさせるものではない。
以上のことから、シュラウド90では、再生器ハウジング46hの上面46aに対しては、その上面46a以外の面に比べて、排気管100の内部の熱が伝わることを抑制する効果が少なくても問題が生じない。
また、上述の理由から、シュラウド90と再生器ハウジング46hの上面46aとの接続部において、シュラウド90が加熱器47に接触している構成にしても、特に大きな問題は生じない。
更に、加熱器47における再生器46との接続側端部である第2端部47bは、概ね再生器ハウジング46hの上面46aと同じ温度であるため、上述の理由から、シュラウド90が加熱器47の第2端部47bのみにて接触し支持される構成をとることも可能である。
この場合、図2に示すように、シュラウド90と再生器ハウジング46hの上面46aとの接触面積を小さくすべく、シュラウド90における再生器ハウジング46hの上面46aとの接続部位を塑性変形によりドット状に形成し(符号dot参照)、上面46aに対して点接触させると更に好ましい。
本実施形態によれば、シュラウド90により、再生器ハウジング46hの主として側面46cやフランジ46fが受熱することが抑制される。そのため、その受熱した熱が、再生器ハウジング46hから複数の金網にそれぞれ伝わり、再生器46における作動流体の流れ方向の熱伝導率が上昇してしまうことが有効に抑制される。
なお、上記において、膨張ピストン21の上下方向の長さが圧縮ピストン31に比べて大きく形成され、また、高温側シリンダ22の上下方向の長さが低温側シリンダ32に比べて大きく形成されている理由は、以下の通りである。
スターリングエンジン10の効率の低下を抑制するため、高温側パワーピストン20における膨張空間以外の空間及び低温側のパワーピストン30における圧縮空間以外の空間、即ち、高温側パワーピストン20及び低温側のパワーピストン30のそれぞれにおけるクランクシャフト43の周辺の空間は、常温に保たれる必要がある。そのため、膨張空間の高温の作動流体がクランクシャフト43の高温側パワーピストン20側の周辺の空間に流入したり、圧縮空間の低温の作動流体がクランクシャフト43の低温側のパワーピストン30側の周辺の空間に流入することがないように、高温側シリンダ22と膨張ピストン21とのシール及び低温側シリンダ32と圧縮ピストン31とのシールが確実に行われる必要がある(後述のように、そのシールには空気軸受48が使用されている)。
一方で、上記のように、膨張空間を高温にすべく、高温側シリンダ22の頂部22b及び側面22cの上部は、排気管100の内部に収容されるため、高温側シリンダ22の上部及び膨張ピストン21の上部が熱膨張する。高温側シリンダ22及び膨張ピストン21のそれぞれの上部の熱膨張する部分では、シールが確実に行えないおそれがある。このことから、本実施形態では、膨張ピストン21及び高温側シリンダ22の上下方向の長さを長く設定し、これにより、膨張ピストン21の上下方向に温度勾配を持たせて、熱膨張の影響を受けない部分(膨張ピストン21の下部)にてシールが確実に行えるようにしている。また、高温側シリンダ22と膨張ピストン21との間は、膨張ピストン21の下部(熱膨張の影響を受けない部分)にてシールされるので、そのシール部の移動距離を十分に確保して膨張空間を十分に圧縮するために、高温側シリンダ22の上下方向の長さが長く設定されている。
次に、図1、図3及び図4を参照して、冷却器45の構成について説明する。
図3は、図1のC−C矢視図である。図4は、図3のD矢視図であり、図1の冷却器45の周囲の構造を拡大して示す図である。これらの図においては、冷却器45の複数の伝熱管45tのうち一部の伝熱管45tのみが図示され、それ以外の伝熱管45tの図示は省略されている。
再生器46と低温側シリンダ32との間には、上記隔壁(部材)70が設けられている。隔壁70は、熱伝導率の低い材質で形成されている。隔壁70において、低温側シリンダ32の軸線方向(上下方向)の長さ寸法は、後述する伝熱管45tの引き回しの機能を果たすために十分な大きさを確保しつつなるべく小さく設計されている。スターリングエンジン10の小型化に寄与するためである。
上記のように、隔壁70は、基板42に固定されている。隔壁70の上面70aは、再生器46の下面(加熱器47側の上記端面46aと反対側の端面)46bに、直接接触するように設けられている。隔壁70の下面70bは、低温側シリンダ32の頂面32aを兼ねている。隔壁70の側面(外周面)70cには、冷却器45の後述するクーラ容器45cが固定されている。
