JP3799918B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続処理の中でも安定で優れた画像を形成することのできるハロゲン化銀感光材料を用いた面積階調画像の形成方法に関するものであり、ことに露光時の筋の発生、ドットゲインの変動の少ない面積階調画像の形成に好適な画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀感光材料は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから今日盛んに用いられている。こうした特徴からハロゲン化銀感光材料は、写真の分野のみではなく、印刷の分野でも、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光する事によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させ、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0004】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合にはコンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0005】
このような目的には、溶融熱転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、高画質な画像が得られる方式では費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、ほとんどノイズ(粒状構造)をもたない画像形成が可能であることや優れた鮮鋭性から、正確な網点画像が形成できるなど高画質な画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込む事ができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0006】
ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムの高い生産性は、同一の画像を複数枚得ようとするときに特に有用であった。しかし、ハロゲン化銀感光材料を半導体レーザー(LD)やLEDで露光して画像を形成する中で連続して画像を出力する内に画像の色調やドットゲインが微妙に変化してしまうという欠点があることが見いだされた。また、特に状況の悪い場合には、筋のような露光ムラを生じることもあった。
【0007】
1つの網点を更に分解した画素をレーザー、LEDなどの光源で順次露光する事により網点画像を作製することができる。これは、最も単純には、露光しない(OFF)と露光する(ON)の2値の信号で表現することが可能である。しかし、この様な単純な系では黒(いわゆる墨)のしまりがないとか、墨と他の色が重なっている場合と墨だけの場合を区別することができない(オーバープリントエラーが再現できない)といった問題があった。これを解決するためには、ONの信号を2値以上とすればよいがこの場合、露光ピッチのムラやビーム強度のムラが露光筋となって現れるという欠点を有していた。
【0008】
前記露光筋は、1つの画素を複数の同一波長の光を出すデバイスによって露光する事によって改良されることが見いだされたが、この場合でも、ドットゲインが微妙に変動するという現象は改良されないことがわかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ハロゲン化銀感光材料を用いた面積階調画像の形成において、ことに露光時の筋の発生、ドットゲインの変動を減らすことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0011】
(1) 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層を2以上のレベルの露光量で、1画素を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に露光し、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理する事を特徴とする画像形成方法。
【0012】
(2) 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層がシンプルシアニン色素を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に行い、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0013】
(3) 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層がカルボシアニン色素を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に行い、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0014】
(4) 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層が下記一般式(SP−III)で表される化合物を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に行い、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0015】
【化2】
Figure 0003799918
【0016】
式中R31及びR33は各々、置換あるいは非置換のアルキル基を表し、R31及びR33の少なくともいずれか一方の基はエチル基以外の基であり、R32及びR34は低級アルキル基を表し、R32とR34のいずれか一方は親水性基を置換したアルキル基である。V1、V2、V3及びV4は各々、水素原子あるいは加算したハメットσp値の総和が1.7より小さくなる置換し得る基を表し、V1〜V4が同時に水素原子あるいは塩素原子とはならない。Xは分子内の電荷を中和するのに必要なイオンを表し、nは分子内の電荷を相殺するに必要なイオン数を表す。
【0017】
以下に本発明を更に詳しく説明する。本発明の特徴の1つは、乳剤層を2以上のレベルの露光量で露光することにある。ガスレーザーをAOM(音響光学素子)で変調する場合には、変調できる比率が1:1000程度であり、最も光量を絞った場合でも微弱な光による露光を受けていることになる。実際には、このような弱い光では感光しないような感光材料を用いるわけであり、本明細書では、このような実質的に未露光と同じ意味をもつ露光を露光量レベルとしては数え上げない。
【0018】
本発明の特徴は、1画素を複数の同一波長の光を出すデバイスで1回の主走査の間に露光する事にある。同一波長の光を発する光源を複数並置し隣接する画素を同時に露光する方式がとられることがあり、本発明の好ましい態様ではあるが、本発明の特徴ではない。本発明の特徴は、例えば、主走査の方向に並べられたLED素子を発光タイミングを変えて順次露光し、ハロゲン化銀感光材料の同一の場所がLED素子の数だけ多重露光される方式を意味する。
【0019】
本発明の特徴は、塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を含有することにある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料の好ましい形態としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤であれば塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤の、高濃度に臭化銀を含有する部分は、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点に形成される事が特に好ましい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。
【0020】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、画像露光により表面に潜像を形成する表面潜像型ハロゲン化銀乳剤であってもよいし、粒子表面が予めかぶらされていない内部潜像型ハロゲン化銀乳剤を用い、画像露光後カブリ処理(造核処理)を施し、次いで表面現像を行うか、又は画像露光後、カブリ処理を施しながら表面現像を行うことにより直接ポジ画像を得ることができる内部潜像型ハロゲン化銀乳剤であってもよい。なお、該内部潜像型ハロゲン化銀乳剤とは、ハロゲン化銀結晶粒子の主として内部に感光核を有し、露光によって粒子内部に潜像が形成されるようなハロゲン化銀粒子含有の乳剤をいう。
【0021】
本発明に用いられる95モル%以上が塩化銀からなるネガ型ハロゲン化銀乳剤には重金属イオンを含有させるのが有利である。これによっていわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたりシャドー側での軟調化が防止されることが期待される。このような目的に用いることの出来る重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することが出来る。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。ハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加する事ができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製する事もできる。前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル以上、1×10-2モル以下がより好ましく、特に1×10-8モル以上5×10-5モル以下が好ましい。
