JP4135292B2 - 面積階調画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物の仕上がりを事前に確認するプルーフが得られる面積階調画像形成方法に関するものであり、詳しくは、ハロゲン化銀感光材料の経時、露光時の雰囲気の違いによっても3色墨画像の色の変動のない安定性に優れたプルーフ画像が得られる面積階調画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀感光材料(以下、単に感光材料ともいう)は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから今日盛んに用いられている。
【0003】
こうした特徴からハロゲン化銀感光材料は、写真の分野のみではなく、印刷の分野でも、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0004】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光する事によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させ、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0005】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合にはコンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0006】
このような目的には、昇華型・溶融熱転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、高画質な画像が得られる方式では費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。
【0007】
ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、優れた鮮鋭性等から、正確な網点画像が形成できるなど高画質な画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込む事ができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0008】
近年、印刷の分野でいわゆるデジタル化が進みコンピュータ内のデータから直接画像を得る要求が強まっているが前記したような理由によって、ハロゲン化銀感光材料がこの分野で有利に使われ始めている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、感光材料の経時、露光時の雰囲気の違いによっても3色墨画像等の色の変動を起こさないプルーフ画像が得られる面積階調画像形成方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0011】
1.支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を少なくとも1つの網点部の露光量レベルとヌケ部の露光量レベルのいずれかで走査露光後現像処理する面積階調画像形成方法において、ヌケ部の露光量レベルを現像の起こる閾値の1/2以上の露光量とする事を特徴とする面積階調画像形成方法。
【0012】
2.支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を少なくとも1つの網点部の露光量レベルとヌケ部の露光量レベルのいずれかで走査露光後現像処理する面積階調画像形成方法において、ヌケ部の露光量レベルをヌケ部と非画像形成部との濃度差が0.01〜0.3である露光量とすることを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0013】
3.前記ハロゲン化銀乳剤層の特性曲線において、前記網点部の露光量レベルのdγ/d(logH)が負であることを特徴とする前記1又は2に記載の面積階調画像形成方法。
【0014】
4.前記ハロゲン化銀乳剤層の特性曲線において、ΔlogH=0.05の間にΔγ≧0.5となる領域が存在し、前記網点部の露光量レベルが、該領域の露光量よりも大きいことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の面積階調画像形成方法。
【0015】
5.走査露光の副走査ピッチが5画素以上であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の面積階調画像形成方法。
【0016】
即ち、デジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、網点をさらに小さな単位(ここではこれを画素と表現した)に分割し、この画素を適切な露光量で露光する事によってその集合体として網点を再現することが可能である。例えとして簡単な例を挙げれば、1つの網点が100個の画素で構成されるのであれば、50個の画素を現像可能なように露光する事により網%が50%の網点を形成する事ができる。本願明細書では、この例で露光された画素のことを網点部と称し、この時の露光量を網点部の露光レベルと称した。一方、この例で露光されない画素のことをヌケ部と称した。
【0017】
露光量や、露光ビーム径等によって発色濃度、発色領域の面積は変化し、実際に濃度計を用いて測定した網%は露光した画素の数とは異なってくる。実技上は露光量やビーム径を適切な領域に定めた後、露光する画素の数を適宜変更し、更に露光量を微調整していくといった作業を繰り返し、オリジナルの網%に対して適切なドットゲインが再現されるように条件を調整していくことになる。
【0018】
本発明者らは、このような作業を繰り返していく中で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)といった単色のドットゲインを同じように調整した場合にも、Y、M、Cを重ねた3色墨と呼ばれるようなパターンを作製してみると網%によって色調が変動しやすいという現象があることを見いだした。この現象のために、感光材料が経時していたり、露光時の雰囲気が変化したりした場合の色のズレが大きくなるという現象を引き起こしていることを見いだし、本発明の発明に至ったのである。
【0019】
以下、本発明を更に詳細に述べる。
本発明の特徴の一つは、面積階調画像の形成において、前記のヌケ部に対しても特定の量の露光を行うことにある。面積階調画像は、いわゆる網点画像であり、発色した部分と発色しない部分とからなるわけであるからヌケ部は露光しなくとも差し支えないことになるが、本発明の特徴の一つは、ヌケ部を現像の起こる閾値の1/2以上の露光量で露光する事にある。
【0020】
現像の起こる閾値は、ハロゲン化銀感光材料を露光量を変化させて露光後現像し、いわゆる特性曲線を作製することにより容易に判断することができる。この露光量が大きい程効果も大きく好ましいが、現像の閾値を越えると必然的に着色を生じるため目的に応じて適宜露光量を調整することが必要となる。非画像部とヌケ部の濃度差としては0.01〜0.3の範囲で本発明の効果を得ることができるが、濃度0.02〜0.2となる領域がより好ましく用いられる。
【0021】
本発明の特徴の一つは、網点部の露光レベルが特性曲線上、dγ/d(logH)が負の領域に存在していることにある。γは、特性曲線の接線の傾きを表し、dD/d(logH)を意味する。通常の特性曲線は、緩やかなS字型曲線を描くため、中濃度域に変曲点をもち、これより高濃度側でdγ/d(logH)が負となる。このような領域で画像形成露光を行うと、前述のドットゲイン変化による3色墨の色調の変動が起きやすくなり、本発明の効果をより有用に用いることが可能となる。
【0022】
また、高照度短時間露光によっていわゆる2段カーブや特性曲線が折れ曲がる現象がみられる。このような現象を示す場合の中で、特性曲線上でΔlogH=0.05という狭い領域内でγが0.5以上変化するという場合に、この領域より大きな露光量で網点部の露光を行うと、前述のドットゲイン変化による3色墨等の色調の変動が起きやすくなり、本発明の効果をより有用に用いることが可能となる。
【0023】