冷却器45は、水冷の多管式熱交換器(shell-and-tube exchanger, tubular exchanger)により構成されている。冷却器45は、複数の伝熱管(管群)45tと、クーラ容器45cとを有している。冷却器45の複数の伝熱管45tの大部分は、クーラ容器45cに収容されている。伝熱管45tのクーラ容器45cに収容された部分は、クーラ容器45cに供給された冷却水(冷媒)Wと接触し、これにより、伝熱管45tを流れる作動流体が冷却される。
上記のように、クーラ容器45cは、隔壁70の外周面70cに固定されている。クーラ容器45cは、外周面70cの周方向に亘ってリング状に設けられている。このクーラ容器45cは、低温側シリンダ32の外周部32kの上部(圧縮空間に対応する部分)を周方向に囲むようなリング状に形成されている。クーラ容器45cは、低温側シリンダ32の外周部32kの周方向の全周に亘って設けられている。または、これに代えて、クーラ容器45cは、低温側シリンダ32の外周部32kの周方向の一部を囲むように設けられることができる。
図3に示すように、クーラ容器45cには、クーラ容器45cに冷却水Wを供給する冷却水供給用配管81と、クーラ容器45c内の冷却水Wを外部に排出するための冷却水排出用配管82が接続されている。同図において、矢印Wi及びWoは、それぞれクーラ容器45cへの冷却水Wの流入方向、排出方向を示している。
クーラ容器45cが、スターリングエンジン10の上下方向において、低温側シリンダ32と再生器46との間ではなく、低温側シリンダ32の外周部32kの側方に配置されているため、スターリングエンジン10の小型化に寄与することができる。クーラ容器45cが、低温側シリンダ32の外周部32kの側方に低温側シリンダ32の外周部32kを周方向に囲むように配置されることにより、スターリングエンジン10の上下方向の大きさをコンパクトに抑えつつ、クーラ容器45cは、必要な熱交換能力を得るための十分な容量を確保することができる。
複数の伝熱管45tのそれぞれの一方の開口部45taは、隔壁70の上面70aに開口するように設けられている(以下、再生器側出入口と称する)。即ち、再生器側出入口45taは、再生器46の端面46bに開口した状態となるように構成されている。各伝熱管45tには、再生器側出入口45taを介して、再生器46からの作動流体が導入される。図3に示すように、隔壁70の上面70aには、複数の伝熱管45tの再生器側出入口45taがそれぞれ上面70aの面方向に均等に(等分布で)分散配置されている。
複数の伝熱管45tのそれぞれの他方の開口部45tbは、低温側シリンダ32の頂面32a(隔壁70の下面70b)に開口するように設けられている(以下、低温側シリンダ側出入口と称する)。各伝熱管45tには、低温側シリンダ側出入口45tbを介して、低温側シリンダ32の上部の圧縮空間からの作動流体が導入される。低温側シリンダ32の頂面32aには、複数の伝熱管45tの低温側シリンダ側出入口45tbがそれぞれ頂面32aの面方向に均等に分散配置されている。
図4に示すように、隔壁70の内部には、複数の伝熱管45tのそれぞれの一部が設けられている。隔壁70では、複数の伝熱管45tの熱交換能力(作動流体の単位流量当たりの熱伝達量)が同じになるように、又はそれらのばらつきが抑制されるように、複数の伝熱管45tがそれぞれ引き回される。ここでは、伝熱管45tの管長、冷却水Wとの接触面積、管径、管内に留まる時間(熱伝達時間)、流路抵抗ないし圧力損失を含む流動損失などの特性・条件が考慮される。
クーラ容器45cの上下方向の長さL1は、低温側シリンダ32の上部の圧縮空間の周囲を囲むように、圧縮ピストン31の下死点(BDC)の位置の近傍まで到達する大きさとされている。クーラ容器45cの径方向の長さL2は、スターリングエンジン10の小型化のために、クーラ容器45c内を伝熱管45tが往復できる程度の大きさに抑えられている。
上記のように、低温側シリンダ32の外周部32kの圧縮空間に対応する上部32jがクーラ容器45cにより覆われることで、低温側シリンダ32の外周部32kの上部32jの冷却に効果がある。低温側シリンダ32の周囲には、排気管100からの熱のほか、ラジエターや内燃機関の表面からの熱があり、クーラ容器45cにより、これらの熱が低温側シリンダ32の外周部32kに伝わるのが有効に遮られる。これにより、スターリングエンジン10の出力の向上につながる。