【0022】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤の好ましい一つの形態は、予めかぶらされていない内部潜像型ハロゲン化銀乳剤であり、この内部潜像型ハロゲン化銀粒子は、感光核の大部分を粒子の内部に有するハロゲン化銀粒子であって粒子の内部に主として潜像を形成することを特徴とする。
【0023】
予めかぶらされていない内部潜像型ハロゲン化銀乳剤は、表面カブリ処理を行うことにより反転処理を行うことなくポジ画像を与えるが、該カブリ処理は、全面露光を与えることでもよいし、カブリ剤を用いて化学的に行うのでもよいし、又、強力な現像液を用いてもよく、更に熱処理等によってもよい。
【0024】
該全面露光は画像露光した感光材料を現像液もしくはその他の水溶液に浸漬するか、又は湿潤させた後、全面的に均一露光することによって行われる。ここで使用する光源としては、上記写真感光材料の感光波長領域の光を有するものであればどの様な光源でもよく、又、フラッシュ光の如き高照度光を短時間当てることもできるし、弱い光を長時間当ててもよい。又、該全面露光の時間は上記写真感光材料、現像処理条件、使用する光源の種類等により、最終的に最良のポジ画像が得られるよう広範囲に変えることができる。又、該全面露光の露光量は、感光材料との組合せにおいて、ある決まった範囲の露光量を与えることが最も好ましい。通常、過度に露光量を与えると最小濃度の上昇や減感を起こし、画質が低下する傾向がある。
【0025】
本発明に係る感光材料に用いることのできるカブリ剤の技術としては特開平6−95283号18ページ右欄39行〜19ページ左欄41行に記載の内容の技術を使用する事が好ましい。
【0026】
本発明に用いられる粒子の形状は任意のものを用いることが出来る。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許4,183,756号、同4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)vol.21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0027】
本発明に用いられる粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事が特に好ましい。
【0028】
本発明に用いられる粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0029】
この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0030】
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加する事である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0031】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0032】
本発明に用いられる乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0033】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0034】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2921164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0035】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0036】
本発明に用いられる95モル%以上が塩化銀からなるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0037】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲が好ましい。
【0038】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4モル〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5モル〜1×10-8モルである。
【0039】
本発明に用いられる95%以上が塩化銀からなるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0040】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(3−フェニルアセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5モル〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6モル〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5モル〜5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6モル〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5モル〜1×10-2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10-9モル〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
【0041】
本発明に用いられる写真感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
【0042】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0043】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1g/m2〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2g/m2〜5g/m2の範囲である。
【0044】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0045】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料中に、蛍光増白剤を添加する事で白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発する事のできる化合物であれば特に制限はないが、好ましい一つの形態は、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有する化合物であり、他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0046】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0047】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0048】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料の一つの特徴は、シンプルシアニン色素を含有することにあるが、シンプルシアニン色素としては、下記一般式(SP−I)で表される化合物が好ましい。
【0049】
【化3】
Figure 0003799918
【0050】
式中、Z11、Z12は各々、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、ピリジン核、ベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、ナフトオキサゾール核、ナフトチアゾール核、ナフトセレナゾール核、ナフトイミダゾール核またはキノリン核を形成するのに必要な原子群を表す。R11、R12は各々、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。X-は陰イオンを表し、mは0または1を表す。但し、分子内塩を形成する場合にはmは0を表す。
【0051】
11、Z12が表す複素環核としては、ベンゾチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾオキサゾール核、ナフトチアゾール核、ナフトオキサゾール核が好ましい。
【0052】
11、Z12で表される複素環基は置換基を有してもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、複素環基等を挙げることができる。
【0053】
ハロゲン原子の中で特に好ましいものは塩素原子であり、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0054】