また、本発明の特徴の一つは、露光を副走査ピッチが5画素以上の走査露光装置によって行うという点にあり、副走査のピッチが大きいものの場合により効果が大きく好ましい。
【0024】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上の塩化銀を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。
【0025】
中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。
【0026】
臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤の、高濃度に臭化銀を含有する部分は、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。
【0027】
本発明に用いられる95%以上の塩化銀を有するネガ型ハロゲン化銀乳剤には重金属イオンを含有させるのが有利である。これによっていわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたりシャドー側での軟調化が防止されることが期待される。
【0028】
このような目的に用いることの出来る重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することが出来る。
【0029】
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
【0030】
ハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。
【0031】
前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することである。
【0032】
また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。
【0033】
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当たり1×10-9モル〜1×10-2モルが好ましく、1×10-8モル〜5×10-5モルが好ましい。
【0034】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子(以下、単に粒子ともいう)の形状は任意のものを用いることが出来る。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。
【0035】
また、米国特許第4,183,756号、同4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0036】
本発明に用いられる粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事が特に好ましい。
【0037】
本発明に用いられる粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0038】
この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0039】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加する事である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0040】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀乳剤(以下、単に乳剤ともいう)の調製装置方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0041】
本発明に用いられる乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該乳剤は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0042】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0043】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0044】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0045】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0046】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲が好ましい。
【0047】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。
【0048】
金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4モル〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5モル〜1×10-8モルである。
【0049】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0050】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることが出来る。
【0051】
こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(3−フェニルアセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。
【0052】
これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-5モル〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-6モル〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5モル〜5×10-3モルがより好ましい。
【0053】
塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-6モル〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5モル〜1×10-2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当たり1×10-9モル〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
【0054】
本発明の感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
【0055】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0056】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該親水性コロイド層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1g/m2〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2g/m2〜5g/m2の範囲である。