図4に示すように、クーラ容器45cは、低温側シリンダ32の外周部32kの上部32jに接触していない。この構成に代えて、クーラ容器45cと低温側シリンダ32の外周部32kの上部32jとの間の空隙を埋めるように、銅などの熱伝導率の良い金属製の部材77を設けることができる。これにより、クーラ容器45cの熱が部材77を介して低温側シリンダ32の外周部32kに伝わるため、更に、低温側シリンダ32の外周部32kの上部32jの冷却効果が向上する。また、この部材77の内部に冷却水Wを通すこともできる。
また、これらの構成に代えて、クーラ容器45cにおける低温側シリンダ32の外周部32kに対向する内周面45ciを無くすとともに、クーラ容器45cの底面45ctを、符号45cvに示すように低温側シリンダ32の外周部32kに達するまで延長させる構成にすることができる。この構成によれば、クーラ容器45c内の冷却水Wが直接低温側シリンダ32の外周部32kに接触するため、更に、冷却効果が向上する。
一方、図1に示されるように、冷却器45(特にクーラ容器45c)は、高温側シリンダ22の側面22cの頂部22b側から、十分に離間するように、十分に下方に配置されている。即ち、本来、効率の向上のために高温であることが好ましい位置である高温側シリンダ22の側面22cの頂部22b側が、基板42の上方の排気管100の内部空間に配設されるのに対し、冷却器45は、基板42の下方の位置に配設されている。
冷却器45は、高温側シリンダ22の側面22cの頂部22b側から、特に、物理的距離ではなく熱伝達空間として捉えたときに、十分に離間した位置に配置されている。これにより、高温側シリンダ22の側面22cの上部が、クーラ容器45cによって冷却されることにより悪影響が生じることはない。
ここで、図1及び図4に示すように、低温側シリンダ32の軸線方向に直交する再生器46の任意の断面46sと、低温側シリンダ32の軸線方向に直交する低温側シリンダ32の任意の断面32sの間に形成され、それらの断面46s、32sがそれぞれ軸線方向両側の円形端面となる略円柱状の仮想空間Vsを考える。
従来一般のスターリングエンジンでは、この仮想空間Vsに冷却器(クーラ容器)が設けられているのに対し、本実施形態では、仮想空間Vsに冷却器45のクーラ容器45cが設けられていない。これにより、低温側シリンダ32ないし駆動軸40(又はクランクシャフト43)と、再生器46との間の、低温側シリンダ32の軸線方向の寸法が小さく抑えられることになり、スターリングエンジン10の小型化が実現する。
仮想空間Vsは、以下のように言い換えることが可能である。
即ち、低温側シリンダ32の軸線方向に直交する低温側シリンダ32の任意の断面32sを低温側シリンダ32の頂面32aの方向に低温側シリンダ32の軸線上及びその軸線の延長線上に仮想的に重ねることにより圧縮空間側に仮想空間が形成される。
本実施形態では、低温側シリンダ32の外周部32kの側方に、低温側シリンダ32の外周部32kをその周方向に囲むように冷却器45が設けられているので、必要な冷却能力が得られるに十分な大きさ(体積)の冷却器45(特にクーラ容器45c)に形成されつつ、その冷却器45の大きさが低温側シリンダ32の軸線方向におけるスターリングエンジン10の長さ寸法に与える影響が最小限に抑えられている。
上記のように、本実施形態では、冷却器45の大部分(クーラ容器45c)を、低温側シリンダ32の外周部32kの側方に配置することによって、低温側シリンダ32の軸線方向の寸法を小さく抑えることとしている。ここで、低温側シリンダ32の軸線方向の寸法を小さく抑える方法として、上記の冷却器45に代えて(又は、上記の冷却器45とともに)、再生器46を低温側シリンダ32の外周部32kの側方に配置することが一応考えられる。従来一般に、再生器46は、冷却器とともに低温側シリンダ32の軸線方向に沿って直線状に設けられている場合が多いことから、再生器46を低温側シリンダ32の外周部32kの側方に配置した場合にも、低温側シリンダ32の軸線方向の寸法の短縮化につながると考えられるためである。
これに関し、本実施形態においては、上記のように、再生器46ではなく、冷却器45の配置を工夫することにより、スターリングエンジンの小型化を実現している。以下にその理由について説明する。
上記のように、再生器46は、通常一般のスターリングエンジンに適用される再生器と同様に、作動流体の流通方向に、金網が何重にも重なるように配置(積層)された構成とされており、作動流体の通過(金網のメッシュの通過)に対する流動損失が小さく、圧力損失による出力損失が小さい構成とされている。