アルキル基としては、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル等の基が挙げられるが、中でもメチル基が好ましい。
【0055】
アルコキシ基としては炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等の基が挙げられるが中でもメトキシ基が好ましい。
【0056】
複素環基としては、ピロール環、ピリジン環、チオフェン環、フラン環等から導かれる複素環基を挙げることができる。
【0057】
11、R12で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル等の基が好ましい。これらのアルキル基は置換されていても良く、好ましい置換基としてはスルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルアミノ基等がある。
【0058】
具体的には2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−スルホブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ヒドロキシエチル、2−メチルスルホニルアミノエチル等の基である。
【0059】
11、R12で表されるアルキル基としては、スルホ基、カルボキシル基で置換されたアルキル基が好ましい。
【0060】
スルホ基、カルボキシル基などはピリジニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等の有機の陽イオンまたはアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の無機の陽イオンとで塩を形成していてもよい。
【0061】
-で表される陰イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオンやp−トルエンスルホン酸イオン等が好ましいが、ハロゲン化物イオンが好ましい。
【0062】
また、分子内塩を形成する場合には陰イオンは含まれなくともよく、その場合にはmは0を表す。
【0063】
一般式(SP−I)で表される色素の具体例として下記の化合物を挙げることができる。
【0064】
【化4】
Figure 0003799918
【0065】
【化5】
Figure 0003799918
【0066】
【化6】
Figure 0003799918
【0067】
【化7】
Figure 0003799918
【0068】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料の一つの特徴は、カルボシアニン色素を含有することにあるが、カルボシアニン色素としては、下記一般式(SP−II)で表される化合物が好ましい。
【0069】
【化8】
Figure 0003799918
【0070】
21、Z22は各々、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、ピリジン核、ベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、ナフトオキサゾール核、ナフトチアゾール核、ナフトセレナゾール核、ナフトイミダゾール核またはキノリン核を形成するのに必要な原子群を表す。
【0071】
21、R22各々、一般式(SP−I)のR11、R12と同じものを、X-、mは一般式(SP−I)と同じものを表す。
【0072】
23は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
21、Z22で表される複素環基は置換基を有してもよく、好ましい置換基としては、前記一般式(SP−I)のZ11、Z12で述べたものと同様の基を挙げることができる。
【0073】
23で表されるアルキル基としては、エチル基、プロピル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0074】
一般式(SP−II)で表される色素の具体例として下記の化合物を挙げることができる。
【0075】
【化9】
Figure 0003799918
【0076】
【化10】
Figure 0003799918
【0077】
【化11】
Figure 0003799918
【0078】
カルボシアニン色素の内で好ましい色素は上記一般式(SP−III)で表される化合物である。
【0079】
前記一般式(SP−III)において、R31及びR33が各々表す置換されたアルキル基としては例えば、ヒドロキシエチル基、エトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル基、メトキシエチル基、メタンスルホニルアミノエチル基、3−オキソブチル基等の基が挙げられ、非置換のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が挙げられる。
【0080】
32及びR34が各々表す、低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロエチル基等の基が挙げられ、親水性基で置換されたアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、メタンスルホニルアミノエチル基、スルホブチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホペンチル基、6−スルホ−3−オキサヘキシル基、4−スルホ−3−オキサペンチル基、10−スルホ−3,6−ジオキサデシル基、6−スルホ−3−チアヘキシル基、o−スルホベンジル基、p−カルボキシベンジル基等の基が挙げられる。
【0081】
1、V2、V3及びV4が各々表す置換基としては、該置換基のハメットσp値を加算した時、その総和が1.7を越えない範囲で任意の基であればよく、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、t−ブチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基等)、トリフルオロメチル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アシル基(アセチル基)、スルホニル基(メタンスルホニル基)、カルバモイル基(カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルバモイル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基等)、アセチルアミノ基、アセチルオキシ基等の基が挙げられる。
【0082】
Xが表す分子内の電荷を中和するに必要なイオンとしては、アニオンあるいはカチオンのいずれであってもよく、アニオンとしては例えば、ハロゲン化物イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン)、パークロレートイオン、エチルスルファートイオン、チオシアナートイオン、p−トルエンスルホン酸イオン、パーフロロボレートイオン等があり、カチオンとしては例えば、水素イオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン(トリエチルアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等)等がある。
【0083】
1、V2、V3及びV4が各々表す置換基において好ましいものは、
S=2L/(B1+B2+B3+B4)
から導かれるS値が1.0より小さい値を与える基である。ここにL、B1、B2、B3及びB4はSTERIMOLパラメータを表す。
【0084】
具体的には、メチル基(S=0.815)、エチル基(S=0.992)、t−ブチル基(S=0.728)、メトキシ基(S=0.993)、メチルチオ基(S=0.982)、トリフルオロメチル基(S=0.697)、アセチル基(S=0.893)、メタンスルホニル基(S=0.825)、カルボキシル基(S=0.887)、カルバモイル基(S=0.93)、スルファモイル基(S=0.726)等の基、フッ素原子(S=0.981)、塩素原子(S=0.978)、臭素原子(S=0.982)が挙げられる。
【0085】
前記一般式(SP−III)で用いられるハメットσp値はハメット等によって安息香酸エステルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、また、STERIMOLパラメータはベンゼン核との結合軸に対する投影図から求めた長さで定義された値であり、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー23巻、420〜427(1958)、日本化学会編、実験化学講座14巻(丸善出版社)、フィジカル・オーガニック・ケミストリー(マグローヒル・ブック社:1940)、ドラッグデザイン第VII巻(アカデミック・プレス社:1976)、薬物の構造活性相関(南江堂:1979)等に詳しく記載されている。
【0086】
次に本発明に使用される上記一般式(SP−III)で示される感光色素の具体的代表例を挙げる。
【0087】
【化12】
Figure 0003799918
【0088】
【化13】
Figure 0003799918
【0089】
【化14】
Figure 0003799918