【0057】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0058】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料中に、蛍光増白剤を添加する事で白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発する事のできる化合物であれば特に制限はないが、好ましい一つの形態は、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有する化合物であり、他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0059】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0060】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0061】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解して溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい、水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0062】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10-4N/cm以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0063】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0064】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0065】
また、これらの分散装置を用いるに当たって、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0066】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有してもよい。
【0067】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0068】
本発明の感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては特開平6−95283号7ページ右欄記載の一般式[M−1]で示される化合物が発色色素の分光吸収特性がよく好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号8ページ〜11ページに記載の化合物M−1〜M−19を挙げる事ができる。更に他の具体例としては欧州公開特許273,712号6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び同235,913号36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものがある。
【0069】
前記マゼンタカプラーは他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3モル〜1モル、好ましくは1×10-2モル〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0070】
本発明の感光材料において形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、マゼンタ画像の分光吸光度曲線上において、最大吸光度が1.0を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2を示す波長をいう。
【0071】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有される事が好ましい。これらのカプラーのpKaの差は2以内であることが好ましく、更に好ましくは1.5以内である。
【0072】
本発明のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーは特開平6−95283号12ページ右欄に記載の一般式[Y−Ia]で表されるカプラーである。同公報の一般式[Y−1]で表されるカプラーのうち特に好ましいものは、一般式[M−1]で表されるマゼンタカプラーと組み合わせる場合、組み合わせる[M−1]で表されるカプラーのpKaより3以上低くないpKa値を有するカプラーである。
【0073】
前記イエローカプラーとして具体的な化合物例は、特開平6−95283号12〜13ページ記載の化合物Y−1及びY−2の他、特開平2−139542号の13ページから17ページ記載の化合物(Y−1)〜(Y−58)を好ましく使用することができるがもちろんこれらに限定されることはない。
【0074】
本発明の感光材料においてシアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系又はイミダゾール系、アゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、或いはウレイド基などを置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2当量型ナフトール系カプラーなどが代表される。このうち好ましい化合物としては特開平6−95283号13ページ記載の一般式[C−I][C−II]が挙げられる。
【0075】
本発明に好ましく用いられるアゾール系シアンカプラーとしては下記一般式〔I〕、一般式〔II〕で表されるシアンカプラーである。
【0076】
【化1】
Figure 0004135292
【0077】
一般式〔I〕において、m1が0の時、R1はハメットの置換基定数σPが+0.20以上の電子吸引性基を表し、m1が1又は2以上の時、R1及びR2の少なくとも一つはハメットの置換基定数σPが+0.20以上の電子吸引性基を表す。
【0078】
本発明の一般式〔I〕で表されるシアンカプラーにおけるHammettによって定義された置換基定数σPが+0.20以上の置換基は、具体的にはスルホニル、スルフィニル、スルホニルオキシ、スルファモイル、ホスホリル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、オキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、ハロゲン置換アルコキシ、ハロゲン置換アリールオキシ、ピロリル、テトラゾリル等の各基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0079】
スルホニル基としては、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロゲン置換アルキルスルホニル、ハロゲン置換アリールスルホニル等;スルフィニル基としては、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル等;スルホニルオキシ基としては、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ等;スルファモイル基としては、N,N−ジアルキルスルファモイル、N,N−ジアリールスルファモイル、N−アルキル−N−アリールスルファモイル等;ホスホリル基としては、アルコキシホスホリル、アリールオキシホスホリル、アルキルホスホリル、アリールホスホリル等;カルバモイル基としては、N,N−ジアルキルカルバモイル、N,N−ジアリールカルバモイル、N−アルキル−N−アリールカルバモイル等;アシル基としては、アルキルカルボニル、アリールカルボニル等;アシルオキシ基としては、アルキルカルボニルオキシ等;オキシカルボニル基としては、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル等;ハロゲン置換アルコキシ基としては、α−ハロゲン置換アルコキシ等;ハロゲン置換アリールオキシ基としては、テトラフルオロアリールオキシ、ペンタフルオロアリールオキシ等;ピロリル基としては1−ピロリル等;テトラゾリル基としては、1−テトラゾリル等の各基が挙げられる。
【0080】
前記置換基の他に、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノニルフルオロ−t−ブチル基や、テトラフルオロアリール基、ペンタフルオロアリール基なども好ましく用いられる。
【0081】
一般式〔I〕において、R1又はR2が表す置換基のうち、電子吸引性基以外の置換基としては、種々のものが挙げられ特に制限はないが、代表的なものとして、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、ヒドロキシル及びメルカプトの各基、並びにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等が挙げられる。