これに対し、本実施形態において、仮に、再生器46を低温側シリンダ32の外周部32kの側方に配置する場合には、その低温側シリンダ32の外周部32kの側方の位置の再生器46に作動流体を導くべく設けられる流路は、圧縮ピストン31の往復方向に沿う直線状の形状ではなく、再生器46の位置に対応するように曲げられた形状に形成せざるを得ない。
上記のように、再生器46自体は、作動流体の流動損失が小さい構成とされているが、再生器46を低温側シリンダ32の外周部32kの側方に配置する場合には、新たにその再生器46に接続される流路が曲げられることによって、作動流体の流動損失が大幅に増加する。例えば、再生器46に新たに接続されるその曲げられた形状の流路に、作動流体が入るときには縮流効果による圧力損失が生じることが考えられる。
一方、本実施形態において、冷却器45が低温側シリンダ32の外周部32kの側方に配置される構成においては、上記の再生器46の場合と異なり、上記のような流動損失の増加の問題が少ない。即ち、本実施形態の冷却器45としては、通常一般のスターリングエンジンに適用される冷却器と同様に、多管式熱交換器が用いられ、もともと、通常一般の多管式熱交換器と同様に、(相対的に容積の大きな)圧縮空間から、(相対的に流路断面積の小さな)伝熱管45tに作動流体が入るときの縮流効果による圧力損失が生じている。このため、本実施形態において、伝熱管45tを低温側シリンダ32の外周部32kの側方に引き回すべく曲げられた形状にされても、もともと冷却器45が有している縮流効果による圧力損失を考えると、作動流体の流動損失に対する影響は少ない。
即ち、多管式熱交換器を用いた冷却器においては、もともと伝熱管の出入口において圧力損失が生じる。通常一般の直線状の伝熱管群からなる冷却器と異なり、本実施形態では、伝熱管45tの出入口以外の途中部分を、低温側シリンダ32の外周部32kの側方のクーラ容器45cに導くべく曲げられた形状でかつ管の長さが長く構成されているが、伝熱管45tの出入口部分にて生じる最大の圧力損失に比べると、管の曲げや管長の拡大による流動損失は、大きな問題とならない。
なお、上記において、冷却器45には、伝熱管45tが含まれるとして説明したが、伝熱管45tのうち隔壁70の内部に設けられた部分は、冷却水Wに接触していない。また、隔壁70は、上記のように熱伝導性が低く形成されているため、伝熱管45tのうち隔壁70の内部に設けられた部分が隔壁70を介して冷却水Wにより冷却されるわけではない。そのため、伝熱管45tのうち隔壁70の内部に設けられた部分は、冷却器に含まれず、再生器と冷却器とを接続する外部配管であると考えることが可能である。
次に、ピストン・シリンダのシール構造及びピストン・クランク部の機構について説明する。
上記のように、スターリングエンジン10の熱源が車両の内燃機関の排気ガスであることから、得られる熱量に制約があり、その得られる熱量の範囲でスターリングエンジン10を作動させる必要がある。そこで、本実施形態では、スターリングエンジン10の内部フリクションを可能な限り低減させることとしている。本実施形態では、スターリングエンジンの内部フリクションのうち最も摩擦損失が大きいピストンリングによる摩擦損失を無くすため、ピストンリングを使用せずに、その代わりに、シリンダ22、32とピストン21、31との間には、それぞれ空気軸受(エアベアリング)48が設けられる。
空気軸受48は、摺動抵抗が極めて小さいため、スターリングエンジン10の内部フリクションを大幅に低減させることができる。空気軸受48を用いても、シリンダ22、32とピストン21、31との間の気密は確保されるため、高圧の作動流体が膨張・収縮の際に漏れるという問題は生じない。
空気軸受48は、シリンダ22、32とピストン21、31の間の微小なクリアランスで発生する空気の圧力(分布)を利用して,ピストン21、31が空中に浮いた形となる軸受である。本実施形態の空気軸受48では、シリンダ22、32とピストン21、31との間の直径クリアランスは数十μmである。空中に物体を浮上させる空気軸受を実現するには、機構的に空気圧が強くなる部分(圧力勾配)ができるようにする他に、後述するように高圧の空気を吹きつけるものでもよい。
本実施形態では、高圧の空気を吹き付けるタイプの空気軸受ではなく、医療用ガラス製注射器のシリンダとピストンの間で用いられている空気軸受と同じ構成の空気軸受が用いられる。
また、空気軸受48を使用することで、ピストンリングで用いる潤滑油が不要となるので、潤滑油によりスターリングエンジン10の熱交換器(再生器46,加熱器47)が劣化するという問題が発生しない。なお、本実施形態では、ピストンリングにおける摺動抵抗と潤滑油の問題が解消されれば足りるので、流体軸受のうち油を使用する油軸受を除いた、気体軸受であれば空気軸受48に限られることなく適用することができる。