【0090】
【化15】
Figure 0003799918
【0091】
上記化合物は一般に公知であり、例えばハーマー著「ザ・シアニン・ダイズ・アンド・リレーテッド・コンパウンズ」(インターサイエンス・パブリシャーズ、ニューヨーク、1969年)に記載された方法により容易に合成することができる。
【0092】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解して溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい、水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0093】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を38dyne/cm以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0094】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0095】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0096】
また、これらの分散装置を用いるに当たって、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0097】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有してもよい。
【0098】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0099】
本発明に係る感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては特開平6−95283号7ページ右欄記載の一般式[M−1]で示される化合物が発色色素の分光吸収特性がよく好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号8ページ〜11ページに記載の化合物M−1〜M−19を挙げる事ができる。更に他の具体例としては欧州公開特許0273712号6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び同0235913号36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものがある。
【0100】
該マゼンタカプラーは他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3モル〜1モル、好ましくは1×10-2モル〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0101】
本発明に係る感光材料において形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、マゼンタ画像の分光吸光度曲線上において、最大吸光度が1.0を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2を示す波長をいう。
【0102】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有される事が好ましい。これらのカプラーのpKaの差は2以内であることが好ましく、更に好ましくは1.5以内である。本発明のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーは特開平6−95283号12ページ右欄に記載の一般記載一般式[Y−Ia]で表されるカプラーである。同公報の一般式[Y−1]で表されるカプラーのうち特に好ましいものは、一般式[M−1]で表されるマゼンタカプラーと組み合わせる場合、組み合わせる[M−1]で表されるカプラーのpKaより3以上低くないpKa値より3以上低くないpKa値を有するカプラーである。
【0103】
該イエローカプラーとして具体的な化合物例は、特開平6−95283号12〜13ページ記載の化合物Y−1及びY−2の他、特開平2−139542号の13ページから17ページ記載の化合物(Y−1)〜(Y−58)を好ましく使用することができるがもちろんこれらに限定されることはない。
【0104】
本発明に係る感光材料においてシアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系又はイミダゾール系、アゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、或いはウレイド基などを置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2当量型ナフトール系カプラーなどが代表される。このうち好ましい化合物としては特開平6−95283号13ページ記載の一般式[C−I][C−II]が挙げられる。
【0105】
アゾール系カプラーとしては下記一般式〔I〕、〔II〕の化合物が好ましい。
【0106】
【化16】
Figure 0003799918
【0107】
式中、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は置換基を表す。m1は置換基R2の数を示す。m1が0の時、R1はハメットの置換基定数σPが0.20以上の電子吸引性基を表し、m1が1又は2以上の時、R1及びR2の少なくとも一つはハメットの置換基定数σPが0.20以上の電子吸引性基を表す。
【0108】
1はベンゼン環等が縮合していてもよい含窒素複素5員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0109】
3及びR4はハメットの置換基定数σPが0.20以上の電子吸引性基を表す。ただし、R3及びR4のσP値の和は0.65以上である。Z2は、含窒素複素5員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、該5員環は置換基を有していてもよい。
【0110】
1及びX2は、各々、水素原子又は発色現像主薬の酸化体とのカップリング反応により離脱する基を表す。
【0111】
本発明のシアンカプラーに係るHammettによって定義された置換基定数σPが+0.20以上の置換基は、具体的にはスルホニル、スルフィニル、スルホニルオキシ、スルファモイル、ホスホリル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、オキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、ハロゲン置換アルコキシ、ハロゲン置換アリールオキシ、ピロリル、テトラゾリル等の各基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0112】
スルホニル基としては、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロゲン置換アルキルスルホニル、ハロゲン置換アリールスルホニル等;スルフィニル基としては、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル等;スルホニルオキシ基としては、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ等;スルファモイル基としては、N,N−ジアルキルスルファモイル、N,N−ジアリールスルファモイル、N−アルキル−N−アリールスルファモイル等;ホスホリル基としては、アルコキシホスホリル、アリールオキシホスホリル、アルキルホスホリル、アリールホスホリル等;カルバモイル基としては、N,N−ジアルキルカルバモイル、N,N−ジアリールカルバモイル、N−アルキル−N−アリールカルバモイル等;アシル基としては、アルキルカルボニル、アリールカルボニル等;アシルオキシ基としては、アルキルカルボニルオキシ等;オキシカルボニル基としては、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル等;ハロゲン置換アルコキシ基としては、α−ハロゲン置換アルコキシ等;ハロゲン置換アリールオキシ基としては、テトラフルオロアリールオキシ、ペンタフルオロアリールオキシ等;ピロリル基としては1−ピロリル等;テトラゾリル基としては、1−テトラゾリル等の各基が挙げられる。
【0113】
上記置換基の他に、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノニルフルオロ−t−ブチル基や、テトラフルオロアリール基、ペンタフルオロアリール基なども好ましく用いられる。
【0114】
一般式〔I〕において、R1又はR2が表す置換基のうち、電子吸引性基以外の置換基としては、種々のものが挙げられ特に制限はないが、代表的なものとして、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、ヒドロキシル及びメルカプトの各基、並びにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等が挙げられる。
【0115】
上記アルキル基としては炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0116】