【0082】
前記アルキル基としては炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0083】
アシルアミノ基としてはアルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基;スルホンアミド基としてはアルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基;アルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分は前記のアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0084】
アルケニル基としては炭素数2〜32のもの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。シクロアルケニル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
【0085】
ウレイド基としてはアルキルウレイド基、アリールウレイド基等;スルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;複素環基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等;複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基等;複素環チオ基としては5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;シロキシ基としてはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基としては琥珀酸イミド基、3−ヘプタデシル琥珀酸イミド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化合物残基としてはスピロ[3.3]ヘプタン−1−イル等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0086】
これらの基は、更に長鎖炭化水素基又はポリマー残基等の耐拡散性基などの置換基を有してもよい。
【0087】
一般式〔I〕において、X1の表す発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基としては、例えばハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、弗素原子等)及びアルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルコキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、N原子で結合した含窒素複素環、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル等の各基が挙げられるが、これらのうち好ましいものは、水素原子及びアルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、N原子で結合した含窒素複素環基である。
【0088】
一般式〔I〕において、Z1により形成される含窒素5員複素環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
【0089】
一般式〔I〕で表される化合物を更に具体的に記すと下記一般式〔I〕−1、〔I〕−2により表される。
【0090】
【化2】
Figure 0004135292
【0091】
一般式〔I〕−1、一般式〔I〕−2において、R1及びR11の内の少なくとも一つ、R1及びR12の内の少なくとも一つはσPが0.20以上の電子吸引性基である。これらの電子吸引性基としては、一般式〔I〕におけるR1及びR2の電子吸引性基と同様の基を挙げることができる。
【0092】
1は一般式〔I〕におけるX1と同義である。
又、一般式〔I〕−1、〔I〕−2において、R1、R11およびR12の内、σPが0.20以上の電子吸引性基でないものは、水素原子又は置換基を表す。
【0093】
置換基としては、一般式〔I〕においてR1、R2で挙げた電子吸引性基以外の置換基と同義である。
【0094】
一般式〔II〕において、R3及びR4はハメットの置換基定数σPが0.20以上の電子吸引性基を表し、これらの電子吸引性基としては、一般式〔I〕におけるR1及びR2の電子吸引性基と同様の基を挙げることができる。ただし、R3とR4のσP値の和は0.65以上である。
【0095】
2は一般式〔I〕におけるX1と同義である。
2により形成される含窒素5員複素環としては、ピラゾール環、イミダゾール環又はテトラゾール環等が挙げられる。これらの含窒素5員複素環は置換基を有していてもよい。
【0096】
一般式〔II〕で表される化合物を更に具体的に記すと、下記一般式〔II〕−1〔II〕−2により表される。
【0097】
【化3】
Figure 0004135292
【0098】
一般式〔II〕−1、〔II〕−2において、R3、R4及びX2は、一般式〔II〕におけるそれぞれと同義である。R21は水素原子又は置換基を表す。
【0099】
21の表す置換基としては、一般式〔I〕のR1、R2で挙げた電子吸引性基以外の置換基と同様の基を挙げることができる。
【0100】
以下に、本発明に好ましく用いられるシアンカプラーの具体例を挙げる。
【0101】
【化4】
Figure 0004135292
【0102】
【化5】
Figure 0004135292
【0103】
【化6】
Figure 0004135292
【0104】
【化7】
Figure 0004135292
【0105】
上記シアンカプラーは通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0106】
本発明の感光材料においてイエロー画像形成層中に含有されるイエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カプラー等を好ましく用いることができる。
【0107】
イエローカプラーの具体例としては、例えば特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー等も挙げることができる。
【0108】
本発明の感光材料により形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0109】
イエロー色画像の分光吸収のλL0.2とは、特開平6−95283号21ページ右欄1行〜24行に記載の内容で定義される値であり、イエロー色素画像の分光吸収特性で長波側の不要吸収の大きさを表す。
【0110】
イエローカプラーは通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0111】
前記マゼンタ色画像、シアン色画像及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、色調調整作用を有する化合物を添加する事が好ましい。このための化合物としては、特開平6−95283号22ページ記載の一般式[HBS−I]および[HBS−II]で示される化合物が好ましく、より好ましくは同号22ページ記載の一般式[HBS−II]で示される化合物である。
【0112】
本発明の感光材料においてハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
【0113】
前記マゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開平64−90445号記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0114】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラー等を溶解して分散するために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0115】