本実施形態のピストン21、31とシリンダ22、32との間には、静圧空気軸受を用いることも可能である。静圧空気軸受とは、加圧流体を噴出させ、発生した静圧によって物体(本実施形態ではピストン21、31)を浮上させるものである。また、静圧空気軸受に代えて、動圧空気軸受を用いることも可能である。
空気軸受48を用いて、ピストン21、31をシリンダ22、32内で往復運動させる際には、直線運動精度を空気軸受48の直径クリアランス未満にしなくてはならない。また、空気軸受48の負荷能力が小さいため、ピストン21、31のサイドフォースを実質的にゼロにしなくてはならない。即ち、空気軸受48は、シリンダ22、32の直径方向(横方向,スラスト方向)の力に耐える能力(耐圧能力)が低いため、シリンダ22、32の軸線に対するピストン21、31の直線運動精度が高い必要がある。特に、本実施形態で採用する、微小クリアランスの空気圧を用いて浮上させて支持するタイプの空気軸受48は、高圧の空気を吹き付けるタイプに比べても、スラスト方向の力に対する耐圧能力が低いため、その分だけ高いピストンの直線運動精度が要求される。
上記の理由から、本実施形態では、ピストン・クランク部にグラスホッパの機構(近似直線リング)50を採用する。グラスホッパの機構50は、他の直線近似機構(例えばワットの機構)に比べて、同じ直線運動精度を得るために必要な機構のサイズが小さくて済むため、装置全体がコンパクトになるという効果が得られる。特に、本実施形態のスターリングエンジン10は、自動車の排気管の内部にその加熱器47が収容されるというように限られたスペースに設置されるため、装置全体がコンパクトである方が設置の自由度が増す。また、グラスホッパの機構50は、同じ直線運動精度を得るために必要な機構の重量が他の機構よりも軽量で済むため、燃費の点で有利である。さらに、グラスホッパの機構50は、機構の構成が比較的簡単であるため、構成(製造・組み立て)し易い。
図8は、スターリングエンジン10のピストン・クランク機構の概略構成を示している。本実施形態において、ピストン・クランク機構は、高温側パワーピストン20側と低温側パワーピストン30側とで共通の構成を採用しているため、以下では、低温側パワーピストン30側についてのみ説明し、高温側パワーピストン20側についての説明は省略する。
図8及び図1に示すように、圧縮ピストン31の往復運動は、コネクティングロッド109によって駆動軸40に伝達され、ここで、回転運動に変換される。コネクティングロッド109は、図8に示す近似直線機構50によって支持されており、低温側シリンダ32を直線状に往復運動させる。このように、コネクティングロッド109を近似直線機構50によって支持することにより、圧縮ピストン31のサイドフォースFがほとんどゼロになるので、負荷能力の小さい空気軸受48によって十分に圧縮ピストン31を支持することができる。
次に、上記のように、加熱器47が概ねU字形(カーブ形状)に形成される理由について説明する。
スターリングエンジン10の熱源は、上記のように車両のガソリンエンジンの排気ガスであり、スターリングエンジンに専用に用意された熱源ではない。そのため、それほど高い熱量が得られるわけではなく、排気ガスの例えば約800℃程度の熱量でスターリングエンジン10が作動する必要がある。そのために、スターリングエンジン10の加熱器47は排気管100内の排ガスから効率的に受熱する必要がある。
加熱器47、再生器46、冷却器45からなる熱交換器の体積は、出力に直接的には関与しない無効容積となっており、熱交換器の体積が増えると、スターリングエンジン10の出力が減少する。一方で、熱交換器の体積をコンパクトにすると、その分、熱交換が困難となり受熱量が減少し、スターリングエンジン10の出力が減少する。これらのことから、無効容積の減少と受熱量の増加とを両立させるためには、熱交換器の効率を上げる必要がある。そのために、加熱器47は効率的に受熱する必要がある。
熱源の種類を問わず、その熱源から効率的に受熱し、かつ効率的に熱交換するためには、加熱器は、熱エネルギーを受熱するための伝熱面積がなるべく大きく、かつ冷却器が受熱しない場所に配置可能であるという意味において、上記実施形態の構成が望ましい。
特に、排熱を利用する場合には熱エネルギーは管を介して排ガスとして供給される場合が殆どであることとも相俟って、例えば管の内部のように受熱可能な領域が限定されている場合に、伝熱面積が極力大きく、かつ冷却器が受熱しない場所に配置される構成としては、上述したスターリングエンジン10の構成が優れている。以下に、スターリングエンジン10の構成の技術的意義について更に述べる。