アシルアミノ基としてはアルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基;スルホンアミド基としてはアルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基;アルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分は上記のアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0117】
アルケニル基としては炭素数2〜32のもの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。シクロアルケニル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
【0118】
ウレイド基としてはアルキルウレイド基、アリールウレイド基等;スルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;複素環基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等;複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基等;複素環チオ基としては5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;シロキシ基としてはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基としては琥珀酸イミド基、3−ヘプタデシル琥珀酸イミド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化合物残基としてはスピロ[3.3]ヘプタン−1−イル等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0119】
これらの基は、更に長鎖炭化水素基やポリマー残基等の耐拡散性基などの置換基を含んでいてもよい。
【0120】
一般式〔I〕において、X1の表す発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基としては、例えばハロゲン原子(塩酸、臭素、弗素等)及びアルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルコキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、N原子で結合した含窒素複素環、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル等の各基が挙げられるが、これらのうち好ましいものは、水素原子及びアルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、N原子で結合した含窒素複素環基である。
【0121】
一般式〔I〕において、Z1により形成される含窒素5員複素環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
【0122】
一般式〔I〕で表される化合物を更に具体的に記すと下記一般式〔I〕−1及び〔I〕−2により表される。
【0123】
【化17】
Figure 0003799918
【0124】
上記一般式において、〔I〕−1中のR1及びR11の内の少なくとも一つ、〔I〕−2中のR1及びR12の内の少なくとも一つはσPが0.20以上の電子吸引性基である。
【0125】
1は一般式〔I〕におけるX1と同義であり、pは0〜4の整数を表す。
又、一般式〔I〕−1及び〔I〕−2において、R1及びR11〜R12の内、σPが0.20以上の電子吸引性基でないものは、水素原子又は置換基を表す。
【0126】
一般式〔II〕において、R3及びR4はハメットの置換基定数σPが0.20以上の電子吸引性基を表し、これらの電子吸引性基としては、一般式〔I〕におけるR1及びR2の電子吸引性基と同様の基を挙げることができる。ただし、R3とR4のσP値の和は0.65以上である。
【0127】
2により形成される含窒素5員複素環としては、ピラゾール環、イミダゾール環又はテトラゾール環等が挙げられる。これらの含窒素5員複素環は置換基を有していてもよい。
【0128】
一般式〔II〕で表される化合物を更に具体的に記すと、下記一般式〔II〕−1及び〔II〕−2により表される。
【0129】
【化18】
Figure 0003799918
【0130】
式中、R3,R4及びX2は、一般式〔II〕におけるそれぞれと同義である。R21は水素原子又は置換基を表す。
【0131】
21の表す置換基としては特に制限はなく、代表的にはアルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、この他にハロゲン原子及びシクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、スルホニルオキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシル、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、スルホン酸等の各基、並びにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等も挙げられる。
【0132】
3で表されるアルキル基としては炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよく、アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0133】
3で表されるアシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基アリールカルボニルアミノ基等;スルホンアミド基としては、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等;アルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分は上記R3で表されるアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0134】
21で表されるアルケニル基としては炭素数2〜32のもの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。又、シクロアルケニル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
【0135】
21で表されるスルホニル基としてはアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等;スルフィニル基としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;ホスホニル基としてはアルキルホスホニル基、アルコキシホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、アリールホスホニル基等;アシル基としてはアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等;カルバモイル基としてはアルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基等;スルファモイル基としてはアルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基等;アシルオキシ基としてはアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基等;カルバモイルオキシ基としてはアルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモイルオキシ基等;ウレイド基としてはアルキルウレイド基、アリールウレイド基等;スルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;複素環基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾリル基等;複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基等;複素環チオ基としては5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ基、2−ペンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;シロキシ基としてはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基としては琥珀酸イミド基、3−ヘプタデシル琥珀酸イミド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化合物残基としてはスピロ[3.3]ヘプタン−1−イル等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0136】
上記の基は、更に長鎖炭化水素基やポリマー残基などの耐拡散性基等の置換基を有していてもよい。
【0137】
以下に本発明に係わるシアンカプラーの具体的化合物例を示すがこれらに限定されるものではない。
【0138】