本発明の感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。
【0116】
またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0117】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良する事が好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0118】
本発明の感光材料中には紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0119】
本発明の感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27があげられる。
【0120】
本発明の感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0121】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用する事が好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。
【0122】
また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加する事が好ましい。
【0123】
また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−118543号や同2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0124】
本発明の感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0125】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、さらに70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。
【0126】
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0127】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0128】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0129】
本発明に用いられる紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0130】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
【0131】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下が好ましく、さらには0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
【0132】
本発明の感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0133】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0134】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることが出来るが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0135】
レーザーとしては半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。
【0136】
一方で、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0137】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0138】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。特にG光の光源としてヘリウムネオンレーザーが好ましく用いられる。
【0139】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0140】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。
【0141】
一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。
【0142】
本願発明に用いられる露光用光源の強度変化は、LDのような場合には、個々のLDに流れる電流値を変化させる直接変調を行ってもよいしAOM(音響光学素子)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学素子)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0143】
本願発明における面積階調画像とは、画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0144】
通常面積階調露光であればY、M、Cの発色をさせることで目的を達することもできる。より好ましくは、単色での発色濃度よりも高い濃度で黒を作るように、2値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。黒にさらにM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。
【0145】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μm未満であると画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmを越えるとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化する事によってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0146】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査する必要があるが、感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0147】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。
【0148】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0149】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0150】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0151】
本発明において用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0152】
CD−1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2)2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3)2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4)4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5)2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7)N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8)N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン
本発明においては、発色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0153】
本発明に用いられる発色現像の処理温度は35℃〜70℃が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃〜60℃で処理することが好ましい。
【0154】
発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0155】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0156】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。
【0157】
本発明の感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。
【0158】
大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが、通常だがこの際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935号に記載の方法が最も好ましい。
【0159】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0160】
実施例1
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、下記表1、2に示す層構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層の側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を塗設した多層ハロゲン化銀感光材料試料No.101を作製した。
【0161】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0162】
【表1】
Figure 0004135292
【0163】
【表2】
Figure 0004135292
【0164】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
SO−1:トリオクチルホスフィンオキサイド
SO−4:トリクレジルフォスフェート
PVP :ポリビニルピロリドン
【0165】
【化8】
Figure 0004135292
【0166】
【化9】
Figure 0004135292
【0167】
【化10】
Figure 0004135292
【0168】
【化11】
Figure 0004135292
【0169】
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0170】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−101を得た。
【0171】
上記(EMP−101)に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B101)を得た。
【0172】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素BS−2 1×10-4モル/モルAgX
次いでEMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−101と同様にして平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−102を得た。Em−B101の調製においてEMP−101に代えてEMP−102を用いた以外同様にしてEm−B102を得た。Em−B101と102の1:1の混合物を青感性乳剤として使用した。
【0173】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
EMP−101の調製において(A液)及び(B液)、(C液)及び(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤(EMP−103)を得た。
【0174】
上記EMP−103に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G101)を得た。
【0175】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素GS−1 4×10-4モル/モルAgX
次いでEMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−103と同様にして平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−104を得た。Em−G101の調製においてEMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にしてEm−G102を得た。Em−G101と102の1:1の混合物を緑感性乳剤として使用した。
【0176】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤(Em−R101)を得た。
【0177】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素RS−2 1×10-4モル/モルAgX
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾールSTAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
【0178】
【化12】
Figure 0004135292
【0179】
次にEMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−103と同様にして、平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−105を得た。Em−R101の調製においてEMP−103に代えてEMP−105を用いた以外同様にしてEm−R102を調製した。Em−R101とR102の1:1の混合物を赤感性乳剤として使用した。
【0180】
Bの光源としてLEDを主走査方向に10個並べ露光のタイミングを少しづつ遅延させることによって同じ場所を10個のLEDで露光出来るように調整した。また、副走査方向にも10個のLEDを並べ隣接する10画素分の露光が1度に出来る露光ヘッドを準備した。
【0181】
また、光源としてGのHe−NeレーザーにマルチAOMを組合せ10本のビームとして独立に強度変化ができるようにし、10本のビームが副走査方向に並ぶように組み立てた。Rの光源としては、10個のLDをビームが副走査方向に並ぶように配置し独立に強度変調するように組み立てた。
【0182】
各ビームの径は約10μmで、この間隔でビームを配列し、副走査のピッチは約100μmとした。
【0183】
露光部には、あらかじめ温湿度を調整した空気を循環させ、露光時の雰囲気(温湿度)を一定に調整できるようにし、25℃30%RHに条件を調整した。
【0184】
前記の露光装置にて光の強度を変化させ10×10mmの均一に露光したパッチを作製し、下記の現像条件で処理を行い、Y、M、Cの各濃度が各々0.99、1.49、1.53となる露光量と現像の閾値となる露光量、及び特性曲線の変曲点の位置をそれぞれ求めた。濃度測定は、エックスライト社製508型濃度計を用い、分光特性はステータスTを用いた。
【0185】
Figure 0004135292
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.0に、補充液はpH=10.6に調整する。
【0186】
漂白定着液タンク液及び補充液
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整する。
【0187】
安定化液タンク液及び補充液
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0188】
特性曲線の変曲点の位置は、Y、M、Cの各々について、0.83、1.32、1.26であった。