無効容積部分(冷却器、再生器、加熱器)が小さい方が良いことは前述の通りであるが、無効容積部分に湾曲した形状を有している場合、湾曲部の数が多いと流路抵抗が大きくなり、また湾曲部の曲率が小さいと流路抵抗は大きくなる。即ち、作動流体の圧力損失を考慮すると、湾曲部の数は単一であり曲率は大きい方が良い。この点に関し、加熱器47は概ねU字形であり、湾曲形状となっているが、湾曲部の数は1つである。また、冷却器45は、スターリングエンジン10の小型化(上下寸法の短縮)のために、湾曲部を有した構成とされており、上記のような特徴を有する構成とされている。
また、図1に示すように、上記実施形態の無効容積部分の曲率に関しては、直列並行に配置された2つのシリンダ22、32の上部同士を連結し、かつ排気管100の内部において作動流体の流動抵抗の増大を抑制すべく概ね同一面上に設定された高温側シリンダ22の頂部22b及び再生器46の上面46aと、排気管100の上部内面との間の上下方向の高さと、加熱器47の端部47a、47bと中央部47cの最上部との間の高さが概ね同じ高さhになる構成に合わせて、その曲率(カーブ形状)が設定されている。排気管100の内部のような限定された空間内で排気ガスのような流体の熱源との接触面積を大きく確保するためには、上記のようなカーブ形状が望ましい。
以上の観点からすると、無効容積部分のうち加熱器は、その全体が排気管の内部のような熱源からの熱を受ける限定された空間(受熱空間)内に収容されるとともに、その受熱空間内で、熱源からの伝熱面積を最大限に確保可能でかつ流路抵抗が最小となるように、例えばU字形やJ字形のようなカーブ形状に構成されるのがよい。
再生器46は、作動流体の流路抵抗を最小限にしつつ配置するために、低温側シリンダ32の延在方向(軸線方向)に沿って(同一軸線上に)直線状に構成される。このように、加熱器47の第2端部47bに連結される再生器46は、低温側シリンダ32の延在方向に沿って設けられる。加熱器47の第1端部47aは、高温側シリンダ22の上部に隙間無く接続される。これらのことから、少なくとも加熱器47の第1端部47a及び第2端部47b側には、それぞれ高温側シリンダ22、低温側シリンダ32の延在方向に沿う部分を有し、加熱器47の中央部47cは、上述したようなカーブ形状を有する場合が多いことになる。
上述した技術的理由から、加熱器47は、直列並行に配置された2つのシリンダ22,32間で、途中で方向変換(ターン)する形状に構成されている。加熱器47は、直列並行に配置された2つのシリンダ22,32間を連結する曲線部分とを有している。
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態において、上記第1実施形態と共通する部分についての説明は省略する。図5は、スターリングエンジン10の再生器46に設けられたシュラウドを拡大して示す正(断)面図である。
図5に示すように、シュラウド90’(被覆部材、隔壁、遮熱部材、熱伝達部位制御部、熱流案内部材)は、再生器ハウジング46hの側面46cにおける最も加熱器47側(上側)の位置に固定されている。即ち、シュラウド90’は、再生器46の加熱器47側の端部(端面46aを含む)の外周部に接触して支持されている。
第1実施形態で述べた理由と同様の理由から、シュラウド90’では、再生器ハウジング46hの側面46cの最上部に対しては、その側面46cの最上部以外の部分に比べて、排気管100の内部の熱が伝わることを抑制する効果が少なくても大きな問題が生じない。即ち、再生器ハウジング46hの側面46cの最上部には、加熱器47にて排気管100内の排気ガスにより加熱された作動流体が流入されるため、もともと高温であり、また、再生器ハウジング46hの側面46cの最上部は、再生器ハウジング46hにおいて、加熱器47にて加熱された作動流体の流れ方向において最上流側にあたるため、再生器ハウジング46hの側面46cの最上部が十分に高温であることが、再生器ハウジング46hの作動流体の流れ方向への熱伝導に対して悪影響を及ぼすものではない。
シュラウド90’は、固定部93と、熱進入抑制部94とを有している。固定部93は、再生器ハウジング46hの側面46cの周方向に周回するリング状に形成されている。熱進入抑制部94は、固定部93に連続的に設けられ、下方に行くに連れて径が漸次拡大する円筒形(円錐形)に形成されている。