【化19】
Figure 0003799918
【0139】
【化20】
Figure 0003799918
【0140】
【化21】
Figure 0003799918
【0141】
【化22】
Figure 0003799918
【0142】
該シアンカプラーは通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0143】
本発明に係る感光材料においてイエロー画像形成層中に含有されるイエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カプラー等を好ましく用いることができる。
【0144】
該イエローカプラーの具体例としては、例えば特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー等も挙げることができる。
【0145】
本発明に係る感光材料により形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0146】
該イエロー色画像の分光吸収のλL0.2とは、特開平6−95283号21ページ右欄1行〜24行に記載の内容で定義される値であり、イエロー色素画像の分光吸収特性で長波側の不要吸収の大きさを表す。
【0147】
該イエローカプラーは通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0148】
該マゼンタ色画像、シアン色画像、及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、色調調整作用を有する化合物を添加する事が好ましい。このための化合物としては、特開平6−95283号22ページ記載の一般式[HBS−I]および[HBS−II]で示される化合物が好ましく、より好ましくは同号22ページ記載の一般式[HBS−II]で示される化合物である。
【0149】
本発明に係る感光材料においてハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
【0150】
前記マゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開平64−90445号記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0151】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラー等を溶解して分散するために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0152】
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短い方がよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0153】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良する事が好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0154】
本発明に係る感光材料中には紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0155】
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27があげられる。
【0156】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0157】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用する事が好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加する事が好ましい。また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0158】
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0159】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、さらに70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。
【0160】
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0161】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0162】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0163】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0164】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
【0165】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
【0166】
本発明に用いられる写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0167】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0168】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることが出来るが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0169】
レーザーとしては半導体レーザーがコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。しかしLDは、赤、赤外線の光を発するものしか実用化されていない、温度が上昇すると出力が低下し発振波長が長波化するといった欠点を有していた。また、赤外光の場合には目に見えないため光学系の調整に手間取るといった欠点もあった。
【0170】
一方で、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0171】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。しかし、一般に高価であり、LDを半波長化する場合にはLDのもつ温度による出力変動の影響を受けるという欠点を有していた。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0172】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。一般に高価で寿命が短いといわれるが、この欠点は青光を発振するレーザーで顕著であるが、ヘリウムネオンレーザーあたりでは価格に関する欠点はあまりなく、好ましく用いられる。特にG光の光源としてヘリウムネオンレーザーが好ましく用いられる。
【0173】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。しかし、レーザー光と異なり指向性がないため焦点深度が浅くなりやすいこと、光の強度が弱いことなどの欠点を有している。
【0174】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。ヘリウムネオンレーザーの場合には、比較的形状の整った光束が容易に得られるが、LDの場合には、個々のLDを調整していくため、ビーム間に径の違いを生じたり位置にずれを生じたりしやすかった。また、デバイスによって発振波長が少しずつずれているケースもごく普通にみられた。こうした位置やビーム径、発振波長のずれは画像上に筋を生じたりしやすいため、最適に調整された状態では筋の発生がなくても、使用条件に変動が起きると筋が発生するなどの問題を生じやすかった。
【0175】
本願発明に用いられる露光用光源の強度変化は、LDのような場合には、個々のLDに流れる電流値を変化させる直接変調を行ってもよいしAOMのような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学素子)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0176】
本願発明において面積階調画像という言葉を用いているが、これは画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。本発明においては、例えば画素を更に細分化した単位(実質的に点になるためドットという言葉をこの単位を表す言葉として用いる)を考え、各種の光源から発する光でドットを形成させ、その数で網点の大きさを変化させる方法などがとられる。
【0177】
通常面積階調露光であればY、M、Cの発色をさせることで目的を達することもできる。より好ましくは、単色での発色濃度よりも高い濃度で黒を作るように、2値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。黒にさらにM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光する事が好ましい。