【0189】
次に、露光画像として、Y、M、Cの網点を組み合わせた3色墨と呼ばれるパターンで網%が50%のものとヌケの部分、ポートレート画像を用意した。
【0190】
ハロゲン化銀感光材料No.101を下記の露光・現像条件A〜E(特に明記していない現像液の組成などは前記の処理条件と同じ)で処理し3色墨パターンの色の差をミノルタ社製分光測色計CM−2022を用い、照明と受光の幾何条件d−0、キセノンパルス光源を用いて測光し、2°視野補助標準の光D50でのL***の値を求め、色差を計算した。
【0191】
結果を下記表3に示した。
Figure 0004135292
露光・現像条件C〜Eは、露光・現像条件Bにおいてヌケ部の露光レベルのみを各々露光レベル3〜6とした以外同様にして画像を形成させた。
【0192】
露光レベル1:露光・現像条件Aに記載の露光部温湿度、現像温度、現像時間でY、M、C濃度がそれぞれ0.99、1.49、1.53となる露光量
露光レベル2:露光・現像条件Aに記載の露光部温湿度、現像温度、現像時間での現像閾値の30%の露光量
露光レベル3:露光・現像条件Bに記載の露光部温湿度、現像温度、現像時間での現像閾値の30%の露光量
露光レベル4:露光レベル3において現像閾値の45%の露光量
露光レベル5:露光レベル3において現像閾値の60%の露光量
露光レベル6:露光レベル3において現像閾値の90%の露光量
【0193】
【表3】
Figure 0004135292
【0194】
表3に示されたように、基準となる露光・現像条件Aに対し、感材の経時、露光雰囲気、処理条件を変動させた条件Bで見られた色の変化が、条件Cではほとんど変化ないのに対し、条件D、Eでは改良されることがわかる。感光材料の経時や現像条件の変化により色が変化することは当然の事であるが、この色の変化がヌケ部の露光レベルを変更することによって改良できることは予想外の事実であった。露光量は多い方が好ましいが、現像の起こる閾値の1/2以上であれば本発明の効果が得られることがわかる。
【0195】
実施例2
実施例1の評価において、ヌケ部の露光量を現像の閾値以上に適宜設定した以外同様にして下記表4に示した評価を行った。
【0196】
【表4】
Figure 0004135292
【0197】
露光・現像条件2A〜2Eでは、露光現像条件Bにおいてヌケ部の露光量レベルを変化させ、非画像部との濃度差を約0.3まで変化させたが、いずれの試料も3色墨部分の色差の変化は抑制されていることがわかる。ヌケ部分の着色のせいもあると思われるが、ヌケ部分の着色は0.2以下のものの方が効果は大きい。
【0198】
実施例3
実施例1の試料101の調製において各層のハロゲン化銀乳剤、カプラーの塗布量を1.5倍にし、かつ、乳剤の混合比率を各層1:1から7:13に変更する以外同様にして試料301を調製した。試料301を用いた以外、実施例1での試料101と同様の評価を行った。試料301の特性曲線の変曲点の位置は、Y、M、Cの各々について、1.03、1.63、1.58であった。
【0199】
評価結果を下記表5に示した。
【0200】
【表5】
Figure 0004135292
【0201】
網点部の露光レベルは、Y、M、C濃度がそれぞれ0.99、1.49、1.53となる露光量をとったため、試料101の場合には、これらの点は特性曲線のdγ/d(logH)が負の領域に存在しており、試料301の場合には、これらの点は特性曲線のdγ/d(logH)が正の領域に存在していることになる。
【0202】
表5において示されているように、本発明の面積階調画像形成方法によっていずれも色の変動は小さくなるが、網点部の露光レベルが特性曲線のdγ/d(logH)が負の領域に存在している試料101でより効果が大きいことがわかる。
【0203】
実施例4
実施例1のハロゲン化銀乳剤EMP−101〜105の調製の際に用いるヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムの量を1/2にした以外は同様にしてEMP−401〜405を調製した。次にEm−B101、102、Em−G101、102、Em−R101、102の調製においてハロゲン化銀乳剤EMP−101〜105をEMP−401〜405に変更し、塩化金酸を1/2にした以外は同様にして最適に増感を行ってEm−B401、402、Em−G401、402、Em−R401、402を調製した。
【0204】
実施例1の試料101の調製において、Em−B101、102、Em−G101、102、Em−R101、102をそれぞれEm−B401、402、Em−G401、402、Em−R401、402に変更した以外同様にして試料401を調製した。試料401の特性曲線を作製した結果、Y、M、Cで各々濃度0.65、1.13、1.34の所で特性曲線が折れ曲がる現象を示し、ΔlogH=0.05の間にγの変化が0.5以上という条件を満たすことが確認できた。このため、網点部の露光レベルはこれらの点より大きい露光量であることがわかる。試料101ではこのような特性曲線の折れ曲がりは見いだされなかった。
【0205】
試料401を実施例1と同様にして評価した結果を下記表6に示した。
【0206】
【表6】
Figure 0004135292
【0207】
本発明の要件を満たさない露光・現像条件B、Cでは、試料401の色の変動は、試料101と比べて大きいのに対して露光・現像条件D、Eでは絶対値ではこれを上回ることはないもののより大きな改善効果が得られ、ほぼ同程度まで色の変動が小さくなっていることが分かった。
【0208】
実施例5
実施例1において用いた光源では、10画素分の露光が1回の走査でできるように設計されていたが、これを1回の走査で3画素分、6画素分の露光ができるように調整し直し、実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表7に示した。
【0209】
【表7】
Figure 0004135292
【0210】
1回の走査で露光出来る画素の数が少ないほど露光・現像条件B、Cでの色の変動が小さく、一方、露光・現像条件D、Eでの改良の効果も小さいことが分かる。1回の走査で露光出来る画素数を増やすことは全体の画像形成にかかる時間を削減する上でも効果が大きく有利な形態であるが前述のような色変動が大きくなる欠点があった。本発明はこのような態様においてその効果が大きく、より有用に用いることができる。
【0211】
【発明の効果】
本発明による面積階調画像形成方法は、ハロゲン化銀感光材料の経時、露光時の雰囲気の違いによっても3色墨画像等の色の変動を起こさないプルーフ画像が得られ、優れた効果を有する。

Claims (5)

  1. 支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を少なくとも1つの網点部の露光量レベルとヌケ部の露光量レベルのいずれかで走査露光後現像処理する面積階調画像形成方法において、ヌケ部の露光量レベルを現像の起こる閾値の1/2以上の露光量とすることを特徴とする面積階調画像形成方法。
  2. 支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を少なくとも1つの網点部の露光量レベルとヌケ部の露光量レベルのいずれかで走査露光後現像処理する面積階調画像形成方法において、ヌケ部の露光量レベルをヌケ部と非画像形成部との濃度差が0.01〜0.3である露光量とすることを特徴とする面積階調画像形成方法。
  3. 前記ハロゲン化銀乳剤層の特性曲線において、前記網点部の露光量レベルのdγ/d(logH)が負であることを特徴とする請求項1又は2に記載の面積階調画像形成方法。
  4. 前記ハロゲン化銀乳剤層の特性曲線において、ΔlogH=0.05の間にΔγ≧0.5となる領域が存在し、前記網点部の露光量レベルが、該領域の露光量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の面積階調画像形成方法。
  5. 走査露光の副走査ピッチが5画素以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の面積階調画像形成方法。
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