シュラウド90’は、その固定部93の内周面にて、再生器ハウジング46hの側面46cにおける最も加熱器47側(上側)の位置と接触し、支持されている。熱進入抑制部94の外径寸法の最大値(最下部の値)は、フランジ46fの外径寸法以上に設定されることが以下の理由から好ましい。
熱進入抑制部94は、排気管100の内部の排気ガスが再生器ハウジング46hの側面46cやフランジ46fに接触するように流れることを抑制する機能を有している。熱進入抑制部94は、排気ガスが、熱進入抑制部94と再生器ハウジング46hの側面46cとの間の空間に対して、熱進入抑制部94で覆われていない下方側(フランジ46f側)から進入することを抑制する。
上述したように、再生器46の上面46aの上下方向における位置(高さ)は、排気管100内を流れる排気ガスの流動に対して大きな抵抗とならないように、排気管100の中心軸の位置よりも十分に下方に設定されている。そのため、再生器46の側面46cやフランジ46fに対して、排気ガスは、相対的に上方から流れてくるものが多い。
このように、再生器ハウジング46hの上面46a近傍又は上面46aよりも上方から、再生器ハウジング46hの側面46cやフランジ46fの近傍に流れようとする排気ガスは、熱進入抑制部94に当たることにより、矢印Y1に示すように、下方に行くに連れて漸次拡径された円筒形に形成された熱進入抑制部94の外周面94aに沿って案内されつつ流れる。
即ち、そのような排気ガスは、下方に行くに連れて、再生器ハウジング46hの側面46cから離間するとともに、フランジ46fの外周位置よりも外側に流れる(再生器ハウジング46hから逃げる)。このことから、熱進入抑制部94と再生器ハウジング46hの側面46cとの間の空間に対して、熱進入抑制部94で覆われていない下方側から進入すること及びフランジ46fに当たるように流れることが抑制される。
また、熱進入抑制部94は、排気管100の内部の排気ガスの下流側において、再生器ハウジング46hの側面46cと、排気管100の再生器対抗面100tとの間から、再生器ハウジング46hの側面46c側に熱が進入するのを抑制する。
第2実施形態によれば、シュラウド90’により、再生器ハウジング46hの側面46cの最上部以外の部分やフランジ46fが受熱することが抑制される。そのため、その受熱した熱が、再生器ハウジング46hから複数の金網にそれぞれ伝わり、再生器46における作動流体の流れ方向の熱伝導率が上昇してしまうことが有効に抑制される。
(第3実施形態)
次に、図6を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態において、上記実施形態と共通する部分についての説明は省略する。図6は、スターリングエンジン10の再生器46に設けられたシュラウドを拡大して示す正(断)面図である。
第3実施形態において、シュラウド90Aは、正面視略L字型に形成されている。そのL字の上下方向の長辺に対応する部分(以下、長辺部と称する)95と、左右方向の短辺に対応する部分(以下、短辺部と称する)96とを有している。シュラウド90Aは、再生器ハウジング46hの側面46cを周方向全周に亘って囲むように構成されている。
シュラウド90Aの短辺部96は、再生器ハウジング46hのフランジ46fの上面に断熱材99を介して固定されている。短辺部96及び断熱材99は、再生器ハウジング46hのフランジ46fの上面全体に対して、排気管100の内部の熱が伝わるのが抑制されるように、フランジ46fの上面全体をカバーできる大きさ・形状に形成されている。
シュラウド90Aの長辺部95は、短辺部96の内周側位置から上下方向上方に向かって立ち上がる立ち上がり壁部として形成されている。長辺部95は、再生器ハウジング46hの側面46cの上下方向の全体に対して、排気管100の内部の熱が伝わるのを抑制するために、短辺部96の位置から、上下方向において再生器ハウジング46hの上面46aの位置まで延びている。
長辺部95は、上下方向において再生器ハウジング46hの上面46aの位置よりも上方に設けられると、排気管100を流れる排気ガスの流動に対して抵抗となる場合がある。このことから、長辺部95は、再生器ハウジング46hの上面46と上下方向において概ね同じ位置となるように構成されている。
長辺部95と再生器ハウジング46hの側面46cとの間の隙間は、僅かであることから、その隙間から排気管100の内部の熱が進入することは最小限に抑制される。また、その隙間から排気管100の内部の熱が進入する方向は、排気管100を図中左から右に流れる排気ガスの流れる方向と大きく異なる(直交する)ことからも、その隙間から排気管100の内部の熱が進入することは、実質的に問題とならない。この場合、再生器ハウジング46hの側面46cの最上部にのみであれば、排気管100の内部の熱が伝達されても大きな問題とはならない。