【0178】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化する事によってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0179】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査する必要があるが、感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0180】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0181】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0182】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0183】
本発明において用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を上げることができる。
CD−1) N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2) 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3) 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4) 4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5) 2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7) N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8) N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン
本発明においては、上記は色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0184】
本発明に係る発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。
【0185】
発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0186】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0187】
本発明のハロゲン化銀感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン化銀感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが、通常だがこの際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0188】
本発明の好ましい実施態様を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0189】
(1)支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層を2以上のレベルの露光量で、1画素を実質的に同一の波長を有する複数のデバイスによって露光し、かつ60秒以下の現像時間で現像処理する事を特徴とする画像形成方法。
【0190】
(2)支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層がシンプルシアニン色素を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を実質的に同一の波長を有する複数のデバイスによって行い、かつ60秒以下の現像時間で現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0191】
(3)前記シンプルシアニン色素が一般式(SP−I)で表されることを特徴とする(2)に記載の画像形成方法。
【0192】
(4)支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層がカルボシアニン色素を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を実質的に同一の波長を有する複数のデバイスによって行い、かつ60秒以下の現像時間で現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0193】
(5)前記カルボシアニン色素が一般式(SP−II)で表されることを特徴とする(4)に記載の画像形成方法。
【0194】
(6)支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層が前記一般式(SP−III)で表される化合物を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を実質的に同一の波長を有する複数のデバイスによって行い、かつ60秒以下の現像時間で現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0195】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0196】
実施例1
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、下記表1に示す層構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層の側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を塗設した多層ハロゲン化銀感光材料試料No.101を作製した。
【0197】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し、分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0198】
【表1】
Figure 0003799918
【0199】
【化23】
Figure 0003799918
【0200】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
SO−1:トリオクチルホスフィンオキサイド
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0201】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル
ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム 2×10-5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−101を得た。
【0202】
上記EMP−101に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、ハロゲン化銀乳剤(Em−101)を得た。
【0203】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モル AgX
塩化金酸 1.0mg/モル AgX
安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX
安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX
安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX
増感色素 SP−II−1 4×10-4モル/モル AgX
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾールSTAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
試料101は幅を300mm、450mm、600mmの3種類に切り分けた。
【0204】
光源としてB、G、RのLEDを主走査方向に10個並べ露光のタイミングを少しづつ遅延させることによって同じ場所を10個のLEDで露光出来るように調整した。また、副走査方向にも10個のLEDを並べ隣接する10画素分の露光が1度に出来る露光ヘッドを準備した。
【0205】
露光レベル1は、ステータスTのG濃度で1.60の濃度が得られる露光量とし、露光レベル2はG濃度で1.90が得られる露光量とした。
【0206】
各試料を露光レベル1と露光レベル2で網点%が20%となるように露光し現像処理を行った。
【0207】
現像処理工程及び各処理液は下記のものを用いた。
処理工程 処 理 温 度 時間 補充量
発色現像 33.0±0.3℃ 120秒 80ml
漂白定着 33.0±0.5℃ 90秒 120ml
安 定 化 30〜34℃ 60秒 150ml
乾 燥 60〜80℃ 30秒
Figure 0003799918
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.0に、補充液はpH=10.6に調整する。
【0208】
漂白定着液タンク液及び補充液
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整する。
【0209】
安定化液タンク液及び補充液