排気管100の再生器対抗面100tに対して、再生器46のフランジ46f、断熱材99及びシュラウド90Aの短辺部96は、いずれも接触していない。よって、部材間の接触による高温の排気管100からの熱伝達が問題となることはない。
上記のように、スターリングエンジン10の各構成部材は、基板42に対して位置精度良く取り付けられており、基板42に取り付けられたスターリングエンジン10全体は、一体物(単一の物体)として扱うことができる。即ち、その一体物は、再生器対抗面100tの下部の開口部から排気管100の内部側に対して、上下方向下方から上方に向けて相対的に挿入されて、基板42が排気管100のフランジ100fに取り付けられる。その逆に、その一体物を支持固定する基板42が、排気管100のフランジ100fから分離され、その一体物が、排気管100の内部側から再生器対抗面100tの下部の開口部に対して、上下方向下方に向けて相対的に引き出されて、排気管100から取り外される。
上記のように、排気管100の再生器対抗面100tに対して、再生器46のフランジ46f、断熱材99及びシュラウド90Aの短辺部96は、いずれも接触していないことから、上記一体物の排気管100に対する取付・取外しのときに、作業性が良好である。
上記第1及び第2実施形態では、再生器ハウジング46hの上面46aまたは側面46cの最上部は、加熱器47の第2端部47bからの高温の作動流体と接触するため、もともと十分に高温であり、また、再生器ハウジング46hの上面46aまたは側面46cの最上部は、再生器ハウジング46hにおいて、加熱器47にて加熱された作動流体の流れ方向において最も上流側に位置するため、シュラウド90、90’は、再生器ハウジング46hの上面46aまたは側面46cの最上部に接触する構成をとることができた。
これに対して、図6では、再生器ハウジング46hの上面46aまたは側面46cの最上部以外の位置(例えば再生器ハウジング46hのフランジ46f)に、シュラウド90Aが接触する構成はとることができない。再生器ハウジング46hの上面46aまたは側面46cの最上部(作動流体の流れ方向の最上流側)以外の位置に、シュラウド90Aで受けた熱が伝えられると、再生器ハウジング46hにおいて、作動流体の流れ方向の熱伝導に悪影響を与え、大きな温度勾配をとることができなくなるからである。そのため、シュラウド90Aでは、再生器ハウジング46hのフランジ46fに設けられた断熱材99にのみ接触するように構成し、シュラウド90Aで受けた熱が再生器ハウジング46hに伝達されないようにしている。
シュラウド90Aは、上記のシュラウド90やシュラウド90’に比べて、構成が容易であり、その組み付け作業の作業性の点で有利である。
第3実施形態によれば、シュラウド90Aにより、再生器ハウジング46hの側面46cやフランジ46fが受熱することが抑制される。そのため、その受熱した熱が、再生器ハウジング46hから複数の金網にそれぞれ伝わり、再生器46における作動流体の流れ方向の熱伝導率が上昇してしまうことが有効に抑制される。
(第4実施形態)
次に、図7を参照して、第4実施形態について説明する。第4実施形態において、上記実施形態と共通する部分についての説明は省略する。図7は、スターリングエンジン10の再生器46に設けられたシュラウドを拡大して示す正(断)面図である。
第4実施形態のシュラウド90Bは、上記第1実施形態のシュラウド90と上記第3実施形態のシュラウド90Aとを組み合わせた構成とされている。シュラウド90Bの各部の構成は、シュラウド90及びシュラウド90Aのそれぞれと同様であるため、その説明を省略する。
シュラウド90Bによれば、再生器ハウジング46hの主として側面46cやフランジ46fが受熱することが最も有効に抑制される。
以上に述べた各実施形態では、スターリングエンジン10は、車両の内燃機関の排ガスを熱源とすべく排気管100に取り付けた構成について説明した。但し、本発明のスターリングエンジンは、車両の内燃機関の排気管に取り付けられる形式のものに限定されるものではない。
なお、上記においては、再生器がスターリングエンジンの再生器に適用された例を用いて、その構成、作用、効果を説明したが、その再生器は、スターリングエンジンの再生器以外の用途にも容易に適用可能であり、適用された場合には、上記と同様の有用性を有する。