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0210】
現像処理後エックスライト408濃度計ステータスTでランダムに15ヶ所の濃度を測定しドットゲインのバラツキを求めた。露光レベル2と1の部分で比べると露光レベル2よりレベル1の方が変動が大きかったため露光レベル1での結果を表2に示した。
【0211】
【表2】
Figure 0003799918
【0212】
120秒の現像では300mmの試料では顕著な傾向は見られないが、450mm以上の幅の試料ではドットゲインの変動が大きくなっていることがわかる。
【0213】
次に現像、漂白定着の温度を38℃とし、現像、漂白定着の時間を45秒として同じ実験を繰り返したところ、300mmの試料では大差ないものの450mm、600mmの試料ではドットゲインが改良されていることが分かった。
【0214】
このように広幅の試料ではドットゲインのバラツキが大きくなる現象が見られるが、現像時間を短縮することによってこの現象が改良されることが分かる。
【0215】
次に比較実験として、回転速度を低下させ、各画素当たり1個のLEDで露光して同様の実験を行ったところ、主走査方向に筋を生じているが確かめられた。先の試料ではこのような筋は確かめられなかったことから、主走査方向に並べられたLEDの効果によって改善されたものと思われるが、表2に示されたようにドットゲインの変動はそれだけでは改良出来なかったことがわかる。
【0216】
本発明の効果は、このように露光筋のような欠陥をもたない高画質な画像を得る時に特に好ましく用いることができるものである。
【0217】
実施例2
実施例1の試料101の調製においてハロゲン化銀乳剤調製時に用いた増感色素を種々変更した以外同様にして試料201〜228を調製した。この試料を3サイズに切り分け乳剤の感光性に応じて光源を使い分け、露光後実施例1と同様にして2種類の現像処理を行った。結果を下記表3に示した。
【0218】
【表3】
Figure 0003799918
【0219】
【化24】
Figure 0003799918
【0220】
増感色素を種々変更した試料を用いた場合にも本発明に係るハロゲン化銀感光材料では変わらず本発明の効果が得られることがわかった。中でもメロシアニン色素A、Bを用いた試料よりシンプルシアニン色素やカルボシアニン色素を用いた場合の方が高い効果が得られることが分かる。
【0221】
実施例3
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、下記表4、表5に示す層構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層の側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を塗設した多層ハロゲン化銀感光材料試料No.301を作製した。
【0222】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し、分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0223】
【表4】
Figure 0003799918
【0224】
【表5】
Figure 0003799918
【0225】
【化25】
Figure 0003799918
【0226】
【化26】
Figure 0003799918
【0227】
【化27】
Figure 0003799918
【0228】
SO−4:トリクレジルホスフェート
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
PVP :ポリビニルピロリドン
緑感性乳剤は、前記Em−101を使用し、その他の乳剤は下記のように調製した。
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記EMP−101に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤(Em−R301)を得た。
【0229】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モル AgX
塩化金酸 2.0mg/モル AgX
安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX
安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX
安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX
増感色素 SP−II−10 1×10-4モル/モル AgX
増感色素 SP−II−11 1×10-4モル/モル AgX
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
EMP−101の調製において(A液)及び(B液)、(C液)及び(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤(EMP−301)を得た。
【0230】
上記(EMP−301)に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B301)を得た。
【0231】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モル AgX
塩化金酸 0.5mg/モル AgX
安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モル AgX
安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モル AgX
安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モル AgX
増感色素 (SP−I−3) 4×10-4モル/モル AgX
増感色素 (SP−I−11) 1×10-4モル/モル AgX
試料301を600mmの幅に切断し、B、G、R光でテストチャートを露光し、実施例1と同様に2種の現像処理を行って比較をしたところ下記表6のようになった。
【0232】
【表6】
Figure 0003799918
【0233】
目視した結果でも、本発明に係る試料はハイライトからシャドーまで優れたトーンの再現を示す画像が得られたことが確かめられた。本発明に係る画像形成方法によってドットゲインの変動の小さな画像を得ることができることが分かる。
【0234】
【発明の効果】
本発明によれば、広幅の試料を現像する際に生じる連続的に画像出力する際に起こるドットゲインの変動、色調の変動などがなく、優れた画像を形成することのできる画像形成方法を提供できた。

Claims (4)

  1. 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層を2以上のレベルの露光量で、1画素を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に露光し、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理する事を特徴とする画像形成方法。
  2. 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層がシンプルシアニン色素を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に行い、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
  3. 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層がカルボシアニン色素を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に行い、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
  4. 支持体上に少なくとも一層の塩化銀が95モル%以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する400mm以上の幅のハロゲン化銀感光材料を走査露光し、面積階調画像を形成する画像形成方法において、該乳剤層が下記一般式(SP−III)で表される化合物を含有し、露光を2以上のレベルの露光量で、1画素の露光を複数の同一波長の光を出すデバイスによって1回の主走査の間に行い、かつ60秒以下の発色現像時間で発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
    Figure 0003799918
    〔式中R31及びR33は各々、置換あるいは非置換のアルキル基を表し、R31及びR33の少なくともいずれか一方の基はエチル基以外の基であり、R32及びR34は低級アルキル基を表し、R32とR34のいずれか一方は親水性基を置換したアルキル基である。V1、V2、V3及びV4は各々、水素原子あるいは加算したハメットσp値の総和が1.7より小さくなる置換し得る基を表し、V1〜V4が同時に水素原子あるいは塩素原子とはならない。Xは分子内の電荷を中和するのに必要なイオンを表し、nは分子内の電荷を相殺するに必要なイオン数を表す。〕
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